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【サポート優先】血も、涙も

#エンドブレイカー! #戦後

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#エンドブレイカー!
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#戦後


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 これはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです(通常参加者を採用する場合もあります)。

●お祭りの悲劇
 エンドブレイカーの世界、都市国家アクスヘイムの上層。
 貴族の少年エリオットは、邸宅の庭園やホールを一般開放し、お祭りを開くことにした。
 理由は単に、『みんなに楽しんで欲しいから』。それだけだ。
 お祭り当日になり、大勢の人が邸宅に集まった。
 楽しいお祭りになる、そのはずだった。

 血の海と化したホールの隅に、エリオットは追い詰められていた。
(「どうして、どうしてこんなことに」)
 自問しても答えは出ず、尻餅をついたエリオットはただ、目の前の、鎚を手にしたラビシャン――|獣人《ピュアリィ》を見上げていた。
「皆、死んでしまいましたね。あとは、あなただけですよ」
「ドゥフフ、アルゴラ殿。殺してはなりませんぞ。エリクシル殿にいただいた『願いの力』を使わねば。ドゥフフ」
 アルゴラと呼ばれたラビシャンが持つ鎚から、声が聞こえた。
「分かっていますよ、ベリオルズさん。……ねえ、坊や」
 アルゴラは鎚に返事をしてから、エリオットに視線を合わせる。
「死んだ皆さんを生き返らせたいと、思いますか?」
 アルゴラの言葉を聞いたエリオットの頬を、一筋の涙が伝った。
「……当たり前だよ……!!」
 エリオットは叫び――邸宅は、赤い光に包まれる。

●グリモアベース
「……以上が、私の見た予知の内容です。まだ、この悲劇は起きていません。皆さん、これを未然に防いでください」
 バズ・ロンドビート(虫好きの錬金術士・f38977)の、眼鏡の奥の眼差しは、真剣なものだった。
「マスカレイド、『滾る鎚ベリオルズ』はエリクシルに蘇生され、配下となり、エリクシルから『願いの力』を移植されたようです。エリクシルは潜伏しているらしく、今回の予知では見つけられませんでした」
 バズの翡翠色の瞳は悲しげに下を向いたが、それはほんの一瞬のことだった。
「幸い、ベリオルズがお祭り会場である貴族の邸宅を襲撃するルートは特定できています。人気のない路地裏をベリオルズが通るタイミングで、ベリオルズを撃破してください」
 そう言ってから、引き締められていたバズの表情が、ふと緩む。
「誰にも気づかれないように、密かに、撃破してくださいね。お祭りに向かう人々にも、お祭りの主催のエリオットくんにも、悲劇の未来が存在し得たことを教える必要はありません。つつがなく幸せに行われるお祭りに、少しだけ参加していくのも良いでしょう。もちろん、速やかに去っても構わないのですが……もしお祭りに参加されるなら、どうか楽しんでくださいね」
 トンボの形のグリモアが輝き、猟兵たちをエンドブレイカーの世界に送り出す。


地斬理々亜
 地斬です。
 よろしくお願いします。

 こちらはサポート優先のシナリオです。
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第1章 ボス戦 『滾る鎚ベリオルズ』

POW   :    ジェノサイドハンマー
予め【ベリオルズが力を溜める】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    ファントムスタンプ
自身が触れた物体ひとつに【ハンマーの幻影】を憑依させ、物体の近接範囲に入った敵を【実体を持つ打撃】で攻撃させる。
WIZ   :    ランドブレイク
単純で重い【ハンマー(ベリオルズ自身)】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。

イラスト:志村コウジ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

印旛院・ラビニア(サポート)
・境遇的なものもあり、思考や嗜好は成人男性のものです(恥ずかしいので自分からは喋らない)
・基本的にはヘタレで気弱、強者にビビるし弱者に慎重な面もありますが、物事がうまくいったり周りに煽てられるとイキって墓穴を掘ることもあります
・なんだかんだで人がいい
・やり込みゲーマーで現状を学ぶ【学習力】と自分のプレイに【チューニング】できる応用力が武器
・キャバリア・劫禍との関係はUCの秘密設定あたりで察してください

 UCは活性化した物をどれでも使用し、例え依頼のためでも、公序良俗に反する行動はしません。えっちな展開はコメディ目であれば許容
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


