帝都櫻大戰②〜夜桜湯、お月見番外地
●ようこそお月見番外地
「あんねあんね、温泉行かへん?」
楽しげに誘いかけた晴日・サクラ(花の音・f43129)は、昼夜問わず激しい戦いを続ける猟兵たちに、一休みできそうな場所があるのだと言った。
それは帝都随一の繁華街、浅草六区――その裏手に立ち並ぶ番外地の『湯屋』だ。
「本来は後ろ暗い店が多い場所なんやけど、溜め込んだ莫大な情念のせいか、影朧の大発生地になろうとしてて……この温泉も、影朧たちに乗っ取られてしもたんよ」
それだけ聞けば一大事だが、この影朧たちはまるで従業員のように振る舞って、客を招き寄せ歓待しているのだという。
「普通に華やかに、もっと楽しみたかったって生前の未練のせいみたいなんやけど、おかげで、いうか……本来は後ろ暗い人ばっかり来て暗い雰囲気やったこの温泉も、こう――めっちゃええ温泉になってるん!」
力説である。なんでも施設一帯の設備そのものから新しいものになっているのだとサクラは説明を加えた。男女分かれた大浴場は勿論、水着で楽しむ混浴、少人数向けの個室も備えている。
「いくつか温泉がテーマに分かれててな、『夜桜湯』は名前の通り、露天風呂からライトアップされたたくさんの夜桜を楽しめるんよ。このお湯の特徴は、お風呂のお湯が桜の香りがすること。お湯の色も透き通ったほんのりさくら色でな、ええ匂いで、花びらも浮かんでて綺麗なん」
でもいま一番人気なんはね、とサクラは満面の笑みで続けた。
「『月見湯』! 露天風呂なんは夜桜のほうと同じやけど、桜はあんまり見えん代わり、お月様がすごい綺麗に見えるんよ。まんまるなお月様、すごく綺麗。このお湯は香りはないんやけど、とろんとしてて、お肌がもちもちになるんやって」
いまは九月。時期としてもお月見にはもってこいだろう。そして勿論、花見月見と言えば。
「お団子とお酒とソーダも楽しめるんよ! お団子は、みたらし、あんこ、よもぎの三種。お酒は甘口と辛口の米酒。ソーダは二種で、『お花見ソーダ』と『お月見ソーダ』になっとるよ。さくら色の桜味と、金色の和梨味がある」
お酒はそのまま頼めば盃で、頼めば花見や月見ソーダと割ることもできるそうだ。選べる種類は多くはないが、そのぶん悩むならどちらも頼んでしまえばいいとサクラは無邪気に笑う。
「だって、楽しみ尽くさなここの影朧さんたちは浄化できんの。温泉も夜桜もお月様も、みんなでいっぱいいっぱい楽しんだら、きっと影朧さんたちより強い圧倒的な情念になる。ここの影朧さんたちを『楽しい』で浄化してきて!」
いってらっしゃい、と満面の笑みでサクラは猟兵たちを湯屋へと送りだした。
柳コータ
お目通しありがとうございます。柳コータと申します。
こちらは『帝都櫻大戰』戦争シナリオです。
●シナリオについて
≫断章なし/〆切あり/通常:2名まで/オバロ:制限なし。
・プレイングボーナス≫とにかく楽しむ。
・温泉と夜桜とお月見を楽しむシナリオです。楽しむことで影朧たちが浄化されます。
≫種類:男女別の大浴場・水着必須の混浴大浴場・個室。個室も勿論露天風呂です。
≫テーマ:『夜桜湯』・『月見湯』
※行く温泉の種類とテーマを明記してください。
・お声がけがあれば当方のグリモア猟兵のいずれかがご一緒します。
●プレイングについて
・複数参加の場合、IDか合言葉をお願いします。
・未成年の飲酒、公序良俗に反する行為は不採用です。
・戦争シナリオにつき完結を優先します。内容に問題がなくともお返しする場合があります。
・10日16時までに書けるだけ全力で頑張ります。
●受付について
【公開後〜9/8(日)22時まで】先着順ではありません。焦らずどうぞ。
プレイングの状況次第でサポート進行予定です。
それでは、皆さまのプレイングをお待ちしております。
第1章 日常
『夜櫻温泉郷』
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POW : 熱い湯でも関係ない。じっくりと、入って温まろう
SPD : 効率のいい入り方で、じっくりと疲れをとろう。
WIZ : 人目を気にせず、のんびりと入ろう。
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●湯屋
――『夜桜湯』。踏み入れば、甘やかな桜の香りが湯気とともに訪れた者たちを迎え入れた。夜に照らし出された夜桜は、湯の正面いっぱいに咲き誇る。その花弁は、はらりひらりと舞いながら、薄紅透明のさらりとした湯に降り浮かび、まるい波紋を広げていた。
――『月見湯』。広い夜空にまんまるの月。湯に浸かれば、とろりとした金色透明の湯が、ゆったりと体を包み込む。湯に香りこそないが、掬いあげればきらきらと、月の光のように光るのが見えるだろう。
大浴場、混浴、個室、それぞれ賑やかさや広さに差異はあれど、いずれも桜や月の眺めは変わらない。思うまま楽しく、あるいはのんびりと、この温泉を楽しんで。

栗花落・澪
【双華】
『夜桜湯』『混浴』
去年の水着着用
温泉いいよねぇ
お月見もいいけど、僕は桜が見たいかな
こんな素敵な景色独り占めも勿体ないからお友達と一緒に
もーなんかとか言わないのー
僕が呼びたいから呼んだの、ね?
桜の良い香りー
あ、ほら見て百鬼さん
夜桜綺麗だよ!
お互いかけ湯を済ませたら
一足先に夜桜の見える露天風呂へ
昼間の少し儚い印象の淡い桜色とは違って
少し鮮やかに見える桜色と夜空の対比が幻想的で
せっかくだからお団子とソーダも欲しいね
僕はよもぎと、お花見ソーダにしようかな
百鬼さんは?
半分こ…!いいの?
わーいありがとう!
注文等他の人との会話が必要な事は基本的に僕が担当
人見知りの百鬼さんに無理はさせたくないからね

百鬼・智夢
【双華】
『夜桜湯』『混浴』
2021年の水着着用
あ、あの…呼んでいただけたのは嬉しいんですが…
良かったんでしょうか、私なんかで…
は、はい…ありがとうございます
いつも一緒のリアム(テディベア)も
流石に濡れたら大変だから
今日は更衣室でお留守番、です
夜桜……本当ですね
なんだか、別世界に来たみたいです…
水面に浮かぶ花弁をそっと両手で掬い上げてみる
温泉自体、あまり馴染みが無いから
なんだか不思議な感覚
私は……じゃあ
あんこと、お月見ソーダにしてみます
それで…どちらも半分こ、しませんか?
