帝都櫻大戰⑰〜誰がために花は咲くか
●ボーイ・ミーツ・ガール
戦乱満ちる世界。
クロムキャバリアと呼ばれた世界で少年と少女は出会った。
少年は争いばかりの世界で生きてきた。
少女は競い合う世界で生きてきた。
にているけれど違う。全く違うと言ってもいい世界。
交錯する運命ではなかったはずだ。けれど、運命かそれとも偶然か、彼等は出会ってしまった。
「いいのかい~?」
三角テントのマスコットキャラクター、キャンプ・フォーミュラ『キャンピーくん』が少女に言う。
少女は頷く。
「私はこの世界の住人ではありませんから。元いた世界に戻らねばなりません。チームメイトも心配しているでしょうし」
それに、と彼女は己が設計して作り上げたキャバリア『セラフィム・ゼクス』を見上げる。
拠点防衛用の機体。
防御に特化した機体を作ったのは、彼女の視線の先にいる何か言いたげな顔をした少年『ゼクス・ラーズグリーズ』のためでもあった。
戦乱ばかりの世界で、少しでも生き残る可能性を上げたいと思ったのは、こんな世界があるからという理由ばかりではなかった。
少女――『ツヴァイ』と呼ばれた少女も彼のことを好ましく思っていた。
彼女の世界にいた同じ名前を持つ金持ち坊っちゃんとは異なる少年は、優しくまた逞しかった。
「あの、さ」
「言わないほうがいいですよ。きっと心残りになってしまいます。それに……きっとまた逢えますよ」
「……そっか。なら、元気でな!」
「私からも御礼を。どうかお達者で」
彼女と同じ名を持つ『ツヴァイ・ラーズグリーズ』も手を振る。
本当はもっと言うべきことがあったのではないかと思う。
でも、言えば、きっと未練になってしまう。もしかしたら、よくない返事が返ってくるかもしれない。だから、言えなかった。
二人が己をごまかしたのは、互いに同じことを思うが故でもあった。
「それじゃ~いくよ~」
『キャンピーくん』の言葉と共に『ツヴァイ』は神隠しの光に消えていく。
そのさまを『ゼクス・ラーズグリーズ』は見送り、光が消えたのを見て、顔を伏せる。
「……はぁ~……」
深い深いため息。
彼の姉『ツヴァイ・ラーズグリーズ』が彼の肩を叩く。
一つの小さな別れが、少年をまた一つ強くする――。
●君が思い描き、君が作って、君が戦う
『プラモーション・アクト』――通称『プラクト』。
それはプラスチックホビーを作り上げ、自身の動きをトレースさせ、時に内部に再現されたコンソールを操作して競うホビースポーツである。
思い描いた理想の形を作り上げるというのならば、たしかに『プラクト』は心・技・体を兼ね備えたスポーツ。
プラスチックホビーを作り上げ、フィールドに投入し自分自身で動かす。
想像を育む心、想像を形にする技術と、想像を動かす体。
そのいずれもが欠けてはならない。どれか一つでも欠けたのならば、きっと勝利は得られないだろうから。
「このナレーション、いつも誰がしていたのか気になってはおりませんでしたか?」
唐突に入り込む声。
それは、グリモア猟兵、ノイン・シルレル(第九の悪魔・f44454)の声であった。
なんで彼女がしたり顔でナレーションをしているのか。
いやまさか!
「そう、そのまさかです。このナレーション、私がしておりました」
嘘だろお前、という猟兵たちをよそに彼女はアスリートアースの競技場の一つを示す。
「左手を御覧ください」
なんかバスガイドみたいだな。
観光ガイドの方が正しいかもしれない。『帝都タワー』が頭だった『ビームスプリッター』を紹介する時もこんな感じだったな、と既視感を憶えた猟兵もいるだろう。
ともあれ、彼女は薄紅色の瞳で猟兵達を見つめる。
あ、こっちのツッコミには特に反応してくれない感じなんだ、と猟兵たちは思ったかもしれない。
「ここはアスリートアースのとある競技場……少し前に未公式競技『プラモーション・アクト』、通称『プラクト』の世界大会が行われていた競技場です。ええ、ご覧の有り様です」
彼女の掌の先にある『プラクト』の世界大会『ワールド・ビルディング・カップ』、WBCの競技場は今や幻朧桜に覆われている。
まさか、と思うだろう。
猟兵たちは知っている。
この幻朧桜が覆う場所にはエンシャント・レヰスが世界をまたぎ進出してきているのだ。
だが、様子がおかしい。
ノインが此処まで悠長にしているのは、まあ、なんていうか、此処数回の予知で『そういう人』だからで済むことである。
「そうです。ここでの戦闘行為は行えません。なぜなら」
「キャンピーくんだよ~。わあ~みんなきてくれたんだねえ~」
のんびりとした声と共に現れたのは、テントのマスコットキャラクター『キャンピーくん』である。
彼は周囲の全ての戦闘行為を無効化するキャンプ・フォーミュラ。
すなわち、エンシャント・レヰス『神王サンサーラ』もまた例外ではない。
故に、ここで彼とは戦えないのである!
「早速キャンプしようよ~」
いや、そんなことをしている場合ではない、と猟兵達は思った。
しかし、そう気がついてしまった。
「はい、『キャンピーくん』は多数の異世界にエンシャント・レヰスに対抗可能な強者たちを送り込んでくれたのです。皆さんが目一杯キャンプを楽しむことで、せめてものご恩返しとさせてもらいましょう。そうすべきではないでしょうか。私もそう思います」
ノインの言葉に猟兵たちは、たしかにそうかも、と思う。
むしろ、あれだけの転移を行ってくれたのだ。
キャンプを楽しむだけで、彼が満足してくれるのならば安いものではないだろうか?
「それにあちらには『プラクト』第二回世界大会優勝チームの『五月雨模型店』の皆様もキャンプ合宿に来られているようです。どうやらチームメンバーの一人が行方知れずだったようで、なかなか行えなかった合宿キャンプを今日行っているようですね。タイミングがよかったです」
ノインは少年少女たちの姿を見て頷く。
「彼等と『プラクト』を楽しむ合宿キャンプを楽しむもよし、普通にキャンプするもよし、です」
『プラクト』を知る猟兵たちはちょっと首を傾げる。
だって、『プラクト』は未公式ながらスポーツである。その合宿となれば、ある種戦闘行為とも言えなくもない。
『キャンピーくん』の能力で戦闘行為が無効化されては、試合もできないのではないか。
「ああ、いえ。『プラクト』は戦闘行為ではございません。何せ、ホビー・スポーツですから」
ホビー・スポーツが戦闘行為ですか? 違いますよね? とノインは特に笑むこともなく、謎のダブルピースで、はい論破と言わんばかりの顔をする。
なんか、なんか、なんかぁ――!!
海鶴
マスターの海鶴です。
※これは1章構成の『帝都櫻大戦』の戦争シナリオとなります。
アスリートアースの競技場に幻朧桜に覆われていき、エンシャント・レヰス『神王サンサーラ』が降臨しています。
ですが、未公式競技『プラクト』の世界大会が行われていたスタジアムは、キャンプ・フォーミュラ『キャンピーくん』によってあらゆる戦闘行為が無効化されています。
そして、彼が皆さんを『キャンプしようよ~』と誘っています。
また、この競技場には『プラクト』の第二回世界大会優勝チームの『五月雨模型店』のメンバーもキャンプ合宿にやってきています。
彼等と『プラクト』の合宿を楽しむもよし、普通にキャンプするもよし、です。
『キャンピーくん』は美味しい珈琲を入れて、キャンプを楽しむ皆さんを見て、喜ぶことでしょう。
ちなみに。
※『プラクト』は正式には『プラモーション・アクト』と呼ばれるホビースポーツです。
フィールド内に自作したプラスチックホビーを投入し、アスリートの動きをトレースする『モーション』タイプと、操縦席を作り込んで操作する『マニューバ』タイプが存在しています。
主に『モーション』タイプはロボットや美少女プラモデル。『マニューバ』タイプは、カーモデルやミリタリーモデルとなっております。
プレイングボーナス……プレイングボーナス……キャンピーくんとキャンプを楽しむ。
それでは、幻朧櫻舞い散る帝都にて戦う皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 日常
『桜の下でキャンプしようよ~』
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POW : アウトドアでのアクティビティを楽しむ。
SPD : 美味しいキャンプ飯を作って食べる。
WIZ : キャンピーくんの中で昼寝して英気を養う。
イラスト:真夜中二時過ぎ
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
八秦・頼典
へぇ、これが世に聞く『ぷらもでる』
細かい部品を組み立てる変わった組み木細工みたいなものみたいだけど…本質としては仏像を掘るのと一緒かな?
