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帝都櫻大戰⑫〜誰がために戦禍を征くか・Side『V』

#サクラミラージュ #帝都櫻大戰 #第二戦線 #イザナミ #プロレス・フォーミュラ『デスリング総統』 #ACE戦記 #グリプ5

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●『エース』の証明
 それはおぞましさを感じさせるものであった。
 身に蔓延るは『冥府の蛆獣』と呼ばれる大量の蛆。
 かつては壮麗にして優雅さえ兼ね備えた姿であったであろうエンシェント・レヰス『イザナミ』は、今や彼女を蝕む『蛆獣』によって、クロムキャバリアの小国家『グリプ5』にさらなる破壊をもたらそうとしている。
「妾はイザナミ。愛と死の女神。死を憂う者の枕元に現れ、|櫻の楽園《サクラエリュシオン》にいざなう者」
 されど、楽園は失われた。
 彼女の死後に横たわるのは冷たき骸の海。
 そして、彼女の体もまた、今なお身を覆い溢れ出す『冥府の蛆獣』に蝕まれている。

「このままではイティハーサの目論見通り、妾が愛しき命たちをちらしてしまう」
 彼女の瞳からは大粒の涙がこぼれ落ちていく。
 それが彼女の肉体に残された僅かな動きだった。
「冥府の蛆獣共が、キャバリアなる兵器を乗っ取りはじめています。このままでは……!」
 彼女の嘆きに応えるように一つの赤き熾火の如きキャバリアが一騎、蛆獣によって大量に大地より引きずり出したオブリビオンマシンの大群へと向かう。
 その一騎は二騎に分かたれ、そして響き渡る声によって人々の心の動揺を鎮めようとしていた。

 だが、『イザナミ』は知るだろう。
 彼女の体躯に湧き出す蛆獣たちは次々と膨れ上がって彼女の体躯を覆い隠そうとしていた。
 そう、それはあまりにも頑強なる鎧であり、檻であった。
「妾の身体を蝕むだけでなく、守りを固めるか……! あくまで妾を……!」
「泣かないで」
 その言葉は幼き声であった。
 彼女の涙が落ちる大地にて、その悲哀を見上げる者があった。
『フュンフ』と呼ばれる小国家『グリプ5』の国父たる『フュンフ・エイル』のクローンと目される少年が、その手を『イザナミ』に伸ばしていた。

「悲しいことはないほうがいい。絶対になくならないって知っているけれど、少なければ少ないほうがいいよね。だから」
 はらはらと落ちる涙。
 しかし、『イザナミ』はどうすることもできなかった。
 己の体の自由は効かず、されど蝕む『冥府の蛆獣』は大地より多くのオブリビオンマシンを引きずり出すために己が体を楔として打ち込まんとしている。
 己がこの大地にある限り、多くの生命が失われる。
 彼女にはどうすることもできない。
 防御に徹した『冥府の蛆獣』は幾重にも彼女の体を守る鎧となり、檻として他者を拒絶する。
 敵意も、優しさも何もかも遠ざけるのだ。

 悪意はあらゆるものをいたずらに傷つける続ける。
 たとえ、赤き血潮が溢れるのだとしても、その傷口をえぐるように悪意は刷り込まれていくのだ。
 涙は、きっと枯れることはない。
 止めるにはあまりにも、その悪意が強烈過ぎたのだ。
 幼き手で拭えるものではない。

 ならば、如何なる手ならば、その涙を拭うことができるか。
 その一つの解答が宙を舞いながら降り立ち、瞬く間に『イザナミ』の体を覆っていた『冥府の蛆獣』を苦も無く剥がし、『投げ飛ばした』のだ。
「グロロロロ! そうとも! プロレスラーとは! 確かにヒールとベビーフェイスにわかれておる! 善と悪! それは疑いようもないことである! だが、プロレスとは! 観る者全てに勇気と生きることへの希望を湧き起こさせる熱狂そのもの! 人は知るのだ! 己が体躯に熱き血潮が命脈を駆け巡り、己が生命を前に進ませていることを!」
 翻る影は、見事な着地でもって『イザナミ』の前に姿を表す。

 我々は知っている。
 その雄々しきたてがみ!
 強靭なる大胸筋と広背筋によって支えられた四つ腕!
 そして何よりも!
 その素顔を隠すマスク!!

「何と! 妾の身体を蝕む蛆獣が、剥がされてゆく……! 一体どのような手管によるものか!?」
 驚愕する『イザナミ』を前に、その影は高らかに胸を貼る。
 幼き少年『フュンフ』は星映す黒い瞳で影を見上げ、そして、荒ぶ亜麻色の髪を巨大な掌でくしゃくしゃにされながら待ちわびたというようにその名を呼ぶ。
「『デスリング総統』!」
「グロロロロ、これぞワガハイの四次元殺法! 少年よ、強くあれ! そして、ワガハイは示そう! 骸の海より来たものは、全て骸の海に投げ返してくれるわ!」
「こ、これならば……ですが、妾の体からは未だ『冥府の蛆獣』共が……」
「もうだいじょうぶ。だってね」
 星映す黒い瞳は見上げる。
 それは転移の光。

 希望とも言えるだろう。
 そして、その名を彼は知っている。
「六番目の猟兵たちが――!」
 その言葉の先に見えるのは赤と青の熾火宿す双剣を持ちながら、転移を維持するグリモア猟兵、ノイン・シルレル(第九の悪魔・f44454)の姿だった。
「来ました」
 手にした双剣をぽいと捨てながら、いえい、と彼女はダブルピースをしてみせた。

「状況はよくはございません。ですが」
 彼女は告げる。
 クロムキャバリア、小国家『グリプ5』の状況は逼迫している。
 だが、此処には猟兵たちがいる。
 ならば、何も恐れることはない。
「グロロロロ! 道はこの『デスリング総統』に任せるのである! ヒールにはヒールの矜持があることをみせてやるのである! 共闘? グロロロロ! このワガハイの後をついてきたければついてくるがよいのである! だが、邪魔だけはするな、である!」
 あくまでヒールとして。
 そう云うように『デスリング総統』は、その四次元殺法でもって『イザナミ』の体に蔓延る『冥府の蛆獣』を切り開き、その道を示すのだった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。

 ※これは1章構成の『帝都櫻大戦』の戦争シナリオとなります。

 突如としてクロムキャバリアのプラントから無数の幻朧桜が溢れ出し、エンシャント・レヰス『イザナミ』が出現しました。
 彼女を蝕む『冥府の蛆獣』は『攻撃力は皆無だが、防御力が非常に高い姿』となって彼女に幾重にも取り巻いており、そのままでは彼女に攻撃を届かせることができません。
 ですが、キャンピーくんによって送り込まれた『デスリング総統』が繰り出す四次元殺法によって、『冥府の蛆獣』は引き剥がされたった一撃で骸の海へと送り返すのです。
 彼と連携し、『イザナミ』に挑みましょう。

 プレイングボーナス……デスリング総統の切り開いた進路を攻める/デスリング総統と協力して戦う。

 それでは、幻朧櫻舞い散る帝都にて戦う皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 ボス戦 『イザナミ』

POW   :    幻櫻死界
指定地点からレベルm半径内を【サクラエリュシオン】に変える。内部にいる者は活力(体温・燃料等)を激しく消耗する。
SPD   :    黄泉変異卵
【冥府の蛆獣】から無限に供給される【生命を貪る蛆獣の卵】を、最大レベル体の対象に一瞬で投擲できる。
WIZ   :    火雷大神
自身に刻まれた【オブリビオン化の烙印である腐敗した肉体】を引き裂き、【8体の火雷大神(ほのいかづちのおおかみ)】を召喚する。[8体の火雷大神(ほのいかづちのおおかみ)]は死ぬまで敵を追跡し、【雷】で攻撃し続ける。

イラスト:片吟ペン太

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アリス・フェアリィハート
アドリブ連携歓迎

【SPD】

『イザナミさん…望まぬ事をさせられて…さぞお辛い事でしょう…必ず貴女を…止めてさしあげます…!』

【ゲルセミ】で
キャバリアの能力等
トレースした状態になり

翼で飛翔
【空中機動】等
【空中戦】も行い
立体的に立回り

デスリング総統さんとも
共闘
総統さんに
イザナミさんまでの
進路を切り開き
蛆獣を剥がして貰い

攻撃等
【第六感】【心眼】【残像】
【通常攻撃無効】
【結界術】【オーラ防御】で
防御・回避しつつ
イザナミさんの元へ

ヴォーパルソードを手に
【ハートのA】も展開

総統さんの切り開いた進路に沿って

【浄化】を込め
【全力魔法】や
【誘導弾】の【一斉発射】【弾幕】と共に
UC発動
光焔の奔流と共に
斬撃を叩き込み



 止めなければ、と思った。
 その身より溢れ出す『冥府の蛆獣』をか、それともエンシャント・レヰス『イザナミ』の両の瞳より溢れ出す涙をか。
 いいや。
 どちらもだ。
 どちらも止めなければならないとアリス・フェアリィハート(不思議の国の天司神姫アリス・f01939)は思っただろう。
「『イザナミ』さん……望まぬことをさせられて……さぞお辛いことでしょう……必ず貴女を……止めてさしあげます……!」
 装甲ドレスを翻し、アリスは翼でもって飛翔する。
 だが、そのアリスへと放たれるのは『イザナミ』の体躯を蝕みながら無限に溢れ出す『冥府の蛆獣』であった。

 巨大な蛆とも言うべきものが一瞬でアリスへと投げ放たれる。
 それも無限とも思うかのような数で、だ。
 あまりにも恐ろしい。
 けれど、アリスはためらわなかったし、恐怖を振り払う。
 迫る砲撃のような『冥府の蛆獣』を躱し、同時に巨大な腕がこれを『投げ飛ばす』のを見やだろう。
「グロロロロ! 油断大敵であるぞ、猟兵!」
『デスリング総統』が笑う。
 特徴的な笑い声であるが、彼の『四次元殺法』は凄まじいものだった。
 如何なる『冥府の蛆獣』であろうとも彼は、その腕でもって確実に『冥府の蛆獣』を骸の海へと投げ飛ばしてしまえるのだ。

「ワガハイが切り開いた道を征け、猟兵よ! その先にこそ勝機があるのだ、グロロロロ!」
「ですが、どうして……」
「なに、ワガハイは一度は敗れども、しかして再戦を誓うもの。その決着は、ワガハイと猟兵によってのみ決まるものである! だからこそよ!」
 彼の手によって開かれる道。
 如何に『冥府の蛆獣』とは言え、彼の四次元殺法を前にしてはただ引き剥がされるのみ。
 アリスは、その開かれた道を飛び、一気に『イザナミ』へと肉薄するのだ。
 手にしたのは、『ヴォーパルソード』。
 無数のジュエルハートが迫る『冥府の蛆獣』と激突しながらもアリスを『イザナミ』へと届けさせんと飛翔するのだ。

「――是は…不思議の国の不思議な戦い――受けて下さい、ヴォーパルの剣閃…!」
「これは……!」
 アリスセイバー・ヴォーパルソードは、森羅万象、全てを断つヴォーパルソード。
 その斬撃は、神殺しの刃。
 光焔の奔流と共にあらゆる全てを斬り裂く斬撃を解き放ち、『冥府の蛆獣』が鎧ごときアリスは斬り裂く。
 確かに『イザナミ』は憂いているのだろう。
 生命が散ることを。
 しかし、それを彼女はどうしようもできない。
 彼女にできるのは、己が滅びることだけ。
 死せる者の楽園。
 それが『サクラエリュシオン』――最早、その残骸しか残っていない。
 彼女の心は嘆きに満ちている。
「なら、その嘆きを……私は切り裂きます」
 アリスの振り下ろしたユーベルコードの刃は、『イザナミ』の体躯を切り裂き、その嘆きを断ち切らんとするのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

蒋・飛燕
●POW

クロムキャバリアはロボットバトルの世界だと聞いてたアルけど…何時から超人レスリングな世界になっていたアルか?
まぁ、細かい事は置いておくネ
私は緋天娘娘ネ!
そっちこそ邪魔するじゃないアル、デスリング総統!

