|ギガンティック・ギア・アウトサイダー《GGO》
●[GOD.GAME//ONLINE]
『ミスティックダンジョン』――それは忽然と……いや、当初から存在を予見されていたのだ。
『学園』と呼ばれる拠点。
その地下。
嘗て『バグシティ』であったが、猟兵たちによって復興され、巨大な倉庫を思わせるような体育館や謎の地下施設、充実しすぎたアイテム合成施設を備えた一大拠点として、今まさにゴッドゲームオンライン上にて話題にあがるプレイヤー拠点である。
そんな『学園』を拠点とするクラン『憂国学徒兵』は、ノンプレイヤーキャラクターである亜麻色の髪の少女『エイル』から、謎の地下施設に踏み入ることを固く止められていた。
「なんでだよ。地下にあるのは『ミスティックダンジョン』だろ?」
『アイン』と呼ばれたゲームプレイヤーの言葉に『エイル』はしどろもどろといった様子で、あれやこれやと彼女たちを止めようとしていた。
「そうですけど、今はそうじゃないと言いますか」
「何故そんなにはっきりしない物言いなのです。難易度のことならば承知しておりますよ。『ミスティックダンジョン』は現在のステータスによらないレベル1からの攻略スタート。通常の装備品や回復アイテムも超弱体化する高難易度ダンジョンである、と」
『ツヴァイ』と呼ばれたゲームプレイヤーの言葉に他の二人……『ドライ』、『フィーア』も頷く。
「難しいからこそ踏破したときの喜びは大きい! ゲームプレイヤーとはいつだって高難易度クエストを求めているからな!」
「全員がそうだとは言わなけれど、やっぱり高難易度と言われたら胸が踊るわよね」
彼らの言葉を聞いて『エイル』は頭を振る。
違う、そうじゃないのだと。
「いえ、本当にこれはそういうんじゃないんです! 本当に! って、あーっ!!」
『エイル』の制止も聞かずに『アイン』と呼ばれたゲームプレイヤーは謎の地下施設へのロックを解除し、踏み出す。
重たい音を立てて隔壁が開かれていく。
まばゆい光が隔壁の向こう側からこぼれだし、ゲームプレイヤーたちをまるで迎えるように降り注ぐのだ。
その先にあったのは……。
「なんだこれ!? 地下なのに空……!?」
「島が浮いている……雲海に?」
「あのエネミーモンスターはドラゴンか!? いや、翼竜……となると、ここは古代エリアなのか!」
「『学園』の地下に浮遊大陸が浮かぶ大空の世界があるなんて……なんていうか、やりたい放題ね」
ゲームプレイヤーたちの言葉に『エイル』は天を仰ぐ。
別に彼女は『学園』と呼ばれる拠点の地下にこうしたそぐわぬダンジョンがあることを隠したかったわけではない。
そう、彼女がゲームプレイヤーを止めたのには訳がある。
『ミスティックダンジョン』――レベル1から強制攻略開始の上、装備品と回復アイテムの超弱体化というデバフが常時掛かるダンジョン。
だが、問題はそこではない。
『エイル』がゲームプレイヤーを止めたかったのは、そのダンジョンにバグプロトコルが存在し、あまつさえ『ミスティックダンジョン』を掌握しているからだ。
そう、即ち、このダンジョンは一度踏み込めば挑戦中止ができない極悪ダンジョン。
そしてバグプロトコルは超弱体化されたゲームプレイヤーたちの|遺伝子番号《ジーンアカウント》を焼却しようとしているのだ。
「……遅かった……」
だが、彼女はもう一つの意味でも『憂国学徒兵』たちの『ミスティックダンジョン』への参加を止められなかったことを悔いていた――。
●ゴッドゲームオンライン
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。皆さんはゴッドゲームオンラインにおける『ミスティックダンジョン』というものをご存知でしょうか?」
ナイアルテの言葉に首を傾げる猟兵もいれば、知っているという猟兵もいた。
そう、『ミスティックダンジョン』とは挑戦者のステータスがレベル1に強制的に低下させられ、通常の装備品、回復アイテムが超弱体化した状態で開始されるクエストである。
そうした説明を既知の猟兵たちは言葉にする。
「はい、ありがとうございます。となると、聡明な皆さんであればどういう事件かご理解頂けたかと思います」
猟兵たちは頷く。
心得たりと言った具合であろう。
そう、バグプロトコルが、この『ミスティックダンジョン』を掌握してしまったのだ。
当然狙うのはゲームプレイヤーたちの『遺伝子番号』の焼却である。
「この『ミスティックダンジョン』のルールは、猟兵である皆さんにも適応されます。つまり……どれだけ技量が高くとも、このクエストに参加すれば能力は10分の1にまで落ち込むということ。装備品も同様です」
だが、ゲームプレイヤーたちを救うため、バグプロトコルを打倒するためには、敢えてこの不利な儒教に飛び込むしかないのだ。
とは言え、あまりにも猟兵たちに取って不利すぎる。
「ですが、このダンジョン専用アイテムだけは弱体化を免れています」
それがあるなら早く言ってほしいという猟兵たちの視線にナイアルテはたじろぐ。
「わ、わかっております。このダンジョン専用アイテムは宝箱からドロップする『ジャイアント・ギア』……『セラフィム』です」
所謂、体高5mの人型ロボットである。
キャバリアと同様の操作感で動かすことのできるアイテムだ。
これ以外にも『ジャイアント・ギア』専用の武装などがダンジョンに宝箱として散らばっている。
こうしたアイテムを駆使してダンジョンを踏破し、バグプロトコルを打倒しなければならないのだ。
「今回の事件は、皆さんに圧倒的な不利を強いるものです。ですが、バグプロトコルが掌握したダンジョンを放置することなどできません。このまま放置し続ければ取り返しのつかない攻略不可能なダンジョンが生み出されてしまうでしょう。ゲームプレイヤーの皆さんの『遺伝子番号』を護るためにも、どうかお力をお貸しください」
そう告げて、ナイアルテは極悪なる『ミスティックダンジョン』へと挑戦する猟兵たちを送り出すのだった――。
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
今回はゴッドゲームオンラインにおいて『ミスティックダンジョン』と呼ばれる制限クエストを掌握したバグプロトコルによる事件を解決するシナリオになります。
『学園』と呼ばれる拠点の謎の地下施設が『ミスティックダンジョン』の入口となっています。
地下ですが、『ミスティックダンジョン』に踏み込むと、目の前に広がるのは雲海広がり、浮島浮かぶ大空の世界とも言うべきダンジョンです。
このダンジョンはオープニングにある通り、強制的にレベル、能力、アイテム効果が超弱体化しています。
猟兵のみなさんも例外ではありません。
●第一章
集団戦です。
ダンジョンの入り口付近には既に多数のバグプロトコルが徘徊しており、クエスト開始時のゲームプレイヤーたちを狙っています。
まずはこのバグプロトコルを叩きましょう。
断章で説明されるプレイングボーナスを駆使することでなんとか戦うことができます。
●第二章
冒険です。
ダンジョンである大空の世界、浮島には危険がたくさんです。
ですが、浮島を探索すれば、多くのダンジョン専用アイテムが宝箱として設置されています。
危険な雲海に浮かぶ浮島ダンジョンですが、この専用アイテムを回収しつつボスエリアを目指しましょう。
断章で説明されるプレイングボーナスを達成することで有利に冒険が進みます。
●第三章
ボス戦です。
『ミスティックダンジョン』を掌握していたバグプロトコルとの決戦です。
強大なボスであり、その能力値は超弱体化した皆さんと比較するまでもないほどに圧倒的なレベル差があります。
ですが、第一章、第二章にて手に入れた専用アイテムを駆使することで、なんとか戦いにはなりそうです。
断章で説明されるプレイングボーナスを駆使して戦いましょう。
それでは、圧倒的な不利な状況から工夫を凝らして逆転する皆さんの物語の一片となれますように、たくさんがんばります!
第1章 集団戦
『リバース・バルキリー』
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POW : チャージ&バッシュ
【ランスチャージ】又は【シールドバッシュ】が命中した部位に【バグ】を流し込み、部位を爆破、もしくはレベル秒間操作する(抵抗は可能)。
SPD : リバースブレス
【反転祝福】を解放し、戦場の敵全員の【レジスト値】と【ラック値】を奪って不幸を与え、自身に「奪った総量に応じた幸運」を付与する。
WIZ : バニッシュサンダー
自身が装備する【ランス】から【障害物無視】の【マップ攻撃】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【感電】の状態異常を与える。
イラスト:こげこげ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
目の前に広がるのは大空の世界。
謎の地下施設は、地下にありながら一つの別種たる世界を内包しているかのようだった。
「デフォルトのテクスチャーを間違えたんです!」
亜麻色の髪の少女ノンプレイヤーキャラクター『エイル』が涙目になっている。なるほど、ドジか。
だが、このミスティックダンジョンを掌握したバグプロトコルは待ってはくれやしない。
すでにクラン『憂国学徒兵』のゲームプレイヤーたちはダンジョンに挑戦を開始している。彼らを待ち受けるバグプロトコルが望むのは、彼らの『遺伝子番号』の焼却である。
「あの子たちをどうか助けてください!」
その言葉に猟兵たちは頷く。
無論、バグプロトコルの好きにさせるつもりはない。
「道中にある専用アイテム『ギガンティック・ギア』は、キャバリアと同様の操作で動かすことができます! 皆さんの超弱体化された能力でも、これを利用すれば!」
その言葉に猟兵たちは、圧倒的な不利な状況をひっくり返す術を見出すだろう。
事態は刻一刻を争う。
先行く『憂国学徒兵』のゲームプレイヤーたちを助けるため、猟兵たちはダンジョンに踏み出すのだった――。
――――――
プレイングボーナス……他の猟兵と役割分担して戦う/敵の動きの隙を突く/地形を利用して立ち回る/敵の攻撃を紙一重でかわす/近くの宝箱からダンジョン専用アイテムを手に入れる/敵群を分断し、各個撃破する/何らかの手段で敵を同士討ちさせる/ダンジョン内の罠を戦闘に利用する/危なくなったら一旦逃げる
――――――
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
武器:漆黒風
なんかこう…霹靂の故郷(ブルアカ)みたいですねぇ?
というわけで、行きますかー。弱体化罠あっても、行くのは忍びの役目ですからー。
で、やることといえば。その宝箱から専用アイテムを入手して、それで戦うことですねー。陰海月が詳しいんですよー。
で、その上でUCを使用。何の変哲もない物ですから、『ギガンティック・ギア』でも投げやすいんですよー。
…これのために、わざわざ私なんですよ。壊す人がいるので。
※
陰海月「ぷっきゅ!」
宝箱がある地点は、だいたいわかるよ!(最近ゲームもやり始めた)
こっちだ、おじーちゃん!
レベル、ステータス、アイテム。
その全てが超弱体化されるダンジョンクエスト。
それが『ミスティックダンジョン』である。このクエストフィールドにあって如何に技量高き猟兵であっても、超弱体化は例外ではない。
そして、『学園』と呼ばれた謎の地下施設。
隔壁にて隠されていた場所……その先にある光景は目を疑うような世界でった。
大空の世界。
雲海と浮島。
そう、他世界を知る猟兵であれば誰もが思っただろう。
「なんかこう……『霹靂』の世界……ブルーアルカディアみたいですねぇ?」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は思わずうめいていた。
地下に空の世界がある、という状況も最たるものであるが、ゴッドゲームオンラインのデタラメさも示すものであった。
多くのゲームプレイヤーたちのエッセンスが好き勝手に加えられた結果、和洋折衷どころかSFとファンタジーがごちゃまぜになってしまっているのがゴッドゲームオンラインなのだ。
それを知っていれば、地下に大空の世界があることくらい驚くべきことではなかったのかもしれない。
「本当にそうでhそうかねぇ? とは言え、このダンジョンを踏破しなければバグプロトコルにクエスト自体が掌握されて害悪以外の何ものでもありませんんからねー」
超弱体化されても、行かねばならないのが忍びの役目と『疾き者』は踏み出す。
だが、ダンジョン入口付近に、まるで待ち構えていたようにバグプロトコル『リバース・バルキリー』たちが殺到する。
敵のステータスは高難易度に相応しいもの。
ランスチャージの速度、威力共に一撃でも貰えば、一撃死しかない。
「我が槍を受けてヴァルハラへと送ってやる!」
「おっと、それはもう死んでいるものにとっては、あまり魅力的ではありませんねー?」
なんとかランスチャージの一撃を躱しながら『疾き者』は駆け出す。
「ぷいきゅー!」
あっち、とナビゲーションするのは『陰海月』であった。
影の中から示されるのは、宝箱の位置。
この『ミスティックダンジョン』で肝要なのは、専用アイテムを宝箱から如何に疾く手に入れることができるか、である。
その点において『陰海月』は最近始めたゲームの影響もあって、宝箱の位置を熟知していた。
大抵の場合、こういう場所にある、と直感を働かせるのだ。
浮島の一つに飛び乗った『疾き者』はオブジェクトを探す。宝箱はたいてい、こうした他とはテクスチャの違う場所にあるものである。
「ふむ、これですかねー?」
宝箱らしきものを開封すると、背より追う『リバース・バルキリー』に振り返る。
展開された宝箱寄り現れるのは鋼鉄の巨人。
ゲームプレイヤーが乗り込むオブジェクトである鋼鉄の巨人『ギガンティック・ギア』は人型であることを示すように、そのアイセンサーからユーベルコードの輝きを放ち、迫る『リバース・バルキリー』に宝箱オブジェクトを掴んで投げつける。
「……っ!?」
「ただの宝箱オブジェクトと思いましたかー。いいえ、これが私のユーベルコードでしてー」
握り込んだ小さな棒手裏剣。
それが『ギガンティック・ギア』のマニュピレーターにつまみ上げられ、同時に放たれていたのだ。
その一撃が『リバース・バルキリー』を穿ち、なんとか敵の防御力を貫通していたのだ。
「さて、なんとか専用アイテムの要を手に入れましたがー……」
だが、まだまだ超弱体化のデバフは振り切れない。
やはり、ここから必要なのは……。
「プレイヤースキル、というやつ、ですねー?」
そう、創意工夫をもって、限られた手段で逆転を目指す。
『ミスティックダンジョン』は始まったばかりだ――。
大成功
🔵🔵🔵
竜珠・アルベルチーヌ
空の世界かしら?良いわね、景観素敵~♥でも私も超弱くなってるからのんびり世界観光できないのは残念!
空中機動も使って空も翔びながら進みましょう
宝箱のアイテムは是非ともゲットして使わなくちゃね!
巨人ロボに乗るなんて初めてだしワクワクしちゃう
抜け道探しで敵との遭遇を避けながら負けん気と幸運で宝箱発見
巨人ロボとロボ用の槍も見っけ♥
格好いいわね!
でも巨大だと敵に見つかるのも早い
ヒットされれば死んじゃうから回避か攻撃の二択ね!
槍を怪力で振り回し、UCも撃ちまくって攻撃よ!
操縦は初めてだけど結構サマになるかも!
NPCな建前でも私は守護者よ
『がくえん』ってチームの人達は死なせず帰還させてあげたいもの
やるわよ!
