発端は全てキャンプ・フォーミュラ『キャンピーくん』にあった。
「じゃーねー。楽しかったよー」
戦争の終結と共に姿を消したキャンピーくんは、彼が持つ世界移動能力によって異世界から連れて来た共闘者たちをそれぞれの世界へ置き去りにしてしまう。
「というわけで、サムライエンパイアに取り残された土蜘蛛の女王『国見・眞由璃』と妖狐七星将『廉貞』が連れ立って越前国を目指していることがわかった」
目的は、ディアボロスランサーに類するとされる宝物。
「その名を『界渡りの宝物』。アヤカシエンパイアはシルバーレインと同じ地球型世界のひとつだから、ディアボロスランサーと同じような存在があってもおかしくないはず……という考えなんだろう」
ここで問題となるのは、シルバーレイン世界を脅かしうる強大なオブリビオンである国見眞由璃を果たして元の世界に還してよいのかという点だ。
「だけど、彼女が危険な存在なのはアヤカシエンパイアにおいても変わらない。いや、むしろ危険度はより増すだろう。土蜘蛛の女王の力があればアヤカシエンパイアに跋扈する妖を支配下に組み入れ、より大きな作戦を企図する可能性も考えられる」
戦争での借りを返すという意味でも、彼女たちに協力して越前国までの道のり……すなわち結界の外に広がる『死の大地』を渡る旅を成功させておくべきなのだろう。
「そういえば、知ってる?」
弥鶴は最後にそう問いかけた。
「越前国が今のどこに相当するのか。……そう、敦賀市の辺りだよ」
ツヅキ
プレイングは随時受付中。
詳細は各章の初めに入る断章をご参照ください。
第1章 日常
『村で一宿』
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POW : 食材や酒を持ち込み、村人と共に食事を楽しむ
SPD : 村の子供達と遊んであげる
WIZ : 村人達に面白おかしく旅の話をする
イラスト:十姉妹
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
結論から言えば、土蜘蛛の女王と妖狐七星将が同行しているのは『互いに利があるから』それ以外に理由はなかった。
アヤカシエンパイアは、かつて発生した「|禍津妖大戦《まがつあやかしのおおいくさ》によって妖蠢く死の大地と化している。ユーべルコード使いである平安貴族が張りめぐらせた平安結界の『外』はふたりの力をもってしても危険な場所なのだ。
「ふふ。袖振り合うも他生の縁……といったところでしょうか」
おかしそうに微笑むのは眞由璃だった。
一方の廉貞は眉ひとつ動かさず、ぽつりと呟くのみ。
「容喙これ魯鈍なり。目処確たりしは越前なりや?」
だが、越前国までの道のりはまだ遠い。
ふたりは次の町で一夜を明かすことに決める。
結界の内側にある最後の町だった。まぼろしを具現化し、自然や新鮮な水すらも生み出すことのできる『平安結界』の恩恵を受けるこの町は都に食糧を供給するための米どころとして栄え、客人をもてなすのに十分な富があった。
「まずは宿を探しましょう」
そう言いつつも、眞由璃の興味は市場の様子に向かいがちだった。時は秋。収穫の季節にはさまざまな野菜や果物が流通する。
彼女たちが市場で足を止めているのはそれを追いかける猟兵にとっては幸運だった。ふたりに追いつき、合流し、同行を承知させるだけの時間があるということだ。
おそらく、眞由璃も廉貞もすぐには猟兵の助力を肯定しないだろう。何らかの形で説得できなければ、ふたりは夜明けとともに死の大地へ向けて出発してしまう。
水無月・呉葉
人狼騎士団の水無月呉葉という妖狐ですじゃ。
御両名、ちょっと話を聞いてほしいのですじゃ。
まあまあ、茶でも一服。
廉貞殿も金毛九尾女王のもとに巨門殿しかおらん状況は
心配じゃろう。
伯爵が事を起こさんとも限らんしの。
眞由璃女王もシルバーレインに残してきた子ら(眷属)が
気がかりじゃろう。
女王不在で統制がとれていない状況を利用して、
ハビタントあたりが女王に成り代わらんとも限らん。
御両名共、一刻も早く帰還する必要があるのじゃろう?
猟兵のUCが底知れぬものである事は既に御存知かと思う。
ここはひとつ、猟兵の助力を受けてはもらえんかのう?
(しかし、わしの所属を考えても正に
「呉越同舟」じゃのう……)
「もし、そこの御両名」
声をかけた呉葉は、工芸品の簪を眺めていた眞由璃の視線に射抜かれた。
「どちらさま?」
「人狼騎士団の水無月紅葉。見ての通りの妖狐ですじゃ」
呉葉はぺこりとお辞儀する。
話を聞いて欲しいのだと持ちかけると、眞由璃は困ったように微笑んだ。彼女はこれから廉貞と共に結界の外へ向かうのだと言う。呉葉がそれは知っていると答えると、「さすがですね」と感心したように頷いた。
「では、のんびりとお茶を飲んでいるような余裕などないこともご存じでしょう」
「まあまあ、そう言わず」
丁寧に断ろうとする眞由璃を制し、呉葉は隣の廉貞を見上げる。
「廉貞殿も、早く帰還したいのであろう。なにせ、金毛九尾女王のもとに巨門殿しかおらん状況は心配じゃろうしの」
「是」
廉貞のすげない返事を知ったら、きっと、巨門は盛大に拗ねるに違いない。それに他の勢力の暗躍がないとも限らない。
たとえば、伯爵であるとか。
「如何にも。故の急遽である。然らば……」
「助力いたそう」
「犬馬の労をとると?」
解せぬ、という顔をする廉貞だ。
「何故に」
「なに、呉越同舟というやつじゃ」
呉葉の所属を考えれば、そんな言葉がうってつけの状況でもある。
未だ首を傾げる廉貞の代わりに今度は眞由璃が口を開いた。ほんの少しだけ、呉葉を試すような響きが感じられたのは気のせいではない。
「しかし、危険な旅になりますよ」
「だからこそなのじゃ」
「と申しますと?」
「わしは確実に御両名を元の世界まで送り届けてやりたいのじゃ。眞由璃女王とて、シルバーレインに残して来た眷属の子らが気がかりなはず。女王不在では統制もとれないじゃろう。そこを突いて、ハビタントあたりが女王に成り代わらんとも限らぬ」
「それは、確かに」
「ならば底知れぬ|力《ユーべルコード》を使う猟兵の助力は御両名にとって、悪い話ではなかろう」
「なるほど」
何か考えている様子の眞由璃である。
「有難いお申し出ではあります」
「じゃろ?」
呉葉はぱたぱたと尾を振った。
「遠慮はなしじゃ。困った時はお互いさまじゃからのう」
大成功
🔵🔵🔵
弓落・高寿
|あやつらの世界《シルバーレイン》には疎い故、危険性も我は知らんが…素直に礼が言いにくくなりそうだ。知らないままでいるとしよう。
兎も角、面倒にならんうちにさっさとお帰り願うに越したことはねえ。礼も兼ねて帰還の手伝いと行こう。
街中であれば術に武器はしまい、まずは挨拶。【貴人のカリスマ】…が効くか知らんが【宮廷作法】できちんとした身なりと示す。
そして「我はこの世界の者ゆえに、先の大戦の助力の礼を兼ねて案内を。勿論今宵の宿の手配等、旅に必要なものはこちらで負担する」とでも【言いくるめ】いや、申し出るが……
……気になっていたのだが、二人はどんな関係なのだ?
仲、良いのか?