ヒーローとヒールの掛け合いをしながらお互いに叱咤激励しつつ、桜エリュシオンの領域を突破するネ!
正直キツいアルけど、ここでヘタったらデスリング総統からグロロって笑われるヨ!
灼熱の血を滾らせて活力を戻したら、バトルオーラを全開にイザナミに吶喊アル!

私は空中、デスリング総統は地上からの多次元殺法で追い詰めたら必殺の【飛天業炎脚】で、デスリング総統が繰り出す四次元殺法と正義と悪のツープラトンアル!



 クロムキャバリア。
 それは鋼鉄の巨人が戦場の花形たる世界。
 争乱に満ち、平和とは程遠い世界。
 故に蒋・飛燕(武蔵境駅前商店街ご当地ヒーロー『緋天娘娘』・f43981)は混乱していた。
 どこを見ても鋼鉄の巨人なんていない。
 いるのは、そう。
「グロロロロ! 如何なるものとてワガハイの『四次元殺法』を前には骸の海に還るものである!」
 けたたましくも、独特な笑い声を上げる四本腕の巨漢『デスリング総統』である。
 彼がエンシャント・レヰス『イザナミ』の身を鎧うかのように膨れ上がった『冥府の蛆獣』たちを次々と『投げ飛ばして』は引き剥がしているのだ。
「何時からクロムキャバリアは超人レスリングな世界になっていたアルか?」
「いつもなにも、いつだってプロレスの世界は拓かれているのである! 熱き血潮を持つのならば、寄って見るがいい! グロロロロ! これこそがワガハイのプロレスである!」
 強烈なキャラクター性に飛燕はちょっとめまいがしそうだった。
 けれど、今は戦いの場。
「小娘の猟兵よ、ワガハイの後に続くがいい!」
「私は緋天娘娘ネ! そっちこそ邪魔するじゃないアル、『デスリング総統』!」
「ならば共に征くか!」
「モチのロン!」
 飛燕は『デスリング総統』とともに戦場を駆け抜ける。

『デスリング総統』の手が『冥府の蛆獣』を投げ飛ばし、道を開く。
 一直線に四本腕が道を塞がんとする『冥府の蛆獣』を苦も無く投げ飛ばしているのは、あまりにも恐るべき光景であった。
「まったく、ヒールを褒めるなんてことあっていいわけないアル! でも、認めることはできるアル!」
「ああ、なんと勇ましき……ですが」
『イザナミ』の周囲に広がるのは滅びた『サクラエリュシオン』。
 その残骸が世界を塗り替えていく。
 周囲は、飛燕たちの活力を奪っていく。
 人の体力活力を奪い、眠りという安寧に導くはずが本来の『サクラエリュシオン』。
 されど、今はオブリビオンとして他者の生命を散らすために使われているのだ。

「これが何アルよ!」
「グロロロロ……活力が奪われていくのである。だがしかし! 小娘に!」
「そうヨ! ここでヘタってたらアイツに!」
 笑われる!
 それはヒーローとヒールなれど、ご当地ヒーローとプロレスラーの矜持が一致する瞬間であった。
 飛燕の瞳がユーベルコードに輝き、『デスリング総統』の四次元殺法が炸裂する。
 一直線に引き剥がされた『冥府の蛆獣』。
 その先にあるのは『イザナミ』の姿。
「灼熱の血ヨ、燃え上がるように滾るアルヨ!」
 炎の闘気を纏う飛燕が、大地を蹴って高く舞い上がる。
 その眼下にあるのは『冥府の蛆獣』を引き剥がされた『イザナミ』の姿。

 膨れ上がった炎の闘気は翼に代わり、彼女の体躯を直上より弾丸のように急降下させる。
 それは燃え盛る炎の蹴撃。
 一閃を描くように炸裂した一撃、その名を彼女は叫ぶ。
「これが飛天業炎脚アル!」
 四次元殺法と彼女のユーベルコード。
 友情のツープラトンではなく、正義と悪とのツープラトン。
 そう、正義と悪とは平行線ではない。
 交錯するからこそぶつかり合う。
 だが、交錯するということは、一点において交わるということでもあるのだ。

 それを示すように飛燕の蹴撃と『デスリング総統』の四次元殺法は『イザナミ』の体躯を強かに打ち据えるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
武器:漆黒風

ふふ、かつて戦った方と共闘とは…陰海月曰く『燃える展開!』だそうですよー。
それに…望まぬことをやらせられているのは、どうにも。

というわけでしてー、その切り開かれた道を行きましょう。
そして…火雷大神を召喚されて、追いかけられようとも。私は足を止めません。
漆黒風を投擲してから、UCを使用。イザナミと火雷大神を対象に。いきなりの武器変化ですから、かわすの難しいでしょう?
私の付近は…ええ、四天霊障が変化してますからねー。
桜と蓮。その共演と参りましょう。



『デスリング総統』の『四次元殺法』によってエンシャント・レヰス『イザナミ』の身を覆っていた鎧の如き『冥府の蛆獣』は投げ飛ばされた。
 道のように切り開かれたそれは、『イザナミ』にとって光明たり得るものであっただろう。
 だが。
「ああ……ですが、それでも妾の体は……すでにオブリビオン蚊の烙印を得ている。それが……!」
 腐敗した肉体を引き裂きながら『イザナミ』は言う。
 溢れ出す血潮の代わりに現れるのは、火雷大神。
 八体の火雷大神たちは、彼女に忠実に従うように飛翔し、その力を解き放つ。
 圧倒的な熱量。

 その荒れ狂う様を前にして馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は思う。
「グロロロロ、猟兵よ。ためらうな。ワガハイの『四次元殺法』は確かに全てを投げ飛ばすことができる。だが!」
「ええ、わかっておりますとも」
『疾き者』は、このような状況にっても笑む。
 それは嘗て戦った強敵との共闘に湧く『陰海月』の姿を思い浮かべたからである。
 彼が語る所によれば、これは『燃える展開』なのだという。
 そして、敵である『イザナミ』は望まぬ所業に手を染めんとしている。

 その悲哀をこそ取り除かねばならぬと『疾き者』は、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
「望まぬことをやらされている。それはどうにも許しがたいことなのですよー」
「ならば、征け!」
 グロロロロ、と特徴的な笑い声を背に受けて『疾き者』は『冥府の蛆獣』引き剥がされた道を走る。
 迫る火雷大神たち。
 それは苛烈なる熱量で持って己という存在を焼き滅ぼそうとするかのようだった。
 神すら殺して見せるであろう炎。
 その炎にを前に『疾き者』は己が手にした棒手裏剣を投げ放つ。

 放った棒手裏剣は無数の鬼蓮の花弁へと変化する。
 散るようにして舞う花弁は、火雷大神たちを取り囲み、その動きを止める。
 翻弄するように、けれど自身は足を止めない。
 霊障が迫る炎を受け止めながら、それでも前に進む。
 確かに生命は疲れ果てる。
 疲弊もする。
 けれど、それでも安寧を与えんとした嘗ての『イザナミ』をオブリビオン化し、弄ぶことは『疾き者』たちにとっても許せるものではなかった。
 舞う八柱の火雷大神たちが放つ炎を鬼蓮の花弁が斬り裂く。

「桜と蓮。その共演と参りましょう」
『疾き者』は『デスリング総統』によって拓かれた『冥府の蛆獣』の道をさらにこじ開けるようにして鬼蓮の花弁を手繰る。
 この道行きの先にこそ、悲哀を止める手立てがあるのならば『疾き者』は己が瞳に宿したユーベルコードの輝きを一層鮮烈に輝かせ、続く者の道を拓き続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルカ・スィエラ
ハァ……勝手にしなさい。
アルカ・スィエラ……プロトミレス・コルヴィルクスL装備、出るッ!!

推力は抑えて後方に滞空、程々の距離を維持しつつ総統の後を進むわ
……偶々進行方向が一緒なだけよ。そう、偶々。

……その蛆虫はそっちでなんとかするんでしょう?なら……卵とやらはこっちが!
放たれる卵に対してルーナエ装備の分も含めた4門の『Gランチャー』、ステララディウス、ルーナグラディウス、ルーナエ装備のミサイルポッド、全兵装の一斉発射で迎撃する…!


視界に捉えさえすればこっちの攻撃は届く、それに、“味方”を巻き込むへまもしない…!!吼えなさい、ドラグレクス!
終わってしまった楽園の守護者に、私達の手で……眠りを!



