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帝都櫻大戰⑲〜流転輪廻の彼方より

#サクラミラージュ #帝都櫻大戰 #第二戦線 #神王サンサーラ #国見・眞由璃

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 じゃらり、じゃらり。
 本来ならば此処は生命の絶え果てた大地に、金属の触れ合う音がする。

 もし、この光景を目に出来る者が居たとすれば、いつか衆生を救う為に降臨するという未来仏がついに降臨したかと錯覚するかもしれない。

 しかし、今この|平安に綴じられし世界《アヤカシエンパイア》の死の大地に降臨した存在は、救いではなく滅びを齎す者。今まさに大戦の最中にある|櫻花幻朧界《サクラミラージュ》を形成した|超古代種族《エンシェント・レヰス》、その一たる『神王サンサーラ』。かの世界に封印された『幻朧帝イティハーサ』の臣と成り果てた|過去の残滓《オブリビオン》である。

「哀れな、この世界は既に壊れているのか……」

 生命の絶え果てた大地を目にした神王は、憐れむような声音で誰にでもなくそうこぼした。

「――で、あれば」

 その言葉と共に、その腕の一本が錫杖を振るう。じゃらりという重い金属の音と共に、その周囲に金継をしたかのように亀裂が走った。それは徐々に太くはっきりと周囲に走りゆく。それはこの世界を全き滅びへと送り込む骸の海を呼び込む為の罅。
 まさに骸の海が零れださんとした時、罅を縫い塞ぐように糸が舞う。

「命の美しさを知る方よ。あなたの望まぬあなたの|ユーベルコード《ちから》、私が力の限り阻んでみせましょう」

 |平安の世《この世界》に似つかわしくない、洋装の女が其処に居た。予想外の妨害にも神王は表情を動かさない。

「何者だ」

 神王の誰何に、女は臆する事無く微笑む。

「国見・眞由璃。|銀の雨降る世界《シルバーレイン》の|過去の残滓《オブリビオン》――嘗ては、葛城山の土蜘蛛の女王であった者です」



「平安結界どころか、世界を超えての侵攻……つくづく埒外の出来事だな」

 近衛・尭純(臘月の御子・f43025)が難しそうな顔で一同の顔を見ながら言った。

「死の大地ごと、この世界が骸の海に沈もうとしている」

 |櫻花幻朧界《サクラミラージュ》。今現在、その中核に封印され、不死の帝として不可触の存在とされていた『幻朧帝イティハーサ』が、世に蘇らんと動き始めて半月程。嘗て封印の為に尽力した|超古代種族《エンシェント・レヰス》は、嘗ての記憶を持ったまま幻朧帝の臣として、数多の世界に致命傷を与えるべく動き出していた。尭純の故郷である|平安に綴じられし世界《アヤカシエンパイア》もまた、|超古代種族《エンシェント・レヰス》『神王サンサーラ』の片鱗が平安結界の外側、死の大地に降臨した。『神王サンサーラ』は死の大地のみならず、|平安に綴じられし世界《アヤカシエンパイア》そのものを骸の海に沈めようとしている。

「幾つもの世界へ同時侵攻をしている為なのか、どうやら『神王サンサーラ』は無傷でなければ、この世界に在り続ける事は出来ないらしい」

 この世界での顕現が維持させぬよう、一太刀を与えればいい。だが、既に滅びたとはいえ、1つの世界を創造した存在だ。その力は強大である。

「――どうやら、|猟兵側《此方側》への援護者が居るみたいだ」

 神王には届かないにしても強い力を持つ存在が援護に来ており、神王はそちらの対処にも力を使わざるを得ない為、猟兵に全力を注ぐ事が厳しい。
 そこを利用して、もしくは、援護者と共闘して骸の海に対処し、『神王サンサーラ』へ一撃を与えるのだ。

「それでも、敵の攻撃を抑えられる時間は限られている。|アヤカシエンパイア《この世界》と、|サクラミラージュ《かの世界》の為に、頼む」

 尭純はそう言うと陰陽符に力を籠め、神王の座す死の大地へと道を開いた。



 転送された猟兵が目にするのは、黄金の神王が、洋装の女と対峙する光景。
 いち早く猟兵達の到来に気付いた洋装の女が、言葉を発そうとした猟兵達を制して口を開く。

「禍根や矜持諸々ある方も多いのは重々承知しております。ですが、今この戦いにおいては、私は神王の力を削ぐ為に働きましょう」

 故に、今は神王と骸の海を退ける事に注力を。
 そう言うと、女――眞由璃は、蜘蛛糸で檻を編む。それは蜘蛛糸で縫い留めて猶溢れ出さんとする骸の海をせき止めて、戦いへと臨む猟兵達に骸の海が及ばぬ戦場を作り上げた。

