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帝都櫻大戰⑯〜神王と碎輝

#サクラミラージュ #帝都櫻大戰 #第二戦線 #神王サンサーラ #碎輝

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●碎けても尚、輝くものを
 ――エンシェント・レヰス『神王サンサーラ』。
 無数の幻朧桜と共にサイバーザナドゥのサイバースペース内部に降臨した存在が今、動き出す。
「私の放つ骸の海は無限に広がりゆく。それを阻む術は無い……」
 サイバースペース内部に存在する遅効性の思考破壊プログラム「ヤマラージャ・アイビー」を起点とし、サンサーラの放つ骸の海はサイバースペース全域――ひいてはサイバーザナドゥの現実リアルをも破壊しようとしていた。
 だが、其処に現れた者がいる。
「あ〜、なるほど」
 彼はカクリヨファンタズムの竜神親分『碎輝』だ。
 碎輝は納得したように何度か頷き、神王サンサーラを見つめた。
「だから山本親分は俺をここに送ったのか」
「どう抗おうとも無駄なこと……」
「悪いが俺は、世界最弱の『お前を止められる男』なんだ。元に戻れるかな……だが、やるしかないな!!」

●世界を護る意志
 極めて強大なオブリビオンが出現した。
 その名はエンシェント・レヰス『神王サンサーラ』だと語り、花嶌・禰々子(正義の導き手・f28231)は現状について話していく。
「エンシェント・レヰスは骸の海を放って無限に広げていくの。だけどね、あまりの強大さの代わりにサンサーラは『完全に無傷の状態』でない限りこの世界への顕現を維持することができないらしいのよ」
 広がり続ける骸の海を乗り越え、何とかして一撃でも与えられれば神王サンサーラは一旦撤退する。
 それを狙いたいのだが、サンサーラは規格外かつ制御不能。ただそこにいるだけで世界の悉くを破壊してしまうため、猟兵であっても対処は困難を極める。
「けれど対抗策はあるわ! 事と次第によっては唯一、サンサーラと対等に渡り合えるひと!」
 それは――。
 禰々子は瞳に信頼と希望を宿し、その名を声にする。
「竜神親分こと『碎輝』!」
 キャンピーくんの力で送り込まれた碎輝は特別な力を持っている。彼は戦い始めこそ極めて弱いが、無限に成長するという特性が今回の役に立つ。戦いが長引けば長引くほどに飛躍的に強くなっていき、無限に広がる骸の海に対抗できるほどに成長する。
 それまで彼を守り抜くことができれば、勝機を掴めるはずだ。
「碎輝の親分、もしかしたら元に戻れないかもって言ってたわ。……だけど世界を壊すよりはいいって」
 親分っていつもそうよね、と静かに笑った禰々子の心情は少し複雑そうだ。
 しかし、世界を壊させたくない思いは同じ。
「あたしたちも頑張りましょ! 親分といっしょに戦って、サンサーラを退けるために!」
 そうして、明るく告げた禰々子は仲間たちを送り出した。


犬塚ひなこ
 こちらは『帝都櫻大戰』
 ⑯サイバーザナドゥ〜骸を喰らう電流のシナリオです。

●👿『神王サンサーラ』
 かつてサンサーラディーヴァを創造した超存在。
 任意の世界に現れ、骸の海を無限に流し込むユーベルコードを有しています。

●プレイングボーナス
『弱い状態の碎輝を守って戦う/強力に成長した碎輝と協力して戦う』

 キャンピーくんの力によってサイバーザナドゥに送られた、竜神親分『碎輝』との共闘です。
 最初は弱い状態なので守り、彼が倒されないように時間を稼ぐ戦いをしてください。後半になればなるほど碎輝が成長するので一緒に戦いましょう!
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第1章 ボス戦 『神王サンサーラ』

