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帝都櫻大戰⑳〜透徹逆転

#サクラミラージュ #帝都櫻大戰 #第三戦線 #幻朧帝イティハーサ #ソウマコジロウ

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●理想侵略新世界
 ――ソウマコジロウ。
 彼は骸の海そのものである幻朧帝イティハーサの唯一の「器」として造られた存在だった。
 幻朧帝は『再孵化』によってソウマコジロウと融合し、彼の意志を利用して「侵略新世界」を創造した。
 しかし、それはおそらく幻朧帝の望まぬ新世界。
 その名は――『輝けるサクラミラージュ』。
 それは幻朧帝の封印という使命から解き放たれたことでさらなる発展を遂げる、将来のサクラミラージュだ。
 テロルや猟奇事件は尽く平定され、影朧を癒すことで転生による人口増加が発生した。いずれは世界のすみずみまで発展を遂げてゆくという理想世界。

「そんな世界が出来上がろうとしておる」
 鴛海・エチカ(ユークリッド・f02721)は幻朧帝の影響で起こっていることを語る。
 輝けるサクラミラージュ内部でも影朧が発生しているが、ほとんどが直後に速やかに調伏され、幻朧桜の導きを受けて転生している状態だ。だが、そうした影朧達の中に、かつてソウマコジロウと共に「帝都制圧」に挑んだ同志達の英霊が混ざっていることが確認されている。
「これは好機じゃ。ソウマコジロウは影朧発生の報を受けて自ら出陣しておる」
 かつて彼の同志であった影朧。
 彼らと共に今のソウマコジロウの記憶を揺さぶれるチャンスでもある。
 もし記憶を呼び起こすことが出来れば、ソウマコジロウは自身が幻朧帝に融合された現状を正しく理解するだろう。そして、この侵略新世界の消滅を願いながら改めて猟兵を迎え撃つ。
「つまり彼は記憶を思い出した後、再び自分を討ってくれと願うのじゃ……。それが本望なのじゃろうな」
 正しきソウマコジロウの願いは滅び。
 たとえ輝けるサクラミラージュが理想の世界であっても、幻朧帝の力で造られた偽物の世界であることは違いない。この理想的な状況の中で、何が正しきことか見失いそうであっても――。
「頼むぞ、皆の者。侵略新世界など、あってはならぬのじゃ!」

●影朧たちの抵抗
「コジロウ様、お願いします!」
「ソウマコジロウ様、どうか思い出してください!」
 かつて、帝都制圧に挑んだ英霊たちが影朧となり、輝けるサクラミラージュに現れた。其処に自ら出陣したソウマコジロウに向け、彼らは必死に呼びかけ続けている。
「我ら、影朧となれど最初の思いは忘れておりません!」
「コジロウ様の理想、未来への思い、そういったものに共感したからこそ我らは……!」
『黙れ、影朧』
「…………!」
 英霊たちは真摯に語っているがソウマコジロウは聞く耳を持たない状態だ。
 だが、そうなっているのは幻朧帝の影響が強いからだろう。根気よく声を掛け続けるか、或いは幻朧帝の力だけを貫いて崩していくか。そうすれば以前の記憶が思い起こされ、正しき方向に導けるだろう。
 その鍵を握るのは――この場に向かう猟兵しかいない。


犬塚ひなこ
 こちらは『帝都櫻大戰』
 ⑳ソウマコジロウ幻朧態〜いざ立て同志よのシナリオです。

●👿『ソウマコジロウ幻朧態』
 唯一『幻朧帝の肉体』となる資格を持つソウマコジロウにイティハーサが憑依した状態。
 ふたりの魂を有したまま、内部でせめぎ合っています。

●プレイングボーナス
『英霊達の影朧と協力し、ソウマコジロウの記憶を揺さぶる』
『ソウマコジロウと共にいる幻朧帝の力だけを攻撃する』

 言葉による呼びかけ、幻朧帝の力だけへの攻撃、どちらを選んでいただいても大丈夫です。
 正気を取り戻した後のソウマコジロウは自分を討ってくれと願うので、望み通り倒してあげてください。
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第1章 ボス戦 『ソウマコジロウ幻朧態』

