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メガバンク・ローバリーは漆黒の黄昏に

#デビルキングワールド #妖狐七星将『破軍』 #メガバンク

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#デビルキングワールド
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#妖狐七星将『破軍』
#メガバンク


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●銀行強盗で回せ、世界を!
「今、なんと?」
 妖狐七星将『破軍』はグリモア猟兵、ノイン・シルレル(第九の悪魔・f44454)の爛々と輝く薄紅色の瞳を見返した。
 その瞳には呆れの感情が乗っているように思えたかもしれない。
「もう一度、おっしゃって頂けますか」
「はい。デビルキングワールドの通貨……即ち『|D《デビル》』には魔力が籠められています。これを集めれば集めるほどに強力な儀式魔術を実行することができるのです」
「いえ、そこではなく」
『破軍』は頭痛を覚えたようである。
 眼の前の猟兵は、どこかとぼけたような雰囲気があった。
 そして何より、彼はこういう『ものすごく強いのにバカな奴』の相手にうんざりしていた。

 そう、彼は帝都櫻大戰の折に、キャンプ・フォーミュラ『キャンピーくん』の世界移動能力によって助力に駆けつけた共闘者である。
 彼等の助力のおかげで猟兵たちは帝都櫻大戰を戦い抜くことができたのだ。
 だが、『キャンピーくん』は何処かに姿を消してしまったのだ。
 それによって『破軍』は彼が元いた世界、シルバーレインへと帰還することが叶わないでいるのだ。
 そして、グリモア猟兵であるノインは彼にデビルキングワールド通貨である『D』を使えば儀式魔術にてシルバーレイン世界へと帰還することができると伝えにきていたのだ。
「私がお聞きしたいのは、その儀式魔術に必要であるところの『D』の量なのですが。もう一度言っていただいてもよろしいか?」
「はい、『1000兆D』ほどあれば問題なく。そして、それを妖狐七星将『破軍』様、あなた様自身の手で集めなければ、この儀式魔術には使えないのです」
「なんなのです、そのものすごくバカな単位は」
「ですが、事実なのです。そして、このデビルキングワールドにて最も手っ取り早く大金を稼ぐ手段と言えば、もちろん、銀行強盗なのです!」
 ばーん!
 ノインは奇妙な決めポーズをキメて『破軍』に告げる。
『破軍』は頭痛がする思いであった。
 さっきからノインはこの調子である。

 儀式魔術に必要な通貨『D』の数も破格というか、バカなのか? という量であるが、それよりも何よりも。
「この私に銀行強盗をせよ、とは……」
「確かに他の世界では悪行でありましょう。あえて悪行に手を染めるのを厭う気持ちもわからないですが、案ずることなかれ」
「案ずることばかりでしょうが」
「いえ、このデビルキングワールドの大正義、それはワル! そうなので、この世界では徐々に常識が覆り始めていますが、もとより悪魔たる私達は強い者に靡く性質があります。身に覚えがあるのではないですか?」
 ノインの言葉に『破軍』は頭痛のする頭を抑えて頷く。
 そうなのだ。
 帝都櫻大戰の折に、デビルキングワールドに出現したエンシャント・レイス『護国鉄神零號』に悪魔たちは勝手に彼の配下になろうとしていたのだ。
 それを『破軍』は猟兵と共に片っ端からぶっ飛ばし続けていたのだ。

「そう、あなたはユーベルコードを持たぬ身であれど、妖狐七星将にて第四の実力者。ユーベルコードでない|『能力』《アビリティ》、朱雀拳による集団殲滅力においては比類なく、千の軍団にも引けを取らぬ、言葉通りの『一騎当千』」
「つまり」
「ええ、あなたの強さに悪魔たちは勝手に惚れ込んでいることでしょう。無論、この銀行強盗計画に参加してくださる猟兵の皆さんも同様に、です」
 そうですよね、とノインは共に転移してきていた猟兵たちを振り返って、んねっ! と無表情のままバチコンとウィンクする。
 そんな彼女に猟兵たちは、いやいや、と思ったかもしれない。

「この計画を補助する皆様もいらっしゃいます。さあ、行きましょう。世界を回すために銀行強盗を!!」
 心做しかノインの方がノリノリである。
「もしや、あなたが銀行強盗をしたいだけではありますまいな」
「まあまあまあ」
「誤魔化してません?」
「まあまあまあ」
 その言い回し流行ってんの? と猟兵たちは思ったが、しかし、走り出した銀行強盗計画は最早止まらない。
 転がる岩を止めるのと同じくらい、こういうのはノリと勢いがある方が楽しいのである――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回はデビルキングワールドにおいてシルバーレイン世界に帰還するために、銀行強盗する妖狐七星将『破軍』をお手伝いしつつ、大量のデビルキングワールド通貨|『D』《デビル》を集めるシナリオになります。

 目標『D』額は、『1000兆D』!
 真っ当な手段では到底稼ぎ切れぬ『D』です。
 しかも、シルバーレイン世界に『破軍』が帰還するためには、『破軍が自らの手でかき集めたおカネでなければ、この儀式魔術には使えない』という制約をクリアしなければなりません。
 そのため、皆さんは手っ取り早く大金を得るために『破軍』と共に銀行強盗をしなければなりません。

●第一章
 集団戦です。
 早速『破軍』と共にメガバンクの支店に銀行強盗しましょう。
 まずは、警備の悪魔である『鎧の悪魔』をぶっ飛ばしましょう。
 ですが、この『鎧の悪魔』の中には帝都櫻大戰の折に、猟兵である皆さんや『破軍』と直接戦った者もいるかもしれません。
 彼等はきっと皆さんのガチファンです。
 そういうガチファンを嗅ぎ分けて、『内通者』にしたてあげてもいいかもしれません。

●第二章
 冒険です。
 警備員をぶっ飛ばすなり、内通によってスルッと警備くぐり抜け金庫に迫る皆さんを襲うのは、『タピオカ・ガトリング包囲網』 です。
 そう、流行というのは熱しやすく冷めやすいもの。
 ブームの冷え込みによって抱えられた大量のタピオカを処分するべく、もったいない精神などぶっ飛ばすかのようなワルの所業をかいくぐりましょう。

●第三章
 ボス戦です。
 危険でワルな罠をかい潜った皆さんは大量の『D』を頂いて、後は逃走するだけです。
 ですが、銀行を飛び出した皆さんの前に漁夫の利を狙うオブリビオンが現れます。
 何処かで見たようなオブリビオンですが、同一に見えて同一ではないのがオブリビオン。
『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツです。
 彼をぶっ飛ばし、『破軍』を帰還させるために『D』を大量に奪って逃げましょう。

 それでは、回せ世界を! 銀行強盗で! な皆さんのワルな物語の一片となれますように、いっぱいがんばります!
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第1章 集団戦 『鎧の悪魔』

POW   :    アーマーフォース
【鎧を着た者】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[鎧を着た者]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD   :    アーマーエンハンス
対象の【鎧】に【追加装甲】を生やし、戦闘能力を増加する。また、効果発動中は対象の[鎧]を自在に操作できる。
WIZ   :    アーマーラビリンス
戦場全体に、【鋼の鎧】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。

イラスト:鋼鉄ヤロウ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「流石に警備は厳重ですね」
 妖狐七星将『破軍』はメガバンクの支店の一つを前にして、ふむ、と頷く。
 デビルキングワールドに住まう悪魔たちは全世界を見渡しても、文句の付け所がないくらいに最強の種族である。
 その頑丈さは言うまでもない。
 多少猟兵たちのユーベルコードを乱暴にぶっ放しても、死ぬことはない。
 ただぶっ飛んでいくだけである。
 恐ろしく頑丈なのだ。
 だが、銀行強盗する側からすれば、それが問題なのである。
 この銀行強盗計画は、そもそも、警備の悪魔を蹴散らしてデビルキングワールドの通貨である『D』を獲得するところにある。
 その初っ端である警備員がぶっ飛ばせないで、計画が頓挫する……なんてことは避けたい。

「単純に強いだけのバカをまた相手にしなければならないとは……ほとほと私はこの手合に縁があるのか」
『破軍』はまた頭痛がするようであった。
 だが、頭痛になんて負けてはいられない。
 厳重な警備であるのならば、これを突破してこそ銀行強盗。
 その醍醐味は銀行の警備が厳重であればあるほどに良いものとされるのである。最ワルなマストでベターなムーヴメントをキメねばならない――!
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊だが

陰海月「ぷっきゅ!」

…陰海月語を翻訳します…

わーい、久々のデビルキングワールドでのワルワルだ!ぼく、頑張っちゃうぞ!
ええと、あ、迷路だね!ぼく、得意!
ふんふんふーん、楽しみながら解いていってー。お邪魔な人は…この光珠でぶっとばしていいんだよね?飛ばしちゃお!
ぼく、大暴れしちゃうぞー!目にも悪いからね、今のぼく!
あ、たまにぼくの怪力でも殴っていいのかな…?

ワルワルなことをするのは、楽しいね!
あ、でも。これするの、この世界だけだからね!?おじーちゃんたちも安心してね!?



