【サポート優先】聖なる哉聖なる哉聖なる哉
●嗚呼、聖なる哉
彼女が誰より何より敬虔に『神』を信奉していたのは遥かその生前からのこと、幼少のみぎりからのこと。敬愛、傾倒、妄信、狂信、果たして何の言葉が最も相応しかろう。神の教えとしての聖典を心の底より崇め奉り、幼い身空で一字一句を諳んじて、神童と呼ばれた時分も確かにあった。そうしてその聖典に遵って常の己の行いから戒めて慎んで、他者へと向ける短い言葉のひとつにすらも徳を積むうち、その行いの清さ正しさはやがて聖女の呼び名を欲しいがままにした。
しかし何の運命の悪戯か、確かに聖女と呼ばれた筈の女が、気付けば澱んだ|過去《オブリビオン》として、闇の種族としてこの暗夜を彷徨っている。『神』が何かも覚えずに、ただその『神』を崇め奉り、その御許へと命を送る。
無理もないこと。彼女は真理へと至ったのだ。即ち、こんな暗夜に生きることこそが憐れとしか言いようがないのだから、故にこの|世《夜》から|消し去る《・・・・》ことこそが慈悲である。
何の救いもない下層に生まれて貧しさの中で死後に夢を見て生きて死に、この上層に至れども魂人として今も尚彷徨う哀れなモノたちをこそ、慈悲ゆえに消滅させてやるべきなのだ。
その信念の元に慈悲の光にて魂人らを焼き払い続けたこの存在——それが人呼んで『慈悲亡き聖母』。
その真実の慈悲の深さを果たして誰が知るべきか。物言わぬ死者、畏れ多くも救いを賜りしものたちはもはや言葉を持たぬが故に、残されたものらが勝手に『慈悲亡き』だなどと外野から喚き立てているこの皮肉。しかし当の本人が気にすることは終ぞない。取るに足らない呼び名など、気に入らぬならそれを口にする輩ごと消し去ることこそ手っ取り早い。
そうは言っても諸行無常と盛者必衰、この二つこそがこの暗夜の世の理か。「聖母」本人が討たれたあれは、たしか、厭に明るい半月の夜のことである。
相手は「異端の神々」と呼ばれる神の一柱、この暗夜に於ける絶対の上位者とでも言うべき存在。狂っていた。狂い果てていた。狂える過去は聖女の躰を乗っ取って、目につくものを端から殺して回り、それは今尚止まらない。
もはや己の指の一本すらも随意には動かせず、それでも聖女の意識はなお消えぬ。だがしかし、かつて憐れな者らの慈悲を、救済を、ひたすらに希った彼女の意志は異端の神のその凶行を、ただ、手放しに良しとした。
主、憐れめよ。道を違えた者どもを、呪われしその子どもらを。
彼ら彼女ら、この今誰の正義と喰らい合おうとも、それは各々の信念が招いた悲劇に他ならず、誰の正義も噛み合わず――
●憐れみ給え
「疾く赴け。『闇の貴族』と『異端の神』と、一挙に殺す好機である」
仮面の下にて爛々と赤い瞳を煌めかせ、ルキフェル・ドレンテは告げた。
「通常ならばこの局面、貴様らは闇の貴族の意思の残滓に訴えかけて、異端の神を鈍らせ殺す足掛かりとするべきところではある、あるのだが――」
思案する様に口元へ指先を遣って、僅かの後に告げて曰く。
「どうやら此度は両者の利害がやけに一致を遂しているらしい。故に説得の類は無意味、よって貴様らが為すべきはただ力尽くで忌まわしき過去へ引導を渡すのみ」
それは思案の果ての結論。であればこそ、須く誰もが従うべしと言わんばかりに、グリモアを展開しながら悪霊は傲然と告げて来た。
「嗚呼、言い忘れた。現場は怪しげな光につつまれて非生物すら狂わせる、さしずめ美しい地獄とでも呼ぶべき有様と化しており――貴様らも精神を損なう前に何か手を――」
果たしてどこまで伝えるつもりがあったやら。半ばからもその先も、蒼き極光に飲まれ掻き消されてしまっては敵にも味方にも聴こえず終い。
「……武運を――」
空耳めいた彼方の声だ。悪霊如きに祈られようが祈られまいが、猟兵たちが為すべきことは何も変わらぬ。今、暗夜の世へと降り立つ彼らは、毅然と己の得物を構え、目の前の眩く麗しき地獄へと凛と一歩を踏み出した。
lulu
luluです。ごきげんよう。
サポート優先シナリオです。
通常プレイングは頂けばきっと喜びます。
流れた場合はおそらくタイミングが理由ですので、お気持ちにおかわりが無ければ再送をお願い申し上げます。
なお、サポート=成功ありきでございますので判定はおそらくいつも以上に甘めにて。
何卒宜しくお願いいたします。
第1章 冒険
『美しき地獄』
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POW : 異常や変調が起きても頑張って耐えながら進む
SPD : 光を浴びすぎないように超スピードで駆け抜ける
