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Romancing Drive~限界へのロード

#キマイラフューチャー

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#キマイラフューチャー


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●Speed Demon
 かつて、この世界には『速さ』に魅せられた人々がいた。
 各々が自慢のマシンを持ち出し、極限のスピードを――限界ギリギリのスリルを追い求め、互いに切磋琢磨し、そうして認め合う。
 はたして彼らは何に惹かれ、何処へ向かおうとしていたのか。
 彼ら亡き今、風に問いかけてみてもその答えは帰ってこない。
 ――ここはキマイラフューチャー。昼夜を問わず煌々と光り輝く、近未来的なハイウェイの一角。
 そこを訪れたのは、日々を自由気ままに過ごし続ける、とあるキマイラの一団。
 あてもなく、されど何かに導かれるよう夜空の星を辿り、かつての夢の跡を彼らは征く。
「なあ、見ろよあれ!」
 集団の一人、まだあどけなさの残る少年が不意に立ち止まり、声を上げた。
 少年の指差す先、それは曲がりくねったハイウェイの遥か彼方の向こう側。
 響き渡るは大気を震わせる唸り声のような駆動音。微かに見えてきた鋼鉄の威容から吐き出される黒煙。そして、その後ろを追従する幾重もの光の帯。
 理由はわからない。しかし、まるでハイウェイを侵し、蹂躙するかの如く疾走するその姿を目に留めたキマイラ達は、自身が不思議な感覚に囚われていくのを感じていた。
「すっ……げえ……!」
 胸の奥が、熱い。
 一切のスピードを落とす事なく、屈曲した地帯へと滑り込む鉄塊の群れ。それは赤い光の尾を引きながら、美しい弧を描くようにして風を切り、世界を塗り替えていく。
 その動きから目を逸らせない。逸らしたくない。
 自身達の中に眠る『何か』が高ぶり、呼び覚まされていく。
 しかし、彼らがその感覚の正体に気がつくことは永遠に無かった。
 なぜなら、鋼鉄の化物達が彼らの元を走り抜けた後、そこに残されていたのは赤い血溜まりだけだったのだから――。

●Racing Spirits
「みんな、集まってくれてサンキューな! 早速だけど、事件だ!」
 狼谷・賢太郎(イマチュアエレメントマスター・f09066)はよく通る声で、事のあらましを語り始める。
 事件が起こるのはキマイラフューチャーのとあるハイウェイ。かつて数多の車両が行き来したであろうその場所に、機関車の様な風貌の怪人を筆頭とした集団が現れる未来が見えたらしい。
 しかも、それはただの怪人集団ではない。各々が何かしらの乗り物に乗っており、ハイウェイを猛スピードで走り続けているとのことだ。
「そいつらの目的は不明なんだけど……一つだけ、分かっていることがある。それは……」
 ――それは、とにかく速く走ること。
「いや、それだけなら別に大した問題でもないんだ。ただハイウェイを走っているだけなら、ぶっちゃけ放っておけばいいんだし」
 しかし、そうもいかない理由があった。
 確かに彼らがただ速さを求めて走り続けているだけなのであれば、放っておけばいずれは満足して、何処かへ消えていくことだろう。
 だが、もし彼らがハイウェイを飛び出したら? キマイラ達の集う都市で、同じ事を始めたら?
 何が起こるのかは想像に難くない。事実、既に何人かのキマイラ達がその暴走に巻き込まれ、命を落としている。
「そこで、みんなにはこれ以上の被害が出ない内に、この怪人達を倒してほしいんだ」
 ところが、そこにも大きな問題がある。
 先に説明された通り、怪人達は何らかの乗り物でハイウェイを疾走している。追いつく為には何にも負けない強靭な脚力が必要となるが、そんな芸当が出来るのは限られた極々一部の猟兵だけだろう。
「だから、今回はこんな物を用意してみたんだぜ!」
 賢太郎は振り返り、自身の後ろに並べられていた何かに掛けられた布を、自信満々に取り払う。
 布の下から現れたのは、レーシングカーやバイクといった乗り物の数々。
「みんなにはこの乗り物を使って、怪人達を追いかけてもらいたいんだ。つまりは――レースだ!」
 賢太郎はその瞳をきらきらと輝かせながら、猟兵達にそう言い放った。


空蝉るう
 猟兵の皆様、初めまして。空蝉るうと申します。
 新参者ではありますが、どうぞよろしくお願い致します。
 今回の冒険の目的は暴走を続ける機関車怪人の討伐。取り巻きの怪人については機関車怪人を討ち果たせば何処かへと走り去っていくので、あまり深くは考えなくても大丈夫です。
 第一章では取り巻き怪人達とのレースを。
 第二章では機関車怪人に追いつき、追い抜くまでの過程を。
 第三章では機関車怪人との決戦といった流れを描かせて頂く予定です。
 乗機については賢太郎の用意したマシンを使って頂いても構いませんし、自ら持ち込んだ思い入れのあるマシンを使っていただいても問題ありません。もしかしたらロードローラーなんかも用意されているかもしれません。
 脚力に自信のある方はその実力を存分に発揮してみてください。その他にも空を飛んでみたりと、追いかける方法に制限は設けません。可能な限り描写させて頂きます。
 また、取り巻き怪人そっちのけで猟兵同士で競い合って頂いても構いません。わちゃわちゃとしている間に、最終的には機関車怪人に追いつきます。めくるめくハイスピードバトルをお楽しみください。
 可能であれば適度にアドリブを入れさせて頂く予定ですので、アドリブNGの方はその旨をお伝え頂ければ対応致します。
 それでは皆様の熱いレース魂……もとい、熱いプレイングを心よりお待ちしております。
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第1章 冒険 『Racing Khimaira』

POW   :    力強いdrivingでrivalを圧倒する

SPD   :    巧みなhandle technicでrivalを翻弄する

WIZ   :    危険な運転は交通事故の元なので、法定速度を守り安全運転を心がける

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

トルメンタ・アンゲルス
へぇ、速さを追求しているんですか。
なるほど、その考えは非常に良い物ですねぇ。俺も同感ですよ。
――他人に迷惑をかけてなければなぁ!

上等ぉ!引導を渡してやる!
C'mon! NoChaser! 俺達の速さ、見せてやろうぜ!
これが俺の、マキシマムグッドスピードだ!
さぁ、行くぞぉ!

俺の相棒、宇宙バイクのNoChaserに乗り込んでいくぜ!
速さとDrivingTechnicの「差」って奴を見せつけてやりますよ!
なんせこっちは、宇宙で帝国軍の砲火の雨霰を潜り抜けてきてるんですからねぇ!



●Straight, No Chaser
「へえ、あなた達は速さを追求しているんですか」
 夜更けのハイウェイに響き渡るのは、どこか慇懃無礼にも聞こえるような一声。
 遙か先を行く黒い影に追従する形で大地を駆けていた怪人達は、闖入者の問いかけに思わず速度を落とす。
「なるほど、その考えは非常に良い物ですねぇ。俺も同感ですよ」
 不審がった様子で辺りを見回せど、目に映るのは燦然と輝く灯火だけ。
「――他人に迷惑を掛けてさえいなければなぁ!」
 上を見ろと叫んだのは誰だったか。
 怪人達が一斉に視線を向けたその先。空間を裂き、テレポートの余波による紫電を放ちながら現れたのは、装甲を纏った一人の少女――トルメンタ・アンゲルス(流星ライダー・f02253)だった。
 風に逆らい、銀髪を靡かせながら舞い降りる姿。自信に満ちた表情に一切の曇りはない。
「C'mon! NoChaser! 俺達の速さ、見せてやろうぜ!」
 その叫びに呼応するかの如く、トルメンタの纏った装甲は形を変えていく。それこそが彼女の繰る相棒である宇宙バイク『NoChaser』。
 彼女らが接地したその刹那。それはさながら一条の流星が如く、爆音と共にハイウェイを駆け抜ける。
 暫しの間呆気にとられていた怪人達も大気を震わす唸り声を聞けば我に返り、先行く姿に追い縋ろうと再びその速度を上げていく。
 しかし、怪人達がどれだけ走ろうともその距離は一向に縮まらない。
 怪人達のマシンに搭載された火器が火を噴くも、トルメンタの姿を捉えることができない。
 それこそが怪人とトルメンタとの間にある圧倒的な差。
 決して覆すことの出来ない宇宙仕込みのDriving Technic。そして、一切の混じり気がない、速度に掛ける純粋な情熱。
「これが俺の……俺達の、マキシマムグッドスピードだ! さあ、行くぞぉ!」
 呆然とする怪人達を尻目に、トルメンタとNoChaserは更に速度を上げ、遥か彼方を行く機関車怪人の元へと駆けていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

メタ・フレン
【WIZ】選択します。

賢太郎さんの用意してくれたマシンを適当に選んで、それに乗り込みます。
そしてわたしは安全運転を心がけ、法定速度を守って走行します。そう、「わたし」はね……

車を走らせながら、エレクトロレギオンで機械兵器達を召喚。わたしの前方を走る取り巻き怪人達を、機械兵器で攻撃します。で、車を壊され足止めを食らった怪人達の横を、わたしは安全運転で悠々と通り過ぎるわけです。
言っときますけど、わたしはちゃんと安全運転を心掛けますよ? ただ、他の人達の危険に関しては、一切関知しませんけどね。


ムルヘルベル・アーキロギア
【WIZ:安全運転】
オブリビオンどもとのHighway Race……危険すぎるではないか……
Driveは楽しいが……Risc Management……生きるか死ぬかチキンレースなんて冗談じゃねえ……

というわけでおとなしく安全運転をするワガハイ。
「まったく、どいつもこいつも熱くなりおって」
「智慧あるワガハイが、利口なレースの仕方というものを見せてやろう!」
後列から怪人どもの運転のブレを見抜き、速度が落ちたらフルスロットル!
これを繰り返していけば自然と連中を追い抜けるというわけであるな
「Topはワガハイのもの! Loserなんて……冗談ではない……」
などと言って、熱くなったりするやもしれぬが。



●No one escape
 先を行く姿を呆然と見送るしかできない怪人達。しかし、その後ろには迫りくる新たな影があった。
 安全運転の名の下に、黒鉄の装甲車を繰るのはメタ・フレン(バーチャルキャラクターの電脳魔術士・f03345)。
 物々しい雰囲気を纏わせたその威容を認めれば、さしもの怪人達の間にも動揺が走る。
「わたしが心掛けるのは安全運転。危険な運転は事故の元、法定速度を守って安全に走ります」
 備え付けの拡声器から発せられた声は、女性的で柔和なそれ。
 されども厚い外殻で包まれた装甲車はメタの姿を、その内に秘められた心までをも覆い隠す。
「そう、『わたし』はね……」
 怪人達が安堵する間もなく告げられたのは、ただ一つの宣告。音を立てて開かれる装甲車の後部ドア。染み出すように吹き出してくる、何かの群れ。
 疑問が確信へと変わる前に、その時は訪れた――。

