【今治市解放戦】蜘蛛屍舞踊
●無限繁栄、再び
グリモアベース。
「シルバーレインの世界でまた新たな事件の予知が見えたんだ。皆の力を貸してほしいんだけど、いいかな?」
集まった猟兵達にぽっちゃりとした鈴鹿・小春(万彩の剣・f36941)というクルースニクがそう呼びかける。
「今回事件が起こるのは広島県の広島市で、どうにも多数のオブリビオンが集結しつつある状況にあるみたいなんだよ。予知で見えた感じだとこのオブリビオンの集結は単一の軍勢じゃなくて、複数のボスオブリビオンの勢力が広島市を支配するために手を組んで其々の配下を集めてるみたい。だから広島市を解放するためにこの大軍勢と戦って退けないと駄目なんだ」
けれど問題がある、と小春は語る。
「ボスオブリビオン達なんだけど、どうにも本陣としてる場所を遠く離してるみたいで同時攻略することはまず不可能、片方が負けたらもう片方は都市から撤退するから今回倒せるのは片方だけだね。まあまた何かやろうとしたら予知に引っかかるだろうし、今回は広島城に陣取ってる『朝比奈・瑞貴』って東北土蜘蛛のオブリビオンを倒すことに集中してほしいんだ」
そう小春は言って、今回の作戦内容について説明を移す。
「街の中は鉄鼠……朝比奈の影響によって土蜘蛛っぽく蜘蛛の足を追加で生やしちゃってるのが大量に暴れてる。それらをさくっと蹴散らして蜘蛛童型の鉄鼠を指揮している『帯刀・圭吾』のところまで向かうのが最初の目的になるね。この二人は銀誓館の能力者なら知ってる人もいるかもだけど、東北土蜘蛛の女王とその巫女だよ。見えざる狂気……かはともかく朝比奈は重責とか立場で性格が歪みに歪んだと言われてる。どうにもオブリビオンとなって明確な意志は見せなくなってるけど無限繁栄に似た力で支配領域を広げようとして、帯刀はそれをサポートしようとしてる感じみたい。どちらも軍勢従えて戦おうとするから上手くそれら捌いて攻撃叩き込むよう備えておいた方がいいかも」
そう小春は説明を終えて、懐中時計のグリモアを懐から取り出し転送の準備を開始する。
「ちょくちょく大変な事件は起こってるけど、一つ一つ確実に解決していかないとね。大変な戦いになるかもだけど……皆ならきっと大丈夫」
それじゃ頑張ろうね、と前向きに小春が締め括れば、金色に縁どられた懐中時計のグリモアが光り輝く。
そして、猟兵達は蜘蛛足の鉄鼠が徘徊する広島の街へと転送されたのだった。
寅杜柳
オープニングをお読み頂き有難うございます。
湿度が高すぎる。
第一章は朝比奈・瑞貴の影響を受けて蜘蛛足を生やした『鉄鼠』との集団戦になります。
街のあちこちに大量にいますが猟兵の接近を感知すると一斉に襲いかかってくるようです。
第二章は無限に現れる蜘蛛童型型鉄鼠の軍勢を指揮している『帯刀・圭吾』との戦い、第三章は『朝比奈・瑞貴』との決戦になります。
第二章以降はそれぞれ断章で状況説明を追加致しますので、そちらをご確認下さい。
それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
第1章 集団戦
『鉄鼠』
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POW : 大鉄鼠顕現
自身と仲間達の【キャバリア肉体と呪的エネルギー】が合体する。[キャバリア肉体と呪的エネルギー]の大きさは合体数×1倍となり、全員の合計レベルに応じた強化を得る。
SPD : 必殺前歯
レベルm半径内の、自分に気づいていない敵を【鋭く尖った前歯】で攻撃する際、ほぼ必ず狙った部位に命中する。
WIZ : 鼠算
レベル×5体の、小型の戦闘用【鼠型妖獣】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
イラスト:桜木バンビ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
儀水・芽亜
今度は今治市解放戦の歴史再現ですか。舞台は広島市内と。それなら、最初のステージは紙屋町交差点にしましょう。
まずは蜘蛛脚鉄鼠の群ですね。集まってくるなら話は早い。一網打尽にしてくれましょう。
竪琴の「楽器演奏」「歌唱」「全力魔法」振動の「属性攻撃」「範囲攻撃」「音響攻撃」「衝撃波」でブラストヴォイス。
市民の皆さんは世界結界の効果で建物の中にいるでしょうから、巻き込まないはず。
さあ、鉄鼠ども。私目掛けてどんどん突っ込んできなさい。片っ端から粉砕しますよ。
「戦闘知識」で不意打ちされないよう自分の死角を「見切り」、細かくステップを踏んで交差点の中央でダンスを踊って。
まあ、接近されなければ大丈夫でしょう。
●大通りに踊り歌う
広島市。
世界結界の作用により妖獣ひしめく屋外に一般人の姿はなく、蜘蛛足を生やした鉄鼠の群れが禍々しい呪力を撒き散らしながら大通りを我が物顔で疾走している。
「今度は今治市解放戦の歴史再現ですか」
転移してきた儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『|夢可有郷《ザナドゥ》』・f35644)は|白馬《ナイトメア》に騎乗し、過去の戦いを思い出しながら市内を移動していく。
かつての戦争ではサーチャーとして腕を鳴らしていた彼女が彼女が戦場として選んだのは本通り近くの紙屋町交差点、広島駅と己斐、広島港と広島城方面へ分岐する拓けた場所だ。
電車の来ない交差点の中心へと飛び込んだ芽亜を獲物と鉄鼠の群れは鋼鉄の頭部を彼女に向け、蜘蛛脚を蠢かせて殺到する。
だが、向こうから集まってくるなら話は早い。簡素な竪琴『Playland In Sleeping』を爪弾きながらインカム『夢+夜』に向けて、叫ぶ。
「――コワレロ、世界!!」
竪琴をかき鳴らしながら発動させたのはフリッカースペードのアビリティ、それをユーベルコードへと昇華させた【ブラストヴォイス】の大音声が首にかけたアリアデバイス『ムジカ・マキナ』により増幅されて交差点に響き渡る。
増幅されていることを踏まえても人間の声帯から出るとはとても考え難い絶唱、それは群れ集った蜘蛛脚の鉄鼠達に容赦なく響き振動させ、周囲158メートル内の妖獣の肉体を無差別の高破壊力で一網打尽に破壊していく。
反撃に芽亜に襲いかかろうと鉄鼠は加速するが、この交差点は非常に見通しがよい。死角から襲いかかろうにも隠れ忍び寄る事はできず、不意討ちを警戒して交差点の中心で踊るように細かなステップを踏んで周囲へと視線を巡らせる芽亜にその前歯を突き立てる前に破壊の絶唱にその身を砕かれていく。
――さあ、鉄鼠ども。
「私目掛けてどんどん突っ込んできなさい。片っ端から粉砕しますよ」
不敵に微笑みながら、芽亜は群れ集う蜘蛛の鉄鼠達を消滅させていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ラムダ・ツァオ(サポート)
ラムダよ、よろしく。
戦闘なら足と手数で勝負するけど、周りに合わせて臨機応変に動くわ。
見切ったり残像を残すように動いたりと、避けるのには多少の自信があるわよ。
集団戦なら死角を減らすために数を減らすのが先決、
あとは一緒に戦う人がいればその人次第かしら。
行動指針としては以下の3通りが主。
1.味方の死角にいる敵を優先して片付ける。
2.範囲攻撃を行なえる味方がいなければ範囲攻撃優先。
3.数を減らすため、止めをさせそうな相手を狙っていく。
台詞回しや立ち位置などは無理のない範囲でご随意に。
ユーベルコードは状況に応じて使い分けます。
アドリブ・連携歓迎
●黒刃閃き幻影踊る