 思わぬ援軍と共に世界を護る戦いが、始まる。


白神 みや
 初めましてのかたは初めまして。
 そして、そうでない方はご無沙汰しております。|白神《しらかみ》です。

 戦争、ですね。
 第二戦線、|平安に綴じられし世界《アヤカシエンパイア》での神王サンサーラ戦をお送りします。

●プレイングボーナス
 無限に広がる骸の海に対処する。
 国見・眞由璃の援護を受けて戦う。

 眞由璃が語る通り、禍根や矜持諸々ある方も多いでしょう。
 ですが、助力を乞わずとも、戦闘の合間を縫って狙う等の慮外な行いが無い限りは、彼女も援護を惜しまないでしょう。

●お願い
 今回、プレイング受付開始はOP公開後即、受付締めは15日8時29分予定です。時間外のプレイングはお返し致しますので、ご了承ください。

 今回も戦線形式ですので、第二戦線終結までに完結を目指します。そのため、返却の可能性もご留意の上、ご参加ください。
 万一締め時刻を過ぎて成功可能人数に満たない場合にのみ、延長しますが、執筆リソースとの折り合いで単騎でのご参加のみ、かつ、完結可能な人数分のみ受付予定です。
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第1章 ボス戦 『神王サンサーラ』

POW   :    サンサーラディーヴァ
自身の【眼前】を【広大無辺の仏国土】化して攻撃し、ダメージと【神王サンサーラへの到達不能】の状態異常を与える。
SPD   :    サンサーラノヴァ
【かざした両掌の間】から、詠唱時間に応じて範囲が拡大する、【五感封じ】の状態異常を与える【神王光】を放つ。
WIZ   :    強制転生光
レベル秒間、毎秒1回づつ、着弾地点から半径1m以内の全てを消滅させる【サンサーラの光】を放つ。発動後は中止不能。

イラスト:ぽんち

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

武富・昇永
禍根や矜持か…国見どのは俺の預かり知らぬところで猟兵たちと対峙した過去があるのか
しかし俺にとっては得難い援軍で過去のことなど些かも問題ではない!

国見どの!俺はサンサーラに【陰陽道・呪詛転身式神「自崩冠者」】という術をかける!
これはサンサーラの意のままに従う式神ではあるが時間がたてば消滅し
消滅時に式神の所有者、つまりサンサーラに負傷を負わせるという術だ!
つまり時間がたてば俺たちの勝利だがそうなる前に彼奴は俺たちに猛攻を仕掛けてくるだろう!
俺は{妖切太刀・御首級頂戴丸}を振るい『斬撃波』による範囲攻撃で
自崩冠者を狙うことで敵の気を惹き付けるので立ち回るために蜘蛛糸の足場を骸の海に展開してくれ!



●滅びの空に舞う昇鯉
「禍根や矜持か……」

 最初に動いたのは武富・昇永(昇鯉・f42970)だった。猟兵達がこの世界に訪れる迄、この|平安に綴じられし世界《アヤカシエンパイア》にの貴族として生まれ育った昇永には、未だこの|女性《にょしょう》と他の世界を渡って来た猟兵達との間に何があったのかを知らない。

「俺にとっては得難い援軍で過去のことなど些かも問題ではない!」

 そう、己の生まれ育った世界の危急を救う為の援軍であれば、その手を取らぬ道理はあろうか。

「国見どの! 蜘蛛糸の足場を骸の海に展開してくれ!」

 転送された際耳にした、恐らくは|女性《にょしょう》のものであろう名を呼ばわる。恐らく彼女は戦場を維持し、この場に走る亀裂を接ぐ事に注力を注ぐ事になる。詳細は身を以て示すほうが早いと判断し、容貌のみを先ず口にした。

「わかりました。神王への攻撃はお任せします」

 その言葉と共に昇永の足元から、巨大な神仏の如き神王の胸元近くまで階のような蜘蛛糸の道が築かれる。

「ようし。神王よ、『よく働く家人をくれてやろう!』」

 その言葉と同時に冠者――昇永の修める青天井の陰陽術により召喚した式神達がずらりと居並んだ。居並ぶ冠者たちは、昇永ではなく神王へと頭を垂れる。

「戦わずして私に力を与えるか。ならば――」

 神王は何も持たぬ手のひとつを昇永へと差し伸べる。その手より放たれるのは|輪廻《サンサーラ》の光。昇永はその光が己の元に放たれるより先に地を蹴り蜘蛛糸の道を駆ける。冠者達がその道を阻むように立ちはだかるが、それこそが昇永の狙い。迷う事無く愛用の太刀を振るい、冠者達を斬り伏せる。

