帝都櫻大戰⑯〜黄金無辺
「『|悪魔《ダイモン》』以外のエンシェント・レヰスも続々登場で第二戦線へ突入♪
改めてキャンピーくんスゴいねー、ガチリスペクトだねー」
ニコニコといつものスマイルで猟兵達を迎え入れた巳六・荊(枯涙骨・f14646)。
「帝都櫻大戰はもはや全然サクラミラージュだけには留まらなくなってきちゃってるけどこれもひとえに『諸悪の根源』幻朧帝イティハーサの完全復活を止める為ってネ♪」
今回彼らが送り込まれる世界はサイバーザナドゥ、そのサイバースペース内部だ。
「わずか2キロバイトの『呪術』……サイバースペースからサイバーザナドゥ全人類の電脳を焼き尽くす|炎の破滅《カタストロフ》を狙う遅効性思考破壊プログラム「ヤマラージャ・アイビー」。ここ数か月、湧き上がるたび予知されて片っぱしから叩き潰されて来たソレを起点にしてエンシェント・レヰス『神王サンサーラ』が、無数の幻朧桜とともにサイバースペースへ降臨しちゃったんだ」
極めて強大なオブリビオンと化した彼はただ其処に在るだけで『骸の海を無限に広げる能力』によってサイバースペース全域を……遠からずしていずれはサイバーザナドゥの|現実《リアル》すらも骸の海へと沈めてしまうだけの力を有している。
――しかし、それに唯一対抗できる(かもしれない)存在がひとり居る。
制御不能のユーベルコードと化した神王の力を止められる存在として、カクリヨファンタズムの東方妖怪の親分『山本五郎左衛門』は既に(キャンピーくんの力で)竜神親分『碎輝』をサイバースペース内部へ無事に送り届けた後なのだそうだ。
「んーつまりは無限には無限。チートにはチートぶつければイイんじゃない? だね!
ただ竜神親分クンは今回もやっぱり最弱な初期状態からのスタート。
昨日よりも今日、今日よりも明日……過去たる骸の海はトーゼン明日までなんて悠長に待ってはくれないからキミ達猟兵からの助力が不可欠なんだよねー」
『碎輝』が成長電流によって無限に進化を繰り返す間の攻撃全てから彼を護り切る。
あるいは、超電竜撃滅形態へと到達した『碎輝』へ協力してともに神王を攻撃する。
今回の闘いにおける猟兵の役割はおおよそそのどちらかとなるだろう。
「無限の拡がりつづける骸の海を越えて……たった一撃、それだけでいいんだ。
サンサーラの力は強力無比だけど、だからこそ、『完全に無傷の状態』じゃないとこの世界への顕現を維持できないって大きな泣きドコロを抱えてるんだ」
とはいえ……現状、彼を撤退へ追い込むだけでも極めて難事だ。
たった一撃とは言え、それがダメージを与えられなければ無意味で……だからこそ天井しらずを誇る碎輝の爆発力が求められるのである。
「サンサーラからの攻撃、ソレ自体で竜神親分クンが殺されるよーなコトはたぶん無いんだけどー。
そのかわり、五感が完全に使いモノにならなくなったり、神王の所にまで到達不可能なまま骸の海を彷徨うハメになったり、ワケわかんない別世界へ強制転生させられたり……まー、死ぬほどロクな目に遭わないまま思いっきり時間稼ぎされてる間に世界そのものが先に沈むだろーからねー。
キミ達のチカラで碎輝クンが最強の竜神に到るまでどーにかフォローしてあげて♪」
子守り役でも託す気軽さで語られる依頼内容の、スケールだけはやたらとデカい。
――ともあれ。
こうして世界最弱、あるいは最強の竜神とともに戦う猟兵らの体が、次々に、
狂い花溢れる遠き無辺の楽土へと運ばれてゆく……。
銀條彦
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「帝都櫻大戰」の戦況に影響を及ぼす、
特殊なシナリオとなります。
●プレイングボーナス
今回は『弱い状態の碎輝を守って戦う』、
もしくは『強力に成長した碎輝と協力して戦う』です。
ある一定以上🔵が増えるまでは『守って戦う』のみ採用とさせていただきます。
『協力して戦う』はそれ以降かつ第二戦線の攻略期限に間に合うタイミングで送信されて来た分の中から採用予定です。
みなさまのご参加、心よりお待ちしておりますね。
第1章 ボス戦
『神王サンサーラ』
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POW : サンサーラディーヴァ
自身の【眼前】を【広大無辺の仏国土】化して攻撃し、ダメージと【神王サンサーラへの到達不能】の状態異常を与える。
SPD : サンサーラノヴァ
【かざした両掌の間】から、詠唱時間に応じて範囲が拡大する、【五感封じ】の状態異常を与える【神王光】を放つ。
WIZ : 強制転生光
レベル秒間、毎秒1回づつ、着弾地点から半径1m以内の全てを消滅させる【サンサーラの光】を放つ。発動後は中止不能。
イラスト:ぽんち
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
空桐・清導
SPD
「任せな碎輝!アンタのことはバッチリ護る!
そして、後のことも心配すんな!オレ達がなんとかするからよ!」
快活な笑みを浮かべながら握手する
「さて!サンサーラだったか?
