帝都櫻大戰㉒〜カルロスのコスプレコレクション・大正桜編
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「ついに最後の戦線となった。今思えばこれもまた必然か」
窓から桜の見える部屋の中、見目麗しい男が衣装棚を開く。
「この世界には無限に散らぬ桜がある。しかし、そのどれも我が望む桜に非ず」
男はたった一つの『桜花』を思い浮かべながら、棚から出した兵服を纏い古めかしいマントを羽織る。さらには男を白き影が包み、さらなる鎧装としてその身を包んだ。
「……それは哀れみか? 戯れか? ……まあ何でもいい。お前が我が着道楽に付き合った。その事実さえあればそれで構わん」
自身を包んだ半ば骨の老爺に男は語り掛ける。
「しかし、これで我が満足していると思われたのなら心外だ。我は|強欲《グリード》……衣一枚で満たされるほど慎ましくない」
そう言って男は右手に|地球儀《メガリス》を掲げる。
「我が求むるは世界! 出航せよ、『グリードオーシャン・アルゴ』! 全ては我が欲するままに!」
男が望む全てを飲み込むべく、桜の世界に大海が出征した。
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「皆さん、お疲れ様です……帝都櫻大戰の、依頼です……」
アレクサンドラ・ヒュンディン(狗孤鈍狼・f25572)が集まった猟兵に頭を下げる。
「本日はグリードオーシャンのオブリビオン・フォーミュラにして幻朧戦線将校カルロス・グリード、彼が生み出した『新世界』へ向かっていただきます」
フォーミュラとして破れてなお己が目的のため異世界で暗躍し続けた男。彼との決戦の時がついに来たという。
「彼は幻朧帝の侵略新世界を用いて、サクラミラージュに行う予定であった本来の目的を完遂します。彼の生み出した侵略新世界の名は『グリードオーシャン・アルゴ』。オーシャンボールによって大地の殆どが水没し、ふたつめのグリードオーシャンと化した場合のサクラミラージュです」
この世界は未だ仮初の存在。だが、侵略新世界の名の通りこれを放置すればこの世界は異世界を侵し、本当にその全てを水に沈めていくという。
「彼は、こうも言っています。『汝らが知るグリードオーシャンも、かつてはこのようにして生まれた。海に沈む前の世界の名を、サクラエリュシオンと言う』……と」
グリードオーシャンにおけるちぐはぐな異世界の混在と、第二戦線であった幻朧桜の異世界への侵略。その二つの答えが、あるいはこれなのかもしれない。
「皆さんには、この世界に染み出してきたグリードオーシャン・アルゴの一端……一つの島へ行ってもらいます。そこで、彼を討ってください」
これは第一戦線の分身体とは違う、カルロス・グリード本人。その実力も相応だ。
「彼はおなじみの大正コスプレの他、幻朧帝イティハーサを鎧として纏っていますその力を合わせ、海水を用いた鎧装や飛翔、さらに飛び道具と格闘など様々な戦闘法で攻撃してきます」
彼の属性である『水』や『海』をそのまま力に変えた攻撃。七大海嘯筆頭に幻朧帝の力が乗っているのだ。その威力は推して知るべしだろう。
「ですが、対処法もあります。まず、グリードオーシャンのカルロスたちと違い、彼は先制攻撃はしてきません。また、戦いの舞台となるグリードオーシャン・アルゴの島は本家グリードオーシャンと同じように異世界の力を持つ島です。ここには他世界文明の遺物が残されており、それを使うことで戦いを有利に進められます」
そう言って一度言葉を切り、アレクサンドラは説明を続ける。
「具体的に言いますと、まずこの島はサムライエンパイアの島……そして遺物となるのは、『属性を秘めた刀』です。これは様々な属性を秘めており、それを剣に乗せたり魔法のように発射したり、あるいは持ち主の方にその力を与えて強化したりできます。妖刀、魔剣の類と思えばまあいいかと」
刀は島にまるで墓標の如くいくつも突き立っている。それはもしかしたらこの島の抵抗の証なのかもしれない。
「偶然かは知りませんが……彼は初期世界の中ではサムライエンパイアとキマイラフューチャーのコスプレはしていませんでした。もしかしたら、その辺りが隙になってこの刀が通じるのかも……」
着物姿やサイケな服のカルロスも見てみたかった……と思う者がいるのか定かではないが、とかく彼が手を出さなかった島の力で彼を討ってこいということだ。
「それでは皆さん、彼の強欲に、今度こそとどめをさしてきてください……」
アレクサンドラはそう言うと、過日と違い転移を使って猟兵たちをカルロスの元へと送り出すのであった。
鳴声海矢
こんにちは、鳴声海矢です。カルロス氏のコスプレショー延長戦。
今回のプレイングボーナスはこちら。
『プレイングボーナス……他世界文明の遺物を利用して戦う』
今回の舞台は元サムライエンパイアの島で、その遺物として『属性を秘めた刀』が墓標の如く突き立っています。これを用いることでプレイングボーナスとなります。大正……属性……刀……うっ呼吸がとなった方はまあ大体そんな感じと思ってください。
普通に属性攻撃するだけでなく、風属性でスピードバフ、聖属性で回復など使い方も色々。理屈が思いつくなら龍属性や神属性などなんでもどうぞ。ただカルロス氏は能力の関係上水属性の耐性だけはケタ外れに高いです。
敵は無限の海水を武器に射撃や格闘、飛行なども行ってきますが、かつてのような絶対先制はありません。
ただ逆に言えば先制なしでも『やや難』相当の難易度となる実力ということですので、戦闘部分の判定も相応に厳しくいきます。
例によって彼はこの格好を楽しんでもいますが、やはり『桜』に並々ならぬ思い入れもありますのでシリアス度は割と高めです。
それでは、桜散らし桜咲くプレイングをお待ちしています。
第1章 ボス戦
『カルロス・グリード幻朧態』
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POW : 海王の矢
【無限に広がりゆく大海】から無限に供給される【『死の海水』の矢】を、レベル分間射撃し続ける。足を止めて撃つと攻撃速度3倍。
SPD : 王錫海巨人
全長=年齢mの【『海水の巨人鎧』を纏った姿】に変身し、レベル×100km/hの飛翔、年齢×1人の運搬、【生命を蝕む呪いの海水拳】による攻撃を可能にする。
WIZ : インヴェイジョン・オーシャン
全身を【数万トンに及ぶ海水】で覆い、自身の【侵略への欲望】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
イラスト:炭水化物
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
シノギ・リンダリンダリンダ
その強欲やよし。それでこそ我が|玩具《しゅくてき》ですよ、王笏…いえ、カルロス・グリード
そんな素敵な我が玩具には、私も本気で挑ませていただきます
【一大海嘯】を解放
レベル体分、七大海嘯を召喚するば、邪剣を優先
島に乱立する刀、お前なら有利に扱えますよね、邪剣?