澪君なら、いいですよ
多分…注文の時は、私は恥ずかしくて…
話すどころか、前にも出れないので
代わりに注文していただくお礼、です
「温泉、いいよねぇ」
機嫌よく笑って栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は水着に着替えて混浴の大浴場、夜桜湯へと向かう。
一歩踏み入ると、目の前には満開の夜桜が光に照らされてあった。なんて素敵な景色だろう。独り占めするには勿体ない――そう思ったから。
「あ、あの……呼んでいただけたのは嬉しいんですが……良かったんでしょうか、私なんかで」
おずおずと澪の後ろをついてくるのは同じく水着姿の百鬼・智夢(慈愛の巫女・f20354)だ。いつも一緒のテディベアであるリアムもさすがに今日は更衣室で留守番している。そのぶん、手持ち無沙汰の手が愛らしい水着の裾をつまんだままだ。
「もー、なんかとか言わないのー」
くるりと振り向いた澪が智夢に頬を膨らませてみせる。
「僕が呼びたいから呼んだの。ね?」
お友達と楽しみたかったんだから、と言う澪に、智夢は相変わらずおずおずと、けれど嬉しそうに笑った。
「は、はい……ありがとうございます」
ようやく笑顔の見えた智夢に澪もまた笑って露天風呂の淵をのんびり歩く。
「桜の良い香りー。あ、ほら見て百鬼さん、夜桜綺麗だよ」
「わぁ……本当ですね。なんだか、別世界に来たみたいです……」
露天風呂の正面には惜しげもなく咲き誇る幻朧桜が花びらを振らせている。湯煙のなか夜に浮かび上がる桜は、昼間に見る少し儚い淡い色とは違って見えた。夜空に照らされる桜色は少し鮮やかで、どこか幻想的だ。
湯かけを済ませて、二人は湯船へと入る。湯に浸かるといっそう桜の香りが身を包み、花弁を揺らす澄んだ桜色の湯が肌を淡く色づける。
「私、温泉自体あまり馴染みがなくて……なんだか不思議な感じがします」
智夢は水面に浮かぶ花弁をそっと両手で掬いあげてみた。淡く色づいたお湯に浮かぶ花びらは、手のひらのなかでくるくると踊る。すこしかわいい。
「じゃあ尚更誘ってよかった。せっかくだからお団子とソーダも欲しいね。僕は……よもぎのお団子と、お花見ソーダにしようかな。百鬼さんは?」
もちろん注文は僕がするからね、と澪が言う。人見知りの智夢に無理をさせるつもりはなかった。
澪に問われて、智夢もええと、と考える。メニューは浸かりながら見られるように、湯船の淵に防水用紙で掲示してあった。
「私は……じゃあ、あんこのお団子と、お月見ソーダにしてみます。――それで……どちらも半分こ、しませんか?」
澪とは違うメニューを選んで、ふわりと智夢は少し笑って首を傾げる。これには澪も少し驚いて、けれど嬉しそうに笑いこぼした。
「半分こ……! いいの?」
「はい。澪くんなら、いいですよ」
代わりに注文していただくお礼です、と智夢が頷くと、澪はさらに笑みを咲かせた。
「わーい、ありがとう! それじゃあ注文しちゃうね。すみませーん!」
澪が店員を呼ぶ。その隣で智夢は少し眩しそうにその姿を見ていた。自分なら恥ずかしくて話すどころか前にも出れない。けれどこうして友達と――澪と一緒なら、できないことも楽しめる。
そうして二人のもとへ運ばれて来たソーダとお団子は、夜桜の舞う温泉のなか、仲良く二人で半分こにされた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
夜鳥・藍
WIZ
男女別の大浴場『月見湯』
影朧の未練もこのようにプラスに働くのですね。
とても賑やかな雰囲気に少しばかり気圧されるような気がします。
ええ、影朧であろうとも楽しめる時は楽しんでもいいと思います。そう思うと自然と笑みがこぼれてしまうようです。
桜かおる夜桜湯も月が望める月見湯もどちらも気になりますね。やはり9月ですものお月見といたしましょう。
湯に落とさないよう髪をしっかり纏めて大浴場へ。湯舟のへりにもたれるようにゆっくりと月を見上げ、のんびり過ごします。
綺麗なお月さま……。うっかり長湯してのぼせないようにしないと。
お風呂上りにはお月見ソーダで喉を潤しましょう。
人々で賑わう湯屋は、番外地の仄暗さを少しも感じさせない。
「影朧の未練もこのようにプラスに働くのですね」
いっそ祭りめいたそれに気圧されるような気もして目を丸くしていた夜鳥・藍(宙の瞳・f32891)は、楽しげに客を歓待する影朧たちにふと笑みこぼした。
「ええ、影朧であろうとも、楽しめるときは楽しんでもいいと思います」
つらく苦しい思いに囚われるだけでなく、猟兵も影朧も笑うまま解決できるなら、きっとそれが一番だ。
それならば、と藍は入る温泉を考え始めた。桜香る夜桜湯も、月見湯もどちらも気になるところだけれど。
「……やはり九月ですもの。お月見といたしましょう」
そう決めて、藍はあらかじめ髪をしっかり纏めあげ、月見湯の大浴場へと足を踏み入れた。
大浴場は広く、多くの人で賑わっていた。
湯煙のなか見上げれば、まるい月が夜によく見える。
かけ湯などを済ませてから湯に浸かり、湯船のへりにもたれるようにして、藍は月を見上げた。
「綺麗なお月さま……」
月の光が淡い金色の湯船に反射して、きらきらと輝く。
とろりとした湯は包まれるような、不思議な落ち着きを感じるような気もした。
のんびりと、月を見上げる。時間がとてもゆっくりと流れて。
「うっかり長湯してのぼせないようにしないと」
はたとして、藍は湯をあがる。
すっかりぽかぽかとする体は、心なしか肌がもちもちになっているようだった。
風呂上りには、お月見ソーダを一杯。
透き通ったグラスにしゅわしゅわと注がれた金色のソーダは月明りに似て――甘く瑞々しい和梨の味わいが、喉を心地よく潤してくれた。
大成功
🔵🔵🔵
国栖ヶ谷・鈴鹿
【月見の温泉】
今回、案内してくれたグリモア猟兵のサクラちゃん、お呼びしても大丈夫?
だってすごく楽しそうだったんだもん、呼ばなきゃ損だよ!
直接の面識はないかもしれないけど、あんなに楽しそうにお話してくれるなら、きっと素敵なコマァシャルをしてもらえると思って、ぼくからお誘い!
月見温泉のとろりとしたやわらかなお湯に、思わず「ホントにトロッとしてやわらか!もちもち肌になれそう〜!」
頼んだドリンクは金色のお月見ソーダ、サクラちゃんもお好きなのをどうぞ!
お月見しながら、芳醇な和梨のソーダなんて、とっても贅沢な時間だね。
サクラちゃんの紹介のおかげで、ここ数日の疲れも癒されたよ、ありがとうね!
月見湯――大浴場。立ち込める湯気がふと夜風に流されて、まんまるな月が顔を見せる。
わ、と思わず短い歓声をあげた国栖ヶ谷・鈴鹿(命短し恋せよ
乙女・f23254)は、ここへと案内した晴日・サクラを振り向いた。
「直接面識ないのに急に呼んで大丈夫だった? サクラちゃん」
「うん、嬉しかった! けどなんで呼んでくれたん?」
サクラは人懐こい満面の笑みで頷いて、不思議そうに首を傾げる。それに鈴鹿は、だって、と笑った。
「すごく楽しそうだったんだもん、呼ばなきゃ損だよ! あんなに楽しそうにお話ししてくれるなら、きっと素敵なコマァシャルをして貰えると思って」
「コマァシャル……えへへ、できるかなあ」
サクラは照れくさそうに笑いこぼす。けれども、そう思って貰えたことはサクラにとっても嬉しいことだ。
月見湯に浸かると、透き通った金色の湯がとろりと肌をすべる落ちる。
「ホントにトロッとしてやわらか! もちもち肌になれそう~!」
鈴鹿の弾んだ声にサクラもこくこくと頷いた。
「鈴鹿さんがそうやって楽しんでてくれるほうが、いっぱいコマァシャルになりそう!」
だっていまここで必要なのは楽しむことだ。この温泉をめいっぱい楽しんでくれている鈴鹿はどんな誘い文句より説得力があるだろう。隣にいるサクラだって楽しくなるというものだ。
「そうかな? ……あっ、頼んでたソーダが来たみたい。サクラちゃんもお好きなのをどうぞ!」
「私もええの? じゃあ、鈴鹿さんと同じお月見ソーダで」
運ばれて来たのは透明なグラスに注がれた、金色のソーダだ。氷と泡が涼やかで、まるで月の光を集めたようにも見える。香り立つのは、芳醇な和梨。口にすれば期待通りの瑞々しく爽やかな味がしゅわりと広がった。
「温泉でお月見しながら和梨のソーダなんて、とっても贅沢な時間だね」
「うん、おいしい! あんね、ソーダにはたまに当たりがあって。お月見やと底にほんとの梨が入っとるんやけど」
ほら、見て。サクラが指したのは鈴鹿のグラスだ。そこにはサクラのグラスにはない、一口大の丸い梨の身が隠れている。
鈴鹿は満面の笑みを浮かべた。
「わあ、ここにもお月様がいるみたい! サクラちゃんの紹介のおかげで、ここ数日の疲れも癒されたよ、ありがとうね!」
その言葉にサクラから返るのは勿論、満面の笑みでのありがとうだった。
大成功
🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
番外地の雰囲気とは完全に不釣り合いな温泉施設ときた
これを作り上げた影朧の執念……実に恐るべし
もちろん困った事態といえばそうなんだが、温泉そのものに罪はないし
ここは精々楽しませてもらうとしよう(男性大浴場・月見湯へ)
……これは人気が出るのも頷ける。良い景色と良いお湯。ついでに言うと、酒と団子も美味いしな
うっかり飲み過ぎてしまいそうだが、それは(体調的な意味で)危険なので自制だ
それにしても。ここを乗っ取った影朧達が浄化されたら、この施設は元に戻るんだよな
正直、これが失われるのは惜しいと思ってしまったが……ちょっとのめり込みすぎたかな?
