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帝都櫻大戰⑲〜ゆめ

#サクラミラージュ #帝都櫻大戰 #第二戦線 #神王サンサーラ #国見・眞由璃

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#国見・眞由璃


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 これまで神王サンサーラの憐憫を引いた世界は、決して多くあったわけではない。
「既に壊れている」
 ――と、まるで忖度の無い言葉にも国見・眞由璃はただ静かに首を振るばかりだ。
「それでも……どんな恥を晒しても、どのような手を用いても生きてゆくのが、命の美しさなのです……貴方も本当はそれをご承知なのでしょう?」
「…………」
「ならば、あなたの望まぬあなたのユーべルコードは私が阻みましょう。力の限り、女王としての矜持に誓って」

 そこは、平安結界の外側に広がる『死の大地』。
 突如、咲き乱れた大量の幻朧桜と共にエンシェント・レヰス『神王サンサーラ』が降臨する。
「彼は極めて強大なオブリビオンで、あまりの強大さ故に『完全に無傷の状態』でない限り、この世界への顕現を維持することができない……という条件付きの存在でもある。一撃で構わない、広がり続ける骸の海を乗り越えて、傷を与えることができれば一旦撤退するだろう」

 問題は『黄金の岩戸』と呼ばれ、サンサーラの全身より放たれる一際強力な骸の海の奔流だ。これは一切合切全てを呑み込もうとする。
「それを防いでくれたのがキャンピーくんの力でシルバーレインから現れたオブリビオン『土蜘蛛の女王『国見・眞由璃』だ。周囲に展開する強靭な土蜘蛛の檻によって骸の海の破滅から世界を救ってくれたのは、もしかしたら、猟兵との戦いの結果、別の道を歩むことができた『国見・眞由璃』なのかもしれない」
 いずれにしても、彼女が骸の海を抑えてくれている間に何らかの勝機を見いだせるかどうか。
「君たち次第だね。少なくとも、あちらは友好的なようだ。……ここが正念場、うまくいくといいね」


ツヅキ
 プレイングを送れる間は人数に関わらず受付中です。
 共同プレイングをかけられる場合はお相手の呼び名とIDもしくは団体名を冒頭にご記載ください。

 アヤカシエンパイアにて、骸の海を放出する神王サンサーラを土蜘蛛の女王『国見・眞由璃』が食い止めてくれています。この好機を逃さず、サンサーラに一撃を与え、この世界からの撤退に追い込みましょう。
 プレイングボーナスは『無限に広がる骸の海に対処する/眞由璃の援護を受けて戦う』です。
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第1章 ボス戦 『神王サンサーラ』

POW   :    サンサーラディーヴァ
自身の【眼前】を【広大無辺の仏国土】化して攻撃し、ダメージと【神王サンサーラへの到達不能】の状態異常を与える。
SPD   :    サンサーラノヴァ
【かざした両掌の間】から、詠唱時間に応じて範囲が拡大する、【五感封じ】の状態異常を与える【神王光】を放つ。
WIZ   :    強制転生光
レベル秒間、毎秒1回づつ、着弾地点から半径1m以内の全てを消滅させる【サンサーラの光】を放つ。発動後は中止不能。

イラスト:ぽんち

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

山吹・夕凪
死の大地に立つ幻朧櫻と滅びの光
幾度目となるかも知れない、神王の脅威
けれど、共に生きる命の美しさを知る土蜘蛛の女王と戦うのです
必ずや今回も斬って止めてみせましょう

骸の海には眞由璃さまの蜘蛛糸の檻を道筋として作って貰い、走り抜けてサンサーラの元へと辿り付けるように
五感封じの神王光に怯むことなく、限界突破した心眼で捉えるは周囲のあらゆるもの
サンサーラの気や感情の流れ
恐ろしき骸の海が内包する過去の怨嗟
それの脅威を避け、心眼で捉えた隙へとUC『白妙の月影』
白い着物の袖を舞わし、刃にて幾重もの三日月を描くよう斬り続けます

