|勇者リリリリ《5thKING》とハロウィンの饗宴
●君こそ|勇者《5thDEVILKING》
|良い子すぎる悪魔の世界《デビルキングワールド》某所で、爆音が轟いた。
「なんでアイツが今頃!?」
「死んだハズじゃないか?!」
「|1stKING《ガチデビル》だって蘇ってたから、ありえなくはない……けど」
轟音を聞きながら慌てふためく悪魔達。
そう、アレは死んだ筈だった。だから代替わりした筈なのだ。なのに。
「なんか気を失って気がついたらガチデビルに乗っ取られてました」
ずしん。
ソレがそう言いながら近づく足音が、悪魔達にはそのくらいの重さをもって聞こえた。
「なので、私はガチデビルとは違ってオブリビオンではありません」
その言葉と共に、再び轟音。
慌てふためく悪魔達が、為す術もなく彼方へと放物線を描いて飛んでいく。
そうして残されたソレは、放物線が彼方へ途絶えた事を確認すると、一つ伸びをする。
「ひさしぶりに勇者するのはよいですね」
少女の姿をしたソレの名は、勇者リリリリ。1stKING『ガチデビル』に乗っ取られた後、アスリートアースに転移し新生フィールド・オブ・ナインと成っていた、かつての5thKINGである。
ガチデビルから解放され、なおかつ|同僚?《キャンピーくん》により久しぶりに故郷へと帰還を果たした彼女は、久しぶりに“勇者”として(あくまで本人にとって)楽しく活動を始めたのだった。
「おや、あちらにまた見た事のないものが」
久しぶりに戻ってきた故郷なので、色々見慣れない悪魔やラスボス、それにダンジョンまでてんこ盛りでご機嫌の彼女がまた見慣れない|ダンジョン《もの》を発見する。
「腕がなるなあぶんぶん」
そこにダンジョンがあるならば、無視する訳にもいかない。意気揚々と勇者リリリリはそちらへと向かうのだった。
●それ往け|迷宮《ダンジョン》の果て
「たいへんなのでつ」
猟兵たちをちんまりと出迎えたのは、楪葉・楓梨(|夢見る仔羊《ふあふあのふぅ》・f42181)だった。
「さくらの世界のぴんちはどうにかなったでつが、こんどはみんなのハロウィン|パーティー《ぱーちー》が、ぴんちなのでつ」
|楓梨《ふぅ》曰く。
帝都櫻大戰の第二戦線、キャンピーくんによって異なる世界へと渡った支援者達。その中に、アスリートアースから支援に向かった新生フィールド・オブ・ナインの一人、勇者リリリリがいた。その行先は彼女の故郷である|良い子すぎる悪魔の世界《デビルキングワールド》。その為、結果的に故郷への帰還を果たした彼女は、“勇者”として各地の悪魔やラスボスを手合わせもといシバいて回っているという状態なのだという。
「そんな勇者さんが、リストランテ・ハロウィーンという|迷宮《ダンジョン》を見つけたのでつ」
リストランテ・ハロウィーン。
その昔、勇者リリリリより遡ること三代前のデビルキング、2ndKING『魔王ビストログルメ』により建設された|迷宮《ダンジョン》である。古今東西どんな料理でも作ってみせたという魔王ビストログルメ。地上100階地下100階にも及ぶという超巨大|迷宮《ダンジョン》は、そんな|創造者《ビストログルメ》故か、「ちゃんと盛りつけされたおいしいありとあらゆる料理」が無限に現れる|迷宮《ダンジョン》となっているそうだ。
「リストランテって、高級レストランって意味らしいでつ。けど、食べたいでつって思うと、なんでも出てくるみたいでつね」
|2ndKING《おうさま》ってすごいでつね、などと言いながら、|楓梨《ふぅ》の説明は続く。
この|迷宮《ダンジョン》で現れる料理には、膨大なデビルパワーが秘められており、|かつての戦争《7thKING WAR》で敗れたオブリビオン達が雪辱を果たす日の為に食べて食べて食べまくっているのだという。そして、この|迷宮《ダンジョン》……というか、|迷宮《ダンジョン》でグルメを貪るオブリビオン達はこの度勇者リリリリの|“討伐”《シバき》対象となったのだった。
勇者が|わるもの《オブリビオン》を見逃す訳はない。そして、|7thKING《猟兵》としても、|わるもの《オブリビオン》を見逃せない。
「今の王様は猟兵でつ。|オブリビオン《わるもの》をほっとけないでつよね?」
とはいえ、リストランテ・ハロウィーンで食べに食べたオブリビオンは、その分デビルパワーも溜めに溜めている状態だ。一筋縄ではいかない筈だ。
そう指摘した猟兵に、|楓梨《ふぅ》はよくぞきいてくれましたでつ!と言わんばかりの|得意《ドヤ》顔で、周囲を舞う金の星を足場にして跳ねる。
「こっちもお相伴に預かっちゃうのでつよ!」
ビストログルメの料理の力が、猟兵にも作用するというのは|かつての戦争《7thKING WAR》で既に明らかになっている。そのビストログルメ由来の|迷宮《ダンジョン》の産物なのだから、猟兵だってその恩恵に預かれる……というわけだ。
その時、|楓梨《ふぅ》の周りに舞う|金の星のひとつ《グリモア》が、ちりんと軽やかな音を鳴らした。
「さあて、そろそろ時間みたいでつ。
ふぅは一緒に行けないので、おみやげ話楽しみにしてるでつね」
そう|楓梨《ふぅ》が言う間にも、|金の星《グリモア》は猟兵たちの周囲をくるくると周り、光の粉を降らしながらデビルキングワールドのリストランテ・ハロウィーンへと道を繋げる。
「じゃあ、いってらっしゃいでつ!」
白神 みや
初めましてのかたは初めまして。お久しぶりの方はご無沙汰しております。
そして、そうでない方はお世話になっております。|白神《しらかみ》です。
ハロウィン! ハロウィン!
