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迷宮クエスト:ミスティックダンジョンを攻略せよ

#ゴッドゲームオンライン #ミスティックダンジョン


「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「ゴッドゲームオンラインの『ミスティックダンジョン』のひとつがバグプロトコルに掌握されてしまいました」
 ダンジョン攻略はゴッドゲームオンラインのメインコンテンツのひとつだが、その中には「挑戦者は現在のステータスにかかわらずレベル1から攻略開始となり、通常の装備品や回復アイテムも超弱体化するため、宝箱やドロップ品で手に入るダンジョン内専用のアイテムを駆使して深層への到達を目指す」という特殊なダンジョンが存在する。

「通常の高難易度クエストとも異なる、プレイスキルによる腕試しの側面が強いダンジョンですが……バグプロトコルはこれに目をつけ、ゲームプレイヤー達の遺伝子番号ジーンアカウントを焼却しようとしているようです」
 どんなに腕利きのゲームプレイヤーでもダンジョンの仕様によって極低レベルまで弱体化している状態では、バグプロトコルの襲撃に対抗するのは困難。一刻も早くミスティックダンジョンを正常化しなければ、大勢の犠牲者が出かねない事態だ。
「ですが、ひとたびミスティックダンジョンに踏み込めば、猟兵と言えどもゲームのルールに則って一時的に戦闘能力を失い、使い慣れた装備品も封印されてしまいます」
 レベルは最低まで弱体化され、使えるのはダンジョン内で手に入れた専用アイテムのみ。この仕様でミスティックダンジョンにはびこるバグプロトコルを一掃する為には、ひと工夫してレベル差を補う立ち回りを意識する必要があるだろう。

「ダンジョンの入り口付近には、すでに多数のバグプロトコルが徘徊しており、ダンジョン突入直後のゲームプレイヤーを狙っています」
 敵モンスターは『バグドロイビーコン』。戦闘用人型アンドロイド「ビーコン」がバグプロトコル化したもので、徘徊しているのは大半が下級個体だが、最低レベルまで弱体化した猟兵やゲームプレイヤーにとっては大いに脅威となる。
「ここを突破すると、中盤以降は多数の浮島があるアスレチックのような構造になっていて、これを飛び移りながら先に進むようです」
 浮島にはそれぞれトラップやモンスター、あるいはパズルなどのギミックが用意されていて、これらをクリアしながら次の浮島に渡っていくことになる。プレイヤーを浮島から落下させるようなトラップもあり、落ちたら即死なので注意してください。

「また、この浮島エリアにはミスティックダンジョンの攻略に役立つ専用装備やアイテムが、宝箱としていくつも設置されています」
 前述した通りミスティックダンジョン内部では外部から持ち込んだ装備やアイテムも弱体化するので、これらの専用アイテムは攻略において必須と言っていい。ボスとして待ち構えるバグプロトコルとの戦いの前に、なるべく多く回収しておくと良いだろう。
「ミスティックダンジョンを乗っ取ったバグプロトコルのボスは『白教の聖女』。管理と節制を教義とする『白教』の白聖者ライトメサイアです」
 聖女らしい清楚な見た目と言動をしているが、プレイヤーに管理を強制し、従わなければ抹殺するその姿勢は、自由を愛するプレイヤーと相容れるものではない。依然としてこちらが弱体化したままなのに対して、向こうはボススペックで全力で殺しに来るので、知恵と工夫と手に入れたアイテムを駆使して立ち向かおう。

「これまでとは違った意味で難易度の高いクエストですが、皆様ならクリアできると信じています」
 説明を終えたリミティアは手のひらの上にグリモアを浮かべ、ゴッドゲームオンラインに猟兵達を送り出す。
 積み上げてきたレベルも装備も全て失い、プレイヤーの経験と腕だけが試されるミスティックダンジョン。立ちはだかる敵との圧倒的なレベル差に、勝算を見出すことはできるのか。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 今回のシナリオはゴッドゲームオンラインにて、『ミスティックダンジョン』という特殊なダンジョンを攻略する依頼です。

 ミスティックダンジョン内部では、猟兵を含む挑戦者全員が「最低レベルまで弱体化した状態で攻略開始」及び「ダンジョン専用アイテム以外のアイテム弱体化」という制約を受けます。
 具体的なルールとしては、プレイングのシステム上で記載された成功率が『10分の1』になります。
 そのかわり、各章に設定された条件を満たした猟兵にはプレイングボーナスが発生します。条件は多数設定されており、複数を満たした場合ボーナスはいくらでも重複します。

 1章は『バグドロイビーコン』との集団戦です。
 ダンジョンに入った直後の最低レベルのプレイヤーを抹殺するモンスターで、レベルにも装備にも頼れない今は強敵となります。
 この章のプレイングボーナスは「他の猟兵と役割分担して戦う/敵の動きの隙を突く/地形を利用して立ち回る/敵の攻撃を紙一重でかわす/近くの宝箱からダンジョン専用アイテムを手に入れる/敵群を分断し、各個撃破する/何らかの手段で敵を同士討ちさせる/ダンジョン内の罠を戦闘に利用する/危なくなったら一旦逃げる」です。

 2章は浮島アスレチック風のダンジョンを攻略していきます。
 浮島ごとに異なるギミックが用意されているので、これをクリアしてアイテムの宝箱を回収しながら先に進んでください。
 この章のプレイングボーナスは「エリア内をくまなく探索する/パズルを解いて隠し宝箱を出す/宝を守る罠を発見し、解除する/アイテムをドロップするモンスターを沢山倒す/自身の戦闘スタイルに合ったアイテムを選ぶ/手に入れたアイテムでダンジョンのギミックをクリアする」です。

 3章はバグプロトコルのボス『白聖女』との決戦です。
 彼女を撃破すればミスティックダンジョンを正常な状態に戻すことができます。
 この章のプレイングボーナスは「前章で手に入れたアイテムを利用して戦う/他の猟兵と役割分担して戦う/敵の動きの隙を突く/地形を利用して立ち回る/強力な攻撃の予兆を見切る/ボスエリアのギミックに対処する/ボスの弱点を推測して突く/軽快なアクションでボスを翻弄する/敵の攻撃範囲の外から攻撃する/ヒット&アウェイでダメージを稼ぐ」です。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『バグドロイビーコン』

POW   :    ハイパー・ハイブリッド・ラーニング
【戦闘演算】と【瞬間思考力】と【学習力】を組み合わせた独自の技能「【ハイパーハイブリッド・ラーニング】」を使用する。技能レベルは「自分のレベル×10」。
SPD   :    ブレイド・ブレイク&ヒート・ビート
【顔部の単眼砲から照射される追尾熱線ビーム】が命中した敵を【大型アームブレイド】で追撃する。また、敵のあらゆる攻撃を[大型アームブレイド]で受け止め[顔部の単眼砲から照射される追尾熱線ビーム]で反撃する。
WIZ   :    クローキング・ダミーテクスチャ
自身と武装を【偽装テクスチャデータ】で覆い、視聴嗅覚での感知を不可能にする。また、[偽装テクスチャデータ]を飛ばして遠距離攻撃も可能。
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ミノア・ラビリンスドラゴン
ミスティックダンジョンでバグは危険極まりないですわ~!
持ち込みに頼れないので、スピード特化の二刀流装備でクエストスタート!

