未来を夢見るサメたち
●体は早く、心は遅く
獣人戦線、ロシア北部。
少数種族のサメが多く住まう街があった。海辺でささやかな営みを繰り返しつつ、侵略してくる超大国の攻撃にもどうにか耐え抜いて守り続けた小さな街。
戦略的な価値が低い事も幸いしてか本格的な攻勢はなく、最近では獣人世界大戦で超大国が大打撃を受けたこともあってつかの間の平和を噛みしめている彼ら。
けれど心には傷が刻まれている。いつ襲撃があるか分からぬ不安、親しき人たちが吹き飛ばされた哀しみ、変わった所では陸を行軍するどこかの超大国の戦艦だとか山よりも高い巨人を目撃してしまった恐怖など、平和を感じているからこそ痛みはより強くなり、獣人達を苛む。
それでも時間はいずれ彼らの傷をゆっくりと癒していくのだろう――しかし、その時が来る前にこの街を滅ぼさんと、幻朧帝国の悪しきオブリビオンが破壊工作を今まさに仕掛けんとしていた。
グリモアベース。
「サクラミラージュの戦争も大詰めですが、獣人戦線の世界の予知が得られました。お力を貸して頂けませんか?」
マウザー・ハイネン(霧氷荊の冠・f38913)はいつもの無表情のまま、集まった猟兵達に端的に切り出す。
「場所はロシア北部の海辺の街ですね。幻朧帝国のエージェント『ジェノサイドコマンダー』が街を逢魔が辻に変えてしまう為に逢魔弾道弾を設置しようとしています。それを阻止してください」
エージェントは残虐非道な移動虐殺部隊の司令官だとグリモア猟兵は説明する。
「敵性分子の尋問や処刑を得手としているようですね。どうにも獣人嫌いなようで玩具の兵隊で構成された親衛隊に守らせているようです。性格的に獣人だらけの街中に予め潜入とかはしなさそうですし、予知でも街の外を警戒していれば発見は容易と見えました」
そう説明したマウザーは、次に狙われている街についての説明に移る。
「住民の多くは少数種族のサメ、ですね。この町の獣人達は海での戦いを得意としているようですが……ワルシャワ条約機構の侵略に長年晒されてきたことで精神的に傷を抱えた方も多いようです。軍人だけでなく一般人や子供達も、ですのでもし可能なら彼らの心の傷を癒すように交流してもいいかもしれません。……当然心の問題は難しいので、彼らの身の安全を確保優先で警戒、迎撃準備を整えるなどでも彼らの為にはなると思います」
そう説明したマウザーは蝋燭型のグリモアを取り出し、転送の準備を開始する。
「サメの種族で猟兵に覚醒した方は未だいません。なぜ彼らが幻朧帝国に狙われるのかはっきりした事は判りませんが……とにかく、逢魔ヶ辻とかいう碌でもない物の為に彼らの街を潰させる訳にはいかないと、私は思っています」
それでは皆様よろしくお願いいたします、とマウザーは締め括り、グリモアの蝋燭を灯すと猟兵達を獣人戦線のサメの街へと転送したのだった。
寅杜柳
オープニングをお読み頂き有難うございます。
話すだけ話したら楽になる事もありますが、人それぞれでしょう。
第一章はサメ獣人が大半を占めるロシア北部の街での住民との交流になります。
PTSD抱えた方がそれなりに多いので、彼らの心の傷を癒すように交流出来ればいい感じになるかもしれません。
第二章は逢魔弾道弾を設置しようとやってくる『ジェノサイドコマンダー』との戦いになります。
こちらは断章で冒頭に状況説明を追加致しますのでそちらもご確認下さい。
それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
第1章 日常
『心に刻まれた戦火の爪痕』
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POW : 明るく前向きに励ます
SPD : 多くの人と交流を持つ
WIZ : 親身になって話を聞く
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
下原・知恵(サポート)
「話は聴かせてもらった。つまり……ここは|戦場《ジャングル》だな!」
◆口調
・一人称は俺、二人称はお前
・ハードボイルド調
◆癖・性質
・公正と平等を重んじ、己を厳しく律する理想主義者
・自分の現況を何かにつけてジャングルとこじつけたがる
◆行動傾向
・己を顧みず同志の安全と任務遂行を優先する(秩序/中立)
・UDC由来の人工心臓が巨大ゴリラの変身能力をもたらす
・ジャングルでの戦闘経験から過酷な環境を耐え抜く屈強な精神力と意表を突くゲリラ戦術を体得している
・とりあえず筋力で解決を試みる。力こそパワー
・手軽に効率よく栄養補給できるバナナは下原の必需品
・生真面目がたたり、意図せずとぼけた言動や態度をとることがある
●筋力は全てを解決する?