「願わくば優しき神王さまも、いずれ救われんことを」

白櫻の慰めをひとひら、この刃に乗せて



 その幻朧桜はまるで大地の死に化粧のようだった。
「眞由璃さま、道をお願いできますか」
「あなたの望むままに」
 もう幾度戦ったかしれない、神王が放つ滅びの光は変わらず夕凪から感覚を奪おうとする。ああ、またあの感覚を味わうのか……。
 だが、と夕凪は駆け出した。
 蜘蛛糸で紡がれた道が骸の海の足場となってくれる。
 共に生きる命の美しさを知る土蜘蛛の女王が力を貸してくれるというのなら、必ずや。この涙切で夕凪は斬るのだ。
「あなたを止めます、神王……!」
 ひたむきに、ひるむことなく、夕凪はサンサーラを目指して疾走した。光に呑まれた途端に一切の無の中へ放り込まれる。

 ――視える。

 サンサーラはあまりにも強過ぎて、人というものがわかっていないのだ。
 だって、彼は完全だから。
 人間は不完全ゆえに、強くあろうと足掻くもの。
 夕凪は心眼で周囲のあらゆるものを捉える。
 彼の気、感情の流れ、そして……無謬の恐怖に纏ろう骸の海の内部にとらわれた過去の怨嗟。それらは夕凪を取り込もうとしたいらしい。
 一瞬、吸い込んでしまったその冷たさに息を呑むけれど、それだけだ。手繰り寄せろ、サンサーラの気配だけを。
(どこ――?)
 あった。
 ひときわ強く輝く光のように。
「なぜわかった?」
「あなたが強過ぎるからでしょう」
 あまりにも強過ぎるから、その存在はたとえ五感を奪われようとも、確かにわかる。
 骸の海の脅威を躱し、真白な袖を舞うように翻し、刃にて描き尽くす不可視の月影。どれかひとつでも届けばいい。
「願わくば優しき神王さまも、いずれ救われんことを」
 白く淡い櫻の慰めをひとひら乗せた刃の切れ味は、とても優しかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

バルタン・ノーヴェ
アドリブ連携歓迎

昨日の敵は今日の友!
眞由璃殿、それではよろしくお願いしマース!

ほうほう、これが噂の土蜘蛛の檻! 見事に強靭デスナ!
黄金の岩戸やサンサーラディーヴァを眞由璃殿に阻んでもらい、この援護を活かして潜り抜けて接近しマース!
頃合いを見て、彼我の距離が程よい位置にて、UC展開!

「骸式兵装展開、笠の番!」
九龍城砦の複製という障害物の追加デース!
眞由璃殿は今は味方、なので触れても感知能力は吸収されマセーン!
この建造物に檻を張り巡らせ、サンサーラ殿包囲網を更に狭めて参りマショー!

そして、サンサーラ殿を上手く九龍城塞で覆えれば、視覚を吸収!
グレネードランチャーの爆撃を到達させマショー!
ヒャッハー!



 こういう時、数多の戦場や強敵を経験してきたバルタンは何と言うべきか知っている。土蜘蛛の檻の中心部に立つ眞由璃に向かい、空から大きく手を振った。
「昨日の敵は今日の共! よろしくお願いしするのであります眞由璃殿!」
「来てくれたのですね、皆さん」
「イエス! これが噂の土蜘蛛の檻デスカ!」
 眞由璃の蜘蛛糸は見事に黄金の岩戸が開くのを留め、骸の海の放出を最低限に抑えていた。岩戸は現在も抵抗を続けるが、何重にも巻き付いた強靭な蜘蛛糸がそれをゆるさない。
 バルタンはその時を待った。
 互いの距離が程よく近づき、一発逆転の模倣様式を繰り出すための、最高のタイミングを。少しでも外せば、相手は強大なる神王だ。躱されてしまうだろう。
 間違うわけにはいかない。
 バルタンの翡翠の瞳がじっと彼を見つめる。
 仏国土を拡げ、侵入者を拒むディーヴァの力と拮抗する蜘蛛糸の激しさをくぐり抜けながら、その時を計っている。
「我が国土に歯向かうか……」
 サンサーラの攻撃が激しさを増すが、眞由璃の糸はさらに繭となって岩戸を押し留める。束になった蜘蛛糸を足場に跳んだバルタンがその時、叫んだ。
「骸式兵装展開、笠の番!」
 無謬の国土に挑むは、カオスの坩堝『九龍城砦』の複製である。
 此処がサンサーラの治める国土ならば、その上に違法建築を建ててしまえばいい。味方である眞由璃や猟兵を除いた相手は全て、感知能力を吸収されて闇の中へ墜ちてゆく。
「眞由璃殿!」
「ええ、わかっております」
 蜘蛛糸がさらに宙を舞い、城砦を土台にしてさらなる包囲網をサンサーラに敷いた。もはやそれは一個の巨大な繭だった。
「アナタの視覚は封じさせてもらいマース! ヒャッハー!」
 擲つグレネードランチャーの爆発が眉の内部で起こった。死の大地を揺るがす地響きが轟き、追い詰められたサンサーラを急き立てる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