POW   :    サンサーラディーヴァ
自身の【眼前】を【広大無辺の仏国土】化して攻撃し、ダメージと【神王サンサーラへの到達不能】の状態異常を与える。
SPD   :    サンサーラノヴァ
【かざした両掌の間】から、詠唱時間に応じて範囲が拡大する、【五感封じ】の状態異常を与える【神王光】を放つ。
WIZ   :    強制転生光
レベル秒間、毎秒1回づつ、着弾地点から半径1m以内の全てを消滅させる【サンサーラの光】を放つ。発動後は中止不能。

イラスト:ぽんち

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フィーナ・シェフィールド
アドリブ連携歓迎です♪

影朧と言う存在のある櫻花幻朧界で育ったわたしには、神王のオブリビオンも摂理の一つ、という想いが少し分かる気もします。

「碎輝さんは絶対に傷つけさせません!」
碎輝さんの前、神王との間に、シュッツエンゲルにモーントシャインのオーラを纏わせて1m間隔で配置、攻撃を受け流す準備をします。
左右にツウィリングス・モーントを配置して、イーリスを構えて準備完了です。

「耐えて、エンゲル…!」
強制転生光で消滅したエンゲルの代わりをすぐに配置して盾を維持しつつ、
破魔の力を込めて【夜想曲嬰ハ長調】を歌い、神王の力を浄化しつつ、碎輝さんと味方の力を増強します。

「お願い、神王を止めて…世界を守って!」


八代・尊
なんと、猟兵でさえ対処の難しい強大な相手とは……
ですがその代わり一撃でも入れることが出来ればこちらの勝ち、と。
そのために碎輝様を守り、時間稼ぎをするのが此度のお役目でございますか。

ここはUC「霊泉浄化」を使わせていただきましょう。
これであれば敵の妨害を行いつつ、碎輝様を守り支援することができます。
それだけで間に合う相手ではないかもしれません。私と碎輝様に【通常攻撃無効】の【結界】を張りましょう。
おや、攻撃方法は光でございますか。水神の権能で水を操り、光を反射し遮りましょう。
少しでも長く時間を稼ぐことができればよいのですが。
それでは碎輝様、ここはよろしくお願いいたします。


夜刀神・鏡介
竜神親分……。無理をさせたくはないが、彼の力に頼らなけばならないのも事実
ならばせめて、できる事をやらないと

バイク『八咫烏』に騎乗。竜神親分もとりあえず後ろに乗ってもらうとして。降りるのは彼の判断に任せる
さしあたっての目的は時間を稼ぐ事……ならば避け一択だ
そもそもサンサーラに攻撃が届くとは思えないしな

竜神親分を守るという依頼を受諾する事で、空の型【碧落】を発動
一時的に各種技能を今より上手く活用できるようになる
集中力を高めて敵の攻撃範囲を適宜把握し、掻い潜るように急走行

