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食らえ、飲め、そして暴れろ!!

#デビルキングワールド #お祭り2024 #ハロウィン #勇者リリリリ #10/29(火)20時ごろ〆ます



「フハハハハ! 皆の者、よく来てくれたのう!!」
 ハロウィンが差し迫ってきた、ある日のグリモアベース。何か任務はないかと集まってきた猟兵を出迎えたのは、学ランに赤マントを羽織った尊大な少年であった。デビルキングワールドの魔王国、「砕魂さいたま王国」を統べる鐘射寺・大殺(砕魂の魔王・f36145)である。
「猟兵たちよ、先の帝都櫻大戦では勇者リリリリと共にデビルキングワールドの危機を救ってくれたようだのう。感謝いたすぞ!」
 キャンピーくんに導かれ、伝説の勇者リリリリは遂に故郷デビルキングワールドに舞い戻った。リリリリは既に、本来の勇者の職務である『悪の討伐、正義の執行』に勤しみ始めたというわけである。
「リリリリの奴、『ひさしぶりに勇者します。腕がなるなあぶんぶん』とか言って大張り切りでのう。既に多数の魔王やラスボスがあやつの聖剣にシバかれておるわ」
 まあ多少シバかれたぐらいで悪魔は簡単に死んだりしないのだが、住んでいる街や城がぶっ壊されてはたまったものではない。魔界中が戦々恐々というわけである。
「で、そのリリリリであるが……旅の道中で、とある迷宮に立ち寄るという情報を得ることが出来た。その迷宮の名は『リストランテ・ハロウィーン』! かつて2ndKINGビストログルメが建造した、地上100階地下100階にも及ぶという超巨大迷宮よ!」
 焼きそばから高級料理まで、なんでも作ると言われた『魔王ビストログルメ』が遺した『リストランテ・ハロウィーン』は、彼の没後もダンジョン内にて無限に料理を生み出し続けているのだ。
「我輩も詳しいことはわからんが、「ちゃんと盛り付けられた美味しい料理」が際限なく湧き続けるというのだから、オブリビオンも放っておくわけがない。どうやら、既に食い意地の張ったオブリビオンの残党が多数住み着いてしまったようでのう」
 迷宮に侵入したオブリビオン達はここぞとばかりに美味い料理を独占し、それらを貪り食っている。何せ一般的な魔界のグルメと違い、毒々しい外見でもないし変な香りもない。B級グルメから高級グルメに至るまで、全部真っ当に美味しい。そのうえ、食べるだけで膨大なデビルパワーが体に漲ってくるというのだ。
「戦争に負けたオブリビオンに、美味い飯を食わせてパワーアップの機会を与えておく必要もあるまい? そこでだ……我々も迷宮に赴き、十分に腹ごしらえをしたうえで敵を殲滅してやるのだ!」
 この『リストランテ・ハロウィーン』では、ジャンクフードからご当地B級グルメ、季節の限定スイーツに最高級のコース料理まで、あらゆるジャンルの料理を堪能することができる。そして、それぞれの料理に相応しい、理想的な食べ方をすることによって、より効率的に強力なデビルパワーを獲得できるという。
「たとえば、ジャンクな物ならガツガツと。高級な料理ならばテーブルマナーに則って……という具合だのう。まあ、お主らの食の好みやグルメ知識に応じて、最も適した食べ方をすればよいであろう! 我輩も同行できんのがなんとも歯がゆい……コホン! さあ、勇者リリリリに後れを取らぬよう、とっとと行って参れ!!」
 何やら羨ましそうな態度をごまかしつつも、大殺は猟兵たちをデビルキングワールドへ送りだす準備に取り掛かった。


弥句
 こんにちは、弥句です。今回もよろしくお願いします。今回はデビルキングワールドを舞台とした、2章構成のシナリオとなっております。
 第1章は日常パートで、巨大ダンジョン『リストランテ・ハロウィーン』内部を散策しつつ、無限に湧きだす料理を食してパワーアップを図ることになります。プレイングで指定していただいた料理に相応しい食べ方をすることで、より効率的なデビルパワーを得るプレイングボーナスが付与されます。
 第2章はボス戦で、迷宮内の料理を食べて強化されたオブリビオンとの対決が待っています。これまでに食べた料理のパワーアップ効果を活かし、存分に力を発揮しましょう! なお、この戦いでは勇者リリリリも共に戦ってくれます。彼女と上手い具合に連携をとれば、きっと勝機が見つかるはずです!
 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 日常 『リストランテ・ハロウィーン!』

POW   :    ボリュームのある料理を豪快に食べる

SPD   :    気軽な軽食をライトに食べる

WIZ   :    洗練されたマナーで高級料理を食べる

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​
冬原・イロハ
【購買部】
焼っきそばパン♪
コロッケパン~♪
ちょっとオシャレにフレンチトースト♪

アルダワ魔法学園の購買部でも大人気の総菜パン系
デビキンならではのパンも見つけて、はわ、これは人気の御品なのでは???
美味しい

(ニイヅキさんとははぐれた)

希少価値あるこのパンを手に入れる覇者は、購買部の嵐を制した者のみかもです
……ニイヅキさんならばきっと
ふさわしくいただくには購買部ごっこをしなければですね!
迷宮には学生な悪魔さんもいるかしら?
デビルパワーを得るためにやりませんか? とお話を持ち掛けます
POP書きましょう『数に限りがあります』

焼きそばパン、コロッケパン、ピザトースト! 迷宮特製パンは、早い者勝ちですよ


尾花・ニイヅキ
【購買部】
気が付いたらそこは戦場だった
“見慣れた戦場”だった

あのツヤを見ていればわかる、どのパンも美味しいと
だが自分の好みの一品は無限にあるわけではない

よし、行くぞイロハ!
――イロハ?
あれ?
(イロハとはぐれた)

『数に限りがあります』のポップを僕は見た
いいだろう僕の本気を見せてやる!!
(※めっちゃ腹ぺこ戦意MAX)

デビルキングワールドの総菜パンは勿論
焼きそばパンも狙っていく
デザートのチョココロネもだ!
他にも気になるパンは片っ端から確保していく
イロハの分も当然確保していく!
学生な悪魔たちに負けないよう全力でいくぞ!