……ということで、ハロウィンシナリオです。
🏠第1章
お食事軽食お菓子なんでもござれ。
高級料理からジャンク料理まで、食べたいと思ったものは何でも出てくるふしぎな|迷宮《ダンジョン》、リストランテ・ハロウィーン。食べたら強化バフがついてくる。出てきたものをそれらしく食べるとバフ効率が高いそうですよ?
👿第2章
リストランテ・ハロウィーンで食べに食べてるオブリビオン達の統率者的なオブリビオンです。こちらの詳細は断章にて。
●お願い
MSページはお手数ですが必ずご一読ください。
プレイング受付は、タグにて告知いたします。
通常オバロ共に指定日時より前のプレイングはお返しすることとなりますので、ご了承ください。
基本的には、期間中にいただいたプレイングで進行予定ですが、状況等によっては追加を受付る可能性もあります。
諸々はタグに状況を記載しますので、ご確認の程宜しくお願いします。
なお、あらかじめお知らせしておくと、今回は体調とか考えると31日朝までの完結はちょっと厳しい気がしてます。
第1章 日常
『リストランテ・ハロウィーン!』
|
POW : ボリュームのある料理を豪快に食べる
SPD : 気軽な軽食をライトに食べる
WIZ : 洗練されたマナーで高級料理を食べる
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●デビルパワーの味とは如何に
リストランテ・ハロウィーンの中は、謎の活気に満ちていた。
「餃子……餃子を食わせろー!」
「アフタヌーンティーを頂戴」
オブリビオン達が様々な食にありついている。ある者は食べたい献立を高らかに所望し、またある者は無言のまま恐らく心に食べたいもの思い描いて。そうして出て来た料理を食べる彼等は、猟兵達が顕れた事にも気付いていない。
ふと見渡すと、壁に何やら額装された文章がある。
供された食事に相応しい食べ方をする者に、ビストログルメは微笑む。
誰かの走り書きのようなものではなく、標語のようにも見えるそれは、この|迷宮《ダンジョン》に置ける|法則《ルール》のようなものだろうか。
見て見れば、ジャンクフードや骨付き肉に豪快に食らいつく者が居たり、優雅なティータイムといった雰囲気で食す者が居たりと、確かに「供された食事に相応しい食べ方」をしている者が多く見受けられる。
猟兵達は其々に場所を定めると、何を食すか考え始める。
――さて、何を食べようか。
兵藤・影虎
悪魔の世界にダンジョン。まるでゲームの世界だ
そんなところにも復活ダークネス…じゃなかった
オブリビオンはいるってわけか
俺が役立てるかわからないけど
一応、行くよ
で、とりあえず食事にすればいいんだよね
何でも出てくるって言われると逆に困るけど
そうだな。本当に何でもいいんなら…
ハンバーガー
パテもチーズもダブルになってるやつ
フライドポテトとチキンナゲットも付けて
飲み物はコーラ
凝った感じのじゃなくて
普通にファーストフード店で食べられるような
ジャンクなやつ、お願い
親が結構厳しいから
外じゃないと食べる機会無いんだよね、こういうの
作法とか、細かいことは気にしない
思い切り齧り付く
ジャンクフードってそういうものでしょ
●
(そんなところにも復活ダークネス……じゃなかった。オブリビオンはいるってわけか)
兵藤・影虎(Trumpeter・f44673)にとって、初めて猟兵として対処する事になったのが今回の件だ。いい子過ぎて意識して悪い事をする、そこはかとなくコミカルな悪魔達。そして、|迷宮《ダンジョン》。未だ猟兵に目覚めたばかりの身で、どこまで役に立てるだろうかとほんの少し緊張していた影虎だったが、まるでゲームの世界のような光景に幾らか緊張が緩む。
(何でも出てくるって言われると逆に困るけど)
とりあえず食事をすればいいという事なので、適当な場所に落ち着いてはみたものの。料理はこちらの意のままと言われてしまうと、何を選べばいいか困ってしまう。周りを見回してみれば、オブリビオンと思われる多種多様な者達が、其々に見知ったものからよく判らないものをひたすら食べている。
(そうだな。本当に何でもいいんなら……)
「――ハンバーガー」
ぽそりと口から零れたのは、日頃あまり食べる機会の少ないファストフードだった。
少しの間を置いて出てきたのは、影虎が呟いた時に想像したそのままの、ハンバーガーのセット。トレイの上に載っているのは、大小の紙箱に、密封されてると思われる小さな箱と、蓋をされた紙コップ。そして蓋の代わりに紙ナプキンで包まれた隙間から零れ落ちる程フライドポテトが詰め込まれた紙ケース。まごう事無きファストフード店で供されるそれの様相。
(本当に出て来た……)
大きい方の蓋を開けて取り出してみれば、想像した通りのチーズとパティが交互に重なったハンバーガーが現れる。間に挟まっている筈の刻んだ玉ねぎが箱の中にほんの少し散らばっているのは影虎のイメージをそのまま読み取った故なのか。そのまま思い切り齧り付けば、チーズの濃厚さとパティの歯ごたえ、ケチャップの酸味と玉ねぎの触感が絶妙な塩梅で口の中に広がった。一口二口齧った後、もう一つの紙箱を開け、ナゲットにソースをつけて一口に放り込む。
(こういう、細かい事は気にしないで食べられるものもいいよな)
全て食べ尽くした後、指に付いたソースをぺろりと舐めながら、影虎は満足そうに笑みを浮かべた。
大成功
🔵🔵🔵
凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と
「なんだかリリリリだと帰還も納得するな」
偶然ではあるんだろうが
何でかあの勇者だと納得できるのも面白い
「まぁ、とにかく手伝いからだ」
しかし中は本当に凄い
フルコースの凝ったご馳走もあるし
骨肉にかぶり付くような豪快な店もある
だけど今回はやっぱり
ジャンクなハンバーガーとジュースと揚物
「あぁ、勿論いいぞ。俺もこの気分だ」
「パティ三枚にレタスとトマト。ピクルスはたっぷりで」
付け合わせはナゲットと炭酸だ
受け取ったら熱々のナゲットを楽しんでから
ハンバーガーにかぶり付こう
「時人、俺にもポテト分けてくれ」
こういうメニューはシェアもいいよな
俺のナゲットも渡しながら
ジャンクフードを楽しむよ
葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と
「リリリリ結果的に帰れてるのなんか面白いね」
キャンピー君が彼女の都合で動いてくれる訳ないから
偶然なんだろうけど
「勇者のお手伝いてのも良いねー」
実際駄目なものは駄目だし頑張ろって明るい顔で向かうよ
ご馳走だ!