「グロロロロ! このワガハイに投げられぬものなどないのである!」
 その笑い声にアルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)はため息をついた。
 呆れるくらいに暑苦しい声であったし、また嘗ては敵であったフォーミュラの一人である『デスリング総統』と轡を並べて敵と戦うことになるとは思いもしなかったからかもしれない。
「ハァ……勝手にしなさい」
「それは結構である! だが、猟兵よ。ワガハイに負けるつもりはないのだろう?」
「当然……アルカ・スィエラ……『プロトミレス』コルヴィルクスL装備、出るッ!!」
 その言葉と共に戦場に飛び出すのは、漆黒の大出力メガスラスターユニットの噴射光を撒き散らしながら飛ぶ。
 推力を抑えて滞空してはいるが、彼女は『デスリング総統』の背後を詰める。

「後ろは気にしないで。前に進みなさい」
「グロロロロ! 言われるまでもないのである!『冥府の蛆獣』はワガハイに任せるのである!!」
 唸るは『四次元殺法』。
 そう、『デスリング総統』はあらゆるものを『投げ飛ばす』ことができる。
 あらゆるものとは、例え尋常ならざる強固な鎧のような『冥府の蛆獣』であっても例外ではない、ということだ。
「やはり、なんという……!」
 膨れ上がった『冥府の蛆獣』が引き剥がされた奥にエンシャント・レヰス『イザナミ』の顔が見え隠れする。

 それほどまでに『冥府の蛆獣』たちは攻撃能力がなくとも、その膨れ上がった体躯でもって彼女を守り続けているのだ。
『イザナミ』が存在する限り、大地よりオブリビオンマシンを引きずり出し、侵食していく。
 そうなれば、小国家『グリプ5』は戦禍に沈むことになってしまうだろう。
「いけません!」
 その身より放たれるのは『冥府の蛆獣』の卵。
 それは砲撃のようにアルカの駆る『プロトミレス』へと迫り、その装甲を一撃で砕く。
 揺れる機体。
 一瞬で機体に飛び込んでくる卵をまえにアルカは舌打ちする。

「あまりにも一瞬すぎる! でも!」
 四門のGランチャーとミサイルポッド、機体に配された武装の全てが砲火を持って迫る卵を迎撃する。
「その蛆虫はそっちがなんとかするでしょう? なら……!」
「グロロロロ! 卵はまかせたのである!」
「ええ、そのつもり! ならやれるでしょ!」
 アルカの声と共に『デスリング総統』が走り出す。
 道を阻むようにして膨れ上がる『冥府の蛆獣』を引き剥がし、投げ飛ばし、そして迫る卵を悉くアルカは砲撃で吹き飛ばし、爆風の中を突き進む。

「まだ!?」
「もうすぐである! グロロロロ! 見えたであろう! 今が!」
 アルカの言葉に『デスリング総統』は『冥府の蛆獣』を引っ剥がし、投げ捨てる。
 その先にあったのは、『イザナミ』であった。
 はらはらと落ちる涙。
 それは生命が散らされることへの嘆きであったことだろう。
 故にアルカの瞳はユーベルコードに輝く。
「あなたはもう“見えている”……『ドラグレクス』!」
 転移してくる機龍『ドラグレクス』。
 その口腔の砲口に湛えられた光の一撃が『イザナミ』へと解き放たれる。
「終わってしまった楽園の守護者に、私達の手で……眠りを!」
 放たれた光条の一撃は、引き剥がされた『冥府の蛆獣』の孔を貫くようにして放たれ、『イザナミ』の腐敗した肉体を灼くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
蛆獣さん、こっちなのでっす。
投げること無くどぞどぞ卵をお渡しくださいなのでっす!
危険物でっすので総統さん、骸の海送り、よろしくなのでっす!
イザナミのおねえさんがぽかんとしてるやもでっすがー。
卵の供給対象を藍ちゃんくんに変えさせてもらったのでっす!
供給先だけではないのでっす!
今や蛆獣さんは藍ちゃんくんの追っかけなのでっす!
取り巻き先や閉じ込め先もおねえさんから藍ちゃんくんにお引越し!
ぞろぞろやってくるところを総統さん、よろしくなのでっす!
できれば蝕み先もおねえさんから藍ちゃんくんに変えたいとこでっすがー。
当然、総統さんに投げてもらいますが。
解放して差し上げたいのでっす。



 空より放たれた光条の一撃が『冥府の蛆獣』という鎧を引き剥がされたエンシャント・レヰス『イザナミ』の腐敗した肉体へと叩き込まれる。
 身を灼く光条。
 だがしかし、未だに『イザナミ』は痛みにではなく、他の生命が散る可能性に涙を流していた。
「ああ、やはりまだ……妾を止められぬか。この腐敗した身こそがオブリビオンたる烙印……妾の身は確かに徐々に弱まっているが……」
 しかし、未だ力は健在なのだ。
 彼女の嘆きとは裏腹に、その身寄り溢れる『冥府の蛆獣』たちは膨れ上がり、今再び彼女を鎧うのだ。

「グロロロロ! なんとも切りが無いのである! だがしかし!」
『デスリング総統』の言葉に紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)はにっこり笑顔で頷く。
 どんなに悲嘆極まる状況であっても笑顔は忘れない。
 どんなに絶望に染まる者がいるのだとしても笑顔を見せる。
 それが藍にとって譲れぬことであった。
「藍ちゃんくんでっすよー! 蛆獣さん、こっちなのでっす」
 瞬間的に放たれる藍への『冥府の蛆獣』による卵の砲撃。
 それは凄まじい勢いで藍に迫る。
「おっと、させないのである!」
 そこに巨大な掌が遮り、蛆獣の卵を骸の海へと投げ飛ばす『デスリング総統』。
 インターセプトが過ぎる。

 だが、藍は笑むのだ。
「ふふん、余所見厳禁! 皆々様、藍ちゃんくんだけを見てくださいなのでっすよー!」
 そう、藍の瞳がユーベルコードに輝いている。
 藍は最高のパフォーマンスを見せている。
「まさか、その笑顔そのものがユーベルコードだとでも?」
「その通りなのでっすよー! 最高のパフォーマンスとは即ち、誰かに向けられた笑顔なのでっす。そして、藍ちゃんくんの笑顔は、藍は盲目(アイキャッチ)と呼ぶのに相応しいのでっす!」
 ウィンク一つで『冥府の蛆獣』たちは藍へと卵を乱射する。
 その全てを『デスリング総統』が投げ飛ばし、悉くを届かせないのだ。

「おやおや、今や『冥府の蛆獣』さんたちは藍ちゃんくんのおっかけなのでっす! 取り巻き先や閉じ込め先も『イザナミ』おねえさんから藍ちゃんくんにお引越し!」
 藍の笑顔に引き寄せられるようにして湧き上がる蛆獣たちが殺到する。
「グロロロロ! 無限に湧き出すのならば、無限に引き付ければいい。考えたであるな、猟兵!」
「ふっふーん、その通りなのでっす! でも」
 そう、藍は『イザナミ』を解放したいと思っていた。
 あの湧き上がる『冥府の蛆獣』こそが『イザナミ』をオブリビオン化してなお蝕むものであるのならば、彼女の涙を笑顔に変えたいと思ったのだ。
「ありがとう、優しき心ある者よ。命あるものよ。それ故に加減は無用です」
『イザナミ』の言葉に藍は頷く。
 解放はできない。
 なら、少しでも早く終わらせてあげなければならない。

「なら、此処から先はなおのことよそ見厳禁なのでっすよ-!」
 彼女の望みは叶える。
 最も良い形で。それを成すために藍はとびっきりの笑顔で、その腐敗した身より湧き出すようにして出現する『冥府の蛆獣』を引き付け、他の猟兵たちの道筋を切り開くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

葛城・時人
引きずり出されたオブリビオンは
大体望まない事させられてるね…
しかも俺の世界の国生みの女神と同じ名前

どれだけ助けたくても自由にしたくても
届かない事が悔しい

だけど此処には今、強大な力持つもののふが居るから
一時的でも還す事だけは出来る

「デスリング総統!猟兵の葛城だ」
最高のレスラーと肩を並べられて嬉しいよと声を掛け
でも膂力が優れても限界あるからと伝えて
UC白燐大拡散砲詠唱

「迎撃は俺が受け持つ!あと癒すから!」
全力で征って!と

防御が無限でも俺の蟲も無限同様!
「ククルカン!防いで!」
相殺で減ったら即時高速詠唱
更に多重詠唱を重ねて

攻撃を防ぎ切り総統も俺も無事なら
必ず最後の一撃が通る!

涙も嘆きも止めてみせよう



 エンシャント・レヰス『イザナミ』の体は腐敗している。
 それは彼女がオブリビオン化したという証明であり、身を包み込む『冥府の蛆獣』は、彼女を囲うようにして膨れ上がっている。
 その防御の強固さは言うまでもない。
 葛城・時人(光望護花・f35294)は知っている。
 引きずり出されたオブリビオンはいつだって望まぬことを強いられている。
 過去に歪むということは、これまでに救いのないことなのか。
 痛烈なる心の痛みが、そう思わせる。
「しかも、俺の世界の国生みの女神と同じ名前……『イザナミ』……」
 どれだけ透けたくても、自由にしてあげたいと思っても、届かないことが悔しいと時人は思う。

「いいえ、己の無力を恥じることはありません。妾を思ってくれたこと、それだけでいいのです。ですから……」
 猟兵によって惹きつけられ、『デスリング総統』によって引き剥がされた『冥府の蛆獣』、その完全ではないが多くが脱落した向う側に時人は『イザナミ』の姿をみただろう。
「わかっているよ。悔しくても、それでもやらないといけないことは」
 だから、と時人は、そのをユーベルコードに輝かせる。
「此処には今、強大な力を持つもののふが居るから。一時的でも還すことだけは出来る。『デスリング総統』! 猟兵の葛城だ」
「グロロロロ! わざわざ名乗るとは、なんともベビーフェイス向きよ! ならばヒールらしくワガハイは行こうではないか!」
 時人は僅かに笑む。
 余談を許さない状況ではある。

 けれど、それでも頼もしさのほうが勝るのだ。
「最高のレスラーと肩を並べられて嬉しいよ」
「グロロロロ! よくわかっているではないか」
「でも、膂力が優れていても限界があるから……」
「問答無用である! お前が救いたいと願った者がいるのだ。ならば、ワガハイを利用しつくすくらいの……はできぬのであろうな。その甘さ、ワガハイ嫌いではないがな! 故に、背中を任せてもよいか!」
 その言葉に時人は頷く。
 力強く頷き、その瞳に輝くユーベルコードと共に白燐大拡散砲(ビャクリンダイカクサンホウ)の一撃を解き放つ。

 それは天の川が地上に出現したかのような白燐蟲の大群。
 走る白燐蟲はまるで蛇行する川の流れのように、蛇のように、竜のように戦場を駆け抜けていく。
 そのさきを征くのが『デスリング総統』であった。
 彼が次々と『冥府の蛆獣』を投げ飛ばし、白燐蟲の道を作り上げているのだ。
「全力で征って!」
「無論である!」
 迫る蛆獣の卵。砲撃のように時人に叩き込まれ、生命力を奪われる。
 だが、その奪われた生命力を補うように白燐光が見を包みこんでいく。
「ククルカン!」
「グロロロロ! 猟兵よ、切り開いたぞ!」
「サンキュ! だったら、俺だって!」
 時人は飛び込む。
『デスリング総統』が切り開いた道の先には、未だ涙を流す者がいる。嘆きに暮れる者がいる。
 なら、自分がすべきことは一つ。
「涙も嘆きも止めてみせよう!」
 放たれる白き蟲たちの奔流。その一撃が、『冥府の蛆獣』引き剥がされた『イザナミ』へと叩き込まれるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ゼロ・ブランク
イザナミちゃん、泣かないで?
その綺麗なお顔が台無しになっちゃうよぉ。
身体に蛆が湧いちゃっているのもモゾモゾしちゃうね、待っててね、アタシとデスリング総統で綺麗にしてあげるからねぇ~~!

