帝都櫻大戰⑤〜箒星、墜ちて、そして
「何ということでしょう……」
皇族の端くれたる冬桜護の少女は愕然と飛来する『浮島』を見上げた。
夕暮れに映える流れ星。
それがいまや、地上を穿つ兵器となって人々の暮らす村を焼いている。このまま帝都にたどり着けば大惨事を免れない。
「早く『幻朧封じの義』を行わなければ……! 星に祈りを捧げ、本来の役割を取り戻していただかなければなりません」
例えばシベリアの極地地帯、ハワヰの火山地帯、ヒマラヤの超高峰など……世界各地の秘境に咲いていた幻朧桜は『冬桜』と呼ばれていた。
「それらが開戦と同時に周辺の土地もろとも『浮島』となって、現地の人々や影朧を満載したまま、帝都に飛来してきたのだ」
幻朧帝が、己の配下とするべく呼び寄せたのだろうか。
だとすればこのまま帝都に合流させるのは阻止すべきだろう。
「そこで、サクラミラージュの皇族たちが『浮島』の一つを鎮めるため出陣しようとしている。これまでも彼らは密かに辺境へ旅し、『人目につかない冬桜』の元を訪れ、幻朧帝の封印をこれまで維持してきた。今回は彼ら皇族に同行し、『幻朧封じの義』に協力して『浮島』を元の場所に還す手伝いを頼みたい」
目指す浮島は不思議な流れ星が見られる東の果ての孤島。
夜ではなく、夕暮れにしか見られない流れ星は本来ならば、とても美しい自然現象のはず。
「それが『浮島』の暴走によるものか、地上にまで降り注ぐ危険な流星雨と化している。皇族を流れ星から護りつつ、心からの願いを星に祈ることが、荒ぶる『浮島』を鎮める力になるらしい。皆は何を願う? 逢いたい人がいるか、それとも叶えたいことがあるか……?」
ツヅキ
プレイングを送れる間は人数に関わらず受付中です。
共同プレイングをかけられる場合はお相手の呼び名とIDもしくは団体名を冒頭にご記載ください。
辺境から『浮島』となって飛来する冬桜を鎮めるため、冬桜護に同行して『幻朧封じの儀』を行いましょう。辺境の村を丸々一つ乗せた『浮島』には夕暮れに見られる不思議な流れ星があるそうです。
暴走する『浮島』の影響なのか、流れ星は冬桜に近寄るものを攻撃し、排除しようとしてきます。ですが、流れ星に願いを祈ることで暴走を鎮め、『浮島』を元の場所へ戻すための儀式を成功させることができるでしょう。
プレイングボーナスは『皇族を護衛する/皇族の「幻朧封じの儀」に協力する』となっています。
第1章 日常
『ほうき星に願いを』
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POW : 逢いたい人がいる。
SPD : 叶えたいことがある。
WIZ : 今は、わからない。
イラスト:tg
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アンノット・リアルハート
アドリブ連撃歓迎
星に願いを……っていうわけね、面白いじゃない
だけどまずは護衛を優先、選択UCを発動し降り注ぐ星をこちらの流星でカウンターしましょう
ついでに結界の効果で浮島を沈める真摯な願いを強められれば良いけど……こちらはできたらの話ね
儀式を進めるなら私も願わないとだけど……そうね、だったら何もせずそこで見守っていて!
誰かに願いを託すなんてまっぴらごめん!そもそも他人が背負えるような軽い夢なんて持っていない!
自分の夢は自分で叶える!だから私には手を出すな!それが私が星に願う唯一して最後の夢よ!