となれば、興味津々とやってみるのがボクさ
説明書通りにやれば間違いなく作れるし、普段の政務で鍛えられた筆使いを持ってすれば細かい部分の塗装や墨入れもちょちょいのちょい…っと
いやぁ、我ながら実に見事な出来栄えだ
しかし…どうせならボクの色を少し付け足しておこう…オン
かけた術は八秦家に代々受け継がれる迦波羅の秘伝のひとつ、אמתと書かれた形代を埋め込むことで土塊を動く人形とする術式
それを応用すれば…ほら、生きているように動くという訳さ
これを僚機とし、プラクトに挑もうか
猟兵となって他世界を知れば、文化を知る。
文化とは花咲く大輪の花。
なれば、花を愛でるかのように女性との浮名を流す八秦・頼典(平安探偵陰陽師ライデン・f42896)は、文化の真髄たるを知るのだ。
「へぇ、これが世に聞く『ぷらもでる』というやつか」
頼典はしげしげと鮮やかなパッケージアートの施された箱を見やる。
製紙技術一つとってもアヤカシエンパイア、平安の世が続く世界のものとは質が異なるように思えた。
紙であるのにざらざらしていない。
これでは墨を弾いてしまうのではないかと頼典は思う。
だが、これ事態がすでに他者に何かを伝える役割を果たしているというのならば、これに付け加えることができない、というのは文書の正確性を担保にするものであるとも思えただろう。
とは言え、ことむつかしいことは思索というものはこれまでにしておくのがよいだろう。
頼典は思考を切り替える。
今回は戦いに来たわけではないのだ。
「箱の中身は……なるほど。これが部品か。枠組みに配されているのにも理由があるのだろうな。いわゆる鋳型、というやつかな?」
部品の配されたプラスチック。
ランナーと呼ばれる部品をひとまとめにしている成形物を手に取り、説明書を見やる。
手順通りに組み立てれば完成する、ということだ。
鋳型、というところから頼典が連想したのは仏像建立であった。
いや、もっと手短な所と言えば、木彫りの仏像であるかもしれない。
「本質としては仏像を彫るのと一緒かな? いや、あれは木片そのものに宿る神仏を木の中より掘り起こすというのが正しいのであるから……組み立てる、というのはまた違うか?」
あれこれ考えてしまう。
「おっ、なーにやってんの」
頼典の元にやってくるのは『五月雨模型店』のメンバーの一人である『アイン』と呼ばれる少女であった。
彼女は猟兵たちがプラスチックホビーを組み立てているといつも寄ってくる少女であった。
人懐っこいのかもいれない。
「いやなに、初めてやるのでね」
「あーっ! 手でもぐなって! ニッパーってのがあるんだよ。ほら、これ、こういうの!」
「ふむ」
「持ってないのかよ! ならほら、貸して上げるからさ!」
そうやって頼典は道具の一式を借り受けて、『アイン』からあーだこーだとフォローされながら、一つのプラモデルを組み上げる。
「次は塗装だよな」
「ああ、彩色というやつか。ふっ、見給え。普段の政務で鍛えられた筆使いを持ってすれば、細かい部分の塗装や墨入れなどちょちょいのちょい……っと」」
頼典の筆使いは確かに見事なものであった。
筆というものの特性をよく理解している。
筆の穂先だけで塗料をコントロールし、筆の根本は水を蓄え、顔料の乾きを送らせているのだ。
筆ムラひとつないタッチで塗り上げられた人型のプラスチックホビーに頼典は深く頷く。
「おー! すっげぇ! 筆塗りなのに筆ムラがない!」
「そうだろう。そうだろうとも」
頼典は己の秘伝たる形代をプラスチックホビーに組み込む。元は土塊を動かす術式である。
それを利用すれば、『プラクト』のフィールドに投入しなくても動かすことができるのだ。
「なにこれ手品!?」
「生きているようだろう? さて、可憐なお嬢さん。これを持って『プラクト』なるスポーツが出来ると聞いたけれど?」
「もちろん! あっちにフィールドあるからさ、やろうぜ!」
そう言って頼典は『アイン』に釣れられて早速己が僚機、相棒たるプラスチックホビーと共に『プラクト』の洗礼を受けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
真宮・奏
我が家族の家のあるところが大変なことになってますが、こういう手先を使う作業で気持ちを落ち着かせるのもいい。
成人してますが、猟兵になったのは15歳でした。馴染みのカフェがUDCアースにあるのもあって特撮をみるとワクワクしました。私が守護の騎士だけあって鋼鉄の体で平和を守るロボットやスーパーパワーで人々を守るヒーローには感心しました。
プラクト、興味あります。プラモデル、作ってみたかったんですよね。キャンピーくんともふもふなお友達とキャンプで作ったデザートとコーヒーを楽しみつつ、ヒロインのモデルを。かっこよくて可愛いコスチュームに光の剣を持って。完成です!!
五月雨模型店の方に教えてもらいつつ、いざ!
馴染み深いものというのは、年齢を重ねてた今見てもよいものである。
真宮・奏(絢爛の星・f03210)はそう改めて思う。
「これが『プラクト』なのですか?」
真剣な表情をしている奏に『五月雨模型店』のメンバーの一人である『アイン』と呼ばれた少女は頷く。
「そう、『プラモーション・アクト』、略して『プラクト』! お姉さんの作ったプラモデルが、お姉さんの動かすとおりに動くぜ!」
彼女の言葉に奏は頷く。
彼女はもう成人を迎えた女性である。
だが、彼女は馴染のカフェがUDCアースにあることもあって、特撮であったり、アニメであったりに触れる機会があった。
女性ではあるものの、そこに性差は関係ない。
どんなものであったとしても、心の琴線に触れるものあるのだ。
それに自分を守護騎士として律するのならばこそ、誰かを護るために力を振るうという特撮ヒーローたちの矜持に自身を重ねるところもあったのだ。
「どんなプラモデルでもいいのですか?」
「うん。ロボットでもいいし、美少女プラモデルでもいいよ。後は車とか戦車とか飛行機とか。ああ、たまにクリーチャー……怪物みたいなのも」
そういう千差万別のプラスチックホビーを受け入れるだけの間口と器が『プラクト』にあるようだった。
「最初は『モーションタイプ』がいいよ。自分の体の動きをそっくりそのままプラスチックホビーが反映してくれるからな!」
「ふむふむ、なるほど。では、私もがんばって作ってみますね!」
「おう! 出来上がった試合しようぜ!」
『アイン』はそう言ってまた別の猟兵たちの所へと走っていく。
「では、ふふ。興味が前からあったとは言え、実際に購入してみると違いますね」
奏はキャンプ場にて購入してきたプラスチックホビーの箱を開ける。
いわゆる美少女プラモデル。
どことなく軍服姿なのが奏自身を想起させるものであっただろう。
「もふもふさん達、お手伝いお願いします!!」
奏はもふもふなお友達(モフモフナオトモダチ)にプラスチックホビー制作のお手伝いを頼む。
もふもふなお友達たちは、一斉に奏のテント周りでせわしなく走り回る。
デザートを持ってきたり、コーヒーを入れたり、それはもう甲斐甲斐しく世話を焼いてくれるのだ。
「ふふ、ありがとうございます。なかなか難しいですね。説明書通り見ているのですが……」
奏は説明書の図面とパーツの配されたランナーと呼ばれる部品を見比べる。
英数字の配されたランナーからパーツを切り離して組み立てていく。
最初は慣れないことに戸惑いもあったけれど、次第に頭が出来上がり、胴体ができあがり、手足も出来上がってくれば形が段々と出来上がってく喜びに溢れてくる。
「あとは武器を……はい、完成です!」
奏の目の前に断つのはかっこよくて可愛い軍服コスチュームに光の剣を持った美少女プラモデルが立っていた。
「さあ、後は『五月雨模型店』の方々と試合を!」
「おっ! 出来上がった? わ、かわいーじゃん!」
『アイン』と呼ばれる少女の言葉に奏は笑む。
初めてにしてはなかなかうまくできたのではないかと思うのだ。
「じゃあ、やろうぜ!『レッツ』――」
「はい!『レッツ・アクト』! ですよね!」
奏はほほえみ、プラスチックホビーを投入したホビーに没入するようにフィールドにて『プラクト』を体験するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
陰海月のキャンプブーム、再燃してましてー。加えて、プラクトもあるとなると…。
で、私は…疲れるであろう陰海月のために、おにぎり作ってますよ。
飯盒炊爨からの、塩むすび、とねー。
※
陰海月「ぷきゅ!」
あ、ツヴァイさん、帰ってきたんだ。ヤッホー!
ええとね。今回、通販で手に入れたのを組み立てるんだー!
カッコいいでしょー、『騎兵鉄砲武者クラゲ』モデル!
ふふーん、ぼくが鉄砲持ってるみたいになるからね!
ぼくだけで作るから、おじーちゃんは…おにぎり作ってる!!いただきます!