真宮・律
【閃光の師弟】で参加

眞由璃・・・過去の悪業は知ってるぜ。俺は人の命を取るのを金で請け負った傭兵だからとやかくは言わない。今の状況の解決が大事だ。世界を守りたい気持ちは一緒だろ?朔兎、行こうか。油断するなよ。

俺は五感がなくなるからな。骸の海の広がりを抑えてくれるのは助かる。【勝負勘】【瞬間思考力】【心眼】【第六感】で【限界突破】で荒ぶる雷鳴を撃つ!!【部位破壊】【切断】も付与するぞ!!

朔兎大丈夫か?まあ神だから今は追い払うしかできないが、いつかは。

眞由璃。また会った時は・・どういう出会い方になるんだろうな。思いを馳せてしまうぜ。味方が敵になるなんて戦地ではよくあったしな。


源・朔兎
【閃光の師弟】で参加

まあ、貴方の過去は聞いているよ。ただ今ここに眞由璃さんは世界を飲むこむ骸の海を抑えようとしてるしな。今は目の前の神を退去させる事を考えよう。厄介なものを抑えてくれてるだけでも助かる。

尋常じゃない手数だし、師匠は勘だけで戦ってる状態だから、俺も【オーラ防御】【残像】【迷彩】【第六感】【回復力】で耐えながら月光の矢発動。【部位破壊】【貫通撃】【鎧無視攻撃】【限界突破】【気合い】で攻撃の邪魔に集中。攻撃しつこすぎてやってられない、と思わせればいいな。