イロハと無事に合流できたらパンを分け合おう
アルダワの購買部よりも激戦だったな……!



●ブゥランジェリー・エリア
 デビルキングワールド2ndKING、ビストログルメが建造したという幻のダンジョン。それが此処「リストランテ・ハロウィーン」だ。にわかには信じがたい話だが、この地上100階、地下100階におよぶ巨大迷宮は、謎の原理によって美味しい料理が無限に生産され続けるという。
「焼っきそばパン♪ コロッケパン~♪ ちょっとオシャレにフレンチトースト♪」
 フロアーに響くのは、明るく弾んだ冬原・イロハ(戦場のお掃除ねこ・f10327)の歌声だ。イロハの心をときめかせるのは、発酵バターを練り込んだパン生地が焼きあがる時の、なんとも言えない良い匂いだ。ここは、あらゆるパンを専門的に取り扱うエリアである。
「ご機嫌だねぇ、イロハ」
「はいっ♪」
 ウキウキな様子で自作の『パンのうた』を口ずさむイロハと並んで歩くのは、ミレナリィドールの少女猟兵である尾花・ニイヅキ(新月の標・f31104)。イロハとニイヅキは、アルダワ魔法学園に通っている学友同士なのだ。普段のランチも一緒に摂ることが多い。
「焼っきそばパ……きゃっ!」
「急げ急げ~~い!!」
 そんなイロハとニイヅキの傍らを、屈強な悪魔の一団が猛然と走り抜けていった。ミノタウロスやサイクロプスといった、いかにも体育会系といった風体の悪魔学生である。
「始まるぜ!」
 パン工房を模したフロアーに備えられた巨大オーブンのベルが「チーン!」と鳴る。するとシャッターががらがらと開き、中から沢山の焼きたてパンが姿を現したのだ。
「うおお~!早いモン勝ちやあ!!」
「デビルカツサンドは俺のモンだぜ~~!」
 どこかで「リストランテ・ハロウィーン」の噂を聞きつけたのか、魔界各地から集まってきた食欲旺盛な悪魔が焼きたてパンに群がっていく。その様子は、ニイヅキらアルダワの学生にとっては、お昼休みに繰り広げられる『見慣れた戦場』によく似ていた。
「(あのツヤを見ていればわかる、どのパンも美味しいと)」
 ニイヅキは、オーブンから取り出されたばかりのパンの山を静かに観察していた。これだけの悪魔が来ているなら、好みのパンを確実に手に入れられるという保証はない。
「よし、行くぞイロハ!――イロハ?あれ?」
 すぐ傍に居た筈の、友人の姿が見当たらない。

「はわ、これは人気の御品なのでは???」
 もはやイロハは、多種多様な総菜パンの虜になっていた。ニイヅキとはぐれたことも気にせず、鼻をすんすんさせながら試食の真っ最中だ。
 試食した中には、デビルキングワールドならではの個性的なパンもいくつか見受けられた。先程の悪魔の様子を見るに、人気パンの争奪戦は必至だ。
 そこでイロハは考えた。キュッキュッと、マジックペンで手製のPOPを作成していくイロハ。『数に限りがあります』と書かれたPOPが、陳列されたパンの前に張り出される。
「皆さん。効率よくデビルパワーを得るために、パン争奪戦をやりませんか?」
 この迷宮の特徴として、見つけた料理の食し方によってデビルパワーの吸収効率が変わるというものがある。すなわち、ジャンクフードやB級グルメならば豪快に。高級なグルメならば、きちんとテーブルマナーを駆使して優雅に……といった具合だ。
「ふさわしくいただくには『購買部ごっこ』をしなければですね!」
「あの筆致は、イロハの字……いいだろう、僕の本気を見せてやる!!」
 先程から腹ペコだったニイヅキが、鋭い眼光で一歩を踏み出した。今の彼女は戦意MAX状態だ!
「焼きそばパン、コロッケパン、ピザトースト! 迷宮特製パンは、早い者勝ちですよ~」
 イラストつきの自作のPOPで、巧みに『購買部』での競争を演出するイロハ。どこで学んだのか、やり手商売人の片鱗が見え始めたようだ(?)。
「(悪魔さん達は手強いですけど……ニイヅキさんならばきっと)」
 一方ニイヅキはというと、悪魔と押し合いへし合いしながらも、鋭い手刀を放つ要領で目当てのパンを回収していた。尚、戦場一帯はイロハの『どこでもキャンプ』の効果により、ダメージを与える行動全般が弱体化され、逆にダメージを伴わない全ての行動が強化されることになっている。ライバルを押しのけるなど、乱暴な手段を取るほど不利になる仕様だ。
「イロハのぶんは、僕が確保する。それからデザートのチョココロネもだ!」
「くっ、ちいこいクセにやるやないか、ねえちゃん……!」
 屈強な悪魔にも怯まずパンをゲットしていくニイヅキを、先程のミノタウロスが感心した様子で見ていた。

「お待たせ、イロハ。さあ、食べよう!」
「ニイヅキさん、無事でよかった~。はわ、カレーパンに、ウインナーロール……!」
 かくして、イロハとニイヅキはそれぞれのお気に入りパンを入手して合流することができた。地面にシートを敷いて座り込み、迷宮特製のパンを一緒に食べると、それだけで体中に不思議な力が漲ってくるのを感じた。これが、迷宮「リストランテ・ハロウィーン」に満ちたデビルパワーなのか。イロハの提案による購買部ごっこにより、苦労して手に入れたパンはいっそう美味しく感じられたことだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

建依・莉々
「ふふふ♪ こういうシナリオ、待ってた♪ メニューの端から全部持ってきて!」

食べ放題! なんていい響き♪ 何がいいかな♪ スイーツバイキング?  それとも夢の満漢全席?