拠点『学園』にある謎の地下施設。
恐るべきことに『ミスティックダンジョン』と化した空間は、一つがまるごと世界のようであった。
広がるは雲海。
浮島が存在する天空の世界。
それが地下施設に存在しているという矛盾。
「空の世界かしら? 良いわね、景観素敵~❤」
竜珠・アルベルチーヌ(リュージュの守護獣アルル・f42188)は目の前に広がる光景に感嘆の声を上げる。
ゴッドゲームオンラインがゲームプレイヤーの多くのエッセンスでもって好き勝手に和洋折衷のごとくSFファンタジーがないまぜになった究極のゲームであるところを知っていても、『ミスティックダンジョン』の光景にアルベチーヌは驚きを隠せなかった。
彼女は『とある森で守り神として親しまれる天使の羽を持つ竜人』という設定を持つノンプレイヤーキャラクターである。
そんな彼女でも、この光景は目を見張るものがあったのだろう。
「でも私も超弱くなってるわね」
ステータスを確認する。
軒並みステータスが弱体化されており、約10分の1ほどの能力しか発揮できない。
加えてアイテムも同様の弱体化を受けている。
「こんなに素敵な光景が目の前にあるのにのんびり観光できないのは残念!」
「ならば永遠にこのダンジョンの土となるがいい!」
ダンジョンの入口に待ち構えていたバグプロトコル『リバース・バルキリー』たちが放つ反転祝福の波動を前にアルベチーヌは、とっさに身を翻す。
「逃げるな!」
「逃げるに決まってるじゃない」
天使の羽を羽ばたかせながらアルベチーヌはダンジョンの空を飛ぶ。
雲海が広がっている以上、おそらく落下すれば、それだけでクエスト失敗とみなされてしまうだろう。
故に彼女は飛翔し、迫る覇道を躱しながらダンジョンを駆け巡る。
まず真っ先にしなければならないのは、宝箱の発見である。
この超弱体化のデバフを受けた状態でバグプロトコルと戦うことは避けなければならない。
「ちょこまかと!」
「ふふん、こういう時こそ負けん気があるかないかで攻略難易度が変わってくるのよね……っと、これね!」
アルベチーヌは宝箱オブジェクトを見つけると、一気に抱えて空高く飛ぶ。
オブジェクトを解除すると現れるのは『ギガンティック・ギア』と呼ばれる巨大な鋼鉄の巨人……他の世界ではキャバリアとも呼ばれる戦術兵器の胸元が開き、そのコクピットへとアルベチーヌは乗り込む。
「チッ! 鋼鉄の巨人を手に入れたか!」
「へえ、格好いいわね❤ そして、もう一つ宝箱みっけ❤」
アルベチーヌは急降下しながら『リバース・バルキリー』たちの猛攻をかいくぐり、オブジェクトを解除する。
展開された中より現れたのは槍だった。
「武器ってわけね。この鋼鉄の巨人のアイテムバフで、一撃死はないみたいだけど、過信は禁物ね!」
振り回す槍と『リバース・バルキリー』の手にしたランスが激突する。
弾き返す槍の衝撃にアルベチーヌが駆る鋼鉄の巨人が吹き飛ばされる。
アイテムを使って尚、敵の攻撃が凄まじい……いや、違う。このダンジョンのバフが凄まじいのだ。
「やれないことあないって感じ! 操縦っていうのは、はじめてだけど、けっこうサマになってるわ!」
「ええい! 厄介なものを!」
「厄介なのはアイテムだけじゃあないわよ! エカール、サレーフ、竜の魔眼よ、起きなさい。私達の魔力を見せてあげましょう」
手にした槍に魔眼が浮かび上がる。
それはユーベルコードの輝きであり、アルベチーヌの力。
振るう槍より放たれるのは羽根のような棘。
「エカ・ラ・エピヌ(エピーヌ)!」
射出される凄まじい棘に『リバース・バルキリー』は空中でたたらを踏むように急制動をかける。
だが遅い。
こちらは足を止めて乱射しているのだ。
猛烈な勢いの棘に『リバース・バルキリー』は数で圧倒され、その身を雲海に落下させるしかなかった。
「『がくえん』の『ゆうこくがくとへい』ってチームの人たちは死なせず帰還させてあげなくっちゃ!」
そう、アルベチーヌはノンプレイヤーキャラクターである前に守護者。
例え、それが建前であっても、必ずやり遂げなければならないと脅威なる『ミスティックダンジョン』の奥へと手に入れた鋼鉄の巨人と共に飛ぶのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
杓原・潤
えー!?せっかく頑張ってつよつよ魔法使いになったのに、ここじゃ弱くなっちゃうのー!?
まぁでも今までのうるうの経験は消えないもんね。
キャバリアみたいなロボットに乗れるなら、その経験も活かせるはず。
テルビューチェとは動かし方が違うけど大丈夫、クロムキャバリアの学校で勉強したし!
そんな訳で、行け!スライムシャーク!
宝探しは任せたよ!
うるうは箒で飛んで、敵をあしらっておくから!
宝箱が見付かったら早速乗って戦うよ。
ここでうるうの取っときでダメ押し!
深海で飛んだり攻撃したりするのは大変だよ?
電気も散っちゃうしね!
うるうにとっては深海適応もお手の物。
自分で作っちゃったけどこれもまた地形の利用、でしょ!
「えー!?」
杓原・潤(鮫海の魔法使い・f28476)は『ミスティックダンジョン』に足を踏み入れた自身のステータスを見て驚愕した。
軒並みステータスが10分の1に降下しているのだ。
それだけではない。
自分の持っているアイテム、装備品。そうしたものの効果も10分の1。
あらゆる面において超弱体化のデバフが掛けられているのだ。
「せっかくがんばって、つよつよ魔法使いになったのに、こんなに弱くなっちゃうのー!?」
潤はガックリしてしまう。
けれど、潤は気を取り直した。
べっこり凹んでしまうこともあるけれど、立ち直りが早いのもまた潤の良いところであった。
「ううん、確かにステータスは弱体化されているけど、今までのうるうの経験は消えないもんね!」
そう、一時的な弱体化なんて潤には関係ない。
彼女を支えているのはこれまでの猟兵としての戦いである。
戦いの経験がきっと彼女の冒険を助けてくれる。
「って言っても、ダンジョンの入口からこれって!」
そんな潤に襲いかかるのはバグプロトコル『リバース・バルキリー』たちであった。
「バニッシュサンダー!」
振るわれる雷撃は、障害物を無視して潤に迫ってくる。
遮蔽物に隠れてやり過ごす、ということができないのだ。即ち、弱体化したステータスで一撃でも貰えば即死という状況にあって紙一重で躱し続けなければならないのだ。
「わーっ!?」
潤は雷撃に吹き飛ばされながらも転がるようにしてクエストフィールドを駆け抜けていく。
「ええい、ちょこまかと!」
「こんなの防ぎようがないでしょ!『スライムシャーク』!」
潤はダンジョンに足を踏み入れた時から使い魔としてフィールドにある宝箱を探させていた『スライムシャーク』が、ぴょんこと飛び跳ねて宝箱オブジェクトを此方に運んできている姿を認める。
「させるか!」
再び放たれる雷撃を潤は空飛ぶ箒にまたがって飛翔し躱す。
一度しかできない。
二度目はきっと『リバース・バルキリー』の雷撃に捉えられてしまうからだ。
「ありがとね、『スライムシャーク』! 宝箱の中身はー……『ギガンティック・ギア』!」
開封された宝箱オブジェクトから出現する鋼鉄の巨人。
いわばキャバリアのようなものだ。ならば、潤に操縦できないわけがない。
「要は『テルビューチェ』と動かし方は違っても考え方は同じでしょ!」
クロムキャバリアのパイロット養成学校での経験を活かして潤は『ギガンティック・ギア』のコクピットに収まり、迫る『リバース・バルキリー』と対峙する。
「玩具を手に入れたところで!」
「ううん、ここはね、もう、うるうの領域なんだよ! シェイプ・オブ・ウォーター1」
アイセンサーがユーベルコードに輝き、ソーダ水の雨が降り注ぐ。
雨が立ち上り、溜まったソーダ水はパチパチと音を立てる。
それだけではない。
彼女のユーベルコードは、周囲を深海フィールドと同じ環境に変える。即ち、空飛ぶものは深海の如き水圧を一身に受け止め、失墜する他ないのだ。
「地形を作り上げるのもユーベルコード、うるうの力! 深海なんてうるうにとってはおてのもの! 不用意に空なんて飛ぶから、落ちるしかないんだよ!」
潤の言葉と共に雲海に失墜していく『リバース・バルキリー』たち。
その怨嗟の声を聞きながら、潤は『ミスティックダンジョン』の奥を目指すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
今回は宝箱から出たアイテムを使って、ボス攻略、
って感じでいいんでしょうか?
シリアス度低めでよかったです。
ステラさん、ステラさーん。
どぢっ子『エイル』さんに、|やべー《萌え》メーター振り切ってるステラさーん。
宝箱のあるとこに行くのに、
倒さないといけない人たちいますけど、どうします?
あとセラフィム乗れます?はぁはぁしちゃいません?
え?作戦あるんですか?もちろん乗りますよー!
って!?
ちょちょちょちょ!?
へぶっ(顔面着地
可愛い女の子を投げるとか、淑女の行いじゃないと思います1?
あーもうわかりましたよー!
こうなったらヤケです!迸れわたしのパッション!
耳栓なんて飾りですよ!【悪魔のトリル】ー!
ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の!
香りがしまぁぁぁぁすっ!!
貴女のメイド、ステラ参上しましたっ(はーと
二つの意味で……つまりドジっ子を隠したかった??
萌えですね萌え
誰がやべーメイドですか
ともあれルクス様
我々はセラフィムを手に入れねばなりません
この場での最大戦力はルクス様ですので!
ええ、演奏してきてください
敵のど真ん中で!
よろしくお願いしまーーーす!(そぉい
大丈夫です後で合わせます
【アウルム・ラエティティア】で破壊音波を相殺しつつ
敵をなぎ倒しましょう
ルクス様さいこー
そういえばエイル様
この前、『ここではセラフィムは意味のないもの』とかおっしゃってましたが
このダンジョンとエイル様とはどんな関係が?
『ミスティックダンジョン』と呼ばれる超高難易度のクエスト。
それはやりこみ要素が大好きなゴッドゲームオンラインのゲームプレイヤーたちにとっては、一度は挑戦したいと思うクエストの一つであっただろう。
これまでレベルアップしてきたステータスや、集めに集めたアイテムは役に立たない。
役に立つのはこれまで培ってきたプレイヤースキルのみ。
そんな極限の状況にこそ燃えるのがゲームプレイヤーの中でも廃人プレイヤーと呼ばれる人種であったのかもしれない。
「今回は宝箱から出たアイテムを使って、ボス攻略って感じでいいんでしょうか?」
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は、合ってますよね? とステラ・タタリクス(紫苑・f33899)に呼びかけようとして、彼女の鼓膜を撃ち震わせる雄叫びに肩をすくめた。
「|『エイル』様《主人様》の! 香りがしまぁぁぁぁすっ!!」
いつものである。
ステラはよくルクスの演奏で鼓膜がピンチになっているが、ルクスもまたステラの雄叫びに鼓膜がピンチになっている。因果応報ってやつである。
確かに鼓膜が痛いが、ルクスはホッとしていた。
なぜなら、今回はシリアスじゃあなさそうだからだ。
「貴女のメイド、ステラ参上しましたっ(はーと)」
かっこはーと、と読む。
「つまり、『エイル』様はドジッ子を隠したかった?? 萌えですね萌え」
鳴き声みたいに萌え萌えいうメイド。
亜麻色の髪のノンプレイヤーキャラクター『エイル』は恐縮しかりであった。まだ準備中であったのに、加えてバグプロトコルにダンジョンが掌握されるなどノンプレイヤーキャラクターとしては職務怠慢と言われても仕方のないことである。
しかし、彼女は『エイル』である。女性の『エイル』は敗北ばかりを得てしまうのは、他世界を見れば明らかである。
どんなに努力しても彼女はバグプロトコルに敗北してしまう。
故に、今回の『ミスティックダンジョン』を掌握されたこともまた、ある種の必然であったのだ。
「ステラさん、ステラさーん。どぢっ子『エイル』さんに、|やべー《萌え》メーター振り切ってるステラさーん」
「誰がやべーメイドですか」
「ドジっ子言わないでください……」
弱々しい反論である。
「ともあれ、お任せください。全てはこのメイドに」
「はいはい、宝箱探しましょうね。って言っているそばから速攻でバグプロトコルの人たち来てますよ!」
ルクスが指差す先に飛ぶのはバグプロトコル『リバース・バルキリー』たちである。
手にしたランスを掲げている。
波動が吹き荒れ、此方の幸運値を引っ剥がそうとしてきているのだ。
そう、即ち宝箱を発見できる確立を引き下げようとしているのだ。
「どうします?」
「無論、我々は『ギガンティック・ギア』、『セラフィム』を手に入れねばなりません。そして、この場での最大戦力はルクス様」
「え、わたしですか?」
「はい、演奏楽しんできてください。敵のど真ん中で!」
「えっ? どういう作戦……って!?」
ステラはルクスを抱えていた。
いや、抱えているというか、こうジャイアントスイング的なあれでルクスをぶん投げるのだ。
「ちょちょちょちょ!?」
「よろしくおねがいしまーす!」
ルクスはまるで槍投げか砲丸投げかの如く空を飛ぶ。
「なっ!?」
『リバース・バルキリー』たちは戸惑う。
この『ミスティックダンジョン』において攻撃を受けるということは超弱体化もあって、一撃死のリスクしかないのだ。
それなのに味方を放り投げるメイド。
驚愕しないわけがない。
「へぶっ」
ルクスは顔から着地する。可愛いお顔がギャグまみれである。
「ほんとうですよ! 可愛い女の子を投げるとか、淑女の行いじゃないと思います!?」
「大丈夫です。ルクス様が演奏してくだされば、全て丸く収まります」
「そういう問題じゃあないんですけど! ええい、こうなったら自棄です! 迸れ、わたしのパッション!」
ステラはもうやけっぱちであった。
演奏するのは嫌いじゃあない。けれど、こうも都合の良い演奏家扱いされるのは心外であった。
「耳栓しても無駄ですからね! 悪魔のトリル(アクマノトリル)!」
「なんの、アウルム・ラエティティア!」
二人のセッションは互いに互いの音波を相殺しあう。
だが、それは二人の間だけである。
それ以外……即ち『リバース・バルキリー』たちは、二人の脅威なる殺人音波にさらされ、次々と失墜していく。
蚊取り線香みたいだな、と『エイル』は思ったかもしれない。
二人は宝箱オブジェクトを発見し、開封する。
現れる鋼鉄の巨人『ギガンティック・ギア』を見上げ、ステラは首をかしげる。
「この前、『ここではセラフィムは意味のないもの』とかおっしゃってましたが、このダンジョンと『エイル』様とはどんなご関係が?」
「私の記憶をエッセンスにしてクエストやダンジョンを運営しているんです。だから、この『セラフィム』もただのデータ。そういう意味で、意味のないもの、です」
その言葉にステラは納得する。
記憶の断片としてゴッドゲームオンラインに記録されているだけに過ぎないということだろう。
ともあれ、先往くゲームプレイヤー『憂国学徒兵』たちを追わなければならない――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アイ・ノルマレイス
あー、|冒険者《プレイヤー》さんが時折噂してたやつですー
小耳にはさんだことがあるですー(直接聞いたわけではない。だって話しかけてもらえないんだもの)
とにかく、まずは敵に見つからないように宝箱の確保ですー
……
無理だったですー!と、とにかく逃げながらなんとか装備を確保するですー!
相手のUCですけど、こっちのLvがどれだけ下がってても、UCの効果そのものは消えてないなら、問題ないですよー
こっちもUC、相手のUCを無効化反転して、その勢いのまま『ギガンティック・ギア』の背後に輝く『聖冥の福音』からの光で攻撃、弱ったところをそのまま、機体の隙間から漏れださせた『黒蝕の欠落』で、食べちゃうですー
アイ・ノルマレイス(知らない記憶、胸に空いた奈落・f41788)は『ミスティックダンジョン』というものについて多くを知っているわけではない。
けれど、その単語に聞き覚えがあった。
彼女はゴッドゲームオンライン上のノンプレイヤーキャラクターである。
その仕事はモンスターの肉を渡すことで支援効果を与えたり、戦闘に同行する補助的な動きをしてゲームプレイヤーを助けることである。
自称『美少女NPC』であるが、しかしまあ、その、支援効果も戦闘要員としてもなんとも微妙なステータスなので、利用者は殆どいない。
そんな彼女の数少ないゲームプレイヤーの補助の際に聞いたことがあるのが『ミスティックダンジョン』である。
曰く、あらゆるステータスとアイテム、装備品が超弱体化され、その状態で高難易度クエストをクリアしなければならないというダンジョン。
その総称が『ミスティックダンジョン』なのである。
最初に聞いた時は、なんとも理不尽なクエストだろうと思った。
とは言え、それ以上のことは聞き出せなかった。
何せ、自分はノンプレイヤーキャラクターである。ゲームプレイヤーと相対している時は、決まり文句しか言えないことになっている。
だから、『ミスティックダンジョン』についても本当かどうかも聞き出すこともできなかった。
「あー、でもこれが|冒険者《プレイヤー》さんが言っていたやつですー」
漸く、アイは噂話が本当だったという確証を得ることができて、内心嬉しかった。
とは言え、自分がまさか『ミスティックダンジョン』に挑戦しなければならないとは思わなかった。
上空を飛ぶバグプロトコル『リバース・バルキリー』。
本来ならば、このゴッドゲームオンライン上のバグであるバグプロトコルは撃滅しなければならない。
だが、此処は『ミスティックダンジョン』。
全てのステータスが軒並み超弱体化されているのだ。発見されれば、それだけ厄介なことになる。
「まずは宝箱の確保ですー」
こそこそとアイは物陰に隠れて移動する。
だが、アイが隠密性に優れたノンプレイヤーキャラクターであるとは限らない。加えて全身真っ白。
空を飛ぶ『リバース・バルキリー』からすれば……。
「ん……? なんだあの白いのは……猟兵か!」
速攻で見つかってしまうのである。
「わー! 無理だったですー!」
アイは見つかった瞬間に駆け出す。
背後から迫る波動。幸運値を引っ剥がす凄まじい波動にアイは、とにもかくにも逃げるコマンドの一手であった。
宝箱からなんとかして『ギガンティック・ギア』を確保しなければ、話にならない。
「やー! 危ないからさわっちゃだめですー!」
「そう言われて止まるか!」
波動を放つ『リバース・バルキリー』はアイを仕留めんとする。
だが、おかしい、と彼女は思っただろう。
何故か己のランスの一撃がアイから逸れてしまうのだ。まるで、見えないなにかに阻まれているかのように。
「どうなっている!?」
「簡単なことですーどれだけステータスを下げられても、深淵を覗く者は(アビム・エロジオン)いつだって深淵から見つめられているものですからー」
「何を言っている! わけのわからぬことを!」
振るわれるランス。
だが、その穂先はアイを捉えることができなかった。それどころか、地面テクスチャに激突して穂先が折れて、さらには跳ね返った破片が『リバース・バルキリー』の眉間を貫くのだ。
「わー……すごい効果だったんですねー」
アイは己を襲った波動が凄まじい力を持っていたことを理解して宝箱オブジェクトを確保して開封する。
現れる鋼鉄の巨人と共にアイは飛び立ち、背に黒く輝く紋章と共に『リバース・バルキリー』を喰らい、さらにダンジョンの奥へと飛び込むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ユーシア・ロクス
3P「…GGOって“通常の装備品”って概念あったんですね…」
そ、そんな事よりクエスト開始ですよわたし達!
