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オクトーBBA☆FEST

#UDCアース #ノベル #猟兵達の秋祭り2024 #最恐・妖怪ババア

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#猟兵達の秋祭り2024
#最恐・妖怪ババア


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ミカエラ・マリット




 世間には様々な秋がある。読書の秋、スポーツの秋、芸術の秋、食欲の秋。
「そして僕は鵜飼章。章と書いて『あき』らなんだ」
 だからどうという事もなく、たまたま故郷にいたグリモア猟兵の鵜飼・章は今日も普通に暇だった。オクトーバーフェストで賑わうここ、横浜で新種のUDCが事件を起こしていると聞き、討伐がてら観光に来ている。仕事メインにしろよ。
「どんな子なんだろう、このUDC-Bって。初めて聞いたけれど」
 地元球団の協賛によりグッズ売り場も盛況なようだ。ゲストの演奏を聴きながら酒をがぶ飲みしていたその時、章の読心術が何者かの強い思念を感じ取った。
『儂じゃ!!』
 儂 だ よ――!

 儂。
 それは言うまでもなく、『最恐・妖怪ババア』ことBBA様のことだ。タグとか付けておくのでこれまでのお話はそちらでご確認ください。
 なぜUDCアースにいるのかというと、今回はお彼岸なのでBBAも里帰り中なのだった。しかし、歳事を重んじるBBAは秋祭りでもやっぱりナウくハジけたい。ハジけていたら、UDC-Bという名前を賜り今に至る。UDC-BのBはBBAのBだ。職員の方、災難。
「来たねオブリビオン。地球の平和は僕が守るんだ」
『ヒーッヒッヒッ! 心にもない台詞を言うでないわ、小僧! 貴様、さては会場の異変に気づいておらぬな?』
「気づいているさ。僕が変なんじゃない――世界が変なんだ」
 そう、章は気づいていた(本当かな?)。自分が参加している祭りは実はオクトーバーフェスタではないことに。
『横浜市民共よ、よう来おったのう。オクトーBBAフェスト、愉しんでおるかァァ!』
「おおーッ!!」
 老いも若きも声を張りあげ……いや、よく見るとシニアすごく多いな?
 なんという事だろう。BBAに乗っ取られた秋祭りは、オクトーBBAフェストと化していたのだ。上手い事言ってやった感がすごい。
「妙だと思ったよ。これはビールの祭典である筈だ。けれど僕はずっと特定保健用緑茶ハイしか飲んでいない気がする」
 気づけよ! 味以前に色が全然違うよ!
『ヒィーヒッヒッ、猟兵敗れたり! 奇妙な個所はまだまだあるぞォ!』
「そう、僕が聴いていたのもドイツから来た楽団の演奏じゃない。これは町内会のカラオケ大会、選曲はほぼ演歌だ」
 章は衝撃の事実を告げた。
 何だって!? それでは耳を澄ましてよくお聴きください。

 ♪BBA BBA ババアの秋に
 ♪BBA BBA 総入れ歯――(こぶしの効いた歌声)。

「僕はよく知らなかったけれど『夜桜BBA』という曲らしいね。名曲だ」
『儂の大妖怪的人脈で大御所妖怪のサチコ・ババヤシ殿をお呼びしたのじゃ。見よ、あのラスボスの輝きを!』
「すごくすごい。オーラが」
 色々と怒られそうだが、これは全てBBAの企みを放置した章の責任である。こいつに仕事を任せてしまったミカエラさんは何も悪くない。
「成程。間違いはこれだけかな」
『甘いのう。このイベントを協賛しておる球団は……ゲートボールチームの横濱ババスタアズじゃあァァ! 集合!』
 球技ッ――!
 BBAの呼びかけに応じ、ハマの強そうなジジババが集合してきた。邪神UDC-Bを信仰する一般ババスタアズの皆さんである。お元気にゲートボールスティックを振り回しているぞ! どうする章!
『ヒィーヒッヒッヒッ! ここはゲートボールでフェアに決着をつけようではないか!』
 スポーツBBAシップ――!
「困ったな。僕は図鑑より重い物は持てない事になっているんだ。今すぐ呼べそうな仲間もいないし」
 情けないな! アラサー猟兵、BBAに腕力と人望で負ける。
「けれど大丈夫だ。腕力はともかく、友達がいなければ僕が分身すればいい」
『ほう、五人に分身しおったか。小僧、貴様もハジケリストじゃな! 儂らも本気で行くぞ!!』
 邪悪なオーラを放ちながら章の死角へ瞬間移動するBBA!
 足腰を代償に全力で振り抜かれるハンマー! 響く殴打音! 分裂した章達が猛スピードで飛ぶ打球を五人がかりで打ち返せば、ババスタアズの仲間達が見事な連携で得点を妨害! ボールがゲートを通過するたびに横浜市民は大熱狂! 大御所ゲストの唄を肴に呑む酒は旨い!
 繰り返すがゲートボールである。
 熱戦の末、実はルールを知らなかった章は普通に負けた。雰囲気で熱戦やってた。
『小僧、ナイスゲームじゃったぞ』
「今日は僕らの完敗だ。帰ったら今日の事を絵本にしよう」
 最後は敵味方の垣根を超え、互いの健闘を称える握手が交わされる。
 食欲、芸術、スポーツ、読書。全ての秋をコンプリートしたBBAの魂は満足し、無事カクリヨに帰っていったのだった――。



「いったのだった、じゃないです」
「ごめん。明日から頑張るから」
 依頼失敗である。普通に。
 ゲートボール、ミカエラさんがやったら勝てたんじゃないかな……章の絵本を読んだミカエラは、人生経験のレベルが上がった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2024年10月14日


挿絵イラスト