心の傷というものは目に見えない。だからこそ深刻であり、それが本当に治っているのか分かる者はそういない。
トラウマを一朝一夕でどうにかできるはずもないし、ずっと守り続けることができるわけでもない。一時訪れた猟兵にできることは彼らの話を聞いて前向きに励ますぐらいだろう。
この幻朧帝国に狙われている街には多くのサメ獣人達がいて、その中には超大国の侵略により深い心の傷を負った者も多い。
そんな中の一人、どこにでもいそうな普通のサメの中年男性と下原・知恵(ゴリラのゲリラ・f35109)という猟兵は対話する。
この街にやってきた知恵が話すことになったのはちょっとした巡り合わせだが、意外と生真面目な理想主義者の彼は熱心に話を聞いているように見える。
かつて手が届かなかった、今は大切なものがあるけれどもまた手が届かないんじゃないか。
挫折により大切な存在を喪った彼は、時が過ぎた今でも前を向く為の力を奪われ続けているようだと、会話の中で知恵はそう感じた。
「……お前の心は未だ|戦場《ジャングル》に居続けているということだな」
彼の例えにサメは首を捻る。いつもは自身の現況をジャングルに結びつけがちな彼だが、彼にとってはジャングルとは過酷な環境の戦場、多少平和になっても心はそんな状況に置かれ続けてるという意味では正しいのかも知れない。
アドバイスとして、知恵は鍛錬を勧める。
傷を抱えていても周りは、超大国はそれで手心を加えてくれるわけではない。苦しんでいようが生き延びる為には戦わねばならない――それが戦場というものだ。
過去は変えられないが未来は変化するもの、己の心身を鍛え上げておけば損はなく、もしかしたらトラウマを克服できる日が来るかも知れないのだから。
そのアドバイスが役に立つかは不明だが、サメの表情は対話前と比べて少しだけ晴れやかになったように見える。
彼の背中を見送りつつ、知恵は対話すべき他の住民がいないか探すべく、街中を歩き出した。
成功
🔵🔵🔴
バルタン・ノーヴェ
全員リクエストによる、各シナリオへの救援プレイングです。
長らく滞っていたり人手が足りてない時など、ご自由にご利用ください。
台詞のアレンジ、行動のアドリブ、他猟兵との連携歓迎。自作PBWも採用歓迎です。
ユーベルコードも指定外の、公開中から適当なものを使用してもらって構いません。
HAHAHA!
グリモア猟兵殿の要請に応じて参上デース!
お困りのようデスネー? ドントウォーリー! ワタシが手伝いマスヨー!
アタック、ディフェンス、他の方への支援! おまかせくだサーイ!
白兵戦、射撃戦、集団戦もボス戦もオーライ!
冒険の踏破や日常への奉仕活動も得意であります!
臨機応変に対処可能デース、よろしくお願いしマース!
