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帝都櫻大戰⑳〜新皇よ、櫻華に沈め

#サクラミラージュ #帝都櫻大戰 #第三戦線 #幻朧帝イティハーサ #ソウマコジロウ

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 これは、太平の世。
 世界の底に封じられた幻朧帝は斃され、影朧は幻朧櫻の導きで癒され転生していく。
 故にテロルや猟奇事件も平定され、世界の発展は果てを知らない。

 人々は繁栄を謳歌し、この無限繁栄を齎した立役者を寿ぐ。

 弥栄であれ、|朧櫻舞う光輝の世界《輝けるサクラミラージュ》。
 永久に護り給え、新皇ソウマコジロウ。世界の守護者よ。



「この大戦も最終局面に入りました」

 一同を迎える神塚・沙羅(優しき闇の紡ぎ手・f35281)の表情は固い。ここまでの戦線で、グリモアは幻朧帝イティハーサの喉元に刃を届かせるに至った。
 しかし、幻朧帝イティハーサはその権能を以て、この戦いで猟兵と刃を交えた存在達を骸の海より再孵化させ、彼等に新たな世界を与えた。

「私が道を見つけたのは、|朧櫻舞う光輝の世界《輝けるサクラミラージュ》。 ソウマコジロウの創造した世界です」

 再孵化したソウマコジロウは、幻朧帝イティハーサの権能で「幻朧帝が完全滅殺された世界」を創造した。七日天下のその先にあった筈の世界を。

「再孵化し、|朧櫻舞う光輝の世界《輝けるサクラミラージュ》の新皇となったソウマコジロウには、第一戦線の記憶はありません」

 七日で終わったその天下の先の世界なのだ。当然、大戦の先触れとして猟兵達に情報を伝えた事も、帝都桜學府で刃を交えた事実も彼の裡には存在していない。むしろ猟兵達を「太平の世を終わらせる叛逆の徒」として対処にあたるだろう。

「軍神たる性からか、彼は叛徒の存在を察すれば自ら討伐に姿を現します」

 戦い方も基本的には、帝都桜學府の折と変わらない。

「……ただ、再孵化の影響でしょうか。 その力に、幻朧帝イティハーサの力が混じっているようです」

 勿論、不可視の力は健在。故に、その対策は必要になる。

「彼は帝都桜學府での戦いの折は幻朧帝の臣として防人に徹していましたが、今回は新皇として対峙するので、いくらかの会話の余地は在りそうです」

 無論、それは気休めにしかすぎず、戦局に影響を与える事はあまり無いかもしれない。|朧櫻舞う光輝の世界《輝けるサクラミラージュ》を守る存在と、|櫻花幻朧界《サクラミラージュ》を守る存在の戦いなのだから。

「この世界は例え制圧叶わなくても他世界を侵略する事は無いでしょう」

 閉じた無限繁栄する世界。それが果たして正しい姿なのか。そして、幻朧帝を斃す為には、この世界の制圧は避けられないのだ。だから、沙羅は道を拓く。あってはならない無限の繁栄を謳歌する|朧櫻舞う光輝の世界《輝けるサクラミラージュ》、その帝城へと。


白神 みや
 初めましてのかたは初めまして。
 そして、そうでない方はご無沙汰しております。|白神《しらかみ》です。

 帝都櫻大戰シナリオ、三本目です。
 第三戦線、|朧櫻舞う光輝の世界《輝けるサクラミラージュ》にてのソウマコジロウ戦をお送りします。

●プレイングボーナス
 敵の必中先制攻撃に対処する。
 敵の透明化能力に対処する。

 幻朧帝の力をも手にした不可視の新皇の一手を凌ぐ為の手段への対応を。

●お願い
 公開後すぐプレイング受付を始めます。公開時点の受付締めは23日8時29分予定です。
 今回も戦線形式ですので、第三戦線終結までに完結を目指します。そのため、返却の可能性もご留意の上、ご参加ください。
 締め時刻を過ぎて成功可能人数に満たない場合にのみ、延長しますが、執筆リソースとの折り合いで単騎でのご参加のみ受付予定です。成功可能人数以上だった場合、締め時刻以降のプレイングはお返しとなります。ご了承ください。
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第1章 ボス戦 『ソウマコジロウ幻朧態』