「――それが、狙いであったか」

 斬り伏せた冠者達の名は「自崩冠者」。脆く弱い式神だが、引き換えに召喚者が従えと命じた対象に手傷を負わせる、呪詛転身式神。ある式神は|輪廻《サンサーラ》の光に導かれ、また別の式神は昇永に斬り伏せられ、その度に神王の身に細かな傷を刻み付けていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

山吹・夕凪
命を奪い合った禍根とて、昔のこと
むしろ生きることを守る為、共に死の大地に立ち、骸の海と向き合う今に僅かな嬉しさを
過去に選択で擦れ違っても、何処かで共に戦うことができる
共に生きることができるのですから

眞由璃さまに蜘蛛糸の檻を展開して貰い、骸の海を押しとどめる結界のように
それでも滲む骸の海には、蜘蛛糸を足場として貰いつつ、私もまた『涙切』に破邪と霊的防護を纏って切り払っていきましょう

五感封じる神王光を受けても恐れず、研ぎ澄ました心眼にてあらゆる動きを見抜くのみ

間合いに至れば眞由璃さまへの援護を信じ、私はあらゆる防御を削減して威力を高めたUC「紫電清霜」を繰り出します

悲しみを断ち、命を繋げ、黒き刃よ



●滅びの地に『さいわい』を灯し
「命を奪い合った禍根とて、昔のこと」

 山吹・夕凪(雪色の吐息・f43325)は、美しい『さいわい』を探す。故に、|過去の残滓《オブリビオン》たる存在と共に死の大地に立ち、骸の海と向き合うというこの状況に微笑む。

「生きることを守る為、共に生きることができる事に、感謝を」

 何時か何処かで擦れ違っても、何処かで共に。これもまた、『さいわい』の形の1つなのかもしれない。そう思うと、ほんのりと喜びが灯るのだった。

「眞由璃さま、足場の維持を今暫く」
「ええ、骸の海を押し留める事と足場についてはお任せください」

 眼前の神王を|櫻花幻朧界《サクラミラージュ》へと押し返し、双方の世界と現在を生きるもの達を守る為に。これが初めての出会いであっても、今はその一点で手を取り合う。それを確認しあうと、夕凪は愛刀に破邪と護りの力を纏わせて蜘蛛糸の道を駆ける。

「世に満ちよ、|神王光《サンサーラノヴァ》」

 神王の両掌が掲げられ、黄金の光が放たれる。|神王光《サンサーラノヴァ》は少しずつ、削り取るように夕凪の五感を1つづつ封じていく。それでも、夕凪には研鑽し研ぎ澄ました感覚、そして、心眼がある。それらと、これまでに積み上げた技で、神王を捉え、力を放つ。

「悲しみを断ち、命を繋げ、黒き刃よ」

 何時か何処かで流されるかもしれない涙を断ち切る黒刀が、清らかに輝く剣風を纏う。
 |紫電清霜《シデンセイソウ》。夕凪の|ユーベルコード《ちから》は、護りの力と引き換えに力のみならず、放つ数をも増やす。故に、夕凪は纏った護りの力以外、最小限の護りを剣風へと変えた。そうして放たれた剣風は、幾重にも重なって神王の身に更に細かな傷を刻み付けていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミュー・ティフィア
眞由璃、でしたよね!ありがとうございます!必ず一撃入れますから、骸の海の防御、お願いできますか?

私は眞由璃の事を今日始めて知ったし、オブリビオンって言ったって猟兵の中にもいたりするし、だから今悪さをしてないなら敵だとは思わないです。むしろピンチを助けてくれる頼もしい味方です!

精霊転身・光と闇の歌姫!

いきますよ、フィア!
『うん!ミューがんばれー!』

骸の海は眞由璃が防いでくれてるから私は攻撃専念です。約束した通り必ずこの矢をサンサーラに当てる。例え五感が封じられたとしても必ず。体感時間ぐちゃぐちゃの状態で何も見えなくなるのとっても怖いですけどね!

五感が回復した、ということはなんとかなったのかな?



●滅びの大地に歌は流れ
「オブリビオンって言ったって猟兵の中にもいたりするし、だから今悪さをしてないなら敵だとは思わないです」

 むしろピンチを助けてくれる頼もしい味方です! と、明るく歌う様に言うのはミュー・ティフィア(絆の歌姫・f07712)。

「必ず一撃入れますから、骸の海の防御、お願いできますか?」
「勿論。その為に私は此処に呼ばれたのですから」

 見目は幼い少女のそれであっても、此処に立つからには戦う者である。それは|銀の雨降る世界《シルバーレイン》で能力者と渡り合った眞由璃は良く理解している。だから、ミューの言葉に返す言葉にも迷いはない。