霹靂「クエ」
友はハイテンションだ。
「っぷきゅー!」
勢いよく飛んでいく巨大なクラゲ『陰海月』。
その後を追うように馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『疾き者』はアスリートアースの競技場を行く。
ここは嘗て『プラクト』の第二回世界大会が行われた場所だ。
そして今、ここは幻朧桜に覆われている。
エンシャント・レヰス『神王サンサーラ』によって帝都櫻大戦の影響を受けているのだ。
だが、此処にはキャンプ・フォーミュラ『キャンピーくん』がいる。
彼のおかげで、この競技場は戦闘行為が無効化され『神王サンサーラ』の影響は皆無。
だがしかし、『キャンピーくん』は。
「キャンプしようよ~」
そう言ってのんびりしている。
彼には多く助けられている。そんな彼がキャンプを、と誘うのであれば無碍にはできない。
「なんですが、『陰海月』もキャンプブーム再燃しておりますからね」
加えて『プラクト』となれば、あの勢いも理解出来るところであった。
早速『陰海月』は『五月雨模型店』のメンバーの元へと飛んでいっている。
そこには『アイン』を始め、行方がしれなかったメンバー『ツヴァイ』の姿もあった。
「ああ、こんにちは。お元気でしたか」
「ぷきゅ!」
「そうですか。新しく発売された『騎兵鉄砲武者クラゲ』ですか……また渋いところを突いてきますね」
「ぷきゅー!」
「ええ、カッコイイです。でも、もっと格好良くするおつもりなんですよね!」
勿論! というように『陰海月』が胸を張る。
どうやら意思疎通はできているようである。
そんなふうにして『ツヴァイ』とやり取りをしていた『陰海月』のもとに『疾き者』は差し入れというように、おにぎりを持ってくる。
「どうですか、皆さんもお一つー」
「ありがとうございます。みなさん!」
『ツヴァイ』の言葉に他のメンバーたちも集まってくる。
お腹がスイているたのだろう、直ぐに『疾き者』が持ってきたおにぎりは完売御礼となってしまった。
これはまた新しく作らねばならないな、と若者のお腹を満たすための闘志めいたものが『疾き者』に湧き上がるかもしれない。
そんな『疾き者』とよそに『陰海月』はやる気まんまんである。
今回はお手伝いなし。
自分だけで、自分だけの『武者クラゲ』を作り上げるのだ。
「クエー」
『霹靂』がそんな『陰海月』のテンションの高さに鳴く。
今日も元気でよかった、と思ったのかもしれないし、そのテンションの高さに自分もつられたのかもしれない。
おにぎりを器用に頬張って和やかなキャンプの時間が流れていく。
アウトドアとインドア。
キャンプと『プラクト』。
合わなそうなものが意外と合うものである。それを証明するようにキャンプ地となった幻朧桜に覆われた競技場は、とても賑やか。
それを見やり『疾き者』は笑むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
城田・紗希
なるほど…?……なるほど。(わかったふり)
とりあえず、キャンピーくんの中にお邪魔して、っと。
室内でハンモックやる台座を組んで、ハンモック張って。
…あーでも、空腹だとあんまり熟睡できないかな?
ひとまず、こういうときって数えたら寝れるんだっけ。
夏休みの宿題がスヤァ(数え始めると同時に寝落ちした)
幻朧桜が舞い散る競技場。
ここはサクラミラージュではない。超人アスリートたちが肉体と技術を競い合う世界、アスリートアース。
その競技場に幻朧桜がエンシャント・レヰス『神王サンサーラ』によって出現しているのだ。
本来ならば彼を打倒しなければならない。
けれど、今この競技所に『神王サンサーラ』の姿は見えない。
なぜなら、ここにキャンプ・フォーミュラ『キャンピーくん』が存在しているからだ。
彼の周囲での戦闘行為は全て無効化される。
これには『神王サンサーラ』もどうしようもなかったのだろう。
「なるほど……?」
城田・紗希(人間の探索者・f01927)は首を傾げた。
よくわからん。
一体全体どういう理屈なのだろうか。
「それよりキャンプしようよ~」
『キャンピーくん』がそう言って紗希を誘ってくる。
こんなことをしている暇なんて、帝都桜大戦にあるわけがない。けれど、『キャンピーくん』の制限なしの世界移動能力のおかげで各世界にエンシャント・レヰスに対抗できる強者たちを送り出せたことは事実。
なら、ここで彼の要望に応えるのはある意味必然的なことであったのだ。
「……なるほど」
紗希はわかったふりをした。
結局何をすればいいかなんて、後から考えればいいのだ。
キャンプ地にきたら何をする?
人によりけりであろうが、まずは自分の居場所の確保だ。
それはつまり、テント設営。
「でもキャンプ道具持ってきてないしな……『キャンピーくん』の中って空いてる?」
「空いてるよ~」
ほらと、彼の体……つまり、テントの入口がめくられる。
「じゃあ、とりあえずお邪魔させてもらうね……っと」
「いいよ~」
軽い。
めちゃくちゃ軽く了承されてしまった。
紗希は『キャンピーくん』の中が程よいぬくさであることを感じる。
どういう理屈なのかはわからない。
けれど、まあ、お昼寝にはちょうどよい温度だ。
「ハンモック張ってもいい?」
「いいよ~キャンプっぽ~い」
「そういうもんかな? あ、でもお腹空いたなぁ……」
急なことだったから何も持ってきていなかった。そんな紗希に『五月雨模型店』のメンバーである少女たちがやってくる。
『ツヴァイ』と呼ばれた少女であったが、紗希は顔見知りではなかった。
けれど、彼女は紙皿におにぎりを紗希に持ってきていた。
「あの、よろしければ……」
「いいの?」
「はい、みんなで作っていたらたくさんできたので。ご迷惑でなければ……」
「そんなことないよ。ありがとう!」
紗希は御礼を言ってからおにぎりを頬張る。まかれた海苔がパリパリと良い音を出してくれる。
具材はおかか。
うん、渋いところを突いてくるね、と紗希はお腹がまだ半分も行ってはいないが、のんびりとハンモックに揺られながら瞼を閉じる。
寝るにはちょっと惜しい時間だ。
でも、こういうときって数を数えれば大体眠れちゃうものなのだ。
「夏休みの宿題がスヤァ」
早い。
あと、数えるのそれでよかったのかな!?
ともあれ、大学生の夏休みは小中高生のそれとは少し時期がズレている。
まだ夏休み期間ではあるが、後で涙目にならぬように宿題はしておこうね――!
大成功
🔵🔵🔵
紫・藍
想像を育む心、想像を形にする技術と、想像を動かす体、でっすかー。
なるほどなるほど、藍ちゃんくんもアーティスト。
形は違えどクリエイターとして共感できるのでっす!
というわけで!
藍ちゃんくんでっすよー!
取り出したるは藍ちゃんくんと自慢のキャバリア藍色の灯火の間の子みたいなプラモデル!
分かりやすく言えばメカ少女に近いのでっすよー!
藍ちゃんくんは男性でっすけどねー!
コラボ企画で共同開発中の試作品なのでっすよー!
『モーション』タイプなのでっす!
UCで覚えてもらい中です!
藍ちゃんくんのアート技術でこだわろうと思えばいくらでも拘れるのでっすがー。
グッズですからねー。
お値段が高くなりすぎないよう、ビジュアルと可動域とコストの両立が不可分なのでっす!
ええ、可動域も、なのでっすよー?
藍ちゃんくんでっすからねー!
無改造でもダンスモーションにある程度対応してこそなのでっす!
ポキっとならずに踊れるか調整を重ね中でっす!
ではでは皆様、お相手を!
藍ちゃんくんがモデルでっすのでー。
ダンスバトル以外も応用できますよー?
君が思い描き、君が作って、君が戦う。
それが『プラクト』の理念である。
「想像を育む心、想像を形にする技術と、想像を動かす体、でっすかー」
即ち、心技体。
それが揃わなければ、如何にホビー・スポーツと言えど勝利はおぼつかない。
紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)はなるほどなるほど、と深く頷いた。
それはアーティストである藍にも通ずるところであった。
アーティストとは即ち、クリエイター。
であるのならば、藍もまた感じ入るところがあったのだ。
それに幻朧桜舞い散る競技場をキャンプ地とした『五月雨模型店』のメンバーたちは未公式競技とは言え、世界大会で優勝を果たしたチームだ。
彼等の合宿キャンプを間近でみれば藍もなにか得るものがあるかもしれない。
「というわけで! 藍ちゃんくんでっすよー!」
「おっ、なんだなんだ?」
『アイン』と呼ばれた少女が近寄ってくる。
彼女はいつも猟兵が『プラクト』に参加してくるとすぐさま寄ってくる少女だった。
「ふふふん。藍ちゃんくんは、この日のために自慢のキャバリア『藍色の灯火』――『藍ゼン・シュテルン』の間の子みたいなプラモデルを作ってきたのでっすよー!」
藍が手にしていたのは、いわゆるメカ少女と呼ばれるジャンルのプラスチックホビーであった。
フォルムとしては美少女プラモデルに近い。
だが、ディティールはメカ、ロボット。
藍とキャバリア。
それがミックスされ、エッセンスをぎゅぎゅっと搾ったもの。
今まさに手にしているプラスチックホビーが、そうなのだ。
「はえー、美少女プラモデルを素体にしてるのか?」
「厳密には藍ちゃんくんは男性でっすけどねー!」
「そうなの!?」
あんまそうは見えねーなーと『アイン』は藍を見やる。
「ココだけの話、コラボ企画で共同開発の試作品なのでっすよー!」
「えっ、マジで!?」
「そうなのでっす。だから、今日のことはご内密に!」
ばってんするように指を交錯させる藍に『アイン』も頷いていた。
「で、『プラクト』なのでっすがー。対戦相手って募集していたり?」
「おっ! 私とやろーぜ! 試合!」
早速『アイン』と『プラクト』のフィールドにホビーを投入する。
藍に対する『アイン』のプラスチックホビーは白いロボット型だった。『ブリュンヒルド』と呼ばれる機体で、その白い機体は大型の槍を手にしていた。
「手加減は?」
「いらないのでっす!」