WIZ : 光を遮ったりかわしたりする工夫をしながら進む
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●聖なる哉聖なる哉
この世が、この夜が地獄なら、天国はきっと反対にさぞかし光に満ちるのだろう。例えば今のこの場の様に。
猟兵達がグリモアに飛ばされて来たこの地、全てが黒一色に塗り潰されて、地形も何もまるで解らぬ。だが、訪れたことがある者ならば、此処が影の城と呼ばれる場所に酷似していると知るだろう。常のそれらと異なる点はただ一つ。己が本当に地を踏んでいるのか否かも不安になる程のこの漆黒、その黒さがそうと解るのは、降り注ぐ極光によるものだ。
心地良い光だ。暖かく、そして優しい。
この場で眠りに就いたなら、二度と目覚めずとも本望か。そうして穏やかな眠りの淵より醒めぬなら、自他の悲劇も如何な使命も最早関係のないことだ。嗚呼、そうだ、眠ろう、せめてほんの束の間。瞼を落として、四半時だけでも、叶わぬならばたとえ数分のみであれ。この光こそ癒しであり、救いであり、この中に身を置くことこそが生ある者への至福――。
――聖なる哉、聖なる哉、聖なる哉。
高く低く、謡う様にして彼方から繰り返す女の声がある。狂えるオブリビオンの叫びは| 鎮静的《ダウナー》な狂気へと酷く拍車を掛けて来る。
正気を手放すことこそが救いと思える異常事態。その恐ろしさを理解が出来ている内に、猟兵たちは一刻も早くこの悍ましく美しい光の渦を抜けねばならぬ。
筒石・トオル(サポート)
「邪魔をしないでくれるかな」
「油断大敵ってね」
「ここは任せて」
正面切って戦うよりも、敵の動きを封じたり、属性防御を固めて盾や囮となったり、味方が倒し切れなかった敵にトドメを刺して確実に倒すなど、味方の安全性を高めるように動く。
ユーベルコード使用はお任せ。
使用しない場合は、熱線銃での援護射撃を主に行う。
人見知りではあるが人嫌いではないし、味方が傷付くのは凄く嫌。
戦うのも本当は好きではないが、誰かを守る為には戦う。
もふもふに弱い。敵がもふもふだと気が緩みがちになるが、仕事はきちんと行う……ホントだよ?
●のらりくらりと狂気を躱し
「成る程、油断大敵だね」
妖しげな光に照らされた影の城、一歩踏み込んで筒石・トオル(多重人格者のマジックナイト・f04677)は肝に銘じた。足を踏み入れた、ただそれだけで、|この場で眠りに就きたい《・・・・・・・・・・・》と言う狂った衝動が湧き上がる。己の眠り耐性に感謝しながら、トオルは意を決して歩みを進めた。
何処か遠くから叫び続ける女の声が、一層狂気と衝動を焚き付ける。一抹の不安。自ら油断大敵と口にした以上、念には念を入れるべきか。
「お守り代わりに、こんなところか」
取り出したのはあやかしメダル「ぬらりひょん」、滑稽な姿の妖怪の描かれたそれをトオルは自身に貼り付けた。かの妖の力を借りてのらりくらりと惑わす異能、彼方の敵から己の存在を気付かれ難く気配を消して、更に入念に抜き足差し足。
彼方の声が収まる気配はないが、構うまい。大事なことは二つある。あれが己を指向した叫びでないと知れたことがまず一つ。もう一つ、そもそもこれはお守り代わり、直接的な効果を求めたものでないと言うことだ。ないのだが、正気と狂気の境など所詮紙一重、その瀬戸際で狂気に抗う為には気休めだろうと心を強く持つことこそが肝要だ。即ち、ご利益は既に受けているに等しい。
「よし、大丈夫」
自分に言い聞かせる様に、独り言つ。用心深く熱線銃の銃把へと手をかけながら、自然と歩みが早まった。
「……早く行かなきゃ」
そうして役目を果たさなくては。
誰かの役に立たない限り、自分の居場所など存在しない。
もう長く染みついて離れない使命感だか強迫観念だかに今も背中を押され、トオルは光の中で先を急いだ。
成功
🔵🔵🔴
ルドルフ・ヴァルザック(サポート)
「フゥーハハハ!(こ、この場は笑ってごまかすしか……)」
◆口調
・一人称は我輩、二人称はキサマ
・傲岸不遜にして大言壮語
◆性質・特技
・楽天家で虚栄心が強く、旗色次第で敵前逃亡も辞さない臆病な性格
・報復が怖いので他人を貶める発言は決してしない
◆行動傾向
・己の威信を世に広めるべく、無根拠の自信を頼りに戦地を渡り歩く無責任騎士(混沌/悪)
・何をやらせてもダメなヘタレ冒険者だが、類まれな「幸運」に恵まれている。矢が自ら彼を避け、剣先が届く前に毀れ、災難は紆余曲折で免れる
・臆病な性質も見方次第では生存本能と言えなくも……ないよね?