神を退去させて、必ず倒す、と決意し、眞由璃さんを見る。次に眞由璃さんが現れる時はどんな表情してるんだろうな。



「あの眞由璃との共闘か……」
 律は神妙な顔でつぶやいた。
 銀誓館学園とは因縁浅からぬ土蜘蛛の女王が味方として目の前にいる。
「お前の過去の悪業は知ってるぜ。だがな、俺は人の命を取るのを金で請け負った傭兵だからとやかく言うつもりはない。今は状況の解決を優先すべき時だからな。少なくとも、世界を守りたい気持ちは一緒……だろ?」
「勿論です」
 眞由璃は頷いた。
 たとえ過去に何があろうとも、この場を切り抜けるためには彼女の力が必要なのだと朔兎も承知している。
「今は目の前の神を退去させないとな。眞由璃さんが厄介なものを抑え込んでくれてるおかげで、かなり助かってる」
「その通りだな。よし、行こうか朔兎。油断するなよ」
「わかっているよ」
 土蜘蛛の女王の力をもってしてもサンサーラの力を抑え込むには限度がある。できるだけ早期に決着をつけるべきだろう。
「あの光に触れるのは勘弁だな……」
 その一筋すらも触れないよう、朔兎は全身にオーラを纏い、迷彩で周囲の景色に溶け込むように残像を紡いだ。耐えれば、いつかはチャンスがやってくるはず。
「攻撃は最大の防御って言うよね……!」
 とにかくサンサーラを狙って月光に輝く破邪の矢を放ち続けた。骸の海に守られた相手の守りは確かに硬い、が――しつこく攻撃し続けることで、やってられないと思ってくれたのならこちらのものだ。
 幸い、骸の海の広がりを彼女が抑えてくれているがゆえに朔兎も律も攻撃に集中することができそうだ。律は自分の勝負勘を頼りに思考する。
(いつ仕掛けるのがいい?)
 答えは第六感が教えてくれた。
 寄せる波が引くように、檻に押し返された骸の海の流れに沿うように。刹那、限界を超えた力で荒ぶる雷鳴を解き放つ。
「いけ!」
 掲げた手のひらから激しい稲妻が迸った。
「!」
 僅かにサンサーラの眉が動く。
 散々、彼の守りを突き崩そうと攻撃をし続けていた朔兎に加えてそんなものをくらったら、さすがの神王であっても躱しきれはしないだろう。
「断ち切れ!」
 律の気合がサンサーラの肩口に部位破壊の傷跡を刻み付けた。骸の海が収縮し始める。朔兎を呼び、無事を確かめる。
「朔兎大丈夫か?」
「うん、平気だよ」
「まあ神だからな。今は追い払うしかできないが、いつかは……」
「そうだね、次は必ず倒そう」
 朔兎は決意し、眞由璃を見た。
 穏やかな微笑みを浮かべる彼女に、律が言いかける。
「眞由璃。また会った時は……」
「その時は、またその時でしょうね」
「ああ。出会い方によっては、また敵同士ということもあるだろうな」
 味方が敵になるなんて、戦地ではよくあることだ。
 もしもその時が来たら、彼女はどんな顔をしているのだろうかと朔兎は思った。不思議と、その時はいつかやってくるような気がしていた。運命の糸が繋がれたかのように。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

楊・暁
【朱雨】

それを言ったら俺も、まだその頃は妖狐軍にいたから
書類でしか知らねぇのは同じだ

…藍夜…
ん、そうだな
衝動で動くことなら誰にだってある
確かなのは、そこにひたすら強ぇ想いがあるってことだけ

土蜘蛛の女王!
あの暴走神王の抑え、あんたに任せて良いんだな?
この厄介な骸の海のこと考えなくていいなら助かる

分かった
“いつもの”なUC

着弾地点から半径1m以内の全てを消滅…なら
攻撃はこれっきゃねぇよな!
敵の攻撃発動直後に俺も早業で
敵をすっぽり取り囲む鏡の城壁を築いてやる
神王から50cm以内にな…!

鏡はオーラ防御と結界術で強化
壊れそうなら早業UCで再生
そんな物騒な光、全部お前にくれてやる!

…後のことは、心配すんな


御簾森・藍夜
【朱雨】

俺は書面上と、学園を揺るがした“らしい”ことを知っている
あの頃は一般生徒の中の一人だったんだ
—だからあの事件に連なった土蜘蛛の女王を呼ぼうと決断した山本の発想が分からかった
応じた土蜘蛛の女王の思惑も

…でも心音、もしかすればそこに理由はないのかもしれない
考えすぎれば無駄な時も人生にはある

俺たちもあの女王も、山本も、それぞれがそれぞれ担うべき役を成せばいい
なら簡単だ
…—心音、“いつもの”で頼む

心音のUCに合わせUC
—雨だ…なぁ、“雨宿り”がしていたいだろう?その“鏡の屋根下”に
更に翳した指の間
その手の下から併用UC:雨宿の夕日
影という影から犬を嗾ける