世界を無限に広げてとんでもない強さらしいけど、相手が悪かったな!」
UCを発動させて蒼いオーラが立ち上った瞬間、
無限を有するサンサーラと碎輝はその在り方を理解した
彼のオーラは何者も如何なるモノも侵すことは出来ないと
アレは、目の前の男が救ってきた人々が、世界が
今度は我らが救うのだと無限に重ね合わされた願いだと
誰かを護る限り、彼らへの害意は一切遮断される
「ブレイザインは全てを護るヒーローだからな!」
攻撃はせず、碎輝を護ることに専念する
ありえざる櫻花咲き乱れる電脳空間、際限なく広がろうとする骸の海。
それら侵略の奔流を止め得るとされた紫電も、今はまだ、あまりに弱弱しく……。
「任せな碎輝! アンタのことはバッチリ護る!」
だからこそ。
炎の如きマントを翻して、颯爽、眼前にと現れた"超鋼真紅ブレイザイン"空桐・清導(ブレイザイン・f28542)の勇姿は……真っ先に差し伸べた腕とその迷いの無さは、
この上なく頼もしいものにと映る。
「おう、よろしく頼むぜ!」
「そして――後のことも心配すんな! オレ達がなんとかするからよ!」
ガッチリと熱く交わされた握手。そして互いに笑い合った後、
「――っ!」
碎輝は思わずザインズヘッドに包まれた清導の顔を見返し……。
「ははっ、お見通しってわけか。そうだな、きっとお前達だったらなんとかしちまう!」
固くしっかりと握手を握り返した。
最弱である今の己以上にこの戦いの後、『成長』の極限を迎えた己こそが猟兵にとって重荷となる……竜神親分と呼ばれる青年の、そんな逡巡の影すら見越した上で尚も豪快に笑い飛ばす『ヒーロー』のなんと眩しいことか。
こうして二人の男は、拡大続ける骸の海の中を駆けてゆく。
目指すべきは遥か彼方、源たるエンシェント・レヰス『神王サンサーラ』。
むろん規格外にして制御不能のそのユーベルコードが彼らだけを見逃す筈も無かった。
望まぬ詠唱を紡ぐ自らの喉すら止められぬ神王は悲し気にその金色の双眸を瞬かせた後、両掌を翳す。
広く戦場を包み込んだ煌々たる光もまた恐るべきユーベルコード【|神王光《サンサーラノヴァ》】。
「さて! サンサーラだったか?
世界を無限に広げてとんでもない強さらしいけど、相手が悪かったな!」
迫りくる五感封じの輝きに真っ向から退かぬ清導の全身から強く放たれた青きオーラ。
……其れはここまでブレイザインが護り切った人々からの勇気。
紅きヒーローに救われた人々が、ならば今度は救うのだとの願いを無数に重ねて、今。
燃え上がるその|『熱』《ユーベルコード》の名こそ――【|絶対救助《アメイジング・レスキュー》】!
護るべき碎輝を包み込んたブレイザンの力は一切の害意を遮断し、そして。
「なぜなら、俺はアンタも助けに来たぜサンサーラ!
ブレイザインは全てを護るヒーローだからなっ!!」
『なんと愚かな……だが……確かに認めよう。
汝もまた、独り、その背に無限を背負いしものであると』
神王に対し、一切の戦闘行為を放棄した清導はひたすら前へ。
(いや、違う……この力はきっと独りじゃなかったからこそだ。
ならば俺も。俺だって、ひとりじゃない――そうだろ、なあ猟兵!)
青くどこまでも澄むひとりの男の意思は、
それへと触れる、もうひとりの男の成長電流をも激しく燃え立たせてゆく……!
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
僕は弱い
戦う力はあっても…出来ることが限られてる
それでも、守るだけなら
盾にはなれるから
オーラ防御を纏いつつ翼の空中戦
更に紅色鎌鼬を発動
碎輝さんには、沢山お世話になったから
これは僕なりの恩返し
魔力で大量に増殖させた鎌を自在に操り
それらを消滅の光を防ぐための盾として使用
刃は鏡みたいなものだから貫通はさせない筈だし
鎌の分身が消える分には何の苦でも無い
この技は少ない魔力で無数に鎌を増やせるのが特徴
とはいえ長期になれば塵積もでキツくなるのはこっちかもしれないけど
それでも、消された分を補うだけなら大した負担じゃないから
何度でも増やせばいい
たとえ限界が来たって
気力が続くまで耐えてやる
碎輝さんを、信じてるから
『……私から放たれ続ける骸の海は決して止まらない……止められはしない。
時は無限に過去を生み続け、私の誤りは世界を壊してなお拡がり続けるのだ』
神王座すヤマラージャ・アイビーから零される、悲嘆の声。
世界の救済は叶わず、善なる性質はそのままに|世界の破壊《カタストロフ》の実行者たるを強いられる。
――あれほどの力有して、それでも、遍く善を為すには無力であると云うのであれば。
「僕は弱い。
戦う力はあっても……出来ることが限られてる」
赤橙の花がその髪の上にと揺れて。
儚げな細い肩、語られるそのことばとは裏腹に。
再会果たした碎輝を映す栗花落・澪(泡沫の花・f03165)の眼差しは、
まっすぐに凛然。
「それでも、守るだけなら。盾にはなれるから」
揺るがぬ決意だけがそこには湛えられて。
応える声は、底抜けに大きく明るかった。
「強いとか弱いとかじゃなくって、澪はいつだってカッコいい!
