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暴食の牙

#UDCアース

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#UDCアース


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 それはすべてを喰らい続ける。
 それは無限に成長し続ける。
 それが姿を現したらその暴食を止めることはできない。
 その無数の牙は、人も、動物も、無差別に、すべてを貪り尽くすのだ。

「全員集まりましたー?事件の説明始めてもいいっすかね?」
 集まった猟兵達を見渡して、グリモア猟兵の零落・一六八(バーチャルキャラクターのグールドライバー・f00429)が口を開く。
「皆さんにはちょっくらUDCアースのとある村へと行ってもらいます。」
 グリモアベースには山々に囲まれ、斜面に張り付くようにぽつぽつと民家が建っている、外界とは孤立したような、閉鎖された村の景色が映し出された。
「ちょーオオゴトっすよ。やべーのが召還されちゃうんですよ。『牙で喰らうもの』って邪神なんですけどね。こいつが召還されると周囲の生物何でもかんでも貪って無限に成長し続けるっていうやべぇ奴なんですよ。」
 ヘラヘラとした調子でやばいやばいと大げさに騒ぎ立てながら説明を続ける。
「皆さんにはこの村で儀式が行われる場所を突き止めて、その前に阻止してもらいたいってわけです。」
 万が一、召還されてしまっても、呼ばれたばかりで生物を喰らい成長する前なら倒すことも可能だろう。 しかし強力な邪神だ。儀式を阻止できるのであればそれが一番だ。
「まー、村のどこで行われるかはわからないんですよね。なんで、皆さんには、その辺の人を脅すなり、歩き回って資料探すなり、現地の人に聞き込みするなり、なんとかして怪しい場所を特定してください。」
 ただし注意してください。とビシッと人差し指を立てる。
「残念なことにこの村でボク達はあんまり歓迎されません。よそ者に厳しいんですよ。ってことで聞き込みする時はその辺も注意してくださいね。……そうですね、さすがに駐在さんとかなら邪険には扱わないでしょ。あとは子供に噂を聞いてみるのもいいかもですね。」
 スーパーや公民館になら少なからず人もいるだろう。 歩き回って探すのであれば、駅や役所なら地図を入手するのもいいかもしれない。
「勿論、儀式を阻止しようってなら相手も黙っちゃいないでしょうけど。」
 儀式の場所に近づけば戦闘が発生する可能性があると付け加える。
「探したりなんなり大変ですけど、皆さんならできるって信じてるっすよ。まぁせいぜい頑張ってください。」


山野芋子
 初めまして、第六猟兵のMSとして登録させていただきました山野芋子(やまの いもこ)と言います。皆様がゲームを楽しめるよう精一杯頑張りますのでよろしくお願いします!
 さて今回の1章は儀式の場所を探すところから行ってもらいます。探索の方法は以下の通り。
 【POW】腕力などの力を誇示する事で、情報を引き出します。
 【SPD】村の要所に忍び込むなどして、村の情報を調査します。
 【WIZ】村人との会話によって、必要な情報を引き出します。

 皆様のプレイングお待ちしております。
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第1章 冒険 『閉鎖的な村』

POW   :    腕力などの力を誇示する事で情報を引き出す

SPD   :    村の要所に忍び込む等して情報を調査する

WIZ   :    村人との会話で必要な情報を引き出す

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

霄・花雫
役場はちょっと危ない気がするし、駅舎内にでも忍び込んでみよっかな。隠密が得意なワケじゃないけど、軽業みたいなことは得意だからね!これでもスカイダンサーだし!
ってワケで、駅舎の見つかりづらそうな場所探して、こっそりお邪魔しまーす。窓とか排気口とか位置が高くても平気平気。あたしちっちゃいし、上手く入り込めるといいなー。
地図を見つけたら、すぐ持って出てみんなと情報共有しなきゃね。後続のひとのためにもなると思うし!



村の駅舎の裏で侵入を試みようと気配を殺す影がある。左右異色の青い瞳を持つ熱帯魚の少女だ。
 猟兵の霄・花雫はUDCワールドに到着すると、地図を入手しようと駅舎で侵入経路を探っていた。
 駅舎の状況を把握し、用務員室と思われる場所と侵入できそうな経路を見つける。こちらの侵入に気づかれず、入り込むことのできる場所は屋根についた小さな窓ぐらいだった。普通ならば侵入困難な場所だが花雫はよかった、これなら侵入できると笑みをこぼした。
 トンッと地面を蹴った。重力を感じさせない動きで空中を蹴る。まるで空を泳ぐかのように軽々しく屋根の窓枠に張り付いた。
「お邪魔しまーす……」
 誰にも聞こえないような小声で呟き静かにそっと窓を開ける。駅員が目を離した隙を狙い、棚の影の物陰に音もなく着地した。ばれない様にきょろきょろと辺りを探る。幸運にもすぐに棚の中から地図を発見し服の中へとしまった。軽業のようなことは得意でも隠密行動はあまり得意ではない。長居は危険だと再び屋根の窓へと飛び乗り、用務員室を後にするのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イオアン・イーリディウム
「邪神の召喚……良いものではないね。周囲のすべてを食らうっていうのは拍車をかけてなお良くない。どうにか食い止めないといけない、か……」

「まずは村の地図を手に入れて、妖しそうなところを虱潰しに見て回ろうかな。あまり規模の大きな村ではないみたいだし、そこまで困難じゃないだろう」

行動:まず役所や駅などで村の地図を入手しようとする。自分の「SPD」を活かして村の要所(神社や村長の家)へと侵入し捜索。儀式や邪神についての情報を集める。もしも村人に見つかれば《催眠術》を使用して情報を聞き出し、自分を見たという記憶を消そうと試みるが、できるかぎり見つからないように行動する。