●子供たちには笑顔を
戦禍の爪痕は当然子供にも及んでいる。
それはこのサメ達の街でも同様で、親や友達をなくして意気消沈したまま日常生活を送り続けている少年少女も多い。
そんなサメの子供たちに酷く明るい声で呼びかけるサイボーグの猟兵がいた。
「お困りのようデスネー? ドントウォーリー! ワタシが手伝いマスヨー!」
彼女はバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)、趣味でメイドをやっている彼女は当然のように奉仕活動も得意としているハイスペックサイボーグだ。根本的なメンタリティは戦闘民族だけれども。
戦乱続きで遊びは少なく、遊具も砲火で吹き飛ばされたりと無意識に抑圧されているサメの子供たちは、最初は不可思議な話し方のサイボーグメイドに警戒ーー寧ろ不安を感じていたけれども、全力で相手をしてくれる彼女に慣れてきて、年相応の笑顔を見せるようになってきた。
「ハーイ、おやつの完成デース!」
見事な包丁さばきであっという間に|糧食《レーション》素材のお菓子を作るバルタン、その腕前はプロであろうと驚くほどのものであろう。
当然それを食した子供たちは大歓声、トラウマが完全に拭い去られたわけではないだろうが、それでも一時トラウマを意識しない位に楽しい時を過ごせただろう。
彼らの心の傷を癒やすという依頼のために全力を尽くすのがプロたるバルタン。子供たちの為に何ができるかをいつものハイテンションな思考回路で考えながら、彼女はサメの子供たちの笑顔を増やすべく、それからも全力で楽しい時をしばし過ごしたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『ジェノサイドコマンダー』
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POW : 戦車隊、前へ!
【様々な重火器】で武装した【今まで虐殺してきた獣人兵】の幽霊をレベル×5体乗せた【戦車隊】を召喚する。
SPD : 銃殺隊、構え!
【銃殺隊によるライフルの一斉射撃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : 砲兵隊、撃て!
レベル秒間、毎秒1回づつ、着弾地点から半径1m以内の全てを消滅させる【野戦砲による榴弾や毒ガス弾などの砲撃支援】を放つ。発動後は中止不能。
イラスト:もりさわともひろ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ザイーシャ・ヤコヴレフ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●殺戮者の襲来
猟兵達が心的外傷を抱えたサメ達とそれぞれの形で交流し、そして一段落がついて集落の外へと出る。
敵のエージェントは外からやって来る、その予知に従って幾度か警戒して外を注意しており、ようやく怪しい人影が猟兵達の
『チッ! こんな僻地にまで猟兵がいたとは!』
軍服姿で周囲におもちゃの兵隊を従えた女ーージェノサイドコマンダーは殺意を漲らせた瞳で猟兵達を睨みつける。
このオブリビオンこそが幻朧帝国の破壊工作エージェント、撃破できなければこのサメの町が逢魔ヶ辻に変えられて滅ぼされてしまうーーその前にエージェント自身がサメ達を虐殺する方が先になるかもしれない。
決して任務を果たさせるわけには行かない。虐殺を得手とするオブリビオンを食い止めるべく、猟兵達は戦闘態勢を取った。
夜城・さくら(サポート)
キャバリアでの戦闘をメインに。
『オーバーフレーム換装』では、装甲を犠牲に攻撃力か射程を上げて仲間を援護するように攻撃します。【スナイパー】技能使用。
手数が必要な時は『無限射撃地獄』です。敵がビット攻撃してきた際には相殺するように展開することも。
キャバリア以外では、『ギタギタ血まみれの外科手術』で仲間の治癒と戦闘力増強に励みます。
「ちょっと痛いですよ? でも大丈夫。すぐに元気すぎるくらいになりますからね」
笑顔でノコギリを振るいます。大丈夫怖くない怖くない。
●量産型と銃殺隊
猟兵への殺意を剥き出しにしているジェノサイドコマンダー、彼女は即座にユーベルコードを起動して、
『銃殺隊、構え!』
号令を出せば、おもちゃの銃殺部隊が一斉にライフルを構え一斉射撃、敵味方の区別もない無差別攻撃が猟兵に襲いかかる。
その弾丸の多くが狙ったのは一機の緑の量産型キャバリア、そのパイロットである夜城・さくら(不思議ちゃんの量産型キャバリア・f30006)は弾丸の嵐をライフルの向きから見切りダッシュで弾幕を回避する。
あれだけの銃殺部隊は厄介、接近するのは容易でないと判断したさくらはユーベルコード【無限射程地獄】を起動して迷彩型戦闘ドローン『ダズルビット』を展開、同時にキャバリア自体はコマンダーから遠ざけライフルの射程外へと逃れる。
「貴方は蜘蛛の巣に捕らわれた蝶。哀れな蝶に終止符を」
脳波コントロールにより操るダズルビットの調子は良好、操作可能な範囲も20キロ以上はあるのでこの戦闘では気に掛ける必要はないだろう。
高度な瞬間思考力で銃殺隊のライフルの射線を演算、脳波で展開したビットを操り華麗に躱させつつ命令するコマンダーをレーザーで穿ち貫いた。
ダメージにジェノサイドコマンダーは一瞬怯む。しかしすぐ配下へと号令を飛ばしてダズルビットに弾幕を張り退けさせた。
見事な初撃を叩き込んださくらはその様子を遠距離から観察しつつ、冷静に次なる攻撃の機会を探るのだった。
成功
🔵🔵🔴
キノ・コバルトリュフ
ナメコ!キノの足の早さを見せてあげるよ!!