だから遠慮は無用で言わせてもらうぜ。俺を守り抜いてくれって!」
憂いも迷いも、この少年の決意の前では不要なのだと彼は知っているのだから。
その勢いにおもわず微笑を綻ばせ……うん、じゃあ行くよと合図をすれば、
瞬く間。
白き澪の翼がふたりの体を宙高くにまで舞い運ぶ。
(碎輝さんには、沢山お世話になったから――これは僕なりの恩返し)
電脳の天を翔ける彼らに降り注いだサンサーラの光明は、
圧倒的なまでに、燦然と、今ここに在る命終えよと輪廻へ誘う。
「これでも鎌使いなんだよね」
それを撥ね退けて拒む澪の意志は【|紅色鎌鼬《ユーベルコード》】として具現化された薄紅の鎌刃を無数に殖やして操り、重ね……狂い櫻にも劣らぬ勢いで辺りを覆い尽くして盾と為す。
長期戦は覚悟の上。永く守れば守れただけ、碎輝さんは進化できるのだから。
あまりに澄み切ったその一片一片すべてが鏡の如き加護を発して【強制転生光】の威光すらも乱反射させてゆき……それと同時、薄紅を撒いて、刃もまた砕け散り。
否――舞い散る紅は、鎌刃だけではない。
(まだ……大丈夫……消された分を補うだけなら大した負担じゃない……。
何度でも増やせばいい……僕の気力が続くまで…………っ!)
限界をも超えて戦場に維持される【紅色鎌鼬】の繚乱は、
魔力注ぎ続けるが故に澪自身の命すらも削り取って繰り返されているのだ。
「――澪!!」
「碎輝さんを、信じてるから……」
そう言われては、
可憐にそう微笑まれてしまったら、碎輝は黙って守られているしかない。
いつだって澪はカッコいいけどたまにズルい――苦笑いまじりのそんな呟きだけが、
いずれ最強に至る最弱の竜からのどこか子供じみたせいいっぱいの言い返しであった。
大成功
🔵🔵🔵
杜鬼・クロウ
アドリブ◎
普段なら強くなる為の過程すら愉しむトコなンだけどなァ!
今は悠長なコト言ってられねェ
碎輝、お前の力が必要不可欠なンだわ
此度はお前を護るのを最善に動く
だから俺を信じろ、碎輝
お前が一人立ち出来る迄の間、俺が全力でお前の騎士サマやってヤんよ!
敵UC使わせる
敵UCが途切れるまで極力近付かず
光着弾地点から消滅する為、碎輝を抱えて共に行動
UC使用
麻痺付与した所を玄夜叉で2回攻撃
光からは光着弾地点から障害物を土台にジャンプで離れて回避
動きが常より制限されてる分、ある程度予測し第六感で事前回避
碎輝への攻撃は武器受け・かばう
サンサーラの光が潰えた所を一気に近距離で叩く
意志を力に
剣に紅焔を出力させ限界突破
「碎輝、お前の力が必要不可欠なンだわ」
無限に成長し得る竜神。
激戦を経る中でその力は脈々と膨らみつつある……が。
杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)が見立てた処では、
いまだ神王を退ける域にまではまったく到達していない。
「此度はお前を護るのを最善に動く。だから俺を信じろ、碎輝」
「最善と言い切るか。ははっ、了解だ!
考えるのはぜんぶお前を信じてまかせるぜ!」
あるいは不躾とも映るであろうクロウの強気な笑みや物言いが、
かえって頼もしく好ましいと碎輝には感じられたらしい。
戦場ど真ん中、こうして言葉交わす間にも金色の竜の進化は進み……。
「普段なら強くなる為の過程すら愉しむトコなンだけどなァ!」
「それは同意だしすまないが、おたのしみはまたの機会だぜ!」
守り守られ、意気投合した男ふたりのテンションは相乗効果で高まってゆく。
――爆ぜるは世界。サイバースペースを穿き灼く無辺の光。
「よいしょっと」
「……!?」
連打が始まった【強制転生光】を前に、並び走るのみでは流石のクロウも庇い切れぬと判断し、碎輝の体を抱え上げる。
まかせると告げた前言の手前か、苦情の声こそ上がらなかったが……。
竜神親分の顔はむぅとおもいっきり眉を寄せ、いかにも不満げだった。
「云っただろ?
お前が一人立ち出来る迄の間、俺が全力でお前の騎士サマやってヤんよって!」
ここぞと笑って。
それとも騎士にはお姫サマ抱っこの方をご所望かとクロウが揶揄えば、
慌てて首が何度も横へと振られる。
「……あーもーあーもー! しっかりちゃんとお荷物サマやってやるってば!!」
以降の碎輝は、しぶしぶながらもクロウの腕にとしおらしく納まりつづけている。
――爆ぜるは輪廻。かつて世界であったはずの空間そのものすらも何処かへ……。
恐るべき黄金のその輝きも、しかし、
いずれ途切れるタイミングが必ずや訪れる――との、クロウの読み通り。
「主に癒しを、悪に裁きを。
勝利の名の元に――香り立て、金蓮花」
碎輝を守り庇う体勢のままに、クロウは攻撃へと転じる。
超存在たる神王へ容易にはダメージを入れられぬ。
……なればこそ、敵は回避はおろか防御すら碌に試みようとはしない。
(だったらむしろ――俺にとっちゃ頗るヤりやすい敵ってなァ!!)