仁熊・束彦
村を歩くとすぐに役所らしき大きな建物が目に入った。村人の態度も余所余所しいので面倒になった束彦は資料を見つけるべく役所に侵入することにした。



「邪神の召喚……良いものではないね。周囲のすべてを食らうっていうのは拍車をかけてなお良くない。どうにか食い止めないといけない、か……」
 イオアン・イーリディウムは小さく呟いた。入手した地図を元に猟兵達は分担して行動を開始しする。イオアンは仁熊・束彦と共に役場へと忍び込み情報収集を行うことになった。

(面倒じゃのう……)
 遠目から住民の様子を見ていたが、村という閉鎖社会であるにも関わらず住民同士の仲が良好というわけでもなさそうだった。すれ違えども目も合わせず、一人一人が孤独に生きている。だからこそ儀式の場所として選ばれたのだろう。
 役場までたどり着くと息を殺して忍び込む、束彦は目ぼしい資料がないものかと資料室へ足を運ぶ。田舎の村で防犯意識が薄いのか資料室の鍵はかかっていなかった。村の歴史、最近の新聞、役場への問い合わせの資料、など、不審な点がないか一つ一つ精査していく。
(ほう……)
 ここ数週間で行方不明者が出ているという記事が視界に入る。このような小さな村で何人も姿を消すのは些か妙な話だ。儀式と何か関係があるのかもしれない。束彦はその記事を抜きとり、誰かが来る前に速やかに資料室を後にするのだった。

 一方その頃、イオアンは会話から情報を得られないものかと耳を澄ませた。微かに事務員同士が会話をしている声が聞こえる。その中に気になるやり取りがあった。

「森の方の空き家に人の気配がするって問い合わせはどうなったんだ?」
「昼間駐在さんが様子見に行ったけど誰もいなかったって。ボケた祖父さんの戯言だろ。あんな場所に人が住めるかよ。まともに取り合わないほうがいい。そういえば祖父さん天狗が出たとか騒いでたな。」
「天狗?そんなものがいるわけがないだろう。鳥か何かを見間違えたのか?」

(森の方の空き家に、……天狗……?)

 もしかしたらその空き家で儀式が行われるのかもしれない、また何かを見間違えたにしても不審な単語に引っかかりを覚えて情報を頭に留める。
 ある程度情報を入手してこの場を立ち去ろうとしたその時だった。ガタっと資料室の方で物音がする。確かあちらの方では束彦が資料を探していたはずだ。このままでは鉢合わせになってしまう。

「なんだ?資料室の方から音がしたよな?ちょっと俺様子見てくる。」

 やむお得ないと出てきた事務員の前に現れると驚いて声を上げる前にジッと目を合わせ催眠術を使用した。

「資料室にいたのはただの鼠だった。いいね?」
「資料室にいたのは鼠……。」

 ボーっとしたまま事務員は部屋へと戻っていった。

「あれ?早かったな。」
「ああ、資料室にいたのは鼠だった。」
「なんだ、鼠か。」

 そのまま事務員は自分の仕事へと戻っていった。イオアンはその様子を確認してほっと息をなでおろす。役場から出た場所で束彦と合流し、他の猟兵達と情報の共有すべくその場を後にするのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ペチカ・ロティカ
たいへんなのよ。はらぺこなのね?
お話してもらえないのは困ったのよ。でもでも、ペチカには『めいあん』があるの。
こどものあいだって、つよいものが一番えらくてすごいでしょう?
だからペチカも、こんなにつよくてすごいのよって見せ付けるの。それでお話(物理)したらいいのよ。
遊ぶのに交ぜてもらって、全部勝ってみせたり。わるい野犬を追っ払ってあげたりとかね。
おとなげなくなんてないのよ。だってペチカもこどもなのだもの。


シオドリック・ディー
ひー、ひたすら成長し続けるなんて、だんだん強くなってくってことですよね。それははやく阻止しなきゃ!オレはまず情報収集します。
聞き込み……公園や学校、子どものいそうな所に行きます。遊んでいるところに混ざって、打ち解けつつ、たずねます。
「いーれーて。はじめまして。ふふ、オレもいっしょに遊んでいいでしょうか……?」
「ねえ、最近人がたくさん集まってたり怪しい呪文の声が聞こえる場所とか知らないでしょうか。あ、オレたちのことじゃなくて。」
聞き出せたらお礼を言って離れますね。
「ありがとうございます。あと、暗くなる前にはやく帰りましょうね。こわーいオバケがでちゃうかもです。」



役場での情報収集とほぼ同時刻、ペチカ・ロティカとシオドリック・ディーは聞き込み調査を行っていた。村人には警戒されている。試しに話かけてみたところ、目すら合わせてもらえず無視されてしまった。子供相手ならばまだ話ができるかもしれないと小さな公園へと向かった。
 数人の子供が集まり遊んでいるところにシオドリックが駆け寄っていき声をかける。
「いーれーて。はじめまして。ふふ、オレもいっしょに遊んでいいでしょうか……?」
 村の外から来た人間に少し戸惑い、どうする?などと相談が始まる。なかなか仲間に入れるかどうかでまとまらないようだった。どうしたものかとシオドリックは思案する。
 隣にいるペチカがお話してもらえないのは困ったのよ。と小さく呟く。
「でもでも、ペチカには『めいあん』があるの。」
 名案というと?とシオドリックが尋ねるよりも早くペチカが子供達へと近づいていく。
「しょうぶなの。」
「まだお前たちと遊ぶって決めたわけじゃ……」
「ざんねん、負けるのが、こわいのね?」
「なんだと?やってやろうじゃん。」
 負けるのが怖いのかと問われると勝負を流すことなどできない。小学生男子というものは単純な生き物である。