けどここは、迷宮でないと食べられないグルメ、マンガ肉をチョイス! そう一本骨の通った塊肉を、焚き火でぐるぐる炙ったあのお肉! 正しい作法は齧りつき! 両手で持って、大きく口を開けてガブッと♪ 1/4くらいは一齧りで行きたいところ。けど、莉々の小さなお口では無理なので、そこは化術の出番。マンガ顔に化けて、大きくガブッと齧りつきます♪
 誰かと被っても無問題♪ みんなでカブカブ齧りつくのもお作法です♪

「・・・でもこれ、何のお肉だろ?」




「ふふふ♪ こういうシナリオ、待ってた♪ メニューの端から全部持ってきて!」
 座敷わらし系女子の建依・莉々(ブラックタールのどろんバケラー・f42718)は「リストランテ・ハロウィーン」の食べ放題系エリアを探索中であった。軽快な音楽が流れるフロアーは清潔感と明るさ重視の内装で、ファミリーレストランなどをイメージしているようだ。出てくる料理も質より量といったところで、高級感よりはコスパ重視に見受けられる。しかしそこは魔王ビストログルメが手がけただけあって、料理のクオリティに一切の手抜きはない。味のレベルは保証付きである。
「食べ放題! なんていい響き♪ 何がいいかな♪ スイーツバイキング? それとも夢の満漢全席?」
 ハイレベルの美味しい料理が無限に湧き出てくる。実質食べ放題だ。しかもお店と違って時間制限もなくお金も不要。ここぞとばかりに食べ放題を満喫する莉々であった。焼き肉、寿司、中華……と一通りの食事をバイキング形式で堪能したのち、莉々はある考えを閃いた。
「どうせなら、迷宮でしか食べられないメニューがいいわね! ……マンガ肉ってあるのかしら?」
 マンガ肉。いわゆる漫画作品にちらほら出てくる、あの巨大な骨つき肉の食べ物である。すると莉々の独り言をどこの誰が聞いていたのか知らないが、レストランを模した通路の奥から、自走式のカートが巨大な肉塊をごとごと運んでくるのが見えた。
「……すごい、本当に来た!」
 なんでも言ってみるものである。丹念に火で炙られたと思しき巨大な骨つき肉は、塩コショウで味付けされたシンプルなものであった。これを1/4くらい、ガブッと一囓りでいってみたいのだが、当然莉々の小さな口ではそうもいかない。そこで莉々は得意とする「化け術」を利用することにした。
「じゃ、いただきま~~す」
 莉々の種族はブラックタールであり、ジョブはどろんバケラー。身体の形状変化は大の得意だ。デフォルメされたマンガ顔になって、巨大骨付き肉を食べるに適した口の大きさに変化する。
「うーん、肉汁が口いっぱいに広がってジューシー♪」
 大きく口を開けて、豪快に一口目をかぶりついた! 直火でじっくり時間をかけて炙ったマンガ肉は、余分な脂が落とされており意外にギトギトしていない、さっぱりした味わいだ。それでいて肉の旨味は損なわれておらず、どうやら絶妙な火加減で丹念に調理されたものと思われる。
「……でもこれ、何のお肉だろ?」
 ムシャムシャと極上のマンガ肉を味わいながらも、莉々は漠然と感じていた疑問を思わず口に出した。例えば原始人が登場する漫画ではマンモスの肉を。剣と魔法のファンタジー作品ならばドラゴンのステーキなど、登場する作品によって色々な巨大生物が存在するだろう。ここは悪魔の世界デビルキングワールド。ならば最も高い可能性としては、巨大な悪魔の肉を用いられていることだろう。なにせ、悪魔自身が自らの身体を切り取って調理し、客に提供している店まで存在するのが魔界という場所である。
「まぁ、とりあえず……マンモス肉(仮)ということで!」
 自分の中でひとまずマンモス肉(仮)という解答を導き出した莉々は、引き続き肉の塊を豪快に囓り、心ゆくまで堪能するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

グラース・アムレット
【花色龍】
色々お任せ

迷宮といえばマッピングが定石ですが、長年健在であるのなら一部マップも迷宮前で売られてたりするかしら?
あれば記念におカネ(D)で購入
(パラ見)…グルメ雑誌みたいですね?

私は林檎を使ったお菓子を食べたい気持ちですが、仁さんは何か食べたい物ってありますか?
ご飯ものは魚のフライを使った料理が食べたいですねぇ

仁さんとゆきちゃん(狛犬)と食べ歩き
リストランテというだけあって見事なものですね!
迷宮の内装を見て楽しみつつ
みんなと一緒に食べるとさらに美味しく感じます

和を感じさせるダンジョン内では四季折々の和菓子を楽しめそう
桜餅や芋羊羹――あ、柿羊羹はかなり好きな部類
林檎の和風パイも美味しいわ


青梅・仁
【花色龍】

地上地下各100階ずつ……気合入りすぎだろ
って地図売ってる?助かるー!
……マジでグルメ雑誌だ、迷宮の概念疑いたくなるわ

グラースちゃんは何食べたい?
俺は和菓子ちょっとつまめたらなってくらい

相応しい食べ方?
こういうのは楽しく食べるのが一番だろ
気楽にいこうぜ

魚のフライかー
あ、フィッシュアンドチップス
あれ食べやすそうじゃない?

グラースちゃんやゆきちゃんの楽しそうな姿を眺めつつ食べ歩きについていく

デビキンって派手なイメージあったんだが、こうした落ち着いた雰囲気もあるのな
和菓子あって良かった
ゆきちゃんも食べても平気そうなら分けたげる
和風のパイ……こういうのもあるのな?
お、美味い
お茶とも合うな