POW   :    透明逆転剣
【舞い散る幻朧桜】が命中した敵を一定確率で即死させる。即死率は、負傷や射程等で自身が不利な状況にある程上昇する。
SPD   :    透明魂魄刀
【鷹の如く飛翔する、無数の透明な日本刀】で攻撃する。命中すると【世界創造の力】を纏い、レベル分間[鷹の如く飛翔する、無数の透明な日本刀]の威力と切断力が上昇する。
WIZ   :    透徹たる眼光
戦場内に、見えない【幻朧桜の花弁】の流れを作り出す。下流にいる者は【オブリビオンと化す運命】に囚われ、回避率が激減する。

イラスト:炭水化物

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

森宮・陽太
【SPD】
アドリブ連携大歓迎

…ああ
確かに理想世界ではあるが、絵にかいたような理想はいらねえんだよ

この状況なら、俺は幻朧帝の力だけを攻撃したほうが良さげか
一応やるだけやってはみるが…

「高速詠唱、言いくるめ」+指定UCでマルバス召喚し
「範囲攻撃」で敵味方問わず黄水晶の雨を降らせながら呼びかける
ソウマコジロウ、現状は理解したか?
この世界は確かにお前が望んだ世界かもしれないが
一方で影朧の英霊たちが決して報われることのない世界だ
そのような世界、おまえ自身は望むのか?

もしソウマコジロウが幻朧帝の撃破を望めば
マルバスの黄水晶の雨はソウマコジロウの傷を癒し強化を与えるはず
逆に幻朧帝は疫病に侵され苦しむだろうよ


夜刀神・鏡介
ソウマコジロウが求めた世界……理想郷だな、ああ。俺もそう思うよ

ひとまず神刀を抜き。ソウマコジロウの刀を受け止め、受け流し
或いは舞い散る幻朧桜を躱して切り払う事で対処して

あんたが求めたこの光景は決して間違っちゃいない!それでも、今のこの世界は間違っている
何故なら彼ら(ソウマコジロウの同士)達はこの世界では決して癒やされないのだから
癒やされない影朧を力付くで対処する事があんたの求めた世界だっていうのか?

彼の記憶を少しでも揺さぶる事ができたなら、彼に向かって切り込んでいこう
斬撃波で舞い散る桜を吹き飛ばし、壱の型【飛燕:重】
斬り上げで彼の刀を弾いて防御を崩し、返す刀で――彼に憑依するイティハーサを斬る