……収穫の時期の町々というのは、もしかしたら一年でもっとも人々が活気にあふれる季節なのかもしれない。
「いかがです、今年の米は出来がよいですよ」
「梨は? 栗は?」
市場を歩いているだけで――きっと金を持っていそうに見えるのだろう――高寿の周りには売り込みに熱心な商人が常に声をかけてくる。それらを軽くいなしながら人波の向こうに見つけた者たちの元へ近づいた。
町中だから、物騒なものは全て仕舞いだ。
こほん、と咳払いして名乗る。
「失礼。猟兵の弓落と申す。そちらは国見眞由璃殿と廉貞殿とお見受けするが……? 少々話をいいだろうか」
従四位上の階位に属し、貴人としての風格を兼ね備える高寿の語り口はまるで天上の調べのようによどみない。
端然、流麗、上品……どのような美辞麗句にも相応しい所作に見惚れた通りすがりの町人など、足元を疎かにするあまりによろけて転ぶようなありさまだった。
眞由璃は僅かに頷き、不愛想な廉貞の代わりに高寿とのやり取りを請け負う。当たり前のように対応を任せる廉貞の姿は少々不思議でもあった。
片や大陸妖狐、片や土蜘蛛の女王……しかも眞由璃はオブリビオンとして甦った身。袖すり合うも他生の縁とは言うが、それにしても不思議な二人連れだ。
もっとも、高寿はことさら二人の立場について追及するつもりはない。
銀の雨降るシルバーレイン。
アヤカシエンパイアと同じ地球型の世界における彼等がどういう存在なのか、どれほどの危険性を持つのか、敢えて知らない方がいいこともある。どのような事情があるにしろ、彼等の助力は必要だった。
その礼を言えたなら、今はそれでいい。
「先の大戦では助力有難かった。その礼もかねて案内をさせてはくれんか? 我はこの世界の者ゆえに、何かと役立てることもあろう」
「しかし……」
「宿を探しておるのだろう?」
「う、はい」
ずばっと切り込まれ、肯定するしかない眞由璃である。
「勝手のわからぬ異世界では女王や七星将といえども困るのでは?」
「……仰る通りです」
「旅に必要なものなら、こちらで負担しよう。悪い話ではないと思うが」
「ええ、とても助かります」
くすりと眞由璃が微笑む。
「ですが、これではまるで私たちが言いくるめられたみたい。お上手ですね」
「そうかな?」
惚ける高寿は、我関せずとそっぽを向いている廉貞にふと尋ねた。
「……ずっと気になっていたのだが。ふたりはどんな関係なのだ? まさか、仲がいいとか」
「同舟相救う也」
しれっと廉貞は言った。
そういうことだった。
大成功
🔵🔵🔵
龍巳・咲花
妖狐七星将の立場としては猟兵に貸しを作りたくないとお考えかもしれぬでござるが、元々第二次聖杯戦争の時といい、此度の帝都櫻大戰といい、幾度となく共に戦っていただいた廉貞殿には借りがあるでござるからなあ!
少しぐらい返させてほしいでござるよ!
それに旅は道連れ世は情けとも言うでござろう?
勿論ただ送るだけでなく、拙者としては今後この世界の理を知る為に死の大地の調査も兼ねてなんて思ってるでござる故、ちゃんと打算もあるでござる!
なんて頼み込みつつ裏表のなく接していくでござる!
……え? 今なんて?
(廉貞殿の言葉には、なるほど○○でござるな! と勝手に良い方向に解釈したりもします)
「補翼? 不要……」
「え? 今なんて?」
案の定、助力の申し出をすげなく断ろうとした妖狐七星将『廉貞』に咲花は満面の笑顔で聞き返した。
「要らぬと――」
「なるほど! 流石は廉貞殿でござるな、謙虚にござる!」
アクロバティックなポジティブ解釈に眞由璃が「まあ」と目を丸くする。
当然、廉貞がそういう意味で言ったわけではないのを承知の上での解釈だ。いや、もしかしたら前向きで真っすぐな咲花のことだから、本気でそう思っている可能性が無きにしも非ずだが。
まったく裏表のない明るい声で説得するので、廉貞も押され気味である。妖狐七星将の立場としては猟兵に貸しを作りたくないという気持ちはとてもよくわかる。わかるがしかし、それは杞憂なのだ、と。
「杞憂?」
「お忘れか? 拙者らは既に何度も助けてもらっているでござるよ。第二次聖杯戦争に引き続き、此度の帝都櫻大戦では世話になったでござる」
咲花は、うむうむ、と頷きながら。
「幾度となく共に戦っていただいた廉貞殿への借りをここらで少しぐらい返させてほしいというささやかな願いを聞き入れてはもらえぬでござるか?」
「何は扨措き……」
「いやいや、遠慮はいらんでござるよ! それに旅は道連れ世は情けとも言うでござろう?」
別に気にする必要はないと言いかける廉貞の言葉を、咲花はまたしても遮った。ここは押して押して押しまくるのみ。戦時はともかく平時の廉貞は押しの強い部下に囲まれているだけあって、こういう対応にも慣れているのか意外とおとなしく聞いている。
「勿論ただの親切心のみではござらん」
びしっと咲花は人差し指を立てた。
「死の大地を渡るのでござろう? 拙者としては今後この世界の理を知るためにも結界の外の調査ができるいい機会だと思ったのでござる! この通り、ちゃあんと打算もあるでござるのでなあ、道中を共にしたところで拙者らに借りを作るようなことにはならないでござるよ!」
一気にまくしたてると、勢いに押されたのか、廉貞は微かに溜息をついた。
「屠所の羊か、好きにせよ」
大成功
🔵🔵🔵
暗都・魎夜
【心情】
『界渡りの宝物』ね
たしかに、似たような性質の存在が一つきりってのは考えづらい話だ
なにより、『廉貞』は、こっちの世界の世相としていてもらわないと大分困る
眞由璃に対しては何とも言いづらいところだが、他の世界で平和にやっていけるならともかく、無責任に放り投げるわけにもいかねえわな
しかし敦賀市に相当する場所とは、なんとも因果な話だぜ
【説得】
廉貞に関しては、10年前から親交のある間柄だから、信頼はしてもらえるか?
眞由璃が数年前の俺のことを知っているかは知らないが、俺は味方のつもりだ
2人には俺たちの世界に戻ってきて欲しい
だから、俺は迎えに来た
そのために、困難が待っているなら手伝わせてくれ
――界渡りの宝物、ときたか。
仲間たちがふたりの説得を試みている間、魎夜は腕を組み、市場の柱に寄りかかって少し考え込むような仕草を取る。帝都櫻大戦の助っ人としてアヤカシエンパイアに来た眞由璃と廉貞にはとても世話になった。
普通に元の世界に還してやりたいと思うし、それになにより、妖狐七星将の筆頭である廉貞には『こっちの世界』の世相として不在が続くのはよろしくあるまい。いや、正直言って、大分困る。
一方の国見眞由璃については何とも言いづらい。
(もしも、他の世界で平和にやっていけるのならともかく……)
平和、という言葉が身に染みる。
オブリビオンである眞由璃がそれを打ち壊す側の存在なのは間違いないからだ。何をしでかすかわからない以上、元の世界の能力者として無責任に放り投げるわけにはいかない。
「しかし、宝物のありかが敦賀市に相当する場所とはな。なんとも因果な話だぜ。なあ?」
かつての戦争を思い出したのか、廉貞は複雑そうな顔になった。
封神台と神将をめぐる敦賀市攻略戦は銀誓館の勝利で幕を閉じ、大陸妖狐は時間をかけて築き上げた一大拠点を失うことになったのだから。
「今さら俺たちを疑うようなことはしないだろ? なにせ10年前からの付き合いだからな。任せとけって」
こうも明け透けに言われると、廉貞もわざわざ反論する気にはならなかったらしい。黙ってしまった廉貞を眞由璃がめずらしいものを見るような目で見ている。
(眞由璃か……)
自分の目の前で消えた別の眞由璃を思い出して、ふと寂しいような懐かしいような気持ちを抱いた。果たしてオブリビオンの同一存在はどれだけ各々の体験を共有するものなのだろうか。この眞由璃が自分のことを知っているにせよ知らないにせよ、魎夜は味方のつもりだ。
数年前のあの時も、今この時も、何一つ変わることなく。
「俺たちの世界に戻ってきてくれないか」
「言われずとも……」
言いかけた眞由璃は、魎夜の真摯な眼差しに言葉を切った。
魎夜は握手を求めるように自分の右手を差し出す。
迎えに来たのだ、と告げながら。
「お前たちがシルバーレインに帰還するために困難が待っているなら手伝わせてくれ。なに、悪いようにはしないさ」
大成功
🔵🔵🔵
酒井森・興和
この平安世界
現代より忘却期前に近い気がして僕は過ごしやすいが
女王にしても銀誓館に憚る事の無い世界か
でも女王に他世界での討伐対象にはなって欲しくないし帰還頂きたいねえ
秋の実りに心惹かれますか、女王
それに大陸妖狐の大将殿
帰還のため越前を目指すとお伺いしております
微力ですが僕も同行し旅の助力をさせて下さい
戦力のほか野宿や山歩きの覚えもあります
と【サバイバル、結界術、悪路走破、薬品調合】活用の助力申し出る
平安結界の外は大変過酷と聞きますし
ここで少し養生されては如何でしょう
妖狐の暮らしは存じ上げないが
ある程度人と交じって里や山に暮らす我等蜘蛛族に秋は良い季節です
…この秋の実りもお二人の先の援護在ってこそ
興和はこの平安世界――アヤカシエンパイア――にどこか親近感を覚えている。近い、というのがその理由だ。
何に近いのか?