とりあえずまずは装備の確保です!一旦敵は無視して『駆け抜ける疾風のカギ』で装備を探して|疾走《はし》ります!
3P「ほどほどに見つかる程度に装備は用意されてるはずですからね」
2P「分かった顔してないでわたしも探すんすよー!」
見つけたらじゃーん!『戦禍撃ち抜く鋼鉄のカギ』です!「疑似キャバリア」の操作キーでもあるこれを介せば問題なく動かせる筈です!
能力差はそのままですし、囲まれたら大変ですから先手必勝です!(ゲームで培った)操縦技術を生かして一気に踏み込んで、UCでの空中コンボを叩き込みますよ!
バーチャルキャラクターにとってゴッドゲームオンラインとは確かに究極のゲームであったことだろう。
オンラインで繋がり、ゲームプレイヤーたちの持ち込んだエッセンスでもって混沌、カオスめいた様相を見せるフィールド。
しかし、その美麗さは現実を凌駕するものであったことだろう。
「……ゴッドゲームオンラインって“通常の装備品”って概念あったんですね……」
ユーシア・ロクス(まっさらゆうしゃ・f26126)の別人格3Pは、『ミスティックダンジョン』に足を踏み入れて周囲を見回す。
自身のステータスが軒並み降下している。
それも超弱体化と言っていいほどに。
はっきり言って、いつもの自分たちの10分の1にまで落ち込んでいる。
どれだけ高レベルであっても、これでは話にならない。
「そ、そんなことよりクエスト開始ですよ、わたしたち!」
ユーシアの言葉に2P、3Pの別人格は頷く。
そう、このステータスで高難易度クエストをクリアしなければならないことは言うまでもない。
はっきり言って無理である。
だからこそ、工夫が必要なのだ。肝要なのはアイテム。
このダンジョン専用のアイテムを手に入れることで絶体絶命な状況を切り抜けることができるのだ。
「とりあえずまずは」
「ええ、装備品の確保ですね。専用アイテムはキャバリアのような鋼鉄の巨人でしたか」
「でも、その前に」
彼女たちは見上げる。
そこにいたのはクエスト挑戦直後の入口に待ち構えていたバグプロトコル『リバース・バルキリー』たちであった。
彼女たちはこうしてステータスが下降したゲームプレイヤーを一撃死させて遺伝子番号を焼却しようとしていたのだ。
「猟兵であってもステータス下降のデバフから逃れられない! この一撃で!」
ランスチャージの一閃。
そのすさまじいまでの一撃をユーシアはなんとか間一髪で躱していた。
手にしたアイテム『駆け抜ける疾風のカギ』でもってステータスのデバフを一時的に加速していたのだ。
「これでなんとかしのげます!」
「過信はしない! ほどほどにしてください!」
「わかってますって! でも……宝箱は」
ユーシアたちは『リバース・バルキリー』たちの攻勢をなんとか躱しながら、フィールドを駆け抜ける。
如何に高難易度とはいえ、クリアさせる気がないわけではないのだ。
ならばこそ、ユーシアは宝箱を探し出す。
序盤で見つけられなければ詰みだ。なら、入り口付近にアイテムとしてドロップする仕掛けがあってもおかしくない。
「こういう時は入口付近を探すのが裏技的セオリー! ほら、あった!」
ユーシアは『リバース・バルキリー』の一撃の衝撃に煽られながら、入口に後帰り、そこに隠された宝箱を見つけ出す。
「RTA勢を舐めないでもらいたいですね! そして、じゃーん!『戦禍撃ち抜く鋼鉄のカギ』です!」
ユーシアは手にしたカギを宝箱から現れた『ギガンティック・ギア』に差し込む。
彼女の手にしたカギは操作キーでもある。
これを介せば、不慣れなユーシアであっても問題なく動かすことができる。
「でも、能力差は相変わらずです!」
「囲まれないうちに!」
「ええ、わたしたち、生きますよ!」
謎のゲージマックス音が響き渡る。それは、ユーシアのユーベルコード、ユーシアのプレイ日記~格闘ゲーム~(スーパーユーシアコンボ)が生み出す音であった。
「何を……」
「ゲージが溜まったってことですよ! いきます!」
次の瞬間、『ギガンティック・ギア』のアイセンサーが輝き、『リバース・バルキリー』の体躯を空中に投げ放つ。
そう、彼女の操る『ギガンティック・ギア』の超必殺技である。
華麗な空中コンボからの派手な爆発を伴うトドメ演出。
どんあにステータス差があっても、一発逆転できるのが格闘ゲームの良いところである。
「これが、一撃必殺システムです!」
空中で爆散する『リバース・バルキリー』を背にユーシアは『ギガンティック・ギア』の突き上げた拳を誇らしげに見つめるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
薄翅・静漓
地下なのに天空が広がっている
世界には私の知らないことがまだ沢山あるわね
『天人結界』で飛翔し
敵の攻撃を避け、反撃の矢を放ち、危ない時は逃げるわ
悔しいけど、いつもの力が出せない以上、無理は出来ない
追われる恐怖を感じるのは久しぶりね
けれどそれより恐いのは、『憂国学徒兵』の危機に間に合わないこと
『ギガンティック・ギア』……『セラフィム』
私は今、心から求めている
あの子達を助けるための力が――疾さがほしい
この祈りに応えてくれるなら、見つけ出すわ
私と共に戦ってくれる鋼鉄の巨人を
拠点『学園』に存在していた謎の地下施設。
その隔壁に阻まれた向こう側の詳細は隠されていた。何故かと言われたら、それは亜麻色の髪の少女ノンプレイヤーキャラクター『エイル』から説明させれば、準備中ということであったのだ。
だがしかし、その準備中にバグプロトコルによって掌握され、あまつさえは『ミスティックダンジョン』としての特性を有していたことを利用されてゲームプレイヤーの遺伝子番号を償却する目論見に利用されるとは思いもしなかったのだろう。
加えて。
「地下なのに天空が広がっている」
薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は思わずつぶやいていた。
あまり変わらぬ表情であるが、十分に驚いているのだろう。
「世界には私の知らないことがまだ沢山あるわね」
正しいが、流石にこれはあまりにも荒唐無稽が過ぎる光景でもあった。とは言え、今の彼女はそうした荒唐無稽さに付き合っている余裕はなかったようである。
彼女は急いでいた。
ステータスの超弱体化。
アイテムも同様である。
であるのにもかかわらず、彼女は天人結界(テンジンケッカイ)で身を覆い、『ミスティックダンジョン』の中を駆け抜けていた。
「猟兵、早速邪魔を! これ以上は行かせぬぞ!」
バグプロトコル『リバース・バルキリー』たちが一斉にランスチャージでもって静漓へと迫る。
その一撃は彼女の羽衣を切り裂くだろう。
だが、静漓は止まらなかった。
反撃もそぞろであった。
「……」
悔しいが、今の静漓のステータスでは『リバース・バルキリー』を排除できない。
一瞬たりとて安全などなかった。
全てが紙一重。
いつもの力が出せない以上、静漓が取れるのは逃げの一手だけだった。
追われる恐怖。
それは静漓の中にあったものだった。
久方ぶりに感じる恐怖。
死が迫っている。
けれど、静漓の胸中を占めていたのは、恐怖ではなかった。
身に迫る死よりも、もっと彼女が恐ろしいと感じていたのはゲームプレイヤー『憂国学徒兵』たちに危機が迫ることと、それに間に合わぬことであった。
「逃げてばかりで!」
「……!」
槍の穂先が静漓をかすめる。
それだけでHPゲージが明滅する。恐るべきことだ。だが、もっと恐ろしいことを彼女は知っている。
「『ギガンティック・ギア』……『セラフィム』」
静漓はランスチャージの一撃の余波に吹き飛ばされながらも、フィールドを転げるようにして駆け抜ける。
面を上げた先にあったのは、宝箱オブジェクトだった。
「私は今、心から求めている」
何を。
「あの子達を助けるための力が――疾さが欲しい」
伸ばした宝箱オブジェクト。
開封される輝きの背に『リバース・バルキリー』の槍が迫る。
「この祈りに応えてくれるなら」
光と共に出現した鋼鉄の巨人が『リバース・バルキリー』の槍の一撃を弾き返す。
見上げる。
その先にある姿。
赤と青の鋼鉄の巨人。
「あなたが私と共に戦ってくれる、というの?」
言葉はない。
だが、静漓はためらわなかった。言葉なくとも、意志なくとも、それでも、己は手繰り寄せたのだ。
己が求めるものを。
故に彼女は『ギガンティック・ギア』のコクピットに収まり、求めたものを示すように凄まじい速度でダンジョンの奥へと駆け抜けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ソニア・コーンフィールド
ヤバいのと悪いのが悪魔合体して大変なことに…バグは潰さないとね!
弱体化は大変だけど気合入れて頑張る…!
空の世界なので飛んだ方がいい時は翼広げて飛んでくね!
色々吸収されるけど元が超弱体化してるから奪った総量分の幸運も大したことはないよね?
ギガンティック・ギアの捜索優先で追撃はガジェットの弾丸で牽制しつつギリギリで回避、できれば浮遊してる大岩とかも盾にして上手く分断できるといいな。
岩の裂け目とか見え辛い所に隠された宝を見つけ出して…UC起動してガジェット召喚!
…サイズ的にセラフィムに装着する感じ?
きっちり装着して、運とか関係なしにどーんと敵をセラフィムでぶっ飛ばしちゃうよ!
※アドリブ絡み等お任せ
バグプロトコルと『ミスティックダンジョン』。
その組み合わせは最悪だと思った。
言ってしまえば悪魔合体であった。悪魔合体?
「とにかくヤバいのと悪いのが一緒になっているということ! つまり大変ってこと……バグは潰さないとね!」
ソニア・コーンフィールド(西へ東へ・f40904)はゴッドゲームオンラインの中にある拠点『学園』……その地下施設の奥にあった『ミスティックダンジョン』へと足を踏み入れる。
この『ミスティックダンジョン』はあらゆるステータスが超弱体化のデバフを受けてしまう。
加えて、アイテムも同様に弱体化されてしまい、頼れるのはプレイヤースキルだけとなってしまう高難易度クエストなのだ。
「弱体化は大変だけど気合い入れて頑張るしかないよね……って、地下なのに空!?」
ソニアが目にしたのは地下とは思えない雲海の世界であった。
浮島があちこちに点在しており、広がる雲海はそこが大空の世界であることを示していた。この雲海に落ちたら……言うまでもなくクエスト失敗である。
加えて。
「いたぞ、猟兵だ!」
バグプロトコル『リバース・バルキリー』たちが入口付近で待ち構えているのだ。
超弱体化した状態での強襲は、一撃死の可能性だってあったのだ。
迫る波動にソニアはガジェットの弾丸をばら撒きながら、フィールドを駆け抜ける。幸運値を奪われているが、弱体化しているのだ。
奪われている量とて大したものではない。
「あーもー、しつこいね!」
ソニアは『リバース・バルキリー』を無視して、このダンジョン攻略に必須であるアイテム『ギガンティック・ギア』を求めて走る。
それでも追いすがるようにして『リバース・バルキリー』たちが迫っているのだ。
牽制の弾丸だけでは追いつかない。
ならば、とソニアはドラゴニアンの翼を広げて飛翔し、浮遊している岩を盾にしながら敵を分断するようにしてフィールドを飛ぶのだ。
「くっ……ちょこまかと!」
「やばいやばいね! っと、宝箱は……」
ソニアはこういうフィールド上に配置された宝箱が一体どこに隠されているのかに頭を巡らせる。
自分だったら?
此処に宝箱ありまーす! と示すだろうか?
いや、違う。
こういうのは隠されたものを探し出すのが楽しいのだ。本気で隠す必要はない。見つかりそうで見つからなさそう。加えて、見つけたときの爽快感を優先するのがゲームだというのなら!
「ここ!」
ソニアは浮島の下方へと飛び、崩れた浮島の表面、その岩肌の亀裂に目をつける。
明らかに他の表面とテクスチャの質感が違う。
「ってことは壊せるよね!」
ガジェットの弾丸を打ち込めばテクスチャが崩れるようにして雲海に落ちていく。
目の前に現れたのは埋め込まれた宝箱オブジェクトだった。
「これだね!『ギガンティック・ギア』、『セラフィム』ゲットだよ! そして!」
ソニアの瞳がユーベルコードに輝く。
鋼鉄の巨人の胸に収まったソニアは、そのユーベルコードによって『セラフィム』の背に魔竜の力を宿したガジェットを装着せる。
「行くよ、とっておきの! ドラゴンガジェット・イグニッション!(ドラゴンガジェット・イグニッション)」
「なっ……なんだ、あれは!?」
「ドラゴンガジェット・ウィング! オープン! いっけー!!」
背面に装着された魔竜の如き翼から噴射光が放たれ、咆哮するように『セラフィム』が一気に『リバース・バルキリー』へと突進し、その身を包み込むエネルギーと共に彼女たちを弾き飛ばしながら、ダンジョンの奥へと飛び込んでいくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 冒険
『浮遊大陸エリアの大冒険!』
|
POW : 襲撃してくる翼竜を迎撃する!
SPD : 風の流れを読んで迅速に進む!
WIZ : 特殊な鉱石を採掘する!
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵たちは『ミスティックダンジョン』入口のバグプロトコルによる強襲をなんとか切り抜け、手に入れたアイテムと共に進む。
しかし、このダンジョンは浮島がいくつも点在する天空の世界。
大空と雲海、浮島ばかりが存在する中では、まだまだ宝箱に配された専用アイテムが存在しているだろう。
これを集め、手に入れることで最奥に座す『ミスティックダンジョン』を掌握しているボズバグプロトコルを打倒する鍵とすることもできるだろう。
相変わらず、ステータスには超弱体化のデバフがかかりっぱなしである。
「私の配置していた宝箱のマップと一致しません……」
亜麻色の髪の少女ノンプレイヤーキャラクター『エイル』は困ったような顔をしている。
彼女がこの『ミスティックダンジョン』を作っていたのだが、バグプロトコルに掌握されて宝箱の位置を変えられているのだ。彼女の持っている情報は尽く役に立たないだろう。
しかし、先んじてこの『ミスティックダンジョン』に挑戦していったというゲームプレイヤー『憂国学徒兵』たちの姿が見当たらない。
まさかもうやられてしまったのか?
「多分、もっと奥まで進んでいっているのかもしれません。今は順調でも……」
流石に廃人プレイヤーと呼ばれた彼らでも最奥にいるバグプロトコルにデバフを受けた状態で戦うのは分が悪いだろう。
「急ぎましょう!」
そう、ここからはタイムアタックだ。
宝箱オブジェクトからだけではなく、道中邪魔してくる翼竜エネミーからもアイテムはドロップする。
手に入れた『ギガンティック・ギア』、『セラフィム』を回収したアイテムで自由にカスタイマイズし強化して、疾く駆け抜けなければならないのだ――。
――――――
プレイングボーナス……エリア内をくまなく探索する/パズルを解いて隠し宝箱を出す/宝を守る罠を発見し、解除する/アイテムをドロップするモンスターを沢山倒す/自身の戦闘スタイルに合ったアイテムを選ぶ/手に入れたアイテムでダンジョンのギミックをクリアする
――――――
馬県・義透
引き続き『疾き者』にて
さてー、宝探しと参りましょうか。
陰海月曰く『位置をいじられても、設置場所の特徴は変わってない』なのでー。
そして、『だいたい罠がある』とも。
というわけでしてー、罠ありの宝箱を見つけたら、罠解除しましょう。
こういうの、前の地面から針が出たり
しますからねー。浮きましょう。
あと、擬態のあったりしますから、罠がなくて怪しければ…漆黒風投げてみますかー。
※
陰海月「ぷっきゅ!」
『びゅーびゅーおじーちゃん』が最適なんだよ!速いし、罠解除もお手の物だから!
