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其処には苦痛と狂気しかない。
其処には過去の残骸しかない。
其処にはただ、ただ、広大無辺に広がる地獄があるばかり。
神王の意志を基に作り上げた“侵略新世界”『|広大無辺の無限地獄《サンサーラナラーカ》』。
サンサーラは幻朧帝に良いように操られ、ただ、ただ、無限に骸の海を広げるばかり。
オブリビオンも摂理の一つ。
そう考えて命と出逢わぬように世界を広げ続けた神王サンサーラが、今度は命と出会わせるために無限地獄を広げ続けている。
――どうか。
――どうか、討ち斃してほしい。
――もうこの身が骸の海から出て来てしまわぬように。
●
「一番厄介な敵が現れた、というべきかな」
ヴィズ・フレアイデア(ニガヨモギ・f28146)は長い蒼髪を後ろに流し、既に準備を整えているグリモアの扉は閉じたままで猟兵に語り掛けた。
「神王サンサーラ。彼もまた、幻朧帝イティハーサと融合し、其の意志を基に“侵略新世界”を作り出した。これを我々は“|広大無辺の無限地獄《サンサーラナラーカ》”と名付けた。彼は今度は傷を負っても具現していられる。徹底的に叩き潰さねばならない。だが……」
ちらり、とヴィズがグリモアを振り返る。猟兵もまた、其の視線を追う。
「イティハーサはサンサーラの力を利用して、骸の海を具現化し、広げ続けている。今も骸の海に満たされている状況だ。お前達といえども、一歩踏み込めば心身を蝕まれ、狂気と苦痛に苛まれるだろう。――だが、だからこそというべきか。“真の姿”になる事が出来るんだ」
真の姿。其れは猟兵たちにとっての切り札だ。ヴィズは其れでも耐えられるなら、と猟兵を見回した。
「あのグリモアをくぐって行っておいで。どの道サンサーラ……イティハーサを斃さなければ“侵略新世界”は他世界の侵略に乗り出すんだ、痛い辛いだけで済むなら軽いものかもしれないね」
――なんて、グリモア猟兵の傲慢かな。
ヴィズは軽く肩を竦めると、グリモアの扉を開いた。
其処には海があった。液体のようで液体ではない。塵の塊のようで、塵ではない。何とも言えぬ沼地のような其の大地は、正に“|輪廻転生地獄《サンサーラナラーカ》”の名に相応しかった。
key
こんにちは、keyです。
「サンサーラ」はインド語で輪廻を表すそうです。
●目的
「イティハーサ・サンサーラを斃せ」
●戦争シナリオ
今回のシナリオは1章で終わる「戦争シナリオ」です。
お誘い合わせの方以外は、基本的にお一人ずつの描写になります。
●追加特殊ルール『侵略新世界』
終戦時点でこの戦場が未制圧だった場合、侵略新世界『サンサーラナラーカ』は他世界の侵略に乗り出します。
●プレイングボーナス!
「苦痛と狂気に耐え、真の姿を晒して戦う」
●場所・敵
幻朧帝イティハーサが神王サンサーラと融合して作り上げた“侵略新世界”『|広大無辺の無限地獄《サンサーラナラーカ》』です。骸の海で溢れ返り、今でも膨張を続ける其処はまさに地獄。猟兵でさえ踏み入れば命の危機を感じ、“真の姿”を引き摺りだされる程の脅威を秘めています。
骸の海は一切の容赦なく、猟兵に強烈な苦痛と狂気を与えるでしょう。どうか其れに耐えながら、イティハーサ・サンサーラに立ち向かって下さい。
●プレイング受付
オープニング公開後からプレイング受付開始です。
物理的に送れなくなるまで受け付けております。
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此処まで読んで下さりありがとうございました。
皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『イティハーサ・サンサーラ』
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POW : 天矢『サンサーラナラーカ』
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【大焦熱地獄の炎を纏った天羽々矢】で包囲攻撃する。