己を癒し敵を滅する、赤橙の香はいつにも増して清冽にと匂い立ち……。
あるいは其れは、
金蓮花を託した主が此の戦場へと残した同じ香をも纏い守られたが故か。
抜き放たれし魔剣。
「|玄夜叉・伍輝《アスラデウス・エレメンツ》」はその漆黒へ流転する五行を籠められし魔刀匠が業物。
虫食いの如く、空白だらけと化した戦場。
ちらと後方、視界の端に後続の猟兵の姿を視止めたクロウは碎輝の守護を彼に託し、
自らはそのまま神王サンサーラ相手の肉弾戦へと果敢に討って出た。
――馳せるは紅焔。燃ゆる意志こそが万物をも制する其の力。
クロウが一の太刀を閃かせれば、迸る軌跡は骸の海すらも斬り拓き……。
さらに続けざま浴びせられた、「玄夜叉」二の太刀。
限界すらも超え……遂に神王の喉元にまで達したクロウの刃は傷こそ与えられずとも。
金蓮花がもたらす優しき無痛の麻痺異常によってしばしの間、
制御不能であるはずのサンサーラの光をも消し止めてみせたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
生前は骸の海を広げる能力ではなかったとの事だが、それでも他の能力だってとんでもなく強力だ
彼を倒した幻朧帝は一体何者だったのか……とぼやいても仕方ない
神刀の封印を解除した上でバイク『八咫烏』に騎乗。そして碎輝親とタンデムだ
成長すればいずれバイクの速度を追い越すだろうが、此方の方が速い間はとりあえず乗って貰おう
強制転生光は一撃でも喰らえばお終いだが、発射自体は毎秒1発
少なくとも弾幕で殺される事はない
敵の予備動作を見てからの急旋回を繰り返して、どうにか光を躱しつつ
また、バイクで旋回する時地面に斬撃痕を刻んでおく
廻・肆の秘剣【黒衝閃】……ダメージは通らないだろうが、一瞬の目眩ましくらいにはなるだろう
電脳の娯楽空間にすら『転生』を強いる神王の光は、
しばし、すっかりと鳴りを潜めて――。
現れたのは、エンジンの音を低く唸らせながら走り抜ける1台の大型オートバイ。
「後ろだ、乗ってくれ碎輝親分」
「あれは――『八咫烏』か!」
愛車を駆る夜刀神・鏡介(道を貫く一刀・f28122)からの声に応じて碎輝はすぐさまひょいと飛び乗った。
彼と夜刀神・鏡介(道を貫く一刀・f28122)は互いに見知った顔であり、
タンデム経験もすでに有った為か、拾われるまでがつつがなく迅速であった。
「成長すればいずれこの速度を追い越すだろうが、
それ迄はとりあえずこのまま乗っていてくれるか?」
当然、碎輝の側から異論が出るはずも無く。
後部座席から鏡介の背に掴まる彼を庇うようにしてハンドルが切られる。
(神王サンサーラ……滅びしサンサーラディーヴァを創造したという超存在。
生前のその力は骸の海を広げるようなものではなかったとの事だが……。
それでも他の|能力《ユーベルコード》だってとんでもなく強力だ)
ならば――そんな彼すら同胞や他種族全ての命と引き換えにしても完全には滅ぼせず、
そして今、封印状態であっても神王らをオブリビオン化し支配する幻朧帝イティハーサとは一体何者か――。
考えても詮無きと思いながらも、いまだ五里霧中。
かの不死の帝こそを永遠の統治者にして守護者と信じたサクラミラージュの者として、
鏡介とてひとつやふたつ零したくもなる……。
「……まあ、ぼやいても仕方ないが」
再開された神王の【|強制転生光《ユーベルコード》】発動に際し予備動作はいっさい見られず。
だが1発でも喰らえばお終いであろうと、鏡介にとってはたかだか毎秒1発程度だ。
全速からの急旋回を何度も何度も繰り返し……襲い来る光の軌跡を全弾、
タンデム走行で回避する離れ業が敢行されたのである。
片手操作が負担とならない改造で高機動を維持し竜運ぶ『騎兵』と化した鏡介。
もう片方の手には、一振り。
封じの白鞘から解き放たれた神刀が隙無く右脇下段へと据えられて。
迸る神気纏わせたその刃は迎撃への構え……と、思わせつつその実ユーベルコードの『仕込み』の為。
フルステアからたびたび地面へと振るわれた斬撃は痕だけを残して去ってゆき――。
「神刀解放。砕き散らせ、黒の剛撃――廻・肆の秘剣【黒衝閃】」
最後の仕上げにと、地面に深く突き立てられた刃。
呼応した漆黒の神気が各処に刻んだ刀傷から一斉に噴き上がる。
綺麗に切り取られた形で内部に発生した漆黒の領域が、神王の眼からふたりの姿を覆い隠したのである。
極大ダメージ空間の只中であっても『真に斬ると決めたもの』のみ断つ神刀【無仭】から発せられたそのユーベルコードは、鏡介が望まぬものに決して害を与えない。
「凄え力……なのに、俺やお前には傷ひとつ付かないんだな」
「一瞬の目眩ましくらいにはなるだろう」
バイクを停止させた鏡介は、碎輝を降ろして先にと向かわせた。
加速的に強まり続ける紫電の勢いからもはやマシンの助けは不要と判断したのである。