バグプロトコルの追撃をかわして『ミスティックダンジョン』の内部を進む猟兵達。
内部、と言っても目の前に広がっているのは大空の世界である。
眼下には雲海。
見上げれば浮島と青空。
浮島を足場にして次なる浮島へと飛ぶ。
だが、高難易度のダンジョンがそうたやすく踏破できるわけではない。
「ふむ。宝探しと参りましょうか」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『疾き者』は現状では、ダンジョンの最奥に座すバグプロトコルを倒すことはできないと判断していた。
その判断は正しい。
今も尚、猟兵たちは超弱体化のデバフを受けている。
このダンジョンにいる限り、このデバフは解除されないだろう。
となれば、どうするか。
『疾き者』が駆る鋼鉄の巨人『ギガンティック・ギア』はデバフの影響を受けない。
とは言っても本来の猟兵たちのステータスにまで弱体化した数値を補填するには足りない。
「簡単なことです。ここはダンジョン。つまりは未だ見ぬ宝箱があり、そこには『ギガンティック・ギア』を強化するアイテムが眠っている、ということ」
だが、亜麻色の髪の少女ノンプレイヤーキャラクターが言うように本来のダンジョンのマップに配された宝箱の位置がズレている。
元あった情報がまったく役に立たないのだ。
「ぷきゅ!」
「ええ、『陰海月』の言うとおりです。『位置をいじられていても、設置場所の特徴は変わっていない』……なのでー」
『疾き者』はダンジョンへと踏み込んでいく。
浮島は大小様々なものがある。
そして、ついでに言えば洞窟めいた場所も。
宝箱を隠すにはこういう場所がうってつけであろうし、また同時にそうしたゲームに対する勘所を抑えた者にとっては、容易く見つける事ができる場所でもあった。
「そして、『だいたい罠がある』とも」
広がるは、翳鏡虫霓(カゲニテヤサシクヒカルゲーミングクラゲ)。
ゲーミングカラーに輝く癒やし空間に様変わりした洞窟の内部。
照らされた洞窟の中には、闇や影に隠されていた多くの罠があらわになる。そう、それら全てがダメージを与える罠。
ならばこそ、そのユーベルコードは罠を弱体化させるのだ。
「弱体化された罠を解除するなど容易いことでしてー」
擬態されていても、ゲーミングカラーの輝きが全てを暴き出す。
容易く罠を解除した『疾き者』は宝箱の中から『ギガンティック・ギア』ようのアイテムを発見し、習得していく。
「ぷっきゅ!」
「良いものが手に入りましたねー。とは言え、これだけではまだまだ足りません」
そう、未だ猟兵本来のステータスを取り戻すことはできていない。
まだまだアイテムで『ギガンティック・ギア』を強化していかなければならないのだ。
「おそらくこのダンジョンにはこうした罠つきの宝箱が多く存在しているはずです。これらを全てまとめて我らが引き受ければ、他の方々も罠に掛かる確立も下がりましょう
『疾き者』は、さらに別の浮島へと飛んでいく。
道中急がねばならないが、かと言ってい急ぎすぎてミスをすれば、それだけで挑戦失敗の憂き目似合うことは必至。
急がば回れという言葉もある。
それを実践するように『疾き者』は『ギガンティック・ギア』と共に次なる浮島を目指し、また宝箱からアイテムを習得しながら着実にダンジョンの最奥を目指すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルナ・キャロット
ミスティックダンジョンで死んだらダメはクソゲーすぎますね。
助けに行きます高貴な姫騎士として!
…やりこみダンジョンでさり気なくプレイヤースキルをドヤるチャンスですむふふ
まずはいい装備をゲットしないとです
ジャンプで浮島を移動して、目についた翼竜全てに斬撃を飛ばしてヘイトを稼ぎます
囲まれまくりの地獄絵図になりますが全部シャドウパリィで避けます弾きます!
レベルが変わってもパリィタイミングは変わらないはず
いっぱい巻き込むことで同士討ちも狙って、効率よくまとめ狩りしちゃいますよ。
せっかく乗るなら可愛くてキラキラエフェクトでケモノカスタムにしたいですね。色も黒金に……
い、急ぐのも忘れてませんよ!
噂に聞く『ミスティックダンジョン』はあまりにも高難易度。
加えて、アイテムに寄る補正も無意味。
もっと悪いことにはレベルが意味をなさず、ステータスは10分の1にまで落ち込む。
頼れるのは純粋なプレイヤースキルのみ。
本来ならば何度も失敗しては開始地点から出戻り、パターンを覚え、効率よく無駄なくダンジョンクエストを攻略するものである。
しかし、バグプロトコルに掌握されたことによって、この理不尽極まりない『ミスティックダンジョン』は、失敗しただけで即座に遺伝子番号を償却され、人権を失ってしまうのだ。
「まったく『ミスティックダンジョン』で死んだらダメはクソゲーすぎますね」
ルナ・キャロット(†月光の聖剣士†・f41791)は憤慨していた。
あまりにもあんまりな仕様。
こんなのせっかく究極のオンラインゲームと名高いゴッドゲームオンラインがクソゲーに堕すという汚名にしかならない。
「無論! 助けに行きます高貴な姫騎士として!」
兎獣人スキンに高レアアイテムを装備したルナは勢いよくダンジョンを走破する。
確かに助けなければという思いはあるが、しかし、こうしたやりこみダンジョンでさりげなくプレイヤースキルをドヤってチヤホヤされたいという欲望が見え隠れしないわけでもなかった。
華麗に彼女はダンジョンの入口に待ち受けていたバグプロトコルの強襲を躱し、浮島を渡り歩いてきたのだ。
「むふふ。私ほどのスキルがあれば超弱体化デバフなんてなんのその。それはそれとして、いい装備をゲットしないとです……と!」
迫るは翼竜。
鳴き声を感知したルナは即座に飛来する翼竜のついばみ攻撃を華麗に躱し、跳ねるようにして翼竜から逃れ、斬撃を飛ばす。
だが、今はまだ弱体化されている。
ルナの斬撃では傷一つつかないだろう。
加えて攻撃をしたことでルナに翼竜たちのヘイトが集まっているのだ。
「ちょっとこれは囲まれすぎかもしれないですが……」
迫る翼竜たちの攻撃。
それはちょっとした地獄絵図であったが、しかし、ルナはその全てをスキルでもってジャストタイミングで弾き返すのだ。
なんたるスキルであろうか。
プレイヤースキルが極まると、こんな事もできるのかと言うほどにルナは翼竜たちの攻撃を弾き返しまくるのだ。
「ギャアギャア!!」
けたたましい鳴き声を聞きながらルナは、己が双剣で嘴をいなし、翼竜たちを同士討ちさせていく。
互いの攻撃でエネミーである翼竜は倒れ、アイテムがドロップしていく。
「おっと、ドロップしましたね。えっと、確か『ギガンティック・ギア』っていうのが……」
人型のアイテム。
体高5mはあろうかという鋼鉄の巨人。
これに乗ればある程度戦えるようになるようであるが、しかし本来のルナのステータスには程遠い。
「ふむふむ。さらにアイテムを集めてデコっていけばいんですね! むふふ。どうせ乗るなら可愛くてキラキラエフェクトでケモノカスタムにしたいと思っていたんですよね!」
カラーチャートで黒と金色にリカラーしたいとルナは想像をふくらませる。
これが楽しいのだ。
ゲームの本筋からは遠ざかってしまうかも知れない。
だが、こうした自分の個性を十分に発揮できるシステムがゴッドゲームオンラインには存在している。
こうした楽しさ、己の個性を発揮することで周囲がチヤホヤしてくれる。
その承認欲求にも似た感情が満たす心地よさにルナは囚われていたのかも知れない。だが、それとバグプロトコルを放置することは繋がらない。
自分がチヤホヤされるためにこのゲーム自体を壊そうとする者がいる。そして、自分をチヤホヤしてくれるゲームプレイヤーの人権を剥奪しようとするものも。
なら!
「容赦はしないですよ! あっ、い、急ぐのも忘れてませんからね!」
本当ですからね、とルナは誰かに言い訳するように自分の手に入れた『ギガンティック・ギア』のカスタムに勤しみながら浮島が浮かぶ大空の世界めいたダンジョンの最奥を目指すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
杓原・潤
ふー、乗り切ったね!
そんじゃ宝探しの続きと行こうかな。
出て来い、うるうのサメ達!
指揮はよろしくね、スライム・シャーク。
宝探しの得意なリーダーとたくさんのサメを組ませた集団戦術で、この辺りのエリア一帯を隅々まで探しちゃうよ!
サメを2,3匹護衛に残しておけばうるうも安心して休憩出来るしね。
翼竜を倒せばドロップアイテムで一石二鳥!
いっぱいアイテムを集めてうるうに合うものを探そうっと。
やっぱり魔法系かなぁ?
後はこのロボットにも色々装備してあげなきゃ。
でっかい剣とかサメっぽい装甲とかでテルビューチェっぽくしてあげよう。
うん、この見た目なら絶対強い!
本物よりはちょっと顔が小さいけどね。
ダンジョンの入口に待ち受けていたバグプロトコルたちの強襲をしのいだ猟兵たちは、さらに奥に足を踏み入れる。
けれど、超弱体化のデバフは未だに彼らのステータスを正常に戻さない。
いや、このクエスト中はどうやっても元に戻ることはないだろう。
それがこの『ミスティックダンジョン』なのだ。
「ふー、乗り切ったね! けど、まだデバフ状態なんだね!」
杓原・潤(鮫海の魔法使い・f28476)は自分のステータスを確認してため息をつく。
ここまで見事に残念なステータスであるのは、数値化して見るだけでもガックリ来てしまう。
「でも、アイテムでデバフ分を補填できるっていうんなら、宝探しの続きをしちゃおう。出てこい、うるうのサメたち!」
潤の瞳がユーベルコードに輝く。
シャーク・トルネードによって召喚された回転ノコギリの生えたサメたちが一斉に『スライムシャーク』を筆頭にして浮島のエリアを飛翔する。
「ここら一帯の浮島を隅から隅まで探索してね!」
所謂人海戦術である。
確かにこのクエストエリアは広大であり、また事前に知り得たであろう宝箱オブジェクトの存在しているマップも配置を変えられて無意味になっている。
だが、潤は人海戦術でもってこれを虱潰しにしてやろうと言うのだ。
「ギャアア!!」
「ん? 何この声……って、翼竜!」
潤は奇怪な鳴き声に顔を上げる。
そこには翼竜エネミーが翼を羽ばたかせ、こちらに突っ込んでくる光景が広がっていた。
鋼鉄の巨人『ギガンティック・ギア』に乗り込んでいるので強襲されても一撃死はない。けれど、もとより弱体化したステータスである。
防御力も低下しているのだ。
「こんなときのためにサメを護衛に残していたんだよね。うるうってば、賢い!」
回転ノコギリの生えたサメたちが翼竜の翼を切り裂き、失墜したところを『ギガンティック・ギア』の拳が頭部を叩き潰す。
ドロップアイテムを潤は確認する。
「ふむふむ。倒せば確率でドロップアイテムなんだね。うんうん、敵も倒して一石二鳥! うーん、でもどれもピンとこないなぁ……」
潤はドロップしたアイテムを見やる。
自分が使うなら、やっぱり魔法系のアイテムがいいと思ったのだが、『ギガンティック・ギア』は見ての通り鋼鉄の巨人である。
どれも武装は近代的なものばかりだ。
マシンガンや、装甲だったりと潤の興味を引かれるものがない。
そうこうしていると『スライムシャーク』に引きられたサメたちが多くのアイテムを抱えて戻って来る。
「おー、大量だね。あ、これでっかい剣とか『テルビューチェ』っぽいね!」
潤はアイテムの中にあった大剣型の武装に目をつける。
さらにサメ型の遠隔操作する砲台を見つけて、はしゃぐ。
「この装甲を、こうして、こうして……こう!」
潤はサメ型の遠隔砲台の装甲からサメの頭部を引っ剥がして『ギガンティック・ギア』の頭部に収める。
「うん、サメの兜みたいで格好いいね!」
それは彼女のキャバリア『テルビューチェ』を模すようであった。
大剣に鮫歯のようなノコギリが足りないのがちょっと物足りない。
けれど、まだまだサメたちが回収してきたアイテムは山のようにある。この中から自分の思う格好いい『ギガンティック・ギア』を作り上げればいいのだ。
「うんうん、この見た目なら絶対強い!」
出来上がった姿に潤は満足げに頷く。
『テルビューチェ』そのものとまでは行かなかったけれど、やはり見た目でテンションが上がるのは間違いない。
テンションが上がるということは、プレイヤースキルの根幹でもあるのだ。
「さあ、行くよ!」
潤はお気に入りのコーディネイトで街に出かけるような気楽さで高難易度の『ミスティックダンジョン』、その最奥へと進むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
薄翅・静漓
なるべく『憂国学徒兵』たちの痕跡を探しながら進むわ
あの子達の好きそうな景色、とか
殆ど勘だけど、そういう場所をルートに選んでみるわね
翼竜が襲ってきたら『セラフィム』を駆使して倒しましょう
手に入れたアイテムで『セラフィム』を強化できるのね
技能『宝探し』の護符を創造して装備するわ
闇雲に探すよりも、効率が良くなるはず
加速用の装備や使いやすそうな武器を手に入れていきましょう
この世界のアイテムは多種多様でなにを選べばいいか迷ってしまうけど
そういう時は、レア度の高さで選べばつよつよになると教わったわ
痕跡を探す。
それが薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)の目的だった。
クラン『憂国学徒兵』のゲームプレイヤーたちは、この『ミスティックダンジョン』をノーミスでずんずんと奥に進んで行っているというのだ。
恐るべきことである。
彼らはこの『ミスティックダンジョン』にて挑戦失敗すれば遺伝子番号を焼却され、人権を剥奪されるという現実の死にも似たペナルティを知らない。
恐れ知らずにしては実力が有りすぎる。
「これが廃人プレイヤーの実力、ということ?」
静漓は彼らが好みそうな景色が広がる浮島を探していた。
彼らならば戦いの中でも楽しさを見出すだろう。
少なくとも彼女の知る彼女たちはそういう者たちであったからだ。
「……戦った痕がある」
静漓は一つの浮島の勘に任せて足を踏み入れていた。
確信があったわけではない。
けれど、『憂国学徒兵』のゲームプレイヤーたちならば、困難なルートを好んで進むであろうこともまた理解できるところであった。
「あの子達らしいと言えばらしいけれど」
「ギャアギャアア!!」
静漓が『ギガンティック・ギア』、『セラフィム』の中で痕跡を見下ろしていると、頭上から鳴き声が聞こえる。
そこにあったのは翼竜エネミー。
翼を広げ、此方へと突進してきている。
「エネミーを倒してもアイテムがドロップする、ということだったわね」
静漓は即座に腕部の弓を展開して光の矢を放つ。
一撃では倒せない。
やはり超弱体化の影響は静漓を通して『セラフィム』にも影響を及ぼしているのだろう。
なんとか撃退できはしたものの、時間が掛かってしまった。
ドロップしたアイテムは背部ブースターだった。
なるほど、と思う。
こうやって手に入れたアイテムで『ギガンティック・ギア』を強化して超弱体化デバフを緩和していく、という仕組みなのだろう。
「手に入れたアイテムで『セラフィム』を強化できるのね。なら、きっとできるわ」
想月符(ソウゲツフ)に魔力を込めて静漓は己の技能を飛躍的に向上させる。
それは『宝探し』の技能を高める護符であった。
自身に貼り付けた瞬間、彼女の視界にはぼんやりと輝く光点めいたものが浮かぶ。
それが宝箱オブジェクトの在り処なのだ。
「闇雲に探すよりずっといいわね」
翼竜エネミーとの戦闘でロスした時間を取り戻すように静漓は浮島を駆け抜ける。
エネミーにかまっている時間はない。
敵を打倒してもいいが、先程のように時間がかかりすぎては間に合わない。
故に彼女は宝箱オブジェクトだけを的確に見つけ、そのエネミーに遭遇しないルートを算出して走り抜けていく。
「加速用アイテム……装甲軽量化なんていうものもあるのね」
静漓はゲーム世界のことはよくわからない。
それ以上にゴッドゲームオンラインは多くのアイテムが存在している。多種多様という言葉だけでは片付けられないほどだ。
何を選べばいいのかわからない。
けれど、こういう時はレア度の高さで選べば。
「つよつよになると教わったわ」
なら、ソートを高レア度順に。
ずらりと並ぶアイテムの上から静漓は迷うこなく選び、加速した『セラフィム』と共にフィールドを駆け抜けていく。
エネミーとの戦闘で消費した時間を取り返すように――。
大成功
🔵🔵🔵
竜珠・アルベルチーヌ
今度はアイテムゲットルートね!巨人ちゃん…セラフィムって言ったかしら
槍の次は盾とフレイルかモーニングスターを見つけたいわ
私、力押しが好きなんだもの
欲望解放しましょう
宝箱は発見されるのを待ってるし欲しいものは手に入れなくちゃね♥
UCで陣を作り
セラフィムちゃん
難しいけどこの環をすーっと通過しよう
そしたら私達のスピードは3倍よ!
