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帝都櫻大戰⑯〜最弱から最強へ至る者

#サクラミラージュ #帝都櫻大戰 #第二戦線 #神王サンサーラ #碎輝 #プレイング受付締切ました

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 無数の桜の花弁が舞い散る中で、黄金の仏像を思わせるその人物はただ静かに坐禅を組んで佇んでいた。電子の光瞬くサイバースペースの中で、一際強く眩い輝きを放っている彼は、まるで衆生を救う仏のようで。だが、その外見とは裏腹に、周辺には色濃い『死』の気配が漂っている。その気配がゆっくりと、しかし確実に広がっていく中で、彼は閉じていた目を緩やかに開いた。虚無に満ちたこの空間を切り裂くような一筋の稲妻。それを感じたからだ。もしや、と思う。望まず手にしてしまった、『骸の海を無限に広げる能力』。それを幾許かでも食い止める手立てが舞い込んできたのかと。しかし、稲妻と共に現れた人物を目にした彼は落胆に目を伏せた。かつてサンサーラディーヴァを創造した超存在たる彼――『神王サンサーラ』には、一目見ただけで分かってしまったからだ。眼前にいる、黄金の竜を思わせる角持つ青年が、とてつもなく『弱い』ことが。これでは時間稼ぎにもなるまい。嘆息して、サンサーラは呟く。
「私の放つ骸の海は無限に広がりゆく。それを阻む術は無い……」
 無限。だが、その嘆きを聞いた青年は得心がいったというように頷いてみせた。
「あ〜、なるほど。だから山本親分は俺をここに……。悪いが俺は、世界最弱の『お前を止められる男』なんだ。元に戻れるかな……だが、やるしかないな!!」
 不敵な笑みを浮かべ、青年は手にした槍を構える。骸の海に呑まれるかもしれない、おそらくは最大の危機。それすら糧にするというかのように。