ポップ待ちは効率的でも華がありませんわ!
ですが、分かっているなら対処のしようもあるというもの!
まずは一撃を躱す! 突入と同時に紙一重【ダッシュ】回避!
敵はラーニングに特化した手合い!
このまま戦っても、有効打を与えられず学習されてしまうだけですわ!
なので、駆け回って【宝探し】!
武器、武器、武器……双剣ゲット!!(幸運)
ここからはわたくしのターン! 【龍の剣舞】!
斬って蹴って途切れることなき【アクセルコンボ】!
クリティカルヒット急所突きで学習される前に仕留めますわ~!



「ミスティックダンジョンでバグは危険極まりないですわ~!」
 ゴッドゲームオンライの管理者AIにして迷宮制作者の一人として、ミノア・ラビリンスドラゴン(ポンコツ素寒貧ドラゴン令嬢・f41838)もミスティックダンジョンの仕様は把握している。強制的にレベルや装備が弱体化した上で攻略しなければならないなんて、考えてみればバグプロトコル的には格好の狩り場である。
「持ち込みに頼れないので、スピード特化の二刀流装備でクエストスタート!」
 制限の範疇で有効なビルドを考え、対策を立てて、準備は万全。いざダンジョンに足を踏み入れれば、最初の一歩目から脅威が待ち構えている。入り口付近にずらりと並んだ『バグドロイビーコン』の群れ――挑戦者を抹殺する無慈悲な刺客である。

『プレイヤー発見。排除開始』
「ポップ待ちは効率的でも華がありませんわ! ですが、分かっているなら対処のしようもあるというもの!」
 ドロイドらしいと言えばらしいが文句を言いたくもなる、効率化された【ハイパー・ハイブリッド・ラーニング】に基いた歓迎を受けたミノアは、ダンジョン突入と同時に猛ダッシュして、最初の一撃を紙一重で躱す。決め打ちで動いていなければ、今のレベルでは回避できなかっただろう。
「敵はラーニングに特化した手合い! このまま戦っても、有効打を与えられず学習されてしまうだけですわ!」
 ここで勝算もなく手の内を見せるべきではない。そう判断した彼女は敵の追撃からひたすら逃げの一手を打ち、ダンジョンを駆け回って宝探しに励む。ミスティックダンジョンは単なる理不尽難易度の無理ゲーではなく、攻略のためのアイテムがどこかに配置されているはずなのだ。

「武器、武器、武器……双剣ゲット!!」
 幸運にも最初に見つけた宝箱で、ミノアはお目当ての装備を入手する。普段使っている「双龍剣」に比べると性能は低いが、重要なのはミスティックダンジョンでも弱体化しない特別仕様だ。これがあればバグプロトコルとも戦える。
「ここからはわたくしのターン! 【龍の剣舞】!」
 追ってくる敵に向き直った彼女は、舞うような華麗な動きで斬撃を放つ。双剣から迸る衝撃波がバグドロイビーコンをなぎ倒し、体勢が崩れたところに強烈な蹴撃が叩き込まれる。レベル1でも猟兵が他のプレイヤーより有利なのは、やはりユーベルコードの存在だ――どれかひとつでもダメージを与えれば、この技は何度でも再攻撃ができる。

「流麗なりし剣の舞い! とくとご覧あれ!!」
『ガピッ……!』
 斬って蹴って途切れることなきアクセルコンボ。弱点部位にダメージを受けた敵は次々にデータの塵と化していく。
 あまり時間をかけすぎると、このコンボもパターンを把握されてしまうかもしれない。だからこそ、ここは速攻だ。
クリティカルヒット急所突きで学習される前に仕留めますわ~!」
 演算する暇もないほどの猛ラッシュと、モンスター知識に基いた正確な急所狙いによって、ミノアは敵を殲滅する。
 双剣と共に舞い踊りながら、ミスティックダンジョンの奥へ、奥へ。ここを狩り場とするバグプロトコルのボスは、まだまだ先で待っているはずだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

印旛院・ラビニア(サポート)
・境遇的なものもあり、思考や嗜好は成人男性のものです(恥ずかしい境遇なので自分からは喋らない)
・基本的にはヘタレで気弱、慎重な面がありますが、物事がうまくいったり周りに煽てられるとイキって墓穴を掘ることもあります
・なんだかんだで人がいい
・やり込みゲーマーで現状を学ぶ【学習力】と自分のプレイに【チューニング】できる応用力が武器
・キャバリア・劫禍との関係はUCの秘密設定あたりで察してください

  UCは活性化した物をどれでも使用し、例え依頼のためでも、公序良俗に反する行動はしません。えっちな展開はコメディ目であれば許容
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「僕に任せてよ。何とかしてみせるから……多分」
 自信があるのかないのか、微妙に煮えきらない態度で今回の依頼のサポートに参加したのは印旛院・ラビニア(エタらない人(仮)・f42058)。彼女自身もゴッドゲームオンラインのプレイ中にバグプロコトルに襲われた過去があり、他のプレイヤーが同じ目にあう危険性を放ってはおけなかったのだろう。
「けどレベル1からスタートかぁ……ゲーマーとしては腕が鳴る仕様だよね」
 積み上げたレベルも集めたレアアイテムも、ミスティックダンジョンでは何の役にも立たない。あてになるのは現地で手に入れたアイテムとプレイヤー自身のスキルのみ。凶悪バグプロトコルが今か今かと待ち構える危険な迷宮へと、彼女は意気揚々と突入する。

「見えないけど、近くにいるはず……」
 ダンジョンの入り口付近にいる『バグドロイビーコン』は、【クローキング・ダミーテクスチャ】による潜伏と奇襲能力を持つ。突入直後のプレイヤーを抹殺することを目的に配置された彼らは、ラビニアを発見すれば即攻撃を仕掛けてくるはずだ。
『抹殺開始』
「あぶなっ!」
 さほどレベルの高くないモンスターの攻撃でも、こちらもレベル1なら大ダメージだ。ラビニアがそれを避けられたのはゲーマーの知識と経験則によるところが大きい。ウサ耳を揺らしてぴょんと飛び退いたところを、敵のブレードが薙いでいった。

「単純な攻撃パターンで助かるよ」
 なおも襲ってくるバグドロイビーコンに、ラビニアはダンジョンの地形をうまく利用して立ち回り、紙一重で躱す。
 現状を学ぶ学習力と、自分のプレイにチューニングできる応用力が彼女の武器だ。キャラクターのレベルが初期まで落ちても、こればかりは弱体化しない。
「あとは使えそうなアイテムを……見つけた!」
 戦いながらダンジョンを移動する中で、彼女は宝箱に入っている装備や落ちているアイテムを回収していく。その中にはモンスターを召喚したり魔法効果を発動させられるカードもあった。普段使っている「戦乙女達の行進シリーズ」は弱体化しているが、こっちは役に立ちそうだ。

「戦乙女の召集で更にドロー! 次にこの戦少女を召喚した効果で……」
 手持ちのカードと拾ったカードを組み合わせて、まるで呪文を詠唱するようにコンボを繋げるラビニア。一枚一枚は非力なカードも、プレイヤーの発想次第で無限の可能性を持つ。初見でも即興で使いこなしてみせるのが廃ゲーマーというものだ。
「行くよ! 戦乙女の行進ヴァルキリーズ・パレード!」
『――……?!!!』
 かくして完成した必殺コンボ――戦乙女を筆頭とするモンスター達の合体技は、直線上にいたバグドロイビーコンをまとめて吹き飛ばした。レベル1とは思えないほどの破壊力と爽快感に、ラビニアは満足げな笑みを浮かべて、迷宮の奥に進むのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アリス・フォーサイス
なるほど。楽しそうだね。