クローネ・マックローネ(サポート)
普段の口調は「クローネちゃん(自分の名前+ちゃん、相手の名前+ちゃん、だね♪、だよ!、だよね★、なのかな?)」
真剣な時は「クローネ(ワタシ、相手の名前+ちゃん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」
強調したい時は「★」を、それ以外の時は「♪」を語尾につけるよ♪

基本は一般人の安全を優先で♪
多少の怪我は厭わず積極的に動くね♪
シリアスな場面では状況の解決を優先するよ
コメディ色が強い場合はその場のノリを楽しむ方向で動くね♪
えっち系・状態変化系もばっちこいだよ♪
絡みOK、NG無しだよ★

UCは少人数を召喚する系か単体攻撃系を優先して使うよ♪
状況に応じてMS様が好きなのを使ってね★

後はMS様におまかせするね♪



●鎚への襲撃
「よし♪ 作戦はこれで決まりだね♪」
「本当に上手くいくかな」
 滾る鎚ベリオルズがやって来る前の、アクスヘイムの路地裏。そこでは、密やかな声での作戦会議が開かれていた。
 話者は、クローネ・マックローネ(|闇《ダークネス》と|神《デウスエクス》を従える者・f05148)と、印旛院・ラビニア(エタらない人(仮)・f42058)の二人だ。
 クローネは、不安げなラビニアを真っ直ぐ見据えた。
「絶対に大丈夫だよ★ クローネちゃんと、百戦錬磨のゲーマーであるラビニアちゃんが一緒に立てた作戦なんだからね♪」
 ラビニアはヘタレだが、おだてには弱い。それを知ってか知らずか、クローネはラビニアを持ち上げた。
「……ふふん、それならこの作戦を実行するっきゃないよね!」
 ヘタレウサギは、見事にイキリウサギへと変わった。

 ベリオルズを肩に担ぎ、ラビシャン女王アルゴラが路地裏を歩む。
 タイミングを見計らい、クローネが建物の上から躍り掛かった。
 頭上からの踵落とし――それにベリオルズが気づいた。
「ドゥフフ、危ないアルゴラ殿!」
 翳されたベリオルズが、クローネの足を受け止めた。
「ドゥフフ、今の拙者はイケメンムーブなのでは? ドゥフフ」
「そうですね、変態ブサイクエロトンカチにしては上出来です。助かりました」
「ドゥフフ……」
 会話を交わしてから、アルゴラはクローネを見る。
「何者……などと聞くのは野暮ですね。私達を止めに来たのですか」
「そうだよ。ワタシは、悲劇を防ぐために来たんだ」
 クローネから明るい笑顔は消え失せ、赤い両目は鋭く敵を見据えている。
「ならば、叩き潰して進むのみです。行きますよ、ベリオルズさん」
「ドゥフフ、承知!」
 アルゴラに応じるように、ベリオルズが力を溜め始める。クローネが奇襲を行ったため、予め力を溜めておく時間はベリオルズにはなかった。今から力を溜め、戦闘力を増強すべきと判断したのだ。
 物陰から一連の様子を見ていたラビニアが、ここで動いた。ポーチからカードを取り出し、天に掲げる。
「召喚! |盾の戦乙女《ガーディアン・ヴァルキリー》・ランドガルダ!」
 カードが輝きを帯び、光の柱が出現する。その光が収束すると、盾を携えた一人の戦乙女がそこに立っていた。
 ラビニアはただちに、戦乙女と共に、クローネの元へテレポートする。それから叫んだ。
「あらゆる災厄からみんなを守れ! ヘルヴォール・ドライブ!!」
 ラビニアの叫びに合わせて、戦乙女が盾を構える。あらゆる攻撃を自身へと収束できるという、盾の戦乙女・ランドガルダのカードテキスト――その通りに、ベリオルズによる渾身の打撃は、クローネではなく戦乙女に向かった。
 重い金属音が響き、戦乙女の盾がベリオルズを受け止める。
「ドゥフフ、やりますな」
「ならば、これはどうですか」
 アルゴラが小石を拾い上げ、ハンマーの幻影を憑依させる。
 小石の近接範囲にいる戦乙女を、実体を持つ打撃が襲った。
 盾を構えた戦乙女は、それでも、クローネやラビニアに攻撃を届かせまいと踏みとどまる。
「今のでどうにかできると思ったなら、ランドガルダを見くびりすぎだよ!」
 ラビニアは大いにイキった。
「それに、僕のもう一人の仲間のこともね」
「え――」
 ラビニアの言葉に、アルゴラが目を見開く。けれど、もう遅かった。
 アルゴラの背後に回り込んでいたクローネが、アルゴラの背中に掌底打ちを放った。
「きゃあっ!」
「アルゴラ殿!」
 クローネは敵と距離を取り、呟く。
「|ワタシの内部破壊拳《ブラック・イビル・スピリット・アーツ》」
 それは、ユーベルコードの名。
 最初の踵落としでベリオルズに、掌打でアルゴラに、クローネは手足で触れている。
「内側からぶっ壊しちゃえ、死霊達」
 死霊術士が、死霊を暴走させる。
 接触時に敵の体内に入り込んだ死霊達は、それぞれの内部をズタズタに破壊した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

