帝都櫻大戰㉔~なにもないから、描けるものを
●否みの霧に見失う道
分かるような気のするんです、と男はいった。
「道を見失うような感覚を。最初は全て目新しく、興奮と楽しさを覚えたものも、徐々に面倒になり煩わしくて振り払う。そうして、確かに前までは自分の意思で振り払っていたものが、いつの間にか活き活きとした熱量、その躍動感で己を追い越し、置いていく」
置いて、いかれる。
「そうすると、思うものですよ。俺のしたことだって、たいした物だったって。彼らと同じように己に熱量のあった頃。在りし日の苦労、在りし日の達成感。そうやって自分を慰め――誤魔化した分だけ、今へ立ち返った時、落差の翳は一層と濃くなっていく。暗澹たる憂愁の霧は胸の裡に広がり、今いる位置も見えぬまま、さてどちらへ進めというのか。《未来》とはどこを指して言うのでしょう? 分らない、道の見えぬから、何度も繰り返すんです。過去に縋り、今は虚しく、遂に未来に《諦念》を抱く――」
腕を組んで、どこか拗ねたようにも見える顔で。語り掛けるというよりは、一風変わった大きな声の独り言。その最後で漸く、エルンスト・ノルテ(遊子・f42026)は、居並ぶ猟兵の方を見て、腕を解いた。
「|若い《・・》同居人が言うんです。《諸悪の根源》とは老害の僻み根性だろうって」
あんまり酷いと思いませんか、と、肩を竦めて苦笑いしながら。耳の痛くてと零した彼は続けて問う。
「《諸悪の根源》とは、何でしょう」
向かって頂きたい場所があります、と、続けて言葉を引き締めた。
●侵略新世界『サクラタルタロス』
天に地に咲き誇る満開の桜の森。
降りしきる花弁も美しき《静止した死の静寂》の世界は、おぞましく蠢く冥府の蛆獣の上に成る。
まるで何かを――心の在り様を、嘲笑うようなそのコントラスト。
|覚醒《めざ》めし幻朧帝イティハーサは、エンシェント・レヰス『イザナミ』との融合を果たし、「意志」と己の力を以って、侵略新世界『サクラタルタロス』を創造した。
「サクラタルタロスには、|なにもない《・・・・・》のです」
イティハーサ帝の述べた通りだ――全ては冷めて去りゆくのだと、その彼の「意志」を反映した世界。
「静止した死の静寂と、皆さんの命の炎の熱量を、交換し、均一し、繰り返して、なにもなくなるまで。ただそこに立つだけで、そうなります。ですから、我々猟兵とて、長居は出来ません」
それでも、嘘のように美しく過去を飾り拘泥して戯れる、哀れな老人に届けてあげてくれないだろうか。
「未知と変化――可能性というものを、きっとイティハーサ帝は喜ばないでしょうけど」
年をとると頑固にもなりますからね、と、もう一度苦笑して、エルンストは続ける。
「……それでも。私は昔から、《悪》とは不正ではなく、不幸の現れなのだ、と、そう思って」
死が残すものは面影である。受け取ったならば、贈ってあげてほしい。
あなたの命の《熱量》を、《運動》の生むエネルギーを。
胸の裡に棲みつく憂愁と諦念の薄暗い翳を晴らす、生の希望――《未来》という名の灯火を。
「去りゆく者たちが最期に目に写すものは、どうか、|そういうもの《幸福》であってほしいのです」
――グリモアは、今、一層と輝きを増し、かくて妣の国へ至る門は開かれる。
紫践
昔は良かったなんて始められたら愛想笑いするしかない。
9月の敬老精神、やさしい世界。
こんにちは、紫践と申します。
●侵略新世界『サクラタルタロス』について
『イティハーサ』と『イザナミ』の融合した静止した死の静寂の満ちる世界です。
何かあるわけではありません。そこにいるだけで急速に生命力が奪われ、死に至ります。
この世界を打破出来なかった場合、サクラタルタロスは既存の世界の熱を、命を奪うべく進軍を開始します。
プレイングボーナスは以下2点です。
生命力が尽きる前に一撃を与え、離脱する/自身の「命の輝き」をイザナミに示す。
私も個人的な連休に命の輝きみせたる所存です。できらぁ!!