抜け道探しを駆使して挑戦!ダメなら頑張って空中機動で空を翔んでアイテム探し&モンスター撃破よ!
UC成功ならば相対スピード3倍、槍で粉砕!
ダメなら振り回す!
盾が出たらシールドバッシュ的に進むよ
フレイルゲットなら怪力と遠心力でガンガンやるわ
回復薬や防具も出たら勿論拾って活用よ♪
「巨人ちゃん……『セラフィム』って言ったかしら」
竜珠・アルベルチーヌ(リュージュの守護獣アルル・f42188)は自分の乗る鋼鉄の巨人『ギガンティック・ギア』である『セラフィム』の名を呟く。
これを道中でゲットしたアイテムでもって強化していく。
そうすることで本来のステータスに受けた超弱体化のデバフを緩和していく仕組みなのだろう。
『ミスティックダンジョン』において肝要なのは、序盤を如何にして凌ぐか、なのだ。
そういう意味ではアルベチーヌは序盤のバグプロトコルの強襲を上手く躱していた。
今度はアイテムゲットルートというわけである。
だがしかし、道中の浮島にはバグプロトコルほどではないにせよ強力な翼竜エネミーが頻出するのだ。
「うーん、槍の次は盾とフレイルとかモーニングスターを見つけたいわね」
だが、そんなことよりもアルベチーヌは『セラフィム』を如何にして自分好みにカスタマイズするかに興味がそそられているようであった。
彼女は力押しが好きだ。
どんな敵だって搦手でどうこうするよりも、ゴリゴリと力押しで踏み潰していく方が断然好みなのだ。
そういう欲望を解放しなければならない。
アルベチーヌは、欲しいものは手に入れる。
どんなことをしてでもだ。
それに、宝箱だって発見されることが意義なのだ。ならばアルベチーヌの瞳はユーベルコードに輝く。
「ルーネ、ルーナ、イル、ブラン。白羽を繋ぐ竜の子と、杖の魔術を見せましょう」
ルュネル・アノル・ブランセ(ノアルュネー)、それは自分の白い羽で繋いだ魔力の環である。
設置された環は『セラフィム』の眼前にあり、その環を通過することによって加速することができるのだ。
「『セラフィム』ちゃん、難しいけど、この環をすーっと通過しよう。したら私達のスピードは三倍よ!」
その言葉通りアルベチーヌの操作によって環を通り抜けた瞬間、鋼鉄の巨人が加速する。
「あはっ、はや~い❤」
アルベチーヌは笑って加速した『セラフィム』と共に飛翔する。
翼竜エネミーが此方に気がついて迫ってくるが、三倍の速度に加速した『セラフィム』を捉えることはできない。
さらに手に入れた槍で加速の勢いをつけて翼竜をぶち抜いていくのだ。
「あらっ、宝箱❤」
アルベチーヌはアイテムドロップと同時に宝箱オブジェクトを見つけて笑む。
どんなときだってアイテムをゲットできるのは、己の所有欲を満たしてくれるものである。
ポップアップに表示されたアイテムステータスを確認する。
分類は盾。
「うんうん、順調ね。さあ、このまま一気に行くわよ❤」
アルベチーヌは手にした盾と槍を構え、再び出現した環の中をくぐって加速していく。
盾と槍を構えた『セラフィム』は正しく砲弾のように翼竜エネミーたちを轢殺していく。
彼女の欲望は一直線である。
手に入れると決めたものは全て手に入れるし、手を伸ばすことにためらいはない。
最速で最高を手に入れる。
それがアルベチーヌの欲望の発露なのだと示すように『セラフィム』は加速し続け、一気にダンジョンの最奥へと迫るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
萌え、じゃないですよー!
ここはドジっ子『エイル』さんを、
とことんまでイジり倒すターンじゃないんですか!?
わたしのときとだいぶ扱い違いません!?
わたしがドジしたら、ステラさんめいっぱいイジりますよね!?
それって差別ですよね。
ね、『エイル』さん!
って。
ドロップアイテム狙いはいいんですけど、
またなんかこっそり酷いこと言ってませんか!?
ま、まぁ、今回はスピード勝負みたいですし、
ステラさんへの演奏会はあとにするとしましてー。
無差別範囲ってことならこれしかないですね。
【フラワー・オブ・スコットランド】いきますよー!
アイテム回収はステラさんに任せました。
楽器合ったら絶対拾ってきてくださいね!
ステラ・タタリクス
【ステルク】
泣き顔エイル様萌え
じゃなかった、マッピングデータが使えないのは困りましたね
ですが
例えデータとはいえ、セラフィムに繋がっているのなら
強化の方法も見えようというもの
ええ、私たちはセラフィムを『知っている』のですから
速度を求められるならば私のチョイスはセラフィム・リッパー一択
そしてこういう時は無差別に敵を屠るのが一番効率的と考えます
ルクス様ー範囲攻撃では他の追随を許さない|奏魔法使い様《狂音使い様》ー
一気に行きましょう
私も本気を出します
【ガレオンチェンジ】で飛空艇形態に
そこからの【エールプティオー・プルウィア】で
有視界にミサイルを全力ばらまきです!
さぁさぁアイテムをドロップしなさい!
泣き顔というものは、人の感情を示すもの。
悲しみを表現するとき、人は涙するだろう。無論、嬉し涙という言葉もあるから、悲しみの感情だけではないというは最早語るまでもないだろう。
「泣き顔『エイル』様萌え」
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)はちょっとやばかった。
「萌え、じゃないですよー!」
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は思わず突っ込んでいた。
我慢ならなかった、とも言える。
さすがは勇者である。
こういう立場が弱くなっている者を庇護する守護者としての役目は忘れていないようであった。
「ここはドジっ子『エイル』さんを、とことんまでイジり倒すターンじゃないんですか!?」
違った。
この勇者も大概ヤバイ。
亜麻色の髪の少女ノンプレイヤーキャラクター『エイル』は、困惑するしかなかった。
なんでこの二人、いつもこういう感じなのだろうか、と。
いつものことである。
平素を知らないのならば、今が平素その時である。
「わたしのときとだいぶ扱い違いません!? わたしがドジしたら、ステラさんめいっぱいイジリますよね!?」
ルクスは我慢ならなかった。
というのは真であった。
「それって差別ですよね。ね、『エイル』さん!」
『エイル』は曖昧に笑むしかなかった。まあ、それ以外できることもなかったであろう。
だが、ステラはルクスのそうした訴えを全て無視していた。
「マッピングデータが使えないのは困りましたね」
「無視してる!」
「ですが、例えデータとは言え、『セラフィム』に繋がっているのなら、強化の方法も見えようというもの」
ステラは意味深に笑む。
なんかこう、悪い顔である。
「ええ、私達は『セラフィム』を知っているのですから。速度を求められるのならば、私のチョイスは『セラフィム・リッパー』一択です!」
ステラはもう『ギガンティック・ギア』の強化案を決めていたようである。
「無視しないでくださいよぅ!」
「そしてこういう時は無差別に敵を屠るのが一番効率的。エネミーよりアイテムドロップを狙いましょう。となれば、範囲攻撃では他の追随を許さぬルクス様……|奏魔法使い様《狂音使い様》ー、一気に行きましょう。私も本気を出しますので」
「本気を出しますので、じゃないんですけど!? なんだかまたこっそり酷いことを言われているような気がします!」
言ってるし、言われてる。
主にルビで。
副音声ともいうかもしれない。
「ここの『セラフィム』がデータであるというのならば、『セラフィム』は私の体の延長線上……天使核誘導弾、装填。さあ、サーカスの開幕です!」
天使核より生成されたミサイルが、空中にて飛ぶ翼竜エネミーたちを捉える。
「え、そんなにすぐ!?」
ステラの思い切りの良さにステラは目を見開く。
確かに今回はスピード勝負と聞いてはいたが、ここまでためらいなくぶっ放すとは思いもしなかったのだ。
「さあ、ルクス様。露払いは済ませております。後は!」
「ええい、フラワー・オブ・スコットランドいきますよー!」
バグパイプに息を吹き込み、ルクスは凄まじいまでの音波衝撃波をぶっ放す。
それは空を揺るがし、ユーベルコードの一撃となって翼竜エネミーたちを吹き飛ばすのだ。
例え、衝撃波に耐えきったとしても飛翔することは難しいだろう。
次々と落下していくダメージでトドメをさされた翼竜エネミーたちからドロップするアイテムをステラは素早く回収していく。
「楽器あったら絶対拾ってきてくださいね」
「見なかったことにしてはいけませんか?」
「いいわけないですよ! ここまでやったんですから!」
ルクスの言葉にステラは僅かに舌打ちして手に入れたバイオリン型アイテムを仕方無しに収納するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アイ・ノルマレイス
たんさく、スキル……?……そ、それができないから|みんな《NPC》|冒険者《プレイヤー》さんにアイテム収集を依頼するんですー!
……仕方ないから「狩り」ですー、ダメージは減ってても『聖冥の福音』の光での生命力吸収と、少しでも弱ったら『黒蝕の欠落』での捕食、後は|装備《ギア》の力でごり押しするですー
肉片の一つでも得られれば【奈落の怪物】でその力の一部を得るですー。とにかく拾った装備はつけてくですー(重複で付けられない場合はパッと見強そうな方を優先。
背後に神聖っぽい形状だけど漆黒の『聖冥の福音』、機体の隙間とかから漏れる『黒蝕の欠落』、そしてキメラめいたカスタマイズ。
……「セラフィム」……?)
アイ・ノルマレイス(知らない記憶、胸に空いた奈落・f41788)は、ほとほと困り果てていた。
序盤のバグプロトコル強襲を凌ぎ切ったまではいい。
ここまでは自分でもできた。
けれど此処から先が問題だった。
大空に浮かぶ浮島。
それを伝って進むのも、まだいい。
だが、問題は。
「たんさく、スキル……」
そう、此処から先は手に入れた『ギガンティック・ギア』を強化するアイテムを探索しながら進むことになる。
だが、アイはノンプレイヤーキャラクターである。
そうしたスキルを持ち合わせていない。
「……そ、それができないから|みんな《NPC》、|冒険者《ゲームプレイヤー》さんにアイテム収集を依頼するんですー!」
その手の技能がすっからかんなノンプレイヤーキャラクターであるアイは、どうしたものかと首をひねる。
宝箱オブジェクトを見つけるのだって運でしかない。
しかも、加えるのならば此処から先はタイムアタックだ。
はっきり言って、アイとは相性が悪すぎる。
「うーん……仕方ないから『狩り』ですー」
できることをしなければならない。
アイは自分に探索スキルがないことを憂うことはあっても、恨めしく思うことはない。
できないいことを嘆いても仕方ないのだ。
故に彼女は『ギガンティック・ギア』を駆り、一気に浮島フィールドに存在する翼竜エネミーたちへと迫る。
「ゴリ押しするですー」
放たれる光と漆黒の捕食部位。それは鋼鉄の巨人の胸元……所謂コクピットから噴出する黒い何かであった。
アイに備わった捕食部位は、一気に翼竜へと掴みかかるようにして食らいつく。
だが、ステータスに超弱体化のデバフが掛かっている以上、ダメージは軽微だ。
「ううん、流石に一撃では無理ですーでも、肉片の一つでも得られれば」
アイのジョブは魔喰者である。
一欠片とて奪えば、成長することができる。
そして、それは『ギガンティック・ギア』にも適応されるのだ。
これこそがアイが奈落の怪物(アビム・モンストル)である証明でもあった。
「我慢は毒ですー、だからちょっとだけいただきますです」
『ギガンティック・ギア』の背面パーツが弾け飛び、翼竜の翼が生える。
アイの捕食したものがアイではなく『ギガンティック・ギア』に反映されるのだ。さらにドロップしたアイテムを次々と装備していく。
浮かぶはゾディアック・サイン。
そして、機体の隙間から溢れ出すようにして捕食部位が出現していく。
パーツを排斥して身軽になる強化アイテムをゲットしたのだろう。
徐々にアイの『ギガンティック・ギア』は当初の人型よりどんどんとかけ離れた姿に変貌し、『セラフィム』の名からもかけ離れていくのだ。
その姿はキメラめいた獣。
フィールドを疾駆する姿は、獰猛な獣めいてもいた。
「なんだか大変なことになったのですー……でも、これでどうにかなるはずですー」
アイは獣のような体躯となった『ギガンティック・ギア』と共にフィールドの奥へと走り抜ける。
こうなれば翼竜エネミーなど恐れるに足りない。
機体のあちこちから伸びる捕食部位を操り、翼竜エネミーを取り込みながら、さらなる加速で持ってアイは『ミスティックダンジョン』の最奥を目指すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ユーシア・ロクス
という訳でセラフィムの強化なんですが、わたし……探索系のUC持ってませんでした…なので翼竜を倒してのドロップ狙いです!
あと、やってる側としてはロボットアクションゲームみたいな感じなんですよね。つまり、操作技術も磨けるから一石二鳥!です!
……UC【ユーシアのプレイ日記~シューティング~】【システム:必殺技演出ON】です!向かってくる翼竜の攻撃をちょん避けし、反撃で沈めますよ!
……そうです!きっとより効率よく倒したらいい装備が出るはず!(ハイスコア概念)
3P「…まだ甘いですよわたし!まだ短縮できます!」
2P「……あ、装備は反応性と隙の小ささ重視で次に単発火力、耐久は後回し!な機動戦セッティングで」
探索スキル。
それは地味なスキルであると言えるだろう。
どうしても派手な戦闘を好む者たちにとっては、二の次になってしまうものであったし、下手をすれば習得することもなく放置されがちなニッチなスキルであるとも言える。
とは言え、こうしたオンライゲームにおいて探索スキルは持っているだけで重宝するものであることも頷けるところである。
目の前に広がるのは雲海と浮島。
そのフィールドの何処かに隠されている宝箱オブジェクトから強化アイテムを得ることで『ギガンティック・ギア』、『セラフィム』を強化することができる。
ステータスの超弱体化デバフを受け続けている猟兵たちにとて、その強化アイテムを手に入れることは、このクエストを成功させるためには避けては通れぬ問題でもあったのだ。
「でも、わたし……探索系のユーベルコード持ってませんでした!」
「ど、どうするんすか!」
「慌てないでください。こういうときのためにクエストには抜け道というものがあるのです」
ユーシア・ロクス(まっさらゆうしゃ・f26126)の3P人格の眼鏡がキラリと光る。
「何か考えが?」
「アイテムは宝箱からだけではなく、エネミーを倒してもドロップする。なら」
「なるほど! 翼竜エネミーを倒してアイテムをゲットするっすね!」
「やってることはロボットアクションゲームみたいな感じと思えば!」
ユーシアは鍵を手にして『セラフィム』を駆る。
そう、これはアイテムのゲットと操作技術の練磨という一石二鳥たる行動なのだ。
「なら、早速行きますよ! システム:必殺技演出ON(リョウヘイヒッサツムービー)の準備は良いですか!」
「オッケーっすよ!」
「わたし! 早速ですが決めちゃってください!」
確かにいきなり謎のBGMが流れ出すのは唐突感が半端ない。
だが、今のユーシアたちにその余裕はない。
本来なら翼竜エネミーは雑魚敵とも言うべき敵だろう。だが、ステータスの超弱体化のデバフを受けている彼女たちにとって、これがもっとも確実に敵を一撃で倒すための手段でもあったのだ。
「開幕初手必殺技! いきますよ!」
謎のBGMと共に飛翔する『セラフィム』。
「ギャアギャアア!!」
奇声を上げて迫る翼竜エネミーをユーシアは先手必勝とばかりに増大した一撃を翼竜エネミーへと叩き込むのだ。
空手チョップのように『セラフィム』の一撃が翼竜エネミーの頭部を叩き潰し、アイテムドロップの演出が始まる。
「きっとより効率よく倒したら良い装備が出るはずです!」
「……確かにハイスコア概念があれば……ですが、まだ甘いですよわたし! まだ短縮できます!」
ユーシアと3Pたちは如何にしてエネミーを効率よく倒すことができるのか、その技量を競うようにわいわいとドロップしたアイテムから次なる強化への道筋を立てる。
「反応性は捨てられないっすよね。攻撃モーションを短縮出来るアイテムとかってないっすかね?」
「大火力も欲しいです!」
「耐久はこの際捨てましょう。超弱体化のデバフを受けている時点で、装甲なんて飾りです」
「なら、機動戦セッティングでいきましょう!」
ユーシアは強化の方向性を決めて、更に翼竜エネミーを狩り続ける。
お望みのアイテムが手に入るまで敵をゴリゴリ倒し続ける。
それはゲーマーである彼女たちにとっては当然のこと。
やりこみ要素もまたゲームの魅力の一つ。
それを体現するようにユーシアたちの『セラフィム』は、彼女たちが求めた性能を十全に発揮できるアイテムで持って固められるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ソニア・コーンフィールド
流石廃人プレイヤー…このデバフでもどんどん進めちゃうんだね。
負けて遺伝子番号?焼却されちゃう前に急がなきゃね!