形ある限り影がある
全てにおいて、悉く…な



 ……国見眞由璃について藍夜が知るのは、後の書面上と学園を揺るがせた“らしい”という噂話に過ぎない。思い起こせば、あの頃は|普通の《・・・》一般生徒の中の一人に過ぎなかったから。
 自分は物語の渦中にはいなかった。
 知らない場所で、知らない間に全ては始まり、そして終わっていたのだ。ゆえに理解できない。あれほどの事件に連なる土蜘蛛の女王を呼ぼうと決断した東方親分が何を考えてそうしたのか。快く応じた土蜘蛛の女王の思惑も、また。
「藍夜……」
 思案に耽る藍夜の気持ちに寄り添うように暁も彼女を知った時のことを思い出していた。
 書面に綴られた事件の一部始終はとても血なまぐさく、当時は妖狐軍にいた暁の立場から見てもあれ以上の解決は難しかったのだろうと思える。
「でも、心音。もしかすればそこに理由はないのかもしれない。考えすぎれば無駄な時も人生になる……そうだろう?」
 暁は頷き、そうだな、と呟く。
「衝動で動くことなら誰にだってある。でも、そこにはきっと、確かな想いがあるんだ。ひたすら強ぇ想い。絶対に譲れない気持ちってやつが」
「そうだ。俺たちもあの女王も、山本も、それぞれがそれぞれ担うべき役を果たせばいい。なら簡単だ。……――心音、“いつもの”で頼む」
「わかった、“いつものな”」
 笑顔で頷き、暁は眞由璃にまで届くように声を張った。
「土蜘蛛の女王! あの暴走神王の抑え、あんたに任せていいんだな?」
「はい」
 それほど大きくない返事だったが、眞由璃の声は確かに暁の耳に届いた。この厄介な骸の海のことを考えないでいいのなら、助かる。
 相手の攻撃は着弾地点から半径1m以内の全てを消滅させる光の連撃、ならば答えは一つ。
「こっちの攻撃はこれっきゃねぇよな!」
 その時、サンサーラの攻撃が発動した。
 眞由璃の檻が暁と藍夜を守るよう、着弾を防ぐ天蓋の形に編み上げられてゆく。同時に暁は早業でサンサーラを取り囲む鏡の城壁を築いた。
「しかも、50cm以内にな……!」
 サンサーラは当然これを破壊にかかるだろう。
 だが、オーラ防御と結界術で強化された鏡はしぶとく耐えた。暁はひび割れた鏡をすかさず造り直して次の攻撃に備える。
「そんな物騒な光、全部お前にくれてやる!」
「無駄なことを……」
 だが、なぜだろう。
 だんだんと、壊すのが億劫になってくるのはなぜだ。サンサーラの頬を雫が濡らす。涙ではない。いつしか夏時雨が降り始めていた。
「――雨だ……なぁ、“雨宿り”がしていたいだろう?」
 藍夜が黒手袋に包まれた指を翳した、その影の合間に――狼が、出る。足元の影にも、どこからも、ゆけ、ゆけ、そらお前の背後からもだ。形ある限り影がある。全てにおいて、悉く……藍夜の唇がゆっくりと動いて。
「例外はない」
 殺到する狼の蹂躙にサンサーラの気配が遠のいた。
「うまくいった……か?」
「そのようだな」
 ぬるい雨に傷を癒されながら、告げる暁の言葉は届いただろうか。

 ……後のことは、心配すんな。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御鏡・幸四郎
私はかつて国見眞由璃の提案にNOと答えました。
その考えは今も変わりません。
ですが、彼女の生き様や覚悟に私は敬意を覚えます。
故に、余計なしがらみ抜きで彼女との共闘が叶うこの機会を、
私は嬉しく思うのです。

「護りの壁となれ、ルーク!」
巨大な雑霊の盾をサンサーラに向けて構え、神王光を防ぎます。
護霊風水盤の効果も上乗せすれば万全でしょう。

光が止んだところで吸収したエネルギーを無数の雑霊弾にして発射。
同時に国見眞由璃の張った糸を踏んで走り出します。
雑霊弾が届けば良し。当たらずともカモフラージュになってくれれば十分。
低い姿勢で走り込み、至近距離からガンナイフを連射+斬撃します。

