<千鵠百貨店>噂のデパ地下スイーツ(with聖杯)探訪
●デパート地下のお楽しみ
「うーん、しばらく来てなかったからどうなってるかと思ったッスけど、割と何とかなってるッスね」
デパートの廃墟をハンマー担いで歩き回る小柄な女性。彼女の名は宮古島・うるみ。元銀誓館学園の能力者であり、現在はこのゴーストタウン、千鵠百貨店を浄化買取するために活動するデパート店員である。
活動の甲斐あってこの地のゴーストの勢いは徐々に弱まってきていた。
「上は大分いい感じだから、あとは地下の掃除ッスね。下はスイーツ系の敵が多かったッスけど、何か変わってるかもしれないから注意ッスね。一応修業はしたし、キツそうなら増援要求も……」
かつて地下にあったもの思いつつも、油断なく地下へ降りていくうるみ。
そしてその地下にあったのは。
「かんぱーい!」
地上の数倍の広さと化した地下空間と、そこに溢れる超スイーツの海であった。
●それしかないのは流石にどうかと
「皆様方ご足労戴き感謝致す。依頼にござります」
シャイニー・デュール(シャイニングサムライ・f00386)が集まった猟兵に一礼する。
「拙者、今まで幾度かシルバーレインで予知を行っておりましたが、その結果として強力な「ナイトメアビースト」のオブリビオンの出現、そして第二次聖杯戦争でオブリビオン・フォーミュラ『聖杯剣揺籠の君』の滅びと共に破壊されていた超メガリス『聖杯』の復活を予知するに至りました」
聖杯とは世界結界の存在に関わる最重要と言っても過言ではないメガリス。それをあのハビタント・フォーミュラが密かに回収し、配下に与え儀式をさせているという。
「儀式の目的は『世界結界の破壊』。もしそれが成れば、世界に再び銀色の雨が降り注ぎまだ見ぬフォーミュラが強化されてしまうことになります」
アポカリプスヘルと同様、シルバーレインにも複数のオブリビオン・フォーミュラがいる。それを強化させぬための、いわば第三次聖杯戦争とも言える事態が発生しているのだ。
「場所は以前の余地にもあったゴーストタウン『千鵠百貨店』。そこの地下エリアに『|新・最悪の最悪《ネオ・タルタロス》』を名乗るナイトメアビーストたちが陣取り、結界破壊儀式を行っております」
過去から現在に至るまで何度も戦いの舞台となった場所。そこがついに一つの決戦の舞台となったということか。
「地下に乗り込みますと、そこは見えない城壁に囲まれた渦巻き型の戦場、名付けて『透明城壁』という空間に変えられております。皆様は城壁に沿って渦の中央へ向かっていただくのですが、その途中途中でリリス化オブリビオン『リベリエ・プディング』が襲ってきます。彼女らは己のプリン能力を駆使し、皆様を妨害してきます」
スイーツ、とりわけプリンに関する何かしらの妄執を抱いたまま死んだ女性がリリス化したものだという。
「そして中央までたどり着きますと、そこには『マスター・ジャムウォッシュ』というジャム狂信者のゴーストがいます。鳥型の頭部含め性質はケルベロスディバイドのビルシャナのようですが、一応妖獣に分類されるようですな」
シルバーレインと近くて遠いとも言えるその世界、似たような存在がいてもおかしくはないのかもしれない。
「こやつも己のジャム能力を駆使し攻撃してくるのですが、それともう一つ。こやつは先の『透明城壁』の能力を使い、ユーベルコード『ガラスのラビリンス』を自在に使ってきます」
もちろん自分の本来のユーベルコードも同時に使える。二つの技を組み合わせての攻撃を如何に突破するかが鍵となるだろう。
「ジャムウォッシュを倒せば透明城壁は消滅、元のデパート地下に戻るのですが、そこで聖杯を持ち儀式を取り仕切るゴースト『|甘蝕《あまはみ》』との決戦となります」
儀式を任せられるだけありその実力は折り紙付き。だがそれだけでなく、さらに厄介な能力もあるという。
「彼女は聖杯と共に、かつてナイトメアビーストが使った能力を授けられております。彼女の持つ能力は『魔法のボストンバッグ』といい、無限に金の出てくるバッグにござります。彼女はこの金を使って|買い占めた《配下にした》ゼリーのようなゴーストを無数に呼び、共に戦ってきます」
ボス戦と同時に集団戦までこなさねばならない状態。配下たち一体ずつの実力はさほどでもないが、その根源がボスの持つ能力にある以上その増援は無限と思っていいだろう。
「敵は甘味に関わる能力持ちばかりですが、聞くに現場となるデパート地下はかつてはデザート系ゴーストの巣窟だったらしいですな」
ハビタント・フォーミュラはそれを知って甘蝕たちを送り込んだのか、あるいは土着ゴーストが進化して彼女らになったのかは定かではないが。
「それとこの戦いを予知できたのは以前の依頼の結果によるものですが、その際にいた能力者の方が今回も現場におられます。猟兵ではありませんが相応の実力者ではありますので、良ければ協力してくだされ」
現場となる千鵠百貨店の浄化を目指す能力者。猟兵とも顔見知りであり、事情を説明せずとも手は貸してくれるだろう。
「第二次聖杯戦争が終わりだいぶたちますが、シルバーレインの火種は消えるどころか増え続けるばかり。燃え広がるのを防ぐためにも、どうか皆様、よろしくお願いいたします」
シャイニーはそう言ってもう一度一礼し、猟兵を儀式行われるデパ地下へと送り出した。
鳴声海矢
こんにちは、鳴声海矢です。今回はシルバーレインの決戦シナリオです。
ゴーストタウンの地下で世界結界破壊儀式を行う『|新・最悪の最悪《ネオ・タルタロス》』を名乗るハビタント・フォーミュラ配下との三連戦になります。
第一章は『リベリエ・プディング』との集団戦。戦場は渦巻き状の『透明城壁』内部での戦闘となり、場所は壁こそ見えませんが狭い通路のような場所、かつ相手を倒さないと先に進むことができません。相手はプリンパワーによる物理攻撃や、プリン食べたい欲を想起させる精神攻撃も使ってきます。
第二章は『マスター・ジャムウォッシュ』とのボス戦。彼は『透明城壁』の核であり、能力値行動の他、『ガラスのラビリンス』を同時に使用してきます。ジャムを利用して攻撃や分身する他、やはりジャム欲を刺激する攻撃もしてきます。
第三章は『甘蝕』とのボス戦。彼女もやはり甘味欲を刺激する攻撃を持っている他、スプーンを武器にした戦闘能力も純粋にかなり強いです。
また『魔法のボストンバッグ』の力で、集団敵である『スガリ』を無限に召喚、共闘してきます。
拙作千鵠百貨店シリーズの|続編《サブシナリオ》かつ敵は本家(http://t-walker.jp/sr/gate/top.cgi?did=d13_02)に倣いスイーツ尽くしですが、以前の知識や参加経験が必要ということはないのでお気軽にご参加ください。
またいずれの章でも舞台となるゴーストタウンに通う能力者が同行します。割と強く第一次聖杯戦争も経験しているので利用してください。
以下詳細。
宮古島・うるみ(29、女)従属種ヴァンパイアのゾンビハンター×ゴーストチェイサー。
銀誓館学園卒で、現在は鎌倉で百貨店勤務。外見はせいぜい高校生くらいの童顔低身長だが既婚者。以前(https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=40691 第二章に今回の第三章で召喚されるスガリが出ているので参考に)から千鵠百貨店の跡地買取を目指し浄化活動に励んでいる。脳筋一点突破の撲殺主義者、かつ超のつく貧乏性。何度か新世代ゴーストによって危機に陥ったことをきっかけに修業し直し、新しいものを見ても狼狽えなくなった。
それでは、プレイングをお待ちしています。
第1章 集団戦
『リベリエ・プディング』
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POW : ペティ・プディング
【頭部を人化(※美少女)させた魔法少女姿】に変身し、武器「【プリンバトン(※物理攻撃しか出来ない)】」の威力増強と、【カラメルソースの翼】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
SPD : クレム・カラメル
速度マッハ5.0以上の【カラメルソース(束縛効果あり)噴出】で攻撃する。軌跡にはしばらく【凝固したカラメルソースの塊】が残り、追撃や足場代わりに利用できる。
WIZ : アラモード夢想曲
【理想のプリンアラモードの空想】から【敵の頭上に空想した通りのプリンアラモード】を召喚する。[敵の頭上に空想した通りのプリンアラモード]に触れた対象は、過去の【何を置いてもスイーツ食べたい衝動】をレベル倍に増幅される。
イラスト:樹下じゅげ
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
静岡県某所にあるデパート『千鵠百貨店』。かつてスイーツスクエアという大規模スイーツ売り場の合った其処は、今危険極まる儀式の場と化していた。
「うーん、何なんスかこれ。ぶっ壊せそうにもないし……」
そこで何もない空間にハンマーを振り回す一人の女。そのハンマーは空中で止まり、ガンガンと大きな衝突音だけがそこに響いていた。
さらにその向こうに目を向ければ、小さく見える赤い人影。動けるところを通って進んでいくと、少しずつその姿が大きくなってくるように見えた。
「あ、分かったッス。これ琵琶湖のアレっス。途中にいる奴ぶっ倒しながら真ん中まで行かなきゃいけない奴ッス」
それだけでこの空間の全てを察した彼女は宮古島・うるみ。10年以上前の戦いを経験し、今はこの千鵠百貨店を浄化すべく戦う能力者である。
彼女がしばし進むと、周囲に一際甘い匂いが溢れ、カスタードと焦げ茶の二色が溢れ出した。
「見たことない奴だけど……やっぱスイーツ系ッスね。このくらいならもうビビんないッス」
うるみはハンマーを握り、現れたゴーストに向けて構える。
そして同時に、その背から彼女を追うように螺旋の城壁を通って来た者たちが。
「……あ、皆さん、お久しぶりッス! 皆さんが来たってことは奥のゴーストはかなりヤバい奴なんスね!」
猟兵と何度も共闘したことのある彼女は何も驚くことはなく、瞬時に事態を理解する。
さあ、まずは目の前に群れる『リベリエ・プディング』の群れを退け、透明な渦の中央へ急ぐのだ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
大事になっておりますねぇ。
うるみさん、宜しくお願い致しますぅ。