「ありがとうございます!」

 ぴょこりとお辞儀をすると、ミューも蜘蛛糸の道へと駆け出す。

「……フィア、力を貸して!」
『出番だね♪ ミュー、がんばれー!』

 同時に、常に共にある|精霊《フィア》へと呼びかける。この状況で自分の力が必須である事は、|精霊《フィア》とて理解している。その為にミューが代償を重ね行く事は少し複雑ではあるのだが、|相棒《ミュー》の覚悟も理解をしているから、何も言わずに力を貸す。

「汝もまた|神王光《サンサーラノヴァ》の威光を受けるがいい」

 ミューもまた|神王光《サンサーラノヴァ》の光で五感を削り取られていく。代償で体感時間が信用出来ないという状況には、哀しいかな慣れてしまっている。しかし、そこに五感喪失まで重なったこの状況には、流石に恐怖を覚える。

(……でも、眞由璃と約束、しましたから――!)

 五感を無くしても、積み重ねた経験と知識が身体を動かし、矢を番える。体感時間を捧げて与えられる|精霊《フィア》の力を恩恵は、その約束を真実にする力。
 それ故に、その矢は過たずに神王へと届くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

八坂・詩織
|起動《イグニッション》!
髪を解き、瞳は青く変わり防具『雪月風花』を纏う。

私は眞由璃さんと会ったことはありませんが…何かと禍根の残る戦いだったとは聞いています。とはいえ助力いただけるなら敵対する理由はありませんね。よろしくお願いします。

私は一撃当てることに全力を。
神々しい光に対抗するのにふさわしいのはやっぱりこの光かもしれませんね。
『月煌絶零・永劫』発動。
五感を封じての戦いなら経験はありますから。視界を潰されても【心眼】を駆使して居場所を把握、直線上にいさえすれば見えなくても関係ありません。

かつて敵対した相手と共闘できるなら、哀しき神王ともいつか、あるいは手を取り合う未来もあるんでしょうか…



●滅びの大地に月煌満ちて
「|起動《イグニッション》!」

 眞由璃の耳に、懐かしい|言葉《ことのは》が届いた。

「やはり、いましたか。|銀の雨降る世界《シルバーレイン》の方」

 白い着物の戦姿へと転じた八坂・詩織(f37720)は、眞由璃の言う通り|銀の雨降る世界《シルバーレイン》の能力者であった。しかし、彼女自身は、銀誓館学園が最初に直面した葛城の戦争は報告書でしか知らない。そうして知り得ているのは、何かと禍根の残る戦いだった事、その後の能力者組織としての銀誓館学園の在り方に影響を与えたのだという事だ。

「――とはいえ。助力いただけるなら敵対する理由はありませんね」

 よろしくお願いしますと頭を下げれば、眞由璃も会釈で応じる。今はそれだけで十分だった。
 既に、神王の|神王光《サンサーラノヴァ》は、戦場に降り注いでおり、詩織の五感を少しづつ奪い取っていく。眞由璃に至っては既に蜘蛛糸が報せるものだけが全てといっていい状態になっているだろう。

(神々しい光に対抗するのにふさわしいのはやっぱりこの光かもしれませんね)

 五感が全て剥奪されるよりも前に、詩織はこの場に相応する手段を判断をする。

「『神をも殺す、凍てつく月光をくらいなさい』」

 |月煌絶零・永劫《アブソリュートルナ・アイオーン》。まるで後光が差すかのように、詩織の背後に青白き月光の満月が浮かぶ。例え視界を|神王光《サンサーラノヴァ》に剥奪されようとも、既にその居場所は捉えている。
 黄金の如き光ごと、神殺しの力を宿した青白い光が真っ直ぐに貫いた。

●綴じられた平安は護られて
「――これでは、この世界の顕現維持ができない」

 神王の姿が揺らぐ。猟兵達によって刻み付けた傷が、この世界に神王顕現を許さぬほどに至ったようだ。
 この世界は|広大無辺の仏国土《サンサーラノヴァ》ではなく、望まぬ主の座する|櫻花幻朧界《サクラミラージュ》ですらない。それ故の制約が神王を縛る。砂に還るように、その姿が崩れ消えていく。

「貴方がたは、未だ戦いが続くでしょう。早く御戻りを」

 眞由璃は一同に目を向ける事無く、消えゆく神王を見据えたまま言う。

「私は|過去の残滓《オブリビオン》――本来であれば|猟兵達《貴方がた》と対峙する者、ですから」

 今此処で手を取りあえたのは一時の奇跡のようなものであり、何時か何処かで再び相見える事があるかもしれない。故に眞由璃は、必要以上に踏み込まない。
 そして、朧櫻の大戦はまだ終わっていない。神王を退けるというこの場の目的は果たされ、更に大きな目的――大戦の平定のために、猟兵達はこの場を後にするのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年09月16日


挿絵イラスト