藍は笑む。
何せ、藍のプラスチックホビーはこだわりにこだわった一品。
けれどお値段が高くなりすぎないようにビジュアルと可動域、そしてコストの両立、そのバランスを調整しているのだ。
無論、可動域を広くと設計すればパーツは多くなる。
そうすれば、必然コストが高くなってしまうのだ。
「さあ、いくのでっす!」
『モーション』タイプで藍はフィールドにて、ごきげんなダンスを披露する。
操縦パーティションの中で踊れば、それがプラスチックホビーにも伝わって同じ動きをするのだ。
「おっと、若干ミシミシいってまっすねー?」
「あー、可動域を超えてんだな。ちょっと一回り動きを小さくするようにしてみたらどう?」
「お、いいでっすねー?」
「じゃあ、準備はいーか?」
「はい、ではでは皆様、お相手を! レッツダンスバトルでっす!」
藍の言葉と共にフィールドでは変則的なバトルが行われる。
攻撃し合うのではなく、ブレイキンダンスのように互いの可動域、その動きの奇抜さ、美しさを競い合うのだ。
「あははっ! 何だその動き、すんごいな!?」
「まだまだいっきますっよー!」
藍はフィールドと操縦パーティションで笑う。
笑って、笑って、キャンプを楽しむ。
大いなる戦いの最中であっても関係ない。大いに楽しむこともまた戦いなのだ。
そういうようにフィールドで藍のプラスチックホビーが一際高く飛び上がるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
鏡島・嵐
野宿の経験? まあそれなりにはあるけど、皆が思ってるほど多くはねえよ。やっぱり旅は、ちゃんと屋根と布団があるトコで休むんが一番だしな。
……とは言え、キャンプは嫌いじゃねえ。むしろ好きな方だ。キャンプにはキャンプなりの魅力があるってことも、ちゃんとわかってるぞ。
こういう事情なら、その楽しみを満喫しねえとだ。
というわけで、基本に忠実に、安全かつ快適な場所にテントを建てて、と。
プラクトのことはよく知らねえけど、せっかくだし「五月雨模型店」の人にレクチャーしてもらうか。
勿論タダでとは言わねえ。旅の中で培った〈料理〉技術を活かしたキャンプ飯を用意して、ワイワイ食べながら教えてもらう。
キャンプというものを大きく解釈するのならば、野宿もまたキャンプであったことだろう。
旅の途中でそうした経験は豊富、とは言い難いものの、しかし鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)は手慣れているようであった。
「はえ~……」
『五月雨模型店』のメンバーである『アイン』と呼ばれた少女は、嵐の手際の良さに目を丸くしていた。
「そうか? そうでもねえよ?」
嵐は軽く言っているが『アイン』からすればすごいと思うものであった。
「え、そんな簡単に火って起こせるもん!?」
「コツを掴めばな。後はほら、ちゃんと火がつく素材を用意していれば後は空気の送り方一つでも変わってくるもんだよ。といっても薪なんかも現地調達だから、今回みたいにうまく行くとは限らないし」
嵐の言葉に『アイン』は尊敬するような眼差しを向ける。
「ま、好き嫌いで言えばキャンプは好きなほうだからな。好きなものを覚えるのって他のことより早いだろ? それだよ、きっと。それにやっぱり旅は、ちゃんと屋根と布団があるとこで休むんが一番だしな」
その言葉に感じ入るようだった『アイン』は頷く。
「基本に忠実にしてればまちがいはねえよ。そうだろ?」
「うん、それはすごくわかるぜ」
「それで、お嬢ちゃんたちは、『五月雨模型店』ってチームなんだって? その『プラクト』っていう競技の」
嵐は『プラクト』に聞き覚えがなかった。
それもそのはずである。
アスリートアース世界には公式スポーツの他にマイナーなスポーツが多く存在している。
『プラクト』もその一つだ。
とは言え、世界大会も開催される規模であるし、また彼女たちは第二回大会で優勝したチームらしかった。
そこに猟兵たちが一枚噛んでいるというのならば、他の猟兵達は多少なりと既知なのだろうと嵐は理解する。
「そうそう。興味ある?」
「袖振り合うも多生の縁っていうじゃないか。レクチャーしてもらえるのなら、やってみたいって思うよ。勿論、タダでとは言わねえよ」
嵐は焚き火の前で己が腕を振るうスキレットの中で美味しそうな匂いと音を立てるキャンプ飯を見せる。
ほかほか。
湯気がたち、スパイスの香りが広がる。
ぎゅる、とお腹が鳴る音が聞こえる。自分じゃない。なら。
「もっちろんだぜ! むしろ、いいのか!?」
「よだれよだれ。大袈裟だな。まあ、まずは飯食べながら教えてもらおうかな」
「そうしようぜ!」
「はは、食欲に正直なやつ。嫌いじゃないぜ」
そう言って嵐は『アイン』の腹の虫をなだめながら、『プラクト』と呼ばれるプラスチックホビーを教えてもらうのだ。
食後の運動とばかりに彼女と試合に挑み、腹ごなし以上の疲弊を感じることになるのだが、それはまだ先の話。
今は、嵐の作るキャンプ飯こそが、主役なのだ――!
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
ぷらくと……初めて聞くな
ちょっと気になるかも
手ぶらでいくのもなんだから
まずは自分の楽しみも兼ねてポトフ作り
キャンピー君も良かったら一緒に食べない?
少し多めに作っておいて
自分とキャンピー君で腹ごなしを済ませる
温かいものは心も落ち着かせてくれるし
折角の大自然、楽しまないと損だよね
それから残ったポトフを持って
おすそ分けも兼ねて「五月雨模型店」の皆様のところへご挨拶
ぷらくと、実は興味あるんだけど…
良かったら少し教えてもらえませんか?
プラモデル作りも初めてだけど
普段から細工菓子みたいなものやフルーツアート作ったりしてるから
手先の器用さやデザインセンスには自信あるんだ
まぁ、また別物かもだけどね
「ぷらくと……初めて聞くな。ちょっと気になるかも」
栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は、エンシャント・レヰスを追ってアスリートアースまでやってきていた。
競技場が幻朧桜で覆われている。
それが『神王サンサーラ』のちからに寄るものなのか、それとも『幻朧帝イティハーサ』によるものなのかは判別がつかない。
けれど、澪が訪れた競技場に『神王サンサーラ』の姿はなかった。
あったのはキャンプ・フォーミュラ『キャンピーくん』と未公式競技『プラモーション・アクト』、通称『プラクト』のチーム『五月雨模型店』のメンバーたちのキャンプ合宿であった。
最初は無論、戸惑った。
けれど、すぐに理解した。
此処に『キャンピーくん』がいる、ということは即ち、戦闘行為の全てが無効化される。
なら『プラクト』は?
そう、『プラクト』はホビー・スポーツなのだ。競い合うことはあっても戦うことはない。
それ故に例外なのだ。
「キャンプしようよ~」
「勿論だよ。とは言え、やっぱりキャンプと言ったら?」
「なにかな、なにかな~?」
「お、乗せ上手だね。そう、キャンプ飯だよ。『キャンピーくん』もよかったら一緒に食べない?」
「いいの~?」
「うん。一緒に食べたほうが美味しいからね」
そう言って澪は『キャンピーくん』と共にお手製のポトフを作る。
量を多めに作ったのは、『五月雨模型店』の所に持っていくためだった。手ぶらってわけにはいかないからね、と澪の気遣いが光る。
「おいしい~!」
「でしょう。温かいものは心も落ち着かせてくれるし、せっかくの大自然だもの。愉しまないと損だよね」
澪は急がない。
確かに帝都櫻大戦は戦線を押し上げている。
けれど、ここらで小休止を入れるのも大切なことなのだ。
「さ、おすそわけを兼ねて行こうかな」
澪は作ったポトフを抱えて『五月雨模型店』のテントへと向かうと、そこではすでに他の猟兵たちと『プラクト』勝負に勤しむメンバーたちがいた。
一人の少女――『ツヴァイ』と呼ばれるた少女が澪に対応してくれる。
「ぷらくと、実は興味があって……よかったら少し教えてもらえませんか?」
「ええ、喜んで。ポトフもありがとうございます。あの、それで、プラモデルを作ったことは?」
「え、ないけれど……できるかな?」
「簡単、とは言い切れませんが、できないわけではないですよ。初心者用のプラモデルもあります。そうしたものがエントリーセットとして商品化されてますし……他のご趣味は?」
「細工菓子みたいなものやフルーツアートは作ったりしてるよ」
ほら、と澪が見せる画像に『ツヴァイ』が目を見開く。
「すごいです! これだけできれば、きっとだいじょうぶですよ!」
「そう? ふふ、手先の器用さや、デザインセンスには自信があるんだ」
また別物かもしれないけれど、という澪に『ツヴァイ』は頭を振る。
「自分らしいものを作れたらいいのですよ。よかったら今、試合をしていますからご覧になっていってください。ご自身が作りたいと思えるもののきっかけになるかもしれません」
そう言って誘われる先にあるのは、『プラクト』フィールド。
そこで繰り広げられるプラスチックホビー同士の試合。
それは澪にとってどのように映っただろうか?
楽しそうに見えただろうか?
そうであったのなら、きっと澪の心を形にしたいと思えるものが浮かび上がったかもしれない――。
大成功
🔵🔵🔵
葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と
キャンピーくん一応オブリビオンだけど…
まいっか
今回ホントに助かってるし
俺もキャンプとか好きだし
「前用意したのまた使えるし」
息抜きの機会ありがと、と礼をして
陸井とキャンプのしつらえして色々作ったり
食べたりするのもやっぱすごい楽しい
「気の置けないツレとこういうの値千金だよ」
その上スポーツ観戦出来るとか最高
戦闘禁止でも摸擬戦とかすると思うしね
「プラクトだっけ?見に行こう!」
繰り出すと…わ!盛況だ
猟兵もみんな見に来てる
あとなんかすごいカッコイイ!
