帝都櫻大戰①〜軍神よ、櫻華に鎮め
音もなく櫻華が舞う。
この|櫻花幻朧界《サクラミラージュ》において、然程珍しい事ではない筈の事象。
『幻朧櫻』。永くこの世界に咲き誇りし大樹。
この世界に咲き誇りし『幻朧櫻』は、『幻朧帝イティハーサ』を封じ、永代埋葬する為の墓標。それが、揺るがされている。
――遂に善なる『|超古代種族《エンシェント・レヰス》』四種族が堕ちてしまったか。
姿無き呟きに櫻吹雪が揺れた。
『|超古代種族《エンシェント・レヰス》』。『幻朧帝イティハーサ』を、その命と引換えに大地に封じた善なる四種族。
生命と引き換える。それは即ち過去に成ること。
で、あれば。彼等は既に骸の海に捕らわれている。それは、彼等もまた、『幻朧帝イティハーサ』と同属に成り果てたということ。
そして、此処に立つ男も、また。
●
「――まつろわぬ者の下に、実は大義があったのだ。
……等ということは、往々にしてよくあるお話ではありますが」
そう言って猟兵達を迎えたのは、神塚・沙羅(優しき闇の紡ぎ手・f35281)だった。
「ある意味で|親《ちか》しかったのでしょうね。だから、視えてしまったようです」
帝都桜學府に、嘗て帝都制圧を成そうとした男が待っている。男が帝都制圧を成そうとしたのは、『幻朧櫻』に埋葬された『幻朧帝イティハーサ』を討つためだった。
しかし、その目的は果たされることなく。
それどころか、帝都と不死の帝を弑し奉らんとした者として、逆賊の烙印を押されたのだった。
「ソノ魂幻朧桜ニ還ルコト能ハズ……そう帝が宣旨したとも言われていますが……」
そう。今の猟兵達にはそれを真と断じる事が出来ない。
不死の帝は『幻朧帝イティハーサ』。今まさに己を封じ縛める『幻朧櫻』を暴走させ、『幻朧櫻』諸共にこの世界を滅そうとする存在。
「しかし、今や彼も幻朧帝の臣へと堕ちました。過去と成り果ててしまったからには避けられないのではありますが」
だからこそ、猟兵達が立たねばならない。
「彼は軍部によって生み出された、怪奇人間だったようです」
言うなればはじまりの怪奇人間。透明化の力を与えられたが故に、其の身体のみならず、行使するユーベルコヲドすらも不可視のそれと化す。
「故に、幻朧帝の臣へと成り果てた彼に諡られた名は、透明軍神」
ユーベルコヲドすら不可視であるがゆえに、その攻撃を避ける事は策を弄してなお至難であろう。
「既に彼は制圧した桜學府本部を守護し、幻朧帝の復活の儀式を遂行する駒に過ぎません。ですので」
その魂に真なる鎮めを。
そう結ぶと、沙羅は幻朧櫻が狂い咲く|櫻花幻朧界《サクラミラージュ》への道を拓くのだった。
白神 みや
初めましてのかたは初めまして。
そして、そうでない方はご無沙汰しております。|白神《しらかみ》です。
戦争、ですね。
第一戦線、ソウマコジロウ戦をお送りします。
●プレイングボーナス
敵の必中先制攻撃に対処する。
敵の透明化能力に対処する。
身体、装備、そして、ユーベルコヲドまでも不可視の軍神の一手を凌ぐ為の手段を。
●お願い
今回、プレイング受付開始はOP公開後にタグにてアナウンスをします。アナウンス前のプレイングは申し訳ありませんがお返しする事になります。
公開時点の受付締めは7日8時29分予定です。
今回も戦線形式ですので、第一戦線終結までに完結を目指します。そのため、返却の可能性もご留意の上、ご参加ください。
締め時刻を過ぎて成功可能人数に満たない場合にのみ、延長しますが、執筆リソースとの折り合いで単騎でのご参加のみ受付予定です。
第1章 ボス戦
『ソウマコジロウ』
|
POW : 透炎剣
【透明化中に見えない炎を帯びた刀】で虚空を薙いだ地点から、任意のタイミングで、切断力を持ち敵に向かって飛ぶ【透明な炎】を射出できる。
SPD : 透明魂魄軍団
【叛逆の同志たる「透明魂魄軍団」】の霊を召喚する。これは【全身を透明化したまま戦闘を行える能力】や【様々な和風の武器】で攻撃する能力を持つ。
