光芒のハルモニア・メロ
黒影・兵庫
下記の内容で黒影・兵庫(f17150)と播州・クロリア(f23522)との秋祭りノベルの作成をお願いします!アレンジ・改変、問題ありません!大歓迎です!
●シチュエーション
クロリアに素晴らしい穴場を見つけたので行かないか?と誘われた黒影
ついていくとそこはUDCアースの日本のどこかの高原で、あたり一面がススキが群生している場所だった
その光景に思わず拍手をして喜ぶ黒影と、喜んでもらえてうれしそうなクロリア
さらにクロリアはススキとススキの間が道になっているような場所があって、
そこを通ると自分がススキの海の中に居るような気持ちになれると黒影を誘うが
思いのほかススキが高くあまりよく見えないと残念がる黒影
ならばとクロリアが黒影をお姫様抱っこして見えるようにする
恥ずかしがる黒影だったが、ここには自分たち以外だれもいないので気にすることない、それよりも景色を見てほしいと言うクロリア
言われてあたりを見回し高原に吹く風でまるで波のように揺れるススキたちを見て感嘆の声を上げる黒影
やがて日が暮れ、夕日に照らされ黄金色に輝くススキの海に感動しているとクロリアがひとり、ススキの中の開けた場所に移動して踊り始める
今日はすごく素敵な一日だったなぁと微笑みながらその姿を見つめる黒影だった
●プレイング
え?素晴らしい穴場?いいね!行こう!
おぉ~!すっげぇ!こんなの生で見たことない!凄いよ!クロリア!
え?さらに凄い景色が見えるの?
あーちょっと俺には見えないかな…まぁしょうがないか、っておわ!
ちょ、ちょっと!クロリア!さすがにこれは恥ずかしいって!いや、たしかに俺たち以外誰もいないけど…って
おぉ…すげぇ…まるで夢の中に居るみたいだ…
あっという間に夕方だね…ん?じゃあ俺はクロリアの踊っている姿を見ながらノスタルジックな気分に浸っておくね
播州・クロリア
下記の内容で黒影・兵庫(f17150)と播州・クロリア(f23522)との夏休みノベルの作成をお願いします!アレンジ・改変、問題ありません!大歓迎です!
●シチュエーション
黒影・兵庫(f17150)の内容と同じです!
●プレイング
あにさん!素晴らしい穴場を見つけたんです!行きましょう!
いかがです?すごいでしょう!ふふん、もっと褒めてください!頭を撫でてもいいですよ!
ですがあにさん、これだけじゃないんです!この道を通ってあたりを眺めると自分がまるでススキの海の中に居るみたいに…あれ?あにさん?
なるほど背丈が足りない、ならばちょっと失礼しますね…どうです?見えますか?
まぁまぁあにさん、ここには私たち以外だれもいませんよ?それより見てください!ほら!
ね?すごいでしょ!
黄金色に輝くススキを見ていると踊りたくなってきました
あにさんが見てくれるんですね?じゃあ今日という良き日が思い出へと変わっていく、そんなダンスをお見せします
どうぞご堪能ください
●気持ち
人とは単一の生命である。
当然、組み込まれた生存本能によって己の存続を第一にするものだ。
けれど、人も獣もそうであるが単一では発生しえない。
そして時に生存に必要なものを分かち合う。
そこには打算があるのかもしれないし、裏返せば己の生存確率を少しでも上げるための方策であったのかもしれない。
だったら、この気持ちはなんなのだろうかと播州・クロリア(踊る蟲・f23522)は、眼の前に広がる光景を見て思った。
眼前の光景。
これを誰かと分かち合いたいと思ったのだ。
命をつなぐ食料などとは違って、分かち合うところで生存に必要なことは何一つ確率をあげないだろう。
クロリアは思う。
この光景を誰かではなく、己が『あにさん』と呼び慕う黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)と分かち合いたいと。
それは自然な発露であった。
「あにさん! 素晴らしい穴場を見つけたんです! 行きましょう!」
「え? 素晴らしい穴場?」
まずは説明をして欲しい。
普通ならそう思うところであったかも知れないけれど、兵庫にとってクロリアは、そういう説明を省くところのある妹……コミュニティで言うところの家族のような気安さがあることを理解していたのかもしれない。
別に説明を求めなくても、クロリアが悪意を持って己を陥れようとすることなどないという信頼の現れでもあった。
また夏に己がクロリアに故郷での手伝いをお願いしたお返しという意味もあったのかもしれない。
あの時だって彼女は文句一つ言わずに付き合ってくれたではないか。
ちょっとしたいたずらだって妹がしたことだと思えば、おおらかな気持ちになれたものだ。
だから、兵庫は二つ返事だった。
「いいね! 行こう!」
「さすが、あにさん! 話が早くて助かります!」
「で、結局何処に何を見に行くんだ?」
「ふっふっふ、それはついてからのお楽しみです! あ、世界だけはお伝えしておきましょう。UDCアース、日本です!」
里帰りかな?