邪剣には数多の刀でそれぞれ別の属性の攻撃。特に速度を上げる風と、私と相性が良い毒や呪いの属性のものを
三ツ目や鬼火、他の王笏等にも刀を使ってもらいましょう
舵輪や鮫牙は各自の能力で
そして、桜花は攻撃に盾にしましょうか
蹂躙とは、心身共に行うものです
おめでとうございます、カルロス。愛しの桜花とまた会えましたよ?
あぁ、私はなんて慈悲深い
新たな世界を作り、既存の世界をその中に沈めんと出航したカルロス・グリード。世界を奪わんとする海賊の前に、それを阻む者が現れた。
「その強欲やよし。それでこそ我が|玩具《しゅくてき》ですよ、王笏…いえ、カルロス・グリード」
その名はシノギ・リンダリンダリンダ(|強欲の溟海《グリードオーシャン》・f03214)。その姿を見て、カルロスは面白いとでも言わんばかりに笑みを浮かべた。
「こちらも不都合の多い身故、残念ながら知らない顔だな。だが想像はつく。お前は何人の『我』を殺した?」
オブリビオンは倒され、復活する都度記憶の多くが抜け落ちる。だが、カルロスとて自身がかつて猟兵に完膚なきまでに敗れたことは流石に理解しており、それを成した者が自分の前にまた来ることも容易に想像はついた。
その答えを教えてやる、と言わんばかりに、シノギはユーベルコードを発動する。
「ふふふ。手伝ってくれるのですよね、お前たち?」
彼女の周りに現れたのは、153人の海賊たち。だが、その姿は大まかに7種類。
それは七大海嘯……もとい【一大海嘯】。レべルの数だけ七大海嘯の分身を呼び出すシノギのユーベルコードだ。
その先頭に多く並ぶのは、桃色髪の女。
「島に乱立する刀、お前なら有利に扱えますよね、邪剣?」
まさにこの島と同様の見た目を持った邪剣島の主ピサロ。剣の扱いならば随一であろう彼女に、この島の遺物である『刀』を取らせる。
それは風を巻き上がらせ彼女たちの速さを強化するが、カルロスはそれに慌てる素振りなど見せない。
「ほほう。なるほど、相当に経験はあると」
カルロスの体を大量の海水が覆う。それは侵略を成すための力となり、津波のようにその身を宙に押し出しシノギたちへと襲い掛かった。
圧倒的な質量を戦闘力に変えたその突撃は、簡単に邪剣の群れを押し流そうとする。その津波を風を纏ったピサとたちは乗り越えていくが、一方下に残った者たちはその波に潰される者もいた。
「三ツ目や鬼火、他の王笏等にも刀を使ってもらいましょう」
一旦引きながら、他の七大海嘯にも剣を持つよう指示するシノギ。地や鉄の重いものを三つ目に持たせ、火や闇のようないかにもそれらしいものを鬼火に取らせる。彼らはシノギの命ずるままにその剣を振るい怒涛の波を切り抜け、カルロスに立ち向かった。
一方剣を振るう程の力のない舵輪や剣を使う知能すらない鮫牙には自らの力で戦うよう指示を出す。圧倒的なカルロスの侵略の力はその抵抗を苦も無く飲み込んでいくが、しかし彼らはその瞬間にも僅かながら攻撃をカルロスへと与える。
やはり攻撃の主体となっているのは剣への造詣が深い邪剣の群れ。風を纏い素早く舞い、カルロスの体を刻んでいく。
「なるほど。だがこやつらの御し難さは我が一番よく知っている。操られている時点で本物に及ぶべくもあるまい」
それに介さずシノギを狙うカルロス。その前に、盾となるべき存在をシノギは差し出した。
「おめでとうございます、カルロス。愛しの桜花とまた会えましたよ? あぁ、私はなんて慈悲深い」
カルロスの妻にして七大海嘯『桜花』、メロディア・グリード。それを自らの盾とするべく前へ突き出した。
その妻の姿を、カルロスは海水を纏った腕でためらいなく貫いた。
「この程度で死ぬなら、あれはあそこまで苦悩していなかったろうよ」
メロディアの目的、それは不死を捨てること。例え王笏の力と言えど一度貫いた程度で消えるならばそれは己が桜花にあらずと、カルロスは一切の躊躇なく妻の姿をしたものを破壊した。
その腕は、さらにシノギに届いて破壊せんとする。
「……では、私の力でお相手を」
数万トンの海水から得た力、それを押し付けられシノギの体も揺らぐ。だがその海水の中でさえ、己の配下である海嘯は突っ切れる。
「届けなさい」
海水を突っ切り邪剣の群れがカルロスに襲い掛かる。水中では風の力も十全には発揮できないだろう。故に、彼女らが携えるのはよりシノギに近い力。
「自ら諸共……否、勝ち筋を見出したが故の、か……!」
「蹂躙とは、心身共に行うものです」
邪剣たちが突き立てた刀に宿るのは、辺りを侵す毒と呪い。それは水に乗って辺り構わず汚染していくが、自分に合った力故にシノギには利きは悪い。
やがて、汚れ切った大量の海水を捨てカルロスは一度下がる。よろけるその身からは、確実に彼の命と力は奪われていた。
成功
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フィーナ・シェフィールド
アドリブ歓迎です!
