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【ヨーロッパ人狼戦線1】雪、招きしは

#シルバーレイン #決戦 #ヨーロッパ人狼戦線1

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#ヨーロッパ人狼戦線1


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●あの日々から現れたような
 グリモアベース。
「シルバーレインの世界で人狼騎士団に関わる事件の予知が見えたんだ。ちょっと力を貸してくれないかな?」
 集まった猟兵達にそんな風に呼びかけるのは鈴鹿・小春(万彩の剣・f36941)というクルースニク。
「今回事件が起こるのはヨーロッパのビャウォヴィエジャの森、そこには銀誓館学園と協力関係にあるクルースニク達の能力者組織『人狼騎士団』があるんだけど、そのメンバー達がオブリビオンに捕まったんだ。それだけなら話は簡単なんだけど……」
 そのオブリビオンは人狼騎士団の実力者の一人でまだ生きている人の筈なのだと、小春は言う。
「そのオブリビオンの見た目はポーランドで銀誓館と戦って生き延びて今も所在もわかってるクルースニクなんだけど、どうにもその戦争当時の思想……銀誓館と敵対し貴種ヴァンパイアと抗争を行ってた時代まんまで、捕らえた騎士団の仲間を裏切り者として処刑しようとしてるんだ。メガリス『夢魔随筆』の下巻が奪われたことに関係してるのかもしれないけど、処刑させるわけには行かないから皆にはビャウォヴィエジャの森に向かってオブリビオンを撃破してほしいんだ」
 オブリビオンを倒しても生きている本人には影響はないから安心して大丈夫、と小春は言う。
「それでオブリビオンはまず配下のセミキノコにフェンリルの召喚儀式を行わせようとしてる。儀式完遂させちゃうと囚われた人狼騎士は皆殺されちゃうから絶対に阻止してね。配下を倒したらオブリビオン……なんか戦いになるとゴーストを纏って別の姿で戦ってくるみたい。その上倒しても中から別の姿のオブリビオンが出てくるって予知が見えたから、完全に倒すまで油断せず戦って撃破して欲しいんだ。具体的な姿形まではわからなかったけど……白い、雪男? なんか寒そうな感じの印象があったから注意したほうが良いかも」
 そうぽっちゃりしたグリモア猟兵は説明を終えて、懐中時計のグリモアを懐から取り出し転送の準備を開始する。
「ちょくちょく大変な事件は起こってるけど、一つ一つ確実に解決していかないとね。どうして生きてる人狼騎士と同じ姿……複製されたみたいなオブリビオンが出てきてるのかはわからないけど、まずは倒して後でゆっくり考えよう」
 それじゃ頑張ろうね、と前向きに小春が締め括れば、金色に縁どられた懐中時計のグリモアが光り輝く。
 そして猟兵達は騒々しいセミの鳴き声響くヨーロッパの森の中へと転送されたのだった。


寅杜柳
 オープニングをお読み頂き有難うございます。
 ビャウォヴィエジャの森の災難一回目。

 第一章はヨーロッパの森の中で魔狼降臨儀式を行っている『セミキノコ』との集団戦になります。
 敵を殲滅できれば儀式は阻止されるので徹底的に叩いてください。

 第二章以降はそれぞれ断章で状況説明を追加致しますので、そちらをご確認下さい。

 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 集団戦 『セミキノコ』

POW   :    炸裂毒胞子
自身の【キノコ】から、戦場の仲間が受けた【攻撃の威力】に比例した威力と攻撃範囲の【毒胞子】を放つ。
SPD   :    抗体化
【セミの幼虫の殻】を脱ぎ、【「セミ人間」形態】に変身する。武器「【ガトリングガン】」と戦闘力増加を得るが、解除するまで毎秒理性を喪失する。
WIZ   :    セミシャウト
【耳をつんざくようなセミの鳴き声】を聞いて共感した対象全てを治療する。

イラスト:かざいエモ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

山吹・慧
またしても複製ですか……。
邪悪な紛い物など認めるわけにはいきませんね。
現在の人狼騎士団の一員として、
同胞の命と名誉の為……ゆきましょうか。
イグニッション!

フェンリルは、あなた方が呼び出してよいものでは
ありませんよ。

理性の無い状態でガトリングガンなど撃てば、
味方にも当たるでしょう。
【残像】を伴う動きで攪乱しながら
敵陣に切り込みます。
そして、闘気を纏い【功夫】による接近戦を
仕掛けていきましょう。
敵陣が混乱してきたならば【気功法】で高めた
【転玄脚・嵐】を放ち纏めて攻撃。
そのまま烈風を足場にして、弱っている敵から
片付けていきます。



●狼の群れを守りし拳士
 鬱蒼と茂る森の中、姿隠しの黒衣を纏う山吹・慧(人間の玄武拳士・f35371)は直ぐに周囲を警戒し、セミの鳴き声の発生源へと急行する。
「またしても複製ですか……」
 存命の人狼騎士を複製したかのようなオブリビオンが人狼騎士団を狙う――近年報告されているそんな事件の中には、慧が解決に関わった依頼もある。
 かつては異形のニーベルングの指環による洗脳を受けていた人狼騎士団だったが今はその呪縛から解放されている。しかし、今の時代に出現したこのオブリビオンは洗脳状態のままの思考で事件を引き起こしている。
 それは、邪悪な紛い物という他なく。今は人狼騎士団の一員となった慧がその存在を認めることはない。
 森の茂みを掻き分け進めば、妖獣オブリビオンのセミキノコが鳴き声を響かせ魔狼を降臨させるための儀式を行っている光景が見えて。
(「同胞の命と名誉の為……ゆきましょうか」)
 決意を固くした慧は、かつて能力者として戦っていた頃のようにイグニッションカードを掲げ、
「|起動《イグニッション》!」
 瞬間的に武装を装着、猟兵を察知したセミキノコは幼虫としての殻を脱ぎ捨てセミ人間の形態へと変身する。
 脱ぎ捨てた殻の中から取り出したガトリングガンーー生命を拒絶する抗体兵器の弾丸を慧にばら撒いて攻撃を開始、対する慧は緩急の付いた残像を伴う動きでセミ人間達を攪乱しながら群れの中へと飛び込んでいく。
 反射的に飛び込んできた慧に弾幕をばら撒くセミ人間、しかし理性のない彼らはその弾丸が味方を撃つ事にまで思考が回らず、盛大に同士討ちをする羽目となり、セミの体液を血液のようにぶちまける。
 慧はそれらの同士討ちに紛れて闘気を練り込み、特にセミの獣人共が密集している地点へと飛び込み軸足を地面につけてユーベルコード【転玄脚・嵐】を起動、
「ただの蹴りではありませんよ?」
 放たれるのは練り込んだ闘気を籠めた円を描くような回し蹴り、音速の五倍を超えるそれは玄武拳士の|アビリティ《転玄脚》を強烈にしたかのように周囲のセミ人間達を蹴り飛ばし樹々へと叩きつける。
 セミ人間達の姿が揺らぎセミキノコへと戻っていく。蹴りにより生じた烈風は敵対者の強化、即ちセミ人間化を破壊して元の姿へと戻して弱らせているのだ。
 嵐の如き蹴撃を叩き込んだ直後、離れた位置のセミ人間が展開する弾幕を躱し跳躍。空へ跳ねた彼は回し蹴りの軌跡に吹き荒れる烈風を足場に蹴り飛ばされたセミ人間に追撃を仕掛け、確実に仕留めていく。
 守りの拳士である玄武拳士らしく、手堅く堅実に戦う彼。その守りを砕くことができぬままにセミ人間形態のセミキノコは蹴散らされて。
「フェンリルは、あなた方が呼び出してよいものではありませんよ」
 嵐の如き蹴りで襲い掛かるセミ人間を仕留めながら、慧は魔狼降臨儀式を端から崩していくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