SPD : 神鷹『サンサーラナラーカ』
レベルm半径内を【神鷹の羽ばたきと共に八寒地獄の冷気】で覆い、[神鷹の羽ばたきと共に八寒地獄の冷気]に触れた敵から【生命力や意志の熱】を吸収する。
WIZ : 骸眼『サンサーラナラーカ』
【神王サンサーラの力を再現した姿】に変身する。変身後の強さは自身の持つ【完全性】に比例し、[完全性]が損なわれると急速に弱体化する。
イラスト:炭水化物
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
神臣・薙人
真の姿
十歳前後の子供
瞳が桜色
望まぬ地獄なら終わらせましょう
そのために私達がいるのです
踏み込んだ瞬間に感じる恐怖
真の姿になってなお振り払う事は出来ませんが
この気持ちも抱えて前へ進みます
痛みも狂気も
生あるからこそ感じられるのですから
射程に入った段階で
白燐追駆咬傷使用
視覚を共有し、姿を変えた幻朧帝の隙を探します
見付かるまでも蟲笛で白燐蟲を呼び出し
少しでも力を削げるよう攻撃
ほんの僅かでも隙が見えれば
そこに向かって咬み付くよう指示
これで貴方は動けない
動けない者に完全性など存在しないでしょう
弱体化が叶えばこちらの攻撃も通る筈
幻朧帝を捕縛する蟲の数を増やしつつ
白燐蟲による更なる追撃で
負傷を蓄積させて行きます
●
――望まぬ地獄なら終わらせましょう。
――其の為に私たちがいるのです。
其の“骸の海”に踏み込んだ瞬間、神臣・薙人(落花幻夢・f35429)は魂を掴まれるようあ恐怖を感じた。次いで、身体中を針で刺されるような痛み。痛みで正気が削られていくのが判る。
気付けば視界は随分と低くなっていて、薙人の身体は十歳前後のものへと退行していた。桜色の瞳を見開いて、努めて呼吸を整えようとする。
目の前には神王サンサーラがいた。いや、サンサーラ本人ではない。幻朧帝が構築した、仮初の姿だ。
「……っ!」
薙人は白燐蟲を放つ。
其の間にも痛みは彼を苛み、悲鳴を上げたくなる唇を噛み締める。
「……、少しでも、隙が見えれば……其処に咬み付いて……!」
白燐蟲はひゅるひゅるとサンサーラの周囲を飛翔し、まるで威嚇するかのようにかちかちと牙を鳴らす。
――動けないものに、はたして完全性などありますか?
サンサーラの姿をした幻朧帝が徐々に弱体化していく。薙人は蟲笛を鳴らし、白燐蟲を増やしていく。
やがて隙が見えたのだろう。がじり、と白燐蟲がサンサーラに咬み付いた。其れを皮切りに、次々と白燐蟲たちがサンサーラのあちこちにかぶりつき、其の肉を抉っていく。
「……貴方の痛みと、私の痛み……果たしてどちらの方が強いのでしょうね……?」
痛くなどない。
虚勢を張っているのはこちらも同じ。薙人は其れでも、サンサーラを真似た幻朧帝に笑ってみせたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
儀水・芽亜
これはまさに地獄の有様。骸の海の汚染が酷い。「オーラ防御」「霊的防護」に「呪詛耐性」と「狂気耐性」「毒耐性」を重ねて「継戦能力」を高めます。
ああ、真の姿へ変わる……。
15歳の頃のゴスロリドレス姿に、背中には揚羽蝶の翅。この翅で、骸の海を渡りますわ。
その間にユーベルコードを展開しますの。
「全力魔法」毒の「属性攻撃」「範囲攻撃」「マヒ攻撃」での蝶霊跋扈。
私を取り巻く黒揚羽の渦は、不破の「結界(術)」に等しいですの。
その渦の一部を幻朧帝に差し向け、精神力を奪う「精神攻撃」を仕掛けますの。
飛ばしてくる矢も、蝶を集らせて呪力を奪い威力を奪いましょう。
※2倍になるのは本人の身長ではなく、蝶の体長と群の密度
●
「……これはまさに、地獄の有様ですね……」
儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『|夢可有郷《ザナドゥ》』・f35644)は痛みに耐えながらいう。防御を重ね、あらゆる耐性を高めても、其れを貫いて骸の海は痛みと狂気を芽亜に齎す。
やがて芽亜の姿は変わり、10代半ば程の少女の姿となった。ゴシックなドレス姿に、背中には揚羽蝶の翅。ふわりと飛び立った“芽亜”は、骸の海を渡っていく。