以上です、宜しくお願い致します。
第1章 ボス戦
『イティハーサ・イザナミ』
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POW : 天矢『サクラタルタロス』
【射た矢が突き刺さった地点】から、詠唱時間に応じて範囲が拡大する、【冥府の蛆獣による寄生】の状態異常を与える【真白き死桜花の嵐】を放つ。
SPD : 神鷹『サクラタルタロス』
【神鷹の羽ばたきと共に白い花弁】を噴出し、吸引した全員を【冥府の蛆獣】化し、レベル秒間操る。使用者が製作した【世界の住人たる証】を装備した者は無効。
WIZ : 骸眼『サクラタルタロス』
レベルm半径内を【生命を拒む世界】とする。敵味方全て、範囲内にいる間は【死をもたらすための力】が強化され、【生を長引かせようとする力】が弱体化される。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。
おいでませ、仮称・静寂世界。
高らかに鳴り響くは喇叭の音色。だが、爆音で奏でられているはずのそれは逆に静かに感じるだろう。
”なにもない”のであればそこには”すべてがある”
対極にあるモノは極まれば同じ反応を示すのよ?
永劫なる瞬間、騒々しくも静かなざわめき、冷静なるも熱く滾る心、そして、死に向かうからこそ輝く生命!!
さぁ参りましょう、|涅槃寂静の世界《ニルヴァーナ》へと。ワンダーアンダーワザダーワウトーワゥダースンダー。
ああ、対価ならそこの|おじいさま《イティハーサ》を好きにしていいわよ♪世界を創造する力なら不足はないでしょう?
●瞬間の豊かさを。
音もなくその花弁は降りしきる。
安寧と静寂。美しいばかりの桜の森が、蠱惑的な愛と死の女神の産む最期の世界『|静止した死の静寂《サクラタルタロス》』だというならば。
ふわり降り立つ甘やかな毒たる少女を称え、今、高らかに高らかに鳴り響くは喇叭の音色。
「おいでませ」
可憐な声で星辰に呼びかける少女の目は、イティハーサ帝を透過し、ただひたすらに女神の《骸眼》を捉えて、にこりと弧を描く。いや増す喇叭の響き。桜と対象的におよそ美しいとは無縁、喇叭のその暴力的なまでの轟音は、しかし、この静寂の約束された世界で誰の耳にも、少女自身の耳にも響かない。
なぜならば。
生の暴力性を湛えた轟音は、最初に色を持ち、花弁に、木に、積もる花に覆い隠されたおぞましき蛆獣にぶつかる度に喜び跳ねて、形となって、びしゃりと弾け、或いは蕩け、染みてゆく。それを見て、いつの間に転がる見知らぬ誰かの頭部たちは大口を開けて一斉に笑い、うちのひとつを摘まみあげた天女はうっとりと唇を寄せると、祝福したそれを傍らに横たわる男の口に一つ、またひとつと押し込んでゆく。眠ったまま、がりりごりりと力強く男の食む度に、だらしなく口元から滴る極彩色は質量を持ち羽ばたいて。ぎょう、ぎょうと眼下の全てを寿ぐ笑い声をあげながら舞い飛ぶ蝶の、空を覆う喇叭の|音《ね》の海を遡上し、ネクタルの流れる川で跳ねる胎児たちとまぐわるさまを、蛙の丸い目がじぃと映している。手を叩いて喜ぶ農夫が蛙を踏んで恭しくも両手で種を拾えば、蜥蜴の引く御車から降りた鼠が、蛙を悼んで米を撒く。育つ触手は嫌らしく身を震わせて、やがて突端に花開く蓮の花弁の中へ、農夫が種を埋めこんだ。
これは|静止した死の静寂《サクラタルタロス》にレイヤードされた|不可説の生の無軌道《ニルヴァーナ》の極一場面にすぎない。
”なにもない”のであればそこには”すべてがある”のだから。
やがて、枯れて花の落ちた蓮から、みっともなく転がり産まれ、這い、よろよろと立ち上がり、一歩ごとに大きくなり、これまでの全てに育まれ、これまでの全てと戯れ、遊び、喰らい、受け取り、飲み込んで、今や――。
騒々しくも静かなざわめき、冷静なるも熱く滾る心。
「さぁ参りましょう、|涅槃寂静の世界《ニルヴァーナ》へと」
――そして、死に向かうからこそ輝く生命。
