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バズガス爆発

作者：にゃあら

●六六六いいね
　バスを爆弾に変える事など――バスガスバクハツさせる事など――96位にとっては朝飯前の殺人であった。ジャックされた事にすらも気づけない、哀れな哀れな車掌は最初の犠牲者に違いない。だが、この程度の爆発で、この程度の殺人で96位が満足する事など皆無であった。より巨大な密室を――より、殺戮に適した｜巨大密室《コルドロン》を――作り出さねばならない。理想を語るならば、文字通りの世界規模だ。ならば、何を爆弾に変えたら良い。何をガス爆弾に変えたら――。
　バスで物足りないならば、乗り物で物足りないならば、概念的な――『バズ』は如何に。悪くない。全世界に『殺人の素晴らしさ』を拡散し、全ての知的生命体を爆弾に変えたならば――史上最悪の殺戮劇が叶えられる。先ずは『バズ』に適したオブリビオンを、ダークネスを集め、斬新さを求めている彼奴に声を掛ければ――戦略級たる己の力を存分に発揮出来る。

●グリモアベース
「斬新な殺人と古き良き殺人、そのふたつが組み合わされば、そりゃあ世界崩壊の危機よね。目が回るわ……」
　グリモア猟兵、隣人の嘆息が場を満たしていく。殺人鬼、六六六人衆ならば理解出来るかもしれないが、復活ダークネスの企てである。
「アンタ等には六六六人衆、つまり復活ダークネスの企てを潰してもらうわ。なんでも、バスをガス爆発させるのは容易だから、今度はバズガス爆発させるんですって。つまりあれよ。殺人動画をバズらせて、拡散して、いいねした奴を爆死させるってわけ」
「兎も角、バズらせるって事に適したオブリビオンを使ってるらしいからそいつらを処理してきなさい。最後には黒幕潰してハッピーエンドよ。よろしくね」
　グリモアが輝いて。

第1章 集団戦 『白ギャル淫魔』

POW   :    今あーし達の事見てたでしょ♪ 自身の【姿】を目視した対象に【服装と心身のギャル化、更に自身への好意】の精神状態を与え、無防備に自身に近付かせる。 SPD   :    ねぇねぇ、あーし達と遊ぼうよ♪ 対象にひとつ要求する。対象が要求を否定しなければ【対象の服装や心身がギャル化】、否定したら【ギャル淫魔の回避力と防御力が大幅に上昇】、理解不能なら【一時的にギャル淫魔へのネガティブな感情】を奪う。 WIZ   :    あーし達、ずっと前からの付き合いじゃんか♪ 対象に【ギャル淫魔の友達としての記憶】を生やし、自身とのテレパシー会話を可能にする。対象に【服装や心身のギャル化】の状態異常を与える事も可能。 イラスト：透人 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

　業々と燃え、焚かれ、散らかった臓物の成れの果て。
　焦げ臭いものを背景に、二重の意味での炎上か。
　温故知新の精神を忘却してはならない。それは『殺人界隈』でも同じであり、常に気を付けるべき事柄である。突如としたバスが爆発したのなら、それを撮って、SNS、拡散するのが大勝利か。まあ？　あーし達は？　流行に乗っかってるだけだし？　バスガス爆発したってバズガス爆発したって、どっちでもいーんだけど？？？　ピース・サインに平和の欠片なく、只、ギャルギャルしい淫魔が逸るだけか。
　猟兵達よ。あの淫魔どもを止めなければ、灼滅しなければ世界はバズで爆発してしまう。急いで片付けるのが最善とも考えられよう。されど、恐れ給え。淫魔は『淫魔』を流行らせる事にも優れている。あ、猟兵じゃん。あーし達と遊びたいなら、あーし達みたいにならなきゃダメでしょ♪　おお、薄っぺらいものだ。薄っぺらいからこそ、堕落と謂うものは感染する。あーし達と動画撮影しない？　殺人動画ってゆーんだけど♪


　耳朶の奥へと這い寄った｜蛇《舌》、この混沌。
　どくどくと脈打っていた脳髄のカタチ、最早、丸っこさすらも忘れて胃袋の中か。頭の中が伽藍洞になっても、尚、行為をしている淫魔。この世でもあの世でも骸の海でも、一番幸せに違いない。目玉が映している虚空、ガスが充満する気配もない。想像する事すらも許されない、最高の絶頂……。
　蟲毒ではない。孤独でもない。骸の海より浮上した色欲の｜実《にく》は誰が為に振る舞われたのか。途中で退場するには如何にも柔らかく、可愛らしい者どもからのお誘い。それが『殺人動画』の共犯でなければ、まったく抱き着いて終いそうなものを……。微笑をこぼして『あなたたち』に此方からの誘いだ。ちょっと遊んであげるわ。遊んであげるから、ちゃんと付いてきてくれると嬉しいわね。まるで死神のような所業だ。恋人からの情念のサインだ。まったく、ゆかりはどこまでも、えっちですね。ひと肌脱ぐのではない。全部脱ぐのだ。生まれた儘の姿になって、ありのままの輪郭を魅せて、狂って終いそうなほどの馥郁をこぼす。あたしたちの虜にしてあげる。ぐちゃぐちゃになった思考回路については言わずもがな。つぅと嗤った淫らな現に対しては是非もなく。アヤメはちゃんととどめを刺していってね。こくりと頷いたくノ一からの断頭、転がり落ちてからも永久に、快楽の奴隷か。
　あーし達……あーしは……？　さあ、もっといっぱい、あたしたちを愛してちょうだい。しっかりとお返ししてあげるから。無差別篭絡術の内側、死に絶えない『いきもの』はひとつもなく。よがり、縋って、獣よりも獣らしく謳うだろうか。長く永く、お互いの肉厚な具合を改めて往く度に一匹、一匹と堕ちていく。あ、あーしは絶対に折れないよ♪　あーしが主導権を握るんだからね♪　自分に言い聞かせているだけだ。現実を見ないようにしているだけだ。最後に残った彼女の運命は誰よりも心地良く、凄惨な沙汰となる。
　ゆりゆり、この子たちのえっちなのうみそなら食べていいよ。
　なんだか、ひさしぶりに、おなかいっぱいになれそうです。
　数秒後に壊れる淫魔、その顔色は赤だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