「え、どやって動かすの!?」
思わず食いついて見ちゃうし説明とか聞いて
ちょっとやってみたいなとか
賑やかで和やかで平和な一瞬を楽しむよ
凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と
第二戦線では彼が最大の功労者だから
オブリビオンでも感謝しないとだ
それにキャンプもまた楽しめる
「折角揃えたんだしな」
キャンピーくんに礼をして向かおう
テントに焚火にキャンプ椅子に
珈琲と甘いおかし
「休憩も必要だしな。大事な時間だよ」
座って焚火も好きだけど
勿論相棒と同じくスポーツ観戦も好きだ
見たことない競技は特にわくわくする
「あぁ、俺も気になってた所だ。行こうか」
しかしホビーってつく割には
想像してたよりもしっかり競技だな
相棒は食いついて色々聞いてるけど
こういうのは嫌いな男は居ないよな
「またこういう操縦席使えるのもいいなあ」
なんか子供に戻った気分だ
こういうわくわくも大事だよな
キャンプ・フォーミュラ『キャンピーくん』の世界移動能力は制限がない。
それによって彼は帝都櫻大戦の第二戦線において目覚ましい活躍をしてくれていていた。
もしも彼がいなかったのならば、猟兵たちは強大なエンシャント・レヰスたちの猛攻によって苦境に立たされていたことだろう。
「第二戦線での最大の功労者は、と問われたらやはり彼だと答えるだろうな。それに」
「うん、キャンプするだけで喜んでくれるってんならお安い御用だ」
凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)と葛城・時人(光望護花・f35294)は共にテントが擬人化したようなつぶらな瞳を持つ『キャンピーくん』の元へやってきていた。
彼は今まさにコーヒーを一口飲んで、ホット一息ついているところであった。
「本当に今回は助かったよ」
「オブリビオンである以前に感謝している」
「いいよ~キャンプを楽しんで~」
二人の言葉に『キャンピーくん』はニコニコしている。
その言葉に偽りはないようだった。
単純に彼はキャンプを楽しんでいるものたちがいれば、それでいいのである。
「ああ、そうさせてもらおうよ。前に使ったキャンプ用品がまた使える機会が回ってきたんだし。むしろ、ありがたいくらいだ」
「せっかく一式揃えたんだしな」
「そういうこと。まずは設営からだ」
二人はそう言ってテントを張り、焚き火を起こす。
折りたたみの椅子を広げて、腰掛けながら、火起こしを楽しむ。不便であるけれど、こうした不便に寄る工程を楽しむ。
時間は有限だけれど、だからこそ、感じ取ることこそが大切なのだ。
「気の置けないツレとこういうの値千金だよ」
「そう言ってもらえると嬉しいな。それに戦いの中にあっても休憩は必要だしな。大事な時間だよ」
二人は焚き火を前にして語らう。
腹の虫がそろそろ騒ぎそうである。
とは言っても焚き火の火である。調理はなかなか時間が掛かる。
「そう言えば、ナントカという未公式競技の合宿キャンプがきているんだったか」
「『プラクト』だっけ? ちょっと気になるんだよな。まだ調理は終わらないし、ちょっと見に行こう!」
「あぁ、俺も気になってたところだ。行こうか」
二人はスポーツ観戦が好きだ。
死と隣り合わせの青春を送ってきた彼等にとって、そうした当たり前の日常こそが尊いものだったのだ。
それに聞き馴染みのないスポーツ。
どうやらプラスチックホビーを自分で作って動かすものらしい。
「……わ、これか。結構他の猟兵もやってるんだな」
時人の目の前にはフィールドが用意してあり、中では二つのプラスチックホビー……ロボットと猟兵を模したであろう人型が激突している。
火花を散らせるような激しいぶつかり合い。
「すごいな」
「ああ、しかし、ホビーって割には……」
想像していた以上にしっかりした競技であるように思えた。
操縦パーティションではアスリートの小学生くらいの子がすばやく体を動かしている。
「ご興味ありますか?」
呼びかけられて顔を向けると、そこにいたのは『ツヴァイ』と呼ばれた少女だった。
彼女は時人と陸井が興味深げに見ている様子を見て声をかけてきたのだ。
「ああ、なかなかおもしそうだ」
「なんかすごいカッコイイ!! え、どうやって動かすの!?」
あれ! と時人は指差す。
「自分の体の動きをトレースする『モーション』タイプと、プラスチックホビーに再現された操縦席を動かす『マニューバ』タイプのニ種類があります。そのため、動かせるのは人型にとどまりません」
戦車、飛行機、戦艦、果ては怪物や、人体から程遠いプラスチックホビーも動かすことができるのだという。
「こういうの嫌いな男はいないよな」
「だよな! え、本当になんでもいいの?」
「はい、ご自身で作ったものであれば、ユーベルコード発生装置を組み込むことでフィールドにて動かすことができるんです」
「ちょっとやってみたいな……」
「是非。体験用のキットもご用意してますから」
そう誘われて断る理由なんてない。料理が終わるまでの時間にはまだある。
二人は誘われるままに各々のプラスチックホビーを選んで操縦パーティションに入り込む。
時人は『マニューバ』。陸井は『モーション』を選び、互いに顔を見合わせる。
「こういう時掛け声あるよね?」
「はい。いいですか?」
『ツヴァイ』の言葉に二人は頷く。
今から始まるのは戦闘行為じゃない。遊びであり、競い合いだ。こんな賑やかで和やかな平和の一瞬にワクワクがこみ上げてくる。
童心に帰った二人は、揃って掛け声を上げるのだ。
『レッツ・アクト』――!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
はいはいいつもの……って、えぇ!?
え?捕獲?演奏で仕留めるとかなんですか!?
いきなりのディスですか!
っていうか、仕留めるって、動けなくすればいいんですよね。
ならこれで。
(【ボレロ】でふらふらにさせようと)
こけたら、そこをしっかり縛りプレイですね。
え?
この『ノイン』さんをどう思うかですか?
縛られててえっちいですね。
そこじゃない?
んー、、、ならばなかなかのポンコツぶりと言わざるを得ないです!
いい意味で!(なんでもフォローできる魔法の言葉)
そんなことより。
「左手を御覧ください」っていうから、左手をみたのに、
そこにツッコミがないことの方が不満です。
勇者渾身のボケをするーとかひどいですよ!
ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の!
香りがしまーーすっ!!
はい、メイド推参しました
ツヴァイお嬢様も無事帰還なさったようで
彼女には声をかけてあげたいところですが
それはまた今度に!!
しれっとグリモア猟兵になっている
ノイン様を捕獲じゃぁぁぁぁぁ!!!
ルクス様回り込んで!それから演奏で仕留めて!!
聞きたい事が山ほどあります
しかしまずは
ナレーションナンデ!?
どんな繋がり……あ、『しあわせなゆめ』ですか
ふーむルクス様どう思います?
このあらゆるノイン様要素の上澄みだけを掬い取ったかのようなノイン様を
それにその青い炎と赤い炎はなんですか
なんとなく推測も出来ますがぜひノイン様の口から聞き出したいところです!
はいはいいつものいつもの。
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は、いつものですよね。わかってますよと言わんばかりの呆れ顔であった。
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)の雄叫び。
それは常なることであった。
むしろ、ないことのほうが珍しい。
「|『エイル』様《主人様》の香りがしま――すっ!! はい、メイド推参しました。『ツヴァイ』お嬢様も無事帰還なさったようで。ですが、今は!!」
ステラの眼光が鋭く光る。
え、とルクスは驚く。
まさかステラが開幕くんくんくんかくんかスーハーをこうも速く切り上げるとは思ってもいなかったのだ。
「しれっとグリモア猟兵になっている、ノイン様の捕獲じゃぁぁぁぁぁ!!!」
「えっ、ええ!? なんで捕獲?」
ルクスの言うことも、尤もである。
そんな彼女の言葉にグリモア猟兵はダブルピースしている。特に意味はない。なんか名前を呼ばれたから、ダブルピースで応えただけである。
表情があんまり変わっていないので、どういう感情なのかさっぱりわからん。
「ルクス様回り込んで! それから演奏で仕留めて!!」
「いきなりのディス! 唐突過ぎるステラさんの言葉がわたしの心を傷つけました、うわ~ん」
と言いつつ、ユーベルコードかましてくるところが実に勇者である。
なんだかんだ言って、自分の演奏が効果的だということを自覚しているのである。
これが勇者ってやつである。
古今東西、勇者っていうのは、こういうチートなのである。まったくもってワルの天敵みたいなやつである。
「というナレーション、地の声、天の声、それもあれもどれもこれもみんな私だといったらどういたします?」
「そんなの関係ありません! 聞きたいことが山程あるのです! しかしなんと!? 今なんと!?」
ステラはおののく。
まさか、今の今までの全部が彼女の仕業であったというのなら!
むしろ、なんでナレーションしてるのか?
そもそもそれが真実なのかどうかも定かではない。
っていうか、百パーセント嘘だな、あれ! ダブルピースしとるし!
ステラは『しあわせなゆめ』というワードが関係しているのかと思ったが、あの顔、全然関係ない!