飯綱・杏子(サポート)
ジビエ|食材《オブリビオン》がヒト型でなければ料理して喰らうっす
ヒト型の|食材《オブリビオン》を料理するときはこちらがヒト型を辞めるのが|マナー《マイルール》っす

リビングアーマーや宇宙船の類だってきっと貝類みたいに美味しい可食部があるし、食器としても活用するっす
どんなに癖のある|肉《ジビエ》でも濃い味付けにすれば食えない肉はないっす

悪魔だから|毒は利かない《【毒耐性】持ち》っす。酔うけど。腐敗も発酵もわたしには一緒っす
あと|八つ裂きにされても死なない《【切断部位の接続】持ち》っす

シナリオの傾向によっては、ヒト型を性的な意味で食い散らかしてもいいっすよ
白子もミルクも大好きっす



●悪魔が喰らうは妖獣飯
 フェンリルを呼び出す儀式を阻止するために転移してきた猟兵とセミキノコの戦い。
 セミの幼虫のような妖獣のオブリビオンは、背に生やしたキノコから毒の胞子をばら撒き儀式を阻止線とする猟兵を牽制する。
 仲間の負傷に応じて威力と範囲を増す毒の胞子――しかし、そこに一台の『|超次元《ハイパー》フードトラック「飯綱杏子号」』が突っ込んできて、セミキノコたちを跳ね飛ばす。
「毒は利かないっすよ」
 直後運転席から飛び出してきたのは食道楽の悪魔である飯綱・杏子(悪食の飯テロリスト・f32261)、彼女は類まれなる|特異体質《毒耐性》でばら撒かれた胞子を無視してセミキノコの群れへ切り込んでいく。
 彼女にとっては妖獣すら食材、普通のセミは可食部が少なかったり味もよろしくなかったりするが、それは些細なことだろう。背にはキノコのおまけつきだ。
「おいしくいただくっす」
 ユーベルコード【食材化の視線】を起動して視線をやれば、セミキノコ達はあっという間に食材化されてしまう。
 手早く|包丁《ヤンデレブレード》を差し込み仕留め、そのまま丁度いいサイズに切り分けフードトラック内の調理場でさっと調理して食す。
「うーん……ちょっと癖は強いっすね。他の調理方法試して味付け濃いめにしてみるっすか」
 そんな事を呟きながら、毒胞子ばらまくセミキノコの群れに再び襲いかかる杏子だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

政木・朱鞠(サポート)
確かに集団相手の対応は厄介だけど悩む時間が勿体ないし、困っている人をほったらかしにしてたら、あっと言う間に未来が過去に喰い潰され無いように、今は目の前のターゲットを倒すことに集中しないとね…。
死ぬこと以外はかすり傷とまでは言わないけど、ここで退くわけには行かないよね。

戦闘
相手は多勢…手数で押し負けないようにしないとね。
武器は拷問具『荊野鎖』をチョイスして、『咎力封じ』を使用して動きを封じて、【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】の技能を使い【傷口をえぐる】でダメージを与える戦法を取ろうかな。

アドリブ連帯歓迎



●幻影纏う妖狐の忍者
 猟兵の攻勢により、セミキノコは抵抗するもあっという間に負傷し数を減らしていく。
 それを拒絶するかのようにセミはつんざくような鳴き声を上げて、同胞達を互いに癒やし抵抗するために猟兵への殺意を共感させ意志統一を行っていく。
「この数で治療は厄介ね」
 この世界ではない、異世界の妖狐である政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)という化身忍者は傷を癒やすセミキノコ達を見て静かに呟く。
 対応は厄介だが儀式を破壊するには速やかな撃破が必要だ。悩む時間で魔狼降臨、更には囚われの人狼騎士たちが犠牲にされてしまう可能性もあるのだから、朱鞠は状況を打開すべく【忍法・気紛れ胡蝶】のユーベルコードを起動し愛用の拷問鞭『荊野鎖』を手に狐耳に痛いくらいに響く鳴き声を上げ続けるセミキノコ達へと襲いかかる。
「巡る因果は糸車、巡り巡って風車…成る様になればご愛敬なんてね!」
 飛び込む彼女の周囲が陽炎のように揺らぎ、恐ろしい怪物の幻影を作り上げていく。その幻影は忍法によりランダムに引き出された【ブロッケンの魔物】の力によるもので、怪物の幻影纏う朱鞠は容赦なく拷問鞭を振るいセミキノコ共を打ち据え鋭いスパイクで引き裂いていく。
 傷を追ったセミキノコが一層鳴き声を上げるけれども傷は治療されない。怪物の幻影纏う妖狐に抱いた恐怖心はユーベルコードを封じる効果を持つ。
 森の地形を活かして軽やかにセミキノコたちの間を飛び回り、振るう拷問具の鎖で同胞の甲殻が容易く引き裂かれていく――そんな恐ろしい光景は妖獣オブリビオン達にとっても恐怖を抱くに十分、そしてその恐怖が克服されるまでは力は発揮できない。
 暗い森に響くつんざくようなセミの怒りを共感させる為の鳴き声は悲鳴染みた恐怖の絶叫へと変わっていき、そしてその音量は速やかに減じていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

シェーラ・ミレディ(サポート)
※OK:シリアス
※NG:エロ、ネタ、コメディ、心情系
※傭兵的なスポット参戦

称号通り、僕の身体を維持するための金儲けと、弱者をいたぶる醜い行いが許せぬ義侠心が行動指針だ。
美しいものは愛でるべきだが、恋愛には結びつかないなぁ。
性格ブスは醜い。見るに堪えん。

複数の精霊銃をジャグリングのように駆使する、彩色銃技という技(UC)を使って、敵を殲滅しようか。
敵からの攻撃は基本的に回避する。が、護衛対象がいるならかばうのも検討しよう。
……嗚呼、僕を傷付けたなら、代償は高くつくぞ!