 ―――数分後

「うわ!なんだこいつら強いぞ!」
 わーわーと楽しそうに子供達は声を上げる。猟兵達の強さに公園は大盛り上がりだった。真剣勝負を重ねるうちにすっかり二人は子供達と打ち解けたのだった。
「くそ、負けた!」
「お前等強いな。」
「ペチカは、つよいのよ!」
 やり切った顔で子供達は手を差し出し熱い握手を交し合う。もはやそこには余所者という壁はなかった。
 遊び終わり遊具に腰掛ながらシオドリックは子供達に尋ねる。
「ねえ、最近人がたくさん集まってたり怪しい呪文の声が聞こえる場所とか知らないでしょうか。あ、オレたちのことじゃなくて。」
「人が集まることはないな……。あ、そうだ。怪しい声といえば。」
 子供の一人が思い出したように声を上げる。
「森の空き家。」
「ああ、例の噂か。」
「噂?詳しく聞かせてもらってもいいですか?」
「森の方に空き家があるんだけど、誰もいないはずなのに声が聞こえるって。」
 シオドリックとペチカは目を見合わせ頷く。これはもしかすると有力な情報かもしれない、と。
「なるほど、そうだったんですね。……ありがとうございます。」
「はなしてくれて、ありがとうなのよ。」
「良いってことよ。お前等なんだか面白いしな。」

 風が吹きザワザワと不気味に木々を揺らす。沈みかけた日がうっすらと空を紫色に染め上げ、空と山を区切り夕日が赤く燃えるように輝いていた。
「暗くなる前にはやく帰りましょうね。こわーいオバケがでちゃうかもです。」
 黄昏の闇にとけるように笑みを浮かべる少年に、先ほどまで幽霊など信じてないと笑っていた子供達は言葉を失い、素直に帰路へと着くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『嘲笑う翼怪』

POW   :    組みつく怪腕
【羽毛に覆われた手足】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    邪神の加護
【邪神の呪い】【喰らった子供の怨念】【夜の闇】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ   :    断末魔模倣
【不気味に笑う口】から【最後に喰らった子供の悲鳴】を放ち、【恐怖と狂気】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:yuga

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


合流し情報をまとめた猟兵達は、森の空き家が怪しいと地図で場所を確認するとその方角へ向かうことにした。薄暗くなった空に静まりかえった森はより一層不気味に見える。
 舗装されていないでこぼこの道を深く深く潜っていくと不意に叫び声が響いた。
「うわああああ!助けてー!!」
 子供の声だ。猟兵達は急いで声の方向に駆けつけると、口からぽたぽたと血を滴らせ飲み込み切れなかった小さな指がポタっと血溜まりの中へと落ちた。猟兵達の気配にニタリと笑みを浮かべる巨大な鳥のような化け物がこちらを見る。
 周囲には飛び散った血が地面を染めあげていて、近くに転がっている靴は大きさから推測するに子供のものだったのだろう。
『うわああああ!助けてー!!』
 先ほど聞こえた悲鳴と同じ声を壊れたレコーダーのように何度も繰り返す。子供の断末魔を、何度も、何度も。そしてその生物はニタリと笑い、猟兵達へと襲いかかるのであった。
シオドリック・ディー
ぐうう、血が……あと一歩遅かった……。
「ここでコイツをブッ倒さないと、もっともっと被害が増えてしまいます。気持ちを切り替えないと!」
悲鳴で惑わせるなんて、ほんと、シュミの悪い。オレは後方でユーベルコード展開。オートマタをよびだして討伐だ。無機物に精神攻撃きくのかなあ?
相手が空を飛んだら数体で攻撃役一体を持ち上げ放り投げ、空中攻撃!翼を狙えー!
敵の腕がこちらを薙ぎ払っても、次々オートマタ投入して殴る殴る。単純な動きしかできない脆い兵隊でも、数があればそれはそれで脅威になるってことを身体に叩き込んでさしあげます。



その凄惨な様子にシオドリックは息を飲み、無残な血溜まりに一歩遅かった……。と唇を噛む。しかし被害が出てしまったことに後悔している暇はない。
「ここでコイツをブッ倒さないと、もっともっと被害が増えてしまいます。気持ちを切り替えないと!」
 ユーベルコードを展開し、無数のオートマタを召還する。小さいが集団を成したオートマタが襲い掛かろうとするそれが広げた翼へと群がっていき、数体は暴れて振り落とされる。あざ笑うように子供の断末魔を叫ぶ化け物に、ほんと、シュミの悪い。と小さく呟く。
 悲鳴によりオートマタの動きが一度は止まり、その隙に飛んで逃げようと翼を羽ばたかせた。しかし数というものは脅威である。攻撃役の一体を数体で飛び立ったそれへと投げ上げる。何体かが翼へとしがみつき何度も拳を叩き込んだ。ひとつひとつの威力が弱くても、束ねられた力は強大なものとなる。バキッと鈍い音と共に片翼がへし折られた。本体が地面に叩きつけられ、地に伏せた怪鳥に次々とオートマタが集まっていく。
「“数の暴力”ってのは、なかなか侮れないですよ。」
 シオドリックはその怪物に数の恐ろしさを身をもって叩き込むのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

仁熊・束彦
『声真似とは腹が立つな』
束彦は目の前の光景に口調が変わる。戦闘用の思考に頭を切り替える。
そして間に合わなかった自分への怒りを抑えつつ剣を抜いた。
『トリニティ・エンハンス』そう小さく呟く。すると体全体に赤い光が灯った。
『飛んで逃げられると面倒だな・・その翼切らせてもらう!』そう叫びつつ目の前の怪物に向かって剣を振り下ろした。