敵の攻撃範囲は詠唱時間に応じて拡大する――とはいえ単純に離れれば良いという話ではない気もする
敢えての急旋回で奴に向かって突っ込もう



●弱さに向き合う強さを
 エンシェント・レヰス『神王サンサーラ』。
 その名の通り神々しさを放つ彼は今、サイバーザナドゥに降臨している。
「なんと、猟兵でさえ対処の難しい強大な相手とは……」
 八代・尊(泡沫なる蛇神・f44431)は目の前の状況を整理していった。
 無限に広がりゆく骸の海がサイバースペースを侵していけば、この世界はいとも容易く破滅してしまうだろう。だが、それを阻止するための方法もあることを尊は知っている。
「その代わり一撃でも入れることが出来ればこちらの勝ち、と」
 どんな絶望を前にしても猟兵は立ち上がれる。
 尊の言葉に頷き、フィーナ・シェフィールド(天上の演奏家・f22932)もサンサーラについて思う。
「オブリビオンも摂理の一つ、という想い……少し分かる気もします」
 フィーナは影朧という存在のある櫻花幻朧界で育った。オブリビオン化する前の神王の思いを想像していったフィーナは、戦いへの覚悟を抱く。
 戦いが始まったばかりの今――先ずすべきことは竜神親分、碎輝の守護を担うこと。
「碎輝さんは絶対に傷つけさせません!」
「おお、頼もしいな!」
 フィーナの宣言を聞き、碎輝は明るく笑った。
 夜刀神・鏡介(道を貫く一刀・f28122)は碎輝の横顔を見つめ、静かな思いを言葉にする。
「竜神親分……。無理をさせたくはないが――」
 強大な相手と戦わなければいけない今、彼の力に頼らなければならないのも事実。
 それならばせめて、できることを。
 覚悟を決めている様子の碎輝と同じくらいの覚悟で戦い、最強の一撃を決めてもらう。鏡介は此度の戦いの最後をイメージしながら前を見据えた。
 元に戻れないかもしれない予感を抱いていても、猟兵に屈託なく接するのは彼らしい。鏡介は頷きを返しながらバイクの八咫烏に騎乗した。
 そして、フィーナは碎輝の前と神王との間に、シュッツエンゲルにモーントシャインのオーラを放つ。
 それを一メートルを間隔で配置していけば攻撃を受け流す基盤となるはずだ。更に左右にツウィリングス・モーントを配置したフィーナはイーリスを構えて準備を整えた。
 更に尊が碎輝を護る術を重ねていく。
「ここは霊泉浄化を使わせていただきましょう」
 それは水神の権能によって禊の雨を降らせるもの。この力ならば敵の妨害を行いつつ守護と支援を両立できる。無論、それだけで間に合う相手ではないことも尊はよく解っている。
 それゆえに油断は決してせず、尊は碎輝と自分に結界を張り巡らせていった。
「竜神親分、乗ってくれ!」
「いいのか?」
「ああ、降りるタイミングの判断は任せた」
「そんなにかっこいいものに乗せてもらえるなら嬉しいな!」
 後部に乗り込んだ碎輝には決してダメージを受けさせない。そう決めた鏡介は仲間の守護を最大限に活かしながら戦場を駆けることを決めている。
 刹那、神王光と強制転生光が放たれた。
 神王サンサーラが繰り出す光は鋭く、誰にも止められない力だ。
「耐えて、エンゲル……!」
 フィーナは果敢に叫ぶが、エンゲルは転生光で消滅してしまう。それでも諦めることなくフィーナはすぐにエンゲルの代わりを配置していく。果敢に盾を維持しながらフィーナは破魔の力を紡いだ。
 其処から奏でるのは――夜想曲嬰ハ長調。
 命に触れた光を抱きしめるように歌い、フィーナは神王の力を浄化しにかかる。碎輝だけではなく味方の力も増強していくフィーナの眼差しは何処までも真っ直ぐだ。
「おや、攻撃方法は光でございますか」
 尊にも鋭い光が襲いかかったが、碎輝を守れたのならばそれでいい。痛みを堪えた尊は水神の権能で水を操り、光を反射してそれ以上の攻撃が来ないよう遮った。
「流石の威力ですね……ですが、これで少しでも長く時間を稼ぐことが出来ればよいのですが」
「十分だ、まだ弱い状態の俺が生きてるからな!」
 碎輝は鏡介のバイクの上からフィーナと尊に手を振った。
 さしあたっての目的は時間を稼ぐこと。それならば鏡介は避けることに注力するのみ。
「まだサンサーラに攻撃が届くとは思えないしな」
「すまないが守ってくれ!」
「承知した」
 竜神親分を守る。彼からの依頼を鏡介が受諾することで、空の型【碧落】の発動条件が揃った。無念無想の境地へ至ることで鏡介の瞳に紋様が現れる。
 鏡介は極限まで集中力を高め、敵の攻撃範囲を完璧に把握した。光の合間を掻い潜るように急走行する八咫烏の軌跡は鋭く、決して光に追いつかれない速度になった。
(敵の攻撃範囲は詠唱時間に応じて拡大する――とはいえ、単純に離れれば良いという話ではない気もするな)
 冷静に状況を判断した鏡介は敢えての急旋回で移動していく。
「振り落とされないようにな」
「お願い、神王を止めて……世界を守って!」
「それでは碎輝様、ここはよろしくお願いいたします」
「もちろんだ!」
 鏡介とフィーナ、更に尊の呼びかけに応えた碎輝が明るく笑う。それは紛れもない信頼の印だ。
 猟兵の助力を得た竜神親分。
 その力は徐々に成長していき、いずれ神王サンサーラを止めるほどのものになっていくのだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
碎輝の親分さん、守られてばかりで見守るしかできないのは歯がゆいのではー?
藍ちゃんくんと歌いませんかー?
サンサーラの神王さんもでっす!
誤り、過ちと自己否定ばかりではしんどいのでっす!
この歌は猟兵ならぬオブリビオンとだって歌えるのでっす!
詠唱にリズムを付けて歌っちゃおうなのでっす!
皆々様の歌が皆々様の願いを叶える力になるのでっす!
あや?
五感が封じられた“程度”で藍ちゃんくんが歌えなくなるとでも?
身体が歌を覚えてるのでっす。
魂で歌うのでっす!
サンサーラさんの歌もありまっすしねー!
合唱で藍ちゃんくんと親分さんの状態異常と傷を癒やすのです!
攻撃に転じる時はそのまま魂の歌を!