ぼくはこのゲーム、そこまでプレイヤースキルに自身があるわけではないからね。
ダンジョン内アイテムをまず探すよ。

その間はユーベルコードで姿を消しながら音をたてないように注意しながら探索するよ。

お、このアイテムは良さそうだね。
いい装備を見つけたら反撃だ。
障害物や壁を利用して、単機でいる敵を奇襲して倒すよ。

相手も姿を消すのが得意なタイプ。逆に奇襲を受けないように、情報収集をしっかりして、視覚情報だけでなく、音、温度、気配から見落とさないように気をつけてないとね。



「なるほど。楽しそうだね」
 ミスティックダンジョンのルールを聞いたアリス・フォーサイス(好奇心豊かな情報妖精・f01022)は、にこにこと笑顔でそう言った。レベルや装備品に頼れず、プレイヤーの知識やセンスがものを言う迷宮なんて、好奇心をくすぐられるではないか。
「ぼくはこのゲーム、そこまでプレイヤースキルに自身があるわけではないからね。ダンジョン内アイテムをまず探すよ」
 迷宮がバグプロトコルに占領されてしまった以上、低レベルのまま正面対決するのは厳しい。本来の攻略法に沿ってアイテムを集めるのは定石通りと言えるだろう。問題は入り口で待ち構えている『バグドロイビーコン』の目を、どうやって欺くかだが――。

「さあ、冒険の始まりだ」
 ダンジョン突入と同時にアリスは【誰も知らない冒険】を発動。透明になってモンスターの目を逃れ、音を立てないように注意しながら探索する。バグドロイビーコンの目と鼻の先をそうっと通り抜けても、敵はまったくの無反応だ。
『………』
 非戦闘中のドロイドは、プレイヤーの侵入を見逃さないよう、一定のパターンに沿ってダンジョンを巡回している。
 アリスの頭脳と観察力にかかれば、そのパターンを把握するのは難しいことでは無かった。姿を消している間は疲労の蓄積が速いが、焦っている様子もない。

(お、このアイテムは良さそうだね)
 敵の目を盗んで宝箱を開け、いい装備を見つけたら反撃だ。無論、ここでも透明化の優位を先に捨てる理由はない。
 ダンジョンの入り組んだ障害物や壁も利用して、単機で巡回中のバグドロイビーコンの背後を取ると、背後から奇襲を仕掛ける。
「さて、ダメージはどれくらいかな?」
『ガガッ……敵……発見……』
 攻略用に用意された専用アイテム――アリスが見つけたものは槍の形をしていたが、その威力は申し分なく。背中を串刺しにされたドロイドはノイズ混じりの声を上げると、糸が切れたように動きを止めた。撃破を確認すればアリスはすぐにまたユーベルコードを発動し、誰かがやって来る前にその場を離れる。

(相手も姿を消すのが得意なタイプ。逆に奇襲を受けないように、情報収集をしっかりして、視覚情報だけでなく、音、温度、気配から見落とさないように気をつけてないとね)
 さっきのはたまたま使っていなかったが、バグドロイビーコンの【クローキング・ダミーテクスチャ】は隠密プレイ中は特に警戒すべき能力。逆に自らも透明化しているからこそ対処法も理解しているようで、細心の注意を払いつつも足取りに迷いはなく、敵と鉢合わせるようなミスもしない。
(あそこにまた1人いるね。ここなら迂回できるかな)
 まだまだ先は長い以上、必要のない戦闘は避けて進むのも大切。秀でた情報収集能力とユーベルコードを活用して、アリスはミスティックダンジョンの最深部を目指す。この先にもっと楽しめるギミックやボスが用意されていることを期待して――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

所城・スーパー布団子
「最低レベルになるダンジョンねぇ…むしろ初依頼でレベル低いボクにはお誂え向きかも」
※灼滅者から猟兵になって初依頼

鳩時計から何羽か出した霊光の鳩に乗って〈空中機動〉
上空から宝箱やオブリビオンを探索
アイテムはしっかりちゃっかりゲットしましょ
「何に使うんだろこれ。よくわかんないねぇ」
※あんまりテレビゲームしたことない

敵を見つけたら物陰に隠れ(地形を利用)、鳩時計から更に霊光鳩を一羽召喚
敵の視界の端で霊光をちらちらさせ(分断させるように)一体ずつ誘き寄せ…

「ハートビートトゥートーチカ――はい、さよーなら」

『大型アームブレイドに受け止められる』前の隙をつくように、UCの能力で0秒攻撃
先に鳩を沢山召喚しておけば武器への再収納も容易だから
次々に時計に納めては0秒攻撃を繰り返す

敵がわらわら集まりそうなら再び飛んで一旦逃げて、仕切り直して同様に1体ずつ倒していく
「んふふ。やっぱ勝つなら一方的に勝たないとねぇ」
派手に勝つ必要はない。ちまちまとでもいいから一方的に狩る
それがボクのやり方さ
痛いのヤだもんね



「最低レベルになるダンジョンねぇ……むしろ初依頼でレベル低いボクにはお誂え向きかも」
 灼滅者から猟兵になってまだ本調子とはいかないまま、これがグリモアベースで受ける初依頼となる所城・スーパー布団子(スーパーふとんこちゃん・f43851)。言うなれば既に一度レベルがリセットされている状態なら、ミスティックダンジョンの影響も相対的に小さいのではないかという考えだ。
「じゃあ行ってみよっか」
 まだちょっと眠たげな様子でそう言って、彼女は鳩時計「フューチャーピジョン」から出した霊光の鳩に飛び乗る。
 普通に歩くよりは上空からのほうが、宝箱やオブリビオンを探索しやすいだろう。幼女を乗せた鳩はぱたぱたと俊敏な機動でダンジョンを翔ける。

「って、さっそく出待ちしてるじゃーん」
 ダンジョンに入ってすぐにスーパー布団子が見つけたのは、マネキン人形のような『バグドロイビーコン』の群れ。
 最低レベルまで弱体化したプレイヤーを即抹殺するために待機していたのだろう。せっかくの初依頼で何もしないでやられるのは勘弁だと、急いで物陰に身を隠す。
「よしよし、みんな出ておいで」
 小声で鳩時計に囁きかければ、さらに一羽の鳩が飛び出す。その霊光は敵の視界の端でちらちらと瞬き、注意を引き付ける。『目標発見』とドロイドが誤認してくれればしめたものだ。あとは集団を分断させるように、一体ずつ誘き寄せて――。

「ハートビートトゥートーチカ――はい、さよーなら」
 ユーベルコードを唱えれば、時計からまたもや鳩が。それも目にも止まらぬ速さで、矢のように敵へと飛んでいく。
 バグドロイビーコンには敵の攻撃を大型アームブレイドで受け止め、頭部単眼の熱線ビームで反撃する【ブレイド・ブレイク&ヒート・ビート】がプログラムされているが、スーパー布団子の攻撃速度はそれを上回った。
『――……!!』
 ブレードを構える前に霊光の翼で切り裂かれ、ばたりと倒れるバグドロイビーコン。スーパー布団子はすぐに鳩を時計に収納して、再攻撃の準備を整える。【ハートビートトゥートーチカ】は鳩時計に中身がなければ使えないが、0秒攻撃もしくは自動反撃を可能にする強力なユーベルコードだ。