「ちょ、『元に戻れるかな……』とかフラグっぽいこと言うのやめてくださいよ碎輝」
 グリモアベースで、雨月・雨莉(は何もしない・f03581)がなんかわたわたしてた。何を見たんだろう。予兆かな。などとどこかのんびり構えている猟兵達に、雨莉は振り向く。
「あ、皆さんちょうどいいところに……! 大変っす、碎輝が史上最大のピンチかもしれないっす!」
 割と毎回ピンチな気がするが。小学生形態になった彼がオブリビオンに狙われる事件は度々起きているし。とツッコむ猟兵に、雨莉はそうじゃなくて、と頭を振る。
「今度は小学生形態の彼じゃなくて、普通の……普通のって言い方もなんかアレっすけど……の碎輝がヤバいんすよ。いやあのにっくきパラダルクにまた狙われてるとかじゃなくて」
 慌てているのか、彼女の話はどうも要領を得ない。とりあえずまたパラダルクが出てきたとかいう話ではないのは分かったが。とにかく落ち着けよ、と猟兵が差し出してくれたお茶を恐縮しながら飲み、背中も擦ってもらったところで、雨莉は再び話し出した。
「すいません……ええっと、頭から説明すると……今行われてる、『帝都櫻大戰』。その第二戦線で、エンシェント・レヰスたる『神王サンサーラ』が、無数の幻朧桜と共に、サイバーザナドゥのサイバースペース内部に降臨したんすよ」
 神王サンサーラ。かつて|広大無辺の仏国土《サンサーラディーヴァ》を創造したという、超存在。しかしサンサーラディーヴァは滅び、創造した本人もまたオブリビオンと化した。その結果。
「『骸の海を無限に広げる』という規格外かつ制御不能のユーベルコードを手にしてしまって……ただそこにいるだけで、いずれ世界の悉くを破壊するというやべー存在に成り果てちゃったんすよ」
 それは確かにヤバい。そんな彼が、サイバースペースに現れたということは……サイバースペース全域、そしていずれはサイバーザナドゥの|現実《リアル》をも破壊してしまうということ。だが。雨莉は人差し指を立てて言う。
「でも、『無限』って聞いて、なんか思い出しませんか? そう、カクリヨの竜神親分、『碎輝』。彼もまた、『無限に成長する』って特性持ちっすよね」
 『無限』というワードだけで即碎輝を連想できるのは碎輝推しで有名な彼女くらいかもしれないがともかく。確かに、彼なら事と次第によっては唯一、サンサーラと対等に渡り合えるだろう。何しろ、『無限に』強くなれるのだから。
「山本親分も、そこに目をつけたんでしょうね。そこでキャンピーくんに頼んで、彼をサイバースペースに送り込んでもらったって次第……となれば。皆さんがやるべきことは、もうお分かりっすね?」
 そう。碎輝は無限に強くなるとはいえ、時間はかかる。しかも戦い始めは弱い。何もしなければあっという間にやられてしまうだろう。そこで猟兵の出番だ。碎輝が弱いうちは彼を守り、強くなれば協力してサンサーラに立ち向かう。
「幸いなことに……『神王サンサーラ』自身は極めて強大なオブリビオンですが、それゆえに『完全に無傷の状態』でない限り、この世界への顕現を維持することができないみたいっす。なら……碎輝が無限に広がる骸の海に対抗できる程に成長し終えるまで守り抜くことができれば。勝機はあるっすよね?」
 猟兵達は頷いた。弱いうちは守り、強くなったら共闘するとか、なんてカッコいいんだろう。猟兵達は強敵との戦いが控えているにも関わらず、抑えられない興奮に掌に汗握る。しかし。
「でも、碎輝が史上最大のピンチかもしれないって……そんな。確かに『神王サンサーラ』はめちゃくちゃ強いし、骸の海を無限に広げるとかヤバい奴だけど、この程度のピンチは俺達、何度も乗り越えてきただろ? そんな心配しなくても、ちゃんと碎輝を守り切ってみせるよ」
 話を聞いていた猟兵のうちの一人が、雨莉を元気づけるように胸を叩いて言う。サンサーラがヤバい奴なのは認めるとして、猟兵達は戦争のたびに無理難題に立ち向かってきたわけで。正直感覚がマヒしてるというか、サンサーラに対しても、たぶんなんとかなるだろうという思いがある。そんな中で、彼女が取り乱す理由が今一つ分からなかった。直接碎輝を狙ってるというわけでもなし。しかし、彼女はそれはそうですけど、と肩を落とす。
「いえ、猟兵の皆さんを信頼してないわけじゃないんです……ただ、彼が、『元に戻れるかな』とか言ってたのが気になって。思えば、碎輝が強くなりきったらどうなるかなんて分からないし」
 ……そういえばそうだ。大祓百鬼夜行で彼と戦って以来、彼が強くなりすぎてカタストロフを起こすことのないよう、何度も戦って倒してきた。そんな彼が、骸の海に対抗できるほどに強くなったらどうなるか。それは誰にも分からない。ただ、それぐらい強くなってもらわねばどのみち、サイバーザナドゥは滅びる。雨莉は遠慮がちにハート型のグリモアを閃かせた。
「ともかく……彼が強くなるまで、しっかり守り切ってください。それだけは……お願いします」
 俯いて、そう呟いた彼女は。猟兵達が転送されたかされないかの刹那、ひとりごちた。
「そういえば……サンサーラの放つ骸の海は、サイバースペース内部に存在する遅効性の思考破壊プログラム、『ヤマラージャ・アイビー』を起点にしてる……って。『ヤマラージャ・アイビー』って確か、碎輝が名前をつけたっていう|大祓骸魂《おおはらえむくろだま》が持ってた懐刀の名前のはず……」
 何か、関係があるのかどうか。分からないけれど。もしかしたら。
「碎輝がサイバースペースに送り込まれたの。偶然じゃない……のかも、しれませんね」
 雨莉の珍しく真面目な考察は、誰にも聞かれることなく。ただ、地に落ちて消えていった。


ライ麦
 ライ麦です。碎輝推しなのに完全な出遅れェ! すいません!! 力入りすぎてOPの字数超えたりしてました。普段めったに超えないのに!
 というわけで出遅れましたが『帝都櫻大戰』の戦争シナリオです。碎輝を守って共闘する、超燃えるシチュエーションです。小学生形態の碎輝を守るやつは何度もやりましたが、実は青年(少年?)形態の彼を守るやつもやりたかったんだひゃっほい。渡りに船! 公式ありがとう! でも予兆が不穏!!