手を振りながらぐんぐんと遠ざかる後ろ姿を見送りながら――その無事を支える守り刀として鏡介の戦いは続けられる。
大成功
🔵🔵🔵
双代・雅一
世界規模のハッキング――とも考えると恐ろしい話だ
この世界の人々の頭脳と電脳が繋がっているのであれば脳炎ウィルスに等しいな
メガコーポ連中だけ灼いて帰ってはくれないかな、ダメか
さて碎輝さん、貴方は謂わば特効薬だ
抗体が何度も病原体と戦って学習し、免疫を獲得する様に
医師と工学者、二つの肩書きを賭けて貴方の槍をアレに届かせよう
白闇の魔人――氷の結界を戦場に展開
碎輝さん含めた味方全員を猛吹雪の中に隠す
どこにいるか解らなくしてしまえば向こうも当てずっぽうで攻撃するしか無いだろうし
敢えて違う場所から冷気攻撃放ってフェイントかけて空撃ち誘い
碎輝さんに向かう攻撃には纏った雪玉ぶつけて相殺
…姿は、気にしないでくれ⛄
サイバースペースにログインした双代・雅一(氷鏡・f19412)がまず思い馳せたのは神王がこの世界へと定めし『|法則《ルール》』について。
(世界規模のハッキング――とも考えると恐ろしい話だ。
この世界の人々の頭脳と電脳が繋がっているのであれば脳炎ウィルスに等しいな)
おおよそは降臨の起点としたプログラム「ヤマラージャ・アイビー」が元々備える性質ではあれど神王の力が加われば規模にも即効性にも拍車が掛かる。
……どうにか|巨大企業《メガコーポ》連中だけさっさと灼き滅ぼした上で|炎の破滅《カタストロフ》は諦め帰ってはくれないものか、なんて都合の良い考えも過ぎってしまうが。
「まあ、ダメか。 ――さて碎輝さん、貴方は謂わば特効薬だ」
碎輝が猟兵からの支援を受けながら『成長』を待つ今回の作戦は、さながら抗体が何度も病原体と戦って学習し、免疫を獲得していく様なもの。
雅一の説く喩えは自然と医学に寄ったが碎輝もざっくりと理解を示す。
「つまりは秘密兵器って奴だな!」
「その解答でおおむね間違ってはいない。
医師と工学者、二つの肩書きを賭けて貴方の槍をアレに届かせよう」
まるで先生と生徒のような遣り取りが交わされた後。
雅一を中心とした戦場全体の気温が急低下を始め――【|白闇の魔人《ホワイトアウト・スノウドール》】顕現。
唐突に発生した猛吹雪はサイバースペースを白く染め、幻朧桜さえも凍えさせてゆく。
そして、念氷結能力を備える雅一なればこその|氷の結界《ユーベルコード》は神王の眼すらも阻害する。
狙い絞れぬまま、ほぼ当てずっぽうの乱射と化した金色の転生光は、
ただただ吹雪の虚空や無人の雪原ばかりへ、あちこち、大穴を穿つのみ。
「……姿は、気にしないでくれ⛄」
「いや、無理だろそれ! というかどうやって喋ってんだこれ!?」
雪原と化した戦場。
その上を、現在、冷静沈着な⛄がズゴゴゴとホバー状態で碎輝を引き連れて爆走中!
――そう。迫力あるメルヘン(?)な絵面に誤魔化されそうにはなるが……⛄からの|雪隠れ《ユーベルコード》の助けを借りながらとはいえ碎輝は徐々に【強制転生光】を『学習』し、
自力での攻撃回避を可能としつつあるのだ。
特効薬の完成はもう間近と強く確信し――ならばと⛄は碎輝だけを先へと送り出す。
(……強すぎる薬は、時に、病気もろとも患者さえも殺すが――賭けるしかない)
敢えて別行動に移った後も囮に、攪乱に、碎輝が躱し損ねた光を相殺する雪玉発射にと⛄は大活躍を見せる。
「強いぜ! ⛄!!」
別の意味でもうまったくその姿を気にしない――どころかすっかり気に入ってしまった碎輝だが振り返らずにひた走る。
彼へと追いついた、新たな猟兵たちと共に。
大成功
🔵🔵🔵
シビラ・レーヴェンス
露(f19223)
私は今回は『碎輝』殿と露を護るように動こう。
パフォーマンスで身体機能を向上させた後に準備を。
封印を解きリミッターを解除後に限界突破をする。
次に全力魔法付与した高速詠唱で魔術を行使する。
使用魔術は【姉妹達の軍行】。
久々に使うのに申し訳ないが肉壁になって貰おう。
召喚した『私』達にオーラ防御と霊的防御を施す。
「久々ですまないが…よろしく頼む」
露が妙に喜んでいる気がするが気にしないでおく。
「露と碎輝殿を護ってやってくれ…すまない」
『碎輝』殿の前では三重の壁になって貰おう。
露は…彼女の指示に従ってやってくれ。
私は移動しながら状況をみつつ召喚をしよう。
『私』達の人数を減らさないようにしておく。
神坂・露
露(f14377)
わー♪『碎輝』さん久々だわ。元気そうでよかったわ~。
なんだか神々しい人から『碎輝』さんを護ればいいのね。
リミッターを解除の次に限界突破して全力魔法で攻撃よ。
攻撃は最大の防御って言うしね。あたしは攻撃して護る。
わ❤ちびレーちゃん久々だわ!!わーい♪わ~い♪
…ちびレーちゃんが居るなら億万馬力よ!頑張るわ!!