国見眞由璃、さん。ありがとう。



 強固な蜘蛛糸で黄金の岩戸を塞ぐ檻を見た時、幸四郎はかつて国見眞由璃と対峙した記憶を思い出していた。オブリビオンとして甦った彼女からの同盟の提案を幸四郎は受け入れなかった。その考えは今も変わっていない。
 だが、それでも敬意を覚えないわけではなかった。
 眞由璃の土蜘蛛の女王としての生き様は気高く、覚悟はなおも凛然として彼女の芯から発せられている。
「あなたと共に戦えること、私は嬉しく思いますよ」
 幸四郎は素直に告げた。
 余計なしがらみはかなぐり捨てて。
 またとないこの機会を純粋に喜びたいのだと。
 眞由璃は微笑み、頷いた。
「私も同じ気持ちです」
 それが聞ければ、十分過ぎる。
「護りの壁となれ、ルーク!」
 ひとつの駒が翻り、顕現する巨大な雑霊の盾でもって五感を奪おうとする光の滂沱から身を護る。同時に結界を張る風水盤がはち切れんばかりの出力を維持していた。
「愚かな……」
 抵抗など無駄なのだと知らしめるようにサンサーラの光がさらに増大する。だがそれは悪手だった。この盾はエネルギーを|吸収《・・》し|蓄積《・・》することができるのだ。
「お返ししますよ」
「!」
 なにしろあれだけのエネルギーを収奪したので、それを利用して発射される雑霊弾の威力は凄まじかった。
 さすがのサンサーラも僅かに怯んだ。
 その隙に幸四郎は駆け出している。眞由璃の張ってくれた蜘蛛糸を足場に骸の海を越え、雑霊弾に攪乱されたサンダーらの元へ低い姿勢で走り込み――頼みの武器は妖精のリボルバー式ガンナイフ。
 銃か剣か?
 ――どちらもだ。
 距離を詰める間に弾丸を撃ち放ち、間合いへ滑り込んだ瞬間に刃を突き立てる。幸四郎は後ろを振り返らず、敵の腹部に埋めた刃の先を見たまま彼女を呼んだ。
「国見眞由璃、さん」
「私はお役に立てましたか?」
「ええ」
 引き抜いた後から溢れる血が、その証。
「ありがとう」

大成功 🔵​🔵​🔵​

暗都・魎夜
【心情】
こいつはまあ、なんとも奇妙な縁もあったもんだな
オブリビオンの性質上、あの時の記憶持つ同一存在かも微妙だし
こうなった背景はどうあれ、やらなくっちゃいけねえことに変わりはねえ

「(眞由璃に)俺は味方だ、よろしく頼むぜ」

【戦闘】
神王サンサーラ
その名の通り、普通なら戦おうって気にすらならない相手だな
とは言え、こっちはそのつもりで来てるんだ

「(眞由璃に)文字通りの命綱、預かってもらえるか?」

UCで眞由璃に糸を使用

押しとどめている蜘蛛の糸を足場に「悪路走破」「ジャンプ」でサンサーラを目指す

今の状態なら、多少の傷を受けることは織り込み済み
「リミッター解除」「捨て身の一撃」を放つ



「こいつはまあ……」
 思わず、魎夜はつぶやいた。
 なんとも奇妙な縁もあったものだ。
 目の前の眞由璃は|あの時《・・・》と全く変わらなかった。オブリビオンならばよくあることだ。あの時の記憶を持つ同一存在かは微妙なのだが……そういうことは考えないようにしよう。すくなくとも、今は。
 どういう背景があれど、やらなくてはいけないことは決まっている。
「というわけで、俺は味方だ。よろしく頼むぜ」
「嬉しいです」
 眞由璃はそう答える。
「はい」でも「いいえ」でもなく。
 美しい微笑みを浮かべて。
「じゃあ、こいつを頼みたい。文字通りの命綱だ、預かってもらえるか?」
「こうですね?」
 ふたりは|また《・・》一本の糸で結ばれた。
 繋がれた両者は同時に死なない限り死ななくなる。それが魎夜の作戦だ。神王サンサーラの名の通りに、普通なら戦おうという気にすらならない相手に対する秘策。
「それじゃ、いくぜ!」
 黄金の岩戸を塞ぎ、骸の海をせき止める蜘蛛糸を足場にして駆け抜ける。どんな悪路だろうが構うものか。
「愚かな……」
「果たしてそうかな?」
 魎夜はにやりと笑った。
 |この状態《・・・・》で何を怖がることがある? 滅光が直撃する。だが、魎夜は|生きている《・・・・・》。糸で繋がれた眞由璃がいる限り、何度くらおうが絶対に死なないのだ。
「そら、届いたぜ」
 ついにサンサーラの元へたどりついた魎夜の、限界などかなぐり捨てた捨て身の一撃が真っすぐに振り下ろされる――!!
「俺たちの勝ちだな」
「……不可能を可能にするのが猟兵か」
 サンサーラは目を閉じた。
 一筋の血がその頬を伝い落ちる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