●お忍び精霊女王と彩色銃技
 猟兵達の襲撃に数を減らしていくセミキノコ、しかし新たに幼虫の殻を脱ぎ捨ててセミ人間の形態へと変身して魔狼を召喚する為の儀式を守り抜こうとする。
 幼虫の殻の中から取り出した抗体兵器のガトリングを構え乱射せんとするオブリビオン、その腕が暗き森の中から飛んできた銃弾に撃ち抜かれる。
 暗がりから現れつつ銃弾を放つのはシェーラ・ミレディ(金と正義と・f00296)、整った用紙のミレナリィドールは、ジャグリングのように精霊銃を持ち替えながらセミ人間共に次々に弾丸を叩き込んでいく。
 弱き人々を蹂躙するためにフェンリルを召喚しようというこの妖獣オブリビオン、それを見逃すことは彼の義侠心が許さない。
 しかし敵の数は多く、セミ人間の抗体兵器の破壊力は極めて強烈。いくらシェーラと言えどこのまま戦えば手傷を受けることは免れないだろう。
 故に彼は木々の影に身を隠しつつ、この森に援軍を招く為のユーベルコードを起動する。
「貴女の御前に傅く僕が、偉大な御身を讃える事をお許しください。貴女は例えば炎、果実、黄金。総てを降して天に座す、日輪が如き猛き花」
 詠唱、起動されるユーベルコードは【彩色銃技・口寄せ・金色夜叉】、精霊銃のマズルフラッシュで瞬時に記述する魔法陣を媒介にして呼び出されたのは金に輝く騎士鎧で完全武装した気高き精霊の女王。
 兜に隠され表情は窺えないが、
 荘厳な空気を纏った精霊の女王がセミ人間達に切り込み、騎士剣で次々に切り捨てていく。外見よりも性質は好戦的な彼女の突撃で陣や体勢を崩したセミ人間達をシェーラの精霊銃の銃弾が次々に貫き消滅させていく。
 その戦い方は芸術品のように無駄がなく、的確に悪しき妖獣を次々に仕留めていく。精霊の女王と麗しきドールの青年がセミ人間達を蹴散らしていく光景はさながら絵画のようで、そしてその猛攻によって抗える獣人化したセミキノコは瞬く間に数を減らしていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

箒星・仄々
魔狼降臨儀式なんてさせませんよ
騎士団の皆さんをお救いしましょう

囚われの皆さんが慰められ
そのお心に勇気が湧いてくることを願い
旋律を響かせながら登場します

浄化の祈りを込めた演奏で紡いだ魔力を
矢となし
セミさんやキノコ、胞子を
炎で焼き払い
水で押し流し
風で吹き飛ばします

更にセミさん達のシャウトを
逆位相の音を組み込んだ旋律で
無効化します
これがシンフォニアの力です!(えっへん

全てのセミさんを海へと導いた後も
その静かな眠りを願い
しばし演奏を続けます

その後は騎士さん達の状態を確認します
動けそうであれば速やかな脱出をお願いします
ここはすぐにまた戦場となります
その状態では戦いは無理でしょう
今は引いていただけませんか



●森に響くは勇気の旋律
 猟兵達の攻勢により魔狼降臨の儀式は崩壊寸前、しかし妖獣オブリビオン達は未だ諦めること無く、恐怖を免れた個体がつんざくような鳴き声を森に響かせ仲間を治療し状況を巻き返そうとする。
 しかし、猟兵の攻撃はその程度で緩むようなことはない。
「魔狼降臨儀式なんてさせませんよ」
 真っ黒な毛並みに緑の大きな瞳のケットシー、箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は人狼騎士を救うために勇気あふれる旋律と共にこの戦場へとやって来た。
 囚われた彼らの姿はまだ見えないけれど、彼らの心を奮い立たせるべく展開した蒸気機関式竪琴『|カッツェンリート《ねこのうた》』の明るい浄化の祈りを籠めた旋律は、囚われの身にある人狼騎士の心を慰め最後まで諦めない勇気を奮い立たせることだろう。
 その演奏を目印にセミキノコ達が襲いかかる――だが、
「さあ、ちょっと派手にいきますよ〜」
 ユーベルコード【トリニティ・ブラスト】を起動すれば、旋律により紡ぎ出された炎と水、風の魔力が無数の矢の形を織りなして790本もの矢を作り出す。
 向かってくる妖獣達に矢が放たれ、セミの幼虫の甲殻と背に生やした猛毒のキノコと胞子が炎に焼かれ炭化していく。当然それが木々に延焼したら大変と、続いて叩きつけられるのは激流の勢いの水の矢で、すっかり鎮火した頃合いを見計らい暴風の矢が襲いかかり満身創痍のセミキノコ達を貫き吹き飛ばしていく。
 セミのシャウトはもう聞こえない。シンフォニアの仄々が奏でる旋律にはセミキノコの鳴き声の逆位相の波長が組み込まれていて、丁度相殺されて無効化されているのだ。
(「これがシンフォニアの力です!」)
 と、得意げな様子の仄々の演奏は佳境に差し掛かり、残りのセミキノコも確実に仕留めていく。
 ――そして。
 猟兵達の襲撃により森の中から煩いセミの鳴き声はとうとうなくなり、魔狼を召喚するための儀式は完全に破壊され阻止される。
 ぽろろんと奏でられる、眠りへと誘うような|カッツェンリート《ねこのうた》の鎮魂の旋律。彼らの安寧を願うようなメロディを暫く奏でた仄々は、セミキノコ達が守ろうと集まっていた儀式の中心地点へと向かっていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『雪男』

POW   :    突然の迷い子
【予知になかった小学生以下の迷子の少女】を見せた対象全員に「【(避難させるまで戦いを止めてくれ!)】」と命令する。見せている間、命令を破った対象は【問答無用で殴り飛ばされ、戦闘能力】が半減する。
SPD   :    雪玉アタック
【巨大な雪玉】を放ち、命中した敵を【雪玉】に包み継続ダメージを与える。自身が【あらかじめ雪玉を転が】していると威力アップ。
WIZ   :    氷雪地獄
戦場全体に【猛烈な吹雪】を発生させる。敵にはダメージを、味方には【雪だるまアーマーの装着】による攻撃力と防御力の強化を与える。