響納・リズ(サポート)
「ごきげんよう、皆様。どうぞ、よろしくお願いいたしますわ」
おしとやかな雰囲気で、敵であろうとも相手を想い、寄り添うような考えを持っています(ただし、相手が極悪人であれば、問答無用で倒します)。
基本、判定や戦いにおいてはWIZを使用し、その時の状況によって、スキルを使用します。
戦いでは、主に白薔薇の嵐を使い、救援がメインの時は回復系のUCを使用します。
自分よりも年下の子や可愛らしい動物には、保護したい意欲が高く、綺麗なモノやぬいぐるみを見ると、ついつい、そっちに向かってしまうことも。
どちらかというと、そっと陰で皆さんを支える立場を取ろうとします。
アドリブ、絡みは大歓迎で、エッチなのはNGです



●貴婦人の裁き
 もしも、の話だ。
 滾る鎚ベリオルズが事件を起こそうとしていた動機が、復讐だとか、人々のためだとか、そうしたものであったなら、響納・リズ(オルテンシアの貴婦人・f13175)はベリオルズに同情できていたかもしれない。
 けれど現実として、ベリオルズの虐殺はエリオットに人々の蘇生を願わせるのが目的なのだ。それによって得たエネルギーは、エリクシルに捧げるのか、ベリオルズ自身が他世界に侵攻するのに使うのか……いずれにしろ、身勝手な理由でしかないのである。
「悲しいですわね。問答無用で倒すほかないというのは」
 囁きながら路地裏に姿を現したリズを、アルゴラとベリオルズが見る。
「また敵ですね。ベリオルズさん、行けますか」
「ドゥフフ、無論」
「頼もしいです」
 アルゴラは苦しげに自分のみぞおちを押さえていたが、ベリオルズを構え直した。
 地面を蹴ってアルゴラは跳躍し、ベリオルズをリズの頭部目がけて振り下ろす。
 左手に魔導杖を携えたリズは、空いている右手を、迫り来るベリオルズへ向けて掲げた。
 右手から瞬時にオーラが展開され、ベリオルズの一撃を防ぐ。
「くっ」
「ドゥフフ」
 オーラで後方へ弾かれ、アルゴラは着地して体勢を整えようとした。その両足首に、白薔薇の花びらが纏わり付く。
「この薔薇のように綺麗に滅して差し上げますわ」
 リズは、魔導杖を無数の白薔薇の花びらへと変えて、アルゴラとベリオルズへ向かわせていた。
 アルゴラは、ベリオルズごと花びらに埋もれていく。
「ドゥフフ、アルゴラ殿。これはピンチでは? ドゥフフ」
「分かっています!」
 アルゴラはベリオルズを振るい、花びらを振り払った。
「ドゥフフ。この花びら、触れるとかなり痛い。ドゥフフ……」
「はあ……はあ……」
 苦しげなベリオルズとアルゴラに向かって、リズはこう言い放った。
「あなた方が人々に与えようとしていた痛みは、もっともっと大きいものでございませんこと?」

成功 🔵​🔵​🔴​

小宮・あき(サポート)
お困りの方がいる、と聞いて参りました。
スポット参戦のような形でフラリと。



◆性格・人柄

敬虔な聖職者として猟兵に目覚めた、人間の聖者。
です・ます口調の礼儀正しい女性。
ピンクの髪に、透き通る水色の瞳が特徴的。
ふふ、と微笑み、愛らしい見た目で佇んでいますが、
本業は商人。ホテル経営者。冷静で非情な心も持ち合わせています。
また敬虔な聖職者故、邪教徒や魔女に寛容さが無く、苛烈な面も持ちます。