どんな敵だってキノからは逃れることは出来ない、完璧な走りだよ!
マッシュルーム!あまりの早さに止まって見えるんだってね。
キノキノキノ!キノの爆走!キノコロードの前に敵なし!!
●走りキノコ(超絶猛毒)
量産型キャバリアと迷彩ドローンの攻撃を受けたジェノサイドコマンダー、そこに高速で近づいてくるのは毒々しいキノコ笠のピュアリィだ。
「キノキノ! 足の早さじゃ負けないよ」
ユーベルコードを起動したキノ・コバルトリュフ(|キノコつむり《🍄🍄🍄🍄🍄》の星霊術士・f39074)は踝から下を地面に埋めており、遠目に見れば地面から生えた毒キノコのような姿勢にも見える。
実際はあまりの足の動きの早さに停止しているように見えているだけなのだが、この姿勢のまま時速156キロもの速度でキノコつむりはエージェントに急接近していく。
『砲兵隊、撃て! あんなモノを絶対に近づけるな!!』
動物嫌いとかではなくその毒々しい色合いに純粋な生命の危険を感じたのか、凄まじい形相となったジェノサイドコマンダーは絶叫の如き勢いで砲兵隊に命じて野戦砲の榴弾や毒ガス弾をキノに降り注がせる。
毎秒襲い掛かる着弾地点を消滅させる強烈な砲撃の嵐――しかし、
「ナメコ! キノの足の早さを見せてあげるよ!!」
キノの自慢の足の速さはそれらの砲撃全てをぶっちぎって、砲弾周囲1メートルの消滅範囲から軽々と逃れジグザグに翻弄しながらスライドするように駆け抜けていく。
「キノキノキノ! キノの爆走! キノコロードの前に敵なし!!」
そして恐怖に顔をひきつらせたジェノサイドコマンダーにキノは激しく衝突、彼女の毒々しい色合いのキノコ笠から胞子がバサッと撒かれてエージェントの顔色は一気に青ざめていく。
衝突による攻撃で与えたのは食中毒、その苦しみにコマンダーは体を抱えるようにしてのたうち回る。
そんなオブリビオンを置き去りに、キノはそのまま駆け抜けて戦場を離脱したのだった。
大成功
🔵🔵🔵
メルキア・セルデモン(サポート)
対象の能力(ユーベルコード)を逆に自身が使うことが出来る存在と、様々な生物の遺伝子を取り込み、その生物の体質を使える存在。その2つを元に作られたのが、私なの。
やる事もそんなにないから、とりあえず色んな世界を回ってみて、何かあれば対処するつもりよ。
〇ユーベルコードは何を使っても構いません。(18禁でない且つ)彼女の個性(設定)を活かしてくれると大歓迎です。よろしくお願いします。
●砲撃には砲撃を
(「あの症状……食中毒よね」)
右目に眼帯をつけたメルキア・セルデモン(2つの存在を掛け合わされた者・f40535)というミレナリィドール
毒の知識は豊富な彼女だが、経口摂取でなく接触してばら撒かれた胞子を吸引しただけでこれだけ劇的な症状が表れる毒は生物兵器の類になるようにも思える。
とはいえ相手はオブリビオン、走り毒キノコの超絶猛毒を受けてよろめきながら立ち上がろうとしていて、向こうが万全な態勢を整える前にメルキアは仕掛けにかかる。
向かってくる新たなる猟兵にジェノサイドコマンダーは声を張り上げ砲兵隊へ再度の砲撃指令、メルキアが近づく前に吹き飛ばそうとするが、
「ソレ、試してみる価値はあるわね」
ユーベルコード【能力複製】により敵のユーベルコードを脳内に記録、そして、
「砲兵隊、撃て!」
メルキアの号令と等しき詠唱と同時、砲兵隊に向けて榴弾が襲い掛かる。
発動後は中止不可能、しかし145秒間毎秒放たれる消滅の砲撃はジェノサイドコマンダーの力とほぼ同等で、彼女が指揮する部隊に砲撃が命中し消滅させていく。