優しく伸ばされた手。死を司るイザナミの頬を、生の喜びにまみれ大きく育ったアリスの指が捉え、包んで、口付けを施さんとして。
死と生という対極を――二人の《愛》が繋ぐその瞬間。
ニルヴァーナたるアリスが極彩色の泡となって弾け、立ち上った。
「あら♪ 残念ね」
一部始終を見上げつつ、同時に体験していたアリスが、声色だけはいつもの調子で、相対するもう一柱たるイティハーサ帝をねめつける。
このようにして。
内的時間は|永劫なる瞬間《よろこび》であったが、一連は、外的時間にすれば極僅かであった。ワンダーアンダーワザダーワウトーワゥダースンダー、そのように呼びかけたアリスに応えて、突如顕現した巨大なアリスがイティハーサ/イザナミに向かっていったというだけの。
「無粋なお爺さまだこと」
しかして、その全てを星辰に捧ぐ愛の贄とするには、イティハーサは堅牢であった――今は、まだ。
焦ることはないわ。思いなおしてアリスは微笑む。
そうとも、生は死に向かうのだ。イザナミはそこに待つ。それまでは精一杯の生を謳うわ、そして。
「悦びあいましょうね」
寄せ合った顔、期待の眼差し、見つめ交した愛――あぁ、次まみえる時には、お互いの全てで。
だから、アリスはもういない。
何もかもが、ただ生と死の、瞬間の豊かさの出来事であった。
大成功
🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
幻朧帝はなにか事情があって生命を否定するようになったのではなく、きっと元からそのような存在なんだろうけど
どちらにせよ哀れだな。未来を望み勝ち取ること、その喜びを知り得ない
そんな世界、俺は当然御免被る
神刀の封印を解除し、黎の型【纏耀】を発動。強く輝く神気を纏う事で真の姿に変身、戦闘力を爆発的に強化
この世界にいるだけで生命が削られる。更にUCの代償もある
だがそれは、今この瞬間に全力を尽くさない理由にはならない
踏み込み、飛来する矢を空中で切り払う。アレは刺さった地点から効果を発揮するもの。故に着地点をずらせば脅威度は幾らか落ちる
次の矢が放たれる前に距離を詰め、残った力全てを込めて一撃を叩き込む
●押し通すという強さを。
誰にも事情や欲求や目的のあって、たまさかそれは同じ向きになることもあれば、ぶつかり合うこともある。その矢印の太さは、存在によって異なるのかもしれなかった。そう。中には、世界を創造するような規格外の力を持つものもいるのだから。
幻朧帝の裡のことなど、真実分らない。破壊と創造は表裏とする考えもあるならば、創世の力ゆえに元々命を否むことが織り込まれているというだけの存在なのかもしれなかった。
――どうであるにせよ。
す、と呼吸を整えて。
夜刀神・鏡介(道を貫く一刀・f28122)は【無仭】の柄へと手を滑らす。
哀れとすら思う。未来を望み、|勝ち取る《・・・・》こと、その喜びを知り得ないことを。
強大な存在にも、そうでないものにも、結局のところ、己の心の願う方に歩むしか出来ないということは、気持ちのいいほど平等である。
夜刀神は、だから、幻朧帝に、今奪われゆく命の熱に、怯むことなどない。
花びらを渦巻かせるように巻きこんで届く矢雨は、しかし偽りの花弁の絨毯に刺さることすら侭ならない。|常人ならざる《・・・・・・》跳躍をもって、空にいる夜刀神の神刀がそのこと如くを切り払うから。
封印の解かれた神刀。刀身より迸り、刀身に絡みつく、雷とも、青黒い炎ともつかぬ神気を使いこなす為、己が命の熱すら捧げて――黎の型【纏耀】――そうとも。奪われるくらいなら、己で燃やし尽くしてくれると、貫くためのこの激情こそが、夜刀神の《真》といえるかもしれなかった。
「俺は当然御免被る」
《サクラミラージュ》は侵させない、冒させない。
平穏も悲劇も、全てを抱えたこの場所を。確たるものなど一切なくて、何に出会うものか分らなくて、そんな未来を、自由をこそ。誰かに委ねる気もなければ、定められることも許さないのであれば。
――貫く、道を。
押し通すという強さ。