POW   :    透明逆転剣
【舞い散る幻朧桜】が命中した敵を一定確率で即死させる。即死率は、負傷や射程等で自身が不利な状況にある程上昇する。
SPD   :    透明魂魄刀
【鷹の如く飛翔する、無数の透明な日本刀】で攻撃する。命中すると【世界創造の力】を纏い、レベル分間[鷹の如く飛翔する、無数の透明な日本刀]の威力と切断力が上昇する。
WIZ   :    透徹たる眼光
戦場内に、見えない【幻朧桜の花弁】の流れを作り出す。下流にいる者は【オブリビオンと化す運命】に囚われ、回避率が激減する。

イラスト:炭水化物

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フィーナ・シェフィールド
もしかしたら、わたしの故郷もこんな世界になっていたのかな。
でも、幻朧帝の力を残しておいたら、封印の大地であるわたしの世界の未来に禍根が残ってしまう…
この世界にとってわたしは悪でも。
自分勝手な女の子かもしれないけど。
あなたと、戦います。

周囲に展開したシュッツエンゲルにモーントシャインを纏わせオーラ防御の結界を構築。
見えない幻朧桜の流れを逸らします。

全力で防いでも、長くはもたないから…
幻朧桜の流れからソウマコジロウさんの位置を素早く見極め、【百花繚乱】の白き炎の花吹雪を放ちます。

破魔の歌声に祈りを込めて。
「コジロウさんの清冽な生き方、好きだったわ」
帝の力を、悪しき呪縛を。白き炎で浄化しつくします!



●白焔桜華
 永遠に繁栄する太平の世界。

(もしかしたら、わたしの故郷もこんな世界になっていたのかな)

 フィーナ・シェフィールド(天上の演奏家・f22932)は、故郷である本来の|櫻花幻朧界《サクラミラージュ》に想いを馳せる。今まさに幻朧帝により滅びに瀕した故郷は、フィーナ自身は勿論、数多の猟兵達によって護られようとしている。その最中に生み出されたもう一つの世界、|朧櫻舞う光輝の世界《輝けるサクラミラージュ》。

(幻朧帝の力を残しておいたら、封印の大地であるわたしの世界の未来に禍根が残ってしまう……)
「けれど、コジロウさんの清冽な生き方、好きだったわ」

 フィーナは帝城の門に佇む相手を見据える。

「『第六猟兵』。この長久平安の世界に、異を唱えるか」

 ソウマコジロウ。この世界を見守る新皇が、フィーナの視線を受け止める。

「この世界にとってわたしは悪でも」

 彼は、フィーナの言の葉を聞く。それがこの世界の主の責であるかのように。

「自分勝手な女の子かもしれないけど」

 叛逆者であろうともこの世界に在るのであれば、己の臣であるとでもいうように。それは、果たして慈悲か、それとも。

「――あなたと、戦います」
「ならば来るがいい、六番目の猟兵」

 その言葉と共に、新皇の姿が消えていく。不可視の力使う事は既に識っているフィーナは、考えるよりも先に己の周囲に防具を複数併用した防御壁を組み上げていく。
 柔らかな光を纏う防御壁がみしりと微かな音がし、揺れた。全力で受け止めてはいても、見えぬ力の流れは少しづつ、川の流れが地形を変えていくかの如くフィーナの護りを削ぎ取っていく。

(やっぱり、長くはもたない……)

 受け止める流れの強弱を読み取って、流れの起点を探す。恐らく、彼はそこに居る筈だから。

「『花のように咲く炎、数多の夢が空を焦がす』」

 其処に向けて、歌を捧げる。新皇を幻朧帝の悪しき呪縛から解き放つために、フィーナは歌う。それと共に、白い浄炎を纏う|桜花《さくらばな》が舞い上がり、不可視の力の流れを相殺していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
輝けるサクラミラージュ……この世界が実現していたらどれだけ良かったかと思うよ
尤も、その場合俺は猟兵になっていなかっただろうが……まあ、詮無いこと
どうあれ俺は、この世界を壊すのだから

利剣を構えてソウマコジロウと相対
彼の姿も、飛翔する日本刀も見ることはできないが
それでも彼がいつ、どこを狙うかは分かる。前に戦った経験が生きたな
防げる限りは刀で叩き落とし、負傷を最低限に抑え込みつつ前進して