WIZ : 透明念動弾
【自身を共に透明化した装備】から【見えざる念動弾】を放ち攻撃する。その後、着弾点からレベルm半径内が、レベル秒間【透明化】状態になる。
イラスト:秋原 実
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
神白・みつき
※アドリブ歓迎
哀れ、とは申しません
それは志半ばで倒れた彼が一番厭うでしょう
今はただ無力化に努め、鎮めるのみです
透明魂魄軍団の攻撃には主に[結界術]で対処いたします
防げるものは防ぎ、そうでないものは薙刀で[受け流し]ましょう
姿が無くとも完全なる無ではない筈
[気配察知]で位置を特定し、手近な個体は[範囲攻撃][神罰]で祓います
ある程度の頭数を減らしたところで【依代・剣】を発動
複製した神剣を四方へ弾幕の如く放ち
ソウマコジロウ殿ごと一掃いたしましょう
時代が異なれば私達と肩を並べていたかもしれない御方です
敬意を以てお相手いたします
●櫻舞
帝都桜學府本部。影朧と対峙する者達を育て支援する機関の総本部である場所。平素であれば學徒兵達が集う其処は、静寂に包まれていた。
幻朧櫻が狂い咲き、影朧に力を与えるというこの異常事態にも関わらず、である。それは、この地が敵――幻朧帝イティハーサの手に墜ちているということであった。
(時代が異なれば私達と肩を並べていたかもしれない御方でございましょうね)
そう想いを巡らせながら神白・みつき(幽寂・f34870)は歩を進める。
悪たる幻朧帝を滅ぼすという意図は、現在の猟兵達の目的と恐らくは同一のもの。しかし、真の彼は幻朧帝の手の者に成り果てている。
(今はただ無力化に努め、鎮めるのみです)
そう意を固めたみつきが、桜學府本部の敷地へと足を踏み入れる。と、同時に、総毛立つような感覚を覚えた。透明軍神が、そして、嘗ての戦いの折に彼が同士とした兵士達――透明魂魄軍団が、みつきに敵意を向けているのだろう。姿を見る事が叶わなくとも、その向けられる敵意が、みつきに彼等の場所を、武器の向け方を教えてくる。
「志半ばで倒れた貴方様達に、敬意を以てお相手いたします」
みつきは静かにそう言うと、気配の方向へと愛用の薙刀を振るった。狂い咲いた櫻を追うかのような薄紅の光が軌跡を描き、振り抜く手前で止められる。姿の見えぬ兵士が武器で受け止めたのだろう。そのまま、いなすように受け流した。
舞いを舞うような流れる動きで、武器を交わすこと数合。自身に向けられる敵意の数は減少しているが、その鋭さは増している。
「頃合いで、ございましょうか」
そう呟いたみつきは、武器を薙刀から|神剣《神器》へと持ち変える。みつきが|神剣《神器》を構えると、その周囲を護るように同じ形状の|神剣《神器》が幾振りか浮かんだ。自身の裡にちりちりと何かが削られる感覚を覚えながらも、周囲の|神剣《神器》に力を注ぐ。
「『これが神降ろしの一端でございます。』」
その言葉と同時に、みつきの周囲の|神剣《神器》が、透明魂魄軍団と透明軍神に向けて、天より雷が降り注ぐが如く襲い掛かったのだった。
大成功
🔵🔵🔵
キラティア・アルティガル
元は此度の首魁を倒したい側であったか
さぞかし無念であろう
だが走狗と化したからには骸の海が底へ押し戻さねばな
それにの
「早く倒れた方がぬしの真の願いに近づくぞ」
どうしても先制攻撃は防げぬ
予知は確定じゃ
ゆえに
「どうあれ避けられぬものなら受けた上で推して参る!」
大鎌を構え大音声で呼ばわろう
「かかって来やれ!」
幾らかは技能と大鎌を押し立て防いだが
何と言う力、何という膂力
身が砕けそうじゃ
だが
「組み合った今なら!」
ブーステッド・オーヴァードを詠唱し押し返そう
我が血で視えぬ姿も丸見えぞ
傷つけばつくほど我が力は増す
「我は猟兵じゃ!ゆえに死なねば癒える!」
猟兵は命の埒外
既に命無きおぬしに負けはせぬよ
諦めるが良い!