●哀しき理想の桜
「……ああ」
 森宮・陽太(未来を見据える元暗殺者・f23693)は静かに首を振った。
 此処は輝ける世界。サクラミラージュの理想を映し込んだ、平穏と秩序から成る美しき場所だ。何も不満もなく、不平すらない。誰もが思い描いた幸福な新世界。
 夜刀神・鏡介(道を貫く一刀・f28122)も、此処がソウマコジロウが求めた世界だと感じながら感想を零す。
「……理想郷だな、ああ。俺もそう思うよ」
 だが――。
「確かに理想世界ではあるが、絵にかいたような理想はいらねえんだよ」
 陽太はこの状況を否定した。
 きっとこれは偽りでしかない。幻朧帝イティハーサが背後にいるというだけでどうにも胡散臭い。鏡介も理想ばかりでは回らないことを知っているゆえ、頷きを返す。
 そして、鏡介は神刀を抜いた。
 同時に陽太は今の状況を見極め、どのように動くのが良いのか試算していく。
「これなら俺は幻朧帝の力だけを攻撃したほうが良さげか。一応やるだけやってはみるが……」
 ――疫病を司りし獅子の悪魔よ、我との盟約に基づき、此の地に疫病と癒しを齎せ。
 高速で詠唱を紡いだ陽太は悪魔マルバスを召喚した。
 その力によって広範囲に作用する黄水晶雲が現れ、敵味方問わず巻き込む攻撃と癒やし雨が降ってゆく。それは強化を打ち消し疫病を齎すものだ。マルバスの力だけでは僅かにしか影響しないようだが、今は僅かでも良い。
「……う、」
「ソウマコジロウ、現状は理解したか?」
 陽太は冷静に相手に呼びかけ、問いかけを投げてみる。するとソウマコジロウは疑問を返した。
「なんだ……?」
「この世界は確かにお前が望んだ世界かもしれないが、一方で影朧の英霊たちが決して報われることのない世界だ。そのような世界、おまえ自身は望むのか?」
「――違う」
「何が、……っと!」
 ソウマコジロウは葛藤しているのか、透明魂魄刀を解き放った。
 陽太は回避に専念するために一旦、彼から距離を取る。無数の透明な日本刀が飛び交う中で声を届かせるのは至難の業だが、諦めるつもりは欠片もない。
 それにこのまま問答を続け、ソウマコジロウが幻朧帝の撃破を望めんだ場合。マルバスの黄水晶の雨はソウマコジロウを癒して強化を与えるはずだと陽太は考えた。
「正気を取り戻してくれ。そうすれば逆に幻朧帝は疫病に侵され苦しむだろうよ」
「…………」
 ソウマコジロウは無言だが、手応えがなかったわけではない。
 陽太はこのまま戦い続けていくことを決め、彼の姿を真正面から見つめた。鏡介は仲間のやり方に感心しながら、その補助と決定打にさせるための行動に移っていく。
 鏡介はソウマコジロウの刀を受け止め、間一髪で受け流した。
 舞い散る幻朧桜は確実に躱し、切り払うことで対処する鏡介の動きには一欠片も無駄がない。
「あんたが求めたこの光景は決して間違っちゃいない!」
「理想、だろう?」
 鏡介が掛けた言葉に対し、ソウマコジロウは短く応えて問い返してきた。おそらく彼の心は揺らいでいるのだろう。声の出し方でそれが分かった。
 此処が正念場だと感じた鏡介は更に言葉を続ける。
「それでも、今のこの世界は間違っている。何故なら、彼らはこの世界では決して癒やされないのだから」
 鏡介が示したのは英霊の影朧たち。
 癒やされない影朧を力で処していくこと。今の彼が行おうとしていることを突きつけ、鏡介はもう一度問う。
「それがあんたの求めた世界だっていうのか?」
「違う、違――」
「よし、あとひといきだ!」
「頑固なところもあるんだな、ソウマコジロウ。それならとことん付き合おう」
 まだ思いは繙けていないようだが、鏡介は手応えを感じた。陽太もソウマコジロウを呼び、正気に戻るまで何度だって問答を続けると誓った。彼の記憶を揺さぶり、幻朧帝イティハーサの力を削ることが優先。
 斬撃は舞い散る桜を吹き飛ばしていき、其処に飛燕の一閃が繰り出された。
 其処に黄水晶の優しい雨が降り、理想だけの世界を脱するための戦いは続いていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フィーナ・シェフィールド
アドリブ歓迎です♪

「帝なんかに、また負けるの?…お願い、目を覚まして、コジロウさん!」
舞い散る幻朧桜に対し、モーントシャインを纏わせたシュッツエンゲルを展開し、オーラ防御の結界を張って影響を喰い止めます。

「英霊たちよ、力を貸して!コジロウさんの心を呼び覚まし、帝に永遠の別れを!」
別れの曲である【Abschiedswalzer】を奏で、歌います。破魔と浄化の力を籠めた別れの曲によって、コジロウさんの中の幻朧帝が存在する理由…存在価値、存在意義を失わせ、その存在を浄化殲滅します。
「さようなら、幻朧帝。もう二度と逢うことのない、永遠の別れにします!」

コジロウさんは影朧みたいに転生してくれないかな…?