でもまあ、ちょっと思うくらいは許されるだろう
常ならば仄暗い番外地。その一角にある湯屋に一歩踏み入ると、明るく賑やかな声が夜刀神・鏡介(道を貫く一刀・f28122)にも聞こえてきた。
思わずぎょっとしてしまうのは、番外地の雰囲気とは完全に不釣り合いな施設にしか見えなかったからだ。
「これを作り上げた影朧の執念……実に恐るべし」
囁き落として店員を見る。にこにこと歓待している影朧らしい店員たちからは、嫌な気配は感じない。とはいえ放置すればむやみに人が吸い寄せられて、厄介なことにもなるだろうことも明白だ。
「困った事態といえばそうなんだが……温泉そのものに罪はないしな」
ここはせいぜい楽しませてもらうとしよう。――それが、解決への一番の方法でもある。
鏡介は大浴場――月見湯へと足を踏み入れた。
そうしてゆっくりとお湯に落ち着いて空によく見える丸い月を見上げ、軽く息をつく。
「……これは人気が出るのも頷ける」
しみじみと呟いてしまった。見えるのは良い景色。そして広々とした大浴場は賑やかながらも一人の時間を楽しめて、月見湯の特徴であるとろりとした金色の湯も心地よく疲れを癒してくれる。
ついでに言うと酒と団子も美味い。
しっかりと鏡介の傍には盃と団子がある。のんびりと月を見ながら楽しむ酒は、うっかり進みすぎてしまいそうだが、それは体調的な意味でも危険なので、なるべく自制をせねばならない。
「それにしても、ここを乗っ取った影朧たちが浄化されたら、この施設はもとに戻る……んだよな」
残りの酒を傾けきって、温泉で月を眺めながら団子を口に運ぶ。正直これが失われるのは惜しいと思ってしまうところだ。
「……ちょっとのめり込み過ぎたかな?」
ふと口元に苦笑が浮かぶ。温泉は酒も回りやすい。
――けれど今日、この月を見るちょっとのあいだくらいは。きっと、許されるだろう。
大成功
🔵🔵🔵
笹乃葉・きなこ
○アドリブとかお任せ
●夜桜湯
大浴場で夜桜湯を早速楽しむべ
これから荒々しくなってくるんだから、無駄な疲れはこの風呂でスッキリさっぱりするんだべぇ
…綺麗(はらりひらりと舞う花弁を見ながら)
ちょっと入るの躊躇するべなぁ…
あ、お湯に色づいているんだ
(掌で吸っくて湯の色を確認したり)
香りも甘くて芳しいべぇ(瞼を閉じてすんすんっと)
お酒をお花見ソーダで割って呑みながらこの時間を愉しむんだべぇ♪
ふふふ、酔わないように舐める程度に抑えておきゃなきゃなぁ♪
もっと飲みたいけど我慢、我慢っと
さぁ、名残惜しいけど良い湯だったべ
コレで牛乳があれば完璧だべなぁ♪
サクラミラージュで大きな戦いが始まってはや一週間ほどが経つ。
いまでも各地で戦いが続いているが、この先はもっと激戦となっていくだろうことは予想に難くない。
「これから荒々しくなってくるんだから、無駄な疲れはこの風呂でスッキリさっぱりするんだべぇ」
夜桜湯の大浴場へと訪れた笹乃葉・きなこ(キマイラの戦巫女・f03265)は、入るなり目の前に広がった景色に目を奪われた。
夜に照らされた桜が、はらりひらりと露天風呂へ舞い落ちて。
「……綺麗。ちょっと入るの躊躇するべなぁ」
既に賑わっている大浴場だが、見惚れてしまうほどの景色のなかに混ざるのは少し気が引けてしまうものだ。
けれどもかけ湯を済ませてから、きなこは改めて湯船へそっと入り込んだ。透き通った桜色の湯が、肌をほんのりと染める。
「あ、お湯に色ついてるんだ。香りも甘くて芳しいべぇ」
手のひらでそっと掬って、目を閉じて胸いっぱいに甘い香りを吸い込む。それだけで気分がほぐれるようだった。
温泉を楽しみながら、きなこが頼んだのはお酒のお花見ソーダ割りである。運ばれて来たグラスには、淡い桜色のソーダが氷と共にしゅわしゅわと音をたてていた。一口飲めば、ふわりと酒の味も追ってくる。
「ふふふ、美味しいけど酔わないように抑えておきゃなあきゃなぁ♪」
舐める程度に、とは思いつつ、お酒を少なめに頼んで割ってもらったおかげて、お花見ソーダ一杯くらいは大丈夫そうだった。夜桜を眺めながらグラスを空にして、ほうと息をつく。
「もっと飲みたいけど我慢、我慢っと。さぁ、名残惜しいけど良い湯だったべ」
ゆったりとした時間を過ごして、きなこは夜桜湯を後にする。よく温まった体は戦いの疲れも癒されたような気がした。
「コレで牛乳があれば完璧だべなぁ♪」
――そんな希望にも勿論応える湯屋であったのは、間違いない。
大成功
🔵🔵🔵
雪華・風月
個室・夜桜湯
まだ戦争は始まったばかり…あまり気を急いても駄目ですね…
とゆったり夜桜を眺めながら温泉でリフレッシュ
肩まで浸かっていたのを風呂の縁に腰掛け足湯状態にし
置いていたお団子を一つ
帝の真実…色々と思うところはあります……
故に
えぇ、一旦一休みし再び剣を振るいましょう
この世界で暮らす無辜の民の為に…
持ち上げるはお月見ソーダを入れてもらった盃…
盃の誓いと言うほど大層なものではありませんが…と降ってきた1枚の桜の花弁と共に飲み干し
雪華・風月(若輩侍少女・f22820)が選んだ湯屋の個室は、広くはないが静かで、大浴場と変わらず美しい夜桜が露天風呂のに浮かび上がるように照らされていた。
踏み入ると同時に湯気と共に広がった甘い桜の香りと景色にほうと息をついて、風月は微笑む。
「まだ戦争は始まったばかり……あまり気を急いても駄目ですね……」
戦いはこれからますます激化していくだろう。それならば、温泉でリフレッシュするのも戦いのうちだ。
静かな個室でゆったりと夜桜を眺めながら、温泉に浸かる。
花弁が浮かぶ桜色のたっぷりの湯に肩まで浸かると、張り詰めていた気がほぐれていくようだ。
しばらくそうしてから、風月は一度風呂のふちに腰掛ける。
手を伸ばしたのは、盆に揃えて置いてあった団子だ。個室ではゆったり過ごせるよう、入る前にあらかじめ渡されているのである。
一口食べれば、柔らかくもちもちとした甘さがたまらない。そうして甘味を平和に味わうほど、戦いのことが頭に過ぎるのも本当だった。
(帝の真実……色々と思うところはあります)
――ゆえにこそ。
「……ええ、一旦一休みし、再び剣を振るいましょう」
風月にいまできることは、きっとはっきりしている。団子を食べ終えてから、風月はお月見ソーダを注いでもらった盃を手に、湯船へと再び浸かった。
湯船の水面を、夜桜の花弁が舞い落ちては揺らしていく。それを眺めていると、一枚の花弁がひらりと盃に舞い落ちた。ふとそれに微笑んで、風月は盃を夜桜に捧げるよう持ち上げる。
「この世界で暮らす無辜の民のために……」
盃の誓いというほど大層なものではありませんが、と笑み零して、風月は降り落ちた花弁ごと、盃を飲み干した。
大成功
🔵🔵🔵
アイビー・リリオペ
『夜桜湯』 ※猫なので喋らず猫語()やルビ等、心情表現可。
お湯の暖かい湯気と、甘い香りに誘われて
湯につかる訳ではないが、その場所の雰囲気を楽しもうと訪れる
人の少ない時間帯に、良さげな露天とかあればそこがいいかな
外の空気と湯気を堪能しながら丸くなって
誰かに見られても自然体のままのんびり伸び伸び、見るだなら自由にしたらいいけど
んなぁ~
天使様「宵桜湯ですかい?」
極北の大天使様(額に模様の在る、和装おっとり中性的天使様)
桜の花に誘われて出てきちゃった、夜桜を仰ぎ見て楽しそう
時折僕の事を撫でて一緒に堪能されてる気がする
手の感触が心地いいから、好きにしたらいいよ。…なんてね
甘い桜の香りに誘われるようにして夜桜湯を覗く、真っ白な猫がいる。
香りよくあたたかな湯気と場に満ちる賑やかさは、湯に浸からずとも心地良いものだ。
「んなぁ」
アイビー・リリオペ(冒険者ギルド員・f42158)は風呂に人が少ないのを確かめると、ひと鳴きして、とてとてと露天風呂のふちを歩いていく。
――あそこがいいだろうか。
夜桜湯の露天風呂の正面には、夜桜が照らし出されていた。アイビーが目指したのはその木の傍だ。夜風が湯気と混ざりあって心地よい場所を見つけて、くるりと丸くなる。
ねこ、と目を瞬かせる客が幾人かいたが、アイビーは気にすることなくのびのびとあくびをし、手足を伸ばした。
「
んなぁ~、ななぁ」
――まあ、見るだけなら自由にしたらいいけど。
などと言っても勿論、言葉は通じない。ただ湯船にいた客たちも猫かわいい、で癒されたようではあった。
「宵桜湯ですかい?」
アイビーらしく温泉を楽しみながらいると、現れたのは極北の大天使だった。桜の花に誘われたのか、夜桜を見上げ楽しげな笑みを浮かべている。それもまあ、自由にしたらいいと思うアイビーである。
どうにも天使は時折アイビーを撫でて、景色共々堪能しているようでもあるけれど。
「なぁん」
――手の感触が心地いいから、好きにしたらいいよ。……なんてね。
愛らしい猫の鳴き声が、夜桜と共に舞い落ちる。
夜桜湯にほんのひととき、もうひとつ癒しが生まれたしばらくだった。
大成功
🔵🔵🔵
尾守・夜野
■ワンダレイ
私(女性人格)で混浴の夜桜湯に参ります
桜楽しみたいし
2022の水着を着用
生前の水着なので■■■利用してます
ビキニとタオル、それと中に普通に水着のみ
勿論入る段になったらタオルは外します
「まぁ!李!見て!実に雅やかな…!