『FAS』で飛行、『FLS』で『FPS』を召喚後、空間歪曲障壁を展開しまして。
『FPS』で探査開始、うるみさんを『FMS』のバリアで「前方のみ開いた箱型」に包み、前方以外の攻撃を無視出来る状態にしますぅ。
【ペティ】は高速飛行と近接物理、接近前は「通路」という地形を利用し『FRS』『FSS』の面砲撃で速度で躱し辛い状態として対処、抜けてきても時機は『FPS』で読めますので、【廽釯】を発動し瞬間的な無敵化で『バトン』を防御、[カウンター]の斬撃で斬りますねぇ。
プリンは美味しいですし、出来れば平和に頂きたいですが。
千鵠百貨店地下フロア。かつては巨大スイーツ売り場だったそこは、見えない城壁で螺旋に仕切られた巨大特殊空間と化していた。
そこを進む能力者宮古島・うるみの元に、増援として猟兵が駆けつける。
「大事になっておりますねぇ。うるみさん、宜しくお願い致しますぅ」
まずは彼女と面識のある夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)。
「あ、お久しぶりッス。こちらこそよろしくお願いしますッス!」
自身の探索中に増援がくること、そしてその時は奥に尋常ならざる強敵が控えていることを知っているうるみは、彼女の登場でおおよその事情を察する。
そしてまず相手にするべきは、前方を塞ぐリリス『リベリエ・プディング』の集団。その前でるこるはいつもの様に浮き上がり、防御用兵装を展開する。
普段通りの自分用のものに加え、『FMS』のバリアはうるみの周囲に展開、彼女の前方以外を囲むように箱型に展開した。
「おお、これはありがたいッス! かっこいいッス!」
輝くバリアにうるみ(29歳既婚)も無邪気に喜ぶ。だがその前で、リベリエ・プディングたちも形態変化を始めていた。
粘ついた液体の様だった頭部が形態変化を始め、固体になる。それは焦げ茶色の髪とプリン色の肌の美少女の顔となり、さらに手には同じ二色に塗り分けられたバトンが握られていた。
そして頭部に変わり背中から絡めるソースが飛び出して広がり、翼となったそれをはばたかせ一気に飛翔した。
それに対しるこるは、射撃兵装『FRS』『FSS』の二種を展開、弾幕を張ることでそれを迎え撃つ。高速で突っ込んでくるリベリエ・プディングたちはまともにそれに当たり、次々と叩き落とされて行った。
透明城壁で覆われたこの地下スペースは、見通しの良さに反し実際動ける範囲は極めて狭い。こちらも敵を倒さず進んでいくことは出来ないが、相手もまた左右に動いたり裏回りすることは出来ず、正面衝突以外の選択肢は互いに取れないのだ。
そして、正面突破はこの能力者の十八番。
「鈍器使いなら負けないッス!」
正面から飛んでくるリベリエ・プディングを、うるみはハンマーを構えて待ち構える。スイーツモチーフの美少女という魔法少女感溢れる見た目に反し、彼女たちの戦法は物理オンリーだ。バトンを振りかざし迫る相手に対し、うるみは真正面からハンマーをフルスイングした。
「吹っ飛べッス!」
【ロケットスマッシュ】の乗ったハンマーがバトンを軽々押し返し、そのまま相手の体を吹き飛ばす。180度方向を変えて飛んでいった相手は、透明な壁にぶつかりまさに潰れたプリンとなって消えた。
そのまま砲の弾幕と、強烈なハンマーでリベリエ・プディングたちは叩き潰されていく。しかし、この城塞は左右には狭いが上下の高さはそれなりにある。そこでの機動を活かし、攻撃を抜ける者がついに出た。
それは後ろの巨大な的であるるこるに、高速でバトンを構え迫る。そして突進の勢いまで乗せた強烈な打撃が、その巨肉を鋭く捕らえた。
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『武産の加護』をお与え下さいませ」
その刹那、『FPS』での調査を含め直撃の一瞬を捕らえ、るこるは【豊乳女神の加護・廽釯】を発動した。
バトンが肉に打ち付けられめり込むが、その衝撃が波のように肉を伝って手まで届く。そしてそのエネルギーは構えた刀までそのまま伝わり、その勢いを乗せた斬撃がリベリエ・プディングを両断した。
刹那を見切る後の先、敵や味方の得意な力押しとは逆の技の極致が、物理少女を手ごたえも感じぬほどに鋭く切り分けていた。
「プリンは美味しいですし、出来れば平和に頂きたいですが」
プリン欲を拗らせ|ゴースト《オブリビオン》にまで落ちた彼女たち。その哀れなる結末を、るこるは甘い味と香りを思いながら見るのであった。
大成功
🔵🔵🔵
儀水・芽亜
うるみさん、ですね? 私は同じく銀誓館の卒業生です。お手伝いに来ました。ここにも何度通ったことか。
『透明城壁』とはまた懐かしい。ナイトメアビーストのオブリビオンが絡んでいるなら、潰すまでです。
「全力魔法」「精神攻撃」「浄化」で蝶霊跋扈。黒揚羽の群れに巻かれて、意識を失うといいですわ。
物理攻撃をしようと突っ込んでくるなら、自ら蝶の渦に巻き込まれに来るようなもの。片っ端から意識を刈り取ってあげますの。
全方位に展開して、仲間も守ります。頭上も覆いますから、飛んでも無駄ですわよ。
いちいち全部の相手はしていられません。さあ、奥へと進みましょう。
※UCで身長が2倍になるのは蝶の方
千鵠百貨店はかつて銀誓館学園が発見し、所属能力者が探索、修行していたゴーストタウンである。今探索している宮古島・うるみもその一人であるが、ここに喝てきたことがあるのは当然彼女一人ではない。
「うるみさん、ですね? 私は同じく銀誓館の卒業生です。お手伝いに来ました。ここにも何度通ったことか」
儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『|夢可有郷《ザナドゥ》』・f35644)もまたその一人。
「あ、銀誓館卒業の人ッスか! 初めまして、よろしくお願いしますッス!」
今も活動している卒業生がおり、その中には猟兵になった者がいることもうるみは知っている。これに対しても驚くことなく受け入れ、二人は透明城壁を進み始めた。
「『透明城壁』とはまた懐かしい」
「そうッスね、琵琶湖の聖杯戦争だから……いつでしたっけ?」
「14年前ですね。ナイトメアビーストのオブリビオンが絡んでいるなら、潰すまでです」
二人がまだ学園生だったころの戦い、その時もナイトメアビーストが主力となっていた。その時敵となったナイトメアビーストの何体かや中心にいた揺籠の君は第二次聖杯戦争で復活しており、そして今回もこの透明城壁やボスが持つ魔法のボストンバッグが蘇り今の能力者に立ちはだかっている。
そんな過去を思い進軍していくと、またも甘い匂いと共にリベリエ・プディングの集団が現れた。
「また出たッスね、ぶっ倒すッス!」
うるみがハンマーを構え迎撃しようとすると、それを制して芽亜が前に出た。
「漆黒の会堂に我は求めん。濁世に満つる、罪に染まりし汚れた生魄どもを喰らい尽くし、栄光なる清浄な世界へと導かんことを!」
ユーベルコード【蝶霊跋蠱】が発動し、芽亜の姿が15歳ほどにまで若返る。単純に童顔なうるみと違い、これは紛れもなくあの戦いの日々を過ごした時の体。若い身体で使うのはあの時からあった、しかし今に合わせて変質した力。芽亜の周りを黒揚羽が囲む。
それに対抗するように、リベリエ・プディングたちも頭部を美少女のものに変えてプリン色のバトンを構えた。そしてある者は床を蹴り、ある者は背の翼をはばたかせて二人に襲い掛かる。
その攻撃を、芽亜は動かずに待ち受けた。
黒揚羽の群れに突っ込んだとたん、リベリエ・プディングたちの動きが一気に鈍くなる。駆けてきた者は力なく倒れ、飛んでいた者は地に落ちた。
「物理攻撃をしようと突っ込んでくるなら、自ら蝶の渦に巻き込まれに来るようなもの。片っ端から意識を刈り取ってあげますの」
揚羽の群れは触れた者の意識を奪う。眠りに関わる能力はナイトメア、そしてその適合者の得意分野である。敵もナイトメアビーストの配下ではあるが、本質的にはリリスであり無条件に眠りに抗し得るなど都合のいい話は当然ない。
しかし、敵の数は多く道は狭い。一度に横に広がって攻めなかったこともあり、リベリエ・プディングの次陣が黒揚羽が展開するさらに上を飛び越えるように高く飛翔した。
何とか隙をついて突破するつもりだろう。やがて黒揚羽が薄い所を見つけたか、リベリエ・プディングたちがバトンを構えて頭上から一気に強襲をかけた。
「頭上も覆いますから、飛んでも無駄ですわよ」
その上部の黒揚羽の密度が一気に上がった。数が増えたのではない。蝶の大きさが倍加したのだ。
芽亜が使ったユーベルコードは重ね掛けするごとに効果が増す。さらにそれに際し負傷も回復するため、事前に揚羽を散らそうとしても一気に倒しきれなければそれは徒労となる。
かつてのゴーストとの戦いは数と火力のぶつけ合いが主流、待ちと守りに特化した戦法は余程特殊な状況でなければ採用されなかった。
しかし、今は違う。待つことも耐えることも、相手を倒す手となるのだ。
「いちいち全部の相手はしていられません。さあ、奥へと進みましょう」
突破できず地に落ちたリベリエ・プディングたちを芽亜は置き去りにし歩き出す。だがその後ろで、うるみはハンマーを高々と振り上げていた。
「これくらいなら時間かからないッス。おらぁ!!」
ずん! ずん! ずん! と轟音が連続で響き、ハンマーが眠っているリベリエ・プディングたちを瞬く間に叩き潰す。眠っていれば力任せの大振りでも確実に当たるし、うるみのパワーなら一撃で叩き潰すことも容易だった。
こちらは過去から伝統の力押しを終え、言った通りうるみはすぐに芽亜に追いつき歩き出す。この先にいる過去からの悪縁を断つため、銀誓館卒業生たちは透明の螺旋を進むのであった。
大成功
🔵🔵🔵
木霊・ウタ
心情
世界結界破壊儀式を絶対に阻止してやる
リリスも海へと還してやろう
戦闘
内なる炎が呼ぶ風をギターとして具現化
迦楼羅を炎翼として顕現させて
天井との中間地点あたりの宙を飛行し
ワイルドウィンドをかき鳴らしながら前進
炎を帯びた旋律が空間内を響き渡り
城壁内を木霊して幾重にも拡がりながら
正面から来るリリスを片っ端から燃やし溶かていく
その翼も溶け落ちて落下するだろう
逃げ場がないってのは丁度いいぜ
焼きプリンにしてやる
こんなカンジで空間内を炎に包みながらの前進は
うるみのつゆ払いにもなるだろう
プリンに関する妄執、か
何があったのかはわからないけど
その心残りは哀れに思うぜ
敵消滅後も演奏を続けて鎮魂とする
海で安らかに眠れ