市内を駆け回る鉄鼠の群れが、紙屋町交差点に向かっていく光景をラムダ・ツァオ(影・f00001)という褐色肌のエルフは交差点にほど近い本通りのアーケード上から観察していた。
「まずは数を減らすわ」
現在交差点で戦っている猟兵が得意とするのは範囲攻撃、されど数が多すぎれば対処できなくなる危険も否定できない。
これだけの数が集まってくるなら優先すべきは敵の数を減らすこと、これだけ遮蔽物の多い都市であるなら斥候としての戦い方を得意とするシーフにとっては非常に戦いやすいだろう。
蜘蛛足蠢かせ走る鉄鼠の一体に狙いを定め、アーケードから飛び降り奇襲、鋼鉄で覆われていない妖獣の背に黒刃を突き立て仕留めて、同胞を倒された怒りでラムダへと他の鉄鼠が襲いかかろうとする。
「映せ」
されどラムダはユーベルコード【幻影少女】を起動、黒き刀身に襲いかかる鉄鼠を映し出して、この妖獣が愛おしく思うーーこの地に鉄鼠を呼び寄せ指揮している土蜘蛛の巫女の青年の幻影に破魔の弓で攻撃させ、前歯攻撃を阻んだ。
一体、また一体、速やかに仕留めラムダは周囲の街並みに溢れる遮蔽物に身を隠しながら包囲されないように素早く移動し場所を変えていく。
そしてまた別の場所で、交差点へと向かい集ってくる鉄鼠に刃を突き立てつつ身軽に反撃を躱し、その数を順調に削っていくのだった。
成功
🔵🔵🔴
柳・依月(サポート)
俺は柳依月、UDCアースの大学生だ。……だが、実は人間じゃない。妖怪だ。それでも俺は人間が好きで人間と共にある。彼らの日常を守る為、てのが俺の戦う理由になるのかな。
戦闘時は基本仕込み番傘での近接戦だが、中長距離や支援に回る時などは呪髪糸や禍魂による呪いなんかも使用する。
非戦闘なら情報収集が得意だ。主にネットだが、聞き込みとかもする。【化術】も得意だからな。
以下PL
ギャグ系の状況でもノリはいい方です。
UCは指定した物をどれでも使用し(詠唱ご自由に)、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
●小人の怪異と鉄鼠算
広島港方面から国道191号線を通り、呪的エネルギーを放出しながら蜘蛛の脚を生やした異形の鉄鼠の群れが北上していく。
妖獣達が平和大通りに差し掛かり、そこに停止していた市電の中から一人の青年がゆらりと姿を現した。
「……一般人が出てきてないのは助かるな」
周囲を確認しながら和洋折衷の独特な装いの柳・依月(ただのオカルト好きの大学生・f43523)という青年は思考する。
この世界特有の世界結界は、常識を歪めるような出来事から一般人が無意識に遠ざかるようにする。妖獣が屋外にひしめいているならば何故か外出する気が起きず屋内にいる、といった風に作用しているため、今のところ惨劇は起きていないようだ。
しかしそれも時間の問題。妖獣の軍勢が直に屋内の一般人の殺戮にかかる前に、この街を妖獣とそれを統率するボス達の魔の手から解放し、人間達の日常を守るために戦う。
現れた猟兵に鉄鼠の群れは一斉に鼠型妖獣を大量に召喚、一体が数百を召喚して大通りは鼠型妖獣にあっという間に埋め尽くされていく。
だが依月は普段のペースを崩さずに妖力を仕込み番傘に込めながらユーベルコードを起動する。
「さあて、君はこの悪夢から逃げ切れるかな?」
彼が起動するのは【怪異顕現:猿夢】、彼の影から現れる954体ものぼろきれを纏った小人――半年ほど前の三次市での戦いから200体以上増えたそれらは、蜘蛛の形質をもつ鉄鼠の群れへ襲い掛かる。
対する鉄鼠は鼠型妖獣を大量に召喚、それらは小人達に殺到し前歯を突き立て体当たりで弾き飛ばしていくが、小人達は傷を負いながらも即座に反撃にかかり凶器を妖獣に突き立ていく。力量的に小人は弱いが破壊されるまで攻撃を止めず、対する鼠型妖獣はそれなりに強いが一撃受ければ消滅するという脆さがある。
軍配が上がったのは多少の破壊もものともせず、自身が消滅するまで戦い続けた小人達。あれだけいた妖獣はすっかり数を減らし苛立たし気に鉄鼠本体が突っ込んでくる。
それにぼろきれの小人は恐れを知らぬかのように飛びかかり凶器を突き立てて弱らせ、そして音もなく依月が近づき番傘で打ち据え除霊、消滅させる。
とりあえず南から接近する群れは食い止める事が出来た。しかしこの事件の首謀者、そして指揮官が倒れた訳ではない。
「……早く倒さないとな」
決意を固めつつ、|新しい妖怪《ネットロア》の青年は北の敵の本陣へと向かっていった。
成功
🔵🔵🔴
鳥羽・白夜
おまかせでプレ送ってみます、使えそうでしたら。
(昔今治市開放戦にも参加していました)
元銀誓館の能力者。一度は能力者を引退、超常の日々を忘れ平凡に暮らしていたが猟兵に覚醒。過去の戦いの記憶も取り戻す。
口調は男性的(俺、呼び捨て、だ、だぜ、だな、だよな?)
日本名なら名字、外国人名なら名前呼び捨て。
面倒臭がりでアンニュイながら実のところお人好し。ただし敵は敵として割り切るタイプ。
トマトかトマトジュースが絡む時はテンションが上がる。
自身が吸血鬼であることには複雑な思いを抱えており血は好まない。
戦闘時は|起動《イグニッション》!しブラッディサイズを手に戦う。
UCは指定した物をどれでも使用、18禁NG。
●赤が降る
そして紙屋町交差点の東側、八丁堀交差点では東より押し寄せる蜘蛛足鉄鼠の大軍団を鳥羽・白夜(夜に生きる紅い三日月・f37728)が迎え撃つ。
「|起動《イグニッション》!」
能力者時代の戦いと同じくイグニッションカードを掲げ紅の三日月を連想させる大鎌を瞬時に出現させた白夜はかつての今治市解放戦をふと思い返す。
(「あの時は今治駅にまず乗り込んだんだっけな」)
今治市解放戦――東北土蜘蛛の朝比奈・瑞貴と上層部が見えざる狂気に侵された『天輪宗』、そして『揺籠の君』率いるゴースト軍団の三勢力と同時に戦う事になった戦い。
一度は失われていた超常の日々の記憶のひとつを思い返しつつ、広島駅や比治山下の方から無数に迫ってくる鉄鼠はその時の激戦を思い返させる勢いで、少々面倒ではあるが気合を入れねばならないだろう。
能力者としての戦いであるなら捕捉限界を超える数、逆侵攻阻止のように一方的に蹂躙されるだろう状況。しかし猟兵のユーベルコードはそんな限界をも超える事ができる。
白夜がユーベルコードを起動すれば、空より赤が嵐のように降り注ぎ始める。それはかつての戦いの時とはまた異なるヴァンパイアの力――ではなく。
「これ血じゃなくてトマトジュースだから安心しろ」
少々気分を高揚させながら彼がユーベルコードにより降らせるのは腥い血ではなく|トマト《大地の恵み》の嵐であった。
美味しく健康的なトマトジュースの雨として戦場全体の猟兵を癒すと同時、悪しき妖獣に対しては熟れ過ぎたトマトの塊が直撃してその勢いを削ぎ体力を削り取っていく。
外傷による血なのか潰れたトマトの汁なのか最早分からぬ色彩に染まった鋼鉄頭の妖獣鼠達は、止まぬトマトの雨に阻まれ西へ進む事も出来ず消滅していく。
埒が明かぬと術者である白夜に必殺の前歯を突き立てようと襲い掛かる鉄鼠、だが苦し紛れの突撃に気付かぬ白夜ではない。
冷静に白夜は見切りつつブラッディサイズの回転動力炉を唸らせ真紅の軌跡を残す鋭い斬撃で鉄鼠にカウンター、その胴体を呪力ごと両断し消滅させた。
――かつての戦いでは同時撃破は成らず、しまなみ海道を通り揺籠の君は逃走した。今回の朝比奈・瑞貴と手を組んだオブリビオンも同じように何処かへ逃げるのだろう。
それでもここで朝比奈・瑞貴は撃破する事はできる。この広島市を解放するために、白夜は紅き三日月の大鎌を軽く払うとトマト吹き荒れる大通りに新たに向かってくる鉄鼠たちに身構えた。
大成功
🔵🔵🔵
箒星・仄々
広島市を支配しようとされているのは
どんな理由なのでしょう?