その命の煌きを、《死》への手向けと、今、夜刀神が――振り下ろす。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
念のためオーラ防御を纏い空中戦
僕は…緊急性はないにしろ
運動制限をかけざるを得ない程度には心臓が弱くて
囚われてた期間の栄養不足のせいか、体も少し病弱で
こんな環境でなくても、明日健康に過ごせるかもわからない
だからこそ、とっくに覚悟は出来てる
救われた先で出会った人々は、世界は
罪深い僕にも優しかった
本意ではないとはいえ…僕の存在が、沢山の犠牲を出してしまったのに
だから僕は、命をかけてでも守るんだ
罪滅ぼしと恩返しのため
それが僕なりの生き方
命の輝き、だよ
指定UC発動
せめてイザナミ様へは苦痛が届かぬように
破魔の祈りを込めた光魔法を高速詠唱で唱えぶつけます
皆で未来を勝ち取るために
※昏睡前に離脱はしたい
●逸らさずに向ける、まなざしを。
オーラを纏い、中空へ――彼の者達の眼前へ。
栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は、ここにある全てにまなざしを向ける。
眼下広がるものは、ずっとずっと彼の身近にあったもの。
囚われの過去は、静止した時間といって過言でなく、その境遇は今に至るまで、彼の心身に暗い翳を落としている。今、尚、決して明日を約束された身とはいえぬ、この体。
花の香気のようにして立ち上る《死》の気配は、いつも、今も、彼を手招いていた。
やがて全ては過去になる。ならば、それが今とておなじこと。
死の輩たれ。
《既に在った》の編む檻は、|永久《とわ》に変わらぬ安寧を約束する――。
呼びかける声なき声。これが時の還る先、骸の海、|歴史《イティハーサ》の帰結であると。
栗花落は、それこそが罪だと気付いている――見通せぬ周囲、見通せぬ未来、それに甘んじて目を伏せること。
わからない、具体的なことは。思い出せない、そのすべては。それでも、起きている全てを見ずに、見ることが叶わずに。身の裡のどこかですすり泣くような、悔恨とその罪の意識――僕はもう逃げない。目を逸らさないから。
イティハーサ/イザナミに向けるまなざしの湛える光、封印の外れていく|徴《しるし》。栗花落の中、秘された器の蓋は開かれ、溢れ零れるのは、爽やかさすら覚える感謝の念と、贖罪の強い意志、それから――。
目を逸すな――今、全てを奪おうとするものから。
目を逸らすな――脆弱な己の肉体から。
「これが、僕の恩返し、そして罪滅ぼしだよ」
死の世界にきて、生きて帰る決意は明日を勝ち取るために。《命を守る》、大事な人たちも、自分のものも。それを粗末にするような贖罪は、容易の道。誰の為にもならないことを、今の自分は、知っている。自分を囲む愛おしく優しい人々、驚きに満ちた新しい世界に触れて。
そうやって溢れ出すものたちを、可憐な声が、紡いでゆく――けれど、囀りとは言わせない。
全身全霊の叫ぶあげる魂で贈る命の煌きとは。
否定ではない、肯定でもない――《あなたがそう在る事を、あるがままに》
大事な人たちがくれた、優しいまなざしの、その《ぬくもり》が、どうか凍りつくあなた方の瞳にも届きますように、と祈りを篭めて。
大成功
🔵🔵🔵
ギュスターヴ・ベルトラン
昔|が《・》良かったなんて灼滅者としては言えねえ
ダークネスの圧政に反抗してきた身の上なんで、気骨が反逆者寄りなんだ
つまり一発ぶん殴りに来た!
信仰的に説教したくなるジジイが相手だ…今回は悪手、短期決戦で行く
戦場突入と同時にUCを使い【空中戦】を仕掛ける
【魔力増強】で|Galgalim《魔導バイク》の出力上昇、周囲の白桜の花弁の【魔力を吸収】させて更にエネルギーとして充てる
【第六感】を働かせHYMNEで蛆獣を振り払い【空中機動】を駆使して距離を詰める
あとはジジイに向かって【特攻】だオラァ!!
ぶん殴ってはねえが、目的が達成できたんならそのままお別れだ!
じゃあな、主の御業を騙るクソジジイ!!