っても俺、今日はジャンク系の気分なんだよね
いい?って聞くと陸井もそっちって
やったー!さあ食うよ!
「パティ3枚、チーズマシマシの大バーガーセットお願い!」
勿論ポテトと炭酸も!
きたきた!油ギッシュだけどそれがいい!
「いっただっきまーす!」
これでもかって大きく口あけてバクッ!
サイドメニューが違う陸井とお互いシェアもして
ワイワイガヤガヤの中で今はガッツリジャンクを楽しもう!
●
「リリリリ、結果的に帰れてるのなんか面白いね」
「なんだかリリリリだと帰還も納得するな」
そう言い交しながら|迷宮《ダンジョン》に現れたのは、凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)と葛城・時人(光望護花・f35294)の二人。援護者とその|支援先《行き先》を選んだのがキャンピーくんなのか山本親分なのか、はたまた別の誰かなのは判らない。しかし、彼女の故郷が選ばれているのは偶然にしても面白いなと、互いに思う。
「まぁ、とにかく手伝いからだ」
「そうだね。勇者のお手伝いてのも良いねー」
勇者の手伝い――リストランテ・ハロウィーンに鎮座するオブリビオンたちを追い払うのが今回の目的だ。その準備の為に、陸井と時人も、|迷宮《ダンジョン》の中へと進む。
「ご馳走だ!」
「本当に凄いな」
あちこちでオブリビオン達が多種多様な料理にありつく様子には圧倒される。優雅に凝ったフルコースを食べている者がいるかと思えば、漫画で見るような骨付き肉に齧り付いてる者が居るし、名状し難い――|銀の雨降る世界《シルバーレイン》の感覚ではとうてい食べ物とは言い難い――何かを食べている者も居る。
「俺、今日はジャンク系の気分なんだよね。陸井、いい?」
「あぁ、勿論いいぞ。俺もこの気分だ」
時人がそろりと陸井に問うてみれば、今の食のフィーリングは一緒だったようだ。時人は思わず満面の笑顔で両手を上げる。
「やったー! さあ食うよ!
パティ三枚、チーズマシマシの大バーガーセットお願い! 勿論ポテトと炭酸も!」
場所を定めた時人は、実店舗で注文をするように淀みなく希望を口にする。陸井はその様子に微笑みながら、時人と向かい合わせの位置に場所を定めて、やはり淀みなく。
「パティ三枚にレタスとトマト。ピクルスはたっぷりで。付け合わせはナゲットと炭酸だ」
陸井がそう言った一拍後。二人の目の前には、注文通りの品が。二人の生活圏にもちらほら見かけるようになった、ファストフード店のそれよりちょっとおしゃれな店で出されるようなそれが現れる。
耐油紙に包まれたハンバーガー。一緒に希望した付け合わせは、ナゲットはバーベキューソースとマスタードが、ポテトはケチャップが入った器と一緒に、小さな籐籠の中に。それらがトレイに乗せられていた。
「きたきた!」
現れた料理に目を輝かせてはしゃぐ時人は、早速ハンバーガーに手を伸ばす。包装された紙を半分ほど開けてみれば、分厚いパティが目を引くハンバーガーが姿を見せる。パティの間からはみ出す二色のスライスチーズと、パティ由来と思われる重みが“ガッツリ具合”を伝えてくる。この具合は、ふさわしい食べ方を等と言われなくても、そのようにしたくなるというものだ。
「いっただっきまーす!」
時人が可能な限り口を開けて豪快に頬張ると、パティの歯ごたえと共に凝縮された肉の旨味と濃厚なチーズの味が口の中に広がる。
「……。なにこれ、すっごい」
「確かにこれは……」
まずはナゲットを口にしていた陸井も驚きと納得の声をこぼす。熱々のナゲットは齧ってみれば、鶏肉のジューシーさと衣のサクサクとした感触が絶妙な塩梅。時人の言葉に包みを開けてみれば、こぼれそうなレタスと分厚く切ったトマトがパティと同じくらい存在を主張するハンバーガーが顔を出した。
いかにジャンクフードとは言えども食べながらしゃべるのは行儀が悪いので飲み込んで。
「もっと油ギッシュなのが出てくると思ったけど、これもいいよね!」
「いや、これも十分と思うぞ」
なにしろナゲットもポテトもいわゆるファストフード店のそれの倍近く。食べきれば十分に“油ギッシュ”な量だ。
「シェアしやすくていいじゃん」
「なら早速、俺にもポテト分けてくれ」
それぞれの籐籠を真ん中に置いて、ポテトとナゲットを分け合う。
ファストフードというよりフードコートのような様相の喧騒をも、料理のスパイスにして二人はハンバーガーを堪能するのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
栢沼・さとる
美味しいご飯の時間と聞きまして!