透明城壁、それは城壁の名の通り本陣への進入を防ぐためのものである。そこで行われているのはかつてと同じ世界結界を破壊するための儀式。
「世界結界破壊儀式を絶対に阻止してやる。リリスも海へと還してやろう」
木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)はそれを阻止するため、城壁に沿って進んでいく。
そして中央への道には当然番兵が配置されており、リベリエ・プディングたちが何度となく侵入者の前に立ちはだかった。
それを前に、ウタはギター|ワイルドウインド《内なる炎が呼ぶ風》を構え、さらに背に炎の翼を背負って宙を舞う。
天井と床の中間あたりに浮き、ギターをかき鳴らしながら進むその姿は極めて目立ち、リベリエ・プディングたちも顔を人のものに変えて背中にカラメルの翼を生やしてそこへ飛んできた。
「纏めて還してやる。紅蓮に抱かれて眠れ」
ギターの演奏に伴い【ブレイズブラスト】を使用、周囲に反響する音に呼応するように炎が辺りに散り、リベリエ・プディングたちに着火していく。
少女たちのクリーム色の体が燃えていくが、彼女たちは自身の役目である侵入者の妨害を諦めることはない。燃える体でウタに突っ込み、手にしたバトンを叩きつけた。
「ぐっ!」
その力にウタの顔がゆがむ。だが、纏わりつかれてもウタは逃げはせず、ひたすら相手を焼いていくことに専念する。
「逃げ場がないってのは丁度いいぜ。焼きプリンにしてやる」
近くに来たお陰で相手のどこを発火させるかの狙いも付けやすい。狙うは背中のカラメルの翼。相手のユーベルコード効果であり、飛翔の元であるそれを狙ってウタはブレイズブラストの炎を演奏と共に振りまいた。
こちらも相手から逃げることは出来ないが、相手もこちらの炎から逃れることは出来ない。物理攻撃しかできない相手はこちらに突っ込んでくるしかなく、範囲内の全てを攻撃する技に自ら飛び込んできてくれるのだ。
「うるみのつゆ払いにもなるだろう」
翼を失って下に落ちれば、そこにはハンマーを構えたうるみがいる。飛行や広範囲などの能力は持たないが、間合いに入ったものを確実に叩き潰すパワーのある彼女の前に敵を落とせばそのまま仕留めてくれるだろう。実際、眼前に落ちて来たリベリエ・プディングを彼女は一振りで次々と仕留めている。
正面から来るリリスを片っ端から燃やし溶かて、空間内を炎に包みながら前進していく二人。やはり目立つウタの方に多くの敵は飛来して焼き落とされ、下に構えるうるみに叩き潰される。
また稀にうるみの方に先に行くものがいても、正面からの殴り合いになる以上彼女の得意分野での戦いとなり、この程度の数なら後れを取ることはない。
自分に殴り掛かってきては燃えていく少女達を見ながらウタは思う。
「プリンに関する妄執、か。何があったのかはわからないけどその心残りは哀れに思うぜ」
強い想念を抱いて死んだ者がゴーストになる。彼女たちを姿や能力までプリン一色に染め上げるそれは一体何だったのか。
襲ってくる敵がいない状況でもウタは演奏を続ける。それは彼が常にゴーストに対し奏でる海で安らかに眠れとの鎮魂歌だ。そしてそれを聞かせるべき相手にたどり着くべく、ウタは透明城壁にそってさらに進むのであった。
大成功
🔵🔵🔵
諏訪野・啓太郎(サポート)
『唯のろくでなしの旅烏ですよ。』
スペースノイドのスターライダー×電脳魔術士、33歳の男です。
普段の口調は「男性的(俺、呼び捨て、だ、だぜ、だな、だよな?)」、負傷した仲間には「元気に(俺、~くん、~さん、だね、だよ、~かい?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
敵を排し、ずんずん進んでいく能力者宮古島・うるみ。その後ろからまた一人の猟兵が現れた。
「あ、また新しい猟兵さんッスね。よろしく……え、バイク!?」
「俺は諏訪野・啓太郎……唯のろくでなしの旅烏ですよ」
相棒である宇宙バイクにまたがって登場した諏訪野・啓太郎(さすらいのライダー・f20403)はそう自己紹介すると、バイクの後部座席を指す。
「見えないけど、ここは一本道って話だ。ならこの方が早い」
うるみを後ろに乗せると、啓太郎は透明城壁の中を一気に走り始めた。見えない壁にこすることもなく一気に移動していくと、みるみるうちに中央に見える赤い姿が大きくなっていく。
そしてそこに最後の防衛線の如く、リベリエ・プディングたちが立ちはだかって来た。
すでに全員人型となり、決死の特攻の如く一斉に飛翔しバイクに突っ込んでくる。
「ちっ!」
その状態でバイクを急旋回させ、バイクの車体と車輪で低空にいた相手をひき潰しながら停車する啓太郎。うるみはその勢いで後部座席から飛び出し、そのまま回転してリベリエ・プディングにハンマーを叩きつけた。
「ぶっ壊れろッス!」
うるみの|能力《アビリティ》ローリングバッシュが、リベリエ・プディングの頭と翼を叩き壊し地面に落下させる。
その後ろで、バイクにまたがったまま啓太郎も腕の『スーパークラッシャー』で敵を一体ずつ撃ち落とした。
「うちの愛車に気軽に触らないでもらえるか!」
射撃を抜けて高速で突撃しバトンを叩きつけてくる相手は、うるみの方に蹴り飛ばして仕留めて貰う。
そうして少しずつ数を減らすが、ここに全ての人員を集中させているのか一向に数が減る様子はない。体力自慢のうるみはまだ疲労こそみられないが、単体特化の彼女では集団の数を減らすのは難しかった。
「あの、バイクから降りないんスか?」
そんな状態でバイクにまたがったままで戦う啓太郎にうるみが尋ねる。それに対し啓太郎はそっけなく答えた。
「そりゃ、戦闘中に武器から離れる奴はいないからな」
そう言って啓太郎はバイクのスロットルを走行中と違う形で開ける。その瞬間、逃げようとしたとでも思ったのかリベリエ・プディングたちが一斉に啓太郎へと飛び掛かった。
「これでとどめだ、決めるぜ!」
だがバイクは発進することなく、そこに積まれた全武装が【スーパーフィニッシュ】として一気に発射された。それは周囲のリベリエ・プディングたちに次々着弾し、その全てを叩き落としていく。
「うわぁ……バイクが武器なんて初めて見たッス!」
彼女の現役時代、車やバイクは個人が趣味でたしなむ以上のものではなく、戦場に持ち込むどころか移動手段としてすら使われることは少なかった。それを必殺の武器として使った彼の戦法は、うるみにはやはり珍しいものであった。
倒れたリベリエ・プディングたちが放つ甘い匂いの中、啓太郎はうるみを後ろに乗せ再び透明城壁を走り出す。
「……壁が消えた」
やがて肌に感じる空気の流れが変わったことを感じ、啓太郎はバイクを止める。そこに溢れていたのは、プリンとはまた違う甘い匂いであった……
成功
🔵🔵🔴
第2章 ボス戦
『マスター・ジャムウォッシュ』
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POW : ベリージャムみだれ
【ストロベリージャム 】【ブルーベリージャム】【ラズベリージャム】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
SPD : ジャムが恋しくなる頃
攻撃が命中した対象に【ジャム欠乏症 】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【ちょうどジャムが欲しくなる状況】による追加攻撃を与え続ける。
WIZ : ジャムある限り無限なり
200G(万円)相当の【ストロベリージャム 】をx個消費し、ランダムな強さ・外見を持つ【ジャム】族の【マスター・ジャムウォッシュ】をx体召喚する。
イラスト:ポポンフローンム緋倚
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「リギ・マッカ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
螺旋の透明城壁を抜けた渦の中心、そこは今まで以上に甘い匂いの漂う空間であった。
「これはこれは、ここまで来てしまわれましたか」
そこにいたのは、桃色の羽毛を持った男声の鳥人間。その手には赤い中身の入った大きな瓶が抱えられている。
「いえ言わずとも分かりますとも。皆さんもこの甘い匂いに惹かれたのでしょう」
そう言って瓶のふたを開けると、そこからは濃厚な苺の香りが漂ってきた。
「私も同好の士として皆さんをお迎えするのは吝かではない。しかし我が背には偉大なる使命を持つ聖なる杯が負われておりましてね。彼女に皆さんを会わせるわけには行かぬのですよ」
そう言う男の周囲に僅かにきらめく壁が見える。これはユーベルコード【ガラスのラビリンス】。その効果は『戦場全体に、【透明なガラス】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない』というもの。
彼は『マスター・ジャムウォッシュ』。ハビタント・フォーミュラによって『透明城壁』の能力を与えられ、その力を利用して自身の能力と同時に【ガラスのラビリンス】を使い、それによって聖杯への最後の砦として立ちはだかる者だ。
「プディング嬢たちを踏み越えたお力は認めますが、我がジャムは彼女たちより甘く、我が法力は甘くない。世をジャムに沈める儀がために。マスター・ジャムウォッシュ、参りましょう」
デパート地下がベリーの匂いに覆われる。透明城壁を完全に破壊し世界結界破壊儀式を行う者を引きずり出すため、二つのユーベルコードを同時に扱うこのジャム狂信者を打ち砕け!
儀水・芽亜
すみません。私、朝のトーストはマーガリンだけの主義なんです。
では、「破魔」「武器に魔法を纏う」「魔力吸収」で目覚めの時間。
ジャムを投げられる前に「先制攻撃」で「切り込み」、裁断鋏でその身を包む硝子迷宮を「切断」して消去します。
投げてくるジャムはステップを踏む「フェイント」で「受け流し」、身に受けた時は早め早めに、自分に目覚めの時間を使って影響を除去。
自己強化抜きの地道な白兵戦を、裁断鋏を振るって延々繰り広げます。
この血飛沫、鉄の匂いでなくジャムの香りな気がするのは、さすがに思い込みでしょうか。
そのジャムを投げる腕を「部位破壊」させてもらいます。
泥仕合ですが「継戦能力」で戦意を維持し滅多突きに。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
どうせなら、食パンでも持ってくれば良かったですかねぇ?