 ワル。
 それはデビルキングワールドにおいて、最高にクールなことである。
 通常の他世界であれば悪徳と呼ばれる行いであってもデビルキングワールドでは真逆の評価を得る。
 悪徳こそが美徳。
 はっきり言って、善悪の基準がひっくり返った世界である。
 しかしながら、このデビルキングワールドにて生きる悪魔たちは根が善良であった。
 とてもじゃあないが、ワルなことを行うには足りない。
 真っ当すぎる感性。
 けれど、彼等は憧れてやまないのだ。
 誰もが想像しえないようなとびっきりのワルを。

 そんな世界において最もポピュラーであり、最もメジャーなワルとはなにか?
 そう、『銀行強盗』である。
「スナック感覚で申されましても」
 妖狐七星将『破軍』は微妙な顔をしていた。
 それもそのはずである。
 妖狐である彼をしても銀行強盗がワルでかっこいいなどとは思わないだろう。
「ぷっきゅ!」
 そんな『破軍』の言葉を否定するように馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)とユーベルコードに寄って合体した巨大なクラゲ『陰海月』は鳴いた。

「どうやら喜んでいる様子」
「ぷっきゅ!」
『陰海月』は、はしゃいでいた。
 久々のデビルキングワールド。
 品行方正であっても、時にワルの誘惑とは甘美にて芳しく。
 そして、それが美徳とされるのであれば、がんばっちゃうのも致し方ないところである。
「ヌッ! 何奴!」
 警備の『鎧の悪魔』が怪しげな雰囲気の『破軍』とめちゃくちゃ1680万色に輝く『陰海月』を見咎める。
 めちゃくちゃ目立っている。
「……早速気が付かれましたか」
「ぷきゅ~」
 気が付かないほうがおかしい。
 いくらサボリというワルをしていたとしても、流石に光りすぎている。目立ちすぎて警戒しないわけにはいかないのだ。

 展開される『鎧の悪魔』によるユーベルコードの迷宮。
 それは鉄の鎧に覆われた世界であり、高い硬度を持っていた。
「きゅきゅきゅ~」
「これは確かに……え、なんですと? 迷路であるから楽しんで解けばいい、と?」
『破軍』が首を傾げる。
 それはそうである。
「そうはさせるか! 固い棒でボコす我らのワルを見よ!」
 振り上げる警棒。
 その一撃を『陰海月』は受け止めることなく、投げはなった光珠でもって打ち据える。
 ぶっ飛ぶ『鎧の悪魔』。
「ぐああああ――!?」
「きゅきゅ!」
 しゅっしゅと触腕でシャドーボクシングをして見せる『陰海月』。

 そう、此処では大暴れしても咎められることはない。
「ワルワルするのが楽しい、と……?」
「きゅ!」
 だが、こういうことが大手を振って出来るのは、この世界だけである。
 他の世界では良い子の『陰海月』であるというように触腕を掲げ、『破軍』と共に『鎧の悪魔』が生み出した迷宮を進んでいくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

藤柄田・焼吾
破軍さんの銀行強盗の手伝いね、OK任せろ!
って犯罪じゃん!なんなのこのギャグ漫画みたいな世界?!
ツッコミが過労死しそう…

で、銀行強盗ってどうすれば良いんだろ?
それっぽくやれば良いか!

改造バンにウェポンエンジン搭載、爆速で銀行に突っ込む
どうもこんにちは、破軍猟兵強盗団がDをイタダキに来たぜ!
じゃあ、よろしくお願いしますバトルゴーレムさん
スレイヤーカードから、UCで【悪のカリスマ】なバトルゴーレムを召喚
カリスマで警備を魅了しつつ蹴散らして貰って、
俺は羨望の目を向けてるデビルに交渉
ちょっと俺だけでも通してくれない?
もっとすごいワル、見せちゃうぜ…?

…正気に返ったら負けなので、最後までワルく行くぜ!!



 ところが変われば法も変わる。
 世俗が違えば、文化も違う。
 それが世界丸ごと違うのであれば、他世界を知らぬ者にとっては驚異そのものであったことだろう。
 他世界を知る猟兵であっても例外ではない。
 何故ならば、デビルキングワールドという世界は、善悪の基準が真逆であったからだ。
「妖狐七星将『破軍』さんの銀行強盗の手伝いね」
 オーケー! と藤柄田・焼吾(素敵な一品を作りたい・f44441)は勢いよく頷いた。
 だが、ちょっと待てよ、と自分の放った言葉のおかしさに彼は気がついただろう。

 そう。
 銀行強盗の手伝い。
「って、犯罪じゃん!」
 そうなのである。
 銀行強盗のは犯罪である。焼吾の出身世界であっても、そうである。
 いや、大抵の世界……銀行というものがある世界であれば、強盗は大変に重罪だ。
「どういうことなんだよ!?」
「この世界ではどうやら善悪が逆転している様子。悪徳が美徳である、と」
『破軍』の言葉に焼吾は天を仰いだ。
 何だこの世界。
 ギャグ漫画の世界みたいだと彼は思っただろう。きっと『破軍』もそうだ。
「ツッコミ気質の人は大変だろうなぁ……で、銀行強盗するにしたってどうすればいいんだろう?」
 彼の中にあるイメージはどんなものであっただろうか。

 銀行強盗と言えば、ジャガー……というのは、まあひどく風評被害であろうが、必要なのは車。
 焼吾が出した結論は、ひどく単純で暴走的なものであった。
「む……なんだあれは……」
 銀行の警備『鎧の悪魔』たちは遠くから爆音を立てて飛ぶようにして突っ込んでくる豆粒……否、それは焼吾の運転する改造バンであった。
 ウェポンエンジンを搭載した爆速ターボ。
 そのフルスロットルな直進しかできなさそうな改造バンが銀行の支店へと飛び込んだのだ。

「うわああああっ!? なになになんだ、あれは!?」
「砲撃!? いや違う、バンが突っ込んできた!?」
 慌てふためく『鎧の悪魔』たちを前に焼吾は改造バンから飛び出して叫ぶ。
「どうもこんにちは、『破軍』猟兵強盗団が『D』をイタダキにキたぜ!」
「私の名前を冠されるのはちょっと……」
「こういう時はいいっこなしだぜ。それじゃあ、よろしくお願いします、俺の即席陶芸工房(パワーアップアイテムクリエイト)で作り出した自慢の逸品、バトルゴーレムさん!」
 手にしたスレイヤーカードより飛び出すのは、巨大なゴーレムだった。
 そう、焼吾のユーベルコードに寄って生み出された陶器のバトルゴーレムたちは、一気に飛び出し、混乱満ちる銀行を制圧するように次々と『鎧の悪魔』たちをぶっ飛ばしていくのだ。

 あまりにも理外の無法たる剛腕。
 その姿、まさにワルのカリスマ。
「な、なんて剛腕なんだ……まるでこっちの事情なんて気にもとめていない……ワルすぎる!」
 羨望の眼差しを受けて焼吾は笑む。
「ちょっと俺だけでも通してくれないか?」
「そ、そんなことできるわけが……いやでも、ワルかっこよすぎる……! いやいや! だめだ!」
「もっとすごいワル、見せちゃうぜ……?」
 キラリ、と輝く焼吾の瞳。
 その誘惑に『鎧の悪魔』たちは太刀打ちできなかっただろう。
「すごい、ワル……?」
 ごくりんこ。
「ああ、すっごいワル」
 焼吾は思った。ここで正気に返ったら負けだと。
 故に、彼はそういうわけだからと強引に警備の悪魔たちを押しやって最後までワルの花道を往くために、後戻りできない感じの一歩を踏み出すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エアリーネ・シルベンスタイン
気持ちはわからなくもないですね……どうせ盗むならバレないようこっそりやるものですし……
……仕方ありません、分け前を幾らか貰えるなら手伝いますよ……?

で…警備員ですよね……私は鎧未着用ですけど、仲間同士で強化しあうんでしょうか…?
…ところで、厳重な警備なら「守るべきもの」が零れていたら回収しますよね……?(別に懐にしまってくれてもいいですけど)
……ですので【イミテーションボム】で偽造Dを出してばらまきましょうか……
大体2分程で全部爆発するので…その爆発に紛れて背後を取り、武器を盗んで奪ったり、鎧の口のところからポージョンベルトの小瓶の中身の薬品を流し込んでマヒさせたりして無力化しますね……



 強盗と怪盗。
 それは似て非なるものである。
 押し入って奪い尽くすのが強盗であるというのならば、怪盗は秘めやかに奪うものである。
 その鮮やかなる手口は時に芸術的であっただろう。
 そして、強盗のように暴力に訴えることはない。
 まあ、時には銃撃戦だってするだろうし、因縁の警部補とのカーチェイスだってすることあってあるだろう。
 とかく、強盗というのはスマートではないように思えた。
 エアリーネ・シルベンスタイン(びんぼうエルフ・f26709)は妖狐七星将『破軍』の溜息に籠められた感情を理解するようだった。
「どうせ盗むならバレないようにこっそりやるものですよね」
「盗む、前提であるのはこの際脇に置いておくとしましょう」
 そう、彼がシルバーレイン世界に帰還するためには大量のデビルキングワールド通貨『D』が必要なのだ。
 それもざっと1000兆Dほど。
 桁、とエアリーネは思ったかもしれない。

「……仕方ありません、分け前を幾らか貰えるなら手伝いますよ……」
 彼女はそれで手打ちとしようと思ったのだ。
 だが、他の猟兵たちの派手にやりすぎた銀行強盗の余波と言うか、尻拭いというか、彼女に殺到するのは警備の『鎧の悪魔』たちであった。
 でもなんかこの警備員なんか変。
「うわ、やば、本物だよ」
「まじで? え、あれって本当に……?」
 ヒソヒソと言っている警備の『鎧の悪魔』たち。
 鎧に阻まれて表情はわからないが、明らかに浮足立っているように思えるのだ。
 なんだ? とエアリーネは思っただろう。

 彼等、明らかに『破軍』に対して態度がおかしい。 
 ソワソワしているようだった。
「何か思い当たることは?」
「……さあ?」
「……まあ、いいでしょう。この世界では悪徳こそが美徳。であるのなら」
 ユーベルコードにエアリーネの瞳が輝き、その手からこぼれるようにして大量の偽造Dが溢れ出す。
 そう、彼女のユーベルコードは実物をもした贋物を作り上げる力。
 作りは粗いが、大量に創り出すことで粗雑さをカバーしているのだ。

「……賄賂です。いえ、そもそも厳重な警備なら『守るべきもの』が溢れていた回収しなければならないですよね……?」
 別にそのままポケットにインしてもいい。
 けれど、『鎧の悪魔』たちは基本、悪魔である。
 そう、性根が良い子なのだ。そんな彼等は真面目に贋物であるところの偽造Dをかき集めながら、二人を見上げる。
「あ、あの! もしかしなくても超強い猟兵さんと『破軍』さんですよね!」
「お、俺達、先日の戦いを見てファンになったものでして! その、握手なんか! してもらったりなんて!」
 いいッスかね!? みたいなあこがれの人を前にした若者みたいな反応をする『鎧の悪魔』たちにエアリーネも『破軍』も戸惑うかもしれない。
 なんか、思ってたのと違う。

 こう、鮮やかに背後を取るつもりだったのだが、『鎧の悪魔』たちがいやに好意的なのだ。
『破軍』は、まあ、握手くらいならと言わんばかりでる。
 エアリーネはいいのかなぁ、と思ったが、彼等があまりに喜んではしゃぎ、自分たちを銀行の金庫へと送ってくれるのを見やり、うーん、と悩む。
「……あ」
 思い出した。
 時間はきっかり2分後。
 エアリーネと『破軍』の背後で盛大に爆発する偽造D――イミテーションボムの炸裂音にビクっと肩を震わせるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

遠野・路子
呼ばれた気がする……?