…セラフィムのカスタマイズもなるはやで!
他の人が来た痕跡のないとこ埋めて他の人と合わせてくまなく探索できればいい感じ?
序盤は孤立してる翼竜と戦いドロップ狙いだけど基本宝箱探し優先!
宝箱トラップはガジェッティアとして機構推測しつつ慎重に解除、ヤバそうだったり長時間かかりそうだったら深入りはせず次に挑む!
思念操作できるドローンの盾とか重力弾で拘束する銃とかのセラフィムの追加装備出ないかなー。
ある程度武装集まったら群れの飛竜とも戦い大量ドロップ狙いつつ奥まで急いでごー!
※アドリブ絡み等お任せ
クラン『憂国学徒兵』たちはゲームプレイヤーの中でも廃人プレイヤーと呼ばれる部類の者たちであった。
『ミスティックダンジョン』であっても、ダンジョン入口のバグプロトコルの強襲を彼らは退けていたようだった。
いや、どうやったのかはわからないが、猟兵たちが出遅れたとは言え、その影を踏むことなく探索フィールドを駆け抜けて行っている。
「流石廃人プレイヤー……このデバフでもどんどん進めちゃうんだね」
ソニア・コーンフィールド(西へ東へ・f40904)はあまりのことにゾッとする。
彼らはきっとこのクエストに失敗すれば、人権である遺伝子番号を焼却されることを知らないのだろう。
命知らずなのではない。
ただゲームを遊んでいるだけなのだから、その下手な気負いがないことでいつものプレイヤースキルを発揮できているだけに過ぎないのだ。
一度、己たちの遺伝子番号が焼却されると知れば、彼らとて普段通りのプレイヤースキルを発揮はできないだろう。
「そんなことさせないために、わたしたちがいるんだけどね。急がなきゃ!」
とは言え、ソニアは少し迷う。
『ギガンティック・ギア』と呼ばれる鋼鉄の巨人。
このアイテムを強化するためのアイテムを手に入れることが『ミスティックダンジョン』踏破の鍵である。
とは言え、どのような方向性でカスタマイズを加えていくのか。
迷っている暇はない。
「他の人たちが探索した後に見落としはあるかもだけれど、それよりも他の人達が踏み込んでない所を埋めていくほうがくまなく探索できていいはず! なら!」
ソニアは一気に飛び出す。
大空の世界。
浮かぶ浮島に他の猟兵たちが探索した痕を認めれば、すぐに浮島から離れて別の浮島へと飛び込む。
猟兵たちが多く翼竜エネミーを倒したことで、ソニアは自分に向かってくるエネミーが少なくなっていることを知る。
「やっぱり、アイテムドロップを狙っている人もいるんだ」
となれば、翼竜エネミーとの戦いはあまり美味しくはない。もとよりソニアは宝箱探しを基本的に優先しているのだ。
浮島に降り立ち、他の猟兵の痕跡がないことを確認して周囲を見回す。
湖のある浮島だ。
なんとも不思議な光景であるが、こういう湖があるところこそ宝箱などのオブジェクトを隠しやすい場所とも言える。
「このエリアのエネミーは翼竜ばかり。なら、湖の中にエネミーはいないよね」
どうやらエネミーの種類は単一のようだ。
流石に湖の中にまで翼竜がいるとは考え難い。
「……よーし、ここからはガジェッティアとしての本領だよね」
水中に浮かぶ宝箱を見やる。
案外簡単に見つけられたということは、罠がある可能性が高い、ということだ。
ソニアは宝箱を慎重に解錠する。
罠はない。肩透かしかもしれないが、こういうゲームプレイヤーが慎重にならざるをえないシチュエーションをもって時間を奪う意図もあったのかもしれない。
「アイテムは……なになに? 胸部熱戦砲『プロメテウスバーン』?」
ソニアは宝箱から見つけたアイテムを読み上げる。
装備すると『セラフィム』の胸部に砲口が生まれる。
なるほど、熱戦兵器か、とソニアは頷き、湖中から一気に飛翔し、空へと飛び上がる。
その突然の行動に翼竜エネミーたちが気が付き、一気にヘイトが高まる。
「射線上の敵を薙ぎ払う熱線……これで一気に薙ぎ払う!」
放たれる熱線。
それは直線上にある翼竜エネミーたちを一撃の元に屠る凄まじい威力の一撃だった。だが、熱線という凄まじい熱量を生み出すために機体がオーバーヒートしかけている。
「ふむふむ。これを解決出来るアイテムドロップを狙わないとだね! まあ、必殺の一撃として温存してもいいし!」
そう、今は急がなければならない。
大量のアイテムドロップの効果を参照しながらソニアは、ダンジョンの奥へと急ぐのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『フリーズポリアフ』
|
POW : 凍結氷剣ペレバスター
速度マッハ5.0以上の【巨大な氷の斬撃 】で攻撃する。軌跡にはしばらく【巨大な氷の斬撃波】が残り、追撃や足場代わりに利用できる。
SPD : ユニラテラル・マウナ・ケア
【戦場全体を氷漬けにするムービー演出 】から【そのままフリーズした世界で、白い冷気】を噴出する「真の姿」に変身し、戦闘中に合計20回まで追加行動が可能となる。
WIZ : ヘイル・ストーム・レイド
【戦場全体に、空 】からレベル×1個の【巨大な円柱状の氷の嵐】を召喚する。[巨大な円柱状の氷の嵐]に触れた対象は【(フリーズにより回復等の干渉不能な)氷結】の状態異常を受ける。
イラスト:らぬき
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ポーラリア・ベル」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵たちは探索フィールドを抜けて、ダンジョンの最奥へと踏み込む。
やはり天空の世界。
巨大な浮遊大陸が存在する圧倒的なグラフィック。その光景に息を漏らすかもしれない。
だが、それよりも猟兵たちが驚愕したのは、『ミスティックダンジョン』を掌握したバグプロトコルの存在であった。
「ふふふ……貴様たちに絶望を与えるために教えてやった、私の巨大変身回数……その最後の一回まで追い込むとはな」
何、何の話?と猟兵たちは首を傾げる。
すぐにわかった。
そう、猟兵たちより先に『ミスティックダンジョン』に踏み込んでいたクラン『憂国学徒兵』のゲームプレイヤーたちは『ギガンティック・ギア』、『セラフィム』を持って、この高難易度のダンジョンを最速で踏破してきていた上に、ダンジョン最奥のボスことバグプロトコル『フリーズポリアフ』が持つ倒すたびに巨大化してリスポーンする能力を使い切らせていたのだ。
その最後の一回。
それが、巨大な浮遊大陸を氷の玉座のようにして座す『フリーズポリアフ』であった。
あまりに巨大。
鋼鉄の巨人である『ギガンティック・ギア』、『セラフィム』よりも更に何倍も巨大な姿。
「恐ろしいか。ここまで私に変身回数を使わせたお前たちに……」
「いーからさっさとやろーぜ! だっるい、HPゲージ消耗戦やらせやがって!」
「しかもゲージ超過したダメージは持ち越されないとかやってられませんね」
「とは言え、段階を踏むごとにバフが掛かってもこの程度とはな!!」
「ええ、時間さえかければなんてことない」
『憂国学徒兵』たちはあまりにも頼もしすぎるセリフを『フリーズポリアフ』へと吐き捨てている。まさしく廃人プレイヤー。
だがしかし、バグプロトコルがこれで終わるわけがない。
猟兵たちは、このいまだ超弱体化のデバフかかった状態で、探索フィールドにて得た専用アイテムで強化された『セラフィム』、そして頼もしき廃人プレイヤーたちの遺伝子番号を焼却させぬように立ち回らなければならない。
これが、きっと最後だ――!
――――――
プレイングボーナス……前章で手に入れたアイテムを利用して戦う/他の猟兵と役割分担して戦う/敵の動きの隙を突く/地形を利用して立ち回る/強力な攻撃の予兆を見切る/ボスエリアのギミックに対処する/ボスの弱点を推測して突く/軽快なアクションでボスを翻弄する/敵の攻撃範囲の外から攻撃する/ヒット&アウェイでダメージを稼ぐ
――――――
馬県・義透
引き続き『疾き者』にて
…廃人プレイヤーって、強いんですねー?(精一杯、ひねり出した感想)
さて、ここまで取得したパーツ類も合わせまして…『ギガンティック・ギア』は強化されてますが。
ええ、投げ武器入ってて助かりましたよー。
それを投擲し、その特定された武器をUCにて掴んでからの不意打ち、ができますのでー。
ああ、その氷の斬撃は、計測装置からの伝達で見切って避けますねー。
斬撃波が残るのが厄介ですがー…ええ、触れなければよいのですから。
※
陰海月「ぷっきゅ…」
素直に『憂国学徒兵』たちの戦果にビックリしている。
はいじんってつよいんだなー。
思っていた以上に、と言えばいいのか。
それとも想像していなかったと言えばいいのか。
どちらにせよ猟兵の先を進んでいたクラン『憂国学徒兵』のゲームプレイヤーたちは、おそらくここまでノーミスでたどり着いたのだろう。
そのうえで『ミスティックダンジョン』の仕様に対して臆することなく啖呵を切っていたのだ。
「……廃人プレイヤーって、強いんですねー?」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『疾き者』は漸くそれだけをひねり出していた。
てっきりピンチであろうと急いで来たのだが、なんだかんだで余裕そうである。
いや、今は余裕に見えるかもしれないがバグプロトコル『フリーズポリアフ』が如何なるどんでん返しを持っているかわからない。
「たりめーだよ! こちとら、これよりもっと極悪なMISSIONに参加してたりしてんだからよ!」
『アイン』と呼ばれるゲームプレイヤーの言葉に他の面々も頷いている。
「まずは、敵の初撃、大ぶりの一撃に警戒を!」
『ツヴァイ』のアドバイスに『疾き者』は頷く。
これまで彼らは数度にわたって『フリーズポリアフ』の変身を見てきたのだろう。
そこから攻撃パターンを読み切っているのだ。
「受けよ、凍結氷剣ペレバスター!」
『フリーズポリアフ』より放たれる巨大な氷の斬撃。
巨体より繰り出される一撃は、鋼鉄の巨人に乗っていても、おののく程の強大さであった。
「なんとー」
初撃の一撃。
それは圧倒的な質量による氷の斬撃だった。
打ち込まれた斬撃は浮遊大陸と浮島を結ぶ橋へと変貌する。
「この氷の斬撃は、しばらく残る! これを利用してあの巨体に接近を!」
「ええ、わかりましたー」
とは言え、と『疾き者』は思う。
なんていうか、至れり尽くせりとはこのことではないだろうか?
すでに攻略法まで彼らは編み出している。
だが、バグプロトコルに遠慮は無用である。
「では、参りましょうかー」
『ギガンティック・ギア』が握り込んだ投擲武器がユーベルコードを乗せて放たれる。
それは生命力を吸収する四悪霊の呪詛。
四悪霊・『怪』(シアクリョウ・アヤ)は、その一撃で以て『フリーズポリアフ』の巨体、その腕を掴み上げる。
「おっ、デバフか?」
「ええ、少しの間ですが斬撃の初動を鈍らせましょうー」
すぐさま『疾き者』の意図を読み取って『憂国学徒兵』たちは『フリーズポリアフ』へと攻勢を仕掛ける。
「斬撃が残るのは厄介ですがー……まあ、足場として利用されるのは、なんともゲームらしいと言えばらしいですねー?」
「ぷっきゅ……」
『陰海月』は、『憂国学徒兵』たちの戦いぶり、そのプレイヤースキルの違いに驚くばかりであった。
廃人プレイヤー。
それはきっと生活の大部分をこのゲームに捧げるがゆえに得る異能のことなのかもしれない。大げさに言ってしまったかもしれないが、その言葉を信じるに値するかのような光景が現に目の前に広がっているのだ。
「例え、如何に音速を超える斬撃であっても、初撃がそれとわかれば躱すのは容易い、ということでしてー」
『疾き者』は、凄まじ斬撃を躱しながら呪詛でもって『フリーズポリアフ』の動きを制限し続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルナ・キャロット
むふふ黒金紫カラーにウサギ耳とうさぎ脚を模したギアをつけてかわいい!
そして防御を捨てた軽量高機動のセクシー双剣スタイル!玄人っぽかっこいい!
完璧なロボが出来ました!
んふふ普段ロボとかはあまり触らないのですがいじってみると楽しいですね。
早速どや……助太刀に参ります!
ジャンプで高所からかっこよく参戦します!パリィとかで弾いて守るともっとかっこいいかも!
んふふ謎の助太刀兎メカ!これは一目惚れですね!
メカごと大回転の乱舞して巨体を切り裂いていきます
凍らされてもうさみみや関節を回転させて突破です!止まりませんよ!
移動と攻撃を両立ぎゃりぎゃり魅せプレイでチヤホヤされに行きますー!
ルナ・キャロット(†月光の聖剣士†・f41791)はごきげんであった。
何故って?
そりゃあ、簡単な話である。
鋼鉄の巨人『ギガンティック・ギア』。
これを自分好みにカスタマイズし、このダンジョン限定アイテムとは言え、自分色に染め上げることができたのだ。
エネミーを狩り尽くさんばかりの勢いでルナは自分のプレイヤースキルを十全に発揮し、アイテムをドロップしては片っ端から組み合わせを試し、なおかつ全てが高レアでコーディネイトできるように務めたのだ。
これもまた一つの廃人プレイヤーの姿とも言えた。
「おいおいマジかよ。この短期間でSSR装備ばっかりで固めてんじゃねーか!」
『憂国学徒兵』のゲームプレイヤーの一人の言葉にルナは鼻息をふんすと鳴らす。
「むふふ、黒金紫カラーにリカラーして、ウサギ耳とウサギ足を模したギアをつけてかわいい! がわかりますかむふふ」
「いや、カスタマイズどうこうより、そのSSRで全身固めてる根性がすげーよ」
「完璧なロボを作り上げるためには妥協というものが最もいらないのです!」
防御を捨てた軽量高機動のセクシー双剣スタイル。
まさに玄人。
否、それはゴッドゲームオンライン的に言うなれば、覇権ジョブこと聖剣士モチーフであったことだろう。
「んふふ、普段ロボとかはあまり触らないのですが、いじってみると楽しいですね」
ルナのドヤ顔が止まらない。
廃人プレイヤーである『憂国学徒兵』たちであっても、ここまで全ての装備をSSRで固めることはできなかっただろう。
だからこそ、ルアは鼻高々であった。
ピノキオであったのならば、その鼻が伸びる所を知らないくらい、ギュインギュインと伸びていたことだろう。
「おっと、流石にこれ以上ドヤってる場合じゃあないですね。助太刀に参ります!」
「次、演出が始まります!」
「演出?」
ルナは首を傾げる。
すると、バグプロトコル『フリーズポリアフ』の周囲の世界が白黒になり、時間が停止したかのようなムービー演出が流れ始めるのだ。
「これは!?」
「敵の超絶速度による20回行動の開始ムービーです!」
「なるほど。つまりは!」
ルナは自身がコーディネイトした『ギガンティック・ギア』とともにフィールドを駆け抜ける。
氷の斬撃によって生み出された道を跳ねるように走り、飛ぶ。
「どれだけ早く行動しても、その起点は一つ! なら、一つ一つ順繰りに弾いてしまえばいいだけのこと!」
ルナの『ギガンティック・ギア』の双剣が閃き『フリーズポリアフ』の放つ巨大な刀剣の全てを交差させて受け止め、弾く。
本来ならば力押しで振り抜かれてしまいそうなものである。
「何故弾かれる!?」
「簡単なことです。どんな攻撃にだって必勝パターンはあるんです。ただ、そのタイミングが酷くシビアなだけ。つまりは!」
そう、コンマ秒の世界。
シビアなタイミングに寄るコマンド入力。
そのタイミングを見切ったルナの放つ双剣は見事に『フリーズポリアフ』の斬撃を弾き飛ばすのだ。
「まさか本当に弾くとは! パリィのタイミングを見習わなければ!」
「むふふ、そんなに褒められるともう止まりません! 行きますよ!」
振るわれた巨剣の一撃をルナは身を翻し、回転するようにして一気に腕部を双剣による回転乱舞によって切り裂きながら肩口まで駆け上がっていく。
敵が巨体であるが故に、その斬撃は当て放題なのだ。
「たしかに巨体は怖いですけど、その分狙いを付ける必要がないっていうのは!」
回転乱舞・月兎(カイテンランブ・ツキウサギ)。
それは低威力であるが、『フリーズポリアフ』が巨体であることが仇となって何度でも連続攻撃を叩き込むことができるのだ。
「20回行動とは言え、その最初の一撃目をカウンターで潰して行動する暇を与えない連続攻撃にさらせば!」
動きは止まる。
そして、動きが止まるということは、他のプレイヤーからの攻撃をただ受けるしかないということだ。
「攻撃と移動の両立! これが私のぎゃりぎゃり魅せプレイですよー!」
もっとほら、チヤホヤして! とルナはいわんばかりのドヤ顔を連発し、廃人プレイヤーである『憂国学徒兵』たちの視線を独占するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
杓原・潤
あ、ボスが出て来た!