国栖ヶ谷・鈴鹿
【葬送花】
あの花のユーベルコヲドは危険だね。
結界術を全展開、風を強く吹かせよう、こちらの声が届くように。

コジロウ様、どうか思い出してください。桜の転生の前に、影朧は傷つき倒れ、この世界に想いを遺したもの、ただ闇雲に討つ前に、彼らの想いを見つめてください。

幻朧帝、惑わすのなら、ぼくはこの時の為に、邪な心だけを撃つユーベルコヲドを身につけた。
この世界を守ると誓ったその日から、ずっと使ってきた技だ。
幻朧帝、その澱んだ死に沈んだ眼で焼き付けると良い、輝かしい世界の光を信じる者の力と言うものを!

全ての銃技、超機械の一斉射、世界を救い、取り戻す為の一撃を!


伊澄・響華
アドリブ連携大歓迎よ♪

ここが、理想のサクラミラージュ。
この世界にもフィーナさん居るのかな…?

Verweigerungで身を守り、幻朧桜の花びらが身体に直接触れないようにしながらソウマコジロウに対峙します。

「そんなんだから、帝なんかにつけ込まれるのよ!」
英霊たちの声に耳を傾けないソウマコジロウに向けて、【幻惑の胡蝶】を使います。

たとえ透明になって姿が見えなくても、わたしに対する意識までは消せないわよ!

ソウマコジロウに棲みついた幻朧帝の発する敵意や殺意、悪意に反応して、幻の胡蝶で切り裂きます。
「そこね。さよなら、幻朧帝…」
幻の胡蝶の羽ばたきの様子によって急所を見抜き、急所を突いてとどめを刺すわよ!