「ちびれーちゃんよろしくね♪ …後で抱きしめるわ!」
神々しい人に向けて【蒼光『月雫』】を連発するわね。
今回のあたしの攻撃は避けられたり弾かれてもいいのよ。
目的はなるべく『碎輝』さんへ行かせないことだもの。
ちびレーちゃんもいるし大丈夫。心配することはないわ。
護りながら『碎輝』さんの周囲も警戒をしておくわよ。
神々しい人は死角とかから攻撃してくるかもしれないし。
見切りと野生の勘と第六感で気を払っておくわね。
危ない時は『碎輝』さん抱えて回避するわよ。
「わー♪ 碎輝さん久々だわ。元気そうでよかったわ~」
「おお! このとおり、元気も元気!
お前達猟兵のおかげで俺の成長電流はどこまでも絶好調だぜ!」
カクリヨファンタズムにも度々出入りしている神坂・露(親友まっしぐら仔犬娘・f19223)にとっては竜神親分こと碎輝の一大事。
もちろん何度も一緒にカクリヨだろうが大戦争だろうが一緒に訪れたシビラ・レーヴェンス(ちんちくりんダンピール・f14377)だって今度も駆け付けてくれている。
「あたしとレーちゃんで、あのなんだか神々しい人から碎輝さんを護ればいいのね」
「たしかにあれは神々しい……。俺も負けないぐらいド黄金に進化しなくちゃだな!」
ほのぼのと温められる旧交とは裏腹に、碎輝の紫電は迸り続けているし、露もシビラも到着・即・ドドンと超克パワーアップでただでさえ膨大な魔力はもう全開!
――そして、無限に拡大し続ける骸の海によって隔てられていた筈の、神々しい人こと『神王』サンサーラとの距離は確実に縮まりつつある。
「ふむ、神王に一撃を喰らわせられるまでにはあと少しといったところか。
それでは、私は予定通り碎輝殿と露を護るように動こう」
「攻撃は最大の防御って言うし、あたしは攻撃してみんなを護るわね」
シビラと露のことばにふむふむと頷き、碎輝も従う。
「Ridicați-vă și mergeți împreună Cruciada este încă în viață……」
封印が解除されたからだけではなく、このサイバースペースという環境そのものが電脳魔術士であるシビラにとっては極めて有利に働く。
魔術式を高速で走らせれば――ちみちみ、ちまちま。
幼くも端正なシビラの外見をよりちんちくりんに愛らしくディフォルメして写し取った【|姉妹達の軍行《セクィトゥル・ソロル》】の人形達の行動処理は、一体一体、実になめらかで軽快であった。
「わ❤ ちびレーちゃん久々だわ!! わーい♪わ~い♪」
加えて、露の士気がいっきに跳ね上がる副次効果までも引き起こす。
「うん? まあ、確かにこの魔術を行使するのは久々だな」
シビラ当人は、戦闘用人形の大量召喚のどこに露がそれほどまでに盛り上がれる要素が有るのか今ひとつピンと来なかった様子であったが……計780体の|人形《ちびレーちゃん》達すべてに纏めて様々な防御強化を施した後、手短な|命令《コマンド》を『姉妹』たちへ伝達する。
一部の人形については露を防御しつつ細かな戦闘行動については彼女からの指示に従えと申し付けた。
それ以外のものはすべて碎輝を警護する部隊として三列の陣を維持し、神王から受けるあらゆる攻撃から彼を死守せよという内容だった。
「では、久々ですまないが……よろしく頼む」
つまりは数を恃みの肉壁と化して超存在が放つユーベルコードを防ぐ捨て石になれと、
己は言い付けているのだ。
申し訳ないという感情がシビラの裡から湧いてはいたが作戦上これが最も効率良い。
人形達も何の恐れや不満の表情を見せず、とてとて、忠実に実行を開始する。
「……ちびレーちゃんが居るなら億万馬力よ! 頑張るわ!!」
「そんなになのか!?」
一方、ちびレーちゃん分隊に囲まれてすっかりご機嫌な露は、
もちろんと笑って碎輝に応えた後にあらためてご挨拶。
「ちびれーちゃんよろしくね♪ ……後で抱きしめるわ!」
露の指示に従えとの命令を受けているちびレーちゃんはみなコクコクと頷き合う。
『私の放つ骸の海は無限に広がりゆく。それを阻む術は無い……』
誇示というより諦念のみが色濃く占める、
神王サンサーラのそんな静かな語り掛けとともに撃たれた【強制転生光】。
防御としての攻撃を担うべく前衛に立った露は着弾よりも早くその発射に反応し、
すばやく全力魔法で迎撃のユーベルコードを撃ち返す。
「闇に散れ~♪」
黄金色の燦燦たる輝きを浴びた露の蒼光もまた煌きを増して――。
月色を帯びて生まれた硬き棘は、しかし、全てが何処かの遠き夜へと還されてゆく。
(今回のあたしの攻撃は避けられたり弾かれてもいいのよ。
だって、目的はなるべく碎輝さんへ行かせないことだもの)
超克たる威力備えた【|蒼光『月雫』《ユーベルコード》】を弾幕として展開し、
ひたすら防御射撃のみに専念する露。
「ちびレーちゃんもいるし大丈夫。心配することはなんにもないわ!」
ちなみに地上歩行が基本のちびレーちゃんズだが、あまりに俊敏な露の動きに追いつく為にと全員飛行に切り替え、ピュンピュンと露の周囲を飛び回っている。
「飛べるのか!? しかし……え。まさかの応援要員??」
敵攻撃下でもツッコミ役をこなす余裕が生まれた碎輝殿の進化は順調なようである。
「そのような意図はまったく無かったが……うむ。結果として、そうとしか言い様の無い部隊運用と化している点は否めない」
シビラは平然。少なくとも表面上は。
確かに露にまで【|姉妹達の軍行《セクィトゥル・ソロル》】を振り分ける必要は薄かったかもしれないが、
だからといって全戦力を碎輝に付けたらそれはそれでひと悶着起こるに違いなかった。
「……だったらこのまま振り向かせず、前を行かせた方がいいか」
「私も同意見だ、碎輝殿」
敵攻撃下――そう、後方のシビラ達にもまたサンサーラの光が幾度と浴びせられていたがこうして会話交わす余裕があるのはちびレーちゃんズ本隊のお陰である。
すでに壊滅済みの最前列を補うように陣形は徐々に縮小しつつも、命令遵守。
碎輝を守る三列はいまだきっちりと維持され、進軍にも支障はまったく生じていない。
適宜、シビラによって『補充』は為されている。
――前から順々に、付与された防御もろとも消滅させられてゆく『姉妹達』の痕跡などこのサイバースペースにはもう跡形も残されてはいないのだ。
「あ! こっちは大丈夫だけど、神々しい人が死角とかから攻撃してきてない?