――世界結界がシルバーレインを覆う前の時代。
忘却期以前、にだ。
馴染むとでもいうのだろうか。
空気感、文明レベル、人々の営み……そういった生活に関する雰囲気がとても過ごしやすく感じる。
(もしかしたら、女王にとっても……?)
何よりもこの世界には仇敵である銀誓館学園が存在しない。その勢力を伸ばすにはうってつけの世界であることは確かなのだ。
だが、と興和は首を降る。
あの土蜘蛛の女王にこの世界においてまで“敵”と呼ばれてほしくはなかった。だから、興和はここにいる。
彼女たちを無事に元の世界へと送り届けるために――だ。
「秋の実りに心惹かれますか、女王」
相変わらず美しい横顔に郷愁を覚えつつも声をかけると、眞由璃は「あら」と目をみはる。この異世界において自分の出自を言い当てられるということは即ち、猟兵以外に他ならないからだ。
「まさか、私たちを追って来られたのですか?」
「その通りです。そちらは大陸妖狐の大将殿ですね。シルバーレインへ帰還のため、越前と目指すとお伺いしておりますが……」
「相変わらず、よくご存じで」
眞由璃は少しだけ皮肉そうに微笑んだ。
「昔からいつも先回りされてしまいますね。もしや、ここで私と戦って倒すおつもりとか?」
「その逆です」
「逆?」
「微力ですが、僕も同行し旅の助力をさせていただきたい」
意外そうに眞由璃が瞬きを繰り返す。
「私を倒すのではなく、助けるというのですか。なぜ?」
「…………」
興和は一拍を置いた。
「それこそ逆です。あなたを倒したくないから、無事にご帰還いただきたいのです。女王」
「なるほど。私がこの世界に居続けると、あなたたちに不都合なことが起こり得ると|知って《・・・》いらっしゃるのですね」
「詳しいことは控えます。ですが、同行を許していただければ必ずやお役に立つとお約束いたしましょう。単純な戦力にもなりますし、野宿や山歩きの覚えもあるますゆえ」
これについて、興和は確かな自信があった。
いざとなれば食用に適した野草の選定や薬草にも詳しい。どのような悪路であっても、踏破してみせる。
平安結界の外は過酷な世界が広がっているのだと、眞由璃たちも承知しているはず。彼女たちにとっても興和の申し出は有難いはずだ。
「死の大地を渡る前にここで少し養生されたは如何でしょう。妖狐の暮らしは存じ上げませんが、少なくとも我ら蜘蛛族に秋は良い季節かと」
興和の申し出に、廉貞の狐尾がくゆる。
どうやらまんざらでもない様子。
最後の一押しだ、と興和は話を続けた。
「……この秋の実りもお二人の先の援護在ってこそ。どうかご一考ください」
大成功
🔵🔵🔵
西恩寺・久恩
その前に少し買い物でもしますか…
と市場を見て回るも他の猟兵がいるなら後回しにする
既に二人を見つけていたら声をかけるが見つけていないなら心眼と忍び足と気配感知で二人を探す
見つけたらすみません、お二人方の旅に同行したいのですが…と
市場で買っておいた果物か自家製野菜を交渉材料にしつつ説得してみる
アヤカシエンパイアで起こるかもしれない大戦争に備えて修行したいと言いつつ死にかけても放っといて大丈夫ですと言って何とか説得する
指定UCを発動して強さを見せて納得させる
戦闘はしません
「ここが平安結界の狭間にある、最後の町ですか……」
土蜘蛛の女王と妖狐七星将軍を追いかけ、久恩は秋の収穫を喜ぶ米どころの町を訪れている。さすが市場は盛況で、久恩の目を色々と楽しませてくれた。やはり、買い物は楽しい。もっともこれから難儀な説得が待っていることを思えば、どうしても気はそぞろになりがちなのだが……。
「おいしそうな果物ですね、いくつかください」
途中、買い物をしながら市場を一巡りする間に久恩は眞由璃たちの姿を確認していた。明らかに一般人とは異なるふたりの気配は市場に押し寄せる人波の中にあっても一際目立ったので、見つかるのは早かった。
「すみません、そこのお二人方」
他の猟兵たちとの会話がひと段落したところを見計らい、久恩はそっと挨拶する。
「あなたは……」
「西恩寺と申します。よかったらおふたり方の旅に同行したいのですが……」
久恩の差し出す獲れたてのアケビを、眞由璃はぱちくりと驚いた目で見る。さきほど市場で買っておいたものだった。
「こちらはお近づきの印にどうぞ。自家製野菜もいかがです?」
「あらまあ」
アヤカシエンパイアを出身世界とする久恩の手馴れた歓迎は眞由璃を驚かせた。
「この辺りで獲れる野菜とは少し違うのですね」
「是非、実際に食べて確かめてください。その代わり、同行をお許しください」
「危険な道中になりますよ」
「御心配には及びません」
なぜならば、久恩にとっても強敵と戦う機会は得難いものであったので。つまりはこういうことだ。いつかこのアヤカシエンパイアにおいてもサクラミラージュで勃発したような大戦争は起こるだろう。
ならばその時に備えて修行したい。
「だから、たとえ道中死にかけたとしてもお二人方が構う必要はありません。放っといて大丈夫です」
「なるほど。あなたの決心は固いのですね」
「はい! 無限天理陰陽の陰陽師の本気をお見せしましょう」
神妙な顔で頷く眞由璃たちを人気のない場所へ連れ出し、久恩はその身に宿す力を解き放った。
その名も狐神。
無限絢爛天理陰陽術式の真骨頂である。
「同行を認めてくださいますね?」
異次元の力を……無限昇華の威光で見る者を圧倒する久恩の姿は、眞由璃と廉貞に畏怖ではなく希望と喜びの感情を与えた。それこそが、ふたりが今は敵ではなく味方であることの何よりの証明であった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『青鷺火』
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POW : 青の吐息
【口から吐く炎の吐息】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【青い炎】で攻撃する。
SPD : 燃え上がる翼
【青白い輝きを纏う翼】が命中した対象を燃やす。放たれた【輝く】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ : 五位の火
【怪しげな青白い光】を放ち、命中した敵を【幻惑と青い炎】に包み継続ダメージを与える。自身が【仲間と飛翔】していると威力アップ。
イラスト:某君
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「死地を渡るに儕輩の存在たるや暗夜の灯も然り」
越前国までの旅路に是非とも同行を、という猟兵の申し出を、妖狐七星将『廉貞』と土蜘蛛の女王『国見眞由璃』は受け入れた。
出立の約束は明朝の夜明け、町の門での待ち合わせと決まる。
「おかげさまでよい宿に泊まることができました。いただいたお野菜を差し入れたら、旅館の方も喜んでいらっしゃいましたよ」
時間通りに現れた眞由璃は心の裡を読ませない微笑みを浮かべ、躊躇うことなく平安結界の外へと歩み出た。
――……かつてこのアヤカシエンパイアで発生した『禍津妖大戦』によって、日本列島本来の世界は妖蠢く死の大地と化したのだという。
その伝承通り、猟兵は見る。
地獄、と誰かが呟いた。
自然の緑も水もない、囂々と荒れ果てた大地に乾いた風が吹き荒れる。
空はもはや蒼空を忘れてしまったかのように昏く、赤とも黒ともつかぬ禍々しい色彩が広がるばかり。
「本当によいのですね?」
先を行く眞由璃が振り返り、たずねた。
「死の大地には無数の妖が溢れかえっています。越前国を目指すにはそれらを蹴散らしながら進まなければなりません。危険な旅です。それでもついて来られるというのなら、とても……頼もしいことですが」
空の彼方で不気味な鳴声がした。
青い羽と光が見上げる空を埋め尽くしている。
|青鷺火《あおさぎのひ》、という妖の大群だった。
青白く発光する鷺の怪、その炎の光に魅入られたものはいつしか焼き尽くされるというまやかしの。
集団で現れれば小さな村が全滅することもめずらしくは無いというそれが、軽く数十はいようかという大群で飛来しつつあった。
「まずはあれを倒して進まなければならないようですね」
眞由璃がこちらを試すように目を細める。
「では、さっそく皆さんのお手並み拝見といきましょう」
水無月・呉葉
結界の外がこのようになっていたとはのう……。
シルバーレインもオブリビオンに敗れると
こうなるというのじゃな……。
(眞由璃女王もこのような世界を望んでおるのじゃろうか?)