●葬送と別れの桜花
「コジロウ様!」
「ソウマコジロウ殿!」
 かつて、幻朧帝イティハーサ打倒のために立ち上がった英霊影朧たちの声が響いている。
 影朧となっても尚、過去の思いを忘れていない英霊。そして、新世界を統べる存在になっているソウマコジロウ。フィーナ・シェフィールド(天上の演奏家・f22932)は双方に視線を巡らせ、自らも声を掛けていく。
「帝なんかに、また負けるの?」
「…………」
 ソウマコジロウはフィーナを一瞥したが、まだ何も反応らしい反応を返さない。
 この輝けるサクラミラージュにおいて正しきこと、つまり影朧を転生に導くために自ら出陣している状態のソウマコジロウは使命を第一に動こうとしているのだろう。だが、これは本当に正しいことではない。
 その中で、国栖ヶ谷・鈴鹿(命短し恋せよ|乙女《ハイカラさん》・f23254)は桜の花に目を向けていた。
「あの花のユーベルコヲドは危険だね」
 ソウマコジロウ、否、幻朧帝の力であろうそれは可憐に見えて脅威。
 鈴鹿は結界術を全て覆うほどに展開していき、花に対抗するための風を強く吹かせていく。それは風向きは此方にあるという願掛けであり、こちらの声が届くように願った行動だ。
 そして、鈴鹿は彼の名を呼ぶ。
「コジロウ様、どうか思い出してください」
「……お願い、目を覚まして、コジロウさん!」
 フィーナも呼びかけ続けながら、舞い散る幻朧桜に対してモーントシャインを纏わせたシュッツエンゲルを展開した。そのまま自分も結界を張り、花の影響を喰い止めようとするフィーナは真剣だ。
 その姿を見つめ、伊澄・響華(幻惑の胡蝶・f44099)は戦う意思を固めていた。
「理想のサクラミラージュはとても素敵で美しいところだけど……違うの」
 きっと輝ける世界には過去から成る理想が詰まっているのだろう。だが、もしこの世界にフィーナのような清き存在がいるとしてもそれは偽物に過ぎない。
 今、隣に立っているフィーナこそが本物なのだから。
 響華はフェルヴァイガルングで身を守りながら、幻朧桜の花が自分やフィーナ、鈴鹿の身体に直接触れないように立ち回った。こうして相対してみると、どうにもソウマコジロウは生真面目な部分があるようだ。
「そんなんだから、帝なんかにつけ込まれるのよ!」
 英霊たちの声に耳を傾けない彼に向け、響華は幻惑の胡蝶を解き放っていった。相手が透明化の力を使おうとも響華は怯まずに気配を辿ることに専念する。
「たとえ透明になって姿が見えなくても、わたしに対する意識までは消せないわよ!」
「英霊たちよ、力を貸して!」
「はい!」
「コジロウさんの心を呼び覚まし、帝に永遠の別れを!」
 響華の言葉にフィーナが頷き、英霊にも呼びかける。
 奏でるのは別れの曲。
 言葉だけでは届かないのならば、歌を紡いで響かせる。
 それがフィーナの正義であり信念だ。歌い上げる曲に破魔と浄化の力を籠め、ソウマコジロウに訴えかけていく。彼の中の幻朧帝が存在する理由。即ち存在意義と価値を失わせ、その存在を浄化していくためだ。
「さようなら、幻朧帝」
「そこね。さよなら、幻朧帝……」
 フィーナの奏でる音を聞きながら、響華も幻朧帝が発する敵意や殺意、悪意に反応してゆく。幻の胡蝶で切り裂けば、ソウマコジロウではない部分だけを削り取ることが出来る。
 響く曲、胡蝶の羽ばたき。
 ふたつの力が重なりあい、幻朧帝の力だけが削がれていく中でフィーナは宣言する。
「もう二度と逢うことのない、永遠の別れにします!」
「そうよ、こんな世界はあってはいけないの!」
 響華もまた、過去からしか作られていない新世界を否定した。世界が平穏に視えたとしても偽りを受け入れるわけにはいかない。その思いを強く持ち、響華たちは最後まで戦い続ける決意を抱いた。
 其処から動き出したのは鈴鹿だ。
 これまで舞い散る幻朧桜を防いでいた鈴鹿は、英霊影朧の動きまでもを把握していた。
 誰もがソウマコジロウを思いながら必死に呼びかけている。彼を傷つけたくはないのだろう、誰もが攻撃を受けるだけに留めているようだ。
 そんな彼らの姿を示した鈴鹿は懸命な思いを紡いでいく。
「桜の転生の前に思い返してください。影朧は傷つき倒れ、この世界に想いを遺したもの。ただ闇雲に討つ前に、彼らの想いを見つめてください」
「転生の前に……」
 するとソウマコジロウの動きが僅かに止まった。
 されど幻朧帝の惑いがあるのか、彼の背後にイティハーサの姿が現れる。おそらく今もソウマコジロウの心を囚えているのだろう。それならば、と鈴鹿が身構える。
「ぼくはこの時の為に、邪な心だけを撃つユーベルコヲドを身につけた。これは――」
 この世界を守ると誓ったその日から、ずっと使ってきた技。
 発動、超攻葬送掃射乱舞。
 これは射撃武装の戦術的射撃によって、肉体を傷つけずに邪心や復讐心、闘争心、怨念といったものを穿つ力。鈴鹿は邪魔をするイティハーサを睨み付けながら強く言い放つ。
「幻朧帝、その澱んだ死に沈んだ眼で焼き付けると良い、輝かしい世界の光を信じる者の力と言うものを!」
 さぁ、今こそ。
 世界を救い、取り戻す為の一撃を。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

コルネリア・ツィヌア
影朧たちと一緒に、ソウマコジロウ殿に相対するわ
魔法剣で水の魔力を圧縮して盾を作り、声が届くまで専守防衛

とてもうつくしい、夢のような世界
未来を勝ち取って、ここに近づくよう尽力するのが、私達の務め
その為にも、ソウマコジロウ殿に気づいて頂かなくては、……あの方の高潔さが、報われない!
どうか、一緒に呼びかけて! あなたたちの声が消されないよう、私が矢面に立つ!

ソウマコジロウ殿。幻朧帝は未だ侵略の最中です
この世界はそれに抗って出来た。そして、この世界がある限り、幻朧帝を滅ぼしきれない
あれはまだここに居るのです
私達は、それを断ちに来ました

確かに彼らは影朧です
だからこそ、彼らがあなたの理想を損なう筈がない!