世界創生の力とやらは危険だが、しかし強い力は明確に気配として現れる。位置が分かりやすくなる分、躱すのは寧ろ容易いな

此方が近付けば彼も斬り掛かってくるだろう
その一撃に対し、澪式・玖の型【辻風】。先手を取って斬る



●剣風疾駆
「……この世界が実現していたらどれだけ良かったかと思うよ」

 夜刀神・鏡介(道を貫く一刀・f28122)は、相対した新皇に向けて言った。それは、嘘偽りない思い。
 もしも|櫻花幻朧界《サクラミラージュ》はこの道をたどっていたら、鏡介は故郷で穏やかに、神刀に選ばれる事も、猟兵になる事もなく生きていただろう。しかし、現実はそれを許さなかった。だから、鏡介は此処に立つ。

「詮無いことだ。どうあれ俺は、この世界を壊すのだから」
「我はこの世界の諸悪の根源を滅せし、長久平安を守護する者。故に、この世界を滅ぼす者に情けをかける理由は無い」

 互いの目的が相容れる事は無い。故に、鏡介は宝貝の刀を構え、新皇はその姿を不可視と変える。
 これは、互いの生き様を示す戦い。

 鏡介には新皇の姿やその攻撃を視覚で追う事は出来ないが、この大戦の序盤に透明軍神である彼と幾度も刃を交えたのだ。幻朧帝の力をもその身に併せ持っている新皇の纏う気配は、全く同一では無くともこの身が覚えている。
 故に、攻撃が己に向いたと判断するよりも早く、刀を持つ腕が動き、攻撃を払った。刀同士がぶつかる感覚を腕に感じながら、鏡介は前へ――新皇の気配と思しきものの方へと足を進める。

(強い力が明確になってきている)

 捌き切れなかった攻撃が、鏡介の身を傷つける度に、覚えにある透明軍神と重なるもう一つの気配が色を濃くする。気配が明確になればなる程、剣豪である鏡介にはその居場所を察する事は容易くなる。

「『一手遅い――澪式・玖の型【辻風】』」

 そうして近づいた鏡介に向けて放たれた一閃。そこに重ねるように鏡介は|その剣技《ユーベルコード》を解き放った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

伊澄・響華
理想の世界。
この世界を残した方がいいのか、消した方がいいのか。
何が正しいかなんて知らない。
でも、帝の力は残しておいちゃいけない気がする。
「だから討つわ。だって、わたしは殺人鬼だから」

「わたしに触れないで!」
殺人鬼としての殺気。敵対者を否定するオーラ、Verweigerungを全力展開。
見えない幻朧桜が直接身体に触れるのを拒絶します。

「…そこ」
殺気に触れた桜の位置から敵の位置を把握。
Kette des WaffeにPresence of Exterminationを注ぎ込み、大鎌の形に変形させ、心眼で見抜いた敵の急所を刈り取ります。
「さようなら、幻朧帝」
わたしの死に至る病は、絶対逃がさないわよ。



●|拒絶殺気《Verweigerung》
(――“天使”の力の残り香?)

 伊澄・響華(幻惑の胡蝶・f44099)は、帝城に残る戦の気配の中に知るものを感じて薄く笑む。彼女も変わらず戦っている、今はそれで充分だ。正義が何処にあるかなどと言う事は、殺人鬼の|性《さが》を持つ響華には知ろうとするつもりはない。

「ただ、貴方の持つ|幻朧帝の力《その力》は、残しておいちゃいけない気がする」
「長久平穏を維持するこの力を否定するか」

 新皇が響華を見据える眼は当然鋭く厳しいが、響華はそれを受け止める。

「ええ、だから討つわ。だって、わたしは殺人鬼だから」

 言葉と共に、響華は艶やかに、明確に微笑んだ。それが、戦いの始まり。
 新皇の姿が薄れると共に、周囲の幻朧櫻の花弁が不自然な程に逆巻いた。戦う者の直感が、あの花弁は触れてはならぬものだと悟らせる。