 詳しいことはOPを参照してもらうとして、やること及びプレイングボーナスは、「弱い状態の碎輝を守って戦う/強力に成長した碎輝と協力して戦う」です。
 プレボ的にまとめて書いた方が映えそうなので、ある程度プレイング集まったら締め切ります。ご了承ください。
 OPになんかフラグっぽいこと書いてますが、私も碎輝が強くなりきったらどうなるかなんて知らないのでただのフレーバーです。あんまり気にしないでプレイング書いてください。あとサイバースペース内部に存在する遅効性の思考破壊プログラム、『ヤマラージャ・アイビー』と|大祓骸魂《おおはらえむくろだま》、及び碎輝の関係とか私も知りません。私の考察ただ書いただけなので、突っ込まないでください。答えられません。

 それでは、皆様のプレイングを心よりお待ちしております!
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第1章 ボス戦 『神王サンサーラ』

POW   :    サンサーラディーヴァ
自身の【眼前】を【広大無辺の仏国土】化して攻撃し、ダメージと【神王サンサーラへの到達不能】の状態異常を与える。
SPD   :    サンサーラノヴァ
【かざした両掌の間】から、詠唱時間に応じて範囲が拡大する、【五感封じ】の状態異常を与える【神王光】を放つ。
WIZ   :    強制転生光
レベル秒間、毎秒1回づつ、着弾地点から半径1m以内の全てを消滅させる【サンサーラの光】を放つ。発動後は中止不能。

イラスト:ぽんち

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ドゥルール・ブラッドティアーズ
オブリビオンも摂理の一つと考え
不殺を貫き、広大無辺の仏国土を作り上げた。
それを誤りだと言うのなら残念だわ、神王サンサーラ

オーバーロードで背中に黒炎の翼
守護霊の憑依【ドーピング】で更に強化

強制転生光が放たれる度に
【第六感・見切り・高速詠唱・カウンター】で
【結界術】を張るわ。神王の眼前にね

強制転生光が威力を発揮するのは着弾地点から半径1m以内。
貫通性能の低さは精一杯の手心かしら?
これで自滅させられれば楽だけど……

自滅できるなら、とっくにやってるわよねぇ

本命は【空中浮遊・空中機動】での接近。
私ごと神王を【全力魔法】の結界に閉じ込め
153秒間『絶対なる理想郷』で骸の海と化して強制転生光を封じ
媚毒の【呪詛】で快楽と多幸感を与え【生命力吸収・大食い】

神王の『骸の海を無限に広げる力』で強化される上
本来なら戦場全体を覆う大規模な技が
狭い結界に圧縮されている。その快感(威力)は計り知れないし
広がりすぎて元に戻れないなんて事も無い