『目標発見』『排除開始』
「うわ、わらわら集まってきちゃった」
 仲間が倒されたのに気付いたのだろう、他の敵が近付いてくれば、スーパー布団子は再び霊光鳩を放って迎撃する。
 ガード前の隙を突ける0秒攻撃の対処は容易ではなく、あらかじめ沢山鳩を召喚しておいたお陰で再収容も容易に行える。だが。
「……うーん、流石にちょっと多すぎるかも」
 本人だけでなく装備まで弱体化を受けている所為か、鳩たちもいつものような威力が出ていない。このままだと物量で押し切られると判断すれば、彼女は仕切り直しとばかりに一旦逃げに転じた。再び鳩に乗って空を飛べば、歩くしか能のない連中はすぐには追いつけない。

「アイテムはしっかりちゃっかりゲットしましょ」
 戦略的撤退の途中、スーパー布団子はダンジョンに配置されていたアイテムを回収していく。剣や盾などの装備品の他にも、変な色をした薬瓶やら、魔法のエフェクトが描かれたカードやら、いかにもロールプレイングゲームに出てきそうな品々だ。
「何に使うんだろこれ。よくわかんないねぇ」
 あんまりテレビゲーム等をしたことないスーパー布団子にはピンとこなかったが、ダンジョン攻略に役立つ専用アイテムということなので、集めておいて損はないだろう。ためしにカードを装備に貼り付けてみると、鳩時計がほんのり光に包まれる――いわゆるバフがかかった状態だろうか。

「これならいけるかな?」
 敵群も十分に引き離したところで、さっきと同様に孤立した敵から1体ずつ攻撃を仕掛けるスーパー布団子。0秒で射出された霊光鳩は、狙われたバグドロイビーコンの首を一撃で切断した。使い方があっているのか分からなかったが、どうやらアイテムの効果は出ているようだ。
「んふふ。やっぱ勝つなら一方的に勝たないとねぇ」
 調子の出てきたスーパー布団子は、時計から鳩を飛ばしては戻し、ダンジョンを飛び回りながら敵を各個撃破する。
 絵面としては地味だが、こちらのレベルも低く一撃死のリスクもあるミスティックダンジョンでは、最適解と言えるだろう。

「派手に勝つ必要はない。ちまちまとでもいいから一方的に狩る。それがボクのやり方さ」
 痛いのヤだもんね、と悪びれなく笑ってマイペースに迷宮攻略を進めるスーパー布団子。彼女を追い詰められる敵はここにはおらず、あちらこちらに散らばるドロイドの残骸が戦果の証だ。たとえレベルが下がっても、見た目が幼女に戻っても、灼滅者として培った経験は失われていないようだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『浮島アスレチックの攻略』

POW   :    勢いで浮島を跳び移っていく。

SPD   :    道具を使って確実に移動する。

WIZ   :    空を飛べる魔法でひとっ飛び!

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 序盤で待ち構えていた『バグドロイビーコン』の襲撃を退け、猟兵たちの探索はミスティックダンジョンの中層へ。
 そこは小さな浮島が無数に連なる構造をした、巨大なアスレチックのようなフィールドになっていた。

 下を覗いても底は見えず、おそらく落下すれば即死だろう。先に進むには浮島から浮島に飛び移っていくしかない。
 そして浮島にはモンスターとの戦闘、トラップ、パズルやミニゲームなど、それぞれ異なるギミックが設定されている。これをクリアすることで次の浮島に行けたり、宝箱をゲットしたりできるようだ。

 猟兵たちは依然としてミスティックダンジョンの仕様により、レベル1に弱体化したまま。
 最深部で待ち構えるバグプロトコルのボスは、序盤のザコよりも遥かに強いだろう。少しでも有利に戦うためには、ここで役立ちそうなアイテムを手に入れておくのも大事だ。

 いよいよ本格的な「迷宮攻略」の様相を呈してきたミスティックダンジョン中盤。
 猟兵たちはここをどのように切り抜けるのだろうか。



 第2章プレイングボーナス――エリア内をくまなく探索する/パズルを解いて隠し宝箱を出す/宝を守る罠を発見し、解除する/アイテムをドロップするモンスターを沢山倒す/自身の戦闘スタイルに合ったアイテムを選ぶ/手に入れたアイテムでダンジョンのギミックをクリアする。
ミノア・ラビリンスドラゴン
ここからが本番ですわ~!
装備の防御力に頼れないなら、ワンミス即死も充分にあり得ましてよ!

バグプロトコルの過去の戦闘データなし……ふ~む、メタは張れないですわね
であれば、こちらの長所を伸ばす方向で構築しますわ!
聖剣士らしくスピード重視で!
そうと決まれば【鍵開け】で宝箱オープン!
重鎧! 却下! 軽量ブーツ! 取得!
モンスターを【アクセルコンボ】でやっつけて双剣系武器ドロップ狙い!
【ジャンプ】して岩陰の隠し宝箱も見逃しませんわ!
これは……石板をスライドさせて絵を完成させるタイプのパズルですわね?
わたくしの【龍の叡智】を以って解き明かしますわ~!!
【ダッシュ】時間を延ばすスタミナポーションをゲット!



「ここからが本番ですわ~!」
 ポップ待ちしていたバグドロイビーコンを退け、浮島エリアまで辿り着いたミノア。彼女の言うように、ここからがミスティックダンジョン本来の難所となる。浮島ごとに用意されたギミックをクリアしてボスのいる最深部を目指す、アトラクション的なフロアだ。
「装備の防御力に頼れないなら、ワンミス即死も充分にあり得ましてよ!」
 彼女のジョブ「聖剣士」は元々高機動・高威力・紙装甲を持ち味にした戦闘職だ。強力なアイテムやレベルを失った今、弱点である防御力の低さが浮き彫りになる。油断しないように気を引き締め直してから、いざ浮島エリアの攻略を開始する。

「バグプロトコルの過去の戦闘データなし……ふ~む、メタは張れないですわね。であれば、こちらの長所を伸ばす方向で構築しますわ! 聖剣士らしくスピード重視で!」
 今回のボスとなる『白聖女』は、管理者AIであるミノアにも未知のバグプロトコルだった。予習と対策で完封するのが望めなければ、弱点である防御力を少しでも補う方針もあっただろうが、彼女はそれよりも自身の武器をギリギリまで磨き上げることにした。
「そうと決まれば宝箱オープン!」
 最初に飛び移った浮島に置いてあったのは宝箱。固そうな錠前がかかっているが、鍵開けスキルくらい心得ている。
 速やかに解錠して中身を確認し、必要そうなものであれば回収、そうでなければ放置。残していけば他の攻略者たちの役に立つこともあるかもしれない。

「重鎧! 却下! 軽量ブーツ! 取得!」
 敏捷性の下がらない軽装備のみで防具を整えていき、浮島を守るモンスターとの戦闘へ。先手必勝のアクセルコンボを食らわせれば、低レベルでも聖剣士のダメージ生産力は群を抜いている。お目当ては双剣系武器のドロップ狙いだ。
「序盤に見つけた武器ではそろそろキツくなってきましたわ~!」
 貧弱な武器ではジョブの攻撃性能も活かせないため、武器の更新は最優先事項だ。スピードで敵を翻弄しつつ、押し切れるだけの火力をキープ。ダンジョンの奥に進むほどモンスターも強くなっていくので、気の抜けない攻略が続く。

「隠し宝箱も見逃しませんわ!」
 岩陰に隠された宝箱を見つけたミノアは、ひょいっとジャンプしてそちらに飛び移る。迷宮開発者の知見で言うと、こんな風に見つけづらい宝箱にはレアなアイテムが入っているのが定石だ。勿論、簡単にはゲットできないよう二重三重の仕掛けを施す開発者もいる。
「これは……石板をスライドさせて絵を完成させるタイプのパズルですわね?」
 突然頭を使うギミックが出てきても問題なく、ミノアは【龍の叡智】を以ってパズルを解き明かす。膨大なリソースを割いた戦闘演算を応用すれば、この程度はちょちょいのちょいだ。石版の絵柄が完成すると同時に、ガチャリと音を立てて宝箱の蓋が開く。