属性の力を持った刀なんて、珍しいものがありますね。
舞台で演じたサムライを思い出しながら、刀を手にカルロスに向かいます。
「この刀…わたしの翼と相性良さそう♪」
カルロスに足を止めさせないよう、足元を狙って風属性の刀で真空波を飛ばして牽制、海水の矢はシュッツエンゲルとオーラ防御で逸らします。
「…いきますよ!」
風属性の刀を片手に速度をアップ、カルロスの手の届く距離まで一気に接近し、【断帝櫻花剣】を発動。空中から悪しき者を断罪する長大な桜色の光の聖剣を引き抜き、そのまま破魔の力を込めた二刀で切りかかってカルロスを両断します。
「愛の心で、悪しき者を断つ!名付けて断帝櫻花剣・十文字斬り!」
ソアル・セレム
大正で属性で刀…うーんセレムちゃん分かる?
『知るわけないでしょ』
まあそれはともかく今回はソアルちゃんが行きまーす!
『接近戦ならソアルの方が得意だしね』
相手が水使いなら、こっちは雷属性の刀でいくよ!
『水が雷に弱いって単なる創作イメージらしいけどね』
でも反応速度も上がるから回避はしやすくなるかなって!
けどでっかいし飛ぶしなかなか手出しがしづらいね…!
こういう時は…セレムちゃんお願い!
『仕方ないわね。まああのガタイでこのバリアは避けられないでしょ』
(分かちあう運命発動、呼び出したセレムが電光障壁を発動しカルロスをバリアの迷宮に閉じ込める)
バリアに引っかかって動けなくなった処に突撃、刀で攻撃するよー!
カルロスの創造した世界グリードオーシャン・アルゴは、本家グリードオーシャンと同じく異世界のつぎはぎになっている。そして彼が侵略の第一歩として顕現させたこの島は、サムライエンパイアの島であった。フィーナ・シェフィールド(天上の演奏家・f22932)は、そこに突き立つ|サムライの象徴《刀》を抜く。
「属性の力を持った刀なんて、珍しいものがありますね」
異世界入り乱れるこの戦争で、真の戦場となっている世界サクラミラージュでスタアである彼女。いつかの舞台で演じたサムライを思いつつ、属性刀を手にカルロスへと向かい合った。
フィーナが面白いと評したその刀だが、ソアル・セレム(ホワイトシャドウ&ブラックブライト・f05001)はそれを手に首をかしげる。
「大正で属性で刀……うーんセレムちゃん分かる?」
『知るわけないでしょ』
内に宿す二つの人格で会話するが、サクラミラージュでもサムライエンパイアでも……もっと言えばUDCアースやその他地球系世界のいずれの出身でもない二人は共に刀の|来歴《元ネタ》など知る由もなかった。
しかし、それが分からなくとも成すべきことは分かる。
「まあそれはともかく今回はソアルちゃんが行きまーす!」
『接近戦ならソアルの方が得意だしね』
刀を手に、ソアルもまたカルロスへと向き合った。
「さて汝ら、刀剣が絶対に勝てぬ相手を知っているか? それはこれよ」
自分の前で刀を構える女たちに、カルロスは鷹揚に手を振った。そこから投げられたかのように放たれるのは、大海より無限に供給される『死の海水』の矢。
陸上はもちろん海戦であっても、弓、銃、大砲と言った飛び道具は戦いの優位を約束してくれる。だが、そのような常識など覆すのが猟兵の力でもある。
「この刀…わたしの翼と相性良さそう♪」
フィーナは翼をはためかせ、それを迎え撃つように刀を振るった。翼が起こした風が振るわれた刃を通って真空の刃となり、死の矢を切り落とすかの如くカルロスへ迫る。その刃はカルロスの足元を深く刻み、その場に留まることを許さない。
続いてソアルが構える刀からは、眩い電光が迸る。
「相手が水使いで仲間が風使いなら、こっちは雷属性の刀でいくよ!」
『水が雷に弱いって単なる創作イメージらしいけどね』
実際電流を流したところで水の組成が簡単に壊れる訳ではない。だが、科学的理屈だけで片付かないのが魔術属性というものだ。
電気がソアルの体を駆け巡り、その肉と神経を刺激していく。
「でも反応速度も上がるから回避はしやすくなるかなって!」
斬撃を宙を舞って逃げたカルロスの体を水の鎧が包み、巨大な魔人の如き姿となる。その巨体がソアルを踏み潰さんと落ちてくるが、正に稲妻の如き速さでソアルはその場から離脱した。
しかし、カルロスもその巨体を軽やかに回せ次なる攻撃の動作に入る。
「でっかいし飛ぶしなかなか手出しがしづらいね……!」
「しかも力技と飛び道具の合わせ技です……!」
柔と剛、力と速さを併せ持つカルロスの実力は相当なもの。フィーナが『シュッツエンゲル』のバリアとオーラで小技を弾く間に、その巨大な力を押し付けてくる。その剛腕が着弾する前にソアルがフィーナを抱え瞬時に離脱しさらにフィーナが羽ばたいて上に上がるも、それでも巨大な鎧は跳び越えられぬ高さ。
この力、この技、まともに競り合ってはいずれ押し切られる。なれば一気に勝負と、二人は顔を見合わせた。
「……いきますよ!」
まずは一気に、フィーナが飛び出した。刀を構え空中からカルロスへと迫る。そしてそれをカルロスが捉えようとした時、地でソアルも動いた。
「こういう時は……セレムちゃんお願い!」
『仕方ないわね。まああのガタイでこのバリアは避けられないでしょ』
【分かちあう運命】でユーベルコードとして具現化したセレムが、ソアルの持つ刀を通じ【電光障壁】を用いてカルロスの巨体を包んだ。その巨体は電光の壁に多くの面積で触れ、嫌がおうにも体を麻痺させられる。
「ぐ……動けぬ……!」
水の鎧に電気はよく通る。動けない巨大な的となったカルロスの前で、フィーナは悪しき者を断罪する長大な桜色の光の聖剣を引き抜いた。
「愛の心で、悪しき者を断つ! 名付けて断帝櫻花剣・十文字斬り!」
桜の光が縦に、風の刃が横に。より高みに達した【断帝櫻花剣】が破魔の力をもってカルロスを切り裂く。
「ソアルちゃんも、行きまーす!」
そしてその交差点、十字の中央に、雷の速さで踏み込んだソアルの一刀が突き立った。
「海が……割れる……!」
そこから巨大な鎧は砕け、死の海水も一時引く。鎧を散らされたカルロスはその場に倒れ、風雷携える乙女たちがその前に桜よりも華やかに立つのであった。
大成功
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黒城・魅夜
本当にあなたがイティハーサを着ているのですか?