貴方から奪った力は
私の理想の為に使わせてもらうわ。
竜神親分さん、後は任せたわよ



「オブリビオンも摂理の一つと考え不殺を貫き、広大無辺の仏国土を作り上げた。それを誤りだと言うのなら残念だわ、神王サンサーラ」
 オーバーロードの力で背に黒炎の翼を生やし、|守護霊の憑依《ドーピング》で更に強化を施したドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)は、艷やかなため息と共に神王サンサーラの前に降り立つ。オブリビオンの救済を掲げて戦う彼女にとって、かつて彼が行った行為は自身の想いにも合致するものだった。しかし、サンサーラは緩やかに首を振る。
「いいや、誤りだった。結果、私は救済どころか、全てを滅ぼす存在に成り果ててしまったのだから」
 深い息をつき、この力を見ろと言わんばかりにサンサーラは眩い光を放つ。光。なのにそれが着弾した箇所を照らし出すことはなく、逆に消滅させていく。ドゥルールが咄嗟に彼の眼前に張った結界も例外ではない。張った傍から消えていく。だが、消滅していく範囲は小さなもの。時間稼ぎには充分だ。ふわりと黒炎の翼で空中に舞い上がりつつ、ドゥルールはひとりごちる。
「貫通性能の低さは精一杯の手心かしら? これで自滅させられれば楽だけど……自滅できるなら、とっくにやってるわよねぇ」
 宙よりサンサーラを見下ろす。全てを消滅させる光とはいえ、放った本人はさすがに例外なのか、それともサンサーラがあまりに強大すぎるからなのか。結界に反射した光も、彼を消滅させることはない。彼にとっては、これで自滅できるならその方が良いのだろうが。しかし、本命はこちらではない。ドゥルールはサンサーラを抱きしめるかの如く大きく両腕を広げ、空中より接近しながら、神王と自身を包み込むかのように、全力で結界を展開する。見上げる神王の前で、彼女の広げた腕が霧散し、彼が放つ骸の海と同化していく。消えゆくドゥルールの肉体に、サンサーラは僅かに目を見開き、それから目を伏せた。分かっていたことだ、自らの放つ骸の海は全てを呑み込み、破壊することは。しかし分かってはいても、目の前で消えていく様を見せられるのは心に来るものがある。やはり、私は間違っていたのだ――深い後悔に苛まれ、頭を垂れるサンサーラの体が強張り、震える。だが、それは自責の念のためではない。
「な……なんだ……?」
 それは、突如として湧き上がってきた、これまでに感じたことのないほどの快感と多幸感のため。あまりの気持ちよさに全てを忘れ、身を委ねそうになるのを、サンサーラは必死に押しとどめた。いけない。かつて神王と呼ばれた自分が、|広大無辺の仏国土《サンサーラディーヴァ》を創造したこの自分が、その上オブリビオンに身を堕とし、全てを滅ぼす存在に成り果てた自分が、この|幸福《快楽》を享受するなど。しかし抗おうと必死に身を捩っても、快感の波は止められず。褐色の肌に玉のような汗が浮かび、ビクビクと勝手に体が跳ねる。本当に、どうしてしまったというのだろうか。荒い息を吐きながら、うまく働かない頭で必死に思考を巡らせてみたところで、分かるはずがない。当たり前だ。ドゥルールは骸の海に消えたわけではない。彼女自身が骸の海と化し、彼の放つ骸の海に紛れながら、常に強力な快楽と魅了効果を齎す媚毒の呪詛を放出し続けているのだから。|絶対なる理想郷《イモータル・ラブオーシャン》。そのユーベルコードの力は、呪詛を齎すのみならず、敵から生命力を奪い、さらには全ての攻撃を無効化する。全てを消滅させるサンサーラの光すら例外ではない。加えて、本来なら戦場全体を覆うほどの大規模な技を、狭い結界内に圧縮した分、その|快感《威力》は凄まじい。かつてひとつの世界を創造したという、強大無比な存在たるサンサーラも、この快楽の前では形無しだ。坐禅を組み続けることもできずに崩れ落ち、ただ頬を紅潮させながら身悶えするばかり。吸い取った彼の生命力を美味しくいただきながら、骸の海と化したドゥルールは心の中で密かに微笑った。
(「貴方から奪った力は、私の理想の為に使わせてもらうわ」)
 と。全力の魔法を注ぎ込んだこの結界の中では、広がりすぎて元に戻れないなどという事も無い。ただし、この技は非常に強力である分、長くは使えない。153秒間。それが、彼女が命を落とすことなく一日に使えるギリギリのライン。僅か2分と少し、だが充分だ。竜神親分が成長するまでの時間を稼ぎ、他の猟兵達が圧倒的な力持つサンサーラと戦う隙を作り出すには。
「竜神親分さん、後は任せたわよ」
 目の前で繰り広げられる光景に唖然としつつも、骸の海の中から囁く声を確かに聞き取った碎輝は、
「ああ、恩に着る! 任せとけ!」
 と親指を立ててみせたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フェル・オオヤマ
・心境
サンサーラ!この戦は貴方を討つための戦いじゃない!止めるための戦いである!

・戦闘
お膳立ても済んだみたいだし…超万全最強モードな碎輝さんと一緒に戦おうか!
とはいえ私もまたお膳立てをするよ!
[銀の星]と[無限ノ幻想]を装備して挑みます
敵の攻撃には当たらないよう回避をし、時にはマインドシールドをフル活用して防ぎます

攻撃のチャンスが来れば[銀の星]を構えて[我竜・月光氷嵐]を発動!
サンサーラを吹雪で拘束させつつ味方を強化 つまりは碎輝さんが放つ一撃のアシストをします!
今がチャンスだよ!
【盾受け/空中戦/凍結攻撃/高速詠唱】を使用します


他キャラとの連携・アドリブ歓迎


唯嗣・たから
碎輝おにーちゃーん!たから来たよ。

守るも、協力するも、お任せ。
向こうが、神様みたいな、ひとでも。絶対に、逃れられない、命のお約束があるよ。

腐敗!