　正義感による暴力こそが連中を止める唯一であった。
　世界を守る為には、人々を助ける為には、殺しをしなければならない。
　シンプルな『悪』の気配に釣られて、一匹の『猫』がやってきた。腹が空いては戦にならぬと、出来ぬと舐ったジュールはひとつ。嗚呼、バスがガス爆発すると謂うのならば、バズがガス爆発すると宣うならば、バズった数だけ驚かしてやると宜しい。てめぇら、俺が来たからにはどんな悪事も見逃してやんねぇぜ。さっさと観念して骸の海に帰りやがれ。最後の警告だ。最後の忠告だ。いや、勿論、此処で泣こうと謝ろうと、罪を償う事など不可能なのだが。ふーん？　猫ちゃんにあーし達を止められるとは思わないけどね♪　遊んでくれるってゆーなら、殺人動画を一緒に撮ろうよ♪　最初に仕掛けてきたのは連中だ。ひどく軽々しい様子で『ギャル』化への布石を打ってきた。はん。誰がてめぇらと遊ぶかっての。俺を『そう』したいってんならマタタビでも用意するんだな。否定した瞬間に倍加するギャルの俊敏性、おまけに追加されたのは装甲だろうか。ふーん？　良いのかなぁ？　あーし達と遊んでくれないなら、殺しちゃうからね♪
　ギャル――淫魔が手にしたのは六六六人衆に貰った『解体ナイフ』だ。あーし達は知ってるよ。猫は鍋にしたら美味しいって♪　押し寄せたのはインスタントな殺意だ。殺意に毒された淫魔どもの『ひどく拙い』『一斉』攻撃だ。成程、大幅に上昇した防御力が成せる無謀とも謂えよう。そうとも、無謀なのだ。何故ならば猟兵、オマエは居合を極めている。防御に頼ったのがてめぇらの敗因だぜ。素直に躱す事を考えりゃあ良かったのにな！
　気にいらねえ奴はぶった斬れ。自動的な反撃と共に淫魔どもを両断した。
　活け造りにするには、少々、腐敗していたか。

成功 🔵​🔵​🔴​

　ころころと転がってしまった水晶玉、たとえ偽りで在ろうとも『あせる』事に変わりはない。如何にか、オブリビオンに拾われるよりも早く回収が出来た。
　可能な限りの保持こそが、命を大切にする事こそが、猟兵にとって日常を守る為の術とも謂えた。本来、ヤドリガミは『本来を傷つけられなければ』脅かされる事すらもないのだが、オマエは如何やら『それ』を忘れているご様子だ。爆発に次ぐ爆発、吹っ飛んだのは布団ではなくバスだったか。押し潰されないよう、圧し殺されないよう、慎重に慎重に躱していく。今、あーし達のこと見てたでしょ？　唐突に声を掛けられたのならば、その前に占ってやると宜しい。タロットを一枚捲ったのならばひっくり返った塔。これは……天変地異が起きるほどラッキーと謂う事でしょうか？　まったく、自信なさげに告げるではないか。いや、オマエの疑問は間違いなく、しかし因果は狂い出すか……。は？　何いってんの？　塔って確かアンラッキーの方なんじゃ……？　これにはギャルも困惑気味である。首を傾げたかと思いきや唐突な見せられない。成程、男子にとってはラッキーだろうか。
　服破りだなんてレベルではない。この恥ずかしいは唯一無二だ。
　バスの影に隠れたくなる。
　悲鳴――淫魔とは思えない程度の――大絶叫。彼女等のユーベルコードは『姿を見せる』事で発動する。故に、服が『服』でなくなった瞬間、恥辱、埒外性は塵芥だ。よくわからないですけど、今日の僕の運勢は『良かった』ということで……。構えるべきはルーンソード、宿した属性は水だろうか。こんなにバスがガス爆発していたら、被害が広がるかもしれないし。流れるように両断してやれ、噛み合わなかったが故の勝利だ。