兵庫は夏のことを思い出す。
今年の夏もひどい暑さだった。季節はもう秋。とは言え、残暑が厳しく、いまだ日中は汗が頬を伝うほどである。
朝晩は冷え込むことも多くなっている。
準備だけは怠らないようにしようとした兵庫の手をクロリアはがっしりと握っていた。
「あにさん! いきましょう!」
「ちょっとクロリア、まってまって。準備とかあるだろう」
『黒影、今更じゃあない? あの子、止まらないわよ?』
頭の中の教導虫の言葉に兵庫は、引っ張られながら、あーと天を仰ぐ。そうだった。クロリアはこういう時、少し強引なところがあるし、また向こう見ずなところがあるのだ。
「ごーごー、です!」
「わかった、解ったら、少し落ち着いて」
「これが落ち着いていられますか! あにさんとおでかけなんですから!」
「わー!?」
それはそれはなんとも大雑把なスキップのような行軍であった。
強行軍だってもう少し優しいのではないか。兵庫は思わずそう思うほどのクロリアの手を引っ張る力の強さに思うのだった――。
●穴場
穴場、というのだから人気が少ない場所なのだろうと思う。
兵庫は眼の前に広がる光景に目を見開いた。
「おぉ~!」
思わず声を上げる、というのが正しい。
眼の前に広がるのはUDCアースのとある高原であり、一面が銀の色の穂。風にしなる茎がまるで此方に向かって手を降っているようだった。
そう、ススキだ。
この秋の季節において高原に広がる多年草である。
なるほど、と思う。
だから日本なのか、と。
こういう光景はUDCアースだけではなく、サムライエンパイアにも見られることだろう。だが、これだけ広大に広がる光景はあまり目にしないものであった。
クロリアが喜び勇んで教えてくれるのも理解できるものであった。
「すっげぇ! こんなの生で見たことない! すごいよ! クロリア!」
「すごいでしょう! ふふん、もっと褒めてください! 頭を撫でてもいいですよ!」
えっへん。
胸を張るクロリア。
いや、と兵庫はちょっと思った。
「撫でてあげたいところだけれど」
届かないよ、と。
兵庫170.4cm。
クロリア247.8cm。
その身長差を考えた時、クロリアには大分かがんでもらわなければならない。
けれど、クロリアはノータイムでかがんでいた。
肉体的特徴に言及することは、それなりに繊細な事柄である。特にクロリアは女性である。
『小さくて可愛い』が定着している価値観を持つのならば、自身の体躯はコンプレックスの一つであったかもしれない。
「まずは! 褒めてください!」
関係なかった。
あんまりっていうか、ほぼ関係なかった。
そんなクロリアを見て兵庫は苦笑いするしかない。素直なところがクロリアの良いところである。
「わかったってば。そんなに慌てなくたって、ほらおいで」
彼女の髪を撫でる。
触覚が伸びているところがバイオモンスター、蜂皇族のクローンであるところを知らしめる。けれど、兵庫にとって、それは特別なことではなかった。
彼にとっての特別なことは彼女が妹であるという事柄だけだった。
そういう意味では、兵庫とクロリアの間柄は種族の隔てリというものが一切ないと言ってもいいだろう。
「なあ、もういいかな」
そろそろ撫でるのを、とクロリアに告げると彼女はもう少しと言わんばかりに頭をぐいと押し付けてくる。
「いや、流石にもう大分……」
「あにさんは、じらし上手と見ました」
「なに、焦らし上手って。そんなつもりは」
「いえ、言わずともわかっておりますよ! あにさんは、この程度で満足しない方だと!」
そういうことじゃないんだけど、兵庫は思ったし、言おうと思ったのだ。
けれど、それより早くクロリアは立ち上がる。
何にせよ、妹にするように頭を撫でるという行為は中断された。
しかし、彼女の表情を見れば、まだ何か隠し玉があることは明白だった。
「あにさん! これだけじゃあないんです! この道を通っていきますと!」