やるじゃん皆、お陰でこの手の戦闘のダルい所をうるうがやんなくて済むねぇ?
そんじゃ美味しい所をもらっちゃおうかな!
氷の嵐かぁ、凍らされるのも面倒だし避けるのも面倒だなぁ……じゃあここはもうしっちゃかめっちゃかにしちゃおう!
うるうの大技、エレメンタル・ファンタジア!
氷の嵐に対抗するならこれ、炎の暴風。
嵐はいっぱいあるから、とりあえず敵の方に吹かせよう。
如何にも氷属性って顔してるもん、炎には弱いんじゃない?
うるうは自分の周りに魔法でシャボン玉をいっぱい浮かせて、それが氷結しちゃうエリアを避けて飛べばいいかな。
廃人の皆、どっちにも巻き込まれないようにね!
見上げるほどの巨大なボスバグプロトコル『フリーズポリアフ』。
まるで巨人。
いや、猟兵たちが乗っている鋼鉄の巨人も巨人と言えば巨人である。しかし、バグプロトコル『フリーズポリアフ』の巨体は浮遊大陸を玉座とするほどの巨大さであった。
スケールが間違っているのではないかと思うほどの巨大さ。
だが、これは当初からの大きさではないのだろう。
すでに先んじていたクラン『憂国学徒兵』のゲームプレイヤーたちが幾度が『フリーズポリアフ』を倒し、HPゲージと呼ばれる消耗戦を行っていたことを示していた。
「やるじゃん皆」
杓原・潤(鮫海の魔法使い・f28476)は笑む。
彼らの心配は杞憂だった。
少なくとも潤はそう思ったのだ。
「おかげでこの手の戦闘のダルいところを、うるうがやんなくて済むねぇ?」
「ハッ、飛び入り参加できるのがゲームの良いとこだろ!」
「そんじゃ美味しい所をもらっちゃおうかな!」
「できるもんならな! こっからは競争だぜ!」
『アイン』と呼ばれるゲームプレイヤーの言葉に潤は笑う。
やっぱりゲームというのは楽しいものでなくてはならない。
ならばこそ、バグプロトコルが求めるゲームプレイヤーの遺伝子番号の焼却など阻止しなければならない。
「恐れを知らぬ愚か者共よ」
『フリーズポリアフ』の掲げた手より、空に暗雲が立ち込める。
その動作に『憂国学徒兵』のゲームプレイヤーたちが叫ぶ。
「全体攻撃だ!」
「へぇ?」
潤は見ただろう。
暗雲は氷の柱の如き嵐となり、こちらへと迫っている。
『フリーズポリアフ』の巨体と相まって攻撃範囲が広がっているのだ。
サメ頭の『セラフィム』を駆る潤は、これを躱すのが面倒なだと理解する。
「氷の嵐かぁ……なら、ここはもうしっちゃかめっちゃかにしちゃおう! 見てて、うるうの大技!」
サメ頭のアイセンサーが煌めく。
ユーベルコードの輝きを放ちながら、潤は風をたぐる。
唸りを上げる鋼鉄の巨人。
その内部より発露するのは、潤の魔力だった。
迫るは氷の嵐。
なら、潤はどうするかなんて決まっていると笑う。
「エレメンタル・ファンタジア! いくよ、炎の暴風!」
吹き荒れる風は『フリーズポリアフ』の放った嵐の風を巻き取るようにしながら渦を巻き、『セラフィム』のサメ頭の口腔が開いた瞬間、その奥より放たれる炎とともに膨れ上がっていくのだ。
そう、彼女の言葉通りであった。
炎の暴風となったユーベルコードは氷の嵐と激突し、攻撃を操作させているのだ。
「おわー!?」
「氷が蒸発して熱波になっています!?」
「そうそう、皆、どっちにも巻き込まれないようにね!」
潤は笑う。
楽しい。敵の攻撃が激しいのもそうだが、自分の魔法が盛大に炸裂している光景を見るのも気分がいいのだ。
「無茶言うな!」
「ふふ、だよね。なら、うるうの魔法で助けてあげる!」
潤の『セラフィム』の手から生み出される魔法のシャボン玉。
それが風に乗って周囲に撒き散らされ、氷と炎の暴風から『憂国学徒兵』たちを守りながら、潤は空を舞うようにして飛ぶのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ソニア・コーンフィールド
うーん想像以上に強かった…!
博士…じゃない、NPCで苦労人っぽいエイルさんもこれは予想外?
このまま押し切れそうだけど念には念を、きっちり援護で完全攻略しちゃおう!
道中でゲットしたギアフル装備で行くね!
憂国学徒兵が教えてくれる攻略情報は有り難く聞きつつセラフィム操縦で戦闘。
えーと道中でゲットしたプロメテウスバーンは破壊力抜群、途中で見つけた放熱板兼ウイングオプションでちょっとは排熱マシだけど連射は無理!とこっちの情報も共有し連携とるね。
あとこんなのもできるよ、とUC起動しヘイル・ストーム・レイドを転写、発動して巨大な敵の動きを氷嵐の柱で制限。
チャンスと見たら胸部熱線砲発射!
※アドリブ絡み等お任せ
『ミスティックダンジョン』を掌握したバグプロトコルのボス、『フリーズポリアフ』は浮遊大陸を玉座とするほどの巨大な存在だった。
猟兵たちは数多くの戦いを経てきている。
まるで山脈の如き幼女立ってみてきたのだ。
それに比肩するかのような巨人となった『フリーズポリアフ』は、幾度かの戦いを経て、この姿へと変身していた。
それを為したのが、猟兵たちが追っていたクラン『憂国学徒兵』のゲームプレイヤーたちであった。彼らは猟兵たちが来るまでに『フリーズポリアフ』に最後の変身を使うまで追い込んでいたのだ。
「うーん、想像以上に強かった……!」
これが廃人プレイヤーの底力とでも言うのだろうか。
ソニア・コーンフィールド(西へ東へ・f40904)は思わずうめいていた。
てっきり彼らがボスバグプロトコルに敵わないからと思っていたのだが、案外良いところまで行っているように思えたのだ。
いや、とソニアは気がつく。
亜麻色の髪の少女ノンプレイヤーキャラクター『エイル』が止められなかった彼ら。
きっと彼女にも此処まで戦えていることは予想外だったのかもしれない。
『ミスティックダンジョン』特有のアイテム、鋼鉄の巨人『セラフィム』を駆る彼らの戦いぶりは、それほどまでに凄まじかった。
まるで水を得た魚のようだったのだ。
「このまま押し切れそうだけど」
「まーな! でも、HPゲージがまだまだ残ってるんだよ。もう何本削ったかわかんねー」
『アイン』と呼ばれるゲームプレイヤーの言葉にソニアは笑う。
確かに、だっるいね、と。
「念には念を入れよう。きっちり援護するから完全攻略しちゃおう!」
「ああ、勿論だよ!」
ソニアの『セラフィム』の放熱板のようなウィングが広がる。
道中で手に入れた装備、胸部砲口『プロメテウスバーン』は強力な一撃だが、連鎖hができない。
放熱板ウィングのおかげで排熱はマシになっているようだが、しかし、過信できない。
「まさか、それはSSR武装の『プロメテウスバーン』!」
「マジかよ!」
「まったく出ないから都市伝説かと思っていた!」
「え、そうなの? 湖の宝箱オブジェクトにあったけど」
「あー! そこか! なんもねーなーって後回しにした所じゃねーか!」
ゲーマーとして悔しがる彼らを見てソニアは笑う。
なんだ、結構楽しんでいるんだ、と。
危機的な状況でも笑っていられる彼らならばとソニアは吹き荒れる氷の嵐の中を飛ぶ。
「他の猟兵さんのお陰で大分、威力が減衰させられているけど……まだユーベルコードの効果は続いているね」
「ああ、氷の嵐に触れると行動不能にさせられちまう。範囲攻撃なのが厄介だ」
「わたし、こんなのもできるんだよ」
ソニアの瞳がユーベルコードに輝く。
『セラフィム』の掌から現れるのは、青銅色の立方体パズルであった。
それは、転写:象神の匣(トランスファーガネーシャパズル)である。彼女のグリモアである立方体パズルに『フリーズポリアフ』のユーベルコードを記録し、詠唱でもって放つことができるのだ。
つまりは。
「コピーか!」
「そういうこと! あとはこう、組み替えて……どーん!」
放たれた氷の嵐が『フリーズポリアフ』を包み込む。
巨体であるがゆえに躱しようがない氷の嵐。
『フリーズポリアフ』は為すすべもなく行動不能にされ、動きを止める。
「おおっ! これなら!」
「そう、見せてあげるよ。これがえーと、SSRだっけ?」
「そう! 最高レア装備!」
「『プロメテウスバーン』!」
ソニアの『セラフィム』の胸部砲口が展開し、放たれるは熱線の一撃。
強烈な一撃は光条を描き『フリーズポリアフ』とソニアの生み出した氷の嵐すら貫いて彼女が座していた大陸すらもぶち抜き、凄まじい衝撃を生み出すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ユーシア・ロクス
聞いてるだけでどういう過程だったか解りますね……
3P「でも、集中力は無限じゃないですから、急ぎますよわたし」
それじゃあ、UC行きます!さらに重ね掛けで【(前略)リズムゲーム2日目】です!変更されたBGMがなんだかいつもより更に豪華ですよ!
2P「ボス追い詰めると流れ出すやつっすね!」
3P「確か彼らは一度経験済みでしたからねこのUC。逆に相手は我を通して弱体化するか、ペースを乱されるの覚悟で不慣れなBGMに合わせてくるかの二択…まああの言動からすればたぶん前者ですね」
攻撃さえ避ければ次はこっちのターンです!一気に踏み込んでタイミングよく小技を積み重ね、大きい隙に合わせて大技一発です!
強烈な熱線の一撃がバグプロトコル『フリーズポリアフ』を貫く。
みるみる間にHPゲージが削れていく。
「っしゃ! クソ面倒なだけのHPゲージ用意しやがって!」
「変身ごとのバフも厄介でしたが、巨大であること自体がデバフになるとまで考えていなかったようですね」
「おかげでボスバトル初期の方が面倒だったとさえ思える!」
「皮肉よね」
クラン『憂国学徒兵』のゲームプレイヤーたちの言葉にユーシア・ロクス(まっさらゆうしゃ・f26126)は、どれだけ此処までの戦いが面倒だったのかを理解した。
しかし、そんな面倒なバトルの仕様であっても廃人プレイヤーである彼らは乗り切って此処にいる。
一度でもHPゲージをふっとばされてしまえば、それだけで彼らは人権である遺伝子番号を焼却されてしまう。
加えて、超弱体化のデバフはかかりっぱなしなのだ。
この状況でそれができてしまえるのは、彼らが類稀なる集中力を持っているからだろう。
「でも、集中力は無限じゃないですから、急ぎますよ、わたし」
3P人格の言葉にユーシアは頷く。
そう、集中力はそう長くは続かない。
そして、些細なミスが命取りになっしまうのがボスバトルである。
巻き返しができない仕様である『ミスティックダンジョン』であるがゆえの弊害とも言えるだろう。
ならば、一気に畳み掛けるのみ。
「それじゃあ、いきますよ!」
「戦闘BGMオッケーすよ! く~ボス追い詰めると流れ出すヤツっすね!」
2Pはこころが燃え上がるようであった。
BGMの影響とは些細なものではない。
人のテンションに影響を及ぼすものであればこそ、その心の持ちようがゲームプレイに影響をもたらすのは当然とも言えただろう。
「システム:必殺技演出ON(リョウヘイヒッサツムービー)! からのユーシアのプレイ日記~リズムゲーム2日目(リミックス・ミンナノリズムワールド)です! さあ、みなさん! まだまだノっていきましょう!」
さらにBGMが変調する。
「不可解な音を!」
バグプロトコル『フリーズポリアフ』は巨大な氷の剣を振りかぶる。
「おっと、そんな我を通すように攻撃しても知らないっすよ」
「何を言っている……!?」
振り下ろした斬撃は、しかしユーシアたちを大きくそれて、他の浮島へと叩きつけられる。
「何をした、貴様!」
「簡単です。このリズムに乗らないと大きく行動が阻害されるんです。ペースを乱されましたね!」
ユーシアは振り下ろされた氷の巨剣を這うようにして『セラフィム』と共に飛ぶ。
「攻撃さえ良ければこっちのターンです! 一気にいきましょう!」
それに合わせるようにして、ノリノリのBGMのリズムに乗ってユーシアと『憂国学徒兵』たちは飛ぶ。
「ごきげんだな!」
「ええ、こういうとき、音楽の力はわたしたちに力を貸してくれますから!」
互いに連携し、小技を積み重ねていく。
ダメージの数値が『フリーズポリアフ』に細かく刻まれていく。
一気に巨体を駆け上がったユーシアと『憂国学徒兵』たちの『セラフィム』のアイセンサーが煌めく。
「最後は大技で!」
『フリーズポリアフ』の頭上から振り下ろされた一撃は、一直線に振り下ろされ、特大のダメージ数値を示すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
竜珠・アルベルチーヌ
ボスキャラの台詞にツッコミ入れるなんてさすが廃人プレイヤーさん!