あ、凄いいい感じの湯触りですわよ!
ここ!」
肉体の性別も主人格も男故、普段男湯に入ってますの
女友達と温泉でテンションは高いわ
…私熱いのは苦手ですがお友達とお風呂とか入ってみたくてUC使ってます
「あ、桜の合間から月見れるのね!綺麗だわ
…お団子とかも行っちゃいます??あ、それも美味しそうね」
私側はお酒とかも頼んでこのテンションをお酒のせいに
何か理由とかバレてる気もしますがね
李・玉明
■ワンダレイ
やの(夜野)と混浴の夜桜湯を楽しむのじゃ!
混浴なので、衣装は2022の水着を着て入るのじゃ!
羽織りや羽衣は脱衣所に残して、ハイレグの部分だけじゃの。
湯船に浸かる前に身体を流して、と。
おお! 綺麗な夜桜じゃのぅ! うむ、良い湯なのじゃ!
やのの中にはいっぱい居るけれど、男性のやのも女性のやのも、やのだからのぅ。
一緒に遊んだり食べたり、満喫するのじゃ。
うむ! これが露天風呂の醍醐味じゃな!
お団子にお酒……は、まだダメかのぅ。公序良俗は守らねばならんからのぅ。
餡子の団子と『お花見ソーダ』をもらうのじゃ。
しゅわしゅわでとっても美味しいのじゃ!
そうだ、やの! ソーダ割というモノをしてみるかの?
「まぁ! 李! 見て! 実に雅やかな……!」
水着に着替えて混浴の大浴場――夜桜湯へと足を踏み入れると、尾守・夜野(自称バブ悪霊な犬神と金蚕蠱モドキ混合物・f05352)が目の前に広がる美しい夜桜にはしゃいだ声をあげた。
隣の李・玉明(豪華絢爛西欧天女・f32791)も、着慣れた水着で笑って頷く。
「おお! 綺麗な夜桜じゃのぅ!」
「あ、凄いいい感じの湯触りですわよ! ここ!」
ほんのりとした桜色の湯船に指先で触れてみた夜野が弾んだ声で言うのに、まずは身体を流してからのぅ、と玉明は楽しげな友人に目を細めた。
夜野は多くの人格を持つが、肉体的にも主人格も男性ゆえ、温泉などは普段は男湯に入っているのだ。この場は混浴とはいえ、女性人格で楽しむ女友達との温泉となれば、テンションも上がるというもの。
(やののなかにはいっぱいいるけれど、男性のやのも女性のやのも、やのだからのぅ)
友人が楽しそうにしていれば嬉しいのは当然だ。
ふたりともかけ湯を済ませてから、湯船へと並んで入る。
「うむ、良い湯なのじゃ!」
玉明が心地よさそうに肩まで浸かると、夜野も同じようにして、ですわよね、と笑う。
「……私、熱いのは苦手ですが、お友達とお風呂とか入ってみたくて」
いろいろと対策をしていまこの瞬間を楽しんでいる。露天風呂というのは外気に晒され続けるぶん、少し温度が熱めになっているものだけれど。
「うむ! これが露天風呂の醍醐味じゃな! やのももっと満喫するのじゃ」
ということで、と玉明は風呂に入りながらでも見える位置に掲示されたメニューを見やる。
「お団子にお酒……は、まだダメかのぅ。公序良俗は守らねばならんからのぅ」
「あ、お団子とかも行っちゃいます?」
「うむ、餡子の団子と『お花見ソーダ』を貰うのじゃ」
「じゃあ私はお酒も……」
「そうだ、やの! ソーダ割というモノをしてみるかの?」
「あ、それも美味しそうね!」
きゃいきゃいとはしゃいだ声を交わして、ふたりのもとにはあんこの団子とお花見ソーダ、米酒のお花見ソーダ割りが届いた。
はらりひらりと夜桜の花弁が舞い、湯船に浮かぶなか、透明なグラスに桜色の泡が涼やかな一杯を、ふたりで楽しむ。
「しゅわしゅわでとっても美味しいのじゃ!」
「ええ、お酒もとっても美味しいし、景色も綺麗だわ……李、お団子食べます?」
「うむ!」
いつもよりも弾む心地もお酒のせいにして――なんて夜野の考えも、玉明にはバレているような気もするのだった。
大成功
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梁樹・叶
【狐灯】アドリブ等歓迎
闘いの前、新調した衣装と刀に着替える前にゆっくり湯に浸かりに行こうか?
トトとお揃いの耳と尻尾は刀に宿った狐のせいらしい…気にしない気にしない
『夜桜湯』
桜色の湯に香まであって、すごく心地いい
トトはどう?入らないのか…あ、花より団子の方かな?
お団子とサイダーを口にする姿にほっこり
釣られて「一つお団子頂戴」って言ってみようかな
お酒は久しぶりだから少しだけ、甘目だから気づかず全部飲んじゃった
お腹も満たされて、お酒と湯で体もポカポカ
うとうとし出せばとろんと瞼も落ちてきて
トトも居るし、少しぐらい気が抜けても平気だよね。
ん?なんだかほっぺに違和感が…気のせいかな?
トト・モーゼ
【狐灯】アドリブ等歓迎♪
※モーラット:鳴声「もきゅ、きゅあ、きゅぷ、きゅい」とか
『夜桜湯』
お誘い嬉しい
叶ちゃんと一緒にお湯に…浸かれない!!お水苦手!!