たからが、腐敗の腕で、気を引くから。たからが、囮に、なるから。お兄ちゃん、任せた。

強くなりすぎも、大丈夫。たからを、信じて。思いっきり、かましちゃえ。

仏国土が、なんだ。たからは、黄泉平坂を、知ってる。そこから帰ってきた、お骨だよ。気合い、振り絞って立ち向かう。

黄泉の恐怖も、死者の呪いも、お見舞いする。もてる限りの手を使って、たから、頑張る!


空桐・清導
POW

「どうなるかはやってみないことには分からねえ!
碎輝は本気だ!だったら応えるのが男だ!
それに強くなったら倒して元に戻すだけだぜ!」
どこまでも雄々しく、不可能を可能にすると
世界を救う龍神も必ず救うとヒーローは吼える
「昨日よりも今日!今日よりも明日!
サンサーラを討ち取って輝く明日を掴むんだ!」

UC発動
全てを護る者、逆説的に清導が護ると
誓ったものを害することは誰にもできない
そんな不条理で碎輝を護る

碎輝の成長に呼応して[限界突破]
彼は出来る
オレも為さねばという意思力が道理を捻じ曲げる

成長した碎輝に叫ぶ
「世界はオレが護る!ぶちかませ!」
彼に世界は壊させない
カタストロフ級の攻撃からも世界を護ってみせる


ジゼル・サンドル
ミルナ(f34969)と

碎輝先輩、久しぶりだな!…そういえば大っきいバージョンの先輩とは初めて会う気がするな…

この戦いを無事に終えて、必ず元に戻ろうな先輩。でないと確実に1人のグリモア猟兵の心が死にそうだし…わたしもまた碎輝先輩と遊びたいからな。

親友のUCで防御力と治癒力を上げつつ、【多重詠唱】【結界術】で幾重にも結界を張って身を守っておこう。
碎輝先輩が十分強くなったら共闘だ。わたしの武器は歌だからな、到達できなくても声さえ届けば…!
指定UCに乗せ、拡声機能付きのシンフォニックデバイスで【声を届かせる】。
僅かでもダメージを与えればいいなら手加減しても良いだろうか…彼女もまた、被害者なのだから。


ミルナ・シャイン
ジゼル(f34967)と

わたくしは初めましてですわね、碎輝様。ミルナ・シャインと申します。どうぞお見知りおきを。

(でも、お名前には何故か覚えがあるのですわよね…昔お母様から聞いたような…)

と、内心の疑問はさておき。わたくしは護りの騎士、碎輝様が強くなられるまでの護りはおまかせを。
シールドバリア発動、碎輝様を初めとした皆様の防御力と治癒力を底上げしましょう。

碎輝様、力をつけるまではどうかわたくしの後ろに!深海のオーラで【オーラ防御】を施した【鉄壁】の護り、破らせはしませんわ!
わたくしの役目は時が来るまで碎輝様を守り抜くこと、今回は守りに徹しましょう。
元に戻らなかったら承知しませんわよ、碎輝様!