「わあ! だから、急に引っ張るなって!」
ずんずんと兵庫の手をひっぱってクロリアがススキの原を突き進んでいく。
背の高いススキの茎があちこちにあたって兵庫は顔をしかめた。というか、顔にあたる痛さなんかを感じるより早くクロリアがずんずんと進んでいくのだ。
まるでやんちゃな大型犬の散歩に振り回されているような気分であった。
言わないけど。
それこそクロリアが不服そうな顔をするのが目に浮かぶようであったからだ。
「ほら、見てください! ここから眺めると……あれ? あにさん?」
クロリアは目的の場所までずんずか進んで振り返る。
手には兵庫の掌の感触がある。
けれど、彼の姿が見えない。当然である。
クロリアの胸元までススキの穂がある、ということは兵庫の頭が埋まっているということ。
「いや、見えない」
「わあ、あにさん。そこにいらっしゃったんですね!?」
「手を繋いでいるからいるのはわかるでしょ。というか、ここのススキは思った以上に背が高いんだな。ススキばっかりで何も見えない……まぁしょうがないか、っておわ!?」
ぐい、と手を引いてクロリアが兵庫の体を持ち上げる。
それだけであったのならばまだマシだった。
あろうことか、クロリアは兵庫の体を抱えていた。
いわゆるお姫様抱っこというやつである。
「ぎゃく! これ逆のやつ! ちょ、ちょっと! クロリア! 流石にこれは恥ずかしいって!」
「何が恥ずかしいのです?」
「こういうのは、ぎゃくなの、普通は!」
「でも、こうしないと見えないです。あにさん、どうですか? 見えますか?」
まあまあ、とクロリアは笑っている。
自分たち以外には誰もいないのだ。むしろ、そんなことで恥ずかしがる兵庫の顔を見てクロリアはもっと笑顔になる。
あにさん、兵庫のそういう慌てふためく姿を見るとなんだか楽しくなってしまうのだ。
それは幼い男児がきになる女児にちょっかいを駆けるような、幼い感情であったがクロリアにとっては得難い感情であったことだろう。
その感情を言葉で顕すことはないけれど、それでも、兵庫のそういう表情を見るのがクロリアは好ましく思えたのだ。
「他に誰もいないのですから。それより見てください! ほら!」
「そういう問題じゃないって……」
兵庫は、その言葉に抱えられながら促されるままに視線を向ける。
そこは穂の海だった。
ススキの銀色。
それは日光に朝露が弾けるようにして光を乱反射して生み出される銀の海。
揺れる度に波が起こるようにススキの高原は、一度として同じ表情を見せることはなかった。
兵庫とクロリアの瞳に映るものは同じもの。
一度として同じものは生まれない光景。
けれど、ここに二つ同じものが生まれている。
誰かと何かを分かち合うのは、生命にとって非合理なことである。分かてば、それは半分になる。
半分になる、ということは即ち、生命の存続の確率が半分になるということだ。
それは割合として、譲れるものではなかっただろう。
けれど、生命が、人が何かを誰かと分かち合うのは非合理を越えたものだ。
眼の前の光景は、同じものであっても、瞳に映ることで二倍に増えるのだとしても、彼らの胸に去来するものはきっと異なるものであったはずだ。
一つとして同じ生命はない。
可能性を生み出すのが生命だというのならば、己たちの胸に湧き上がる感情こそが可能性の発露であるとも言えただろう。
それほどに眼の前の光景は兵庫の胸を打つのだ。
「おぉ……すげぇ……まるで夢の中にいるみたいだ……」
「自分がまるでススキの海の中にいるみたいですよね!」
夢の中。
海の中。
互いに感じるものは違う。
けれど、二人は顔を見合わせて、互いの言葉に、それもそうだと思った。
共感したのだ。
一つのことを異なる瞳で見つめ、互いに違う感情を抱いたことを理解する。それが人という生命の素晴らしさだ。
「ね? すごいしょ!」
これを兵庫と分かち合いたかったのだ。
