帝都櫻大戰⑬〜残酷な理想郷のように
その身を数多の蛆獣に蝕まれ、己の自由を奪われたイザナミにも許せないものはまだあったのだ。ウィリアム・ローグを取り巻く雲海を見た瞬間、イザナミは眦を吊り上げて怒った。
「貴様、それは……それはアルカディア・エフェクト! おのれ、それだけは許さぬ、決して許されぬ……!」
「言い訳はしない。これは私達死者にとって禁忌の力なのだろう。だがこれは、命ある者が纏いし時、鮮やかに光り輝く……それを証明してくれる猟兵が現れると、私は信じているのだ……」
幻朧桜を伴うエンシェント・レヰスの侵攻はブルーアルカディアの空に浮かぶ多数の浮遊大陸も例外ではなかった。
「既に各国の勇士たちは『自分たちの力ではイザナミにまず太刀打ちできない』と判断し、異変に乗じて活発化しようとしている魔獣や屍人帝国の排除に向かった。ここでもキャンピーくんのおかげで、既にレース・フォーミュラ『ウィリアム・ローグ』がイザナミを抑えてくれている」
その切り札があの、触れた者を消滅される『アルカディア・エフェクト』。
自分が乗るエアカーの機体から噴出しながら超高速で疾走することで猟兵と共にイザナミに立ち向かうつもりのようだ。
「もしも、君たちの中に『アルカディア・エフェクトの後継者』が居た場合、ウィリアム・ローグのアルカディア・エフェクトと呼応できる可能性がある。うまくいけば『鮮やかに光り輝く虹雲』を纏った真の姿に変身し、身体能力とユーべルコードの威力が爆発的に増加した状況で戦えるだろう」
ツヅキ
プレイングを送れる間は人数に関わらず受付中です。
共同プレイングをかけられる場合はお相手の呼び名とIDもしくは団体名を冒頭にご記載ください。
アルカディア・エフェクトを駆使し、ブルーアルカディアに侵攻するイザナミを撃退してください。ウィリアム・ローグは猟兵の到着を待ちわびており、共闘の要請に快く応じてくれます。
プレイングボーナスは『アルカディア・エフェクトを利用して敵を追い込む/アルカディア・エフェクトの後継者の力で戦う/ウィリアム・ローグと協力して戦う』です。
第1章 ボス戦
『イザナミ』
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POW : 幻櫻死界
指定地点からレベルm半径内を【サクラエリュシオン】に変える。内部にいる者は活力(体温・燃料等)を激しく消耗する。
SPD : 黄泉変異卵
【冥府の蛆獣】から無限に供給される【生命を貪る蛆獣の卵】を、最大レベル体の対象に一瞬で投擲できる。
WIZ : 火雷大神
自身に刻まれた【オブリビオン化の烙印である腐敗した肉体】を引き裂き、【8体の火雷大神(ほのいかづちのおおかみ)】を召喚する。[8体の火雷大神(ほのいかづちのおおかみ)]は死ぬまで敵を追跡し、【雷】で攻撃し続ける。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
山吹・夕凪
アルカディア・エフェクト
それは一体、如何なる本質を持つのか
イザナミの怒り具合から、生きる力のようにも思えるものの
けれど悩む時間はなく、今はただ世界の災いに抗うのみ
風を操る術にて強烈な疾風を自在に巻き起こし、思うが儘にアルカディア・エフェクトから紡がれた雲海を操りましょう
投擲された蛆獣の卵とて、そこに破邪と凍結の力を乗せて、私の元に辿り着く前に凍て付かせ、打ち払うのみ
更に目眩ましとしても雲海を利用して隠れつつ、ウィリアム・ローグの動きに翻弄されて出た隙、一点の急所を見抜いて放つはUC『白刃の息吹』
「死に抗う、命の輝きを此処に」
神を殺す刃にて、昔は愛をも司った神の望まぬ狂乱へと終わりを刻みましょう
「アルカディア・エフェクト……」
夕凪は微かに呟いた。
今は未だその本質を明らかにしていない、猟兵にとっても未知なる現象。イザナミの動揺を見ればそれが如何に規格外のものなのかわかるような気がする。
(生きる力? それとも――?)