いや、今考える事ではないの。
(呉越同舟、あまり手の内を見せるわけにはいかんの)
【式神使い】の力で鬼神の式神を召喚し、
わしの【護衛】を任せるのじゃ。
寄ってくる敵には鬼神の近接攻撃で対応し、
わしは霊符を放って攻撃していく。
敵の放つ炎の吐息には【霊的防護】を施す
【結界術】で対応。
なるべく多くの敵がこちらの射程に入ったならば
【火雷天神の怒り】を放ち、まとめて攻撃するのじゃ。
必要であれば御両名の援護も行うが、
まあ不要じゃろうな。
枯れた荒地に吹き荒ぶ風を、最初は熱いのかと思った。
だが、実際にはむしろ寒々としている。
生の息吹を感じさせない、まさしく死の大地。結界の外がまさかこんな状況になっていたとは……知識としては分かっていたものの、こうして目の前にすると奇妙な寂寥感がこみ上げる。
我が故郷、シルバーレイン。
妖狐としての血が騒いだのは、とある可能性に思い至ったがためである。同じ地球型であるという情報もその想像に拍車をかけた。
つまり、この状況はシルバーレインにも等しく降りかかる可能性がある。たとえばオブリビオンに敗れるとか。そうした時にはこうなってしまうのだろう、きっと。
(……眞由璃女王)
気高き土蜘蛛の女王は何を考えているのだろう。その横顔からはわからない。だが、もしも|このような世界《・・・・・・・》を望んでいるとしたら、その時は――。
「どうなされました?」
眞由璃が呉葉を振り返った。
「いや、何でもないの。まずはあれらを倒せばよいのじゃな?」
「ええ。そうしなければ前には進めなさそうです」
「うむ。では、火雷天神よ出ませいっ!」
呉葉の周囲を霊符が舞い、呼び出された鬼神の式神が主を守るように立ちはだかった。呉越同舟すなわち相容れぬ敵との旅路であるなら、できるだけ手の内を見せないでおくのが賢いというもの。
「獲物だ、何日ぶりだろう!!」
喜色を浮かべて襲いかかる青鷺火を呉葉の鬼神が圧倒的な膂力でもって迎え撃つ。次々に飛来する半人半鳥の妖が吐き出す吐息が青い炎と化し、呉葉を目がけて襲いかかった。
「なんの!」
鬼神が敵の接近を阻み、まき散らす霊符が張り付いて墜落させる。防護のために張り巡らせた霊的結界に触れた途端、青炎はそれを突破しようと激しく燃え盛った。
呉葉は新たな霊符で結界を紡ぎ、敵の猛攻を耐え凌いだ。そうしている間に、いつしか結界の周囲は無数の青鷺火で埋め尽くされている。
このままでは、もたない。
誰もがそう思った次の瞬間だった。
「来たれ、赤き天の稲妻よッ!」
「ぎゃああッ!!!!!」
呉葉の瞳に稲妻の閃きが映える。
一匹たりとも逃さぬ、と。
敵が集まってきたところを一網打尽にする真紅の雷が青い炎を凌駕しながら妖の大群を燃やし尽くした。あっという間の出来事であった。
「さすがですね」
どうやら、呉葉の戦いぶりは眞由璃の眼鏡にかなったらしい。
土蜘蛛の檻で敵を薙ぎ払う戦いぶりは危なげなく、援護など必要ないかのようだ。ゆえに最初からわかっていたかのように呉葉は呟いた。
「その言葉、そっくりそのまま返すのじゃ」
大成功
🔵🔵🔵
龍巳・咲花
一歩踏み出せばすぐこのような者達と遭遇するとは、過去の禍津妖大戦がいかに過酷で大きな爪痕を残したかというのと、平安結界の重要性が良く分かるでござるな
まあそれはそれとして、時代劇でもこういう大軍を相手にする時は|忍び《お供》の得意とするところでござる!
廉貞殿に眞由璃殿、ここの露払いは任されよでござる!
印を結ぶことで大地の龍脈より大量の竜の闘気を敵の群れに飛ばしていくでござる!
これだけ敵がいれば狙わずとも当たるというものでござるな!
直撃だけでなく掠りでもすれば、その身は燃え、凍り付き、毒に冒されるでござる故、後続の為に倒しつつ敵を弱らせることもできるでござるぞ!
「さっそくの歓迎、痛み入るでござるなあ!」
平安結界の外へ一歩足を踏み出した途端の襲撃だった。咲花は襲い来る妖に怯むどころか好戦的な微笑みを浮かべて振り返る。
「廉貞殿、それに眞由璃殿! ここの露払いは拙者に任されよでござる!」
これぞ忍びの本懐であった。
御伴としてのお役目を発揮するのに、なんとおあつらえ向きであることか。自然と士気が昂る。廉貞も咲花の実力を知るべく、先鋒を許した。
「妙手拝見致す」
――過去の禍津妖大戦がいかに過酷であったかは推して知るべし、である。目の前に広がる死の大地がそれを示している。
何という破壊の爪痕だろうか。
貴族たちが心を砕いて平安結界の維持に奔走する意味が身に染みて分かるというもの。咲花は素早く指で印を結び、大地の龍脈から大量の闘気を引きずり出すべく精神を集中する。
それは、龍だ。
闘気は巨大な|咢《あぎと》を持つ龍の姿を取り、辺り一面を炎の海へと変えてしまった。否、火だけに留まらない。
「なに!?」
青鷺火は愕然と叫んだ。
熱いだけではない、凍えそうなほどの絶対零度にその身を侵されて。
「燃やしながら凍てつかせるだと……!!」
「まだあるでござるよ」
咲花は「にんっ」と龍型の闘気を叩きつけながら教えてやる。はっとして自分の姿を見た妖は翼や足先がどす黒く染まっているのに気づいた。
そう、猛毒である。
ほんの僅かに闘気がその身を掠めただけで、この有りさま。
「覚悟はよいでござるね?」
咲花が印を組んだ指先を額に掲げ、気合を入れて呪文を唱えた途端に妖は闘気に呑まれた。千々に燃え尽きていった。
「ざっとこんなものでござるよ!」
さらに続く仲間のため、咲花はできる限り敵の陣容を切り崩すべく龍陣炎を操る。一度その身を蝕んだ状態異常は苦しみに身悶えたところで、簡単には消えてくれない。
大成功
🔵🔵🔵
西恩寺・久恩
常に第六感と忍び足と瞬間思考力を使用する
おや、早速来ましたね…参ります
と拳を鳴らしながら戦闘態勢をとる
周りの敵に気を付けなければ…
敵のUCは青白い輝きの翼を心眼と気配感知で見つつ炎を推力移動で回避する
無限天理陰陽術式…仙才鬼才!
指定UCの効果でUC無限天理陰陽術式『仙才鬼才』を発動し鬼の手に変化させてから拳波動を敵に放ち攻撃します
敵の気配感知は忘れずに使い回避します
無限天理陰陽術式…神出鬼没!
敵の攻撃に合わせて地面に潜り敵の背後に回り込み超神越速の一撃をお見舞いする
まだまだ戦えますよ…ふん!