・コミックリリーフ役にお困りならば、彼が引き受けます(但し公序良俗の範囲内で)
●虚勢であろうと強き心で
「フゥーハハハ!確かに絶景と呼ぶに相応しい光景ではあるが、如何なる誘惑も我輩の足を止めるには及ばない」
ルドルフ・ヴァルザック(自称・竜を屠る者・f35115)は眼前を満たす光を一瞥し、腰に手を当てて高く笑った。
完全な虚勢であった。本当は膝が笑っている。得体の知れない光に彼方からの謎の声、薄気味悪いこの黒塗りの地べたにですら横になり今すぐ眠ってしまいたくなるこの衝動、何もかも訳が分からず恐ろしい。本音を言うなら今すぐに踵を返して走り去りたい、だが一介の猟兵としてそれが叶わぬが故に何とか辛うじてこの場に踏み止まっている。
まるで抵抗するようにぎしぎしと己の脚の関節が軋む心地を噛みしめながら、光の中へと一歩踏み出す。何だ、この心地よい光は? これは木漏れ日か? 日向ぼっこか? であれば今すぐお昼寝を決め込むことこそ絶対と思われながらも、臆病な心はそれを許さぬ。そうして、それこそ正解だ。注ぐ光が、響く声が齎す誘惑に抗いながら、ルドルフは僅かばかり足を速めた。
「まこと恐ろしい罠ではあるが、我輩の鋼の心を折るには至るまい——!」
折られぬように逃げ回っている、とでも称すのが正しいか。言葉を選ばぬならば臆病、だがしかし良く言うならばそれこそは生存本能が冴えているのだ。命があって五体満足、心が折れていないなら、きっと何処にでも行けるであろう。
そうして己の威信を広めるべく、何処までも征くべきだ。
「ハーハハハ!魔性の光、何するものぞ!ルドルフ・ヴァルザック、ここにあり!!」
ルドルフが意図しようがすまいが、幸いなる哉、張り上げたその声は彼方の叫びを掻き消して居た。故に狂気に干渉されず、ルドルフはただ歩みを進める。
成功
🔵🔵🔴
不破・静武(サポート)
年齢イコール彼女イナイ歴なので基本的な行動原理は「リア充爆発しろ」です。オブリビオンは彼の中では全員リア充です。リア充に見えそうにない相手に対しても無理やり理屈をつけてリア充と決めつけます。
一般人がいる場合、恋人や配偶者がいないなら同士と決めつけて喜んで協力し、いる場合は敵とみなしますが一応事態を前進させる意思はあるので嫌々ながら爆破は我慢して助力はします。
元ヒキコモリで堕落しているので猟兵として身体能力上がってるにも関わらず(リア充を爆発させる事を除いて)体を動かす事は非常に嫌がりますが一応事態を前進させる意思はあるので嫌々ながら動きます。
●言いがかりか濡れ衣か
不破・静武(人間の非モテの味方・f37639)は非モテである。非モテの味方を名乗ることであたかも自身はそうではないかの様なスタンスを主張している気がしないでもないが、彼の姿を一目見るなら、加えて挨拶程度にであれ何かの言葉を交わしたならば、アレでナニな感じのその性格がひしひしとよく伝わるに違いない。さすれば彼が非モテであることは火を見るよりも明らかと、赤べこの様に頷く他にないだろう。
そうしてあまりに明らかな非モテの完全体であるが故、静武の性根は歪み果てていた。
「聖母と言うからには誰かの母!つまり配偶者がいる筈できっとリア充に違いない!即ち悪だ!」
己の手の届かぬ存在たるリア充を一方的に悪と決め込み、気に入らないものの全てを滅茶苦茶な言いがかりでも何でも無理矢理|リア充《悪》と見做して、情け容赦なくヘイトを向ける。気に入らないもの=オブリビオンであることに加えて、ヘイトが原動力となり、なまじきっちりと仕事はこなすので、誰も静武を咎められないところがまた一層にタチが悪いか。
さて、しかし、配偶者の有無はいざ知らず、清らかだから聖母なのでは、と自ら思い至った静武は頭を振って己の思考を、批判の矛先を切り替える。
「ボス戦前の道中ですらこんな眩い演出なんて派手好きめ。キラキラ女子気取りか?あの手の女は大体見栄っ張りでマウント大好きな性悪女と相場が決まっている」
