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帝都櫻大戰㉒〜誰がために大海を征く

#サクラミラージュ #帝都櫻大戰 #第三戦線 #幻朧帝イティハーサ #カルロス・グリード #君と僕のミュトス

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●歴史
 ただ一つの創造が、数多の想像によって塗りつぶされる。
 可能性は一つではない。
 大樹が枝分かれして、空を覆うように幻朧桜が咲き誇る。
「それは残骸とも言うべきものであるが、しかし、我には十分なものである。嘗て、グリードオーシャンもまた此のようにして生まれたのだ」
 偉大なるグリードオーシャンのオブリビオン・フォーミュラ『カルロス・グリード』は猟兵達によって打倒されし『幻朧帝イティハーサ』の傍らに立つ。
 彼の言葉が示すのは、背後の幻朧桜。
 咲き誇る様は、彼の言葉通りなのであろう。

「古の盟約に従ってもらうぞ『幻朧帝イティハーサ』」
「よかろう。此処まで儂を追い詰めた猟兵である。努々油断することは許さぬ」
「言われるまでもないこと。我は既に猟兵に一敗伏している。なれば、油断など有りえぬ。そして、本来の目的であるサクラミラージュを海に沈め、新たなる侵略世界を作り上げる謀は、此処に相成ったのだ」
『幻朧帝イティハーサ』の残滓が『カルロス・グリード』に鎧となって纏われる。
 強大な力の発露。
 それは広大な大海の力そのものであった。

 有史以来……いや、生命が発生して以来、生命と海は密接な関係を持ってきていた。
 知性宿す陸生の生命であれば、恵みと死を。
 海棲の生命であるのならば、生と死の輪廻を。
 今や『カルロス・グリード』は新世界創造たる力を得ることに寄って、二つ目のグリードオーシャンと化したサクラミラージュ……その名を『グリードオーシャン・アルゴ』を生み出したのだ。
「この偉大なる幻朧桜……その残骸であったとしても、異界の生命体を転生させることができる。オーシャンボールに寄って大地の殆どが水没した……この世界を以て他世界への我が妻の探索に乗り出す。我が妻は有用なる女。数多の世界を水没させ、侵略すれば、細胞の一欠片とて得ることができるであろう」
 その言葉にグリモア猟兵、ノイン・シルレル(第九の悪魔・f44454)は頷く。

「愛ゆえに、というやつですね」
「この程度の執着を愛と嘯くか、歓喜の悪魔」
「はい。それは愛です」
「……お前にグリモアの力無くば、この場でひねり殺しているところである」
「それを求めるのもまたあなたの愛なのでしょう。愛の前には、あらゆるものを与えても満たされることはないのです。あなたが真に求めるものを私はあなたに与えることができない。何故ならば」
 ノインは笑む。
 圧倒的な脅威が眼の前にある。
 だというのに、彼女は笑う。

「すでにあなたはあなたの中に愛を持ち得ているから、与えるまでもないということ」
 彼女は示す。
 彼女の足下を。それは大地。そして、海洋に飲み込まれながらもわずかに残った島……いや、それは島ではなかった。
 けれど今はもう『島』と呼ぶしかないものであった。
 鋼鉄の島――嘗て星の海を往く大聖堂と呼ばれた5つの神器が一つ、巨大なる宇宙戦艦『アギア・ソフィア』、その残骸である。
「そして、私は示しましょう。『はじまりは』いつだって、生命の手の中にあるのです。それは石版であったかもしれないし、真実の物語であったのかもしれない。数多の生命が織りなす、果てなき無限の物語」
 島となった宇宙戦艦の残骸が起動する。

 ハッチが開き、現れるのは白銀装甲を持つ鋼鉄の巨人『はじまりの』『セラフィム』たち。
 そして、残骸の装甲が次々と展開していく。
 かつて銀河の海を征く時代に生み出された数多の強力な遺物が猟兵たちの眼の前に姿を表すだろう。
『|星を砕く者《ブラスター》』と呼ばれた超長距離射撃砲。
 あまりにも長大なる砲身は扱いづらいだろうが、しかし、強力な火力として海さえ割るだろう。
「無限など。その無限を殺しうるために我は」
「故にあなたは知るべきだったのです」
 ノインは示す。
 嘗て在りし物語の名を。
「『斯く求め、斯く争い。斯く愛し、斯く嘆き。斯く生き、斯く死にて。世界に、希望をもたらした者達の物語』を」
「『その物語の名は……』――!」


海鶴
 マスターの海鶴です。

 ※これは1章構成の『帝都櫻大戦』の戦争シナリオとなります。

 古の盟約により『幻朧帝イティハーサ』は『カルロス・グリード』の鎧となり、皆さんを侵略新世界『グリードオーシャン・アルゴ』にて撃滅せんとしています。
 この世界は、オーシャンボールによって大地の殆どが水没した、二つ目のグリードオーシャンとも言うべき侵略新世界です。
 彼がサクラミラージュにて行う予定であった本来の目的が達せられた光景であると言えるでしょう。

 彼自身もオブリビオン・フォーミュラ。
 加えて『幻朧帝イティハーサ』の力を鎧として纏う、圧倒的な力を持つ存在です。
 ですが、皆さんが今まさに足場としているのは、幻朧桜を通じてにじみ出てきた他世界文明の『島』とも言うべき巨大なる宇宙戦艦『アギア・ソフィア』の残骸です。

 この残骸には『|星を砕く者《ブラスター》』と呼ばれた超長距離射撃砲や、白銀の装甲を持つ『セラフィム』と呼ばれる体高5m級の人型戦術兵器が存在しています。
 未だ利用可能な状態で存在しているため、これを利用して戦うことができます。

 プレイングボーナス……他世界文明の遺物を利用して戦う。

 それでは、幻朧櫻舞い散る帝都にて戦う皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 ボス戦 『カルロス・グリード幻朧態』

POW   :    海王の矢
【無限に広がりゆく大海】から無限に供給される【『死の海水』の矢】を、レベル分間射撃し続ける。足を止めて撃つと攻撃速度3倍。
SPD   :    王錫海巨人
全長=年齢mの【『海水の巨人鎧』を纏った姿】に変身し、レベル×100km/hの飛翔、年齢×1人の運搬、【生命を蝕む呪いの海水拳】による攻撃を可能にする。
WIZ   :    インヴェイジョン・オーシャン
全身を【数万トンに及ぶ海水】で覆い、自身の【侵略への欲望】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。

イラスト:炭水化物

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

九頭龍・達也
まあ、愛だろうね。
それが傍迷惑なものでもそれが愛である事自体は否定しないよ。
まあ、迷惑過ぎるので普通に止めるけどね。

折角だから『|星を砕く者《ブラスター》』を使わせて貰おうか。
【海王の矢】と『星を砕く者』の真っ向勝負!
超巨大なエネルギーがぶつかり合う奔流が見れそうだ。

まあ、本命は違うけどね。

ある程度、【海王の矢】を『星を砕く者』で相殺した段階で『勇者の剣』を顕現。
瞳に『九頭龍の紋章』を煌かせて、剣を振りかぶって――【一閃】

全てを斬り裂く斬撃波で纏う幻朧帝ごとカルロスを切り裂こう!