行動:『トリニティ・エンハンス』を使用し炎の魔力で攻撃力を強化、ルーンソードで翼を攻撃する。



ザワッと森がざわめく騒ぎに続々と怪物が集まってきたのだ。
『助けて!助けて!』
『痛い、痛いよぉ……』
 殺したものの断末魔を真似するのだろう。犠牲者を嘲笑うように。血で汚れたにやけ顔は楽しんでいるかのようでなんとも醜悪であった。
「声真似とは腹が立つな」
 目の前の光景に仁熊・束彦は口調が切り替わり、戦闘用の思考に頭を切り替えた。子供を狙いその死を嘲笑うような化け物にも、何より間に合わなかった自分に対しての怒りを感じていた。しかしそれをぐっと抑え込み剣を抜く。
「トリニティ・エンハンス」
 そう小さく呟くと赤い光が体全体を覆い、刀身のルーンへとその光は流れていった。刃先まで光が覆うと荒々しく剣が燃え上がる。魔力による炎を纏った剣は抑えた怒りのように熱を帯びていた。その炎とは裏腹に束彦は冷静に敵を見据える。
「飛んで逃げられると面倒だな……。その翼切らせてもらう!」
 叫ぶと同時に素早い動きで剣が振り下ろされた。傷口から羽毛へと次々と炎が燃え移っていく。
『助けて!助けて!』
『痛い、痛いよぉ……』
 まるで化け物が叫んでいるかのように犠牲になった子供達の断末魔をなぞる。借り物の悲鳴はその体が燃え尽きるまで鳴り響いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

テオ・イェラキ
「弱者を襲いとは、何という下種め…」
情報収集では役に立てなかったが、戦闘なら任せておけ。
「大地に捧ぐ情熱の舞(リンボーダンス)」で仰向けに反りながら襲ってくる敵の攻撃を避け、立ち上がるその勢いで自慢の斧でかち上げる攻撃を狙うぞ。
失敗すればそのまま後ろに転んで大変なことになるが…反れば反るほど強力な技となるのだ!漢は失敗を恐れてはいけない!
「我が部族に伝わる舞を見よ!」
「うぉぉぉおおおお!リンボゥッ!」

尚、攻撃に失敗したら(転んだら)素直に一度引いて、
取り残された子供の避難誘導に回るぞ。
「漢は…引き際が肝心なのだ…」



「弱者を襲いとは、何という下種め……」
 テオ・イェラキは鋭い眼光で敵を見据えた。化け物はバサバサと飛び立ち羽毛で覆われた不気味な手足でテオへと襲い掛かる。
 しかしその攻撃は大きく体を反らしたテオに避けられてしまう。そう、テオのユーベルコード『大地に捧ぐ情熱の舞(リンボーダンス)』である。
 一見隙だらけに見えるが連続して行われる化け物の攻撃を器用に避けながらより深く、大きく体を反らしてく。失敗をすれば後ろに転んで大変なことになるがこの漢は失敗など恐れないのだ!
 深く反らした体に大地のエネルギーが集まっていく。化け物の連続攻撃が丁度途切れたその瞬間、そのわずかな隙に溜めていたすべての力をぶつける。
「我が部族に伝わる舞を見よ!」
 立ち上がるその勢いを利用し自慢の斧でかち上げる。
「うぉぉぉおおおお!リンボゥッ!」
 素早くそして力強く放たれた渾身の一撃は化け物のにやけた顔に叩き込まれた。子供の悲鳴を真似する間もなくひっくり返った化け物はそのまま動かなくなった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ペチカ・ロティカ
こどもの、それは。
…どうしてかしら。ペチカのむねが、めらめらするの。
遊んでくれた、子供たちの事が思い浮かんで、なんだか目もあついのよ。
じわり、わきだすものを噴出させるように、【ブレイズフレイム】で、敵の羽毛を狙って燃やすのよ。
翼があるなら、飛んでしまうかもしれないものね?そんなのさせないのよ。
…炎を広げて、全部、灰になってしまえばいい。



『誰か助けて!!』
 化け物が助けを求める声で叫ぶ。助けられなかった命の声で。
(こどもの、それは。)
 ペチカ・ロティカは昼間、共に遊んだ子供達の顔が思い浮かぶ。
(……どうしてかしら。ペチカのむねが、めらめらするの。)
 じわりと熱くなる目元に浮かぶ感情が溢れ、それは紅蓮の炎となり化け物へと放たれた。羽毛から羽毛へと炎が燃え移り翼を焼き尽くす。
「翼があるなら、飛んでしまうかもしれないものね?そんなのさせないのよ。」
 全部、灰になってしまえばいい。翼を失いもがき苦しむ怪物は消すことの適わない炎に、せめて目の前のペチカを道連れにしようと思ったのだろうか距離を詰めてくる。その背後には苦しみもがく子供の姿が見えた。それをあろうことか体に取り込み自身を強化したのだ。
 この感情が、感覚が、なんであれ炎はペチカの心に応えるように勢いを増していく。化け物は燃え上がる手で全てをかけた最後の一撃を放つ。

 ――ゆらり

 ペチカの影が揺らぐ、それはランタンに映しだされた残像だった。攻撃を避けられた怪物は地面に伏せ、パチパチと火の粉となり夜の闇へと消えていく。残ったのは哀れな灰だけだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

嶋野・輝彦
子供は手遅れか…、ちっ
しかしこれがUDC…資料では見ていてわかってたつもりなんだがなぁ
こいつはいけねぇわ、死ぬ気で立ち回らないと本気で死ぬわ
訓練キャンプでおっさん虐めて何が楽しいんだと思ったが…、これは反吐吐くほどしごかれるはずだわ

【POW】アサルトウェポンで攻撃、削っていく
俺は素人に毛が生えた程度だからな自分の所で決められると思うな
削れるだけ削って後は尻まくって逃げる
査定に響かねぇ様に必死にやりました、って所まではやっとかねぇとな
そもそも戦場の亡霊…瀕死ならんと機能しないとかな
どのみち死ぬ気でやらないとどうにもならねぇじゃねぇか
ホンット使いづれぇぇ
これ以上は不味いって感じの所まで耐えた後離脱