イラスト:桜木バンビ

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ポーラリア・ベルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●雪纏いて来たる
 魔狼降臨儀式を阻止した猟兵達は、セミキノコ達に守られていた儀式の中心部へと向かう。
 そこにあったのは粗末な小屋、中には拘束された囚われの人狼騎士たち――消耗はしているが生命には別状はなさそうだ。
 手足の拘束を小柄な黒猫の猟兵が土鈴を鳴らしつつルーンソードですぱぱんと切り裂けば、人狼騎士たちはどうにか立ち上がる。
 そのまま簡単に状況の説明を行い、彼らを捕えた人狼騎士がオブリビオンであることを伝えて、
「動けますか? できるなら速やかな脱出をお願いします」
 今は退いてくれないか、と要請する。
 ――まだこの事件の元凶であるオブリビオンは現れていない。彼らも人狼騎士として実力者であることは間違いないが、この消耗している状態では戦いに加勢することは難しいだろう。
 その時、膨大な殺気が小屋へと近づいてくる気配を猟兵と人狼騎士達は感じとった。
 人狼騎士たちは力になれぬ悔しさをにじませて、
『ああ……我々を倒したあのは強い、どうか幸運を』
 そう言い残して殺気とは逆の方角へと撤退を開始する。
 そして数分後、姿を現したのは一人の人狼騎士の男。その形相は凄まじく、怨敵を睨みつけるがごとく猟兵達に相対する姿はかつて銀誓館の能力者として戦った者なら見えざる狂気に侵されきった者を連想したかもしれない。
『殺す殺す殺す……吸血鬼も銀誓館に与した裏切り者共も皆殺しだ!!』
 殺意と共に人狼騎士が吼えれば、その身に雪が纏わりついてオブリビオンの姿を巨大で毛むくじゃらな雪男のそれに変化させる。
 とっくに正気など失ったオブリビオン、撤退した囚われの身であった人狼騎士達を守るべく、猟兵は雪男との戦闘を開始するのだった。
山吹・慧
確かに凄まじい狂気ですね……。
ですが、紛い物に人狼騎士団の名を汚してもらっては
困るのですよ。
……やはり、その様子では話は通じないようですね。
せめて騎士であるならば、尋常に勝負してもらいましょうか。

【セカンド・イグニッション】を発動。
飛んでくる雪玉を【リミッター解除】した
クラッシュ49で破壊しながら間合いを詰めて、
接近戦を仕掛けていきます。
敵の近接攻撃は【受け流し】と【ジャストガード】で凌ぎ、
【集中力】で隙を突いて【カウンター】を放ち、
そのまま【功夫】と【グラップル】の技術で攻めていきます。

雪合戦は骸の海で思う存分楽しんで下さい。



●雪を砕くは玄武の拳
『GAAAAAA!!!』
 獣の咆哮、同時に雪男は雪を手元へと集中させ巨大な雪玉を創り出す。
 血走った雪男の目には理性の色は感じない、ただ眼前の敵を徹底的に殺戮するという意志だけを、山吹・慧(人間の玄武拳士・f35371)は感じ取っていた。
「確かに凄まじい狂気ですね……」
 かつての人狼と吸血鬼の戦いでもこのような狂気に思考を塗り潰されたような戦士はいたのだろう。それでも、
「ですが、紛い物に人狼騎士団の名を汚してもらっては困るのですよ」
 過去から複製された紛いものが、誇り高き人狼騎士団を害し名を汚す――それは防がねばと構えを取る慧。
 黒衣を纏う青年に雪男が全力で巨大雪玉を投擲する。やはりこの状態では会話は成立しないようで、ならばと慧は騎士らしく真っ向からその攻撃を攻略にかかる。
「起動せよ、詠唱兵器! 更なる力を見せよッ!」
 ユーベルコード【セカンド・イグニッション】を起動、同時に彼の装備する三種の詠唱兵器が強化。
 手始めに限界以上に稼働した回転動力炉を備えたドリルガントレット『クラッシュ49』が遠間から雪玉に穴を穿ち雪玉を崩壊させ、更に慧がダッシュで雪男へと距離を詰めていく。
 苛立ち混じりに雪玉を連続投擲してくるがそれらを上手くクラッシュ49で砕き近接の間合いへと飛び込む慧。
 巨体の雪男はその剛腕で慧を叩き潰そうとするが、慧は長剣で上手くその一撃を逸らして回避、その瞬間に生まれた僅かな隙を見逃すことなく鍛え抜いた功夫の一撃を浄黒で叩き込む。
「雪合戦は骸の海で思う存分楽しんで下さい」
 大柄な体からは想像し辛い瞬発力で慧から離れた雪男にそう告げて、玄武拳士の青年は更なる追撃を仕掛けんと森の中を駆けだした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティエン・ファン(サポート)
シルバーレイン出身の除霊建築士です。
明るく善良な性格で、できることがあるならば、できる限りを全うしようとします。
除霊建築士というジョブに拘りがあるため、その知識や技術が活かせそうな場面では、積極的にそれらを使って問題解決に取り組みます。
戦闘時は主武器のT定規と副武器の浄銭貫を用いて、近距離戦も遠距離戦も行います。
キャバリアが有効な場面では、『蚩尤』を使用します。
『蚩尤』は普段イグニッションカードに収納しています。
ユーベルコードは『蚩尤』搭乗時は”蚩尤”とついたものを、そうでないときはその他のものを状況に応じて使用します。

以上を基本として、シナリオに合わせて思うままに動かして頂ければと思います。



●除霊建築士とキャバリアと
 ユーベルコードにより得た長いリーチと高破壊力、そして持ち前の拳士としての能力で雪男を近接の間合いで攻め立てる猟兵の青年。
 彼が戦う中でこの戦場へと転移してきたティエン・ファン(除霊建築学フィールドワーカー・f36098)という除霊建築士は普段の自分の装備が収納されたイグニッションカード、そして一機の兵器のみを格納したイグニッションカードの二枚を取り出して、
「|起動《イグニッション》!」
 瞬時に武装を装着、更にキャバリア『蚩尤』を出現させて、それに搭載されたサポートAIに呼びかけユーベルコード【蚩尤遠操術】を起動する。
「foo、任せたよ!」
 ティエンの音声を認識したサポートAI『foo』は蚩尤の操縦を開始する。木々が茂り暗い森の中で、キャバリアの巨体は上手く木々の間をすり抜けて雪男へと迫っていく。
 そして別の方角からはティエン自身がT定規を片手に一気に距離を詰めてくる。別々の方角から襲いかかる一人と一機――対する雪男は応戦しようとして、まず蚩尤の巨体を狙い巨大な雪玉を放つ。
 命中したならキャバリアをも雪玉に包み込みダメージを与え続ける攻撃ではあるが、蚩尤を操る優秀なサポートAIはその攻撃に対し両腕を前に突き出し、搭載された衝撃を打ち込む機構を起動して雪玉を真っ向から破砕。
「こっちも忘れちゃ駄目だよ!」
 そしてそのタイミングで雪男に肉薄したティエンがT字定規を雪男の背に叩きつけダメージを刻み込めば、破壊された雪玉の中を突っ込んでくる蚩尤が雪男に杭打ち機の強烈な衝撃を叩き込み頑丈な森の木々へと吹き飛ばし叩きつける。
 有効打に放っただろうが狂気に眼を爛々と輝かせる雪男はすぐさま起き上がり、威嚇の咆哮を上げる。
 まだまだ戦いは続く、それを感じ取りながらティエンと愛機は息のあった連携で雪男へと次の攻撃を仕掛けていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