劣勢に陥り動揺しているコマンダー、その隙を見逃さず『ゲノミクス・ショット』で魔法の弾丸を放つ。
弾丸に籠められた形質は毒蛇の神経毒、片腕を撃たれたコマンダーは即座に危険を察知し短刀で傷口ごと弾丸を抉り出した。
丁度そのタイミングで砲撃支援が停止する。すっかり見通しが良くなった戦場で、配下の部隊の大半を失ったエージェントは闘志を喪わぬままの憎悪の目でメルキアを睨みつけてくるが、受けたダメージは無視できるようなものではなく、消耗しているのは明らかだ。
偶然の縁でやってきたこのサメの町を守るべく、ミレナリィドールの少女は銃に弾丸を籠め直して遺伝子を取り込んだ動物の|身体能力《形質》で敵の攻撃を躱しながら次の攻撃の機会を窺うのだった。
成功
🔵🔵🔴
ギュスターヴ・ベルトラン(サポート)
よう、お出ましだな?
…ソレが怨嗟による存在であっても、殺す事に歓びを得る存在であっても
人の間に悲しみと苦しみが広がる以上は…神敵必滅、躯の海に叩き返す
■行動
柄が悪くとも信心深いため、戦う前に【祈り】を捧げる事は忘れない
敵の主義主張は聞き、それを受けて行動する。行動原理を理解しないままの行動はしない
連携相手がいるならば相手のフォローに、居ないなら全力で敵をシバきに行く
戦場によっては屋内でも空が飛べるタイプの魔導バイクを乗り回す
「公序良俗に反することはしてねえぞ」と言うし実際にそうするタイプ
■攻撃
主武器:リングスラッシャーと影業
近距離攻撃が不得意なので敵とは距離を取って戦う
アドリブ連帯歓迎
●邪悪を灼くは神罰の光芒
猟兵達の攻撃に消耗していくエージェント。されどその任務の為に――或いはエージェント個人の性質から、撤退する事など欠片も考慮していないようだ。
そんなエージェントに対し、戦闘前の祈りを終えた黑いカソックのギュスターヴ・ベルトラン(我が信仰、依然揺るぎなく・f44004)がサングラス越しに目を合わせて問いかける。
「あー……一応聞いておくが、目的はこのサメの町への破壊工作……なんだよな?」
『そうだ! こんな獣人共の不快な町はオブリビオンの為の逢魔が辻に変えてしまうぐらいで役に立たせるべきだろう?』
相手の主義を念の為確認するギュスターヴに、ジェノサイドコマンダーはそれが当たり前のように悪びれなく宣う。
――相互理解など不可能、この幻朧帝国のエージェントは人の間に哀しみと苦しみを広げる存在である。既に邪悪の気配は嗅ぎ取ってはいたが、ここまでとは。
ならば、
「……神敵必滅、躯の海に叩き返す」
敬虔なるエクソシストが頭上に光輪の如きリングスラッシャー『HYMNE』を、足元の影から鴉の形をとった影業『Miserere nobis』を浮かび上がらせて。
『戦車隊、前へ!』
対抗戦と力強く叫んだエージェントの後方から戦車隊が召喚される。それらに乗っているのは獣人達の亡霊ーージェノサイドコマンダーがこれまで虐殺してきた無念の幽霊は、様々な銃火器で武装して猟兵を殺傷せんと武器を構えている。
死者を冒涜し、それどころか死者の安寧まで踏み躙る邪悪なユーベルコードに対してギュスターヴは祈るような所作でユーベルコード【十字架の血に】を起動する。
「――十字架の血に清めぬれば来こよとの御声を、我は聞けり」
降り注ぐは755本もの金色の光芒、それらは召喚された戦車隊の幽霊たちを次々に撃ちぬいていく。