鬼の手で持った払い棒で炎をシャドウパリィしながら二人に笑いかけた
人を見た目で判断してはいけない。そんな鉄則を顧みなかった青鷺火の大群は久恩を与しやすい相手だとでも侮ったのだろう。
「ははは! 久しぶりの獲物だ、やってしまえ!!」
「早速来ましたか……」
ぽきり、と拳を鳴らす翠緑の瞳に宿る、心眼の閃き。
敵の燃え立つような輝きが青白き幽玄の炎なら、久恩のそれは朗々と息吹く森羅万象のそれだった。
「では、参ります。慎んでお相手させてもらいますよ」
「な――」
さっきまで力を抜いて立っていただけのはずの久恩が一瞬にして居場所を変える。まさしく推力移動の賜物だった。
そして、次の瞬間に勝負は決する。
僅か一瞬で限界まで引き締めた筋肉から繰り出される波動が青鷺火の群れをまとめて吹き飛ばした。
見事なる鬼の手。
それが鉄拳として奮われた時、敵に避ける暇も認識する余裕も与えることなく問答無用で敵を屠ったのだ。
「こちらの方が早かったはずなのに!?」
「そんなに殺気を放っていたはバレバレですよ」
えへん、と久恩は胸を張る。
「今度はどこに――」
突如、姿を消した久恩の居場所はただ一つ。
地面、だ。
青鷺火が羽搏き、青き炎の輝きで戦場を満たそうとしたまさにその瞬間を狙って地面を掘り進んだ久恩は迷うことなく相手の死角に回り込んでいる。
「ほら、背中がお留守ですよ!」
不意に真後ろの地面から飛び出した久恩の一撃を、妖如きが予測できるわけもなく。
「しまっ……」
「これぞ超神越速なる一撃、とくと味わってください!」
先ほどの発動を逃れた者も、二度目となれば容易には躱しきれない。
久恩の鬼手があまりにも速過ぎたせいで、避けることを許されなかった青鷺火はそれぞれに断末魔の叫びを上げながら消滅するしかなかったのである。
「そこっ!」
鬼の手に持った鉄のお祓い棒を操り、タイミングを合わせて弾き返すように襲い来る炎の翼を跳ね除ける。
「大丈夫ですか、お二人方!」
「ええ、そちらは?」
眞由璃の声かけに、勿論だとうなずいた。
「この通り、まだまだ戦えますよ……ふん!」
大成功
🔵🔵🔵
酒井森・興和
何とも荒涼とした風景だねえ
結界に守られた世界か…親近感を覚えそうだ
狐の大将も我等の女王も充分お強いが
鋏角衆である僕が道行きのお役に立てるなら嬉しい事だ
葛城籠城の頃よりは頑丈にもなったしねえ
妖しなる怪鳥の姿もまた懐かしき…
青火に纏われる事も考え視覚より【気配感知と集中力】で敵UCの直撃避けつつも【根気強くおびき寄せ】
近接射程に捉えたら前後左右にUCで攻撃
捉え損ねた者は三砂を手に【怪力でなぎ払い、吹き飛ばし】無傷の敵にぶつける
UCや三砂で仕留めきれなかった個体は飛斬帽を使い【追撃】
【重量攻撃】で叩き【切断】
あの迦陵頻伽の紛い物
見掛けは童女の様でも獰猛な怪鳥だ
僕は先兵の役目通り狩るよ
道を開けて頂こう
ああ、まるで地獄そのものじゃないか。
古くは絵巻物、今では各種のフィクションにおいて語られる死後の世界そのものの光景が興和の眼前に広がっていた。
肩越しに振り返ると、平安結界に守られた常緑の世界。親近感……だろうか? 興和はまさしく結界の内と外の狭間にいるのだった。
……そう。
まるで|故郷《シルバーレイン》を思わせるような、世界を守るための結界の境界に。
「これも一応、共闘……という形になるのでしょうかね」
有無を言わせず戦いに参じる|狐の大将《廉貞》と|我等が女王《眞由璃》の戦いぶりは往時に勝るとも劣らない。
なぜだろう、心が躍る。
いや、理由はわかりきっていた。
(鋏角衆であるこの僕がお二人の道行きのお役に立てるのなら、恐悦至極)
かつての葛城籠城の頃よりも|頑丈《・・》になったところをご照覧あれ。妖鳥の羽搏きをその気配を頼りにかいくぐりながら、興和は「おいで」とばかりに彼らを己が領域へと誘い込む。
「まったく、懐かしいことこの上ないねえ……」
後ろへ跳び、下がった分だけ殺到する敵群に前後左右から襲いかかるものの正体を糸葉といった。興和の指先が描いた点より同時に迸る鋼糸が獲物を求めて絡みつく。しかもそれで終わらない。鋼糸は蜘蛛の巣のように広がり続け、新たな犠牲を求めて蠢くのだ。
「かかったな」
興和は手ごたえのあった鋼糸をぐっと締め付け、もう片手に掴む三砂で捉え損ねた個体を狙い、豪快に薙ぎ払った。吹き飛んだ個体が後ろにいた個体にぶつかって互いに悲鳴を上げる。さらなる飛斬帽の追撃によってあっという間に数体が動かなくなった。
「流石ですね」
真っ二つにされた青鷺火の死体を横目に、眞由璃が微笑む。
「光栄にございます、女王」
興和の視線は既に次の敵を捉えていた。
あの迦陵頻伽の紛い物、童女のような見かけによらずなんと獰猛なことだろう。先陣を切ろうとする眞由璃を制し、興和は自らが先兵の役目を請け負う。
目指すは越前、海に面する北陸の地。
「女王がお通りだ。さあ、道を開けて頂こう」
大成功
🔵🔵🔵
暗都・魎夜
【心情】
こっちの世界は結界で安全圏保っているんだったっけか
結界の外に出たらこんなんが出るとはね
忘却期以前のうちの世界も似たようなものかと思うと、恐ろしい話だぜ
「ま、せっかくだ。余興と思って見てってくれよ」
【戦闘】
「火炎耐性」を用いて青い炎による攻撃を防御しつつUCを発動
青鷺火の多いところへ「捨て身の一撃」で体当たりによる爆発をぶつける
「別にお前さんらに恨みはないが、退けと言っても話が通じそうにないんでな」
ま、友好を築くにしろ、最終的に敵対することになるにしろ、こっち側の実力は知ってもらっておくに越したことはないさ
少なくとも、この旅の間は仲間だ
「なるほどな……」
結界の境界に立つ魎夜は、この世界におけるその効果を実感した。
シルバーレインの世界結界とは違い、こうやって死の大地と人々が暮らす安全圏を分け隔てているというわけか。感心しながら結界の外へと足を踏み出した途端、地獄もかくやの光景が出迎える。
同じ地球型世界の、成れの果て。
そこに忘却期以前のシルバーレインの姿を思い、微かに呻く。やれやれ、恐ろしい話だった。決して他人事とは思えない。
「どうかしましたか?」
眞由璃がこちらを窺うように顔を覗き込んでくる。
女王としての威厳と無垢な少女というどこか相反する二面性を兼ね備えた微笑みは、魎夜に青春の痛みに似た感傷を呼び起こしたが――、
「ま、せっかくだ。余興と思って見てってくれよ」
胸中に秘める想いを態度に出すことなく、戦いに集中する。幸い火炎の類には自信があった。敵の吐き出す青炎であってもなんとか耐え凌げそうだ。
否、利用してやるさ。
「一発、どでかいのをぶちかますぜ」
狙うのは、もっとも敵の多い密集地帯。
魎夜の目的も知らず、青鷺火は捨て身で突っ込むこちらをいい的だとでも思ったに違いない。それこそ餌食にするべく、一斉に襲いかかったのが運の尽きだった。
「――――!!??」
一瞬の静寂、そして爆発。
全ての起点は、敵の火炎属性――なにしろあれだけの青炎を吐いたのだ、火種には苦労しない――を吸収して消火した後、自らを燃え盛る起爆剤として擲った|魎夜自身《レッドダイナマイト》。
「別にお前さんらに恨みはないが、退けと言っても話が通じそうにないんでな」
焼野原となった一面の大地を眺め、魎夜は軽く肩を竦める。あれだけの炎を纏いながら、自身には火傷ひとつない。
「こんなもんでどうだ?」
「期待通りです」
「なんだ? 最初からわかってたみたいだな」
本心を探らせない眞由璃だが、ひとまずこっち側の実力を知ってもらいたいという目的は叶ったようだ。
……友好を築くにしろ、最終的に敵対するにしろ。
今はこれでいい。
少なくとも、この旅の間は彼女たちを仲間だと思うことに決めたのだから。
大成功
🔵🔵🔵
弓落・高寿
あー…改めて他者の反応を見ると、矢張り酷いもんなのか、この結界外の光景は…。
それは兎も角。
ここから長き旅路、貴殿らに体力を消耗してほしくはねえし、案内を買って出たが故に護衛も我が務め。承知。今晩は焼き鳥だ、焼き鳥。