「あらゆる食べ物が無限に湧いてくるダンジョンって、すごいですよね」
「だな。もうこの中だけで生活が成り立ちそうな気がするんだが……でも地上地下各100階ずつ……気合入りすぎだろ」
 グラース・アムレット(ルーイヒ・ファルベ・f30082)と青梅・仁(鎮魂の龍・f31913)が、楽しくお喋りしながら迷宮を往く。その少し後ろから、グラースの使役する狛犬「ゆきちゃん」が、静かに二人の後ろを追っていた。
 広大な迷宮「リストランテ・ハロウィーン」は、地下100階地上100階にもおよぶ大迷宮。これだけ広いとなると、歩き回るだけでも一苦労だ。
「迷宮といえばマッピングが定石ですが、長年健在であるのなら一部マップも迷宮前で売られてたりするかしら?」
「いやー、そんなに都合良くはいかないでしょー……って地図売ってる? 助かるー!」
 既に先人達がこの迷宮の踏破を試みていたらしく、なんとマップが入り口付近で普通に売られていた。グラースが自動販売機にDを投入してボタンを押すと、旅行雑誌を模したようなガイドブックが出てきた。
 グラースがぱらりと誌面をめくってみると、カラフルなフォントで『これが魔王ビストログルメが手がけた大迷宮・リトランテ・ハロウィーンだ!!』『地上100階!地下100階!未知の食空間がキミを待っている!』といった見出しが記されていた。しかも各フロアーの位置情報はもちろん、そこで食べられる目玉メニューも抑えられている。
「……グルメ雑誌みたいですね?」
「……マジでグルメ雑誌だ、迷宮の概念疑いたくなるわ」
 まあ、魔界の食通やグルメジャーナリストなんかが有志で作ったガイドブックなのだろう。今回はガイドの恩恵に与ることとした二人は、ガイドブックをめくりながらどこへ行こうかと思案する。
「グラースちゃんは何食べたい?」
「私は林檎を使ったお菓子を食べたい気持ちですが、仁さんは何か食べたい物ってありますか?」
「リンゴのお菓子か。俺は和菓子ちょっとつまめたらなってくらいかな」
 これだけ広大な「リストランテ・ハロウィーン」である。二人が望むお菓子も必ずみつけられることだろう。
「ご飯ものは魚のフライを使った料理が食べたいですねぇ」
「魚のフライかー。あ、フィッシュアンドチップス。あれ食べやすそうじゃない?」
 フィッシュアンドチップス。白身魚のフライとフライドポテトがセットとなった、英国の料理である。
 二人が地下へ続く階段を降りていくと、そこはイングリッシュ・パブを模したようなシックな内装の空間であった。そして、まるで二人の到来を予知していたかのごとく、自走式のカートが奥からゴトゴトやって来る。
「!」
 そのカートには、出来たてのフィッシュアンドチップスがちゃんと二人ぶん用意されていた。それだけではない。サラダやチーズ、ハムの盛り合わせといったバラエティに富んだメニューが、一揃え乗せられていた。
「まるで会話でも聞かれてたみたいだな」
 苦笑しつつ、仁はグラースをテーブル席へと誘った。
「リストランテというだけあって見事なものですね!」
 そうして、二人で椅子に腰掛ける。通常の石造りの迷宮や洞窟と異なり、ちゃんとテーブル席が用意されて休むことができるのが嬉しい。座り心地もなかなかのものだ。
「ところで、酒場にふさわしい食べ方とはなんでしょう?」
「相応しい食べ方? こういうのは楽しく食べるのが一番だろ、気楽にいこうぜ」
 さっそく、二人で出来たてのフィッシュアンドチップスをつまむ。大きめフライドポテトはカリッと揚がっており、ザクザクした食感が楽しい。塩加減は絶妙だ。タルタルソースのたっぷりとかかった厚切りのフィッシュフライは、添えられたレモン汁をかけることで一層味が引き立ってくる。
「はい、ゆきちゃん」
 尻尾を振りながらグラースを見ていたゆきちゃんにも、お裾分けだ。グラースが手のひらにのせたポテトを、ゆきちゃんはわしゃわしゃと食べてくれる。
「そっか、ゆきちゃんもお腹空いたよなぁ」
 そんななんとも微笑ましい光景に、顔を緩ませる仁であった。

 続いて二人がやって来たエリアは、板の間の廊下が続く和風建築の空間であった。
「はぁ……これはお見事。デビキンって派手なイメージあったんだが、こうした落ち着いた雰囲気もあるのな」
「探索していて、飽きませんねぇ……」
 こーん、とどこからか鹿威しが跳ねる音が聞こえてきた。美しく整えられた日本庭園を横目に廊下を進むと、やがて襖で仕切られた場所に到達する。
「ここは……茶室、か?」
 仁が襖を開けると、そこにはおあつらえ向きに和菓子とお茶の道具が一揃え用意されていた。
「日本庭園を眺めながら、四季折々の和菓子を楽しめそうですね」
「じっくり味わって食べろって? ダンジョンなのに贅沢だな」
 い草の香りがする畳が敷かれ、水墨画の掛け軸が飾られた茶室は空間そのものが芸術。和菓子が盛られた皿やお盆は、いずれも美しい。
「桜餅や芋羊羹――あ、柿羊羹はかなり好きな部類」
 和菓子の魅力は、なんといっても食べながら日本の四季を感じられる点だろう。素材そのもののおいしさを最大限に引き出せる技術をもつゆえか。
「どれ、俺もひとつ……これは酒饅頭か。こっちは和風のパイ……こういうのもあるのな?」
 小豆餡やかぼちゃ餡を包んだ和風のパイは、クリームやチョコレートをふんだんに用いた西洋のパイとはまた違う、クドすぎない素朴な味わいを感じることが出来た。
「林檎の和風パイも美味しいわ。仁さんもどうぞ」
「お、美味い。お茶とも合うな」
 ちなみにグラースのおすすめは、水飴でじっくり煮詰めた林檎を使ったパイであった。仁とグラースはそんな風に、丁寧に作られた和菓子をゆっくり時間をかけて味わった。静かにだが、着実にデビルパワーをチャージすることができただろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

川西・晴空
●POW

うひょー
タダ飯を幾らでも食って良いだなんて、ここを作った魔王様はお大尽様々じゃねぇか
まずは迷宮の中に入らねえと話になんねぇし、『米躯崘』で人間サイズになってっと

へへ…どーこーでー食ーうーかーなーっと
おっ、ここなんか広くていいな
おいらが頼むのは焼き肉だぜ、焼き肉!
勿論山盛りに盛られたご飯も一緒で、ガツガツ食うぜ!

けど、ひとり焼肉もつまんねーし、他にやる人間や勇者さんも食うなら囲んでやるぜ
まぁ、焼肉奉行はおいらだけどな!