●High risk drivers
 一方、ほぼ同時刻。メタの少し後ろを走っていたのはムルヘルベル・アーキロギア(執筆者・f09868)だ。
「まったく、どいつもこいつも熱くなりおって……」
 その走行法は安全を考慮し、事故を嫌ったセーフスタイル。
 前方を走る怪人達の運転のブレを冷静に見抜き、速度が落ちた瞬間を狙ってのフルスロットル。
 状況を瞬時に判断し、相手の隙に喰らいつく。これこそが智慧を持つ者の、誇り高きアーキロギア一族の戦い方。
 一度追い抜かれ差が生まれてしまえば、数多のマシンがひしめき合うこの状況での逆転は決して容易ではない。
 それを繰り返す事で少しずつだが着実に、ムルヘルベルは先を行く機関車怪人との差を詰め続けていた。
「それにしても……オブリビオンどもとのHighway Raceなど、危険過ぎるではないか……」
 後方から迫る怪人の遠慮のない射撃を躱しながら、ムルヘルベルは独りごちる。
「確かにDriveは楽しいが……Risc Management。生きるか死ぬかのチキンレースなど、冗談ではない……」
 不意に頬を掠めた一発の銃弾に、思わず息を呑む。
 尊大に振る舞ってはいるが、その実は小心者。迫りくる死の恐怖に震える自分が心の中にいた。
 そんな自身を奮い立たせるよう、ムルヘルベルは声を上げ、背後に迫る怪人へと宣言する。
「無粋者め! 智慧あるワガハイが、利口なレースの仕方というものを見せてやろう!」
 異変が起こったのはその時だった。
 前方を走る怪人達の様子が、明らかにおかしい。
 虚空に向かって火器を放つ者、何かから逃げるよう必死にハンドルを切り蛇行する者。中には自ら遮音壁へと突っ込み、クラッシュする者達までいる始末。
「む、一体何が……」
 ムルヘルベルの目に留まったのは前方を走る装甲車。
 メタの繰るそのマシンは、開かれた後部ドアからエレクトロレギオンを放ち、大量の小型戦闘兵器による怪人達への無差別攻撃を行っていた。
「わたしは安全運転を心掛けますよ? ただ、他の人達の危険に関しては、一切関知しませんけどね」
 無数の小型戦闘兵器に襲われ、為す術なく横転し炎上するマシン。何とか巻き込まれる前に脱出した怪人達の悲鳴が、ハイウェイに木霊する。
 小型戦闘兵器のそれら一体一体は、攻撃を受ければ一撃で消えてしまう程に脆弱な存在だ。
 しかし、カーチェイスの最中、道路上を這い回るその姿を捉えるのはそう容易いことではない。
「それでは、失礼しますね」
 マシンを失い呆然と立ちつくす怪人達の横を、メタは悠々と通り過ぎていく。勿論、安全運転で。
「…………」
 目の前で繰り広げられる惨状に、思わず言葉を失うムルヘルベル。
「ええい、Topはワガハイのもの! Loserなんて、冗談ではない……!」
 ハッと我に返ったムルヘルベルは急加速し、進路を塞ぐクラッシュしたマシンをウィザード・ミサイルで跳ね除けながら、メタの装甲車を追走する。
 早くも混沌とした様相を呈し始めたハイウェイ。
 されど、猟兵達は確実に、機関車怪人との距離を詰めつつあった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

セリエルフィナ・メルフォワーゼ
【SPD】対応で行くよ!

マシンは使わず、ボクの脚と翼で勝負するよ。【ダッシュ】で加速を付けてからの【ジャンプ】、そこから【スカイステッパー】で空中疾走を続けるよ。

で、【オーラ防御】で全身からオーラを出して、【スカイステッパー】を使うときにそのオーラを【レガリアスシューズ】に一点集中させるよ。【レガリアスシューズ】は圧縮した大気を一気に吹き出すことで駆動力に変えているんだけど、オーラでその大気圧縮力を強化するんだ。これでより駆動力も高まって、【スカイステッパー】の速度と飛距離も飛躍的に増すってわけ。

ヒラヒラしたドレスが今回はちょ~っとハンデになるけど、それでも取り巻き怪人なんかには負けないよ!


シキ・ジルモント
判定:SPD
※アドリブ歓迎

今回は何を倒せば…何、レースだと
これも仕事、か…?
まぁいい、やるからには本気だ
手は一切抜かない

乗り物は持ち込ませてもらう
自前の宇宙バイクでレースに挑む
慣れた物の方が扱いやすいからな
ユーベルコードを発動してスタートする
さぁ、いくか

前に走者がいるならカーブで追い抜く為に『追跡』で追いついておこう
トップを走る時は『逃げ足』で後続と差を付ける

コースの先を読んで『地形の利用』を意識
カーブではインコースを突いて『騎乗』テクニックで速度を落とさず、一気に追い抜く

まぁ結果はともあれ、こうして思い切り走るのも
たまには悪くないな


朝凪・深月紅
この紅いバイクを借りますね。
人形動かすのと同じようにやればなんとかなり……ますよね?

普段乗ったりしませんし、せっかくなのでまっすぐ走るだけじゃなく
出来る事を限界までやらせて貰いますね。
(バイクに乗ること自体は非常に楽しめそうですし、ね)

【SPD】
【誘惑1、フェイント2、残像3】
走るだけならアクセル全開って聞いたからそれに従い
なるべく他者を自身からは妨害しないように走らせます。
狐火を展開しながら走り、他者からの妨害が合った場合に誘惑・フェイント用に使いましょう。

安全第一、ですよね?
【アドリブOKです】


山梨・玄信
ふむ、無法者というのはどの世界でも暴走するものらしいのう。
さて、わしの乗り物じゃが…これは!?

【POWを使用】
乗り物はゴツゴツした岩っぽいオープンカーじゃ(イメージが分からない場合「岩石オープン」で調べてください)。
小細工は無しで突っ走るぞい。もちろん、ただ暴走してはいかんからのう。見切り、第六感でギリギリのコーナリングを行い、情報収集と聞き耳でライバルの動きを警戒するぞい。
妨害して来たら、衝撃波と範囲攻撃で反撃じゃ!

「何か頼りなさそうな乗り物じゃが…用意されとるんじゃから大丈夫じゃろう」
「行くぞい、怪人共。勝負じゃ!」
「邪魔はさせんぞ!」

アドリブ、絡み大歓迎じゃ。


ニィナ・アンエノン
【SPD】
ここはChimaira future……
ハイウェイではキマイラも怪人もイェーガーも……一人のSTREET WARRIOR……
やれば分かるはずさ……走りの熱さってヤツが……

こんな感じ?にぃなちゃん、ぽえむ?ってゆーの良く分かんない☆
まぁいいや!折角色んな子を揃えてくれたけど、やっぱりにぃなちゃんはこの子が一番!
レースなら自分のバイクで参加するよ♪
にぃなちゃん運転には自信あるし、ダッシュと勇気でガンガン攻める!
障害があったら跳んでも良いし、スライディングでかわしてもいいなぁ
それでも足りなきゃゴッドスピードライドで飛ばすよ!
だいじょぶだいじょぶ、にぃなちゃんの人生、ぜろよん?だから!



●Strange encounter
 時は少し遡り、ここは出発直前のグリモアベース。
 他の猟兵達が次々にと飛び出していく中、山梨・玄信(ドワーフの破戒僧・f06912)は自身の乗機を決めあぐねていた。
「さて、わしの乗り物じゃが……ふむ、どうしたものかのう」
 用意されたマシンの数々に惹かれないという訳ではない。だがしかし、あと一つ、決定的な何かが足りない。
 理由の分からないもやもやとした感情を抱えたまま、玄信はため息混じりに次なるマシンへと視線を移す。
「むむっ、これは……!?」
 ――その時だった。運命的とも言える、奇妙な出会いを果たしたのは。

●Battle and Chase
 ――ここはChimaira future……。
 ハイウェイではキマイラも怪人も猟兵(イェーガー)も、一人のSTREET WARRIOR……。
 そう、キミ達もやれば分かるはずさ……走りの熱さってヤツが……。
「……っと、こんな感じ? にぃなちゃん、ぽえむ?ってゆーのよく分かんない☆」
 黒煙を上げる残骸の数々をジャンプ台代わりに宙を舞い、そして自身に迫る怪人を見事なスライディングで避けながら夜のハイウェイを疾駆するのはニィナ・アンエノン(スチームライダー・f03174)。
 幼き頃から宇宙バイクを揺り籠代わりにして育った彼女には、この程度のムーブなど朝飯前。並み居る怪人達を退けながら、スリップストリームを駆使する事でその速度を上げていく。
「にぃなちゃん、まだまだ加速中!」
 先程口走ったポエムの意味はニィナ自身にもわからなかったが、その胸の内に秘めたモノ――一人のStreet Warriorとして感じている走りにかける情熱、高鳴る胸の鼓動に偽りはない。
「んー、折角色んな子を揃えてくれていたみたいだけど、やっぱりにぃなちゃんはこの子が一番だね♪」
 そんなニィナの呼びかけに応えるかの如く、彼女の愛機であるヤンソン:テンプテーションZ17スチームカスタムは大量の水蒸気を噴き上げながら、未だ姿の見えない黒鉄の蒸気機関との距離を詰めていく。
 そのすぐ後ろ、ニィナに肉薄する影が一つ。シキ・ジルモント(人狼のアーチャー・f09107)だ。怪人達を挟んだ少し離れた位置には朝凪・深月紅(妖狐の人形遣い・f02133)の姿もある。
 視界を覆う白煙に眉を顰めながらも、次なるカーブで前方を行くニィナを追い抜くべく、シキはその乗機であるカスタムバイク・レラと一体になり、より速度を速めていく。
「まさか、次の仕事が怪人とのレースになるとはな。……だが、まあいい」
 行く手を阻む怪人達など、既に眼中には無い。
 目指すのはその先にある超えるべき背中――自身の前を行く、ライバルの姿だけ。
 スロットルは全開に。レラはシキの想いに応えようと、その唸りを夜のハイウェイに轟かせていた。
 補整された路面をレラはトップスピードで容赦なく切りつけていく。シキの巧みなハンドルテクニックは、怪人達の妨害を許さない。
 静かに燃える闘志を内に秘めた彼らのその在り方は、正しく『人馬一体』ならぬ『人機一体』。
「やるからには本気だ。例え相手が誰であろうと、手を抜くつもりは一切ない」
 シキとニィナ、ゴッドスピードライドによって既にマシンの限界超えた性能を引き出しつつある二人。
 猟兵としての純粋な実力ではニィナが一歩先を行くが、シキは生まれたその差を細かな運転技術――自身の持つ技能を上手く活かすことで埋めている。
 故に、今の両者はほぼ互角。少しでも気を抜いた方が道を譲ることになるだろう。
 シキはそんな現状を冷静に、頭ではなく、その肌で感じていた。
「二人共すごい……。でも私だって、出来る事を限界まで……!」
 ハイウェイを駆ける紅い影――深月紅もまた、道を塞ぐ怪人達を纏ったフォックスファイアで上手くいなしつつ、先を行く二人との距離を着実に縮めていく。
 人形遣いが本職である深月紅は、取り立てて運転に秀でているというわけではない。
 しかしそれが何であれ、操り手がいなければ動かないのは人形と同じ。ならば、そこは彼女の領域だ。
 自身で行える事を人形でも同じく行えるように。そんな努力を続けてきた深月紅にとって、このバイクを操ることもそう難しい事ではなかった。
「こんな感覚、森にいた頃には感じたこともなかったなぁ……」
 ただ真っ直ぐに走ることだけではなく、与えられたこの機会を――今、この瞬間を楽しみたい。故に、深月紅は往く。
 風を肌で切る新鮮な感覚を楽しみながら、ハイウェイを駆けるStreet Warriorの一人として彼女もまた、その胸に宿った熱い何かを感じていた。
 さあ、アクセルを踏み抜き、この道の先へどこまでも――。

●Step into the future
 地を駆ける猟兵達とは別に、空にもまた、ハイウェイを翔け抜ける一つの影があった。
「このヒラヒラしたドレスはちょ~っとハンデになるかもしれないけれど、それでもみんなには負けないよ!」
 セリエルフィナ・メルフォワーゼ(天翔ける一輪の君影草・f08589)はマシンではなく、自身の持つ脚と翼を用いることで機関車怪人との距離を詰めていく。
 その姿に気がついた怪人達が上空へ向けて火器を斉射するも、足元に纏わせているオーラによって、その弾丸がセリエルフィナに届くことは決してない。
 ダッシュによる初速の確保からの飛翔、スカイステッパーと自身の持つ技能の組み合わせ。
 それら全てが効率的に働き爆発的な加速を生むことで、彼女は今、誰よりも速くこの世界を翔けていた。
「もしかしたらあの人も、空を舞う時はこんな気持ちだったのかな……」
 ふとセリエルフィナの脳裏を過ったのは、彼女の王国で語られる、かつて国を救ったとされる伝説的な英雄の姿。
 湧き上がる感覚に頬を綻ばせながら、セリエルフィナは華麗なステップで再び空を舞う。
 今やレガリアスシューズから放たれる圧縮された空気は彼女の飛翔を助けるだけではなく、下方で道を塞ぐ怪人達のマシンへと突き刺さりその動きを止めることで、他の猟兵達の助けにもなっている。
 この瞬間、キマイラフューチャーの空はセリエルフィナが舞う一つのステージと化していた。
 そして今このステージに、踊り手である彼女の邪魔をするものは何もない。
「風を切り、この闇の向こうへ、どこまでも!」
 向かい来る闇を振り払いながら、空というキャンバスに描かれるのは銀色の軌跡。
 確かな手応えを感じながら、セリエルフィナはキマイラフューチャーの明るい未来へと向け、飛び立っていく。

●Faith will move mountains
「漸く、追いついたようだな」
 先を行く猟兵達の姿を、そしてその更に先を行く黒鉄の威容――機関車怪人の繰る蒸気機関車の姿を認めたシキは、更に激しさを増すであろう戦いを予見し、愛銃であるハンドガン・シロガネを抜いて身構える。
「だが、ここからが本番だ。どんな結果になろうとも、思い切り走り抜いてやるさ」
「ふふ、そんなに気負わなくてもだいじょぶだいじょぶ♪」
 並走していたシキに明るく告げながら、思い切って黒鉄の蒸気機関へと肉薄するニィナの走りに一切の迷いは見られない。
「ダッシュと勇気でガンガン攻める! 悪いことは考えない! だって、にぃなちゃんの人生、ぜろよん?だから!」
 ニィナの曇りなき瞳が映すのはオブリビオンの遥かその向こう側。
 絶えることのない観客達の歓声と、大きく振るわれる栄光のチェッカーフラッグだけだった。
 そのどこまでも真っ直ぐな言葉に微笑したシキもまた、その様な姿を見せられては黙ってはいられないとばかりに速度を上げ、機関車怪人へと迫っていく。
「安全第一ですけど、私だってお二人には……あら?」
 そんな二人の姿を見つめていた深月紅は背後へと迫るただならぬ気配に気が付き、警戒するよう振り返る。
「――ぬおおおおお! なんとも頼りなさそうな乗り物じゃったが、こうして走ってみればこれが中々!」
 ――岩の塊が、走ってくる。
 岩の塊という表現には語弊があった。正しくは、岩の形をしたオープンカーのような何かが走ってくる。
 その正体は玄信の繰るマシン。奇抜な風貌とは裏腹に、凄まじい速度で先行する集団を猛追していた。
「行くぞい、怪人共! 皆の邪魔はさせん。いざ、勝負じゃ!」
 何故か備え付けてあった棍棒を振り回しながら、玄信が吠える。
 狼狽える怪人達、迫る岩塊。
 薙ぎ払うように放たれた棍棒の一撃は怪人達をマシンから引きずり下ろし、岩のような躯体から放たれる謎の衝撃波は残ったマシンを何処かへと吹き飛ばす。
 先行し、上空から様子を伺っていたセリエルフィナでさえ、その様子には思わず目を丸くする。
「……世の中には、あんな車も存在していたんですね」
 気がつけば、深月紅の口からはそんな言葉が漏れ出していた。
「はっはっは! 無法者など恐るるに足らずじゃ!」
 急なカーブでも一切の速度を落とす事なく、玄信は自身の直感を頼りに、確実に先行集団との距離を詰めていく。
 無双めいた走りを見せる岩塊のすぐ後ろ、後に続いていた他の猟兵達も各々に取り巻きの怪人達を蹴散らし、蒸気機関車へと迫りつつあった。
 宵闇の中で鋭く鳴り響く、荒々しい汽笛の音。
 猟兵達の戦いは今正に、次のステージへと移ろうとしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『勝利の栄光を掴め!』

POW   :    情熱を燃やして優勝する

SPD   :    冷静な作戦で優勝する

WIZ   :    なんやかんやで優勝する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●Devour future
『ふん、なんとも無作法で、度し難い輩もいたものだ』
 機関車怪人は自身を追走する猟兵達へと振り返り、忌々しげに舌を打つ。
 地を駆け、空を翔け、共に尊き理想を抱いた同士達を屠ってきた猟兵達は、機関車怪人にとって今や不倶戴天の敵に他ならない。
 周囲を見回せば、それこそ掃いて捨てるほどにいたはずの同士達――取り巻き怪人達の数も、既に片手で数えられる程にまで減っていた。
『我らが追い求めるは至高の速さ、それこそが旧人類の残せし叡智の極み。些か不躾ではあったものの、彼奴らとて初めは我らが理想の賛同者なのかと思っていたが――』
 機関車怪人は嘆くように頭を振り、再度猟兵達を振り返る。
 彼らは自身の掲げる理想を否定し、自らがその叡智を体現する事でこの星の新たな住人にその素晴らしさを伝えるというささやかな願いさえも打ち砕こうとしているのだ。
『――いいだろう、ならば貴様達は我らの敵だ。このDF号に追いついた事は褒めてやる。だが、この理想を否定し、打ち砕かんとするのなら、まずはその実力を見せてもらおうか』
 機関車怪人がそう言い放った刹那、彼の繰る蒸気機関車――機関車DF号の汽笛が唸りを上げる。
 吐き出されていた黒煙は白く透明感のある水蒸気へと変わり、今や先程までとは比にならない程の加速で猟兵達を引き離さんと疾走し始めていた。
『さあ、異邦人共よ、かかってくるが良い! 旧人類の叡智の体現者たるこのDF号を、我らが掲げる理想の全てを! 貴様らの持つ全てを賭けて、今ここで超えてみせよ!』
 機関車怪人の宣言に同意するかの如く、まるで嘶くかのように汽笛を鳴り響かせるDF号。
 ――手段は問われない。今こそが猟兵の力を見せつけ、怪人の繰るDF号を抜き去り、この終わりなき暴走に決着をつけるその時だ。
ニィナ・アンエノン
【SPD】アドリブ歓迎
蒸気機関!
となるとほんとに負けてられないね、テンプテーション!
なんてったって同じ蒸気エンジン積んでるんだから…
にぃなちゃん特製のV8蒸気エンジンの力、見せてやる!

…と言っても大きさが違うし、馬力じゃ負けちゃう。
だったらこっちは小ささを生かして走らなきゃね☆
カーブで相手より内側を狙ったり、障害物はスライディングでかわしたり飛び越えちゃう!
コースの作りによっては飛んでショートカットも出来ちゃうかも?
【空中戦】【スライディング】【情報収集】が役に立つかな?
他の仲間にも負けたくは無いけど邪魔するのは悪いし…
となるとやっぱり!
ダッシュとゴッドスピードライドでストレートをかっ飛ばす!


山梨・玄信
このマシンに乗ったからには、根性で優勝を目指すのじゃ。
気合いを入れて行くぞい。

【POWを使用】
これまで以上に集中力を高めて、第六感と見切りでコース取りとコーナリングをするぞい。
DF号の妨害には、まだ取り巻きが居れば敵を盾にするを、居なければオーラ防御と激痛耐性で耐えつつ、カウンターの鎧無視グラップルをお見舞いするぞい。
ゴールが近付いたら、棍棒で自分の頭を叩きつつ全力で加速じゃ。

「汽車とは時間通りに走るのが本分のはずじゃがのう。暴走機関車は不要なのじゃ」
「それしきの妨害ではへこたれんぞい」
「何故、頭を叩くかじゃと?気合い入れるために決まっておろうが!」

アドリブ、絡み歓迎じゃ。


シキ・ジルモント
判定:SPD
アドリブ歓迎

確かに気負い過ぎも良くない
ここは冷静に勝利を掴みに行こうか

ユーベルコード発動
バイクを更に高速走行が可能な形態へ変形、加速し追走する
この変形はバイクに少々無理をさせるが躊躇しない
コイツなら耐えられると、俺は信じているからな

DF号が走る軌道を先読みし、ライン取りを邪魔されたら『見切り』、躱す
相手の失速や有利なライン取りが可能なコーナー等、好機と見たら『騎乗』テクニックで多少強引にでも抜きに行く

『フェイント』も織り交ぜ追い上げ並走に持ち込み、『クイックドロウ』で銃を構え後方の地面へ『2回攻撃』
撃った反動を利用し急加速、そのまま抜き去りたい
最後まで気を抜かず『逃げ足』で逃げ切る


ムルヘルベル・アーキロギア
【使用能力値:WIZ】
ぬう、オブリビオンの分際でかっこいいことをいいおって……!
こうなればワガハイも本気で臨もう。いや最初から本気であるが。

具体的にはトップ争いから離脱するのだ! だってスピード勝負とか怖いし!!
ワガハイは知力系なのでそういうのは不慣れである
とはいえ諦めるのかと言えば違う
他の仲間達が彼奴らを追い抜くためのサポートを行うとしよう
「全てを賭けろと言うたな? ならばもはやルール無用である!」
奴らの加速の瞬間やフォーメーションを【見切り】、【封印文法】を的確に発動して取り巻きの数を削ぐ
DF号そのものは……いや、邪魔者さえ減れば、猟兵たちならいけるはずであろう
「ワガハイの分まで頼むぞ!」


トルメンタ・アンゲルス
ん見つけたァ!
追い越してみろ?甘い!
そんな考えで、それ以上速くなれるとお思いですか!?

第一リミッター解除!真の力(姿)の片鱗をお見せしましょう!
更に!
「MaximumEngine――HotHatch」(ベルトの音声)
変身!アクセルユニゾン!
相棒を防御力重視のスタイルで一体化し加速!

更に、鎧装騎兵の有するプラズマジェットを噴出し加速!

そして、相手のフィールドにも乗り込んであげましょう!
「Tune-Up――SteamEngine」(ベルトのry)
起動、SteamOn!
スチームパンクで蒸気なパワーで、更に出力を高める!

さぁ、行くぜ機関車ヤロー!
お前が見る事の出来ない、速さの向こう側を見せてやる!


朝凪・深月紅
【SPD】
【アドリブOKです】

あら、これは純粋に私だけの力ではスピードが足りませんね……。
私だって勝ちたい思いはありますので私らしくやらせてもらいましょう。
これくらいならソロソロ余裕も出てきましたし、ね。


七ツ海さんに目の前の車に掴まってもらい、マシン毎引っ張ってもらうことでスピードを補っていき
それよりも早いマシンに近づくたび引っ張らせるマシンを移して行きましょうか。

私の七ツ海さんがコレくらいでへこたれる訳ありませんからね。
全力で私を引っ張ってもらいましょう。



●Rolling start
「……蒸気機関! となるとほんとに負けてられないね、テンプテーション!」
 先行するのは水蒸気を巻き上げながら暗夜を猛進する黒い鉄塊――機関車怪人の操る、機関車DF号。
 対するはニィナ・アンエノン(スチームライダー・f03174)と彼女の操る宇宙バイク、ヤンソン:テンプテーションZ17スチームカスタム。そしてそれに並走するシキ・ジルモント(人狼のアーチャー・f09107)と宇宙バイク、カスタムバイク・レラであった。
 奇しくも動力を同じ蒸気機関とするテンプテーションとDF号。彼らは今ここで相見え、互いを超えるべき敵と認め、鎬を削っている。
『来たか、不遜な異邦人共……いや、違うな。我は貴様達を知っている』
 シキとニィナを一瞥した機関車怪人が、くぐもった声で自身に言い聞かせるかの如く言の葉を紡いでいく。
『ああ、知っている、識っているとも。憎くも愛しい我らが宿縁――世界を渡る、忌々しき猟兵達よ』
 黒鉄に覆われたその特異な容姿故、怪人が今浮かべているであろう表情を読み取ることはできない。
 しかし、怪人の眼前へと迫った猟兵達は仮面の向こう側から自分達へと向けられるその明確な敵意を、猟兵としての本能で感じ取っていた。
「ぬう、オブリビオンの分際でかっこいいことを言いおって……!」
 ムルヘルベル・アーキロギア(執筆者・f09868)はそんな機関車怪人の物言いに、思わず歯噛みする。
『しかし……成る程、であれば貴様達が我らの理想を阻むのもまた道理。となれば――』
 機関車怪人の言葉に応えるかのように、まるで歯軋りのような路面を削る不快な音を立てながら、DF号がその身を大きく捩らせる。
「これは……!」
 DF号の不可解な行動に眉を潜めたシキは野性的な直感――彼の持つ動物的な本能で理解した。『ここにいては不味い』、と。
「――危ない!」
 その異様な動きが意味することを、それによって引き起こされる未来を、シキと同じように直感で察した朝凪・深月紅(妖狐の人形遣い・f02133)は、対応が一瞬遅れたニィナへと向けて自身が信じる友を再現した人形――七ツ海を放ち、掴んだその身を浮かせてはマシンごと引き寄せる。
 それは射手としての天賦の才か。シキは襲い来るであろう軌道を見切り、瞬間的に構え放ったハンドガン・シロガネによる二連射撃で路面を抉る。
 銃撃の反動は前方へと進むその勢いを急激に削ぎ、大地を駆けるレラの速度を落とす。
 一瞬の後、轟音と共に二人がいたであろうその空白を、DF号に接続された炭水車が弧を描きながら抉り取っていった。
「ハッ、随分と汚い真似をするんですねぇ! それにしても、追い越してみろと宣っておきながら自ら勢いを殺すだなんて……そんな甘い考えでそれ以上速くなれるとお思いですか!?」
 迫る黒鉄の悪意を恐れることもなく、トルメンタ・アンゲルス(流星ライダー・f02253)は炭水車を躱しながら大きく声を上げる。
 事実、機関車怪人の取ったその行動はDF号の生み出す勢いを、その速さを確実に削いでいた。
『猟兵風情が一丁前によく吠えるではないか。だがしかし、現実はどうだ? こうまでして勢いを殺してみせても、貴様らはこのDF号の影を踏むことさえもできてはおらぬ!』
 機関車怪人の言う通り、未だ猟兵達がDF号に追いつけていないのもまた事実。圧倒的なその加速力は、一度は至近にまで縮まった差を瞬く間に広げていく。
 たとえ猟兵達が各々に熟練した運転技術を持っているのだとしても、馬力の違い――マシンの性能差という埋めようのない溝がそこにはあった。
 しかし、その現実を突き付けられてなお、トルメンタは不敵に笑ってみせる。
「だから甘いって言ってるんですよ! そして、そうまで言うのならお見せしましょう、俺達の真の力の片鱗を!」
 ――変身! アクセルユニゾン!
 大地を蹴り、空を舞う二つの影。トルメンタの叫びと共に、彼女の駆る宇宙バイクであるNoChaserの姿が、彼女の姿が変化していく。
『MaximumEngine――HotHatch.』
 ベルトから放たれる無機質な機械音声に合わせ、本来の形である装甲の姿を取り戻したNoChaserがトルメンタを包み込む。
 今や彼女は、NoChaserと一体となり、自らの足で大地を駆け出そうとしていた。
『ふん! 一体何を企んでいるかは知らぬが、その隙を我が見逃すとでも思ったか!』
 機関車怪人の叫びと共にDF号はその身を捩り、路面を侵す動輪が再び唸り声を上げる。
「なんの! わしの目の前で仲間をやらせはせん!」
 ハイウェイに響き渡る快活な叫びが一つ。
 トルメンタをかばうよう彼女の前に躍り出たのは、山梨・玄信(ドワーフの破戒僧・f06912)と彼の駆る岩塊――もとい岩石を象ったオープンカーのような何かだ。
 予想だにしていなかった闖入者の存在に、機関車怪人は思わず舌を打つ。
『勇気と蛮勇を履き違えた愚か者め! ならばその珍妙なマシンごと、望み通りこのハイウェイに沈めてくれる!』
 小柄な体躯に向けられた明確な殺意。火花を散らし、悲鳴にも似た嘶きを上げる従輪。
 その存在を塗り潰さんと、暴風の如き勢いを見せる黒鉄の暴力が玄信に襲いかかる。
「このマシンに乗ったからには、根性一つでただ走り抜けるのみ! それしきの妨害では――」
 ――鉄塊が何かを撥ねる鈍い音が、夜陰の中に響き渡った。
 再び七ツ海を放つことで玄信を守ろうと身構えていた深月紅、そして自身のユーベルコードでその勢いを削がんと画策していたムルヘルベル。
 それは自分達の反応速度を超えた一撃。眼前で起こった一瞬の出来事に、二人の猟兵は思わず息を呑む。
『ふふ……ふははははは! それ見たことか! それが貴様の選んだ道だ! 後先を考えぬ安直な選択が、貴様を人生の終着駅へと導いたのだ!』
 機関車怪人の勝ち誇った笑い声がハイウェイに木霊する。
 しかし、怪人は一つ致命的なミスを犯していた。
 それは炭水車の行く末を、自身が下した判断の結末を見届けなかったが故に――。
「――それしきの妨害では、へこたれんぞい!」
 そう。見届けなかったが故に、対応が遅れてしまったこと。
 宵闇を引き裂くかの如く轟いた咆号。炭水車を受け止めた玄信の姿が、そこにあった。
「そして、これはお返しじゃ!」
 オーラによる防御と痛みへの耐性、文字通りの力技でDF号の一撃を耐え抜き、それをグラップルで受け止めた玄信。
 そして今放たれるのは、自身が受け止めた勢いをそのままに返す、命を懸けた渾身のカウンター。
「さあ、遠慮せずに持っていけ!」
 ――ズドン!
 轟音と共に大きくぐらつく黒鉄。振り抜かれた棍棒は眼前の炭水車を容易く打ち抜き、夜の闇へと打ち上げる。
『――馬鹿な。……馬鹿な、馬鹿な! こんな事は有り得ぬ! こんな……こんな馬鹿なことが……!』
 切り離され、制御を失ったままに空を舞う炭水車。その様子を唖然として見送るしかできない機関車怪人。
「後先を考えない安直な選択をしたのは、どうやらあんたの方だったようだな」
 仲間達の頼もしさに微笑を湛えながら、怪人へと向けて痛烈に言い放つシキ。
『Tune-Up――SteamEngine.』
 再び鳴り響いた機械音声は、トルメンタの身につける変身ベルトのもの。
 NoChaserと一体になった上、今や蒸気の力までをも身に纏ったトルメンタ。
 鎧装騎兵として元々身に纏っていたプラズマジェットによる急加速は、トルメンタの一歩一歩を確実なものとしながらも、自身を支える大地をその有り余る力で踏み砕いていく。
 そうして彼女は現実を直視できずに狼狽える機関車怪人を指差し、高らかに宣言するのだ。
「さあ、行くぜ機関車ヤロー! お前が見る事の出来ない速さの向こう側を、今ここで見せてやる!」

●Knowledge is power
『ええい、何をやっている! 早く奴らの足を止めぬか!』
 取り巻きの怪人達へと向けられた突然の罵声。
 目の前で繰り広げられる別次元の攻防に呆けていた怪人達もこれには飛び上がり、言われるがままに猟兵達との距離を詰めていく。
「漸く、奴らも動き出したというところか」
 先頭集団とは少し離れた位置から情勢を見守っていたムルヘルベルが独りごちる。
「こうなればワガハイも本気で臨む他あるまい。……いや最初から本気であるが」
 しかしその言葉とは裏腹に、彼の操るマシンは徐々にその速度を落としていく。
 怖気づいたかとばかりに悠々と自身を抜き去っていく怪人達に若干眉を顰めながらも、それでもムルヘルベルはただただ視線を送るのみ。
 その一方で炭水車を――数少ない攻撃手段を失ったDF号は、妨害を取り巻きの怪人達に任せることで自身は猟兵達を振り切るための加速に専念し始めていた。
「あら、これは純粋に私だけの力ではスピードが足りませんね……」
 DF号が本来持つ圧倒的な性能を目の当たりにし、思わずそう零したのは深月紅だ。
「ですが、私だって負ける訳にはいきません。なので、ここからは私らしくやらせてもらいましょう」
 目を細め、見据えた先には自身の先を行く一台のマシン。搭載された火器を構え、DF号に接近する猟兵達へと狙いを定める取り巻き怪人の姿があった。
 七ツ海さん――と深月紅が囁けば、それに応えるかの如く一つの影が夜空を舞う。
 一方で目標を中心に捉え、引き金に指を掛ける怪人。しかし、彼が自身を襲った異変に気がつくまで、そう時間は掛からなった。
 ――マシンの速度が上がらない。いや、むしろ落ちている。
 それどころか今や安定までをも失い、その機体は左右に大きく蛇行しはじめていた。
 最早妨害どころではないことを悟った怪人は火器から手を離し慌ててハンドルを握り直すも、既にマシンは制御不能。
 原因は何かと周囲を見渡せば、目に留まったのは自身の背後に映った一体の人形。
 深月紅の操る七ツ海その人が、マシン後部を掴み、深月紅の元へと引き込んでいたのだ。
「多少なり負担が掛かるとは思いますが……私の七ツ海さんがこれくらいでへこたれる訳がありませんからね。さあ、ここが踏ん張りどころですよ」
 絶対の信頼の篭った笑みを浮かべる深月紅。彼女が大きく糸を手繰れば、その動きに応えるよう七ツ海は乱暴に怪人のマシンを引き寄せてみせる。
 先を行くマシンの勢いを得てスペック以上の加速を見せる深月紅のバイク。一方で怪人のマシンがバランスを崩し横転したのは、その直後の出来事であった。
 夜闇を駆ける紅の閃光もまた、他の猟兵達と並んでDF号を猛追する。
「……大人しそうな見た目の割に、その実は随分と強かなものだ」
 先程までの機転、そして内に秘めたるその強さ。彼女もまた猟兵の一人であることを再確認し、半ば感心にも似た感情を抱くシキ。
 なればこそ、自身も遅れを取る訳にはいかない。こちらにも猟兵としての矜持があるのだから。
 一度は逸した意識を再びDF号へと戻し、確りと前を向く。
「とはいえ、気負い過ぎるのも良くはない。ここは冷静に、確実な勝利を掴ませてもらおうか」
 レラに呼びかけるよう、シキはその機体を軽く撫でてみせる。
「この変形は少しばかり無理をさせるかもしれない。だが――」
 コイツなら……レラならきっと耐えてくれると、シキはそう信じていた。
 だからこそ躊躇はしない。自身の全てを出し切り、眼前にまで迫った完璧な勝利を掴み取るために。
 ――ユーベルコード、ゴッドスピードライド。
 これはレラ本来の性能を引き出す為の変形ではない。
 目指すは限界のそのまた先。宇宙バイクとしての枠組みを超え、新たな高みを目指す為の第一歩。
 その進路を塞ごうと迫り来るDF号の軌道を先読みし、無理な妨害による失速の隙を突き、自身のテクニックで追い上げていく。
 逆に自ら敢えてその身を寄せることでフェイントを掛け、DF号を翻弄してみせる。
 シキとレラ、より深く心を通わせた二者にとって、怪人の操る心無き鉄塊など恐るるに足らず。
『……何故だ! こと速度に限って言うならば、今この場に我がDF号に勝るマシンなど存在し得ないはず! なのに何故……何故、彼奴らを引き離すことができない!』
 自身を縛る限界という鎖から、各々の形を持って次々に解き放たれていく猟兵達。
「さあ、いよいよ追い詰めたぜ! 機関車ヤロー!」
 自らの相棒と一体化し、その足で大地を蹴り上げ駆け抜けるトルメンタが、DF号へと迫る。
「汽車とは本来定刻通りに走るのが本分はずじゃろう! 故に、それすらも守れぬお主のような暴走機関車は不要! ここいらで終いとしようではないか!」
 自らの頭を棍棒で叩きながら謎の加速を見せる玄信が、DF号へと迫っていく。
「私だって、勝ちたいと思う気持ちくらいはあります。だからこそ全力で、私らしく、今この瞬間を走り抜けますよ!」
 自らが信じる友と重ね合わせた七ツ海を操りその背中に取り付いた深月紅が、今正にDF号を追い抜かんとその糸を手繰り寄せる。
「あんたは俺とレラの力を――俺達、猟兵の力を見誤った。その結末が、これだ」
 自らが信じた道を行く二人――シキとレラが、限界を超えたその速度でDF号との距離を縮めていく。
 そして彼女もまた――。
「同じ蒸気エンジンを積んでいるとはいえ、大きさが違うし、馬力じゃ勝てないのはにぃなちゃんだってわかってる! でも……!」
 雷鳴のように轟き、大気を震わせるのはニィナがチューンナップした特製のV8蒸気エンジンが放つ唸り声。
 絶え間なく噴き出される水蒸気はさながら風に流れる雲の如く、ハイウェイの空を――彼女達の見つめる世界を白く塗り替え、染めていく。
「それでも、あんなマシンにテンプテーションは負けない! にぃなちゃん達が負けるはずなんてない!」
 同じ蒸気の力で大地を駆けるDF号とテンプテーション。両者の間には、確かに埋めようのない性能差が存在している。
 しかし、一つだけ。――そう、たった一つだけ。DF号がテンプテーションに及ばないものがある。
 それこそが、乗り手が自らのマシンに賭ける想い。
 ニィナの胸の内に宿る、走る事に全てを捧げた熱き魂。共に世界を駆け抜けてきた相棒である、テンプテーションを信じる心。
 対する機関車怪人の持つ想いは、旧人類の叡智に――自らが求める至高の『速さ』に向けられたもの。
 それはたった少しの違い。されど、心を過去へと置き去りにした怪人には決して理解できない、絶対的な違い。
 それ故に、愚直に速さだけを追い求め、自らのマシンを――相棒であるDF号を信じることのできない怪人には、今のニィナとテンプテーションを振り切ることは叶わない。
『もっと、もっと速さを……! 旧人類の叡智を……! 何にも負けぬ、至高の速さを……!』
 正面に迫るのはつづら折りに曲がりくねった、五連続のヘアピンカーブ。
 せめてストレートであればその性能を遺憾なく発揮できるものを。
 その悉くが自身の思い通りにはならない展開に、最早苛立ちを隠すこともなく声を荒げる機関車怪人。
 彼に付き従っていた取り巻き怪人達は追走する玄信らの手によって屠られ、既にその姿を消している。
 急カーブに備え、僅かながらに速度を落とすDF号。そんな怪人とは対象的に、ニィナとテンプテーションは限界を超えてその速度を上げていく。
『馬鹿な、ここに来て速度を上げるだと!? 気でも触れたか!』
 ニィナの瞳に映るのはヘアピンカーブの前方でクラッシュした取り巻き怪人のマシン。そしてひしゃげたガードレール。
 それは彼女の為に誂えられた、とっておきの舞台のようで。
「――行こう、テンプテーション! 怖がる必要なんてない! 勇気とダッシュで、このストレートをかっ飛ばす!」
 猟兵達が見守る中、今やDF号と並走し一条の閃光の如く疾駆する少女。
『…………! ええい、させるか!』
 既のところで彼女の目論見に気づいた機関車怪人が、その車体をニィナの元へと寄せていく。
 互いの距離が後数十センチという所まで縮まる。鋼鉄で覆われた怪人の表情に勝ち誇ったかのような笑みが広がり――。
「――オヌシは全て賭けろ、と言うたな? ならば、最早ルール無用である!」
 ――DF号の右動輪が、悲鳴を上げた。
 一体何が起こったのか。
 怪人の理解が及ばぬまま、DF号は火花を上げながら闇夜を劈く轟音と共に路面を抉り、自身の体を横たえていく。
「ワガハイのコトバを阻むことは、誰にもできぬ。ワガハイが、オヌシを阻むゆえに!」
 猟兵達のすぐ後ろ。呼び出した禁書と魔筆を構え、自らが倒すべき敵を確りと見据えたムルヘルベルの姿がそこにあった。
『貴様、何故ここに……! 怖気づいて逃げ出したのでは……!』
 ここに至るまでに掛かった車体への負担、繰り返された路面と車輪との激しい摩擦。
 そして決定打となったのは、ムルヘルベルのユーベルコード――封印文法により引き起こされた右動輪の機能不全。
 これまでに与えられた過度の損耗と過剰な摩擦により、右動輪を支えていた主連棒は折れ、バランスを崩して自壊を始めるDF号。
 目の前に広がる現実が受け入れられない機関車怪人の絞り出すような絶叫が、暗夜の中に溶けていく。
「ふん、誰が逃げ出すものか。ワガハイはただ、トップ争いから離脱したのみ! だってスピード勝負とか怖いし!」
 鼻を鳴らしながら崩れていくDF号を見届けるムルヘルベル。彼は恐れから戦いを放棄した訳では決してない。
 彼に課せられている使命は禁書の蒐集と編纂。その為に必要不可欠となるものこそが彼の武器、絶対的な智慧――つまりは自身の頭脳である。
「大体ワガハイは知力系であるからして、レースだのそういうのは不慣れである」
 それは自身の得手不得手を弁えているからこその選択。冴え渡る頭脳から導き出された最良の解答。
 即ち、自身が仲間達のバックアップに回ること。
 猟兵達を取り囲む取り巻き怪人達が闇の中へとその身を散らしたのも、彼からの的確な指示と支援があったからこそだ。
「そこなオブリビオンよ! その鉄面皮に今からワガハイの紡ぐコトバを刻み込み、決して忘れぬよう、よーく覚えておくがいい! 『知は力なり』とな!」
 呆然とした表情でDF号の上に立ちつくす機関車怪人。
 その姿を憐れむような視線で見送りながら、ムルヘルベルは再び声を張り上げる。
「さあ、後はオヌシ達の役目だ! ワガハイの分まで頼むぞ!」
 その言葉を受け取ったニィナが。その後に続く玄信が、シキが、トルメンタが、深月紅が。
 今、栄光のチェッカーフラッグへと向け、誰にも邪魔されることなくこのハイウェイを駆け抜けていく。
『認めぬ……認めぬぞ! このような結末……このような終わりなど! 我は、我は決して認めぬ――!』
 瞬間、爆炎に包まれながら遮音壁へと突き刺さる、機関車怪人とDF号の車体。
 ひしゃげたガードレールをジャンプ台として夜空に飛び立った猟兵達は今、怪人達の終わりなき暴走に終止符を打ったのだ。
「「「「「――ゴール!」」」」」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『機関車怪人』

POW   :    トレイン・フリーク
【時刻表】【鉄道模型】【鉄道写真】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    出発進行!
自身の身長の2倍の【蒸気機関車】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    アクシデントクラッシュ
対象の攻撃を軽減する【高速走行モード】に変身しつつ、【煙を噴き上げながらの体当たり】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●The Root of all evil
 マシンを降り、クラッシュしたDF号へと歩み寄る猟兵達。
 決着はついたのだ、と。その時は誰もがそう思っていた。
『――おお、おおお! オォオオオオオ!』
 崩壊した遮音壁の向こう側から、怨嗟の叫びが響き渡る。
『認めない、認めない、認められるはずがない! このような結末を……我らが掲げる旧人類の叡智が! あのような猟兵などという矮小な存在に敗れるなど! 決してあってはならないことだ!』
 最早瓦礫の一部と化したDF号の残骸を砕きながら、満身創痍の機関車怪人が姿を現す。
 見た目こそボロボロではあるが、その闘志に一切の衰えは見られない。
『我はこのような未来を認めない! 認めてなるものか! 斯くなる上はここで貴様らを葬り去り、全てを過去で塗りつぶし、敗北の歴史すらも書き換えてくれる!』
 猟兵達へと向けられる憎悪。そして今までとは桁違いの威圧感。
 目の前に立ち塞がるのは過去から蘇った骸。未来を喰らう、過去からの侵略者――オブリビオン。決して舐めてかかれる相手ではない。
 だが、ここで退く訳にはいかない。
 この世界に住まうキマイラ達の為、災いを齎す諸悪の根源を、今この手で断ち切らなければならない。
 遥か先へと続いていくこの星の未来を守る為、猟兵達は身構える。
 今こそ、長きに渡るこの戦いに決着をつける時だ。
ムルヘルベル・アーキロギア
機関車頭らしい怒髪天ではないか。愉快愉快!

さて、彼奴の運転はじっくり観察した
ワガハイの【学習力】を以てすれば、彼奴のUCを【553ページの悪魔】で相殺することなど造作もない
とはいえこれは奥の手だ
戦闘では後方支援に徹し、機を伺う
仲間に大被害が及ぶ、または彼奴にとって致命的な瞬間に魔神を解き放つ
「言っただろう、知は力なりとな。貴様のクセ、とうにお見通しよ!」
魔神が禁書から現れると巨大化し、彼奴を拘束する

彼奴の死に際にはこう言ってやろう
「怪人よ。我らの瞳は、なぜ背中についていないのだと思う?」
「それはな、我らが未来へ……前へ進む使命を持つからだ」
「いくら速かろうと、それを忘却すれば未来はないのだよ」



●Boil with rage
「成る程、実に機関車頭らしい怒髪天ではないか。愉快愉快!」
 激しい怒りに震える相貌を敢えて笑ってみせたのはムルヘルベル・アーキロギア(執筆者・f09868)。
『黙れ、黙れ、黙れ! 最早貴様らの戯言など聞き飽きた!』
 語らう余地もなし。
 溢れんばかりに迸る殺意は水蒸気という形をとり、白み始めたキマイラフューチャーの空を更に白く染めていく。
 一方で投げ掛けた軽口とは対象的に、ムルヘルベルは現状を冷静に思索していた。
 恐らくではあるが、怪人が一番に仕掛けてくる相手はDF号に直接手を下した自身であろうこと。
 そして、機関車を象った体の各部から排出され続けている、尋常ではないあの蒸気量が示すところは――。
『さあ、末期の悲鳴を上げよ!』
 ぞくりと泡立つような感覚。巡らせていた思考を咄嗟に打ち切り、ムルヘルベルはその身を翻す。
 ――まるで世界が爆ぜたかのような衝撃を猟兵達が襲ったのは、その直後であった。
 ハイウェイに深く刻まれた横一文字。機関車怪人が駆け抜けた後に残されたのは、純然たる殺意の爪痕。
「言っただろう、知は力なりとな! 貴様のクセなど、とうにお見通しよ!」
 間近にまで迫った死の感覚を振り払うよう、ムルヘルベルは声を張り上げる。
 しかし、振り返る機関車怪人に言葉はない。
 一刻一刻と削られていく命を表すかのように赤熱したその体躯から放たれるのは、猟兵に対する計り知れない憎悪の念。
 それこそが未来を喰らわんと牙を剥く骸。この世の条理を歪め、塗り潰す存在――オブリビオン。
 その様子に溜息を一つ。紫の双眸はただ静かに、眼前の哀れな獣を見据えて。
「――なあ、怪人よ。我らの瞳は、何故背中についていないのだと思う?」
 自身へと向き直り、再び突撃の姿勢を見せる機関車怪人へとムルヘルベルは問いかける。
「それはな、我らが前へと……先の未来へと進む使命を持つからだ」
 再びの爆音、世界を震わす衝撃が猟兵達を包み込む。
 ――さあ、いざや来たりて報え、復讐するは汝なり!
 虚空より呼び出された禁書を手に、ムルヘルベルが叫ぶ。
 疾駆する怪人が呼び出された魔神に撥ね退けられたのは、瞬刻の出来事。
「貴様がいくら速かろうと、その使命を忘却すれば、その先に未来はないのだよ。……喰らうことしか出来ぬ貴様には解らんだろうがな」
 五体を打ち据えるような苦痛に身を捩らせる怪人を見つめながら、ムルヘルベルはぽつりと独りごちた。

成功 🔵​🔵​🔴​

山梨・玄信
岩石車よ、世話になったのう。お主のお陰で楽しかったぞい 。

さて、レースに負けたら暴力かの。まるっきりチンピラじゃな。だが、わしもそういうのは苦手ではないのじゃ。受けて立つぞい。

【POWを使用】
オーラ防御からのカウンターは見せてしまったからのう。今度は正攻法で行くのじゃ。
遠当てで衝撃波放って牽制し、一気に近付いて鎧無視攻撃を乗せた2回攻撃を使うぞい。直後に灰燼拳で追撃じゃ。
反撃は見切りと第六感で躱すのじゃ。避けられなければオーラ防御を使うぞい。

「機関車を正面から止めるのは漢のロマンじゃからのう。やってみせるぞい」
「流石に固いのう。じゃが、これはどうじゃ?」

アドリブ、絡み歓迎じゃ



●Be Reborn
「さて、レースに負けたら暴力かの。まるっきりチンピラじゃな」
 ふと、そんなことを漏らしながら歩み寄る山梨・玄信(ドワーフの破戒僧・f06912)。
 悶え苦しむ怪人から向けられる視線には、決して消えることのない怒りが――未来へと向けられた忿怒の念が篭っている。
「だが、わしもそういうのは苦手ではないのじゃ」
 浮かべる喜色めいた笑みは絶対の自信の表れか、それとも――。
「――さあ、来い。まだ続けるというのであれば、受けて立つぞい」
 玄信の呼びかけに応えるよう、機関車怪人は三度突進の構えを取る。
 怪人にとっては玄信もまた、辛酸を嘗めさせられた相手であることに変わりはない。
 なればこそ、軋む体に鞭打ってまでも立ち上がり、抗おうというもの。
『忌々しい……忌々しい猟兵共め……! 何故だ、何故そうまでして我らが願いを阻もうとする!』
 瞬間的に噴き出された蒸気はさながら目眩ましが如く。玄信の視界を、踏み出した先を容赦無く覆い隠していく。
「それはわしらが猟兵であるが故、そしてお主がオブリビオンであるが故」
 猛る汽笛と共に白煙の彼方から飛来する鉄塊を、玄信は自身の聴覚と直感を頼りにギリギリで躱す。
 返す拳で放つのは遠当てによる衝撃波。
 晴らした霧の向こう側、玄信は今や無防備なその背中へと更に一歩を踏み出して。
「そのくらい、お主も理解っているはずじゃろうが!」
 瞬間の二連撃。振り抜いた拳は怪人の背面を覆う鉄を撃ち抜き、その内側へと衝撃を伝えていく。
 思わず上がるくぐもった唸り声。されどその外面に傷はなく。
「流石に固いのう! じゃが……これはどうじゃ?」
 大地を踏み抜き、解き放つは裂帛の気合。重い二撃が届かぬのなら、更に重い渾身の一撃を。
 放たれた拳がその体躯を穿つ。鳴動と共に舞い落ちたのは、灰燼と化した黒鉄の甲冑。
『グ……オォオオオオ!』
 たまらず膝を付き、身悶えする機関車怪人。苦し紛れに振るわれた腕を玄信は軽くいなして。
「機関車を正面から止めるのは漢のロマン。じゃが、こうもあっけないと流石に拍子抜けじゃの」
 続けざまに放たれた掌底はその身を容易く浮かせ、怪人を元いた遮音壁へと吹き飛ばす。
 轟音と共に再び瓦礫の山へと沈んだ怪人を見送れど、その構えを解くことはせず。
 ――まだ終わってはいない。
 確信にも近い予感が、猟兵達の脳裏をよぎる。
『――まだ、まだだ! このような場所が、我が夢の果て……我が求めた終着駅であってなるものか!』
 地鳴りと共に姿を現したのは鋼鉄の車輪。立ち昇る蒸気は白んだ空を黒く染めて。
 旧人類の叡智が――打ち倒したはずのDF号が、今再び、咆哮を上げながらハイウェイを走り出す。
「……やれやれ。岩石車よ、どうやらまだお主の出番は終わってはおらんようじゃ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニィナ・アンエノン
【SPD】
ぃやったぁー!きっもちいー!
みんなやったねー、お疲れ!はいたっちはいたっちー♪
……あれ?まだ終わってない?
にぃなちゃん的には気持ちよく走り終わって満足だったんだけど……
あ、まだ機関車出したり出来ちゃうんだ?
それならレース続行!
すぐにマシンに飛び乗って、戦闘開始!
こっちも余力はあるよ!
とりあえず皆が巻き込まれないように注意してミサイルカーニバル!
的が大きいと一杯当たっていい感じ☆…になるかな?
あとは車輪同士を繋いでる……ろっど?
手放し運転しながらあれをリピーターで撃つ!
【騎乗】した【スナイパー】が機関車と戦うとか西部劇っぽいよね♪
相手のスピード落とせば戦闘力の高い皆の手助けになるよね!


亜儀流野・珠
腕組みしながら【ライオンライド】しつつ、
ついでにライオンに吠えさせながら(パフォーマンス技能)遅れて登場、珠だ!

レース見てたぞ。皆、いい走りだった!そこの機関車、お前もな!
レースは決着したようだがまだ走り足りないだろ?
一っ走り付き合え!・・・いや、どちらかが動かなくなるまでか?ひひ!

(ライオンをぺちぺちしながら)こいつの自慢の脚に勝てるかな?
加速も、速度×体重の乗った体当たりも、パンチも蹴りも。すべてが一級品だぞ?
小細工無しの走りとぶつかり合いで挑もう!楽しもうじゃないか!
ついでに隙あらば俺も蹴る!バランスを崩してもっかい壁に突っ込むがいい!



●No more encore
「にぃなちゃん的には気持ちよく走り終わって満足だったんだけど……」
 再びの暴走を始めたDF号を見遣りながら、ニィナ・アンエノン(スチームライダー・f03174)は独りごちる。
「でも、そっちがその気ならレース続行だ! ――まだやれるよね、テンプテーション?」
 巻き上がる水蒸気。相棒の応える声に満足気な笑みを零せば、猟兵達と共にニィナもまた、ハイウェイを駆け抜ける一迅の風となる。
 前方のDF号が吐き出すのは黒煙。それは未だマシンが本調子ではないことの表れ。
 で、あるならば、一度はその暴走を止めた猟兵達が先を行く黒鉄に追いつけないという道理はない。
『ハア……ハア……』
 先程に受けた一撃の影響か、上手く呼吸が出来ない。
 息も絶え絶えに。それでもまだ見果てぬ先を望むのは、その体を突き動かすのは、過去を喰らう骸の悲しき性か。
『我は、我はまだ――』
 刹那、漏れ落ちる言の葉を遮ったのは夜を裂く獣の咆号。
 見上げた先、道路灯から舞い降りたのは一人の少女と一匹の影。亜儀流野・珠(狐の恩返し・f01686)と、彼女の駆る金色のライオンの姿だった。
「ライオンと共に遅れて登場、珠だ!」
 新たな闖入者は怪人から向けられた敵意にも臆することはなく、腕を組み不遜な態度で笑んでみせる。
「先程のレースは見させてもらった! 皆、いい走りだったぞ! ――そこの機関車、お前もな!」
 共に大地を駆ける獅子の健脚は、他のマシンに劣ることもなく。
 DF号とは付かず離れずの距離を保ちながら、珠は大仰に言い放つ。
「レース自体は決着したようだが……その様子だと、まだ走り足りないんだろう? なら、ひとっ走り付き合え!」
 もし怪人の顔が見えていれば――その鉄面皮の下に顔があればだが――その表情はきっと、苦虫を噛み潰したかの如く歪んでいただろう。
『くだらん戯言を……! その減らず口、今すぐにでも閉じさせて――』
 突然の爆発音と共に傾く車体。
 何事かと怪人が振り向いた先、視界に映るのはニィナの放ったユーベルコード――ミサイルカーニバル。
「あれだけ的が大きいなら、全部当たっていい感じ☆……になるはず!」
 迫りくる新たな脅威である無数の高機動マイクロミサイルに舌を打つ。しかし、怪人も黙ってやられる程には甘くはない。
『猟兵風情が! 次から次へと小癪な真似を!』
 突然の急旋回に動輪が火花と共に悲鳴を上げたが、そのような些事は知ったことではない。
 DF号を軸に背面の炭水車を振り回すことで、怪人はミサイルをいなし、その身を以ってそれを撃ち落としていく。
『グッ……!』
 しかし、今や怪人と呼び出したDF号とは生命力を共有する、いわば一心同体の存在。掠めた爆炎は怪人の体力を着実に奪っていく。
「おっと、隙有りだ! 加速と体重の乗ったこの一撃……さあ、こいつの自慢の脚に勝てるかな!」
 珠がライオンをぺちぺちと叩けば、再びの咆号を一つ。
 先程まで回避の為に空けていたその距離を一飛びの内に詰め、そこから放たれるのは全体重を乗せた痛烈な蹴り飛ばし。
「そしてついでに俺も蹴る!」
 その一撃一撃は、爆炎で歪んだDF号の外殻を容赦無く削ぎ落としていく。しかし――。
『ハッ、侮ったな猟兵よ! 迂闊にも我が間合いに、自ら入ってこようとは! そしてこの距離であれば外しはしない!』
 外殻が剥がれ落ちたとしても、その身は大質量の鉄塊。
 そこから繰り出される一撃を貰ってしまえば、並大抵のマシンでは――生身の獣であれば尚更のこと、それがどのような結果を招くのかは火を見るよりも明らかだ。
 一瞬の油断に、珠の表情が引き攣った。
『さあ、自らの迂闊さを悔やんで死ね!』
 その身を凶器としたDF号が、滑り込むよう横薙ぎに珠へと襲いかかってくる。
 次の瞬間にはやってくるであろう衝撃に、思わず目を瞑る珠。
 塞がれた視界。間を置かずにやってきたのは、耳を劈く甲高い、何かの悲鳴めいた轟音だった。
 ――路面の焼ける、嫌な臭いが珠の鼻をつく。
 しかし、来るべきはずの衝撃が、いつまで経ってもやってこない。
 恐る恐るに目を開ければ、珠の眼前に広がっていたのは横転し横滑りにハイウェイを削るDF号。
 そしてその後ろには、車上でスチームリピーターを構えたニィナの姿。
 リピーターから放たれた銃弾はDF号を最も弱い部分を貫き、暴走を続ける蒸気機関車に二度目の終わりを与えていた。
『グオオオ! おのれ……おのれおのれおのれ! このDF号を! 一度ならず、二度までも……!』
 文字通り我が身を貫かれるような痛みに悶えながらも、機関車怪人が怒りに狂って吠えたける。
 ニィナが撃ち抜いた場所こそ、DF号の動輪を支えるロッド――つまりは主連棒。
 奇しくも先代と同じ箇所を狙われた二代目DF号は、その末路さえも先代と同じものを辿ることとなる。
「今だよ!」
 ニィナの声にいち早く応えたのは金色のライオンだった。
 軽い跳躍。与えられた着地の衝撃で我に返った珠は、横転したDF号を憎々しげに見つめる。
「……この機関車め、よくもやってくれたな! これはお返しだ!」
 珠の叫びに応え、際限のない加速を始めるライオン。その姿はさながら、音速の壁を破って進む一発の黄金の弾丸のようで。
「バランスを崩してもっかい壁に突っ込むがいい!」
 ――DF号へと向け放たれたのは、全身全霊を込めた体当たり。
『お、オ、オォオオオオオオ!』
 鉄板をへこませたような鈍い音と共に、DF号は斜め前方に反り立つビルの壁へと凄まじい勢いで突っ込んでいく。
「ぃやったぁー! にぃなちゃん大勝利!」
 珠と並走するように、その身を寄せていくニィナとテンプテーション。
 一時は手放しでの不安定な走行を続けていたテンプテーションではあったが、ニィナの卓越した運転技術はその走りに一切のブレを許さず、またマシンが彼女を振り落とすことも決してなかった。
「やったねー、お疲れ! ほら、はいたっちはいたっちー♪」
 向けられたニィナの天真爛漫なその笑顔に、同じよう笑みを零す珠。
 俺は人間が大好きだ。そして、助けられた命は――この恩は、必ず返すと誓おう。
 ――だって、与えられた恩は返すのが信条だからな!
 そんな事を思いながら、珠は掲げられたニィナの腕へとその手を重ねて――。
 ――パァン!
 ビルの外壁に突き刺さったDF号が爆炎に包まれたのは、彼女たちの手が重ねたその瞬間とほぼ同時であった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

シキ・ジルモント
◆SPD
アドリブ歓迎

レースの決着は着いたというのに諦めの悪い奴だ
仕方がない、こうなったら最後まで付き合ってやる

味方を『援護射撃』で援護しながら相手を観察
味方の攻撃の隙を埋めて反撃を防ぎ、また相手を休ませないよう動く

機関車を召喚されたら向かって来る機関車を正面で待ち受ける
走行する軌道を『見切り』、ユーベルコードも合わせて衝突コースを離脱
すれ違いざまに水のタンクや車輪のクロスヘッド部分、もしくは味方の攻撃で脆くなっている部分を狙って『零距離射撃』で『2回攻撃』

相手はあの気迫だ、一撃で終わるとは思っていない
しかし力を尽くせば超えられない相手ではないはず、何度でも攻撃を繰り返す
俺も諦めは悪い方だからな


トルメンタ・アンゲルス
無駄ですよ。
貴方は負けた。そう「過去」に刻まれたんです。
いくら塗りつぶそうとも、過去はまたどこからともなく這い出して来る。
貴方自身のようにね。
そして、貴方が過去になったのは、その程度の陳腐な考えだからですよ。
――貴方は、過去である自分自身を馬鹿にした。

教えてあげましょう、過去に囚われた悲しき貴方に。
貴方の踏み敷いたレールの先に広がった、ヒトの力をねぇ!

プラズマ、スチーム!出力全開!
圧倒的なパワーとスピードで翻弄しながら、追い詰めていきましょう!
振り回せば、味方へ向く矛先も減りましょう!
多少の攻撃も、防御重視の装甲で、受け止めますよ!

力勝負となったら、痛撃のブリッツカノーネで真ん前から打ち砕く!



●Look ahead
「もう決着は着いたも同然だというのに、本当に諦めの悪い奴だ」
 激突の衝撃で崩れ落ちたビルの外壁。燃え盛る瓦礫の内から這い出してきた姿は満身創痍。
 されど、シキ・ジルモント(人狼のアーチャー・f09107)は油断することなく、愛銃であるハンドガン・シロガネを構えてその動きを注視する。
『…………』
 既に怪人には、猟兵達へと言葉を向ける余裕さえも残されていないように見えた。
 それでも尚立ち上がり、自身を阻む者達に抗おうとするその姿には、然しものシキも呆れを通り越して感心すら覚えていた。
「……無駄ですよ、貴方は負けた。そう『過去』に刻まれたんです」
 シキの隣へと降り立ったトルメンタ・アンゲルス(流星ライダー・f02253)は膝を付くその姿を見下ろしながら、淡々と言葉を紡いでいく。
「例え貴方がいくらその事実を認めずに塗り潰そうとしても、その過去はまた、どこからともなく這い出して来る。――そう、今の貴方自身のようにね」
 ひび割れた黒鉄の外装が、怪人の一挙一動に耐えきれず剥がれ落ちていく。
 その様を見つめる青の瞳には憐憫の感情さえも感じられた。
『ほざくな、猟兵風情めが……! なればこそ我はその歴史すらも塗替えし、書き換えてやろうと言っているのだ……!』
 怪人の言葉を聞き、思わず嘆息するトルメンタ。
「貴方が過去に――そう、今のような姿となったのは、その程度の陳腐な考えを持っているからですよ」
『何を、ふざけたことを――』
「そして」
 怪人の反論を遮るように、語尾を荒げながらもトルメンタは続けていく。
「貴方は今、過去である自分自身を馬鹿にした」
 敗北を刻まれ、今この瞬間にも消費された過去となって世界の外へと積み上げられていく歴史。
 それすらも塗り替え書き換えるということは即ち、過去となった自分自身を否定する行為に他ならない。
「……そうやってあんたは今、自信満々に掲げていた旧人類の叡智とやらをも馬鹿にしている訳だ」
 そしてその過去を否定するということはつまり、猟兵達の力の前に破れさった旧人類の叡智をも否定する行為でもあった。
 確信を突くシキの指摘に、怪人から声にならないうめき声が上がる。
『だ……黙れ、黙れ! そんなものは我を惑わす詭弁に過ぎぬ!』
 眼前の障害を討ち果たさんが為、機関車怪人は自身の思い描く理想により、その力を高めていく。
 しかし、既に満身創痍と化したその体では――そして何より、怪人の心に突き刺さったシキの言葉が邪魔をして、今やその理想から満足な力を得ることは叶わない。
 最早怪人に出来ることは、ただただがむしゃらに突進を繰り返すことのみ。
「――いいだろう。それでもまだ戦うと言うのなら……最期が訪れるその瞬間まで、付き合ってやる」
 襲い来る軌道を完全に読み切ったシキは、身を翻しながらもその背面に空いた虚空へと銃弾を叩き込んでいく。
「過去に囚われた悲しき貴方に、今ここで教えてあげましょう」
 ――プラズマ、スチーム! 出力全開!
 トルメンタの叫びと共に、装甲から吐き出される蒸気が――搭載されたスチームエンジンの嘶きが、大気を震わせる。
 湧き上がるその力は、背面へと注ぎ込まれたシキの銃弾によって勢いを削がれた突進を軽く受け止めてしまう程にも強く――。
「貴方の踏み敷いたレールの先に広がった、今を生きるヒトの力をねぇ!」
 ――トルメンタの紡ぐ言葉と共に放たれた痛恨の右ストレートが、怪人の腹を貫いた。
『ガ……ハ……!』
 為す術なくその場へと崩れ落ちる瞬間を、シキは決して逃さない。
 再び膝をついた怪人を蹴り上げ、トルメンタの一撃によって刻まれた傷跡へと零距離からの射撃を容赦なく撃ち込んでいく。
「一撃で終わるほど、やわな体ではないんだろう?」
 一発、二発、三発――。
 敵が斃れるその時まで、何度でも。
 四発、五発、六発――。
 吐き出される熱が、薬莢と共に宙を舞う。
 ――そして、薬室に残された七発目が放たれた時、怪人を覆っていた黒鉄の装甲は完全に崩れ去った。
『お、オ……! よくも、よくも……!』
 絞り出すような怨嗟と共にシキへと向けられた剛腕の一撃を、トルメンタはそれ以上のスピードで受け止め、力任せに掴み上げる。
「これが、貴方が掲げた叡智の先にある力――未来に向かって今を生き続けてきた、ヒトの力だ!」
 人は過去を消費して未来へと歩んでいくが、かつて過去に生きた者たちが示してきたその証を、眼前の怪人のように蔑ろにすることなど決してない。
 現人類の叡智の結晶――トルメンタの纏った装甲が、シキの放つシロガネの一撃が。過去にしがみつく機関車怪人へと突き刺さり、その身を白む夜空へと打ち上げた。
「まだ、立ち上がってくるつもりか?」
 冷え切った路面へと打ち付けられてなお足掻き続ける怪人に、シキは問う。
「……あんたがまだ戦いを続けるというのなら、俺達は何度だって力を尽くし、それを阻む」
 掛けられた言葉を受け、怪人は憎々しげにシキを見上げて。
『何故だ……。何故貴様らは、そうまでして我らを……』
「それは、俺達が猟兵だからだ」
 オブリビオンと猟兵、それは決して相容れぬ宿命。
 オブリビオンが未来を喰らうというのなら、猟兵はそれを阻み、人々を守り続けるのだろう。
 たとえそれが彼らのエゴなのだとしても、過去が牙を剥き続ける限り、繰り返し何度でも。
 ――夜明けが近い。
 これからも永劫繰り返され続けるであろう終わりなき争い。
 しかし今、その内の一つに決着の時が訪れようとしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朝凪・深月紅
【SPD】
アドリブ可

負けたくない、諦めたくない。そういった気持ちは大切ですが、次の糧に出来ないのであれば意味もない。
失敗しても諦めないで続けていれば違う道に辿り着けたかもしれませんが……今更ですね。

無防備に魅せた上で挑発を仕掛ければこちらを狙ってこないかしら?
七ツ海さんで受け止めつつ、UCにより召喚された人形に言葉も無くお手伝いしていただきます。
意識外からの一手は大きいはず。
決め手にかけるようなら他の方の追撃を行いやすいように動きを釘付けにさせるよう視線を奪います。

失敗を見た上で変えたくらいでは終わりませんよ……
技能:誘惑、残像、フェイント


シキ・ジルモント
◆SPD

かかって来い、オブリビオン
そろそろ決着をつけよう

最後まで気を抜かず、可能なら味方と協力して確実に追い詰める
半端な戦いはしない、向かってくるなら全力で応じる
それが敵対する者としての礼儀だ

相手の行動をよく見て『見切り』、『逃げ足』の速さを利用して一旦距離を取り突進攻撃を誘う

相手が攻撃を仕掛けてきたら回避行動は取らず『カウンター』を狙って真っ向から迎え撃つ
しっかり相手を見据えてユーベルコードを発動
より大きなダメージを与える為、更に『2回攻撃』で同じ箇所へ攻撃を重ねる

どんなに認めたくなかろうが、結果は結果だ
いつまでも過去に縋って目を逸らすな、その目でしっかり見て受け止めろ
これがあんたの「今」だ


山梨・玄信
中々にしつこいのう。
じゃが、決着は付けるぞい。

【SPDを使用】
岩石車に乗ったまま怪人に向かって加速、そのスピードを利用して車から飛び出してシーブズギャンビットで突撃するぞい。
飛び出す時に足で急ハンドルを切り、岩石車はスピンして止まるようにするのじゃ。相棒を壊すわけにはいかんからの。
避けられたら、上着を脱ぎ捨てて更に攻撃するぞい。
相手の攻撃はオーラ防御と激痛耐性で耐えるのじゃ

「最後の勝負じゃ。正面から行くぞい」
「喰らえ、超加速シーブズギャンビット!」
「最後までよく頑張ってくれたの、相棒」



●The End of the Dream
 藍色の指がアスファルトを掻き毟る。
 自身の信じた過去を、過去のままでは終わらせない。
 ただそれだけの為に、怪人は何度でも立ち上がろうと足掻き続ける。
「……負けたくない、認めたくない。確かにそういった気持ちは大切です」
 ですが、と朝凪・深月紅(妖狐の人形遣い・f02133)は続ける。
「その失敗を次の糧と出来ないのであれば、意味もない。……今更貴方にこんな事を言ったところで、どうしようもないのでしょうが」
 眼前に立つそれは失われた過去の化身。
 今を生きる猟兵達とは違い、消費され、既に終わってしまった存在。
 変えようのないこの世界の理を前に、深月紅の紡いだ言の葉は虚しくかき消えてゆく。
『そんな綺麗事を並べる貴様達にはわかるまい! 我らの夢見た理想……貴様達が忘れ去った、かつての輝きなど!』
 悲痛な叫びを上げながら、解き放たれた蒸気と共に深月紅へと向けられた拳。
 しかし、必殺の一撃が迫る状況に於いても深月紅はその冷静さを欠くことはなく。
 彼女が手繰り寄せた人形――白煙の向こうから現れた七ツ海によって、その拳は寸でのところで受け止められる。
「そうやっていつまでも過去に縋り、目を逸らすな。今目の前にあるこの現実を受け止めろ」
 冷たく投げかけられた言葉はシキのもの。
 怪人の背後に迫るシキと、怪人の眼前に立つ深月紅。交差する二人の視線。
 シロガネから放たれた銃弾の雨と死角から現れたからくり人形の一撃が――無意識の内に重ね合わせた痛打が、怪人の体を容赦なく貫いていく。
 しかし、それでも怪人は止まらない。
 取り付いた七ツ海を乱暴に振り払い、背後に立つシキへと向けて三度解き放つは黒鉄の蒸気機関車。
 既に限界を超えた召喚では一瞬の顕現しか叶わない。
 だが自身に纏わりつく猟兵を跳ね飛ばすだけであれば、それは十分すぎる一撃なのだから。
「ッ……!」
 シキがアスファルトを蹴り横っ飛びになるのとその頬を死を運ぶ鉄塊が掠めたのはほぼ同時。
『逃すものか!』
 瞬刻、煌めいた鋭利な脚部から放たれるのは渾身の蹴撃。
 噴き出される水蒸気と共に飛来した一撃は、断頭台から放たれる首を断つそれによく似ていて。
 バランスを崩した深月紅が再び七ツ海を走らせるよりも速く――同じく体勢を崩したシキが対応するよりも疾く、無防備なシキの体へと突き立てられる。
「――言ったはずじゃ、わしの目の前で仲間をやらせはせんと!」
 遅れてやってきた声と煌めくダガーの鋭撃が怪人を襲ったのは、その刹那の事だった。

「まったく、本当にしつこい奴じゃのう」
 先を行く猟兵達を追走し、岩塊のようなマシンを走らせていた玄信は独りごちる。
「……じゃが、それもこれで最後じゃ。何としても決着を付けるぞい! ――む?」
 漸く追いついた先、玄信の目に入ったのは戦いの真っ只中。
 自身へと向けられた一撃に怯むことなく、怪人が放つは致命の凶刃。
 そして、その先にあるのは無防備な仲間の姿。
 ――考えるよりも先に、体が動いていた。
「ぬ、おぉおおおおおおお!」
 急ハンドルを切りながら、最高速のマシンから飛び出すように玄信が放ったのは、ユーベルコード――シーブズ・ギャンビット。
 風圧に耐えながら懐から取り出したダガーを正面へと構えれば、後はただ風を切って前へ前へと突き進むだけ。
 それは自身を一発の弾丸とし、仲間の危機を救う為に。
「――喰らえ、超加速シーブズ・ギャンビット!」
 感覚の全てを目の前のシキへと向けていた怪人に、玄信の放った意識外からの一撃が容赦なく突き刺さる。
 ――どうしても、どうしても後一歩が届かない。
 耐え難い苦痛に顔を歪ませながら、跳ね飛ばされた機関車怪人は歯噛みする。

「……そろそろ、決着をつけよう」
 玄信の一撃に助けられたシキは即座に体勢を立て直し、彼と共に飛ぶ機関車怪人の行き着く先へとシロガネを向けて。
 ――半端な戦いはしない、向かってくるならば全力で応じる。
 それこそがシキの流儀。相対する者へと向けた、彼なりの敬意の形。
「どんなに認めたくなかろうが、結果は結果。――これが、あんたの『今』だ」
 両手で銃を構え、息を殺し、静かに照準を合わせる。
 たったそれだけの単純な動き。しかし、その流れるような一連の動作こそが彼のユーベルコード。
 それは数多の戦場を駆け抜けてきた狩人が放つ、必中の一射。
「…………」
 怪人の影が照準と重なるその瞬間、シキは息を止め、シロガネのトリガーを引いた。

「……そうですね、これで終わりにしましょう」
 一瞬の出来事に対応しきれず、仲間を守れなかった事に後悔が無い訳ではない。
 だが、今重要なのは悔いる事ではなく、この戦いを終わらせること。
 失敗を次の糧に。先刻自身が告げた言葉を反芻し、ゆっくりと体勢を立て直す。
 深月紅の見据える先は一つの終わり。怪人が行き着く、果てなき道の到達点。
 目を閉じ、意識をその一点へと集中させる。
 そうして現れたからくり人形は、飛来する怪人を迎え入れるように腕を伸ばし――。

 玄信のダガーが残された鎧を砕き、シキの弾丸が砕かれた先にあるその身を穿ち、深月紅のからくり人形が飛来した体を貫き、受け止める。
 それは、果てなき暴走を続けた怪人に終わりを与えるには十分すぎる一撃だった。

●チェッカーフラッグの向こう側へ
「……ほっ。相当な無茶をさせてしまったが、どこも壊れていないようで何よりじゃ」
 自身が飛び立つのと同時、速度を殺す為にスピンさせていたマシンの元へと駆け寄った玄信は思わず安堵のため息を漏らした。
 路面との摩擦でタイヤが擦れてしまっていたものの、この程度であれば大事には至らないだろう。
「最後までよく頑張ってくれたの、相棒」
 共に一夜を駆け抜けた相棒へと送るのは、心からの感謝の言葉。
 他の猟兵達も自身のマシンを労るよう、思い思いに時を過ごしている。
 そんな中、深月紅が何かに気がついたよう崩れ落ちた遮音壁へと視線を向ける。
『……オ、ォオ……』
 響いた声の主は今や虫の息。
 なれど幾度となく聞かされてきたその音に、猟兵達は思わず身構える。
「この……本当にしつこいやつじゃのう!」
 玄信は再びダガーを握りしめるが、その手を制す声はシキのもの。
「いや、奴はもう……」
 猟兵達が見つめる先――機関車怪人は、既にその半身を失っていた。
 しかし、それでも尚怪人は前に進もうともがき続ける。
『我らの求めた速さは……我らの掲げた理想は……』
 不意に、朽ちゆくその身が暖かな光に包まれる。
 長い長い夜が明け、昇り始めた太陽がハイウェイを――キマイラフューチャーの都市を遍く照らし始めたのだ。
 そして朝焼けの下に広がるその都市こそは、今は亡き人類が積み上げてきた想いの形。
『…………』
 砕かれた壁の向こう側。今までは見ることの叶わなかった雄大なその姿に、怪人は思わず目を奪われる。
『……そうか。我らが真に求めていたものは……』
 それこそが、一人の猟兵から告げられた――かつての人類が踏み敷いた、レールのその先に続いていた未来の姿。
「そう。あんた達が求めていた理想は、すぐそこにあったんだ。……その形こそは違えども、な」
 彼らが求め、掲げた理想は至高の速さ。
 しかしその形こそは変われども、怪人の眼下に広がる景色もまた、彼らが言う速さと同じ旧人類が誇る叡智の結晶であることに変わりはない。
 シキの言葉に、怪人の体から力が抜けていく。
『……口惜しや。今となってから、このような事に気付かされるとは』
 0と1とに分解されたその体が、光の粒子となり消えていく。
『それにしても、嗚呼――』
 ――我が前に広がるこの世界の、なんと美しいことよ。
 遺された言葉は、風に乗って何処までも。
「……いつか何処かのその先で、また縁を結ぶ事があれば……」
 瞑目した深月紅が紡ぐのは、消えゆく過去への祈りの言葉。
「その時の貴方は、今とは違う道に辿り着けますように――」
 猟兵達の戦いは、ここで一つの終わりを迎える事になる。
 しかし、それは新たな始まりに過ぎない。
「――よし! では、帰るとするかの!」
 玄信の言葉に、各々のマシンと共に猟兵達は再び歩きだす。
 チェッカーフラッグの向こう側――彼らが守った、遥か彼方の未来へと続いていくその道を辿って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月13日


挿絵イラスト