残念ながら今は考える時間も悩む暇も与えられていない。世界を災いから救うためには神にすらも抗わねばならないのだから。
「風――!?」
その時、イザナミは見る。
先触れは強烈な疾風だった。
それらを巻き起こす夕凪は、ただ思うが儘にアルカディア・エフェクトから紡がれた雲海を操り続ける。
まるで気まぐれな木枯らしみたいだ。
霜を孕んだ凍てつく風は粗獣の卵すらもこの身へ届く前に氷で包み込んでしまう。カランと足元に落ちて転がる卵の寂しく奏でる音が戦場に鳴る。既に魔は祓われ、孵化することは永遠に無い。
イザナミは戦慄した。
「あれを、操るというのか猟兵は……!?」
「――涙切」
その黒き刀身が真白に染まる時、神殺しの剣光が戦場一帯を塗り替えた。
突如、雲海の影から躍り出た夕凪にイザナミは対処できない。アルカディア・エフェクトを噴き出しながら縦横無尽に疾走するウィリアム・ローグへの対応に追われていたのもある。
だが、それ以上に、その光は――!?
「死に抗う、命の輝きを此処に」
かつて愛をも司った神。
だけど狂乱へと堕ちた神。
|神《・》と名の付くものならばこの白刃が終わりを刻み付けよう。
夕凪の一閃がイザナミを貫いた。アルカディア・エフェクトによって剥ぎ取られた蛆獣に覆われていないただ一点の急所を穿たれ、一瞬、その呼吸が止まる。
大成功
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数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
久しぶりだね、ウィリアムさんよ。
アンタとのレース、今でもはっきりと思い出せるさ。
まさかこっちの世界で、こうして|同じチーム《味方》として|走れる《戦える》たぁね。
アルカディア・エフェクトの後継者としても、恥ずかしくない|レース《戦い》を見せてやるよ!
宇宙カブに『騎乗』してウィリアムのマシンと並走し、イザナミが大神を召喚するまでサイキックの力を心の裡で練り上げる。
召喚が見えたならすぐに『電撃』の『オーラ防御』を展開し、雷をそのまま受け流して一気に最高潮、アルカディア・エフェクトも交えた【闇払う旋風】で一気に消滅させにかかる!
最後は虹色の嵐でイザナミも巻き込んでやるよ!
「久しぶりだね、ウィリアムさんよ」
「君は――そうか、来てくれたんだな」
多喜が覚えているようにウィリアム・ローグも忘れてはいなかった。今でもはっきりと思い出せる、とてもいいレースだった。
「まさかこっちの世界で、こうして味方として同じチームで走れるたぁね。何が起こるかわからないもんだ」
宇宙カブ『JD-1725』も再会を喜ぶかのように軽快なエンジン音を上げてウィリアム・ローグのマシンと並走する。
――アルカディア・エフェクトの後継者として、恥ずかしくないレースを!
心の裡に練り上げるサイキックパワーがどんどんと膨れ上がる。今か? まだだ、もっと引き付けてからでなければ。
「火雷大神よ、おいでませ!」
「それを待っていたんだ!」
イザナミの元から一斉に襲いかかる火雷大神は、しかし、そのまま多喜をすり抜けた。
「何が起こった!?」
「雷には雷を、ってね」
そう、多喜はその身を電撃のオーラで覆い、そのまま攻撃を|受け流した《・・・・・》のだ。さらに加速する。最高潮は目の前だ。ユーべルコードにアルカディア・エフェクトが絡み、極限まで増幅した旋風が降臨する。
「なんと……!!」
アルカディア・エフェクトにこんな使い方があるとはイザナミは考えもしなかった。旋風はやがて虹色に輝きながらイザナミを巻き込んで吹き荒れた。
「流石だな」
巻き込まれないよう、直前でハンドルを切ったウィリアム・ローグが呟いた。バイザーを上げて空を仰いだ。
虹色の嵐がブルーアルカディアの蒼穹にまるで虹を架けたかのようにきらめいてた。
大成功
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ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
アドリブ・連携歓迎
ずいぶんと話が大きくなってきたねえ。
まあ、やることは結局殴って止めるだけだから変わらないんだけどさ。
さて、相手の攻撃は飛んでくる卵か。
ローグさん、あたしちょっとチャージするから後ろに乗っけてもらっていいかい。
あたしも飛んできたのを斧で打ち払うくらいはするよ。
【襲迅雷駆】の生体電流のチャージが終わったら、アルカディア・エフェクトの後継者の力で真の姿に変身。
雷光と虹雲を纏った体当たりで卵や孵った蛆獣を吹き飛ばしながらイザナミまで突っ込むよ。
使えるものは何でも使う主義ではあるんだけどさあ。
それでも、二人で通じ合ってないでアルカディア・エフェクトって何なのかは説明がほしいんだけど?