「碎輝おにーちゃーん! たから来たよ」
 努めて明るく。軽く片手を挙げて挨拶する唯嗣・たから(忌来迎・f35900)に、
「碎輝先輩、久しぶりだな! ……そういえば大っきいバージョンの先輩とは初めて会う気がするな……」
 まじまじと見上げるジゼル・サンドル(歌うサンドリヨン・f34967)。
「わたくしは初めましてですわね、碎輝様。ミルナ・シャインと申します。どうぞお見知りおきを」
 優雅、かつ丁寧に頭を下げる、ミルナ・シャイン(トロピカルラグーン・f34969)。そうした猟兵達の面々に、碎輝も顔を綻ばせる。
「ああ、今のうちに会えて嬉しいぜ! この戦いが終わったら、俺も元に戻れるか分からないからな……!」
 そう言いながら視線を移す先には、黄金の仏像を思わせる、神々しい姿の神王サンサーラの姿がある。かつて地球の邪神を滅ぼした、強き竜の神々の親分たる彼には分かる。これは久しぶりに、本当の本気になってかからねばならぬ相手だと。高揚と少しの緊張感、それに伴う興奮に武者震いしている碎輝に、ジゼルはそんなこと言わずに、と呼びかけた。
「この戦いを無事に終えて、必ず元に戻ろうな先輩。でないと確実に1人のグリモア猟兵の心が死にそうだし……わたしもまた碎輝先輩と遊びたいからな」
「ああ、どうなるかはやってみないことには分からねえ! 碎輝は本気だ! だったら応えるのが男だ! それに強くなったら倒して元に戻すだけだぜ!」
 どこまでも雄々しく、不可能を可能にすると、世界を救う竜神も必ず救うとヒーローこと空桐・清導(ブレイザイン・f28542)も吼える。瞬かせた碎輝の目に、光が宿った。
「……そうだな! 思えば、お前達猟兵には何度も倒されてきたもんな。今回だって同じことか……なら、その時はよろしく頼むぜ!」
 そう言って成長電流を纏う碎輝。頷いて、清導も誓いを立てる。『全てを|守護《まもる》ヒーローとなる』という正義の誓いを。
「『超鋼真紅おまえ』とオレで無敵のブレイザインだ!! さあ、見せてやろうぜ相棒!! コレが!! シン・ブレイザインだ!!!」
 真紅の機械鎧、ブレイザインを纏った彼が光を放ち、真の姿……シン・ブレイザインに変身する。
「昨日よりも今日! 今日よりも明日! サンサーラを討ち取って輝く明日を掴むんだ!」
 天高く拳を突き上げ吠えるシン・ブレイザインに、
「その通りだ! 昨日よりも今日! 今日よりも明日! いいや、明日と言わず今日これから! 俺は、どこまでも強くなる……!」
 同調した碎輝の纏う成長電流がますます輝きを増す。物理的にも精神的にも熱い彼らに感動しつつ、ミルナは内心で首を捻っていた。
(「でも、初めてお会いしたはずなのに、お名前にも、『昨日よりも今日! 今日よりも明日!』というフレーズにも、何故か覚えがあるのですわよね……昔お母様から聞いたような……」)
 幼い頃に、かつて世界を救った英雄である母から聞いた昔話。微かな記憶を辿ろうとしたミルナは頭を振った。今はそんなことを考えている場合ではない。先頭に立ち、ダイヤモンドや水晶で作られた水の透明感と光を放つ盾を掲げ、叫ぶ。
「わたくしは護りの騎士、碎輝様が強くなられるまでの護りはおまかせを!」
 構えた盾から、碎輝を含めた全員を包み込む結界が展開される。深海のオーラを纏わせ、さらに防御力を強化した結界を前に、ミルナは振り向いた。
「碎輝様、力をつけるまではどうかわたくしの後ろに! 鉄壁の護り、破らせはしませんわ!」
「ああ、頼もしいな!」
 頷き、彼女の後ろに立つ碎輝。一方、フェル・オオヤマ(氷焔操る紅の竜姫士・f40802)は結界から出ない範囲で進み出、サンサーラに向かって呼びかけた。
「サンサーラ! この戦は貴方を討つための戦いじゃない! 止めるための戦いである!」
「止めるための戦い、か。私を止められるものなら、止めて欲しい」