●櫻嵐
帝都桜學府は未だ静寂に沈んで、軍神の支配下にある。
(元は此度の首魁を倒したい側であったか)
其処へ歩を進めるのは、キラティア・アルティガル(戦神の海より再び来る・f38926)。彼の軍神はそれを為す事が出来ぬまま、今や倒すべきであった幻朧帝の配下となり此処で|自分達《猟兵》を待ち受けているのだろう。
(無念であろう。だが、走狗と化したからには疾くが底へ押し戻さねばな)
幻朧帝の配下。それは即ち|骸の海に堕ちしもの《オブリビオン》。であれば疾く骸の海へ。それが猟兵の為すべき事である。
「どうあれ避けられぬものなら受けた上で推して参る! かかって来やれ!」
キラティアは愛用の大鎌を手に、不可視の軍神に呼ばわるが、応えはない。
(声を返せば此方に居所を悟らせる。流石に一筋縄では行かぬよの)
そうキラティアが思った刹那、前方の空気が揺らぐ。それが、軍神の一撃であると理解するよりも先に、これまでの経験で身に付いた天性が、キラティアの身体を動かしていた。不可視の一撃を受け止めた大鎌の軋む音が聞こえたような気もするが、攻撃を受け止める事に膂力と集中力の大半を持っていかれる。
(何と言う力、何という膂力……だが!)
「組み合った今なら!」
その声と共に、|ユーベルコード《ブーステッド・オーヴァード》を起動する。この地に舞う櫻と真逆にも思える茨を思わせる力がキラティアの身を包み、威厳ある貴人の姿がその身に重ね写すように覆い重なった。茨の力の発現と共に受け止めていた力が遠ざかる感覚と入れ違うように、幾度となく身を焼く感覚が襲いかかる。だが、それすらも|ユーベルコード《埒外の力》を発動させたキラティアの攻撃を止める事は出来ない。
「我は猟兵じゃ! ゆえに死なねば癒える!」
そう吼えるキラティアの気概と意思が、やがて軍神をも凌駕していった。
大成功
🔵🔵🔵
凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と
相棒が気にしている事も解る
知り得ないからこその戦いも
言葉を交わす事もできない悔しさも
今までに沢山あったから
「今は、世界を護る為に戦おう」
「背負うのも、二人でだ。相棒」
二人で行くぞと声をかけ
まずは先制攻撃に対処
互いに庇って死角を無くし
技能と自身の力で攻撃を捌く
「何とか、凌げたかな」
体中傷だらけで血が溢れている
だけど心は折れていない
「あぁ、今度はこっちの番だ」
相棒と合わせ【護の誓い】を使用
能力者としての全盛期の力で
この世界を護り抜く
「俺達は…全てを護る」
幾ら透明だろうと
今は刀身から俺達の血が滴る
俺達はそこへ、全力の一撃を
俺達の心を叩き込む
「これで倒れろ…ソウマコジロウ」
葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と
敵に無理やり仕えさせられるって辛い、な
と…仕方ない事だけど
「そんな事知らずに倒したからね…」
話によっては共闘すらあったかも
でももう叶わない
「…複雑だけど今一度、倒す」
今のこいつは世界を破壊する楔
そんな事は絶対に許さない
先制攻撃は陸井と庇い合い
技能展開と能力者機動で可能な限り捌く
だが必中は覆せない
当たり前に血が大地に滴る
初撃が終わった時は満身創痍
でも
「このまま終わりはしない!」
UC護の誓いを詠唱
俺達は全盛期の能力者の姿を取り戻す
背負うのは世界の全て、凡ての無辜の人々
「どれだけお前が強くても!」