己の胸に抱くものが彼とは異なることを知りたかったのだ。そして、その相違をもって新たなる風を己の胸に呼び込みたいと思ったのだ。
分かつことは、二つにすること。
分かち合うことは、増やすこと。
また一つクロリアの胸の中に、新たなる感情が生まれる。
兵庫を抱き上げていた腕がぶるぶると震える。
それは感極まる感情の波が溢れてくるが故であった。衝動と言ってもいいだろう。
時間というのは、あっという間だ。
陽の光は傾いて橙に色づいていく。
「あにさん!」
「わかってるって。踊りたくなったんだろう?」
眼の前には銀の穂が橙の陽を受けて黄金に輝いている。
彼女の感情の高ぶりを兵庫は理解していたのだ。彼女は踊りで感情を表現する。それは言葉よりもずっと直感的に生命に伝えるものであった。
言葉は同じ言語を持つ者同士でしか、その意志を伝えることはできない。
けれど、リズムは共通するものだった。
故に踊りというのは原始的な意思伝達のツールでもある。
きっとクロリアは何かを伝えたいと思っているのだろう。
「見せて欲しいんだよ」
「あにさんが見てくれるのならば、どうぞご堪能ください」
クロリアはススキの穂が開けた場所にて兵庫をおろして一礼する。
幼い言動や行動が多いけれど、時折ずっと大人びたような顔を見せるのが彼女だった。
その顔に兵庫は微笑む。
なんてことのない一日だったかもしれない。けれど、それはクロリアによって黄金色に塗り替えられたのだ。
肩幅に開いたクロリアの足。
滑るようにして大腿を駆け上がっていく、彼女の指先。
発露するのは感情。
言葉にならない激情。
そして、言葉ならずとも今日という日の幸福を伝える心が視覚を通して兵庫に伝わってくる。
足踏みがリズムとなって、音となって大気を伝う。
「――」
ハミングが聞こえる。
歌詞なんて決まってない。あるのは旋律とクロリアのダンスだけ。
今日という良き日が思い出に変わっていく。
いつだってそうだ。
時は過去を排出して今を未来に押し出していく。
兵庫の胸に、クロリアの胸中にある記憶さえも過去になっていく。
それを悲しいとは思わない。
今にあるのならば、過去を思う事ができる。
忘却という永遠の死が訪れるのだとしても、未来に向かって生きていくのならば、それは血肉となって彼と彼女の中に生きるだろう。
それが生きるということだ。
そして、過去を思うことをなんというのかも二人は知っている。
過去をただ過去にしない。
『今日はすごく素敵な一日だった』
共に在れるということ。
分かち合えるということ。
それは素晴らしいことだ。人はそれを共有することだというだろう。
一つのことを分かてば、異なる二つを得ることができる。
二つに増えたものを互いに持ち得る。
それができるのが、人というものだ。
軽やかに、力強く、時に汗散らしクロリアは踊る。
それは晩秋の旋律にはまだ遠く。
寂寥感も喪失感も、この後に訪れるものだと示すものであった。
月明の旋律にもまだ早く。
移ろい変わり、姿を代えていく月を思う。
何かが生まれそうだとクロリアは思ったかも知れないし、兵庫はきっと彼女は新たなる旋律を胸に抱くのを知っただろう。
きっとそれは黄金の旋律。
一人では生み出せず、得難く、けれど、誰かと共に分かち合うことで生まれる|旋律《メロディ》ではなく、|調和《ハーモニー》であったことだろう。
クロリアの楽しいという気持ちと、兵庫の郷愁を感じる気持ち。
それらは異なるものであるからこそ、調和を以て旋律へと変わっていくのだ。
照らす者と照らされる者。
どちらもが輝きに満ちた日々を送れますように。
その願いを込めたダンスは、黄金の|芒《のぎ》を揺らし、光芒となって彼らの道行きを照らすだろう。
どれだけ未来が暗闇に閉ざされているのだとしても、二人が生み出した今日という光は明日を照らしているのだ――。
成功
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