さて焼き鳥の下拵え。空中浮遊にて群れに突っ込み、数匹は翼を切断して体勢を崩し、叩き割ってやろうか。飛べるのは手前らだけじゃねえのだ。
少しくらいの攻撃は激痛耐性と霊的防護で耐えつつ、適当に群れを掻き回し、混乱させたら本番。
予め拾っておいた大きめの石を空に放り投げて術を発動させる。
あとは逃げ惑うたところを狩っていくだけだが─思ったより鳥部分が少ないな、こいつ。
「あー……」
高寿は口元に手を寄せ、やはり、と独り言つ。
さっきからずっと仲間たちの反応が気になっていたのだ。
なにしろ、死の大地などというけったいな名前がついた場所である。まるで地獄を見たかのような彼等の反応こそ正常なのだろう。
「矢張り、か」
酷いのだ、この結界外の光景は……わかっていたことだが、あらためてそう思う。
最も感傷に耽る暇もないので、さっさと邪魔な妖を倒して進まねばならない。高寿に求められるのは、長い旅路を共にする廉貞や眞由璃の案内と、できるだけ彼等の力を温存させること。
「案内兼護衛役、ですか?」
「そういうこと。ま、ご期待あれだ」
眞由璃に頷いた高寿は、さて、と着物の袖を捲る。
「今晩は焼き鳥か、承知した。まずは下拵えを済ませるとしよう」
ふわりと宙に浮きあがり、青鷺火と目線を合わせた高寿は問答無用で群れのただ中へと突っ込んだ。まずは翼を切断し、体勢を崩しにかかる。
「飛べなければ、烏合の衆も同然だろ」
強引に叩き割ってやりながら、ふんと鼻を鳴らす。
飛べるのは手前らだけじゃねえのだぞ、と。燃え盛る翼の羽搏きは霊的防護で受け流し、まあちょっとは痛いが、我慢できないほどでもない。
攪乱するように飛び回る高寿を、青鷺火は近視眼的に追い回す。どうやら群れで連携を取れるほどの賢さは持ち合わせていないらしかった。
(こい)
適当に掻き回し、存分に混乱させたところで。
高寿は何の前触れもなく、まったくもって無造作に予め拾っておいた石――やや大きめのそれ――を敵群に向かって投じたのだった。
「本番開始だ」
刹那、いくつもの塊に炸裂したそれは流星みたいに降り注いだ。驚いて逃げ惑うところを、高寿は順番に狩っていった。
それはいいのだが、少々残念なこともある。
「うーん」
息の根を止めたそれの足首を掴んで逆さ吊りにしたまま、高寿はぼそりと呟いた。当てが外れたというか、何というか。
「思ったより鳥部分が少ないな、こいつ」
……本当に容赦がなかった。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『大御神虹影皇』
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POW : 濁炎 《先制UC》
【必中無効濁炎(猟兵の力とUCを失う) 】を放つ。他のユーベルコードと同時に使用でき、【UC界駆とUC終の秘剣『飛怒羅』を発動の】効果によってその成功率を高める。
SPD : 界駆 《先制UC》
【世界間移動の力と無敵、吸収無視大打撃 】を放つ。他のユーベルコードと同時に使用でき、【UC濁炎とUC終の秘剣『飛怒羅』を発動の】効果によってその成功率を高める。
WIZ : 終の秘剣『飛怒羅』 《先制UC》
【耐性、改変、無効不可の概念破壊大斬撃 】を放つ。他のユーベルコードと同時に使用でき、【UC濁炎とUC界駆を発動し神眼と体力回復】効果によってその成功率を高める。
イラスト:すずや
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「西恩寺・久恩」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
大御神虹影皇。
頭に直接響いてくる文字列。
――我、禍津妖大戦を生き抜きし大妖怪の一体也。
「誰某か?」
最初に気づいたのは妖狐七星将『廉貞』だった。
シルバーレインへの帰還を目指し、ディアボロスランサーに類する『界渡りの宝物』を探す旅路のさなかに彼等は現れた。
猟兵は襲い来る妖を露払い、『界渡りの宝物』が存在するという越前国への道程を切り拓きつつある。赤黒い空の彼方まで埋め尽くすほどだった青鷺火の群れは既に一羽たりとも残されてはいなかった。
だから、廉貞が問いかけたのは全くの新手であると知れる。
「気を付けましょう。とても強大な気配がします……あれは……!?」
眞由璃は地平線を見据え、大地のそこかしこからあふれ出す妖の数に驚いた。
いずれもどろどろと体のほとんどが溶けだしている。元の形などまるでわからない。人か獣かあるいは蟲か、それともその全てなのか。
彼等が結界の内側より現れた一行を敵性物であると判断し、排除を目的としているのだけは明らかである。
「待ってください。他に彼等を率いる者がいると廉貞殿が申しております。皆さんにはその者を探していただきたいのです。名を大御神虹影皇……配下を使ってこちらの注意を引き付け、隙あらば襲いかかるつもりなのでしょう」
だが、いったいどこから襲いかかってくる?
大御神虹影皇を発見する前に攻撃を受ければ、それを避けきることは難しい。
先制攻撃をさせないためには、こちらが先に見つけ出し、大御神虹影皇が戦闘態勢に入るよりも早く攻撃を仕掛けるしかないだろう。
あるいは先制攻撃を受けることを前提として、反撃の手を練るのも悪くはあるまい。
「どのように対処するかは皆さん次第。もっとも、邪魔な配下は私と廉貞殿が引き受けます。皆さんに攻撃を届かせはしません」
だから、総大将を倒すことに専念してほしい。
それが死の大地を渡りきり、『界渡りの宝物』を入手するための最善策であるというのが眞由璃からの申し出だった。
(このシナリオが合計「10回」クリアされると、敦賀市相当地域に到達した眞由璃と廉貞は『界渡りの宝物』と邂逅し、シルバーレインに帰還します)
西恩寺・久恩
優先は先制攻撃させない行動ですが駄目なら先制攻撃を受ける前提でお願いします
常に怪力と第六感と瞬間思考力を使用します
あれが…大御神虹影皇ですか…
先制攻撃させない為の行動は忍び足で距離を詰めつつ心眼と気配感知で敵を見つけて鬼の手から衝撃波を放ち攻撃する
…流石は大妖怪
先制攻撃を受ける前提なら心眼で見ながら推力移動で回避する
お払い棒が壊れる覚悟で怪力で握りシャドウパリィして全力で回避する
父様…西恩寺宏伸の鳳凰踏破をお見せしましょう…
指定UCで透過し無敵状態になり敵の攻撃で回避しつつ心眼で見ながら隙を見て回避と防御不可の見えない手刀を放ち攻撃する
これが私なりの鳳凰踏破です…
と敵を警戒しながら拳を構える
何としても先手を取る。
そのために、久恩はまず、己の足音を消した。
先制ユーべルコードを持つ妖を相手にする以上、相手に攻撃対象であると定められた時点で後手に回るのは避けられない。
(ここが正念場ですね……)
それから僅かな気配を頼りに第六感を鋭く研ぎ澄ませる。心の眼で捉えるのだ。あれだけの強大な存在が完全に隠れることなど不可能に近い。
必ずや、手掛かりはあるはず。
「……そこ、ですね?」
確信はなかった。
あったのは、ひらめき――ただ、それだけ。
ここ、と決めた方角へ鬼の手を薙ぎ払い、衝撃波が迸る。当たりだった。霧のような風が晴れ、大御神虹影皇の体の一部がまろびだす。
「なぜわかった……?」
「勘です」
なにも敵に全てを教えてやることはない。
久恩は短くそれだけを応え、自らのユーべルコードを紡ぎ上げる。その名を無限絢爛天理陰陽術式、自分を育てあげてくれた義父直伝の奥義である。
「父様……西恩寺宏伸の鳳凰踏破をお見せしましょう……」
まるで天の配剤のようだった。
義父から学び、受け継いだ奥義の強さのほどを証明するのにこれほどふさわしい相手が他にいるだろうか――否。
「これは……!!」
大御神虹影皇がその身に受けたのは、一言で言えば、不可視の手刀である。
まさに奥義、まさに一撃必殺。
相手の攻撃がどれほど無敵であろうが、いかに同時に複数のユーべルコードを使いこなそうが、当たらなければ意味はないのだと言わんばかりにその姿を消した久恩が振るう乾坤一擲の――!!