既婚者。
神と夫に報告できない行動は、絶対に取りません。



◆戦闘
ユーベルコードは指定したもので臨機応変に。
基本は後衛の魔法職。

・範囲魔法(神罰)
・回復(コルセオ)
・拘束(光の鎖)
・人手が必要な作業(戦場のハレム) 等



●主、憐れめよ
「――ベリオルズさんですね?」
 続いて路地裏に姿を現したのは、小宮・あき(人間の聖者・f03848)である。
 淡いピンク色のロングヘアは初冬の風に揺れ、透き通るような水色の瞳は真っ直ぐに鎚を見据えていた。
「ベリオルズさんは、魔神エリクシルに従っているのですよね」
「ドゥフフ、いかにも。ドゥフフ」
「そうですか」
 ベリオルズの答えを聞いたあきの口元は、微笑みを湛えたままだ。しかし、目が笑っていない。
「つまり、邪悪なる神の信奉者であるということですね……容赦しませんよ」
 敬虔な聖職者であるあきにとって、ベリオルズが許されざる者であることが確定したのだ。
「あなたの価値観など知りません。行きますよ、ベリオルズさん」
「ドゥフフ!」
 アルゴラはベリオルズを手に、あき目がけて駆け出した。
 ベリオルズとあきとの間は、まだ距離がある。その距離を詰められるまでの間に、あきは詠唱を開始した。
「今や、恵みの時、――……」
 ユーベルコード、『|灰の水曜日《オリーブ》』。あきの元へ出現した巨大な杭が、聖なる魔法を纏っていく。
 ベリオルズを振りかぶって躍りかかってきたアルゴラの胸元に、杭の先端が向けられた。
 あきが詠唱を終え、杭が撃ち出される。
「くっ!?」
 アルゴラが表情を歪めた。振り下ろされたベリオルズはあきを叩き潰すことはなく、ただ、杭を叩き落とすに留まった。
 けれど、ベリオルズへと激しく衝突した聖なる杭は、ベリオルズに亀裂を生じさせていた。
「ドゥフフ、拙者、大ダメージ。ドゥフフ」
「ベリオルズさん……!」
 アルゴラが小さく悲鳴を上げる。
「そのように互いを思いやる心を持っていながら、なぜ……いえ。もしや、アルゴラさんに自由意思は既になく、全てベリオルズさんの自作自演なのでしょうか」
 あきの指摘に、アルゴラが目を見開いた。
「なんということを言うのですか!」
 図星なのかどうかは、不明であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

陰日向・千明(サポート)
「このあと用事があるんで、さっさと地獄へ堕ちるッス」
◆口調
・一人称は「うち」、二人称は「あんた」、くだけた敬語をつかう
◆性質・特技
・マイペースで合理主義
・雨女
◆行動傾向
・特権階級者の車に轢かれ事故すら揉み消された女子高生の悪霊
・地元を鎮守する竜神の力を借りて受肉を果たした
・利己主義で秩序や慣習にこだわりはなく、勝つためなら手段を選ばないしたたかさを備えているが、なんだかんだで面倒見はよい
・神器化したスマホで霊界通信サービス「天孫(あまそん)」に武器を注文して戦う
・一度死んだ経験から死に対する恐怖心がなく、戦闘をゲームのようにとらえている。敵にも当然慈悲はない
・誤って買ったキャバリアは千明の切札