理由はともあれ
ボスさん同士が手を組むなんて
由々しき自体です
何としても止めましょう
まずは鼠さん退治ですね
猫にお任せあれ
スイッチオンでリートを起動して
演奏開始です
魔力で音に込めるのは「殺鼠」の状態異常力です
蜘蛛足を生やしていても鼠さんですものね
水の魔力の静かな心と猫耳とお髭で攻撃を察知し
炎の魔力で身体能力を増幅してささっと避けながら
風の魔力で演奏を更に響き渡らせて
痛みに苦しむ妖獣オブリビオンさん達を
旋律と共に静かに海へと還していきます
例え大鉄鼠になられても
鼠さんならば状態異常力が効くはずです
一気に海へと導きましょう
演奏を続けて鎮魂の調べとしながら
圭吾さんの元へと向かいます
●黒猫楽士の鉄鼠狩り
(「広島市を支配しようとされているのはどんな理由なのでしょう?」)
市民球場跡地に近い相生橋を渡ってくる蜘蛛足鉄鼠の群れを迎え撃つ箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は、冬も間近な冷たい空気に軽く身を震わせながらこの事件の首魁の意図を思考する。
なぜ広島市を狙ったのか――かつて今治市を占拠し今治城の天守閣に陣取っていた東北土蜘蛛の二人であるから比較的近場で海に繋がる川が近い位置にある広島城があるから狙ったのかもしれないが、実際の所は不明だ。
彼らと手を組んでいる強力なボスオブリビオンについても情報が少なすぎて推測の仕様がないが――ともあれ、強力なオブリビオン同士が手を組むなど由々しき事態であり、何としても食い止めねばならない。
それを阻止する為にはまずこの鉄鼠を退治せねばならないが、
「まずは鼠さん退治ですね。猫にお任せあれ」
ネズミ退治に気合を入れる小柄な黒猫は鉄のネズミ妖獣の群れを前に手慣れた動作で懐中時計をワンタッチ、蒸気機関式竪琴『カッツェンリート』を展開して、ぽろろんと弦を弾きメロディを奏で始める。
広い道路に響き渡る音色――鉄鼠の頑丈な金属の頭部に響き渡り、途端に鉄鼠は苦しみ始めのたうち始める。
本来妖獣は常に激しい苦痛に晒されている存在であるが、今回の彼らに襲い掛かっているのは魔曲に籠められた魔力、仄々の【トリニティ・エンハンス】により強化された状態異常力による『殺鼠』の力だ。
(「蜘蛛足を生やしていても鼠さんですものね」)
当然鉄鼠達はそのメロディを苦痛の元凶と看破、数十体もの仲間たちと寄り集まり呪的エネルギーを媒介にキャバリア肉体を合体させ一匹――いや一頭の十数階建ての百貨店の屋上にすら届く程の超巨大鉄鼠へと合体する。
道路の幅ほどもある巨体を震わせ怒り狂った巨大鉄鼠は仄々を踏み潰さんと襲い掛かるが、水の魔力により心を落ち着かせた黒猫は耳と猫の髭をぴくぴくさせて攻撃を見切りつつ、炎の魔力に強化されぽかぽかする体でさっと走り、前足を躱しつつ鉄鼠の巨体を駆け上がっていく。
身軽に駆けながらも竪琴を奏でる手は止めない。一つ弦を弾けば風の魔力により広く遠くに広がって、編まれる殺鼠の旋律は巨大鉄鼠の全身に遍く響き呪的エネルギーによる結合に結ばれた鉄鼠一匹一匹を一気に、静かに骸の海へと還していく。
頑丈な頭も意味をなさぬ旋律に超巨大鉄鼠を構成する鉄鼠達は次々と力尽きて、そして最後の一体が動きを止めれば、超巨大鉄鼠は最初から存在しなかったかのように跡形もなく消滅する。
後に残るは静かになった大通り、着地を決めた仄々は鎮魂の旋律を奏でつつ東の交差点、そしてその北へと進路を定め、この事件の首魁であるオブリビオン達のいる広島城へと向かっていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『帯刀・圭吾』
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POW : 祖霊降臨
対象に【古の時代に在った土蜘蛛の魂】を憑依させる。対象は攻撃力が5倍になる代わり、攻撃の度に生命力を30%失うようになる。
SPD : 破魔の霊槍
【霊力】のチャージ時間に応じ、無限に攻撃対象数が増加する【槍】を放つ。
WIZ : 虚ろなる繁栄の舞
対象の周りにレベル×1体の【古の土蜘蛛の霊体】を召喚する。[古の土蜘蛛の霊体]は対象の思念に従い忠実に戦うが、一撃で消滅する。
イラスト:乙川
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●女王の巫女の妄執
猟兵達は紙屋町交差点より北上し、広島城へと到着する。
堀に囲まれた城の周囲を埋め尽くすように無数の蜘蛛童型オブリビオンが陣を形成しており、それらを槍を手にした色黒の青年――『帯刀・圭吾』が指揮していた。
『とうとう来たか……我が主、朝比奈・瑞貴の意志こそ俺の意志。俺の生命は土蜘蛛の女王である瑞貴のもので、瑞貴のために戦いそして死ぬのが我が使命! お前達猟兵なんかに、今度こそ瑞貴の邪魔はさせない!』
そう言い切った圭吾は殺気を膨らませ周囲に展開していた蜘蛛童型オブリビオンが一斉に動き始める。
個体は弱くともその真価は無限に押し寄せるその物量、それを自在に指揮して操る圭吾を倒さねば、首魁である瑞貴の元へたどり着くことは叶わないだろう。
決死の覚悟で猟兵達を喰い止めようとする土蜘蛛の巫女と無数の蜘蛛童型オブリビオンの群れ、この難敵を攻略すべく、猟兵達は一斉に行動を開始した。
儀水・芽亜
忠臣とは主が道を違えそうになった時に諫めるもの。己の考えもなくただ盲目に従うのは、無能者というのです。
あなた方がオブリビオンに堕ちたのも、全ては女王を正しく導けなかったが故。因果を正させていただきます。覚悟!
数が武器というなら、私は速やかに制圧していきましょう。
「全力魔法」眠りの「属性攻撃」「精神攻撃」「歌唱」でヒュプノヴォイス、行きます。ブラストヴォイスは即死させられないリスクがありますからね。
眠るオブリビオンを起こさないよう間を縫って、帯刀圭吾をアリスランスの間合いに捉えます。同じ槍使い同士、その腕前、試させていただきます。
「武器に魔法を纏う」で「呪詛」を乗せ、彼の槍を弾いて「貫通攻撃」!
●眠りに道を拓き
帯刀・圭吾の命令に従った無数の蜘蛛童型オブリビオンは津波のように猟兵に向かってくる。
一体一体の個体は弱くてもその数は無限、疲労という要素を考慮するならいずれは猟兵達が劣勢になってもおかしくはないだろう。
故に狙うは短期決戦、補充する間もなく蹴散らして指揮官を叩き潰すこと――、
『ここを通すな。瑞貴の願いを阻ませるわけにはいかない……!』
「忠臣とは主が道を違えそうになった時に諫めるもの。己の考えもなくただ盲目に従うのは、無能者というのです」
辛辣に圭吾の言葉を否定するのは儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『|夢可有郷《ザナドゥ》』・f35644)、かつて今治市解放戦に参加していた彼女は眼前のオブリビオンの生前辿った顛末を知っている。
「あなた方がオブリビオンに堕ちたのも、全ては女王を正しく導けなかったが故。因果を正させていただきます。……覚悟!」
『そうはさせん!』
芽亜の言葉に圭吾は配下の蜘蛛童、そしてユーベルコードにより芽亜の周囲に古の土蜘蛛の霊体達を召喚する。個体能力の低い蜘蛛童達とは異なり赤手に妖の炎灯し襲いかかってくる彼らの実力は高く、しかも圭吾の思念に忠実に従い連携してくるのだから厄介な事この上ないだろう。
一時足を止めた芽亜はアリアデバイス『ムジカ・マキナ』の調子を確認しながら全力でユーベルコードを起動する。
「さあ、眠りの幕に包まれ、意識を手放しましょう。甘美な微睡みの縁ほど魅惑的なものはこの世にありません」
フリッカースペードのヒュプノボイスを消化させたようなその力、彼女の首にかけたスピーカーより響くは深き夢へと導く催眠の歌声。
先の戦いで使ったブラストヴォイスは弱いと言えども蜘蛛童を一撃で仕留めきれなかった場合のリスクがあるが、此方ならば如何に数が多くともこの歌声が聞こえる範囲の敵なら限界なく――寧ろ数が多ければ多いほどに効果的に眠りに落とす力はこの蜘蛛童や土蜘蛛が無限に押し寄せてくる状況には有効に作用する。
眠りに落ちて動きを止めた蜘蛛童や土蜘蛛の隙間を縫って芽亜は圭吾目指し鴇色のアリスランスの間合いへと瞬く間に詰めて、対する圭吾は催眠の声の届かぬ距離から新たに蜘蛛童を呼び寄せつつ手にした槍で迎え撃たんとする。
同じ槍使い同士、配下の邪魔の入らぬ一騎討ちなら後は技量勝負。鋭く繰り出された圭吾の細槍の刺突を見切りつつ勢いを殺さず芽亜が呪詛を乗せたランスの一撃を繰り出せば、勢いの乗ったランスに土蜘蛛の巫女の槍は弾かれ圭吾の脇腹が弾けるように穿たれた。
苦痛の声を漏らしながらも圭吾は呼び寄せた蜘蛛童を芽亜との間に飛び込ませ壁にしつつ体勢を立て直す。そう簡単には斃れてくれなさそうだと思考しつつ、芽亜はアリスランスを構え直すのだった。
大成功
🔵🔵🔵
劉・久遠(サポート)
口調は京風イントネーションの丁寧語、『~どす』は使いません
『いくで! やったるで!』系ノリと勢い関西人にならんよう頼みます
性格は飄々とした愉快犯、常に口元に笑みを浮かべとります
ただ子供が関わる案件やと我が子と重ねて静かにキレとるかも
妻一筋やので敵からの誘惑・魅了はNG
戦闘は搦め手を好む遊撃手タイプ
敵味方を観察して状態異常・行動阻害や味方に強化・回復など
主役はガラやないんで他人に譲ります
近接時は詠唱定規、音響攻撃時はスラッシュギター使用
陽動として自分が囮になったりもします
UCや技能はどれでも使用ok
迷惑行為や公序良俗に反する行動はしません
あとはMSさんが感じたボクをクールにキメたってくださいな
●それは堕天使の降臨にも似た
緑髪の事務員らしき猟兵が群がる蜘蛛童に催眠の歌声とアリスランスで対抗し、戦況は乱戦状態へ移り変わっていく。
(「けったいな相手やねえ」)
無数の蜘蛛童を従える帯刀・圭吾を、飄々とした雰囲気を纏う劉・久遠(迷宮組曲・f44175)は口元に笑みを浮かべつつスラッシュギター『Labyrinth Suite』を構え見遣る。
久遠が銀誓館に合流した時には既に討たれていた東北土蜘蛛の女王とその巫女。直接接触した機会はなかったが目的を遂げようとする彼の意志の強さはその言動や振る舞いからも容易に感じ取る事ができる。
オブリビオンになって世界を破滅させる方向に思考が向いてしまっているのかもしれないが――それでも思考が固い、けったいな相手であることに変わりはない。
そんな圭吾は蜘蛛童型オブリビオンに時間稼ぎをさせつつ霊力を溜めて大規模な攻撃を仕掛けようとしているようだ。それを阻止すべく銀月のギターを鋭く掻き鳴らして。
「よそ見やなんていけずやわー……ボクも相手してくれはる?」
久遠が奏でるは【SATANIC BEAT】、眠りに導く歌声とはまるで音楽性の異なる堕天使の如き楽曲はフリッカークラブの十八番。
己に怒りを向けさせるそれは『Precious Time』により増幅され蜘蛛童の壁を超えて圭吾の精神に干渉する。
メロディにより圭吾の心に湧き上がる感情は怒り、霊力のチャージすら中途半端ながらその怒りのままに圭吾は久遠へとダッシュで突撃、槍の攻撃対象全てを久遠へと向けた連続刺突を放つ。
「おお、怖。そんな怒らんでもええやない?」
とはいえ怒りに任せた圭吾の攻撃はまだ読み易い。スラッシュギターの薄刃で刺突を受け流し対応しつつ至近距離から意識を刈り取るような強烈な音響を圭吾に響かせる。
連続攻撃が止まった隙に久遠は圭吾から距離を取る。冷静さを取り戻せば蜘蛛童達に包囲されて泥沼、それは少々柄ではない。
付かず離れずの距離のまま、ギターの音色を響かせ土蜘蛛の巫女を久遠は翻弄し、戦いは更に熱を増していくのだった。
成功
🔵🔵🔴
キノ・コバルトリュフ
ナメコ!キノの足の早さを見せてあげるよ!!
どんな敵だってキノからは逃れることは出来ない、完璧な走りだよ!
マッシュルーム!あまりの早さに止まって見えるんだってね。
キノキノキノ!キノの爆走!キノコロードの前に敵なし!!
●爆走キノコは蜘蛛にも勝る
飄々とした除霊建築士が奏でる破壊的なギターの音色に搔き立てられる怒りの感情に、蜘蛛童型オブリビオンの統率が乱れその物量から成る鉄壁の陣に隙が生じる。
その隙を見逃さず前線へと飛び出してきた帯刀・圭吾の元へと向かう毒々しいキノコ傘が一つ、
「ナメコ! キノの足の早さを見せてあげるよ!!」
キノ・コバルトリュフ(|キノコつむり《🍄🍄🍄🍄🍄》の星霊術士・f39074)という名の猛毒キノコな少女は、起動したユーベルコード【爆走!キノコロード】の効果で姿勢を一定に保ったまま蜘蛛童達の隙間を縫って高速で距離を詰めていく。
「キノキノ!足の早さじゃ負けないよ」
その姿勢は地面から生えた――直立に近い状態に見える。実際は速すぎて止まっているように見えるだけのその姿勢で時速160キロもの高速でスライドするように移動してくるのだから蜘蛛童達も移動ルート予測不可能、まして統率も乱れた状態では阻む事などできはしない。
それどころか接触でもした時にはキノが纏う猛毒胞子により食中毒にまでされてしまう。完璧な走りに触れれば食中毒、そんなキノは蜘蛛童達を散々に攪乱しながらとうとう圭吾の元へ肉薄する。
『……なんだ? ファンガス……か?』
除霊建築士への怒りに気を取られていた圭吾はこの段に至ってようやくキノに気付き、来訪者の一種かと首を傾げながら繁栄の舞を踊る事で古の土蜘蛛の霊体をキノの周囲に召喚、その接近を食い止めようとする。
しかし、
「マッシュルーム! どんな敵だってキノからは逃れることは出来ない、完璧な走りだよ!」
自信満々なキノは突如現れた霊体にも全く怯むことはなく。
「キノキノキノ! キノの爆走! キノコロードの前に敵なし!!」
地面から生えた姿勢のまま襲い掛かる土蜘蛛の霊体の赤手の強大な攻撃をするりと躱しカウンターで消滅させつつ、圭吾へと最高速度で突っ込み最高速度の体当たりで弾き飛ばした。
『ぐっ……体が……マヒか?』
キノの攻撃による食中毒に冒された圭吾が苦しむ中、主君を守ろうと押し寄せてくる蜘蛛童と群がる土蜘蛛の霊体達を惹きつけつつぶっちぎる速度でキノコつむりは広島城下の広場を駆け抜けていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
鳥羽・白夜
なんつーか…会社でも何でも、トップの周りにイエスマンしかいねえ組織は早晩駄目になる典型だったよなお前ら。(…世知辛い世の中知った大人になると余計に…俺もおっさんになったもんだ)
数は多いけど、纏めて爆破してやる―ヴァンパイアクロス!
祖霊降臨で攻撃の度に生命力失ってんなら好都合、UCの吸血コウモリの群れに【吸血】させ【生命力吸収】。これなら効率的に数減らせるだろ。
自身は闇のオーラを纏い【オーラ防御】しつつ倒した蜘蛛童型オブリビオンの合間を縫って帯刀に肉薄、大鎌で【斬撃波】を放ち【貫通攻撃】。
そもそもお前ら、主従間でちゃんと意思疎通できてなかったんじゃね?朝比奈が歪んだの誰のせいなんだか…
●変われぬ者、変わった者
駆け抜けていく猟兵を蜘蛛童が追っていく。その間に息も荒く治療を行う圭吾、しかしそんな休息の時間は新手の猟兵により中断させられる。
「なんつーか……会社でも何でも、トップの周りにイエスマンしかいねえ組織は早晩駄目になる典型だったよなお前ら」
『銀誓館の能力者……俺達を愚弄するか』
紅の大鎌を手に呆れたように呟く鳥羽・白夜(夜に生きる紅い三日月・f37728)に、帯刀・圭吾は憎しみも露に返す。
(「……世知辛い世の中知った大人になると余計に……俺もおっさんになったもんだ)」
今治の戦いから随分時が経ち、社会経験を積んだ白夜はしみじみと思う。オブリビオンである彼らはあの時のまま、変われぬままに凶行を繰り返そうとしている。
「そもそもお前ら、主従間でちゃんと意思疎通できてなかったんじゃね? 朝比奈が歪んだの誰のせいなんだか……」
『黙れ貴様に何が分かる!!』
――図星だったのか、激昂した圭吾は叫び、同時に蜘蛛童の群れが彼の後方から一斉に飛び出し白夜を呑み込まんと突進を開始する。
因習、抑圧、すれ違い。その果てに行きつく所まで行ってしまった東北土蜘蛛達は復活してなお妄執に捕らわれ過ちを繰り返さんとする。
今を生きるものとしてそれを食い止めるべく、白夜は詠唱兵器の大鎌を構え蜘蛛童の群れへ攻撃を開始する――!
「喰らい尽くせ――ヴァンパイアクロス!」
かつての貴種ヴァンパイアのアビリティと同じ名を持つユーベルコードを白夜が起動すれば、血塗られた巨大な逆十字架が蜘蛛童型オブリビオンの群れの中心に出現、周囲を鮮血の如き衝撃波で吹き飛ばす。
『怯むな! 祖霊を降ろす……回り込んで左右から攻めろ!』
逆十字の出現地点よりやや後方にいた圭吾が命令し、爆破範囲外にいた蜘蛛童達はその指示通りに逆十字を迂回するように白夜へと殺到せんとする。
古の土蜘蛛の魂を憑依させられた蜘蛛童達の統率は完璧、その上で攻撃力も強化されておりまともに群がられれば白夜と言えどもただでは済まないだろう。
だが、対する白夜は既に次の行動を開始している。闇のオーラを纏いながら紅の逆十字の着弾地点へダッシュ、爆破で吹き飛ばした蜘蛛童達の残骸の合間を縫って一直線に指揮官を目指す。
彼の接近を防ぐべく左右から蜘蛛童が圧し潰すように群がってくるが、そこに逆十字と同時に召喚された吸血蝙蝠の群れが蜘蛛童達に喰らい付いてその血液を吸い上げていく。
祖霊降臨の代償は攻撃の度に失われる生命力、そこで減少した生命力に加え吸血蝙蝠による継続攻撃のダメージでトドメを刺される形となり、土蜘蛛の魂を降ろした蜘蛛童の牙は白夜に届く事なく倒れ崩れ落ちていく。
蜘蛛童の数がみるみる減る間に白夜は圭吾に肉薄、紅の大鎌の間合いに捉え圭吾が防御せんと構えた槍の柄ごと両断する勢いで三日月の刃を振るい、斬撃波で圭吾の胴を深々と斬り裂いた。
『……ッ! まだだ、まだ瑞貴の為に戦わねば……!』
吐血しながらも圭吾は槍を振り回し白夜を振り払い、蜘蛛童型オブリビオンを展開して周囲の守りを再び固める。
とっくに限界は超えているだろう。それでも立ち続けようとするのは執念か、それとも他の強烈な感情があるのかもしれない。
それでもこの帯刀・圭吾がいる限り土蜘蛛の女王の元には辿り着けない。
一度距離を取りつつ白夜は再び大鎌を構え、向かってくる無数の蜘蛛童達を迎撃するのだった。
大成功
🔵🔵🔵
箒星・仄々
おっと出遅れてしまいました
主への忠誠はお見事ですが
ご自身で考えることを
放棄されているようにも見えます
…オブリビオンさんですから
これからもお考えが変わることは
きっとないのですよね
残念です
海へとお還しします
竪琴を奏でて紡いだ魔力を矢となし
浄化の願いも込めた矢で
蜘蛛童さんや霊体さん達を
燃やし押し流し吹き飛ばしていきます
とは言え
このままではきりがありませんね
仕掛けさせていただきます
炎と風の矢を一点に目掛けて放ち
大爆発を起こして
更に炎を風に乗せて広げます
ほんの一瞬だけかもしれませんが
童さんや霊体さんも爆風で吹き飛ばされたり
燃え広がる炎に押されて動きが止まるでしょう
その時私は宙にいます
そう水の矢を地面に向けて射って
その反動で跳び上がったのです
周囲に童さん&霊体さんがいない圭吾さんへ
旋律と共に矢を射ち海へと還します
戦闘後も演奏を続けて鎮魂とします
海で静かにお休みされますように
●旋律響き巫女は還る
猟兵の猛攻を受けながら蜘蛛童型オブリビオンを指揮する帯刀・圭吾は数の暴力で猟兵の行く手を阻み続けている。
陣を組み替えつつそれに合わせ移動する彼の後方には堀にかかる橋、天守閣へと通じる二の丸跡があり、道なりに進んだ天守閣にこの事件の首魁である朝比奈・瑞貴がいるのだろう。
少々遅くなったが大通りから広島城へと到着した箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は、無数の蜘蛛達に守られる帯刀・圭吾と相対して、
「主への忠誠はお見事ですが……ご自身で考えることを放棄されているようにも見えます」
率直に、そう告げる。
『……俺は女王の巫女だ。瑞貴の願いを叶えるのは当然で、それができないなら価値はない』
けれど圭吾は静かなトーンで返す。巫女である以上女王の意志こそが絶対、元々の東北土蜘蛛の閉塞的な性質に加えてかつて敗北したという事実と後悔がこの圭吾の思考を一層硬直化させているのかもしれない。
「……オブリビオンさんですから、これからもお考えが変わることはきっとないのですよね」
残念です、と呟いて仄々は|ねこのうた《蒸気機関式竪琴》を構え直して、
「海へとお還しします」
『そうはさせない。今度こそ俺は瑞貴の願い通りに……!』
満身創痍の体で槍を構えた圭吾が号令をかけ、蜘蛛童型オブリビオンが津波の勢いで黒のケットシーに襲い掛かる。
対する仄々は落ち着いた様子で竪琴の弦をぽろんと鳴らし、魔力を紡ぐ演奏を開始する。
「さあ、ちょっと派手にいきますよ〜」
紡がれる魔力は【トリニティ・ブラスト】により八百もの三属性の矢となりて、浄化の願いを込めて竪琴を鳴らせば蜘蛛童型オブリビオン達に向けて放たれる。
蜘蛛を貫く炎水風の矢、しかし相手の数と守りの厚みは圭吾の元へ届く矢を全て防ぎきり、代わりに仄々の周囲に古の土蜘蛛の霊体が召喚され妖炎纏う赤手を叩きつけてくる。
地面をも派手に砕く強烈な一撃、それをひらりと躱しながら竪琴を奏で魔力の矢で反撃する仄々、だが、
(「とは言えこのままではきりがありませんね」)
霊体は一撃で消し飛ばせるが、此処で厄介になるのは蜘蛛童。個々の実力は低くともその身を挺して土蜘蛛の霊体の盾となり、脆い彼らが一撃で消し飛ばされる事を防ぐ連携で攻め立ててくる。
そして時間を稼がれれば新たな蜘蛛童が押し寄せてきて、このままではジリ貧だ。
故に、
「仕掛けさせていただきます」
呟き竪琴の音色が転調する。急にアップテンポになったメロディにより炎と風の魔力矢が一点に集中して放たれ、圧縮された空気が大爆発を引き起こす。
その爆発によりばら撒かれるは高熱の熱風と火炎、本来火を奉ずる来訪者である土蜘蛛といえども風の魔力により拡散させられた浄化の火炎に押され、攻勢は停止
『くっ……どこに逃げた?』
戦場を嘗め尽くすように拡がる浄化の火炎に周囲の蜘蛛童が焙られる中、圭吾が叫ぶ。
奏でた仄々は既にそこにはいない。周囲を見回してもそこにはおらずただ不自然に抉れ凹んだ地面、そしてこれまでの戦いで倒れ積み重なった蜘蛛童型オブリビオンの骸の上に不自然な影が落ちていることに気づき空を見上げる。
『そこか!』
見上げた圭吾の瞳に映るはマントはためかせた仄々の姿、炎と風で爆炎を操り敵の行動を一瞬封じた彼は、残していたもう一つの属性の矢を地面に撃ち込んでその反動で宙へ舞い上がったのだ。
土蜘蛛の霊、蜘蛛童は爆炎に足を止められ圭吾の周囲の守りは空から見ればがら空きで、つまり今こそこの将を討つ絶好機。
竪琴の旋律と共に空から放たれた三属性の矢は、容赦なく土蜘蛛の女王の巫女を貫き致命傷を与える。
体を焼かれ水圧と風圧に吹き飛ばされながら青年のオブリビオンは天守閣の方へ視線を向けて、
『瑞貴……俺は、また……』
何かを言いかけながら帯刀・圭吾、そして広島城周辺に展開していた無数の蜘蛛童型オブリビオンが消滅していく。
(「海で静かにお休みされますように」)
骸の海へ還った圭吾、そして蜘蛛童らへの鎮魂の旋律を奏でつつ、仄々は再び走り出して御門橋を渡っていく。
その先には天守閣へと続く二の丸跡、この事件を終わらせるために猟兵たちは急ぎ虚ろなる土蜘蛛の女王の元へと向かうのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『朝比奈・瑞貴』
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POW : 生気吸収
レベルm半径内に【背中から伸びる蜘蛛脚による刺突攻撃】を放ち、命中した敵から【生命力】を奪う。範囲内が暗闇なら威力3倍。
SPD : 疑似式「無限繁栄」
自身の【精気】を代償に、1〜12体の【土蜘蛛化オブリビオン】を召喚する。戦闘力は高いが、召喚数に応じた量の代償が必要。
WIZ : 死迷蜘蛛糸陣
戦場内に【蜘蛛糸】を放ち、命中した対象全員の行動を自在に操れる。ただし、13秒ごとに自身の寿命を削る。
イラスト:乙川
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●虚ろなる繁栄を
橋を渡り二の丸跡を走り抜け、本丸天守閣へと至った猟兵たち。
少々手狭ではあるが障害物となりそうなものはほぼなく、戦闘に支障はないだろう広さの最上階で、この事件の首魁の片割れ『朝比奈・瑞貴』は、まるで幽鬼のように猟兵たちへと振り返った。
かつての戦いでは経験不足の未熟な女王、傲慢で短絡的な判断で喚き散らしていた彼だが今はそのような熱量もなく、その瞳も布に覆われ明瞭な意志を察することはできない。
――いや、猟兵への敵意だけは明確だ。
瑞貴の周囲に蜘蛛の脚をはやした人影――古の土蜘蛛のオブリビオンが次々に現れ始める。
ユーべルコードによる疑似的な『無限繫栄』の力は彼を阻まんとする猟兵の排除の為に向けられていて、そして召喚された土蜘蛛達はかつてと違い瑞貴にどこまでも忠実。
この土蜘蛛オブリビオンを突破し土蜘蛛の女王へと攻撃を叩き込み、骸の海へ還さねば大惨事は免れないだろう。
土蜘蛛達が一斉に動き出し、猟兵たちもほぼ同時に動き出す。かつての土蜘蛛の亡霊から広島を解放するための決戦が開始された。
儀水・芽亜
かつては東北土蜘蛛と運命の糸は繋がりませんでした。それでも、今のあなたがかつての姿でないことは分かります。
オブリビオンとは歪んだ生前の姿。ですが、あなたは違うようですね、女王。
“断頭卿”ギロチン。出番ですよ。あなたの剣で有象無象の死に損ないを斬り捨ててください。
私は裁断鋏を構えて、女王を討ちに参ります。
“断頭卿”が作った敵陣の乱れに「切り込み」、「ダッシュ」で突破します。特殊空間になっていない限り、城郭の天守閣の広さなんてしれたもの。陣を乱せば「戦闘知識」で突破出来ると判断します。
女王の蜘蛛脚は裁断鋏で「武器受け」するか、切って捨てましょう。
「呪詛」「武器に魔法を纏う」裁断鋏で「カウンター」!
●異なる悪夢を断ち切らんと
擬似的な無限繁栄により蘇った古の土蜘蛛達が、天守閣に踏み入った猟兵に襲いかかる。
(「かつては東北土蜘蛛と運命の糸は繋がりませんでした」)
愛用の細身刃の裁断鋏『Gemeinde』』で妖炎纏う鬼棍棒の一撃を凌ぎながら儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『|夢可有郷《ザナドゥ》』・f35644)は思う。
運命の糸は繋がらず直接の対話もなく、彼の詳細な人となりを理解しているわけではない。それでも、
「……今のあなたがかつての姿でないことは分かります」
――オブリビオンとは歪んだ生前の姿。
精神の未熟さから頻繁に癇癪をおこしていた生前の彼とは違い、夢遊病のようにまともな意志すら見せずに土蜘蛛達を操る今の瑞貴の姿は生前から歪められたどころの違いではなく、
「ですが、あなたは違うようですね、女王」
そう静かに言った芽亜に生前にはなかった瑞貴の背の蜘蛛脚が伸ばされる。鋭い刺突、生命力を奪う生気吸収のアビリティの性質を持つそのユーベルコードをまともに受ければ痛打は免れない。
「――“断頭卿”ギロチン。出番ですよ」
対する芽亜は裁断鋏で刺突を受け流しつつユーベルコード【落ちる刃】を起動、召喚されるのは彼女の想像より創造された無敵の虐殺師ギロチン。
「あなたの剣で有象無象の死に損ないを斬り捨ててください」
召喚主の言葉につなぎ姿にマントを羽織った禍々しき虐殺師は、マフラーで表情を隠したまま二振りの大剣を両手に土蜘蛛の戦士たちに襲いかかり敵陣を切り崩しにかかる。大剣が振るわれる度に土蜘蛛の部位が切り飛ばされ、妖気と鮮血が天守閣の戦場に散って古の土蜘蛛達の厚い陣形に乱れが生じる。
その僅かな間隙に芽亜が疾走、今治城もそうだったが特殊空間でもない天守閣の広さは能力者や猟兵の戦いにおいてはしれたもの、土蜘蛛の女王に刃を届かせるにはその僅かな隙だけで十分であるとの彼女の判断は正しく刃の間合いまであっという間に詰める事に成功。
当然瑞貴は反撃の蜘蛛脚を芽亜に伸ばす。生命力を奪い取る悪しき刺突を呪詛纏いし裁断鋏は容赦なく切り捨て、そのまま流れるような動作で瑞貴へと鋭い斬撃をカウンターで刻み込んだ。
相当な苦痛はあるはず、されど瑞貴は何も言わずに周囲に新たな土蜘蛛を召喚、芽亜との間に割り込ませて追撃を阻み再び陣形を立て直す。
(「……本当に、別物ですね」)
生前の彼なら見苦しく喚いていただろう眼前のオブリビオンの反応にそんな事を考えながら、土蜘蛛相手に暴れまわる虐殺師ギロチンの元まで一旦芽亜は後退、次なる攻撃の機を窺うのだった。
大成功
🔵🔵🔵
島津・有紗(サポート)
絡み・アドリブ歓迎
「じゃあ、始めましょうか」
戦闘前にイグニッションカードから装備を展開して装着します。
味方と連携しつつ【地形の利用】をしながら【索敵】して行動します。
戦闘になったら強弓を使い、遠距離から【スナイパー】【範囲攻撃】【貫通攻撃】で攻撃します。
中距離以下の距離ではなぎなた、ガンナイフを使い分け【切り込み】【薙ぎ払い】【零距離射撃】で攻撃します。
味方と連係する場合は、【援護射撃】【威嚇射撃】で味方を援護します。
敵の攻撃は【戦闘知識】【瞬間思考力】で判断し【見切り】で回避するか【武器受け】【オーラ防御】で防御します。
UCは状況に合わせた物を選択して使用します。
●巫女は女王を撃つ
オブリビオンとして甦りし朝比奈・瑞貴、そして彼が疑似的な無限繁栄により召喚し続ける土蜘蛛のオブリビオン達と猟兵の天守閣での戦いは激しさを増していく。
「|起動《イグニッション》!」
それを切り裂くかのような凛々しい声が響けば、島津・有紗(人間の戦巫女・f04210)という元能力者の猟兵はイグニッションカードに収納された武装を瞬時に展開、
「じゃあ、始めましょうか」
そのまま手にした強弓を引き絞り瑞貴を狙い撃つ。
瑞貴自身は明瞭な意志などないかのようにその矢に反応しない。しかし、周囲に召喚された土蜘蛛達が女王を害する矢を巨大な赤手で打ち払い、そして狙撃手を狙い一気に飛び込んでくる。
それほど広くない天守閣であるから間合いを詰めるまでの間は殆どなく、そして瑞貴自身も配下を援護するかのように天守閣内に蜘蛛糸を放つ。
糸に当たれば行動を操作され、そちらを回避しても土蜘蛛オブリビオンの猛攻に晒される状況。
しかし有紗は慌てることなく強弓から薙刀へと持ち替えユーベルコード【巫覡載霊の舞】を起動、その身を神霊体に変じさせて女王の蜘蛛糸を薙刀を振るった衝撃波で弾き飛ばす。
そのまま前進、狭い天守閣の中で的確に距離を詰めて仕掛けてくる土蜘蛛達の動きを見切り薙ぎ払い、ほんの僅かな隙に切り込み本命の瑞貴へと肉薄、腕輪型回転動力炉をフル稼働させて至近距離で薙刀を薙いで衝撃波を叩き込んだ。
吹き飛ばされる瑞貴をカバーせんと即座に土蜘蛛達は陣を立て直す。有紗は深追いせず、解除まで寿命を削り続けるユーベルコードを一旦解除し再び弓へと持ち替える。
立ち上がる敵首魁はまだ平然としているようにも見える――単に操られる人形のようにダメージを無視して動き続けているだけなのかもしれないが。
何にせよまだ攻撃を叩き込み続ける必要があるだろう。重ねた戦闘経験からそう判断した有紗は、強弓を引いて猟兵達へ向かってくるオブリビオン共を矢で迎撃、支援攻撃に回るのだった。
成功
🔵🔵🔴
鳥羽・白夜
さっき帯刀にはダメ上司の典型みたく言ったけど、今のお前みたいに意志も感じられねえ操り人形みてーなのもなんだかな…こっちへの敵意だけはバリバリだけど!
「ヴァンパイアストーム」で召喚した吸血コウモリの群れを土蜘蛛化オブリビオンにけしかけ血液を奪い、【生命力吸収】しつつ大鎌の【斬撃波】【なぎ払い】で道を切り開く。
今の朝比奈からは精気ってもんがどーも感じられねえけど…土蜘蛛化オブリビオンを召喚しすぎた代償のせいもあるのか?
まあ精気削られてる上に血吸われたら立ってられねえだろ。
吸血コウモリに吸血させ【血液攻撃】、【体勢を崩し】、大鎌で【切断】攻撃。
過去の亡霊にはウンザリしてんだ、さっさと骸の海帰れよな。
●虚ろなる土蜘蛛を裂く赤き三日月
疑似的な無限繁栄により召喚される古の土蜘蛛オブリビオンの軍勢。
彼らを従える土蜘蛛の女王たるオブリビオンは、生前の自我を感じさせぬ所作で猟兵達に応戦を続けている。
(「さっき帯刀にはダメ上司の典型みたく言ったけど」)
向かってくる土蜘蛛達の鬼棍棒を赤の大鎌で薙ぎ払い逸らしながら、鳥羽・白夜(夜に生きる紅い三日月・f37728)は土蜘蛛達を指揮する朝比奈・瑞貴へ視線を向ける。
ただ配下を指揮する姿はまるで操り人形のようで明瞭な意志が見えず、生前の彼が起こした戦争を知る白夜としては正直思う所もある。
――その姿はもしかすると彼を縛り付けていた土蜘蛛の巫女たちの求めた姿だったのかもしれないが。
(「こっちへの敵意だけはバリバリだけど!」)
ただ操り人形のようだはいえ猟兵達に対する敵意だけははっきりとわかる。
更に瑞貴は自身の周囲に土蜘蛛化オブリビオンを追加召喚。数は六、屈強な彼らは女王を狙う白夜達へ速やかに迫り巧みな連携と剛力でその突破を阻んでくる。
――このまま向こうのペースに持ち込まれれば押し切られるだろう。
その前に道を切り開く、白夜が【ヴァンパイアストーム】を起動して吸血コウモリの群れを迫る土蜘蛛オブリビオン達に放つ。
妖気の炎や戦いの余波で開いた壁の穴から取り込まれる光でこの天守閣内は暗闇からは程遠い、されどコウモリの群れは土蜘蛛達に噛み付きその血液を奪い取り連携に乱れが生じる。
その間隙を衝撃波伴う赤き大鎌の斬撃がこじ開け、白夜が一気に瑞貴に肉薄。
至近距離で見た瑞貴の顔はすっかり血の気や精気が失せているように白夜には感じられた。
(「土蜘蛛化オブリビオンを召喚しすぎた代償のせいもあるのか?」)
代償を必要とする疑似的な無限繁栄、それをこれだけ乱発すればオブリビオンと言えど無傷ではいられないのだろう。
ならばさらにもう一押し。瑞貴に向かって吸血コウモリをけしかけその身体の血液を大量に吸い上げる。
精気を大量に消費し血液と生命力を奪われ、土蜘蛛の女王たる瑞貴も力なく背の蜘蛛脚を蠢かせふらつき体勢を崩して。
「過去の亡霊にはウンザリしてんだ、さっさと骸の海帰れよな」
そして倒れ掛かった瑞貴の胴を、白夜の赤き三日月の刃が一閃した。
大成功
🔵🔵🔵
箒星・仄々
広島市を好き勝手にはさせませんよ
それに虚ろなご様子が痛々しいです
瑞貴さんを海へと導きます
竪琴を奏でて
メロディを光の五線譜として具現化し
土蜘蛛オブさんの群へと放ちます
音は四方八方へと拡がりますから
周囲の土蜘蛛さん達を一斉に足止めです
蜘蛛糸ならぬ五線譜に絡め取られた🕷️さん達を尻目に
瑞貴さんと対峙します
勿論瑞貴さんも足止めされていますから
逃げることは出来ませんよ
…はなからそのおつもりはないでしょうけれども
瑞貴さんは蜘蛛足を伸ばそうとするでしょうけれども
メロディと共に揺蕩うような光の五線譜が
既に蜘蛛脚にぴったりと貼り付いています
脚を足止めです
万が一蜘蛛脚が襲ってきても
音楽に合わせた軽やかなステップでかわしますよ
演奏を続けて足止めを継続しながら
炎と水と風の魔力を込めたメロディで
瑞貴さんを海へと還します
瑞貴さんがいなくなれば
土蜘蛛オブリビオンさん達も海へと還るでしょう
戦闘後も演奏を続けて
瑞貴さんや土蜘蛛さん達の
海での静かな眠りを祈ります
どうぞゆっくりとおやすみ下さい
●縛るは蜘蛛糸か、音楽の五線か
狭い天守閣内での土蜘蛛オブリビオン達の猛攻を小柄な体で身軽に躱す黒の毛並みのケットシーもまた攻めの機を窺っていた。
(「広島市を好き勝手にはさせませんよ」)
愛用の蒸気機関式竪琴を抱えた彼、箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は、軽やかなステップで攻撃を回避しつつ、災厄の元凶であるオブリビオンを見据える。
この広島市を妖獣や蜘蛛童、そして土蜘蛛の占拠から解放するにはあの青年を一刻も早く討たねばならない。市内から広島城へと戦いの場を移しながら決意を固めている仄々。
そしてそれと同じくらいに、
(「虚ろなご様子が痛々しいです」)
意志も感じ取れないかの女王の姿は仄々には見えて、故に骸の海へ速やかに還さねばと彼の奏でる魔力を帯びたメロディーに熱がこもる。
魔曲の調べと土蜘蛛の荒々しい攻撃の破壊の音が響き渡る中、やや離れた位置にいた貴種ヴァンパイアの青年が攻めに転じる。彼のユーベルコードにより召喚された吸血コウモリの群が土蜘蛛達に襲いかかり、その陣をかき乱す。
ここが勝負どころと仄々は判断、竪琴の弦を弾きながらユーベルコード【シャンテ・フェスティヴァル】を起動して『ねこのうた』に宿る音楽の力を解放、
「音と光の守護を」
奏でられるメロディは光の五線譜として具現化する。竪琴を起点に放射状に広がっていくそれは、新たに召喚された土蜘蛛オブリビオン達へ放たれる束縛の力。
狭い天守閣内全体へ放射された光の五線は屈強な土蜘蛛達の足元に絡みつきその移動を阻害し、そして後方の赤き大鎌の青年が土蜘蛛たちを突破するための支援となる。
それと同時、敵の首魁により近い位置にいた仄々は土蜘蛛達の隙間を駆け抜けて大鎌の青年に一歩先んじる形で朝比奈・瑞貴と対峙する形となり。
「逃げることは出来ませんよ」
――はなからそのおつもりはないでしょうけれども。
土蜘蛛の女王の眼前に躍り出た仄々の言葉に、半ば反射のような速度で瑞貴の背の蜘蛛足が高速で伸ばされる。
その足にも揺蕩う旋律と共に光の五線はぴったりと張り付いておりその攻撃を阻もうとするが、女王の力量で放たれる蜘蛛脚の刺突を完全に止めきる事は叶わない。
だが速度は万全の状態よりも遅く、刺突を見切った黒のケットシーは軽やかなステップで躱しながら竪琴に魔力を込め炎と水、そして風の魔力を帯びた旋律を奏で瑞貴へと反撃を喰らわせる。
演奏により維持された光の五線による足止めにより瑞貴は大きく回避する事もできない。幽鬼のようにふらふらと立ち続ける彼に魔曲の攻撃が殺到、力なく蜘蛛足を蠢かせつつよろめいた瑞貴に、飛び込んできた赤髪の青年が大鎌で胴を薙ぎ、赤の三日月の軌跡と共に鮮血が天守閣に散った。
まるで繰糸が切れたかのように、朝比奈・瑞貴は力なく崩れ落ちた。そして、彼の擬似的な無限繁栄に召喚された土蜘蛛オブリビオン達も彼の黄泉路に付き従うようにその姿を薄れさせ消滅していく。
(「どうぞゆっくりとおやすみ下さい」)
天守閣に仄々の竪琴の奏でる音色が響く。
朝比奈・瑞貴、帯刀・圭吾、そして土蜘蛛やオブリビオン達が骸の海へと還り安らかに眠り続ける事を祈る音色は室内に留まらず外へ、城の周囲まで穏やかに響くのだった。
――広島市を占拠していた強力なオブリビオンの片割れは倒れ、もう一方はそれを察してか速やかに市内から撤退。悪しきオブリビオンより解放された広島市は程なく日常を取り戻していく。
その平穏を見届けつつ、次の戦いに向かうべく猟兵達はグリモアベースへと帰還したのだった。
大成功
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