実はあなた自身がイティハーサに着られているのではありませんか?
まああなたにせよイティハーサにせよ
他者の力や姿を借りねば何もできぬ無能に変わりはありませんね
桜花に対する己の真なる想いさえ吐露できぬほどですもの
鎖を範囲攻撃で舞わせ旋風を起こし目を晦ませると同時に
大地に突き立った刀を鎖で巻き取ります
剣術は得手ではありませんがこの剣を使いさせすれば良いのでしょう
鎖の先端に剣を絡めて海水を斬り裂き、引き裂いてあげましょう
実体が見えましたよカルロス、かつて第四猟兵と呼ばれたものよ
ゆえにあなたは今ここで滅びるのです
…せめて末期に名を呼ぶくらいすればいいものを
ルーノ・リゾストムトルンナ
今こそ決着をつけるぞ、カルロス・グリード!
コフレシ「まずはオレに乗った状態で【迷彩】状態で近づいて【貫通攻撃】を仕掛ける!」
次に海水の鎧が解けた隙を狙ってコフレシから飛び降りて雷属性の刀による電光石火で近づいて『海月触手』と斬りつけで攻撃だ!
かつての羅針盤戦争の時から、様々な衣装を着てきたカルロス・グリード。だが今彼は今までとは一線を画するものを纏っていた。
今彼が身に纏うのは盟約により鎧となった『幻朧帝イティハーサ』。ただの服ではない、力ある兵装としてそれは彼の身を包んでいた。
「本当にあなたがイティハーサを着ているのですか? 実はあなた自身がイティハーサに着られているのではありませんか?」
その力を纏う姿を、黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)はそう嘲る。
「なるほど、服に着られるというのは着道楽としては最も恥ずべき姿。我がそれであると言うか」
マントの外側に白い靄を揺らめかせ、カルロスは言う。それはオーバーコートのようにマントの上を覆い、海風を遮る外套であるかのようにカルロスの身を取り巻いた。
「まああなたにせよイティハーサにせよ他者の力や姿を借りねば何もできぬ無能に変わりはありませんね。桜花に対する己の真なる想いさえ……」
それに構わず、魅夜はさらにカルロスを嘲り続ける。その言葉を、巨大な水の塊が遮った。
魅夜はとっさに後ろに避けそれを躱すが、そのいた場所は圧倒的な質量を叩きつけられたかのように抉られ破壊されていた。
「ふむ、かつては必ず先んじられたように思うが、そうもいかない。汝の言うことも一理あるようだ。長い講釈痛み入る」
カルロスの周囲には【インヴェイジョン・オーシャン】による数万トンの海水が、鎧となって纏われていた。かつては猟兵に先んじて纏えていただろうそれも、今は敵が悠長に喋っていてでもくれないと先出しできぬとカルロスは嘲りを返す。
避けたところにさらに追撃をかけようと、カルロスは水纏う拳を振り上げる。それを振り下ろそうとした瞬間、強烈な衝撃がその手を跳ね上げた。
「今こそ決着をつけるぞ、カルロス・グリード!」
その手元から聞こえる勇ましい声。カルロスが纏った大量の水に紛れるように、白き何かがそこにあった。
彼の名はルーノ・リゾストムトルンナ(軟体系ハーフ少年とメガリスキャバリアたち・f34159)。
「まずはオレに乗った状態で迷彩状態で近づいて貫通攻撃を仕掛ける!」
ともに勇ましく言うのは『メガリス戦士コフレシ』。深海人という自身の特性を生かした隠密攻撃は確かにカルロスの手を捉え、死角からの一撃をまず見舞うことに成功していた。
その間に魅夜は鎖を振り回して旋風を起こし、カルロスの視界を晦ませる。そして同時にその勢いで血に突き立っていた刀の一本を巻き上げ、それを鎖で絡めとっていた。
さらにそれに合わせ、ルーノもまた次の行動を起こす。
「これが僕の本気の力だ!」
素早くコフレシから飛び降り、迷彩中に拾っていた雷属性の刀をカルロスの体勢が整わぬうちにと突き出す。さらにはそこに己の【海月触手】を重ね、電光石火に畳みかけた。
雷と刺胞毒という、まさに『痺れ海月』と言わんばかりの攻撃。さらにそこに魅夜が攻撃を重ねていく。
「剣術は得手ではありませんがこの剣を使いさえすれば良いのでしょう」
鎖の先端に巻き付けた刀を振り回し、海水を切り裂いてカルロスの身を引き裂かんとする。
「実体が見えましたよカルロス、かつて第四猟兵と呼ばれたものよ。ゆえにあなたは今ここで滅びるのです」
そのまま、力を込めてカルロスを仕留めようとする魅夜。
しかし、その刃はカルロスの手によって止められた。
「……この剣、およそ測り難き力を秘めていると見える。だが、それを引き出さずにただ振り回すならば……」
カルロスはそのまま刃を掴んだ手を捻り。
「ただの棒切れよ」
その刀身を捩じ切った。
「させない……」
ルーノが慌ててその手に突っ込もうとしていく。だが、その一瞬後その身体には巨大な水の剛拳が叩きつけられた。
「乾坤一擲。一意専心。素晴らしい心がけだ。だが、それを我はこう呼ぼう。ただの無策、と」
まともに攻撃を受けてしまい、ルーノは思い切り吹き飛ばされる。そしてその身を案じる間もなく、魅夜にも折られた刀諸共強大な一撃が叩きつけられた。
「おっと、返しに来たつもりだが、勢いがありすぎたか」
超音速で数万トンの海水と共に突進してきたカルロスを防ぐことができず、魅夜もまた吹き飛ばされる。
刀さえ振るえば勝利と思いそれ以外は戦略的に無意味な挑発に終始した魅夜。たった一本の道だけを目指し脇を全く固めず猛進したルーノ。相手が自分よりも強く、そして自分と同じように思考する存在であることを見落とした二人は、その強敵の前に地に伏していた。
二人ともすぐには立ち上がれない状態。とどめを刺そうとカルロスが二人に近づくが、その身に纏った水が徐々に引き始めた。
「……ふむ、思ったよりはやっていたようだ。ここはこのくらいにしておこう。あれを待たせると何を言われるか分かったものではないしな」
そう言って場を移すカルロス。その背に、魅夜は吐き捨てる。
「……せめて末期に名を呼ぶくらいすればいいものを」
己の本心を決して口に出さぬあの男。それよりは真っ直ぐに突き進んだ隣の少年の方がよほど潔いと、僅かに傷つけた敵の背を睨むのであった。
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
終夜・日明
【アドリブ連携歓迎】
桜舞う場を選んだのは妻への弔い合戦か?