やれやれ、ずいぶんと話が大きくなってきたもんだ。
ペトニアロトゥシカは腕を組み、ふふっと笑顔をこぼした。まあ何があろうとやることといったら、殴って止める。
これだけだ。
どういう風に回り道したところで結局はその原点に戻ってくる。変わらない。ペトニアロトゥシカはいつだってキマイラのバーバリアンとしての矜持を、戦い方を忘れたりはしない。
「さて、いくか」
それにしても飛んでくる卵とはなかなかにヘビィな攻撃だ。間違ってもあれをくらいたくはなかったのでちょいちょいとウィリアム・ローグに合図する。
「ローグさん、あたしちょっとチャージしたいからさ、それが完了するまでアンタの後ろに乗っけてもらっていいかい?」
「構わんさ」
「そんじゃ、同乗させてもらうとするかねぇ」
よっ、とペトニアロトゥシカはウィリアム・ローグの機体に飛び乗って戦闘機の後席に座る相棒よろしく斧で飛んでくる卵を次から次へと払いのけた。
「助かる」
「乗せてもらってるんだからこれくらいはしないとね」
わりと謙虚なウィリアム・ローグに笑いかけ、チャージの具合を確認する。なかなかいい感じだ。生体電流はペトニアロトゥシカの体内に蓄電し、放電される時を今かと待っている。
もう少しだ、となだめる。
こういうのは、ここぞ、という一瞬を見極めてやらなければならない。
「そろそろかな」
軽く伸びをした時だった。
機体の上に立ち上がるペトニアロトゥシカの全身が真の姿へと変化する。角と尾が伸び、全身に青白い帯電が爆ぜた。たなびく虹雲をまるで瑞獣のように纏って――そのまま突っ込んだ。途中で邪魔な蛆獣や卵を薙ぎ払いながらイザナミの元へ。
「しまった……っ」
驚き、何もできないでいるイザナミに体当たりの要領で飛びかかる。大地へ引きずり倒されたイザナミの唇から低い呻きがこぼれた。これでしばらくは復帰できまい。
「……にしても、すっきりしないんだよねえ。自分も使っておきながら何なんだけどさ?」
――アルカディア・エフェクトって、なに?
できれば二人で通じ合ってないで説明してほしいんだけど、今は無理そうだ。ペトニアロトゥシカはやれやれと溜息をついた。
「いつになったら判明するんだろうね。まったくさあ」
大成功
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紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
今日の藍ちゃんくんは『アルカディア・エフェクトの後継者』として戦わせていただくのでっす!
渦巻く銀河、綺羅星たる藍ちゃんくんの真の姿!
更に更に虹雲にて輝いてるのでっす!
藍ちゃんくん、アルカディアエリュシオンステーッジ!
サクラエリュシオンによる活力消耗は厄介でっすがー。
藍ちゃんくん、耐久ライブも得意なのでっすよー?
どのくらい消耗するかはなんとなく分かってきたのでっす。
いくらでも歌える藍ちゃんくんの丸ごとを、今この時の一曲に全て込めさせていただくのです!
歌うのでっす、イザナミのおねえさんが魅せてくださっているサクラエリュシオンの姿を!
今はなき櫻の楽園の歌を!
郷愁を誘う歌を!
骸の海を冷たきというのならきっと温かな死後の世界だったのでしょう!
愛の女神でもあるとのことでっすし!
失われてもこうしておねえさんが教えてくれた楽園は歌として遺るのでっす!
おねえさん自身をもいざなってくださるのでっす!