『カルロス・グリード幻朧態』は、その身より強大な力を発露する。
 大海の如く溢れ出る力は、矢となり迫る猟兵達へと飛ぶ。
 雨のように注ぐ矢。
 死の海水。
 それを満たすような矢の襲来は、猟兵たちにとって脅威であった。
「愛など。我が妻を求めるは、あの女が有用であるからだ。それ以上でもそれ以下でもない」
 彼の言葉を聞いた九頭龍・達也(大宇宙帰りの勇者・f39481)は頭を振る。
 それはまごうことなき愛であった。
 執着であると『カルロス・グリード幻朧態』は言うだろう。

「まあ、愛だろうね」
「くどい!」
「それがはた迷惑なものでも、それが愛であること自体は否定しないよ。まあ、迷惑すぎるので普通に止めるけどね」
 達也の言葉に『カルロス・グリード幻朧態』は苛立つようだった。
 放たれる矢の勢いが増している。
 ただ己達猟兵を退けるにしては、力がこもっているように思える。
 彼は紛れもなく一つの世界のオブリビオン・フォーミュラ。
 その力はあまりにも強大すぎるのだ。

「我が目的を達するための手段に過ぎぬ。それを愛などと語るか」
「そうでなければなんだっていうんだよ。そんなもの」
 達也は己の足場……島となっている嘗ての宇宙戦艦『アギア・ソフィア』のハッチから出現した超長距離狙撃砲|『星を砕く者』《ブラスター》を起動させる。
 迫る矢を薙ぎ払うには、高出力の一撃で吹き飛ばすしかない。
「まだ稼働できる状態とはね! ありがたい。なら、真っ向勝負と行こうじゃあないか!」
|『星を砕く者』《ブラスター》の砲口から放たれるは極大なる光条の一射。
 奔流は一気に死の海水でできた矢を蒸発させ、さらに『カルロス・グリード幻朧態』へと迫る。
 しかし、死の海水でもって減退した光条の一撃は、彼にたやすく払われるだろう。

「浅い。この程度の力で我をどうこうしようなど」
「まあ、本命は違うけどね」
 達也は死の海水が蒸発することで生まれる水蒸気の中をひた走る。
 手には『勇者の剣』。
 単純な話だ。
 力押しでは『カルロス・グリード幻朧態』の方に分があるだろう。
 何せ、無限に湧き出すような大海が彼に力を与えている。
 この侵略新世界『グリードオーシャン・アルゴ』において、彼は嘗てグリードオーシャンで戦った時以上の力を発揮している。
 死の海水で出来た矢が、その証明だ。

 だからこそ、|『星を砕く者』《ブラスター》で切り開いた道を達也は一気に走り抜ける。
 瞳に輝くはユーベルコードと『九頭竜の紋章』。
 振りかぶった剣は、一閃(イッセン)。
「全てを斬る……その身に纏う『幻朧帝』ごとね」
 その一撃は『カルロス・グリード幻朧態』の身にまとった鎧ごと斬撃を届かせる。
 血潮が飛び、死の海水に混じる。
「ぐっ……!」
「まだ倒れないだろう。それもきっと愛の力だと思うんだよ、俺は。お前は否定するだろうけれど」
 達也は、その瞳の輝きと共に己が斬撃刻まれながら睨めつける『カルロス・グリード幻朧態』の瞳を見つめたのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:黒燭炎

武侠界で見た女媧の塒に閉じ込めて反応見てみたいのう…
※愛を語らないと出られない部屋で、妻への愛を叫んだ人

霹靂に乗っておるよ。
で、だ。まあ死の海水は、わしにはなぁ。霹靂には危ないので、四天霊障で妨害はするが。

くく、執着が発生するには、愛がなければなぁ!
というわけでな、そう挑発していたら、まあ陰海月が良いタイミングで撃つであろう?
そこに、さらに追撃で、UCによる攻撃をな?


陰海月「ぷ!」
コンキスタドール大嫌い!で、気合い入れて『星を砕く者』発射!

霹靂「クエ」
第六感を働かせて、発射の気配を察知して避けたりする!



 愛、それは単純明快なるものである。
 愛、それは至極難解なるものである。
 矛盾しているようであるが、しかし、どちらも正しいと言えるだろう。
 正義の形がそれぞれあるように、愛の形もまたそれぞれ存在する。千変万化。人によって万華鏡のように色も形も変えうるのが愛なのだとすれば、『カルロス・グリード幻朧態』に言うところの愛を否定する言葉もまた愛の一つの形であるとも言えるだろう。

「封神武侠界で見たあの部屋に、奴を閉じ込めて反応を見てみたいのう……」
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『侵す者』は、そう思った。
 あれは愛に気がついていないわけではない。
 ただ己を偽るものであると言うふうにしか彼には見えなかった。
 そも、何を恥ずかしがっているのかもわからないし、躊躇う理由があるのだろうか。
「うぅむ……」
『霹靂』にまたがり、考える。
 まあ、答えはでない。
 どの道己の思う愛と彼の思う愛とでは多くが異なる。
 ならば、言葉を躱したところで行き違うのが必定であろう。

 交わらぬ者同士の言葉など、煩わしいだけであるとも言えた。
 だからこそ、とも言える。
 迫る死の海水より生まれた矢。
 それが雨のように飛来し、己たちに迫っているのだ。
「疾く消えよ、猟兵。我には成さねばならぬことがある。新たなる世界、侵略新世界『グリードオーシャン・アルゴ』を以て、あまねく世界を海水で押し流してくれよう」
「なるほどの。それで愛しの妻の肉片一つでも見つけ出そうというのかの」
「当然だ。あれは有用なる女。そして、しぶとき女である。であるのならば、当然有用性のために探すのは当然であろう」
「くく、執着であると」
「そうだ。有用性故に執着するのだ。無能に執着する者がいるか?」
『侵す者』は笑う。
 それは語るに落ちたというのだと。

「執着が発生するには、愛がなければなぁ!」
 その言葉と共に島……己たちが眼下に見据える宇宙戦艦『アギア・ソフィア』のハッチから超長距離狙撃砲『星を砕く者』が光条を解き放つ。
 その一撃は死の海水の矢を蒸発させる。
「またか、芸のないことを」
「ぷ!」
「よくやった、征くぞ、『霹靂』!」
「クエッ!」
 いななきと共に一気に『侵す者』は『カルロス・グリード幻朧態』へと肉薄する。

 己の挑発によって視線は釘付けだ。
 故に『星を砕く者』による砲撃を予見できなかった。しかし、海水で減衰された光条は『カルロス・グリード』には届かない。
 いや、それでいい。
「鎧切り裂かれ、そしてわしらにも隙を見せる。その執着、余程大きいと見える」
「ほざけ!」
「いいや、それが真実というやつよ!」
 振るう槍の一撃。
 それは『カルロス・グリード』の方を射抜くように放たれ、その鎧を砕くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