最初は脂身が少なくさっぱりとした肉から焼いて、徐々に濃い味付けや厚切りの肉を焼くのが定石
腹いっぱい食って腹ごなしが終わったら、元の巨人の姿に戻ってまた食うぜー!



●肉の宴
 2ndKING「魔王ビストログルメ」が建てたという巨大迷宮、「リストランテハロウィーン」。それは訪れた者に、古今東西あらゆる料理を提供することができるという大迷宮。地上100階、地下100階に及ぶというこの迷宮に、今から一人の若者が挑もうとしていた。
「うひょーっ、タダ飯を幾らでも食って良いだなんて、ここを作った魔王様はお大尽様々じゃねぇか!」
 身の丈5mにも届こうかという見事な体躯の少年、川西・晴空(日出る国の鬼武者・f36334)はグリードオーシャン生まれのクロムキャバリア育ちの巨人である。常日頃戦いに身を置く武者である晴空にとって、食事は日々の体力作りの為にも、大事なことだ。
「おっと、まずは迷宮の中に入らねえと話になんねぇな」
 ユーベルコード『米躯崘』を使って人間サイズへと変わった晴空は、美味い料理を求めてさっそく迷宮の入り口を潜り、奥へと進んでいく。

「へへ……どーこーでー食ーうーかーなーっと」
 晴空が現在探索している場所は、明るさと清潔感を重視したカジュアルな装飾が為された空間で、天井のスピーカーからは軽快な音楽が流れてくる。どうやらファミリー向け飲食店を意識した設計のようだ。
「おっ、ここなんか広くていいな」
 ソファーがけのテーブル席が並ぶ広めの区画に辿り着いた晴空は、そのうちの1箇所にドカッと着席した。
「すいませーん! ……って店員いないのな。それもそうか、ダンジョンだし」
 テーブルにはタブレット端末が備え付けられており、アイコンをタッチすることで簡単にメニューを注文できるようになっている。
「食べ放題といえば焼き肉だぜ、焼き肉! それに白飯も必須だよな。もちろん大盛り……いや、山盛りでいくぜ!」
 タブレットを操作し、次々に焼き肉皿を注文していく晴空。もちろんライスやスープも欠かせない。すると、フロアの奥から自走式のカートがゴトゴトやって来て、注文の品と焼き肉用のコンロ、食器一式を運んで来た。
「おぉ、自動運転で来たのか。なんかハイテクだな」
 コンロに火を点けると、いよいよ焼き肉開始だ。まったくこの瞬間ほど、心躍るものはない。
「~~♪」
 晴空は鼻歌交じりで肉をガンガン焼いて、焼きあがった肉を白米の上に一旦乗せたうえで、ご飯と共にいただく。最初はタン塩やホルモン系など、脂身の少ないさっぱりした肉を。そして徐々にカルビやロースなどヘビー系や、濃い目の味付けがされたものにシフトしていくのが晴空のスタイルだ。
「……うん、美味い美味い! やっぱ肉は最高だな!」
 肉の焼けるなんともいえない香ばしい匂いが、晴空の食欲をますます高めていく。ライスの減りも順調だ。わかめスープで口を潤し、キムチで口直しをして、再び肉へ。いずれの肉も上質で、鮮度の高さがうかがえた。タレも甘口、辛口、塩だれ、レモンと一通りの種類を揃えており、抜かりはない。
「いい匂いがすると思えば……先客がいたようですね。どうもこんにちは」
 そう言って晴空の近くにやって来たのは、大きな黒い翼を持つ堕天使の女性だった。彼女は漆黒の甲冑に身を包み、美しい剣と盾を携えている。
「おっ?……そういうおめぇは、伝説の勇者リリリリさんかい?」
 勇者リリリリも、この迷宮に住み着いたオブリビオンを討伐するため、リストランテ・ハロウィーンを訪れていたのである。
「一人焼き肉もつまんねーし、よかったらリリリリさんも一緒にどうだい? まぁ、焼肉奉行はおいらだけどな!」
「ええ、構いませんよ。この迷宮の料理を食べれば、強力なデビルパワーを体にチャージできるそうです。腹が減っては戦はできぬと言いますし、ご一緒しましょうか」
 そういう訳で晴空はリリリリと同席し、共に焼き肉をたらふく味わってデビルパワーをしっかりと蓄えた。この後に待つ戦いで、晴空もリリリリもパフォーマンスを十分に発揮できることだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『鬼畜勇者』

POW   :    仲間にさそう
指定した対象を【自分の仲間になるよう】にする。対象が[自分の仲間になるよう]でないならば、死角から【仲間の女冒険者たち】を召喚して対象に粘着させる。
SPD   :    無限レベルアップ
自身の【ステータス】を、最も近接する対象と同値にする。対象が変わらない限り、自身の[ステータス]のみ徐々に上昇する。
WIZ   :    クイックセーブ
自身が気絶すると、予め設定した【セーブ地点】まで転移され、それまでの戦闘貢献度に応じて気絶と負傷が回復する。
👑11
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 そこは「リストランテ・ハロウィーン」の深部、冒険者の酒場を模したようなこぢんまりした場所だった。木製のテーブルの上には、汚く食い散らかされた料理皿と横倒しになった酒瓶。こぼれた葡萄酒が床に染みを作り、食べかすがいくつも落ちている。お世辞にも、行儀のいい食べ方とは言えなさそうだ。
「ふぅ~~、三年分は食ったなぁ……って大袈裟すぎか!」
 腹をさすりながら爪楊枝で歯を掃除しているのは、冒険者風の恰好をした青い髪の男。
「リストランテ・ハロウィーン……噂に違わぬスゴイ所だぜ。国盗り前にちょっとばかし腹ごしらえするつもりが、長居しすぎちまった」
 男が身に着けている武具は、いずれもそこらの店では売られていない伝説級の逸品。魔界の住人であるならば、彼が勇者と呼ばれる特別な存在とわかるだろう。しかし、男はとても人相が悪く、勇者と言うよりは山賊の頭領のような風貌と態度をしていた。
「どれ、最後にデザートをひとつ――」
「……ようやく見つけましたよ、『鬼畜勇者』。あなたの悪名はよ~~く知っています」
 酒場の扉が勢いよく開かれ、伝説の勇者リリリリが飛び込んできた。既に彼女の聖剣は抜かれており、バリバリの戦闘モードだ。
「げえっ! てめえは……勇者リリリリ!」
 この男、通称『鬼畜勇者』は金欠に陥り、悪堕ちした勇者がオブリビオン化したもの。デビルキングワールド各地を巡り、国盗りと称して魔王たちに喧嘩を吹っかける乱暴者である。彼に敗れ、領地を失った者は数知れない。
「エセ勇者、年貢の納め時ですよ。わたしがこの聖剣で成敗してあげましょう!」
「……抜かせっ! 伝説の勇者とはいえ、もうてめえに全盛期ほどの力は無ぇハズだ。それに、オレ様のほうが先にこのダンジョンに来て、美味い飯をたらふく頂いてんだ。今のデビルパワーなら、てめえにだって負けたりしねえ!ぶっ飛ばしてやんぜ~~!」
 鬼畜勇者と勇者リリリリ。二人の英雄がテーブルを挟んで睨み合う! 今こそリリリリに助太刀して、この下品な男をたたき出してやろう!
冬原・イロハ
【風紀委員】
色々お任せ