【燦華】を発動、『祭礼の女神紋』により『祭器』共々、全身を『光』に変換しますねぇ。
「お互いの視界が通る」=「視力の原理的に光が通っている状態」、『光』に変化した状態なら透過しての突破も可能でしょうし、【UC】故の特性で防がれても『FPS』で迷路の構造を把握した状態で『光速移動』で突破すれば然程時間は掛かりません。
【ジャムみだれ】も『光速』と『隙間に入り込む能力』で回避すれば問題有りませんので、『FRS』『FSS』の[砲撃]で叩きますぅ。
時間が経てばうるみさんも突破してくるでしょうから、その勢いで連携攻撃願いますねぇ。
透明城壁の主『マスター・ジャムウォッシュ』。妨害役だったリベリエ・プディングがその名の通りの存在であったように、彼もまたジャムを愛しジャムを持って戦う存在であった。
「どうせなら、食パンでも持ってくれば良かったですかねぇ?」
「すみません。私、朝のトーストはマーガリンだけの主義なんです」
「自分は食えれば何でもいいッス!」
そんなジャムを携える敵の前で、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)と儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『|夢可有郷《ザナドゥ》』・f35644)、そして能力者宮古島・うるみはそんな会話をしながら敵を見る。
「何、パンに塗るだけがジャムの食べ方ではありませぬよ。例えばそうですね……ジャム濡れになってみるというのはどうでしょう」
マスター・ジャムウォッシュの抱える瓶の中身がいつの間にか青く変わっており、そこからブルーベリージャムが大量に飛び出し三人へと襲い掛かった。
三人がそれぞれ別方向へ飛ぶと、その中央部にジャムは着弾しはじけ飛ぶ。だがそれは全て床に広がりはせず、何かにぶつかったように空中で盾に垂れていった。
「また壁があるんスか!?」
うるみが驚いたように言うが、猟兵二人はそれが何なのか分かった。これは透明城壁の能力で作り出された【ガラスのラビリンス】。アリスラビリンスのアリス適合者の能力であり、戦場全てをガラスの迷宮で包むユーベルコードだ。
「大いなる豊饒の女神、その象徴せし欠片の一つを我が身へ」
それを確認したところで、るこるは【豊乳女神の加護・燦華】を発動、体を光に変えて迷路を無視しようとした。
「おっと、ズルはいけませんね」
それに対してマスター・ジャムウォッシュはラズベリージャムを放ち、迷路の中に展開する。それは迷路の壁のいくつかに張り付き、そこに壁があるのを教える代わりに塗りつぶしてしまい光による透過を遮った。
「夢も悪夢ももうお仕舞い。本当のあなたに戻りましょう」
ならばと芽亜は【目覚めの時間】を込めた裁断鋏でガラスを切りつける。だがそれはガラス面に傷一つすらつけることなく、ただ不快な手応えを手に返して来るのみであった。
「さて、これは私本来の法力ではありませぬが……ハビタント師曰く『フォーミュラでも壊すより抜けた方が早い』だそうで」
ガラスのラビリンスは事実上破壊不可能な迷路。それを脱出するには迷路の突破か術者を捕らえて倒す以外方法はないと言ってよいのだ。
戦うためには出口に居座る相手の元までたどり着くより他はなし。るこるは情報収集用の兵装を用い迷路の情報を集めつつ、光の速さでその道筋を辿ろろうとする。
迷宮はガラス製故にジャムで塗りつぶされた場所以外は視覚的な情報は集めやすい。それを元にるこるは移動していくが、移動速度が速すぎて情報が集まる速度を超えてしまい、曲がり角の度に時折止まる必要が出てきてしまった。
「こーゆーの苦手ッス。どこいきゃいいんスか……」
「目印はあります。ついていきましょう」
だが、その姿は芽亜やうるみにとって目印になる。それを追う形で二人が迷路を進んでいくが、マスター・ジャムウォッシュもまたただ座してそれを待っているだけではなかった。
「お疲れでしょう。どうぞ糖分補給なさってください」
待ち受けるように迫る赤いジャム。そのジャム津波には、芽亜が前に出てかき分ける。
「塗られる趣味もありません」
回避しきれず体についたジャムが纏わりつき、それが体の動きを阻害していく。そのジャム塗れになった体に、芽亜は迷わず鋏を突き立てた。
それは体を傷つけることなく付着したジャム、そしてそれによる行動阻害だけを切り取って落としていく。開いた隙間をるこるも抜け、さらに後ろからうるみも小柄な体で後に続いていった。
そしてガラスの迷宮の唯一の出口までたどり着いた者を、マスター・ジャムウォッシュが瓶を抱えて出迎える。
「お疲れ様でした。ジャムにて労いましょう」
瓶から赤、青、紅の三つのジャムが次々と飛び出し襲い掛かった。その狭い隙間を最初についていたるこるが抜けながら肉薄し、遅れて射撃兵装が攻撃を撃ちかけていく。
「そのジャムを投げる腕を「部位破壊」させてもらいます」
続いてジャムを回避と食らい抜けを使い分けてやって来た芽亜が、マスター・ジャムウォッシュの腕を狙い鋏を突き立てた。
そこから噴き出す赤い色のものが芽亜に付着するが、食らって除去する対象として選んだ赤いジャムとその感覚はよく似ていた。
「この血飛沫、鉄の匂いでなくジャムの香りな気がするのは、さすがに思い込みでしょうか」
いずれにせよ、泥仕合だろうとこのまま強化も弱化もない状態を維持してじりじりと攻め続けるのみ。派手な爆撃でジャムを焼いていくるこると、とにかく地道に攻撃を繰り返す芽亜。
「これは、中々……しかし、私のジャムは赤だけにありませぬぞ」
ラズベリーとストロベリーを躱される中、ブルーベリージャムを放とうとするマスター・ジャムウォッシュ。だが、攻撃ジャムが三種あるようにこの場に戦う者も三人いる。
「そろそろ、追いついてくる頃でしょうかぁ」
その言葉に応えるように、迷宮の後ろからも紺色の長い髪がなびき現れる。
「それを食わせるッス!」
うるみがマスター・ジャムウォッシュに飛びつき、【吸血噛みつき】で放たれようとしたジャムごとその生命力を吸い上げた。全くそんなイメージではないが種族はヴァンパイアである彼女、その牙の鋭さと咬合力はかなりのものだ。
待っていた連携が来たとばかりにるこるは砲撃を激しくし、一方芽亜はやることは変わらぬとストロベリージャムごとの切断を続けていく。
三つの攻撃が三つのジャムをそれぞれ平らげ、マスター・ジャムウォッシュの命さえも啜っていくのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
シン・クレスケンス(サポート)
◆人物像
落ち着いた雰囲気を持つ穏やかな青年。
窮地でも動じず冷静な状況判断で切り抜ける。
◆戦闘
射撃(愛用は詠唱銃だが、様々な銃器を使い分けている)と魔術による広範囲攻撃が主。
魔力の操作に長け、射撃の腕も確か。
作戦次第では、闇色の武器を召喚(UC【異界の剣の召喚】)して前衛を務めることもある。
◆特技
・情報収集
・機械の扱いにも魔術知識にも精通している
◆UDC『ツキ』
闇色の狼の姿をしており、魂や魔力の匂いを嗅ぎ分けての追跡や索敵が得意。
戦闘は鋭い牙や爪で敵を引き裂き、喰らう。
◆口調
・シン→ステータス参照
(※使役は呼び捨て)
・ツキ→俺/お前、呼び捨て
だぜ、だろ、じゃないか?等男性的な話し方
死絡・送
SPD
アドリブ絡み歓迎
「ノーブルバット参上!」
と叫び参戦。
敵の攻撃は回避主体でノーブルランやサーヴァントバットをを放ち
牽制しつつ距離を詰めて攻めに行く。
相手の攻撃は回避で防ぎに挑む。
牽制攻撃をしつつ現場を見て置き、移動の際は足を滑らせたりせぬように足場を確保して進む。
「ジャムは生き物に使うもんじゃねえ!」
相手の攻撃は回避の際に念動力を使い逸らしと回避率を上げる。
間合いを詰めたらノーブルアンカーで殴ると見せかけて
鎖で敵の絡め取りを試みる。
段階を踏んでノーブルブローを打ちに行く。
「ノーブルバット参上!」
次に千鵠百貨店地下に現れたのは死絡・送(ノーブルバット・f00528)。黒いヒーロースーツ姿で堂々とそう宣言し、ポーズをとった。
だがマスター・ジャムウォッシュはその前で悠長に構え、攻撃の姿勢を見せてはこない。その敵相手に、送は牽制として『サーヴァントバット』と『ノーブルラン』を放ちつつ、自身は一気に距離を詰めようと攻め込んだ。
「ぐおっ!?」
だが飛ばした武器は全て空中で何かにぶつかって落ち、送自身も見えない壁に激突。勢いがそのまま全身への衝撃になり、受け身も取れずに後ろに倒れる。
「真っ直ぐ一本道の迷路などは流石に聞いたことがありますまい」
目の前にいるはずのマスター・ジャムウォッシュの前には薄く見えるきらめく壁。透明城壁の力で作り出した第二のユーベルコード【ガラスのラビリンス】が、このデパート地下を透明な迷路に変えていた。
敵は悠長に待っていたのではなく既に攻撃を開始していた。この追加能力の存在を完全に失念していた送はとにかく相手に接近せねばと迷路を駆けるが、これに対する想定が一切なかっただけにただ迷うばかり。
「落ち着いてください。情報収集は得意分野です」
ガラスにぶつかりながら闇雲に走る送を、冷静な声が諫めた。シン・クレスケンス(真理を探求する眼・f09866)が情報機器を携え後ろから現れていた。
シンが手持ちの旅行鞄を開くと、そこから様々な秘密道具が飛び出し即席のデバイスのような形になる。シンはそれと手持ちの仮想キーボード『Equipment:data『Abyss staff』』を使って『e-server『connect:CHAOS』』を起動、周囲の情報を高速で分析しはじめた。
「構造分析、経路測定……把握できました。僕の言う通りに進んでください」
シンが表示された経路を伝えると、送はそれに従い進みだした。
「床は壊れかけです。足元に注意してください」
「了解!」
壁はユーベルコード製の破壊不可能なガラスでも、床は何十年とまともに手入れされていない廃墟。万一の時に足を取られないように足元を注意する送。
そして同時に、送の心にある欲求が湧き上がってくる。
「ほっほっほ、そろそろジャムが食べたくなってきたのではありませぬかな?」
ガラスのラビリンス内に入り込んだことで、マスター・ジャムウォッシュ本来のユーベルコード効果である『ジャム欠乏症』が起こり始めたのだ。
後ろを見れば、シンも少し硬い表情で頷いている。迷路に欲求という掟破りのユーベルコード重ね撃ちにより、マスター・ジャムウォッシュは二人の精神を削っていた。
何かが直撃しているわけではない。だが迷路の中にいる限り敵の術中とも言える。特に送は何度かガラスにぶつかっていることもありその効果は大きい。
とかく、冷静に。シンは普段の冷静さを努めて保ちつつ移動指示を出し、送はそのナビゲートに従い敵を目指す。
「……最後です!」
そして待ちに待った指示。ついに迷路は終わり、マスター・ジャムウォッシュへの道は開けた。
「ジャムは生き物に使うもんじゃねえ!」
募ったジャム欲をぶつけるかの如く、送は『ノーブルアンカー』を振り上げ猛然とマスター・ジャムウォッシュへと襲い掛かった。
「そのような先入観にとらわれてはいけません。ジャムの可能性は無限です」
マスター・ジャムウォッシュが瓶のふたを開けると、攻撃用ジャムが弾力の塊となって跳び出した。それはこの上なくジャム欲を刺激し、自ら攻撃に当たりに行きたいほどの欲求を相手に起こさせる。
「うおぉぉぉぉっ!!」
獣の如く送が吠え、ジャムへと飛び込んだ。振り下ろされたノーブルアンカーがジャムに飲まれ、攻撃能力をなくす。そしてそのまま、送自身もジャム濡れの運命をたどる。
「……!?」