仲佐・衣吹(サポート)
キレイなもの、カワイイもの、ぶち壊そうなんて許さないんだから
バトルだって芸術よ。美しく戦いなさい!

お相手するはアタシことネイル
美術好きな女性人格よ

口調はいわゆる女言葉かしら
身のこなしが一番軽いみたいで
接近戦より距離をとってダガーで戦うのが好きよ

よく使う手は
外套を投げつけて囮や目暗ましからの一撃
ルーンソードで戦ってる途中で手放して虚を突き、袖口から隠し武器としてダガー
光属性を付けたルーンカルテを落としといて、タイミングを見て目潰しフラッシュ
こんなところかしらね

アイテムやユーベルコードはお好きに選んでくれていいわ
使えるものは全部使って、華麗に美しく戦いましょ!



●それは霹靂のような不意討ちで
 除霊建築士とキャバリアの見事な連携攻撃が人狼騎士のオブリビオンが変じた雪男を押し込んでいく。
 されど雪男の強靭な肉体は猟兵の猛攻に耐え、巨大な雪玉を放ち負けじと反撃、状況は互角で踏みとどまっている。
 その時、森の枝が風もないのに不自然に揺れる。激しい戦闘の中で雪男がそれに気づくことは無かったが、そこには竜巻に身を隠した仲佐・衣吹(多重人格者のマジックナイト・f02831)という黄の外套を纏う青年がいて、気取られぬままに雪男との距離を詰めていたのだ。
 多重人格者である彼、現在表に出ているのは美術好きの女性人格の『ネイル』であり、バトルですら芸術として美しく華麗に戦う事を望む。
 【シルフィード・クローク】の視聴嗅覚での感知を封じる竜巻に身を包んだネイルは雪男に非常に感知され辛い状態にある。そんな中で最適な距離で仕掛けるタイミングを悠々と窺いつつ、直接的に視界を封じるために黄の外套を脱いで雪男の頭部目掛け竜巻と共に外套を放り投げた。
 顔面を黄で覆われ巨大雪玉の投擲が止まる、次の瞬間雪男の分厚い白の毛並みの薄い部位をネイルのダガーが的確に狙い切り裂いて鮮血に染め上げた。
 返り血は浴びない、鮮やかな手並みで一撃加えて追撃の竜巻を発射しつつ離脱するネイル。妖獣の如き凶暴さを示すオブリビオンは更に怒り狂うがその雪玉攻撃は空を切るばかり。華麗にスマートに戦いを彩るネイルの攻撃は、確実に雪男の体力を削り取ったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

バジル・サラザール(サポート)
『毒を盛って毒で制す、なんてね』
『大丈夫!?』
『あまり無理はしないでね』

年齢 32歳 女 7月25日生まれ
外見 167.6cm 青い瞳 緑髪 普通の肌
特徴 手足が長い 長髪 面倒見がいい 爬虫類が好き 胸が小さい
口調 女性的 私、相手の名前+ちゃん、ね、よ、なの、かしら?

下半身が蛇とのキマイラな闇医者×UDCエージェント
いわゆるラミア
バジリスク型UDCを宿しているらしい
表の顔は薬剤師、本人曰く薬剤師が本業
その割には大抵変な薬を作っている
毒の扱いに長け、毒を扱う戦闘を得意とする
医術の心得で簡単な治療も可能
マッドサイエンティストだが、怪我した人をほおっておけない一面も

アドリブ、連携歓迎



●卑劣なる雪男に毒の報いを
 猟兵達の波状攻撃に非常に頑強な雪男――人狼騎士のオブリビオンが変身したその存在は劣勢に追い込まれていく。
 多勢に無勢のみならず得意の巨大雪玉の悉くが躱され有効打を通すことができていないのだ。この状況は非常にまずいと判断したのか、雪男は新たな行動に出る。
『待て! この少女を避難させるまで戦いを止めてくれ!』
 そんな事をしわがれた声で叫びつつ、雪男が掲げた手にはどこからか小学生以下らしい少女の姿があった。
 この深い、妖獣達がつい先程まで蠢いていた森の中で迷子の少女が都合よく現れる筈はない――そんな風にバジル・サラザール(猛毒系女史・f01544)というキマイラの闇医者は蛇の下半身を這いずらせつつ瞬時に思考する。
 そもそもグリモア猟兵の予知にも囚われの人狼騎士以外の人質はない。狂気塗れの雪男が突然真っ当な事を言い出した時点で不自然極まりないがユーベルコードは正直なんでもアリ、万が一本物であったなら――いずれにせよ何らかの行動を取る必要があるだろうと野生の勘を働かせ、即座に人質の少女の救出の為に動き出す。
 その行動そのものを命令違反と認識した雪男は怒り狂いバジルに対し拳を叩き込む。問答無用の一撃は戦闘能力を半減させる厄介なものだが、その前にバジルはユーベルコード【バジリスク・ブラッド】を起動して血液を代償に杖の封印を解除、猛毒置換された血液を帯びさせて雪男の問答無用の拳を真っ向から受け止めた。
 猛毒に素手で触れた雪男は苦痛に絶叫、同時に少女を手放して空へと放り、慌ててバジルはラミアの蛇身を伸ばし少女を地に叩きつけられる前に受け止める。
「大丈夫? 心配しないでね」
 念の為優しく声をかければこくこく頷く少女、どこかから本当にさらわれた子なら戦闘後に人狼騎士に引き渡せばいいだろう。
 だが一先ずは避難させねばならないだろう、相場汁は考えて暴れ狂う雪男から離れ、囚われだった少女と共に戦場を離脱するのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

箒星・仄々
過去の自分が
自分の仲間を生贄に
邪悪な儀式を行おうとしているだなんて
今のご本人はさぞお辛いでしょう

時と共に成長し変化していくのが人です
変わらない・変われないオブリビオンさんを
海へと導きましょう

吹雪が凄いですけれども
猫の毛皮がありますし
どんな悪環境でもシンフォニアパワー?で乗り越えて
竪琴を奏でます

旋律で紡いだ魔力で
風と炎の矢を生み出します

炎の矢の幾つかを
私の周囲で吹雪を迎撃するように放って
宙に炎を咲かせながらダメージ減弱です

残りの風火の矢を
吹き付ける風の流れに逆らわず
その流れに乗るように放てば
風に乗って戦場へと広がって
少しずつ空を茜色に染め上げながら
吹雪を弱めていくでしょう

吹雪が弱まりましたら
炎の矢を防御用から攻撃用に

今です!