むしろ、訳知り顔を気取っているだけである。
いや、逆にそれさえも駆け引きなのかもしれない。そう見せかけているだけなのかもしれない。ブラフってやつなのかもしれない。
と言いつつも彼女は縛られていた。
だって転移を維持するために集中しないといけないからである。そこを突くとはメイドずるい卑怯である。
「ふーむルクス様、どう思われます? この『ノイン』様要素の上澄みだけをすくい取ったかのようなノイン様を」
「縛られててえっちいですね」
さす勇者。目の付け所がサステナブル。
どこも持続可能ではない。
「そこではございません。というか、その赤と青の炎はなんですか」
「え、知りません。こわ……」
「なかなかのポンコツぶりと言わざるをえないです! いい意味で!」
「いい意味で、と付け加えれば大抵許されると思っているところが勇者。マジ勇者です」
「なんで知らないんですか! ご自分の武器でしょう!?」
「今気が付きました」
「嘘おっしゃい!」
わーわーしている二人をよそにルクスは思った。
最初に左手を御覧くださいっていうから左手を見たのに、特にツッコミがなかったことにルクスは不満だった。
「ボケとツッコミの二刀流ならではの着眼点ですね」
「心を!?」
「いえ、適当に言っただけです」
「勇者渾身のボケをスルーするどころか殺してくるとは!」
「勇者ぶちのめすべし。慈悲はない、というのが我らワルの不文律ですので」
「そんなものないでしょう!」
三人の姦しいキャンプは、多分続いた。いや、するっと縄抜けしたグリモア猟兵が、猫みてーな動きで逃げ出し、更に二人は追いかけ回す騒々しさを周囲に撒き散らす。
キャンプ場ではマナーを守ろうね!
ワルのお姉さんとの約束だ――!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
菫宮・理緒
【理ジェ】
ノインさんへのツッコミは多々あれど……。
『フィーア』さんに会えるとあらば、そちらを優先せざるを得ない!
いや優先するべき!
むしろしない理由がない!
させて、お願い、ねぇお願いだからぁ(媚びっ
あ、はい。おちつ……けるわけなーい!
『フィーア』さぁぁぁぁん♪
うんうん今日も可愛いね
さぁ噛んですぐ噛んでわたしも噛ん(りおりおり)…いたいの。
え、えっと(こほん
今回のキャンプは『五月雨』のみんなもいっしょだし、合宿って感じかな。
せっかくだし、みんな同じ機体で模擬戦とかしてみない?
機体スペックが同じぶん、操縦や組み上げの個性とかでて面白いと思うの。
え?『フィーア』さんに贔屓?
……し、しないよ!我慢する!
サージェ・ライト
【理ジェ】
およびとあらば参じましょう
私はクノイチ、胸が大きくて忍べてないとか誰も聞いてないってどういうことですか!?
理緒さん理緒さん!
あっるぇぇぇ!?理緒さんにすらスルーされてるぅぅ!?
まぁここはフィーアさんと公式も認めた『りおりお』の独壇場という事ですね
私、ツヴァイさんと遊んでこよーっと
ツヴァイさんお元気そうで何よりです
少し元気ないですか?
これは女子会の流れですか!?
ともあれ、新しいプラクト作ったりしないんです?
ほら、思い出が力になることも有るわけで
ふむ、理緒さんにしてはまともな提案
それでは私の実力をお見せしましょう
ふふ、トラメちゃんみたいな四足歩行じゃなくても
ばっちりクノイチムーブです!
「いやね、ツッコミはいっぱいあるんだよ。本当に。なんでキャンプ? とか、『キャンピーくん』すごすぎない? とかね。いっぱいあるんだよ。でもね」
菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は幻朧桜舞い散る競技場を見て思った。
確かに『キャンピーくん』がいれば、あらゆる戦闘行為は無効化されてしまう。
となれば、エンシャント・レヰスの侵攻も、ここだけは無関係である。
それ故に『キャンピーくん』はキャンプしようよ~と誘ってきているのだ。
わかる。
まあ、わかる。
大体はね。
「およびとあらば参じましょう。私はクノイチ、胸が大きくて忍べてないとか誰も聞いてないってどういうことですか!?」
サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は、すでに理緒がキャンプ場をまっすぐに横断して走っていた。
こういう時だけアグレッシブになるのはなんなんだろうとサージェは思わないでもなかった。
「理緒さん理緒さん! せめて理緒さんだけは反応してくださいませんと、クノイチアイデンティティクライシスなんですが!」
そのクライシスはいつものことでしょ。
「あっるぇぇぇ!?」
「『フィーア』さんに会えるとなれば、何をおいても、そちらを優先せざるを得ない! いや、優先するべき! むしろしない理由がない! させて、お願い、ねぇお願いだからぁ!」
誰にこびているのだろう。
「理緒さんにすらスルーされてるぅぅ!?」
そんなことより、そこにクノイチがおるじゃろ? かまって差し上げるのじゃ。
「あ、はい。おちつ……けるわけがなーい!」
理緒は止まらなかった。
まっすぐいって抱きつく。まっすぐいって抱きつく。まっすぐいって抱きつく。
頭の中はそれ一色であったし、彼女の瞳に映るのは長身の小学生『フィーア』の姿であった。
アメフトのタックルかな? という勢いで彼女に飛び込んだ理緒。
「『フィーア』さぁぁぁぁぁん♪」
「ひ、ひゃああああっ!!?!」
驚愕の声を上げる『フィーア』。そりゃそうである。いきなりのバックアタックからのハグ。俺でなきゃ見逃しちゃうね。
「うんうん今日も可愛いね。さぁ噛んですぐ噛んでわたしも噛ん……」
ごすん、と薪が理緒の頭部に落ちてくる。
だいじょうぶ、枝みたいなものだ。ちょっとだけ痛い奴。
ハリセンみたいなもんである。
「いたいの」
「これは公式からの供給では?」
サージェは冷静であった。なんていうか、慣れている。そりゃそうである。もう何度このような光景を見てきたか知れない。
「あ、『ツヴァイ』さんお元気そうで何よりです」
「こんにちは」
「あれ? 少し元気ないですか?」
「そう、でしょうか? 自覚はありませんが」
疲れたのかな、とサージェは『ツヴァイ』の様子を見た。けれど、ピンと来た。これはあれだ。
恋バナの匂いが! する!
だが、悲しいかな。サージェはクノイチ。匂いがわかるのはメイドである。
「ともあれ、新しいプラクトを作ったりすれば元気でますよー。ほら、思いが力になることもあるわけで」
「そう、なんでしょうか。でも、何を……」
「じゃじゃーん、こんなこともあろうかと、みんなの分の同じプラスチックホビーを買ってきちゃいましたー!」
理緒の用意周到さには驚愕するばかりである。
そこには同じプラスチックホビーが複数用意されていた。
「同じ機体で模擬戦とかしてみない? スペックは同じ分、操縦や組み上げの個性とか出て面白いと思うの」
「とか言って、『フィーア』さん贔屓しまえんかー?」
「……し、しないよ! 我慢する!」
そんな二人の様子を見て『フィーア』は笑む。そして、『ツヴァイ』も釣られて笑う。
辛いことも、悲しいことも、苦しいことも。
全部笑顔のための助走なのだと思えば、忘れるのではなく糧にすることができる。
恋せよ乙女と言う。
なら、咲かせるのはいつだって切なさ。
焦がれる感情が、花を育て、少女はきっと美しくなるのだろうから――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
藤柄田・焼吾
キャンプを楽しむだけで戦果に貢献できるって事で来たぜ
あっ、キャンピーくんさんだ!
実力もメンタルも最強との事だけど、俺みたいなのが近寄っても大丈夫…?
若干怖気つきつつも、コーヒーをくれる包容力に一瞬で落ちそう
めっちゃキャンプを楽しむ約束をして、次の気になる所へ
この依頼で初めて知ったプラクトとやら
合宿の様子を邪魔しないように見学
ラジコンとは違うんだ…?
動かし方が2つあるってのも面白い
俺、組み立てるのは好きだけどアクション操作は下手くそなんだよな~
けどモーションよりマニューバの方が心惹かれる…
お~スゴい、そんな動きも出来ちゃうんだ!
目の前で繰り広げられる試合に心踊っちゃう
拍手で両者の健闘を讃えるよ!
「あっ、『キャンピーくん』さんだ!」
藤柄田・焼吾(陶芸検定2級・f44441)はキャンプに参加するだけで帝都櫻大戦に貢献できると聞いてアスリートアースのとある競技場へとやってきていた。
此処は未公式競技『プラクト』の世界大会が行われたスタジアム。
だが今は幻朧桜に覆われたエンシャント・レヰスの侵攻の対象でもあった。
しかし、その侵攻をただ存在しているだけで留めている存在がいる。
それが『キャンピーくん』である。
彼の存在している場所は、いかなる戦闘行為も無効化される。
それによって此処は戦場の空白地帯とも言うべき、ただのキャンプ場へとなっていたのだ。
そんな中で焼吾はマスコットキャラクターそのものな『キャンピーくん』を認め、思わず声をあげていたのだ。
「そうだよ~」
返事はあまりにものんびりしたものであった。
「こ、これが『キャンピーくん』……実力もメンタルも最強とのことだけど……俺みたいなのが近寄ってもだいじょうぶ……?」
「何の話~? 一緒にキャンプしようよ~」
焼吾は若干怖気づいているが、しかし、『キャンピーくん』の包容力は凄まじいものであった。
さらにコーヒーの香りが素晴らしい。
え、なにこれ?