危なくなったら、あたし、碎輝さん抱えて回避するから!」
「問題無い。それよりもそのまま前へ道を切り拓いて……人形達に抱擁でも何でも存分にしてやってくれ」
表面上、平然を保つシビラからの指揮は変わらず。
そして。
シビラの姿の人形達の『転生』を間近で見続けた碎輝は、
自らの無力に対する怒りを沸々と燃やし――。
「お前達にここまでさせたんだ……後のことなんかどうなってもいい。
この俺が、絶対に神王の奴を止めてみせる!!」
最強への『進化』をよりいっそう加速させるのであった。
大成功
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カタリナ・エスペランサ
久しいね碎輝、元気そうで何よりだ
過去より未来の方が余程無限に広がるって事、見せつけてやるとしようか!
アタシなら《心眼+第六感》と装備[驕傲]《念動力+情報収集》感知で五感が封じられても問題無い
驕傲を介した《情報伝達》で連携も維持できる
【猫の手】は都度《学習力+応用力+環境耐性》最適化、味方の援護を重視して使うよ
どんな脅威も凌いでみせるさ。一瞬だけね!
頃合いを見計らい【猫の手】効果でUC【失楽の呪姫】同時起動してオーバーロード
魔神の魂の《封印を解く》事で《|負けん気《プライド》》賦活し《継戦能力》増強
自称真なる神としては見せ場は譲れないらしい
《ハッキング+蹂躙+焼却+属性攻撃》劫火はUCも骸の海も終焉の概念に塗り潰し焼き尽くす
今のアタシが制御できるのは欠片に過ぎないけどね
結局は概念強度の喰い合いだ
先読みを欠かさず範囲を広げたり、逆に限定して出力を上げたり
【猫の手】も併用すれば味方を護るに不足は無い
大剣に黒雷を纏わせ放つ《神罰+貫通攻撃+属性攻撃+斬撃波》、
必要に応じ決定打の後押しにも回るよ
エリル・メアリアル
無限の過去と無限の未来……ならば未来が勝つことが正当でしょう?
成長とは未来に向かうこと。碎輝様の成長の力は、サンサーラ様の力をきっと凌駕しますわ!
そしてわたくし達もそんな碎輝様に劣らず成長を続けてみせますわ!!
UC発動、Flapsを展開し、周辺の物品を多重操作して戦闘!
碎輝様にも成長電流を放ち続けて頂きますわ。
成長電流ならば絶え間ない攻撃でサンサーラノヴァの詠唱を阻害できる他、五感封じの効果はほとんど無意味なはず!
そしてわたくしも!
例え光を受けても念動力を使う感覚と第六感で異常効果を最小限に抑えますのよ!
わたくし、五感には頼っておりませんの。
機会を掴んだら、碎輝様に乗せて頂き、一斉攻撃ですわ!
僅か『2kB』より始まり無限に広がる櫻花も、骸の海も、其の奔流とめどなく。
だが、猟兵達の奮闘によって其れを止め得る紫電は守られ、育まれて。
――遂には『神王』の領域にまで到ろうとしている。
「久しいね碎輝、元気そうで何よりだ」
「お前は……カタリナか! ますます強くなったみたいで流石だぜ!
俺も、お前達と共に高めたこの力で最大最強の一撃を叩き込んでみせる!」
カタリナ・エスペランサ(閃風の舞手・f21100)が合流を果たした時、確かに碎輝の力は『超電竜撃滅形態』に――かつて彼女がカクリヨファンタズム最深層で渡り合った時と同等近くにまで高まっていた。
あの時は敢えて骸魂と合体し、膨大な『虞』を纏って果たしたパワーアップであったがそれと比べても、まだまだ不安定で危ういと、自身も魔神の化身であるカタリナの金色の心眼には映る。
「……いや、キミはまだあの広大無辺を『学習』し切れてはいない様だ。
あと少しばかりの間アタシに付き合って、守られてはくれないか?」
「そんなっ!? ――分かった……。そうだな。
神王に一発入れるにはこの程度の『成長』で満足してもまだまだ足りない!」
今にも飛び出しかねなかった碎輝を制止したカタリナは、翳された神王の両掌から拡散する【|神王光《サンサーラノヴァ》】にあっさりと我が身を投げ出した。
黄金に染まった視界から一転、五感封じの真闇が彼女を襲ったが、
視覚すら超越した『心眼』の視界と五感以上の超越感覚で世界を把握する『傲慢』領域を備える彼女であれば、戦闘になんら支障は無い。
(どんな脅威も凌いでみせるさ。一瞬だけね!)