いや|単純に強いだけのバカ《そっち》じゃなくて
それにしても廉貞といい破軍といい
妖狐七星将は苦労人が多いね
巨門は除く
というか破軍の悩みは巨門のせいでは?
ともあれ私としては妖狐勢もいないと寂しいし
助けてもらったお礼はしっかり返そう

鎧の悪魔……ならば私も鎧で対抗しよう
見るがいい、この中学の制服と完全にマッチした和鎧を!!
お洒落度では私にかなうまい
その時点であなたたちには私の前に立つ資格など……!

とかなんとか説き伏せながら
てきとーに【オロチ変化】で手を変化させてぱくっと。
もぐもぐ、ぺいっ
美味しいか、と言われると微妙
破軍も食べる?

そうそうてきとーになぎ倒せばいいんだよ
考えるな感じろ



「呼ばれた気がする……?」
 遠野・路子(悪路王の娘・f37031)は小首をかしげる。
「どうかなさいましたか」
 妖狐七星将『破軍』の言葉に路子はかぶりをふる。
 気の所為であったかもしれない、と。
 そう、呼ばれたのは自分が単純に強いだけのバカだからではない。強いのは強いが、賢い強いカワイイが路子のモットーである。
 呼ばれた気がしたのは、そういうことではなくて、この事態に対処するためである。

「であえ、であえ!!」
「我ら警備の『鎧の悪魔』がいるかぎり、この先の金庫には一歩も近づけさせぬぞ!」
「おおおっ!!」
 なんか警備の中でもひどくやる気な悪魔たちがいるのだ。
 彼等は真面目に! 銀行の金庫を守っている。
 悪徳が美徳の世界にしては堅物である。しかし、彼等は騙されて24時間労働たるブラックな業務に従事しているだけなのだ。
 休み無し。休日なし。もちろん、有給なんて許されない。
 なんていう極悪非道。
 だが、そんな悪行を課すワルを前にしては、ころっと騙されてしまうのだ。

「本当に単純に強いだけのバカなんですね……」
「『廉貞』といい、あなたといい妖狐七星将は苦労人が多いね。『巨門』は覗く」
 というか、『破軍』の悩みのタネはすべて『巨門』のせいではないかと路子は思う。
 まあ、どちらにせよ路子は妖狐勢がいないのは寂しい。
 それに猟兵の立場からすれば『破軍』は帝都櫻大戰の折に助けてくれた共闘者である。彼を元いた世界、シルバーレイン世界に帰還させようというのならば、その御礼はしっかりせねばならないと思ったのだ。
「あなたのような理解者が増えてくれれば、私の仕事も楽になるのですがね」
「まあ、それは……うん」
 同意しつつ路子は対峙する『鎧の悪魔』たちを見据える。

 あの堅牢なる鎧は厄介だ。それに悪魔という種族事態が、そもそも猟兵と渡り合えるほどの強者ばかりなのだ。
 加えて、ユーベルコードでぶっ飛ばしてても、ちょっとやそっとでは死なないくらいに頑丈である。問題はそこなのだ。
 まともにぶつかっては、こっちが消耗するばかり。
 であるのならば、漁夫の利を狙うオブリビオンの思うツボだ。
「……なら、私も鎧で対抗しよう」
「何を、一体?」
「ぬっ! 貴様……!」
「そう、見るがいい」
 そう言って路子はその場でターンしてみせる。
 ふわり広がる学生服のスカート。がしゃがしゃ鳴る和鎧。

 そう、今の路子は鎧界のファッションリーダー。
 輪鎧の拵えと銀誓館学園の制服。
 その調和と融和。
 ハーモニーとも言っていいほどに彼女のお洒落を体現しているのである。
「なんというナイス鎧!」
「……ふ、お洒落度で私にはかなうまい。その時点で、あなたたちには私の前に立つ資格など……!」
「いや、流石にそれはないのでは」
『破軍』が若干引いている。
 だが、路子の前に対峙していた『鎧の悪魔』たちは皆、一様に平伏して道を開けていた。
 なんで?
 そりゃ言うまでもない。路子が、賢い強いカワイイからである。

「……!?」
「さ、いこ。なんで引いてるの?」
 ついでに、と言わんばかりに路子はオロチ変化(オロチヘンゲ)で手を土のオロチへと変形させ、『鎧の悪魔』の生命力をもぐもぐする。
「美味しいかと言われると微妙」
「そういうところなのでは……?」
「何が?『破軍』も食べる?」
 食べません、と『破軍』は路子の賢い強いカワイイに圧倒されていた。
「こういうのはテキトーでいいんだよ」
「ですが」
「考えるな感じろ」
 それが、猟兵のやり方――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ソティア・エピアルティス
……銀行強盗……ふっ、助けを求める者の為とはいえ、
やはり|闇の使徒《ダークネス》たる私はこの闇の運命からは逃れられないのね……
だが、これも覚醒せし者の務めというならば、覚醒者、真なる闇の使徒としてとしてその務め果たして…え、長い?あ、はい、すいません……

……では、行くぞ!『深淵より目覚めよ闇より昏き焔』―――変身!(決めポーズ)
お前たちに恨みはないが、しばし眠っていてもらおう…!
目覚めよ!『影劫杖スキアーファルクス』!素早く接近し(理想)、華麗に(願望)一閃するわ!そして!受けよ!【闇より昏き光が映す影】!
……冷たき|悪夢《トラウマ》に抱かれて、一分ぐらい怯え震え、そして眠ることね!



 帝都櫻大戰にてエンシャント・レイスの他世界侵攻を共に退けた共闘者が一人、妖狐七星将『破軍』の帰還。
 それに必要なのは大量のデビルキングワールド通貨『D』である。
 通貨事態に魔力がこもっており、これを利用した魔術儀式によって『破軍』は彼の元いた世界シルバーレイン』へと帰還することができるのだ。
 だが、その『魔術儀式には制約があるのだ。
 そう、『破軍』自らが『D』を得なければならない。
 目標金額は1000兆Dである。
 正直、バカなんじゃないかという単位である。

「それでもやらねばならぬというのが現実の厳しい所ですね……」
『破軍』は猟兵たちとともに銀行強盗をするために銀行に強襲していた。
 あっちやこっちで好き勝手にやりたい放題している猟兵たちを他所に彼はひどく冷静であった。彼がもう少し賢くなかったのならば、猟兵たちと共に銀行強盗をエンジョイしていたかもしれない。
 が、そうではないのである。
 それは、ソティア・エピアルティス(闇に紛れ闇を狩る聖魔の影狩人(自称)・f43894)も同様であった。
「……銀行強盗……ふっ、助けを求める者の為とはいえ、やはり|闇の使徒《ダークネス》たる私は、この闇の運命から逃れられないのね……だが、これも覚醒せし者の努めというならば、覚醒者、真なる闇の使徒として、その務め果たして……」
 いや、違った。
 ソティアはソティアでこのシチュエーションを楽しんでいる!
 ワルを表立ってやれば灼滅者が来る。
 ダークネス界隈では常識である。
 であるのならばこそ、この悪徳が美徳とされるデビルキングワールドの善悪の基準がひっくり返った世界は、ソティアにとって生きやすい世界であったのかもしれない。
 あと、めちゃくちゃ捗る。

「あの、そろそろよろしいか」
「あ、はい、すいません……」
『破軍』の言葉に巣担ってしまう程度にはソティアも『良い子』であったのかもしれない。それを指摘して彼女が頷くとは思えないが。
「……では、行くぞ!『深淵より目覚めよ闇より昏き焔』――変身!」
 気を取り直してソティアは決めポーズと決め台詞をしっかりと演出込みでやり遂げる。
 なんか長々としたバンクみたいなシーンが続いたかもしれないが、その間にも『破軍』も『鎧の悪魔』たちも律儀に待っていた。
 その間に攻撃したらいいんじゃないかな、という野暮は誰もしないのである。
 こういうところが、基本的に悪魔たちが『良い子』とされる要因であるのかもしれない。

「ぬぅっ! 真正面から現れるとは……!」
「ふっ、お前たちに恨みはないが、しばし眠っていてもらおう……!」
「何を!」
 完全に悪役のそれであるが、言っていることはなんか優しい。此処は普通にぶっ飛ばす、でよかったのではないかと『破軍』は思ったが、下手なことを言ってはソティアのやる気を削ぐかも知れないと口を噤んでいた。
「それでも私に立ち向かうか。その意気やよし。であるのならば、目覚めよ!『影劫杖スキアーファルクス』!」
 ソティアは手にした妙にファンシーな形状の魔法のステッキを振りかぶる。
 どう見たって大げさな名前に似つかわしいファンシーさであった。
 しかし、突如として形が変わる。
 大鎌のような形へと変貌した影の刃が、ソティアの動きに合わせて揺れる。

 その踏み込みは神速であった。いや、それっぽい感じに映像を編集しているわけではない。
 これはダイジェストではない。エフェクトでもCGでもなければディープフェくでもない。それを最初に断っておく。
 別にこれがソティアの理想だったり、願望であったりではない。
 断じてない。
 再三言わせてもらうが、断じて違う。
「闇より昏き光が……貴様の秘めし影を照らし出す……!!」
「こ、これが闇より昏き光……!」
「……闇より昏き光……?」
 え、どういう? と『破軍』は首をかしげていたが、野暮である。

「受けよ、闇より昏き光が映す影(トラウマイザー)!!」
「ぐわあああっ!?」
 非常に『鎧の悪魔』たちは付き合いがよかった。
 派手にぶっ飛ぶ彼等を背にソティアは不敵に笑む。
 これが決まれば、最高にワルでクール!
「……冷たき|悪夢《トラウマ》に抱かれて、一分ぐらい怯え震え、そして眠ることね!」
 決まった――!!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

強盗だー!金を出せー!
ボクは映画だと銀行からお金をいただくときはスマートなやり方が好きなんだけれど…
派手にやれって依頼だからしょうがないよね!