●そうあれかしと、抗う意志を。
それは誰しもに『今が我が世の春である』と思う瞬間があるからかもしれなかった。
時よ止まれと願うような花盛りを、願いのままに、《意志》のままに――。
流れを外れ、留めおかれた幻朧の桜の森とは、静止した死の静寂。
おぞましく薄暗かった全ては隠して、美化された過去だけを面に湛えて。
その下らない静寂の空を切り裂いて、最初に見えるは、その名も|Galgalim《燃え盛る車輪》。
果たして、Galgalimとは主の為の|魔導バイク《戦車》であり。
それを駆るギュスターヴ・ベルトラン(我が信仰、依然揺るぎなく・f44004)は祈りを届ける者であり。
それらの運ぶものとは、秘された魔導書と|Will《意志》とである。
共通し共有する過去を歴史というのなら、個々人の抱える過去を思い出と呼ぶだろう。
「……昔|が《・》良かったなんて」
|灼滅者《オレ》としては言えねぇ、と。
過ごした日々を、ただひとつに分類することなど誰に出来るだろう。あらゆる色がマーブリングのよう、心から笑った日もある、暗い情念に触れた時だって。そのように頭を過る過去は今、多色を混ぜた黒でなく、重なる光のクリアさで啓示となる。導かれるは、ギュスターブの第六感。
――さぁ、進め、愚直に前へ。
本人に言わさば、反逆者気質。
ダークネスの圧政に抗い続けた日々そのものも、そうであるし。
――なにが|幻朧帝《・・・》だ、クソジジイ。
神の御業を騙る者。本来なら説教でもかましてやりたいところではあるが、サクラタルタロスにあって己が命の許す時間は短い。なれど、創世を騙り、挙句に、全てを《過去》と括って海に融かさんという、ソイツの横っ面を、その意志を。つまり、一発ぶん殴りに来たのだから!
「致命傷受けたくねえなら、そこどけェ!!」
掠める矢に奪われる命の熱。視界の霞むのはそれが為か、蛆獣を呼ぶ花嵐の原因か。だが、命惜しんで届く一手など|過去《・・》にだって一度もなかった。それを学び、それを知るから、人は|未来《・・》を描いて動けるのだ。
震え力の抜ける指、抗って握り直すハンドル。
飛来する矢、振り来る花弁、地を覆うものすら巻き上げ貪欲にその魔力を喰らい、駆るバイクの糧として、|冴え渡る圧倒的な操縦術《Moto enchantée:Galgalim》と、茨の冠りへの誓いが導く光輪《HYMNE》が、暴いたおぞましき蛆獣を容赦なく斬り、轢き、詰み重なるそれすらを踏み台に。
「特攻だ、オラァ!!」
引くハンドル、あがるフロントホイール。
踏みしめろ、過去を。飛び上がり、宙をゆけ――《|Will《意志》》を伝えよ。
それは漠然と思い描かれた先の|帰結《・・》などではないのだと。
私はこうしたい、こうありたい――願う未来を|具現《・・》する心の強さであるのだと。
大成功
🔵🔵🔵
円谷・澄江
…それもまた一つ、なのかも知れないねえ。
諸悪の根源と言っても一つとは限らないだろうし。
何にせよこの幻朧帝って諸悪の根源倒すため気合い入れないとね!
今回は生身で行こうか。
桜舞う中敵を見定めたらヤッパ片手に最短距離を見極め枝の上を渡り幻朧帝へとカチコミかける。
神鷹が羽ばたいたらUC起動、弧を描くように移動して直撃避けて回り込みつつ花弁を斥力でパリィして弾き吸引阻止の対処を。
回避の間も後ろには下がらず前へ、前へ。
生命力が尽きる前にこの刃を届かせる…!
目的地へ駆け抜ける時計ウサギの生き様見せてやらあ!
最後の詰めで念動力をアタシ自身に働かせ加速、そのまま幻朧帝に刃ぶっ刺してやるよ!
※アドリブ絡み等お任せ
エミリィ・ジゼル
いいですよね、未知と変化。ありきたりな予定調和はつまらないですからね。カオス万歳!
じゃ、死の静寂に満ちたこの世界にいっちょ起こしますか。サメがもたらす神秘的で無秩序なカオスを!