蓮見・津奈子
そのような形の愛も、また有り得るのでしょう。
けれど、その成就に数多の罪なき命を引き換えようというのなら──
私は、あなたを止めてみせます。

敵は高速で飛翔する力の持ち主。
私が用い得る有効な攻撃手段はこの『|星を砕く者《ブラスター》』しかありません。
けれど私はこの手の兵器の扱いに不慣れな上、敵もこれを警戒しているでしょうから、ただ撃つだけでは有効打たり得ません。
実際、砲撃を躱され、接近を許すことになるかと。

然し、私の勝機は其処にこそ。
発現・爆裂種弾。
攻撃態勢に入ったカルロス目掛け種弾を浴びせ、麻痺毒を撃ち込み。
其処に改めて『|星を砕く者《ブラスター》』を撃ち込みにいきましょう。



 愛もまた感情であるというのならば、形を変える。
 たわむであろうし、歪むこともあるだろう。
 また強固なものであることもあるだろうし、柔軟なものであることもあるだろう。
 結局のところ、その感情を例える言葉があっても、どれもが正しく、間違っているのだと言える。
 故に人は惑う。
 それはオブリビオンであっても変わらぬことであったのだろう。
 過去の化身であったとしても歪むように。
 その愛もまた歪むのだ。
「有用性のことを愛と呼ぶなのならばそうなのだろう。我にとって、妻とはそういうものだ。有用だからこそ執着する。それは妻もまた同様であろう」
『カルロス・グリード幻朧態』は、侵略新世界『グリードオーシャン・アルゴ』に満ちる海水を纏う。

 それは鎧のようであり、巨大な巨人であった。
 圧倒的な巨躯を前に蓮見・津奈子(真世エムブリヲ・f29141)は思わず見上げる。
「そのような形の愛も、また有り得るのでしょう」
「我が執着をどのように呼ぶのかなど」
「けれど、その成就に数多の罪なき生命を引き換えようというのなら――」
 津奈子は告げる。
「私は、あなたを止めてみせます」
「言うか、猟兵よ。我がこの力を前にしても」
「ええ、それが私ですから」
 海水の鎧でもって巨大化していながら、その疾駆は凄まじい速度だった。
 元より、津奈子は島……かつて銀河を征く宇宙戦艦『アギア・ソフィア』を足場にするしかないが、『カルロス・グリード幻朧態』は海上を自在に疾駆することができる。

 津奈子に残された手段は多くはない。
 一つは、この巨大な島と成り果てた戦艦の残骸に遺された『|星を砕く者《ブラスター》』。
 だが、津奈子は不安を憶えていた。
 使用可能とは言え、この手の兵器の扱いに彼女は不慣れ。
 つまり照準が合わせられない。
 加えて、先んじた猟兵による一撃。
 これによって『カルロス・グリード幻朧態』は当然ながら、此方の砲を警戒している。
 まず当たらないと見ていいだろう。
 たとえ、当たったとしても有効打隣り得ないだろう。

「そのような砲撃など! この距離ではな!」
 事実、津奈子が放った『星を砕く者』の一撃はたやすく躱された。
 海上を割るような光条の一撃は、標的を捉えることはなかったのだ。
 だが、津奈子の瞳はユーベルコードに輝く。
 たとえ、命中捺せられなくても、隙は生まれる。ただ一瞬の隙を生み出すためだけに津奈子は『星を砕く者』を使用したのだ。
「叩き潰す!」
 振るい挙げられる巨大な海水の拳。
 鉄槌のように迫る一撃が津奈子を襲う――その前に、彼女の発生・爆裂種弾(ゲネレヰト・ポアゾンシヰド)の一撃が炸裂する。

 距離は己を叩き潰すために詰まっている。
 この距離。
 躱しようがない距離で、彼女の体躯が弾けるようにsて爆ぜた。
 肉腫の爆発。
 それによって彼女は鋭利な殻に覆われた無数の有毒種子を『カルロス・グリード幻朧態』へと叩き込んだのだ。
「退いてください……!」
「どかぬ、この程度……ぐっ、!? な、に?」
「その種子はあなたに届かない。けれど、その種子に内包した毒は、海水を伝ってあなたに伝わる!」
 麻痺毒。
 だが、それすらも『カルロス・グリード幻朧態』は退ける。けれど、反応速度が低下しているのだ。
「『星を砕く者』よ!」
 津奈子の言葉と共に、炸裂す超長距離狙撃砲の一撃。
 光条が海水の鎧を蒸発させ、『カルロス・グリード幻朧態』を吹き飛ばすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リリスフィア・スターライト
幻朧帝イティハーサとカルロス・グリード
どちらもここで終わりにさせたい相手ではあるかな。

宇宙戦艦『アギア・ソフィア』
どれだけ大きな戦いで使用されていたのか
気にあるけれど今は役立たせてもらうよ。
セラフィムに乗り込んで
融合したカルロス・グリードと戦うよ。
剣といったセラフィムの近接武装をメインに
攻撃するけれど、それで足りないようなら
キャバリア用のライトニング・ライフルや
ルナ・ブレードも使用するよ。

UCで機動性を強化して死の海水の矢を回避しつつ
多少の攻撃力は落としてもセラフィムと武装を駆使して
カルロスの防御の隙を狙い、確実に追い込むね。

「誰にだって愛する人はいるのだから、決して特別じゃない」

アドリブ歓迎



 諸悪の根源『幻朧帝イティハーサ』を鎧として纏うグリードオーシャンのオブリビオン・フォーミュラ『カルロス・グリード』。
 いずれもが強大な存在であることは言うまでもない。
 これまで猟兵達は数々の戦いに置いて彼等を撃退してきた。
 だが、未だに彼等を完全に復活できぬまでに追い込むことはできていない。
 少なくとも、『山本五郎左衛門』の為す儀式によって『幻朧帝イティハーサ』は、この戦いに勝利すれば復活することがないと言われている。
「どちらもここで終わりにさせたい相手ではあるよ」
 リリスフィア・スターライト(プリズムジョーカー・f02074)は正直にそう思う。
 どちらが残っても、今後の戦いに影響を及ぼす事は言うまでもない。

「お前たちが終わらせたいと願ったところで、歴史そのものを身に纏う我を打倒するだと?
 その浅はかさこそが己が身を滅ぼすのだと知れ!」
『死の海水』より生み出された矢が迸るようにしてリリスフィアへと迫る。
 今や島となった嘗ての宇宙戦艦『アギア・ソフィア』を大地として、彼女は迫る矢をハッチから現れた白銀の鋼鉄の巨人……人型戦術兵器『セラフィム』へと乗り込む。
 体高5m級。
 これはキャバリアと似たような規格で造られているように思えた。
「どれだけ大きな戦いで使用されていたのか気になるけど……今は!」
 リリスフィアは白銀の『セラフィム』を駆り、モニターに表示される武装を展開する。