リリリリさんを追っていくとワルの気配!
ニイヅキさん、いきましょう!
風紀委員です! 御用改めですよ!!

はわぁ、酒場なので鬼畜さんのお行儀も悪く……?
いえ、私の知る酒場はもっと和気藹々と楽しい場です

リリリリさんの助太刀を
悪路走破で酒場内を駆けて、敵がデビルパワーを駆使してる部分を見極めてUCでえいっと攻撃
購買部で競い、パンを食べ鍛えた私たちの敵ではn、…ええ! 購買部では動体視力・反射神経などが鍛えられます!
総菜パン、オススメですー
リリリリさんもパンどうです?
パンをくわえれば加速して遅刻も間に合うものなのです~

女冒険者さん達には
オシャンなパンや、健康に気を使ったパンをオススメ


尾花・ニイヅキ
【風紀委員】
行こう、イロハ!
御用改めである!
……よくわかんないけど格好いいよねこの言葉!

おいお前
パンは食べたか?
何?別の物がいい?
風紀委員はパン推進活動中だぞ
粛 清 だ

イロハの言う通り購買部はただパンを食べるだけではない
自らの手で勝利パンを掴む
――全員が戦士だぞ
パンを笑うものはパンに泣け!(UC)

リリリリはパン食べるだろう?
差し入れに食パンを渡してパワーアップ支援

神聖なる(?)迷宮を荒らし
パンを軽んじた発言をするお前の仲間になんてなるものか
女冒険者達にはパンを(力づくで)分け与え、その美味さで魅了し味方にする
見ろ!女子はパンが好きなんだ!(※個人差があります)
共感力のない己を嘆くがいい!