正面玄関に[球体]くんをドーーンッ!!
警備員のみんなー!破軍くんが銀行強盗にきたよー!
驚いたねー、彼がこんなワルだったなんて!
みんなSNSに彼のワルい姿を投稿してバズっちゃおう!
仕事そっちのけでたくさんイイネ!を稼いで荒稼ぎができちゃうなんてみんなもワルだね~!

うーん、でもやっぱりスマートなやり方の方が好きだね…
というわけで[ドリルボール]くんを出して地下からじゃなく正面玄関から金庫までトンネルを掘っていこう!うーんスマート!



 ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)が好きなのは、スマートなやり方である。
 映画で銀行強盗モノを見る時は、強引なドタバタコメディよりは、スマートに犯罪計画を立てて実行する鮮やかな手並みのものが好きだ。
 けれど、現実はそう簡単にはいかないってことくらい、ロニにだってわかっている。
 あれはフィクションだから面白いのだ。
 現実にロニが出来ることは、あんなスマートなやり方ではなくって。
「強盗だー! 金をだせー!」
 コテコテの古典的な銀行強盗だけであった。

 いや、違う。
 派手にやれっていうことであったのだから、これが正しいのだ。
 猟兵たちがぶち込んだド派手な銀行強盗計画に便乗するようにしてロニは銀行に押し入る。
 それだけではない。
 球体を生み出して、さらに銀行を崩壊させるかのようにぶつけるのだ。
『鎧の悪魔』たちがついでのようにぶっ飛んでいく。
 瓦礫が生み出され、爆炎が上がる。
 いや、どこにも爆炎が上がるような要素はなかったはずである。だが、何か知らんがあちこちから炎があがり、火花が散っている。
 どう考えてもおかしい。 
 が、派手派手である。
「警備員のみんなー!『破軍』くんが銀行強盗にきたよー!」
「間違ってはおりませんが、そう喧伝されましても」
「驚いたねー、彼がこんなにワルだったなんて! みんなSNSに彼のワルい姿を投稿してバズっちゃおう!」
「いえ、その」
「仕事そっちのけでたくさんイイネ! を稼いで荒稼ぎができちゃうよ!」

 警備の『鎧の悪魔』たちは皆、一様に気がつく。
 なるほど!
 スマホを一様に構える『鎧の悪魔』たち。
 普通の世界であるのならば、職務怠慢であるとか炎上間違いなしである。 
 だが、此処は悪徳が美徳の世界。デビルキングワールドである。
 善悪の基準が逆さまになっているのだ。
 故に彼等は皆、職務怠慢こそがワル。
 警備の仕事をそっちのけにSNSに動画や画像を投稿するために勤しむことこそが、最高にクールな最近の悪魔インフルエンサーってわけである。

「うんうん、いいよいいよ~職務怠慢。みんなもワルだね~!」
「へへっ、そっすか?」
「いや、大したもんだよ。そのままスマホ構えててね。ほら、『破軍』くんもさっさと行く行く」
 ほらーとロニは『破軍』を急かすようにして金庫へと押しやる。
「はぁ……」
『破軍』はどうにも納得行っていないようであった。
 だが、まあ、行けというのならばと彼は金庫へと進んでいくのだ。
 その背中をロニは見て、少し考える。

 そう、こういう正面突破ができないわけではない。
 だが、やっぱりスマートな方が好きなのだ。
「よし、じゃあ、ドリルボールくん、いこっか!」
 くるっとロニは正面玄関に戻ると掘削球体でもって地下へと掘り進めていく。
 そう、よく映画である脱獄何かの手段!
 それは地下!
 ロニは、金庫までの道程を独自に切り拓くべく、地下から金庫への秘密トンネルを正面玄関から作り上げ、一足先にスマートに金庫へと辿り着こうとしているのだった――!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『タピオカ・ガトリング包囲網』

POW   :    銃弾を飲み喰らったり、防ぎながら突破する。

SPD   :    超スピードで突破する。

WIZ   :    ハッキングを仕掛けて突破する。

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵と『破軍』は銀行の警備『鎧の悪魔』たちをぶっ飛ばし、さも当然のように銀行の金庫へと到達する。
 だが、問題はここからである。
 そう、ここから先は恐るべき罠が仕掛けられているのだ。
 ぶっ飛ばされた『鎧の悪魔』は地面に伏しながら、震えながらに最後の捨て台詞を吐くワル仕草でもって猟兵たちに告げる。
「わ、我らをぶっ飛ばしても……この先のトラップは躱すことはできまい……貴様らの命運は、ここで尽きるのだ……」
「どういうことです?」
『破軍』は尋ねる。
 あ、それ聞いちゃうんだ、と猟兵たちは思ったかも知れない。
 こういうのは、ガクッと事切れる敵によって、さらなる不穏な空気が流れるところである。
 だが、『破軍』は彼等が別に、この程度で死ぬほどヤワではないことを知っている。普通に空気読まずに聞いた。
「えっ」
「いえ、ですから、どういうことなのですか。この先のトラップとは」
「……え、えっと……『タピオカ・ガトリング包囲網』があって、ですね、その」
「はい」
「あの、ブームで大量に仕入れたはいいものの、ブームが冷え切って残ってしまった在庫をですね、その」
「ええ」
「もったいないのでぇ……ガトリングの弾にして、ぶっ放す罠がぁ、あるんですぅ……」
「たぴおか?」
 もうやめたげてよ!
 その言葉を最後に『破軍』は剣呑な雰囲気を感じ取って振り返る。
 そう、そこにあったのは大口径のガトリングガン。セントリーガンとも言われるセンサーが検出した目標に自動的に向けてタピオカを放つトラップの猛攻であった――。
藤柄田・焼吾
破軍さん、真顔でブレずにツッコむの面白すぎない?
って本人に伝えても真顔レスされそうだから内心に留めるけど…

うわ~モチモチが無限に飛んでくる!異様な光景!
とっさに物陰から伺っちゃう。
けど進まなきゃ始まらない、行くぜ!

UC 神護の結界を展開
…なんか出力が薄い気がする!モチモチに負けるよこれじゃ!
ウカノさま(アイテム稲荷狐)…もしかしてちょっと呆れてる?
ウカノさま、破軍さんの帰還が掛かってるんです!
誰だって故郷に戻りたいでしょう?
だから、どうか力を貸してください!!
必死にお願いして堅牢な結界になったら、
リングスラッシャーを飛ばしてガトリング破壊
もったいない使い方しないで、ちゃんと食べて消費しろよな!



 沈黙がなんとも言い難い空気を醸し出していた。
 いやまあ、わからないでもない。
 妖狐七星将『破軍』のツッコミというか、当然の疑問は眼の前の罠……タピオカ・ガトリング包囲網に対する急所をつくような言動であったからだ。
 そう、セントリーガンのような固定砲台に詰め込まれたのはタピオカである。
 黒くてまんまる。
 打ち出せば、まあ弾丸のように思えなくもない。
 ブームが去って、大量の在庫を抱えてしまった悪魔業者がいたのかもしれない。
 もったいない。
 けれど、誰も買ってはくれない。
 であるのならば、どうするのか。

 そう、ガトリングの弾丸にしてしまえばいいのである。
「……そうか?」
 藤柄田・焼吾(素敵な一品を作りたい・f44441)は至極真っ当な疑問を口にした。
 いやまあ、『破軍』が真顔でブレていないのは面白すぎる所であるが、絶対それを伝えても真顔でレスされることが目に浮かぶ。
 なので、焼吾は内心でそれを留めるに至ったのだ。

 だがしかし、タピオカ・ガトリング。
 割りと面倒である。
「うわ~モチモチが無限に飛んでくる!」
「異様な光景ですね。はたから見れば、確かに弾丸に見えますが……」
「『破軍』さん、ベチベチ言ってるけど大丈夫なのそれ!?」
「はあ。まあ、何処まで言ってもただモチモチしているだけですからね」
 焼吾の前で『破軍』は嵐のようなタピオカの弾丸を前にして不動の構えである。痛くないのかな? 痛くないのであろう。
 むしろ、焼吾が物陰から伺っている事自体がなんか逆に恥ずかしくなってくる。
「参りましょう。どのみち、この先の金庫に収められている『D』が目的なのですから」
「順応早い……いや、もう考えるの諦めてない、それ?」
「そうとも言いますね」
「でも、モチモチしているのなんか微妙に嫌だな……良し、此処は一つ『ウカノ』さま、お願いします!」
 嵐のように迫るタピオカ弾を前に焼吾はユーベルコードを発露する。

 それは、神護の結界(シンゴケッカイ)。
 縛霊手より周囲を囲む神の守り。
 その結界によってタピオカ弾を防ごうというのだ。
 だが、なんか出力が弱い。
「えっ、なんで!? なんか結界薄い! モチモチがあたってるだけなのに、なんか割れそう! モチモチに負けるよこれじゃ!『ウカノ』さま!?『ウカノ』さまー!?」
 なんか焼吾に力を貸してくれるお稲荷様である『ウカノ』さまは、ため息を付いていた。
 まさか呼び出されてみれば、タピオカごときで、みたいな顔をしているのだ。
 呆れられている!
 やばい!
 これはまずいことだと焼吾は『ウカノ』さまにすがりつく。
「『破軍』さんの帰還が掛かってるんです! 誰だって故郷に戻りたいでしょう? 郷愁の念ってあるでしょう? どんなに離れてしまっても心だけは、その拠り所だけは故郷にあるってもんでしょう? だから、どうか力を貸してください!!」
 必死に頼み込む。

 それは焼吾にとって必死な願いであった。
 その様子を見た『ウカノ』さまは、仕方ないなぁという顔をして神徳たる力を強めていく。
「固くなった! やった!『破軍』さん、これでモチモチタピオカ弾も怖くないぜ!」
「いえ、そこまでもとより……」
 怖くないんだけど、と『破軍』は思ったが、しかし焼吾が自分のために必死に頼み込んでくれたのだ。
 なら、これを無碍にするのはなんとも気が引ける。
 であるのなら。
「……ええ、頼もしい限りです」
「だよな! さあ、行くぜ! もったいない使い方してないで、ちゃんと食べて消費しろよな!」
 構えたリングスラッシャーがセントリーガンをぶった切り、焼吾は悪魔警備員たちに告げる。
 大量にある在庫の処理。
 それを押し付けられるのも、それはそれで酷なのではないか。
 だがしかし、悪魔たちはちょっと喜んでいる。
 何故って?
 そりゃ決まっている。ブームの去ったタピオカの処理を押し付けるなんて、なんてワルなんだ! と焼吾を尊敬の眼差しで見ちゃういのが、デビルキングワールドならではだからだ――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

遠野・路子
タピオカ……私を呼んでいたのはあなた……(たぶん違う)
でも飲めないタピオカなんて
廉貞語の無い廉貞よりヒドイ!!
ダメだよ破軍
アレはこの世に存在しちゃいけないモノだ

おくちに入ることができなかった
タピオカの|その無念《地縛霊》よ
私に力を貸して
【ゴーストイグニッション改】!!