「きゅいきゅい」と入浴お断り
縁で叶ちゃんと夜桜を見ながらお団子を堪能
お酒は遠慮、代わりに叶ちゃんにそっと桜花弁の入った盃を渡してあげる
トトはお団子、色んな種類をたーくさん
※お団子の種類等々、お任せ
おねだりされたお団子を口に差し出してあげるトト偉い
うとうとし出した叶ちゃん、のぼせるよって
ほっぺをふにふにして起こしてあげよう…お肌もちもち…あ、肉球付いちゃった。
「もきゅ…きゅいっ!」しーらないっと
突如としてサクラミラージュのそこかしこで切って落とされた戦いの火蓋。
激化する戦いへ赴くため、新調した刀と衣装を身に着ける前に――せっかくならば。
「ゆっくり湯に浸かりに行こうか? トト」
「もきゅ!」
梁樹・叶(覚醒者・f35321)が誘いかけると、嬉しそうにトト・モーゼ(モーラットマスター・f35702)はつぶらな瞳をもっときらきらさせた。ちなみに叶にあるトトとお揃いの耳と尻尾は刀に宿った狐のせいらしい。気にしてはいけない。
そうしてふたりは露天風呂の湯煙と共に夜桜が舞う『夜桜湯』へとやってきた。
甘い桜の香りが満たされた露天風呂は、ほのかに澄んだ桜色に染まっている。
「すごい……心地いいね」
先に叶が湯船へと浸かって、ほうと息をつく。
「トトはどう?」
誘われるまま、トトも叶と一緒に湯船へ――入れなかった。
「きゅいきゅい!」
お水苦手!! とばかり、ぶんぶん全身を横に振っての渾身のお断りである。
入らないのか、と叶はきょとんとしたものの、すぐに合点がいった様子であらかじめ頼んでいた盆に乗ったたくさんの団子をトトへと差し出す。
「花より団子のほうかな? ソーダもあるよ」
「もきゅ!」
風呂のふちで嬉しそうに頷いたトトは、全種用意されたお団子をもぐもぐと楽しみ始めた。美味しそうに団子を頬張るトトの様子に、叶も温泉を楽しみながらほっこりとして微笑む。あんこ、みたらし、よもぎ――どの団子も美味しくてトトも自然とご機嫌になる。
「ね、トト、ひとつお団子頂戴」
「きゅぷ? ……きゅいきゅい!」
美味しそうに食べるトトにつられて叶がついねだってみると、トトは口に運ぼうとしていたあんこの団子を叶の口元へ差し出す。
「いいの? ありがとう」
「きゅあ!」
トトえらい! と胸を張るトトに笑み零しながら食べた団子は、勿論美味しいに決まっていて。叶が自分用に頼んでいた酒の盃もトトがそっと渡した。盃にはちょうど舞い落ちた桜花弁が一枚入っていたのも、少し特別なような気がする。
「ふふ、美味しいね。……あ、全部飲んじゃった」
お酒は久しぶりだから少しだけにしようと思っていた叶だったが、甘めだったせいか、楽しかったせいか、気づかず全部飲んでしまっていた。
お酒とお湯で身体はぽかぽかとあったまっている。それにお腹も満たされてしまえば、心地よい眠気が叶を包み込むようだった。
ああ、眠たいな。そう思ったときには、もうとろんと瞼が落ちている。
「もきゅ、もきゅきゅ?」
(トトもいるし、少しぐらい気が抜けても……平気だよね)
うとうとと微睡むなか、トトがなにか言っているのはわかるけれど、この心地よさには抗いがたい。
――ふにふに。
(……ん? なんだかほっぺに違和感が……気のせいかな?)
「もきゅ……きゅいっ!」
すっかり心地よさそうなひとときの微睡みに落ちた叶の頬をつついていたトトは、叶ちゃんのぼせるよ、の意を込めてふにふにとつつき続けていた。
――叶ちゃん、お肌もちもち。……あ。肉球のあとついちゃった。
「きゅいっ!」
――しーらないっと。起こそうとしたもんね!
そのしばらくあと、起きた叶の頬にはしっかりと、トトの愛らしい肉球のあとがついていたようだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
カタリナ・ヴィッカース
●月見湯
【モケ女】
繁華街、浅草六区の裏通りある湯屋…
レトロな街並みをダンジョン企画に応用できないかと視察していましたら、迷子の子どもが両親を見つけたような安堵感な八洲さんと出会いましたか
はぁ、お風呂…ですか
この街並みの視察だけと考えていましたが、入浴で得られる解放感は黒教の理念に近いのですよのね
これも取り入れれば黒教勧誘の場にも応用できますので、よろこんでと申しておきましょうか
GGOでは見慣れない脱衣所や湯船のデザインをタイムスリップでもして来た大昔の浴場技士のように見学しながら湯船へ
お互いに最近作った模型を話題にしながら温泉を堪能しましたら、湯上がりにお団子とお月見ソーダも楽しみましょうか
八洲・百重
●月見湯
【モケ女】
秋の虫が鳴いてるってのに桜が満開なのは不思議だなぁ
初めて村から都会に出たみてぇにお上りさんってたら、模型作り仲間のカタリナを見つけたべ
知り合いと一緒だと初めての場所でも安心できるべさ
そうだ、折角だから風呂も一緒にどうだべ?
プロレスの練習で身体がくったくただから、入りに来たんだべさ
なんかぶつぶつ呟いたと思ったら快諾されたけど、気にしないべ
入り慣れた銭湯と同じルール見てぇだし、ここはおらが先輩風をびゅんびゅん吹かせながら脱衣籠の使い方を教えながら身体を洗って湯船に入るべさ
はえー、カタリナはダンジョンモンスターの原型をパテからフルスクラッチしてるんだなぁ
オラもそこまでやってみてぇな
九月に入ると、途端に朝晩の気配が秋に近づく。
それはこのサクラミラージュも同じなようで、月が綺麗に見える頃には秋の虫の声が八洲・百重(唸れ、ぽんぽこ殺法!・f39688)の耳にも届いていた。けれど見上げれば、裏通りであろうとも桜が咲き誇っている。
「秋の虫が鳴いてるってのに桜が満開なのは不思議だなぁ」
つい初めて都会に出たように百重が『お上りさん』をしていたときだ。偶然、模型作り仲間であるカタリナ・ヴィッカース(新人PL狩り黒教ダンジョンマスター・f42043)を見つけた。
「カタリナ! せっかくだからお風呂も一緒にどうだべ?」
「はぁ、お風呂……ですか?」
カタリナとしてはダンジョン企画にこの浅草六区――引いてはレトロなサクラミラージュの街並みを活かせないかと視察していたまでだったのだが、百重がさも迷子の子供が親を見つけたかのようなほっとした顔で駆け寄って来たものだから、つい毒気も抜かれてしまう。
「……視察だけと考えていましたが、入浴で得られる解放感は黒教の理念に誓いのですよね」
「んん?」
「これも取り入れれば黒教勧誘の場にも応用できそうです。よろこんで」
なにかカタリナが呟いていたような気はするが、快諾を得られたなら気にするものでもない。
早速行こうと百重がカタリナを引っ張るようにして、ふたりは湯屋へと赴いた。
どうやら百重としても入り慣れた銭湯と同じ仕組みらしい。ここはおらがと先輩風をびゅんびゅん吹かせて、百重が脱衣籠などの使い方をカタリナへ教えながら、ふたりは夜桜湯の大浴場へと足を踏み入れた。
夜に照らし出された桜と露天風呂。GGOでも見慣れない風景をカタリナは丁寧に見学するように見ていく。カタリナの気分としてはタイムスリップしてきたようでもある。
作法を百重から教わってから浸かった湯船では、最近作った模型が話題に上がった。
「はえー、カタリナはダンジョンのモンスターの原型をパテからフルスクラッチしてるんだなぁ。オラもそこまでやってみてぇな」
「八洲さんもやってみるといいですよ。……湯上りにはお団子とお月見ソーダも楽しみましょうか」
「そうするべ!」
さて団子の種類はなににするか。話題はまた何気なく巡って、趣味の話へと戻っていったりもしたようだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リュカ・エンキアンサス
晴夜お兄さんf00145と
とりあえず犬の姿で温泉に入るのは如何のものかと思う
でもまあ確かにお酒はよくない。ノンアルのビール貰ってこよう
見た目は俺の方が大人なのに、こういう所人間って不便だよね
…ん?あ、いや
その手は喰わない。俺の方が見た目にも精神的にも大人だから、しっかりしないと
とかまあああでもないこうでもない言いながら月見湯を楽しみます
温泉にアイスもいいかも、とか、割と食べ物の話多め
旅行先で食べた美味しいものとか
益のない話をだらだら喋る
たまにはこうやってぼーっとするのもいいかもしれないね
…この卵感(月)。折角だから月見うどん食べて帰らない?