 腕部より出現した柄を握りれば、プラズマの刀身が形成される。
「プラズマブレイド……、これなら!」
 リリスフィアは形成されたプラズマブレイドを以て、迫りくる矢を切り払う。
 蒸発する海水でできた矢。
 白い霧のように霧散する矢を押しのけるようにして『カルロス・グリード』へと肉薄する。
「借り物の力で何処までできるというのか」
「できるよ! こういうときはこっちのほうが有効だよね!」
 武装転移(ウエポンマスタリー)によってりりスフィアはキャバリア用の武装を転送し、ライトニング・ライフルの引き金を引く。
 放たれる弾丸が『カルロス・グリード幻朧態』へと襲いかかり、矢と激突しては凄まじ衝撃が周囲に荒ぶ。
 苛烈なる攻勢。
 どちらも退くことをしないというように、撃ち合いが始まる。

「誰だって愛する人はいるのだから、あなたの愛だけが特別じゃない」
「そうとも。我の妻を求めるは、当然の成り行き」
「でも、それでも、それを愛と認めないのなら!」
 りりスフィアは『セラフィム』と共に踏み込む。
『カルロス・グリード』は認めない。
 己が愛を執着と呼び、それが以下に己たちと変わらぬことであるかを否定するのだ。
 だからこそ、りりスフィアは負けない。
 負けるわけにはいかないのだ。

 愛も自覚せぬものに、愛を知るものが負けるわけにはいかないのだ。
「ルナ・ブレード!」
 プラズマブレイドとルナ・ブレードの二刀流、その斬撃が矢を切り払いリリスフィアは踏み込む。
 二振りの斬撃が『カルロス・グリード幻朧態』の鎧へと叩き込まれ、凄まじい火花が戦場に散るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

国栖ヶ谷・鈴鹿
【十天使】

ペンギン🐧クルー集合!
みんな操縦や運転が上手なクルーを集めたからね!
セラフィムに搭乗して、カルロスを、幻朧帝を撃墜するよ!

カルロスの意地はわかるけどね。
だけど、組んだのが幻朧帝なのは良くなかった。

結界術を中心にフォーメーションを編成!海水を爆発させる化学属性の弾薬で、爆破させて防御を断ち、数的有利を利用して、回り込み、追い込みの連携で機動の先に爆撃の榴弾を置き、集中砲火で一気に撃破に追い込むよ!

幻朧帝、ここで目論見は終わりだよ。
欲望を利用して、影から見て嘲笑う、その存在をここから消し去る!



「とびだせ! ぼくのペンギン乗組員!」
 その声は、今や侵略新世界『グリードオーシャン・アルゴ』へと変貌し、あらゆるものを水没させた世界にて響き渡った。
 その声の主は国栖ヶ谷・鈴鹿(命短し恋せよ乙女・f23254)。
 彼女のユーベルコードによって、『スカイクルーザー・ヨナ』から操縦スキルに磨きをかけたペンギン乗組員たちが整列していたのだ。
 彼等が立っているのは、島……いや、嘗ては銀河を征く宇宙戦艦『アギア・ソフィア』の上だった。
 ユーベルコードの明滅が戦場となった海上にて瞬いている。
『カルロス・グリード幻朧態』との戦いは苛烈を極めるものであっただろう。
 鈴鹿一人では同仕様もないほどの敵だ。

「みんな! どうかな? この子たちを動かすことはできそう?」
 鈴鹿の言葉にペンギン乗組員たちは白銀の鋼鉄の巨人、『セラフィム』たちを見上げて、びしっ! と敬礼して見せる。
 やれる、ということだろう。
 なら、と鈴鹿は時間がないことを理解し、彼等に搭乗を促す。
「行こう! ここからはとびっきりのショウタイム! 超檄!ペンギン乗船員(スペリヲル・ペンギン・クルー)のはじまりはじまり!」
 鈴鹿の言葉と共にペンギンたちが乗り込んだ『セラフィム』たちが戦場に飛ぶ。

 プラズマブレイドが標準装備なのだろう。
 形成されたプラズマの刀身が『カルロス・グリード幻朧態』に叩きつけられる。
「……『セラフィム』を利用するか。だが!」
 そう、今の彼は数万トンにも及ぶ海水を纏っているのだ。
 プラズマの斬撃出会っても引き剥がすことができない。
「やっぱり! 敵の防御が硬い……なら!」
 鈴鹿は己の才能を発露する。
 ジイニアスでなければできないことがあるというのなら、やってみせるのが天才たる彼女の才能なのだ。

「どんな手段を用いるのだとしても、この大海の力を纏う我をどうこうできるとは思わぬことだ!」
「そうかもね。でもさ、意地になってない?」
「何をだ!」
「その執着を愛って認められないのをさ! その意地、わからないでもないけど、組んだのが幻朧帝なのはよくなかったよね!」
 その言葉と共に鈴鹿は『セラフィム』たちに弾丸を供給する。
 そして、フォーメーションを組んだ『セラフィム』たちが一斉に『カルロス・グリード幻朧態』を取り囲み、弾丸を放つのだ。

 それはただの弾丸ではない。
 海水を爆発さえる科学属性の弾薬を籠めたものだ。
 この短時間で鈴鹿は天才たる所以を示してみせた。打ち込まれた弾丸は化学反応を起こして、大海の如き海水の防御を引き剥がし、さらにフォーメーションによって『カルロス・グリード幻朧態』を逃さぬ飽和射撃でもって縫い留めるのだ。
「一気に追い込むよ!」
「これ以上の存在は、そう多くはない。だというのに、お前たちは!」
「そうだよ。だって、幻朧帝は……『意志』を求めてる! その意志がもたらす欲望を利用して、影から見てあざ笑う」
 これまでの多くがそうであったように。
 諸悪の根源と呼ばれた『幻朧帝イティハーサ』の為してきたことは、鈴鹿にとって許しがたいことであった。

 だから。
「その存在をここから消し去る!」
 平和を享受するように謳歌していた世界も、それは元を正せば、エンシャント・レヰスたちが身を犠牲にして封印していたからだ。
 その上、再孵化でもってエンシャント・レヰスたちを己が配下として手繰り、利用したのだ。
 赦せるわけがない。
「その横暴のツケを払ってもらうよ!」
 その言葉とともに鈴鹿の生み出した弾丸が『カルロス・グリード幻朧態』の周囲の海水を吹き飛ばし、盛大なる爆発に飲み込ませるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紫・藍
あやー。
利害関係であって愛ではないでっすかー。
いいのではないでっしょかー?
お二人の関係はお二人だけのものなのでっす。
他の誰かが呼ぶ言葉で表わせるものではないのでしょう。
きっとカルロスのおにいさんにとってメロディアのおねえさんへの想いは愛ではピンとこないのでっす。
藍ちゃんくんにももうすぐ妻になる方がいらっしゃいまっすがー。
藍ちゃんくんは愛という言葉はあまり用いないのでっす。
愛では足りませんので!
他の皆様からすればそれは愛と呼べるものなのでしょう。
ですが藍ちゃんくんが大好きな方に向けるこの想いは藍ちゃんくん、丸ごと全部なのでっす!
“藍”なのでっす!
おにいさんのそれもまた“カルロス・グリード”なのでっすよー!
ではでは己の全てでカルロスを成し続けるおにいさんに!
藍ちゃんくんも藍ちゃんくんの全てを謳い上げるのでっす!
藍する方への藍の歌を!
藍ちゃんくんでっすよー!
藍ちゃんくんの世界に包まれたおにいさんは海と切り離された状態なのでっしてー!
残る矢もセラフィムさん達に受け止めてもらうのでっす!