成功 🔵​🔵​🔴​

　溺れる者は藁をも掴む。
　掴む力が有ったならば、救う側としても大助かりだ。
　奇怪な鳴き声はパンダースナッチすらも脅えさせ、あらゆる蛇は首を垂れるか。燻り狂った化け物が、獣が、裸足で逃げ出すほどの猛毒は、成程、常人にとっては悦ばしい薬には違いない。では、彼女等にとっては、淫魔にとっては如何様に働くか。毒を以て毒を制す？　いいえ、毒を盛って毒で制す、よ。まるで宣告だ。即効性なのか遅効性なのかは不明だが、この、眩暈を覚えて終いそうなほどの蜷局に彼女等は『声』を掛ける事も出来そうにない。あ、あーし達は『殺人動画』を撮るのに忙しぃんだし♪　おばさんと遊んでる場合じゃないんだよね♪　まったく聞き捨てならない科白ではないか。齢37のラミアに対して、キマイラに対して、恐れ知らずな発言ではないか。……今のは聞かなかった事にしてあげる。そうね。私の実験に付き合ってくれたら許してあげようかしら。注射針の如くにカタチを変えた記憶消去銃、己の血肉こそが猛毒ならば、劇的に演出してやると宜しい。
　マッドサイエンティストから見た鼠の跫音、灯へと集る蛾に等しい。
　バスの中にいたエスパー等、一瞥、真っ黒ならば、今のところは医者として動く必要などない。随分と好き勝手やってくれたわね。私は、人の命を軽視しているオブリビオンが大嫌いなのよ。引き金は最早『麻酔』よりも慈悲深い。淫魔の頭部目掛けて放たれた｜光線《ひかり》は欠片の記憶も残さなかった。おお、ロボトミーめいた末路。淫魔どもは涎を垂らし、目の玉をぐぅるりとさせ、木の棒のように倒れたのだ。……それじゃあ、生きている人がいないか改めて確認しないとね。僅かにでも希望があるならば縋り付け、放っておける筈もなく……。

成功 🔵​🔵​🔴​

　ひどい臭いだ。肺臓を真っ黒けにした煙よりもおそろしい臭いだ。ホルマリン代わりのアルコールすらも効果が薄れる地獄の沙汰だ。いいや、沙汰は世界で起きている。博打の方が真面な趣味だとは、おお、発狂するにも程がある。
　水槽の中に浮かんでいる脳髄も、コードに繋がれた生体も、殺意の内側に落とされてしまっては脅える他ない。幸せな夢を散々見てきたのだ、殻に籠っていたのだ、易々と対処方法とやらにはありつけないと思った方が宜しいか。いや、だが――あの、頭の中身がスカスカそうな淫魔どもに『やられて』終うなど、如何にも、人間的な精神が許してはくれないか。私の手が必要ならば、私『達』の身体が必要ならば、お貸しします。なんだか頭の緩そうな女が来たわね♪　そんなに自分を雑に扱うなら、いっそ、他人を塵のように扱ったら如何かな？　きっと楽しいよ♪　無表情なのは間違いではないが、果たして、真に無感情とは謂えなかった。一瞥してしまったのならば性質の歪、似たような口調でのお遊びだろう。私……あなた……あーし……アンタ……？　ある意味での瀕死だ。ある種の戦闘不能だ。お仲間が出来たと嬉しがっている連中のど真ん中、ユーベルコードを揮ってやると宜しい。
　まるでサンタクロースだ。まるでクリスマス爆破男だ。敵を屠る為ならば、フラスコの中身を道具のように扱ったって構わない。何してくれるんですか。死ぬほど痛かったですし、死にたくなるほど恥ずかしいですよ。いや、死んだけど。バスガス爆発でもバズガス爆発でもない、アリス大爆発。地が吹き飛んでおり、成程、オマエを飾ってくれたのは淫魔の肉片か。……残ったあなた達にはしっかりと、償ってもらいます。あ、あーし達、これから動画撮影で忙しくなるから、また今度……？　遁走を試みたって無駄だ。言い訳を弄ったって無意味だ。たとえ、身を護る事にご執心でも崩され、貫かれるのが現である。
　データ破損を味わうのは彼女等だけで十分だ。

成功 🔵​🔵​🔴​

　大量に取り込んだ魂の行方、不定形の器の内、留まれているのか否か。
　浮き沈みの激しかった記憶の鮮明、赤色の瞳が真剣さを湛えた。
　罪深い者への贈り物として礫が相応と宣うならば、より罪深い者には岩石が似合いと謂えよう。今にも破裂しそうな、爆発しそうなバスの群れに、集り始めたのは｜蟲《バグ》めいた｜羽音《バズ》か。あーし達の邪魔をするなら、かわいい子だったとしても殺しちゃうよ♪　まるで教唆された人間だ。まるで罪を罪とも思っていない赤子だ。……ある意味ギャルらしい手段ではあるけど……バズらせる対象がねぇ。ブラックタールの柔らかさにも、懐の深さにも限度と謂うものはある。まあ、六六六人衆絡みだから、より正確に謂えば六六六人衆のオブリビオン絡みだから、だろうけど……。スイーツとかファッションとかの方が一般受けは良いと思うよ。そんなふうに諭したって、溜息を吐いたって連中の白さは変わらない。なに謂ってんの？　あーし達が求めてんのは爆発的な流行りだし？　この殺人動画の斬新さはあーし達にとってもさいこーなんだから♪　そうだ。あーし達と遊ばない？　愛おしいあの子からのお誘いだ。きっと、通常であれば、殺人が関係していなければ、こくりと頷いた事だろう。でも――そうだね。白ギャルになるには、ワタシは大分黒過ぎるんでね。タールよりも泥濘とした殺意との衝突、何方が獣の数字としてお呼ばれされるか。黒ギャルで良いならなるよ……アナタ達が死んでからね。
　サイキックエナジーの流れを観ると好い、影の如くに扱ってやれ。
　正攻法で戦うには、真正面から殴り合うには、淫魔どもは莫迦みたいに強固だった。ならば、外道とやらを、鬼道とやらを、我が身に宿して魅せると宜しい。より広範囲から、より多くの『エネルギー』を脅かせ。眠るようなお別れの挨拶だ。手を伸ばし、触れずとも『命』のカタチを把握していく。カワイイ姿のまま、死なせてあげるよ。ふわりと失せていくのは意識だろうか。それこそえっちなのうみそへの接吻、逃げようとしたところで手遅れか。……ワタシは、アナタ達の｜肢体《死体》を、無駄にはしないよ。