幻朧帝から放たれるは天羽々矢。幾何学模様を描いて飛翔する其れ等を見ながら、芽亜は周囲に黒い揚羽蝶の群れを召喚する。凄まじい数の蝶が舞う様は、最早美しいというより悍ましいと言った方が良いかもしれない。
やがて狙いを定めた天羽々矢が芽亜へと降り注ぐが、盾にも等しい黒揚羽達がやすやすと通す訳もない。群れとなって堅固なる盾となって、天羽々矢を受けた。散り散りになって落ちていく翅を、ちらり、と芽亜は見下ろして。
「私の可愛い蝶たちを傷付けた罪、其の命で贖って貰うの」
黒揚羽が幻朧帝に向けて飛び立つ。彼等は精神を削り、精神力を弱める。
「鬱陶しい……羽虫如きが」
「羽虫と侮っていたら、傷を負うわよ」
黒揚羽たちは瞬く間に、幻朧帝の白い姿を覆い隠した。
大成功
🔵🔵🔵
ミュー・ティフィア
『ミュー!大丈夫?!』
大丈夫……覚悟はしてたから……フィアは?キツければトゥッティに戻っても……
『私だって大丈夫!』
そっか……じゃあ早く真の姿にならないと……
精霊召喚・崇拝されし歌姫の言霊。
サンサーラの力を再現されて到達不能のユーベルコードを使われたらどうにもならない。だからとにかく早く、変身中にパルティータの自動射撃とポリフォニーの魔法攻撃、コンツェルトによる狙撃による波状攻撃で一撃は入れます。
一つならともかく二つ目の発動には流石に間に合うし、完全性が失われればもう怖くない。
それにこれで体感時間の狂ったイティハーサに私とフィアの光と闇の魔法が空間を超えて届くから、もう到達不能も無意味です。
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「うっ……あ……!」
『ミュー! 大丈夫!?』
骸の海に浸かり、痛みと狂気に耐えるミュー・ティフィア(絆の歌姫・f07712)に、いつだって寄り添って来た闇の精霊“フィア”は呼び掛ける。
大丈夫、と眉を顰めながらミューは頷く。
「……フィアは……? キツければトゥッティに戻っても……」
『私だって大丈夫! ミューにばっかり痛い思いさせられないよ!』
「……そっか。じゃあ早く、真の姿にならないと……」
そうしてミューとフィアは姿を変えていく。いつだって二人でいた、だから今日だって、二人で挑むのだ。
ミューは素早く銃剣“パルティータ”と魔導書から弾丸魔弾を撃ち出して、変化してゆく幻朧帝に弾幕を浴びせる。
サンサーラの力……到達不能のユーベルコードを使われてしまったら、もうどうにもならない。其の前に少しでも傷を付け、完全性を削いでおく必要がある。
『私の出番だね。いっくよー!』
魔弓“コンチェルト”からミューが放つ矢に合わせて、フィアが飛ぶ。其の羽撃きは、正常な体感時間を狂わせる。幻朧帝には一瞬が永遠に、永遠が一瞬に感じられる筈だ。
「一撃でも入れられたら、……完全性さえ失ってしまえば、もう怖くない……! フィア!」
『うん!』
ミューとフィアは歌う。コンチェルトはハープとなって美しい音を奏で、其の音に合わせて銃剣と魔導書が弾幕を放つ。
光と闇の魔法が渦を巻いて、サンサーラの姿を象った|だけの《・・・》幻朧帝へと届く。完全性は失われ、広がるのはただ骸の海だけ。
いつだって二人だった。だから今日も二人で戦うのだ。ミューとフィアは歌いながら視線を合わせ、もう大丈夫だと頷き合った。
大成功
🔵🔵🔵
テラー・レギオン
奇しくも真の姿がサンサーラと同格に達している自分にとってその慈悲を
一切皆苦、すべてのものは思い通りにならぬ事を理解していない者が使うなど甚だ度し難い事である
「その力は他者のものだ、外側だけ真似ても大したことはないよ」
観自在・心無罣礙は<精神の余裕>と<霊的防護>を自身から放つ
極力<ジャミング>と<認識阻害>で全体攻撃の流れを外し、攻撃の密度の薄い場所を縫い
【問答・阿毘達磨倶舎論】で幻朧帝に言葉を投げる
「あなたのその力はまがい物だ、それを認めなさい」と
自分の真の姿は梵我一如を体現する(絵師様作業中、仏の様な姿ですすみません)
虚空は空であり、無ではない
この問答に幻朧帝はどう答えるか
その答えを待った