デスリング総統とタイミングを合わせて、UCを発動、スプレー缶で黒い雷を描いて攻撃するよぉ!
蛆が払われた部位に狙いを定めてビリビリささちゃう!

【第六感】で攻撃を察知して【ダッシュ】で避けるよ
攻撃を受けたら、UCの回復効果を使用
スプレー缶で医薬の神『少名毘古那神』を描いて、治療してもらっちゃおうかな~~!

デスリング総統がヒールなら、アタシはベビーフェイスかなぁ?
一緒に戦えて光栄だったよぉ!



 はらはらと落ちる涙は痛みによるものではなかった。
 猟兵たちのユーベルコードは確かに苛烈。
 けれど、エンシャント・レヰス『イザナミ』の瞳よりこぼれ落ちる涙は枯れることはなかった。
 痛みに喘ぐのならば、その涙はとうに枯れ果てただろう。
 けれど、彼女が涙を流すのは、生命が己が力によって散ることを嘆くのだ。
「ああ、妾の肉体がオブリビオン化していなければ、このようなことにはならなかったというのに……・オブリビオン化してもなお妾に従う火雷大神たちよ。それでも妾を守らんとするか」
 彼女は涙をこぼし続ける。

 そこには悲哀と悲嘆しかなかった。 
 だからこそ、ゼロ・ブランク(スリーオーブラック・f42919)は『冥府の蛆獣』に覆われていく『イザナミ』を見上げた。
「『イザナミ』ちゃん、泣かないで? そのきれいなお顔が台無しになっちゃうよぉ」
 ゼロの言葉に『イザナミ』は頭を振る。
 どうしようもない悲しみだけが戦場に満ちている。
「妾の肉体は楔とされようとしています。この世界に戦乱満たし、生命を散らさんとする悪意によって。だから」
「うん、わかるよ。体に蛆が湧いちゃってるのも、モゾモゾしちゃうね。待っててね、アタシと」
「ワガハイが!」
 ゼロに並び立つ『デスリング総統』が笑う。
 特徴的な笑い声にゼロは頷いた。
「そうだよ。綺麗にしてあげるからねぇ~~!」
 二人はタイミングを示し合わせたように飛び出し、互いのユーベルコードを発露する。
「『デスリング総統』がヒールなら、アタシはベビーフェイスかなぁ?」
「グロロロロ! そのとおりである。ワガハイはヒールが最も似合うのである!」
 そんなやり取りは他愛のないものであったかもしれない。
 けれど、ゼロは思うのだ。
 共に戦えること。嘗ては敵同士であったが、試合が終わればノーサイド。
 それを地で行くプロレス・フォーミュラと肩を並べた戦えることが光栄に思えてならなかったのだ。

「『デスリング総統』! 頼んだよ!」
「グロロロロ! 任せておけ! このワガハイに投げられぬものなどないのである!」
 その四つの腕、掌が『冥府の蛆獣』を捉えた瞬間、膨れ上がった体躯は何処かへ……いや、骸の海へと投げ捨てられる。
 そう、『デスリング総統』の『四次元殺法』はいかなるものを骸の海へと投げ放つ無法の技。
 これによって本来ならば引き剥がせぬ『冥府の蛆獣』すらも『イザナミ』の体躯から引き剥がすのだ。
 だが、『イザナミ』の体躯から飛び出すのは『冥府の蛆獣』だけではない。
 八体の火雷大神たちがゼロへと迫る。
「おっと、ビリビリシビれるアート、描いちゃうよぉ♪」
 ビリビリ!イラスト描写術(ビリビリオアキラキラ)によって描かれたスプレーアートが黒い雷へと変貌し、火雷大神たちと撃ち合う。
 さらに黒い雷は『デスリング総統』によって引き剥がされ、あらわになった『イザナミ』へと飛び込んでいく。

「も~ちょっと我慢してねぇ! 」
 迸るスプレー缶からゼロの思うアートが炸裂する。
 自由に。
 どこまでも自由に羽ばたくはこころの翼。
 ゼロの中にあるグラフィティへの情熱こそが、黒い雷の威力を底上げするように『イザナミ』へと降り落ちる。
 その一撃は、彼女の悲哀をこそ塗りつぶすものになればいい。
 そんなふうにゼロは思いを込めて、スプレー缶のトリガーにかかる指の力を強めるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ハル・エーヴィヒカイト
アドリブ連携○
承知した。互いに邪魔にならないように戦うとしよう
巨神キャリブルヌスに[騎乗]
UCを発動し高速で飛行しながら、[霊的防護]を備えた刀剣を[念動力]で操り
投擲された卵がこちらに到達する前に[受け流し]ながら[カウンター]で剣翼を撃ちこんでいく
[気配感知]により常に総統の動きは把握
彼が蛆獣を吹き飛ばした隙間に追撃したり、反対方向から同時に攻撃したり勝手に連携技を叩き込んでいこう



 猟兵たちと『デスリング総統』の見せるコンビネーションは即席なるものであったとしても、迫る『冥府の蛆獣』を退ける力を持っていた。
 膨れ上がり続ける『冥府の蛆獣』は攻撃でなく、防御に割り振ったような堅牢さを持ち、エンシャント・レヰス『イザナミ』を再び覆い隠していた。
「グロロロロ! まったくもって面倒な能力である! 引き剥がした傍から湧き出してきてはふくれあがるのである! 猟兵よ、やはりここは役割分担がよいだろう!」
『デスリング総統』の言葉にハル・エーヴィヒカイト(閃花の剣聖・f40781)は頷く。
 巨神『キャリブルヌス』を駆る彼は、『イザナミ』を覆っていく『冥府の蛆獣』の面妖さに顔をしかめた。
 だが、やるしかないのだ。
「承知した。互いに邪魔にならぬように戦うとしよう」
「グロロロロ! 無論よ! 蛆獣引き剥がすのは任せよ! ワガハイであれば、何も問題はないのである!」

 四つ腕が振るわれ『イザナミ』を覆う蛆獣が容易く引き剥がされていく。
「なんという……」
 桁外れの能力。
 彼の『四次元殺法』は、骸の海へとあらゆるものを投げ飛ばすもの。
 恐るべき力だ。
 これと敵対して猟兵たちは打倒してきたという事実がある。
 それ故にこれほど頼もしいこともないだろう。
「負けてはおられぬ。羽ばたき、舞い踊れ剣」
 ユーベルコードに煌めくアイセンサー。
 そして、機体が一気に飛翔する。
 加速した機体は、空気の壁をぶち抜く轟音を立てながら『冥府の蛆獣』に覆われた『イザナミ』へと肉薄する。

 しかし、放たれる卵は砲撃のように重たく、また機体を傾がせる。
 揺らぐ機体であったが、しかしハルは立て直すように制御して己が身、その内なる世界から具現化した六枚の剣翼を解き放つ。
「散れ、絶技・天翼崩陽刃(ゼツギ・テンヨクホウヨウジン)ッ!」
 放たれる嵐のような斬撃と羽根の弾幕。

 それらが一瞬にして迫る砲撃の如き蛆獣の卵を撃ち落としていくのだ。
「グロロロロ! 今だ猟兵よ! 見えたぞ!!」
「そこか!」
 ハルは白き蛆獣たちの奥に一点、はらはらと涙を流し落とし続ける『イザナミ』の姿を認める。
 放たれる斬撃。
 それは引き剥がした蛆獣をこじ開けるようにしてオブリビオン化いた『イザナミ』へと叩き込まれた。
 だが、まだ浅い。
「まだ、です……猟兵よ。妾の体は……」
「無論! 合わせよ、『デスリング総統』!」
「グロロロロ! 無茶を押し通すのがワガハイである!」
 唸る四つ腕。
 さらに引き剥がされる蛆獣。
 その間隙をぬうようにしてハルは『キャリブルヌス』と共に剣翼の交錯する斬撃を持って、『イザナミ』へと叩きつけるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
イクシア(f37891)と

|伊弉冉《イザナミ》女神も酷い有様だこと。そんな姿を晒さないといけないのは、同じ女として同情するわ。
デスリング総統、蛆獣の処分任せるわね。よろしく!

「式神使い」で『鎧装豪腕』を顕現。「怪力」で女神の身体に張り付く蛆獣を剥ぎ取って、デスリング総統に投げ渡して。それで片が付く。
蛆獣が再び覆い尽くす前に、「全力魔法」雷の「属性攻撃」「電撃」「天候操作」「仙術」で、肌が露出した部分に十字天経!
雷霆を使うのはあなたの眷属だけじゃないのよ。

サクラエリュシオンの影響は「環境耐性」と「継戦能力」を込めた符で対抗。頽れるその時まで、全力を維持する。イクシアとデスリング総統もこれ使って。


イクシア・レイブラント
ゆかりさんと(f01658)
そうね。せっかくの美人さんなのだから、無粋な鎧からは解放してあげないとね。
もちろん今日のゆかりさんも素敵。呪符を借りるよ。
呪符とバリアによる[呪詛耐性、環境適応、継戦能力、限界突破]で
サクラエリュシオンの消耗に耐え、
総統が切り開いた進路を[空中機動]で縫うように接近。
手にするは紅桜。【融合切除】でイザナギから蛆獣を因果ごと切り離し[推力移動]で離脱。
渾身の一手はゆかりさんに託す。

オブリビオンとの共存。
隔てる壁も埋められない溝もあるものだけど、今はそれを信じる。
共闘できることを誇りに思うよ、総統。
イザナギさん。いつかあなたとも手を取り合うために、今は戦うよ。