「なるほどね、状況は理解したわ」
星に願いを、なんて。さぞかし綺麗な光景が見られるのかと思ったら黙示録もかくやの現状をアンノットは純粋に面白がった。
「あなたを護ればいいのね?」
「お手数おかけいたします」
同行する皇族は申し訳なさそうだ。
「私たちがもっとしっかりしていれば、こんなことには……」
「いいから気にしないで! こちらの流星でカウンターするわよ。とばっちりを受けないように頭を下げていてちょうだい……!」
――星には星を。
夕焼けをバックに光輝く流星をアンノットの流れ星が――何百もの流星の光が、正しき願いを守るため、『浮島』に降り注いだ。
「悪しき夢よ去りなさい。そして、良き夢よ来たれ!」
結界が輝きを増し、祈りを捧げる皇族の神通力との相互作用で浮島を鎮めるための真摯なる願いを強めてゆく。
人の夢を願う力が、暴走する箒星に本来の在り方を取り戻させるのなら。
「だったら――」
箒星を迎撃する流星の空を見上げ、アンノットは願った。
「だったら何もせずそこで見守っていて!」
「それだけでよいのですか?」
驚く皇族に、アンノットは笑顔で答える。
「誰かに願いを託すなんてまっぴらごめんだもの! そもそも他人が背負えるような軽い夢なんて持っていないしね」
だから、何もしなくていい。
自分の夢を自分で叶えるための、それがアンノットの祈り事。星に願う唯一にして最後の夢なのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ギュスターヴ・ベルトラン
noblesse obligeってこういう時に言うんだな
…もとい貴人の役目を果たさんとする者に敬意を表するために挨拶を
幻朧封じの儀、微力ではありますが尽力いたします
自然現象が牙を剥くのはよくあることだが、これは流石に危険だな
これを鎮めるには、星に願いを祈ることか重要と
願うはたくさんある…でも心からの望みはたった一つだ
いつでも、どんな時であっても人の心に寄り添える人間でありたい
一時の表面ではなく、心から…魂から寄り添い歩める者になりたい
昔はわからなかったし、今だって理解できてるかわからないが
それでも…この祈りが誰かに届く福音であれ
――主よ、この地に私をお導き下さり感謝いたします
「――noblesse obligeってこういう時に言うんだろうな」
発音は完璧だった。
わが信仰が揺るぎないのと同じく、舌に乗せた流暢な響きに欠けはない。好きな音楽を歌うのと同じくらいその言葉を発した時のギュスターヴは真摯であった。
「お初にお目にかかります。幻朧封じの義、微力ではありますが尽力いたしましょう」
心尽くしの挨拶は危険を顧みずに貴人の役目を果たそうとする者への、敬意の証。自然現象が牙を剥くのはよくあれど流石にこの|状況《シチュエーション》は危険に過ぎたので。
「何とかなりますか?」
「貴方を護る方は何とでも。鎮める方はさて、星に願いを祈ることが重要ときましたか」
「自らの本来の姿……人々の願いを叶える存在としての箒星に戻すにはそれしかございません。強き願い、純粋な祈りであるほどに、鎮める力は増すでしょう」
願うはたくさんあった。
音楽もお菓子も最近じゃサングラスも大好きだ。
俗っぽいのは自覚している。柄が悪いところも。だが、心からの望みはひとつしかない。聞いてくれるか、箒星? お前らしくないと笑わないでくれ。だって、本当にこれが、俺の叶えたい唯一の願い事なんだから。
「いつでも、どんな時であっても人の心に寄り添える人間であれますように」
流星が大地を砕く黙示録のような光景の中、その声色はまるで誓いのように、凛と。一時の表面ではなく、心から……魂から寄り添い歩める者になれるよう。
昔はわからなかった。
今だってどこまで理解できているか。
「それでも……この祈りが誰かに届く福音であれ。――主よ」
ギュスターヴの指先がロザリオに触れ、十字を切る。
「この地に私をお導き下さり感謝いたします」
大成功
🔵🔵🔵
紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
皇族の皆様方、藍ちゃんくんのドームにお入りくださいなのでっす!
常日頃なら藍ちゃんくんのライブも楽しんでいただくとこでっすが!
お祈りの邪魔をしてしまうわけには参りませんのでー。
祈祷に相応しい舞いと静かな歌でお送りさせていただくのでっす!
星に願いを、でっすかー。
藍ちゃんくん、願いは星に託すのではなく、自らに託し叶えるタイプでっすからねー。
ただ、星を見ることで自らの願いを意識することはとっても大切なことだと思ってるのでっす!
お星さまは自らを顧みて思いを巡らす機会もくださるのでっす!
星を見上げた皆様が、ご自身の願いを思い浮かべれますように!
今回はそう祈らせてもらうのでっすよー!