本当にコーヒーの香りかしらと思うほどのかぐわしくも芳醇な香りである。
まるで果実酒のような香りがするではないか。
そうか、確かにコーヒーとは赤い実の種。
チェリーのようなと形容される実、その恵みを実感させるような香りに焼吾は一瞬で落ちた。早い。
「ああ、もちろん! めっちゃキャンプ楽しむよ!」
「やった~じゃあ、楽しんでね~はい、コーヒー」
『キャンピーくん』はタンブラーにコーヒーを入れて渡してくれる。至れり尽くせりである。
「なんていいマスコットキャラクターなんだ、『キャンピーくん』……!」
焼吾は、感涙しつつ今回初めて知った『プラクト』なるホビー・スポーツの合宿キャンプの様子を見に行く。いや、見学と言ってもいい。
彼が見たのは、フィールドを自在に駆け抜けるプラスチックホビーたち。
まるで人のような動きをするプラスチックホビーは、決められた動きではなかった。言ってしまえば、不規則な動きをしていた。
中に人間が入っているような、そんな動き。
「ラジコンとは違うんだ……?」
「はい、操縦者の動きをトレースする『モーション』、ホビーの中に作り込まれた操縦席を動かす『マニューバ』。二つのタイプがありますよ」
焼吾にそう説明してくれるのは、『ツヴァイ』と呼ばれる少女だった。
なるほどな~と焼吾は頷きながらコーヒーをすする。うんまい。
「俺、組み立てるのは好きだけどアクション操作は下手くそなんだよな~」
「それなら自分の動きをトレースする『マニューバ』がおすすめです。直感的に動けますから」
「でも『マニューバ』の方が心惹かれる……って、お~すごい、そんな動きもできちゃうんだ!?」
目の前で繰り広げられるプラスチックホビー同士の戦い。
超人アスリートが動かせば、こんなにも派手な動きが出来るのかと焼吾は感服してしまう。
拍手に試合をしていた二人のアスリートが手を振る。
「え、俺も?」
「ええ、やってみたほうがわかりやすいですから」
「え、いいのかな? ええい、これもキャンプを楽しむって約束したことだし!」
せっかくだし! と焼吾はチャレンジ精神旺盛なままに初めての『プラクト』に挑み、約束通りキャンプを目一杯楽しむのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ユーシア・ロクス
【POW】
戦争…!キマイラフューチャーも危ないみたいですし、頑張らなきゃです!
2P「という訳でアスリートアースのキャンプ場に来ている訳っすね」
えっ、なんで?
3P「落ち着いてくださいわたし。実はここも戦場です。それはさておき、アイゼンケーファーのネタを考えるのと、武装の『ARM-R アームマウントブレイド“蒼月”』のテスト狙いですね」
2P「この世界だとキャバリアと規格というか構造が近いプラモが多数種あって入手もしやすく、それにプラクトの仕様でケーファーを出せば広いスペースも要らない上、競技なのでその手の設備も豊富にある訳っすから、ね?」
…んー、わかりました、これも世界の為、頑張りましょう!
「……なんで?」
ユーシア・ロクス(まっさらゆうしゃ・f26126)は困惑していた。
サクラミラージュにて勃発した大いなる戦い、帝都櫻大戦。
その戦いの余波は、他世界にまで及んでいた。
故郷であるキマイラフューチャーにも幻朧桜によってエンシャント・レヰスの侵攻が始まっているという。
だが、それを防ぐために他世界へと強者を転移させたのがキャンプ・フォーミュラ『キャンピーくん』であった。
無論、ユーシアもキマイラフューチャーの危機とあっては頑張らなければと意気込んでいたのだ。
だが、彼女が転移したのはアスリートアース。
それも元は競技場であったが幻朧桜に覆われたことにより、キャンプ場へと変わり果てた嘗てのWBC――『プラクト』世界大会のスタジアムだった。
「なんで?」
「そういうわけっす!」
「わからない!」
「落ち着いてください、わたし」
2Pと3Pの言葉にユーシアは混乱しながら頷く。
どういうことなのだろうか? てっきりエンシャント・レヰスと戦うことになるとばかり思っていたのに、なぜだか今アスリートアースにきていて、しかも戦いの気配はまったくない。
それもそのはずである。
「ここには『キャンピーくん』がいますからね。戦闘行為は全て向くかされます。それに此処もまた実は戦場なんです」
「どういうこと!?」
「だから落ち着くッスよ。ここでキャンプを目一杯楽しむことで、強者を他世界に転移してくれた『キャンピーくん』を労おうってわけっす」
「……慰労ってこと?」
「そういうことっす」
「それに『アイゼンケーファー』のネタを考えるのと武装のテストも狙います。お誂え向きに『プラクト』の合宿もきていますからね」
「この世界だとキャバリアと規格というか構造が近いプラモが多種多様っす」
「つまり?」
そう、『プラクト』というハブを噛ませて、アップデート!
しかも対戦相手には事欠かない。
それどころか、世界大会優勝チームのメンバーが相手なのだ。不足はなし!
「加えて、これもキャンプの一環っす。楽しめば楽しんだぶんだけ『キャンピーくん』も大喜び、わたしたちもデータも取れて一挙両得っす!」
「そうですよ。なので」
2P、3Pの言葉にユーシアは、本当にそうなのかなぁと疑念を抱きそうになる。
けれど、考えても仕方ない。
「じゃあ、早速『五月雨模型店』のみなさんにご挨拶をしなければ!」
これも世界のため!
目一杯キャンプを楽しむという名目のもと世界を救うのだ。
「おっ、きたなー?」
『五月雨模型店』のテントで待ち構えていたのは『アイン』と呼ばれる少女だった。
彼女はユーシアが来ると踏んでいたのだろう。
「新しいの作ったんだろ? やろーぜ!」
「ふふふ、負けませんよ!」
「こっちの台詞だぜ!」
始まる試合。戦いの最中であるけれど、それを忘れるような『プラクト』の試合は楽しかった。
二人は互いを高め合うように競い合い、合宿キャンプという名の思い出を作るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
薄翅・静漓
『アイン』達は『プラクト』の強化合宿中だったのね
『ツヴァイ』も帰ってきてよかった
ここは安全な場所……
私も『プラクト』をしてもいいかしら
『ドライ』、あなたに勝負を申し込むわ
前から一対一で戦ってみたかったの
私は『セラフィム』を使うわ
疾さでは負けないわよ
別に誰かの面影を重ねたいわけじゃない
ただ、彼と平和に遊んでみたくなっただけ
本気でやるけど、勝敗は気にならないわ
命の奪いではない戦いを楽しみましょう――『レッツ・アクト』よ
ちょうどよい、というか都合がよいというか。
幻朧桜に覆われた嘗てのWBC――世界大会の行われた競技場スタジアムは幻朧桜に覆われていた。
無論、猟兵からすればエンシャント・レヰスの侵攻にほかならない。
だが、此処にはあらゆる戦闘行為を無効化するキャンプ・フォーミュラ『キャンピーくん』がいるのだ。
そもそもが戦闘にならなければ、このスタジアムは空白地帯となるだろう。
そんなキャンプ場で合宿キャンプを行っていたのが『プラクト』アスリートである『五月雨模型店』のメンバーたちだった。
「みんな、ここで強化合宿だったのね」
薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)の言葉に『アイン』と呼ばれた少女が手を振る。
「あ、静漓ねーちゃん! この間は応援してくれてほんっとーにありがとうな! 海楽しかったなー!」
『アイン』が静漓にじゃれついてくる。すっかり子犬みたいななつき具合である。
「お久しぶりです」
「『ツヴァイ』も帰ってきたのね。よかった」
「はい。おかげさまで……」
『ツヴァイ』と呼ばれる行方知れずだったメンバーも戻ってきたことを静漓は喜び、柔らかく笑む。
大いなる戦いの最中ではあるが、ここは安全な場所だと理解できる。
「私も『プラクト』していいかしら?」
「もちろん! 私とやろーぜ!」
『アイン』の言葉に静漓は後でね、と笑む。
彼女の視線の先にあったのは『ドライ』と呼ばれる少年であった。
「『ドライ』、あなたに勝負を申し込むわ」
どよめくメンバー。
何故、と思う者もいただろう。唐突にすぎるとも思ったかもしれない。
けれど、静漓にとっては唐突でもなんでもなかった。
「前から一対一で戦ってみたかったの」
「光栄だ! ならば、全力で応えてみせよう!」
『ドライ』は笑む。
どこか男の子というよりは、男らしくなったように思える。自信たっぷりであったが、もっと自信がついたのかもしれない。
彼の姿に静漓は頷く。
フィールドに投入された二騎のプラスチックホビー。
互いに『セラフィム』である。
だが、装備が異なる。静漓は軽量型であり、武装が腕部を変形させる弓矢。
対する『ドライ』の『セラフィム』は砲撃型であり、長大な砲身を携えている。
「疾さでは負けないわよ」
「知っているとも! だからこそ!」
みなぎる意志の光を静漓は見た。
そこに誰かの面影を重ねたわけではない。そうしたいと思ったわけでもない。
彼が如何なる経緯を持っているのかを静漓は知らない。
この世界に生きる数字の名を冠する少年少女たち。他世界にも存在する同じ名前の存在と無関係とは思えなかった。
けれど、それは静漓にとって些細なことであったのかもしれない。
理由は単純だ。
ただ、平和に遊んでみたかっただけなのだ。
ここではあらゆる戦闘行為が無効化される。
だが『プラクト』はホビー・スポーツ。それも遊びと言ってもいい範疇だ。
「こちらも本気でやるわ」
「もちろんだ! さあ、やろう!」
「生命の奪い合いではない戦いを楽しみましょう――『レッツ・アクト』よ」
瞬間、二人の機体がフィールドを駆け抜ける。
互いに狙撃を旨とする機体。
でも、その挙動は高機動型と言っていいものであった。砲撃と射撃。
それらが互いを狙って交錯する。
戦いの中にあって、楽しいという感情が湧き上がってくる。
それこそが二人の間にある真実。
勝敗ではない。
楽しいという感情こそが、今の全てだというように二人はギャラリーを魅了する試合を見せ、キャンプ場を大いに沸かせるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
んもー
人間はすぐ大人になる―
こうやって成長し、老いて、消えていくんだね…
とモノローグ的なものを入れてから
はわわツヴァイが大人になっちゃった!なっちゃったの?