空桐・清導
POW

碎輝と目が合った瞬間、互いに理解した
目の前のコイツは同類で、ブラザーであると
「昨日より今日!今日より笑顔の多い明日を!
そのためにヒーローは拳を握るのだ!」
口上を述べ、熱い握手を交わす

「先にオレが倒しちまうぜ!嫌なら早く成長しろよ!」
清導は本気だ
そうすれば碎輝は戻れる故に

UC発動
黄金の甲冑を碎輝と自身に纏わせる
清導の[勇気]が続く限り無敵だ
碎輝が成長する度に[限界突破]
清導も後を考えなければサンサーラを倒す可能性を有している
到達できない状態異常を[根性]でねじ伏せ攻撃を叩き込む

「ちっ。間に合わなかったか。
決めるぞ、碎輝。
超必殺!ライトニング・ブレイザー!」
必殺の蹴りをサンサーラに叩き込む!


アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。

龍神親分と死がふたりを分かつまで繋がるわ。これで同時に死なない限りは死なないし、超強化した技能で龍神親分が成長しきるまでの時間は稼げるでしょう。むしろ親分の成長に合わせて技能の基礎力も底上げされて強化率もあがっていくかも?
消滅攻撃には鉄壁の多重詠唱結界術を高速詠唱早業先制攻撃で展開して対抗しましょうか。張っても張っても即割られるけど親分の成長に合わせて展開速度も強度も上がっていくし、|リソースも潤沢《継戦能力、回復力》にあるから耐えることはできそうね。
親分が十分に成長したら|私の力も託して《魔力供給、エネルギー充填》で更に限界突破してもらいましょうか。