「|伊弉冉《イザナミ》女神も酷い有り様だこと」
 村崎・ゆかり(“紫蘭”/黒鴉遣い・f01658)はクロムキャバリア世界に現れたエンシャント・レヰス『イザナミ』の姿を認め、眉根をひそめた。
 白き蠢動。
 それは膨れ上がる蛆。
 オブリビオン化した肉体を示すように腐敗した肉体からは常に『冥府の蛆獣』が湧き出し続け、その身を覆い隠すように膨れ上がっている。
 それ自体が堅牢。
 故に猟兵のユーベルコードで引き剥がすことは困難を極めた。
 それ故に『イザナミ』は、このクロムキャバリアに楔として打ち込まれたのだ。
 大地を侵食する『冥府の蛆獣』はオブリビオンマシンを引きずり出し、小国家さえも飲み込まんとしている。

「そんな姿を晒さないといけないのは、同じ女として同情するわ」
「そうね。ちらと見えたけれど、せっかくの美人さんなのだから、無粋な鎧から開放してあげないとね」
 イクシア・レイブラント(翡翠色の機械天使・f37891)は頷く。
「勿論、今日のゆかりさんも素敵」
「あら、ありがと。それじゃあ、呪符を持っていてね」
 ゆかりの瞳がユーベルコードに輝く。
『イザナミ』のユーベルコードは『冥府の蛆獣』に由来するものばかりではない。
 そう、彼女は元は一つの世界を統治していた存在。
 今はなき『サクラエリュシオン』。
 その力を発露し、ゆかりたちの活力を奪わんとしているのだ。

 ただそこに存在しているだけで活力を奪う力は恐るべきもの。
 故にゆかりは、イクシアに呪符を手渡し、環境に対する耐性を底上げして対抗しようとしていたのだ。
「行ける? イクシア」
「勿論だよ、ゆかりさん、いくよ!」
「そっちもいいわね?『デスリング総統』!」
「グロロロロ! 任せておくのである! この程度のラウンド、屁でもないわ!」
 ゆかりの言葉に『デスリング総統』が力強く頷く。
 これまで多くの猟兵たちと共に戦ってきた『デスリング総統』。彼の疲弊は即ち、猟兵たちの敗北を意味する。
 
 故に心配したのだが、無用であったように彼は『四次元殺法』でもって『冥府の蛆獣』を引き剥がしていくのだ。
「まったく、とんでもないわね」
「でも道は開けたよ!」
 イクシアとゆかりは『冥府の蛆獣』が引き剥がされたことによって生み出された活路を征く。
 突っ切るようにユーベルコードの光を宿した二人の瞳が残光を戦場に刻む。
「ぐっ、くっ!『鎧装剛腕』でも引き剥がせないッ!」
 ゆかりは、引き剥がそうとして『イザナミ』を覆う『冥府の蛆獣』が己を取り込まんと膨れ上がるのをみただろう。
 そこに飛ぶは『デスリング総統』の四次元殺法。
 四つ腕は、多彩に技を繰り出し、容易く骸の海へと『冥府の蛆獣』を投げ飛ばすのだ。
「蛆獣は任せるのである! その力、温存し、引き剥がしたそこへと叩き込むのである!」
 その言葉と共に鎧うような『冥府の蛆獣』の奥に『イザナミ』の姿が見える。

「今である!」
「対象内部に異物を検知。切除開始。融合切除(フュージョンブレイカー)!」
 イクシアの瞳がユーベルコードに輝く。
 因果事象の修復力。
 それによって手にした『紅桜』が『イザナミ』から引き剥がしきれなかった『冥府の蛆獣』の結合を解き放つ。
 だが、すでにオブリビオン化した体躯。
 腐敗は刻印。
「よいのです、妾のことは」
「でも、私、信じる」
 イクシアは『デスリング総統』とがそうであったことを誇りに思う。
 例えフォーミュラであっても、共に戦うことができることを今まさに目にしているのだ。

 もしかしたら、とイクシアは思うのだ。
 そんな未来が『イザナミ』にも訪れるかもしれない。
 もしも、その時がきたのなら。
「いつかあなたとも手を取り合うために」
「ええ、行くわよ。九天応元雷声普化天尊! 疾っ!」
 ゆかりのユーベルコードが炸裂する。
 振り落とされるは、周囲を染めるほどの雷撃。
 その白い閃光の中に、二人は訪れるかもしれない未来を見たのかもしれなかった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

なに「御存知!」みたいな感じで言ってるんですか、
確かに名物みたいなものですけども。

……どろり濃厚エイル味で滾るのはステラさんだけですよ。
|他のメイドさんを巻き込まないですください。
そろそろクレーム来ますよ?

って、いくら香りが濃厚だからって、テンション上がりすぎで……。
わかりましたよぅ。かもん、ソナーレ!

わたしの練乳の残弾なんていつもぎりぎりですのに。

でもまだちょっと余裕がある感じですね。(ぶらーん)
たぶんデスリング総統のおかげです。
でもせっかくいいお名前なんですから、
ここは笑い声を「デスススス」とかにしてほしいところですね。

って、結局バンジーですか!?
あーもー。このままいきまーす!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》のー!!
香りがしまぁぁぁぁぁぁぁぁすっ!!!!
はいっメイドのステラ参上しましたっ
はーもー(はーと)
久しぶりに濃厚なエイル様の香り
これで滾らないメイドがいるでしょうか、いやいない!
というわけでルクス様はりあっぷ!
練乳の残弾は十分ですか?

サツキ様とパッセンジャー様も頑張っておられます
この隙に私たちは親玉を討ちます!!

フォル、いらっしゃい!(鳥型キャバリア呼び寄せ

狙いは1つ
デスリング総統が切り開いた進路
空を駆ける事で!私たちが負けるわけには!
【テンペスタース・クリス】突撃行きます!
ルクス様のソナーレは足の爪でがっちりと抱えまして
着弾地点でぽーい
トドメはお任せしました!



 やっぱりご存知と思われるかもしれないが、一応いっとこう。
「|『エイル様』《主人様》のー!! 香りがしまぁぁぁぁぁぁぁすっ!!!」
 それは強烈な叫びであった。
 天地をひっくり返すような声であり、叫び声であり、雄叫びであった。
「はいっ、メイドのステラ参上しましたっ。はーもー(はーと)」
 よくわからん感じでステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は戦場に降り立つ。
 いつもよりも濃厚な香り。
 それがステラを滾らせる。
「これで滾らないメイドがいるでしょうか、いやいない!」
 強烈な言い切りである。
 それ故にルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は、いつもどおりに突っ込むのだ。
 というか、そうするしかない。
 しなければ、世界のメイドたちにあらぬ風評被害が飛ぶことが懸念されていた。

「なに『ごぞんじ』みたいな感じで言ってるんですか、確かに名物みたいなものですけども」
 そんな名物ってある?
「あるのかもしれません。どろり濃厚『エイル』味で滾るのはステラさんだけですけど」
「いいえ、どんなメイドだって滾るに決まっております! わかりますでしょう、この濃厚な香り! すぐそこにいらっしゃるのでは!?」
「わかりませんて。そろそろ他のメイドさんたちから巻き込まれたってクレームが来てしまいますよ」
 それはそう。
「というわけでルクス様、はりあっぷ! はりはりはりーあっぷ! 練乳の残弾は十分ですか!?」
「って、いくら香りが濃厚だからって、テンションあがりすぎではないでしょうか」
 ルクスはドン引きであった。
 いつもドン引きであるが、今日は殊更にドン引きである。
 一時期薄い薄いと言っていた反動が此処ででたのかもしれない。
 迷惑な話である。

「はりあっぷ!」
「わかりましたよぅ。かもん、『ソナーレ』!」
「御子息『サツキ』様も、『パッセンジャー』様もあちらで頑張って居られました。この隙に私達は親玉を討ちます!」
「言ってることは、なんていうかまともなんですけどねぇ……」
 ステラは『フォルティス・フォルトゥーナ』に乗り込み、一気に戦場を横断する。
 ルクスの『ソナーレ』とドッキングすることで、『デスリング総統』が切り開いた道を一気に飛び、肉薄するのだ。

「グロロロロ! 来たか!」
『デスリング総統』は四つ腕により繰り出される『四次元殺法』でもって『冥府の蛆獣』を引き剥がし続けている。
 蛆獣は膨れ上がることによって圧倒的な強固、堅牢さを持つ。
 故に猟兵たちは攻めあぐねていたし、引き剥がされあらわになったエンシャント・レヰス『イザナミ』へとユーベルコードを叩き込んできた。
 それでもなお、彼女は滅びない。
 例え、彼女が己の滅びを望んでいたとしても、オブリビオン化したことにより、彼女yはその意志に反して世界を、生命を散らさんとするのだ。

「わたしの練乳の残弾なんていつもぎりぎりですのに。でも、余裕がある感じですね。『デスリング総統』のおかげです。でも、せっかくいいお名前なんですから、ここは笑い声を『デスススス』とかにしたらどうでしょう!」
「ふむ、わからんでもないが、検討しておこう! グロロロロ!」
 その声に『デスリング総統』は盛大に笑う。
 そして、引っ剥がした先に『イザナミ』の姿を捉えた瞬間、ステラは己が纏う風の盾を引き剥がされ、こじ開けられた『冥府の蛆獣』たちの間に食い込ませ、『ソナーレ』を落とすのだ。
「やっぱり!」
「むしろ、これが最も有効的な戦い方です!」
「ええい、もーあーもー! このまま! La Campanella(ラ・カンパネラ)です!」
 振り上げたグランドピアノの物理的な一撃。
 単純な重さこそが正義であるというようにルクスは、その一撃を『イザナミ』に叩き込み、消耗させるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エドゥアルト・ルーデル
死闘を繰り広げた者同士はリスペクト精神が生れるからな
1対2の変則タッグマッチですぞ!コンビ名はヤークトボンバーズでござるよ

活力を奪われる?結構じゃないの
ギリギリでヒリつくほど野生の本能とハジケる魂が呼び起こされ更なる力が生れるでござる…これぞ|業火のクソ力《ボワァ》!

デスリング総統氏に合わせて適時カットを入れていこうぜ!こちとらヒールでござるからな!容赦ない残虐ファイトだ!
そして空中に投げ出されたら追撃の|必殺技《フェイバリット》!背中側から手足を固め!強力な回転を加えながら地面に叩きつける!
これぞナパーム弾のように全てを焼き払うが如くオブリビオンを地獄へ送る一撃…ナパーム・ストレッチーッ!!