イオアン・イーリディウム
「これは……。醜悪だ。とてもじゃないけれど、見ていられない」
「救えなかった子どもへの追悼はあとにしよう。今は、こいつを対処するのが先だ。──おいで」

その陰惨な惨状と趣味の悪い敵を見て息を飲むも、すぐに思考と切り替えて戦闘態勢へと入る。
使用するのはユーベルコードを使用する前に少しばかりの詠唱をはさみ、相手に疑問の感情を与えようとする。

「縺?≠縲√>縺ゅ?√k繧翫?繝サ縺励c縺?%縺峨☆」
「縺翫∪縺医◆縺。縺ッ縺ソ縺ォ縺上>縲?縺?縺九i縺薙%縺ァ縺薙#縺医※縺阪∴繧」
「さぁて、なんて言ったと思う?」

言語は内側に潜むUDCの力を借り受けた別世界の言語
一瞬でも相手が疑問を抱いたら不敵に笑う



「これは……。醜悪だ。とてもじゃないけれど、見ていられない」
 口から血を垂れ流し不気味に張り付いた嘲顔にイオアン・イーリディウムは息を飲んだ。
「子供は手遅れか……、ちっ」
 嶋野・輝彦はその凄惨な様子に苦い顔をした。
「救えなかった子どもへの追悼はあとにしよう。今は、こいつを対処するのが先だ。」
 イオアンはすぐに思考を切り替えて戦闘態勢に入る。

(これがUDC……資料では見ていてわかってたつもりなんだがなぁ)
 目の前の不気味な化け物はそう簡単に倒せる相手ではない。それがわんさか群れを成してやってきたのだ。化け物は輝彦へと襲い掛かる。アサルトウェポンで何とか防ぐが、掴みかかろうとするその力に己の骨がめりめりと軋んだ。査定に響かないよう必死にやったといえる程度には等という甘い考えを捨て去らなければ無事ではいられないだろう。
(こいつはいけねぇわ、死ぬ気で立ち回らないと本気で死ぬわ)
 何とか押し返し至近距離でアサルトウェポンを放つ。困ったことにユーベルコードは瀕死にならないと使えない。ホンット使いづれぇぇと心の中で文句を言いながら、それでも必死にやるしかないと何度も武器を放った。
 こちとら反吐吐くほどしごかれて来たんだ。舐めんじゃねぇぞ。と敵の猛攻を回避し重火器で化け物を殴り飛ばすと、化け物が少し胴体をよろめかせる。一度攻撃の届かない場所へと逃げようと翼を広げ飛び立とうとしたその時、突如イオアンの詠唱が響き渡る。

「縺?≠縲√>縺ゅ?√k繧翫?繝サ縺励c縺?%縺峨☆」
「縺翫∪縺医◆縺。縺ッ縺ソ縺ォ縺上>縲?縺?縺九i縺薙%縺ァ縺薙#縺医※縺阪∴繧」

 どこの言語かもわからない理解不能な不思議な言葉に動きが止まる。

「さぁて、なんて言ったと思う?」

 化け物のにやけた表情が変わることはないが、首をくるんと回転させた。その様子を見てイオアンが不敵に笑う。
 そう、化け物は、疑問を抱いてしまった。そもそも人の言葉を理解しているわけではないが、突如響いたその声に、疑問という感情が芽生えてしまったのだ。
 何もなかった夜の闇からウネウネと絡みつく紫の触手のかたまりが現れ、化け物へと絡みつく、バキバキと骨が翼が折れるような音が響いた。絡めとられた化け物は飛ぶことも適わず触手の中で微かにもがく。
 
 動きの止まった化け物に向けて輝彦は引き金に指をかける。大抵の生き物は此処を撃てば死ぬ止めを刺すなら此処を狙えと、訓練で散々教え込まれてきた。
 静かな森の中に重火器の発砲音が重く響く。もがいていた化け物は大きく痙攣するとそのまま動かなくなった。

 全ての怪鳥を倒し終え、猟兵達は化け物達が来た方角が情報収集で聞いていた空き家の方角であると気づく。少なくても嗅ぎ回っていることがばれているとしたら事は一刻を争う。子供達の追悼や供養をしたい気持ちはあるものの、今は儀式を阻止しなければならない。猟兵達は儀式が行われていると思わしき空き家へと向かうのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『牙で喰らうもの』

POW   :    飽き止まぬ無限の暴食
戦闘中に食べた【生物の肉】の量と質に応じて【全身に更なる口が発生し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    貪欲なる顎の新生
自身の身体部位ひとつを【ほぼ巨大な口だけ】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    喰らい呑む悪食
対象のユーベルコードを防御すると、それを【咀嚼して】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。

イラスト:もりさわともひろ

👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


猟兵達が空き家へ駆け、扉を開けると中には異臭が漂っていた。臭いの元を辿っていくと地下に続く階段を発見する。一歩一歩と階段を下っていくと血の臭いが濃くなっていく。中には背筋がぞっとするような不気味な感覚がした者もいるかもしれない。最後の階段を降りると、古く少し腐りかけた木造りのドアが見えた。キィっと軋ませながらそのドアを開ける。
 やせ細った不気味な男が魔方陣を前にし笑みを浮かべていた。魔方陣の中心には小学生ぐらいの少女が倒れている。助けようと踏み出したものもいただろう、しかし少女の顔に生気はなく恐怖に歪み見開いた眼には何も映してはいなかった。じっくりと良く見てみるとその魔方陣は血で描かれていた。これを描くためだけに今まで何人殺してきたのだろうか。
「なんだ嗅ぎ回っていた連中か。もう来たのか。」
 しかし動揺した様子もなく、男はニヤニヤと気持ちの悪い笑みを浮かべた。
「だがもう遅い。」
 魔方陣が薄暗い光を帯び、中からずるりと、赤い舌のようなものが見える。尖った爪を地面へとつき立て、這い上がるようにそれは現れる。無数の牙を持つ大きな口からはどろりと唾液を垂れ流し、空腹だといわんばかりに転がる少女の死体に噛み付いた。