メロディアを殺したのも我々だからな。
妖刀であれば精神に干渉する"狂気"属性もあるハズ、
【狂気耐性】で理性を保ちつつ雷の【属性攻撃】要素と『蠱毒』の特性を【武器改造】で付与
【斬撃波】による遠距離攻撃も可能にしておく
攻撃は【見切り】と【地形の利用】、『セラフィア・シルレード』での【盾受け】で防ぎ
【精神汚染/精神攻撃】と肉体ダメージで両面から奴の生存本能に【恐怖を与える】ことで条件を満たし
【串刺し】にしたタイミングで【指定UC】を発動して一気に叩く
貴様の妻にも見舞った一撃だ。
死が迫る恐怖に怯えながら骸の海に再び溺れ逝くがいい……!!
カルロスがサクラミラージュへ赴いた理由の一つ、それは妻メロディア・グリードを甦らせるためであった。
七大海嘯が一人『桜花』であり、無限の命を持ちながらついに殺しきられた女。そんな彼女を象徴するかの如きこの世界を侵略する男に、終夜・日明(終わりの夜明けの先導者・f28722)は向き合った。
「桜舞う場を選んだのは妻への弔い合戦か? メロディアを殺したのも我々だからな」
その言葉に、カルロスは凄みのある笑みで返す。
「弔いだと? あの女にはまだ生きて我が役に立ってもらわねばならぬ。その為に最適なこの世界を侵略したまでよ。だが、たとえ一時とて我が手からあれを離させた。その罪はここで償ってもらわねばならん!」
口の形こそ笑っているが、そこにあるのは狂おしいほどの怒り。その鬼気を肌で感じつつ、日明は地に刺さった刀を抜いた。
(妖刀であれば精神に干渉する"狂気"属性もあるハズと思ったが……予想以上に効くな)
多様な属性を持つ刀の中から選んだのは、心を侵す狂気の力。手に取った瞬間持ち主すら狂わせようとするそれを必死に抑え込みながら、その狂気に自らの力を注ぐ。
「相当に強力なものを取ったようだが……過ぎた力は身を亡ぼすぞ」
刀とのせめぎ合いを眼前で繰り広げる日明に、隙だらけだと言いたげに数万トンの質量を纏ったカルロスが飛んだ。
その質量は圧倒的だが、それだけに動きは否応なしに目立つ。自身に迫り来るそれを見切って跳び、日明は上空へと身をかわした。
だがさらにカルロスは上空へと飛行し、追撃を行う。それに対して日明は刀を強く振るい、斬撃波を飛ばすことで迎え撃った。
「これがその剣の力……というわけではあるまい。時間を与えるのはまずそうだ。手早く終わらせるとしよう」
その剣圧で多量の水を抉られながらもカルロスは攻める。その怒涛の攻めに、日明は島にある他の剣や桜を盾にし、またそれでも追いつかなければ羽根のような形を模した自律攻撃ユニット『セラフィア・シルレード』で攻撃を受ける。
そしてその間にも、遠距離からの斬撃波、そして間合いに入られれば自身の放つ雷を乗せての突き込みをカルロスへと当てていった。
何度か相手を掠めることには成功するが、しかし決定打には到底ならない浅手ばかり。その体に与えた傷は、おおよそ無視して問題ない程度のものでしかなかった。
しかし、体以外に刻まれたものは。
「……怒りが消えているぞ」
カルロスが戦う前に確かに見せていた怒り。それが湧き上がる別のものに書き換えられつつあることを、日明は確かに見た。そしてここが機とばかりに、相打ち覚悟で一気にカルロス本体に突進し刀を突き立てる。
「生存本能から揺り起こす恐怖には誰も敵わない――その竦んだ瞬間が、貴様の生死の境目だ」
そこに、刃から直接【《蠱毒》顕現・虞に猛り立つ蒼雷霆】を流し込んだ。日明が回避主体に動きながら行っていたのは、狂気の力を秘めた刀のさらなる改造。己の体にある《蟲毒》の力をそこに加えることで、心を侵し体を腐らせる滅びの妖刀へと刀を進化させていたのだ。
この男は妻を愛し、そしてそれを滅したものに怒りを燃やしていた。それは彼が正しく感情を持つ証拠。心を揺さぶる恐るべき刀を用いれば、そこから身を亡ぼす毒を流せるという確信の元日明は相手を恐怖で支配する魔の刀を作り上げたのだ。そしてそれは刃が少しでも掠めるたび心を攻め、生存本能を侵していった。
「貴様の妻にも見舞った一撃だ。死が迫る恐怖に怯えながら骸の海に再び溺れ逝くがいい……!!」
カルロスの体が毒の雷雲に包まれ、その命を青い稲妻が食らう。そしてその稲妻を放つ雲は外にだけではない。カルロス自身の体の中にさえ打ち込まれ、内部からその体を破壊し続けているのだ。
3年前、これを持って日明はメロディア・グリードを生き返る端から殺して殺して殺しまくった。そして今、それよりはるかに強大なその夫の命を同じ方法で喰らい尽くさんとする。
「この程度……あれの苦しみに比べれば……!」
体を取り巻く海水が弾け、カルロスが慟哭する。そこに込められた感情は一体如何な名を持つものか。
だがそれなど知らぬ、ただ今は滅べと、日明は突き刺した死と狂気の刃を捻るのであった。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
まあ、わしになるのよなぁ。
手に取ったのは風であるか。ふむ、面白いことをしよう。
風で速度上昇はもちろん、わしの属性である炎を乗せてからの斬撃波である!