グリードオーシャン最古の魔術体系である鮫魔術を使い、イティハーサにわたくしの渾身の鮫魔術『サメンタル・ファンタジア』をぶつけます
起こす自然現象はサメ属性の流星群。サメテオです
上空から降り注ぐ数えきれない無数のサメ。大気の摩擦で燃え上がりながらも敵に食らいつく獰猛かつ凶暴なサメ群れ。その圧倒的な暴力と熱力でイティハーサをぎゃふんと言わせてやります。
これがわたくしの命の輝き、鮫魔術の力、そしてサメの可能性です。
思い知ったか!
●論の許すより多くを謳う、生の充溢を。
我らを囲むあらゆる物を調べ上げ、分類し、整理せんと尽力した先人達の功績に一点の曇りのあろうものか。それでも、小鳥たちは記されたより多くを謳い、植物たちは時に自分を自分で滅ぼすほどに栄え盛る。
「いいですよね、未知と変化。ありきたりな予定調和はつまらないですからね。カオス万歳!」
|静止した死の静寂《サクラタルタロス》の上に立ちながら。
エミリィ・ジゼル(かじできないさん・f01678)が、失われる熱など気にもしないテンションで両手を掲げて、生の無法図を称える――これは宣戦布告である。
傍ら、一瞬の思考を断ち切って、円谷・澄江(血華咲かせて・f38642)が、あははと快活に笑う。
「そうさね。さぁ、気合い入れないとね!」
《諸悪の根源》とは何であろうか。
その名を冠され、今、二人の前に立ちはだかるもの。
エミリィと円谷は、見た目からして全然違う。生きてきた場所も、経験したことだって。生とは括ることなどできないカオスそのものだ。生物とはかくも多様であり、生きる道もまた多様で、その交わることの確率の解の出せる者などいない。
そういう諸々の上に、今、猟兵の二人が並び立っている。
全ての帰結たる|死を司る者《イザナミ》をも取り込んだ、幻朧帝を加えるならば四者となるか。
海へ還れと呼びかける諸悪とは――、そう、諸悪なのだから。なにかひとつ、こうであろうなんて。そんな結論、必要ないのだ、きっと。
生きている者がそうであるように。
灰ではない、それを例えるなら、喪われた《色》――幻朧帝の肩で|煙《けぶ》りが《過去》を模倣して、鷹の形を取るならば。
円谷が《ヤッパ》、鍔のないその刀に手をかけて、サイキックの翼を展開するのを見、エミリィが口火を切った。
「じゃ、死の静寂に満ちたこの世界にいっちょ起こしますか。神秘的で無秩序なカオスを!」
勇ましく振り抜き掲げるはフライパン。だってエミリィはメイドさんですから。黒く丸いそれが指し示す天から招来し降り注ぐものとは。
――サメである。
サメが落ちてくるのだ、次々と。|流星群《メテオ》という自然現象の巻き起こす威力のそのままに。
岩ともつかぬ、そんな石のひとつが地に届くだけで、発光は人々の眩ませ、衝撃が周辺の街の窓を割り、すわ爆弾でも破裂したかと――それが隕石というもの。
そこにエミリィの魔力を以ってサメという属性がつくのだから、それはもう――今、サクラタルタロスに彼女の言葉の通りの|無秩序のカオス《やりたいほうだい》が顕現していた。
――こっちのがアタイの性に合ってるんだよ、と伝える前からの援護を無駄にはしない。
相対する鷹もどきの羽ばたきも巻き起こす風も静止している、それでいて、動く円谷の前に次の時には花弁がある。見たものは過去となる、その結論が届くのだ。サメテオの戦火逃れた花弁を円谷へと送る、死の奇妙なやり方の間を、円谷はサイキックの翼――《兎翼》で駆ける。
展開する翼が、既に抜かれたその刀身が生む斥力が、白き花弁を弾いて――、そして、円谷は呼吸する。生きているのだから。
死の静寂の世界にいて、その実感は胸を打ち、魂を震わせた。
そうとも、これは生きているから待ち受ける困難だ。
円谷は動く鋼の冷たさで切り開く。
静止する死の冷たさの中に、細い月を幾度も描いて、前へ、前へ。
エミリィは何度だって齎してやると、地に触れサメの冷め、静止するその上に更に。
死が厳然とした現実ならば、生とは横溢の現実たれ。
それでも死に奪われる熱に、二人の動きはどうしたって鈍りを見せ始めるが、生とは絡まり紡ぐもの。
振りくるサメの熱は今この時は励ましである、その上を兎は駆け上がるのだ。
古の物語のある|結末《かこ》を、二人はなぞらない。
今、これから、新たに紡ぐことだって出来るのだ――それこそが命の輝きである。
「思い知ったか!」
「ブッ刺してやる!」
帰結たる幻朧帝へ、帰結を超えた生を今――!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
雪・兼光
●SPD
けっ、クソIA絵師もどき爺がほざいてらぁ
やれやれ、だぜ…(どうするんだよ、これ…)
とはいえ、見るだけなら美しいんだけどな…
浄化と狂気耐性と霊的防護とオーラ防御で、ロートルクソ爺(幻朧帝イティハーサ)に何処まで耐えれるかだな
白い花弁を範囲攻撃と2回攻撃で焼き払う事も忘れずに
幻朧帝イティハーサ、あんた上位存在だよな?なら、コイツ(ユーベルコード)が凄く効くよな?