 バキバキ、ぐちゃり、骨が噛み砕かれる音、肉が切り裂かれる音、そんなものがこの部屋には鳴り響いていた。男は抑えきれぬ笑い声を上げる。望んでいた邪神の復活を目の当たりにして笑わずにはいられなかった。
 少女を平らげた邪神に新しい口が増えた。それは男に向き直ると、笑っている男を頭からパクリと噛み砕く。数秒足をばたつかせたがすぐに力を失い飲み込まれてしまった。
 そしてまた一回り成長すると共に新たな口が発生する。食べても食べても、まだ足りない。それの飢えは止まらない。全てを喰らいつくすまで、いや、すべてを喰らいつくしたとしても。
 目の前の猟兵達へと向き直る。

 ――そう、それは、その場に猟兵達を喰らおうと大きな口を開いたのだ。
仁熊・束彦
『復活したのか・・』そう呟きつつ化け物を観察する。
知性はまだないようだが、目の前にある巨大な口に噛まれたら確実に致命傷になることは間違いない。剣で攻め入るのは危険だと判断し、短く詠唱する『砕け、庭の守り手』すると近くに魔法陣が出現し剣を持った巨大な人形が現れた。そして束彦の動きに合わせるように横に立った。『あの化け物を倒す・・行け』短くそう言うと人形は動き出し化け物に向かって剣を振り下ろした。


行動:『ガーデン・ドール』を使用し攻撃。



「復活したのか……。」

 仁熊・束彦はそう呟きその姿を観察する。知性はなくただ近くにある肉を喰らい続けているようだった。だが目の前にある巨大な口に噛まれてしまったら確実に致命傷となるだろう。接近戦は危険だと判断し剣では攻撃せず、詠唱を開始する。

「砕け、庭の守り手」

 その短い詠唱と共に付近に魔方陣が浮かびあがり、束彦の二倍ほどはするであろう巨大な人形が召還された。ユーベルコード『ガーデン・ドール』である。
 束彦が剣を構えるような動きをすると、その人形も同じようにその巨躯に合わせた大きな剣を構えた。

「あの化け物を倒す……行け」

 その言葉と共に人形は動き出す。剣を振り下ろすよりも早く、全てを喰らう黒々とした洞穴のように開かれた口が人形へと襲いかかった。片腕で防御を試みる。バキッという嫌な音が鳴るが、人形のそれは不完全な化け物では噛み砕くことのできぬ代物だった。そして、喰らいついたその瞬間の隙を束彦は見逃さない。決してはずさぬその距離で確実に剣が振り下ろされた。
 剣が食い込んだ傷口からどす黒い体液を垂れ流し、微かによろめくと、地鳴りのような咆哮を上げた。牙で喰らうものは人形を喰らうことのできないものと認識したのか噛み付いたまま人形を振り払う。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

多々羅・赤銅
――おお、おお、沢山食べる坊やだこと。
腹が減るのは辛いよなァ。

「よぉバケモノ、何でも食べちゃう大喰らいか?
 そんなら、酒煙草でグズグズな私だって食べてくれっかな」
【羅刹旋風】、刀をゆったり、大きく振り回しながら語り掛ける。
声は聞こえてんのかな、人語の判断はつくんかな?

「そうだろう食いたいだろうとも。
けどダメだ。」

「てめえはとっくに、私の逆鱗に触れた。」

刀に加速をつけ――一気に距離を詰め振り下ろす!
食われる?知った事かよ精々美味しく食べやがれ、その内側からだってぶつ切り肉にしてやるからよォ!!!



――おお、おお、沢山食べる坊やだこと。腹が減るのは辛いよなァ。

 見境なく喰らおうとする様を見やり、多々羅・赤銅は心の中で呟いた。装飾のない刃をゆらりと持ち上げ、大きく振り回す。

「よぉバケモノ、何でも食べちゃう大喰らいか?」

 問う。
 化け物は応えない。ただ傷を癒そうとその頭部を大きな口へと変化させていく。

「そんなら、酒煙草でグズグズな私だって食べてくれっかな」

 語りかけるが聞いている様子はない。
 声は聞こえてんのかな、人語の判断はつくんかな?
 メキメキとただ喰らうことしか考えていないであろうそれは、無数の牙の隙間から美味しそうな獲物を前にしたようにだらだらと唾液を垂れ流す。

 ぐるん。

 回す刀は速度を上げていく。

「そうだろう食いたいだろうとも」

 ぐるん、ぐるん。
 ひとつ、ふたつと回転を重ねる。

「けどダメだ。」

 それが大きな口を開いた。
 赤銅を喰らうべく、一歩、二歩と加速しながら接近していく。

「てめえはとっくに、私の逆鱗に触れた。」

 その刹那、空気の流れが変わる。
 トンっと地面を蹴った。
 大きく開いた空洞に、無数の牙に、怯むことなく、恐れることもなく―――飛び込んだ。
 食べられた。そう見えただろう。だが、次の瞬間、勢いの乗った刃がその食道を突き破った。