「ダッシュ時間を延ばすスタミナポーションをゲット! 助かりますわ~!」
 機動力が生命線の聖剣士にとって、持久力向上がどれほど有り難いか。これはボス戦まで取っておこうと、ミノアはポーションの瓶をアイテムボックスにしまって走りだす。浮島エリアはまだまだ続くが、すでに彼女の装備は充実してきていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・フォーサイス
パズルやミニゲームまであるんだね。ますます楽しそう。
まずは探索からか。あたりをくまなく情報収集しながら、罠をユーベルコードで無効化しながら宝箱を探すよ。

パズルやギミックはユーベルコードなしで挑戦するよ。
そうか、ここはこうやって、こうすれば。で、こうなるから、こう!
このでてきたアイテムはこっちにはめるのかな。
ここに書かれた文字をヒントにはめてく感じか。
よし、じゃあ、別のピースを探すぞ。

ここで、こう。やった、ダンジョン専用アイテムゲット。この調子でいくよ。



「パズルやミニゲームまであるんだね。ますます楽しそう」
 だんだん「ゲーム」らしくなってきたダンジョン攻略にワクワクしながら、浮島エリアまでやって来たアリス。ここからは行く手を阻むギミックの数も、配置された宝箱の数も増えてくる。島ごとに様々な関門をクリアして、攻略用の装備を整えるのだ。
「まずは探索からか」
 最初の浮島に飛び移ると、アリスは辺りをくまなく情報収集しながら宝箱を探す。見つかったのがトラップであれば【類推的手法による物質変換】で情報を分解・再構成して無効化する。レベルを下げられてしまっていても、データに直接干渉できる彼女のユーベルコードは、相変わらずオンラインゲームの世界では相性抜群だ。

「次はなんだろう。パズルかな?」
 宝箱を回収して次の浮島に渡ると、今度は島の中央に大きな石版が立っている。板の表面にはバラバラになった絵柄が表示されているほか、周辺にも気になるオブジェクトが幾つか。ユーベルコードを使えば強引に解除することもできなくは無さそうだが――それでは面白くないので、アリスは自分の頭で挑戦する。
「そうか、ここはこうやって、こうすれば。で、こうなるから、こう!」
 石版をタップするたびに変化する絵柄を、法則性を見抜いて一枚絵にする。この手のパズルは苦手ではないようで、すいすいと解き明かせば軽快な電子音が鳴り響く。同時に石版の絵は文章に変化し、足元にアイテムが出現する。手のひらにおさまるくらいのサイズの、炎のように赤い宝石だ。

「このでてきたアイテムはこっちにはめるのかな」
 浮島を探索してみると、ゲットした宝石を丁度はめ込めそうな台座が見つかった。ただし、ひとつではなく4つも。
 試しに適当な台座に宝石をはめてみても何も起こらない。石版に浮かび上がった文章と、残りの台座がカギになっていそうだ。
「ここに書かれた文字をヒントにはめてく感じか。よし、じゃあ、別のピースを探すぞ」
 探索範囲を周辺の浮島まで広げてみると、そこにも違うパズルのギミックがあった。それぞれを解いて宝石のピースをゲットしたら、元の浮島に戻って台座にはめ込む。どの宝石がどの台座に対応しているのかは、詩のように謎めいた石版の文章から読み解かなければならない。

「ここで、こう」
 かなり大掛かりなギミックゆえ苦労もしたが、アリスは見事に全ての謎を解き明かし、最後の宝石を台座にはめた。
 四つの宝石から放たれた光が、中央にある石版に集まっていき――ゴゴゴゴと音を立てて石版が地面に沈み込むと、かわりに宝箱が出てきた。
「やった、ダンジョン専用アイテムゲット。この調子でいくよ」
 手に入れたアイテムの名称は「黒教の聖玉」。黒教と敵対するエネミーを一時的に超弱体化させるレアアイテムだ。
 このダンジョンのボスが白教の聖女なら、これはまさに攻略用に隠された専用アイテムだ。苦労に見合うぶんの報酬を得たアリスは、意気揚々と次の浮島に飛び移るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

所城・スーパー布団子
「ふーん、やっぱアイテムって大切なんだねぇ」
さっきのカードでちょっと強くなった鳩時計をしげしげ眺め
それじゃ、いけそうな浮島をちょいちょい探ってみようかな

引き続き召喚した霊光鳩に乗って〈空中機動〉
これなら好きな島を選んで行けるしね

「おいで、おいで――エンブリオリブオンオブリジェ」

更にUCで召喚した特別な鳩たちを〈偵察〉に行かせくまなく探索
まずはパズルとかミニゲームみたいな危険の少ない島を探して挑んでみる
パズルは元々結構好きだし、迷路とかは鳩たちの視界で上から道を見れるし。他にも手数があれば有利なミニゲームはどんどんこなしちゃおう
逆にトラップ系は解除技能とか無いからできるだけ避けとこ

鳩での攻撃は素早さと操作性は十分だから……あとはシンプルに攻撃力を上げたいなぁ
そうしてアイテムを選別しながらある程度集めたら、力試しを兼ねてモンスター達も狩ってみる
このUCは攻撃もできるからね

「よーし、行ってこーい」

そんな感じで出来る限りばんばんアイテムを稼いでいっちゃお
どうせならボスもボッコボコに倒したいからね



「ふーん、やっぱアイテムって大切なんだねぇ」
 さっきのカードでちょっと強くなった鳩時計をしげしげと眺め、そう呟くのはスーパー布団子。MMORPGの定石には疎い彼女も、そろそろココの攻略法が分かってきたようだ。ミスティックダンジョンの探索もここからが本番である。
「それじゃ、いけそうな浮島をちょいちょい探ってみようかな」
 彼女は引き続き「フューチャーピジョン」から召喚した霊光鳩に乗って飛行する。これなら好きな島を選んで行けるし、落下の心配もない。モンスターに攻撃された場合はその限りではないが、そういうリスキーな島を避けられるのが強みだ。

「おいで、おいで――エンブリオリブオンオブリジェ」
 更にスーパー布団子はユーベルコードで召喚した特別な鳩たちを偵察に行かせ、周辺をくまなく探索する。これらは召喚者との感覚共有が可能で、遠隔地の情報をリアルタイムで入手できる。これで、まずはパズルやミニゲームのような危険の少ない島を探して挑んでみよう。
「パズルは元々結構好きだし、迷路とかは鳩たちの視界で上から道を見れるしねぇ」
 他にも手数があれば有利なミニゲームを見つければ、どんどんこなして進んでいく。ギミックを攻略できれば報酬に宝箱がゲットできることもあるし、クリア数を稼いでおいて損はない。逆にトラップ系は解除技能の心得が無いので、できるだけ避けて通ることにする。

「鳩での攻撃は素早さと操作性は十分だから……あとはシンプルに攻撃力を上げたいなぁ」
 パズルを解いて、ミニゲームをクリアして、そうして手に入れたアイテムを選別して。自分のスタイルに合うものをある程度集めたら、力試しを兼ねてモンスターも狩ってみる。ぶっつけ本番でボス戦に挑むのも怖いし、使用感を確かめておかないとだ。
「このユーベルコードは攻撃もできるからね」
 これまで避けてきたモンスターのいる島に接近し、空中から目標を捕捉。偵察に散らしていた鳩たちも呼び戻して、攻撃準備は万全だ。向こうもこちらに気付いたようだが、よほど攻撃のリーチが長くなければ、こちらが仕掛ける方が速い。