正しいタピり方の為に
アレを壊すよ破軍
手伝って……なんか引いてる?

というか、今ここでミルクティーを用意して
タピってしまえば良いのでは?
破軍もタピ沼に巻き込んでしまえばいいのでは?
任せて欲しい
タピオカミルクティーは私の標準装備
ただし味覚がゴーストなので
そこは許して欲しい
はっ?!|タピオカの無念の地縛霊《あなたたち》……
助けてくれるの?



 タピオカ。
 それは、黒いつぶつぶのあれである。
 たいていミルクティーの底に沈んでいて、太めのストローで吸い上げてモチモチ食感を愉しむ飲むスイーツでる。
 UDCアースやシルバーレイン、サイキックハーツなんかでも流行ることがあったかことだろう。
 特にシルバーレイン世界出身である遠野・路子(悪路王の娘・f37031)にとっては、マストフェイバリットスイーツドリンクであったことだろう。
 だからこそ、この事件に彼女は引き寄せられたのかもしれない。
「タピオカ……私を呼んでいたのはあなた……」
 多分違うと思う。
 が、しかしである。
 彼女はタピオカが好きだ。流行が好きだ。
 人間が生み出すブームというものは、いつだって刺激的なのだ。新世代ゴーストの筆頭とも言うべき路子にとって、それは忘れてはならない思い出の味なのだ。
 故に!

「タピオカが呼ぶ……? 一体何を言っているのです、あなたは」
 タピオカの弾丸が荒ぶトラップの中で妖狐七星将『破軍』は首を傾げていた。
 まあ、当然て言えば当然のことである。
「ダメだよ『破軍』」
「な、何がです」
 ただならぬ路子の気配に『破軍』はたじろいだ。
 その気迫、静かなるものであっても、悪路王の娘たる所以。
 背景にゴゴゴゴゴと書き文字が踊っていそうなほどの気迫を持って路子は頷く。
「飲めないタピオカなんて『廉貞』語の無い『廉貞』よりヒドイ!!」
「……!?」
 言葉につまる『破軍』。
 誰だってそうかもしれない。
「アレはこの世に存在しちゃいけないモノだ」
 路子の瞳がユーベルコードに輝く。

 その瞳は断末魔の瞳。
 そう、彼女は見ているのだ。
 おくちに入ることの出来なかったタピオカの|その無念《地縛霊》を。いや、いるのか? そんな地縛霊? と思わないでもないが、実際に彼女がユーベルコードで力を得ているところを見るに、いるのかもしれない。
「私に力を貸して……ゴーストイグニッション改(ゴーストイグニッションカイ)!!」
 タピオカの弾丸荒ぶ中、路子は無念満ちるタピオカ地縛霊と合体し、雑霊弾を打ち出す。
 それは猛火、業火の如き苛烈なる勢いで放たれる。
 そう、路子の心に共鳴した無念たるタピオカたち。
 本来なら、ミルクティーと一緒に吸い込まれていく運命であったのに、何故か彼等は弾丸にされている。
 その無念!
 はらさないでおくべきか!

「正しいタピり方のために。アレを壊すよ『破軍』。手伝って……」
「あ、はい。その」
「なんか引いてる?」
「いえ、ひいてはおりませぬ」
 本当に?
 路子は疑いの目で見ていた。だが、『破軍』は焦ったように頷く。
 そう、それほどまでに彼女の気迫がすんごかったのだ。
「そう。では……あ、いや、違うね。むしろ、ここでタピってしまえばよいのでは? ミルクティーを用意して。そして沼に巻き込んでしまえばいいのでは?」
「一体何をおっしゃっているのです、あなたは?」
「任せて欲しい」
「まだ何も言ってません!」
「タピオカミルティーは私の標準装備」
「何の説明にもなっておりません!」
 路子はひとり頷く。
 味覚がゴーストだから生きている命には、ちょっと感覚違うかもしれない。
 けれど。
「はっ……?! あなたたち……助けてくれるの?」
 なんかいい感じに路子の周囲にタピオカの地縛霊たちが集う。
 そう、食べられることなく弾丸にされた無念。それを今、晴らしてくれるというのなら……。

 なんか壮大な光り輝く光景と共に路子はタピオカパワーを得て、この処分在庫として残っているタピオカたちを尽くミルクティーに鎮めてパッケージングしていくのであった。
「なんでですか――!?」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

ドカーンと壁を[ドリルボール]くんでくり抜いてごくごくスマートに金庫目前にまで侵入した知的強盗であるボクらと破軍くん強盗団!
映画なら軽快なミュージックが流れるってところで…
んもー
攻め手が雑~!
タピオカブームも今は昔
流通量は最盛期の10分の1以下…とかなんとか!
そういえば飲んだことないなータピドリ

もったいないから【第六感】で配置とタイミングを感じ取って[餓鬼球]くんに食べてもらおうっと!
あついでに金庫のドアもガジっといてね!
さーてあとはこの大量のDを頂くだけだね!破軍くんポケットに詰めるだけ詰めて!ほらほら!
ポケットがいっぱい?しょうがないなーボクの[影]に詰めとこう!



 ドカンと一発大穴を開けたのならば一等賞。
 それが競争ってもんである。
 競馬だって競艇だって競輪だって、みんな大穴を当てたら大儲けなのである。
 そういうわけでロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)もまた大穴を開けるべく地下を掘削球体と共に掘り進んで、ごりっとスマートに金庫目前に到達したのだ。
「これがボクら知的強盗の強みってやつだよ! いや、名乗るのならば『破軍』くん強盗団!」
 勝手にロニは『破軍』の名を名乗っているが、まあ間違っちゃいない。
 なにせ、『D』をかき集めるためにはあくまで『破軍』が自ら手に入れなければならないのだ。
 であるのならば、ロニが『破軍』の名を強盗団に冠したのは間違いではなかっただろう。
「映画なら軽快なミュージックが流れるところだよね……って、おや?」
 ロニは気がついた。
 確かに彼はショートカットして金庫目前までやってきていた。

 反則って言えば、反則である。
 だが、古今東西どんなレースにだってショートカットしてはならないってルールはない。あるかもしれないが、多分ない。あったらごめん!
 そう、そんなショートカットなんてお見通しと言わんばかりに金庫前には大量のセントリーガンが設置されていたのだ。
 大量のタピオカを弾丸にしたトラップ。
 その荒ぶ弾丸の嵐は脅威の一言に尽きるものであった。
「んもー」
 ロニは嘆息した。
 目標目前にして、その足を掬わんとする意図がただ漏れである。 
 
 雑すぎる。
 仕掛けが、である。こんなことで自分の足が止まると思われている事自体が屈辱であったし、面白くない。
 それに攻めが雑である。
 セントリーガンはいい。
 だが、弾がタピオカ。
 変化球を気取ったのかも知れないが、しかし、ロニはせめて流行り物を使うのならば、現行のものでなくてはならない。
 ブームの去ったタピオカを使った所で、それはお粗末な結果しか生み出さないだろう。
 だからこそ、ロニはもったいない精神を燃やした。なんで?

「食べられるものが食べられていないなんて、そんなのもったいない! だからね!」
 球体たちが荒ぶタピオカ弾をパクパクと飲み込んでいく。
「タピオカブームも今は昔。流通量は最盛期の10分の1以下……とかなんとか! 仕方ないよね、ブームのときに出した売上なんてお化けみたいなもんだもん!」
 それを昨年比と比べて、なんて業務成績に反映しちゃうから、大変なことになるのだ。
 いつだってそうだ。
 タピオカにだって限った話ではない。
「だから、ここでとどめ差して置こうね! また再燃して愚かなタピオカ・ガトリングなんてトラップが採用されないように……あ、ついでに金庫のドアもガジっておこうね!」
 ロニはうんうんと頷く。
 あとは大量の『D』を頂いて帰るだけである。

 でも、まだ『破軍』たちは到着していない。
「あーもう、みんな遅いんだからー。よし、ちょっとボクのポッケに詰めとこう!」
 しょーがないなーと言いながら、ロニは金庫のドアから溢れ出す『D』をかき集め、『破軍』たちの到着を待ち侘びるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エアリーネ・シルベンスタイン
……そうですか……(一時思案)
正直、何を言ってるのかよくわかりませんが……つまりは罠ですよね…?
なら…【ミストシーカー】を…

あの口ぶりからすれば侵入者を感知し何かを飛ばす様式の罠、ということでしょうし、私一人ならともかく今回は同行者も居る訳ですので……
召喚した「霧の冒険者」でこちらなどの姿を隠させたり、
逆に周囲の…通路の先や部屋の中などを探らせたりしながら、『遺跡探検調査発掘セット』を取り出して進んでいきましょうか…幸いトラップ多数の遺跡の探索なんかは慣れてますし…

もし実力行使が必要なら竜呪杖から遠慮なく魔法を放って罠ごと破壊しましょうか……
別に保存の必要な遺跡じゃありませんし……



 警備の悪魔たちはゲロった。
 そう、この先にあるトラップのことを。
 いやまあ、それはいいことである。こういうワルな所作、仕草っていうのが悪魔たちの大好物であったのだ。
 本来なら機密漏洩なんてやっちゃいけないことである。
 ワルである。
 だから良いのだ。
 なんとも調子が狂うな、とエアリーネ・シルベンスタイン(びんぼうエルフ・f26709)は思ったかも知れない。
 彼女が思い描いていた怪盗というか強盗は、もっとこう……殺伐としたものであるように思えたのだ。
 