エッ本当に何でも出てくるんですか…?
じゃあ、以前一度だけ大奮発して食べた
回らないお寿司屋さんを再現することも可能で…?
リストランテの一角がこぢんまりとした木製のカウンターに変化し
身なりを整えた私はそれに一礼してちょーんと着席します
ああ、思い出す…この程良い緊張感はまさに高級寿司の気配…
アッ出てきました!一貫ずつ丁寧にご提供される!
醤油も自分でつけるのではなく、ネタに薄く刷毛で塗られて…
イカの柔らかさが尋常でない!マグロは言うまでもなく溶ける!
ゆっくりしっかり味わって、合計12貫、しっかり堪能し終えたら
礼儀作法の限りを尽くしてカウンターへ深々とお辞儀をしますね
●
「美味しいご飯の時間と聞きまして!」
そう言って意気揚々とやってきたのは、栢沼・さとる(流星の馭者・f35303)。望む料理は何でも出てくる|迷宮《ダンジョン》と聞いて、普段の恰好より整えた身なりをしたさとるは周囲を見回す。そうして、賑やかな一角から少しばかり離れた、静かに落ち着いた|ダンジョン《リストランテ》の一角に場所を定める。定めたとたん、既に何を食べるか決めていたさとるの意思に呼応してか、木製のカウンターが現れた。
(ああ、そうです。こんな感じ……!)
逸る気持ちを落ち着けて一礼をしてカウンターに座る。“供された食事に相応しい食べ方”をしなければないらない。であれば、さとるが食べたいものに相応しい食べ方はもう始まっている。さとるがこの|迷宮《ダンジョン》で食べたいのは、以前一度だけ大奮発して食べた|回らないお寿司屋さん《高級寿司店》で食べたお寿司。その再現なのだ。
程よい緊張感に包まれながらしばし待つと、さとるの前には木製の寿司下駄が現れた。一拍待って、その上に黒い竹炭塩が少量乗せられたイカの寿司が現れた。
(一貫ずつ丁寧にご提供される……まさに高級寿司!)
取り皿に乗せて見て見れば、シャリは赤酢でうっすら色がつがついておりそれが一段と高級さを感じさせる。寿司に醤油は必須なのだと思っていたが、白いイカに乗せられた黒い竹炭塩とのコントラストが目にも楽しませる。そして、竹炭塩が乗せられているという事は、そのまま食べた方が良いのだろう。
(……! 柔らかさが尋常じゃない!!)
記憶を上回る美味の余韻が落ち着いた頃に、次の寿司が供される。マグロは赤身だけでなく、脂がのった中トロと大トロも。ブリにサンマ、穴子に鰻。海老は生のものと火を通したもの。とりどりのネタが順番に現れ、さとるの目と舌を楽しませる。
「――ごちそうさまでした」
そうしてじっくりゆっくり味わった十二貫。手を合わせて丁寧にそう言うさとるの表情は、清々しい笑顔だった。
大成功
🔵🔵🔵
東・よるは
……お腹が。
空いた。
リストランテと聞きました、
急にお腹が鳴りました、
それでここにやってきた。
……成る程。
相応しい食べ方に夢中な過去の骸たちが気付いてもいないのが幸運ですね。
さて、まず席に着かねば。
無限に料理が出てくるとは不思議なものですが、
おや。
豪勢なものですね。
最高級品質のレアステーキ…?をはじめとして、様々な高級の肉料理だったり、副菜だったり……高級も高級のフルコース、ですか。
ナイフにフォークまである……これは、丁寧に行儀良く、相応しく食べろと、いうことでしょうか。
ならば言葉通りそうしましょうか。丁寧に食べ進めることで一つ一つの料理を堪能します。日々36世界を駆け回っているのです、テーブルマナーもしっかり知っています。
…‥美味しい。幸せでお腹が膨れるとはこのことでしょうかね。仕事をしているとよくお腹が空くものだから、今日みたいな事件と言いますのは……とてもありがたいことだ。
しれっと高級な白ワインにデザート……ケーキまでありますね。
これも丁寧にしっかりと食べて……
ごちそうさまでした。
●
東・よるは(風なるよるは・f36266)は、リストランテ・ハロウィーンの話を耳にしたその瞬間から空腹を覚えていた。望んだ美味しい料理が食べ放題の|ダンジョン《リストランテ》。そこならこの空腹も満たされそうだと思い、やってきたのだ。
とはいえ、オブリビオンの巣窟となっているという|迷宮《ダンジョン》。猟兵(と、勇者)が足を踏み入れれば一波乱ありそうなものだと、警戒は怠らずにダンジョンの中へと足を踏み入れ歩くことしばし。予想外の喧騒に足を止めた。
(……成る程。相応しい食べ方に夢中な過去の骸たちが気付いてもいないのが幸運ですね)
食事の前や最中に戦闘が発生することは無いならばと、適当な場所に座ると 無骨な机と椅子がふわりと光をまとい、クロスのかかったテーブルとチェアに姿を変える。
(おや。無限に料理が出てくるだけでも不思議だというのに、ちゃんとテーブルまでそれらしくなるのは意外でした)
よるはが|迷宮《ダンジョン》の法則に関心しているうちに、テーブルの上にはカトラリーが現れる。
転送前に聞いた“リストランテとは高級レストランの事らしい”という情報と、よるは自身の”お腹が空いたからたくさん食べたい”という欲求。それらがあわさった結果、この|ダンジョン《リストランテ》はよるはにコース料理を振舞うという事になったようだ。流石に人が現れてサーヴするわけではないようだが、丁寧に行儀よく食べなければ、効率よく力を得られないようだ。
(ならば言葉通りそうしましょうか)
お腹はすいているのは事実だし、そういう事ならばと、よるはは意を決する。そんなよるはの心持ちを察知したのか、その眼の前には薔薇の花のようにあしらわれたサーモンが中央に据えられ、野菜が周囲に散らされたサラダ仕立ての前菜。