「よーし、行ってこーい」
 ぼやっとした号令に応じて飛んでいった鳩たちは、浄化の力を持った体当たりで敵を攻撃する。ここまで手に入れた強化アイテムの効果で、バグドロイビーコンと戦った時よりもスーパー布団子の攻撃力は上がっており、それはユーベルコードにも反映される。
「ばいばーい」
「「ギャーーッ!!?」」
 レベルが低いせいで霊光鳩の召喚数はいつもより少ないが、それでも十分なダメージだ。浄化されたモンスターたちはデータの塵となり、死体ではなくドロップアイテムが残される。この光景もまたオンラインゲームならではである。

「このへんのモンスター相手なら、ほぼ一撃で倒せるっぽいねぇ。じゃあばんばんアイテムを稼いでいっちゃお」
 探索の成果を感じられて、スーパー布団子の口元には笑みが浮かぶ。一歩ずつでも「成長の実感」が味わえるのは、RPGの醍醐味のひとつと言えるだろう。そんな感じで彼女は出来る限り多くの浮島を巡って、モンスターや宝箱からなるべく多くのアイテムを回収していく。
「どうせならボスもボッコボコに倒したいからね」
 これだけ道中で苦労させられたのだから、クライマックスでは最高のカタルシスを。お高くとまったバグプロトコルのボスを完膚なきまでに叩きのめすのは痛快かもねぇ、と考えながら鳩に乗ってダンジョンを翔けるうち、少女はいよいよ最深部に辿り着こうとしていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『白教の聖女』

POW   :    ホワイト・メイス
【白き光を纏ったメイス】が命中した敵の【我欲と頭蓋骨】を叩き割る。高所から攻撃する程命中率上昇。
SPD   :    ホワイト・コール
【節制の光を宿し「我欲を捨てよ」の呼び掛け】から高威力の【聴いた者の精神を崩壊させる音波】を放ち、レベルm半径内の【我欲】ある者全員にダメージを与える。
WIZ   :    ホワイト・ソング
【聖歌】を披露した指定の全対象に【管理されたい】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

 浮島エリアのギミックを攻略し、いよいよミスティックダンジョンの最終フロアに到達した猟兵たち。
 これまでと打って変わって神聖な雰囲気に包まれたその部屋では、一体の人型NPCが待っていた。

「我欲に満ちた愚か者たちよ……悔い改めなさい」

 身に纏うは純白の聖衣、携えるは悪を打ち据えるメイス。
 彼女がこのダンジョンボスの座を奪ったバグプロトコル『白教の聖女』で相違あるまい。

 管理と節制を教義とする『白教』の白聖者ライトメサイアである彼女は、我欲と自由を「悪」とする。
 ゲームプレイヤーを含めた冒険者はその最たるものであり、悔い改めるか、さもなくば死の断罪あるのみである。

 その思想はゴッドゲームオンラインと対立する統制機構コントロールに似ているが、関連性は定かではない。
 確かなことはひとつ。このバグプロトコルがミスティックダンジョンを制圧し、ゲームプレイヤーを抹殺する狩り場に作り変えた張本人だということだ。

「この迷宮で、あなたたちが私に勝てる道理はありません。諦めなさい」

 猟兵たちのレベルは1のまま。装備の弱体化も解けていない。
 対して白教の聖女はなんの制約も受けることなくフルパワーを発揮できる。あまりにも格差のある戦闘だ。

 だが猟兵もそれは承知の上で、ボスに勝つための準備や作戦を整えてきたはずだ。
 ゲームの仕様を悪用し、プレイヤーを殺戮するバグプロトコルに鉄槌を。
 猟兵たちのミスティックダンジョン攻略は、いよいよクライマックスを迎える――。



 第3章プレイングボーナス――前章で手に入れたアイテムを利用して戦う/他の猟兵と役割分担して戦う/敵の動きの隙を突く/地形を利用して立ち回る/強力な攻撃の予兆を見切る/ボスエリアのギミックに対処する/ボスの弱点を推測して突く/軽快なアクションでボスを翻弄する/敵の攻撃範囲の外から攻撃する/ヒット&アウェイでダメージを稼ぐ。
アリス・フォーサイス
ついにラスボスだね。がんばるよー。

黒教の聖玉!
これで弱体化だ。

ヴァルキリーモード!
音波攻撃はさすがに避けられない。
なら、さっきのダンジョンで拾った剣で近接攻撃を連続でしかけて、ひるませるだけだよ。
我欲を捨てるなんて、ぼくの存在が消えるようなものだから、絶対にできないもんね。

単調にならないように、多彩な剣筋で絶えることなく、剣をたたきこめ続けるよ。



「ついにラスボスだね。がんばるよー」
 楽しかったミスティックダンジョン攻略もいよいよ大詰め。立ちはだかるボスがどんな強敵でも、アリスの意気込みは変わらない。食欲と好奇心のままに自由気ままに行動する彼女は、『白教の聖女』が一番嫌うタイプの一人だろう。
「子供だからと容赦はしません。悔い改めないのであれば……」
 聖職者の見た目に似合わない物騒なメイスを手に、居丈高な態度で迫ってくる白教の聖女。もともと強力なエネミーとして設定されているうえ、このダンジョンではプレイヤーとのレベル差は歴然だ。まともに戦えば負けるはずがないと思っているだろう。

「黒教の聖玉!」
「なッ……それは?!」
 だが、ここでアリスが使ったのはダンジョン攻略で手に入れたレアアイテム。白教とは相反する黒教の教義に基き、敵を一時的に超弱体化させる切り札だ。宝玉より放たれる黒い光を浴びると、白教の聖女は驚愕の表情でたじろいだ。
「これで弱体化だ。ヴァルキリーモード!」
 得意げに笑いながらアリスは【性質変化】で戦闘力を強化。白い翼に剣を装備した戦乙女の姿になって、白教の聖女に戦いを挑む。まだレベルの差はあるものの、さっきまでと比べればその差も大きく縮まった。今ならこちらの攻撃も通用する。

「欲望を具現化したような邪悪な光……よくも、こんな穢らわしいものを……!」
 忌むべき黒教の宝により力を封じられた白教の聖女は、憤怒の形相で【ホワイト・コール】を発動。節制の光を宿した彼女の呼びかけは、我欲ある者全てに甚大なダメージを与える。アリスのヴァルキリーモードでも、音波攻撃は流石に避けられないだろう。
「なら、さっきのダンジョンで拾った剣を使わせてもらうよ」
 先手必勝。白教の聖女が「我欲を……ッ?!」と命令を発する前に、アリスは近接攻撃を連続でしかけ、怯ませる。
 じっくりダンジョンを探索してきた甲斐あって、彼女の装備品は充実。その中には聖玉同様、白教に効果のありそうな武器も含まれていた。

「我欲を捨てるなんて、ぼくの存在が消えるようなものだから、絶対にできないもんね」
 真っ黒な刀身の剣を握って、舞うように斬撃を繰り出すアリス。パターンが単調にならないように、多彩な剣筋で絶えることなく、刃を叩き込み続ける。ただのダンジョンボスというだけではなく、根本的に相反する思想の持ち主だからこそ、全力をもって倒しに行く。
「バカな……私が押されている……?!」
 様々な物語に立ち会って英雄たちの戦技を学んできた彼女の技は、そこらのバグプロトコルに「管理」しきれるものではない。レベルの差を覆すプレイヤースキルと攻略アイテムを前にして、必勝を確信していた白教の聖女は予想外の窮地に立たされるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

