●
蛆獣は蠢いている。
其処は“サクラタルタロス”。桜の奈落とはまさに名に相応しい、天も地も桜の花に覆われた美しい世界。
しかし、其の櫻の下には悍ましいものが蠢いている。イザナミを蝕んでいた“冥府の|蛆獣《そじゅう》”である。
其処には一切の生命は存在しない。蛆獣も、イティハーサも、生命ではないからカウントされない。
だから蛆獣は生命を感じ取ると、其の牙を剥くのだ。波濤の如く襲い来る蛆獣はまるで壁のよう。
櫻が美しいから蛆獣が醜いのか。
蛆獣が美しさを求めて櫻のもとにいるのか。
果たしてどちらなのだろう?
●
「幻朧帝イティハーサがイザナミの意志をもとに作り上げた“サクラタルタロス”には、冥府の蛆獣がいる」
ヴィズ・フレアイデア(ニガヨモギ・f28146)は既にグリモアの発動を完了し、白磁の扉を背にして言った。
「彼等は生命を徹底的に排除する性質を持っていて――お前達が“サクラタルタロス”へと踏み入った瞬間、襲い掛かってくるだろう。其の数は数え切れない。寧ろ|大地がめくれる《・・・・・・・》と言ってもいいくらいだ」
自分で言っておいて気持ち悪いな、とヴィズは片手でもう片腕を擦る。
「だが、蛆獣たちは強靭であるから……其のまま壁として扱う事も出来るんだ。つまり、蛆獣を足場にして飛び移って、イティハーサ本人を狙いに行くという戦法もありな訳。蛆獣といっても一匹一匹が高い攻撃力と防御力を備えているから、一匹ずつ相手をしていたらキリがない」
ならば、自分達を狙って襲い来る性質を利用してしまえば良い訳だ。
「イザナミは確かに愛と死の女神として語り継がれてはいるが、このような世界は望んでいないだろう。ただでさえ、他の世界に出没した際も蛆獣の所為で身動きが取れなかったのだから」
彼女が望んだ楽園は、既に強欲の海の底。ならばせめて、一度眠りについた彼女を再度骸の海へと還してやるのが、猟兵に出来る餞であろう。
頼んだよ、と扉を開くヴィズ。白い桜の花弁が、ひらひらと舞っている。其れはとても美しいのに――酷く不吉なものに思えて仕方なかった。
key
こんにちは、keyです。
イザナミさま可愛いですよね。
●目的
「イティハーサ・イザナミを斃せ」
●戦争シナリオ
今回のシナリオは1章で終わる「戦争シナリオ」です。
お誘い合わせの方以外は、基本的にお一人ずつの描写になります。
●追加特殊ルール『侵略新世界』
終戦時点でこの戦場が未制圧だった場合、侵略新世界『サクラタルタロス』は他世界の侵略に乗り出します。
●プレイングボーナス!
「押し寄せる“冥府の蛆獣”に対処する」
「“冥府の蛆獣”を足場にして幻朧帝に肉薄する」
●場所・敵
幻朧帝イティハーサがイザナミと融合し、其の意志を基にして作り出した侵略新世界“サクラタルタロス”が舞台です。
真っ白な桜の花が大地にも天にも満ちる一見美しい世界ですが、桜の下には無数の“冥府の蛆獣”が蠢いており、彼等は生命を感知すると異分子と判断し、排除するために襲い掛かって来ます。
其の数はまさに無数です。一匹ずつ相手をしていては、幻朧帝に近付く間もありません。
彼等は幸い足場に出来るほどに強靭です。飛び移って蛆獣自体は無視するなり、纏めて薙ぎ払う術を使うなり、何らかの工夫をこらす必要があります。
●プレイング受付
オープニング公開後からプレイング受付開始です。
物理的に送れなくなるまで受け付けております。
●
此処まで読んで下さりありがとうございました。
皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『イティハーサ・イザナミ』
|
POW : 天矢『サクラタルタロス』
【射た矢が突き刺さった地点】から、詠唱時間に応じて範囲が拡大する、【冥府の蛆獣による寄生】の状態異常を与える【真白き死桜花の嵐】を放つ。
SPD : 神鷹『サクラタルタロス』
【神鷹の羽ばたきと共に白い花弁】を噴出し、吸引した全員を【冥府の蛆獣】化し、レベル秒間操る。使用者が製作した【世界の住人たる証】を装備した者は無効。
WIZ : 骸眼『サクラタルタロス』
レベルm半径内を【生命を拒む世界】とする。敵味方全て、範囲内にいる間は【死をもたらすための力】が強化され、【生を長引かせようとする力】が弱体化される。
イラスト:炭水化物
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
円谷・澄江
どっちにしても厄介な事には変わりはない、か。
けど乗り越えなきゃ望まぬ儘に他の世界を侵略しちまうんだろう?