●絶対守護協創曲
「藍ちゃんくんでっすよー!」
 無限に広がりゆく骸の海の力を放つ、神王サンサーラ。
 その戦場にひときわ明るく響いたのは紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)のいつもの挨拶。
 一見すれば絶望の戦場であるが藍は悲しい顔などしていない。寧ろ普段通りの様子でいるのは、此処に強力な助っ人であり打開策を持つ存在――碎輝がいるからだ。
「碎輝の親分さん、守られてばかりで見守るしかできないのは歯がゆいのではー?」
「まぁな。少しは気になるぜ」
「それでしたら、藍ちゃんくんと歌いませんかー?」
「歌!? いいぜ、やってみるか!」
 最初こそ藍の提案に驚いた碎輝だったが、すぐに乗り気になってくれたようだ。
 其処へ到着したのは空桐・清導(ブレイザイン・f28542)。
 目と目が合った瞬間、理解した。清導と碎輝の視線が交差したとき、すべてが分かった気がしたのだ。
 目の前の彼は同類、即ち清導にとってのブラザーであると。
「昨日より今日! 今日より笑顔の多い明日を! そのためにヒーローは拳を握るのだ!」
「俺は、どこまでも強くなる……!」
 口上を述べあった二人は眼差しだけではなく、熱い握手を交わしていた。
 其処へ、アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の|混沌魔術師《ケイオト》艶魔少女・f05202)がふわりと舞い降りるように登場した。
「お?」
「竜神親分、こっちへ」
 ――死がふたりを分かつまで。
 アリスが発動させたのは死を防ぐための力。赤い糸がアリスと碎輝の間に現れて繋がる。
「これで同時に死なない限りは死なないわ」
「すごいな、これ。今の状況に一番最適な力なんじゃないか?」
 碎輝はアリスの作戦に称賛を送っていた。
 極論、神王サンサーラの力で片方が死を迎えたとしても構わない。ただ、死ぬタイミングをずらすように動けばいいのだから。これで危険がどれだけ押し寄せようとも碎輝が成長しきるまでの時間が稼げる。
「むしろ親分の成長に合わせて基礎力も底上げされて、強化率もあがっていくかも?」
「それはやってみないとわからないな。頼んだ!」
 碎輝が感じていたのは完全成功。
 アリスの機転があったことで戦況はかなり有利に傾いていくだろう。
 しかし、此処で気を抜いてはいけないことをアリスは知っている。消滅攻撃が訪れたと察知し、アリスは鉄壁の多重詠唱結界術を重ねていく。
「やっぱり強いわね、神王サンサーラ」
 張り巡らせる度に即時結界が割られていくが、アリスは幾度も力を重ねた。
 敵の攻撃に応じて展開速度と強度をあげることが出来れば、後は死なないように立ち回るだけ。リソースも潤沢であり、耐えることならば十分に可能。
 清導は安全な状態になった碎輝に向け、威勢よく声を掛けた。
「先にオレが倒しちまうぜ! 嫌なら早く成長しろよ!」
「嫌ではないが……無限に成長する俺の力の見せ所だな!」
 清導は本気で語った。
 もしそうなれば「元に戻れるかな……」と呟いた碎輝の懸念が晴れるからだ。されど今はそのことまで考える時間はない。成長のための時間を稼ぐのが猟兵たちの役目だ。
 ――オール・トランセンデンタル。
「全力全開!不撓不屈たる証明を此処に!」
 黄金の甲冑を碎輝と自身に纏わせた清導は、己の勇気を全開にした。この闘志が続く限り無敵だと碎輝に告げた彼は限界を突破して見せることも宣言した。
 そうして次は、藍が神王サンサーラに呼びかけていく。
「サンサーラの神王さんも歌うのでっす!」
「…………」
「誤り、過ちと自己否定ばかりではしんどいのでっす! この歌は猟兵ならぬオブリビオンとだって歌えるのでっす!」
「…………」
「ほら、詠唱にリズムを付けて歌っちゃおうなのでっす!」
 藍が語りかけても神王サンサーラは無言を貫いていた。おそらくはそれが彼なりの拒否の方法なのだろう。
 返答の代わりに解き放たれたのはサンサーラノヴァ。
 それはかざした両掌の間から神王光を放つ、五感封じの能力だ。次の瞬間、藍は何も感じられないことに気が付いた。
「皆々様の歌が皆々様の願いを叶える力になるので……あや?」
 これまで聞こえていた碎輝の歌が消えたように思えたのはそのせいだろう。
 だが、何も慌てることなどない。
 ――五感が封じられた“程度”で藍ちゃんくんが歌えなくなるとでも?
 五感のない中で藍は静かに笑った。何を封じられようとも痛手にはならない。何故なら藍の身体が歌を覚えており、聴覚などには頼っていないからだ。
「魂で歌うのでっす! サンサーラさんの歌もありまっすしねー!」
 合唱によって己の碎輝の状態異常と傷を癒やていく藍は、決して自分のリズムを変えたりしない。
 碎輝が攻撃に転じる、そのときまで。
 魂の歌を燃やし尽くす勢いで紡ぐことを決め、藍は歌を止めずにいた。そして清導は抗えぬはずの状態異常を根性でねじ伏せ、仲間の癒やしも受けながら進む。
 しかし、サンサーラに手が届かないことも理解していた。
「ちっ。間に合わなかったか。決めるぞ、碎輝。超必殺! ライトニング・ブレイザー!」
 たった一撃。刹那でも入れられればサンサーラは退けられる。
 本当に自分の必殺の蹴りをサンサーラに叩き込む勢いで、清導は碎輝の背を押す役目を担った。
「私の力も託してあげる」
 更に限界突破して、と碎輝に告げたアリスは護るための戦いに専念していき、そして――。