 嘗て、アスリートアースにおけるオブリビオン・フォーミュラの一柱であったのが『デスリング総統』である。
 今もなお、プロレスフォーミュラとして君臨していることは言うに及ばず。
 されど、世界をまたぎ、クロムキャバリア世界にてエンシャント・レヰス『イザナミ』の脅威に共に立ち向かっているのもまた彼なのだ。
 彼の四次元殺法なくば、身を覆う堅牢なる『冥府の蛆獣』を引き剥がすことはできなかっただろう。
 それほどまでに『イザナミ』はあまりにも強大な存在だったのだ。

 だがしかし、今此処に活路が拓かれている。
「死闘を繰り広げたもの同士はリスペクト精神が生まれるからな」
 エドゥアルト・ルーデル(黒髭・f10354)は、突如この世界に現れた知らないおっさんである。誰なの? 誰も知らないの。知られちゃいけないのである。
 とは言え、そんな彼とタッグを組むのに躊躇いを持たないのが『デスリング総統』である。
 そもそもエドゥアルトの言う通りだ。
 死闘を繰り広げたもの同士が持ち得るシンパシー。
 それによって死闘の結末がどうあれ、そこにはある種の友情めいたものが生まれるのだ。
「一対ニの変則タッグマッチですぞ!」
「グロロロロ! 不足なしである! 共にゆこうぞ!」
「あ、コンビ名はヤークトボンバーズでよいでござるな?」
「グロロロロ! 是非もなし!」
「ならば征くでござる……よ? あれ、なんか体がだるいのでござるが?」
 エドゥアルトは己の膝が笑っている事に気がついた。
 このエドゥアルトが恐怖しているだと? 違う。単純に『イザナミ』のユーベルコードのせいである。

 彼女のユーベルコードは、この世界に失われし世界『サクラエリュシオン』を顕現させる。
 それによってエドゥアルトは活力を奪われているのだ。
「なんの結構じゃないの! ギリギリでひりつくほどの野生の本能とハジケる魂が呼び起こされ、さらなる力が生まれるでござる……これぞ|業火のクソ力《ボワァ》!」
 なんか炎が吹き荒れる。
 まさしくやりたい放題過ぎる人。
 それが、無法の荒業(ヤベーヤツ)! 剛腕エドゥアルトの力の見どころである。
「カット、カット、カットでござるよー! こちとらヒールコンビ! 容赦のない残虐ファイトでござる!」
「グロロロロ! いくぞ猟兵!」
『冥府の蛆獣』をぶん投げた『デスリング総統』の言葉と共にエドゥアルトは飛ぶ。

 そのぺっかーと輝く謎の目に優しくな光。
 もうなんでもやりたいほうだいである。
 シリアス? ギャグ? そんなもんで拙者をくくるんじゃあねぇ! 他人を定義するのは基本クソヤローのやることでござる!
 地の文にまで侵食しかけるエドゥアルトの溢れる侠気!
 全員が思った。
 コイツにはツッコまなきゃ、どこまでも行くやつである、と!

「ほんじゃまいくでござる! ほりゃー!」
 エドゥアルトは『イザナミ』を『冥府の蛆獣』より引っ剥がして放り投げ、空中で掴み上げる。
「妾に何を」
「決まっておろうが! これぞナパーム弾のように全てを焼き払うがごとくオブリビオンを地獄へ送る一撃……ナパーム・ストレッチーッ!!」
 炸裂する炎。
 もうやりたい放題すぎるエドゥアルトは、『イザナミ』を大地に叩きつけ、カメラ目線でばちこんとウィンクして決めるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
ひとまず利剣を抜いて、試しにその辺りの蛆獣を斬ってみる
……斬れない事はないが、こいつら全員を乗り越える頃にはイザナミに回す力が残らない
というか、敵のUCの影響まで考えれば、そもそも辿り着けない可能性すらある

ま、適材適所という言葉もある。蛆獣の相手はデスリング総統に任せるとしよう

まさか途中で力尽きたりしないよな?と軽口を叩きつつ
俺はギリギリまで力を温存させてもらって

辿り着いたらお疲れの総統にはすまないが、もう一つだけ頼まれてもらおう
俺をイザナミの上空まで投げてもらう

体力を削られたなら別の力も使うのみ。空中で神刀の封印を解き。高所からの落下の勢いをも込めて
肆の秘剣【黒衝閃】を全力で叩き込む



 手にした利剣の刃が蠢く『冥府の蛆獣』へと叩きつけられる。
 硬い感触が腕に伝わる。
 物理的な防御で言うのならば、それは堅牢にして強固であった。
 夜刀神・鏡介(道を貫く一刀・f28122)は、なるほど、と理解する。
 己が斬撃では、この『冥府の蛆獣』を斬り裂くことはできないのだろう。ユーベルコードであれば、斬り裂くこともできなくはないが、効率が悪すぎる。
 加えて、この状況である。
「これが滅ぼし世界『サクラエリュシオン』か」
「そのとおりです。妾の世界、失われた世界……安寧を求める者をいざなう楽園。それが『サクラエリュシオン』……ですが」
 今は違う。
 エンシャント・レヰス『イザナミ』は、はらはらと涙を流す。
 刻まれた猟兵たちからのユーベルコードの傷が痛むからではない。

 ここまで追い詰めてなお彼女を覆っていく『冥府の蛆獣』によって自ら滅びることもできぬことを憂いているのだ。
「やはり、妾を完全に滅ぼさねば、この蛆獣共は侵食をやめないのでしょう」
「ならば」
「グロロロロ! 任せるのである!」
 再び身を覆っていく『冥府の蛆獣』を『デスリング総統』は四次元殺法』でもって引き剥がしてく。
 容易く、それこそ投げ飛ばすだけで骸の海へと返していくのだ。
 恐るべき力。
 だが、それでも鏡介は助かる、と思ったし、適材適所であるとも思えた。
『デスリング総統』だけでは蛆獣を引き剥がすだけだ。
 決定打がない。

 なら、自分たちが決定打にならねばならない。
 その証拠に『イザナミ』はユーベルコードに寄って消耗しているのだ。
「まさか途中で力尽きたりはしないよな?」
「面白い冗談である! このワガハイ、何ラウンドでも戦い抜くことのできるレスラーであるぞ! グロロロロ!」
「任せた」
 鏡介は集中する。
 構える。
 その一刀は、渾身の力を込めるもの。
 故に、刮目した瞬間、『デスリング総統』は全てを理解したように鏡介の体を四つ腕でもって掴み上げる。
「ゆけい! 猟兵よ!」

 その言葉と共に鏡介が投げ飛ばされる。
 行先は骸の海ではない。
 空中。
 高く飛び上がった鏡介は見下ろす。引き剥がされた蛆獣たち。 
 その合間に見えるは『イザナミ』の体躯。
「神刀解放。剛刃に依って地を穿つ――肆の秘剣【黒衝閃】」
 神刀の封印を解き、その落下の勢いを乗せたユーベルコードに寄る斬撃。
 それは地を穿つ一撃であり、凄まじい衝撃を証明するように衝撃波が大地を砕く。
 その一撃をもって鏡介は『イザナミ』をさらなる消耗へと押しやる。
 滅びてなお、他の世界を滅ぼす尖兵とされる嘆き。
 それを止めるためにこそ、己が刃はあるのだと示すのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳥羽・弦介
またすげぇのがいんな!とはいえ今は驚いてる場合じゃねぇ!
オブリビオンマシンとはちげぇが、てめぇの意に反して、あれこれやらせてんのは同じだ!
だったらよ、全部吹き飛ばしてやらぁな!!

回点号【操縦】『サイキックストーム』発動!
超能力嵐を吹き荒らし、蛆獣の卵を羽根型斬撃波で【切断】
そんでもってデスリング総統の動きを高速化!
大量の蛆獣が引っぱがれた所へ、ウィングブースターとメガスラスター【推力移動】

たたっ斬る!おおおおお!!!!

斬艦刀形態BX変形フォースサーベルをイザナミに叩き込み、
【念動力】をありったけ刀身に込め【限界突破】深く、より深く斬りこみそして、念動爆砕!刀身を爆発させて追撃ぶち込む!



 大地が砕ける。
 それは猟兵の一撃がエンシャント・レヰス『イザナミ』へと叩き込まれたものであり、また同時に『イザナミ』の力の強大さを示すものであった
 砕けた大地の上にふらつく『イザナミ』。
 されど、腐敗したオブリビオン化を示す刻印の如き体躯より溢れ出すのは『冥府の蛆獣』。
 白き蛆は膨れ上がり、即座に彼女を覆い隠していく。
「ああ……これでもなお、妾は滅することがない……なんということでしょう……」
 その姿を認め、鳥羽・弦介(人間のキャバリアパイロット・f43670)はキャバリア『回天号』のコクピットで呻く。
「またすげぇのがいんな!」
 とんでもない、と言ってもいい。

 これだけの猟兵のユーベルコードを叩き込まれてなお、『イザナミ』は力を振るう。
 身寄り溢れる『冥府の蛆獣』たちは、一斉に『回天号』を認め、その卵に寄る砲撃を行ってくるのだ
 装甲がひしゃげる。
 一瞬で彼我の距離を詰めるような卵の一撃は機体を傾がせた。
「チッ! オブリビオンマシンとはちげぇが、てめぇの意に反して、あれこれやらせてんのは同じだ! 許せねぇよ! 許せるわけがねぇ! ああ、そうだろう! だったらぁ!!」
 弦介の瞳がユーベルコードに輝く。
 意思が宿っている。
 反骨心と言ってもいい。
 誰かに何かを強制されること。 
 それがどうにも許せない。
「全部ふきとばしてやらぁな!!」
 吹き荒れるはサイキックストーム。

 戦場に満ちる嵐は、『イザナミ』へと吹き荒れる。
「そこの四つ腕のデカブツ!」
「ワガハイのことであるか! グロロロロ!」
「そうだよ、他にいるかよ! あの蛆を引っ剥がせるんだろう! なら!」
「グロロロロ! 任せるのである! 都合の良いことに風が吹いているのである! この四次元殺法をとくと目に焼き付けるがいいのである!」
 炸裂する四つ腕から繰り出される投技。
 その尽くが『冥府の蛆獣』を引き剥がし、投げ飛ばしていくのだ。
 溢れるように、堅牢な鎧のように『イザナミ』を囲っていても関係ない。まるで無法のように『デスリング総統』は蛆獣を引き剥がし続けた。