なら気張っていくしかないね。
蛆獣の波濤も何のその、だよ!
クニークルスに搭乗。
転移直後にUC起動、認識阻害念波を放ち蛆獣を惑わせた上で足場にして一気に駆け抜けていくよ!
兎翼広げたキャバリアの機動力、多少足場が悪かろうが念動力で姿勢を保持しつつ、電探で周囲を探り次の足場にうってつけな蛆獣の頭や背を探してイティハーサの下へ。
ワニの背を渡るよりもきついが気合で乗り切る!
花弁や蛆獣の飛びかかりは兎翼の斥力や機動力で躱し、間合いを詰めたらビーム・ドスで思いっきりぶった切ってやるよ!
※アドリブ絡み等お任せ
●
「どっちにしても厄介な事には変わりはない、か」
キャバリア“クニークルス”に搭乗しながら円谷・澄江(血華咲かせて・f38642)はそう呟いた。
しかし、乗り越えなければこのサクラタルタロスは他世界の侵略に乗り出してしまう。其れはきっと、イザナミだって望んでいないことだ。
「なら気張っていくしかないね。蛆獣の波濤も何のその、だよ!」
神鷹がサクラタルタロスの非現実的な空を舞う。白い桜の花弁が降り落ちるが、其れは決して吸ってはならない猛毒だ。
「ほらほら、どきなァ!」
蛆獣たちがうぞ、と蠢いたかと思うと、クニークルスに向かって次々と飛び掛かって来る。しかし途中で何かを“忘れてしまった”かのように、其の勢いは落ちた。異分子である生命が何処かにある。何処かにある筈なのに、|認識出来ない《・・・・・・》。
其の隙にクニークルスは兎翼を広げ、次々と蛆獣を足場に飛び移り、其の波濤を乗り越えていく。
「――イティハーサ!」
「哀れな。死を拒んで藻掻く命ほど、無様なものもない」
「言ってくれるね……! 其れはあくまでアンタの視点だろう! 過去を寄せ集めるしか出来ないアンタのさ!」
古来の話にあるような、ワニの背を跳んで渡るよりも――蛆獣を足場にするのは存外に厳しい。
しかしクニークルスは其の難題を見事に乗り越え、ビーム・ドスの鋭い刃がイティハーサを袈裟懸けに斬り付けた。
そう、言葉巧みに――時に力ずくで――エンシェント・レヰス達を融合せしめた大罪人は、イティハーサなのだから。
大成功
🔵🔵🔵
空桐・清導
POW
「命のない世界になんの価値がある!
命があるからこそ世界は輝くんだろうが!」
生命を徹底的に排他する世界に対して強い怒りを覚える
イザナミを利用して生まれた世界がこれか!
「お前に!世界を語る!ましてや生み出す権利はない!
イティハーサ!骸の海へと還れ!」
UC発動
地平の彼方まで広がる蛆獣とイティハーサを劫火でもって焼き尽くす
蛆獣は無限に生まれ出ずるだろうが、
限りない熱量によって全員の動きを止める
その隙にイティハーサに肉薄する
天矢すら焼却する[オーラ防御]を纏い、膨大な光焔を右手に集める
「この一撃でケリをつける!
超必殺!グロリアス・ファイア・ブレイク!」
全身全霊の拳で殴り抜けて撃破する!