成功 🔵​🔵​🔴​

第2章 集団戦 『屑星・暁子』

POW   :    鉄球殴打殺人術 自身の【両手】を【巨大鉄球】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。 SPD   :    斬新企画会議 【斬新コーポレーション】製の【斬新な殺人用凶器】を創造する。これを装備した者は、創造時に選択した技能1つを100レベルで使用できる。 WIZ   :    斬新戦術 敵より【戦い方や殺し方が斬新】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。 イラスト：風見屋 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

　バスガス爆発――実に斬新な殺人方法であった。一度でｎ度美味しい、ある種の『密室殺人』と表現しても良いやり方だ。だが、最早、バスガス爆発など――時代遅れ。そのような『ちまちま』とした殺人では、きっと、社長が許してはくれない。
　ならば、如何するのか。屑星・暁子はひとつの結論に至る。そう、バズガス爆発だ。全世界の人間に、いや、エスパーに『バズ』でガス爆発する仕掛けを『する』のだ。そうとも時代はSNS、幸せを運ぶのではなく殺人をお届けするべきだ。まったく｜素晴らしき哉、殺人《ウーバー・シックス》！　奇行と笑うならば嗤うと好い、斬新さを制する者が殺人を制す！　文字通りに融合したトゲ付き鉄球で動画を映えさせると宜しい。
　……おや、誰かと思えば灼滅者ではないですか。
　それとも、猟兵と読んだ方が良いのでしょうか。
　まあ、何方にしても……斬新に、残酷に、鏖殺してあげましょう。


　皮と骨と肉、蝕されたならば同一か。
　一寸先の色すらも解せないならば、視力の喪失を意味する。
　靄だ。思考に靄が垂れている……。
　爆発したバスの成れの果て、｜飛沫《しぶく》かの如くに血肉を叩いたのは鉄球の女か。ブレイズゲートに囚われていた女は『無数』となり、一心不乱、何者かの為の『ひとつ』を追い求める。即ち、サイキックハーツに到達したとしても、尚、味わう事の出来ない斬新な殺しの方法。その足掛かりとして、新たな第一歩として始めたのが『バズガス爆発計画』である。……そこの猟兵、アンタが私達の邪魔をするって謂うなら、より斬新な殺し方を魅せてほしいわね。成程、唐突に始まったのは『入社の為の面接』だろうか。だが、猟兵よ。オマエには入社する所以も、志望動機も、殺人動機もありはしない……。久しぶりに容赦なく殲滅出来そうな連中だわ。いいでしょ、さっきみたいなお愉しみは、お戯れは『ない』みたいだし、さっさと｜灼滅して《かたづけて》あげる。早速ですが、当社を選んだ理由をお聞かせください――奇行にも程がある。話を聞かない上司などこっちから願い下げだ。
　バスガス爆発が古臭いと、時代旧れだと嘲笑するのは結構だが、連中の『鉄球』も摩耗する程度には『斬新』とは謂えない。故に――その天狗の鼻をへし折るのには、それこそ、赤子の手をひねるほどの頭脳も不要だ。しとしと、しとしと、何かしら『あかい』ものが肌を濡らす。いや、濡らしているのではない。溶かしているのだ。血の池地獄の凄まじさすらも、紅蓮地獄の耐え難さよりも、絶へと導くかのような、色――なるほど。斬新コーポレーションの『社員』として『採用できそうな』実力は持っているようね。だけど、それだけじゃ『斬新』とは謂えない……？　鉄球を構えている化け物を相手に、あえて『肉薄』を選ぶとは新しい。度胸は買ってあげる。遠慮のない｜鉄拳《こぶし》が飛んできた。
　術式に頼ってると思われるのは心外だわ。蝶のように舞い、蝶のように屠る。言葉での表現は容易だが『それ』を成すには相応の努力がいる。つまり、猟兵、オマエは斬新さでも技量でも『あれら』を凌駕していると謂うワケだ。噂に聞く斬新社長がいるのかと思ってたけど、下っ端の社員連中か。な……！　私を、下っ端扱い……。だって、そうでしょう。この程度の攻撃で『手も足も出ない』んだからね。
　後の事を考えると遊んでいる暇はない。要するに、あなたたちは用なしで、さっきの子たちの方が斬新だったってことね。一足先に骸の海に沈んでてちょうだい。
　ぽきりと、何かが拉げる音がした。
　社員の命か、或いは、精神……。