野菜とサーモンの歯ごたえを楽しみながら前菜を食べ終われば、食器は霧が散るように消える。しばしの間をおいてほんのりと湯気が浮かぶスープが現れる。色あいからすると南瓜のポタージュだろうか。口にすると、南瓜由来のオレンジが暖かく鮮やかで、口に入れたと同時に優しい風味がふわりと広がった。
次いで現れるのは、魚のムースと野菜と海老のフリット。ムースは口の中でほろほろと柔らかく、一緒に現れた白ワインとも相性が良い。フリットも、さっくりとした歯ごたえで、ムースとのバランスが考えられている。その次に現れたのは、バルサミコソースがかけられた鴨肉。ソースが描く模様が目にも楽しく、ソースはバルサミコの酸味と甘味――無花果だろうか――が、鴨肉の旨味を引き立てる。
食べきった所で小さな器に乗せられた白いソルベが現れる。口にしてみれば、柚の風味がふわりと広がった。
(……これ、高級も高級のフルコース、ですね)
ソルベを食べならがよるはは此処までの食材の味や口当たり等々を思い返す。渡る事が出来る世界を可能な限り渡り、様々なものを口にしてきたよるはの感覚が、これは相当に良い食材が使われていると告げる。確かに“美味しい”料理を供されるとは聞いていたが、食でこの世界の王に上り詰めた魔王の力はここまでとは。
そんな風に感心しながらソルベを食べ、人心地ついたよるはの眼の前には、メインディッシュ。部位は咄嗟に判断できないが、厚めに切られた牛肉は上品にソースを纏って。添えられているのは、焼かれたジャガイモの輪切りとトマト。ソースはシャンピニオンが使われており、他にも様々な素材が使われている事が香りからも察する事ができる。一口サイズに切り分けてみれば、焼き加減はレア。ソースを絡め口にすれば、火が通った表面の香ばしさと、内側の赤身の弾力が口の中で競演する。
小さなカップの珈琲と共に供されたデザートは、バニラアイスの添えられた梨のタルト。梨の甘さと香ばしく焼き上げられたパイ生地のタルトに、濃厚なバニラアイスが秋らしい風味を楽しませる。
(幸せでお腹が膨れるとはこのことでしょうかね)
最後に珈琲を口にしながら、よるはは思う。世界を渡って様々な事件対峙していると何かと空腹を覚えがちのよるはとしては、こういう状況はとてもありがたく、そして、ちょっと嬉しくなってしまう。
全てを丁寧に味わって。そして――。
「ごちそうさまでした」
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『悪戯の魔女『マリス』』
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POW : アンタ達少しはマリスの役に立ちなさいよ!
【普段】から【マリスの取り巻きをしている大勢の悪魔達】を放ち、【人海戦術】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD : さあ、マリスの悪戯魔法を喰らいなさい!!
【POWのユーベルコードを放って】から、戦場全体に「敵味方を識別する【催涙魔法ガス】」を放ち、ダメージと【絶え間ない涙とくしゃみと鼻水】の状態異常を与える。
WIZ : 最大の恐怖の前に跪きなさい!!!
【SPDのユーベルコード発動】を合図に、予め仕掛けておいた複数の【魔法の檻】で囲まれた内部に【敵対者が一番怖いと思うもの】を落とし、極大ダメージを与える。
イラスト:みたらし
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「アヴァロマリア・イーシュヴァリエ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●饗宴は此処に極まる?
各々供された料理を堪能した猟兵達は、|迷宮《ダンジョン》のさらに奥へと進むうち、奥の方がやや騒がしい事に気付く。
進むうちにはっきりと聞こえてきたのは、やや甲高い少女の声。更に進むと小さな金の髪の少女と、見覚えのある黒赤の少女の姿があった。
「なんで生きてんのよ!」
「もともと死んでないですからね、もぐもぐ」
甲高い声は、白いエプロンと、フリルのついた青いワンピースにを纏った金の髪の少女の方。それを受ける赤黒の少女――勇者リリリリは肉まんと思われるものを食しながら、まくしたてる少女を言葉を受け流している。
「おや。猟兵さんじゃないですか〜」
「は?! なんでアンタ達がこんなとこに来てんのよ?!」
そんな中に姿を現した猟兵達に二人が気づき、同時に声を上げた。
「ま、まあいいわ。ココで会ったが何年目よ! |勇者リリリリ《5thKING》と|猟兵《7thKING》を倒せば、この悪戯の魔女『マリス』が王様よね!」
少女――どうやらマリスというらしい――は、手にしていた長杖のような鍵のような得物を、猟兵達と勇者リリリリに向けて構える。
「ん〜。あの子、随分ココで力を溜めてますね。もぐもぐ」
肉まんを食べながらリリリリが言う。マイペースに見えて、状況はきちんと判断しているらしいのは、流石勇者というべきか。
かつての戦争からずっとこの|迷宮《ダンジョン》で食に明け暮れていたのだから、ため込んでいるデビルパワーは相当なのだろう。
「ま〜……ごくん。|KING《われわれ》がタッグを組めば大丈夫でしょ〜」
そう言いながら最後の一口を飲み込んだリリリリは、猟兵達に視線を向けた。
こうして、ハロウィンの饗宴はひとつの局面を迎えようとしているのだった。
栢沼・さとる
いけません、いけませんよ!