そう思われた瞬間、マスター・ジャムウォッシュが瓶を取り落とした。その腕は、アンカーから伸びた鎖部分に絡めとられていた。
「どうせなら、出ている元を貰おうか!」
送はノーブルアンカーを攻撃に使うつもりはなかった。目的は鎖による本体の戒め。たとえジャム欲に侵されていても、その策を忘れることだけはなかった。
そのまま力いっぱい鎖を引き、マスター・ジャムウォッシュを眼前に引き寄せる。
「正義の怒りで撃ち砕く! 喰らえ必殺、ノーブルブロー!」
その勢いのままに、【ノーブルブロー】がマスター・ジャムウォッシュに叩き込まれた。
マスター・ジャムウォッシュが後ろに吹っ飛ぶが、その体は鎖で止まる。
「あなたの甘い魔力には食傷気味で……僕も少しやらせてもらいますよ」
ここまで|魔力《法力》の匂いを嗅いで案内に徹してきたシン。接敵しない後方からの【ヘッドショット】が、彼がただのナビゲーターではない一流の戦士であることをマスター・ジャムウォッシュの頭に叩き込んでいた。
二つの衝撃にマスター・ジャムウォッシュは鎖から離れ後方へ吹っ飛んでいく。その軌跡には、対象を失ったジャムが血痕の如くぶちまけられていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
木霊・ウタ
心情
なんつーか
この鳥野郎がジャムの良さを語るのって
逆にジャムを侮辱してるように感じるぜ
なんか虫唾が走る
海へ還してやる
戦闘
迷路を駆け抜けながら
引き続きワイルドウィンドを弾く
走りながらの演奏もサウンドSなら楽勝だ
音の反射から
音が抜ける場所=一箇所しかない出口を感知する
地獄の炎を孕んだ音が
迷路内を木霊して増幅しながら響き渡る
音は出口から抜けるし鳥野郎は見えている
だから迷路内からも鳥野郎を燃やせるはずだ
ダメ元で試すぜ
出口を目指すけど
ショートカットも目指して迷路破壊も試みる
こっちもダメ元だ
迷路を炎で炙る
ガラスは炎で溶けるもんだ
更に迷路の固有振動数を割り出したら
その振動数を演奏に乗せて迷路へぶつけるぜ
ショートカットしてもしなくても
迷路から抜けたら曲はクライマックスだ
ジャムを全て宙で燃やし溶かす
勿体無いことさせるなよ
ジャムは投げるもんじゃないぜ
そのまま演奏と共に獄炎を間断なくぶつけて
焼き鳥に
事後
演奏を続けて鎮魂曲に
ジャム狂いも痛みを和らげる為だったのかも、な
海で安らかに
マスター・ジャムウォッシュはその名の通りのジャム愛好家である。ジャムを愛し、ジャムで戦い、世界をジャムで塗りつくさんとするジャム狂信者のゴーストである。
その嗜好に、木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)は顔をしかめる。
「なんつーかこの鳥野郎がジャムの良さを語るのって逆にジャムを侮辱してるように感じるぜ。なんか虫唾が走る。海へ還してやる」
彼のジャム愛を間違ったものとして、それ諸共彼を骸の海に送らんとするウタ。だが近くに見える彼との間は既にガラスのラビリンスによって阻まれており、すぐに相手を攻撃するのは不可能な状態だ。
その迷宮の中を、ウタはギター『ワイルドウィンド』をかき鳴らしながら走る。もちろんただのパフォーマンスではない。
ガラスのラビリンスに反響する音を耳を澄まして聞き分ける。音は空気を伝っていく故に、それが遮られず届いていく方にたとえ見えなくとも道はあるはずだ。ガラスのラビリンスの出口は一箇所しかない。完全に抜ける方向こそ目指す方向というのは自明の理だ。
ギターを弾きながら走り、さらに音の反響にまで神経を集中するという複雑な離れ業も、サウンドソルジャーであるウタならばできて当然の芸当。そう言わんばかりに、ウタは迷わずマスター・ジャムウォッシュへの最短の道を割り出し迷路を突破していく。
「音は出口から抜けるし鳥野郎は見えている。だから迷路内からも鳥野郎を燃やせるはずだ。ガラスは炎で溶けるもんだ。固有振動数を割り出してぶつけてやる」
そしてこの音はただの音ではない。ウタのもう一つの力、ブレイズキャリバーの力を込めた燃える音だ。地獄の炎を孕んだ音が迷路内を木霊して増幅しながら響き渡り、反射した先で音が炎と変わる。小さな爆発を起こすかの如くいくつも燃え上がり、迷路や出口にいるマスター・ジャムウォッシュに攻撃を仕掛けんとした。
「屋内で火を放つとは感心しませんな。とはいえ防火設備は万全です」
やはり極度の固さを持つ迷宮のガラスは炎に炙られても煤すらつかない。またマスター・ジャムウォッシュの近くで起こった炎は、ジャムを使うまでもないと言わんばかりに彼自身が手羽を軽く振って掻き消してしまった。
「やっぱそう上手くはいかないか。まあどうせダメ元だ」
やはり迷路の奥から倒せるほど生易しい相手ではない。だがショートカットできないからと言ってそれで作戦が崩れるわけではない。例え攻撃は出来なくても、迷路を抜ける道はすでに見つけているのだ。
音の導きに従って透明な迷宮を抜けるころ、曲はクライマックスに差し掛かる。
「ようこそ、いらっしゃいませ。温めたジャムを差し上げましょう」
マスター・ジャムウォッシュの周囲に三色のねばつく奔流が巻き起こった。一斉に飛ばされる三種のジャムに、ウタは炎をぶつけて焼き焦がしていく。
砂糖の焦げる強烈な甘い匂いが辺りに充満し胸焼けしそうなほどになるが、炎もジャムも衰えを知らず繰り出され続け空中で力の押し合いを繰り広げる。
「勿体無いことさせるなよ。ジャムは投げるもんじゃないぜ」
「そう思うのならばジャムを受け入れるのです」
マスター・ジャムウォッシュにとってジャムとは全て。己の全てをかけたまさに全身全霊の力が、赤い炎を喰らいついに青いジャムをウタの体に届かせる。
「まず一つ……後は達磨式です」
そしてそれにより火力が弱った瞬間、深い赤が炎を乗り越えウタの腕に絡んだ。ジャムは当たる度に攻撃力を低下させる。一度当たれば次弾がより当たりやすくなる。マスター・ジャムウォッシュの用いるジャム殺法の必殺の型だ。
「纏めて還してやる。紅蓮に抱かれて眠れ」
その一撃の前に。ウタは自身の体にある酸素さえ燃え上がらせるかの如き【ブレイズブラスト】を持って、相手の最後の一撃を迎え撃った。
それはとどめの苺色を焼き尽くし、マスター・ジャムウォッシュを取り巻く。
「なんと!?」
通常の炎では最早防ぎきれない。封じられる前にユーベルコードを持って、相手の魂ごと焼き尽くさんばかりの業火をオーバーロードした力で叩きつけた。
「焼き鳥にジャムは合わないだろ?」
タレ、塩論争は永遠に尽きぬとも、そこにジャムの入る余地はない。ジャムのみ、甘味一色の世界など願い下げとばかりに、ウタはマスター・ジャムウォッシュを焼き鳥にしていく。
「我が世界……我らが大願……! 甘蝕どの……どうか聖なる器に満たされし甘味で……我らの望む世を……世に甘あれや、甘蝕大姉世界結界破壊儀当成蘇婆訶……!」
炎に飲まれたマスター・ジャムウォッシュ渾身の声。その姿が完全に炎の中に消えると同時に、決して壊れないはずのガラスの迷宮が高い音を立て粉々に砕け散った。
「ジャム狂いも痛みを和らげる為だったのかも、な。海で安らかに」
それの意味するところを察し、本来妖獣だったというマスター・ジャムウォッシュに鎮魂歌を捧げるウタ。
だがそれは長くは続けられない。城壁を抜けた先には、敵の本丸があるのだから……!
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『甘蝕』
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POW : 甘蝕症候群
自身が装備する【ショルダーバックに入った小瓶】から【甘い食べ物への執着心を齎すカラフルな砂糖】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【甘い食べ物以外への躰の拒絶反応】の状態異常を与える。
SPD : シュガー・ホリック
【幻覚を引き起こす、恋する彼女の純粋な言葉】が命中した生命体・無機物・自然現象は、レベル秒間、無意識に友好的な行動を行う(抵抗は可能)。
WIZ : Sweetheart
自身と対象1体を、最大でレベルmまで伸びる【得物のスプーンに付いたピンク色のリボン】で繋ぐ。繋がれた両者は、同時に死なない限り死なない。
イラスト:アリ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「穂積・直哉」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ジャム狂信者のゴースト『マスター・ジャムウォッシュ』が倒れると同時に、彼を核として発動していた透明城壁は解除された。最初に踏み込んだ時は途方もなく広く、また見えない壁で螺旋に区切られていたデパート地下は、今は広くはあるがそれは上階と同じ程度。ただの荒れ果てたビルの廃墟へと戻っていた。
その地下フロアの中心、今までマスター・ジャムウォッシュがいたところに、彼とはまた違うピンクの姿が一つ。
「もーマスターってば! 甘蝕なんて可愛くない名前じゃなくて、スウィートハートって呼んでって言ったでしょ!?」
なにやら文句を言いながら現れたその少女。片手に持った巨大スプーンに、肩から下げた大きなボストンバッグ。そしてもう片方の手には、古めかしい大きな杯が掲げられていた。
一部の猟兵には見覚えがあろうそれ。そしてこの場にいる能力者にも。
「それ……聖杯ッスか!?」
能力者宮古島・うるみがその杯を見て声を上げた。およそ14年前、2年前、そして今現在もそれを巡り激しい戦いが繰り広げられている、世界結界の核となる超メガリス、聖杯。
「ふっふーん。そうよ。ハビタント・フォーミュラ様から貰ったこれで世界結界をぶち壊して、代わりに世界をスイーツで埋めてやるんだから!」
乾杯するように聖杯を掲げる甘蝕。するとその縁から緑色の粘液が僅かに零れだす。
「それにこのバッグがあれば、スイーツ無限に買い放題! 昔ここにあったっていうスイーツスクエアだってぜーんぶ買い占められちゃうんだから!」
さらに彼女がバッグの口を開ければ、そこから大量の一万円札が飛び出した。そこに描かれた偉人が三人揃い踏みしているのは、この千鵠百貨店の歴史と|本来の持ち主《旧ナイトメアビースト》の時代、そして新たなゴーストである甘蝕の力が合わさった結果だろうか。
そして甘蝕が聖杯を大きく振ると、中から緑の粘液が大量に飛び出して一万円札を包む。そしてそれは形を変え、緑の小さなマスコットのような生物たちへと姿を変えた。
「見なさい、お金の力で買い集めたスガリちゃんたちよ!」
その生物はゴースト『スガリ』。古くからいる集団型ゴーストで、強くはないがゼリー状の体で群れを成して攻撃してくる地縛霊だ。
未知の敵と既知の敵、そしてメガリスを前に、うるみは恐れることなくハンマーを握る。
「甘蝕だか甘食だかしらないけど、自分はお前らぶっとばしてここの土地掃除しに来たんス、お前らの儀式なんて知ったこっちゃないんス! あと綺麗にしたらスイーツだけじゃなくて弁当とかお惣菜も売るッス!」
職業デパート店員の彼女的に、地下フロア全てを一種類の商品で埋めるのはNGらしい。
「だ・か・ら、私は甘蝕でも甘食でもなくてスウィートハート! じゃなくて、私の儀式を邪魔するなら、あなた達には一足先に甘い世界に沈んでもらうわ! 甘くて蕩ける恋のスイーツ、召し上がれ!」
甘蝕がスプーンを掲げると、スガリ達も一斉に猟兵に向かって手を振り上げる。さあ猟兵よ、強力なボス『甘蝕』と無限に湧き続ける集団敵『スガリ』を同時に打ち倒し、世界結界破壊儀式を粉砕するのだ!