煙草・火花
輝けるサクラミラージュ……
それが貴公の願った世界なのですね、ソウマコジロウ殿
なれど、サクラミラージュを守る學徒兵として使命を果たさせていただきます!

この地には小生以上の想いと共に在る英霊たちがいる
なれば、彼らの言葉こそがコジロウ殿に必要なもの

待ったの声と共に抜刀しつつ、割って入ります
小生が時を稼ぎます故、どうか貴公たちの想いと願いを届けてください!
戦場に花弁が溢れているなら、狙って振るう必要もなし
刀を振るい、力を打ち消しつつ、呼びかける時間を稼ぎましょう

思い出してください、貴公が今のサクラミラージュのためにと我等に呼びかけてくれたことを!
貴公の願いは今を踏み台にして理想を遂げることではない筈!



●焔と桜の結び
 輝けるサクラミラージュ。
 冠する文字の響きは美しく、此処にある栄光と平穏が永遠に続いていくかのような世界だ。
「それが貴公の願った世界なのですね、ソウマコジロウ殿」
 瞳を僅かに伏せ、煙草・火花(ゴシップモダンガァル・f22624)は世界を見渡す。確かに此処は理想的であり、何の懸念も不安もない場所なのだろう。唯一、幻朧帝イティハーサが関わっているということを除けば。
「なれど、サクラミラージュを守る學徒兵として使命を果たさせていただきます!」
 火花の宣言は凛とした響きを宿しており、覚悟が宿っていた。
 その声を聞いたコルネリア・ツィヌア(人間の竜騎士・f00948)はそっと頷く。
「とてもうつくしい、夢のような世界。だけど……」
 これは偽り。
 与えられた世界に意味はないはずだと断じ、コルネリアは影朧たちに視線を向けた。かつてのソウマコジロウが抱いていた志を今も信じ、呼びかけ続けている英霊。彼らの思いを届けるためにも尽力したい。
 魔法剣で水の魔力を圧縮して盾を作ったコルネリアは強く身構えた。
「未来を勝ち取りましょう」
 それこそが私達の務めだと語り、コルネリアは影朧の守りに入っていく。
 英霊たちはソウマコジロウに攻撃を行ったりはせず、呼びかけるのみに留めている。それこそが信頼の証だと感じたコルネリアもまた、手繰り寄せたい未来を信じた。
「彼らの為にも、ソウマコジロウ殿に気づいて頂かなくては、……あの方の高潔さが、報われない!」
「その通りです。この地には小生以上の想いと共に在る英霊たちがいる。なれば、彼らの言葉こそがコジロウ殿に必要なものに間違いありません」
 コルネリアに同意を示し、火花も思いを語った。
 自らも呼びかけることをやめたりはしないが、やはり同志の言葉の方が響くはず。火花はソウマコジロウと影朧の間に割って入るように駆け出し、抜刀する。
「待った!」
「邪魔しないでくれ」
 火花が止めたのはソウマコジロウの行動だ。幻朧桜の花弁が流れてきたが、火花はそれらを避けていく。それと同時に声を掛けたのは英霊たちの方。
「小生が時を稼ぎます故、どうか貴公たちの想いと願いを届けてください!」
「どうか、一緒に呼びかけて! あなたたちの声が消されないよう、私が矢面に立つ!」
 コルネリアも同じ思いだと示し、桜花に対抗していく。
 こうして戦場に花弁が溢れているなら狙って刃を振るう必要もないだろう。火花は刀で力を打ち消しつつ、皆が呼びかける時間を稼いでいく。
「コジロウ様!」
「忘れたとは言わせませんよ、我らの誓いを!」
 英霊影朧たちは二人に礼を告げ、思い思いの言葉をかけていた。
 美しく舞い上がる花弁の中、コルネリアと火花も己が感じたことを声にしていく。
「ソウマコジロウ殿。幻朧帝は未だ侵略の最中です」
「思い出してください、貴公が今のサクラミラージュのためにと我等に呼びかけてくれたことを!」
「この世界はそれに抗って出来た。そして、この世界がある限り、幻朧帝イティハーサを滅ぼしきれない。あれはまだここに居るのです」
 二人が交互に言葉を掛けていくと、ソウマコジロウの動きが少しだけ止まった。
「……どういう、ことになっている?」
「疑問が生まれましたね。それが証拠です」
 火花はすかさず其処を指摘する。
 コルネリアはやっと突破口が見つかったと感じ、英霊を指差す。
「私達は、それを断ちに来ました。確かに彼らは影朧です。だからこそ、彼らがあなたの理想を損なう筈がない!」
「貴公の願いは今を踏み台にして理想を遂げることではない筈!」
「確かに、そうだ……」
 猟兵の言葉、英霊の思いによってソウマコジロウは頭を抑えた。
 まだイティハーサの影響があるのだろうが、心が本来のものに戻りかけていることは間違いない。頷きを交わした火花とコルネリアは勝機が巡っていることを確信した。
 たとえこの先に待っているのが別れだとしても――嘗ての志こそが正義だと信じて。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