まあ結局何であれ、一緒に食べるご飯は美味しいかな
夏目・晴夜
リュカさんf02586と
温泉はいいですよね…狼姿になれば泳いでもギリ許されますし
あと温泉で月見しながら酒を飲むやつ、一度やってみたかったんです
なので温泉は『月見湯』で
団子は全種を二人分、あと酒もソーダ割りで二人分…あ、リュカさんはまだ飲酒NGでしたか
じゃ、ハレルヤが全て美味しく頂きます!
酔ったハレルヤはカッコ良すぎる事になりますが、この程度なら余裕です
しかし万が一途中で酔ったらリュカさんが残りを呑んで片付けて下さい
お残しは良くないのでね
…くそ、引っかかりませんでしたか
写真撮ってばら撒いて炎上させようと思いましたのに
今、完全に月見うどんの口になりました
あれ美味いですよね
ええ、帰りに食べましょう!
「温泉はいいですよね……狼姿になれば泳いでもギリ許されますし。あと温泉で月見をしながら酒を飲むやつ、一度やってみたかったんです」
そういうわけでいざいきましょう『月見湯』へ。え? もちろん大浴場ですよ、このハレルヤが小さな湯に収まる器だとでも。あと団子は全種を二人分、あと酒もソーダ割りで二人分――。そこまで言いかけたところで、夏目・晴夜(不夜狼・f00145)はぐるんと勢いよく一歩後ろにいたリュカ・エンキアンサス(蒼炎の旅人・f02586)を振り向いた。
「あ、リュカさんはまだ飲酒NGでしたか。これは失敬! じゃ、ハレルヤが全て美味しく頂きます!」
「……、……とりあえず犬の姿で温泉に入るのはいかがなものかと思う」
晴夜からのいつも通りのじゃれつきに、リュカは慣れ切った半眼で淡々と正論を口にしておいた。犬じゃなくて狼、と常の訂正が入るのはひとまず気にしない。
そのままふたりで月見湯へと向かいつつ、でもまあ、とリュカがぽそりと呟いた。
「確かに未成年のお酒はよくない。ノンアルのビール貰ってこようかな」
「リュカさんリュカさん知ってます? ノンアル飲料は確かに法的にはセーフですけど、あくまで成人済み向けに作られてるから未成年に推奨はされないんですよ」
控えめな舌打ちがひとつ、踏み入れた大浴場へと溶け消える。
「……見た目は俺のほうが大人なのに、こういうところ人間って不便だよね」
出会った当時は子供と呼んで差し支えなかったリュカも、いまは立派な青年となっている。背も伸びたし、あどけない顔つきも精悍さが伺えるものになりつつあった。けれども法令と年齢の上では晴夜のほうが大人である。
ふたりはなにかにと言い合いながらに身体を流し、頼んでいた団子やソーダが届いた頃に湯船へと落ち着いた。
月見湯の露天風呂には、とろりと透き通った金色の湯が満ちている。見上げた先にまんまるの月が浮かべば、月の光が満たされているような気さえした。
月を見ながらお月見ソーダで割った酒を盃で傾けて、晴夜は満足そうに笑みを唇に乗せる。
「酔ったハレルヤはカッコ良すぎることになりますが、この程度なら余裕です。……しかし万が一途中で酔ったら、リュカさんが残りを呑んで片づけてください。お残しは良くないのでね」
「はいはい。……ん? あ、いや」
ソーダを飲みながら適当に頷こうとして、はたとしたリュカが言葉を止める。それから呆れた眼差しを晴夜へと向けた。
「いやだよ。その手はくわない。俺が未成年だってお兄さんが言ったんでしょ」
「……くそ、引っ掛かりませんでしたか。写真撮ってばら撒いて炎上させようと思いましたのに」
「わかってて飲ませたらそっちが炎上するでしょ」
「上手に切り抜き偏向報道するのが今時でしょう」
「いやすぎる今時……お団子貰うよ。みたらしは全部いただいた」
「なんですって。でしたらハレルヤはあんこ及びよもぎを全部……いや多いな……」
「お兄さんのお腹が団子にならない? 俺は風呂上りにアイスも食べたいけど。……温泉にアイス、いいかも」
「ああいいですね、そういえばこのあいだ旅先で食べたものが美味しくて、」
減らず口を叩きあいながらいると、いつの間にか話は食べ物のことへ移り変わっている。ふたりはのんびりと温泉と月見を楽しみながら、何気ない話をつらつらと続けていく。
話は尽きず、飽きることもない。けれど時折挟まる黙ってぼうっと月を見上げる時間も、決して気まずくもならないのだ。
「……この卵感。せっかくだから月見うどん食べて帰らない?」
「いい感じの沈黙で月に卵見出してたんです? でもいま、完全に月見うどんの口になりました。あれ上手いですよね。ええ、帰りに食べましょう!」
また賑やかに話だしながら、ふたりは月見湯を後にする。――結局なんであれ、一緒に食べるご飯は美味しいのだけれど。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵

誘名・櫻宵
私、温泉て大好きなの
神斬師匠も好きでしょ?
連れ添う厄神たる師に笑みをむけ向かうは『月見湯』!
うふふ、桜は私が咲いていれば十分よ
なんて自慢げに枝垂れ桜の翼を広げる
個室で湯をたのしみ月を愛でるのも風流ね!
大浴場は苦手か、って?問われて小首を傾げて
大浴場も好きだけど私が入ると驚かれちゃうから
ま、美しいのは時に罪ってこと
師匠の髪洗ってあげるわ
ついでに背中も流してあげる!
お月見ソーダで乾杯!
本当は師匠とお酒飲みたかったけど…禁じられてるのよね飲酒を
私、酒癖悪いみたい
酔ってる間の記憶がないからわからないのよ
…どうしても駄目?
「駄目だよ、サヨ」
なんて即答だわ
頬をわざと膨らませてみたり
私のぶんもあげるから機嫌をなおしておくれ、と師匠がくれたヨモギとあんこのお団子
美味しいお団子を両方頬張って日々の疲れを癒す…穏やかで楽しいお月見温泉ね
ふふ、師匠も一緒にお団子食べましょう
楽しむなら一緒にね
子供の頃から、師匠のことは。私に冷たかった実父よりも、「父上」のようだと思っていたなんて…ことは、お月様にもあかせぬ秘密
「私、温泉て大好きなの!」
声を弾ませて、誘名・櫻宵(咲樂咲麗・f02768)は月見湯の個室へと足を踏み入れた。
「神斬師匠も好きでしょ?」
ぱあっと爛漫に笑みを咲かせる先には、師であり厄神たる硃赫神斬がいる。神斬は頷き返しながら、目の前に広がる月見の景色にそっと首を傾げた。
「桜の湯でなくていいのかい、サヨ」
「うふふ、桜は私が咲いていれば充分よ」
自慢げに笑って、櫻宵は背に咲く枝垂桜の翼をふわりと広げて見せる。それもそうか、と神斬も三つ目ごと笑った。
個室で静かにふたり並んで湯船に浸かる。とろりとした金色の湯は、月のやわい光を受けて、きらきらと輝くようだ。夜空に眩しく浮かぶ月を見上げて、櫻宵は瞳を細める。
「こうして個室で湯を楽しみながら月を愛でるのも風流ね!」
「大浴場は苦手かい?」
「んん……好きだけど、私が入ると驚かれちゃうから」
師の問いに小首を傾げて櫻宵が答えると、神斬がなんとも言えぬ顔になった。心当たる理由はいくつかあれど。
「ま、美しいのは時に罪ってこと」
櫻宵が綺麗に笑ってしまえば、それも詮無いことになる。
「うん、ならいい」
緩く笑った神斬がぽんと櫻宵の頭を撫でたところで、そうだ、と櫻宵が笑みをいっそう無邪気に綻ばせた。
「師匠の髪洗ってあげるわ。ついでに背中も流してあげる!」
「それは嬉しいが……ふふ、わかったわかった、サヨ、引っ張らなくとも行くよ」
子供のように楽しげな声が、小さな露天風呂に響く。
「――それじゃあ師匠、乾杯!」
「噫、乾杯」
再び湯船に落ち着いた櫻宵と神斬は、手にしたグラスを高く月の下で鳴らし合わせた。
透明なグラスには、金色の泡が氷と弾けている。その中身は芳醇な和梨のソーダ。酒は一滴も入ってはいない。
「本当は師匠とお酒飲みたかったけど……禁じられてるのよね飲酒を」
これも美味しいけど、とお月見ソーダを傾けながら、櫻宵は残念そうに囁く。
「私、酒癖悪いみたい」
「そうなのか。……ちなみにどれくらいか自覚は?」