 フェルの呼びかけに、ポツリ呟いたサンサーラが諦めにも似たため息を吐き出す。面を上げて猟兵達を見た彼の眼前にある光景が、たちまちのうちに広大無辺の仏国土と化す。それは、一見すれば黄金に輝く極楽浄土そのものの景色だった。辺際なく広がる世界は、建物もそこに生える草木も、全てが金銀珠玉をちりばめたように光り輝いていて。それでいて少しもいやらしさは感じさせず、一切が調和している。思わず手を合わせて拝みたくなる風景、だが、そこに生の気配はまるでない。金銀に煌めく草木もどこか作り物のよう。枝葉を揺らす風も感じられない静寂。生がなければ、喜びも苦しみも悲しみもない。なるほど、オブリビオンが生命と出会わぬようにとひたすら広大無辺の仏国土を広げていった彼のやり方は、理には適っていたのだろう。ただ、結果としてそれが誤りだったのは、この攻撃が示している。極楽浄土そのものの光景はサンサーラへ至る道を閉ざし、生命なき世界は猟兵達を蝕む。はずだった。サンサーラは目を見開く。広大無辺であるはずの仏国土は、ミルナが張った結界の辺りで途絶えていた。サングラスの下に隠れた、たからの虚ろな眼窩が、サンサーラの姿を捉える。
「仏国土が、なんだ。たからは、黄泉平坂を、知ってる。そこから帰ってきた、お骨だよ」
 一度は死し、反魂の儀式によって骨だけの身になって戻ってきた彼女の言葉は重い。神、あるいは仏そのものともいえる存在のサンサーラを睨みつけ、気合いを振り絞って立ち向かう。向こうがたとえ神様みたいな人でも。絶対に逃れられない、命のお約束がある。それは。
「腐敗!」
 スッと彼女が骨だけの手を掲げる、瞬間百を超える怨霊の腕が、地より這い出る。怨霊の腕が不気味に黄金の草木や建物を撫でるだけで、それらはぐずぐずと腐り崩れ落ちる。まるで極楽浄土が地獄に引きずり落とされる様を見せられているようだ。黄金だった景色は黒と灰に沈む。その腕を、たからは容赦なくサンサーラにも向かわせた。
「黄泉の恐怖も、死者の呪いも、お見舞いする。もてる限りの手を使って、たから、頑張る!」
 文字通り「もてる限りの手」だ。幾つもの腕がサンサーラを狙って蠢く。自身に迫る怨霊の腕に本能的な嫌悪感を抱いたか、サンサーラも仏座の上で身を捩ってそれから逃れようとした。だが、神にも等しき強大な存在である彼に、怨霊の腕は僅かに届かず、傷をつけるには至らない。だが、それでいい。
「たからが、腐敗の腕で、気を引くから。たからが、囮に、なるから。お兄ちゃん、任せた」
 振り向き言う彼女に、碎輝は少しだけ心配そうな顔を向ける。この骨だけの小さな体で、たった一人で囮を務めるなど。だが、信頼して任せてくれた以上、応えないわけにはいかない。
「ああ……たからのためにも、できるだけ早く強くならないとな!」
 グッと拳を握って答える彼に頷き、たからは再びサンサーラに対峙する。四方八方から迫る怨霊の腕は、傷をつけることはかなわないにしても、彼の気を散らすには充分だった。つい自身を捉えようとする腕の動きを目で追ってしまい、サンサーラの目線は定まらない。しかし、彼はあまりに強大過ぎた。止めて欲しいという内心の願いを、オブリビオンとしての本能は許さず。攻撃はますます苛烈さを増す。百を超すたからの怨霊の腕は、彼が目を向ける度に広大無辺の仏国土に吞み込まれて消えていく。広がり続ける仏国土は、次第にミルナの防衛結界すら浸食し始める。ともすれば結界ごと呑まれてしまいそうになるのを、ミルナは歯を食いしばって耐えた。自身の役目は、時が来るまで碎輝を守り抜くこと。守りは騎士の誉れ。
「絶対に通しませんわ……!」
 足を踏ん張り、盾を掲げる手に力を込める。揺らぎかけた結界が、再び仏国土との境界を鮮明にする。だが、これもいつまで持つか。
「頑張れ、負けるなミルナ!」
 親友を激励しつつ、ジゼルも多重詠唱による結界術で幾重にも結界を張る。守りを彼女だけに任せるわけにはいかない。ミルナの力で防御力は上がっている、ユーベルコードほどの効果はなくとも、少しは持ちこたえられるはずだ。
「これを超えなきゃ、サンサーラを止めることもできないもんね!」
 フェルも無限ノ幻想を掲げ、円盤状の盾を具現化して迫る仏国土を防ぐ。無限ノ幻想はとある伝承に登場するリングを模したレプリカ、しかしレプリカとはいえ、無限の可能性と希望を秘めている。その力でこの難局も超えてみせる。超える。その一言に、碎輝も吠えた。