「わたしに触れないで!」

 花弁が触れる寸前に殺気を纏わせた|防御膜《Verweigerung》を可能な限りの速さと出力で展開する。自らに向けられる敵対行為を否定し、拒絶し、無効化する|防御膜《Verweigerung》が、その身体に花弁が触れる事を許さない。
 響華は、自分の殺気と|防御膜《Verweigerung》に触れる花弁を遡り、不可視の新皇の居所を探る。

「『あなたにあげるわ。『絶望』の二文字を』」

 武器として所持する鎖に闇色の殺気を注ぎ込み、大鎌へと変化させる。

「さようなら、幻朧帝」

 響華の大鎌が、新皇に向けて振り下ろされた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

森宮・陽太
【WIZ】
アドリブ連携大歓迎

例え繁栄が約束されている理想世界だとしても
これが幻朧帝が未来を否定し生み出した幻想と分かっているなら…ぶっ壊す

透明化対策だが、姿を消しても気配と殺気までは消せねぇはず
「第六感、聞き耳」で俺自身の直感を信じつつ攻撃の兆候を察し受け止めたい

幻朧の花弁の流れも、流れる気配を察知し把握したい
流れを上流に遡れば…流れの起点にはソウマコジロウがいるよな?
幻朧桜の流れをかき分け上流へと少しずつ歩みを進め
流れが異常なまでに緩やかになったら「高速詠唱、言いくるめ」+指定UCで「破魔、浄化」特化のアスモデウス召喚
「属性攻撃(聖)、破魔」の白炎を噴かせて、ソウマコジロウを浄化してやる!



●破邪獄炎
 森宮・陽太(未来を見据える元暗殺者・f23693)は|電脳の都《サイバーザナドゥ》で生まれ、今は|櫻花幻朧界《サクラミラージュ》に居を置いている。平素の|櫻花幻朧界《サクラミラージュ》を知り故郷との差異をも知るからこそ、|朧櫻舞う光輝の世界《輝けるサクラミラージュ》が繁栄を約束された世界である事がよく判る。

(だが、これが幻朧帝は未来を否定し生み出した幻想に過ぎねぇんだよな。なら――)

 やるべき事は決まっている。故に言葉も交わす必要は無く、陽太は武器を手にする。
 迎え撃つ新皇は無論それを黙って見過ごす訳もなく、静かに戦いは始まった。不可視と成った新皇は、その力を陽太に向けて放つ。

(流れを上流に遡れば……流れの起点にはソウマコジロウがいるよな?)

 陽太は自身が研鑽した感覚を信じ研ぎ澄まし、自身に向かって疾る不可視の力の奔流の流れを読み、進む。
 見えぬ奔流を掻き分ける度に、身体に纏わりつく奔流が重く感じられてくる。

(身体が勝手に回避を棄てているか……)

 それでも、自身の攻撃が的確に届く場所まで陽太は歩みを止めることは無い。

「『獄炎操る悪魔アスモデウスよ、その炎で魔と闇を打ち砕き、希望を齎せ!』」

 声を限りに陽太はのダイモンデバイスに宿る|悪魔《アスモデウス》を召喚する。白い浄化の獄炎を纏った|悪魔《アスモデウス》は、陽太が指し示す方――不可視の新皇へ向けてその炎を放った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