 更なる成長の力が碎輝の身体に巡っていく。
 もう少し、あと間もなくで世界最弱の竜神が神王を貫く瞬間が訪れるのだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

国栖ヶ谷・鈴鹿
【苦集滅道】

碎輝親分、よろしくお願いします。
サクラミラージュを、世界を守る為に……!

サイバーザナドゥ、お誂えのユーベルコヲドがあるね。

苦集滅道リヰンカネイシヨン!
自由なる青い炎が閃きのもとさ。

親分を状態異常から守りながら、逆に返して行くけど、あの光の勢いや集中を遮断するよ。
阿穹羅、ヨナ、きこやん、阿穹羅は爆破で光を遮って、ヨナは音響弾で詠唱妨害!きこやんは結界術で親分を!

時間をかけて、反撃のチャンスを伺っていこう。
碎輝親分の力が成長しきるまで時間を稼いでいこう、戦力の出し惜しみはなしで行くよ!

弾丸に凍結属性を込めて、詠唱の動きを封じていくよ。


ギュスターヴ・ベルトラン

こういう真直ぐで、人を助くことを迷わず取れる者を守護する…
いいな、俄然やる気が出てきた

守って戦うなら、攻撃をこっちにひきつける必要があるな
…よし、的になりに行くか
今日のお菓子のミントキャンディを噛み砕き、第六感を高めてから行動開始

魔導バイクに跨り、敵がこっちに攻撃を狙いやすくなるように空を飛ぶ
オレは光で戦うエクソシストだが、敵も光を使って攻撃してくる…じゃあ空に浮いた敵に対応する攻撃パターンは似通るな
それに抜け道を探すように、攻撃の網を搔い潜る空中機動は魔導バイクなら問題なく出来る

戦場を飛びつつUC発動
基本は回復に専念
碎輝さんに攻撃が当たりそうなら、割り込みに入る

攻撃は…よろしく頼んだぜ!


誘名・櫻宵


骸の海を、無限に…それはまた厄介な
正に破壊の化身ってわけ
否が応でも世界の厄災となるのだとしても──厄災の巫女的には認められないのよ

──護華!

私には私に出来ることがある!
碎輝を庇うように立ち回り戦う
ひとひらの桜は儚く脆くとも馬鹿には出来ないものなのよ!
生命をくらう仙術を宿して、斬撃と共になぎ払う

桜の結界術に厄災のオーラを重ね守りと成して
運悪く強制転生光が外れてしまう厄災の神罰、の力もかりて何とか時間を稼ぐわ

碎輝にばかり負担を強いる訳にはいかない
元に戻れなくなんて、させない
あなたが無事でなきゃ
世界が救われてもあなたを慕う者は救われない
そうでしょう?師匠!