祓戸・多喜
なんか意味深なこと言ってるわねー。
でも世界が壊れていてもそこに住んでいる人は実際に生きてるんでしょ?
なら神王だかなんだか知らない奴にぶっ壊させる訳にはいかないわ!
…別の眞由璃さん倒してるからちょっとビミョーな気分だけども、力を借りてぶっ倒すわよ!

土蜘蛛の檻が抑え込んでる神王に全力の矢をぶっ放すわよ!
檻に抑え込まれてるならそう派手には動けないはず、座標がわかってるならもし五感を奪われたとしても撃ち抜いてみせるわ!
蜘蛛糸の檻の影に隠れて光を直に受けないようにしつつUC起動、全力で引き絞り放つ!
神殺しの矢、その身でたっぷり味わいなさい!
この平安の世界は壊させないわよ!

※アドリブ絡み等お任せ🐘



「なんか意味深なこと言ってるわねー」
 多喜は神王サンサーラの言葉に首をひねる。
 でも、と思う。
 たとえ世界が壊れていたって、結界の外側に何があるのかを知らなくたって、まだ生きている人は確かにいるのだ。
 アヤカシエンパイアという風水結界に守られた世界が骸の海に沈んでいい理由になどならない。
(……もっとも、別の眞由璃さんを倒してるからちょっとビミョーな気分であるんだけど! それはそれこれはこれ!)
 眞由璃に向き直った多喜は彼女に防御を任せてサンサーラに向かい、矢を引き絞る。
「手助けしてくれるのよね!」
「ええ、参りましょう」
 土蜘蛛の檻は骸の海や神王の光を抑え込み、多喜に攻撃の機会を約束する。力の限りに弓を引きながら、座標の位置さえわかっていれば、と狙いを定めた。
 ――たとえ五感を奪われようと、撃ち抜いてみせる。
 ユーべルコードを起動する瞬間、土蜘蛛の檻が光を阻む盾のように厚みを増した。刹那、多歓は矢を放つ。
「神殺しの矢、その身でたっぷり味わいなさい!」
 よもや、とサンサーラは思ったかもしれない。
 完全なる身であるがゆえに、それを破られる時が来るなど考えたこともなかったのだろう。ゆえに自分の胸に刺さった矢の意味を深く考えた。
「なぜ?」
 当然ながら、多喜はその答えを知っている。
「簡単よ、この平安の世界を壊させたくないから! その思いを受け取りなさい!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

白矢羽・尭暁
【矢冷】

その力をお貸し頂くのは何度目だろうか、土蜘蛛の女王の助力に感謝する
常なら倒すべき存在なのだけれど、今はその力を借りたい
さて。あの骸の海が溢れかえる前に僕達の世界を守る為に行こうか、れーくん

眞由璃殿に、叶うなら蜘蛛糸で足場を作ってもらいたい
やわく、すぐ壊れてもいい
そうなってもただ真っ直ぐ、骸の海で傷ついても、神王の元へ駆ける

光にあたりそうであれば、刀のひとつ、我血に僕の血をのせふるってはなつ
…れーくんに後でお小言をもらってしまうなぁ

神王サンサーラにも刀に血をのせて放つ
僕の傍にある神仏の姿が貴方にも見えるだろうか
一瞬でもそちらに気がむいてくれたなら、僕の従者が成してくれるだろうから


冷泉・辰乃丞
【矢冷】

はい、参りましょう、尭暁様
そう返しつつ
一時期、この世界の危機に必要以上に気負われていた主が
普段のご様子に戻られている事に、内心安堵

だがすぐに気を引き締め、眞由璃殿の成す糸の上を駆ける
神王が幾度もこの地に降りたつならば、幾度だって退けよう
この世界は、必ずや守り抜いてみせる

先行し尭暁様をお守りする事を最優先
式神・月読も主の護衛に付け、結界術施し
敵の攻撃や迫る骸の海は霊符・八舞曲で対処
それでも躱せぬものは、身を挺し主をお守りする