理不尽な濡れ衣と憎しみを垂れ流しながら歩む静武は酷く頭が冴えていて、妖しい光の催眠効果はまるで脅威にもならぬらしい。加えて彼方の声が齎す狂気も効かぬのは、彼の思考が或る意味既になかなかに狂気じみている為か。
「待ってろよ悪の権化のリア充め、全力で爆破してやる!」
謎の義憤で戦意高揚。如何な精神干渉もものともせずに静武は光の中を往く。
成功
🔵🔵🔴
キメリア・モルテスティア(サポート)
キメリアよ。
魔鋼の悪魔で危険地帯の旅人をやってるよ。
武器はこの拳で格闘技や魔法拳での戦いを主にしているよ。
戦闘時は仲間のみんなを守りながら戦うつもりよ。
多少は傷くような行動をしてでも、味方を守って反撃したり、隙あらば攻めていくつもりね。
体がすごく頑丈なのは私の強みだと思っているから、むしろそれを活かせるよう攻撃を食らってからの反撃する展開もほしいかしら。
後、なるべく乗り物には乗らず生身で戦いたいね。
必要に応じてユーベルコードは何でも使って行くよ。
でも、充分に徒手空拳での戦いを行ってからUCを使用する傾向に有るかしら。
あとはおまかせ。よろしくね。
●鋼の肉体に鋼の精神を
魔鋼の悪魔の名を冠するキメリア・モルテスティア(危険地帯のシルバートラベラー・f44531)にとって物理の脅威は脅威たり得ぬ。たとえ頭上から矢の雨が降ろうとも真正面から槍衾が襲おうとも、その身体に傷ひとつ入ることはない。一見、小柄で華奢でおよそ戦いの場に相応しからぬ装いの美少女の見目をしていようとも、それは頑強であるからこその無防備さ。透き通る様なそのあどけなさはまさしく魔鋼で出来ている。
では、精神への攻撃は如何か。
「危険地帯ではこう言うトラップに出遭うことも珍しくはないけど——」
物理よりかは得意ではない、と言うのが正直なところか。血の滲む様な鍛錬によって磨き上げた鋼の肉体に比べれば、精神は些か見劣りをするやもしれぬ。とは言え、悠久とも言うべき長き時を生きた悪魔の精神は人の子らのそれに比べれば数段強靭な気がせぬでもないのだが。
「早いところ抜けてしまうのが良いわね」
狂え狂えと言わんばかりに響く彼方からの女の声に、金属めいた羊の様な角の下で耳を塞いで、妖しげな光の中をキメリアは走り出す。健脚に任せて黒い地面を蹴って、駆けて、残光めいて銀のポニーテールが揺れて、煌めいた。何も特別な策を講じずとも、彼女の身体能力と精神力を持ってするならば、この程度のトラップ程度は子供だましか朝飯前か。
どれだけ駆けたか、息が上がるより先に|目的地《ゴール》だ。光の渦が途切れた先に真っ黒な門扉が聳える。
聖なる哉、聖なる哉。
問わずとも知れている。この先に『慈悲なき聖母』が待つのだと。
成功
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第2章 ボス戦
『慈悲亡き聖母』
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POW : 『神は天に在りて』
状態異常や行動制限を受けると自動的に【身に纏う極光の加護】が発動し、その効果を反射する。
SPD : 『世は総て事もなし』
【信仰に身を委ね、影を操る怪物】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
WIZ : 『光あれ』
【万物を灼く光】を降らせる事で、戦場全体が【天地創造の地獄】と同じ環境に変化する。[天地創造の地獄]に適応した者の行動成功率が上昇する。
イラスト:100
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ゾーヤ・ヴィルコラカ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●聖なる哉
憐れみ給えなどとは言わぬ。いかに神が慈悲深かろうとも、人の子ら、魂人などに形を変えてこんな憂き世を彷徨う限り慈悲など何になるであろうか。神の御許へ送ること、全てを無に帰すことこそが真の救いに他ならぬ。