 だが、どうにもゆるい。
 その極地が、この先にあるタピオカ・ガトリング包囲網である。
「……そうですか……」
 ちょっと考える。
 タピオカ。
 タピオカってあれであるよね? あの黒くてモチモチした、あのミルクティーの底に沈んであるあれ。
 それが?
 弾丸になって? 飛んでくる?
「正直、何を言っているのかわかりませんが……つまりは罠ですよね?」
「平たく言えば」
 平たくしなくてもそうである。

「なら……」
 エアリーネはユーベルコードを発露する。
 ミストシーカーと呼ばれる霧の探索者たちが一斉に、この先のタピオカ・ガトリング包囲網へと踏み出していく。
 そう、この先の罠は侵入者を撃退する罠。
 なら、召喚した霧の探索者たちでもってトラップを発動させ、回避していけばいいだけのこと。
 だが、エアリーネにとって誤算だったのは、唯一つ。
 そう、タピオカ・ガトリング包囲網はタピオカを弾丸にしている。
 無論、彼女の知るところのタピオカはモチモチ食感の黒い粒である。
 以下にすごい勢いでぶち込まれたとて、その、なんていうか……。

「ええ、あまり痛くはございませぬ」
『破軍』は平気であった。
 躱すこともできたかもしれないが、取り立てて問題ないのである。
「……」
 エアリー値は思った。
 なんかこう、もっとちゃんとした罠なのかなって思っていたが、思った以上にしょうもない罠である。
 むしろ、『鎧の悪魔』のほうがもっと手強かったような気がする。
「……壊しときましょう」
 え。
「壊しましょう。別に保存が必要な遺跡じゃありませんし」
 え。
「ぶっ飛ばします」
 手にした竜呪杖より発露するのは魔法であった。
 それは罠ごとぶっ飛ばす最終手段にして、最強のゴリ押しであった。
 あと、なんかすごくいろいろ考えていたのに、それが全部空振りになってしまったという、しょんぼり具合もあってのことだっただろう。
 放たれる魔法が爆炎を上げ、銀行内を更に破壊と炎に包み込みながら、悪魔たちはエアリーネの容赦のなさに感涙感激して大喜びしている。
「……なんで、こんなに喜んでいるんですかね……この悪魔たち……」
 何もかもが通常の世界とは異なる反応。
 それにエアリーネは溜息一つついて、『破軍』を先に促すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
陰海月「ぷっきゅ!」

…陰海月語を翻訳します…

む、タピオカ…食べ物をガトリングの弾にするなんて、ワルワルだね!

もちもちぷにぷにタピオカの弾…意外と痛かったりするんだよね。スピードあるから。
この弾、食べられるのかなぁ…?食べられるなら、ぼく、弾受けたまま食べちゃうんだけど!好きだし、このUC使ってるとお腹すくし。
それに、今のぼく、超目立つからね!とっても的になると思うんだー。
食べられるなら食べるんだよ!
食べられないなら…四天霊障(極彩色)に纏わせた、『あつあつおじーちゃん』の属性である炎で、燃やしちゃえ!



 ワルなこと。
 それは、ある種の憧れにも似た事柄であったことだろう。
 本来ならばお叱りを受けることも、このデビルキングワールドでは美徳とされている。
 ワルなことをすればするほどに悪魔たちは持て囃し、憧れと敬意を持って接してくるのだ。
「ぷっきゅ!」
 だからこそ、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)と合体を果した『陰海月』は触腕を握りしめるようにして頷いた。
 そうなのだ。
 ここから先は危険なトラップ地帯。
 であるのならば、気合をいれるのは当然ことであっただろう。

 それに『鎧の悪魔』たちが言うところのトラップは、タピオカ・ガトリング包囲網である。
 文字通り、タピオカを弾丸にしてぶっ放す罠である。
 それだけ聞けば、極悪そのもの。
 セントリーガンは迎撃機構として大変に優秀である。銀行に設置されているのも頷けるところだ。
 だがしかしである。
 装填されている弾がタピオカなのだ。
 あたっても痛くない。
 だってモチモチしとるから。
「ぷきゅ! ぷきゅ!!」
 許せない。
 そう、食べ物をガトリングの弾にするなんて、なんてワルワルなのだろう。
『陰海月』は思った。
 憤慨した。

 べちん、とタピオカの弾がぶつかる。
 思った以上に痛くない。意外と痛いかなって思ったのだが、そこは猟兵と合体した『陰海月』である。
 への突っ張りにもならんのですよ!
「きゅ……」
 べちん、とあたったタピオカ弾を『陰海月』は拾い上げる。
 艷やかな黒い弾丸。
 いや、タピオカ。
 つるっともちもち。
 それがタピオカの魅力である。
「……」
 食べられるかな?
 ひょい、と口に運ぶ。いや普通に食べられる! 弾丸なんていうから警戒していたけれど、全然普通に食べられるではないか!
「きゅきゅ~!」
 なら話は早い!
 食べられるのなら食べてしまえばいいし、ユーベルコードで合体していると大変にカロリーを消費するのだ。

 そう、お腹が空く!
 であるのならば、タピオカの弾丸は全て食べ物。食べればカロリー。しかもタピオカはヘルシーぽく見えて、その実結構カロリーがあるってもんである。
 なら!
「ぷきゅ~!!」
 そう、ゲーミングカラーに輝く体を活かして罠として設置されているセントリーガンの注意を『陰海月』は惹きつけ続ける。
 目立つことを逆手に取った罠の攻略法である。
 タピオカの在庫がなくなるまで、全部食べきっちゃおう作戦なのだ!
「きゅきゅきゅきゅ~!!」
 食べて美味しい、罠も踏破できる。
 ひと粒で二度美味しいを実戦するように『陰海月』は放たれるタピオカ弾丸の尽くを食しながら、悠然と銀行内を進み、金庫へと近づくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ソティア・エピアルティス
……ふっ、(何を弾にしてるんだろうと正直思うけど)私の闇の力に恐れをなしたか……
だが、その程度で私、新時代の闇の使徒、このソティア・エピアルティスを止められると思わないことね!

……ええと、そのガンは誰かが動かしているわけではないみたいよね……
ふっ、ならば!【恩寵齎す闇との契約】!さあ、我が闇の力を受け取り、我が眷属となるがよい!……タピオカ…なんとかガンよ!
そして私たちの為に道を開けなさい!

(素に戻る)あっ、戦闘力自体はそんなにいらないだろうから、時間制限は緩めで、灼滅者さん居ないだろうから対灼滅者時の弱体化効果はもう思いっきり、触られたら爆散レベルでいきます

(……)
(ちょっと指痛い…)



 ソティア・エピアルティス(闇に紛れ闇を狩る聖魔の影狩人(自称)・f43894)は、どんな時もクールな姿勢を崩さない。
 そう、新時代の闇の使徒である彼女にとって、この程度の状況など些事に等しいのだ。
 ドンと構えてバーンとやればいいのである。
 それを彼女は実戦しているだけに過ぎない。
 だが、それはソティアという類まれなる闇の使徒であるからできることであり、下々のものにとっては、この先にあるトラップは脅威と呼ぶに相応しいものであった。

 例え、それがタピオカを弾丸にしたセントリーガンを配置されたタピオカ・ガトリング包囲網であっても、だ。
「……ふっ」
 ソティアは不敵に笑む。
 そう、どんな時でも余裕は失わない。余裕を喪ったものから倒れていくのが世の常である。
 であるのならば、彼女はお決まりのようにタピオカの弾丸乱舞する中告げるのだ。
「私の闇の力に恐れをなしたか……」
 べちん。べちん。べちん。
「だが、この程度で私、新時代の闇の使徒、このソティア・エピアルティスを止められると思わないことね!」
 ぺちん。ぺちん。ぺちん。
「って何よ! なんでさっきか、私にぺちぺちぺちぺちぺちぺち!」
 彼女がセリフをキメている間中、ずっとセントリーガンは彼女に向けてタピオカ弾をぶち込んでいたのだ。
 幸いに痛くないのが救いであった。

「ふっ、この私に恐れをなして言葉も出せずに攻撃しかできないとは哀れなことね!」
 ずびし、とソティアはセントリーガンを指す。
 だが、自動的な迎撃機構であるセントリーガンは、そんなソティアに銃口を向けて、ぺちぺちとまたタピオカ弾をぶち込んでくるのだ。
「むむむむっ、まだぶち込んでくるの!? でも、いいわ!」
 ぴっとソティアは己の指先をちょっと切って血を垂らす。
 なんか意味ありげな行為であるが、あんまり意味はない。あるとすれば、なんかかっこいいからである!
「さあ、我が闇の力を受け取り、我が眷属となるがよい! ……ええと、タピオカ……なんとか、ガンよ!」
 煌めくはユーベルコード。
 そう、彼女はタピオカ・ガトリングガンを前にして恩寵齎す闇との契約(ケンゾクギシキ)を結んだのだ。

 彼女のユーベルコードは知性のない生物か、制御下にない機械類を眷属化することができる。
 故に彼女は意味ありげな魔法陣をいくつも浮かべ、さらには闇に浮かぶようにライトアップされたキメ顔でもってタピオカ・ガトリングガンを眷属化し、恭しく頭を垂れさせるように銃口を地面に向けさせたのだ。たぱぱぱぱぱっ、とタピオカが床に打ち込まれているところからして、本当に眷属化できているのか、ちょっと疑問である。
「ふっ、私達の為に頭を垂れ、道を開ける殊勝な心がけよ……」
 ソティは最高にキマったと思った。
 だが、ちょっと指先がジンジンしてくる。
 そう、特に意味もなく指先を切って血を垂らしたのは、演出のためであった。
 別に彼女のユーベルコードは、指先を切ることや、血を垂らすことが条件ではないのだ。

 全く持って無意味な傷!
 でも、仕方ないのである。だって、その方がかっこいいのだ。
 意味ありげに意味のないことをやってみたいのだ。
「……」
 ソティアはさらに指先がジンジンしてきて、少し気分が落ち込んでしまう。
 だが、良いのだ!
 彼女は新時代の闇の使徒としての力を示してみせた。
 であるのならば、その指先の傷は勲章ものである。
 例え、ちょっと指痛いなぁ……って、この先思うのだとしても!
 それでも、ソティアは己が自称する闇に紛れ闇を狩る聖魔の影狩人としての矜持をしっかりと示して見せたのだ!
 決して、ぽんこつ淫魔なんかじゃない。
 選ばれし戦士として、彼女は立派に、その、立派なのだ――!!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツ』