至高の寿司を堪能した今の私は無敵も同然ッ!
リリリリさんとご一緒に、事件解決を目指します!
と、意気込んだは良いものの
魔法の檻が仕込んであったですと!?
私が一番怖いと思うもの……そんなのセミに決まってるじゃないですかヤダー!
り、リリリリさんセミ大丈夫ですかちょっとつまみ出してもろていいですか
セミさえいなければ私無敵ですから【ライトニングストーム】で
ビリビリっとね、黙らせてやりますからね!
マリスさんとやらがどんなに取り巻きの悪魔に囲まれていようとも
全員巻き込んでやりますとも!
いや、本当にセミだけはダメなんですよ
不倶戴天の敵なんですよ
危うく生命の危機に陥るところでしたね……?
●
「いけません、いけませんよ!」
真っ先に動いたのは栢沼・さとる(流星の馭者・f35303)。KINGを倒して下剋上とは聞き捨てならない。
(至高の寿司を堪能した今の私は無敵も同然ッ!)
それに、美味しいものを食べた後なのだ。それに強化する力が有っても無くても、それだけでテンションもあがるというものだ。
「さあ、リリリリさん。参りましょう!」
「えっ。あ、わかりました~」
リリリリがさとるの勢いに押されるように頷いたところで、マリスが痺れを切らすように声をあげる。
「アンタ達、マリスを無視するつもり!? それなら無視出来なくしてやるから!」
マリスがそう言いながら振りかぶった鍵型杖を振り下ろすと、さとるの周囲に檻が現れる。見渡せば、いつのまにかオブリビオンがそこかしこから顔をのぞかせていた。
(檻が仕込んであったですと!?)
「あ、それ魔法の檻ですね~。怖いと思ったものが出てくるやつです~」
「え、そんな。ということは……ヤダー!!」
のんびりと説明をしてくれるリリリリの言葉に重なるようにさとるの悲鳴が重なる。
さとるが怖いと思うもの。それは、夏の最中に沢山みる、あの、セミであった。檻のあちこちにご丁寧に複数のセミが現れて出でたのである。
「り、リリリリさんセミ大丈夫ですかちょっとつまみ出してもろていいですかセミさえいなければ私無敵ですから!!」
「ん~じゃあ、そ~れっ」
「えっ」
ノンブレスで訴えたさとるの言葉に応じたリリリリが剣を一振りした途端、檻が派手な音をたてて壊れた。あまりにもあっさりと壊れてしまった事に、思わずマリスが呆然と声を漏らす。
「さあ! ビリビリっとね、黙らせてやりますからね!」
|不倶戴天の敵《セミ》が居なくなった事で勢いを取り戻したさとるが愛用の七支刀を振りかぶる。紫水晶の刀身に刻まれた銘の青緑色の光が一際強く輝いて、雷を放つ。それは、マリスだけでなく周囲に潜む取り巻き達をも巻き込んで縦横無尽に走り、強かに打ち据えたのだった。
「大丈夫でしたか~?」
「いや、本当にセミだけはダメなんですよ。危うく生命の危機に陥るところでしたね……?」
リリリリにそう返したさとるの表情はどこか清々しかった。
大成功
🔵🔵🔵
凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と
確かにかなりの力は溜めたらしい
だけど同じく力を得た猟兵と
勇者の猛攻に耐えられるかな
「まずは、俺に任せてくれ」
二人に声を掛け、空中に指を走らせ
重鎖と縛鎖の二文字を書き上げる
「最初から最後まで、俺達のターンだ」
ぽとりと雫の様に地面に落ち
爆発的に分裂して広がっていく文字が
取り巻きの悪魔達とマリスを縛り上げる
「取り巻きは消せなくても、これで魔法は使えないだろ」
勿論縛り上げた後も気は抜かない
魔法は使えなくともため込んだ力で何かするなら
ちょいと足を引っ張ってあげよう
「言ったろ、俺達のターンだってな」
その状態なら勇者もだが相棒の高速戦闘にも
「対処不能だろ?ぶっ飛ばしてやれ、相棒」
葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と
小さい少女だからって油断はできない
此処に籠って喰らい続けて得た力は本物
しかも俺の一番得意は不利
どうしたものかと頭の中で自分のUCを経めぐらせてたら
陸井がすっと手を横に伸ばし俺達を制する動きをした
「!ああわかった、相棒!任せた!」
俺の言葉を背に陸井が征く
今はまず技能の凡てと蟲の護りとを全力で用い
自分とリリリリを敵どもの攻撃から守護
相棒がしてのけたら俺達の出番だ
ククルカンウィングを詠唱し
「わかった!よし、取り巻きは任せろ!」
超速で大鎌を振り回し
大量の取り巻きをなで斬っていく
結局はマリス頼みの烏合の衆
俺が狩り尽くし本体に肉薄する頃には
三人の刃が揃う!