『慈悲亡き聖母』が左様な信念の下に光で全てを焼き払い続けて来たのは今は昔。
異端の神の一柱に憑依された彼女は今や狂い果て、ただ、全てを焼き払うのみ。
そう、変わらない。何一つとして変わらない。狂って居ようと、居まいとも、彼女のすることは変わらない。
聖なる哉、聖なる哉。
狂った様に繰り返す言葉がもはや祈りであるか鳴き声であるのかすらも解らない。
故に猟兵たちはただ彼女を討ち滅ぼすだけだ。
冷泉院・卯月(サポート)
勿論お仕事は大事ですけどぉ、折角なら珍しい物や新しい物も見つけたいですよねぇ~。
あ、ご一緒される方がいらっしゃればぁ、一緒に頑張りましょうねぇ~。
あまり戦闘は得意ではないですけどぉ、ぶちくんとたれちゃんの力も借りてぇ、頑張っちゃいますよぉ~。
遠距離なら二人に短杖になってもらって魔法弾を撃ったりぃ、
接近戦なら二人で力を合わせて杵になってもらって頑張っちゃいますぅ~。
パラドクスは状況に応じて臨機応変に使いましょうかぁ~。
戦闘以外なら運転なんかも得意なのでぇ、何処へでもお届けしちゃいますよぉ~。
道中も楽しいことが見つかるといいですよねぇ~。
●兎三羽、神を噛む
「あまり戦闘は得意ではないですけどぉ、そうも言ってられませんよねぇ」
狂気を招く叫びを放ち続ける『慈悲亡き聖母』、或いは異端の神を目の前に、冷泉院・卯月(壱七八あーる・f40880)は覚悟を決めた様に頷く。傍らで二羽の愛兎たち、『ぶちくん』と『たれちゃん』は頷きを返すが早いか光を纏いつ地を蹴って、一瞬の後には二振りの魔法の杖として卯月の手の中に収まっている。
先手を取るのは酷く得意だ。二振りの杖より放つ魔法弾は牽制と呼ぶには苛烈に聖母に注ぐ。聖母が魔力でそれらを掃わんと応戦をする傍らで、挿翅虎に乗った卯月は手綱を取っていた。雷が如き金色の翼が空を切り、接敵するのに瞬き程の時も要さぬ。既に杵へと姿を変えていた二羽が、二振りが、聖母の胴へと重い連撃を見舞うのを、魔弾に魔力を向けていた聖母は咄嗟に防げない。
苦悶混じりの反撃は狂気を齎す極光か。神の加護は、しかし物理の暴力を跳ね返してはくれぬらしい。焦れた様に光輝を増した光が卯月の身を焦がさんとする前に、爆ぜる様に燃え上がる地獄の炎が渦を巻き、慈悲亡き聖母を呑み込んだ。
「焼き尽くすなら、光より炎の方が強いんですよぉ」
かつてデウスエクスに食いちぎられて地獄化した卯月の尻尾、丸く愛らしかったそれが今や大蛇の如き炎の渦を成す皮肉。熱風に長い耳を揺らしながら炎を眺める卯月の足元に、兎の姿に戻った『ぶちくん』と『たれちゃん』が身を寄せた。
「大丈夫ですよぉ。デウスエクスだろうと異端の神だろうと、悪が栄えたためし無し、ですぅ」
狂った聖母の悲鳴を掻き消し、地獄の炎は暗夜を焦がす。
成功
🔵🔵🔴
雫石・凛香(サポート)
アドリブ・MSの解釈による下記に沿わない動きも歓迎
貴方の書く雫石凛香が見たいです
オブリビオンへの恐怖で眠れなくなった姉のために戦う妹キャラ
性格はクール枠。冷静に物事を見て、必要そうな行動をとれます
敵への態度は苛烈。相手に事情があろうと容赦なし
子供故の短絡さもあり、口が上手い相手だと挑発に乗せられるかも…
魔剣【鞘】という凛香の意思に従い姿を変える剣での形状変化による攻め手の多さとスピードで勝負するタイプ
逆に相手の攻撃を剣で受ける行為はパワー不足でほぼ不可能
UCは基本的に妖剣解放のみ
高い機動力で相手をかく乱し、衝撃波でヒット&アウェイが基本戦法
動きを封じることで先の展開が有利になれば剣戟結界も使用
●彼女の眠りを取り戻す為
嗚呼、討ち滅ぼすべき敵だ。炎の中で叫び続ける『慈悲亡き聖母』の姿を赤き双眸へと映し、雫石・凛香(鞘の少女・f02364)はただその使命感を噛み締めた。