紫・藍
コジロウのおにいさんはすごいのでっす。
藍ちゃんくん達に情報をくださり、憑依されようとも抗い続け、今も帝さんの望まない世界を創造してらっしゃる。
同志の皆様が影朧になってもおにいさんのことを慕い続けてるのも納得なのでっす!
そんな皆様の声が届かないという悲しみを、藍ちゃんくんが癒やすのでっす!
藍ちゃんくんでっすよー!
皆々様、おにいさんのことを呼びかけ続けてくださいなのでっす!
皆々様の言葉は必ず、おにいさんに届くのでっす!
おにいさんは今もずっと帝さんと戦い続けてるのでっすから!
藍ちゃんくんの歌は、呼びかける皆々様に気力を与え続けるのでっす!
そして皆様の声を阻む元凶たる帝さんの力だけを攻撃するのでっす!
おにいさん、目を覚ましてくださいなのでっす!
おにいさんを待っていらっしゃる方達がいらっしゃるのでっす!
藍ちゃんくんの歌は肉体を傷つけないため、即死率を上げることはないかと!
正気を取り戻してくださった後は、おにいさんの悲しみをも癒やし、その原因となっているおにいさん自身に死をお返しするのでっす。



●いざ、同志よ
 平穏と安寧、理想と正しさの世界。
 輝けるサクラミラージュの姿はまさに、思い描いた通りの美しき場所なのだろう。こういった在り方の世界ならば間違いは起こらず、悲しみも最小限に抑えられる。
 だからこそ、紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)は声を大にして語る。
「コジロウのおにいさんはすごいのでっす」
 此処は幻朧帝の封印から解き放たれたことでさらなる発展を遂げるであろう、将来のサクラミラージュの姿だ。それはソウマコジロウという存在がいてこそのものだった。
 藍はそのことを真正面から認めており、決して否定したくないと考えている。
 何故なら、ソウマコジロウは常に己の正義を貫いていた。
「おにいさんは藍ちゃんくん達に情報をくださり、少し前のように憑依されようとも抗い続け、今も帝さんの望まない世界を創造してらっしゃる。本当にすごいことなのでっす!」
 心からの言葉を紡ぎ、藍はソウマコジロウを見つめ続けた。
 そして、その視線は周囲にいる英霊の影朧たちにも向けられていく。藍の声に応じるように「そうだ」「コジロウ様は素晴らしいんだ!」「その通り!」といった声が上がっている。
 それゆえに影朧たちは今もそのことを忘れず、未練となるほどにソウマコジロウを慕っているのだろう。
「こうして同志の皆様が影朧になってもおにいさんのことを慕い続けてるのも納得なのでっす!」
 現在のソウマコジロウも影朧を救おうとしている。
 未練を抱いたまま留まるよりも転生の機会を、と考えているゆえに無情に見えるのかもしれない。だが、彼らの心残りがソウマコジロウ本人にあることを彼自身が気付いていない。
 そのために英霊たちは苦しんでいる。
「でも、そんな皆様の声が届かないという悲しみがあるのでっす。だから、藍ちゃんくんが癒やすのでっす!」
 藍はそれが自分の役目だと考え、明るく宣言した。
 そうと決まったならば後はいつも通りに振る舞い、歌を響かせていくだけ。
 心を込めて歌う。
 あなたに届けと歌う。それこそが――。
「藍ちゃんくんでっすよー!」