POW   :    黒き稲妻の落ちる地に生誕せし『漆黒の昏き堕天使』
【「赦されぬ罪」で染め上げられた堕天使の姿】に変身し、武器「【魂の罪科を刈り取る死神の大鎌】」の威力増強と、【黒き稲妻を放つ力場で構成された光翼と光輪】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
SPD   :    貴様は我が魂を震わせる言霊を放つことが出来るか!
対象への質問と共に、【封印されし邪眼】から【黒き稲妻で構成された邪龍】を召喚する。満足な答えを得るまで、黒き稲妻で構成された邪龍は対象を【魂を焼き尽くす黒き炎雷】で攻撃する。
WIZ   :    汝らの罪を数えよ、我が魂の慟哭を聞くがいい!
自身の【魂の罪科を刈り取る死神の大鎌】から、戦場の仲間が受けた【屈辱】に比例した威力と攻撃範囲の【罪深きものの魂を焼き尽くす黒き稲妻の嵐】を放つ。

イラスト:kae

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はレギオ・ギャングースです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 妖狐七星将『破軍』は猟兵たちの助けを得て、金庫から大量の『D』を運び出していた。
 銀行強盗? とちょっと首を傾げるようなところも、まあ、多々あったが、結果オーライってやつである。
 道中の警備や、トラップは恐ろしいものであった……あった。あったよね? あったってことにして。
 だが、それでめでたしめでたしではない。
 そう、グリモア猟兵の予知は告げていた。
 この『破軍』と猟兵に寄る強盗。この計画に相乗りするようにして、漁夫の利を得ようとするオブリビオンの影を。
「ふ、ふ、ふ、フゥーハハハハ!!」
 けたたましい笑い声。
 なんかマッドな感じのする声色であったが、なんか無駄に声が良かった。

「なんです、彼」
『破軍』は笑い声の主であるところの少年……銀行から『D』を運び出している猟兵達の前に、ちょっと高い場所から見下ろすオブリビオン『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツを指さしてみせた。
「指差すなぁ! 名乗るからちょっとまってよ!」
「はぁ……」
『破軍』は特別取り合うことはなかった。
 だって、この手のバカは、まともに相手をしてはダメだと彼はもう悟っていたからだ。さりとて、無視すれば絡んでくる。それはもう粘着質のごとく、である。ガムテープだってもうちょっとするっと剥がれてくれるというのに、この手合はものすごい張り付いてくるのだ。

「我こそは!」
 しゅば、と謎のポーズ。
 片目を覆うように掌をかざし、その奥にある瞳を輝かせ『漆黒の昏き堕天使』シュバルツは不敵に笑む。
「『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツ! 貴様らは、自分たちが強盗計画を立てたと思っているかも知れないが、それもすべてこの私が裏で糸引くことであったのだ! フゥーハハハハ!!」
「はぁ、そうですか」
「フフフ、怖いか。この黒き稲妻の落ちる地に生誕せし『漆黒の昏き堕天使』が! 我が言霊によって貴様らは銀行強盗という悪行を成したのだ! この言霊はお前たちを縛り上げ、汝らの罪をもって我が魂の慟哭の慰めとしてくれよう!」
 何言ってるのか全然わからん。
 それに。
「なんです、『漆黒の昏き堕天使』、とは。『漆黒の堕天使』ではだめなんでしょうか?」
『破軍』の鋭いツッコミに『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツは、みぞおちに強烈な一発を受けたように膝をつき、うなだれるのであった――。
遠野・路子
ふぅ、満足(思う存分タピれて)
破軍もDを回収できて満足?
ツッコミ死しそうな顔してるけど大丈夫?
早くシルバーレインに帰ろう?
でも破軍
漆黒と昏きは全然違う形容詞だから
重ねないと色に深みが出ない
具体的には厨二的ぱわーが違う

それはそれとして
様式美は大事
名乗られたからには名乗り返さないと

我こそはタピオカの天使……間違えた
悪路王が娘、遠野・路子
いかな|悪路《信念》とて踏破する
その志を受け継ぎし者
その程度の言霊で我が路を阻むこと能わず

というか、この計画があなたのせいならば
あなたのせいでタピオカが!!
許すわけにはいかない

此処までの語りを詠唱として
【偽・オロチの地裂】を全力でぶっぱ
ふっ、私の怒りを思い知るがいい



 遠野・路子(悪路王の娘・f37031)は非常に満足していた。
 この事件の天頂をすでに迎えて後は降りるだけ。
 それくらいの気分でいた。
 具体的に言えば。
「ふぅ、満足」
 思う存分タピオカをタピることが出来てご満悦であった。ちょっとわかりにくいかもしれないが、路子は確かな満足感を得ていた。
 そんな彼女と対象的に妖狐七星将『破軍』は、心做しかげっそりしていた。
「『破軍』、『D』を回収できて満足?」
「目的のものは手に入れられましたが、いえ、そのなんです。彼は」
 早くシルバーレインに帰らなければならない。
 だが、彼女たちの前に現れたのはオブリビオン『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツであった。

 彼は漁夫の利を狙っている。
 悪魔たちは掛け値なしに最強の所属。
 騙されやすい良い子の種族であるが、それ故に真面目でもある。
 銀行の金庫の警備につこうものなら、それはそれは大真面目に取り組んでしまう。故に『D』を真正面から奪いに言ってもオブリビオンである彼には土台奪えぬものであったのだ。
 それに、真正面から正々堂々なんて、このデビルキングワールドの住人からすれば、大変にダッセェ行為なのだ。 
 闇討ち不意打ちこそが最高。
「漆黒と昏き、どちらも同じような意味では?」
「ぜんぜん違う形容詞だから。重ねないと色に深みが出ない」
「大陸の言語とは異なるがゆえに、日本語とは大変奥深いものですね。ですが、智あらざれるものに対してはどちらも同じように思えるのでは?」
 のんのん。
 路子は頭を振る。
「具体的には厨二的ぱわーが違う」
「ええい。我を無視するなってば!」
『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツが憤慨している。
 さっきからずっと無視されっぱなしであったからだ。

「うん。ごめん。でも様式美って大事だから。名乗られたら名乗り返さないと」
「挨拶は如何なる世界、文明に置いても礼儀でございますからな」
「フゥーハハハハ! ノッて来たな、猟兵!」
 三人はうちに秘めるものこそ違えど、きっと似たもの同士であったのかもしれない。
「我こそはタピオカの天使……」
「妖狐七星将が序列四位……いえ、なんと?」
「間違えた。悪路王が娘、遠野・路子。いかな|悪路《信念》とて踏破する、その志を受け継ぎし者。その程度の言霊で我が路を阻むこと能わず」
「……!」
 受け継ぎし者。
 それは『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツの心をずっきゅんと射抜いた。
 そう、厨二心的に『受け継ぎし者』など、あまりにも魅惑的なワードなのだ。歴史の重みを感じる。ただものではない雰囲気を路子に感じ取って『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツは後退りする。

「なんという、言霊のパワー……!」
「そうですか?」
「というか、この計画があなたのせいならば、あなたのせいでタピオカが!!」
「いや待て。タピオカ? 何の話だ?」
 そう、『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツはあくまで漁夫の利を狙ってきただけに過ぎない。銀行内部での出来事、タピオカ・ガトリング包囲網のことについては一切タッチしていないのだ。
 だが、路子は聞いちゃいなかった。
 そう、だって!
「許すわけにはいかない」
 あまりにも進行が巻いている!
「偽・オロチの地裂(モゾウオロチノチレツ)、ぶっぱ」
 炸裂するは土属性の衝撃波。大地切り裂きながら走る衝撃波。
 盛大にぶっ飛ぶ『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツは、タピオカって何!? と叫びながら顔面から大地に落ちる。
「ふっ、私の怒りを思い知るがいい――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

藤柄田・焼吾
破軍さんダメですよ、ああいうタイプは調子に乗せた方が良いんです。
と、こっそり耳打ち
ウンザリしてるウカノ様にお願いして結界術で身を守りつつ
真剣に堕天使✝️へ声掛け
「その闇を宿した死の象徴を振り翳し、昏き稲妻を自在に操るお前の手の内だったなんて…」
恐れ慄きつつ必死に反論
「刈り取って良い魂なんて此処には無いんだ!」
懐かしいな~俺の封印されし右手も疼いてきちゃう
あっ、ちょっと攻撃の威力緩んだ?
なら反撃、UC発動
黒き稲妻の落ちる地に生誕してない事を思い出させて
行動が止まってるうちに神代柿釉陶器槌(でっかいハンマー)で思いっきり攻撃、吹き飛ばし
堕天使は闇へ還るべきなんだ…✝️
あ、もういい?ハイ、スイマセン



「ぐっ……なんという力……これがオロチの力なのか……だが!」
 盛大にぶっ飛ばされたオブリビオン『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツは猟兵のユーベルコードの一撃に吹き飛ぶ。
 だが、彼はこの程度でめげることはない。
 何故ならば。
「まだ我は力を見せているわけではない。フフフ、フゥーハハハハ! 怖いか、猟兵。我はまだまだ力を残しているのだぞ!」
 絶望を与えておいてやろうって言うやつである。
 変身を二回くらい残しているのかもしれない。

「力を出し切る前にやられては意味がないのでは?」
「シッ!『破軍』さん、ダメですよ。ああいうタイプは調子に乗せた方が良いんです」
 藤柄田・焼吾(素敵な一品を作りたい・f44441)は、妖狐七星将『破軍』の口元を手で覆う。
 耳打ちした言葉に『破軍』は首を傾げた。
 どういうことだろうか。
「ですが、戦いとは勢いに乗った方が常勝というもの。勢いづかせるのは悪手では?」
「いいですか。それは実力が伴った敵であれば、なんですよ」
 焼吾は、まあちょっと見といてくださいよと『破軍』を制して、『ウカノ』さまの結界に激突する大鎌の衝撃に歯を食いしばった。無論、演技である。