儀水・芽亜
そんなに甘いものがお好きなら、サッカリンでも食べていなさい。
メガリス『聖杯』は、渡してもらいますよ。
『魔法のボストンバッグ』まで。ハビタント・フォーミュラは太っ腹ですね。出来ればそちらも回収しておきたいところです。
ナイトメアに「騎乗」しナイトメアライドで「騎乗突撃」して、スガリどもの群を「こじ開け」「蹂躙」しながら、甘蝕にアリスランスで「ランスチャージ」を叩き込みます。
何か妄言を吐いているようですね。「呪詛耐性」「狂気耐性」「霊的防護」で抵抗しましょう。あなたの言葉など、私には無意味です。
一ゴーストタウンには過ぎたメガリス、銀誓館学園が回収します。大人しく渡してもらいましょう。さあ、覚悟!
世界結界破壊儀式を行うゴースト『甘蝕』。世界をここまで出て来たゴースト同様、彼女もまた狂信的と言えるほどに甘いものを愛好していた。
「そんなに甘いものがお好きなら、サッカリンでも食べていなさい。メガリス『聖杯』は、渡してもらいますよ」
儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『|夢可有郷《ザナドゥ》』・f35644)は彼女の姿勢をそう切り捨てながら、彼女の持つものに注目する。
「『魔法のボストンバッグ』まで。ハビタント・フォーミュラは太っ腹ですね。出来ればそちらも回収しておきたいところです」
かつてナイトメアビーストが己の財力を基盤に創造した、無限に金の出てくるバッグ。聖杯と共に甘蝕に与えられたそれだが、もちろんただの飾りではない。
「これは私のお金よ! さあスガリ軍団、あの泥棒を捕まえちゃって!」
その金の力で揃えたゼリー状ゴースト『スガリ』たちが、芽亜を捕らえようと一斉に縋りつく。
「さあ、誰から《悪夢》の蹄にかかりたいのかしら?」
その前で、芽亜は【ナイトメアライド】で純白の|愛馬《ナイトメア》を召喚。それに騎乗しスガリの群れへと自ら突っ込んでいった。
脆いスガリたちは蹄に踏み潰され、緑の欠片となって床に散らばる。そして芽亜は馬上でアリスランス『ディヴァイン・ユニコーン』を構え、そのまま甘蝕へと思い切り体当たりした。
「ぐえっ!?」
槍の穂先が甘蝕の体を抉り、思い切りえずかせる。その状態で彼女が下げるバッグに手を伸ばそうとするが、それは甘蝕の手によって掴み取られた。
「お金ばっかりじゃなくて……私の事も見て? あなたの可愛いスウィートハートちゃんだよ?」
敵相手に笑って囁く甘蝕。その言葉と共に、芽亜の周囲にパステルカラーの大量のスイーツが出現した。
「何か妄言を吐いているようですね。あなたの言葉など、私には無意味です」
その言葉とスイーツの正体は芽亜も分かっている。聖杯やボストンバッグではなく、この言葉こそが彼女の本来の能力。聞いたものに幻覚を見せ己に友好的な動きをさせる甘い囁きだ。
だから己の心に防御を布き、その言葉に耳を貸さないようにする芽亜。目的は儀式の阻止、そして聖杯の奪取だと忘れぬように相手を睨みつける。
そして今度こそと甘蝕の持つ聖杯に手を伸ばす芽亜。だが、その手に緑色の粘液が取り付いて動きを止めた。
「はい、スガリちゃんのおかわり~。足りなくなったらいくらでも言ってね?」
こじ開けたスガリの生き残りに加え、ボストンバッグがある限りスガリは無限に湧き続ける。それは芽亜も分かっているからこそ彼女の装備の奪取を狙ったのだ。
だが、甘蝕の実力はマスター・ジャムウォッシュ以上。流石に突撃一回でダウンさせられるような相手ではなかった。
密着距離に入ってしまうとランスのリーチはむしろ邪魔になる。さらにスガリの纏わりつきに甘蝕の無意識の友好的な行動が重なれば、芽亜は文字通り甘蝕に『釘付け』にされてしまうことになるだろう。
しかし、動きは封じられていても心の防御は敷いてある。その隙間を縫い相手の甘い言葉が心に染み入る前にと、芽亜はランスを手放し裁断鋏に持ち変える。
「一ゴーストタウンには過ぎたメガリス、銀誓館学園が回収します。大人しく渡してもらいましょう。さあ、覚悟!」
腕を振るい、鋏の刃で甘蝕を切りつけた。
「きゃっ!?」
囁くために近づけていた顔にその刃が走り、甘蝕は思わず後退る。それと同時に白馬が暴れ、纏わりついていたスガリを強引に跳ね飛ばした。
「ひっどいなぁ……舐めるのは甘いものだけにしたいのに」
下を伸ばし、口近くの傷を舐める甘蝕。その手とその肩に持つ二つの道具、それはやはりゴーストの手に在ってはならぬと、芽亜はその姿に思うのであった。
成功
🔵🔵🔴
榛原・七月(サポート)
「助けが必要? なら、手を貸すよ」
元武蔵坂学園の灼滅者(サイハNPC)。20代ですが外見は17歳当時のまま。
廃墟と悪戯が大好きで、廃墟となれば目を輝かせて喜びます。
悪戯好きを活かしたトリッキーな戦い方を得意としています。
指定されたユーベルコードはどれでも使用。
元サーヴァントであるウィングキャットの黒猫「クロ」をだいたい連れ回していますが、クロは喋りません(重要)。元々おとなしく、たまに鳴く程度。
学園時代より少しばかり表情は豊かになりましたが、それでも大きな変化はあまりありません。
好きに使ってください。よろしくお願いします!
台詞例:
「僕にいい考えがある」
「撮っていい? 動画のネタになるかも」
印旛院・ラビニア(サポート)
・境遇的なものもあり、思考や嗜好は成人男性のものです(恥ずかしいので自分からは喋らない)
・基本的にはヘタレで気弱、強者にビビるし弱者に慎重な面もありますが、物事がうまくいったり周りに煽てられるとイキって墓穴を掘ることもあります
・なんだかんだで人がいい
・やり込みゲーマーで現状を学ぶ【学習力】と自分のプレイに【チューニング】できる応用力が武器
・キャバリア・劫禍との関係はUCの秘密設定あたりで察してください
UCは活性化した物をどれでも使用し、例え依頼のためでも、公序良俗に反する行動はしません。えっちな展開はコメディ目であれば許容
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
最後に控えるボスゴースト甘蝕は世界結界破壊儀式を任せられるだけあり、相当な実力を持つゴーストであった。
「なんかふざけてる感じだけど強いッスねこいつ……」
能力者宮古島・うるみも相手の力を見て取り、攻め込むのに慎重になっている。
「助けが必要? なら、手を貸すよ」
そんな彼女に後ろから声をかける者が現れた。榛原・七月(廃墟と悪戯・f43956)はひょっこりと顔を出し、無表情にうるみを見つめる。
「え、あ、猟兵さんッスか? ありがとうございますッス!」
「そう。ついでに言うと君の同業他社でもある、って感じかな」
うるみの察する通り七月は猟兵。そしてシルバーレインと様々な意味で酷似した世界であるサイキックハーツの異能者、『灼滅者』でもあった。
だが猟兵によって異世界の存在は知るうるみも、流石にそこまで似た世界があるとは想像もしておらず首をかしげるばかり。
「え……どっかのデパートの店員さんッスか?」
そんな的外れな予想にも、七月はあえて答えないばかりであった。
「それはそれとして……なんていうかゆめかわいい敵だね、スイーツ(笑)とか敵じゃん!」
スイーツ脳な相手に敵意剥き出しで現れたのは印旛院・ラビニア(エタらない人(仮)・f42058)。ヘタレなゲーマーにとってデパートでスイーツを買いあさるゆめかわ女子など決して相いれない存在とばかりに銃を向けるが、甘蝕はそれに臆することなくバッグから小瓶を取り出し、その蓋を開けた。
「そんなこと言わないで、一回味わえばあなたも虜! スウィートハートちゃんのあまあまガトリングをくらえー!」
瓶から色とりどりの砂糖菓子が飛び出し、弾丸となって三人へと襲い掛かる。
「くっそ、そう言うのやめて欲しいんだけど!」
それに向こうを張るように、ラビニアも自身の銃を乱射する。銃弾が次々と砂糖菓子を砕いていくが、その弾幕に紛れ今度は緑のゼリー軍団が迫って来た。
「どうやらそちらは飛んだりは出来ないようだ……ならば、遠慮なくおいで」
七月は敵味方の弾幕を避けるよう伏せ、足元に鋼糸を張る。小柄なスガリはそこに突っ込んできては胴体を輪切りにされ、そのまま床に落ちて消えた。
「よっし、じゃあこのまま押し切って……」
対処はなっている。ならばこのまま押し切るのみとラビニアがさらに銃を撃つが、その心に僅かな揺らぎが生じ始めていた。
「……それはそれとして、甘いものが食べたくなってきた気がするな……」
「奇遇だね、僕もだ」
「自分もッス!」
元気よくいううるみはともかく、七月もその状況を訝る。砕けた砂糖の粒が僅かに肌に当たり、殺傷能力こそないものの甘味欠乏症を三人の心に植え付け始めていたのだ。
「ふむ……ただまあ、僕は甘いものより廃墟の方がずっと好きでね。このデパートも、実に味のある廃墟だ」
そう言って七月は壊れた床の欠片を拾い上げ。
「ほら、味がある」
その欠片を噛み砕いた。
「ななな、なにやってんスか!? 自分もさすがに石は拾い食いしたことないッス!」
それを見て慌てるうるみ。その言い方からして石じゃなければ拾って食ったことはあるような感じだが、七月は動じず石を差し出す。
「なら君も試してみるといい。ほら」
「んな無茶な……むぐっ!? ……あれ?」
「まあ、そういうことだ」
うるみの口に押し込まれたそれは甘い味。なんてことはない、拾う振りをして砂糖菓子とこっそりすり替えただけの悪戯だ。
「……つまり、こうすればいいんだよね?」
遊んでいるようなその行為。だが、ラビニアは七月の真意を察した。
「ソグマ!相手の力を引き剥がせ! スルーズグリーズ・ブレイク!!」
銃を下げて掲げたカードからは【破邪の戦乙女・ソグマ】が召喚される。それは次々来るスガリを飛び越えて甘蝕に槍を叩きつけた。