 あるがままの祈りや願いを胸に、藍は声を戦場に広げていった。英霊たちはその歌に背を押されている気持ちになったのか、先程よりも呼びかけに力が入っているようだ。
「皆々様、おにいさんのことを呼びかけ続けてくださいなのでっす!」
「わかりました!」
「我々の声は無駄なんかじゃない!」
「ありがとう、藍ちゃんくんさん」
 藍に対して影朧たちはそれぞれに言葉を返した。その言葉には覇気が宿っており、藍もこくりと頷く。
「皆々様の言葉は必ず、おにいさんに届くのでっす! おにいさんは今もずっと帝さんと戦い続けてるのでっすから!」
 藍の歌、それは呼びかける者達に気力を与え続けるもの。
 それに加えて肉体を傷つけずに対象の悲しみや恐怖を穿つ力にもなる。英霊たちの声を阻む元凶たる者、つまりは幻朧帝イティハーサの力だけを攻撃することができる。
「おにいさん、目を覚ましてくださいなのでっす! おにいさんを待っていらっしゃる方達がいらっしゃるのでっす! それに猟兵の皆々様の言葉で気付いているはずでっす!」
 そして、藍は英霊だけではなく猟兵の仲間を示していった。
 此処に集った者は皆、ソウマコジロウを思って戦い続けている。その思いや言葉を無下にするようなことはいけないとコジロウ自身も解っているはずだ。
「そうか……ああ、皆……すまない」
「コジロウ様!」
「おにいさん、やっと正気に戻れたみたいでっす!」
 次の瞬間、猟兵たちの呼びかけによってソウマコジロウが本来の意識を取り戻した。
 藍は明るく笑い、彼を手招く。これは英霊たちの呼びかけに加えて他の猟兵たちの想いもあったゆえの結果だと感じ、藍は心強さを感じた。
 そうして、予想通りにソウマコジロウは猟兵に願う。
「この身を滅ぼしてくれ、頼む」
 己を討たなければ幻朧帝イティハーサは倒せぬと悟ったがゆえ、彼が選ぶ道はひとつ。藍だけではなく誰もがそのことを理解しており、覚悟を抱いている。
 藍はその悲しみをも癒やし、その原因となっている力を取り除こうと決めた。
「わかりました。おにいさん自身に死をお返しするのでっす。その葬送歌が、この歌でっすよー!」
 其処から新たな歌が響きはじめる。
 紡がれる、あいのうた。
 その音に合わせて猟兵たちが繰り出すユーベルコヲドが重なっていき、そして――。


 ソウマコジロウは膝をつき、その身体は薄く透き通りはじめた。
 彼の持つ透明化の力ではなく幻朧態としての存在を保てなくなっているからだろう。
「すまなかった、な……猟兵……」
 深く息を吐きながら顔を上げたソウマコジロウは猟兵に礼を告げた。己がこうして存在を失い、何度も倒されることで幻朧帝イティハーサの力も消し去れる。その手助けになってくれた猟兵に心からの感謝を抱いているのだろう。
 その周囲には同じく、消えかかっている英霊の影朧もいる。
「ソウマコジロウ様……」
「猟兵殿。此度のお力添え、誠に感謝致します」
「わたしたちもコジロウ様と共に参ります」
 彼らもまた礼を告げながらゆっくりと消失していく。その姿はとても満足そうだ。
 こうして猟兵は多くを救い、見事な勝利を飾る。
 此処で戦った者たち。彼らも猟兵も確かに同じ思いを持つ者――即ち、同志だと呼べるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年09月22日


挿絵イラスト