桂・真志
弟分の​|所在《ありか》(f43975)と

望む世界を手に入れたのか
俺は漂泊者だから些か羨ましい
だが
それは故郷を圧したり悪しきモノを
宿したりしない限りにおいてだ

「首魁がいるのだろう?」
所在に聞くと頷き応える
「なら捨て置けん…征くぞ」

皇自ら来るのは良いな
それだけでも尊敬に値するが
「お命頂戴する」

何故、と?
だがただ暴漢に討たれたは余りに惨いか
なら掲げたと聞いた言葉を返そう
​「|志《こころざし》において」
言えば走狗と化しても魂は呼べるだろう

弟分と連動し殺戮・極を発動し疾る
この手に刃ある限り死は遠い
透明でも攻撃は全て俺の赤と黒に触れる
所在の糸にもな
見逃す事は無い

殺人鬼二人の手で偽りから解き放たれろ、新皇


凶月・所在
兄貴分のまさにー(f43974)と

望む世界を手に入れるって
どんな気持ちなんだろうね
帰りたかった場所とも違う筈なのに
「ほんとに、それは望んだ場所なのかな」

「うん。倒さなきゃいけない敵なんだ」
まさにーに聞かれて頷いて答えるよ
あれは絶対、倒さないといけないんだ
だからちゃんと殺してあげるんだよ

「ソウマコジロウ、お覚悟なんだよ」
叛逆の徒っていうのなら
それで相対して、僕も一緒に
「未来の為に、だよ」

まさにーと連携して殺戮流儀を使うよ
周囲に糸を広げて二人の攻撃で感知して
見えなくても、絶対に見つけるからね
「まさにー!来るよ!」

場所さえ解ればこっちのもの
二人で全力攻撃して止めるんだよ
「僕達の勝ち、なんだよー」



●赤血黒焔と月煌鋼糸
「望む世界を手に入れるって、どんな気持ちなんだろうね」

 凶月・|所在《ありか》(優しい殺人鬼・f43975)がそう零す傍らで、桂・真志(新世界に光望む者・f43974)は想いを巡らす。猟兵になった事で出身である|闇を超越した世界《サイキックハーツ》から飛び出した漂泊者の身だ。それ故に、望む世界を手にできたというかの新皇が羨ましくもある。

(――だが、それは)

 あくまでも、故郷を圧したり悪しきモノを宿したりしない限りの話である。今眼前で対峙しようとする新皇は、本人にその認識が有るか無いかはわからぬが、諸悪の根源たる幻朧帝の力を受けてこの世界を創造したのだ。

「まさにー?」

 厳しい顔をする兄とも相棒ともいえる真志に、所在が声をかける。戦場であるこの場で、気を取られ過ぎていたか。

「首魁がいるのだろう?」
「うん。倒さなきゃいけない敵なんだ」

 だから、ちゃんと殺してあげるないと。
 共に殺人鬼の|性《さが》を裡に抱える二人の眼前に立つのは、太刀を手にした鎧武者の姿の新皇。その鎧には様々な傷が刻まれている。新皇となるまでの戦いの足跡なのかとも思ったが、既に先行した猟兵達が的確な攻撃を重ねてきている証なのかもしれない。

「汝等が思い語る通り、この世界は我が望んだ世界。幻朧帝を廃し、永久に栄える世界」

 それを、何故沈めようとするのかと、新皇は二人に問う。

「|志《こころざし》において」
「未来の為に、だよ」

 躊躇いなく二人の声が重なる。
 |朧櫻舞う光輝の世界《輝けるサクラミラージュ》と|櫻花幻朧界《サクラミラージュ》、其々の未来を賭けて。そして、新皇と猟兵、其々の志を貫く為に。

「幻朧櫻に散るがいい、『第六猟兵』」
「ソウマコジロウ、お覚悟なんだよ」
「お命頂戴する」

 猟兵二人は武器を構え、新皇はその不可視化の力を発動させた。
 それにやや遅れる形で真志の大剣の棟に刻まれた呪文が淡く光を放ち、所在の月光を纏う鋼糸もまたその光を濃くする。殺人鬼の|性《さが》を最大限に発揮する為の、二人の|ユーベルコード《ちから》。

「所在ッ!」
「うん!」

 |闇を超越した世界《サイキックハーツ》が今の形に至るまでの戦いから共に戦って来た二人。故に、短い呼びかけだけで何を意図しているかを察するのは容易い。所在の鋼糸が縦横無尽に舞い、其処に沿うように真志の|血《赤》と|殺気《黒》が奔る。
 不可視の刃が二人の身に傷を刻むが、発動したユーベルコードが二人を死より遠ざけ、刃が発生した方向を導き示す。

「まさにー! 見つけたよ!」
「ああ、見逃すものか!」

 二人が今揮える全力の攻撃が、新皇を捉えた。

●滅びの櫻吹雪
「……我の敗北か」

 櫻吹雪が舞う。それはまるで、大戦が始まってからの|櫻花幻朧界《サクラミラージュ》のよう。
 その櫻吹雪に紛れるように

「僕達の勝ち、なんだよー」
「殺人鬼二人の手で偽りから解き放たれろ、新皇」

 |朧櫻舞う光輝の世界《輝けるサクラミラージュ》を仮初だと断じながらも、その世界に至り守らんとした新皇。二人の声には、そんな彼自身への敬意の彩があった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年09月24日


挿絵イラスト