●今度は風紀委員ごっこ!?
 先程のフロアーで『購買部ごっこ』を繰り広げ、デビルパワーを獲得した尾花・ニイヅキ(新月の標・f31104)と冬原・イロハ(戦場のお掃除ねこ・f10327)。勇者リリリリの後を追っていくと、なんともワルの気配を放つ場所に辿り着いた。その外観は、アックス&ウィザーズなどでよく見る冒険者酒場に似ていた。
「ニイヅキさん、いきましょう!風紀委員です! 御用改めですよ!!」
「行こう、イロハ!御用改めである!」
 御用改め。言葉の意味はいまいちよく分からないが、使ってみるとなんとなく格好いい。不正を取り締まる『学園風紀委員』に扮し、揃いの腕章をつけた二人は酒場の木扉を勢いよく開けた。
「あぁ~~ん? なんだてめえらは! 今取り込み中だ!」
 薄暗いその酒場は、澱んだ負のオーラを放っていた。聖剣と盾を構えた勇者リリリリが、人相の悪い青髪の男と激しく刃を交えている。この男――鬼畜勇者こそ、負のオーラの発生源に他ならない。
「風紀、委員?」
 突如入ってきた二人組に、勇者リリリリがちらりと視線を送った。
「第六の猟兵ですか。わたしはこれから、この悪漢を成敗するところですっ!」
「よそ見してんじゃねー!」
 鬼畜勇者の怒濤の連撃を、リリリリは盾で巧みに受け流し、鋭い反撃を繰り出す。一進一退の攻防だ。
「はわぁ、酒場なので鬼畜さんのお行儀も悪く……?」
 今は戦闘中。イロハの知る和気藹々とした酒場の雰囲気とはまるで違う、殺伐とした状況だ。
「マナーのなっていない客には、退店してもらおう。勇者リリリリ、僕たちも加勢する!」
「ヘッ、仲間ならこっちにもいるぜ。全員出てきな~!」
 鬼畜勇者が声を張り上げると、酒場の二階から彼の冒険仲間がぞろぞろと降りてきた。戦士や僧侶、魔術師に盗賊……全員が若い女性で、しかも美人や美少女ばかり。彼の性格が容易に窺い知れる。
「あら、いつもの悪魔どもと違って随分可愛らしい相手じゃない」
「あなた達も勇者様の仲間に加わりませんか?」
 たちまち、イロハとニイヅキは女冒険者たちに囲まれてしまった。リリリリの援護をさせないための妨害工作だ。
「勇者サマはねー、いっぱい金銀財宝を持ってるから、アタシらにアクセサリーとか、綺麗な服を沢山買ってくれるんだよ~」
 彼女達は口々に仲間になるメリットを語ってくるが、どれも私利私欲を満たすような程度の低いことばかりだった。
「……君達はそんな目的で冒険をしているのか? 悪いけどお断りだよ」
 最初は友好的態度で勧誘していたのだが、ニイヅキが突っぱねると女冒険者の態度は急変。ネチネチと嫌らしく絡む方向に作戦変更したのだ!
「は? 折角私達が親切に声かけてあげたのに。そのリアクションは何?」
「考えを改めたほうがいいですよ~、きっと神の怒りに触れて、恐ろしい災いが起きますよ~」
「このネコチャンがどうなってもいいの!?」
 いつの間にか、イロハの背後から女盗賊が忍び寄っていた。盗賊がイロハを捕獲しようと跳びかかった瞬間、イロハの耳がピクッと動いた。
「捕まりませんっ!」
 驚くべき反射神経でイロハが飛び退き、盗賊の攻撃は空振りに終わる。購買部でパン争奪戦を行った結果、スピード全般が強化されているのだ。
「えいっ!」
 イロハは酒場内を素早く駆け回り、鬼畜勇者のパワー供給源である酒瓶や樽を、次々に斧で破壊していった。
「お、オレ様のワインが……!」
「僕たちは風紀委員だ。おいお前、パンは食べたか?」
「パ、パン?」
 ニイヅキの不意の質問に、鬼畜勇者は怪訝な反応を示した。
「購買部で競い、パンを食べ鍛えた私たちの敵ではn、…ええ! 購買部では動体視力・反射神経などが鍛えられます!」
「パンなんかより、酒だ! 酒持ってこぉい! くそっ、貴重なワインの樽をぶっ壊しやがって……!」
 鬼畜勇者は剣を振り回してキレ散らしているが、遂にデビルパワー不足に陥ったのか、彼の攻撃は精彩を欠き始めている。
「何? 別の物がいい? 風紀委員はパン推進活動中だぞ。粛 清 だ」
 色々な種類のパンを紙袋に詰めて持参したニイヅキの眼が、鋭く光る。
「イロハの言う通り購買部はただパンを食べるだけではない! 自らの手で勝利パンを掴む――全員が戦士だぞ」
「リリリリさんもパンどうです? パンをくわえれば加速して遅刻も間に合うものなのです~」
 なんとイロハとニイヅキは、ただ相手と戦うのではなく、相手にパンを与えて無理矢理懐柔する作戦に出たのだ。
「リリリリはパン食べるだろう?」
「……もがもが(いただきます)」
 バタートーストを口にくわえたリリリリは、マンガの遅刻登校JKのような恰好となった。そのままの状態で、リリリリは再度鬼畜勇者と斬り結ぶ。エネルギー補給はバッチリのようで、先程より彼女の攻撃スピードが上昇したようだ。
「冒険者の皆さんもパンをどうぞ~。色んなパンを用意しましたよ」
 イロハが女冒険者に見せたのは、SNS映えしそうなオシャンなパンや、美味しくてヘルシーな健康志向のパンだった。
「なにコレ、カワイイ~~」
「へぇ、思ってたのよりいい感じね。もらっていい?」
「どうぞどうぞ。惣菜パンもおすすめですー」
 どうやら、女冒険者たちの反応は思ったよりも良好なようだ。
「オイおめーら、手伝えや!! 敵に買収されてんじゃねー!!」
「え~、だってねこのパン屋さんとか超可愛いくない?」
「見ろ!女子はパンが好きなんだ!(※個人差があります)共感力のない己を嘆くがいい!」
 怒れる鬼畜勇者を放置して、女冒険者はきゃいきゃいとパンに群がっている。みんなで絶賛試食中だ。
「神聖なる(?)迷宮を荒らし、パンを軽んじた発言をするお前の仲間になんてなるものか。パンを笑うものはパンに泣け!」
 ハード系のパンを握り締めたニイヅキが、素早く鬼畜勇者へ走り寄る。そして、超高速の手刀を繰り出す要領で――パンを口へと突っ込んだのである。
「もごっ!?」
 そこへリリリリが近づき、丸盾で顔面にダメ押しの一撃を見舞う。会心の一撃とパンを喰らった鬼畜勇者は、堪らず酒場の床に転がってダウンしてしまった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

グラース・アムレット
【花色龍】
色々お任せ

……わぁ……凄くワル、極悪人ですね
適宜、リリリリさんの援護も
敵のデビルパワーに押されそうな瞬間を狙って銃で撃ち

ですね、さすがに食事中はセーブされていませんでしょうから――
仁さんが言うそれはふわり知ってて
では、ペイントブキと魔術でUC
鬼畜勇者も、鬼畜に至った理由があるかもしれません
戦場の美味しい匂いに呼び起こされて、飢えた過去などはあるかしら?
戦闘意欲を奪いつつ催眠術も兼ね
今なら何と! 食べ放題ですよ!
あるうちに食べてください
(思い出させる私が鬼畜な気が…ごめんなさい)

リリリリさんも何か摘まんでデビルパワーを獲得なさるといいかと~

先程デビルパワーを得たゆきちゃんもアタックです


青梅・仁
【花色龍】

え、あれが勇者なの?
見えねえ……

沢山食ったんならパワーは集まっているだろう
だがその補充分、セーブはできてるかは怪しいよな
気絶させて力を削げないか試してみっか

そういえば最近どかぐいきぜつ?とかいうのが流行ってるらしいけど
グラースちゃん聞いたことある?

いいねえ、飢えた記憶を思い出せばまだ食えそうだな
雨に濡れた時にはスープとかも染みたろ(UC)
リリリリちゃんも折角だから何か食べていきなー
ついでにあいつに「先輩の勧めるものが食えないのか」的な感じで捻じ込んでやってくれよ

おわ……
これがどかぐいきぜつ?