 凄まじい爆発が海上に巻き起こり、島となった嘗ての宇宙戦艦『アギア・ソフィア』の残骸が揺れる。
 振動するように揺れたのは、それだけ残骸としての『アギア・ソフィア』が不安定だからであろう。
 ハッチから次々と白銀の鋼鉄の巨人『セラフィム』が現れる。
 それを背にしながら紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)は、戦場となった海上から飛び出した『カルロス・グリード幻朧態』と見える。
「この執着を愛などと呼ぶな。これは、有用性ゆえに生まれたもの。妻ほどの能力があれば、この執着は当然のはず。それを、愛などと!」
「あやー」
 利害関係であると彼は言う。
 藍にはそうは思えなかった。
 だが、彼が言う言葉にも頷く。

「いいのではないでっしょうかー? それが愛でなくとも」
 うん、と藍は頷く。
 だって、と思うのだ。
 愛は千差万別にして、千変万化。
 形は変化していくし、その内実も変わっていくだろう。
 けれど、それは。
「お二人の関係はお二人だけのものなのでっす。他の誰かが呼ぶ言葉では表せるものではないのでしょ」
「……お前は」
「だってそうなのでっす。きっとカルロスおにいさんにとってメロディアのおねえさんへの想いは愛では、ピンとこないのでっす」
 うん、と藍は構わず頷く。

 人のノロケを聞いたのなら、自分のも聞いて保石井。
「藍ちゃんくんにも、もうすぐ妻になる方がいらっしゃいまっすがー。藍ちゃんくんは愛という言葉はあまり用いないのでっす」
 だってだって、と藍は笑む。
 その表情はあまりにも幸せそうだった。
 他の誰と比べるでもない。
 ただ、『カルロス・グリード』は思ったのかも知れない。だからこそ、海水の矢を解き放つ。

 その矢の雨は藍を目指す。
 けれど、割って入るようにして『セラフィム』たちが矢を防ぐのだ。
 散る矢の最中に藍は、ハッキリと言い放つ。
「愛では足りませんので! 他の方空見れば、それは愛と呼べるものなのでしょう。ですが、藍ちゃんくんが大好きな方に向けるこの思いは、藍ちゃんくん、丸ごと全部なのでっす! つまり!」
 そう、藍は胸を張る。
 この感情の名にいまさら名前をつけるまでもない。

 だって、最初から最後まで。
 徹頭徹尾、こう呼ぶと決まっているのだ。
「“藍”なのでっす!」
 そして、と藍は指差す。
「おにいさんのそれもまた“カルロス・グリード”なのですよー!」
「くだらん。お前の言葉は、全てが馬鹿らしい」
「そうでっすねーでも、藍ちゃんくんは止まりません。藍ちゃんくんの全てを謳いあげるのでっす。藍する方への藍の歌を! 藍ノ空(アイノソラ)はずっとずっと広がっているのでっすよー!」
 その声は遙か空を超え、彼方まで届く歌声だった。

 生み出されるは世界。
 その侵略新世界の中に新たに生まれる世界。
 それは闇夜を照らす藍と希望。
 藍は己でもって示してみせたのだ。
 愛とは……否、藍とは、こういうことを言うのだ。
 世界の全てを塗り替える藍で。
 あなたに届けというように藍は己の愛おしきものへと己自身を受け止めてと歌声に思いを乗せ、『カルロス・グリード幻朧態』を、その力の源たる大海から切り離すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーフィ・バウム
愛の形は其々であり、尊ばれるべきもの
ですが、私は戦士です
貴方の手で行われる侵略、止めてみせましょう

『星を砕く者』を使わせていただき、
相手の海王の矢のカウンターと為します
ですが、本命は私自身っ

ブラスターの砲撃で攻撃を留めているうちに、
一気に格闘戦の間合いへと
近づいたなら、もう離れませんよっ!
鎧砕きの功夫を生かした打撃を叩き込み
投げを打って大地に体を叩き付けます

相手からの攻撃も野性の勘を生かした見切りで致命打を避け、
オーラ防御でダメージを堪えます

その鎧、まさに圧倒的な力
けれど、世界に生きる人々の想いは
それさえ打ち砕く鎧無視攻撃の一打となる

《トランクスクラッシュ》の
ヒップドロップで粉砕を狙いますね!



 有形無形を問うものでないにしても、愛とは如何なるものであるのか。
 その命題は心ありし生命であるからこそ持ち得るものであったことだろう。
 個と個とは決して解り合えることはない。
 全てを理解することはできず、決して理解しきれぬからこそ人は愛を祝ぐ。
「黙れ。我の執着は、妻の有用性を以て証明されている。それを、お前たちの言葉で定義されるまでもない」
『カルロス・グリード幻朧態』は、海水を纏う。
 吹き散らされた侵略新世界『グリードオーシャン・アルゴ』の海水をさらに引き寄せていく。
 この世界は海水で満たされている。
 あらゆるものを飲み込む死の海水。
 形成されるは無数の矢であった。間断なく放たれる矢は、ユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)に迫る。

 愛を執着と呼ぶのならば、『カルロス・グリード幻朧態』は正しく愛を手にしていたのだろう。
 けれど、それは執着という言葉で虚飾された。
 それを否定するつもりうはない。
「愛の形は其々であり、尊ばれるべきもの。ですが、私は戦士です。貴方の手で行われる侵略、止めてみせましょう」
 ユーフィは己が立つ島……かつて宇宙戦艦『アギア・ソフィア』と呼ばれた残骸に存在する『星を砕く者』と呼ばれた超長距離狙撃砲を起動させる。
 迫る海水の矢に解き放たれる膨大なる熱量。
 光条たる一撃が矢を蒸発させていく。
「もはや、何度も見た。そして、お前たちが何をするのかも」
「ええ、私が本命! 私自身こそが!」
 一気にユーフィは『カルロス・グリード幻朧態』へと踏み込む。

「距離を詰めればどうにかなると思っていたか」
「近づいたなら、もう離れませんよっ!」
 ユーフィは己の体躯、五体と積み重ねてきた功夫を信じる。
 打撃を打ち込み、掴みかかる。
 鎧をつかもうとした瞬間、握力からすり抜けるようにして海水が滲む。ずるりと組み付いた指が外れる。
 至近距離で放たれる海水の矢をユーフィはオーラで受け止める。
 距離がまた離される。
「その鎧、まさに圧倒的な力」
「そうだ。これこそが歴史そのものの力だ。貴様たちでは及びも付かぬほどの積み重ねの力だ。それを!」
 取り囲む海水の矢。

 けれど、ユーフィは頭を振る。
 確かに己一人の修練は歴史の重さと釣り合うことはないのかもしれない。
「世界に生きる人々の想いは、それさえ打ち砕く一打!」
 ユーフィはユーベルコードに輝く瞳と共に飛び立つ。
 迫る死の海水の矢を己が鍛え上げられたトランスクラッシュ(クラッシュ)で粉砕しながら、ヒップドロップが鉄槌のように『カルロス・グリード幻朧態』へと叩き込まれる。
 海上にて凄まじい衝撃波がすさび、そのユーベルコードの威力を物がある。
 闘気満たすユーフィの体は鋼鉄よりも強固。
 その一撃は、たとえ歴史そのものたる鎧であろうと砕く。
 それが。
「人の想いなのです――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ステラ・タタリクス
【ステルク】
途切れることの無い幻想劇は未来へと続く無限の物語
私たちもまたその一欠片ならば
ルクス様ー?生きてますかルクス様ー?