成功 🔵​🔵​🔴​

　頭蓋骨を割ってみなければわからない。
　暴れて跳ねる脳髄の行方を教えてくれ。
　――可愛いにやられた都市伝説どもの二の舞。
　楽しい事がしたい。面白い事がしたい。考えるよりも先に行動に移すタイプ。成程、動画撮影の『モデル』にはもってこいか。元気溌溂なオマエに対して斬新コーポレーションの社員がとった『勧誘』は、まるで詐欺紛いな文句だった。そこのアナタ、アナタなら、きっと我が社の発展に貢献してくれるでしょう。如何ですか？　私達と一緒に殺人をしてみませんか？　いや、詐欺ですらない。詐欺師なのであればもう少し、真面さとやらを、正気っぽさを演出しても好い筈だ。……お断りだよ！　私は猟兵で、あなたはオブリビオン。それに人殺しだなんて、逆立ちしたってやらないよ！　そうですか。でしたら、仕方がありません。アナタには今すぐ動画のメインになってもらいましょう。拳――鉄球――を構える彼女等、嗚々、猟兵よ。オマエは如何様な埒外性で迎えるのか。シンプル・イズ・ベスト。力こそがパワーで在るならば、より『重たい』ものを得物とした方が宜しい。
　打出の小槌を彷彿とさせる、｜女の子《二十歳》には似合わない得物だ。ほう……ハンマーですか。それも、只のハンマーみたいですね。いけません、それでは斬新さの欠片もありませんよ。実技試験は不合格みたいだ。良かったよ、しつこく勧誘されるのは嫌なんだよね。質量同士の激突だ、一撃一撃が重たい『もの』同士の殴り合いだ。鉄球が双喜を、双喜が鉄球を、真正面から受け続ける……。いっけー！　突如として降り掛かってきたのはすっごいパワーだ。あらゆる物質を透過し何を潰したのか。皺くちゃだった灰色のぐちゃぐちゃ。痛みも痒みもなく、オブリビオン、星屑の如くに斃れ臥した。
　――プディングを作るのは得意なんだよね。
　……ぷっちんする方かな？

成功 🔵​🔵​🔴​

　黴→餅

　妖しげな言の葉を手繰れ、終点の有無すらも把握し難い。
　キリギリスの四肢を握り締め、引っこ抜いたのは働き蟻か。気が付いたならばやってきた冬季、闘気を漲らせるかの如くに振る舞えば上出来と謂えよう。まったく、何処までも斬新でド派手が大好きな連中だ。バスがガス爆発するだけでもおなかいっぱいだと謂うのに、バズがガス爆発するとは想定外か。まあ？　あたしパラディンですから？　文明開化を謳う為に、新鮮な空気を吸う為に、頭蓋骨を穿るだなんて間違っている。では、当社を選んだ理由を簡潔に教えてください。これが最後の質問となります。唐突に始まった面接ごっこ。成程、如何しても彼女等は雫のような、一滴のような『闇』がお望みらしい。……そんなにあたしが欲しいんだね。でもでも、あたしはそんな給料じゃ靡かないし、ブラック企業どころか真っ赤っかじゃないかな？　ギリギリな戦こそがスリリング。しかし、これでは、一方的な殺戮へのご案内だ。何よりも常識的な奇人変人、人間がいなくなったら好奇心を満たせやしない。幾ら木乃伊取りが木乃伊になりたいと謂っても限度がある。ま、パパッと片付けてご当地飯でもいただこうかな？　怪人がいないと知っていての返答だ、不合格である。
　斬新な思考の持ち主ではありますが、斬新な殺しには興味がないようですね。では、来世に期待しましょうか。雨霰が如くに押し寄せてきた鉄球、嗚々、幾ら埒外で在ろうとも、この殺意には骨が折れそうだ。……じゃあ、賭ける？　何を賭けるのかと問われたら『命』だ。ただし、賭けられたのは相手の『もの』とも解せよう。しゅびん、と、肌を抉るような、肉を柔らかくするような、｜蚯蚓《ウィッチ》。くるくると宙を舞っているのは帽子か。身軽になったあたしの攻撃、躱せるものなら躱してみてよ。……社長の｜斬新さ《ダイダロスベルト》よりかは真面ですね。ですが……私達を殺すには、十分でしたか。
　――縛り頸か、駿河の問いか、或いはバス停とのご挨拶。
　……その、バス停でしたら、平均点をあげましょうか。

成功 🔵​🔵​🔴​

　委員会、多数決をするほどの人数はない。
　人数だけで考えたならば彼女等の方が『多い』だろうか。
　バスとバズの連鎖だ、この企画に送られたのは喝采である。
　哀れなほどに、おぞましいほどに、斬新の二文字へと執着するサマは妄葬が如く。真っ白い炎に囚われて、骸の海に呑み込まれ、只、狂ったように殺人を犯すサマは常の通りか。空回りして往く六六六人衆の衝動、その慟哭めいた有り様は誰にとっての恵みとなるか。……斬新コーポレーションの支部長さんか。道理で……おかしな殺し方だと思ったよ。ほう……混じり物ですかね？　古い物と新しい物の両刀と謂うのは疲れるでしょう。如何ですか？　貴女も斬新な殺し方に執心なさってみては？　オブリビオンが斬新さを追い求める。世界を「過去」で埋め尽くさんとするものが、発想が独特で、それまでに類がないほど新しいものを求める。いや、その情念に「思うところがない事もない」んだけど……。態々本心を、本音を垂れ流す必要も無し。気が付いたら石板、名を刻まれるなんて洒落にならないか。早く黒幕のところに行きたいし、手早く始末させてもらうよ。まったくバズりそうにもない早業か。スロー再生を試みたとしても『視えない』とは、いっそ写真にすべきだった。
　鏖殺するのに必要なのは『巧妙さ』である。
　誰の技を模倣したのか、誰の領域を真似たのか。空間を縫い合わせ、隔絶したならば密室よりもインスタントな埒外性の発動。それは……斬新さの欠片もありませんね。社長が見たら発狂するかもしれません。それじゃあ社長に言っといてよ、殺しに斬新さは必要ないって。なんなら、その身を以て教えてあげようかな？　そんなにも大きな鉄球じゃあ葱を背負った鴨、振り回せば振り回すほどに絡め取られて終うものだ。なら……もう片方の｜鉄球《うで》で……！　大振りな一撃など、渾身を偽る事なければ躱すのも容易か。正直、思った程上手くはないんだけど……アナタには『これ』で十分だよ。接合部分を切断すると宜しい。止血の方法を奪ってやれば、あとは、蒼白するのを見守るだけか。
　……蟲毒をするには邪神が足りないよね。