八代・尊(サポート)
 儚い雰囲気を持つ蛇神の男性です。過去の記憶が曖昧であり自己が確立しておらず、唯一の確かなアイデンティティとして猟兵活動を行います。
 普段の口調は「私、~様、ございます、ございましょう、ございますか?」です。
 戦闘時は水を操って攻撃、半身たる蛇を大蛇に変えて相手を襲う、またお札や刀などもたまに使います。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


アルシェ・アステル
星々の運行を司る女神です

普段の口調は「無口(わたし、あなた、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ぼんやり無口な感じです

星煌の宝珠を用いて自身の神力を高め、力を使います

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「私の欲望……自分でもよく分かりませんね」
 我欲を捨てよと呼びかける『白教の聖女』に、困ったように首を傾げるのは八代・尊(泡沫なる蛇神・f44431)。過去の記憶が曖昧で、自分が何者かもよく分からない彼には、強欲を抱くほどの自己が確立されていない。唯一の確かなアイデンティティは猟兵であること――オブリビオンを討つ力があることだ。
「これが猟兵の役目でございますれば」
 瞳を閉じて祝詞を唱えれば、その身は白き蛇神へと変じ。雨雲と雷を呼び起こしながら、戦場を【竜神飛翔】する。
 気がつけばそのようにあり、何百年もただ在り続けてきた。この記憶さえ確かなものではないが、その権能は紛れもなく本物だ。

「……私も力を貸すわ」
 蛇神が雨を呼ぶダンジョンに、ふらりと姿を現したのはもう一柱の神。アルシェ・アステル(星天の・f32239)はぼんやりとした様子でそう呟くと、星座盤と「星煌の宝珠」をその手に掲げる。いささか覇気に欠けるたたずまいだが、尊にも負けぬ強大な神気を感じる。
「異教の神など不要です。世界は白教の法によって管理されるべきなのです」
 たとえ我欲に満ちた存在でなくとも、白教の聖女が白教以外の神を認めることなどあるまい。白き光を纏った【ホワイト・メイス】を振りかぶり【ホワイト・ソング】を歌う、その姿は些細な汚れも赦さない潔癖と傲慢の象徴だった。

「今、あれで殴られては、ひとたまりもないでございましょうな」
 ミスティックダンジョンの中では神であれレベル1に弱体化する。ここで接近戦を挑むリスクの高さを感じた尊は、高度を上げて雷を落とす。あのメイスは高所から振り下ろす際にもっとも命中率が上昇するようだ――ならば制空権を譲らす、常に相手の頭上を取る。
「我が名は、星天のアルシェ。応えよ、我が身の内の力。貫け、スター・レイ」
 一方のアルシェもユーベルコードを発動。宝珠より放たれた星光の光線が、メイスの攻撃範囲外から敵に飛来する。
 だが本来なら100本近く同時に発射できる【スター・レイ】も、ここでは1本放つのが限界。神力が相当に制限されているのを、アルシェ自身も自覚していた。

「こんなもの……なッ?!」
 まっすぐに迫る光線を余裕の表情で避けようとした白教の聖女。だが、その寸前で星光は弧を描いて軌道を変えた。
 パワー不足は技術で補う。絶妙なタイミングと精密なコントロールによって、アルシェの一撃は敵の死角を捉えた。
「そこよ」
「きゃぁっ!!!」
「お見事でございます」
 いかにレベル差があっても完全に不意を突かれれば――クリティカルヒットのダメージは無視できるものではない。
 悲鳴を上げてよろめいた聖女に、空から豪雨と落雷が追い討ちをかける。こちらも一撃あたりのダメージは弱いが、尊が天にいる限り終わりがない。

「おのれ、おのれ……ッ!」
 二柱の神による連携攻撃によって、じりじりとヒットポイントを削られていく白教の聖女。ミスティックダンジョンの仕様が生んだ絶対的な優位に傲っていた彼女には、この窮地を想定することができなかった。教義に逆らう者達への怒りと焦りばかりがつのり、それは敗北の一本道へと彼女をいざなっていく――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ミノア・ラビリンスドラゴン
ほほほほ、傲慢と強欲の権化たるドラゴンに悔い改めよとは!
ちゃんちゃらおかしくてわたくし呵呵大笑!!
道理を捻じ曲げて勝利を掴む! それが英雄ジークフリート!!!
道理に従っているだけではドラゴンわたくしに勝てないと教えてさしあげますわ~!!

【軽量化】ブーツとスタミナポーションで【ダッシュ】を強化! 吶喊!
拾った双剣でズバっと斬り込みましてよ!(双剣使い)
メイス攻撃は叩き割り――その軌道を割り出すのは簡単簡単!(戦闘演算)
左手の剣で受け止め、右手の剣で反撃! 攻防一体の【二天双龍斬】!
そして聖剣士グラファイトフェンサーの真骨頂! 軽快な【アクセルコンボ】で攻めまくりですわ~!



「ほほほほ、傲慢と強欲の権化たるドラゴンに悔い改めよとは! ちゃんちゃらおかしくてわたくし呵呵大笑!!」
 管理だの節制だのとやかましい『白教の聖女』の発言を、一笑に付すのはミノア。彼女も一応この世界を管理するAIではあるが、そのスタンスが白教と相容れないのはこれまでの言動からも明らかだ。規則で縛られた予定調和の冒険のなにが面白いのか。
「道理を捻じ曲げて勝利を掴む! それが英雄ジークフリート!!! 道理に従っているだけではドラゴンわたくしに勝てないと教えてさしあげますわ~!!」
「なんと悍ましい……! 言葉で理解できないのなら、脳天に直接叩き込むしかないようですね」
 矜持をもって勇ましく立つドラゴン令嬢を、まるで汚らわしい物を見るような目で、白教の聖女はメイスを構える。
 聖なる加護で悪しき者の我欲と頭蓋骨を叩き割る【ホワイト・メイス】。現状のレベル差を鑑みれば、ワンヒットで即死もあり得る威力だ。

「吶喊!」
 が、あんな啖呵を切っておいてまさかミノアがビビるはずがない。ダンジョン探索でゲットしたスタミナポーションを飲んで、軽量化ブーツを装備してダッシュ力を強化。拾った双剣を構えて、聖剣士らしくズバッと斬り込んでいく。
「メイス攻撃は叩き割り――その軌道を割り出すのは簡単簡単!」
「くっ! 舐めないでくださいっ!」
 白教の聖女が繰り出す上段からの振り下ろしは、吸い込まれるような正確さで脳天を狙っており、だからこそ予想が容易い。戦闘演算でタイミングを見切ったミノアは、左手の剣でメイスを受け止めると、右手の剣で反撃を仕掛ける。

「わたくしの構えに隙はなし! 攻防一体の【二天双龍斬】!」
 左右の剣を攻撃と防御に使い分け、ガード・カウンター・追撃を巧みに行うミノアの剣技は、本人のハイスペックと豊富な経験値を窺わせる。即死の一打を捌いて反撃がヒットすれば「なッ?!」と敵が驚いている間にターン交代だ。
「そして聖剣士グラファイトフェンサーの真骨頂! 軽快な【アクセルコンボ】で攻めまくりですわ~!」
 まるでデモプレイの動画を視ているような爽快アクションで、次々に攻撃がヒットしていく。レベル1でも軽量化と敏捷性に特化すれば、これほどのスピードを発揮できるのだ。もちろんワンミス即死のリスクを背負っての事なので、相当の自信と胆力がなければやろうとは思うまい。