幽霊たちの苦痛に満ちていた表情は輝きの中で安らいだものへと変わり消滅。しかし、その光が集中的に降り注いでいるのは戦車隊の指揮官、主が庇護する人々に苦痛を与える存在であるエージェントだ。
無数にも思える空より降り注ぐ光芒をどうにか回避しようとするエージェントだが躱し切ることは叶わない。神聖なる光に撃ち抜かれ動きが鈍れば、そこに影の鴉と光輪が襲い掛かり更なる深手を刻み込まれた。
しかしこれ以上の追撃は難しいだろう。そう判断したギュスターヴは後続に残りを託し、エージェントから距離を取った。
成功
🔵🔵🔴
下原・知恵(サポート)
「話は聴かせてもらった。つまり……ここは|戦場《ジャングル》だな!」
◆口調
・一人称は俺、二人称はお前
・ハードボイルド調
◆癖・性質
・公正と平等を重んじ、己を厳しく律する理想主義者
・自分の現況を何かにつけてジャングルとこじつけたがる
◆行動傾向
・己を顧みず同志の安全と任務遂行を優先する(秩序/中立)
・UDC由来の人工心臓が巨大ゴリラの変身能力をもたらす
・ジャングルでの戦闘経験から過酷な環境を耐え抜く屈強な精神力と意表を突くゲリラ戦術を体得している
・とりあえず筋力で解決を試みる。力こそパワー
・手軽に効率よく栄養補給できるバナナは下原の必需品
・生真面目がたたり、意図せずとぼけた言動や態度をとることがある
●|戦場《ジャングル》の掟
『何をしている! こんな連中さっさと蹴散らさないか!』
再び戦車隊を召喚して幽霊たちに怒号のような命令を飛ばすジェノサイドコマンダー、既に満身創痍で息も絶え絶えだろうが周囲に振り撒く敵意や憎悪は寧ろ増しているようだ。
そこに町の方からやってきたのは下原・知恵(ゴリラのゲリラ・f35109)、既に状況を把握した彼はこの|戦場《ジャングル》に静かな怒りを抱きやってきた。
この傷付いた者の多いサメの町、それを更なる悲劇に陥れようとするこのエージェントは決して逃がす訳にはいかない。
緑の軍服の猟兵の接近を察知したエージェントは配下に号令を飛ばして迎撃させようとする。
しかしその直前、知恵を中心に霧が出現する。
彼の屈強な肉体――その筋肉から発せられる膨大な熱により蒸発した汗がユーベルコード【超獣技法《五里五里舞霧》】により濃霧として彼とその武装を覆うように現れたのだ。
『霧……? これでは視界……いや他の感覚でも探知できないぞ!?』
濃い霧はその中にいる知恵の座標を視聴嗅覚で感知させない効果を持つ。様々な銃火器で武装した幽霊たちが闇雲に乱射しても、猟兵を捉えることはできない。
更に霧の一部が分かれて戦車隊の幽霊たち、そしてエージェントを包んでその視界を奪う。移動しながら濃霧を発し戦場の視界を悪化させる知恵に対し、エージェントは苛立ちを乗せた声で叫ぶ
『ええい厄介な……卑怯者が!』
「無理もねえ。霧の中じゃあきりきりまい。俺の技も見切れまい……」
濃霧に惑わされて明後日の方向を向いて叫ぶエージェントに静かに呟く知恵、その言葉も感知はされないのだが。
既に知恵はコマンダーの間近にまで迫っている。だから、後はありったけの力を叩き込むまで。
大きく息を吸い、ゴリラの如き膂力で拳を叩きつける。まるで巨大な丸太に殴りつけられたような強烈な衝撃に、ジェノサイドコマンダーの体は空高くへと吹き飛ばされて墜落。
その一撃は致命傷、再びオブリビオンは立ち上がる事もなく、戦車隊の幽霊たちと共に跡形もなく消滅したのだった。
心の傷付いた者の多いサメの町の一つはこうして守られた。そして猟兵達は勝利の報告をもってグリモアベースへと帰還したのだった。
成功
🔵🔵🔴