領域を共有させた碎輝との意思疎通も問題なし。
加えて、凝縮された一秒にユーベルコードの併用すら可能とする【|猫の手《ジャスト・ア・セカンド》】で、
即時展開した概念的多層結界に触れた彼は、無意識のままその一端を『学習』する。
(ああ、そうか……これか! これだったんだ!!)
強大ではあれどただ無秩序に奔流するばかりだった碎輝の紫電はしだいに一定の規則性を持ちながら収束し……やがては一撃必殺を発するにより相応しき巨大な雷電の紋章へと変化を遂げる。
そして。
迸る紫電の性質はそのままに分裂と巨大化とを無限に繰り返し続けるものは、
紋章式のみにあらず……碎輝自身もまた。
輝きと大きさを増した金色の稲光が幾筋も無辺の天上へと奔り――最強をめざし、
何処までも翔け上がる巨大な黄金の『竜』が、其処に、生まれ顕れたのである。
(成程――『超電竜撃滅形態』へと至る、ただそれだけでは『神王』サンサーラを討つには未だ足りない。
キミは『超電竜撃滅形態』へと到達した後も尚『成長電流形態』を維持し、
止まること無く、その先の極限へと突き進むべきだったのだ)
光景の一部始終を見守るカタリナの胸に去来したものは、
自身の得心と、内に棲む『自称真なる神』たる存在が抱いた対抗心。
双方がともに超克した先の、『魔神』封印解除。燃え広がる終焉の劫火は骸の海すら焼き払う。
『まさか……これがあの竜神――――っ!?』
――言っただろう? 俺は『お前を止められる男』だってな――!
黄金色の巨大ドラゴンの出現に……、最弱であった筈の男のありえぬ進化速度に、
超存在たるサンサーラの双眸が驚愕で見開かれる。
「そうさ碎輝。
今こそ、過去より未来の方が余程無限に広がるって事、見せつけてやるとしようか!」
荘厳たる六翼を広げながら、五感封じを完全に無効化させたカタリナが微笑し……。
「無限の過去と無限の未来……ならば未来が勝つことが正当でしょう?
成長とは未来に向かうこと。
碎輝様の成長の力は、サンサーラ様の力をきっと凌駕しますわ!」
今まさに攻撃の機と駆け付けたエリル・メアリアル(|孤城の女王《クイーン・オブ・ロストキャッスル》・f03064)もまた誇り高く華麗に高笑う。
――さらに援軍の猟兵登場か!?
まったく頼もしい限りだが、俺の『成長』について来なければ置いていくぜ――!!
「心配なぞ御無用。わたくし達もそんな碎輝様に劣らず成長を続けてみせますわ!!」
電脳空間はいまや、超越たる黄金と黄金の光芒に満ち満ちて。
ふわり、格式高く伝統的なドレスの裾を翻した|女王《エリル》を運ぶ馬車は、
【|絢爛たる女王の采配《クイーンズ・オーダー》】にと忠実に従う、
翼の如き『Flap|Knig《マント》hts』からキラキラと零れて浮遊する薄羽の束。
「そのまま成長電流をサンサーラに向けて放ち続けて下さいませ碎輝様!
成長電流ならば絶え間ない攻撃でサンサーラノヴァの詠唱を阻害できる他、五感封じの効果はほとんど無意味なはず!」
エリルの助言は違わず、サンサーラの光を浴びた電流は一瞬勢いを失った後、即在に輝きを強めて神王へと降り注いで発射や詠唱を阻害し始めたのである。
「そしてわたしくも! 五感になど頼っておりませんの!」
サイキッカーであるエリル自身もまた、五感封じの悪影響など最低限に封じ込める事が可能だった。
「さあ碎輝様、カタリナ様! ともに一斉攻撃ですわ!」
ひらりと可憐に、黄金竜の背へと跳び移ったエリルが厳かに号を発すれば、
「仕方ないなぁ――アタシの本気、ちょっとだけ見せてあげる」
【|失楽の呪姫《ロスト・フラグメント》】が揺り起こす『魔神』の魂から得た黒雷を纏わせた大剣を振るい、
『神王』を名乗る存在に対して真っ向から概念強度の喰い合いを挑むカタリナ。
頼もしきふたりと呼吸を合わせ、黄金竜の口から解放された攻撃は、
咆哮とともに撃たれたとてつもなく巨大な投擲槍を想起させる、最大級の雷轟。
――受けろ、
俺の【超電竜撃滅衝(ライトニングドラゴンブラスターァァァ)】――!!
かくて『世界』は負荷に耐え切れず。
まずは、あれほど咲き誇っていた幻朧桜が一斉に元有る別世界へと帰してゆき……。
そして――露わな胸元からとめどなく鮮血を流す神王サンサーラも、また。
『見事なり、汝らが示した燦然たる無限の未来。
私の大きな誤りは此処に食い止められた……喩え、幾許かの刻の間に過ぎぬとしても』
手負いとなって、強大すぎる己を維持し切れなくなった神王が再び骸の海へと還る。
彼の声からは、変わらず、深き諦念晴れずとも。
其処には確かに、感謝と未来への希望とが兆し始めていた――。
大成功
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