「あだっ!?」
思わず手を止める甘蝕。そしてそれと同時に、バッグと聖杯から湧き出していたスガリの群れが一時止まった。
「え、なんで!? 無限のお金が!」
「それは君の力じゃないんだろ? 貰った力でイキった奴の末路はよーく知ってるよ!」
ソグマの槍に纏われた魔力は強化を引き剥がす。ハビタント・フォーミュラからのもらい物であるボストンバッグの力も、これによって一時的に止まることとなったのだ。
「さて、さっきの悪戯を楽しんでくれたのならこれで僕達共犯者だよね。ってことで、ひとつ頼み事があるんだけど」
「了解ッス!」
七月に背を押されうるみが駆け出す。そして振り上げたハンマーには、彼女の普段以上の力が込められていた。
「ぶっ潰れろッス!」
七月の【悪戯の共犯者】となったうるみは、彼の力も乗ったユーベルコードならぬ|能力《アビリティ》『インパクト』を甘蝕の頭に叩きつける。
「ぶげっ!?」
瓶と金をぶちまけその場に倒れる甘蝕。力を剥がし、力を与え。猟兵が為したそれは猟兵ならぬ身を|新たな脅威《ボス級オブリビオン》を叩き潰すまでに至らせたのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
木霊・ウタ
心情
世界結界の破壊なんてさせないぜ
オブリビオンを海へ還してやる
戦闘
景気良く行く
吼えろ、ワイルドウィンド
魂込めた旋律が炎を呼ぶ
ご機嫌なメロディに乗って
地獄の炎が踊るように空間を薙ぎ払う
スガリも
降る液体も
水辺と同じ環境も
全て焼却か蒸発させて
そのまま甘蝕を襲う
おっと
もちろんリボンも焼却してるぜ
またスガリを呼ぶだろうけど
何度でも同じだ
呼ばれた側から消滅させる
バッグから出る一万円札から燃やしちまう
ってのもアリだぜ
スガリや甘蝕が演奏を邪魔してくるんだろうけど
爆炎噴出で回避したり
背面跳躍で距離をとる
もし怪我したら
そこから噴き出す炎で敵を倒す・牽制しつつ
怪我を物質化した炎で補って演奏は続ける
サウンドSを甘く見るなよ
演奏はクライマックス
更に火力と速さを増した地獄の炎が
繰り返し甘蝕を炙り
スイーツごと焼却
甘いものは大好物だけど
そればっかってのもちょいとな
紅蓮に抱かれて眠れ
事後
演奏を続けて鎮魂とする
海で安らかに
メガリスを回収して銀誓館へ
千鵠百貨店の地下へ入った猟兵は透明城壁を抜け、その発生源を倒してきた。その目的は一つ。
「世界結界の破壊なんてさせないぜ。オブリビオンを海へ還してやる」
木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)は最後の敵を前に、改めてそれを宣言する。
「ざーんねん、それこそさせないよ。行け、スガリ軍団!」
それに対して甘蝕はまずスガリたちを差し向ける。その前で、ウタはギターをかき鳴らし始めた。
「燃え上がれっ、俺の魂!」
それに呼ばれるように、【ブレイズバーン】の炎がその場に渦を巻いて出現した。極めて強大な償却攻撃がスガリを飲み込み焼却していく。
その火力にスガリは耐え切れず、火の中に消える。だがその炎を突破し、一体のスガリがウタへと飛びついてきた。
「この子が私の可愛いスペシャルスガリちゃんよ!」
そのスガリの体には一本のリボンが結ばれており、それは甘蝕の持つ巨大なスプーンへと繋がっていた。
リボンと繋がれたことで甘蝕と命を共有したそのスガリは、一切の攻撃に構うことなく自らの体を上へ伸びあがらせる。その体は緑色の粘液の雨となり、その場に緑の水辺を作り出した。
炎を旋回させ緑の水を蒸発させるが、死なないスガリが雨の元となる限りそれはいくらでも作り直され、そして後続のスガリがそれを突破してくる。
「やっぱりそれを焼かなきゃだめみたいだな」
スガリに結ばれたリボンの方を燃やし、そのままスガリ自身まで燃やして雨を止める。そのまま甘蝕を焼こうと炎を差し向けるが、甘蝕自身がその炎へスプーンを構えて突っ込んできた。
「そーれ、攻撃っ!」
楽しげに言いながら振り回すスプーンは、しかしボス級の力で振られているだけありかなりの重さ。それに対しウタは自身の近くで爆発を起こすことで自ら吹き飛び直撃を避ける。
「こいつを邪魔されるわけには行かないからな」
周囲を旋回する炎は凄まじい焼却力を持つが、それを維持するには演奏を捧げ続けることが必要。それを邪魔されないため、ウタは炎を使い移動や跳躍で相手から距離を取る。
「逃げちゃダメ、私の愛を受け止めて!」
飛び回るウタを、甘蝕のスプーンがついに捉えた。それはウタの側頭部を捕らえ、強烈な衝撃でその身を揺らがせる。
「くっ……」
そのダメージで、ウタの頭から血が流れる。さらにそこに追撃するかの如くバッグから一万円札が飛び出し、スガリとなってそこに殺到した。
だが、そのスガリはウタに取り付いた途端燃え尽きて消えた。
「何度でも同じだ。呼ばれた側から消滅させる。バッグから出る一万円札から燃やしちまう、ってのもアリだぜ」
ブレイズキャリバーの血は炎に変わる。自らが傷つくほどに攻撃力は増していき、最早不死を共有しないスガリは彼に近づくことさえ困難となっていた。
「ふーん、そう……じゃ、こっちはどう?」
それでも甘蝕はウタから離れることなく、今度はウタ自身にスプーンからのリボンを結び付けた。
「これで二人は死ぬまで一緒! 甘い愛を召し上がれ!」
そのままスプーンをフルスイング。ウタの手元を狙い演奏を邪魔しようとする。
その傷も自身の炎で強引に焼き塞ぎ、ウタは演奏を辞めず炎の渦で甘蝕を包んだ。
「サウンドSを甘く見るなよ」
体を支えるのがブレイズキャリバーの炎なら、心を支えるのはサウンドソルジャーの魂。その二つをオーバーロードさせ、ウタは甘蝕とノーガードで殴り合う。
「私の事は甘く見て! 甘くてかわいいスウィートハートちゃんなんだから!」
ここがクライマックス。更に火力と速さを増した地獄の炎が繰り返し甘蝕を炙りスイーツごと焼却しようとするが、ウタが生きている限り何度でもリボンを結び直しながら甘蝕もスプーンを滅多打ちにする。
リボンで結ばれている限り死ぬことはなくとも、ダメージ自体は積み重なっていく。極限の削り合いの果て、幾度目かリボンが焼き切られた時それを結び直す甘蝕の手が一瞬遅れた。
「甘いものは大好物だけどそればっかってのもちょいとな。紅蓮に抱かれて眠れ」
あるいは激辛さえ想起させる灼熱、それが甘蝕を飲み込み、ついに炎の向こうへ追いやった。
倒れる甘蝕だが未だバッグと聖杯は手放していない。それを銀誓館へいずれ回収せねばと思いつつ、ウタは彼女の為に鎮魂の歌を奏でるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
死絡・送
「甘い物も悪事も控えて貰おう、健康と世界平和の為に!」
そう言って戦いを挑む。
嗜好は自由だが、悪事は許せん。
きちんと相手の行動や能力を観察し、味方がいれば協調して行動する。
キャラクター性重視なので紳士的にかつ、残虐ファイトのチャンピオンの自称に沿いノーブルアンカーの重量攻撃でフルスイング。
「オブリビオンに容赦はしない!」
と非難されてもサーヴァントバットをけしかけて傷口をえぐる。
敵の攻撃は頑張って回避を試みる。
ユーベルコードを喰らっても
「甘い物、貴様その物が甘いだろ! 貴様の甘い血肉を寄こせ!」
とこちらのユーベルコードの血統覚醒で吸血鬼と化しマスクオープン
して襲い首筋に食らいついて吸血する。
最早言うまでもないことだが、糖分の過剰摂取は健康に甚大な被害をもたらす。
「甘い物も悪事も控えて貰おう、健康と世界平和の為に!」
極めて正論を言いつつ、死絡・送(ノーブルバット・f00528)は甘蝕の前に立った。
「世界が甘いものに包まれるのよ。それって世界平和じゃない?」
「嗜好は自由だが、悪事は許せん」
甘蝕の行動を観察し対応しようとまずは相手を見る送。その前で、まずはスガリの群れが突撃してきた。
それに対し、紳士的かつ残虐ファイトのチャンピオンというキャラクターを重視しゆっくりと丁寧に武器『ノーブルアンカー』を振り上げる。
「オブリビオンに容赦はしない!」
その一撃は、スガリ達は数匹まとめて吹き飛ばした。だがスガリは無限に湧いてくる。それを都度武器を振り回して迎撃していくが、その後ろで甘蝕はいつの間にかカラフルな小瓶を手にしていた。
「そんなに見つめられると嬉しくなっちゃう。あなたも甘いの受け取って!」
その小瓶のふたを開けると、中から色とりどりの砂糖の弾丸が送に向けて放たれた。
その圧倒的な弾幕、それを送は転がって避けるが、さらにその隙をついてスガリが襲ってくる。それにも武器で応戦するが避けながらでは一部を倒しきれず、その傷を補填せんとばかりになおも縋りつきをかけてきた。
だがそれにも、『サーヴァントバット』をけしかけその傷事食い破り接近は許さない。スガリの対処はこれで何とかなったが、その間にも遠距離から甘蝕の砂糖の弾幕が襲い掛かってくる。
その攻撃を観察した送は悟る。これは無暗に頑張る程度では避けられないと。それを察した瞬間、砂糖の雨が送を貫いた。
「ぐっ……!」
相手は世界結界破壊儀式を任されるほどの実力あるゴースト。そのダメージは甚大で送は思わず膝をつく。
「ほらほら、欲しくなってきたでしょ? あなたのスウィートハートちゃんが」
得意げに告げる甘蝕。彼女の言う通り、送の心にはダメージに比例するかのような甘いものへの執着、そしてそれ以外への拒絶心が湧き上がって来た。
そしてこの場にある一番甘いものとは、甘蝕が持つ小瓶の中の砂糖菓子。大量生産品であるスガリたちとは一線を画するボスゴースト特性のそれは、遠目に見るだけでもそこにむしゃぶりつきたい欲望を湧き起こさせた。