●
サクラタルタロスでは、命は徹底的に排除される。
蛆獣が牙を剥き、桜でさえ死の気配を纏う。其れが空桐・清導(ブレイザイン・f28542)には許せなかった。
「命のない世界に何の価値がある……! 命があるからこそ、世界は輝くんだろうが!!」
「其れは命あるものの戯言である。世界の輝きなど、何の意味も持たない。全てはいずれ過去となり、オブリビオンとなる」
「――お前に! 世界を語る――ましてや生みだす権利はない! イザナミの“愛と死”をもとにして、こんな場所しか造れないのなら……イティハーサ! 骸の海へと還ると良い!!」
イティハーサは答えずに、静かに矢を構えた。ひゅるり、と白い矢が二人の丁度半ば辺りに突き立ち――真白き死桜花が嵐を巻き起こす。
其れがなんだ、と清導は己を鼓舞する。今まさに、大地の彼方までを埋め尽くすかのような蛆獣が己に向かって襲い掛かっている。|其れがなんだ《・・・・・・》!!!
「行くぜ!! ファイナル・ブレイジングドライブ!!」
劫火が其処に巻き起こる。炎とは生命であり、其の猛りである。
清導はブレイザインへと変身し、胸部にパワーを集めると、極大威力の火焔砲を放つ。蛆獣たちの荒波に穴が開き、凄まじい熱が駆け抜けてサクラタルタロスを熱していく。
無限に生まれ来る蛆獣を飛び越えて、死桜花を焼き尽くし、清導――ブレイザインは拳を構え、其処に莫大な光焔を込めた。
「超必殺……! グロリアス・ファイア・ブレイク!!」
拳が唸る。光炎砲により、イティハーサと蛆獣たちはほぼ拘束状態となって動けない。清導の全身全霊を懸けた拳は、イティハーサの腹へと撃ち込まれ……炎が渦巻いて、サクラタルタロスを一瞬とはいえ煉獄に変えた。
大成功
🔵🔵🔵
儀水・芽亜
桜の木は、幻朧桜だから生命にカウントされないのでしょうか? 不思議です。それでは現地へ。
転移と同時にナイトメアライド。召喚したナイトメアに即座に飛び乗り「騎乗」します。
得物はアリスランス一本。
さあ、ショウを始めましょうか。観客が蛆獣だけなのが惜しいところです。
駆けなさい、ナイトメア。蛆獣どもの背の上を!
足下は「地形耐性」「足場習熟」で乗り切ります。蛆獣が反応するよりも早く駆け抜け、いざ幻朧帝の元へ。
スカーフを口元に巻いて、花弁を吸い込まないよう注意。こんなもの、普通は吸い込みません。
さあ、幻朧帝イティハーサ。「騎乗突撃」からのランスチャージの一撃を受けてください! 続けて夢魔の蹄で蹂躙します。
●
白馬が吼える。
儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『|夢可有郷《ザナドゥ》』・f35644)は転移後すぐにユーベルコードを発動、純白の白馬型来訪者『ナイトメア』を召喚し、その上にひょいと飛び乗った。獲物は片手に持ったアリスランス一本。
「さあ、ショウを始めましょうか。観客が蛆獣と幻朧帝だけなのが惜しい所ですが……だからといって出し惜しみはしません」
――駆けなさい、ナイトメア。
――襲い来る蛆獣どもの背の上を!
果たして白馬は駆け出した。波のようにうねる蛆獣の背を蹴り、腹を踏み台にし、波に乗るように蛆獣の群れの上を駆けていく。
神鷹が駆け巡り、いのちを蛆獣へと変える桜花を生み出してばらまく。芽亜はスカーフを口元に巻き、万一にも吸い込んでしまわぬようにと前を見据えた。其処には幻朧帝がいる。
「――さあ、幻朧帝イティハーサ。この景色も終わりです」
目にも止まらぬ速さで、ナイトメアは蛆獣たちが蠢く大地を駆け抜けていく。其の速度は徐々に上昇し、そうして芽亜のアリスランスの一撃が、イティハーサの身体に穴を開けた。
大成功
🔵🔵🔵
リンカ・ディアベルスター
さあ、イティハーサを討伐しようか!