「食われる?知った事かよ精々美味しく食べやがれ、その内側からだってぶつ切り肉にしてやるからよォ!!!」

 勢い良く噴出した血を浴び、飛び散った黒い肉片を踏み潰し地面へと着地する。
 ごおおおと暴風が吹きぬけるような咆哮を背に、刀を振り下ろし血を払う。
 深手を負ったそれはよろよろと進むと、再度足を踏締め倒れそうな巨躯を支えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シオドリック・ディー
敵の咀嚼音を聞きたくないとばかりに首を振る。眼前の化け物を睨み付けながら一歩踏み出す。
「こんなモノを召喚して、何が楽しいんだろう……」吐き捨てるよう呟きます。
指を鳴らしユーベルコード起動。機械仕掛けの騎士を召喚し、ターゲットへ突撃するよう指示をする。
槍撃により弱った敵の口があけば、そこ目掛けて技能【全力魔法】【2回攻撃】でパワーを上げたオートマタの攻撃をくらわせます。
「この醜い口、全部潰してやります!」
牙をむいた攻撃的な笑顔でひとりごちる。「……そうしたら、もう食べることなんてできないよね」



深い傷を受けたそれの空腹は限界だった。何でもいい、今すぐ何かを喰らいたいとでも言わんばかりに唾液と血を垂れ流す。

「こんなモノを召喚して、何が楽しいんだろう……」

 シオドリック・ディーは吐き捨てるように呟き、眼前の化け物を睨み付けながら一歩踏み出す。パチンと指を鳴らすと、現れるのは機械仕掛けの騎士。倒すべき敵を指し示すと迷いなくターゲットへと突撃していく。狙うのは、ダメージを受けたその口の中。
 それが喰らえぬものと学習したのであろうそれは、攻撃を防御しようと口を閉ざし頭を振り下ろす。騎士は何か来ると予期し体を翻した。ドゴォという大きな音と共に石造りの地面が抉れ、当たったらただでは済まないことをまざまざと見せ付けられる。
 翻した体を背後へと滑り込ませ、そのまま、傷口に槍を突き立てた。
 ゴオオオオオと唸り声が鳴り響く。
 無数にある口のひとつが微かに開いたのをシオドリックは見逃さない。

「この醜い口、全部潰してやります!」

 ありったけの魔力を乗せた攻撃をその口の中へと突き立てた。
 視界の隅に、血で汚れた小さな靴が転がっているのが見える。
 やりきれない思いを抑えつけ、攻撃的な笑顔でひとりごちる。

「……そうしたら、もう食べることなんてできないよね」

 魔法で加速した槍が即座にもう一突き、素早く重く突き立てられた槍に、無数に生えた牙が折れ、血で染まった骨がボロボロと地面へと崩れ落ちた。
 ごおおおと叫ぶそれは、これだけのダメージを与えても、まだ、倒れない。

成功 🔵​🔵​🔴​

宮古・橙華
あれが巷で噂の牙なんとかちゃん?んー……ぜんっぜん可愛くないじゃん!!
こんなくっそキモいのにギャンカワな女の子を喰う資格なんてないっつーの!!
つーかスッパはないわー!もっと服とかアクセとかでオシャレしろってーの!!
そんじゃ【先制攻撃】させて貰うよっ!!【2回攻撃】に合わせてユーベルコード【G・M・D・R!!】「さぁ行っておいで!わたしの可愛いG・M・D・Rちゃん☆ミ あのマジキモいのをブッ飛ばしちゃえ!」



しかしそれはまだ倒れない。どころか咆哮と共に襲い掛かる動きはより機敏になっていた。逆に考えればそれだけの力を出さなければならない程のダメージを受けているのだろう。
 だが、それよりも素早く宮古・橙華はこてこてにデコられたサイレンサーを抜く。発砲音は響かずとても静かに、黒々とした皮膚にひとつふたつと穴が開く。

「これが巷で噂の牙なんとかちゃん?んー……ぜんっぜん可愛くないじゃん!!」

 もともと黒くぶよぶよとしたその肉体に唾液を垂れ流す姿は醜いものだったが、どす黒い血を垂れ流し、いくつかの歯が折れ抜け落ちたそれはよりおぞましい姿になっていた。橙華はその化け物の姿に、マジキモい。ありえない。と吐き捨てる。

「こんなくっそキモいのにギャンカワな女の子を喰う資格なんてないっつーの!!」

 攻撃の手は止まらない、そのまま流れるようにロケットランチャーを構える。

「さぁ行っておいで!わたしの可愛いG・M・D・Rちゃん☆ミ あのマジキモいのをブッ飛ばしちゃえ!」

 派手な爆発音と共にガチでマジなデストロイロケットが発射された。一度弾丸を当てたなら確実に狙いがぶれることもなくそれは飛んでいった。
 ドゴオオオ!!
 爆煙に包まれ、この地下室も崩れるのではないかと思えてくるような強力な一撃が牙で喰らうものを襲ったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ペチカ・ロティカ
はじめまして、はらぺこさん。
そんなにお腹がすいているなら、とっておきのディナーをご用意してあげるの。
肉汁滴るような分厚いステーキ、―ただし、食材はあなたなのよ。
調理は【ブレイズフレイム】で。
あなたの大きなおくちで、この炎も食べてしまう?いいのよ、外からも中からも、こんがり焼いてあげるから。
あら?それじゃあペチカはうそつきね?肉汁滴るだなんて…滴るものもないくらいに、全部全部燃やすのよ。
…あつくてあつくて、ペチカも溶けてしまいそう。
(変わらない表情からこぼれるのは、ひと滴の涙)


嶋野・輝彦
連戦かかぁ…連戦なぁ…
このまま帰るってのも不味いわなぁ、立場的に
腹くくるか

戦闘は
【POW】
アサルトウェポンで攻撃、削っていく
捨て身の一撃、零距離射撃で、ってなんだコレ自爆特攻かよ
まぁ、戦場の亡霊の回転が良くなるからこれで良いっちゃ良いんだが
ギリギリまで耐えて戦場の亡霊発動後死にそうになったら離脱

何?最初の戦闘とほとんどやること変わらん?
まぁ俺は素人だからな、変に変わったことやっても上手くいかんだろうしなぁ
パターン決めてきっちり行動、ミスはしない
と言うかだな下手すりゃ死んだりするだろ、カッコつけとかそう言うの要らないんだよ