●雨ときどき光
 雨が、降り出した。星霊建築が雨雲を生み出したのだ。
 路地裏に出現したのは、陰日向・千明(きさらぎ市の悪霊・f35116)である。
「人々を惨殺しようとしてるトンカチってのはあんたッスね? うちはこのあと用事があるんで、さっさと地獄へ堕ちるッス」
 千明はベリオルズにちらりと視線を投げかけると、スマホの画面に目を落とした。
「そんな板きれで、何をするつもりか知りませんが……ベリオルズさん!」
「ドゥフフ!」
 ベリオルズに呼びかけたアルゴラは、足元の小石を拾う。ハンマーの幻影を憑依させたその小石を、アルゴラは千明の方へ投げた。
 千明は、スマホの画面をタップする。
「注文完了ッス」
 霊界通販サービス『|天孫《あまそん》』を通して、即時に商品が千明の前に出現した。
 その『商品』は、小石によって放たれたハンマーの打撃を弾く。より正確に言うなら、打撃に応じた対抗術式を展開したのだ――『フラガラッハ携行相対防御システム』が。
「この楯、鬼重いんスよね。うちはここから動かないことにするッス」
 壁を背に、防楯を前にした千明へ、ベリオルズの攻撃はもう通じない。
「ドゥフフ、ずるい。ドゥフフ」
「死ぬのは怖くないッスけど、うちは勝ちたいんスよ」
 小石がまた、複数投げられる。防楯が次々と打撃を弾く音をBGMに、千明はさらに|神器《スマホ》を操作した。
 雨が止んだ。否、巨大な物体が頭上に現れたのだ。
 それは、キャバリアであった。『|天孫購臨「荒波刃騎」《アマソン・コーリン・アラハバキ》』……誤発注されたキャバリアは、千明に従う。
 千明は、キャバリアをスマホで遠隔操作する。
「とりあえず『ビーム』っと……」
 千明の白い指先がスマホの画面をスワイプした。キャバリアに内蔵された光学兵装が、ベリオルズとアルゴラへビームを降らせる。
「きゃああーっ!」
 アルゴラが悲鳴を上げる。ベリオルズはそれすら上げなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

日留部・由穏(サポート)
由穏と申します。
これでも太陽神の生まれです。
いかなる世界であれ、オブリビオンの影に未来を曇らされる人々がいるのならば、私が手を出さない道理はありませんね。
太陽は、照らすべき者のために存在するのですから。
好き:芸術全般、各世界の学習、人々の観察
使命:人々の明るい未来を守る
【発言】ご隠居太陽神、敬語、優しい、いつも穏やかな笑み、怒りや恨みや後悔の感情が乏しく時に人を理解しきれないこともある、自らの負傷を気にしない
【戦闘パターン】視力+暗視+マヒ攻撃+光線銃で銃撃戦、アート+式神使い+アイテム折り紙で撹乱、催眠術も併用し折り紙式神を猟兵やターゲットに思わせ誘導などなど
その他何でもさせてどうぞ



●終焉の終焉
 一条の光線が、アルゴラの頬を掠めた。
「人々の明るい未来が曇らされるのなら、私が手を出さない道理はありませんね」
 光線銃を手にしている、日留部・由穏(暁天緋転・f16866)が呟いた。
 彼の正体は、人間を愛する太陽神である。
「そこをどいてください、でないと……」
「ドゥフフ……」
 アルゴラもベリオルズも、既にボロボロである。
「残念ながら、貴方は私が照らすべき者ではありません」
 穏やかな笑みを浮かべたまま、由穏は言った。ここで、このマスカレイドの息の根を止めない限り、お祭りに集まる人々に未来はないのだ。
 問答でどうにかするのを早々に諦めたアルゴラは、ベリオルズを振りかぶった。
 由穏は、折り紙で折った一羽の鶴を白衣から取り出し、霊力を与える。式神が宿った折り鶴は、ふわりと宙を漂い、ベリオルズの前で静止した。
 アルゴラがベリオルズを振り下ろすのを中断する。
「ど、どうしてあなたがここに……」
「ドゥフフ……?」
 アルゴラとベリオルズには、折り鶴が、ターゲットである少年エリオットに見えているのだ。由穏の催眠術である。
 お祭りに来る人々を殺し、エリオットの願いを叶え、エネルギーを得るのがベリオルズの目的である以上、ここでエリオットを殺すわけにはいかないのだ。それを由穏は利用したのである。
「こちらを見てください」
 打撃を中断した敵へ、由穏が声を掛けた。
「これが何に使うものか分かりますか?」
 由穏が見せたのは、白衣から取り出した紙風船である。
「え……?」
「ドゥフフ……?」
 アルゴラとベリオルズは、由穏の問いへの答えを持ち合わせていなかった。
 その瞬間に召喚されたのは、紫の触手のかたまり。そこから謎を喰らう触手が飛び出し、敵に襲いかかった。
「きゃああ!!」
「ドゥフフ……!!」
 |UDC「謎を喰らう触手の群れ」《ポリ・カラ・エニグマ》が、敵を覆う。
 やがて触手が引くと、後には何も残っていなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 日常 『貴族の邸宅訪問』

POW   :    美しい邸宅を見て回る

SPD   :    ダンスやゲームに興じる

WIZ   :    邸宅の主と歓談する

イラスト:純志

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

徳川・家光(サポート)
 基本的に、必要性が無い限りあまり目立たないようにしています。でも頼られると嫌と言えず、人前に出ることにめちゃくちゃなれているので、必要になればそこそこの「コミュ力」技能でそつなく対応します。
 土木系の力仕事は「羅刹大伽藍」、スピード勝負なら騎乗技能+名馬「火産霊丸」を召喚し、活用します。

 異世界の文化が好きで、自分なりに色々調べており詳しいのですが、ときどき基本的な知識が抜けていたりします。

 嫁が何百人もいるので色仕掛けには反応しません。また、エンパイアの偉い人には会いません(話がややこしくなるので)。
普段の一人称は「僕」、真剣な時は「余」です。
あとはおまかせ。よろしくです!