大成功 🔵​🔵​🔵​

　口先だけでも十分やれた。社会人経験豊富な相手のクセに、随分と騙され易い。いや、確かに。奇行にご執心な連中と考えればこの最期も納得か。
　鉄球の重さを味わう必要などない。
　斬新さに胡坐をかいていた彼女等への罰だ。
　バスガス爆発――古臭い早口言葉に興味などなかったが、これが『バズガス爆発』となれば話は変わってくる。施すよりも施されたいお年頃なのだから流行には敏感で在るべきだ。なかなか、あたし好みの『殺人方法』だね♪　あのさ、その企て、あたしにも『噛ませて』くれないかな？　堂々とした裏切り行為ではないか猟兵よ。勿論、悉くは寝首を搔く為の虚言なのだが、如何にもオマエは嘘を『本当』に見せかけるのがお上手な様子だ。これは……そうですね。特別に『実技試験』は免除しておきましょうか。その殺意、本物のようですし、取り敢えずは社長とのお話から……。時代はSNSだ。支部長がスマートフォンを取り出し画面に集中し始めたところで『影』を作る。無意識の内に路地裏へと誘い込む。……そんなに夢中になっちゃって、不注意なんだから。何処に目を付けているのかと問われたら真正面だ。ブルーライトの嘲笑がオブリビオンにぶっ刺さる。社長から連絡が来ました。この先にあるファミレスで今後の……？　油断は大敵だって謂うのにね。後頭部に強烈な一撃だ。不意に蹴りをやられたならば、嗚々、立位を保つ事すらも困難と解せよう。
　な……なぜ……。殺意が本物なのは、真実なのは当たり前だ。目の前の『女』を殺さなければ『猟兵としての仕事』など遂行できない。支部長さんの何もかも、根こそぎ、私が持ってっちゃうよ。隙を晒した愚か者の末路、折れたのは骨だろうが、これは物理的に違いない。ぐ……己、猟兵……斬新な殺し方にこそ未来があると謂うのに……。何を謂ってるのかな。人は死んだらそれでお終いだし、支部長さんも同じことだよ。
　白い炎からの解放、骸の海へと消えていくのか。

成功 🔵​🔵​🔴​

第3章 ボス戦 『96位ガス人間一八七号』

POW   :    ガス密室 レベルｍまで伸縮する【ガス状の体】で対象を捕縛し、望めば【発火現象】と【ガス中毒】による継続ダメージを与える。 SPD   :    密室ガス爆弾 【戦場に散布したガス状の体に着火すること】で【超高威力のガス爆発】を発生させ、レベルm半径内の対象全てを攻撃する。連続で使うたび命中力と攻撃速度が上昇。 WIZ   :    ガス爆弾 自身の身体部位を切断し、（レベル×切断部位数）ｍ半径内の全てを爆破する【ガス爆弾】に変換する。 イラスト：スダチ 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

　斬新さを追い求めた結果が地獄のような光景である。
　バスもバズもガス爆発していた所以、それ即ち怪奇であった。
　高層ビルが見える。いや、高層ビルだった『もの』が見える。ビルの中にはたくさんのエスパーが存在していた事だろう。通常攻撃を無効化している彼等、彼女等は生きているのか。否だ。何故ならば、高層ビルだった『もの』は｜六六六人衆《オブリビオン》のユーベルコードに依って｜爆発《そう》されたのだから。何が聴こえるのかと問われれば殺意だ。莫迦みたいな、阿呆みたいな、猟兵を震え上がらせるほどの、殺意――。
　惨事を見上げていたのは元凶である。何処かの世界の学生を彷彿とさせる『それ』はぐるりと『きみ』を認めていた。殺人鬼、或いは六六六人衆である場合は『本能的に』気付けても良いだろう。あれは｜上位《ハンドレッドナンバー》だ。それに加えて｜巨大密室殺人鬼《コルドロン》だ。世界規模の｜巨大密室《コルドロン》を発生させる、化け物の中の化け物だ。おそらく――ハテナみっつも気に入るほどに。
　選ぶであります。
　爆死するか――中毒死するか！
　この96位が貴殿等を殺してみせましょう！