おねえさんのとめどなき涙にこそ虹をかけるのでっす!
蝕む蛆獣のみを攻撃し、涙無き眠りを!
「藍ちゃんくんでっすよー!」
今日も元気にご挨拶した藍はいつもよりさらに輝いていた。まさしく渦巻く銀河、綺羅星の如くに燦然とご披露する真の姿は虹雲を纏って神々しささえ感じさせる。
「アルカディア・エフェクトの後継者か……!」
「はいなのでっすよー! それでは藍ちゃんくんアルカディアエリュシオンステーッジ! 開幕なのでっす!」
イザナミによる幻櫻死界の胎内。
ただそこにいるだけで生命力を奪われ、力尽きてゆくという美しさとは裏腹の恐ろしい世界。
「なのになぜだ? 全然元気のようだな?」
「こう見えて藍ちゃんくんは耐久ライブも得意なのでっすよー」
イザナミが困惑するのも無理はなかった。
さっきから藍はずっと歌って踊っているというのに、疲れるという気配がまるでなかったのだ。だって藍ドルだから。歌って踊ることが大好きだから、消耗なんて関係ない。
歌え、この一曲に全てを込めて。
踊れ、イザナミが魅せるサクラエリュシオンの歌を。
今は亡き櫻の楽園の歌を!
「郷愁を誘う歌を!」
「おお……!?」
思わずイザナミの頬を一筋の涙が零れ落ちた。
それはきっと、冷たきと評した骸の海とは違う温かな死後の世界であったのだろう。冥府の女神はそれ以前に愛の女神でもあったのだ。
「たとえ失われてもこうしておねえさんが教えてくれた楽園は歌として遺るのでっす! ほら、おねえさん自身もいざなってくださるのでっす!」
冥府の呪詛と蛆獣に蝕まれたイザナミを癒すかのように藍の歌は彼女の心に染み渡る。そのとめどなき涙にこそ虹を架けろ。
「涙無き眠りを!」
ワンフレーズを歌うごと、蛆獣が光に呑まれて消し飛んだ。
それが|原因《・・》だから。
力の強さなどはまるで関係ない。因果が断ち切られ、救いが齎される。だから歌おう、虹を架けよう。そして藍は手を差し伸べる。
「イザナミのおねえさんも一緒に歌いましょう!」
全ての垣根は取り払われ、歌が皆を一つに導いてくれるから――……。
大成功
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フリル・インレアン
ふえ?アルカディア・エフェクトが死者の方にとって禁忌の力ですか。
私も後継者になっていないので扱うことが出来ません。
でしたら、恋?物語でウィリアムさんが私に憑りついたら問題ないですよね。
戦闘力は落ちてしまいますが、レース力なら最強です。
火雷大神の雷よりも速く駆け抜けて、アルカディア・エフェクトをばら撒いていきましょう。
私を追跡するという事はアルカディア・エフェクトを受け続けるという事ですよ。
「ふえ?」
今、何と言った?
フリルは人差し指をこめかみに当て、イザナミとウィリアム・ローグの会話をもう一度思い出した。アルカディア・エフェクトが死者にとっての禁忌の力――確かに二人はそう言ったのだ。
アルカディア・エフェクトの後継者ではないフリルにその力を使うことはできないが、方法なら他にもある。
「ウィリアムさん、わたしに憑りついてみませんか?」
「なるほど。その手があったか!」
すかさず、ウィリアムはその提案に乗った。
フリルのユーべルコードの効果で一体とかした二人はさらに加速してアルカディア・エフェクトで戦場を雲海のただ中に呑み込んでゆく。
「は……速い! 火雷大神よりも速いのか!?」
彼らの雷すらも追いつけないスピードで、ウィリアム・ローグに憑依されたフリルはイザナミを圧倒しながら戦場を駆け抜けた。
「いけない、戻ってきておくれ!」
その性質として相手を追跡し続ける火雷大神は真っ向からアルカディア・エフェクトを被ってしまう。イザナミが止めても遅く、その能力はもはや封じられたも同然だった。
「勝ったな」
「はい」
イザナミに勝利し、憑依の解けたフリルは神妙な顔で頷いた。
「レース力ならやはりウィリアムさんは最強ですね」
大成功
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