主が隙生めば攻勢に転じ
たとえ五感を封じられようとも
詠唱すれば、猛る青龍の水渦が敵を識別する
決して外しはしない

私達が在るこの世界と
そして主の御心の平穏を、今こそ取り戻す



「その力をお貸し頂くのは何度目だろうかね?」
 優美に微笑む尭暁は素直に感謝の言葉を告げた。相手は国見眞由璃、土蜘蛛の女王……本来ならば敵対する立場にある彼女だが、今はその力を借りたい。借りねば倒せぬ相手がいる。
「君の助力に心からの感謝を」
「いいえ、感謝には及びません。これもきっと運命の糸による導きなのでしょうから。けれど、そう言っていただけることは嬉しく思います」
「頼もしいね」
 さて、と尭暁は隣に立つ青年を振り返る。
「あの骸の海が溢れかえる前に行こうか、れーくん? 僕達の世界を守る為に――ね」
「はい、参りましょう、尭暁様」
 凛と響く声で辰乃丞が頷いた。
 どことなく安堵の色が見えるのは、一時期、|この世界《アヤカシエンパイア》の危機に対して彼――主――の気負いを感じていたからだ。ああ見えて尭暁は責任感が強い。必要以上に心を削る日々が続いていたのだが、現在は既に普段通りの様子を取り戻しているかのように思えた。
 だからといって、ここで辰乃丞が気を抜いては事を仕損じよう。
 気を引き締め直し、足元に張られた蜘蛛糸に神経を集中する。先ほど尭暁が眞由璃に頼んで張ってもらったものだ。
「足場を?」
「ああ。やわく、すぐ壊れてもいい」
 自信ありげに尭暁は言ったものだ。
「そうなってもただ、ひたすらに真っすぐに駆けよう。この身が骸の海に傷つけられようとも、諦めることなく」
「尭暁様が傷つけられる? 見くびらないでいただきたい」
「れーくん?」
「……式よ」
 結界術を施しながら召喚する月読が、彼の護衛。
 ――白き蜘蛛糸の道を、駆けろ。
 神王を退けるため。
 幾度もこの地に降り立つ度、幾度だって退けてみせよう。
「この世界を破壊させることなど、許されぬとお思いくださいませ……神王とやら」
「無駄なこと……」
 先行する辰乃丞と彼の式神に守られながら、尭暁は自らも我血を振るって滅殺の光に抗った。薙ぎ払う刃から飛ぶ鮮血はさきほど自らを傷つけた時に乗せたもの。
「……れーくんに後でお小言をもらってしまうなぁ」
 骸の海はいまのところ辰乃丞の霊符によって抑え込まれているようだ。八方に飛び散り、霊力を漲らせながらそれ以上の拡大を封じ込める。
「――尭暁様」
 不意に跳ねる波が主にかからぬよう、辰乃丞は腕を拡げ、身をもって庇い立てる。一滴とて触れさせてなるものか。
「見えるかい? 数多の神仏の姿が、貴方にも」
 サンサーラその人を視界に捉えてすぐに尭暁は攻撃に移った。再び刀に血を乗せて放つ。周囲を埋め尽くす神仏の幻影に紛れながらの、|僕の従者《辰乃丞》が放つ青龍の猛りが本命だ。
 ――五感の有無など関係ない。
 詠唱するだけで、水禍を巻き起こす青き龍はひとりでに敵を識別するだろう。すなわち必中。ふたりの在るこの世界を取り戻し、そして主の御心の平穏を今こそ取り戻すために。
「吼えろ、青龍」
 尭暁は光に照る水の眩しさに目をすがめた。
「あいかわらず、かっこいいなあ」
 大洪水を被ったサンサーラは動きを封じられ、あっという間に波間へ呑まれる。海面に向かって突き出した指先が何かを掴むようにひとかきだけしてから、ゆっくりと沈んでゆくのが遠く見えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年09月20日


挿絵イラスト