「フゥーハハハハ!! 我が魂の罪過を刈り取る大鎌を前にして防戦一方のようだな!」
「くっ……その闇を宿した死の象徴を振り翳し、昏き稲妻を自在に操るお前の手の内だったなんて……」
「フゥーハハハハ!! そのとおりよ。全ては我が策略の内! お前たちはノコノコと『D』を我の前に運んできただけにすぎないのだ! その罪深き魂を刈り取ってくれよう!」
 ノリノリである。
 結界にガキンガキンとぶつかる大鎌。
 心做しかコミカルではないかと『破軍』は思ったが、口を挟む暇なく焼吾が告げる。
「刈り取って良い魂なんて此処にはないんだ!」
「言うか! 戯言を! 罪なき魂などないのだ。原罪を抱えるこそが命の宿命。であるのならば!!」
 また振るわれる大鎌。
 焼吾は身がムズムズしてきた。
 なんかこうこころなしか自分の右手の甲がウズウズしてくる。
 紋章とか手の甲に書いたよね。

「ふっ……!」
 なんかこう、厨二的ロールプレイが聞いたのか、『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツは何故か後方に飛び退る。理由はない。なんかちょっと仕切り直した方がかっこいいからだ。無駄に距離を取り過ぎじゃないかと思ったが、それもなんかちょっとかっこいいからだ。
「仕切り直しか。ならこっちからいかせてもらう!」
 焼吾の瞳がユーベルコードに輝く。
 それは、遠き日の微風(ナツカシイ・ソヨカゼ)。
 彼の地元愛の心を具現化した風。
 そう、具体的には地元最高!! みたいな感じのあれである。
 その青春を想起させる懐かしき風を受けて『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツは呻く。

「やめろ! 我は陰キャなどではない! 卒アルを持ち出すな! 集合写真にあんまり乗ってないとか、全体写真だといつも大体端っこにいるとか、そんなことは!!」
「思った以上に苦悶に呻いていますが」
「う~ん……流石にキツかったのかな。まあ、堕天使は闇に還るべきなんだ……✝」
 もうほどほどにしといてあげて。
『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツのライフはゼロよ!
 そうかなぁ、と焼吾は思いながら、ありもしない卒アルの思い出に苦しめられる『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツをちょっと可愛そうだなぁって思うのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

フゥハハハーハー!
我こそは!ようこしち…なんちゃらかんちゃら!
愚かな…我の邪魔をするとは壁にこびりついたしつこい染みになりたいようだなあ!
とかなんとか大物(?)っぽく返すとこだよ『破軍』くん!
めんどくさがっちゃかわいそうだよー

え?ボクはポケットに『D』を詰め込むのに忙しいから?
これだけあれば何でも買えちゃうよ!
って万能感が楽しいのであって別に買いたいものがあるわけじゃないけれど!

大鎌攻撃を【第六感】で読んでUC『神撃』でドーーンッ!!

そして最後に登場するのがこの逃走車!
このなかに『D』を詰め込んで脱出!
後は全部捨てっちまおう!とやってバーッとやってエンドだね!あれ?



「グッ、ググッ……うぅ、卒アルはもういやだ……いや、違う! 我は『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツ! 我こそが罪科を数え、魂の罪の重さを知らしめる者!」
 なんかこう、勝手に心に継続ダメージを受けいてたオブリビオン『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツが立ち上がる。
 そう、彼は『漆黒の昏き堕天使』なのだ。
 地元愛に浮かされて、ありもしない傷跡をえぐられている場合ではないのだ。
「フゥーハハハハ!! この我こそが世界を破滅に導く者! 漆黒に飲まれて消えるがいい、世界!!」
 そんな彼を前に妖狐七星将『破軍』は、呆れ顔であった。
 さっきから何を言っているのだろう、このオブリビオンは。
 理解に苦しむ。
 だが、その実力は言うまでもない。
 こういうバカにほとほと縁がある。これはもうどうしようもないことなのかもしれないと『破軍』は半ば諦めの境地に達せんとしていた。

「フゥハハハーハー! 我こそは! ようこしち……なんちゃらかんちゃら! 愚かな……我の邪魔をするとは、壁にこびりついたしつこい染みになりたいようだなあ! とかなんとかやらなと!『破軍』くん!」
「いえ、遠慮しておきます」
 ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)の言葉に『破軍』は手で制する。
「んもーノリわるーい。マジモンの大物なんだからさ、しっかり大物っぽく返さないと。面倒くさがっちゃかわいそうだよー」
「私程度が大物など。そのような振る舞いは身の程を知らぬ者がやること。私はわきまえておりますので」
「カタブツーぅ!」
「それはそれとして、あなたは何を?」
「え?」
 ロニは『破軍』の言葉に首を傾げた。

 本気でよく解っていない顔であった。何か問題があるのかと言わんばかりの顔であった。
 そう、今はオブリビオンである『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツと戦う時間でもある。
 だが、ロニはポケットに『D』を詰め込むのに忙しそうだった。
「だってこれだければ何でも買えちゃうよ!」
「はぁ。ですが、何が欲しいので?」
「いや別に。特に何も。こういうのはさ、これだけあればなんでも買える! っていう万能感が楽しいのであって、別に買いたいものがあるわけじゃないんだよね」
 ロニにとってお金とは結局のところ、指標でしかない。指標ですらないのかもしれない。
 人間がお金を求める心を持つということは理解できていても、自分も同様ではないのだ。
 あれだけ人間が嬉しそうにしているのなら、真似すれば自分もきっと楽しいに違いない。それくらいの気持ちなのだ。

「ええい、我の話を聞けぇー!!」
 振るわれる『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツの大鎌の斬撃。
 それをロニはキュピン! となんか額のところからでる白い光と共に躱す。
「ド――ンッ!!」
 振るうのは、神撃(ゴッドブロー)の一撃。
「ゴハッ!?」
「んもー、銀行強盗と言ったら、最後は逃走車でしょ! ほら、早く詰めて。後は全部すてっちまおう! ってやりたいんだよね!」
「いえ、それでは困ります。儀式魔術の触媒にするのですから」
「あれ? そうだっけ? バーってやってエンドじゃなかったっけ?」
「違います」
 そんなやり取りをするロニたちの背後で、ボディにいい一発を受けた『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツは、虹色のなんかをゲボーっとするのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
陰海月「ぷきゅ」

…陰海月語を翻訳します…

お腹いっぱい!!
でも、あの人を倒さなきゃいけないんだよね?
よーし、張り切っちゃうぞ!
『破軍』さん…ツッコミがキレッキレだよね。たぶん…素の性格なんだろうけれど…。

ぼくにとって、こういうのは得意だもーん!光珠ポイポイ!どかんどかーん!
…ぼく、罪深きものじゃないよ?おじーちゃんたちは…うーん…ぼくの中にいるから安全だし!
でも、念の為に四天霊障(極彩色)結界は張ってるよ!

……終わったら、お腹空いたぁ。おじーちゃん、ハンバーグ食べたい!!



「ぷきゅ」
 それはともすれば、げぷ、という音であったかもしれない。
 ニュアンス的にはきっと合っていたかもしれない。
 それほどまでに馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)とユーベルコードによって合体を果たした『陰海月』は胃……いや、胃……がどこらへんなのかはちょっと不勉強で申し訳ないが、お腹いっぱいであった。
 なぜなら、銀行内部に存在したトラップ、タピオカ・ガトリング包囲網から打ち出されるタピオカを尽く食べ尽くしていたからだ。

「ぷきゅ」
 げぷ、じゃないな。これは。
 お腹いっぱい!! の鳴き声であったことだろう。
 触腕でお腹あたりをさする。いや、それは義透たちのお腹である。合体しているので、腹部はきっとそこになるのかもしれない。
 対象的に、ボディに一発強烈なボディーブローを食らったオブリビオン『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツは虹色をゲボっていた。
 見事な明暗である。
「きゅ!」
 しかし、彼はオブリビオン。
 倒さねばならない。
「くっ……我が大罪たる腑を逆転させるとは……うぅ、胃液気持ち悪っ」
「きゅ!」
「なんというか、此処まで来ると逆に不憫になってきますね。『漆黒の堕天使』」
「『漆黒の昏き堕天使』だ!」
「ああ、そうでした。どうにも不慣れなもので」
 キレキレだなぁ、と『陰海月』は思った。
 だが、『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツも負けてはいない。

「ええい、貴様らの罪科を数えろ! その罪科の重さに我が大鎌の刃は鋭く、巨大になるのだ!」
「きゅぅ~!」
 だが、『陰海月』は動じない。
 こういう戦いこそ自分の領分。
 光珠を投げつけながら、どかんどかんとド派手な戦いを演じるのだ。
 それに罪深き?
 合体しているおじーちゃんたちはどうかはわからないが、自分は大丈夫である。罪深きものではないのだ。

「いいや、まちがっているぞ! 貴様のその体! 先程まで大罪が一つを貪っていただろうが!」
「きゅ?」
 え、何? と本気でわからない顔をする『陰海月』。
 そう、大罪。
 7つの大罪と呼ばれる最も罪深き罪状が一つ。
 それを『陰海月』は犯していたのだ。
「暴食! 貴様、どうやら銀行内のトラップにてタピオカを貪り食っていたようだな!」
「きゅきゅ!?」
 それって悪いことなの!?
 そう言わんばかりである。
「大罪の一つに数えられますが、しかし、それは人の理。人ではないものには当てはまらぬでしょう」
「そんな理屈!」
「いえ、そういう意味では私も人ではない」
「いや、どう見ても人では!?」
「故に。受けよ、朱雀拳。これなるは大軍すら退ける|能力《アビリティ》!」
「話を聞いてはくれないのか!?」
『破軍』の言葉に『陰海月』も頷く。
 そうだそうだと言わんばかりであった。
 それにこの後はよく動いてお腹が空くはずだから、おじーちゃんにハンバーグを作ってもらうのである。
「ふ……単純に強いだけでは戦を制することなどできないのですよ」
 振るわれる『破軍』の一撃に『漆黒の昏き堕天使』シュヴァルツは空高く吹き飛ばされ、星の一欠片となるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年10月27日


挿絵イラスト