「藍ちゃんくんでっすよー!」
たとえ辺境の『浮島』が飛んできても藍の天真爛漫さは曇りが無い。いや、違う。ここは既に『浮島』ではなく藍ドルのドーム公演のためのドーム内なのだ。
「ここは……!?」
「常日頃なら藍ちゃんくんのライブを楽しんでいただくためのドームなのでっすが、今はお祈りのために使ってくださいなのでっすよー!」
藍はマイクを構え、祈祷のためのダンスを捧げた。歌もしっとりとしたバラードで幻朧封じの義に相応しい静謐さに合わせたメロディを添えて。
「星に願いを、でっすかー」
もっとも、願いを星に託すのは|らしく《・・・》ない。
藍ドルたるもの自らに託し叶える存在でいたいもの。ただ、星を見ることで自らの願いを意識するのはきっと大切なことだ。
自分の心の中に入れ込むみたいに、それを叶えるための決意を顧みるために。だってあんなに輝いている星への憧れはスターという存在そのものだから。
「お星さまがくださる機会を無駄にはしないのでっすよー! さあ星を見上げた皆様が、ご自身の願いを思い浮かべれますように!」
それが藍の願い、祈り。
目を閉じて、|星に願う《Wish upon a star》。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
ふむ、願いなぁ。うむ、あるな!
この戦争に勝つこと、それと…霹靂に、綺麗な景色を見せてやりたくてな!
うむ、やはり。冬桜も綺麗なものよなぁ!ちと危険ではあるが、流星と一緒に見られるというのは、贅沢であろうよ。
ま、その流星がこちらに来るのなら、黒燭炎で砕くのであるがな!
※
霹靂「クエ」
流星綺麗だけど、危ない!
自分も勝ちたい!だから願う!
それと、『あつあつおじーちゃん(侵す者)』と一緒にこれてよかった!
「ふむ、願いなぁ」
さて、悪霊たる『侵す者』にも願いはあるのだろうか。
「うむ、あるな!」
ぽん、と軽く手を叩き。
「まずはこの戦争に勝つ事よな。それと……霹靂に、綺麗な景色を見せてやりたくてな!」
「クエ」
霹靂が同意だと言いたそうに鳴いた。
「うむ、うむ」
義透も満足そうだ。
「やはり冬桜も綺麗なものよなぁ! ちと危険ではあるが、流星と一緒に見られるというのもまた贅沢であろう?」
「クエ!」
もっとも、その流星がこちらに来るというのなら、話は早い。
やる気まんまんの霹靂と共に、黒燭炎を渾身の力で砕き飛ばす。願うのは霹靂にお任せだ。勝ちたい! と翼を大きく広げて羽搏いた。
「ん? なんだと?」
義透は霹靂の鳴き声に耳を傾ける。
「クエッ、クエクエ!」
「ふむふむ……『あつあつおじーちゃん』と一緒にこれてよかった、と? もしかしてそれはわしのことか? はっはっは! 愛いやつよ! では共に星を祓ってやるか、霹靂よ!」
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
星が相手なんて…
あんまり使った事ない技だけど…やってみるしかないか
彩華満開発動
オーラ防御を可能な限り広範囲に展開
更に氷魔法の属性魔力を乗せて防壁をコーティング
防御力重視で皇族さん含め周囲一帯を守りたい
僕1人に出来る事は少ないけど
それでもきっと僕が力不足な部分は皆が補ってくれるって信じてるから
だから、大丈夫
僕の願い
桜が美しくて、どこか懐かしい雰囲気のあるこの世界を
皆が優しくて暖かなこの場所を
……僕の思い出を、壊させたくないから
だから、守りたいんだ
この世界で沢山の人に出会った
影朧さん達とだって、思い出を作った
それに…桜の花は、僕が救われた後
木に咲く花としては1番最初に見た花だったから
お願い
守らせて
……箒星。
冬桜の咲き誇る辺境が『浮島』化して、暴走する自然現象や影朧と共に帝都を目指しているのだと。
「でもまさか、星が相手なんて……」