吸血鬼も、闇の種族も、異端の神々も、この暗夜の世に生きる命を脅かす忌まわしき過去どもは、須らく骸の海へと返すべきである。彼女の愛する双子の姉がまたいつか怯えることなく眠れる夜を取り戻す為、凛香はその細腕に魔剣を携え夜を渡り、過去を狩る。
「聖なる哉、聖なる哉、聖なる哉……!」
「正気も、同情の余地も無さそうで助かるよ」
ただ只管に繰り返す聖母はもはや言葉を交わす余地もない。あったとて、凛香の為すことは何も変わらぬ。鞘を払った魔剣は今宵は倭刀の形を成した。
同時、妖剣解放。妖刀の怨念を刀身に纏い一閃二閃、およそ切っ先の届かぬ彼方の聖母の身へと、見えぬ刃が傷を刻んだ。この便利な攻め手と、機動力と引き換えに寿命を削る異能である。牽制しながら間合いに入っての致命打こそが本命、故にすぐさま地を蹴った凛香はしかし、ふと違和感に踏み止まる。
「聖なる哉——」
祈りか呪詛か最早解らぬ、譫言めいた言葉の刹那、聖母の形が化け物めいて歪んだ。その足元に伸びた影が躍る。音もなく襲い来た影は、あのまま迂闊に飛び込めば凛香の喉元を喰い割いて居たに違いない。
「悪いけど、こんなところで手間取る訳には行かないんだ——」
まともにやり合えば力負けは必至、故に躱すに徹しつ、なかなか接近を許してくれぬ聖母へと斬撃による衝撃波を重ねる。蓄積したダメージ故にか、僅かに影が揺らいだ刹那、その傍らを抜けて一息に聖母へと間合いを詰めた凛香は、袈裟懸けに一刀を見舞う。
今宵、寿命を削るのはこれで終いだ。
「わたしは少しでも長く姉さんの傍に居なきゃいけないんだから」
成功
🔵🔵🔴
大豪傑・麗刃(サポート)
一人称『わたし』『麗ちゃん』
どんなシリアスでも一度はネタをやりたいのだ!ダジャレ、奇怪な言動、一発ギャグ、パロ、メタ等何でもよい。状況が悪化する行為はやらない(変態的衝動時等必要な場合を除く)
超シリアスのためギャグ絶対ダメというならシリアスオンリーもできなくはないがその時は頭痛が痛くなるのだ(強調表現としての二重表現肯定派)
一応根は武人なので強敵相手の戦いには心昂る一面もある。ユーベルコードによってはそうならない場合もあるが。
ユーベルコードが
近接系:何も考えず正面から真っ向勝負挑む
遠距離系:射程距離ギリギリから一方的に攻撃狙い
ギャグ系:お手数かけますがなんとかお願いします!
それ以外:まー適当に
●今バイク装備してたっけ?
大豪傑・麗刃(26歳児・f01156)は頭を抱えていた。
「まずい、頭痛が痛くなりそうなシリアスなボス戦に投入されてしまった気がする……!」
参加依頼を選べないのはサポートの泣き所である。筋金入りのネタキャラとして鉄壁の意志でリセマラをしようにもガチャは回すのではなしにまさかの回される側、ピックアップされる側の気持ちが少し解ったり、解らなかったり。
「ようし、こうなればわたしが怒涛のツッコミに回ってこの場をネタ空間に——!」
「聖なる哉、聖なる哉——」
「うん、絶妙に突っ込みにくい!」
敵と対話が不能ではボケもツッコミも無理な相談か。
「ええい、それなら真面目に戦闘を……」
腹を括り掛けたところで、閃光。神の加護を極光として纏う『慈悲亡き聖母』の姿は禍々しくもある種の神々しさを帯びていた。事実、これ以降あらゆる状態異常の類は全て跳ね返される現実、聖母が何も語らずともその緊迫感がひしひしと空気を伝った重圧となる。
「だめだ!このわたしごときがきみに勝てる気がまるでしない……!」
戦う前から白旗だ。何処からか引っ張り出したのは逃走用の武装オートバイに跨って一度空ぶかしてから背を向ける。
「と、見せかけて!」
からの、反転。アクセル全開。
「どけどけどけどけどくのだぁ~!帰宅部インターハイ優勝の実力を見せてやる!」
盗んでいないタイプのバイクで走り出す。行き先は聖母直行、ド派手に轢き飛ばした様は明らかに過失割合10:0。一発免許取り消し沙汰の重大事故だ。
「アディオス!」
ちなみにそのまま走り去る。捕まれば執行猶予の余地はない、早くおうちに帰りたい。
成功
🔵🔵🔴
ギュスターヴ・ベルトラン(サポート)
よう、お出ましだな?