「どうかしら。酔ってるあいだの記憶がないからわからないのよ」
間があった。甘い梨の香りを、湯気に混じった夜風が流していく。
「……どうしても駄目?」
いまここには禁酒を申し付けたひとはいないのだ。ついでに言えば師という保護者もついている。じっとねだるように櫻宵は神斬を見上げて。
「駄目だよ、サヨ」
即答が返された。……やっぱり。
むう、とわざと拗ねたように頬を膨らませてみると、困ったように笑った神斬から団子が差し出された。
「私のぶんもあげるから、機嫌をなおしておくれ」
湯に浮かべた盆の上には、ヨモギとあんこの団子が乗っている。それを遠慮なく頬張れば、膨れていた頬は美味しい幸せで満たされる。おいしい、と櫻宵が笑うと、よかったと神斬がなにより嬉しそうに笑うのだ。その穏やかさが、温泉のぬくもりと共にあたたかく巡る。
「ふふ、師匠も一緒にお団子食べましょう。楽しむなら一緒に、ね」
今度は櫻宵のほうから団子を差し出す。神斬がそれを受け取って、一緒に団子を頬張って食べる――なんて何気ない、穏やかな温泉の時間。
(『父上』……なんて)
声にはせず心に呼び浮かべるのは、子供の頃から師匠のことをほんとうの父のように思っていたからだ。実父は常に櫻宵に冷たかったせいもある。
けれど、そのことは――お月様にもあかせぬ秘密。
大成功
🔵🔵🔵
朱赫七・カムイ
⛩同志
大浴場か
いいね、リル
らいとあっぷされた夜桜が美しいときく
楽しみだ
ちゅんぴぃとホムラもご機嫌だ
見事な桜色だ
リルの言った通り良い香りがするね
はやる気持ちを抑え身を清め夜桜湯を満喫しよう
噫…良い湯だ…
ホムラは浮かぶヨルの腹の上
温泉に入っているといえるのか疑問だ
ん?そうだね…彼は
大丈夫だといえばそうだが
特に禁酒させるのも大変だった
リルの一声の強さを思い知ったよ
私がいっても聴かぬ…苦笑もまた愛ゆえに
明るい笑顔が変わっても変わらずにある日常を示してくれるようだ
お花見ソーダで乾杯しよう
私もだ
リルがいなければやはり寂しい
そうだな
私達の桜と共に
影朧達に感謝だな
彼らもまた桜の巡りへと辿り着けるよう……祈るよ
リル・ルリ
🐟同志
カムイ!
僕達は『夜桜湯』の大浴場にいくぞ!
お湯が桜の香りがするんだって
ヨルもきゅってわくわくなんだ
ほんとだ!カムイの言った通り桜がぴかぴかしてる!
綺麗に身体を洗いゆったり桜色の温泉を楽しむ
湯加減もちょうどいい
疲れも解けていく
お湯に浮かぶヨルを見つめる
…僕がいない間、彼は大丈夫だった?
カムイの表情にふきだして
やっぱり大変だったね、って
変わらないこの感じが安らぐ
お花見ソーダでぱちりと乾杯!
こうやってカムイと二人で話すの、僕好きだな
ふふー、そう
僕らのだいすきな桜に囲まれて、ね!
きっと桜吹雪にのってまた還ってこれる
君みたいにとは言葉にはせずにカムイをみる
神様に祈ってもらえてるんだ
きっと大丈夫!
「カムイ! 僕たちは『夜桜湯』の大浴場にいくぞ!」
「きゅ!」
師弟水入らずの月見湯を楽しみに行った桜を見送ってから、リル・ルリ(『櫻沫の匣舟』・f10762)は同志たる朱赫七・カムイ(禍福ノ禍津・f30062)を振り向いた。傍で仔ペンギンのヨルがわくわくした様子でいる。
「大浴場か。いいね、リル」
「ちゅん! ぴぃ!」
頷いたカムイの肩で、ホムラが機嫌よくぱたぱたと小さな翼を踊らせる。ホムラも楽しみなようだった。
「らいとあっぷされた夜桜が美しいと聞く。楽しみだな」
「じゃあ行こう! お湯が桜の香りがするんだって」
どんなだろうか。期待に胸を膨らませながら、皆で大浴場――夜桜湯へと向かう。
大浴場は首を横に巡らすほどに広かった。一歩入っただけでふわりと湯気に混ざる桜の香りが甘く迎えて、湯気が夜風に攫われると、照らし出された夜桜が美しく夜に浮かび上がる。
「わあ、ほんとだ! カムイの言った通り桜がぴかぴかしてる!」
「リルの言った通り良い香りがするね」
互いの第一声は互いの言葉を覚えていればこそ。顔を見合わせたリルとカムイは笑い零して、逸る気持ちを抑えまずは身を清めることから始める。もちろんヨルも同様に、ホムラは一瞬の水浴びの如く。
そうして一番きれいに桜が見える場所を探して、ふたりは湯船へと浸かった。桜の香りが満ちるなか舞う夜桜と、淡い桜色の湯。視界も身も、見事な桜色に染まる。
ちょうど良い湯加減にリルが心地よさそうに尾鰭を泳がせ、カムイもほうと長い息をついた。
「噫……良い湯だ……」
「うん、疲れも解けていく……。ふふ、カムイ、見て」
ふとリルが指さして見せたのは、ふたりの間でそれは気持ちよさそうにぷかぷかと湯に仰向けに浮かぶヨルと――そのふかふかのお腹の上にちょこんと乗ったホムラだ。
「……ホムラのそれは温泉に入っていると言えるのか」
「でも気持ちよさそうだ」
くすくすと笑いあって、カムイとリルはまた視線を夜桜へと向ける。ひらり、舞う桜花弁が湯の水面に落ちた。
「……僕がいないあいだ、彼は大丈夫だった?」
そっとリルが問うと、カムイは小首を傾げて微笑んだ。
「ん? そうだね……彼は、大丈夫だといえばそうだが。大変だったと言えば……特に禁酒させるのも大変だった」
リルが旅に出てから。心で繋がりを感じていても、だからこそいないことを強く感じることもあった。何気ない瞬間にふと、こんなときにあの一声があればと思ったりもしたものだ。
「私が言っても聴かぬ……リルの一声の強さを思い知ったよ」
「ふは、やっぱり大変だったね」
カムイが浮かべた苦笑に、思わずリルはふきだした。心底の苦笑も『彼』を想えばこそだとわかる。それに拗ねる様子だってすぐ思い浮かぶのだ。旅立つ前となにも変わらない。そのことが湯のぬくもりと共にしみるようで、気が安らいだ。
リルの笑顔にカムイもつられて微笑む。明るい笑顔が変わっても、変わらずにある日常を示してくれているような気がした。
「――それじゃあカムイ、乾杯!」
「噫、乾杯」
頼んでいたお花見ソーダが届いて、リルとカムイは手にしたグラスを夜桜の下で鳴らし合わせた。
透明なグラスには、桜色の泡が氷と弾けている。一口飲めば、上品な桜の香りが喉を爽やかに潤した。おいしい、と顔を見合わせて、ヨルとホムラにもおすそ分けを忘れない。
「……こうやってカムイと二人で話すの、僕好きだな」
「私もだ。リルがいなければやはり寂しい」
カムイから素直に向けられた言葉にリルは瞬いて、それから嬉しそうに笑った。
「ふふー、そう」
ちょうどそのときだ。少し強めに吹き抜けた風で桜の花弁が踊るように夜空に舞い上がる。それから、はらり、ひらりと降る花びらは、ふたりを包み込むようだ。こうしてふたりで話すときは、いつだって。
「僕らのだいすきな桜に囲まれて、ね!」
「そうだな。私たちの桜と共に」
降りしきる花びらへ、カムイはそっと手をのばした。かつて自らも導かれ巡った幻朧桜。この一夜をくれた影朧たちは、それに辿り着けるのだろうか。
カムイはそっと目を伏せる。
「影朧たちに感謝だな。彼らもまた桜の巡りへと辿り着けるよう……祈るよ」
その祈りに重ねるように、リルも目を伏せた。
「きっと桜吹雪に乗ってまた還ってこれる」
――君みたいに。
そうとは言わず、リルは開いた瞳をカムイへ向けて、笑った。
「神様に祈ってもらえてるんだ。きっと大丈夫!」
はらり、ひらり。明るい笑みに導かれるように、桜は夜に舞い落ちる。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
宵鍔・千鶴
【千宵桜】月見湯
湯に映る盈月を両の掌で靜かに包み掬いながら
柔らかな光に包まれる
千織の貌を見遣り、ふ、と微笑む
お月様、つかまえた。綺麗な湯、だよな
肌がもちもちになるらしい
程良く気持ちよい温度
見上げれば夜空のまんまるお月様
寛ぐ傍らのきみへもうひとつ、提案
――ね、月見酒どう?