「此処までだ!散れ!」
●
「いい反応だったのに、えっらい目にあったわ!」
「天敵、出しちゃいましたからね~」
肩で息をするマリスに対し、リリリリがのんびりと返すという、戦いの場らしくないどこか和やかな光景。それを視界に収めつつ厳しい顔をするのは葛城・時人(光望護花・f35294)。
猟兵としては勿論、|銀の雨降る世界《シルバーレイン》での能力者としても積み重ねてきた、戦うものとしての経験が、この小さな少女の内に溜め込まれた力が侮れないものだと知らせる。
それは共に立つ凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)も同様に感じていた。それでも、|自分《猟兵》達とてこの|迷宮《ダンジョン》で力を得て此処に立っているのだ。ならば――。
「まずは、俺に任せてくれ」
二人を制するように前に出た陸井の言葉に、マリスの力量を図りつつ作戦に悩んでいた時人がぱっと顔を上げる。
「ああわかった、相棒! 任せた!」
「ふむふむ。ではお手並み拝見です~」
二人の様子にリリリリも一歩退いて陸井に譲る。
「な、なによ……ッ。ま、マリスの|取り巻き《げぼく》になるっていうなら考えてあげなくもないけど」
前に出た陸井と対照的にマリスは一歩下がる。強気な姿勢は崩していないように見えるマリスを見据えたまま、陸井は指で戦文字を描く。
「最初から最後まで、俺達のターンだ」
その言葉と共に書きあげられた戦文字は、「重鎖」と「縛鎖」。書きあげられた文字は、雫が地に落ちるように地へと吸い寄せられる。そして、地に触れるか触れないかの所で、文字が弾けるように散り拡がる。
「なによこれ?!」
「マリスさまぁ、うごけませーん!」
拡がった文字はマリスと取り巻き達へと向かい、彼等を戒め、マリスの魔力すら封じる。
「取り巻きは消せなくても、これで魔法は使えないだろ」
そう言った陸井は後ろで武器を構えていた|相棒と勇者《二人》へと視線を向ける。その視線を受け動くのは、長年の相棒たる時人。
「取り巻きは任せろ! 『その翼その速さその力を俺に! ククルカン!』」
その身に宿す|白羽の白燐蟲《ククルカン》の力で時人の背に白い翼が拡がった。身体の裡で、肉体とは別のものが削られるような、何かが引き攣れるような感覚を覚えるが、今はそれを抑え込んで大鎌を振るう。
「や~、あの子の力を封じてもらえるのはありがたいですね~」
|白羽の白燐蟲《ククルカン》の力で縦横に駆ける時人。その刃をすり抜けた取り巻き達を、陸井とリリリリが対処していく。
「言ったろ、俺達のターンだってな」
「此処までだ! 散れ!」
「勇者アタックを喰らえ~」
時人と陸井、そしてリリリリ。三人の攻撃がひとつに重なってマリスに襲い掛かった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
風雷妻・舞琴
白神 みやマスターにおまかせします。かっこいい風雷妻・舞琴をお願いします!
地球人のハイウェイスターにして鹵獲術士。いつもスタイリッシュなバイク好き。高身長を活かしモデル活動をしている。
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」、心を許したら「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●
「なるほど、こういう感じなのね」
そう言いながら|風雷妻《ぷらずま》・|舞琴《まいこ》(地球人のハイウェイスター・f44802)だった。 猟兵と成って間もない舞琴は、グリモアによる転送も初めての経験。
「もー! だれもかれもマリスの事を見下ろして!!」
此処までマリスと対峙した猟兵達は皆平均もしくはそれ以上の身長。それ故にマリスは鍵杖に乗って浮遊しないと見上げる羽目になっており、それがどうやら気にいらない様子。
そんな想像していた戦闘よりも遥かに緩い雰囲気に不安を覚えた舞琴は、傍らに居た少女――勇者リリリリに問いかけた。
「……敵で、いいのよね」
「はい~ 勿論です~」
リリリリからの返答に、舞琴は魔導書を取り出し、ページを繰る。
「じゃあ、遠慮なく」
「ふんっ! マリスが本気出せば負けないんだから!」
そう言ったマリスが鍵杖を振るうと、取り巻き達が檻に舞琴を囲い込もうとする。それと同時に舞琴の魔導書のページが光を放った。
「マリスさまぁ。檻が起動しませーん」
「はぁ?! どういうことよ!」
舞琴の魔導書に鹵獲されてしまったが為に、発動するはずのものが発動せず狼狽えるマリスと取り巻き達。
「これで余裕でしょ?」
「は~い。じゃあいきますよ~」
為す術がなくなったマリス達に、リリリリの剣が閃いた。
大成功
🔵🔵🔵
キラティア・アルティガル
出遅れてしもうたが
リリリリ殿に猟兵は皆、先の戦争での借りがある
ここは加勢するとしよう
とはいえ我は馳走を食しておらぬ
ゆえに我が攻撃は余り通らぬであろう
「なれば確実を期すまでぞ!」
UCのデモンウィングを詠唱し全力で飛翔し
まずはリリリリ殿が元へ参ろう
「リリリリ殿!猟兵のキラティアと申す!我が攪乱を試みるゆえ
おぬしは全力で攻撃を続行されよ!」
言い置きオイタが過ぎる女童へ向かうぞえ
取り巻きは空中までは届かぬゆえ歯噛みしか出来ず
仮にくしゃみ鼻水に襲われようと
魔翼の動きには露ほども関係ない
地より湧き出す檻も空中の我を狙わば外れ無意味
その分リリリリ殿の助けとなろう!