「すっげぇな……ありがとな! おかげで見えたぜ!」
 弦介は『回天号』と共に一気に『イザナミ』へと肉薄する。
 ウィングブースターとメガブースターによる突撃。
 その加速を乗せた、ウィングブースターから発露する羽根型斬撃波が一斉に『イザナミ』の体躯を切り裂き、さらに追い風に寄って得た加速でもって弦介は踏み込む。
「風が、吹いている。それはきっと……」
「ああ、てめぇのこれからの道行きだ! 例え、骸の海に還ることになるのだとしても、滅びたもんはしようがねぇ! だから!」
 これ以上、その滅びたる生命が弄ばれぬように。
 その思いを持って振り抜いたフォースサーベルの一閃が爆砕され、『イザナミ』の体躯を炎で持って浄化するように吹き飛ばすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
…デリング総統との共闘……まあ彼の言葉を借りれば勝手に後ろをついて行く…のは助かるね…
…無限にわき出る蛆獣の対処はそう簡単にいかないしね…四次元殺法だからと言って次元の壁を越えて投げ捨てるのは無茶苦茶だな…
…今はその無茶苦茶さが頼りになる…冥府の蛆獣の対処は総統に任せるとして…
その後をついていきながら重奏強化術式【エコー】も用いて高速多重詠唱を開始…
…8体の火雷大神は術式装填銃【アヌエヌエ】からの氷結弾を放って対処…
…デリング総統がイザナミに纏わり付く冥府の蛆獣を引き剥がした瞬間に【超過詠唱:空染める白黒の光】を発動…白と黒の光の奔流にイザナミを巻き込むとしよう…



 爆砕されるエンシャント・レヰス『イザナミ』の体躯。
 されど、腐敗した肉体から溢れ出す『冥府の蛆獣』は彼女を無理やり立たせるようにして膨れ上がり、その身を覆っていく。
 厄介極まりない。
 彼女の意に反するように蛆獣たちは守りを固める。
『イザナミ』が存在していれば、それだけでいいのだ。
 それだけで『冥府の蛆獣』は溢れかえり、世界を滅ぼすだろう。
「ああ……どうか」
 その言葉にメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は頷く。
 今更言うまでもない。
 彼女が望んでいるのは滅びだ。

 己が痛みよりも、生命が散ることを憂う彼女だからこそ、メンカルはやらねばならないと思った。
「……無限に湧き出る蛆獣……『デスリング総統』、お前がいてよかったよ」
「グロロロロ! そうであろう! ワガハイ、何せプロレスラーであるからな!」
 よくわからない理屈だな、とメンカルは思ったが、そもそもがめちゃくちゃである。
 彼の投技は四次元殺法。
 あらゆるものを骸の海へと投げ飛ばす脅威なる技。
 それ故に蛆獣たちを引き剥がし、無制限に投げ飛ばしてきたのだ。
「……今はその無茶苦茶さが頼りになる……任せたよ」
「無論である! グロロロロ! ワガハイの背中を追うがよい、猟兵!」
 その言葉と共に『デスリング総統』は四つ腕でもって荒ぶるようにして『冥府の蛆獣』たちを引き剥がし、投げ飛ばし、無体のごとき力技でもって道を開くのだ。

「……本当にめちゃくちゃだ」
 その間にメンカルは重奏強化術式『エコー』でもって高速詠唱を開始する。
 ユーベルコードに瞳が輝いている。
 そう、そのユーベルコードは詠唱時間で威力が上昇する。
 勝負は一瞬。
 であるのならば、メンカルは一撃にすべてを込める。
 圧縮された詠唱。
 そのさなかに脅威を感知したであろう『イザナミ』の体躯から火雷大神が走る。

「いけません……妾の火雷大神たちが」
「……だいじょうぶ」
 メンカルは術式装填銃『アヌエヌエ』より氷結弾丸を解き放ち、火雷大神の動きを僅かにとめる。
 だが、その僅かな一瞬でよかったのだ。
「グロロロロ! いけるか、猟兵!」
「……勿論。全き光よ、染めろ、満ちよ。汝は漆黒、汝は純白。魔女が望むはこの世を溶かす無彩色」
 それはトリガーとなる詠唱であった。
 無限に威力が上昇するユーベルコード。
 属性は無。
 あらゆる存在情報を塗りつぶす白と黒の光。

 その奔流は超過詠唱:空染める白黒の光(オーバーキャスト・モノクローム)。
「……この一撃で仕留められなくても、悲嘆することはないよ……なぜなら、私達がいる。私一人ではない。だから」
 メンカルは安心していい、と言うように。
 これ以上『イザナミ』のちからに寄って散る生命はないのだと示すように、己が放つ白と黒の光の奔流でもって彼女を吹き飛ばすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

んもー
さらによそのおうちに出張なんていっそがしいなー
でも楽しそう!
それにあらら?なんか大変そう

●ゴーゴー!ゴーゴーゴー!
わーわーいいけいけボクらの大総統ー!
まっちょですてきー!と応援しながらあとをついてこう!
あこれは…環境デバフくる!と【第六感】で察知して
んーこういう調整はちょっとむずかしいんだけどー…
まあちょっとでも時間稼ぎになれば後は総統がいい感じにやってくれるよね!
と[白昼の霊球]くんで侵食してくるサクラエリュシオンを遮断!

そしてー道が切り拓かれたらUC『神撃』でドーーンッ!!
いやー下手に力を持ってると末後も大変なことになるねー
まあ後は任せて!
総統もありがとー!



 ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)が最初に思ったのは、大変だなぁということだった。
 エンシャント・レヰス『イザナミ』はサクラミラージュをまたぎ、クロムキャバリアへと現れていた。
 この世界だけではない。
 多くの脅威が多くの世界に満ちている。
 それを知るからこそ、あっちこっちに出張る彼女が忙しいんだなーとなんとなく思っていた。
「でも楽しそう! ちょっとした旅行気分? あらら? なんか大変そうだね!」
 白と黒の光の奔流。
 それに晒された『イザナミ』の体躯は焼けただれていた。
 だが、それでも彼女は『冥府の蛆獣』によって鎧われていく。

 彼女の腐敗した体躯はオブリビオン化した所以。
 その刻印の如き痕から溢れ出すのが『冥府の蛆獣』であった。
 膨れ上がり、彼女を護るようにして、また湧き出す。
 このまま放置していれば、何れ『冥府の蛆獣』は世界を埋め尽くす。まさしく世界を滅ぼす力を持つ強大な存在であることは疑うまでもなかった。
「グロロロロ! 倒し切るまで、最後の最後まで立つのを諦めぬのがプロレスラーというものである! さあ、猟兵よ続くのである!」
 四つ腕の快男児、『デスリング総統』が四次元殺法を繰り出して、蛆獣を投げ飛ばしていく。
 その姿にロニは湧く。
「わーわーいけいけボクらの大総統ー!」
 ロニは笑っていた。

 あまりにも力技。
 骸の海に投げ飛ばすという無法の荒業を目の前で見せられてロニは笑ってしまう。
「まっちょですてきー!」
 そんなことを言いながらロニは『デスリング総統』の後をついていく。
 気楽で楽ちん。
 でも、あまりにも協力すぎる。
「だいじょうぶ? あとで環境デバフとか来ない? あ、それ来たー!」
 やっぱり! とロニは周囲に満ちる世界を知る。
 それはすでに滅びた世界。
『サクラエリュシオン』――死者の安寧をもたらす世界であった。
 滅びたがゆえに、その世界は生者の活力を無為に奪い取り続ける。それはロニも例外ではない。

「んもー、こういうのは調整難しいんだけど……球体くん遮断よろしく!」
 世界を塗り替えるユーベルコードを遮断する。
 内なる世界にこもれば世界は侵食されない。だが、じわじわと境界線があやふやになってきている。
「ありゃ。でも、隙ができたね!」
「グロロロロ! その通りである! ゆけ、猟兵!」
「よっしゃー! いっくよー!」
 ロニは己が拳を振りかぶる。
 ユーベルコードの光を宿した拳は、蛆獣引き剥がされた『イザナミ』を見据える。

「総統もありがとうねー!」
「構わんのである!」
 その言葉と共にロニは飛び出し、己が拳を振りかぶる。
「ドーンッ!」
 神撃(ゴッドブロー)の一撃が叩き込まれる。
 下手に力を持つ者は、その一撃で後始末が大変なことになる。でもまあそれは誰かがやってくれるでしょ、と言わんばかりにロニは己の一撃で以て『イザナミ』を打ちのめし、大地を砕くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
機神搭乗

フォーミュラとは散々戦ったが共闘はしたかとなかったな
「でもこの為にアスリートアースの戦いはあったのかもね?」
つーわけだひっぺがしてくれるねら後は任せやがれ
「メルシー達のすごいところ見せちゃうぞ☆」

【戦闘知識・情報収集・視力】
敵の状況とデスリング総統の動きを把握
冥府の獣が剥がされた瞬間に

【二回攻撃・切断・属性攻撃・念動力・弾幕】

UC発動
超絶速度で飛びながら鎌剣で切り刻み其処に砲撃兵装を押し込み
超高熱熱線と念動光弾を乱射するように打ち込む!
こう言う固い奴の倒し方ってのはオーソドックスなんだよ!
「君は冥府の神様なんだね?それなら同じく冥府も司るメルシーが引導を渡すよー!!」



 砕かれる大地の破片を蹴るようにして『メルクリウス』は駆け抜ける。
 エンシャント・レヰス『イザナミ』を捉える瞬間は多くはない。
 それほどまでに彼女を囲う『冥府の蛆獣』たちの防御能力は高い。その上、容易に引き剥がすこともできないときている。
 厄介極まりない敵であると言えただろう。

 今もそうだ。
 猟兵の拳に打ちのめされた体躯がはずみ、大地が砕けた。
 それでもなお、腐敗した体躯から溢れ出すのは蛆獣であり、その蛆獣から放たれる卵は凄まじい砲撃、弾幕のように『メルクリウス』へと迫るのだ。
『やーん、ばっちぃ☆』
「言ってる場合かよ!」
 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は、なんとか躱しながら喚く。
「グロロロロ! 猟兵よ、我が背に隠れよ!」
「あん?『デスリング総統』じゃねーか!」
「グロロロロ! その通りである! ワガハイの四次元殺法が蛆獣を引き剥がす。後はわかるであろう!」
「そりゃあな! だけど……散々フォーミュラと戦ったが共闘とはな」
『でも、このためにアスリートアースの戦いはあったのかもね?』
 そうかもな、とカシムは思う。

 これまでの連なりが猟兵たちを助けている。
 オブリビオンとの戦いは苛烈を極める。
 けれど、それ以上に己達を助けてくれるものたちだっているのだ。
「なら、応えないとな!」
『メルシーたちのすごいところ見せちゃうぞ☆』
「なら行くぞ……『メルクリウス』……お前の力を見せてみろ……!」
 アイセンサーがきらめき、神速戦闘機構『速足で駆ける者』(ブーツオブヘルメース)がは起動する。
「行くぜぇぇぇっ!!」
 その言葉と共に『デスリング総統』が引き剥がした『冥府の蛆獣』の間隙へと『メルクリウス』が飛ぶ。

 一気に肉薄した機体に迫るのは八体の火雷大神。
「邪魔すんな!」
 それらを切り裂きながらカシムは迫る。
『デスリング総統』の四次元殺法で白い鎧の如き蛆獣を排除された『イザナミ』の姿が見える。
「こういう固いやつはオーソドックスに行くまでだよ!」
 放たれる超光熱熱線と念動光弾の乱射。
 それを一点集中するようにカシムは叩き込む。
 炸裂する光の最中に『メルシー』は問いかける。

『君は冥府の神様なんだね? それなら同じく冥府も司るメルシーが引導を渡すよー!!」
 その斬撃は『イザナミ』の体躯を斬り裂く。
 腐敗した体躯は、今もなお蛆獣を湧き上がらせている。
 決して終わることのない停滞。
 それがオブリビオンだというのならば、それを支配する幻朧帝の力は如何なるものであっただろうか。
 その苛烈なる攻勢を前に答えはでない。
 けれど、『イザナミ』は涙をこぼしながら、己が望みが達せられる気配を感じて憂う心が晴れゆくように瞳を伏せるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーフィ・バウム
《蒼翼の闘魂》を発動!真の姿:蒼き鷹として
なんとも燃える展開、いざ勝負!