仁熊・束彦
『まだ息があるのか・・』これだけの攻撃を加えられても生きている化け物に驚嘆する。だが攻撃の手を緩めるわけにはいかないため今度は自身の所持しているからくり人形で攻撃を加えることにする。更に『トリニティ・エンハンス』で緑の光を人形に纏わせると束彦は軽快な指捌きで人形を操り始めた。人形はまるで意思を持つかのように華麗なステップを踏む。そして化け物にとどめを刺すべく踊るような攻撃を仕掛けた。
『人形との最後のワルツ・・存分に味わえ』

行動:『トリニティ・エンハンス』を使用し風の魔力でからくり人形の攻撃力を強化し攻撃。反撃が来たら『フェイント』を使用する。



「まだ息があるのか……」

 あれだけ派手な爆発の中心にして、それでもなお立っている化け物に仁熊・束彦は感嘆する。
 だがこちらも攻撃の手を緩めるわけにはいかない。
 束彦はガーデン・ドールでの攻撃をやめ、今度は所持していたからくり人形を操る。魔力による緑色の光を体に纏う。その光は糸を伝い、人形を覆った。
 十本の糸を軽快な指捌きで操作すると、その動きに呼応するように人形の動きだす。それはまるで意思を持っているかのように華麗なステップを踏み始めた。踊るように、鮮やかな猛攻を仕掛けるべく、人形は煙の中へと飛び込んで行ったのだ。

(連戦かぁ…連戦なぁ…)

 流れで連戦になってしまった状況に嶋野・輝彦は苦い顔をする。
 本音を言うなら、前の戦闘で消耗したと言ってもう帰りたいのも山々だが――

 ――このまま帰るってのも不味いわなぁ、立場的に

 不本意とは言え逃げ出せない状況に腹をくくり武器を構えた。
 爆発の煙の中にあの化け物がいる。見えなくてもわかっている方向へパラララと重火器を連射する。猛攻は止まらない、素人の自覚はある。ならば変わったことをせず、決まったパターンをひとつひとつ確実にやっていくほうがミスもない。
 少しずつ近づき外すことのない距離まで詰めた。徐々に煙が薄くなりその姿がはっきりと浮き出ていく、違う、煙が薄くなったんじゃない。こいつ、煙を食べている。

「見境なしかよ」

 微かに働いた第六感で何か不穏な空気を感じ取る。やばい、そう思うと同時に、それは食べた煙を爆炎と共に吐き出していく。寸でのところで避けるが爆風に吹っ飛ばされた。基本と叩き込まれた受身が役に立ち、何とか大きなダメージは受けずにすんだ。だが次の瞬間、煙の中から無数の牙が覗く。それは間違いなくあの大きな口であった。死というものが脳裏に過ぎる。死んでたまるかとその予感を振り払った。
 それは一瞬の出来事だった。その口が閉じられる前に牙だらけの口の中へと飛び込んだ。殴りつけるように武器をその口内に突き立て、その刹那に響く爆発音。輝彦自身もその爆炎のダメージを受ける距離だった。だが、あの状況で生還するという意味ではその行動は間違いではない。あのままでは無事では済まなかっただろう。死なないにしても腕の一本ぐらいは持っていかれたかもしれない。
 危機を好機に変え深手を負わせた輝彦の体がぐらりと傾いた。その傍らには戦場の亡霊がゆらりと現れる。ふらふらと覚束ない足取りで、あとは任せたと安全な場所まで退避しようとする輝彦と、入れ替わるように亡霊は化け物へと立ち向かっていくのだった。

「はじめまして、はらぺこさん。」

 かわいらしい声と共にペチカ・ロティカはその巨大な化け物を見上げた。

「そんなにお腹がすいているなら、とっておきのディナーをご用意してあげるの。」

 しかしその声に秘められた感情の色はきっと―――

「肉汁滴るような分厚いステーキ、」

 ――ただし、食材はあなたなのよ。

 ゴオォ
 赤く激情を孕んだ炎が点る。
 ただし敵もただ焼かれるのを黙っているわけではない。
 その炎すらも喰らおうと燃え盛る炎をパクリと飲み込む。
 その炎を吐き出そうとしたのだろう。
 大きく息を吸おうとしたその瞬間だった。
 束彦が操る人形が、頭から剣を突き刺しその口を閉じさせた。
 そして輝彦の残した戦場の亡霊が放つライフルが化け物の動きを鈍らせる。
 ペチカはその隙を見逃さない。
 胸にこみ上げてくる熱さのように熱い炎を轟々と燃え上がらせる。

「いいのよ、外からも中からも、こんがり焼いてあげるから。」

 黒い皮膚もパチパチと音を立て、傷口から零れていた体液は蒸発し、咆哮と共に吐き出された炎は狙いが定まらずあらぬ方向へと吐き出される。外も、内部も全て炎に包まれて、もがく力も暴れる力も残っていないそれは、地獄の業火に焼かれ、ただ灰になっていく。

(……あつくてあつくて、ペチカも溶けてしまいそう。)

 炎に照らされたペチカの表情は変わらない。その頬には涙が伝っていた。
 燃え盛る炎が収まる頃には、地下室には全てが燃え尽きた灰の跡と猟兵以外は何も残っていなかった。

 そう、何も残っていない。
 此処で邪神が召還されたことも、それによって犠牲が出たことも。
 猟兵の中には子供達を供養したものもいたかもしれない。消えた子供達は行方不明と処理され、その親達はずっと永遠に帰らぬわが子を探し続けるのだろう。
 だが、猟兵達の活躍により、この村も、村の外も、この邪神によって飲み込まれることはなくなったのだ。
 助けられなかった命がある。だが、失わずにすんだ命もある。

 様々な想いを抱きながらも猟兵達はグリモアベースへと帰還するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2018年12月20日


挿絵イラスト