「勇者と名乗りしその雄姿、見せて頂こうぞ!」
●
(ふむ。 大分と出遅れてしもうたようじゃな)
|夜の悪魔《デモン》の翼を拡げて戦場に現れたキラティア・アルティガル(戦神の海より再び来る・f38926)は|迷宮《ダンジョン》の状況を見て、冷静に分析をする。
(じゃが、リリリリ殿に猟兵は皆、先の戦争での借りがある故な)
猟兵として、何よりもひととして、受けた恩義は返さねばならない。それ故にキラティアは|迷宮《ダンジョン》を最短で駆ける為に、早々にユーベルコードを起動していたのだった。そうして戦場となっている場に駆け付けたキラティアは、状況を判断した後勇者リリリリの姿を探し、その傍らへと近づく。
「リリリリ殿! 猟兵のキラティアと申す!」
「はい、リリリリです~」
ゆるりと頷くリリリリにキラティアは端的に先の戦争の助力を伝えた後、マリスの耳に入らぬよう声を落として言葉を続ける。
「ちと急いだものでな……道中の馳走を食さずに来てしまったのだ。故に我は攪乱に回ろうと思う」
「あら~、それは勿体ない。でも、急いで来てもらったのはありがたいです~」
キラティアは己の提案にリリリリが頷いたのを確認すると、再び|夜の悪魔《デモン》の翼をはためかせて舞う。
「マリスさまー、飛ばれたら届きませーん!」
「いいから何が何でも引きずりおろしなさいよ!」
取り巻き達は勿論、彼等が用意する檻は飛行するキラティアを捉える事は出来ず、マリスが放つ催涙魔法ガスは|夜の悪魔《デモン》の翼で打ち払われて十全な効果を発揮出来ない。催涙魔法ガス自体は効いていないのではなく、若干の鼻のむず痒さ等がキラティアを苛む。しかし、攪乱という役割を果たすには支障は最小限に抑えられていた。
「リリリリ殿! 勇者と名乗りしその雄姿、見せて頂こうぞ!」
「お任せあれ~。そ~れ!」
その声と共に、リリリリが振りかぶった剣をマリスに向けて振り抜いた。
大成功
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鳴北・誉人
最後のひとくちだけ残ってた肉まんをポイと口に放り込んで
ふっかふかの生地を最後まで堪能
はァっ美味かったァ…!
小腹はまあまあ満たされたけど食い足りねえ感は、ある
もうひとつくらい肉まん食いてえなァ
終わったら食えっかなァ
なんて食い意地をそっと隠して
リリリリと一緒に戦うンだっけ?
さっきの肉まん美味かったし
もう一個食いてえからって理由だって
立派なてめえを斃す理由になンじゃね?
つーわけで
てめえの取り巻きどもは全員UCの花弁で牽制して
威嚇して
っと…
リリリリには存分に暴れてもらう
俺はそのお手伝いってことで
彼女の戦う背中を見守りつつ
あはっと弾けたような笑声を漏らして「ぃよ!」と太鼓持ち
おーおーさすが!
純粋に賞賛を
●
鳴北・誉人(荒寥の刃・f02030)は、既に始まってるであろう戦闘に備え、道中に手早くかつ手軽に味わえる肉まんを選んで|迷宮《ダンジョン》を進んでいた。
丁度最後に残った一口を放り込み、ふかふかの生地とそこに染みた具の味を堪能して、ごくりと飲み込んだところで、戦場へとたどり着く。
「はァっ。美味かったァ……!」
状況を見回すよりも先に、満足した言葉が思わず口から零れ落ちた。
(小腹はまあまあ満たされたけど食い足りねえ気はするんだよな)
健啖な成人男子にはどうやらまだ物足りない様子で、周りを見回すと、そこには大分とボロボロになった少女と、勇者の姿。
「なんでデビルパワーいっぱい溜め込んだのにこんなことになってるのよ!」
「ふっふっふ。勇者パワーを舐めてはだめなのです」
涙目で叫ぶ|幼い少女《マリス》と、笑顔で剣を素振りする|勇者《リリリリ》。
(リリリリと一緒に戦うンだっけ?)
誉人は目の前の光景に、自分が此処にやって来た目的に若干の不安を覚えつつ、|魔女と勇者《ふたり》に視線を向けた。
「……ま、マリスがピンチなのよ! 助けなさいよ、|取り巻き《げぼく》共!」
己が置かれた状況に耐えられなくなったマリスが周囲に辛うじて残る取り巻き達を叱咤し、誉人とリリリリへと向かわせる。
「なぁ、あいつ等倒してから肉まんおかわりしても問題無いよな?」
「別にあの子を倒しても、|迷宮《ダンジョン》の魔力は消えない筈ですからね~。大丈夫だと思いますよ~」
半ば自棄のように向かって来る取り巻き達を見つつ、誉人はリリリリの応えに笑みを浮かべる。
「さっきの肉まん美味かったし、折角ならもう一個食いてえんだよな。だから――『舞い狂え』」
その言葉と共に、構えた刃が姿を変えた。白い花弁が吹雪のように取り巻き達へと吹き荒ぶ。
「取り巻きは牽制しといてやるから、存分に暴れてくれよ」
「は~い、任されました~! いきますよ~」
その言葉と共にリリリリが剣を振り下ろすと、斬撃が取り巻きごとマリスに襲い掛かった。
「アンタ達どんだけめちゃくちゃなのよー!!」
「あはっ、さすがだねぇ!」
吹き飛ばされていくマリスと取り巻き達を眺めつつ、誉人は楽しげに笑いを零した。
●
「私はまた勇者してくるのです。またご縁があれば~」
リリリリは勇者として悪魔達と戦いに巡りに行くようだ。またいつか、何らかの形で相まみえる事もあるだろう。
リストランテ・ハロウィーンの饗宴は未だ終わる様子は無いが、行われた狂騒は一区切り。ハロウィンの祭りも滞り無く行われ、ひとまずの平和が護られたのだった。
大成功
🔵🔵🔵