「そうだ! たとえ相手が神様みたいな存在だとしても、それすら超えて俺は強くなる……!」
 そう叫ぶ彼は、もはや人の形をしていない。黄金に輝く、竜だ。彼は出来ると清導は確信する。ならば。
「オレも為さねば! ウオオオオオオッ!!」
 結界を超えて広がろうとする仏国土を前に、清導は両掌を掲げた。一見穏やかな極楽に見える仏国土は全てを呑み込まんと、静かな圧力を持って迫ってくる。ザインズ・ヘッドに隠れた表情が思わず歪むほど、その圧は大きい。さすがは神に等しき相手だ。掲げた掌に力を込め、足を踏ん張る。全てを護る者、逆説的に清導が護ると誓ったものを害することは誰にもできない。そんな不条理にも思える理屈と彼の意志力は、やがて道理を捻じ曲げた。碎輝の成長に呼応するかのように、限界を超えた力が、僅かながら広がり続ける仏国土を押し返す。
「何!?」
 サンサーラが驚きに目を見開く、攻撃が止まる。フェルはその隙を見逃さない。
「今がチャンスだよ!」
 振り向くフェルの視線の先で電流が弾けた。そこにいるのは、禍々しささえ感じる巨大な黄金竜。
「オオオオオっ!」
 強大な竜と化した碎輝が雄叫びを上げる。彼の方も超万全最強モードなようだ。お膳立ては済んだだろう。とはいえ。
「私もまたお膳立てをするよ!」
 フェルは|銀色の宝石の装飾が施されている長杖《銀の星》を構え、詠唱する。
『風よ! 氷よ舞え! 氷嵐を以て我らの障害たる敵を打ち倒す! ブリザードオブ・ルナ!』
 銀に煌めく星の杖から、蒼白く輝く吹雪の嵐が放たれる。戦場全体を覆うほどの吹雪は、一時とはいえサンサーラすら凍てつかせ、かと思えば味方に降り注ぐ、優しく輝き照らす月光が如き光が仲間の力を強化する。あとは、思い切りぶちかますだけだ。ただ、一瞬。ほんの一瞬だけ、碎輝の眼に迷いが生じる。無限に強くなる竜とはいえ、世界を壊さぬよう、ずっとその成長は止められてきた。これほどまでに強くなったのは久しぶりだ。この状態で、渾身の一撃を放てば。世界が、ここまで守ってくれた猟兵が、どうなるか。その迷いを感じ取った清導は碎輝に向かって叫ぶ。
「世界はオレが護る! ぶちかませ!」
 彼に世界は壊させない。カタストロフ級の攻撃からも世界を護ってみせる。その想いはたからも同じだ。頷き、骨だけの手を胸に当てる。
「強くなりすぎも、大丈夫。たからを、信じて。思いっきり、かましちゃえ」
「ええ、でも……元に戻らなかったら承知しませんわよ、碎輝様!」
 振り向いたミルナも思いの丈をぶつける。また先輩と遊びたいと願う親友のためにも、彼には元に戻ってもらわねば困る。猟兵達の想いを受け取った碎輝は目を瞬かせ、グッと竜のものと化した手を握った。そうだ。何を恐れることがある。猟兵達はずっと世界を守ってきたし、自身を何度も倒してきた。だからきっと、今回も大丈夫だ。覚悟を決め、真っ直ぐにサンサーラを見据えた彼から極大の電流が放たれる。それに合わせて、ジゼルは|拡声機能付きの銀の懐中時計型デバイス《夜空に歌うクロウタドリ》をギュッと握りしめ、歌声に乗せて自身の想いを解き放った。彼女の武器は歌だ、たとえ到達できなくとも、せめて声だけは届かせたい。彼もまた被害者なのだから。傷つけぬように手加減した歌声は、碎輝の莫大な電流と共にサンサーラを撃ち抜く。サンサーラの体が大きく揺らいだ。並みのオブリビオンであれば、この一撃だけで葬られていたであろう。それほどの攻撃を受けてなお、サンサーラは立っていた。だが、その姿は次第に薄らいでいく。もはやこの世界への顕現を維持することはできない。サイバースペース全体に広がった仏国土と共に消えていく彼は、胸に手を当て、ジゼルに向かって微笑んだ。
「――ありがとう。こんな私を、気にかけてくれて」
 と。消えていくサンサーラを見送った猟兵達は最強の存在と化した碎輝に向き直る。今度は、彼に想いを届ける番だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年09月18日


挿絵イラスト