『アギア・ソフィア』……もしや惑星バブの神器?
失伝していたモノですか?
それを起動するとは
ノイン様の正体?由来?はいったい……

そろそろルクス様が酸欠死しそうなので戦います
『はじまりの』『セラフィム』――第一世代
この色は恐らく人の心が作用しない、純粋な兵器
ならば借り受けましょう!
セラフィムッ!!
プラズマブレードを利用して
【トニトゥルス・ルークス・グラディウス】いきます!

カルロス・グリード
その|感情《愛》は尊いものですが
貴方様を看過するわけにはいきません!

ルクス様後よろしく!


ルクス・アルブス
【ステルク】

ああ、またシリアスな空気が……。

ステラさんはまた難しいこと言ってますし、
練乳はもう残り少ないですし、わたしもここまでかもしれません。
(ハムスター的に練乳をぢうーっと)

そろそろ呼吸がヤバいですね。ステラさんの日常くらいヤバいです。

それにしても、セラフィムとか借りられるんですか?
でも、これだとわたし乗りこなせないですし……。

こっちのおっきな大砲の方借りちゃいましょう。
これに、わたしの演奏エネルギーをチャージしたら、
宇宙を癒やせる音波が流せそうですよね!

これなら指向性も強そうですし、狙ったところにお届けできそうです。

ここに【Canon】の演奏をチャージしまして。
せーので、どーん!



「途切れることのない幻想劇は未来へと続く無限の物語」
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)の淀みない言葉にルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は青ざめた。
 まーたシリアスである。
 この空気がルクスは苦手だった。
 常時ギャグ時空に住まう光の勇者ルクスにとってこの空気は致命的であった。
「ああ、またシリアスな空気が……」
 元より最初からシリアスである。
「私達もまたその一欠片ならば、ルクス様ー? 生きてますかルクス様ー?」
「練乳はもう残り好きないですし、わたしもここまでかもしれません」
 まるでハムスターである。
 小動物的な可愛さがあるルクスの頬。
 きっとぷにぷにであろう。片方を押したら練乳が口から、飛び出しそうである。そういう商品があったら売れるのではないだろうか。
 いつでもどこでも練乳勇者。
 そんな感じの商品展開。

「それにそろそろ呼吸がヤバいですね。ステラさんの日常くらいヤバいです」
 さらっとディスる。
 これが勇者クオリティ。
「しかし、『アギア・ソフィア』……もしや惑星『バブ』の神器? 失伝していたものですか? これは……」
 今まさに己たちが立つ大地、島となっているのは嘗ての宇宙戦艦『アギア・ソフィア』である。
 ハッチが次々と開き、長距離狙撃砲や白銀の鋼鉄の巨人『セラフィム』たちが現れている。
 未だ稼働できる状態で残っていることが異常事態であった。
「ステラさんの日常に比べたら平常運転ですよ」
 またもディス。
 それくらいステラの醸し出すシリアス時空がルクスを苦しめるのだ。
 演奏に対抗できる手段はもうこれしか遺されていないのか。ステラの鼓膜は瀬戸際に立たされているのかもしれないし、されていないのかもしんない。
「そろそろルクス様が酸欠死しそうなので戦いましょう」
「『セラフィム』とか借りちゃっていいんですかね? でも、これわたし乗りこなせないですし」
「こちらは私が借り受けましょう。『はじまりの』『セラフィム』――第一世代。この色は恐らく人の心が作用しない、純粋な兵器」
「あのー、わたしはー?」
「その砲をお願いいたします」
「これですか? うわ、これにわたしの演奏エネルギーをチャージしたら、宇宙を癒せる音波が流せそうですよね!」
 ルクスは長距離狙撃砲を見上げる。
 多分、宇宙を壊す音になりそうであるが、それは黙っておくことにしよう。

「早速、世界を癒しちゃいましょう! Canon(カノン)!!」
 バイオリンの演奏に呼応すうようにして『星を砕く者』が起動し、光条と共にルクスの演奏の音波を増幅させる。
 放たれる一撃に『カルロス・グリード幻朧態』は海水でもって己が身を鎧う。
 だが、鎧うのだとしても、そのすさまじい一撃は海水を引き剥がすのだ。
「でたらめを!」
「ええ、理解できます。ですが……『セラフィム』ッ!!」
 ステラは『セラフィム』を駆り、海水の鎧を引き剥がされた『カルロス・グリード幻朧態』へと迫る。

「我が距離に踏み込ませはせぬ!」
 死の海水より生成された無数の矢が『セラフィム』に放たれ、白銀装甲を砕いていく。
 腕部フレームが露出する。
 その内部から展開された柄のような装備をステラは握りしめる。
 形成されるはプラズマの刀身。
「ステラさーん! せーの、でいきますから、ねー!」
「え、なに、なんと?」
 キンキン耳が未だルクスの演奏でステラは聴力が落ちている。

 けれど、気配でわかる。
 ルクスがまたぶっぱするつもりなのだ。
 光条が走り抜け、『カルロス・グリード幻朧態』を覆う海水を吹き飛ばす。
「カルロス・グリード。その|感情《愛》は尊いものですが、貴方様を看過するわけにはいきません!」
 ステラは己の心臓たる天使核より流入するエネルギーを持って『セラフィム』のプラズマブレイドに雷光迸る刃を更に形成する。
 振り下ろした超大なる刃。
 それが愛を執着と呼ぶ男へと迫り、その膨大なエネルギーの奔流が『グリードオーシャン・アルゴ』を揺るがした――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

綾倉・吉野
(即UCで以下マステマさん)
先の吉野の頑張りに報いるという意図もありますが……

この「海に沈みしサクラミラージュ」にも「吉野」は居たかもしれない。
まあそもそも私に無断で吉野を創るなど赦されませんが、
それはそれとしてその「吉野」も当然私のものな訳です。

つまり事実がどうであれ「私から吉野を奪った可能性がある」それだけで、報いを与えるには十分でしょう?