聞かせて聞かせて―!
えー?違うの?そこはむしろ違っちゃダメじゃない?
人生って短いんだからさー燃え尽きるように激しく生きないと!
あ敵方のサンサーラくんだー!
いやー今回は大変だねー
いや大変なのはこっちだけど?
ねえねえどんな気持ち?今どんな気持ち?
なーんて冗談だよーまあそういうこともあるって!
ボクもたまにある!
今はキャンプを楽しんでこうよ!
お魚をとったり、焼いたり、食べたり!
そう夏は短いんだから終わる前に楽しもう!
「んもー」
ちょっと不服である。
人の生きる時間の流れは、あまりにも速すぎる。
寿命が自分に比べて極端に短いからだ。それはもしかしたら、置いていかれるような、そんなふうにも感じられるものであった。
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は、少しだけそう思った。
人間はすぐおとなになる。
この間まで四本足の赤子だったのに、二本足のおとなになって、すぐに三本足の老人になる。
そうやって成長し、老いて、消えていく。
「とかなんとかモノローグ的なのを入れちゃう」
「え、なに、なんです?」
『ツヴァイ』と呼ばれた少女は怪訝な顔をしている。
ロニが急になんか言い出したのでびっくりしたのかもしれない。
「そんなことはいいんだよ!『ツヴァイ』が大人になっちゃった! なっちゃったの? 聞かせて聞かせてー!」
「いえ、どういう……? ただ、出会いがあって、一夏の、そう冒険をした、というのが正しいのでしょう。楽しかったかと言われれば……そうですね、楽しかったです」
それは苦しいこともあったかもしれない。
けれど、ときに切なささえ感じさせるものでもあった。
だから、ロニは、えー、と口を開く。
やっぱり大人になってるじゃん! と肉体的なものではなく、精神的な成長を認めてしまったのだ。
「うんうん。でもさ、その年から悟ったようなこと言っちゃダメだよ! 人生って短いんだからさー燃え尽きるように激しく生きないと!」
「そういうものでしょうか。どうにも私にはそういう性分は向かないような……」
「だめだめ、もっと熱く!」
ロニはひとしきり『ツヴァイ』に絡んだ後、このアスリートアースのどこかに顕現しているであろうエンシャント・レヰス『神王サンサーラ』がいるであろう方角を見やる。
「いやー今回は大変だねー。いや、大変なのはこっちだけど?」
ねえねえどんな気持ち? 今どんな気持ち? と煽り立てるようであるが、どの道あらゆる戦闘行為が無効化されるこの場においては詮無きことである。
「うんうん、ボクもたまにあるよ、そういうことって! ま、今はキャンプを愉しまないとね!」
此処競技場だからやれることそんなにないけど! とロニは笑う。
でも、だいじょうぶ。
何せ、自分は神様である。
お魚とったり焼いたり食べたりなんてお茶の子さいさい。
むしろ、此処が競技場だからってできないことがあるって思う方が余程である。
「そう、夏は短いんだから終わる前に楽しまないとね!」
それはもう思う存分!
ロニはやりたい放題のキャンプを続けるべく、他の競技場のプールに魚を放流したりして釣り堀にしたりと、真にやりたい放題を尽くして楽しむのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
八秦・頼典
【八秦家】
はは、まさかここまでコテンパンにされるとはね
プラモデルを式神とすることで人が操らずとも動かせるようには出来るようになったものの、やはり思考や行動が限られるから臨機応変の動きには対処できず…(ぶつぶつ
うわ!?
なんだ爺か、びっくりさせるな
って、いつの間に爺もぷらもでるを作って…ははーん
さてはボクを探しに来たという口実で…だな?
ふぅん…これが爺が作りしぷらもでるか
まるで武蔵坊弁慶を思い起こさせるものだが、そうなればボクのは武蔵坊を従える牛若丸と言ったところかな
それなら、アイン様に再戦の願いを出してこよう
しかしだ、爺よ…何でそこまでやけに詳しいのかな?
さてはボクに煩く言っておいて…かな?
獅子戸・馗鍾
【八秦家】
若がいずこへと姿を消したかと思えばこんなところへ…(クソデカ溜息
しかも、浅はかな考えで楽に勝とうとは…まったく昔から悪知恵を働かせるのだけは得意であらされる
若!
いくら兵を作ろうとも中身が伴っていなければ案山子ですぞ!!
ここは教育がてら、このわしもぷらくとに馳せ参じますぞ!!
…まぁ、それは置いておいてですな
このわしめが作りしは重厚なる装備の鎧武者
いかなる攻撃も重厚な装甲で受け止め、押し返すもので
そして、若が作りしは所謂指揮官機と申される物
たんくとなるわしめが相手を抑えている間に華麗な身のこなしで討つという作戦でアイン様に打ち勝ちましょうぞ!
はは…何を申されます
気の所為でございまするよ!
八秦・頼典(平安探偵陰陽師ライデン・f42896)は思わず苦笑いを浮かべるしかなかったのかもしれない。
初めてである、ということを差し置いても頼典は強者。
土俵が違うとはいえ、ある程度はやれると思っていたのだ。
だが、『アイン』と呼ばれる少女の見せる『プラクト』の中での機体の動きは尋常なものではなかった。
まるで『閃光』のように機体の速度を誇り、的確に大物である得物の突撃槍を自在に操って攻撃を繰り出してくる。
坂東武者『世羅腐威無』の練度と比べてみても群を抜いていると言わざるを得ない。
それほどの強者であったのだ。
「へへーん! どうよ!」
「はは、まさかここまでこてんぱんにされるとはね」
いやはや、と頼典は頬をかく。
プラスチックホビーを式神として操らずとも動かすことができたのまではよかった。
だが、『アイン』の速度に思考が追いつかない。
そもそも思考と行動にラグが生まれる時点で勝負にはならなかたのかもしれない。臨機応変に対応しようとしても、その一瞬のラグの隙を彼女はついてくるのだ。
「……しかし、速すぎる。作ったものの差か? それとも単純な身体能力の差なのか?」
ぶつぶつと頼典が考察を重ねていると、くそでかため息が背中に吹き付けられる。
「うわっ!?」
振り返るとそこにいたのは、八秦家の家人式神筆頭、獅子戸・馗鍾(御獅式神爺・f43003)であった。
「いずこへと思えば、こんなところで油を売っているとは……しかも、見ておりましたぞ」「びっくりさせてくれるなよ。いや、一体何をだい?」
「浅はかの一言でございます。楽に勝とう、勝負を決しようとするとは……まったく昔から悪知恵を働かせるのだけは得意であらされる」
「これは軍略というものだよ。悪知恵とはまた違うものだ。狡猾にして巧妙。そういうものがね、戦略軍略というものには必要……」
「若ッ!!」
一喝である。
それはもう見事なものであった。
「いくら兵を作ろうとも中身が伴っていなければ案山子ですぞ! 先程の戦いぶり、まさしくそれが顕著に現れており申した! まったく嘆かわしいことでございます!」
「そう言ってもだね」
「ここは教育がてら、このわしも『ぷらくと』に馳せ参じますぞ!!」
ぴしゃーんと光る背景。
大仰な雰囲気を出しているが、頼典は思い当たるものがあった。
「いつの間に爺もぷらもでるを作って……ははーん? さてはボクを探しに来たという口実で……だな?」
「何をおっしゃいますやら! それは老いておいてですな。このわしめが作り申したるハ、重厚なる鎧武者なりまする。いかなる攻撃も重厚な装甲で受け止め、押し返すもので」
「いやいや、爺よ。勢いでごまかされないぞボクは。いや、まて、なんだその重たそうなぷらもでるは」
匠の技であった。
ふむ、と頼典は頷く。
これならば、と思ったのだ。
「『アイン』殿、よいかな? もう一戦」
「もちろん! なんなら、そこのじいさんと二人がかりでもいいぜ?」
挑発的な顔。
自信があるのだろう。ならば、と頼典は笑む。
「ならば爺よ」
「若、若の機体はいわゆる指揮官機。たんくとなるわしめが『アイン』殿のあの機動力を抑えまする。その間に華麗な身のこなしで討つ、という作戦で参りましょうぞ」
「さながら武蔵坊弁慶を従える牛若丸といったところか。ならば、それでいこう。というか、爺よ。なんでそこまで詳しいのかな?」
頼典はじ、と爺の顔を見やる。
「はは……何を申されます。気のせいでございまするよ!」
「いや、どう見ても詳しすぎる。ボクに煩く言っておいて……」
「来ますぞ!」
目の前に迫るのは白い『閃光』。
重量級の鎧の堅牢さを誇る機体が突撃槍で容易く切り裂かれている。
「追求は後に回すとしよう、今は!」
「ええ、二人がかりでもこれとは! 流石は世界大会優勝チームの『えーす』ですな!」
「やっぱり詳しすぎないかい?」
「気のせいでございまする!」
「くっちゃべってばっかじゃあな! そこだ!」
そんな二人のコンビネーションを穿つように『アイン』の機体は飛び回り、二人を翻弄していく。
けれど、それでも先程よりは頼典も慣れてきたのだおる。
初戦とは異なり、動きが良くなっている。
苦戦すれど楽しい。
それは戦いとは異なる高鳴りであったことだろう。
二人は、幼き頃の思い出を『プラクト』を通じて想起し、大いに楽しむのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