「こ、こんなバカなことが……なぜ私が追い込まれて……このッ!」
 いくらダンジョンで専用装備を集めても、それでも埋まらない力の差があったはずなのだ。だが現実として劣勢なのは自分で、優勢なのはこのドラゴン。白教徒としては認めがたいイレギュラーな事態に、聖女は憤懣をぶつけるようにメイスを振るうが――。
「無駄なあがきを! ズタズタにしてさしあげますわー!!」
「っ、きゃあぁぁぁっ!!?!」
 必殺の【ホワイト・メイス】は一度もヒットせず、ミノアのコンボダメージだけが蓄積していく。スピード極振りで一撃は軽いとは言え、叩き出すDPSは尋常ではない。ドラゴンのドラゴンたる所以を見せつけられ、聖女のヒットポイントはレッドゾーンに突入していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

所城・スーパー布団子
「お?聖女って言うからどんなんかと思ったけど、カワイイじゃん」
ボクはいわゆる男より女の方が好きな方なので可愛い子は好き
ま、別に関係無く倒すけど……

ゆったりと、しかし初めて前傾姿勢に構え
エアシューズで敵の周辺をぐるぐる回るように様子見の疾走
敵の攻撃の予兆、光と呼び声を確認したらローラーダッシュで下がって敵UCの効果範囲を見極め

「――ジェーンドゥドッジィズジエンド」

少しだけ笑みを深めてUC発動
さっきの探索中、何も考えずに攻撃力アップアイテムばっか集めてたわけじゃないんだよね

「んふふ。ボクはねぇ、一方的がいいんだよ」

UCの能力で敵の攻撃の範囲外から付かず離れず。執拗に攻撃力だけを上げた100羽の霊鳩を高速で叩きつけ続ける
追ってくれば逃げ、逃げられれば追い
『コイツをボコボコにしたい』という我欲のままに羽ばたいて勝つ

「あーあ、逃げる自由が無いなんてホント可哀想」

さーて最後の一撃は
……ローラーダッシュで一気に接近し、振りかぶった鳩時計を顔面へ思い切り叩きつける!

「んふ。ごめんね、可愛かったからつい」



「お? 聖女って言うからどんなんかと思ったけど、カワイイじゃん」
 いわゆる男より女の方が好きなタイプのスーパー布団子から見ても、『白教の聖女は』思ったより可愛いビジュアルをしていたようだ。倒すべきエネミーとはいえ、その可憐な純白の美貌は、もし現実で会ったら声をかけていたかもしれない――性格は合わなそうだが。
「ま、別に関係無く倒すけど……」
 ゆったりと、しかし初めて前傾姿勢に構え、エアシューズのローラーで地を駆ける。道中の移動は鳩に任せきりだった彼女が、ここに来てようやく自分の足で戦う気だ。好みの子が敵でもそれはそれとしてブレないのは、流石に歴戦の灼滅者であるところを感じさせる。

「この私が邪悪に敗れるなど、あってはならないことです……!」
 様子見するように周辺をぐるぐると回るスーパー布団子を、白教の聖女は怒りのまなざしで睨みつける。管理に逆らい、欲望のままに行動する者は白教において「悪」であり、悪を管理――裁きを与えられぬのは白聖者ライトメサイアとして許されぬこと。
「我欲を捨てよ!」
「やだよぉ、つまんないし」
 発声と共に宿る節制の光はユーベルコード発動の予兆。それを確認したスーパー布団子はすかさずローラーダッシュで後ろに下がる。彼女もただ無闇に走り回っていたわけではなく、敵ユーベルコードの効果範囲を見極めていたのだ。

「――ジェーンドゥドッジィズジエンド」
 灼滅者時代から愛用してきた「リベロ・ネル・チェーロ」の疾走力で【ホワイト・コール】のギリギリ範囲外に出ると、スーパー布団子は少しだけ笑みを深めてユーベルコードを発動。ぽーんと鳩時計の音が鳴り、100羽の霊鳩が一斉に飛び出す。
「さっきの探索中、何も考えずに攻撃力アップアイテムばっか集めてたわけじゃないんだよね」
「ッ!? や、やめなさい!!」
 執拗に攻撃力だけを上げた霊鳩が、白教の聖女に高速で叩きつけられる。これでもレベル低下により召喚数は最低値なのだが、それでもシャレにならないダメージだ。焦った聖女は攻撃を止めさせるために距離を詰めようとするが、彼女が近付いた分だけスーパー布団子は遠ざかる。

「んふふ。ボクはねぇ、一方的がいいんだよ」
 指定した対象との距離を一定に保つように疾走しつつ、鳩時計による遠距離攻撃を行う【ジェーンドゥドッジィズジエンド】は、まさにスーパー布団子の理想を体現したユーベルコードだった。追ってくれば逃げ、逃げられれば追い、敵の攻撃範囲外から付かず離れず一方的に攻撃を続ける。
「待ちなさい! 待てと言って……きゃぁっ?!」
「んふふっ。そうだねぇ、追いつけないねぇ」
 霊鳩にたかられた聖女のかわいらしい悲鳴を聞いて、ますます楽しげに目を細めるスーパー布団子。普通に勝つだけではなく『コイツをボコボコにしたい』という我欲のままに羽ばたいて勝つ。向こうにとっては一番屈辱的な、完膚なきまでの完封を決める気だ。

「あーあ、逃げる自由が無いなんてホント可哀想」
「ちょ、調子に乗って……いやぁっ!?」
 スーパー布団子に追いつくのはもちろん、鳩の猛攻から逃げることも許されない。ここまで完璧に距離感を調整されては、もはやレベルの差がどうこうで解決できる話ではない。徹底的に「管理」される不自由の苦しみを、味わう側になった白教の聖女の気分はいかほどか。
「さーて最後の一撃は……」
「――……ッ?!」
 敵のヒットポイントも残り少なくなったところで、スーパー布団子はローラーダッシュで一気に接近。振りかぶった鳩時計を白教の聖女に思いきり叩きつける。ただ鳩を飛ばすだけではない頑丈さに、スピードと遠心力が乗っかれば、立派な凶器が成立する。

「んふ。ごめんね、可愛かったからつい」
「あぐぅッ!!?!」
 これもキュートアグレッションというやつだろうか。一切手加減のない殴打を顔面にぶちかまされた白教の聖女は、無様な悲鳴を上げてもんどり打ってふっ飛ばされる。これがトドメになったのだろう――倒れ込んだ彼女の身体は光の粒子になって崩壊していく。
「なぜ……わたしが、最弱になったあなたたちに、負けるはずが、な……」
 最期まで己の敗因を理解できぬまま、バグプロトコル『白教の聖女』は消滅する。同時に一同の頭上から鳴り響くのは、クリアを告げるファンファーレ。厳しい縛りと数々の試練にも負けず、猟兵たちは見事ミスティックダンジョンを完全攻略したのだ。



 ――かくして、弱体化したプレイヤーをバグプロトコルが虐殺する最悪の惨事は、猟兵の活躍で未然に防がれた。
 増え続けるバグの脅威に悩まされながらも、ゴッドゲームオンラインは今日も絶賛運営継続中である。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年09月10日


タグの編集

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 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#ゴッドゲームオンライン
🔒
#ミスティックダンジョン


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はミケーレ・アンジェリコです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト