ダーティ・ゲイズコレクターは悪戯できない
ダーティ・ゲイズコレクター
下記の内容でハロウィンノベルの作成をお願いします!アレンジ・改変、問題ありません!大歓迎です!
●シチュエーション
デビルキングワールドに住む幼馴染の仕立て屋「エクサイト」に
ハロウィン用に作ってもらった衣装(鎧直垂と和風の甲冑)にピッタリな小物(のぼり旗)を購入したので
お披露目ついでにトリック・オア・トリートしに訪ねたダーティ。
そこで予想外のトリック・アンド・トリートを返される。
●プレイング
トリック・オア・トリート!こんにちは!エクサイトちゃん!
どうですか!?エクサイトちゃんに作ってもらった衣装にピッタリな小物をキング屋デパートで見つけたので
買っちゃいました!
「デビルキングワールドを統一する方向け!」とでっかく貼ってあったので即買いです!
旗の文字は自筆です!これで遠くからでも私の名前が知れ渡ることでしょう!
それにしてもエクサイトちゃん、この衣装はすごいですね!
着心地はとても快適なうえに本物の鎧の様に丈夫で、しかも軽い!なによりカッコいい!
これはハロウィンだけではなく普段使いにもできそうです!
こんな素晴らしい衣装を作ってくださりありがとうございます!
え?お菓子を用意してくださってるんです!?わー!ありがとうございます!
…ってこれはバースデーケーキ!?
え、あ、そうか10月31日は私の誕生日…
うー!エクサイトちゃん、見事なサプライズ、まさにトリック・アンド・トリートを返されちゃいましたね!
ありがとうございます!
じゃあ二人でハッピーハロウィン&ハッピーバースデーのパーティしましょう!
●お披露目
いつだって心が浮足立つのは、誰かに何かを披露する時だ。
視線誘導の悪魔であるダーティ・ゲイズコレクター(Look at me・f31927)にとって、それはある意味当然のことだった。
それは猟兵になっても変わらぬこと。
そして、幼馴染の仕立て屋の悪魔『エクサイト』との友情もまた変わらぬものであった。
ダーティはガチャガチャと音を立てながら『エクサイト・テーラー』の店先にやってきていた。
自信満々の表情。
そう、時はハロウィン。
ハロウィンと言えば、秋のお祭りである。
今回の衣装も『エクサイト』に作ってもらったのだ。
そういう意味では、すでに『エクサイト』にとってはダーティの姿はサプライズたり得ないものであっただろう。
だって、採寸から試着、仕上げまで全部彼女がやってくれたのだ。
ダーティはなんかこう、色々小間使いをしたり店番をしたり、なんやかんや手伝っていたりした。幼馴染なのでこのくらい当然である。
報酬もしっかり手渡し。
ダーティはいつも思っていた。
彼女の仕事は素晴らしいものだ。
この己が胸に湧き上がる感謝の気持は、言葉では表しきれない。それくらいに感謝しているし、素晴らしい出来栄えなのだ。
でも、『エクサイト』は額面通りの報酬しか受け取ってはくれない。
きっちりなのだ。
山吹色のお菓子とか、そんな感じで『お主もワルよの』ごっこついでになんとか、と思ったのだが、『エクサイト』は、しれっと新作の視線誘導のお洋服を仕立てて、逆にこっちが恐縮してしまうなんて一面もあったのだ。
「ですが、今回はひと味違いますよ!」
ダーティには秘策があった。
ワルな笑みと共にダーティは『エクサイト・テーラー』の扉を開く!
「ばーん!」
「ば~ん?」
口で言った!
そう、如何にワルとは言え、ここはお店!
もしかしたら、他のお客さんがいるかもしれないし、急に扉を勢いよく開け放ったら壊れてしまうかもしれない。
けれど、勢いよい雰囲気はほしいとダーティは口で『ばーん!』と勢いよくいって、扉をそっと開けて『エクサイト・テーラー』へと入店を果たしたのだ。
うーん、いい子!
「トリック・オア・トリート! こんにちは! エクサイトちゃん!」
そんなダーティを迎えたのは『羊執事』の姿をした『エクサイト』であった。
「こんにちわ~ダーティちゃん~。わあ、ピッタリだね~」
彼女はダーティの姿を認めて、手を合わせる。
「『エクサイト』ちゃんも、もこもこスタイリッシュ執事服、お似合いです! って、違います。そうじゃあなくって! みてください!『エクサイト』ちゃんに作ってもらった衣装、ピッタリです! それにほら これを!」
ばん! とダーティが示したのは『ダーティ』と描かれた旗であった。
主張が強い!
だが、これはキング屋デパートで購入した由緒正しきデビルキングワールドを統一する方向け! と銘打たれた商品なのだ。
あれだけでっかく主張されていたら、買うほかない。
そして、そんな旗を持っているダーティの姿は、赤拵の武者鎧!
そう、本格的!
見た目は本物の甲冑そのものであるのに、非常に軽くて動きやすいのだ。
それにオモチャ感がまったくないのだ!
重厚な見た目。
なのに軽い!
これが匠の技!『エクサイト』の縫製技術のなせる技であった。
「わ~主張つよ~い」
「そうでしょうそうでしょう! この旗文字は私の自筆です! これで遠くからでも私の名前が知れ渡ることでしょう!」
「本当だね~」
「それにこの鎧! すごいですね! 着心地はとても快適です!」
「蒸れないでしょ~? 通気性の高い生地を下地に使ってて~、でも厚着にならないように気をつけたんだ~」
「本当ですよ! さらさらで、むしろ汗かく方が難しいんじゃあないですかこれ!」
「んふふふ~」
「しかも軽い! 何よりカッコイイです!!」
バーン!
もう一回ダーティは口で言った!
それほどまでにテンションが高くなっているのだ。
「ハロウィンだけではなく普段遣いにもできそうです! 折角のハロウィン衣装、一回こっきりの着用なんて寂しいと思っていたんですよ!」
「そう言ってもらえて嬉しいなあ~でも、普段着だと、別の意味で視線誘導ちからがなくなちゃいそう~」
「なんと!? そんなことはありませんよ、『エクサイト』ちゃん! むしろ、この旗に『エクサイト・テーラー』と書き直せば、お店の宣伝にもなります! 私の視線誘導ちからは衰えることなんてないってことを証明してみせましょう!」
「それはうれしいけれど~」
「ともかく、こんな素晴らしい衣装を作ってくださってありがとうございます! ……って、なんです? それ?」
ダーティは眼の前に差し出された『エクサイト』が持つお盆の上を見て首を傾げる。
まあるくて、白くって、赤いいちごが乗っていて………?
「え? ハロウィンのお菓子にしては大きいといいますか、大仰すぎといいますか……」
「違うよ~これはバースデーケーキだよ~」
「はっ!? あ、え、あ? ああっ!」
「そう、ハッピーバースデ~、ダーティちゃん~」
そうなのだ。
今日、10月31日はダーティの誕生日!
ダーティは『エクサイト』にトリック・オア・トリートすることにかまけて、自分の誕生日であったことをすっかり失念していたのだ。
まさかのサプライズ返し!
あれ? なんかこの流れ、前も見たことがあるな、とダーティは思ったかも知れない。
「うー!『エクサイト』ちゃん、見事なサプライズ……まさにトリック・オア・トリート返し! 革命返しのさらに上をイカれるとは……」
潤む視界。
なんていうことだろうか。
世界広しとは言え、こんなにサプライズ返しをしてくれる親友がいる。
それが嬉しくってたまらない。
こぼれる涙に歪む視界に『エクサイト』の変わらない笑顔がある。
「泣かないで~ほら~デビルろうそくの火を、ふ~ってしなきゃ~」
「はっ、そうでした! ふーっ!!」
吹き消されるろうそく。
そして、ボン! とケーキの上に立ち上る煙がオドロオドロしく『Happy Birthday』と形作っていく。これがデビルろうそくの効果である。
「おめでとう~!」
「うう~ありがとうございます!」
「じゃあ、二人でハッピーハロウィン&ハッピーバースデーのパーティしよ~?」
「はい! 私もお菓子持ってきたんですよ、『エクサイト』ちゃん!」
ほら、と『エクサイト』に渡すのは、黄金色のお菓子!
小判を模した山吹色……今回は秋の味覚、サツマイモを練りに練った上にカスタードクリームでカラメルを焦がしたブリュレ!
そう、バレンタインとはちょっとひと味違う、驚きのお菓子なのだ。
これもトリック・オア・トリートの秘策の一つだったのだが……。
「わあ~すご~い。これ、ダーティちゃんが作ったの~?」
「はい! もちろんです!『エクサイト』ちゃんに食べてほしくって!」
「うれし~、あ、お茶どうしよっか?」
「ふっふっふ、抜かりなく。緑茶紅茶烏龍茶、皆同じ茶葉なら混ぜ混ぜ茶をご用意しておりますよ!」
「わ~エキサイティング~」
二人のハロウィンは、悪戯しなくっても楽しいハッピバースデー。
きっと来年になっても同じように笑い合うことができるだろう。
悪戯できなくっても、二人の友情は変わらないのだから――!
成功
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