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【OF】出航！ユートアレス島を救え！

作者：椿油

●見つかった有人島「ユートアレス島」の一件
「皆、アルカディーテ島の外に有人島が見つかったで！」
　開拓者達を纏める、濱城・優茂（サバイバルおじさん・f32495）は喜びの声を上げながら手元の報告書を見つめた。

「でもな、事態は一刻を争うねん。これが件の島の報告書や、名前はユートアレス島と言うらしいで」
　――ユートアレス島の調査の結果、分かった事がある。
　その一、魔獣が現れる事。これはアルカディーテ島にも出没する魔獣と同意義語、つまり同じ存在のようだ。
　その二、魔獣によってインフラを破壊されている事。生活もままならないようで、島内での自給自足も叶わず島外で必要な物を集めねばならない状態のようだ。
　その三、住民全員が高齢者である事。これはインフラ復旧に人手が割けない事にも繋がる。よって、若手の協力によってインフラを復旧しない限りユートアレス島の住民は困窮する一方だろう。

「という事は、まず手順を踏んでユートアレス島を復興せなあかん。まず魔獣の討伐、これはインフラの再破壊をされんように必須やな。次にインフラの復旧。これは高齢者の皆さんだけやと大変やしな。ここまで来たらインフラ再稼働を確認して、作業は終了や」

　だが、魔獣の情報自体は住民達にも殆ど分かっていないらしく。

「件の魔獣やけど、ユートアレス島の住民には『グラトニ様』と呼ばれる大喰らいのようや。普段は島の奥の方で眠っとったらしいけど、最近になって起きてすぐインフラごと食べ尽くしたそうやな。お腹空いとったんやろか？」

　もしかしたら、グラトニーから名前が取られている通りの生態をしているのだろうか。気を付けた方が良いかもしれない。

「インフラの方やけどな、水道とガスと公民館と、あと道もガタガタらしいわ」
　水道は海水をろ過し、ガスは代替の化石燃料を輸入し、公民館は誰かの家に集まる事で解消しているそうだが、流石にずっとその生活もしていられないだろう。

「あと……島民が集まるように、若者向けのナニカを建てられたらええんやけどな。まあ長くなるから後は現地で作業する皆に決めてもらえればええわ。ほな、よろしゅう！」
　ユートアレス島に泊まっている舟・バロンＤ号へと転移を開始する、優茂だった。

第1章 日常 『プレイング』

POW   :    肉体や気合で挑戦できる行動 SPD   :    速さや技量で挑戦できる行動 WIZ   :    魔力や賢さで挑戦できる行動 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●グラトニ様、咆える
『グラァァァァァ……!!』
　グラトニ様と呼ばれた魔獣は、蛙のようなずっしりとした胴体を動かしながら、まるで冬眠から目覚めたかのように餌を探し回っていた。
　大食いだからこそ、｜暴食《グラトニー》を意味する名前を付けられたのだろう。今の高齢者達も何故ここに眠っていたか知らないぐらいには太古から居たようだ。

「荒魂鎮神命が命じるのでございます。神器よ施されし封印を解きその力を示すべし！」
　そして、アラタマが《神器解放》を発動し、三種の神器を放っていく。
『グラァァァ!!』
「あらたまちゃんのらいふを削っているのです！　高れああいてむや素材をどろっぷするのです!!」
　正直、ドラゴン等ではないので良い素材が採取できるかと言ったら微妙ではあるが。

　その間にも、コニーは【｜B《ブラック》｜R《ラピッド》｜R《ラビット》】に乗り込んで狙撃態勢を整えていた。
「インフラかぁ……。コニーのキャバリアも食べられないといいね？」
　無機物を食べる程なので、有り得なくはない話である。

　そして三種の神器の攻撃で怒ったグラトニ様は、高くジャンプして上空からアラタマを潰そうとしてくる。
「はっ、ぱりぃをせねば！」
「でも、隙だらけだね？　今だ！」
　コニーによる《ラビット・バスター・ライフル》の銃撃砲が飛ぶ。これから落下しようとしているグラトニ様の急所に命中した事により、グラトニ様はぐらりとバランスを崩したまま地へと墜ちる。
「よもや、やりましたか!?」
　アラタマが確認しに向かう。つついても、グラトニ様はぴくりともしない。
「剥ぎ取りのちゃんすでございます！」
「どうやら……倒したみたいだね！」

●様付けの意味
　避難していた島の住民達は、何かが終わった音に気づいてこちらへとやって来た。
「グラトニ様が逝っでしまわれだが、なんまんだ、なんまんだ」
　手を合わせるお婆さん。
「……インフラを食べる悪い魔獣なんだよね？」
　コニーが確認すると、んだ、と頷いたお婆さん。
「島に古くがら眠っでだお方だ。何で昔祀られでだが知らねぇが、島の重要なお方な事には違いねぇだよ」
「倒して良かったのでございますか？　というか、どろっぷあいてむを狙ってしまって良かったのですか？」
　アラタマの言葉にも、んだ、と頷くお婆さん。
「今はこの海のどご見でも魔獣信仰が殆どねぇでな、倒しでしまっで構わねぇんだ」

　もしかしたら、グラトニ様も昔は魔獣という呼ばれ方では無かったのかもしれない――。有難く、その部位を頂くのであった。

　★グラトニ様を討伐しました！

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●インフラ修復と同時に行うは島民の呼び込み
「何やら面白そうな予感！　よーし、頑張るよ！」
　まず《念入りな準備運動》を忘れずに行っておくリン。今回はやる事が多いので、朝から長めの準備運動だ。

「資材ならごごに一杯あるでな」
　廃屋を指さすお婆さん。廃屋にはもう誰も住んでいない。修復出来ずに出て行ってしまったのかもしれない。
「それじゃあ、有難く拝借してっと……」
　パイプに空いた穴からガスが出ているままなので、まず塞ぐ作業からだ。これにはトンカチや接着剤、番線などを探し出して提供してくれたユートアレスの島民達に感謝である。
「ガチガチに巻いて……よし！　水道管もだね！」
　同じ要領で空いた穴から水が零れないように、確実に塞いでいく。

「それじゃあ道の修復だけど、まず既存の道を剥がすよ！」
　簡単にバリバリと剥がせる訳ではない。だが準備運動は1時間ほど行っていたので、テコの原理と【鍛え抜かれた身体】による怪力でどうにか剥がしていく。これぞ埒外の猟兵にしか出来ない力だ。
「ふう……そうしたら、ここに既に作っておいたアスファルトの材料があります」
　道を剥がしたのち、廃屋の木材で作っておいた枠の中へと新たな道の材料を流し込む。強度に関しては上から踏んでいくのは一人では難しいので、固まるまでに時間もある事だし、また別の者に固めるのを手伝ってもらう必要がありそうだ。

「ふいー、疲れた！　そうしたら、最後！　看板を作るよ！」
　廃屋にあった木材を釘や番線で繋ぎ合わせて、大きな看板へとしていく。
「何書くんだおめぇざん」
　老人の一人が聞いてくる。
「『ユートアレス島へようこそ！』って大きく書いて、木と木の間に挟んで固定しておくんだ」
　既にかなり大きな看板になっているので、これなら通りかかった船舶から見えるかもしれない。
「でも、それだけじゃ島民は集まらないから……人口の多い所に呼びかけなくちゃね！」
　ここよりもっと人口の多い島や陸地は、まだ見つかっていない。早急なタスクだろう――。

　★ガスパイプと水道管の修理が完了しました！
　★道の舗装が半分程度完了しました！
　★もっと人口の多い島や陸地が見つかれば、住民も集まるでしょう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

●次に備えて
「はー、行ける距離に有人島があったんだなー」
　ウルザはバロンＤ号から降りると、粗方復旧したユートアレス島を眺める。
「グラトニ様？　は倒せてるしインフラ整備も結構終わって……海渡ってまた新しく怪物来る可能性もあるか？　じゃあ、見張り台作っておけば発見とかし易くなるんじゃねえか？」
　ウルザの提案にぺこりと頭を下げる島民達。
「おねげぇじまずだ」
「ああ、力仕事なら任せてくれよな！」
　見張り台になりそうな資材は廃屋にまだまだあった。少し足りないので、少しばかり木こりもさせて頂く事に。

「魚を養殖するための……梁だっけ？　そういうのも島民呼ぶなら必要だろうし」
　梁を作り、既存の仕事場の修復分の木材も運んでいく。太陽光が射して樹の成長も促せるので木こり作業は一石二鳥である。

「とりあえずこんな感じか。後は……」
　後は道の舗装。重めの丸太の皮を取って凹凸の無い綺麗な形にしたところで圧し潰すように舗装していく。固まれば、綺麗な道の出来上がりだ。

　そして、海の中へと潜るウルザ。
「(巣とかあったら大変だし……あと海流的にこの近海から財宝が流れてきたらしいってのも気になるしな！)」
　そうなのだ。財宝があるとすれば、この近くな事は分かっているので魔獣の巣等が無いか探すついでに財宝を探す。

　すると、大きな横穴を見つけた。巣だろうか。中を慎重に覗くと、そこには沈没船が眠るように鎮座していた。
「(……これは……。財宝も沢山ある、もしかしてこの横穴に沈んだ所から少しずつ流れていったのか？)」

　沢山の年月をかけて、遥か昔に沈んだ船からの贈り物がアルカディーテ島まで届いたと考えると、とてもロマンチックである。
「(でも、この横穴はユートアレス島のすぐ近くだしな)」
　財宝は、ユートアレスの振興の為に寄付しても良いだろう。財宝目当てのトレジャーハンターが島民募集に混じって来る可能性はあるが、言うて沈没船は現状これ一隻だ。むしろ『お宝の眠る島』という売り文句にして重要文化財にするなど、手法はいくらでも思いつきそうである。

　海から上がり、ウルザはその事を島民達に話すと島民達はたいそう驚いていた。
「あんれまぁ！　財宝が沈んどるの！」
「どれぐらいの価値なんだがね？　その財宝売っだ金で島民呼べるんげ？」
「価値は分からないけど、相当古い財宝だったのは確かだな！」

　ウルザの言葉に、島民の高齢者達は目に輝きを取り戻したかのようだった。

　★見張り台と梁を作りました！
　★道の舗装が完了しました！
　★財宝を見つけました！　ユートアレス島の方々が有効活用する事でしょう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2024年10月23日