と言いながらキャバリアを念動力で浮かびながら敵の方へ向かって行く
道を切り開いて行かないとね…
蛆獣の攻撃は心眼で見ながら回避を試みつつ素早く電撃の矢弾の雨を放ち痺れさせて足場にしながら進む
高速詠唱で結界術を唱えて結界を展開する。
しかし…他人を乗っ取らないと何も出来ないのかな?
敵のUCに対しては羽ばたきや白い花弁を吸引しないようにしながらクイックドロウの要領で神滅属性攻撃のエネルギー弾を放ち攻撃する
狩猟の星神と壊滅の星神よ!私に力を!
指定UCと指定UCの効果でUC壊滅の星神ナヌー・ザークを発動して超越神速で移動しながら壊滅の力を纏った矢弾の雨を放ち敵に攻撃した
●
「さあ行こう。イティハーサに終わりを告げに」
リンカ・ディアベルスター(星神伝説を知る開拓者・f41254)はキャバリアと共にサクラタルタロスを駆ける。
まずは道を切り開いていかないといけない。蛆獣は直ぐにリンカという生命に気付き、排除のために動き出す。襲い掛かって来る蛆獣の攻撃は素早くはあるが大振りで、リンカが躱すのには十分だ。
其処に素早く電撃の矢弾を放ち痺れさせると、跳躍して飛び乗り、其処から次々と蛆獣の階段を跳びあがっていく。
「ちょっと失礼、っとね」
くるり、と杖を振るうと己の周囲に結界を展開し、万一に備えながらリンカはまず第一の波濤を越えた。
「しかし、イティハーサ。君は他人を乗っ取らないと何も出来ないのかな? 君自身が造りたい世界はなかったのかい?」
「無い。全ての生命には意味などないのだから。この世界を作り上げたのも、他世界を冷ます必要があったから、其れだけの事」
神鷹が飛ぶ。死桜花の花が舞い散る中で、リンカはキャバリアを操縦してエネルギー弾を放ち攻撃する。
イティハーサは持っていた弓で其れ等を受けた。
「――狩猟の星神と壊滅の星神よ! 私に力を!」
リンカは天に杖を翳す。
狩猟の星神は敵に回れば容赦なく敵を攻撃するものだ。狩猟の力を放ち、神鷹が舞い散らす桜の花を消し去って、更に壊滅の力をイティハーサへと放つ。
壊滅の星神は、文字通り全てを壊すもの。其れは物質にとどまらず、次元と概念すらも打ち壊す。
二柱の星神の力を受け、イティハーサが後退る。壊す事と創る事、二つの概念を付与されたエネルギー弾を、リンカは追い打ちのようにイティハーサへと浴びせた。
大成功
🔵🔵🔵
有坂・紗良
せっかくいい感じの場所なのにあんなのがウヨウヨいるんスか…見なきゃよかったなぁ…
コイツら越えなきゃたどり着けないんなら、いっちょやってやるしかないっスね
あの量を相手するのは無謀…なら足止めと行きましょ
手持ちの銃器で撃ち込んだりして気を引いて【特殊支援手榴弾】をぶつけて痺れてるうちに飛び移るのは難しくは無いはず…
『グレネードポーチ』に予備はあるから出し惜しみはナシっスよ
連中が居ない場所もあるし、ボクも生身で動き回るのは厳しいっスね
そういう所は『サメボード』に乗って動き回るっスよ
さぁ、ボクも一気に近づいてヤツの顔面に弾丸叩き込みに行くっスよ!
ボクの銃弾がどこまで通用するか楽しみっスね!
●
「折角良い感じの場所なのに、あんなのがウヨウヨいるんスか……見なきゃよかったなぁ」
確かに此処の桜は美しいが、大地を見れば蛆獣がうようよと蠢いて不気味である。有坂・紗良(天性のトリガーハッピー人間・f42661)はうへぇ、と苦虫を噛んだような顔をして、いやいや、と頭を振った。
「コイツらを越えなきゃ辿り着けないんなら、いっちょやってやるしかないっスね!」
しかし、グリモア猟兵が例えた『大地がめくれる』とは其の言葉通りのもので、大地を這っていた蛆獣たちは一斉に紗良目掛けて襲い掛かって来る。
これを全て相手取るのは無貌――なら、足止めをするほかあるまい。
手持ちの銃器を撃ち込み、弾丸で足止めして足場にする。跳び上がって、グレネードポーチから飛び出した特殊支援手榴弾のピンを抜き、蛆獣の群れへと投げつける。一、二、きっかり三秒。炸裂した手榴弾は電磁波を撒き散らし、蛆獣たちの動きを止めた。其の上に飛び乗り、……波濤の頂上はさらに高い。ならば!
「行くっスよ、サメボード!!」
サクラタルタロスが咆哮する。生命を拒み、死を齎す力が増していく妖界へと世界が書き換わっていく。だが、紗良のする事は一つたりとて変わらないのだ。水陸両用のサメ型ボードに載って、滑るようにサクラタルタロスの大気を乗りこなす。
「荒波っスね……でも!」
波濤の頂上は越えた。ならばあとは滑り降りながら――イティハーサを照準に捉え、引鉄を引くだけ!
ばらららら、と放たれた弾丸が、見事にイティハーサの胴体に穴を開けた。
大成功
🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
冥府の蛆獣達は|別の戦場《第二戦線》でも見かけたが……
これだけの数が襲いかかってくるとなると、嫌悪感は格別だな
神刀の封印を解き、神気を纏う事で身体能力を強化。一応敵のUCにも、幾らか抵抗はできる筈
押し寄せてくる蛆獣のうち、適当な一体の方に敢えて此方から突っ込む事で、一斉に潰される事を防ぎ
そして接近した個体に向けて伍の型【赤雷:穿】
関節だか装甲だかの隙間を貫き、一瞬動きを止めたならば、そいつの身体を駆け上り
次に迫ってくる奴らに対しても同様に、一体の動きを止めて足場へと
時には神脚【無依】の空中ジャンプを使って攻撃を避けたり、道中を短縮してイティハーサの元へ
辿り着いたなら、相打ち上等で刀を突き立てる
●
――冥府の蛆獣。
其れ自体は別の戦場でも見かけたが、と夜刀神・鏡介(道を貫く一刀・f28122)は周囲を見回す。
既に蛆獣たちは動き始めている。まるで大地が動いているような其の様は、嫌悪感をざりざりと猫の舌で舐めるように刺激してくる。
鏡介は呼吸を一度すると、神刀の封印を解き、神気を己に纏わせた。
サクラタルタロスが鳴動し、其の真の姿を露にする。生を拒み、死を助長する。櫻の奈落の変貌を感じながら、鏡介は襲い掛かって来る蛆獣の群れ、其の適当な一体へと駆けた。
どれも狙えずに、一斉に襲い掛かられて潰されては話にならない。まずは一体、と突きの構えを取り、蛆獣へと連撃を叩き込む。一瞬動きを止めた蛆獣の身体を駆けあがり、更に別の蛆獣に対して突きを放つ。
鏡介の背後から、蛆獣が襲い掛かって来る。挟み撃ちのような其の攻撃を、鏡介は宙を蹴って避けた。そうして壁のような蛆獣、其の一端に突きを放ち……其のまま傷を受けるのも厭わず、蛆獣を突いたまま壁をすり抜けた。
刀から蛆獣を振り払い着地すると、鏡介は無言のまま駆ける。イティハーサは弓を構えている。――良いだろう。ならば相打ちになろうとも。
空を切った白矢が鏡介の肩に突き立つ。サクラタルタロスが生命力をもぎ取っていく。其れでも鏡介は駆け抜けて、意趣返しとばかりにイティハーサの肩へと刀を突き立てた。
大成功
🔵🔵🔵
七那原・望
生命の存在しない世界ですか。良いですね。こういう世界なら壊しても心が痛まないですからね。
強化属性全力魔法で自身の身体能力と速度、オラトリオの強度と力を限界突破。
下手に飛行したら危険そうなので素直に蛆獣を足場として利用。
第六感、気配感知、心眼、聞き耳も駆使して蛆獣の動きやイティハーサの挙動を見切り、迅速に駆け抜けます。
敵のユーベルコード発動の兆候を確認したら近くの蛆獣何匹かをオラトリオで影縛りし、引き寄せて盾にします。
この世界の住人である蛆獣を盾として装備したのでユーベルコードは無効化です。
イティハーサの近くまで来たら時空凍結波。
周囲の時を止めている間に多重詠唱全力魔法の乱れ撃ちで畳み掛けます。
●
――生命の存在しない世界。
サクラタルタロスの静寂を、七那原・望(比翼の果実・f04836)は何処か心地良くも感じていた。こういう世界なら、何を壊そうとも心が痛まないから。
でも、此処は“あってはならない世界”。なら壊すしかあるまいと、望は己の身体能力と実体ある影“オラトリオ”を強化する。
「……下手に飛ぶのは危なそうですね」
望は迫りくる蛆獣の量を見てそう判断した。落ちて来るように襲い掛かる蛆獣。まずは跳躍すると、一匹目を足場にした。更に避けながら跳び上がる、二匹、三匹。其の間に間隔を研ぎ澄ませ、蛆獣の動きとイティハーサの動向を注意深く観察する。
――ぴい、と神鷹が哭いた。
其の瞬間、望は飛び越えた蛆獣の壁へと空中で向き直り、|己の影《オラトリオ》で何匹かを縛ると、引き寄せて盾とする。
「……小賢しい……」
イティハーサが呟くのが聴こえた。神鷹が振り撒く、吸い込んだものを冥府の蛆獣へと変えてしまう白い桜の花は、住人たる証があるものには通用しない。つまり、この世界の住人である蛆獣を|装備《・・》した望にもまた、この桜花は効果を発揮しないのだ。
望はそのまま着地すると、蛆獣を盾としたまま装備している武器たちに命ずる。
――時を止める波となれ。貴方達は美しいから。
ユーベルコードによって、望の装備している武器が時空を凍結する波を放つ。其れはまず向きを変えた蛆獣たちの動きを止め、大地にいる蛆獣たちの時を止め、そして幻朧帝イティハーサの時さえも止めてみせた。
「もう終わりにしましょう、イティハーサ。おままごとも、世界を弄ぶのも」
王笏から放たれる衝撃波の如き魔法の波濤が、止まった時の中で炸裂した。
大成功
🔵🔵🔵
エミリィ・ジゼル
わぁ、蛆獣がいっぱいだぁ。これ全部サメにしたらたのしそー。
やろうぜ!
というわけでUCを使ってサメ化浸食因子を放出。襲い掛かってくる無数の蛆獣たちを片っ端からサメにしていきます。
そしてサメになった端から、元は蛆獣だったサメたちを片っ端からイティハーサに突っ込ませます。
無数の蛆獣が襲い掛かってくるということは、言い方を変えればサメの残機は無限だということです。これはすごい。アンリミテッド・シャークワールドとでも名付けましょう。
ところで獰猛なサメたちはある意味で死をもたらす力とも言えますよね。
ということはイティハーサのUCの効果でサメもパワーアップするのではないでしょうか?
間違いないね!
●
「わぁ、蛆獣がいっぱいだぁ」
エミリィ・ジゼル(かじできないさん・f01678)は思った。この星の数ほどありそうな蛆獣が全部サメになったら楽しいだろうなと。
――よっしゃ、やろうぜ!
やろうぜじゃないんだよなぁ。
という訳でエミリィはさっそくユーベルコードを発動した。まずは襲い掛かる蛆獣に向けて、サメ化浸食因子を解き放つ。見えざる其れを吸い込んでしまった哀れな蛆獣はみるみるうちに其の姿を変えていく。……サメだー!!
片っ端から蛆獣がサメに変わって行く姿は最早恐ろしいの一言である。多分イティハーサもドン引きしていると思う。
「さあ、蛆獣もといサメたち! 其処の爺さんに突撃して、もぐもぐして差し上げて下さい!」
エミリィの号令に、くるり、と元蛆獣(現サメ)たちが方向を変える。其れはまるで美しいパズルのように、蛆獣たちが次々とサメに変異して、イティハーサの方を向く。
サクラタルタロスが鳴動し、生を拒絶して死を許容する世界へと変貌していく。しかし其れはエミリィにとって不利な状況などでは決してない。
「無数の蛆獣――つまりこれは言い方を変えれば、サメの残機は無限だということです。これはすごい、アンリミテッド・シャークワールドとでも名付けましょうか。そしてこのサメたちはある意味で、死を齎す力とも言えますよね? ならば今のサクラタルタロスでは、サメもパワーアップするのではないでしょうか。ね? すごいでしょ?」
「……汝……何故其の力をサメなどに使うのだ?」
思わずイティハーサさんも訊いていた。なんでサメなの?
「決まってるじゃないですか! このフォルム、牙、つぶらな目! わたくしがサメを好きだからです!」
「えぇ……」
そうしてイティハーサに襲い掛かる強化されたサメの群れ。
為す術もなくお爺さんはサメの波に飲まれたのであった。
「別に斃してしまっても構わんのだろう? なんてね」
大成功
🔵🔵🔵
榊・霊爾
...どうせ全部消したいのならば、自分も永遠に消えればいいのに
箱は作りたいけど住民はいらない、みんな死ねばいいけど自分だけは存在していたい
破壊神としても創造神としても中途半端だよ、君は
幸いこの世界は闇一色、鴉羽笠のステルスを有効化
【存在感】を消し【闇に紛れる】
時折【残像】のデコイを置き、蛆獣の狙いを逸らし、集る蛆獣を足場に【ダッシュ】で駆け抜ける
用いる刃は鶚、小夜啼鳥でも良かったが...この刃の一員にしたくはない
帝の目の前にたどり着いた瞬間『窮極』の【不意打ち・抜刀】で縦一文字に斬り裂き、生じた次元の狭間に放逐する
消えてくれないか、私の視界と記憶から
●
――どうせ全部消したいのならば、自分も永遠に消えれば良いのに。
――“箱”は創りたいけど住民は要らない。みんな死ねばいいけど自分だけは存在していたい。
「破壊神としても、創造神としても、中途半端だよ。君は」
榊・霊爾(告死鴉・f31608)は桜舞う奈落へと足を踏み入れると、直ぐ様に其の存在感を消し、闇に紛れ、己の気配を消した。
しかし生命を嗅ぎ付ける蛆獣はしつこく霊爾を追って来る。時折置き去りにする残像に飛び掛かる蛆獣たちは、正に死体に群がる蛆のようだ。
好都合だと、己の残像に群がる蛆獣を足場として跳び上がり、飛び越えて、……前を見た霊爾の眼前に、白い矢が飛んできた。
「……!」
反射的に斬り落とす。其れは紛れもなく、イティハーサが放ったもの。
真白き桜が舞っている。霊爾は其の白矢が何かを考えるより先に走っていた。刃“鶚”を抜き放ち、イティハーサをすり抜けるように駆け抜けた霊爾は抜刀し、イティハーサの直ぐ傍にある空間を斬り付けた。
一文字に切り裂かれた次元は、|消失《・・》し、狭間を創る。
「……見事といおうか、猟兵よ。だが忘れるなかれ」
次元の狭間に吸い込まれながら、イティハーサは静かに述べる。
「全ての未来は、過去の断片を繋ぎ合わせれば作り出せる。最早未来など不要なのだと……」
「……消えてくれないか」
対して、霊爾の言葉は冷徹であった。
消えてくれ、私の視界と記憶から。お前の戯言など聴いている暇はないんだ。
……世界の創造主を失った世界が鳴動する。
霊爾はなお舞い散る死桜花を静かに見上げると……踵を返し、己の生きる世界へ戻るのだった。
大成功
🔵🔵🔵