セーブ地点から帰ってきたか
お疲れー
さあ強化はセーブできてたか試す時間だぜ(『斬撃波』)




 出来たてのフィッシュアンドチップスと、上品な味わいの和菓子で空腹を満たしたグラース・アムレット(ルーイヒ・ファルベ・f30082)と、青梅・仁(鎮魂の龍・f31913)。二人が勇者リリリリを追って辿り着いたリストランテ・ハロウィーンの深部には、中世の冒険者酒場のようなエリアが広がっていた。よくファンタジー作品で主人公が仲間を募集したりする、あの場所である。
 そこはどんよりと昏く澱んだ負のオーラに包まれていて、その酒場の中では勇者リリリリと、オブリビオン『鬼畜勇者』が激しい戦闘を繰り広げていた。
「死にやがれっ!」
 ――ギィン!甲高い剣戟が、辺りに響き渡る。
「なんの。効きませんね!」
 鬼畜勇者もかなりのデビルパワーを獲得したのか、勇者リリリリと互角の戦いを演じている。その面構えは勇者というより、盗賊の親分や邪教の教祖……といった印象だ。
「……わぁ……凄くワル、極悪人ですね」
「え、あれが勇者なの?見えねえ……」
 鬼畜勇者の外見に軽く引きながら、二人は勇者リリリリへの助太刀を決意した。これで猟兵と勇者リリリリの共闘成立だ。
「協力、ありがとう!」
 強力なデビルパワーをチャージした二人の猟兵が加わり、戦いの均衡が崩れる。即席だが、息の合ったコンビネーション。グラースの援護射撃に合わせる形で、リリリリと仁が立て続けに鋭い斬撃を浴びせた。
「グワーーッ!」
 大ダメージを受けた鬼畜勇者がその場に倒れ伏す。その身体が点滅しながら次第に薄くなると、やがてその場から完全に消滅した。
「……やったか? いや、呆気なさ過ぎる……」
「ハーッハッハァ! 完全! 復活!」
 なんと酒場の扉を勢いよく蹴り開け、倒れた筈の鬼畜勇者が直ぐに戻ってきたではないか。これこそが彼のユーベルコード【クイックセーブ】。戦闘不能になっても、すぐに直前でセーブした地点に戻って戦闘を継続できる能力である。
「倒れてもまた復活すんのか! 厄介だな」
「実質、こちらの攻撃の無効化ですね。どうしましょうか」
 リリリリが守りを固めて時間を稼いでる間に、グラースと仁は作戦を相談することにした。
「沢山食ったんならパワーは集まっているだろう。だがその補充分、セーブはできてるかは怪しいよな」
「ですね、さすがに食事中はセーブされていませんでしょうから――」
「そういえば最近どかぐいきぜつ? とかいうのが流行ってるらしいけどグラースちゃん聞いたことある?」
「うーん、どっかで聞いたことがあるような気がしますね。いっぺんに大量の食事を摂ることで血糖値が上がりすぎて、大変なことになっちゃう……とか」
 そこで二人はアイデアを閃いた。鬼畜勇者をある方法で意図的に気絶させることで、力を削げないか……そしてそれを実現可能なユーベルコードが、グラースにはある。
「――あなたのお気に入りの色はどれ?」
 グラースのペイントブキから発生した光の魔法陣が、鬼畜勇者の身体を通過する。その瞬間、彼の過去の記憶が甦った――。

 その勇者は、元々山奥の農村出身の平凡な若者であった。教会で神の啓示を受け、勇者として国の期待を一身に受けて祖国を旅立ったのだ。
『気をつけていってらっしゃい、私のかわいい■■や……』
『必ず魔王を討ち果たしてくるのだぞ、行け勇者■■よ!』
 しかし彼は立ち寄った街で財布をスられ、旅の資金を失ってしまった。犯人を見つけられず、追い詰められてカジノで一発逆転を図ったがそれも徒労に終わり、膨大な借金まで作ってしまった。
 一日の食事にも困った彼はプライドを失い、遂には強盗に手を染め、最後は獄中で寂しく生涯を終えたのだ。
「うぅ、腹が減って死にそうだ……」
『そんなあなたに朗報! 今なら何と! 食べ放題ですよ!あるうちに食べてください』
 テーブルの上には、沢山の料理。牛ステーキに鶏の丸焼き、チーズにワインもある。空腹に耐えかねた鬼畜勇者が、その声に抗えるはずもなかった。
「い……いただきます!!」
 腹を空かせた鬼畜勇者としては、もはや戦いどころではない。傍から見れば催眠にかかった彼は滑稽に見えるだろうが、彼はテーブルに用意されたご馳走を夢中で味わっている最中なのだ。
「ハグッ! ハグッ! ガツガツ……」
「ふむ……雨に濡れた時にはスープとかも染みたろ」
 竜神たる仁がその力を解き放ち、戦場に怨嗟を含んだ冷たい雨を降らせる。シトシトと降り注ぐ雨は鬼畜勇者の体を濡らし、体から体温を奪っていく。
「お腹が空いているのでしたら、わたしからも施しを授けましょう。このパンを食べるといいでしょう。結構イケますよ」
 先輩からの施しだといわんばかりに、勇者リリリリが鬼畜勇者にカレーパンを分け与えた。
「ハァ……ハァ……ここはどこだ……?」
 そして、鬼畜勇者にとって二度目の気絶。【クイックセーブ】が自動的に発動して、彼は再び酒場の入り口から現れたが、先程とは様子が違っていた。
 まるで行き場を失くした流離人のように、覇気の抜けた様子で入り口に突っ立っているではないか。
「お? セーブ地点から帰ってきたか、お疲れー」
「(あれ……? オレはこんなところで何をしてるんだっけ……)」
 混濁する意識の中、鬼畜勇者が見たのは猟兵と勇者リリリリたちが攻撃を仕掛けてくる瞬間だった。グラースの放った弾丸が胸を貫き、仁の一刀がその身を切り裂く。
「(ああ、こりゃ多分夢だ。で、夢から覚めたらいつもの寝床で、台所でオフクロが朝飯のスープを炊いてて……)」
「――ガウッ!」
 大きく飛びあがった狛犬のゆきちゃんが鬼畜勇者の頭にパンチを叩き込むと、装着していたサークレットが粉々に砕け散った。そしてそれが、この戦いに幕を引く致命的ダメージとなった。
「(家に帰りてえなぁ)」
 限界を迎えた鬼畜勇者の体が、点滅を繰り返しながら消えていく。彼の冒険はここで本当に終わるのか? 旅の記憶メモリーは引き継がれるのか? それは誰にもわからない。ただひとつ断言できるのは、猟兵らの活躍によってデビルキングワールドが安全で楽しいハロウィンを迎えられる、ということだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年10月30日


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#デビルキングワールド
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#ハロウィン
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#勇者リリリリ
#10/29(火)20時ごろ〆ます


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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠鐘射寺・大殺です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト