ウィッシュ・アポン・アッシュスター
●インフルエンサー
何故、作るのか。
そう問われて『プロメテウス』という名の彫刻を作り上げた『天才』は笑うでもなく、憤るでもなく、ただ頷いた。
「その問いかけの答えは僕も知りたいと思っているところなんだ」
「――と、言いますと?」
インタビュアーは首を傾げる。
「例えば、この作品群『プロメテウス』の五番目の作品なんかが、わかりやすいんじゃないかな」
そう言って彼が示した先にあるのは、多くの屍めいた彫像が螺旋を描きながら塔のような形を構築している。
頂点にあるのは、人型からかけ離れた……よくわからないものだった。
ひどく抽象的であったし、これがなんなのかと問われても人は正答することができないような気分にさせられてしまう造形だった。
作品タイトルは『救世主あるいは悪魔』である。
「よくわからない」
「それが何故作るのかという問いかけに対する答えである、と?」
「そういうことになるね。僕でもわからない衝動が胸にくすぶっている。それを形にしなければ、と思えば思うほどに難解な作品が出来上がってしまう。その答えを探し続けるのが僕の役目なのかもしれないし、誰かから与えられたものなのかもしれないね」
芸術家の言うことはよくわからない、とインタビュアーは内心思ったが、それをおくびにだすこともできないのが職業柄というところであった。
一定の理解を示しながら、当たり障りのない言葉で話題を変える。
新気鋭の彫刻家。
『天才』とSNSで彼は呼ばれている。
アカウント名は『アハト』。
彼がインタビューを受けるということで出向いたが、果たしてこれがバズ――つまり、大流行するのだろうかと疑問を抱く。
けれど、インタビュアーは彼の八番目の作品だという一つの彫像を見やり、彼が『天才』と呼ばれた所以を理解するのだった――。
●UDC-Influence
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。今回の事件はUDCアース……にわかに信じがたいことですが、一つの彫像作品が、それを見た人の元に『UDC怪物』として襲いかかるという事件を予知しました」
ナイアルテの猟兵たちは息を呑む。
本来、UDC怪物は現象として実体化して人々に襲いかかる。
時に儀式や、なんてことない児戯の延長線上、もしくは時と場所。
そうしたいくつもの条件と状況が重なることで人々を怪異に飲み込み、襲いかかるものである。
しかし、彼女の言葉が事実であるというのならば、彫像作品が一つあるだけで『作品を見た人の数だけ、新しく生まれてくる』ということになる。
「これをUDC組織は『UDC-Influence』と名付け、最優先対策事象』に指定しました。そして、この件の作品……その作者は驚くべきことにただの『天才なだけの人間』なのです」
とは言え、それは彼がはるか遠い昔に何らかの形でUDC怪物との邂逅を果した影響によるものであることは疑いようもない。
『天才』と呼ばれた彼の心に燻る得難い体験が、彼を彫刻という形で作品に発露させているのだろう。
「ですが、その作品が無自覚ながらUDC怪物を発生させる装置となっているのです。ですが、幸いにも、まだこの最新の作品である第八作目『虚無あるいは真実』は、それほど人々の注目を集めてはいません」
だが、このSNS全盛たるUDCアース世界の状況を考えれば……。
「はい……この作品がメディアに取り上げられ、SNS上で話題になれば……その拡散性はこれまでの比ではありません」
そう、なんとしてもこの彫刻作品と『UDC-Influence』、加えて作者自身もどうにかしなければならないのだ。
だが、どうすれば?
その問いかけにナイアルテは頷く。
「この作品以上に世間から注目を集める作品を創り上げてぶつければいいかもしれません……そもそも、『天才』と呼ばれる『アハト』というハンドルネームの作者の住まいを既にUDC組織は突き止めています」
そこまでしておいて事態を収束できていないということは。
「彼の住まいの周囲では異常現象が巻き起こっています。対処に当たったUDCエージェントの多くが戻ってきていないのです」
もはや、手段を問うている場合ではないのかもしれない。
強制的に『アハト』のSNSアカウントを停止させることも視野に入れなければならないかもしれない。
もしくは、彼の作品以上にSNS上のトレンドをかっさらってしまうか。
「ともあれ、まずは彼の住居のアパートへと向かわねばなりません。先程もお伝えした通り、彼の住居の周辺ではUDCエージェントが多数消息を絶っています。注意が必要でしょう」
だが、それでも爆発的な『UDC怪物』の増加を見過ごすことはできない。
危険な事件となるのは言うまでもないだろう。
ナイアルテは頭を下げ、猟兵たちを送り出すのだった――。
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
今回はUDCアースにおける恐るべき脅威とも言うべき『UDC-Influence』の出現が確認されました。
ある『天才』の作り上げた彫刻作品を見た人々の元に『UDC怪物』が具現化し、襲いかかる……つまり、『作品を見た人の数だけ、新しく生まれてくる』という特性を備えたUDC事象が今回解決すべき事柄です。
●第一章
冒険です。
件の『天才』と呼ばれた作者は、第八作目である新作を発表しようとしています。
まだSNS上ではアップロードされていませんが、これが万が一にでも全世界に拡散されるようなことがあれば……生まれるUDC怪物は恐るべき数になってしまうでしょう。
そのためには彼の住居に踏み込むなどして、強制的に作品のアップロードを阻止しなければならないでしょう。
とは言え、彼の住居アパートの周囲は既に多数のUDCエージェントが行方不明になっています。
アパートに近づくと周囲の風景が歪み、大聖堂のような場所に皆さんは迷い込んでしまいます。
ですがそれは『何か』の内部ようであり機械仕掛けのような音が聞こえ、明滅する光は明らかに現代とは異なる高度な文明の痕跡が見え隠れするでしょう。
この迷宮のような事象を乗り越えて、『天才』と呼ばれた作者の元へと向かわねばなりません。
●第二章
ボス戦です。
第一章から作者である『天才』の元にたどり着きます。
ですが、言うまでもなく其処は彼のアトリエです。当然のようにこれまで発表してきた作品が存在しており、その中から一体のUDC怪物が現れます。
荒療治になりますが、この一体を眼の前で倒すことで、彼の心に原始的にこびりついた得難い体験から来る心の傷を癒やさねばなりません。
そうなれば、今後彼の作品は『UDC-Influence』を生み出すこともなくなるでしょう。
●第三章
日常です。
『天才』と呼ばれた作者の心の傷も癒やされました。
彼は新たな作品作成のために商店街の模型店へと足を伸ばします。
ですが、彼は『天才』です。
放っておけばまた危険なモチーフに意図せずして取り憑かれる可能性もあります。
此処は、彼の買い物に付き合って新しいモチーフを探してあげるのもいいかもしれません。
それでは、恐るべき事象『UDC-Influence』に対抗する皆さんの物語の一片となれますように、いっぱいがんばります!
第1章 冒険
『異常現象【初】』
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POW : 異常現象そのものに触れ、実際に体験する。
SPD : 異常現象の現場を調査し、痕跡を探す。
WIZ : 目撃者から話を聞き、原因を予想する。
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
『UDC-Influence』を生み出す『天才』と呼ばれる彫刻作品の作者、ハンドルネームしか明らかにされていないが『アハト』の住居があるのが、猟兵たちが転移した先にあるアパートであった。
一見すれば、ただのアパートである。
だが、猟兵たちは一歩でも足を踏み出せば、そこが異界のように景色が歪むだろうことを知っている。
事実、踏み出した瞬間に猟兵たちの周囲を取り囲む景色が変わっていく。
それは荘厳なる大聖堂の如き光景であった。
一見すると中世のような装飾の成された聖堂の内部である。だが、ところどころに明滅する光は、科学の光めいた印象を与える。
いや、事実そうだと思える。
あまりにも発達した科学技術が一巡して中世のような様相を纏うことを猟兵たちは他世界を知るが故に理解しているだろう。
それに似た雰囲気が、眼の前の異常現象に感じられたのだ。
敵意は感じられない。
けれど、油断はできない。
この事象に対処しようとしたUDCエージェントたちが消息を絶っているのだ。
慎重に、と思った矢先、猟兵たちは見ただろう。
まるで己達を侵入者として認識したように体高5mはあろうかという鋼鉄の巨人たちが大聖堂の装飾が展開するようにして現れたのだ。
明らかに異常な事態。
これをかいくぐり、猟兵たちは奥へと進まねばならない。
そして、『天才』と呼ばれた『アハト』の作品。これを世界に拡散させぬために、あらゆる手段を講じなければならないのだ――。
儀水・芽亜
既に状況は始まっていますか。未帰還のUDCエージェントの方々にお悔やみを。
そして、彼らを無駄にしないためにも、『UDC-Influence』は、何としても破壊しなければなりません。
とはいえ、『UDC-Influence』意外に何が起こっているか分からない現状、『あらゆる事態』に対処できるようにしておかなければいけませんね。
「全力魔法」で竪琴を「楽器演奏」し主に向かいて新しき歌をうたえを「歌唱」。この場と合わせると、まさにですね。
こうして歌っている限り、大抵のことは私に都合よくなるものですが、それでも襲ってくるなら、それはUDC|怪物《モンスター》。「音響攻撃」「衝撃波」で討滅していきましょう。
『UDC-Influence』。
その事象は最優先対処の対象である。
これを放置すれば『UDC怪物』は人の数だけ出現することになり、世界の破滅は免れ得ないだろう。
故にUDC組織は『UDC-Influence』に対して多くの人員をもって対処にあたろうとしたのだが、多くのUDCエージェントたちが消息を絶った。
最悪の事態を考えるのならば、この事象に飲み込まれた、というのが正しいのだろう。
転移した先のアパート。
それを見上げ、一歩を踏み出した瞬間、儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『夢可有郷』・f35644)は周囲の景色が一変したことに気がつく。
「先んじて向かわれたUDCエージェントたちが飲み込まれた、ということは……これが『そう』なのですか?」
芽亜は周囲に広がる変わり果てた光景……ある種の荘厳さえ感じさせる神殿のような光景に目を奪われる。
大聖堂と呼ばれる建造物に入ったことがあるのならば、それに似た雰囲気であると知れる。
「Cantate Domino canticum novum.Cantate omnis terra. Alleluja.」
芽亜はユーベルコードを即座に発動する。
滑らかなソプラノの聖歌。
それによって周囲の全てが彼女に無意識下で有効的な態度を取る。
展開するように聖堂の装飾から次々と現れる体高5mはあろうかという鋼鉄の巨人たちが芽亜の前に歩を進め、しかし、案内するように手でもって、この聖堂の如き怪奇現象の奥を示す。
「進め、ということでしょうか」
もしかしたのならば、この鋼鉄の巨人たちがUDCエージェントたちを排除したのかもしれない。
あらゆる事態に対処できるようにと即座にユーベルコードを発動させてよかったと芽亜は胸を撫で下ろす。
手にした竪琴を爪弾くことによって生まれる旋律。
この怪奇現象の生み出す光景と相まって、まさに、という言葉がしっくり来る。
この大聖堂のような場所は一体なんなのか。
そして、この一見すると中世のような装飾がありながらも、どこか圧倒的な科学力を感じさせる作り。
巨人たちに示されるままに芽亜は最奥に進む度に扉が一人でに開いていくのだ。
まるでこれでは、スペースシップワールドのような科学水準を持つ宇宙船の中を進んでいるようだった。
「歌っているかぎりは、襲っては来ない……と」
芽亜はこの状況を正しく認識する。
本来ならば、あの鋼鉄の巨人が侵入者を排除する役割を持っていたのは想像に難くない。
であるのならば。
「この先に潜むものは一体……それに『アハト』と呼ばれるインフルエンサー……彼、彼女? の作品を発表されるのも止めねばなりませんし」
ともあれ、である。
芽亜は元はアパートであったであろう建造物の奥へと進むべく、彼女に対して敵対行動を取らぬ巨人たちに導かれるままに、奥へ奥へと進んでいくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
黒沼・藍亜
…だんだん出現条件緩んで来てない?そのうち「おうちに帰ってレンジで3分、チンしたら即UDC!」とかなりそう。
……笑えない冗談は置いといて、お仕事っすねー
此処は無難に【どこにもいないわたし】っすかね
一応視聴嗅覚はこれで誤魔化せるし、仮に触れられたとしても、その時点で触れた実感も、正常な判断や思考そのものも奪われる。
後は…一見、スぺオペワールド系の場所っぽいけど……中身が素直にそうとも限らないっすからね。
それこそ「誰か」の記憶の再現に過ぎない可能性も、ホントにそういう存在の居る異界に飛ばされてる可能性もある
幸い《目立たない》のはそこそこ得意だし、戦闘などを極力避けて奥を目指すっすよ
本来ならば、である。
UDC怪物たちの出現は多種多様な条件によるものが多い。
複雑怪奇であったり、カルト宗教の儀式であったりと、大仰な物が多いはずなのだ。だが此度確認された『UDC-Influence』は違う。
ただその作品を見ただけでUDC怪物が見た者の元へと出現するのだ。
遙か昔であったのならば、脅威にはなり得なかっただろう。
「……正しく世はSNS全盛期っすからね」
黒沼・藍亜(に■げ■のUDCエージェント・f26067)はため息を吐き出す。
そうするしかなかったと言えば、その通りである。
そう、『UDC-Influence』の恐るべき点は、その出現条件の許さ。
「っていうか、だんだん出現条件緩んで来てないっすか? 気の所為っすか? そのうち『おうちに帰ってレンジで三分、チンしたら即UDC!』とかなりそう」
想像する。
家に帰ってレンチン。
それはもしかしたら藍亜の帰宅後のルーチンワークであったのかもしれない。
けれど、笑えない。
本当に笑えない冗談である。
「……それはまあ置いといて。お仕事っすねー」
彼女の眼の前に広がるのは大聖堂のような光景である。
転移した直後から広がっている光景は、これ事態が怪奇現象。
転移したのはUDCアースのあるアパートだったはずだ。どう見たって、眼の前の光景は似つかわしくない。
「おっと、ここは無難に行きましょう」
どこにもいないわたし(ドコニモユケナイボク)、と呟くようにして藍亜の瞳がユーベルコードに輝く。
彼女という存在は、彼女を捉える観測者にとって違和感のない幻に覆い隠される。
視聴嗅覚での感知は不可能。
とは言え、である。
大聖堂のような装飾がハッチのように開き、鋼鉄の巨人たちが這い出してくる。
視聴嗅覚では感知されない。
では、熱源では?
アイセンサーがきらめいて、藍亜は己を鋼鉄の巨人たちが見たのを理解する。やはり、あれは怪奇現象でありながら、ガワだけが他世界であるスペースシップワールドのものではないのかもしれない。
中身までスペースシップワールドのものであるのならば、己という熱源を、あの鋼鉄の巨人は感知することができる、というわけである。
「でもまあ、無駄っすよ」
彼女に手を伸ばす鋼鉄の巨人の動きが鈍る。
マニュピレーターのセンサーが狂ったように藍亜をかすめ、掴むことができないでいるのだ。
そう、彼女の纏う幻は触れた実感と正常な判断、思考能力を奪うのだ。
それによって鋼鉄の巨人は藍亜を熱源で捉えても、掴むことできないのだ。
「そういうわけで奥に行かせてもらうっすね。っていうか、これって、それこそ『誰か』の記憶が再現しているもおのじゃないんすかね? いや、もしかしたら……」
これが怪奇現象であるというのなら、本当に鋼鉄の巨人たちが実在した異世界へと飛ばされている可能性もある。
此処は慎重にならねばならないと藍亜は鋼鉄の巨人がたちを躱して、極力目立たぬようにと最奥を目指していく。
ハッチのような場所が開き、さらに光が明滅するように藍亜を導いていく。
「この先を行けってことっすか。なんとも便利なものっすね」
藍亜は、総つぶやき己の背後にて彼女を探して彷徨く鋼鉄の巨人たちを躱して、さらに進んでいくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
シャルロッテ・ヴェイロン
まあね、またネット社会に対応したUDCが出てきたものですねぇ…(過去何度か対峙してきた「感染型UDC」を上回る被害が出るのではと想像したり(【世界知識・戦闘知識】)。
(で、現れた鉄巨人に対し)まあ先に乗り込んだエージェントもあいつらにやられたんでしょうね。ならば「ホワイトラビット」を呼び出して【操縦】し、【ダッシュ】で攪乱しつつ片っ端から【切断】していきましょう。
で、同時進行でネットワークに【ハッキング】を仕掛け、件の「アハト」とやらについて【情報収集】し、可能ならアカウントをBANしちゃいましょうか(妨害があるなら【カウンターハック・データ攻撃・ジャミング】で対処)。
※アドリブ・連携歓迎
UDC怪物の台頭はUDCアースにおいては、喫緊の事案である。
強大な邪神の眷属、それに類する怪物たちは現代社会を一変させる。それだけではない。息を潜めるように猟兵たちの目をかいくぐる狡猾さもまた持ち合わせている。
故に即座に対処しなければ、気がついたときには世界の破滅が訪れていたという事態になりかねない。
そういう意味では、今回の『UDC-Influence』は圧倒的な速度を持つ。
それを見ただけで、その見た者の元へとUDC怪物が出現するのだ。
はるか昔であれば、取るに足らない対処可能なものであったかもしれない。
けれど、現代社会……それもSNSが全盛であるUDCアースにおいては意味がかわってくる。
「また社会に対応したUDCがでてきたものですねぇ……」
シャルロッテ・ヴェイロン(お嬢様ゲーマーAliceCV・f22917)は過去に対峙してきた『感染ガタUDC』を今回の『UDC-Influence』が上回る速度を持って被害を拡大させていくことを理解する。
それは正しい。
今や世界中でスマートフォンが使用され、人間一人に対して一台以上持ち得る時代なのだ。加えて、SNSの拡散性。
それによって今回の『UDC-Influence』は爆発的な速度で世界中に伝播する。
そうなっては猟兵でも対処できない。
危険極まりない事象なのだ。
シャルロッテは警戒しながら転移した先にある怪奇現象に飲み込まれたアパートに踏み込む。
この事象に対処しようとしたUDCエージェントたちが消息を絶った、という話は聞き及んでいる。
「彼ら、あれにやられたんでしょうね」
シャルロッテは自身のキャバリア『ホワイトラビット』に乗り込む。
眼の前には大聖堂のような光景が広がっている。
だが、その荘厳なる装飾が開き、中から鋼鉄の巨人たちが現れたのだ。
恐らくキャバリアに類する存在なのだろう。
ゆっくりと人のような動き、緩慢でありながら滑らかな動きで鋼鉄の巨人たちは『ホワイトラビット』を認識するようだった。
「先手必勝です」
シャルロッテは一気に『ホワイトラビット』と共に鋼鉄の巨人へと走り込み、ビームの刃を備える『シャイニングセイバー』の一閃でもって鋼鉄の巨人の四肢を切断する。
撹乱するつもりであったが、シャルロッテは気がつく。
「生体反応!?」
なんで、とシャルロッテはハッキングでもって鋼鉄の巨人の内部を精査する。
すると其処には確かに生体反応がある。
胴体……コクピットと思わしき部分に熱源と共に生体反応があるのだ。
装甲を引き剥がすと其処にあったのは、消息を絶ったUDCエージェントたちの姿があった。気を失っているように思えたのは、恐らく彼らが鋼鉄の巨人の動力にされていたからだろう。
「バイタルサインは……まだある。ということは」
シャルロッテは『ホワイトラビット』でもって他の鋼鉄の巨人たちの動きを止め、片っ端から胴体部分を確認する。
やはり生体反応がある。
「怪奇現象に飲み込まれたってことですね」
シャルロッテはUDCエージェントたちの消息を思わぬ所で見つけ、胸を撫で下ろす。
「なら、あとは!」
ユーベルコードに輝く。
ハッカーとしてのセンスは鈍ることはない。彼女はこの怪奇現象の奥に進むと同意にSNSシステムにハッキングし、この怪奇現象の大元たる作品を作り上げている作者『アハト』のアカウントを見つけ出し、これを停止させる。
これでSNSでの拡散性は失われたと見ていいだろう――。
大成功
🔵🔵🔵
鏡島・嵐
好きなことに打ち込んでるだけで怪物出現とか、ぞっとしねえな。
自分自身はともかく、大切な人がそんなんで犠牲になったりしたら……癒えない心の傷を一生背負うことになっちまうよな。おれだって厭だ。
一見すると綺麗な場所だけど、それだけに何か薄ら寒ィモンを感じるな。
だいたいこういう時の悪い予感ってのはよく当たるから、始末に負えねえ。
あまり時間をかけてられないし、当然戦うんだっておっかねえ。
《忠義貫く犬の祝福》を身に帯びて、なるべく〈目立たない〉ように身を隠して進む。〈地形を利用〉したり、〈逃げ足〉を活かしたりして、とにかく怪物とまともにやり合うのは避ける。
あとは、自分の〈第六感〉を信じて突き進むだけだ。
皮肉なことである。
この『UDC-Influence』と呼ばれる事象を生み出しているのは、悪意を持つ者ではない。
ただ、その人がもつ『天才』性を発露しただけなのだ。
それだけでUDC怪物を生み出してしまう。
「好きなことに撃ち込んでるだけで怪物出現とか、ぞっとしねえな」
鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)は偽り無く身震いした。
恐ろしいことだ。
UDC怪物たちはいつだって人の心の闇から生み出されるような存在であった。
密やかに、目に触れぬ所で、ひたひたと己の背後に迫ってくる。
そんな恐ろしさを感じて嵐は、己の言葉以上に心が恐怖で弛緩するのを感じただろう。
「それになんだよ、ここ……」
確かに自分は転移によってUDCアースのアパートへとやってきていたはずだ。
なのに眼の前に広がるのは大聖堂の如き空間。
荘厳なる装飾は美しいものであったが、どこか得体のしれぬ空気が流れている。
多くの旅路で見てきた聖堂とは異なる。何処か無機質な寂しささえ感じさせる光景に嵐は、一旦足を止める。
これがUDCの生み出す怪奇現象。
望む望まざるとてUDC怪物は、『天才』の生み出した作品を見た人々の元にUDC怪物を生み出す。
悲劇が起こることなど想像に難くない。
嵐はすぐに自分に置き換えてしまう。
自分自身がどうにかなるのならば、ともかく。そう、恐ろしいけれど、まだいいと思えた。けれど、大切な人が、もし犠牲になったのなら。
それはとても耐えられそうにない。
癒えぬ心の傷を一生負うことになるのだ。
嵐は己の傷よりも誰かの傷を思う。そこに憂いを見せる。
「なら、早く対処しなくっちゃな」
ぴん、と嵐は妖怪メダルを指で弾く。
『禍福の忠犬シロ』のメダル。
これを自身の額に貼り付ける。
すると、忠義貫く犬の祝福(ドッグス・ホーカス・ポーカス)が彼の体に宿るのだ。
幸福をもたらし、己の敵対者に対して不運をもたらす。
そのユーベルコードによって嵐は大聖堂の如き怪奇現象の中を闊歩する鋼鉄の巨人をやり過ごす。
目立たぬように、影から影に飛ぶようにして嵐は鋼鉄の巨人たちのアイセンサーが煌めく光に照らされることなく大聖堂の中を突っ切っていく。
「あんなのとまともにやり合うなんてやってられないからな」
それに、と薄ら寒いと感じる。
ここは生命の気配があまりにも薄い。
こんな場所に長居なんてできない。
「この奥、か……?」
ぷしゅ、と音を立てて扉が開く。
中世のような装飾や雰囲気があっても、これを構成している技術は明らかに中世のものではない。どちらかというと、スペースシップワールドのような高度な技術体系であるように思えた。
「どの道進まなきゃ話が進まないってんなら」
行くしかないよな、と嵐は意を決して奥へと歩みを進めるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
薄翅・静漓
物を作ることで起こる事件
奇妙な事件だけど、それが悪意から生まれたものでないのなら
どんな人が作ったのか、どんな作品なのか、知りたい
赴けば、作者の心に影響するものを感じられるかしら
厳かな大聖堂へ、静かに足を踏み入れるわ
あまり踏み荒らしていい場所ではないと思うのよ
ここは祈り、何かを祀るための場所、のように感じるから
なるべく慎重に行動したいけれど
鋼鉄の巨人達への対策だけはそうもいかないかしら
蝶々に変えた護符を浮遊させ
攻撃されたらUC『皓月結界』で捕縛し
足止めした間に奥へ進むわ
何かを作るということは喜びだった。
喜びの中から作り上げたものは生まれ、意味を持つ。
少なくとも、薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)がこれまで経験してきたことから照らし合わされれば、何かを作るということはそういうことだった。
そうだと彼女は知ったのだ。
だからこそ、今回のUDCアースにて起こった事件には複雑な気持ちだったのかもしれない。いや、ひどくシンプルであるとも言えるだろう。
複雑なのは、UDC怪物が見た者の元に現れるような作品をどのような人物が作り、どんな作品なのか知りたいという思いであった。
シンプルであったのは、このような奇妙な事件であれど、それが悪意から生まれたものではないという思いであった。
だからこそ、眼の前に広がる大聖堂の如き怪奇現象に静漓は視線を巡らせる。
厳かな雰囲気である。
「これもまた作者の、『天才』の心が影響したものが見せる光景なのかしら」
生命の気配が少ない。
先に踏み込んだというUDCエージェントたちは無事だろうか。
他の猟兵によって、現れる鋼鉄の巨人の胴体に消息を絶ったUDCエージェントたちが発見されたということを静漓はまだ知らないが、けれど、此処は、と彼女は思う。
「あまり踏み荒らしていい場所ではない。此処は祈り、何かを祀るための場所、のように感じるわ」
彼女は視線を巡らせる。
鋼鉄の巨人たちの姿を彼女は知っている。
あれは『はじまりの』『セラフィム』だ。
ならば、この大聖堂の如き光景は。
「……あの時の島になっていた宇宙戦艦の残骸の、中……?」
だが、どうして。
疑問が渦巻く。慎重さを旨としていたが、静漓はたじろぐようだった。
あの鋼鉄の巨人が自分の知るものであるのならば、あの胴体部分にはコクピットがあるはずだ。
そんな静漓の動揺をよそに彼女の姿を見つけた鋼鉄の巨人が迫る。
「……動かないで」
静漓の瞳がユーベルコードに輝き、抜き払った護符が蝶に変じて舞うようにして飛び、鋼鉄の巨人を月光のケ界術でもって捕縛する。
動きを止める。
あくまで足止めだ。
結界に阻まれて鋼鉄の巨人は身動きができなくなっている。
もし、自分の憶測が正しいのならば、あの中には人がいる。むやみに攻撃するものではない、と静漓は理解し、また同時に自分では今は鋼鉄の巨人の中にある者を救出することはできないと判断する。
ならば、自分にできることは一つだ。
「先に進みましょう。もう少し待っていてね」
静漓は己の既視感にめまいを覚えるようだった。
これが怪奇現象によるものなのか、それとも自分が動揺しているのか判然としない。
けれど、前に進むしかない。
そうすることでしか真実は詳らかにならないというのならば、静漓は止まるという選択肢を持たないのだ。
さらに奥へと進む静漓を迎えるのは、一体何か。
それを知る静漓に去来する感情は如何なるものであったか。
答えを知るべく静漓は、その瞳を前に向けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ステラ・タタリクス
【ステルク】
これは……アハト・スカルモルド様の……?
『しあわせなゆめ』はてっきりアスアスで結実するかと思っていたのですが
確かにアハト様はお亡くなりになられたタイミングが違いますね
というわけでルクス様
|エイル様《主人様》の香りがしまぁぁあぁぁぁすっ!!
ので、いきましょう
え?いきなり叫ぶなと?
シリアスで死にかけていたくせにぃ
さて……想定すぎるというか……あれはセラフィム?
というか此処、まさかアギア・ソフィアの中ですか?
これを力押しで通るには厳しそうですね
いえ、|光の勇者《破壊の申し子》ならば?
ここはルクス様の出番ですね!!
私は【アウルム・ラエティティア】で支援するとしましょう
ええ、愛こそが至上!!
ルクス・アルブス
【ステルク】
いえ、雄叫びばないといけないとかないんですよ!?
まぁ、最近はシリアスにとどめをさされそうでしたので、
ステラさんのやべーはありがたいんですが。
あと、死にかけてたんじゃないです。廃になりかけてたんです(どやぁ
って、ここおっきな船の中なんですか?
そんな感じしないですけど、ステラさんがそういうならそうかもですね。
しかし、ですね!
ルビは不穏ですが、『天才』には『天才』をぶつけようという、
ステラさんの意思はしっかり受け取めました!
あちらが『彫像』ならば、こちらはもちろん『演奏』です!
この世界には絵とか音楽を広める仕組みがあるみたいですし、
わたしたちの演奏もそこで流してもらっちゃいましょう!
眼の前に広がるは大聖堂。
怪奇現象と呼ばれる類のものであることは、承知している。
己たちが転移したのはUDCアースのアパートだったはずだ。だが、眼の前に広がるのは、それとは似つかわしい光景ばかりである。
だからこそ、異常事態であると認識できたのだ。
もしも、これが怪奇現象でないのならば、その荘厳なる雰囲気に飲まれていたかもしれない。
「これは……『アハト・スカルモルド』様の……?」
『天才』。
そのキーワードにステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は何かを感じ取っていたのかも知れない。
嘗てのクロムキャバリアにおける『憂国学徒兵』と呼ばれた『ハイランダー・ナイン』の一人『アハト・スカルモルド』の異名は『天才』である。
奇妙な符号の合致。
なら、とステラはこれが彼の見る『しあわせなゆめ』なのかと思ったのだ。
そして、そうでなければいいとも思ったのだ。
彼がもしも、死後に見る夢があるのならば、アスリートアースのような争いのない世界ではないのかとも。
けれど、とステラは眼の前の現実に……怪奇現象に考えを巡らせる。
いや、考えるより早く動かねばならないとも思ったのだ。
というわけで。
「|『エイル』様《主人様》の香りがしまぁぁあぁぁぁすっ!! ので、いきましょう」
「いえ、別に雄叫びばないといけないとかないんですよ!? そんなノルマなんてありませんからね!?」
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は思わず突っ込んでいた。
見事なツッコミ所作であった。
サンパチマイクが目の前にあったのならば、もう漫才であった。
だが、今、彼女たちがいるのは大聖堂の如き怪奇現象の中。
そんな中でステラの雄叫びが響けばどうなるかなんて言うまでもない。
装飾のあちこちが開き、鋼鉄の巨人たちが出現しているのだ。そして、そのアイセンサーがステラたちを捉えている。
「ほらぁ!」
「ええ。承知しております。最近、シリアスで死にかけておりましたので。ここらで、ギャグを、と」
「確かに最近はシリアスにトドメを刺されそうでしたので、ステラさんのやべーのはありがたいんですが」
それをありがたがったらもう終わりでしょう。
「あと、死にかけていたんじゃないです。廃人になりかけていたんです」
どや。
練乳廃人。そういうことでしょうね。わかります。
「って、だからそ言うことやってる場合じゃないんですってば! ステラさんが雄叫びるものだから、鋼鉄の巨人がいっぱい!」
「はい、千客万来というものですね。想定内すぎるといいますか。あれは……『セラフィム』?」
そう、ステラは見ただろう。
あれはサクラミラージュにおける大いなる戦いにて生み出された侵略新世界でみた『はじまりの』『セラフィム』。
「ならば、此処はまさか宇宙戦艦『アギア・ソフィア』の残骸の中、ですか?」
いや、それにしてはあまりにも整いすぎている。
あれは残骸が島になっていた。
なら、内部は相応に荒れているはずなのだ。なのに、此処は違う。
あまりにも整いすぎている。
「これを力押しで押し通るのは厳しいですね。いえ、|光の勇者《破壊の申し子》ならば?」
「あの、ルビが不穏なんですけど、『天才』には『天才』をぶつけようというステラさんの意志はしっかり受け止めました!」
「できれば、私に余波がでないようにしていただきたいのですが」
「あちらが『彫像』ならば、こちらはもちろん『演奏』です!」
「話を聞いてくださいませんか?」
「この世界には絵とか音楽を広める仕組みがあるみたいですし、わたしたちの演奏こそ至高と知らしめるように流してもらっちゃいましょう!」
「それは別の意味で世界の危機だと思うのですが!」
「わたしの魂を響かせますよ!」
聞いちゃいない。
ルクスがグランドピアノを奏でる瞬間に放たれるは三半規管破壊音波。
ステラは耳栓をして、己が喉を震わせる。
そう、もうこれ以上は問答したって無意味。なら、ステラは愛を叫ぶ。
「愛こそが至上!!『はじまりの』『セラフィム』、今一度ここで眠っていただきます!」
響くはボレロの旋律に乗る魂の叫び。
アウルム・ラエティティアは、その衝撃波をほとばしらせ、鋼鉄の巨人たちを退け、その最奥への道を切り拓くのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
フ…どうやら芸術(が好きなだけのただの)神であるボクの出番のようだね!
困ったなー、千年…いや永遠に称えられる人の手にはなし得ない美アートをまた世界に残しちゃうなー!
●UC『神知』使用
●迷路
えー?それよりまずこの迷路を抜けろって?
んもー
【第六感】に任せて攻撃やそもそも襲撃されるのを掻い潜りながら【抜け道探し】をしていこう!
こういうのはねー大抵抜け道があるものなんだよ!『|STAFF ONLY《関係者以外立入禁止》』とか書かれてるやつ!
無いんなら[ドリルボール]くんで壁を射貫いたりしてショートカットしてこう!
ふ、どちらが本物の【アート】の天才かすぐに教えてあげるよー!
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は眼の前に広がる大聖堂の如き光景を前にしても特に取り乱すことはなかった。
いや別に元よりそんなことはどうでもよかったのかもしれない。
今回の事件。
そう、『UDC-Influence』。
これは一人の『天才』によって引き起こされる悪意なき事件。
彼の生み出した作品が、芸術に昇華し、UDC怪物を生み出す媒体となってしまったことが悲劇であるというのならば、ロニは不敵に笑むのだ。
「フ……どうやら芸術神であるボクの出番のようだね!」
芸術が好きなだけのただの神である、ということは伏せておくべきことだろう。
言わぬが花、という言葉もあるくらいだ。
余計なことを言わないほうがいい時だって、ある。
「いやー、困ったなー。千年……いや、永遠に称えられる人の手には為し得ない美アートをまた世界に残しちゃうなー」
困った困った。いや、本当に困ったなーとロニは大聖堂の如き怪奇現象の中でくねくねしていた。
破壊神の間違いではないだろうか。
いつもの彼の活躍を知っているものからすれば、芸術神なんて要素かけらもないように思えてならない。
いつだってドーンとぶっ壊すばかりである。
それで芸術神を名乗るのは風評被害がひどいのではないだろうか。
「んもー、そういう細かいことは言いっ子なしだってば。まずはこのなんか、こう……聖堂? を抜けるのが先なんでしょ!」
ぷんすこと誰に言っているのかわからないが、ロニは憤慨しながらも次々と現れる鋼鉄の巨人たちの追跡を躱すようにかいくぐっていく。
「なんかどっかで見たような気がするけど、ま、いっかー」
それに、とロニは周囲を見回す。
こういう時大抵抜け道というものがあるものなんだと思っているのだろう。
「あれー?『|STAFF ONLY《関係者以外立ち入り禁止》』って札のある扉どこー?」
そこになければないですね。
というか、あるようには思えない。
確かに大聖堂の如き怪奇現象は、荘厳なる中世時代のような様相を持っている。
だが、所々中世の技術では作ることもできないような雰囲気が漂っているのだ。このような光景には他世界を知る猟兵であれば気がつくことができたかもしれない。
これはスペースシップワールドを取り巻くスペースオペラワールドの技術体系ににているのだ。
科学技術が高まり、一周回って中世のような有り様になっているような、そんな雰囲気。
それをロニは感じながら、うーん、と悩む。
「ないかー、ないのかー。なら……うん、しょうがないよね!」
球体を掘削型に切り替えて、ロニは怪奇現象の壁をぶち抜く。
力技である。
何処からどう見ても破壊神であるし、芸術神とは思えぬ所業であった。
「ショートカット! ふ、どちらが本物のアートの天才からすぐに教えてあげるよー!」
ロニは笑いながら、いつものように破壊の限りを尽くしながら怪奇現象を力技という名のショートカットでもって最奥へと迫るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『ジャガーノート・ハーレー』
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POW : オレハ オ ハ 何ダ?
自身が【斃されるべき"世界の敵"であるという認識】を感じると、レベル×1体の【破滅を齎す彗星】が召喚される。破滅を齎す彗星は斃されるべき"世界の敵"であるという認識を与えた対象を追跡し、攻撃する。
SPD : ……勝負ハ、3Rマデ ダ
【約束を果たす迄絶対に斃れられない】から、対象の【「再戦」】という願いを叶える【"復活した自分"と復活の度強化される光剣】を創造する。["復活した自分"と復活の度強化される光剣]をうまく使わないと願いは叶わない。
WIZ : ――ハ 度デモ 立チ ガル
【瀕死時即復活。復活する毎に前より強い状態】に変身し、武器「【光剣】」・「【瞬間的光子化による超加速】」の威力増強と、【復活回数分の流星を召喚。流星は敵自動追尾】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
イラスト:落葉
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ジャガーノート・ジャック」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵たちは大聖堂の如き怪奇現象を突き進み、その最奥へと到達する。
そこは彫像ならぶアトリエだった。
作品とも言うべき彫像に囲まれた中心に一人の青年が立っている。
彼が『アハト』というハンドルネームを持つ、『UDC-Influence』事象、渦中の人『天才』なのだろう。
「どうしたことだろう。SNSのアカウントが停止されている。作品の写真が撮れたから、投稿しようと思っていたのに……」
彼は少し残念そうな顔をしていた。
けれど、それも僅かなものであった。
別に作品を投稿して誰かに認めてもらいたいわけではなかったのだ。いや、少しの承認欲求がないわけでもない。
だが、それは重要なことではなかったのだ。
彼にとって大切なことは、己の心に浮かび上がり続けるものを彫像として作り上げ続けることだったのだ。だからこそ、SNSのアカウントが停止されていても、特別落ち込むこともなかったのだ。
「……それで君たちは?」
彼は猟兵たちを一目見て、僅かに言いようのない嫌悪感を覚えたようだった。
理由があるような、ないような。
彼自身にも判然としない感情に戸惑っているようだった。
そんな彼の戸惑いに、感情に呼応するようにして、八番目の作品『虚無あるいは真実』から、一体のUDC怪物が現れる。
人型。
等身大の人型たるUDC怪物『ジャガーノート・ハーレー』。
光剣を携えた怪物は、幾度か猟兵たちの前に姿を現していた。
「――……真実は一つだけれど、多面体。誠実であることは不誠実であるということ」
これまでの対峙とは違う流暢な言葉。
だが、『ジャガーノート・ハーレー』は、その言葉とは裏腹に、光剣を構え、猟兵たちと襲いかかる。
恐るべき速度と戦意。
それは『アハト』と呼ばれた青年の中にある、彼自身も理解し得ない心の傷が生み出す猟兵への感情に起因するようであった――。
儀水・芽亜
UDC|怪物《モンスター》を見ても平然としてますのね、『アハト』。
恐慌に陥られるよりはマシです。大人しくあなたの作品の最期を見届けてください。
「全力魔法」冥の「属性攻撃」「範囲攻撃」「受け流し」「霊的防護」「回復力」「オーラ防御」「結界術」で胡蝶の盾を展開。
では相対を始めましょう。全周を覆う私の防御は簡単には抜けませんよ、“世界の敵”。
あなたが攻撃している間にも黒揚羽たちがたかって、生命力吸収と「魔力吸収」をしながら「精神攻撃」の「呪詛」を流し込みます。
どちらが音を上げるのが早いか、試してみましょう。
UDC怪物が孤高を気取るとは馬鹿らしい。世界に適合しえないからこその、“世界の敵”でしょうに。
彫像作品から現れたUDC怪物『ジャガーノート・ハーレー』。
その姿に『アハト』というハンドルネームを持つ『天才』たる青年は、特別驚く様子を見せていなかった。
むしろ、彼を守るべくやってきた猟兵たちに対して若干……薄っすらと嫌悪のような感情を抱いているほうが気がかりであった。
だが、儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『夢可有郷』・f35644)は、寧ろそちらのほうが都合が良いと思ったのだ。
「恐慌に陥られるよりはマシですけどね」
「君たちは何をしにやってきたんだい?」
彼の言葉に芽亜は頷く。
このような状況にあって落ち着きを持っている彼にならば言ってもいかも知れないと思ったのだろう。
「あなたの作品に最期を」
「それはあれをどうにかする、ということなのかな」
「そういうことです。できれば大人しくしていて欲しいです」
芽亜がそう告げるより早く『ジャガーノート・ハーレー』が踏み込んでくる。
手にした光剣の一閃。
それをオーラで受け止め、受け流す。
火花が散って、地面に光剣が叩きつけられてまた火花が散る。
返す刃で芽亜は己がオーラが破られるのを感じただろう。
己の体を覆う黒揚羽蝶の群れが光剣を受け止める。超硬度とも言える群れが光剣を受け止める。
「この敵意……」
「そうだね。彼は君たちをひどく……憎んでいるというよりは、嫌っているんだね。でも、それは」
おかしいね、と『アハト』は言う。
彼にとって作品とは己の心の中の発露だ。
けれど、今日初めて出会った芽亜を嫌う理由などない。そして、自らもまた薄っすらとだが、彼女たち……猟兵たちのことを。
「嫌っている、いや、苦手、と思っているのかな、これは」
「よくわからないと」
「そういうことだね。なるべく自分の心の内は言葉にするようにしているんだけど」
芽亜は『アハト』をかばいながら、黒揚羽蝶が受けた敵意と共に戦闘能力を増強させ、そして、『ジャガーノート・ハーレー』を存続させているエネルギーを吸収していく。
「私には解っていますよ。あれは『世界の敵』。だから私達が来たのです」
「虚構の中でしか存在できないのなら、それは虚構の中の真であるべきだ。そうでなければ、真摯ではいられないだろうし、実直ですらいられないのだから」
『ジャガーノート・ハーレー』の流暢なる声が響く。
芽亜は鼻で笑う。
馬鹿らしい。
眼の前の『ジャガーノート・ハーレー』は孤高を気取っているように思えたのだ。
それはまるで誰かを写し鏡に映したかのようであった。
だからこそ、芽亜の瞳はユーベルコードに輝き、胡蝶の盾(コチョウノタテ)でもって『ジャガーノート・ハーレー』の光剣を押しのける。
「どちらが音を上げるのが早いか、試してみせましょう。その孤高など、世界に適合しえないからこそであると知りなさい。『世界の敵』」
振るう一撃が呪詛と共に『ジャガーノート・ハーレー』の装甲を穿つ。
穿たれた虚にあるのは、やはり虚無であった。
内側だけが体裁を整えている。
あの流暢に響く言葉は、反響しているだけだ。
己の言葉に返事をしているのではない。
いつかのだれかの言葉を反響させて、反芻させているだけなのだ。
故に芽亜は己が生み出した黒揚羽蝶の群れでもって『ジャガーノート・ハーレー』を阻み、その存在する力を奪うのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
鏡島・嵐
コイツ……そうだ、前に戦ったことがある……!
でもあの時はカタコトしか喋れなかったのに……どういうことだ?
……考えても仕方ねえ。怖ぇけど、なんとか止めねーと……!
〈第六感〉を活かして攻撃の筋を〈見切り〉ながら、〈目潰し〉〈マヒ攻撃〉で牽制しつつ隙を窺う。
チャンスが見えたら〈限界突破〉した〈スナイパー〉ばりの一撃を。
向こうの強化は、折を見てUCで打ち消す。
一応『アハト』って人の様子も窺うけど……どう声をかけたもんかわからねえ。
正体不明の嫌悪感……自分の作品を壊す奴にその程度の感情で済むってんなら、こっちは助かる話ではあるんだけど……なんかモヤモヤする。
祖母ちゃんなら、どうしたんだろう……?
UDC怪物、オブリビオン。
それらは過去からにじみ出た存在。
同じ姿形をしていても、その内情は異なる。
故にオブリビオン。
永遠の死。
過去の化身。
『ジャガーノート・ハーレー』もまた、その一体であった。
今まさに『アハト』というハンドルネームを持つ青年の作品から出現したのだ。
その姿を鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)は知っている。
「どういうことだ……?」
いくつもの疑問が彼の中を駆け巡っていった。
過去に嵐はUDCアース……その時もSNSを利用した『UDC怪物召喚儀式』の事件の際にも『ジャガーノート・ハーレー』と遭遇しているのだ。
あのときは、カタコトのような言葉しか紡げなかった。
けれど、今は違う。
流暢な言葉を紡いでいる。
「あのときは約束、と言ってたけど……!」
違和感を感じる。
眼の前の『ジャガーノート・ハーレー』は違う。
まるで誰かの言葉を反響させているだけに過ぎないかのような、そんな淀みなさを感じていた。
「『戦いに際しては心に平和を』……なら、平和には何を思えばいい」
「考えても仕方ねえ。怖ぇけど、なんとか止めねーと……!」
迫る光剣。
その斬撃はあの時と同じ鋭さを持っていた。
第六感があり、また過去の経験があるからこそ嵐は『ジャガーノート・ハーレー』の一撃を躱すことができていた。
目潰しの牽制。
スリングショットから放たれる弾丸を光剣が切り払う。
なんという絶技であろうか。
淀みのない動き。腕を振るう度に嵐を襲う圧迫感。
喉がひりつく。
そんな攻防のさなか、嵐は『アハト』というハンドルネームを持つ青年の姿を見やる。
この状況で彼はひどく冷静だった。
いや、それどころか己たちに対して薄っすらと嫌悪感を抱いている様子すらある。
何故か、と考えてしまう。
今は戦いの最中だ。
考えている暇なんてない。けれど、考えてしまう。青年自身も何故猟兵たちに嫌悪を抱くのか理解できていないようだった。
「いや、それもそうか。自分の作品を壊すやつに……いや、その程度の感情で済むものなのか?」
助かる話ではある。
けれど、嵐は心中穏やかではなかった。
モヤモヤしたものが渦巻く。
迫る光剣。
その軌跡を嵐は見据え、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
「鏡の彼方の庭園、白と赤の王国、映る容はもう一つの世界。彼方と此方は触れ合うこと能わず。……幻遊びはお終いだ」
放たれるは、光剣と同じ輝き。
スリングショットの一射は『ジャガーノート・ハーレー』のユーベルコードと激突し、鏡を生み出す。
それは鏡に写った光剣。
相殺されて光と散る光剣を嵐は見据える。そのユーベルコードならば見たことがあるのだ。
ならば、相殺することなど造作もない。
だが、嵐はすっきりとしなかった。まだ心のなかにモヤモヤとしたものが渦巻いている。
「祖母ちゃんなら、どうしたんだろう……?」
答えはでない。
それは、自分で見つけるしかないのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
シャルロッテ・ヴェイロン
ええ、確かに、ネットワークに【ハッキング】してあなたのアカウントをBANしたのは私ですが(あえて明かしてる)。邪神の大量拡散とかマジ勘弁なので。
で、あなたがこの【アート】作品を作ったときどんな思いだったか、あとで詳しく聞くとして――。
そこの邪神存在さん、大仰な御託はどうだっていいのですよ。とりあえずこちらは初めからUDCを「世界の敵」と認識してますので。【覚悟】はいいですか?(【挑発・存在感】)
早速UCで光線銃を巨大砲台に変形し、飛んできた彗星諸共【蹂躙】しちゃいましょう(【レーザー射撃・制圧射撃・一斉発射・捨て身の一撃】)。
※アドリブ・連携歓迎
己の作品から現れたUDC怪物『ジャガーノート・ハーレー』。
そして猟兵たち。
その入り乱れる戦いの軌跡を『アハト』というハンドルネームを持つ青年は見ていた。動じた様子はない。
落ち着きを払っているように思えたし、逆に助けに来たはずの猟兵に薄っすらと嫌悪を抱いているようにさえ見えた。
「……やっぱりアカウントは停止されたまま、なんだね」
彼のスマートフォンを見つめる目は、特別残念がっているようには思えなかった。
こんなものか、という程度であったし、またアカウントに執着があるようには見えなかった。
「ええ、確かに。ネットワークにハッキングしてあなたのアカウントをBANしたのは私です」
シャルロッテ・ヴェイロン(お嬢様ゲーマーAliceCV・f22917)は悪びれた様子もなくそう告げた。
そうしなければ、彼の作品を見た者たちの下に『ジャガーノート・ハーレー』のようなUDC怪物たちが出現するのだ。
シャルロッテはやるべきことをやったに過ぎない。
それによって救われた者たちが多くいるのだ。だからこそ、彼女は悪びれないし、誰も彼女を責めることはできない。
誰かがやらねばならないことをシャルロッテはやっただけなのだ。
「邪神の大量拡散とかマジ勘弁なので」
「あれが邪神、というものなのかい?」
「そうですよ。あれが邪神、UDC怪物。と、まあ。あなたがあのアート作品を作った時どんな思いだったかは後で詳しく聞くとして――」
シャルロッテは『ジャガーノート・ハーレー』と対峙する。
「平和は訪れるが、去りゆくものだから。手にしたら喪うのと同じ理屈だ」
反響するような声が『ジャガーノート・ハーレー』から響く。
流暢な言葉だった。
けれど、こちらと会話をしているのではない。
いつかの誰かの言葉が反響して放たれているだけに過ぎないのだ。故に、シャルロッテは構わない。論ずるに値しない。
眼の前のあれは『世界の敵』だ。
「大仰な御託はどうだっていいのですよ」
どちらにせよ、眼の前の存在は敵だ。
存在するだけで世界の破滅をもたらす敵。
その認識に誤りなどない。元より、猟兵とオブリビオン。
滅ぼし、滅ぼされる間柄でしかないのだ。故に、シャルロッテの瞳がユーベルコードに輝く。
「覚悟はいいですか?」
シャルロッテの手にした光線銃が巨大砲台へと変貌する。
空より飛来するのは世界を滅ぼす彗星。
落ちればどうなるかなんて言うまでもない。だからこそ、シャルロッテは大型の砲台へと光線銃を変形させ、叫ぶのだ。
「あらかじめ言っときますが、手加減はありません」
凛乎-valiant-(ヴァリアント)。
彼女のユーベルコードより放たれる光条の一射が迫る彗星を撃ち抜く。
だが、そこに詰め寄るは『ジャガーノート・ハーレー』であった。
光剣を失っても、その腕でもってシャルロッテを縊り殺そうとしているのだ。けれど、シャルロッテは動じなかった。
放った巨大砲台の光条。
それが彗星を穿ちながら、極大の刃のように『ジャガーノート・ハーレー』へと叩き落されたのだ。
「言ったでしょう。手加減はありませんって」
圧倒的な出力と共に放たれた光条は、その熱量と出力でもって、シャルロッテに迫った『ジャガーノート・ハーレー』を打ち据えるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
えっ、おやつ300円まで!?
そんなじゃチューブ1本しか買えないじゃないですか!
1本なんて保って1時間くらいです。
追加はいただけると嬉しいですがー……経費で請求できますかね?
現物支給でもぜんぜんおっけーですので。
そしてこの方が『アハト』さんなんですか?
はじめましてです。
『エイル』さんには大変なご迷惑をおかけしております
(主にステラさんが)
それにしても『|青《善性》と|赤《悪性》を追いかける者』とはまた……。
嘘は言ってないのがズルいですよね。ふつうにストーカーですのに。
って、支援!
わっかりました!それでは音楽の可能性を見せつけさせていただきますね。
しっかり聴いてくださいですよー!
ステラ・タタリクス
【ステルク】
ふむ
アハト様の魂ある所
必ずジャガーノートが現れますね?
であれば、このジャガーノートこそがアハト様の本質、いえ、多面なのでしょうか?
ルクス様生きていますか?
お菓子は300円までとUDCアースでは決められているようです
足りてますか?
追加いります?
アハト様初めまして
5番目の作品は素敵ですね
まさしく|救世主あるいは悪魔《フュンフ・エイル》
『貴方様』から見た5番目はこうだったのでしょうか?
私はプロメテウスの|青《善性》と|赤《悪性》を追いかける者
教えてください
貴方様にとっての8番目が『どういうもの』なのかを
と問いかけながら
【スクロペトゥム・フォルマ】で仕掛けます
ルクス様ー支援お願いしまーす
光条に打ち据えられるUDC怪物『ジャガーノート・ハーレー』。
それは幾度か猟兵たちの前に姿を現した存在である。
だが、それはオブリビオン。
過去の化身は、同一存在に見えて、それ自体が異質な存在である。
同じではない。
過去は変わらない。歪むだけなのだ。
故に、過去に対峙したものと、今目の前に存在する『ジャガーノート・ハーレー』は別物であった。
その証拠というように『ジャガーノート・ハーレー』は嘗てのカタコトのような断続的な言葉を紡がず、流暢なる言葉を紡いでいる。
「優しさ、というのなら。それが今まさに必要なものなんだよ」
それはまるで、いつかのだれかの言葉を反響して放っているかのような違和感があった。
「ふむ」
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は理解する。
『アハト』というハンドルネームを持つ青年。
そして、『アハト・スカルモルド』、『アハト・ラーズグリーズ』。
いずれもが関連性を疑わざるを得ない。
眼の前の『ジャガーノート・ハーレー』は、いずれなのだろうか。
「本質、いえ、多面なのでしょうか」
わからない。けれど、多くの世界を知るからこそ、理解できるところがある。
数字を冠する名を持つ者たち。
彼らは、他世界に存在している。その意味は。
「ルクス様生きてますか? お菓子は300円までとUDCアースでは決められているようです。足りてますか?」
「足りてるわけないじゃないですか! そんなんじゃチューブ一本しか買えないじゃないですか!」
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)はUDCアースのおやつ事情に目を見開いた。
殺生がすぎる。
まあ、練乳んチューブは必要なものだから別枠でいいんじゃないでしょうか。
バナナはおやつじゃなくてご飯的な、そういうロジック。
「一本なんて保って一時間くらいです!」
「追加いります?」
「いただけると嬉しいですがー……経費で請求できますかね? 現物支給でもぜんぜんおっけーですけど!」
どこに請求するのだろうか? グリモアベース? 関知しないけど?
「君たちは一体なんなんだい?」
その言葉にルクスたちは我に帰る。遅いよ。
「あ、はじめましてです」
「『アハト』様、はじめまして。5番目の作品は素敵ですね。正しく|『救世主あるいは悪魔』《フュンフ・エイル》。『貴方様』から見た五番目はこうだったのでしょうか?」
「作品の解釈を語ってくれるのは嬉しいけれどね」
薄っすらと嫌悪の感情を彼が抱いているのをルクスは感じたかも知れない。ステラも同様だっただろう。
何故、と問いかけるまでもない。
「『エイル』さんには大変なご迷惑をおかけしております」
「『エイル』?」
「私は『プロメテウス』の|青《善性》と|赤《悪性》を追いかける者。教えて下さい。貴方様にとって8番目が『どういうもの』なのかを」
「嘘を言ってないのがずるいですよね。普通にストーカーですのに」
ルクスの言葉に迫る『ジャガーノート・ハーレー』。
掲げた手に導かれるようにして天より迫るは彗星。
尾を引くようにして落ちる彗星の一撃は強大。
故にステラはルクスに視線を向ける。
その背中に『アハト』は言う。
「あれは『いつかのだれか』に過ぎない。残響ではなく多面体の一つだよ。だから、虚無であり真実。そして『怪物』に悪性と善性は、ない。ただ、そこにあるだけにすぎないんだよ」
その言葉にステラは、どういう意味だと問いかけようとしてできなかった。
なぜなら。
「わっかりました! それでは音楽の可能性を見せつけさせていただきますね。しっかり聞いて下さいですよー!」
ルクスの演奏が始まったからだ――!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
薄翅・静漓
嫌悪される事には驚かない
猟兵に負の想念を向ける人の心も今は理解できるから
見覚えのある姿
けれど彼は彼、あなたはあなた
結界術で光剣を凌ぎ
何度でも心のオーラを矢に変えて放つわ
かつて、悲しさの大元を忘れ苦しむ子がいた
その時、教わったのよ
心と心でぶつからねば、解らぬこともあると
見えない傷を癒やす事はできないかもしれない
けれど精神の奥に、苦しみを抱えているのなら
手を伸ばし、声をかけ、まだ間に合うならと駆けるわ
猟兵ではない私がそうしたいから、そうするの
あなたに救いがありますようにと願っているから
薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は取り立てて驚くことはなかった。
UDC怪物『ジャガーノート・ハーレー』が出現するという怪奇現象。その只中に取り残されたように立つ青年『アハト』。
彼からうっすらと嫌悪の感情を発せられようと特別に思うことはなかった。
猟兵という存在に負の想念を向ける者の心を静漓は理解していた。
今なら理解できる。
『猟兵は世界を救っても、人は救わない』
その言葉を吐き捨てた者がいた。
彼の嫌悪の感情は出どころがわからない。彼自身も理解できていないのだろう。はっきりとわからないのだろう。
けれど、その心の傷とも言うべき原体験があるはずなのだ。
忘れてしまったのか、思い出せないのかはわからない。
「そこに確かに傷があるというのなら」
人の歩みは傷を負うことである。
時にそれは錬磨と呼ぶであろうし、研磨であるとも言うだろう。光り輝くためには磨かれなければならない。
己という存在の形を作るには削らねばならない。
傷つくことを厭うては、己という存在の形すらおぼつかない。だからこそ、迫る『ジャガーノート・ハーレー』の一撃を静漓は結界術で凌ぐ。
火花が散る。
「見覚えのある姿。けれど、彼は彼。あなたはあなた」
その言葉は『ジャガーノート・ハーレー』に向けて放たれた言葉か、それとも『アハト』と呼ばれる青年か。
いずれにしても静漓は己の心にあるものに従う。
「かつて、悲しさの大元を忘れ苦しむ子がいた」
「記憶なんて、いつかは薄れていく。今あったことも過去になる。それはきっと永遠の死というものなんだろう。それが恐ろしくないと言えば嘘になる」
『ジャガーノート・ハーレー』の内側から反響するようにして響く言葉。
それは『ジャガーノート・ハーレー』自身の言葉ではなかった。
いつかのだれかの言葉を反響しているだけに過ぎないのだろう。
だからこそ、静漓は己の言葉が無意味ではないのだと知る。
たとえ、反響した言葉であっても、何かを伝えようとしている手段に過ぎないのなら。
「心と心でぶつからねば、解らぬこともあると」
知ったのだ。教わったのだ。
なら、実践しなければならない。
あの『アハト』という青年の元凶すら解らぬ心の傷を、その原体験を癒やすことなどできない。いや、それ自体ができないことなのかもしれない。
けれど、思うのだ。
たとえ、それが理解できなくても。わからなくても。
その心の奥に、苦しみを抱えているのならば手を伸ばすことを、声をかけることを諦めてはならない。
瞳に輝くはユーベルコード。
彼女のユーベルコードが示すのは、むげん(ムゲン)の可能性だった。
『ジャガーノート・ハーレー』の内側、虚の如き精神世界にもう一人の静漓が生み出される。
猟兵である自分。
猟兵ではない自分。
どちらも自分である。
己がそうしたいと思う。
傷を追っているのならば、癒やしてあげたい。
その哀しみと苦しみに触れたいと思うのだ。『ジャガーノート・ハーレー』が作品よる出現したのならば、『アハト』の彼自身も知り得ぬ心の傷に駆け寄ることをしたいと思ったのだ。
「あなたに救いがありますようにと願っているから」
もう一人の静漓の眼の前に広がるのは、戦乱の世界。
鋼鉄の巨人が闊歩する世界。
鋼鉄の巨竜との戦い。鋼鉄の巨人を打ち倒す戦い。炎と銃火。
そして。
「僕は彼等と戦わなければならない。確かに僕はこの小国家に思い入れがある。けれど、君たちには思い入れはないんだ。むしろ、敵だとさえ思っている。猟兵。君たちの存在を僕は赦さない。君たちの存在は、僕の望みを阻むものだから。だから、加減はいらない――」
その言葉と共に対峙しているのは猟兵たち。
それが心の傷。
全て良い未来につながることへの礎となった者が得たものであるというなら。
静漓は、その心をこそ救わねばと思うのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
ガーン!愛され体質のボクに向けられるこれは嫌悪感!
そんな…万人と世界に愛されるボク(ロニ主観)にどうして…
いや、これも愛なんだね!
真実には色んな側面があるとか言ってるし!
●
分かったよキミのその嫌悪と敵意と愛をボクは受け止めよう!
降ってくる彗星に【第六感】でジャストタイミングになるよう[球体]くんたちを投げ飛ばしながら彼に近づいてUC『神撃』でドーーーンッ!!
くっ、芸術を破壊するのは芸術(が好きなだけのただの)神であるボクの主義に反するけれど…!
でもまーそれはそれとして形あるものはいつか壊れるっていうし!
そういわば破壊も、その芸術の一部!芸術は破壊だー!ドーーーンッ!
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)はとってもショックを受けていた。
それはそれはもう天地がひっくり返る……ほどではないが、まあ、それなりにショックであった。
「ガーン! 愛され体質のボクに向けられるこれは嫌悪感!」
ロニは落ち込んだ。
それなりにショックって言っていたが、それなりにがっくり来ていたのだ。
だって、自分が愛されることは当然のこと。
嫌悪の感情なんて向けられることなんてないと思っていたのだ。
「どうして……」
そう、『UDC-Influence』という怪奇現象を生み出す作品を作った『天才』である青年『アハト』は猟兵に対して、うっすらとだが理由のない、彼自身も判然としない嫌悪感を抱いていたのだ。
それがひどくロニを傷つけた。
UDC怪物の攻撃よりずっとずっと心を苛む一撃だったのだ。
だが、転んでもただで起きないのがロニである。
「いや、これも愛なんだね! 真実にはいろんな側面がある!」
「そうだね。多面体だからね。けれど、愛は真であることが喜ばれると思うんだけれど」
たった一つの愛。
それが真実の愛だというのならば、ロニの語るところは、なんていうか、語るに落ちたとも言えただろう。
けれど、それでもよかったのだ。
大切なのは多面体の一側面を真と受け止めることのできる心なのだから。
「わかったよ。キミのその嫌悪と敵意と愛をボクは受け止めよう!」
ロニは立ち直って、迫りくる彗星を見上げる。
巨星とも言うべき現象。
あれは現象ではない。
真実として当たれば、ロニの体を滅ぼすように打ち据えるだろう。
故にロニは己の第六感に頼るようにして、迫る巨星へと球体を投げ飛ばす。
「ジャストなタイミングでドーン!」
それは、あまりにも大雑把な投石めいたものであった。
けれど、ロニの第六感は極まっている。何せ、神なので。
「くっ、芸術を破壊するのは芸術(が好きなだけのただの)神であるボクの主義に反するけれど……!」
でも壊さなければならない。
これが猟兵の辛いところである。
でもまあ、それはそれとして。
「形あるものはいつか壊れるっていうし!」
なら、今壊れるのも、後で壊れるのも一緒じゃん?
そう、言わば破壊も、その芸術の一つ!
散りゆくさますらも芸術の完成到達点なのだ。
真実が多面体であるというのならば、到達点から見える光景もまた多面体であるのだ。
故に破壊する。
「というわけで、キミの作品から生まれたUDC怪物も、その作品の内側、内面性っていうだけなんだよ! なら、その芸術の一部たる破壊! その破壊で!」
振るうは、神撃(ゴッドブロー)。
あまりにもあんまりな理屈、ロジック。
だが、ロニはためらわない。
己は芸術神にして破壊神。
なら、壊すことで完結する芸術の帰結をもって、己が神性の発露を示すようにして『ジャガーノート・ハーレー』を叩き伏せるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
黒沼・藍亜
幾ら冷静でも本当は避難させた方が楽なんすけどね。
精神面でのフォロー不要ってだけで今は良しとするっす
足元にUDCを広げて、触腕の準備、おまけに『虚兵』も出す
攻撃には極力距離を取りつつ虚兵と触腕で応戦、同時に『沼』の領域を増やし、じわじわ追い詰めるっすよ!(粘液に塗れた床を見て)……後で掃除はするんで!
そして流石に3Rも付き合う気……ないんすよね!
【かみさまなんていないんだね】での弱体化とUC封印を仕掛け、そこに触腕での捕縛と虚兵での集中攻撃、おまけで電磁木刀での一発を狙うっすよ!
……さて。姿の異質さ、精神の異質さ、能力の異質さ、アンタの纏うそれらを全部引っぺがした時、一体後には何が残るんすかね?
『アハト』というハンドルネームを持つ青年は、猟兵とUDC怪物の戦いを見ても冷静であった。
肝が座っているとかそんな次元ではない気がする。
それに、と黒沼・藍亜(に■げ■のUDCエージェント・f26067)は感じる。
『アハト』はうっすらとだが、己たちに対して嫌悪の感情を抱いている。
それが彼自身にも何に起因するものなのかを理解できないでいるようだった。理由なき嫌悪など存在しないと思う。
何かしらの原因があるはずだ。
けれど、今は落ち着いているようであるから、この場にいても構わないだろうと藍亜は判断する。
「本当は避難させた方が楽なんすけどね」
それに精神面のフォローがいらないというだけでも今は良しとしなければならないと彼女は思った。
明滅するユーベルコードの激突。
彼の作品から生み出されたUDC怪物『ジャガーノート・ハーレー』は、ぎこちない動きで立ち上がっている。
消耗している。
なら、ここで一気に仕留める、と藍亜の瞳がユーベルコードに輝く。
足下に広がっていくUDC『昏く暗い黒い沼』が黒い粘性を保って『虚兵』を生み出していく。
敵の踏み込みは早い。
光剣を失ってなお、あの膂力は脅威だ。
故に藍亜はUDCが生み出した触腕と『虚兵』によって距離を取り、己が領域を増やすことに力を費やす。
「じわじわ追い込んでやるっすよ!」
これは詰将棋のようなものだ。
敵の戦力を侮らない。
油断はしない。
周囲を己の領域に取り込んでいことによって敵の選択肢を削っていく。
「粘つくね、これ」
「……後で掃除はするんで!」
『アハト』の言葉に藍亜は、う、と言い繕う。
いや、そんなこと言ってる場合じゃあないのだ。敵は追い詰めているが、じっくり付き合う道理もない。
己の領域が広がるのなら一気に攻め込む。
「異形も、狂気も、異能も、「異常さ」なんて何一つボクらは許してあげない。全部、平凡でありきたりな“正気”で塗り潰してあげるっすよ」
幻影が生み出され、狂気が汚染していく。
『ジャガーノート・ハーレー』を生み出した作品が如何なる意味を持つのか藍亜は知らない。
けれど、たった一つだけわかっていることがある。
あの作品が多くの人々の目に触れれば、それだけでUDC怪物が生み出される。
人一人につき、一体のUDC怪物。
それはもう手のつけられない脅威だ。故に、藍亜は踏み込む。
手にした電磁木刀。
「かみさまなんていないんだね(カミモアクマモミナシンダ)……知っていたことだけれど」
呟く青年の言葉に藍亜は頷く。
彼女のユーベルコードは『ジャガーノート・ハーレー』の異質さを全て引き剥がす。
姿、精神、能力。
それら全てが異質だったのだ。
全て引き剥がしたのならば、後に何が残るのか。
何も。
何も残らない。
虚無である。
『ジャガーノート・ハーレー』の体躯をかたどっていた装甲が剥がされれば、そこにあったのは虚無そのもの。
今まで紡がれてきた流暢なる言葉は、全てその内側にて反響していたもの。
それが失われた今、言葉は響かない。
断末魔すらなく『ジャガーノート・ハーレー』は藍亜の一撃の元に霧散して消えゆくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 日常
『むかしなつかし』
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POW : 欲しいものを買う
SPD : 隅々まで見て回る
WIZ : 品物や店に想いを馳せる
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
UDC怪物『ジャガーノート・ハーレー』は霧散し、消えゆく。
猟兵たちのユーベルコードの輝きが消えるのと同時に、怪奇現象は収まり、アパートの一室が戻って来るだろう。
砕かれた作品群。
彫像作品は尽くが砕かれ、嘗ての原型を一つも残していなかった。
その中心に『アハト』というハンドルネームを持つ青年は立っていた。
茫然自失……というわけではない。どこか清々しい面持ちであった。壊れて良かった、と思っているわけではないが、壊れても心が動くことはなかったようである。
壊れて、失われて然るべきであったとも思って言うようだった。
「いつかは壊れるし、いつかは忘れるものだからね。いい機会だったと思うよ」
彼は笑っている。
猟兵たちに抱いていたであろう嫌悪は、薄れているように思えた。
「でも、作ることはやめられないかな。いつかまた壊れるのだとしてもね」
何かを作り続けなければ生きていけない気質なのかもしれない。
彼はアパートから足を踏み出す。
何処に行くのかと問いかければ。
「うん。この先の商店街に模型店があったな、と思い出してね。彫像で迷惑がかかるのなら、模型ならいいんじゃないかなって」
そう思うのだと彼は言う。
だが猟兵達は、ここでケアを怠れば、また彼が危険なモチーフに取り憑かれる可能性があると知っている。
なら、とここでそうした危険なモチーフに走らぬように新たな道を示すのもいいだろう。
ともあれ、灰色の星は地平の彼方に落ち行く。
願いを届けるまでもなく。
けれど、それでいいのだと言うように――。
儀水・芽亜
“世界の敵”は討滅出来て、あとはアフターケアですね。
ふむ、模型ですか。それで創作意欲が満たされるものか。やはり、一から自分で作りたくなりませんか?
素材が何であるにせよ、背景付きのジオラマなど、凝れるだけ凝れて面白いように思いますがどうですか?
お店に掛け合って、作品を展示してもらえないか交渉してみましょう。「ブームの仕掛け人」としては、「アート」を正しく扱ってもらえるのは大事です。
ちなみに、『アハト』さんは彫刻ではなく模型の経験はどんなものです?
創作の入口でもあると思いますし、「郷愁を誘う」かもしれませんね。
SNSのアカウントも復旧しましたし、制作過程とか作品の全景とか上げてみてもいいかもです。
UDC怪物を生み出す『UDC-Influence』たる現象はなんとか収めることができた。
青年『アハト』はただの『天才』である。
彼の作り出す彫像という作品そのものがUDC怪物を生み出す現象となっているのならば、それをなんとかしなければならないのが猟兵たちだ。
確かに彼の心の傷はUDC怪物を撃破することで癒えたのだろう。
けれど、彼が創作を続ける以上、新たなモチーフがUDC怪物を生み出さないとは限らない。
故に猟兵たちは彼が商店街の模型店へと足を運ぶというのならば、連れ立つようにして同行するのだ。
儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『夢可有郷』・f35644)もまたその一人だ。
なんとか『世界の敵』である『ジャガーノート・ハーレー』は打倒出来た。
アフターケアを彼女は『アハト』と共に商店街を歩く。
嘗ての活気ほどではないが、それなりに人通りがあるように思える。
「ふむ、模型ですか」
「少し幼稚かなとは思うんだけれど」
「いえ、そうでもないと思いますよ。それで創作意欲が満たされるのなら……でも、それで満たされます?」
言わば模型とは既製品であるところを示す所が大きい。
昔々であったのならば、そうでもないだろう。
そもそも既製品という商品が多く存在していない。限られた中で作り上げるのならば、創作意欲旺盛なる者の心も満たしただろう。
だが、今は違う。
多種多様と言っていいほどの商品が世に送り出され、ないものはないのではないかと思うほどだ。
「一から自分で作りたくなりませんか?」
「それはそうかもしれない。彫像を作っていたのだって、そうしなければならないという焦りのようなものを感じていたからだろうし」
「であるのならば、背景付きのジオラマなど凝れるだけ凝ることのできるものが面白いんじゃあないですかね?」
お店に掛け合って、作品として展示させてもらうのもいいかもしれない。
彼がインフルエンサーとして類まれなる才能を持っていることは芽亜も承知の上である。
となれば、然るべき場所に然るべき者をと思うのは当然であろう。
「ちなみに、『アハト』さんは彫刻ではなく、模型の経験はどんなものです?」
「小さい頃に少し触った程度かな。だから、久方ぶりすぎて、ちょっとどんなものなのかわからないしね」
「知らないことを知る。それはワクワクするものではないですか?」
「……未知なるものを知る。それもまた人生というものなんだろうね」
二人はそう言って商店街を歩いていく。
彼が今後どうなっていくのかは誰もわからない。
けれど、彼の創作への意欲が潰えることはないだろう。
心の傷、見知らぬ原体験から発露した今回の事件。
芽亜は、彼がどのような経緯を辿ってきたのか知らずとも、彼が今、自分で道筋を見据えたのは喜ぶべきことであったと思うだろう。
「今までやったことのないことをやろうと思うんだけれど……」
「それでしたら、ただ作品をアップロードするだけでなく、その制作過程も喜ばれるかもしれませんね」
そんなふうにアドバイスをしながら芽亜は彼の道行きが、UDC怪物発生に利用されることはないだろうと、そう確信するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
陰海月と一緒に来てたんですけどー。ええまあ…偶然会ったんですよねー。
しかし、何にしますかねー?
ええ、陰海月は器用なのでー。最近は、本当に一人…一匹?で最後までやってしまえるくらいには。
ふふ、思ったものを試行錯誤しながら、作っていくんですよねー。時には、ランナーも利用して。
私ですか?たまに陰海月の手が届かない場所にあったりするので、そのためにいるんですよー。
※
るんるんしながら模型見てる陰海月「ぷきゅ〜♪」
どの模型にしようかな〜♪
やっぱり、このキャンプシリーズのテントかなぁ…桜もセットで、この前のを…(ぷきゅぷきゅ)
模型店には先客がいた。
店舗という形を取るのならば、当然であっただろう。
他の客がいたって別段おかしくはない。
先客とは馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『疾き者』と『陰海月』であった。
巨大なクラゲの触腕が店内の模型のパッケージを手にとっている。
じっくりと吟味するような仕草を見せている。
「ぷきゅ~♪」
ごきげんである。
それもそのはずである。なぜなら模型店というのは、男の子であれば普段のテンションから三割増になるものである。
三割で足りるのかと問われたら、まあ、足りないであろう。
大げさに言うものではないから、控えめに三割りなのである。
どれにしようかな、と触腕がふよふよと揺れている。
「おや、こんな所で奇遇ですね」
『疾き者』は猟兵たちを見て手を上げる。
どうやらUDC怪物絡みの事件に猟兵たちが参じたことを理解したのだろう。こんな場所で出会うとは思ってもいなかったのだ。
偶然と言えば偶然である。
とは言え、伴った青年が事件に関連していることは聞くまでもない。
となれば、自分たちは自分の用事を済ませることに集中したほうがいいだろう。
「『陰海月』、決まりましたかー?」
「ぷきゅ」
まだ、というように触腕が揺れている。
しかし、と『疾き者』は思う。
最近は本当に自分たちの手がかからなくなってきている。
以前は手伝ったりもしたものであるが、今はもう一人で一つのプラモデルを組み上げることができるほどに触腕の器用さが上がってきているように思える。
「彼も作るのかい?」
『アハト』というハンドルネームを持つ青年が指差す。
「ええ、最近では本当に一人で出来るようになりましてねー」
「そうか。そうなのか。しかし、これだけあると迷ってしまいそうになるよ」
「迷ってもいいんですよ。ふふ、思ったものを試行錯誤しながら作っていくんですよー」
「それが難しい」
何かを作るということは常にそういうものだ。
産みの苦しみというものがある。
そこに楽しさを見出す者もいるだろうが、大半は苦しさも伴うものだ。
故に、と『アハト』という青年は思うのだろう。
けれど、と『疾き者』は笑う。
『陰海月』を見てみればいい、と。
「眼の前にあるものを活用して、思いついて、そうやって作っていくんですよ。それが苦しさを凌駕する。完成すればなおさらですよ」
「あなたも作るのかい?」
「私ですか? たまに『陰海月』の手が届かない場所にあったりするものを取ったりする程度ですよ」
手伝い、というのも、もう『陰海月』には必要ないだろう。
それが寂しくないのかと問われたら、寂しいかもしれない。
けれど、子というのは成長していくものだ。
成長すれば自立していく。
当人は理解していないかも知れないが、そういうものなのだ。
「ぷきゅ~」
これにする~と『陰海月』が持ってきたのはキャンプを題材にした桜の舞い散る情景の描かれたパッケージだった。
その無邪気さこそが、創作の原初たるものであると示すようだった――。
大成功
🔵🔵🔵
シャルロッテ・ヴェイロン
実を言うとですね、さっきの戦闘中にネットワークに【ハッキング】を仕掛けていたとき、あなたの【アート】作品のデータを閲覧してきたのですよ(【世界知識・情報収集】)。まあ、なんていうか「名状しがたい存在」?UDCの発生源になってもおかしくないっていうか…(と、改めてどんな心境だったか聞いてる)。
まあこの際、方向性の違う作品に挑戦してみるのもいいかもですよ?(と、薦めてきたのは最近人気のメカ美少女もののプラモ(【ブームの仕掛け人・注目を集める】))――ああ、元ネタのゲームもあるので、よかったらやってみます?(ぇ)
※アドリブ・連携歓迎
猟兵たちと共に模型店を訪れている青年『アハト』は陳列棚を興味深く見上げていた。
様々なものがある。
カーモデル、ミリタリーモデル、キャラクターモデル。
それは多種多様にわたるものであったし、どれから手を付けていいのか迷うものでもあったのだ。
彼の創造の力はUDC怪物を自然と生み出してしまうものであった。
だが、それはモチーフを彼の心の傷に起因するものとしていたからだ。
心の傷はUDC怪物を打倒することで癒やされた。
ならば、彼にUDC怪物を生み出す力はないと言ってもいいだろう。
しかし、彼は『天才』である。
いつまた危険なモチーフに囚われてしまい、今回のような事件を起こすかもしれない。
「実を言うとですね」
だから、とシャルロッテ・ヴェイロン(お嬢様ゲーマーAliceCV・f22917)は『アハト』に話しかける。
彼女はネットワークにハッキングした際に、彼の作品の画像データを閲覧してきていた。
芸術は多くが、その人の心の発露である。
だというのならば、あれはよくわからないものだった。
難解である、というのが正しいのかもしれない。
抽象画のような彫像。
多くの事柄を組み合わせたように見えるものもあれば、単純な、シンプルなものもあった。
それが何を示しているのかなど解説されなければわからないものであった。
だが、言いようのない不安のようなものをシャルロッテは感じたのだ。
名状しがたい。
そう己の心に、それを見て去来するものは、そう表現するしかないものだったのだ。
あれならばUDC怪物を生み出す発生源になっても仕方ないのではないかと。
「あれを作ったのは、一体どんな心持ちだったんですか」
「なんとなく、だよ」
「なんとなく?」
「そう、なんとなく。言葉にするのが難しくて、自分の心の内を誰かに知ってもらいたいけれど、それができない。言葉じゃなければ、何を使って表現すればいいんだろうって思ってね」
「だから、彫像ですか」
シャルロッテは、それが今回の『UDC-Influence』事件につながったのだと理解する。
彼の中にある漠然とした感情、言葉にするのが難しい心の傷。
それを他者に理解してほしいから、彫像という発散方法を取っただけに過ぎないのだ。
「そう。眼の前の素材に、自分の心を投影するんだ。そうしたら、浮かび上がるように掘り進めていくだけ。そうしたら、みんなにもわかってもらえるんじゃないかと思ったんだ。言いようのない不安なんてものは、みんな抱えているけれど、人それぞれだろう? けれど、形にしてしまえば」
「みんなわかる、と」
シャルロッテは頷く。
「まあ、この際です。方向性の違う作品に挑戦してみるのもいいかもですよ」
そう言って彼女が『アハト』に突き出したのはメカ美少女者のプラモデルだった。
「これは?」
「巷で人気の美少女プラモってやつですよ。こういうのに縁は?」
「とんとなかったね」
「ならちょうどいいですよ。あ、元ネタのゲームもあるので、よかったらやってみます?」
シャルロッテは、そう言って『アハト』にゲームのパッケージも手渡す。
用意周到である。
いや、布教活動というのは得手してそういうものである――!
大成功
🔵🔵🔵
鏡島・嵐
ひとまず一件落着、か。
……それにしても随分派手にぶっ壊しちまったなあ。正当な理由があるとは言え、そこに関しちゃ申し訳無えって思う。
詫びの代わりになるかはわかんねえけど、ちょっと模型店まで付き合わせてもらうな。
何も創るな、なんて無粋なことは言わねーよ。旅に惹かれるのがおれの“個”なら、何かを創り生み出すのがアンタの“個”なんだろうな。それを否定するようなことはしたくないし、出来ねえ。
でも……そうだな、そうしなければならないっていう“焦り”があったんなら、ひょっとしたらそれがいけなかったんかもしれねえ。
自分自身との向き合い方っていうのを、これを機会に見つめ直してみるんもいいかもしれねーなって思う。
ひとまず。
そう、ひとまずは一件落着であると鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)は、霧散したUDC怪物が存在した場所を見つめる。
アパートの中は怪奇現象に包まれていたお陰か、特別建物事態を傷つけることはなかった。
けれど、眼の前の作品群であったものの残骸はそうはいかない。
これが『UDC-Influence』。
UDC怪物を見た者の元へと出現させる恐るべき脅威なのだ。
「……それにしても随分派手にぶっ壊しちまったなあ」
正当な理由がある。
この作品を見ただけで人々を襲うUDC怪物が出現してしまうのだ。
けれど、それはそれとして嵐は誰かの作ったものを壊す、という行為に対して引け目を感じていた。
あまり心地よいものではない。
むしろ、申し訳ないとさえ思う。
これを作り上げるのにどれだけの時間を費やしたのだろうとも思うし、そこに籠められた情熱や気持ちというものがあるだろう。
「詫びの代わりになるかわかんねえけど、ちょっと付き合わせてもらわないとな」
嵐はそう呟いて、すでに猟兵たちに伴われて模型店へと向かった『アハト』というハンドルネームを持つ青年の後を追う。
追いついて、模型店に入ると独特の雰囲気がそこにあった。
旅をする嵐にとっては、何処かに長くとどまって、というのはあまりないことだったのかもしれない。
けれど、模型店は一箇所にとどまり続ける。
いわゆるインドアの趣味であるがゆえに、常に自分を取り巻く状況が変化していく嵐にはあまり触れることのなかった文化なのかもしれない。
そんなことを考えていると『アハト』と呼ばれる青年が見える。
手には他の猟兵からおすすめされたものを手にしている。
それでも、他に何か気になるものがあるのか、周囲を見て回っていた。
有り体に言えば、迷っている、というのが正しいのだろう。
ああ、と嵐は思い至る。
彼はまた自分の作品が今回のような事件を引き起こすのではないかと思っているのかも知れない。
「何も創るな、なんて無粋なことは言わねーよ」
嵐はそう迷う背中に告げる。
振り返った青年は苦笑いしていた。
「そんなことはないよ」
「おれは、旅を続けているけれど……旅に惹かれるのがおれの『個』なら、何かを創り出すのがアンタの『個』なだろうな。それを否定するようなことはしたくないし、出来ねえよ」
「『個』か。そう言われたらそうなのかも知れないとも思うし、そうでないのかも、とも思うよ。迷っていると言えばそうなのかもしれない」
彼の瞳を嵐は見た。
そこに映っているのは如何なる感情だっただろうか。
嵐にはわからない。
理解できるとも思っていない。
けれど、確かに嵐は己が胸に去来するものを言葉にすることができたのだ。
「あんたも、もしかしたらなにかしなくちゃならない、そうしなければならないっていう『焦り』があったのかもしれないな。でも、それがいけなかったんかもしれねえ」
「……『焦り』?」
「おれにはあんたが急かされてるように思えてならなかったよ。申し訳無さ、みたいなものを感じているような、そんなものを。それが合っているかどうかも、おれには答え合わせができねえけれど」
それでも、と嵐はまっすぐに『アハト』を見つめる。
「それが自分自身との向き合い方っていうんなら、これを機会に見つめ直してみるのもいいかもしれねーなって、そう思うんだ」
嵐は、そう告げて彼の道行きを照らす標のような灯火を示すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
やっと終わりましたー……。
あとで絶対練乳くださいね。経費で落としてくださいね!
って!
演奏終わりってどういうことですか!?
ここからが『アハト』さんの天才と『わたし』の天才のコラボの時間ですよね?
……だれですか天災とか言ったの。耳元で一晩演奏しますよ。
えっ。
演奏終わりなのに出番って、なにすればいいんですか!?
音の出ないわたしなんて、ただの美少女じゃないですか。
『アハト』さんと模型店デートとかすればいいんです?
それはもちろんおっけーですけど、
模型作りとかできないですから、横で応援することになりますよー。
工具を手渡したり、しっかりごはん作ったりならおっけーですが!
健康管理とか得意ですよ!
ステラ・タタリクス
【ステルク】
事態はどうにか収まりましたか
ルクス様大丈夫です?
演奏は今日は終わりで……いえ死人が出ますので
えー……じゃあ商店街で何かスイーツでも奢ります
ともあれ、模型店ですか
エイル様似の店長がいたりとか
アハト様がなんか懐かしいと思う店員や常連がいたりしないでしょうか!?
|願いを掬い上げる者《9番を冠する者》は居ないと思いたいのですが
さぁルクス様出番です
こういう時は大層頼りになります
ええ、音さえ出なければ貴方は完璧で多彩な光の勇者です
……これからも貴方様は『天才』がゆえに
『見えていない面』までも感じ取ってしまうのでしょう
でももう『戦う』必要は無いのですから
これとかどうですか?
恐竜キャバリアシリーズ
「やっと終わりましたー……」
はあー、と息を漏らしたのはルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)であった。
彼女が疲労困憊しているのは本当に演奏のためだけであっただろうか。
否。多分違う。
彼女が疲れているのは、糖分不足故である。
練乳チューブなくば、このシリアスな場面に耐えられない。そういう意味では勇者としては致命的な欠点というか弱点を抱えているように思えただろう。
「事態はどうにか収まりましたか。演奏は今日で終わりで……」
「演奏終わりってどういうことですか!? ここからが『アハト』さんの『天才』と『わたし』の『|天才《天災》』のコラボの時間ですよね?」
違いますけど?
ステラは本当にそう思った。
そんな危険なコラボレーションが実現してしまっては死人がでてしまう。
そんなこと看過してられないのである。
これはどうにかして演奏からきをそらさねばならない。
「後で絶対練乳もらわないと! 経費で落としてもらわないと!」
落ちるわきゃないのである。
経費でって言えばなんでも費用が湧き出す魔法の言葉ではないのである。
「えー……じゃあ商店街で何かスイーツでも奢りますから」
ステラは嘆息する。
もうこうする他ない。こうでもしないとルクスは延々と甘いものを求めてしまう。
「わーい。って、いうか、絶対何処かでルビで『天災』って書いた人いますよね? 耳元で一晩演奏しますよ」
なにそれ怖い。
「ともあれ、まずは模型店へ向かいましょう。『アハト』様たちも向かわれたようですし」
「えっ。演奏終わりなのに出番って、わたしなにすればいんですか?」
演奏しないことをすればいいんじゃないんですかね?
「音の出せないわたしなんて、ただの美少女じゃないですか。これじゃ、ただのデートですよ!」
自分が美少女だという意識はあるのである。
しかし、デートはステラとするものである。多分。
「しかし、模型店に『エイル』様似の店長がいたりとか、『アハト』様がなんか懐かしいと思う店員や常連がいたりしないでしょうか!?」
ステラはむしろ、そっちのほうが気がかりであった。
そうであるのならば、猫まっしぐら、ステラまっしぐらである。
「|願いを掬い上げる者《9番を冠する者》はいないですよね?」
事の元凶は全部私がやりました、みたいな感じでダブルピースしている悪魔は多分いない。多分。定かではないけれど。
「まあ、こういうときはルクス様の出番ですからね」
ふう、と取り乱したのをステラは居住まいを正して息を整える。
そうそう何度も同じようなことがあってたまるものかと言う思いもあったのだ。
ここUDCアースでは、彼女の求める者はいない。
立ち去った後なのか、訪れる前なのかはわからない。
けれど、ここにはいないのだ。
彼女たちは模型店に急ぐと、そこには『アハト』というハンドルネームを持つ青年が猟兵たちと話し込んでいた。
おすすめされたもの、導く言葉。
多くが彼に届けられているようだった。
「でも、わたし模型作りとかできないですから、横で応援することになりますよー」
「それでいいのではないでしょうか。無理に何かをすることが、誰かのためになるというわけでもございませんから」
ステラの視線の先にいるのは『天才』である。
故に彼はこれまでの作品を作り上げる際に、己の心の『見えていない面』まで感じ取ってしまったのだろう。
それが『UDC-Influence』になってしまったのだ。
戦いに対する強迫観念。
その心にある原体験が如何なるものであったのかをステラは知る由もない。
けれど、もう此処で戦う必要はないのだ。
潔斎航路がまだ続くというのならば、戦いというものを濯ぐこともまた必要なことなのだろうと思うのだ。
「しっかりご飯を作ったり万全サポート! 健康管理とかしちゃいますか!」
「それはメイドの仕事です」
取らないでください、と言いながらステラは恐竜メカのプラモデルの箱を手にとって『アハト』の手に積み上げる。
「あなたの航路に光がありますように」
「人の生きる道を航路と例えるのならば、そうなのかもしれないね。風もあれば大波もある」
そう言って『アハト』は笑う。
そこには己達向けていた嫌悪はないように見えた――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
黒沼・藍亜
さて……とりあえずまずは『沼』の回収と掃除っすね……
この際っす、残骸の類も一緒に片づけちゃうっすよ
…多分さ、どういう経緯か知らないけど、彼の衝動の源ってあの巨人の居た空間と関わる「何か」の情報とか記憶だと思うんすよ。
それを形にしようとして、その結果「異界の情報を顕現させた」……「よくわかんないものをよくわかんないままカタチにしたから、よく似た別のわかんないもの」を呼びこんだ、みたいな
なら「わかる形」にしちゃえばいいんすよ。「この世界の情報に翻訳する」って奴っすね。まあ、要は模型でもジオラマでも、プラモでも萌えフィギュアでも良い。「知ってるカタチ」で仕上げていけば問題は起きないんじゃないっすかね
黒沼・藍亜(に■げ■のUDCエージェント・f26067)はUDC怪物との戦いによって広げた彼女のUDCである『昏く暗い黒い沼』の回収と砕かれた彫像の残骸の清掃に勤しんでいた。
目に見えるところはつつがなく。
しかし、目に見えない所もまた掃除してこそ、掃除というものである。
「この際っすからね」
掃除は思い立ったが吉日。
タイミングは掃除をしようと思った時、なのだ。
藍亜はそう言ってアパートの中をUDCの残滓がなくなるまで掃除を終えて息をつく。
そして、少しだけ考えるのだ。
『アハト』というハンドルネームを持つ彼。
彼がどのような経緯で彫像を創るに至ったのかはわからない。
けれど、その衝動の源は心の傷であるところは言うまでもないだろう。
そして、アパートを包みこんでいた怪奇現象。
あれはどう見てもUDCアースに去来するものではなかった。
鋼鉄の巨人闊歩する大聖堂。
その大聖堂すらも、中世の様相を見せながら、どこか異質なものであった。
技術レベルが違う。あまりにも高まった技術が一巡して中世時代に至ったような、そんな印象を受けるのだ。
「きっとあれが彼の衝動の源に関連するもの、なんすかね」
情報か、記憶か。
いずれにせよ、彼の衝動は、それを形にしようとした。
その結果、異界の情報を顕現させたのだ。それは藍亜の憶測に過ぎないのかも知れない。けれど、真に迫るものであったことだろう。
そして、あの怪奇現象もまた彼の心の発露だというのならば『UDC-Influence』として生み出された怪物。
あれもまた。
「『よくわかんないものをよくわかんないままカタチにしたから、よく似た別のわかんないもの』を呼び込んでしまった、っすかね」
なら、と藍亜は模型店へと向かった猟兵と『アハト』のことを思う。
彼が自然と求めたのは、結局何かを創ることだった。
想像性というのならば、彼の心は今もなお、それを求めている。心の傷が癒えても、それでも創ることを望んだのだ。
なら、それは止めようのないものだ。
彼が『UDC-Influence』を引き起こしたのは、自分の心の傷、衝動が彼自身も理解できていなかったからだ。
「『わかる形』にしちゃえばいいんすよ」
異世界の記憶、情報であろうとも。
認識するものがいてこそだ。
なら、彼の心にある衝動も、UDCアースの情報に翻訳してしまえばいい。
彼にはそれが出来るだけの想像性があるのだ。
正しく創ることができたのならば、最早それは『UDC-Influence』たり得ないだろう。
「まあ、要はなんでもいいんすよ。『知ってるカタチ』で仕上げていけば」
藍亜はアパートの清掃を終えて、背筋を伸ばす。
ぱきぱきと音がする。
運動不足とは思わないけれど、体のあちこちから音が響く。
心地よい疲労感。
一つの不確定を、認識すれば、それを確定する目がある。
藍亜は、『アハト』の目もまた不確定をカタチにできるものだと思うのだ。
「なら、余計な心配は御無用っすよね。さて、ボクは……」
うん、自分も模型店に言ってみよう。
何か作るものを見繕ってもいい。
模型でも、ジオラマでも、プラモでも、萌えフィギュアでもいい。
自分が知るカタチに、己の心を規定するのだ。
そうすれば、己が心の輪郭を自分で見つめることができる。それはきっと己を見つめ直す、認識するということなのだ。
そうしたのなら、もう『怪物』は彼から生み出されることはないのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
薄翅・静漓
囚われていたUDC職員の人達、無事に救助されたかしら
一応確認をしてから、模型店へ合流するわね
『アハト』はもう作る模型を選んだかしら
彼がどんな作品を作るのか楽しみだわ
鋼鉄の巨人ぽいものや機械の動物
この世界の模型も格好いいものが多いわね
つい思い出してしまうわ
面白そうな遊びに惹かれて、初めて模型を作ったこと
専用の機体として『孤月』と名付けたこと
……孤独を忘れてしまった今なら、別の名をつけるかしら
私も久しぶりになにか作ってみようかしら
『UDC-Influence』の生み出す怪奇現象に飲み込まれたUDCエージェントたちは消息を絶っていた。
けれど、それは怪奇現象である鋼鉄の巨人たちの胸部に囚われていたからだった。
命に別状はないようであったが、薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は気になったためアパートの周囲を見回る。
するとそこかしこで消息を絶っていたUDCエージェントたちが気を失って倒れ込んでいた。
「……生命に別状はなさそうね」
懸念が一つ払えた静漓は頷く。
彼らはUDC組織が保護してくれることだろう。
『UDC-Influence』が『アハト』というハンドルネームを持つ青年によって生み出されたものであるのならば、彼の心の傷が癒えたことで今回の事件は収束するだろう。
一応の確認もとれたことであるし、と静漓は自分も模型店へと向かう。
楽しみでもあるのだ。
彼が彫像の次に選んだものが模型であることに。
自分が嘗て、面白そうな遊びに惹かれて初めて模型店へと足を踏み入れたことを思い出した。
あれは心が踊る経験だった。
きっとあの日から自分は少しづつ変化していったのだろうということを静漓は今、自覚するのだ。
「何を作るのかはもう決めたのかしら」
静漓は模型店で『アハト』が買い物袋を手にしているのを見た。
他の猟兵達のおすすめや言葉を受けて彼が選んだものだった。少し気になる。彼が何を作ろうと思っているのかを。
「ええ。これと、これは彼らからおすすめされたのを。これは僕が選んだものだね」
そう言って見せてくれる。
おすすめされたのは美少女プラモデルと恐竜メカのプラモデルだった。あとは情景素材などが揃っているように見えた。
そして、彼自身が選んだであろうものは人型メカのプラモデルだった。
彼女の知るものとは違うようだった。
アスリートアースの模型店を静漓は思い出す。
同じ模型店でも世界が違えば、多くのものが違う。この世界のプラモデルは、『プラクト』のように自分で作って遊ぶものではないのだ。
動きはする。
けれど、それは作ったものがポージングを取らせるための可動域なのだ。自分の動きをトレースさせるものではない。
そうした違いに静漓は頷く。
「そう。それはよかったわ」
静漓は周囲を見回す。
思い出すのは、少女の笑顔。少年たちの歓声。
そして、初めての記憶。
自分が初めて作り上げた模型、遊ぶために作り上げた最初の機体『孤月』。
それは己の心を映し出すような名前だったことに思う。
けれど、と静漓は多くを知った。
見たし、触れたし、出会った。
自分のことを孤独だとは思わなくなっていた。それは孤独を忘れる、ということなのかもしれなかった。
「……今なら、別の名をつけるかしら」
「別の名?」
「ええ。人は変わっていく。知って変わることもある。衝突して変わることもある。時を経て変わっていくことも」
静漓は己がそうであったように、と薄く笑む。
『アハト』はもう自分たちに対して嫌悪感を抱くことはないようだった。
なら、と静漓は模型店にやってきて、ただ見ているだけではつまらないと言わんばかりに一つ頷く。
「私も久しぶりになにか作ってみようかしら」
「作ることは楽しいことだから。苦しみがあっても、それを越える喜びがきっと訪れるはずだからね」
「ええ、その通りね」
湧き上がるのは創作意欲。
今なら、違うものが出来上がるかもしれない。
自分が知らない自分を、作り上げたものに見るかもしれない。
己の心を写す水鏡、それが目の前の世界だというのなら、きっと――。
大成功
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ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
●UC『神知』使用
フフーン、ボクの素晴らしい【アート】を公開するときが来たようだね!
そうすでにボクの【素材採取】の力によっていい感じの模型を見つけてあるんだよ!
そうそれは…ボトルシップ!なんとなく目についたから!あと難しそうだったから!
これはボクの技能の見せ所だね!
むむー?ていうかこれどうやって作るの?
こう、こう?もた、もた…もた、もた…
んもー!
見てないで手伝って!と【おねだり】しとこう!
おっかしーなー、【武器に改造】するとか【(破壊)工作】なら得意なのに―
もた、もた…
でもたのしいからいっかー!
そう、そこにロニロニ号ってプレートをつけるんだよー!
わーいできたできたー!
「フフーン、ボクの素晴らしいアートを公開する時が来たようだね!」
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は自身が手にしていた模型の箱を抱えてご満悦であった。
神知(ゴッドノウズ)持つ己である。
ミニチュア制作などお手の物である。いや、アート以外の技能は全てが高い水準を誇っているかもしれないが、肝心要なるものが。
いや、言うのはよそう。
アートがダメでも、それ以外のものが秀でていれば代わりが出来るかもしれない。
ロニが手にしていた模型の箱を見れば、それがわかるだろう。
何せ彼が作ろうとしていたのは。
「ボトルシップというやつだね」
『アハト』と呼ばれる青年の言葉にロニは頷く。
「ふふん、そのとうりだよ。なんとかく目についたからね! あとなんか難しそうだったから!」
あえて高難易度に挑む。
それが神。
むしろ、神である己であるからこそできることがあろうというものである。
神様だからこれくらいできる、ではない。神様じゃないとできないからやるのである。
早速とロニはパッケージを開けて内包物を確認する。
「……むむー?」
首を傾げる。
ボトルがあるのはわかる。
けれど、細かいボトルの中で作り上げる船のパーツはちんぷんかんぷんであった。
一応、船を組み上げようとロニはもたもたとした仕草でパーツを見やる。
いや、パーツ足りなくない?
「……んもー! なんだいこれ! パーツが足りないじゃない!」
「どうやら自分で切り出して作成して組み込むみたいだね」
「見てないで手伝って!」
「いいけれど、構わないのかい? 自分で作るのも楽しさの一つだと思うんだけれど」
「いいのいいの! 完成するのが大切なことだから!」
はーとロニは細かすぎるパーツに辟易する。
「おっかしーなー、改造するとか(破壊)工作とかなら得意なのにー」
「このパーツ、作るのはいいけれど、ボトルの口から長いピンセットで入れて、中で組み上げないといけないんだね」
「そうなの? え、外で組み立ててからなんかこう、不思議パワーでボトルにインするんじゃないのー?」
「手品じゃないんだから」
「えー」
でもまあ、いいか、とロニは頷く。
『アハト』も楽しそうだ。
難しいことばかりのボトルシップ。
器用さ以上に慎重さが要求されるし、パーツの切り出しやボトル内部で組み上げていく手順もしっかりしていないといけない。
思った以上の高難易度。
故に価値があると言われたらその通りなのかもしれない。
けれど、そんなことなど関係ない。
どんなに苦しくても、どんなにしんどくっても。
作り上げた、完成したという喜びに勝るものなどないのである。
「できたー! わーいできたできたー!」
二人が作り上げたものにロニは『ロニロニ号』というプレートをつけてボトルを掲げる。
煌めくは、制作の楽しさ。
ロニは手にしたボトルシップと共に『アハト』と笑い合う。
心から湧き上がる衝動は、この喜びにいつだって塗りつぶされるし、傷跡も埋められるのだ。
それが出来るのが人の強さだ――。
大成功
🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2024年10月07日
宿敵
『ジャガーノート・ハーレー』
を撃破!
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