『無敵』対『無敵』。
なら、先に発動した方が有利だろう。
見事に敵の攻撃を躱し、宿敵へ一撃を入れた久恩は静かに告げる。
「これが私なりの鳳凰踏破です……」
隙のない動作で拳を構え、大御神虹影皇を警戒するように仰ぎ見て。
大成功
🔵🔵🔵
龍巳・咲花
攪乱しつつ本命を狙ってくるというのは忍びの戦いと似ているでござるなあ!
なればこそ、此方も遅れを取るわけにはゆかぬでござるな!
まずはメガリスを使って龍脈を活性化し廉貞殿や眞由璃殿を含めた味方を強化しつつ、龍脈を糸状にして戦場隅々に行き渡らせ強力な力の流れを感知しながら敵の動きを探るでござる!
敵を発見し次第、先手必勝でござるな!
目立つようにと牽制含めて敵の足元を隆起させ上空に打上げ、龍陣忍法「バビロニアン・ムシュマフ・ウォーズ」を発動し、6体による一斉火炎放射攻撃と、残りの1体の爪牙攻撃とそれに乗った拙者の手裏剣術による時間差連携攻撃で畳みかけていくでござる!
なるほど大量の配下を目くらましに使い、自身は雲隠れして刺客の役目を担うか。咲花は勝負を承った。まさしく忍びの戦いと似たやり口を敵が行ってくるというのなら、|本業《・・》として受けて立とう。
遅れを取るわけにはいかぬ、と発動したのが虎の子のメガリスである。
その名も『龍陣ノ楔』!!
龍脈を操ることが可能なこのメガリスは、龍陣忍者である咲花の力を高めるのに最適でとても相性がよい。
「廉貞殿、眞由璃殿、支援するでござるよ!」
活性化された龍脈は味方の魔力を高め、彼等の戦いを陰ながら助ける。さらには糸状に広げた龍脈を通じて戦場のどこかに潜む総大将の居所を暴き出した。
原理は簡単だ。
戦場の隅々にまで行き渡らせた龍脈を感覚器のように操り、強大な力の流れを感知してやれば、その中心地に奴がいる。
「獲った! 先手必勝でござるな!」
「これは……!?」
強大過ぎる力を手掛かりに己の居場所を突き止められるのは想定内であっても、よもや突然足元の地形が盛り上がって吹き飛ばされることまでは予想外だったのだろう。
大御神虹影皇はとっさのことに反応が間に合わず、咲花の思惑通り、土埃と共に空中へ投げ飛ばされた。
「ゆくでござる! バビロニアン・ムシュマフ・ウォーズ、出ませいっ!!」
合計7体のムシュマフが二手に分かれて襲いかかった。
取り囲んだ6体が一斉に火炎を噴き、大御神虹影皇の気勢を削いだところへ咲花を乗せた最後の1体が鋭い爪牙でその身を狙う。
「小癪な」
大御神虹影皇は周囲を取り巻く呪符でムシュマフの攻撃を凌いだ。
だが、まだ本命が残っている。ムシュマフに跨った咲花は両手に挟んだ手裏剣を乱れ撃ち、大御神虹影皇の急所を貫いたのだった。
「人間如きが……!!」
「侮ったでござるね」
口元に巻いたマフラーを下げ、咲花は不敵な微笑みと共に名乗りを上げた。
「拙者は忍び! 相手の裏をかく戦法は得意中の得意でござるよ!」
大成功
🔵🔵🔵
水無月・呉葉
ふむ、ここからは猟兵だけの仕事というわけか。
ヤタガラスを飛ばして【索敵】。
更に「しかし、大妖怪を名乗るにも関わらず
コソコソと隠れておるとはのう。
大戦も大方逃げ回って生き残ったのじゃろうな。
女王や七星将が力を振るうまでもなかろうて」
と【挑発】して場の空気の乱れを感じ取り、
見つけ出すのじゃ。
姿を現した敵には【呪詛】を施した霊符を【早業】で放ち
【精神攻撃】を仕掛ける事で行動を乱してやるのじゃ。
強大な力を有していても精神が乱れてしまってはのう。
敵の攻撃は天の羽衣で飛翔して【空中機動】で回避。
そして、ヤタガラスとの【連携攻撃】で攪乱してから
【呪殺符・炎獄】を放つのじゃ。
――赤黒い空を一羽のヤタガラスが飛ぶ。
呉葉の飛ばした索敵のための使い魔だ。やれやれ、とこれみよがしの溜息をついてやるのも忘れない。
「しかし、大妖怪を名乗るにも関わらずコソコソと隠れておるとはのう。この調子では、大戦も大方逃げ回って生き残ったのじゃろうな?」
反応があるかどうかを確かめるため、ヤタガラスの動きを見る。
すると戦場の一方面を旋回し始めた。
もう一息、と呉葉はさらに相手を追い込む。
「このありさまでは、わざわざ女王や七星将が力を振るうまでもなかろうて」
敢えて侮辱を叩きつけ、再び空を仰いだ。
ヤタガラスが甲高く鳴き、ただ一点を指し示す。
呉葉はしてやったりと霊符を構えた。
びらり、と両手に広げた霊符に力を込めれば、それは呪符となって敵を討滅するための立派な武器となるのだ。
「おぬしの居場所は見定めた。逃げ場はないと思うがよいわ!」
逃げられるものなら逃げてみよ、と呉葉は呪符に仕込んだ精神攻撃で勝負をかける。どれほど強大な力を持とうが、精神が乱れては使いこなすことはできないだろう。
「力は使う者の器に左右されるのじゃ。精神が乱れれば、いかな強者であろうとも付け入る隙は……あるッ!」
「おのれ……」
獄炎に呑まれ、大御神虹影皇は憎悪の呻きをもらした。
反撃が来るより早く、呉葉は空へ逃れた。天の羽衣が美しく空を舞う。しかも、ただやみくもに飛翔したのではなかった。
そこで待つヤタガラスと合流すること。
一人と一羽は大御神虹影皇を攪乱するように戦場を空を飛び、呉葉がユーべルコードを放つための好機を造り出すことに成功する。
「はッ!」
素早く指で印を結び、戦場を地獄の炎と化す呪符で大御神虹影皇の周囲を発火。まさに煉獄の罠だ。大御神虹影皇といえども容易くは抜け出せない。
「ぬう……!」
「これぞ呪殺符・炎獄! おぬしを燃やし尽くすまでその炎は決して消えぬッ!」
大成功
🔵🔵🔵
暗都・魎夜
【心情】
眞由璃もそうだが、何よりも廉貞は元の世界に帰したい
『月よりの使者』事件が再現されたとき、巨門に何かしら影響が出たら困るし、そういう時に止められる1人だからな
巨門は第六の猟兵でない可能性もある
しかしまあ、その行く手を阻むのはこのクラスの化け物か
無事に行くかは、なんとも言えねえところだぜ
【戦闘】
「闇に紛れる」「暗視」で身を隠しつつ、「勝負勘」「戦闘知識」を駆使して大御神虹影皇を「索敵」
最大火力で一気にケリを付ける
この瞬間が最大の勝機だ
「今だ、イグニッション!」
「先制攻撃」で「リミッター解除」してUC発動
「斬撃波」による攻撃
お前さんにも都合はあるんだろうが、こっちも都合があってね
悪く思うなよ
死の大地。
生気が失われたこの世界ならば、闇には事欠かない。魎夜は闇に紛れてこちらの姿を隠しながら索敵を続ける。先に発見できなければ問答無用の先制攻撃――一言でいって、化け物クラス。うまくいくかどうかは賭けだろう。
だが、やらねばふたりを元の世界に帰すことはできない。
土蜘蛛の女王である眞由璃を残せば、こちらの世界で勢力を広げる可能性がある。ならば既に味方である妖狐七星将の廉貞は放っておいても問題はないのかといえば、決してそうではないと魎夜は考える。
シルバーレイン世界では過去に発生した戦争が次々と再現されており、その中には『月よりの使者』事件も含まれるはず。