今回はタッグマッチ!デスリング総統と進み
私自身も冥府の蛆獣を投げ飛ばし、道を共に拓いていきましょう
堂々とリングイン、それがレスラーですものね!

攻撃が届こうとむんと鍛えた体を引き締めオーラ防御で凌ぎ
イザナミの前に来たら、いざここが試合の本番っ!
怪力を生かしたハンマースルーでデスリング総統の方に振り、
4本腕の強力な打撃を叩き込んでいただき

あるいは総統が打つ投げに合わせて、
私が功夫を生かしたドロップキックで痛打を浴びせましょう
体格が違う?そんなものレスラー魂には些細なこと!
いざ、最後はツープラトンの投げでKOを奪って見せますわ!



 蒼翼の闘魂(ソウヨクノトウコン)が燃え上がる。 
 それは、ユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)の真の姿をさらけ出し、同時に彼女の熱き思いを発露するものであった。
「蒼き鷹として、なんとも燃える展開、いざ勝負!」
 膨れ上がる力。
 ユーベルコードに寄って真の姿を晒したのは、悪しき攻撃を全て受けきり、人々を守り抜くという誓い故。
 彼女にとって、それは問答すべきものではなかった。
 己が誓ったことであり、他者から咎められることも、説かれるものでもなかったからだ。
「お相手いたしますわ、この『蒼き鷹』が!!」
「グロロロロ! ベビーフェイスと組むことになろうとはな!」
 独特な笑い声と共に『デスリング総統』がユーフィの隣に立つ。

 彼の言葉通りであった。
 今回はタッグマッチ。
 猟兵とプロレス・フォーミュラ。
 この最強タッグがあれば、如何に世界を滅ぼしうるオブリビオンであろうとも怖くはない。
「共に道を拓いていきましょう!」
 この世界がリングだ。
 ならば、踏み出す一歩はリングインの一歩。
 その堂々たる佇まいはレスラーを体現するものとして当然。
 迫りくるは活力奪う『サクラエリュシオン』の世界。
 そこに存在している、ただそれだけで活力を奪う力は、脅威そのもの。だが、生命力を奪う敵もこれまで幾度となく打倒してきたのが猟兵という存在。
 今更恐れることなどない。

 故にユーフィは『デスリング総統』と共に轡を並べるようにして迫る『冥府の蛆獣』へとタックルをぶちかます。
「なんと強固! ですが!」
 ユーフィは『デスリング総統』が引き剥がした『冥府の蛆獣』を蹴り上げる。
 その勢いでもって骸の海へと投げ飛ばされる蛆獣。
 二人のコンビネーションは勢いに乗る。
 蹴り上げ、投げ飛ばす。
 ただそれだけだというのに、二人は蛆獣を削岩機か何かかと見紛う勢いで引き剥がしていくのだ。どれだけ膨れ上がろうとも彼女たち二人を前にしては無意味であった。
「やるではないか、蒼き鷹よ! グロロロロ!」
「そちらこそ! いざ、ここよりが試合の本番っ!」
「ああ……なんという勇姿。妾の不始末を……」
「それはいいっこなしですよ! ですが、痛いのは我慢してくださいねっ!」
 ユーフィは引き剥がした先にある『イザナミ』を捉える。

 はらはらと落ちる大粒の涙。
 それはこれまで彼女が忌避してきた生命を散らす凶行に対しての涙。
 憂う涙を止めるためにユーフィはドロップキックの一撃を叩き込む。
 痛打を叩き込み、更にユーフィは『イザナミ』に組み付く。
 溢れ出す蛆獣が彼女の体を蝕み、活力を奪っていく。だが、それがどうしたというのだ。
「そんなものレスラー魂には些細なこと!『デスリング総統』!」
「グロロロロ! 任されたのである! これが!」
「私達の!」
「ツープラトンである!」
「これで、ノックアウトですわ!」
 ユーフィと『デスリング総統』のツープラトン攻撃。
 ガッツリと掴み上げた『イザナミ』の体躯が地面に叩きつけられ、弾む。
 その一撃は苛烈にして強烈。
 カウントを行うまでもない。ユーフィは、その真の姿たる蒼き鷹の翼を広げえるように、世界というリングにて両手を掲げるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
いや、うん本当にさあ
普通にオブリビオンだよね?アスリートアース産の方々?
ありがたいけどさあ、本当に
ええんか?ってなるよね
まあええか…
ノリが良いほうが勝負は勝つからな…

祈り此処に在らずとも
願い此処に在らずとも
光、此処に在らずとも
ツッコミ、此処に在らずとも
超克の意思多分ある!

超克、オーバーロード!
外装転送、模造神器全抜刀

というか思ったんだけど、イザナミさんさあ…何か思わせぶりにしながら珈琲豆届けさせたの?
いやキャンピーくん呼ぶには必要だけど!
真面目そうに、憂い気味に豆わたしてんの!?
ギャップで面白くなってるな…

デスリング総統が蛆獣をぶん投げたタイミングに合わせて攻撃していこう
【Code:T.S】起動
雷刃を最大まで延長
4つの剣をそれぞれ動かし、剥がれた防御の隙を逃さないように攻撃
確実にイザナミにダメージを与えていこう

望まないことなら、止めてみせよう
それが猟兵の仕事でもあるしね
それに、クロムキャバリアで暴れられても困るし!



「いや、うん本当にさあ」
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)は目の前の光景に僅かにめまいを憶えたかもしれない。
 いや、憶えていない。
 ちょっとだけ困惑しただけなのかもしれない。
「普通にオブリビオンだよね?」
「グロロロロ! 人呼んでプロレス・フォーミュラとはワガハイのことである!」
 闊達に笑う『デスリング総統』。
 猟兵とのツープラトン攻撃をエンシャント・レヰス『イザナミ』に叩き込んで、彼は四つ腕でポーズを決めていた。

「ありがたいけどさあ、本当に。でも、ええんか? ってなるよね」
「些細なことである! 世界の危機! これに立向うのもまたレスラーであるがゆえ!」
 独特な笑い声と共に筋骨隆々たる胸襟が鳴動する。
 うーん、まあええか、と玲は諦めた。
 否、居直ったとも言える。
 そう、戦いとはノリと勢い。即ち、ノリのよいほうが勝負は勝つ。
 そういうもんなのである。

「でも、まだ終わらないみたいだね」
「グロロロロ! 無論、望む所!」
「……どうか、頼みます。この身果てるまで、妾の力が命を脅かすことのないように」
『イザナミ』の言葉に玲の瞳が超克の輝きを解き放つ。
「なら、やるよ! 祈り此処に在らずとも。願い此処に在らずとも。光、此処に在らずとも。ツッコミ、此処に在らずとも!」
 今なんか違うの入ってなかった?
 気のせい? 気のせいかぁ。
「超克の意志、多分ある!」
 今多分って言ったよね? 今のは聞き間違いではないよね?

「超克、オーバーロード! 鎧装転送、模造神器全抜刀!」
 炸裂する雷。
 模造神器の刀身が励起し、雷の刃を形成する。
「Code:T.S(コード・サンダーソード)――出力上昇、雷刃形成!」
 瞬間的に玲は踏み込んでいた。
 同時に『デスリング総統』は『冥府の蛆獣』を引き剥がすように投げ飛ばす。彼の四次元殺法は強烈無比であった。
 あらゆるものを骸の海に投げ飛ばす恐るべき力。
 相対したときにはこれ以上ないほどの強敵であったが、しかし、今まさにその力が味方になっている。いや、本当にええのか? いいのか……。

「というか、思ったんだけどさ、『イザナミ』さんさあ……何か思わせぶりにしながら珈琲豆届けさせたの?」
「『あれ』は無事にあの者に……『名を覚えるもの』に届きましたか。その結果が、今……ならば、命運は尽きても、今だ紡がれた希望がある、ということですね?」
「いや、うん、その、そうなんだけど。キャンピーくん呼ぶには必要だけど! 真面目そうに、憂い気味に豆わたしてんの!?」
 ギャップで笑ってしまう。
 けれど、その笑顔こそが生命の在り方。
 今を生きるものしか笑うことができない。
 なら、笑わなければならない。そうすることでしか切り開けない未来があるのならば、玲は笑う。

 形成された雷刃が迸る。
「グロロロロ! 今である、猟兵よ。これが最後の四次元殺法!!」
 ぶん投げられた蛆獣。
 それは最後の一片。
 腐敗した肉体がさらけ出され、『イザナミ』は、はらはらと落ちる涙で雷の刃を見上げる。
 それが彼女を滅ぼす。

 望まぬ彼女の、世界を滅ぼす力。
 それを焼き滅ぼす刃が振り上げられている。
「望まないことなら、止めてみせよう。それが猟兵の仕事でもあるしね」
 多く紡がれたことがある。
 それを手繰り寄せるようにして玲の雷刃が『イザナミ』へと叩きつけられる。
 涙を蒸発させる光。
 その中に彼女は消えゆく。
 滅びてなお、その力を操られる運命が死であるというのならば、それは彼女が齎さんとした安寧とは程遠い。
 それ故に猟兵たちのユーベルコードはきらめき、彼女の望まぬ死の先を断つのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年09月12日


挿絵イラスト