　ひどく力の強い一刀だった。
　まさしく、経路を見破られていた瞬間。
　異常なまでの、膨大なまでの殺意を受けたが故、対応できたのだ。
　今、倒れているのはオブリビオンである……磔にされた罪人への贈り物……串刺しの刑……。
　何処かの悪魔が『曰く』を語るのであれば、あの女は気紛れで世界を滅ぼさない「なんてことは」ない、か。六六六人衆とは存在しているだけで厄災であり、その本性は文字通りに獣の数字と謂えよう。それに加えて此度のお相手は――｜二桁《ハンドレッドナンバー》か。嫌な予感しかしない。もしも、仮に猟兵が敗北してしまったら｜世界《サイキックハーツ》はカタストロフを迎える事なく｜爆死《ほろ》ぶだろう。幾らエスパーが存在していたとしても、灼滅者が存在していたとしても、一歩でも遅れたら幕引きなのだ。もっと早く来ていればあのビルもどうにかなったのに……。そう思うと、そう考えると、頭を抱えずにはいられない。やりきれないし、度し難いわね。せめて、あそこにいた人たちの分まで、あなたに怒りをぶつけて灼滅する……！　ほう、その意気やよし！　たとえ相手が誰であろうと確実に、絶対に、爆殺するのであります！　言の葉だけでは猛者同士の闘争。まるで何処かの世界の一騎打ちだが――性質は足掻いても『闇』であった。勝負よ、九六位！　切り離されたのは首である。絞殺も惨殺も、一八七号にとってはお遊びでしかない。
　ふるべ　ゆらゆらとふるべ――怪奇ガス爆弾人間。九六位を簡潔に表現するならば『こう』だ。自身を火種にして、火薬にして、｜巨大密室殺人《コルドロン》を『完成』させる。故に、猟兵にとって『これほど』まで｜相性の良い《●●●●●》オブリビオンはいなかった。ガスがあり、着火しないとガス爆発は起こらないわよね。その着火という｜概念《ちから》自体を……！　二桁が地に縛られる、落とされると謂う沙汰だ。たとえ殺人動画をバズらせようと、たとえガスを充満させようと――神の掌の上では踊る事すらも赦されない。ちっ……面倒な……だが……ユーベルコードを封じた程度で『殺せない』なんて事はないであります！　油断は出来ない。油断するなんて気持ち、欠片も抱けない。領域がなくとも、技芸がなくとも、殺しこそを呼吸としている連中に――｜軍刀《えもの》を抜かせたのは失態だろうか。
　吶喊ではない。九六位の殺人の腕は、それこそユーベルコードに匹敵する。急所を狙うのは勿論だが、あえて躱し易い『振り』も混ぜてきた。如何に応戦すべきかと迷っている場合すらもなく。嗚々、薙刀、今度は此方が踊る番なのだと告げてやれ。紫色の蝶々が殺意を御さんとした。さあ、これで『トドメ』よ。あなたは強いのかもしれないけれど、あたしが、あたしたちが、殺し返してみせるわ……！
　心臓を貫け――彼等、彼女等の無念と共に。

成功 🔵​🔵​🔴​

　最初に吹き飛んだのは腕だろうか。
　違う。指だ。とてもキラキラとした、指だった。
　｜巨大密室殺人《コルドロン》――寿司詰めにされた死体どもが、死骸どもが、最初に味わい尽くしたものは『孤独』である。成程、確かに私達は、僕達は、家族や友人に愛されていた。だけれども、死に絶えた今では、肉の塊すらも残されなかった今では、獣に喰われるだけのフレッシュに過ぎない。さて、いったい、誰の孤独こそが最もおぞましいのだろうか。いったい何者の孤独こそがおそろしい末路なのだろうか。何かを諦めたかのように、何かを手放したかのように、中途半端に――手を掴もうとした。だが、如何だ。世界は何処までも、彼方までも無情である。幾ら情念を積み重ねようともガスとやらに阻まれるのみ。あの人は『どう』口にしていただろうか。今日を明日に変える事さえ欲望だよ――？　だったら、そう、降らせるべきは粉雪だ。絆を冒してきた化け物とやらを舐るように焚き憑けると宜しい。
　六六六人衆は――ハンドレッドナンバーは――しっかりと、猟兵を爆破したのだ。断末魔動画も殺人動画も、繰り返し繰り返し、視聴したのだ。では、この、埒外的に出現した、ひどく『生温い』焔は如何様な地獄か。ガスが失せていく。いいや、ガスが崩壊していく……。無茶苦茶であります。先程まで、死にたくないと泣き叫んでいたと謂うのに、このような……！　窮鼠猫を嚙む、なんて諺が甘ったるく思えてしまう。手を繋いだのだから、握り締めたのだから、二人はまったく無敵である。よくも……よくも、やってくれたね。あなたは絶対に、中途半端で終わらせてなんか『やらない』から。高層ビルでのショッピングは本当に楽しかった。そうとも、邪魔をしてきた輩には相応の罰を与えてやれ。
　――死神でありますか。中々、悪くない最期ではありますね。
　塵芥すらも残さない、遺す必要性を感じない。
　元通りだ。一切合切が、修復されている。

成功 🔵​🔵​🔴​

　地を濡らした赤、期待をしてはいけない。
　人類の進化――その最果て、神の敷いたレールより外れる行いこそ最も冒涜的なのではないか。そんなふうに考える聖職者も、そんなふうに思っている愚か者も、現在、悉くが掌を返しているに違いない。禁断の果実を舐り、齧った人類にとって神からの罰はひどく大きなものであったのだ。故に、この超越的な開拓は神からの詫びとして受け取っておくのが悦ばしいか。まるで歓喜、奇々怪々とした爆発音に嫌な気配を覚えたオマエはいったい『なに』と邂逅したのか。よう、お出ましだな？　神と怪物のハイブリッドよりかは幾らか『マシ』かも知れねえが……殺しを娯楽と思っている時点で、神敵必滅ってことだぜ。まさか、｜一八七号《わたし》の為に祈っているのでありますか？　それとも、先程爆死してくださった彼等の為……？　何方にしても滑稽な灼滅者でありますな。主義主張を聞くまでもなく、｜六六六人衆《わたしたち》の存在は理解しているクセに……！　別に？　一応ってだけの話さ。たとえ何が相手だったとしても『警戒』しすぎるなんてことはないんだぜ……？　目には目を歯には歯を、殺意には殺意を。獣の数字を倣うとは、それこそ冒涜かもしれないが――真っ向から『死』に挑むのも、実に、灼滅者らしくて悪くはない。
　神は縛り付けるのを好いていない。だからこそ、互いに石を投げ合えるのだ。爆破に次ぐ爆破、その只中、掠奪された酸素を求めようとも『しない』とは、ヤケに諦めが早くはないか。貴殿……勝負を棄てたでありますか？　なら、容赦も躊躇もなく、爆殺するのであります！　へっ……オレがサングラスをしている理由、知らねぇよな？　オレ自身の｜光《ユーベルコード》への対策だぜ。もっとも……今回は、目を保護する為の道具でしかねぇがな。手にしているのはナイフだ。腕さえ千切れなければ、オマエは殺人技芸の虜として振る舞う事すらも可能――近付けたぜ、ハンドレッドナンバーさんよ……。信仰は揺るがない。ロンギヌスの物真似は完璧であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