●将軍と少年
(「ベリオルズは討たれたようですね。これで悲劇は起こらず、めでたしめでたし、というわけです」)
 お祭り会場に来た、徳川・家光(江戸幕府将軍・f04430)は、それを口には出さずにそっと胸に秘めた。今ここにいる人々は、知る必要がないことだからだ。
 家光はサムライエンパイアの江戸幕府将軍だが、それゆえに目立つことを厭い、隠密仕様のサムライ装束に身を包んでいる。それが功を奏し、家光はお祭りの賑わいに紛れることに成功していた。
「さあさあ、腕相撲はいかが? 勝っても負けても、参加者には3ダルク分の野菜をプレゼントだよ!」
「腕相撲?」
 思わず家光は、声が聞こえた方を見た。
(「アクスヘイムに相撲は伝わっていないと思いますが……いえ。この場合、本来は別の言葉なのでしょうね。世界の加護が、僕に通じる言葉に置き換えてくれているのでしょう」)
 家光はすぐにそう理解したが、呼び込みをしていた人と目が合ってしまった。
「そこの赤い髪のお兄さんも、ぜひ参加していってください!」
「……頼まれては、断れませんね」
 苦笑いした家光は、腕相撲に参加していくことにした。

 腕相撲の相手は、このお祭りを主催する貴族のエリオットであった。10代半ばの少年である。
「よろしくね!」
「はい、エリオットさん。よろしくお願いします」
 穏やかに言った家光は、腕まくりはせず、肘をテーブルに置く。
 家光とエリオットが、右手同士を組み合わせた。
「よーい、始め!」
 審判役の掛け声と共に、エリオットは力を込める。
「う~~~ん……!!」
 エリオットが唸った。家光はさほど力を入れていないのに、手の位置は動いていない。
 エリオットの腕力は、見た目通りのようだ。刀剣を幾度も振るってきた家光には敵わない。
(「ですがここは、花を持たせましょう」)
 家光は完全に力を抜く。ぽすっ、と家光の手がテーブルについた。
「やったあ!」
 無邪気に喜ぶエリオットを、家光は優しく見守っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

小宮・あき(サポート)
お困りの方がいる、と聞いて参りました。
スポット参戦のような形でフラリと。



◆性格・人柄

敬虔な聖職者として猟兵に目覚めた、人間の聖者。
です・ます口調の礼儀正しい女性。
ピンクの髪に、透き通る水色の瞳が特徴的。
ふふ、と微笑み、愛らしい見た目で佇んでいますが、
本業は商人。ホテル経営者。冷静で非情な心も持ち合わせています。
また敬虔な聖職者故、邪教徒や魔女に寛容さが無く、苛烈な面も持ちます。

既婚者。
神と夫に報告できない行動は、絶対に取りません。



◆戦闘
ユーベルコードは指定したもので臨機応変に。
基本は後衛の魔法職。

・範囲魔法(神罰)
・回復(コルセオ)
・拘束(光の鎖)
・人手が必要な作業(戦場のハレム) 等



●花
 あきはお祭りを訪れ、一般開放されている貴族の邸宅を散策していた。
 庭園には、スイセンやパンジー、ビオラといった冬の花が美しく咲き誇っている。
「とても、綺麗ですね」
 あきはそれらの花に手で触れるようなことはせず、目で楽しみながら歩いた。
 ふと、自身がオーナーを務めるリゾートホテルの庭をあきは思い浮かべる。
(「比較して、どちらの方が良いなどと言うつもりはありません。ですが、貴族のセンスも手がかりになるかもしれませんね」)
 あきはそう考えた。あきは、商魂たくましい女性なのである。
(「デザインをそのまま真似するわけではありませんが、参考にさせてもらいましょう」)
 あきはスマートフォンを取り出し、庭園をカメラ機能で撮影していった。