あなたの齎す破滅ごと、斬り祓ってあげるわよ



●苦集滅道、碎けても尚
 神王サンサーラ。
 彼の力が敵側に回っている現在、それは途轍もなく恐ろしいものとなっている。
「骸の海を、無限に……それはまた厄介な」
 誘名・櫻宵(咲樂咲麗・f02768)は僅かに身体を震わせ、すぐに首を横に振った。その先は、と想像を広げれば恐怖しか生まれない。だが、此処で見据えるべきは今という時間だ。
「正に破壊の化身ってわけ。否が応でも世界の厄災となるのだとしても――厄災の巫女的には認められないのよ」
 櫻宵の言葉が戦場に落とされた後、戦場に緊張が走る。
 その中で国栖ヶ谷・鈴鹿(命短し恋せよ|乙女《ハイカラさん》・f23254)は竜神親分に視線を向けた。
「碎輝親分、よろしくお願いします」
「こちらこそよろしく頼むぜ」
 鈴鹿と碎輝は真っ直ぐな視線を交わしあう。此処から始まるのは守護の戦い。
 サクラミラージュを、世界を守る為に。
 鈴鹿の決意はサンサーラに向けられた眼差しに強く宿っている。
 その横顔を見つめていたのはギュスターヴ・ベルトラン(我が信仰、依然揺るぎなく・f44004)だ。碎輝は自分がどうなるかも分からない現状、滅びを防ぐために動いている。
(こういう真直ぐで、人を助くことを迷わず取れる者を守護する……)
 まさに守り甲斐があるというもの。
 ギュスターヴは双眸を快く細め、拳を強く握りしめた。
「いいな、俄然やる気が出てきた」
 其処からギュスターヴは戦場の様子と今回の戦い方を計算していく。碎輝を守って戦うなら攻撃を向けさせないことも大切になるだろう。
「……よし、的になりに行くか」
「いいのか? お前が危険に晒されるんじゃ……」
「そうしないと勝てないだろ?」
「わかった、任せる」
 ギュスターヴの呟きを聞き止めた碎輝がこちらを見た。しかし、ギュスターヴは静かに笑ってみせた。続けて竜神親分から信頼の言葉が聞こえたことでギュスターヴは更に笑みを深める。
 そして、彼は今日のお菓子であるミントキャンディを噛み砕く。それによって戦意と心を高めたギュスターヴは、即座に行動を開始していった。
 ギュスターヴは魔導バイクに跨り、敢えて敵から視認しやすい方向に翔ける。
 空を往くバイクのエンジン音は鋭く勇ましい。これで自分が狙われやすくなるためにギュスターヴは碎輝から離れることになる。だが、他の仲間が碎輝を守りきってくれるとも信じていた。
「光か……」
 神王サンサーラから放たれる光を引き付けながら、ギュスターヴは考えを巡らせる。
 ギュスターヴも光で戦うエクソシストであるがゆえに光を使う敵の動きが手に取るようにわかった。
「じゃあ空に浮いた敵に対応する攻撃パターンは――」
 そう、似通っているはず。
 ギュスターヴは光の奔流の中にある僅かな抜け道を探し出していく。
 頼もしい仲間の動きを確かめた後、鈴鹿はお誂えのユーベルコヲドがあるとして力を集わせていく。
 ――苦集滅道リヰンカネイシヨン。
 世界に満ちる、艱難辛苦を祓うときはまさに今この瞬間。
「自由なる青い炎が閃きのもとさ」
 鈴鹿は碎輝を守りながら、齎される効果を反射する。鈴鹿の光は瞬く間に広がり、神王サンサーラからの影響を凌ぐ力となっていった。
「あの光の勢いや集中、流石に全部を遮断するのは至難の業だね」
 鈴鹿は油断せずに状況を把握した。
 だが、それはたったひとりで戦った場合のこと。阿穹羅にヨナ、きこやん。すべての力を集めていけばいいとして、鈴鹿はそれぞれに呼びかけていく。
「阿穹羅は爆破で光を遮って、ヨナは音響弾で詠唱妨害! きこやんは結界術で親分を!」
「おお、頼もしいな。俺もかなり成長してきたぜ!」