●
奇しくもテラー・レギオン(何者でもない戦場傭兵・f39434)の真の姿は、サンサーラと同格に達していた。同格というよりは、似たような次元にいる存在と言っても良いかもしれない。テラーは其の完全性を失おうとも、存在を揺らがすことはないのだから。
何故だ、とテラーは心中に問う。其の慈悲を一切皆苦、全てのものは思い通りにならぬと|理解もしていない《・・・・・・・・》者が使うなど、甚だ度し難い事であるからだ。
ああ、神鷹が舞っている。テラーは悟り閉じた瞳で、其の翼のはたたきを聴く。冷気が周囲を満たしていく、
「其の力は他者のものだ。外側だけ真似ても大したことはないよ」
観自在・心無?礙。氣を身体に纏い、更にジャミングと認識阻害にて冷気の流れから己を切り離し、其の密度が薄い場所を縫い歩く。
そうして幻朧帝イティハーサの前に立ったテラーは、一つの問いを投げかけた。
――あなたの其の力は紛い物だ。其れを認めなさい。
其れは問いというより、一つの忠告であった。
しかし其れを認められる者ならば、そもそもこのような真似をしていないのだ。サンサーラを取り込んだにも関わらず悟りに至れなかった幻朧帝イティハーサは、其の忠告に答えた。
――全ては過去に冷えゆくもの。其れが真理である。ならば過去を以て世界を創造できる儂の力が紛い物であると、誰が言えようか。
仏の如き真の姿を晒しながら、テラーはいっそ悲しみさえ覚えた。虚空とは空であり、無ではない。
テラーの忠告は届かなかった。否定したイティハーサは大きく体力を削られ、何が起きたと其の骸の如き目を見開く。
幻朧帝イティハーサは傲慢であった。其れはある意味で、帝としてあるべき姿であったのかもしれないが……だが、傲慢はいずれ身を亡ぼすもの。イティハーサは確実に、今を生きる猟兵たちによって追い詰められていた。
大成功
🔵🔵🔵
黒城・魅夜
引き裂かれる肉、擦り潰される臓腑、腐り零れる眼球に映る歪んだ景色
……なるほど、それで?
その苦悶はすべてわが旧知にして熟知せしものです
私こそは悪夢の滴
無限に繰り返される業苦の悪夢の中より生まれ落ちしものゆえにね
ええ、あなたは「過去」であるがゆえに
「新たな苦痛」を私に示すことができないのですよ、つまらぬ男
そしてもう一つ
痛みも苦しみも生きているからこそ
つまり傷みこそがあなたが否定する生命そのものを強く感じさせていると
まだ気づきませんか愚か者
UCは呪詛を満たした結界で鷹の動きを束縛し
羽ばたきできなくすればいいだけのこと
では私が「新たな痛み」をあなたに教えてあげましょう
魂の内側から腐らせるという痛みをね
●
肉が引き裂かれる痛み。
臓腑が磨り潰されるような痛み。
腐り零れる眼球に映るのは、歪んだ景色。
「――成る程、それで?」
美しいレース状の皮膜を羽撃かせる黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は、僅かに首を傾げると何てことないという風に言った。
神鷹が空を舞っている。地獄の如き冷気が周囲を満たし、生命力と意志の熱を奪っていくのに、麗人はそんな素振りを全く見せない。
「其の苦悶は全て、我が旧知にして熟知せしものです。――私こそは悪夢の滴。無限に繰り返される業苦の悪夢より生まれ落ちしものゆえに」
――そう。貴方は過去を繋ぎ合わせれば何でも出来るのでしょうね?
――でも貴方は“過去であるが故”に、新たな苦痛を私に示す事が出来ない。
――全く、詰まらぬ男。
「そしてもう一つ」
|劫夢呪鏖鏈《ごうむじゅおうれん》。魅夜は其の武器を取り出すと、あくまで優雅に、優美に言った。
「痛みも苦しみも、生きているからこそ。つまり痛みこそが、貴方が否定する生命そのものを強く感じさせていると……まだ気付きませんか?」
悠々と舞っていた鷹の動きが止まる。ぎこちなく羽撃く鷹は何かに抗っているようだったが、やがて力を失くして骸の海に落ちた。魅夜は其れを見もせずに、さあ、と幻朧帝に魔手を伸ばす。
「だから私が、“新たな痛み”をあなたに教えてあげましょう。魂が内側から腐っていくという痛みをね」
悲鳴が上がるまで、あと少し。
大成功
🔵🔵🔵