おすすめされた盃の甘口米酒とお花見ソーダ割り
夜桜代わりの桜色を揺らして
どっちも飲みたくて欲張っちゃった
お団子はどれにする?
俺、実はちゃんとお酒飲むの今日が初めてなんだ
ふふ、飲み方教えて欲しいな、千織おねーさん。
酔っちゃったら、宜しくね
なんて、交わす乾杯の音は小気味よく
ふわふわぽかぽか倖せ夢心地
月見湯にお酒に、貴女に酔いしれて
橙樹・千織
【千宵桜】月見湯
空に浮かぶ見事な盈月の姿と
閑かなひとときにふわり笑み
揺れた尾が水面の月を揺らす
千鶴さんの声に耳がはたり
あらあら、盈月も千鶴さんの元が心地良いのかしら
その掌の月にくすくすと笑み
ええ、景色も良くて
肌にも良いとはなんとも素敵ですねぇ
あら…ふふ、もうそんなに経っていましたか
え?お酒?と思うも
彼も飲める歳になったのだと思い出す
そうですねぇ、月見酒しちゃいましょう
お団子はヨモギにしようかしら
そうなのですか?
ふふふ、初めてにご一緒できるとは嬉しいですねぇ
では少しずつにしましょうか
ふわほわ笑んで乾杯、と
いつか、と交わした約束のひとときが、今
薄紅染まる頬は湯のせいに
もう少しだけ貴方の隣を独り占め
空に、見事な盈月が浮かんでいる。
静かでやわい光を湛えたような月見湯に身体を預けたまま、橙樹・千織(藍櫻を舞唄う面影草・f02428)はふわりと微笑んだ。知らず機嫌よく揺れた尾が、水面に映ったもう一つの月を揺らす。
傍近くで揺れた小さな月を両の掌でそっと包むように掬い上げたのは、宵鍔・千鶴(赫雨徨花・f00683)だった。
「お月様、つかまえた」
靜かな千鶴の声が、個室の月見湯に穏やかに響く。はたとした千織が千鶴へと視線をやると、千鶴が手のひらをそのままにふ、と微笑んだ。
「あらあら、盈月も千鶴さんの元が心地良いのかしら」
「だったらいいけれど。……綺麗な湯、だよな」
くすくすと笑う千織の傍に水面の月を返してやりながら、千鶴はとろりとした金色の湯を肌へと流す。
「肌がもちもちになるらしい。気持ちが良いな」
「ええ、景色も良くて肌にも良いとは、なんとも素敵ですねぇ」
機嫌よく千織が頷いて、露天風呂の淵へ背を預けて寛ぐ。その傍には、あらかじめ頼んでおいた団子とソーダの盆が置いてあった。
「――ね、月見酒どう?」
寛ぐ彼女へ誘いかけて、千鶴は首を傾げてみせる。盆には二人分の甘口米酒のお花見ソーダ割りがあるのだと、千鶴は手にしたお花見ソーダを揺らして明かす。
「おすすすめされて、どっちも飲みたくて欲張っちゃった。お団子はどれにする?」
「あら……ふふ」
彼からお酒に誘われることに一瞬きょとんとしてしまった千織だったが、そういえば彼も飲める歳になったのだと思い出した。出会ったときはずっと年下のように感じていたけれど。
「もうそんなに経っていましたか。そうですねぇ、月見酒しちゃいましょう」
よろこんで、と千織も米酒のお花見ソーダ割りを手に取った。お団子はヨモギを選ぶ。それぞれのお団子を乗せた盆を湯に浮かべ、手にしたグラスを互いに寄せる。
透明なグラスで氷と酒と泡と弾ける桜色がまるで夜桜のようにきらきらとしていた。
「俺、実はちゃんとお酒飲むの今日が初めてなんだ」
「そうなのですか? ふふふ、初めてにご一緒できるとは嬉しいですねぇ」
「ふふ、飲み方教えてほしいな、千織おねーさん」
悪戯に千鶴が笑う。
「酔っちゃったら、よろしくね。――乾杯」
「ええ、乾杯」
こつんと小気味良い音で、千織と千鶴は乾杯を交わす。
千鶴が初めて口にしたお酒は甘くて口当たりがよく、しゅわりと弾けて、良い桜の香りがしていた。甘さに引かれてつい傾け過ぎてしまいそうになるのを、少しずつにしましょうねと千織が微笑んで教えてくれる。
「おいしいね。……なんだか、ふわふわでぽかぽかする」
「ふふ、お風呂はお酒が回りやすいですからねぇ。ゆっくり楽しみましょうか」
うん、と頷いた千鶴は初めて味わう酩酊感に、どこか知っているもののような感覚を覚えていた。この温泉の心地よさ――それから、隣にいる貴女に。
心地よさそうに湯を楽しみながら酒を傾ける千鶴の隣で、千織も体が熱くなるのを感じていた。
いつかと交わした約束のひとときが、いまここにある。それがとても嬉しくて。
(もう少しだけ、貴方の隣を独り占めさせて)
薄紅に頬が染まるのは、湯あたりのせいにして。
大成功
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メノン・メルヴォルド
大浴場
月見湯
ひとりで温泉は初めてだから、ちょっとドキドキするのよ
キョロキョロと周囲を見ながら作法に則り大浴場へ
奥の方へそっと進んで
空を見上げる
わあ…お月様が
美しさに見惚れつつ、ゆったりと手足を伸ばす
とっても気持ちいいの
しっとりとしたお湯が肌を流れて
掌で掬えば、そこにも小さなお月様の光
これも、もうひとつの月見湯、ね
ひよこさんも連れてきてあげたかったの
黄色くて小さい仲良しのお友達
今回はお留守番だったけれど、一緒に再び訪れたいと思いつつ
火照った身体に、お月見ソーダ
シュワッと弾ける炭酸と甘い味の和梨の香りが広がって
ん、美味しい
心も身体も、リフレッシュできたから
また頑張れるのよ
もう一度、金色の光を見上げ
はじめてひとりで訪れた温泉は、少しドキドキした。
知っていることでもちょっとだけ不安になって、周りの人たちがどうしているのか確かめてから、メノン・メルヴォルド(wander and wander・f12134)は作法を守って月見湯の大浴場へと足を運ぶ。
「わあ……」
湯船に浸かって見上げる月は、とてもまんまるで綺麗だ。
メノンは思わず笑み零して月を見つめながらゆったり湯のなかに手足を伸ばす。
賑わってはいるものの、広い大浴場の奥は、比較的人が少なかった。少しだけ覚えていた緊張も、とろりとした金色の湯にとけていく。
「とっても気持ちいいの」
ほうとやわく息を吐いて、両手のひらで湯を掬う。そうすれば、メノンの両手のなかにもきらきらと輝く小さなお月様の光が見えた。
「これも、もうひとつの月見湯、ね」
メノンが見つけたメノンだけのお月様に微笑んで、月の光を肌に流す。湯が肌に馴染むほど、しっとりもちもちとするようだった。
「ひよこさんも連れてきてあげたかったの……」
温泉が楽しいほど、今日は留守番を任せている黄色くて小さい仲良しの友達のことを思い出してしまう。また一緒に来ることができたらいい。
ずいぶん体が温まって来た頃に、お待たせしました、と運ばれて来たのはお月見ソーダだった。透明なグラスに氷と金色の泡が月の光のようにきらきらしている。
一口飲めば、しゅわりと弾ける炭酸が心地よく、芳醇な和梨の香りと共に火照った体を潤していく。
「ん、美味しい」
メノンはへにゃりと笑ってお月様に感想を伝えるように夜空を見上げた。ずいぶんと心と体がほぐれたような気がする。見守ってくれているような、きらきらと輝く金色の光が優しい。
「また、頑張れるのよ」
――きっと明日は、いい日になる。
大成功
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