…ソレが怨嗟による存在であっても、殺す事に歓びを得る存在であっても
人の間に悲しみと苦しみが広がる以上は…神敵必滅、躯の海に叩き返す
■行動
柄が悪くとも信心深いため、戦う前に【祈り】を捧げる事は忘れない
敵の主義主張は聞き、それを受けて行動する。行動原理を理解しないままの行動はしない
連携相手がいるならば相手のフォローに、居ないなら全力で敵をシバきに行く
戦場によっては屋内でも空が飛べるタイプの魔導バイクを乗り回す
「公序良俗に反することはしてねえぞ」と言うし実際にそうするタイプ
■攻撃
主武器:リングスラッシャーと影業
近距離攻撃が不得意なので敵とは距離を取って戦う
アドリブ連帯歓迎
●御国が来ますようにと祈る言葉に応え
「何とまぁ空寒い祈りもあったもんだ」
溜息混じりに零したギュスターヴ・ベルトラン(我が信仰、依然揺るぎなく・f44004)の金の瞳の冷たさはサングラスに覆われて、『慈悲亡き聖母』からは望むべくもない。鳴き声めいて繰り返される聖母の言葉はギュスターヴにしてみれば慣れ親しんだ祝文と神への冒涜とも思われた。
盲目的なまでに聖母の信心が篤いこと、それでありながらまるで嬉々として独り善がりに他を傷つける在り方が、此処まででもう嫌と言うほど十分に知れていたがゆえ。
「その祈りが人を慈しみ、幸せを望む類のものでないのなら、躊躇う理由にはならないな」
目を閉じて右手の指先、額から父より子へと辿りて、聖霊の御名によりしかあれかしと祈りを結ぶ。瞳を開くと同時、利き手に円刃を携えて、足元より湧き出た影の鴉らと共に疾駆。
「——即ち、骸の海に叩き返す」
迎え撃つは怪物と化した聖母が操る、これも影。
「聖なる哉、聖なる哉——」
莫迦のひとつ覚えだ。人を不幸にするだけの過去が贖罪代わりに啼いているのか。
眩い円刃が影を裂く。その煌めきは過去が喚く歪な祈りもどきなどでなく、人の生への賛歌を守る為だけに揮われるものだ。影どもを横一文字に斬り裂いて、尚もしつこく殺到したそれらを斬り跳ねた。影らが絡め捕る様にして再度襲い来る刹那、ギュスターヴは微動だにせずに確たる祈りを口にした。
「『——御名があがめられますように』」」
父は応えた。御国来たれり。
祈りとそれに応えた護りの二重の退魔陣は黒き雪崩れの如き猛攻を受け止める。影が薄れて弱まる他方、追い打ちをかける様にしてギュスターヴが祈りを込めた光が降り注ぐ。影を打ち払い、怪物と化した聖母の身を容赦なく穿つ。
二重、否、三重の|祈り《ユーベルコード》の連鎖。眩い光輝の暴威たるや、裁きの光とも呼ぶべきか。聖母のその身を、命を慈悲なく削りゆく。
「これでも一応祈る身だ——冥福くらいは祈ってやるよ」
成功
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風雷堂・顕吉(サポート)
アドリブ連携可
約100年前、ダークセイヴァーの人類敗北以来、ヴァンパイアとの死闘を細々と繰り広げてきたダンピール、それが俺だ。
ヴァンパイアを狩るため、あるいは次に狩るべきヴァンパイアの手掛かりを得るためにここにいる。
【世界知識】ダークセイヴァー世界の大抵のヴァンパイア相手ならそれがどのような血族かは知っているし、知らなくとも【情報収集】の伝手はある。
それ以外の世界については物珍しそうに振る舞うことになる。すぐに慣れるだろう。
ダークセイヴァーとスペースシップワールド以外の世界は日差しが強すぎるので、サングラスを着用する。
戦闘は剣士の動きだ。
次に参加する猟兵が戦いやすい状況を作ることも多い。
●その悲鳴も祈る言葉も、所詮殺伐の幾夜に沈み
人類が敗れた後のこの世界にて、怨敵どもを屠りて骸の海へと送り還してやること幾星霜。圧倒的な支配者として君臨する吸血鬼らを狩りに狩り、風雷堂・顕吉(|吸血鬼《ヴァンパイア》|狩人《ハンター》・f03119)は血の気も齢も露ほども知れぬ美しい貌をしながら、その身が浴びる返り血は今宵も乾く暇がない。
「闇の種族だのと言ったか。吸血鬼ではないらしいが、そうだな。それならばついでで狩っておくべきか」
対峙する相手は、慈悲亡き聖母は吸血鬼の上位互換とも言うべき強者。だが、顕吉にしてみれば、如何に相手が生来備えた性能が高かろうとも、それがどうしたと言うお話だ。顕吉が為すことは、普段——最早数すら覚えぬが、これまでに吸血鬼と対峙した際のそれとさして違わぬ立ち回り。何処までも冷静沈着に、感情に振り回されての殺意由来でなしに、確実に屠るためにこそ冷静に攻め手を重ねてやることだ。
今宵、暗夜だ。顕吉にとっては何よりも味方となるべき夜の闇だ。妨げるのは聖母が稀に放ってみせる極光のみか。それを封ずるべく、まるで遮光を任せる如く、顕吉は翻したマントの裾より吸血コウモリの群れを放った。黒き翼ども、鋭い牙らは、慈悲亡き聖母へと嵐めいた獰猛さで殺到をした。
「聖なるかな、聖なるかな——」
神に助けを求めてと言うにはやはり何処までも鳴き声めいたその復唱、同時、聖母は影を操る怪物へと姿を変えて、操る影と共にコウモリたちへと無作為に襲い掛かって——嗚呼、利敵だのと謂う言葉があるが、これは例えばそのお手本などでも為してくれようとしたものか。闇にてその牙の鋭さを威力を倍より尚も増すコウモリら。斯様な追い風、聖母にしてみれば向かい風。今や彼女が泣けど喚けど神に縋れど、最早勝ちの目は見当たらぬ——!