絶対に引かない意思が俺達にはある
「護るべきを護り抜く!」
最期まで俺達が相手だ
●櫻繚乱
「どうした?」
凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)は、相棒――葛城・時人(光望護花・f35294)が、どこか浮かぬ表情を浮かべているのが気にかかり、声をかける。
「仕方ない事なんだけどさ。そんな事知らずに倒したからね……」
二人はこの戦争より前に透明軍神、いや、ソウマコジロウの復活の動きを阻止した経験がある。故に、共闘出来る可能性もあったのではと、思ってしまうのだ。無論、それが最早叶わぬ事であることも、捨て置いてはならない存在となっている事は時人も重々承知している。
時人が憂う事は、陸井も全く思わなかった事ではない。だが、今までも知り得ないが故の戦いも、言葉を交わせれば起きなかったかもしれない悲劇も、数え切れぬ程受け止めて来たのだ。それ故に。
「背負うのも、二人でだ。相棒。今は、世界を護る為に戦おう」
「ああ。……複雑だけど今一度、倒す」
今の彼はこの世界を滅せんとする幻朧帝の臣下、透明軍神。この大地を崩壊せんとする楔の1つなのだ。世界を滅ぼさんとする行いを見過ごせるものかと、二人は改めて意を決す。
どちらからともなく往くぞと声を交わして桜學府本部へ足を踏み入れる。と、同時に、前方の空気が揺らぐのを感じる。それと同時に、二人の身体は自然と対処に動いていた。
共に長く戦ってきた二人であればこそ、戦いの判断は早い。それでも、不可視の存在による不可視の攻撃は、総てを見切るには厳しい。背を預けあって攻撃を捌き、時には己が身で相棒を庇って敵の攻撃に対処する。
身を灼くような鋭い攻撃の中に、重い一撃が混じる。そんな攻撃をどれほど受け堪えてきたか。互いの身に幾重にも刻まれた傷がその数を物語る。それでも、二人の瞳に宿る戦意は今も猶鮮烈にの輝きを放つ。
「このまま終わりはしない!」
「あぁ、今度はこっちの番だ」
如何に透明軍神と言えども、返り血をして浴びた二人の血迄は己の透明化の範疇に収める事は出来なかった。故に、その居場所は今や不可視ではなくなっている。
「『この字にかけて!』」
「『団是にかけて!』」
二人のユーベルコードを起動する声が重なる。それは陸井がその背に背負う一字、そして、その|旅団《武道館》の団是――守るべきものを守り 護るべきものを護れ――を端的に示す一字への誓い。その宣誓の声と共に二人の姿に、|もうひとつの姿《真の姿》が揺らぎ重なる。
「俺達は……全てを護る」
未曾有の危機に瀕する|櫻花幻朧界《サクラミラージュ》、その全て、凡ての無辜の人々。それらを護る事が、正義でない事などありはしない。その意思が、|摂理を凌駕する力《オーバーロード》に匹敵する力を二人に与える。
「どれだけお前が強くても! 護るべきを護り抜く!」
「これで倒れろ……ソウマコジロウ」
不自然に浮かぶ血の痕。そこへ向けて、陸井の弾丸が雨のように、時人の振るう大鎌の斬撃が鋭く向く。それは、二人の不退の意思を宿した攻撃が、軍神を望まぬ軛より解き放った瞬間だった。
帝都桜學府は、未だ静寂に包まれている。だが、幻朧帝の支配が弱まったのか、満ちる空気からは重さが薄らいで感じられた。
この|大戦《おおいくさ》は、まだ序盤に過ぎない。猟兵達は、この先に待ち受ける戦いへ向けて、この場を後にするのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