行動は冷静に、常に動き続け、霊力弾の牽制攻撃で敵の足を止めさせないようにし、飛び道具は退魔刀での切り払いと結界術を組み合わせ凌ぐ。
そのようにして意識を私に向けさせ隙を作ったら、別行動させていたラウムの影に切り札の異界兵器『星を砕く者』を撃たせ仕留めますね



 生命が可能性を生み出すというのならば、可能性が満ちるのは世界である。
 ならば、とマステマは思う。
 眼の前に広がる『グリードオーシャン・アルゴ』――侵略新世界は『海に沈みしサクラミラージュ』。
「この世界にも『吉野』はいたかもしれない」
 マステマの手助け(ワタシガオアイテシマショウ)によって、綾倉・吉野(桜の精の學徒兵・f28002)はマステマが表出している。
 その瞳が見つめるのは大海。
 すでに多くの大地が海洋に飲み込まれている。
 平地はなく、いずれもが高地であった島。

 点在する島の一つは、陸地ですらない。
 かつての宇宙戦艦の残骸。
 その上にマステマは立つ。そして、ユーベルコードの明滅を見やるのだ。
 猟兵たちと『カルロス・グリード幻朧態』との激しい攻防。
 海水が蒸発し、矢が降り注ぎ、巨人が立ち上がる。
「まあそもそも私に無断で吉野を創るなど許されませんが、それはそれとして、その『吉野』もまた当然私のものであったはずのもの」 
 なら、とマステマの瞳が輝く。
 事実がどうであれ関係ない。
「私から吉野を奪った可能性がある」
 その可能性を見せた『カルロス・グリード』をマステマが許すいわれなどなかった。
 報いを与えるには十分な理由である。
 故に彼女は飛び出す。

 降り注ぐ死の海水で生み出された矢。
 間断なく射掛けられる。
「可能性は生命より発せられる。当然、貴様たちが我に及ばず海中に没した可能性もまた当然あるのだ」
「だからなんだと言うのです」
 マステマは冷静だった。
 冷静でなくてはならない。
 ここで激情に駆られても、『カルロス・グリード幻朧態』は討てない。
 ならばこそ、彼女は迫りくる死の海水の矢を退魔刀でもって切り払いながら霊力弾で牽制する。
 己の目的はただ一つ。
『カルロス・グリード幻朧態』を足止めすることだ。

「貴様自身が求めるものを守りきれなかった、という可能性に置き換えることはできないか? 貴様は己が奪われたというが、それは貴様の力不足に寄る結果である、その可能性を」
 万能ではない。
 どれだけ強大な力を持つのだとしても、全てが思い通りにできるものではない。
 故に歴史そのものたる存在さえも猟兵は打倒していく。
 裏を返せば、己達が常に守りきれるものではないということも、また真である。
「ずいぶんと饒舌ではないですか」
 マステマは己の影から伸びる『ラウム』によって宇宙戦艦の残骸たる島にて遺された長距離狙撃砲を起動する。
『星を砕く者』。
 その光条の一撃は、己に注意を引き付け続けた『カルロス・グリード幻朧態』を飲み込む。
「そのような可能性は全て摘み取るのです」
 そのために己はいるのだと、マステマは己が憑依した吉野の体をかき抱くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マリン・フィニス
(創造の力があるのに、痕跡でもいいのでわざわざ生死も所在も判らぬ相手を探しに行く…)
…これ、語るに落ちるというものじゃ…?(思わず声が)

(咳払い)

貴様を行かせる訳にはいかない、此処で終わりにする…王笏!

サメットに騎乗し、盾代わりにバブルを出しながら機動力での撹乱を狙おう。正直この兵器は私や鮫達には荷が重いな
……故にこうする!UCで主に奴に破壊されてしまった分の異界兵器を素材にして、大蟹達を召喚するぞ!
「元の素材と同じ属性の戦闘力」を持ち、疑似生命なので奴の矢にもある程度耐えると判断する。
後は大蟹達との挟撃を狙い、蟹達は元と同じ射撃攻撃を、こちらは攻撃を回避しながら突撃し、長剣での一撃を狙うぞ!



 侵略新世界『グリードオーシャン・アルゴ』。
 それはグリードオーシャンのオブリビオン・フォーミュラ『カルロス・グリード』の目的が達せられた世界である。
 いや、その可能性が結実した世界であると言えるだろう。
 あらゆるものを海水で満たさした世界。
 そして、この世界で何をするかなど判りきっている。
 嘗てのように侵略形態へと姿を変え、他世界に遺されたであろう彼の妻の肉片一つを見つけ出すためである。
「妻はしぶとき女。ならば、その可能性は極めて高い。有用なるあの女を求める執着は、ある意味当然であり必然だ」
 その言葉にマリン・フィニス(蒼海の騎士・f26997)は蒼海の鎧に包まれた中で訝しむ。

「……これ、語るに落ちるというものじゃ……?」
 思わず声がでてしまった。
 愛は執着ではない。執着は愛ではない。
 そう語る『カルロス・グリード幻朧態』の言葉は、マリンからすれば愛そのものだった。執着だ有用性だとうそぶいても、結局のところ、愛しき妻を探し求めているだけに過ぎないと思えた。
 そのために世界すら滅ぼそうとする愛は、罪深きことなのだろうか。
 そう思うほどであったが、マリンは思わず出た言葉に咳払いをしてごまかした。

「どうあれ貴様を行かせるわけにはいかない、此処で終わりにする……『王笏』!」
 マリンは『サメット』を駆り、大海となった世界を疾駆する。
「終わりになどなるまいよ。我は、新たなる世界を得たのだ。この世界で!」
「他世界を侵略するか。それを私が許すと思うか!」
 バブルで迫りくる矢を防ぐ。 
 だが、死の海水によって生成された矢は盾としたバブルをたやすく割り、鎧に激突してはマリンの勢いを殺すのだ。
「撹乱など無意味。この矢は世界に満ちた海水でもって生み出される。貴様のいる戦場は、我の領域!」
「確かにな……今の私に、できることは多くはない」
 降り注ぐ矢によって嘗ては宇宙戦艦であった残骸が砕けていく。

 マリンは異世界の兵器を手繰る余裕はなかった。元より、うまく扱える気がしなかったのだ。
 けれど、彼女は彼女なりのやり方でこれを有効活用する算段がついていたのだ。
「……故にこうする! メガリスの力を以て……来たれ、万物を侵食する大蟹の群れ達よ」
 煌めく兜の奥の瞳。
 ユーベルコード。
 それは、周囲の無機物……宇宙戦艦の残骸を元にして生み出される大カニ型疑似生物の群れであった。
「インヴェイジョン・キャンサー! 征け!!」
 その言葉、号令と共に大カニ型疑似生物たちが一斉に『カルロス・グリード幻朧体』へと迫る。

「数で我を圧しようというのか」
「ああ、無機物故に疑似生物とはいえ、その矢は通じない。お前は個としての強大な力を振るうのだろう。だが、私は違う。私は戦術を持ってお前を圧倒する!」
 大カニ型疑似生物たちと共にマリンは『サメット』の加速を得て『カルロス・グリード幻朧態』へ飛び込む。
 矢を躱し、振るう長剣。
 その斬撃はこれまで猟兵たちのユーベルコードによって傷つけられた鎧の隙間を縫うようにして放たれ、『カルロス・グリード幻朧態』そのものを斬り裂くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

またお着替えしてるー
ただ尋ね人をしたいだけならもっと手段を選んでほしいなー!
そうしたらこっちだって…いやー結局出会ったら出会ったでカップルで悪さしそーだしダメかー
んもーみんなもっと静かに厳かに迷惑をかけずに愛し合って!
でも―――それも愛か…!
愛って罪深いね

●切り裂き
角度よし!パワーよし!ねらいよーし!ドーーーーンッ!!
となんちゃらウルトラスーパービッグスターキャノンで海も飛来してくる『死の海水』の矢も【第六感】任せの狙いで切り裂いて彼に近づいて
UC『神撃』でドーーンッ!!