しかも、素早く動くでなぁ。その海水の矢を見切って避けよう。…死はわしに、わしらにとって身近であるから、気配も読みやすい。
ああ、本命の攻撃はな。「どうしてもやりたい」と言うた孫的存在に任せた。
※孫的存在
陰海月「ぷ!」(グリードオーシャン出身)
コンキスタドール大嫌い!こっそり後ろに回ってからの、UCつき怪力パンチ!
次にカルロスの前に立つのは一人の男。
「まあ、わしになるのよなぁ」
彼の名は馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)。そして今顕現しているのは、武の達人である『侵す者』。
その男の言葉と纏う気配に、カルロスは不敵に笑う。
「果たしてそうか? お前だけはあり得ぬ、と言った方が良い気がするが」
己の力は無限の大海。それはどんな業火であろうと飲み込む尽きぬ大水。火が水を侵略できぬ様に相手が己に勝てる道理はないと、カルロスは義透の力を見透かしたように言う。
ならば、この島の遺物たる刀の力を重ねるか。しかし、義透の手にした刀もまた彼とは違う力を秘めていた。
「風であるか。ふむ、面白いことをしよう」
そこに込められしは風。誰よりも先んじる第一席にこそ十全に使い能う力ではないだろうか。現に義透は己のみに風を纏い高速で動くが、それはもしかしたら疾き者であれば己の身一つで出せるかもしれないもの。
「さて、それではいつまで避け続けられるかな」
その義透に、カルロスは死の海水の矢を放ち始める。素早く体の中央を狙う一矢は横に、広く並べられた矢は上に避け義透はその攻撃をかわしていくが、カルロスはその動く先にも指を向け、逃げた先にも偏差の攻撃を放って義透を追い込まんとする。
なればと義透は刀を構え、それを力強く振り下ろした。
風の力を持つその刀から巻き起こるのは当然暴風。なれど、その風は夏の空気を孕んだ以上にあまりにも熱かった。
「わしの属性である炎を乗せてからの斬撃波である!」
力はだけでない、掛け合わせてより高みに上げることもできるのだ。炎は風を喰らい、燃え盛る斬撃波となってカルロスを襲う。
「そう来たか……なら、勝負よ!」
カルロスはびったりと足を止め、死の矢を猛連射した。それは火炎の斬撃と辺り、次々と蒸発させられて行く。
しかし一方、点の力は面を貫く。炎の幕を抜けた矢は義透を射抜かんと襲い掛かり、義透は刀を振るいながらもそれを避けていく。
そして、一本の矢が正面から来た。その勢いは凄まじいながらも真正面。一刀のもと叩き落とすは武人にとっては容易い。
「……死はわしに、わしらにとって身近であるから、気配も読みやすい」
義透はそれを、刀を下げ避けた。義透の横を、その矢が通り過ぎていく。
「……その言葉、我が妻の前で言って貰いたかったな」
その矢は、二本が重なり全く同じ軌道で放たれていた。一本を叩き落とせば、後ろの一本がその後隙を確実に狩っていただろう。重なる死の気配を読み、義透は避けたのだ。
しかしまだカルロスの連射は終わらない。|力量《レベル》の時間だけ放たれるこの矢に果たして終わりなどあるのか。炎嵐を越えた矢は、少しずつ義透を掠め始めた。
「さてどうした。火加減が弱ってきたように見えるが」
如何に武の達人と言えど、元フォーミュラと正面からぶつかり合っては分が悪い。その炎と風の力は確かにカルロスを焼いていたが、それと同時に敵の攻撃もまた義透を確実に削っていた。
このまま削り合いになれば、どちらが倒れるかは明白。しかし矢への対処を一瞬でも止めれば、攻め返す間もなく己は矢襖になる。
「ああ、本命の攻撃はな。「どうしてもやりたい」と言うた孫的存在に任せた」
だから、最後の一撃は剣にも武にも頼らない。
「ぷ!」
カルロスの後ろから、|自立して動ける武器《ジャイアントくらげ》の『陰海月』が回り込んでいた。
『コンキスタドール大嫌い! こっそり後ろに回ってからの、UCつき怪力パンチ!』
人語喋れぬ彼の言葉を代弁するならそんなところだろうか。
極めし武と島の遺志たる風、それを全て幕とし進んだ知り難き影が、【それは火のように】カルロスの背を捉えた。
「ぐっ……!」
カルロスがよろめくと同時に矢の連射も止まる。武は、武器は、ただ相手を倒すためにぶつけるに非ず。目的の為に手を尽くした武人は、同じように全てを尽くそうと世界渡った男を地に伏させたのであった。
成功
🔵🔵🔴
マリン・フィニス
……ならば、あの海に生まれし者として、貴様を止める
此処が貴様らの旅路の終着点だ、「コンキスタドール」…!!
普段の「獲物」とは違うが…雷属性の刃を借りるぞ
乗騎鮫の『サメット』に騎乗、メガリス『蒼海の鎧』の力による天候操作で大雨を降らせ凍結・電撃属性のバブルを罠として周囲へと浮かべながら挑む
相手の攻撃は回避を狙うが、どうしてもという場合は『アクアシールド』を出して受け流す
十分バブルを浮かべ、雨を降らせたならばUCを…!