 邸宅内のホールに移動したあきは、老若男女が楽しそうにダンスしているのを目にする。
 流れる音楽は、楽団による生演奏だ。
(「これが、私たちが守った平穏というわけですね」)
 あきはそっと微笑んだ。
 壁際に立ったあきは、静かに人々のダンスを眺める。
 見ているだけでもあきは楽しかったのだが、そんなあきの姿は、いわゆる『壁の花』に見えたのだろう。声が、掛けられた。
「お姉さん、僕と一緒に踊りましょう!」
 見ると、貴族の服を纏った10代半ばの少年が、緊張した面持ちで、あきに向けて手を差し伸べていた。
 彼が、悲劇の中心になるはずだったエリオットだと、あきにはすぐに察しが付いた。
 男性とダンスするなど、既婚者であるあきには本来歓迎できない行いかもしれない。けれど相手は、まだ幼い少年だ。
 それに、エリオットに素敵な思い出を作ってあげることはなんら恥じることではなく、神にも夫にも胸を張って報告できることである。
「ええ、喜んで」
 だからあきは、微笑んでエリオットの手を取った。
「はい……!」
 エリオットが笑顔を咲かせる。
 曲が終わるまで、あきとエリオットはダンスに興じたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ギュスターヴ・ベルトラン(サポート)
|C’est du soutien, je comprends.《サポートだね、わかったよ》

一人称:ぼく
二人称:相手の名前+さん呼び、敵相手の時のみ呼び捨て
口調:おっとりしてる喋り方

■行動
非戦闘時は穏やかでのんびりしてる
信心深いので何かしらの行動の前に【祈り】を捧げる事は忘れない
人の主義主張は聞き、それを受けて行動する。行動原理を理解しないままの行動はしない
楽しむ事は楽しみ、悲しむ時は悲しむ素直な性質
「公序良俗に反することはしないよ」と言うし実際にそうするタイプ

お菓子や甘味を好む珈琲党(ブラック派)
普段は質素倹約を心がけているので、明るく華やかなモノを見るとテンションが上がる
猫も好きだよ!



●笑顔溢れる日常
「|Notre Père qui es aux cieux《天にいますわれらの父よ》」
 貴族の邸宅に入る前に、ギュスターヴ・ベルトラン(我が信仰、依然揺るぎなく・f44004)は、ロザリオを手に、祈りを捧げた。
 ホールを通り過ぎてそのまま歩いて行くと、広い廊下に長椅子が設置され、休憩所にしてあるのが目に入る。そこでは、一人の貴族の少年が休んでいた。猟兵たちの活躍によって悲劇を免れたエリオットである。
「お祭りの主催のエリオットさんだね?」
「わ、ビックリした! ええと、あなたは……」
「ぼくはギュスターヴ。このお祭りに来た参加者の一人だよ」
 ギュスターヴが穏やかに微笑みかけると、エリオットは、ぱっと表情を輝かせた。
「そうなんだね! 来てくれてありがとう!」
 エリオットのその顔を見て、ギュスターヴも嬉しそうに笑う。
 この笑顔が曇らされることなど、あってはならなかった。その悲劇は、阻止されたのだ。
 ギュスターヴは、話題を切り替える。
「エリオットさんは、ぼくより10歳ぐらいは年下に見えるけど、お祭りを主催してるんだよね? 色々大変じゃない?」
「うん、書類仕事とか、目が回るよ! でも、皆に楽しんでもらうためって思えば、全然辛くない!」
 エリオットはキラキラした目で言う。ギュスターヴの想像以上に、この貴族の少年はしっかり者だ。
「|Très bien.《素晴らしいね。》ところで、このお祭りで、エリオットさんのオススメスポットは何かあるかな?」
「オススメかあ。ギュスターヴさんはどんなものが好き?」
「甘い物かな」
「よし、ついて来て!」
 エリオットに先導され歩いて行くと、揚げパンが売られていた。
 ギュスターヴは一つ買い、食べてみる。たっぷり粉砂糖が掛かったそれにかぶりつくと、中からは、あんずジャムが顔を出した。
「美味しいね」
「でしょ?」
 ギュスターヴとエリオットは、満足げに笑い合った。

 こうして、人々の血も、涙も、一滴たりとも流されることなく終わった。
 悲劇の終焉は、破壊されたのである。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2024年11月18日


挿絵イラスト