あまり使ったことのない技であろうと、うまくいってくれる方に賭けるしかない。
彩華満開を発動する。
それは任意の技能を強化することで澪の戦闘能力を引き上げる効果を持つユーべルコード。
「使う技能は……オーラ防御と氷魔法! 氷の属性魔力で防壁をコーディングするよ! この中からは出ないようにお願いするね」
「かしこまりました、よろしくお願いいたします」
澪は皇族たちを、周囲一帯を護るために可能な限りの|護り《オーラ》を拡げた。突き刺さるように降る箒星の一撃にも耐えるほどの防壁、燃え盛る流星の炎を弱めるほどの絶対零度。
(「僕1人に出来ることは少ないけど、それでもきっと……力不足な部分は皆が補ってくれるって信じてるよ」)
だから、僕は僕にできることをすればいい。
それで大丈夫。
「僕の願いはね、桜が美しくて、どこか懐かしい雰囲気のあるこの世界を……皆が優しくて暖かなこの場所を、僕の思い出を、壊させたくないってこと。守りたいんだ」
この世界で沢山の人に出会えた。
影朧とだって、思い出はたくさんある。
「特にこの桜の花。僕が救われた後、木に咲く花としては1番最初に見た花だったんだ。だからお願い、守らせて」
その時、箒星の威力に変化が見られた。
澪の願いが届いたかのように、僅かに暴走が収まり始める。
大成功
🔵🔵🔵
朱赫七・カムイ
夕暮れの空に流れる流れ星…か
此度は厄災を共に連れてくるようだ
厄災を祓うは禍津神たる私の役目
美しい桜の世を決して散らせはしないよ
朱桜の結界を張り、皇族の身を流れ星から守ろう
接近すればすぐに庇いその厄災は約されぬと再約ノ縁結を巡らせて
思い切りの願いを神罰の如く星にぶつける
私の願いは
この、うつくしい櫻花幻朧界の存続だ!
例えはじまりが、封印のための仮初の地であろうとも…美しく咲き誇るこの世界を、この世界でいきる人々と、紡いできた縁に絆を守りたい
いや、守るのだ!
私は元影朧がこの桜に癒され、再び廻り生まれる奇跡を得たもの
おかげで、逢いたい…愛する者に再会でき…今の私があるのだから
この願い
必ず叶えてみせる!
夕暮れは燃えるように映えていた。
いまは浮島となった地平線に沈む太陽は赫々として、黄昏を切り裂くように飛来する流れ星が連れてくる災厄を祓うため、禍津神たる役目を果たすため、カムイが立つ。
「美しいな」
世紀末もかくやの世界であれど、咲き誇る幻朧桜の美しさに変わりはなく。桜の世を決して散らさぬために紡がれる結界は朱桜の降りしきる陣となって皇族を内に抱き込んだ。
「……これより、幻朧桜封じの義をはじめます」
祈りを捧げる間、動けぬ貴族をその背に庇い、理を挿げ替える。迫りくる流星が齎すはずの災厄はもはや巡らず、実るはカムイの願いのみ。
神罰の如くに叩きつける、思い切りの効いた祈りの名は。
「この、うつくしい櫻花幻朧界の存続を!」
例えはじまりが封印のための仮初の地であろうとも、カムイは其れを願うだろう。美しき幻朧桜が咲き誇るこの世界を、この世界でいきる人々と、これまで紡ぎ上げた縁に絆を守りたい――否、
「|守る《・・》のだ!」
奇跡を知る者よ、聞き給え。
かつてとある影朧がいた。
呪と災厄を司る厄神の名を戴き、闇と裏に添うたモノ。それを癒したのは何か? 桜だ。この桜に癒されて再び廻り生まれる奇跡を得た|もの《神》が私だ。
「ゆえに願いはかなえられた。逢いたかった愛しき者と再び巡り合えた。今の私があるのは桜のために他ならない」
ゆえに、
ゆえに、
ゆえに、
「――聞け、箒星よ」
汝に願ったこの願い、この手で必ず叶えてみせようと。
カムイの決意に応じるが如く、箒星がその軌道を変えた。大地を穿つかに見えた軌道は弧を描いて空へと戻り、破壊の軛から解き放たれる。
「無事、『浮島』の暴走は収まったようです」
皇族は指をつき、深々と頭を下げた。
「猟兵の皆さまのおかげでございます。こころよりの感謝とご活躍に寿ぎを――……」
大成功
🔵🔵🔵