その欲求に釣られるように、送はふらふらと立ち上がる。全身から血を流し既に満身創痍だが、マスクの奥からでも分かるぎらついた眼光は確かに甘蝕を捉えていた。
「それじゃ、甘いのあげるからこっちにおいで~。スガリちゃんはちょっと下がっててね」
スガリを下がらせ、蓋の開いた小瓶を差し出す甘蝕。それに誘われるように、送は傷ついた体を引きずるように甘蝕に近づいていく。
もちろん甘蝕とて本当に砂糖を食わせてやるつもりではない。急所である口内にこの弾丸を滅多打ちにし、相手の頭部を吹き飛ばして確実に仕留めるつもりなのだ。
そして、送のマスクの下が開き、大きく開けた口が露になる。その口目がけて砂糖が射出される、その瞬間。
「甘い物、貴様その物が甘いだろ! 貴様の甘い血肉を寄こせ!」
送の目が深紅に光り、その口は甘蝕の首筋へとかぶりついた。
「きゃあああああっ!?」
まさかの攻撃に甘蝕も思わず小瓶を取り落とす。【血統覚醒】によってヴァンパイアに覚醒した送にとっては、砂糖菓子よりも全身で甘さをアピールする甘蝕の血の方がよほど濃厚な『スイーツ』となっていた。
爆発的に増大した戦闘能力での噛みつきに吸い上げは甘蝕の力を持ってしても振りほどきがたく、砂糖の弾丸によって抉られた血肉を補填するかの如く生命力を吸い上げていく。
「た、助けて、スガリちゃん!」
慌ててスガリ達に助けを求めるが、群がる縋りも片手で振りまわされたアンカーに簡単になぎ払われる。『甘いもの』の定義を書き換えてしまうという荒業により敵のユーベルコードを強引に突破した送は、その甘い血をたっぷりと啜り最後に肩の肉を食いちぎるように顎を閉じたまま顔を離す。
「ぐぅぅっ……!」
肩を抑えて思わず蹲る甘蝕。結果として双方攻撃の直撃をし合った戦場は、芳醇な血の臭いで満たされるのであった。
成功
🔵🔵🔴
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
どれ程美味しくても、全てが同系列の味では飽きますからねぇ。
『FAS』でうるみさんの近くを飛行、『FLS』の空間歪曲障壁で私を、『FMS』のバリアでうるみさんを其々覆い、スガリの接触を防ぎまして。
『FPS』で敵方の動きや配置を探りつつ『FES』の風結界を展開、【症候群】で放たれる『砂糖』を吹き散らしましょう。
完全には防げずとも、一定以下まで軽減出来れば『FQS』の状態異常治癒と『FXS』の治癒で継続回復して対処可能になりますぅ。
そして【飈宸】を発動、『結界の楼閣』に私とうるみさんを包めば『砂糖』の様な『射撃攻撃』は防御可能、接近してくるスガリ達は『FBS』による[カウンター]と併せて、うるみさんに対応願いますねぇ。
そして、十分な『時間』を守り切れば、広域を覆う超威力の『万象切断の竜巻』による[範囲攻撃]が可能、多数のスガリ達を一掃しつつ甘蝕さん本人を刻みましょう。
後は射線が通ったところで『FRS』『FSS』の[砲撃]と『FJS』の波動砲で[追撃]を行い叩きますねぇ。
かつて、この千鵠百貨店地下にはスイーツスクエアという巨大スイーツ売り場があった。甘蝕は世界結界破壊の暁には世界全てをそれにするかの如き甘味世界を広げると豪語していたが、能力者宮古島・うるみはそれに否を唱えていた。
「ここ駅前ッスよ! 新幹線も通るから駅弁とかお土産とか売れるし地元の人もデパ地下に今日のご飯買いに来るッス!」
デパート店員的見地に基づいたその意見に、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)も賛同する。
「どれ程美味しくても、全てが同系列の味では飽きますからねぇ」
るこるも甘いものは好きだ。というか食べ物全般が好きだ。だがどれだけ好きなものでも、同じ味だけ食べれば飽きるのは自明の理。食事があってこそデザートは引き立つのである。
「じゃあそんなあなたの為に塩スイーツや重箱入りケーキとかもおいてあげる! だからそれを邪魔する世界結界は、虫歯みたいにボロボロにしちゃうんだから!」
開いたバッグから小瓶を取り出し、それに続くように札が舞う。そして聖杯から撒き散らされたゼリーがスガリとなって辺りに布陣すると、それに対抗するようにるこるも浮かび上がりながら兵装を広げうるみと並んだ。
まずはスガリたちが一斉にベトベトの手を伸ばし二人に襲い掛かる。だがうるみに向かった側は、彼女の前に広げられたバリア『FMS』に遮られうるみ自身には触れられないでいた。
一方るこるの側へ向かった方は一見何も障害物はない。そのまま手を文字通りに伸ばして空中のるコルを掴もうとするが、それは寸前で空間歪曲障壁に捉えられ、結局見当違いの方に手を伸ばすばかり。
「スガリちゃん、お手伝いしてあげる!」
その後ろで、甘蝕は瓶のふたを開けた。そこから機関銃の如く砂糖が射出され、二人を襲う。
その威力はバリアすらも貫き、また多少軌道を曲げたところで全方位を覆う程に多量。兵装だけでは防ぎきれぬと、るこるもまた力を解放した。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その颶風の楼閣をここに」
【豊乳女神の加護・飈宸】で召喚した宝玉が、高速回転し『結界の楼閣』を構える。それは甘蝕の砂糖弾を弾き、同時に治療用の兵装も控えさせることで甘味欠乏症の発生も阻止した。
これで近接、射撃ともに一旦は防御できた。だが、甘蝕がボストンバッグを持っている限りスガリは無限に湧いてくる。それが続けばやがて器からジュースが溢れるように、スガリの群れは防御をその物量で突破してくるだろう。
そしてまた、甘蝕の戦闘能力は射撃だけではない。彼女の構えたスプーンはうるみのハンマーと同様に、あるいはそれ以上の威力の鈍器として振るわれる事だろう。
実際それを狙うかのように、甘蝕のバッグは全開となり彼女はスプーンを構えて迫ってくる。
「うるみさん、あと2分少々頑張っていただけますかぁ?」
「大丈夫ッス!」
周囲に戦輪『FBS』を飛ばしながらるこるが問うと、うるみは力強く答え一枚のカードを取り出した。
「来るんじゃないッス!」
うるみがそのカードを高く掲げる、そうするとそこから鎖に繋がれた巨大な棘鉄球が飛び出し、バリアを上から迂回して群がるスガリを叩き潰した。
そのままバリア内で回転し、うるみは棘鉄球をぶん回してスガリをなぎ倒していく。手にはいつのまにかしっかりと鎖のついた柄が握られ、彼女の握力によって鉄球の軌道は完璧に制御されていた。
「なによ、こんなの!」
その棘鉄球に対し、甘蝕はスプーンを横にフルスイング。凄まじい勢いで回るそれを逆方向へと打ち返してしまった。
「のわぁ!」
いきなり真逆になった勢いにバランスを崩すうるみ。見た目に反したパワーを持つ彼女を完全に力負けさせるのは、甘蝕もまたその見た目を裏切る高い筋力を持つ証か。
そして甘蝕はスプーンを床に立て、器用に棒高跳びのように飛び上がった。
「見えたよ! 甘い甘いドロップを召し上がれ!」
そのままバリアも障壁も抜ける一撃を振り下ろさんとする甘蝕。
そのスプーンが回転する楼閣へと振れた。その時。
「お待たせしました、出来上がりですぅ」
その楼閣が、回転する斬撃となって甘蝕を弾き返した。体を深く切られ吹っ飛ばされる甘蝕。さらにその周囲では、広がりゆく斬撃にスガリ達の全てが切り刻まれ、緑の欠片へと変えられていた。
射撃への防御は160秒の後超強力な斬撃を呼ぶ。その時間を稼ぐため、るこるはうるみに敵を抑えるよう頼んでいたのだ。
「よかったッス。自分、カップラーメンも2分くらいで食っちゃうんで!」
そういううるみが見る先には、緑の破片の道の先で頽れる桃色の体が。
「お気持ちは分かりますねぇ。それでは、実食と参りましょうかぁ」
その通った射線に、砲撃二種と波動砲が一気に放たれる。オーバーロードの伝わったその砲は、巨大なビームを二つの方が取り巻き一つの巨大な奔流の如くなって甘蝕を直撃した。
「う、うそ、こんな……やだっ、私、もっと甘いの……ハビタント様ぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ボストンバッグも聖杯も防御に使えるものではない。そしてスプーンを構える間もなく、甘蝕は砲の光に飲み込まれた。
そしてそれが止んだとき、そこにはまるで掃除されたかのように何も残ってはいなかった。ゴーストやオブリビオンの常として甘蝕自身の死体はもちろん、彼女の携えていた聖杯やボストンバッグさえも。
一瞬るこるの脳裏に悪い想像が浮かぶが、うるみ曰くボストンバッグはともかく|聖杯《メガリス》はあの程度では……あれ程でも壊れないとのこと。恐らく安全装置的に、授けた者の死と同時にハビタント・フォーミュラの元に戻るような仕掛けでもあったのだろう。
「上で二回、地下で一回……これで三回クリア……ッスか……」
何かを考えるように言ううるみ。恐らく『三回』という数字が彼女にとって何か大きな意味を持つのだろう。るこるには分からないが、あるいは能力者であれば、彼女の考えも察せるのかもしれない。
「何回もありがとうございましたッス。もしここを綺麗にできたら、肉とか野菜とか弁当とかたくさん買いに来て欲しいッス! あ、もちろんスイーツスクエアもちゃんと作り直すッスよ。名物ッスから!」
うるみがるこるや他の猟兵に向けて言う。あくまでバランスが問題なだけであり、彼女だってスイーツは好きだし目玉施設はあって損はないのだ。
三度の探索を終え、果たして何かが決定的に変わったのか。それはまだ分からない。しかしこの場所の浄化は、確かに進んでいるはずである。
千鵠百貨店、CLEAR!!
大成功
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