夏の猟兵と灼滅者、そして麺
サイキックハーツ世界の異能者｜灼滅者《スレイヤー》の中には、猟兵へと覚醒する者が現れ始めていた。宮比神・うずめ（舞うは鬼の娘・f43833）もその一人である。
再び始まった戦いの日々の中でも夏休みはある。うずめは夏のある日、共に暮らす女性と共に食べ歩きと買い出しを行っていた。
「気にしないと直ぐラーメンになるんよぉ。ちゃんとお野菜も食べなきゃだめなんよぉ」
その相手は猟兵でこそないが、元灼滅者であり独自にオブリビオンを調査している。その際『ヌードルマスク』というリングネームを名乗っていた通り、筋金入りのラーメン好きな女性だ。
病気にならない世界であっても栄養が偏るのはよくないとうずめが食生活の手綱を握っていたが、オブリビオン事件によって忙しくなったところその辺りがどうしても疎かになり、元の食生活に戻り始めてしまったようだ。
「食事当番制だった頃、ウチが食事当番じゃないときは何かしらラーメンの麺が入ってるじゃん……酷い時は油、脂、あぶら……うげぇ」
自分の腹をぷにっと摘まみつつ言ううずめ。二人とも今年の水着コンテストに出場はしなかったが、それでもスタイルは気にしていて欲しい所だ。
「食った分鍛えてますし……ダークネスとはいえ鍛錬はガチでしたからねー」
筋肉をぐっと盛り上げて答えるヌードルマスク。ねだり過ぎかな？ と思ったうずめだが、向こうはあまり気にしていないらしい。
というわけなので、今日の食事はラーメン以外。パフェとかクレープとかの甘いものから始まり、食事はサラダなどの野菜中心。
と、そこまでは良かったのだが、時間が遅くなったところで酒を入れてしまったのがまずかった。
夏の酒と言えば冷えたものをぐっといく豪快なものがやはり美味い。瓶やジョッキ、徳利がどんどん空いていき、そして気づいた時には。
「はい、ラーメン二つお待ち！」
二人は深夜まで営業しているラーメン店でラーメンを仲良く啜っていた。
ヌードルマスクの前には全乗せ特盛。一方うずめは最後の理性が働いたか、ノーマルの小サイズ。
「やー、飲んだ後はラーメン。これはもうルーティーンというか不文律ですねー」
何の躊躇もなくラーメンをかき込むヌードルマスクを見て、うずめはがっくり下を向く。
「明日から……明日からがんばるんよぉ」
果たしてその『明日』は夏の内に来るのか。小ラーメンを啜るうずめの姿からその答えは見えてこなかった。
成功
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