炎の矢を立て続けに撃ち込んで
吹雪が弱まって弱体化したはずの
雪だるまアーマーを溶かしていきます

そのまま
人狼騎士さんを包む雪を溶かす勢いで
炎の矢を連射して
雪男さんを倒します

戦闘後
次の戦いに備えながら森に音楽を響かせています



●雪に放たれる森羅の矢
 バジリスク型UDCの毒に手を侵された雪男の絶叫が森に木霊し、猛烈な吹雪がそれに呼応するように巻き起こる。冬には早い猛吹雪は見る見るうちに森を白く染め上げていき、雪男の身体には雪だるまを連想させる分厚い雪の鎧が装着されていく。
(「過去の自分が自分の仲間を生贄に邪悪な儀式を行おうとしているだなんて……今のご本人はさぞお辛いでしょう」)
 黒の妖精猫、箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は荒れ狂う雪男の姿を見、かのオブリビオンの元にされた人狼騎士の事を想う。
 時と共に成長し変化していくのが人であり、世界結界の綻びによる動乱の時代を乗り越えて人狼騎士も今の体制、他の組織との関わりを築いてきたのだ。そんな変化のない――変われないオブリビオンへ憐憫の情を抱きながら仄々は竪琴をぽろんと奏で、海へと導く為の旋律を奏で始める。
「さあ、ちょっと派手にいきますよ〜」
 ユーベルコード【トリニティ・ブラスト】を起動すれば、旋律により紡がれた魔力で風と炎の矢が黒猫の周囲に生み出されていく。
 ――雪男が招いた吹雪は強烈だ。仄々の黒の毛並みも白が積み重なり冷気でダメージを与えんとしてくるけれど、猫の毛皮と|神秘の歌い手《シンフォニア》の|矜持《パワー》は竪琴を奏でる手を止めさせず、紡いだ炎の矢の幾ばくが彼の周囲に浮かび手や身体を温めて耐え凌ぐ熱を与えてくれる。
 そしてその間に反撃だ。残りの風と火の矢を猛吹雪の風に乗せるように戦場全体へと放つ。散布された炎の矢は勢いを強める風の矢に煽られ空を少しずつ茜色に染めながら戦場へと広がって強烈な吹雪の勢いが徐々に衰えていく。
「今です!」
 吹雪が弱まり雪に包まれた雪男の姿をはっきり捉えたその瞬間こそ転機、防御から攻撃に転じた炎の矢をを立て続けに雪男へと撃ち込めば、炎の矢のハリネズミのような姿へと変わり果てた雪男の雪だるまアーマーは溶かされその防御効果を喪失してしまう。
 仄々の演奏はそれでも止まらず、炎の矢は更に殺到、間髪入れずに射掛けられ続ける炎の矢は雪男の頑丈な毛皮を焼いてその本体を焼き払いダメージを与え、そして終にはその巨体は雪が僅かに残る地面へと崩れ落ちた。

 しかし、まだ終わりではない。
 竪琴を森に響かせながら仄々は翠の眼を細め斃れた雪男を注視し続けていて。
 ――そして、新たな脅威が雪男の体から脱皮するように現れたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『雪男・凶暴種』

POW   :    幻の雪男
自身と武装を【猛吹雪】で覆い、視聴嗅覚での感知を不可能にする。また、[猛吹雪]に触れた敵からは【力】を奪う。
SPD   :    雪玉タックル
【雪玉になって転がる自身】を放ち、命中した敵を【自身の雪玉】に包み継続ダメージを与える。自身が【色んなものを巻き込んで回転】していると威力アップ。
WIZ   :    イエティ(ズ)クライ
【かつて雪女が眠りについていた『洞窟』】の龍脈から1〜12体の【まだ守護を続けている雪男(稀に雪女)】を召喚し、【絶対零度の咆哮】で戦わせる。[絶対零度の咆哮]の威力は召喚数分の1に減衰する。

イラスト:猫の目からビーム

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ポーラリア・ベルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●凶暴なる雪のもの
 竪琴の音色響く森の中、斃れ崩れた雪男の背を割るようにして中から立ち上がったのもまた雪男であった。
 しかしその形相は凶悪そのもの、雪男の中でも特に凶暴な存在であることは一目みただけで判別できる程であり猟兵達への殺気と暴力衝動を隠そうともしない咆哮を森に響かせている。
 しかしその凶暴種の何よりも特徴的なのは胸だ。巨大なネジ――かつて生命の大敵である異形との戦いにおいて、|ニーベルングの指環《メガリス》により人狼騎士達の夢の中に埋め込まれていたのと同質の禍々しさを放つそれが、このオブリビオンの胸から生えているのだ。
 会話など成立しない、ただ暴力と狂気に酔いしれ周囲にぶつけようとする姿にオブリビオンの複製元となった人狼騎士の面影は一切なく、手加減も当然不要であろう。
 凶暴な儘に力を向け襲いかかってくるオブリビオンに対し、猟兵は迎撃を開始するのだった。
ナティエ・アルマス
A&W出身、斥候系の冒険者の女性
普段の口調は(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)

二振りの氷の魔法短剣「薄氷」を武器に
スピードで翻弄する戦い方をします
隠密、斥候も得意です

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功の為でも、公序良俗に反する行動はしません。
後はお任せ。宜しくお願いします!



●雪すら凍てつかせる薄氷の刃
 秋の森に雪が再び降り始め、勢いは徐々に強まり吹雪と化していく。
 胸部に巨大なネジを生やした雪男は暴力的な咆哮と共に地面を殴りつける。その衝撃はこの地の地下――龍脈を刺激し遥か彼方の地の『洞窟』の龍脈から雪男達を数体召喚、それらを従え相対する猟兵に襲いかかる。
 雪男の絶対零度の咆哮は耳にしただけで魂すら凍ってしまいそうな強烈さ、召喚された雪男達全てによる厄介な大合唱が響き渡る中、ナティエ・アルマス(人間のシーフ・f32240)は一対の魔法短剣『薄氷』でうまく直接攻撃を逸らし氷の魔力で咆哮の影響を弱め難を逃れていた。
 当たれば致命傷になるだろうがアックス&ウィザーズ世界の冒険者であるナティエの俊敏性は雪男を翻弄できる程、危機を見切り躱しながらその精神は戦況を俯瞰できる位には落ち着いたものであった。
 ――響き続ける雪男の絶対零度の咆哮は厄介、このまま戦闘が長引けばいずれは体力が削られ捕まってしまうだろう事も予測できる。
 故に、動ける今のうちに攻めに出る。
「凍てつく世界に、沈みなさい」
 起動するユーベルコードは【氷結海】、彼女の得物である魔法短剣の封印を解除することで戦場を凍結させる能力を開放するそれにより、雪に覆われつつある地面は強烈な冷気により地中まで凍てついていく。
 龍脈より召喚された雪男の魔力供給が一時切断、動きが鈍り僅かな隙が生じ、それを安定した精神で冷静に見切ったナティエは斥候としての敏捷で凶暴種へと肉薄、双短剣を鋭く閃かせ頑強な雪男に手痛い冷気の斬撃による初撃を鮮やかに叩き込みつつ、一撃離脱で距離を取った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミーヤ・ロロルド(サポート)
『ご飯をくれる人には、悪い人はいないのにゃ!』
楽しいお祭りやイベント、面白そうな所に野生の勘発動させてくるのにゃ!
UCは、ショータイムの方が使うのが多いのにゃ。でもおやつのUCも使ってみたいのにゃ。
戦いの時は得意のSPDで、ジャンプや早業で、相手を翻弄させる戦い方が好きなのにゃよ。

口調だけど、基本は文末に「にゃ」が多いのにゃ。たまににゃよとか、にゃんねとかを使うのにゃ。

食べるの大好きにゃ! 食べるシナリオなら、大食い使って、沢山食べたいのにゃ♪ でも、極端に辛すぎたり、見るからに虫とかゲテモノは……泣いちゃうのにゃ。
皆と楽しく参加できると嬉しいのにゃ☆

※アドリブ、絡み大歓迎♪ エッチはNGで。



●凶暴では自由は捕まえられない
 シーフの短剣に切り裂かれた凶暴種の雪男は更に激昂し、怒りの雄叫びを上げて自身に雪を収束させていく。
「まるで雪玉みたいになってるにゃ!」
 驚きの声をケモ耳の少女、ミーヤ・ロロルド(にゃんにゃん元気っ娘・f13185)があげる。雪男の姿はアーマーどころか全身を包み込む巨大な雪玉、それはミーヤ目掛けて急速度で転がり始め、進路上の木々を巻き込みながら勢い増して襲いかかってくる。
 もしもあの巨大雪玉の直撃を受けたなら比較的小柄なミーヤなど軽く巻き込まれて冷たい雪玉に包みこまれ強烈なダメージを受け続けることになるだろう。
 とは言え、この状況ならユーベルコード【おいしいおやつの時間にゃー♪】が有効に活用できると野生の勘で咄嗟に判断して咄嗟に起動する。
「いっぱいいっぱいあるのにゃ! どれ食べるのにゃ?」
 戦場であるにも拘らずミーヤが取り出したのは山盛りの美味しいスイーツや菓子、それを給仕するように身軽に跳ねて木々を利用して飛び回るミーヤに対し、雪玉となった雪男の速度は急減速してしまう。
 戦場内で給仕される甘味を楽しんでいない者の行動速度を五分の一に低減させるというミーヤのユーベルコード、全身を雪玉に包み回転攻撃を敢行している雪男がそれを楽しめる筈もなく、効果を諸に受けてゆっくり転がる巨大雪玉に甘味を給仕しつつ本人も楽しんでいるミーヤが捉えられる筈もない。
 持ち前の身軽さでゆっくり木々や枝を巻き込みながら転がる雪男を翻弄しつつ、雪玉脆い箇所を見抜きガジェットを構えて。
「そこにゃ!」
 魔導蒸気機械の弾丸が雪玉の脆い箇所を貫き、そして内部の凶暴な雪男にダメージを与える。
 その衝撃で巨大な雪玉自体も崩壊し、中から飛び出してきた凶暴種は強烈な殺意をミーヤに向ける。けれど、ミーヤは自身で準備していた美味しい菓子を堪能しつつ減速している雪男の捉えられぬ速度で距離を取っていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

箒星・仄々
マトリョーシカの雪男さん…
胸のネジが気になります

キャンディをぱくり
びよーんと伸びる体で
木から木へ
地面↔️樹上へ移動して
雪玉を避けていきます
鬼さんこちら〜ですよ

これを続けて
凶暴さんを更に激おこにさせます

樹木の間に誘き寄せた雪玉を
今度は避けず
ぶつかる直前に伸ばした両手両足と尻尾で
左右の樹にぐるぐると巻きついて
パチンコ玉のように勢いよく跳ね返します
怒り心頭で視界が狭まっているので
単純な策が効果的に決まるでしょう

ピンボールのように
木々に跳ね返りながら森を転がった雪玉が
ようやく止まった時には
雪男さんは目が🌀しているのではないでしょうか

飛び出してくる雪男さんを
ぐにゃっと曲がって回避ざま
ぐるぐる巻きにして掴んで投げ飛ばして
突進の勢いのまま頭から地面に叩きつけます
柔よく剛を制す、ですよ

ついでに投げる時に
伸ばした尻尾でネジを引っこ抜けないか
試みてみます

戦闘後はオブリビオンさんの
静かな眠りを祈り曲を奏でます

もし手元にネジがあれば
銀誓館へお願いして調べてもらいましょう



●翻弄する黒猫美丈夫
 行動速度を大きく鈍らせ纏う巨大雪玉を砕かれた凶暴な雪男は怒りの雄叫びと共に再びその身を雪玉に包み込んで回転を開始、猟兵を雪に取り込まんと突進を再開する。
「マトリョーシカの雪男さん……」
 竪琴を奏でながら呟く箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は、雪男の胸部のネジの方に興味津々な様子で、オブリビオンを撃破した時にあのネジが残るかどうかは不明だけれども、何とか引っこ抜いたりできないかとまで思考してしまう。
 けれどまずは目の前の脅威に対処せねばならない。ケットシーの小柄な体だとあの雪玉に飲み込まれればひとたまりもない――だから捕まらぬようにとミラクルキャンディを取り出してぱくりと一口。
 すると仄々の体がびよーんと縦に伸び、頭上の枝をひょいと掴むと枝の方に身体を縮めて樹上へと移動する。
 彼の起動したのはユーベルコード【猫はのびーる】、八頭身の美丈夫へと肉体を変化させた仄々の身体はよく伸びよく縮む伸縮自在の弾力ある体だ。背まで人間サイズに伸びているのは御愛嬌だろう。
「鬼さんこちら〜ですよ」
 変幻自在の美丈夫猫は枝から枝へ、時には地面と樹上を身体を伸縮させて移動して自身を雪玉と成した雪男の突進を翻弄し回避していく。雪玉の直線的な動きでは三次元的に動く黒猫を捉えることは容易ではない。
 雪玉の中から明らかに苛立ちを増した雪男の怒声が聞こえる。間違いなく怒り心頭、激おこだろう。
 その怒りに任せるまま雪玉は強引に木々や枝を取り込みなぎ倒しながら仄々目掛け一直線に加速する。対するケットシーは地上に降りて――真っ向から迎え撃つ。
 彼の眼前、その左右の太い木々の間を通り雪玉が仄々にぶつかるその瞬間、黒猫は両手足と尻尾を伸ばし左右の樹にぐるぐると巻き付けて雪玉の衝撃を殺しつつ手足を伸ばす。横から見たなら雪玉を玉としたパチンコのように見えるだろう――直後、雪玉は仄々の弾力を押し切れず逆に勢いよく跳ね返されてしまう。
 単純な策であるが実に効果的、制御を失いあちらこちらの木々にぶつかりピンボールのように跳ね返りながら雪玉は転がっていって、とうとう耐え切れず中から雪男が飛び出して雪玉を強引に停止させる。
 けれど足取りはふらふら、滅茶苦茶な回転で目を回してしまっているようで、仄々の方へ直に飛びかかってくるも、その突進からは精彩が欠けている。
 それを見逃す仄々ではない。ぐにゃりと体を曲げて雪男の攻撃を回避すれば、そのままの勢いで雪男の胴体にぐるぐる巻き付いてしっかと捕らえ、弾力を活かし雪男の突進の勢いのままに頭から地面に叩きつける。
「柔よく剛を制す、ですよ」
 ぼよんと八頭身の美丈夫猫に体を戻しつつ仄々は言って考える。
(「あのネジ完全に一体化してますね……」)
 投げる際に雪男胸部のネジに尻尾を巻き付けて強引に引っこ抜こうとしてみたが、完全に融合しているようでびくともしなかった。恐らくは雪男が斃れればネジの方も巻き込まれて消滅するのだろう。
 そう考えているうちに頭から地面に叩きつけられた雪男はよろよろと再び立ち上がる。その凶暴性には些かの衰えも見られないが、満身創痍であることには間違いない。
 彼の雪男に安らかなる眠りを与えるべく、仄々は再び体を伸縮させ樹上へ移動、怒り狂う雪男の周囲を翻弄するように移動し隙を窺うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

山吹・慧
なるほど、ここからが本番というわけですね。
しかし、あのネジは本当に忌まわしいですね……。
人狼騎士の名誉の為、この場で消し去りましょうか。

力を奪う猛吹雪には闘気による【オーラ防御】を展開して
対処しましょう。
敵の位置と行動は【気功法】により、その気を感じ取る事で
把握します。

そして、敵の攻撃に対する【受け流し】からの
【カウンター】を反撃の糸口にして、
【リミッター解除】した【衝撃波】で
敵を覆う【猛吹雪】を【吹き飛ばし】、
【集中力】でこの場の気の流れを感じ取って
【羅山靠・戒】を放ちましょう。

ネジはこの世にあってはならない存在なのですよ。



●吹雪打ち払う玄武の力
 弾力豊かな体で周囲を移動する黒猫に、怒りの頂点に達した雪男が力強く殺気を込めて咆哮する。その音に招かれるように雪男の周囲に猛吹雪が巻き起こりその勢いを増していく。
「なるほど、ここからが本番というわけですね」
 山吹・慧(人間の玄武拳士・f35371)は守りの構えを取りながらそれを忌々しげに睨みつけている。
(「しかし、あのネジは本当に忌まわしいですね……」)
 親愛なる聖女を含めた人狼騎士団の大半を洗脳し長らく苦しめ続けてきたあの禍々しいものがこの時代に再び現れた事はまさに悪夢としか言いようがない。
「人狼騎士の名誉の為、この場で消し去りましょうか」
 凶暴なる雪男の周囲に吹き荒れる魔性の吹雪が巨体を覆い隠しその範囲を広げていく。視聴嗅覚による感知を遮断した上に触れた者の力を奪い取る攻防一体の極めて厄介な力は、雪男の頑強な肉体もあって慧でも無策で軽々突破することは叶わないだろう。
 体内を駆け巡る闘気を練り上げて自身の身体を覆うように展開、直接雪に触れぬよう防御し力の強奪を最小限に防ぎながら周囲を流れる気に意識を集中。
「……そこですね」
 左斜め後方、雪に紛れ既にその位置に移動していた雪男が襲いかかろうとする瞬間、慧は前方に飛び出しつつ左足を軸に回転、恐るべき雪男の拳の打点をずらして小回りの利く『クラッシュ49』で防御しそのドリル回転で受け流した上で、逆の手の『浄黒』による裂帛のカウンターを叩き込む。
 玄武拳士の発剄手袋より生じた衝撃波は雪男を覆い隠す猛吹雪を散らし凶暴種の姿を露わにする――そして突き出された拳は雪男の胴を捉えて雪男の口よりくぐもった声が漏れる。
 そしてそこからユーベルコード【羅山靠・戒】への連携、極限まで研ぎ澄まされた慧の感覚は周囲の森羅万象の気の流れも完全に把握している――つまりは万全。
「この一手で穿つッ!」
 攻防一体の闘気を纏うた慧は更にもう一歩雪男へと突進、守りを熟知した玄武拳士の一撃は咄嗟に防ごうとした雪男の両腕に叩き込まれ、そんな守りなど無視するかのように軽々と雪男の巨体を吹き飛ばした。
 あまりに強烈な衝撃に雪男の胸部のネジに罅が入り、耳障りな音と共に崩壊する。それと運命を共にするかのように凶暴種の雪男は斃れ、遺体すら残さず消滅していく。
「ネジはこの世にあってはならない存在なのですよ」
 完全に敵が消滅した事を確認した慧は静かに呟いて、囚われていた人狼騎士達が避難した方角へと勝利の報告に向かった。

 静かな竪琴の音色、かつての人狼騎士を再現したかのようなオブリビオンが骸の海で静かに眠れるように祈る調べが森に響く。
 ーー過去からの脅威はこれからも現れる。それでも猟兵達、そしてこの世界の力持つ者たちは今の時代を守るために、過去の脅威と戦っていくのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年11月10日


挿絵イラスト