迷惑のかからない範囲ならその罪深い愛にもいつか慰めがあるよう祈ってあげるよ!
ボクは神さまだからね!



 振るわれた斬撃が『カルロス・グリード幻朧態』の鎧に刻まれた傷跡を縫うようにして走り、その身より血潮を噴出させる。
 如何に強大な力を得ても猟兵たちは立ち向かうことをやめない。ためらわない。
 世界一つ生み出す力。
 それを得てなお、猟兵が迫ることに『カルロス・グリード幻朧態』は歯がゆさを感じただろう。
 どうあっても己の目的を阻む。
 世界を水没させ、あらたなるグリードオーシャンを生み出す。
 その目的が向かう先は、彼の妻の肉片一つを求める旅路。
「それを邪魔立てするのなら!」
 膨れ上がる力と共に放たれる無数の矢。

 死の海水によって生成された矢は間断なき雨のように猟兵たちに迫る。
 そのさなかをロニは海上を疾駆しながら進む。
 第六感だより。
 少しでもずれれば致命傷になりかねない。
 けれど、彼は笑う。
「またお着替えしてるー」
『カルロス・グリード』は偉大なるグリードオーシャンのオブリビオン・フォーミュラである。
 彼の力は恐るべきものであった。
 多くの力を略奪し、振るう。

 そんな彼が執着するものを知るからこそロニは困った顔をするのだ。
「ただ尋ね人をしたいだけなら、もっと手段を選んでほしいなー。そうしたらこっちだって……いやー結局出会ったら出会ったでカップルで悪さしそうだしダメかー」
「妻の有用性を知りながら、それでも求めることを諌めるか。王たる我に苦言を呈する度胸だけは褒めてやろう。だが」
「ほらー、そうなる! みんなもっと静かに厳かに迷惑をかけずに愛し合って! でも――それも愛か……!」
 ロニはひとしきり一人で大騒ぎしながら矢を躱す。
 迫りくる矢は苛烈であった。。

 まるで己に近づくなと言われているようであった。
「愛って罪深いね」
 愛ゆえに争う。
 愛ゆえに憎しみ合う。
 愛ゆえに喪う。
 多くの要因、原因、そうしたものが愛だというのならば、なんと悲しいことだろうか。
 だから、とロニは己が拳にユーベルコードの輝きを宿すのだ。

「迷惑のかからない範囲なら、その罪深い愛にもいつか慰めがあるように祈ってあげるよ!」
 だって、ボクは神様だからね、とロニは笑って神撃(ゴッドブロー)の一撃を叩き込む。
 海水ばかりの世界に水柱が盛大に立ち上る。
 その衝撃波凄まじく、あらゆる罪を洗い流すようであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
『幻朧帝イティハーサ』の力を持ってしても
世界一つを手に入れても、見つからないもの
その一欠片があなたのしるべなのね

白銀の鋼鉄巨人に乗り込むわ
過去の遺物たる機体が今ここで目覚めたことにも意味があるのでしょう
力を貸して『はじまりの』『セラフィム』
どんな理由があっても
他世界への侵略を許す事はできないから

海水拳の間合いを避け、触れぬように掻い潜り
防ぎきれない場合は結界術で弾く
飛翔する巨体を追うように光の矢を発射し
鎧を穿てたなら、機体の搭載武装による攻撃を叩き込むわ



 それは、しるべ(シルベ)なのだ。
 きっと誰もが持ち得るもの。
 生きる上で必要なものであるし、進むべき道を照らしてくれる灯火であり、また同時に到達しなければならない場所でもあった。
 そうしたものを彼は持っている。
『カルロス・グリード幻朧態』。
 その身に纏うのは『幻朧帝イティハーサ』。
 生み出すのは侵略新世界『グリードオーシャン・アルゴ』。
 唯一人が保つ力としては破格に過ぎる。

 だが、それでも彼は彼が求めるところの標へと到達できていない。
「『幻朧帝イティハーサ』の力をもってしても、世界一つを手に入れても、見つからないのもの。その一欠片があなたのしるべなのね」
 薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は、大海を纏う巨人へと姿を変貌させ、睥睨する。
「知ったような口を聞く」
「誰もがそれを求めている。自分だけのしるべを」
 故に、と静漓は白銀の装甲を持つ鋼鉄の巨人へと乗り込む。
 過去の遺物。
 己が今立っている島――宇宙戦艦『アギア・ソフィア』の残骸に遺されたもの。
 それが今この時に目覚めたことにもまた意味があるのだろう。

 これもまた己のしるべだ。
「力を貸して『はじまりの』『セラフィム』」
「阻むというのならば!」
 激情が迸る。
 対する静漓は冷静だった。青い瞳が見開かれる。そこに宿るのはユーベルコードの輝き。
 そして、悪魔の加護。
 騎乗した白銀の巨人と共に静漓は、飛ぶ。

 鉄槌のように振り下ろされた大海の巨人の拳を紙一重で躱す。
 触れられては、その時点で静漓の敗北が決定される。故に、彼女は速度で持って『カルロス・グリード幻朧態』を圧倒する。
 もっと。
「もっと」
 疾く。
「疾く」
 それだけを考えた。
 アイセンサーが煌き、『セラフィム』が駆動する。
 出力は己がこれまで騎乗してきた『セラフィム』よりも弱い。けれど、静漓はまず信じることにしたのだ。
 この『セラフィム』が己の前に姿を現したのにも意味があるというのならば、世界を尋常ならざる速度でもって飛翔する『カルロス・グリード幻朧態』を追う静漓は、それに答えなければならない。
 もっと疾く。
 もっと、もっと、と己の求めるものは際限なく膨れ上がっていく。
 生命を削る。

 構わない。
 己が求めるものを、もう自分は知っているのだ。
 これまで出会ったものが、これまで知ったものが、全て己を形成している。
「追いついてみせるわ」
「この我に追いつけるものか!」
 いいや、と『カルロス・グリード幻朧態』は気がつく。
 彼女は己を見ていない。
 彼女が見ているのは、己より疾いもの。
 光そのもの。『閃光』の輝きを追う静漓は、『セラフィム』の腕部が展開して生み出されたアーチャーユニットに光の矢を番える。

「穿つわ、『迅雷』よりも疾く『幻影』の如き可能性にすら惑わされぬ、一射を。この『轟響』する風切り音と共に」
 放たれた光の矢が大気を打ち破りながら『カルロス・グリード幻朧態』の鎧を打ち砕く。「鎧が、砕かれる……! だが!」
「いいえ、私はもう『追いついた』」
 静漓は『セラフィム』から引き抜いたプラズマブレイドの一閃を『カルロス・グリード』へと叩き込む。
 その一撃は、有り得た可能性の世界を生み出した元凶を討ち滅ぼすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年09月29日


挿絵イラスト