その時に廉貞の存在を欠けば、巨門に何かしらの影響が出ないとも限らない。あの時は廉貞の力添えがあったからこそうまくいったのだから。
(それに、巨門が第六の猟兵でない可能性を踏まえると……不安要素はひとつでも潰しておきたいところだな)
覚悟はできた。
未来のための痛みや傷くらい、いくらでも引き受けてやるさ。
勝負は一瞬だった。
なにしろ、あれだけの強敵。
「今だ、イグニッション!」
隠しきれない妖気の兆しを察知した瞬間、それが最大の勝機であった。眞由璃たちが引き受けてくれている集団とは明らかに違う、死そのものみたいな殺気を辿って繰り出す渾身の斬撃波は通常の8倍もの攻撃力を誇る。
敵がこちらに気づく前の僅かなチャンス。
たった一度の勝機。
敵に先制した魎夜のリミッターが消え、燃え盛る太陽の炎が全身を包み込んだ。プロミネンスドライブ。不意をつかれた大御神虹影皇は、ばっさりと斜めに斬られたあとで怒りに打ち震えた。
「人間如きが我を斬ったのか!? 許しまじ……!!」
「お前さんにも都合があるようにこっちにも負けられない都合があるんでな。さあ、この先にある物を手に入れるため、お前さんには消えてもらうぜ!」
大成功
🔵🔵🔵
酒井森・興和
大袈裟なのは見掛け倒しでは無いのだね
敵が先手というならば【気配感知、集中力と第六感】で命中をギリギリ躱す
その為に飛斬帽に自分の血を仕込み被り構えるフリで【陽動】
こちらに当てさせ少しでも直撃を回避し【落ち着き、カウンター】仕掛ける
もし猟兵の力を削がれたらツラいがそれでも来訪者、土蜘蛛族の意地と【覚悟】はある
敵UCと同時に飛斬帽を【投擲】して一旦こちらの気配を敵から【切断】
自身は【目立たず】接近
UCは忘却期前から延々と鍛錬したもの…全ての攻撃に【捨て身の一撃で、怪力、重量攻撃】を乗せ全身と三砂を使い撃ち込む
装甲を破るより本体を削り、砕く気負い
気が逸るのは自覚してる
けど
死に急ぐつもりも無いからねえ…
「まったく、命懸けだね。だが――」
興和はやりきる、と決めたのだ。
理由はただひとつ。
土蜘蛛の女王と七星将の長をシルバーレインの地へ帰還させる、それだけのためならば。過たず全力を尽くそう。
極限の集中力によってあらゆるものが凪いだ世界にて、大御神虹影皇の暴虐としか言いようのない無敵なる攻撃は圧倒的であった。
だが、圧倒的ということは隠しきれないということでもある。
「なに!?」
犠牲となったのは、血濡れた飛斬帽。
大御神虹影皇の攻撃が興和を直撃したかに思えたその瞬間、爆ぜたのは先ほどまで目深に被っていた――被るふりで構えていた――それだけであった。
興和は身代わりとなった飛斬帽から手を離した。荒れ狂う余波の嵐にも怯まず、落ち着きを保ったまま反撃を繰り出す。敵の注意がとっさに投擲して攻撃の的にした飛斬帽に向いている間に距離をつめる。一切の気配を消して間合いに飛び込んでくる興和に大御神虹影皇が気づいた時には既に鷹討の発動は取り消せない。
……技とは、一朝一夕では磨けぬもの。
それこそ世界結界によって人々が神秘を忘れ去るよりも以前から、延々と鍛錬し続けていた荒々しき連続攻撃をくらうがいい。
(本体は――)
仰々しい物体をいろいろとつけた姿の最も通りやすそうな部位を削るように石突きを叩きつける。砕けろ。鬼気迫る打撃が何度も敵を襲い、その一撃ごとに穿つ穴を押し広げる。気が逸るのは自覚できていた。
こいつを倒せば、越前国まであと僅かを残すのみ。
だが、死に急ぐつもりも――ない。
「ぐ……!?」
大御神虹影皇はよろめき、傷口を抑えた手を見下ろした。そこには真っ赤な血の代わりらしき暗色の液体がべっとりとついている。
「さすがに効いてくれたようだね。もっとも、まだ動けるとは……大袈裟なのは見かけ倒しでは無いらしい」
休むことなく、興和は全身を使って三砂を撃ち込んだ。
「そろそろ勝負を決めようか。無敵だか何だか知らないが、こちらに負けるつもりなどさっぱりないのでね」
大成功
🔵🔵🔵
弓落・高寿
随分と大層な口をききやがるが|手前《てめえ》なんぞに構ってる暇はねえんだ、こっちはこれ以上面倒毎が増える前に御二方に帰還してもらわねえと困るんだよ!
故に、やられる前にやる。
高速詠唱にて|下僕を召喚《UC発動》。戦力としては当てにならねえが敵を自動追尾する習性があれば、それにて位置を把握、そして時間稼ぎくらいにはなるだろ。
その隙に接近し、死角から奇襲をかけ破邪・切断・射撃・叩き割り…何が効くか分からんが、|全ての力を持ってぶっ潰す《残虐ふぁいと》。
ところで、若干本音が出てしまったが…二人には聞こえてねえよな?うん、聞こえてない、と言うことにしよう。そうしよう。
我は何も言ってない。
「ほう、随分と大層な口をききやがる」
高寿は口遊むような速さで詠唱を終えた。一瞬にして周囲の空間から召喚された|大量の触手《下僕》が死の大地を迸る。
悍ましく蠢くその先っぽが何かに触れた途端、木っ端に破壊。
「生憎と、|手前《てめえ》なんぞに構ってる暇はねえんだ。とっととどきやがれ」
一斉に群がる触手とそれを破壊する地点に奴がいるのは間違いなかった。つまらん御託を聞いてやる義務などこちらにはなく、ゆえに可及的速やかに排除する。
即ち、やられる前にやる、だ。
「こっちはこれ以上面倒ごとが増える前に御二方に帰還してもらわねえと困るんだよ!」
ひっきりなしに襲いかかる――あいつらは弱いが、破壊されるまで敵を自動追尾して自動攻撃する性質を持つのだ――触手が歓喜に咽びながら絡みついてくるのを無敵なる力で薙ぎ払う大御神虹影皇は、ゆえに高寿の接近に気づくのが僅かに遅れた。
高寿が狙ったのは死角よりの奇襲である。
ほんの一瞬で構わない。
敵がこちらを認識する前、1秒にも満たない刹那。
その身に宿す力のありったけを乗せた神器の数々が舞い飛んだ。あるものは敵を切断し、またあるものは破邪の力で弱体化する。そこへ擲たれたまた別の神器が力ずくでそのその身を叩き割り……と、調伏というより残虐なる|鏖《みなごろし》といった光景が展開されたのだった。
「お見事でした」
眞由璃の労いに高寿ははっと我に返る。
「強敵への啖呵も素晴らしく――」
「何のことだ?」
高寿は再び猫を被り、つい出てしまった本音についてはすっとぼけた。
「我は何も言っていない。聞き間違いだろう」
「え? しかし……」
眞由璃は不思議そうな顔になった後で、ふと合点がいったように微笑む。
「ええ、そうでした。何も聞こえませんでした」
「だろ?」
話を合わせる眞由璃に高寿は鷹揚に頷いた。
「では、先に参ろうか。いざ越前国へ!」
大成功
🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2024年11月09日
宿敵
『大御神虹影皇』
を撃破!
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