雨、海、全ての水を塩水の槍へと変換し、一気に貫かせて動きを止め(傷口に塩だからな、痛いぞ)、そしてサメットと共に突貫、相打ち覚悟で「雷の」刃を奴に突き立て、一気に通電させるぞ…!!
幻朧戦線将校カルロス・グリード。その大元の出自は七大海嘯が一人『王笏』であり、グリードオーシャンのオブリビオン・フォーミュラであった。
「……ならば、あの海に生まれし者として、貴様を止める。此処が貴様らの旅路の終着点だ、「コンキスタドール」……!!」
故にマリン・フィニス(蒼海の騎士・f26997)にとってはその頃より、そして今もって故郷の大敵。
「ほう、あの海より我を追ってきたか。何、気にするな。すぐにここも同じ世界となる」
今カルロスが為さんとしていることは、その海を再び作ること。しかし、それを許すわけには行かない。それを阻む力となるものとして、マリンは突き立つ刀を手に取った。
「普段の「獲物」とは違うが……雷属性の刃を借りるぞ」
手にした時からその刀には電光が迸っている。日本刀は使い慣れぬ武器だが、それを携えマリンは愛鮫『サメット』に騎乗した。
そのマリンをカルロスは油断なく見る。
「その力を使うとはまさに海の者。しからばこちらも同じ力でお相手しよう」
巨大な海水の鎧を纏うカルロス。鮫はグリードオーシャンにおいて力の象徴。それを海の力で迎え撃たんとカルロスは拳を振り上げた。
それに向かいサメットが飛ぶ。そしてそれと同時に突如として周囲に大雨が降り始めた。マリンの着る『蒼海の鎧』は雨を呼ぶメガリスでもある。
その豪雨を切り裂き、カルロスが拳を振るう。だがそれは何かに突っかかり威力を減らされ、さらにはそこに強い衝撃が辺り真上に跳ね上げられた。
「ほう……?」
大雨に紛れ何かが浮いている。それは水を操作し作られた大きな泡であった。そこにはマリンの得手とする氷結と、刀より借りた雷の力が込められていた。それを雨に紛れて周囲に撒いて防御幕とし、マリンはカルロスに向かっていく。
「面白い。だが、一度見えれば簡単よ!」
巨大な鎧諸共カルロスが飛翔。自身の重量まで乗せたさらなる剛撃がマリンを襲う。今度はバブルも押しのけられ、大した妨害にはなっていない。
「く、ならば……!」
マリンはとっさに『アクアシールド』を突き出しその一撃を受け流した。だが、やはり相手の重量はすさまじくサメット諸共体が押しこまれてしまう。
そのまま鎧の表面を滑るように一度カルロスとすれ違うマリン。重量に負けないよう耐えながら、巨大な鎧を通り抜け一度相手の後方にでる。
後ろを取る形。だが、すでにカルロスは瞬時に振り返っていた。その巨体に合わぬ俊敏さはやはり王笏の実力に翳りなしと言ったところか。
周囲に降りしきる雨、無数に浮かべたバブルも最早相手はものともしていない。最早これだけでは足止めにもなるまい。故に捨て置かれている。ならば、今ここで。
「天の水、地の水、我が声に応え………我の敵を穿て!!」
マリンはユーベルコード【スプラッシュ・スピア】を発動。その瞬間、視界を覆う程に降りしきっていた雨が一瞬にしてやみ、島は晴れ渡り乾いた大地となった。
今まで降りに降らせた雨、海、全ての水がマリンの力で塩水の槍へと変換。マリンはそれにカルロスを一気に貫かせた。
水はカルロスの力。されど、カルロス自身は強靭ではあるが通常の形と感覚を備えた人型の存在。
「傷口に塩だからな、痛いぞ」
大量の水が変じた激痛の槍は、カルロスの巨大鎧さえ貫いてその身を穿った。その傷は彼ほどの実力あればまだ致命傷には遠い程度だが、その傷の深さ以上に動きを鈍らせカルロスは顔をゆがめている。
その刻まれた傷、そこに向け、マリンはサメットを駆った。
「相打ち覚悟……滅びよ、王笏!」
繰り出される剛拳を、今度は防御無視で無理矢理突っ切る。そして槍が穿った傷口に、今度は刀が突き刺さった。
「ぐうぅぅぅぅぅぅっ!!」
そこから電撃が迸り、大量の雷がカルロスの体内に直接流し込まれる。さらに電撃は海水にも一気に通電し、鎧を電気の檻へと変える。
豪雨の後に注いだ爆雷。それによって海水の鎧は砕け、マント姿に戻ったカルロスが仰向けに倒れた。
最早お前のいる海などどの世界にもない。海に生まれた騎士が海賊の王にそう告げたかのような光景であった。
大成功
🔵🔵🔵
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
矢張り、凄まじい相手ですねぇ。
戦闘後を考えるのは辞めましょう。
『FAS』により飛行、『FLS』で|全『祭器』《未装備含》を召喚後、空間歪曲障壁を形成しまして。
【阦勈】を発動、最大数の『複製人形』を召喚しますねぇ。
全員が『祭器』の複製を持つ以上、『FTS』による回収から『属性を秘めた刀』を入手出来ますし、元々『刀』を扱う以上、十分な技量で振るうことも可能ですぅ。
【海王の矢】と近似属性の『水』や『死』を得た『人形』は『FIS』の転移で本体含む他の方をガード、「狙われた方が転移回避する時間」を稼ぎ退避して頂けましたら。
『土剋水』からくる『土』や、一般的な『雷』等の『水に優位な属性』の品を得た方は、『儀礼刀』の様にして[結界術]の核に使い『祭器』に該当属性を纏わせ攻撃の中心に。
私自身は『神属性』の刀に『虚音』を融合、『女神様の加護』である【阦勈】で召喚した方々や『祭器』の強化として使い、折を見て皆の『神属性』を集めて強化に使用、『祭器』と重ねた最大級の攻撃を行いますねぇ。
世界を作り、それ以外の世界を水に沈め、そしてその行為を阻みに来た猟兵と連戦してなお立つ。フォーミュラの座を捨ててなお、カルロス・グリードの力は途方もないものであった。
「矢張り、凄まじい相手ですねぇ」
夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は幾度となく彼と戦ったこともあるが、そのいずれもが強敵。そしてそれはここでも変わらないと見る。