　アンニュイさを隠せてない。
　影に映ったより濃い闇、感染するにしても肉がないか。
　霊験あらたかな回転と共にやってきたのは雨雲だろうか。まるで世界の中心にでも起立しているかの如くに、自分自身こそが台風の目だとでも宣っているかの如くに、猟兵は『ここ』に存在していた。このあと用事があるんで、さっさと地獄へ堕ちるッス。また随分と呆気ない、拍子抜けするかのような声色だが、その精神は裏切り者の凍結へとさまよっている。……何でありますか？　もしや、生死を賭ける事に脅えがないとでも……？　そりゃあそうッスよ。なにせうち、一回死んでるッスから……。息絶えても尚、轢殺されても尚、エクトプラズムに首を垂れるとはおぞましい｜猟兵《やつ》だ。いや……それはお互い様ッスよ。あんたもオブリビオンとして復活してるッスよね。輪廻転生、そんな旋回にすら辿り着けなかった魂同士、正々堂々と背比べと洒落込むと宜しい。ま、これも一種のゲームみたいなものッスね。だからと謂って他人を巻き込むのは如何なものかと思うッスけど。おお、度し難い。形容し難い惨状だ。溜まりに溜まったガスを湿らせて終え。な……何……こんな都合のいい雨なんて……まさか、ユーベルコードでありますか……！　雨女の悲しい悲しい運命だ。艶々とした、しっとりとした宿命に獣を巻き込んでやれ。
　神の怒りの色とは何か、今更、考える必要性などない。塔を崩したのは、バベルを壊したのは紫色の｜雷《やり》である。ちいっ……着火も赦されないとは想定外であります……。ポチる時間も無さそうだ。カードでのお支払いも不要な『手持ち』で切り抜けるのが好ましい。まったく、冒涜的な連中はこれだから面倒なのよね……。不意に訪れた真剣モード。懲らしめるならばお縄、ハングドマンのお戯れが最適だ。
　幽霊学生の仲間入り。……うちとしては、お断りッスけど。
　中毒死ではなく窒息死をお届け、印をお願いしておこう。

成功 🔵​🔵​🔴​

　ひび割れ、砕けたバベルの末路については波のように知っていた。いや、正確には波とやらに晒された『だけ』なのだ。真理の所以を、真理の正体を、未だ理解し証明する事など出来ないが――真実だけは仰ぎ見る事が出来た。ジッと、ジィッと、地獄を見つめる。そうとも、これが地獄の前兆なのであれば、妄想――等活地獄の鬼の真似事が相応しいか。……爆死。そう、爆死だ。爆死か中毒死だ。選択肢が『ある』だけ猟兵は幾等かマシな方だ。爆死でいいよ、ワタシへの殺し方は……。その代わり、そっちも選んでくれる？　悦ばしき哉、聖なる哉、獣の数字に叩きつけられたのは阿鼻への片道切符だ。凍って死ぬか、感電して死ぬか、呪われて死ぬか、撃たれて死ぬか……。良い殺意であります！　流石は猟兵、灼滅者とはまた違った『もの』を感じ……？　いえ、これは……何方も混ざって……。好物には好物で返すと良い。神も仏も光も闇も、自らの罪を濯ぐ為には結果が必要だ。何を選ぼうが、何を望もうが、ワタシがアナタを殺す事に変わりはないけどね。貴殿、六六六人衆で『も』『在る』のでありますか！　ならば、この96位、奪ってみせるであります！
　そのような数字に拘っている場合ではない。高層ビルだった『もの』に潰された彼等彼女等の『うらみ』を籠めるかの如く、ひとつひとつをゆっくりと装填する。な……莫迦な……その殺意……。息を吞むのは、口腔が渇いていくのは其方さんだ。鏖殺領域に引きずり込まれ――嗚呼――たとえ模倣だとしても、抗い難い死への墜落。う、嘘であります。ただの、生命の埒外程度が『第１位』の殺人技芸を……！　謂ったよね。何を選ぼうが｜結果《●●》に変わりはないって。恐怖だろうか。違う。狂喜だ。目と鼻の先に殺人階位の高みへの切っ掛けがある。ならば――ガス爆発しなくて、何が六六六人衆か。
　外も内も大惨事だ。大惨事だと謂うのに、猟兵は倒れない。斃れもせずに、冷ややかな獣の口を……銃口を……向ける。凄まじいほどのホーミングだ。もしも、オブリビオンが銃弾を躱せていたとしても穿たれていたに違いない。は……ははは……これは、最期に良い『もの』を貰えたのであります……！　四肢が凍りつくと同時に臓腑が痺れ、動きを封じられたところにお呪いだ。骸の海が呼んでいる。感謝されるつもりはなかったんだけどね。
　いいねの数は0だ。
　故に、拡散される事もない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2024年11月24日