彼等の課金があってこそのこの世界よね
何なら猟兵の私より強いと思うけど
単なるAIの私と違ってリアルアカウントが掛かってるもの
攻撃は彼等をメインに
私はフォローに
UCでピルエラを呼び敵の妨害と味方の回復
負けん気は根性!激痛だって今は耐える!前衛でかばい、オーラ防御と衝撃吸収で盾役に
勿論私も攻撃するわ
セラフィムの盾を死角から投げ付け不意打ち
怪力とマヒ攻撃付与の槍で刺突し空中機動で一撃離脱
バックして衝撃波を振るう
逆境だらけのダンジョンも娯楽にするのが廃人、もとい歴戦の強者
だから私もNPC台詞で迎えるわ
あなたたち強そうね!一緒に戦いましょう♪
一直線に走るダメージ数値。
それは猟兵とクラン『憂国学徒兵』のゲームプレイヤーたちの駆る『セラフィム』の放った一撃が強烈であったことを示す。
ついにバグプロトコル『フリーズポリアフ』のHPゲージが半分を切ったのだ。
「よくも、ここまで私を追い詰めたな……だが、知るがいい。その強さこそが絶望をもた……」
「そういうセリフはもう何回目だっつーんだよ!」
「3回目です」
「流石にバグなんじゃないのか?」
「でもバフは掛かってるみたいだしね。挙動が変ってだけで」
ゲームプレイヤーからの散々なツッコミに遮られる『フリーズポリアフ』のセリフ。
その様に竜珠・アルベルチーヌ(リュージュの守護獣アルル・f42188)は思わず笑ってしまった。
「ボスキャラの台詞にツッコミ入れるなんて、流石廃人プレイヤーさんね!」
アルベチーヌは盾と槍を構えた『ギガンティック・ギア』、『セラフィム』の中で笑う。
彼らのプレイヤースキルは凄まじいものだ。
『セラフィム』に乗ることで、さらにそれは研ぎ澄まされているようにも思えた。なんなら猟兵の自分よりも今強いのではないかと思うほどだ。
加えて、これまで多く課金をしてきたであろうことが言葉の端々から伝わってくる。
彼らの課金があってこそ、ゴッドゲームオンラインである。
「あのプレイヤーさんたちは知らないのかも知れないけれど、リアルアカウント……遺伝子番号の焼却がかかっているもの。単なるAIである私と違うのはそこよね。なら!」
アルベチーヌは『ギガンティック・ギア』と共に彼らのフォローに回る。
「おっと! フォローしてくれんのか?」
「ええ、あなたたち強そうね! 一緒に戦いましょう♪」
彼らは逆境だらけの『ミスティックダンジョン』であっても娯楽にしている。
楽しんでいるのだ。
彼らが極悪なギミックであろうとなんであろうと笑って踏破していくのを知っている。それが廃人ゲームプレイヤー。もとい、歴戦の強者。
ならばこそアルベチーヌはノンプレイヤーキャラクターとしての誇りでもある台詞でもって彼らに助力をすることを示したのだ。
アルベチーヌは、赤い牙の女悪魔により『フリーズポリアフ』の攻撃の初動を妨害する。
振り上げられた氷の巨剣。
その一撃は凄まじいものであることは、これまでの戦いで見ている。
先んじた猟兵たちが逸らし、躱していた。
それでも斬撃自体が、その場に残って『フリーズポリアフ』を守る壁のようになるのだ。
「やっかいな斬撃ね! でも!」
振り下ろされた巨剣をアルベチーヌの『ギガンティック・ギア』は盾で受け止める。
鋼鉄の巨人のフレームが軋む。
だが、アルベチーヌはユーベルコード、ルポ・ラ・セレニティ(セレニティア)によって無闇に赤く眩しい魔法陣より得る癒やしでもって即時回復して受け止めきったのだ。
「あれを受け止めるのかよ!?」
「超弱体化のデバフを受けても、回復で間に合わせるなんて……!」
「あら、これだけで終わらないわよ」
そう負けん気は根性。
どんな激痛だろうと耐えれば、己のユーベルコードの魔法陣が即座に癒やしてくれるのだ。
そして、ただ攻撃を防ぐばかりではないのだ。
巨剣を受け止めた盾を振りかぶって『フリーズポリアフ』へと投げつける。
さらに手にした槍にマヒ攻撃を付与して飛ぶ。
「あなたたちが強そうだから、私も戦える。この一撃は、牙の魔術!」
振りかぶった槍を投げ放つ。
赤い牙のように走る槍は『フリーズポリアフ』の胸へと突き立てられ、凄まじい桁のダメージを刻み込むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
薄翅・静漓
青空が広がる世界で
鋼鉄の巨人に乗ったあの子達が自由に戦い遊んでいる
ほっとしたわ
みんな元気、それならいいの
私の『セラフィム』
望みを叶えてくれてありがとう、間に合ったわ
あとは勝つだけね
背部ブースターをオン
もっと、疾く――音速すら超えるスピードで
斬撃を躱して駆け抜けましょう
腕部の弓を展開――これが使えるのは嬉しいわね
『プラクト』の時みたいに、タイミングを合わせるわ
援護射撃して、彼らが攻撃を叩き込む手伝いを
派手なエフェクトで敵の注意を逸らしたりしてみましょうか
笑い声が聞こえる。
それは薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)の胸中にあった焦りのような感情を氷解させるには十分だった。
ゴッドゲームオンラインにおけるゲームプレイヤーたちは常にバグプロトコルによって人権である遺伝子番号の焼却を狙われる立場である。
もしも仮に遺伝子番号を焼却されれば、リアル……つまりは統制機構側のゲームプレイヤーは二度とゴッドゲームオンラインにログインできなくなる。
二度と遊べなくなるのだ。
あの笑い声すら一つ上げられなくなる。
青空にあるのは雲海と浮島。
そして、巨大なバグプロトコル『フリーズポリアフ』であった。
ゲームプレイヤーである『憂国学徒兵』たちは鋼鉄の巨人『セラフィム』を駆って、水を得た魚のように超弱体化のデバフなどものともせずに戦っていた……いや、静漓からすれば遊んでいるように思えたのだ。
ほっとする。
「鋼鉄の巨人に乗ったあの子たちが自由に戦い遊んでいる……」
胸をなでおろす。
急がなくてもよかったのかもしれない。こうなったのは結果論でしかないかもしれないけれど、それでも無事で良かったと言う思いの方が静漓は勝っていた。
「お先にやってるぜ!」
「とはいっても、すでにボス戦は終盤も終盤ですよ」
『アイン』と『ツヴァイ』と呼ばれたゲームプレイヤーの言葉に静漓は頷く。
「みんな元気、それならいいの」
静漓はただそれだけを望んでいた。
自分が駆る『セラフィム』は己にそれを届けてくれた。
己の望み。
静かに静漓は礼を告げる。
「ありがとう、間に合ったわ」
あとは、と静漓の瞳がユーベルコードに輝く。
「勝つだけね」
「そのとーり! でも、トドメは私たちが貰うぜ!」
「競争、ということ?」
『アイン』の言葉に静漓は、静かに笑む。
それは望むところだ。むしろ、いつだってそうしてきたのだ。
「もっと、疾く」
静漓の『セラフィム』のアイセンサーがユーベルコードに輝く。
「ライド・オン」
背面のブースターが展開する。
噴射口より放たれる光が翼のように強烈に静漓の『セラフィム』の背を押す。
加速する機体は、静漓が望むままに速度を上げていく。
「もっと、疾く」
呟く。二度目の言葉。それを受けて、機体は音速を超えて轟雷の如き音と衝撃を生み出しながら『フリーズポリアフ』へと肉薄する。
「なっ……」
速すぎる。踏み込みはまるで迅雷のように、空気の壁をぶち抜く轟響ように。あまりにも速すぎるがゆえに機体が幻影のように軌跡を残している。
その光景を『アイン』は見ただろう。
振り下ろされる巨剣が間に合っていない。
静漓の機体は閃光のように『フリーズポリアフ』の頭上へと飛び上がり、腕部を弓のように展開させ、光の矢をつがえる。
「――これが使えるのは嬉しいわね」
彼女の心に去来するのは思い出だった。此処とは異なる世界で遊んだのだ。その思い出こそが、彼女の歩みを加速させる。
残像から放たれる光の矢が『フリーズポリアフ』を取り囲む。
援護射撃のつもりだったのかもしれない。
だが、静漓の『セラフィム』は幻影からすらも光の矢を放ち、『フリーズポリアフ』を取り囲む光の雨を解き放ち穿つのだ。
「ぐおおっ!? この私が……!」
「なんだよ、あの動き……! 速すぎるだろ!」
「あなたにもできるはずよ。さあ、今よ」
静漓の言葉に『憂国学徒兵』たちが一斉に動き出す。
まるで静漓の動きを手本にするように、その軌跡をなぞるように。
不思議な感覚だと静漓は思ったかも知れない。嘗ては己が追う立場だった。けれど、今は追われる立場だ。
けれど、一つ変わっていないことがある。
そう、これが楽しい遊びだということだ――。
大成功
🔵🔵🔵
アイ・ノルマレイス
たくましいですー、でもボクもがんばらないと次の仕事が来なくなるですー
それに、実はああいう時が一番危ないですー。死ぬときはコロッと死んじゃうですー
速攻ですー!セラフィム(だと主張する)で突っ込んでいくですー!
でも相手のUC相手に打つ手がないですー!
このままじゃ“また”死んで、遺伝子番号、も、焼かれ、て、……
(セラフィムの動きが鈍り沈黙、直後『聖冥の福音』が6枚翼を模り、セラフィム再起動と同時に「福音」が輝きを増し敵を対象にUC発動。後はもう完全に理性を感じられない獣の挙動で戦闘します)
※UC直前の発言は自覚なし。「アイ」の、と言うより「アイというNPCの基になった誰か」の記憶。その残滓です。
クラン『憂国学徒兵』は廃人ゲームプレイヤーの集まりであった。
掛け値なしに、と言ってもいい。
それほどまでにプレイヤースキルが極まった者たちだった。
遺伝子番号の焼却という憂き目すら感じさせない彼らのゲームを楽しむ様子に、アイ・ノルマレイス(知らない記憶、胸に空いた奈落・f41788)はたくましさを感じただろう。
「ボクもがんばらないと次の仕事が来なくなるですー」
彼らにノンプレイヤーキャラクターの補助など必要ないかも知れない。
けれど、それでもアイは自分の役割を全うしなければならないと思っていた。即ち、初心者のための、だけではない。
彼らがバグプロトコルによって狙われ、危機に陥っているのならば助けなければという思いがあるのだ。
故に、彼女は来た。
「それに、実はああいうときが一番危ないですー」
そう、彼らは実に上手くやっている。
ノーミスで此処まで最速でやってきているのだ。加えて、バグプロトコル『フリーズポリアフ』のHPゲージを何本も吹き飛ばしている。
それだけの実力があっても、僅かなミスが全てを瓦解させる。
ノリに乗っている時は、勢いに乗っているときでもある。
勢いがあるということは速度が上がっているということだ。あまりにも高い速度は、僅かな躓きさえも致命傷に変える。
「死ぬ時はコロっと死んじゃうですー」
そういうものだ。
現実でも、ゲームでも。
だからこそ、アイは己の獣めいた『セラフィム』でも『フリーズポリアフ』へと突っ込んでいく。
「馬鹿め、やけになったか!」
周囲に広がるは氷漬けになった世界。
演出ムービーである。真の姿へと変貌した『フリーズポリアフ』はHPゲージをまた回復させていくのだ。
「あっ、また!」
「クソ仕様ですね。必殺演出が入るたびにこれとは」
『憂国学徒兵』たちはういんざりしているようだった。
だが、アイだけがその中で危機感を募らせていた。
このままでは、“また”死んでしまう。
「遺伝子番号、も、焼かれ、て……」
発した言葉はアイのものではなかった。自覚などなかった。
鋼鉄の巨人は獣じみた姿のまま、動きを止める。
沈黙する『セラフィム』の背に現れるのは漆黒の六枚翼。
羽ばたくまでもなく、ただそこに権限した黒い光。
光を失っていたアイセンサーが再び灯る。その輝きは剣呑そのものであった。
「―――空っぽのたまごは孵れない、借り物の夢は還れない」
輝きを増す翼。
瞬間、『フリーズポリアフ』の強化状態が一切失われていく。
「……なんだ、何が起こって……」
『フリーズポリアフ』は理解しただろう。
アイのはなったユーベルコード。
あの黒い光。それが己の強化や技能を引き剥がしたのだ。
「娘の形の欠けた虚無は、初めから、何処にも帰れない―――」
欠けた虚無の謳う果て(データドレイン・アルファ)にて顕現した獣は、一気に巨体である『フリーズポリアフ』へと襲いかかる。
「なんだよ、あれ……」
『憂国学徒兵』たちは見ただろう。
アイの駆る『セラフィム』が人ではない、人より逸脱した姿でもって『フリーズポリアフ』の巨体にまとわりつき、捕食していく姿を。
それはおぞましさ以上に虚ろなるものを感じさせただろう。
回復していた『フリーズポリアフ』のHPゲージが削られていく。
アイに自覚はない。
あるのは、彼女の基になった誰かの記憶だけ。
それが何を示すのかわからない。わからないけれど、それでも己は捕食し続ける。
もう二度と戻らない誰かの欠片を求めるように――。
大成功
🔵🔵🔵
ステラ・タタリクス
【ステルク】
|ルクス様に楽器《火に油を注ぐ典型的な例》……
いえ、鬼に金棒としておきましょう一応
アイテムは十分に回収しました
あとは強化
セラフィムをセラフィム・リッパー
ええ、赤く染め上げたクリムゾンリッパーに
これならばプラクトと同じ感覚で扱えるはず!
エイル様乗ってください!
私が貴女に勝利を捧げましょう!
ルクス様はキメワザのご準備を
機体が宿すは|赤《悪性》
されど|私《乗り手》がある以上
もたらす結果は善にも悪にも揺らぐ
エイル様を守りたいという気持ちこそが良心なれば
【クリムゾンウイング突撃】いきます!
氷の斬撃はビームで叩き落しつつ
|一撃離脱《ヒット&アウェイ》が可能なはず!
この隙を
ルクス様今です!
ルクス・アルブス
【ステルク】
最近ちょいちょい酷いこと言われてる気がするんですよね。
なんか|変な技能《ルビ芸》とか使ってません?
って、
ここでしれっと『エイル』さんと2人乗りとか!
『エイル』さん、気をつけてくださいね。
身の危険を感じたら、大きな声出すんですよ!
叩いたりしても喜ぶだけですからね!
……あれ?
ステラさんが『エイル』さんとってことは、
わたし置いて行かれました!?
しかもとどめ丸投げとか!
メイドの勇者づかいが雑で荒すぎる件。
機体が|赤《悪性》。ステラさんが乗り手。
それって揺らがないですよね?悪確定じゃないです?
わわわっ!?
や、やりますやります!
バイオリンもらいましたし、ここは久々の【カプリス】で吹っ飛べー!
なんだか最近ちょいちょい酷いことを言われているような気がしてならない。
それは、ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)の感じるところであったし、ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)の体得した技能のせいでもあった。
「|ルクス様に楽器《火に油を注ぐ典型的な例》……いえ、鬼に金棒としておきましょう一応」
「ほらそれ!」
ルクスはステラの言葉を指差すようであった。
言葉を指差すというのもなんだか変な表現であったが、なんかそうとしか言いようがない感覚だったのだ。
「はて」
「なんか|変な技能《ルビ芸》とか使ってません?」
ルクスも使ってるやつである。
これでおあいこ。はい、この話やめやめ。
そう言わんばかりにステラは鋼鉄の巨人『ギガンティック・ギア』、『セラフィム』を回収したアイテムでカスタマイズしていく。
「いいえ、おそらくルクス様の気のせいでございましょう。今は『セラフィム』のカスタマイズに余念がございません」
「カスタマイズって……」
「赤く染め上げただけじゃないですか?」
「ふっ、これならば『プラクト』と同じ感覚で扱えるというものです。さあ、『エイル』様、乗ってください!」
「えっ!?」
急に話を振られた亜麻色の髪の少女ノンプレイヤーキャラクター『エイル』が私? と指差す。
有無を言わさぬステラ。
手を取って『セラフィム』のコクピットに『エイル』を引っ張り込む。
「私が貴女に勝利を捧げましょう! あ、ルクス様はキメワザのご準備を」
「えっ! わたしは中に入れてくれないんですか!?」
「悪いですが、ルクス様。この『セラフィム・リッパー』は二人乗りなのです」
「じゃあ、私が……」
「ルクス様には敵へのトドメという役割がございますので」
有無を言わさないステラ。
二度目である。
「しれっと『エイル』さんと二人乗りする口実をねじ込んでくるメイドやばないです?」
やばい。
「『エイル』さん、気をつけてくださいね。身の危険を感じたら、大きな声出すんですよ! 叩いたりしても喜ぶだけですからね!」
その助言もどうなのだろうかと『エイル』はちょっと思った。
叩いたら喜ぶ? なんで?
純粋な『エイル』は首を傾げるばかりであったが、ともかくなにかされたら大きな声を出せばいいということだけははっきりしていた。
「それでは参りましょう! 機体が宿すは|赤《悪性》。されど|私《乗り手》がある以上、もたらす結果は善にも悪にも揺らぐ」
「いえ、ステラさんが乗ってる以上、それって揺らがないですよね? 悪確定じゃないです?」
ルクスの容赦ないツッコミが飛ぶ。
だが、ステラは構わなかった。
他の猟兵たちの攻撃のよってバグプロトコル『フリーズポリアフ』のHPゲージは半分二まで落ち込んでいる。
ならば、ここで一気に押しつぶすまで。
「いいえ、『エイル』様を守りたいという気持ちこそが良心なれば……『セラフィム』!!」
その言葉と共にアイセンサーがユーベルコードに輝く。
【プラクト専用】クリムゾンウイング突撃(クリムゾンウイング)が発露し、光の翼を噴出させながらステラの駆る『セラフィム』が『フリーズポリアフ』目掛けて飛ぶ。
放たれる光条は苛烈にして『フリーズポリアフ』の巨剣を穿つ。
「武器がなかろうとも!」
「いいえ、詰みというものでございます。この時点でルクス様を敵に回したといううことは!」
「えっ、えっと?」
ルクスは困惑していた。
なんかこう、特に打ち合わせなしでルクスにトドメが振られている。
何をどうすればいいのか。
わたわたしながらルクスは巨大なバイオリンを構える。
「つまり?」
「いつものやつ、ということです1」
「えー、でも久々なので! ここは! 必殺の一撃です!」
振りかぶるは巨大バイオリン。
そう、このために手に入れたアイテムをステラはルクスに託していたのだ。
力を貯めることによって巨大なバイオリンはユーベルコードに消化する。ステラの突撃は『フリーズポリアフ』の視線を釘付けにさせるためであったのだ。
「最後はお任せします!」
「ええい、行きます! Caprice No.24(カプリスダイニジュウヨンバン)!!」
もはや演奏でもなんでもない。
ぶん回された巨大バイオリン。
それはただの質量兵器となって『フリーズポリアフ』の脳天へと叩き込まれ、その一閃は彼女が玉座としていた氷の浮遊大陸すら砕きながら、『ミスティックダンジョン』をクリアしたファンファーレをフィールドに鳴り響かせるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