「戦闘後を考えるのは辞めましょう」
るこるは空中に浮き、装備を展開しながら言う。
「その必要はない。死した後のことなど考える意味など無かろう」
戦闘の決着は相手の敗死のみ。その意を表すかのように、カルロスの周囲を死の海水が取り巻いた。
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『烈兵の加護』をお与え下さいませ」
るこるは【豊乳女神の加護・阦勈】を発動する。それにより大量のるこるを模した人形が出現。さらに辺りに散らばっていた刀を回収、その人形にありったけ支給した。
そして人形の群れを見たカルロスは顔を険しくする。
「増殖する残滓……お前のような慎みない者があれを真似るなど、悪ふざけにしても度が過ぎる」
無限の分体を生み出しけしかけたメロディア・グリード。重厚なドレスに身を包んだ彼女と体のほとんどを衣服からはみ出させたるこるを対比させつつ、それらにむけて死の矢を放った。
矢は次々と人形に突き刺さりそれを砕いていく。しかし7500体を超える人形を一射で仕留め切ることは流石に叶わず、人形たちは様々な陣形を取り始めた。
るこる本体の周囲に転移させられ集まった者は刀を前に構えて防御の構えを取り、外側に並んだ者は前に構え攻撃に移る姿勢を見せる。
「最も固く守られている所に急所はある。我が目を欺けると思うな」
カルロスは脚を開きしっかりとその場に立ち、その陣形の奥、るこるがいる場所に向けて三倍速での連射を放った。
勢いを増した死の矢が陣形を貫かんと迫る。それに対して防御の人形は自らの剣を差し出し、そこで屋の連射を受けられるだけ受けようとした。
屋の勢いはすさまじく、衝撃で刀が揺れる。だが、その矢は剣に当たると同時にただの水となって飛散、さらに下に落ちることなく刀に吸われていく。
防御人形が持つ刀の属性はカルロスの攻撃と同じ『死』と『水』。カルロスは確かに水属性の王でありその攻撃は通じ難いが、防御に使うのならばその特化は守る方向を読みやすくさせるだけ。
そのまま一部の防御人形を護衛に着けつつ、攻撃人形たちは矢をかいくぐり広く布陣。そして人形たちは手にした刀を、ある者は地に突き立てある者は天へと掲げた。
すると点に暗雲立ち込め雷が鳴り、地は島そのものが立ち上がるかの如く脈動し地面が隆起しだした。
まずは雷がカルロスに落ち、死の海水を伝ってその身を痺れさせる。そして土の壁はカルロスを囲み、その存在自体を重圧にするかのように相手の水の力を押し込み始めた。
雷は分かりやすく水の弱点。そして土は『土剋水』の理により水を制圧する。特に後者は3年前、彼女の仲間がある階族を制圧するときにも用いた理。その結界で敵の水の力を抑え込みつつ、同じ力を与えた祭器による砲撃や斬撃が一気にカルロスを攻め始めた。
「ぐうっ!」
足を止めていたこともあり、それらを避けることもできずカルロスは傷を負う。さらに刀を本来の武器として剣技用いて切りかかる人形もいたが、カルロスはそれを正面から迎え撃ち矢の至近連射で打ち倒してしまった。
「なかなかやる……が、所詮お前は有限の命。我が海は無限、そしてあれの命もな……!」
人形は多いとはいえ有限、そしてその数は、そのまま解除時にるこるに反動として襲い掛かる。今までも命懸けで限界まで反動を許容して技を放ったことはあったが、そのたびに解除後には命の危険にさらされるまでの苦しみがあった。るこるが最初に言った言葉の意味はそれだ。あるいは人形が全滅してしまえば、終戦を待たずしてそれがくるかもしれない。
強化され、刀を携えた大量の人形相手にここまで戦い抜くカルロスの実力は凄まじい。しかし、るこるもまだ本体自身は攻めてはいなかった。
そしてここでついに本人が動く。自らの脇差『虚音』に島で取った刀を重ねる。するとそれは吸い込まれるように一体化し、一つの神々しい刀となった。
その刀の属性は、『神』。
女神の使徒であり、その祭器、その力、全てがるこるの源となる属性。ただ持っているだけでも神の力である人形たちの指揮と強化は出来た。
そして今、その神刀を手にるこるは前に出る。そして彼女に追いこされるとともに、人形とその装備は次々消えてその刀に吸い込まれて行った。
「来るか、猟兵……!」
最早人形など捨て置き、カルロスは最後の連射を向かい来るるこるにかける。それは一線にるこるを貫こうとするが、構えた刀に近づくだけで消し飛ばされた。
その矢は死。そしてるこるは豊穣……『生』に連なる女神の使徒。逆属性に特化したその刀は、死の矢を拒む縦ともなる。
「分からぬ、刀の力だけではあるまい!」
そう。いかに逆属性を張ったとてカルロスの力を消しきることは出来まい。それを成した最後はオーバーロード。あの羅針盤戦争の時には無かった、猟兵の最大最高の禁じ手。
神を、命を、オーバーロードを、全てを乗せた刀を、ついにるこるは振り上げる。
そして最大級の一撃が、カルロスへと振り下ろされた。
「ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
それはカルロスを無限の海、グリードオーシャン・アルゴ諸共切り裂くかの如き斬撃であった。
舞い散る鮮血と共にカルロスの帽子が取れ、マントが千切れ、そして手から地球儀が取り落とされる。
「我は、ここでも……すまぬな、イティハーサよ……だがしかし、足りぬ……せめて、ひとひらを……!」
倒れた男が、何かを欲しがるように手を伸ばす。その掌に桜の花びらが一つだけ落ち、そしてその身体とともに消えていった。
こうして、世界またぎ続いたカルロス・グリードの侵略は潰えた。彼の船出は今度こそ骸の海へか、それとも。
舞い散る桜があの男をどこへ運ぶのか、それは誰にも分からないことであった。
大成功
🔵🔵🔵