さぁ、一撃だっ!ロートルクソ爺には浄化の力込みでこの三十六世界からご退場を願おうかぁっ!
くらえ!これがこの雪・兼光の命の輝きよォ!
穿けぇっ!!(スナイパーで命中率が上がるなら)
一撃後は幻朧帝イティハーサに中指立てて離脱する
●繰り返しに見出す、かけがえのない今を。
この言葉が音となって漏れるのも、これが三度目だ。
「やれやれ、だぜ……」
雪・兼光(ブラスターガンナー・f14765)にとって、イティハーサ帝がこの三十六世界に提示した《世界のあるべき姿》の結論は受け入れがたいものである。過去を――命が生み出したそれを、積み重ねたものを、好き勝手に切り貼りして、ほら新しいものが出来ましたよ、なんて。
それで充分だから、命はもう必要ない、だなんて。
他人の頑張りの上に胡坐掻いて、挙句どんだけ横暴だ、偉そうにすんじゃねぇよと。
そんな訳で20代半ば、若い体に宿る、尖る心とその体力に物を言わせ、サクラタルタロスに舞い戻ること、これで|三度《みたび》。
身の裡から霊的防護の力は、自然と発動する。それが満ちる《静止した死の静寂》とぶつかり、泡立つ感覚。オーラ防御を発動させて辛うじて。衣から見える骨――イティハーサの指の、雪を指し示すならば肩にいる怪鳥はその翼をはためかせる。届く花弁を|光線銃《ブラスター》で焼きながら、雪は駆ける。踏みしめる足から登る魂を冷やす零度、生を取り除かねばならないという狂気の結論に耐え、浄化する一歩一歩を以ってして。
雪は、自分がどの程度の時間、この世界に耐えられるかをもうわかっている。
三度だ、三度目――繰り返し訪れて、尚、変わらぬ美しき死の桜の森の下で。
己だけではない。多くの猟兵がここで命の煌きを爆発させてきたのに、何度そうしたって、まるで、何も変わらない、《静止した死の静寂》の中を、ひた駆ける。確実に届くその場所まで。
悠久の時を知り、他の世界の趨勢と歴史を見て、ここへ至った。
幻朧帝イティハーサのいうことは、つまりそういうことなのだろう。
全ては繰り返し、全ては同じ――何度やってもそうなるならば、新しいものなどいるだろうか、と。
そして雪はその結論をこそ、何様だといっている。
ここに至るまで、三度。そのどれもが、気を抜けば虚しく死に取り込まれることを覚悟した命の綱渡りであり、胸に去来する思いも、この場所を知って巡らす思考も、決意も、|かけがえのないその度の新しさ《・・・・・・・・・・・・・・》であった。
「傍観者気取り、|この場この時《三十六世界》を生きずに結論だけみて偉そうに。あぁあぁアンタは本当、ボケの始まった賢い畏いクソ爺だよっ!」
幻朧帝イティハーサ――数多の存在の上位として、歴史の帰結を世界に申し送る者。
対するは、生まれついての眼光の鋭さにちょっと損した思いもしながら、仲間を知り、世界を愛し、そんな風にかけがえのない毎日を繰り返して|生きて《・・・》きた、一人の人間の青年だ。
青年はだからこそ知る。
記せば一行の歴史の出来事の裏に、どれ程の、命の煌きがあることか。
繰り返す毎日が、どれ程、豊かで知らない側面を見せ続けてくれることかを。
「ボケ爺に何度だって、いってやらぁ! さぁ、この三十六世界からご退場を願おうかぁっ!」
――くらえ!これがこの雪・兼光の命の輝きよォ!
生きるとは繰り返し、かけがえのない《今》を知ることなのだと、託して放つ閃光は――。
大成功
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アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。
そろそろ削れてきたかしら?
中途半端に対価を取りそこねたから、残機をちょっと持っていかれたわ。(|ぽんっとリポップ《虚影の化身を武装召喚》)追加で残機を対価に支払ってまた来たわ。持っていかれた分の元は取らないとね。
だいたい、わかったので|サクラニルヴァーナ《世界創世の物真似》を|創造《多重詠唱拠点構築結界術》してタルタロスに|上書き《ハッキング》。ソーンイーターの創世魔術の本領発揮よ。
イティハーサとイザナミの|繋がり《魂の契約》を|断つ《切断》。
後はシャーマンとしてイザナミと|心通わせましょう《魂の契約、奉仕、欲望解放》
●そして、自由と解放を。
この《死》に終わりを告げるため、《命の輝き》という喇叭は7度、今この時この場所に鳴り響いたのだから。
遂にかすかと聞こえる音こそは、《器》の兆し。
さぁ、拍手ご喝采、今より始まるアンコール。
轟け、フィナーレを告げる喇叭の音よ。在るべきものを在るべき姿に。
喇叭の振動――否、鼓動が。
《静止した死の静寂》の降り積もる花弁を揺らめかして描くもの。|心臓《ハート》の紋の上、ぽんっという擬音さえ聞こえそうな軽やかさで彼女は再び生まれ来る。
アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の|混沌魔術師《ケイオト》艶魔少女・f05202)である。
さっきはイイトコロを邪魔されてしまったものだから――永遠の12歳だもの。子供らしく納得がいかないのだ。
「もう一度、なんて。ちょっと、大変だったのよ? わたしも対価を支払ったのだもの、あなたにも払っていただかなくっちゃ♪」
ねぇ、お爺様、と妖艶に微笑む少女は、前と何も変わらない。
このサクラタルタロスの、目の眩むほど変わりなく、単調であるのと、同じように。
「過去をわかって、それで世界を作ればいいのよね……」
口ぶりだけは問うように。うーん、だなんて芝居がかった風に唇に指を寄せて小首をかしげて。愛らしい少女の桜の森を散策する姿だけを切り取るなら、まるで絵本の一頁。
だがそれも一瞬のこと。歩く傍らから、ひとり、ふたりと、|アリスの姿は増えていく《虚仮の化身》となれば、ちょっとしたおぞましさもあって。
「「「貴女が愛するものの憂いを払うため、|創造《う》んだ世界は、こんな風ではなかったかしら?」」」
燃え尽きては生まれ、生まれては燃え尽きる。生きる代償を払い続けて、尚生きる。終りには七つはひとつ、ひとつは七つのアリスとなって、多重詠唱は構築する。
読み解いた|静止した死の静寂《サクラタロス》に残る|櫻の楽園《サクラエリュシオン》のよすがを、これまでにここに刻まれた命の煌きを基として。
ソーンイーターが、かつ、星辰の力をも得て、顕現するは《サクラニルヴァーナ》――世界創世の物真似とでも呼ぶとしようか。
「過去をパズルして世界を創る……、あなたに出来る。わたしにも、出来る」
ならばお爺様が世に残らねばならないという道理の、あるかしら。
クスクスと笑いながら、また一歩。見上げる瞳は、けれどイティハーサではない。
――思い出して、イザナミ。
貴女の自由、貴女だから生み出せたもの、貴女自身で望んだ全て。
「身じろいで、示して。断ち切って」
わたしは魅せた、あなたにも魅せてほしいの、と。差し伸べられる、幼く小さなその掌。
|妣《なきはは》よ、
今こそが汝が力を以ってして、たなびく|死の憂い《イティハーサ》を払う時!
●
そして、喇叭は鳴り響く。
間もなく訪れるであろう解放の時を。
すべての命の持つその自由と煌きを、高らかに寿いで――。
大成功
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