 鈴鹿の守りと行動に向け、碎輝が信頼を向ける。今は猟兵たちが時間をかけて反撃のチャンスをうかがっている状態。碎輝の言う通り、成長度合いもかなりのもになっている。
「碎輝親分の力が完全に成長しきるまで耐えるよ。戦力の出し惜しみはなし!」
 行くよ、ときこやんたちに呼びかけた鈴鹿は、己の持てる限りの力を出すべく立ち回っていった。
 それに続いて、櫻宵が放ったのは絢爛の桜吹雪。
 ――護華。
 我が咲麗は護る為に咲き誇ると語るが如く、桜倖の護龍の加護と神威が戦場に広がった。
「私には私に出来ることがあるの!」
 碎輝を庇い、櫻宵は鋭く立ち回っていく。皆に守られていることで碎輝の安全は確保されているが、万が一のこともあるゆえに決して気は抜けない。
「ひとひらの桜は儚く脆くとも馬鹿には出来ないものなのよ!」
 一枚だけではなく、幾重に重なっていけば強さへと変わる。それが今なのだと示し、櫻宵は仙術を巡らせた。
 生命をくらう力を宿し、斬撃でサンサーラの光を防ぐ。
 桜の結界術に厄災のオーラを重ねれば、それは更なる守りと成ってゆく。これは運悪く転生光が外れてしまう可能性を与える厄災の神罰。もちろんこれは櫻宵に伴する神斬の力だ。
「碎輝にばかり負担を強いる訳にはいかないわ」
「俺が適任だからな、これは」
「元に戻れなくなんて、させない。あなたが無事でなきゃ」
「……はは、どうだろうな。俺にもわからないんだ」
 成長の時間を稼ぐ間、櫻宵と碎輝は言葉を交わした。サンサーラを退けられたとして、その後のことは誰も知らない。碎輝自身がそういっているのだから、何者にも戦いの行方はわからないだろう。
 だが、櫻宵はその先を願っている。
「世界が救われてもあなたを慕う者は救われない」
「噫……」
 櫻宵が、そうでしょう師匠、と神斬に呼びかければ静かな頷きが返ってきた。自分を犠牲にするという考えは他者を思いやっているようでいて、深い悲しみを残すだけだ。
 それをよく理解している櫻宵と神斬は、更に其々の力を紡ぎあげていった。
 戦いが巡る中で時折、光による衝撃がギュスターヴを襲ったが構わない。今は碎輝にさえ被害が向かなければ勝利に繋がる状況だ。攻撃の網を搔い潜り、ギュスターヴは華麗に魔導バイクを操縦し続ける。
 裁きの光条を。
 守護のために立ち回っている猟兵、そして自分と碎輝を癒やす。守護対象に迸っていきそうな光を追い、割り込むことで阻止したギュスターヴは碎輝の名を声にする。
「行け、碎輝さん! 最大の攻撃は……よろしく頼んだぜ!」
「私達があなたの齎す破滅ごと、斬り祓ってあげるわよ」
 櫻宵も同様に声を掛け、絶対に不幸な結末にはさせないと誓った。
 その時点でもう十分に碎輝は成長していた。神王サンサーラを完全に倒すことはできずとも、当初の目的である退けることは可能だろう。
「ぼくたちの光は全てを糺す! 今だよ、親分!」
 ――碎輝。
 鈴鹿の声、それだけではなく此処に集った猟兵すべての声が彼を呼んでいた。
「任せておけ……!!」
 それによって碎輝が最後の急成長を遂げ、そして――。

●神王と碎輝
『昨日より今日、今日より明日!
 今の強さを超えるために、無限も幻想も飛び越えて……!
 行くぜ!! これが碎けてもなお輝く! 俺の……いや、俺達の力だッ!!!』

 碎輝の声と眩い光と共に放電槍が骸の海を貫き、輝きを増す。
 それはたった一瞬のこと。
 光が和らいだとき。其処にはもう神王サンサーラの姿はなく、無限に広がりゆく骸の海の力も消えていた。
 この戦いの終わりがどのような結末に繋がるのかは未だ誰も知らないが、確かなことがある。
 それは――此処にまたひとつ、勝利が刻まれた事実だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年09月13日


挿絵イラスト