「祈るなら、オブリビオンに身を落とす前にすべきだったな」
よろめいた聖母を背中より刺し貫いた|小竜公《ドラクリヤ》、迸るばかりに溢れる悲鳴と血潮には顕吉の関心は最早ない。
放っておいてもこの敵は死ぬ、であればそんなことより早く次の獲物の手がかりを、次の討伐の為の準備を——。
成功
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イングリット・イングラム
この昏き世界において聖女と呼ばれるに至った女性。
その光も本来ならばこの世界を照らし、人々を癒し、安らぎを与えるためのものだったのでしょう。
それが今やオブリビオンとなり、慈悲亡き聖母と呼ばれるに至る。
さらには異端の神たる貴方がその身体を乗っ取り、その言葉を模倣し、その光を用いて全てを焼き尽くす。
それらは生前の彼女を冒涜するものです。
ここで骸の海へと還します。
自身の周囲に《結界》を構築。
敵が光を放つタイミングを見切り、結界に法力を込めることで防御しつつ接近。
直剣に《対抗》の力を込め、敵を覆う極光を切り裂いて、突き刺す。
UCで強化した《還送》の力をその体内に放ち、骸の海に還す。
●神を信ずる者なればこそ
聖女。
それは如何なる信教なれど清廉で敬虔な行いと篤い信仰を周囲が認めた者だけに許される呼称であろう。崇め奉る神は異なれど、己もまた信ずる神のある身として、イングリット・イングラム(教団の使徒・f35779)にはその名を持つものを軽んじることは出来そうにない。
この昏き世、生きるも死ぬも地獄でしかない無明の夜で、信仰こそが人々の縋る光明たり得るだろう。あの聖女が操る光の如く、文字の通りに暗夜を照らし、人々を癒し導く存在であったと——
「聖なる哉、聖なる哉——」
今はもう聖性の欠片も残さぬ『慈悲亡き聖母』を目の前に、正しき聖女であったであろうその生前に僅かばかりの思いを馳せた。剣の柄を握る手に力が入ったのは我知らずだ。
誓いを立てたのは遥か昔だ。それでありながら今も尚、イングリットは己に課した戒律の数々を忠実に守り続けている。
「聖なる哉、聖なる哉、聖なる哉」
「……いいえ。如何な言葉を口にしようと、貴方の在り様は冒涜です」
高く低く繰り返す聖母へと、イングリットが告げた声は常よりも幾分低くよく冴えた。
「聖女であった女性が、いいえ、やめましょう。彼女は最早関係がない。貴方と言う異端の神が彼女の身体を乗っ取って、彼女の声で言葉を模倣して、護るべき存在である筈の人類を手にかける——こんな冒涜、決して許されてはなりません」
珍しいまでの饒舌、静かな口調に籠る熱は彼女を知るものからしてみれば意外なまでのものであろう。もはや会話の成り立たぬ慈悲亡き聖母はいざ知らず。
「聖なる哉、」
「ここで骸の海へと還します」
イングリットが毅然と告げた言葉と抜刀、息をもつかせぬ剣戟がほぼ同時。剣を振りながら発動した異能は『強化』、地味な名前の癖をしてその身が授かる法紋をユーベルコードと同等の威力へと引き上げるその脅威——嗚呼、何事も足算よりも乗算だ。抗う聖母の降らす光を、今、イングリットが法紋より張り巡らせた結果はものともしない。直視せぬよう、侵されぬよう、その邪な極光ごと払うが如くに直剣を揮いて、敵の懐へ飛び込んだ。
「貴方に神の慈悲は不要でしょう」
不破の加護は、極光をも紙切れの如く斬り伏せる。
「ただ、元の聖女の魂の安寧を祈っています」
慌てて再度巡らせようとした光も最早追いつかず、正面から胸を貫く切っ先を留める術を聖母はもはや持ち得なかった。貫かれた傷から宛ら蝕まれる様にして崩れゆく身を、如何に藻掻けど抗えど甲斐がない。留めようとその手で押さえたところで、指の間から砂粒の如くに零れ落ちてゆく。
「当然の報いです」
神罰執行だのと大それたことは言うまい、だが、単純にこれは本心だ。無感情に告げたイングリットは直剣を鞘に納めて、朽ち崩れるゆく敵に背を向ける。冷たく冴えた双眸は慈悲亡き聖母の最期を見なかった。
大成功
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