本日は邪神博などいかがでしょうか
#UDCアース
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●当館はどなたでもお楽しみいただけるエンターテイメント博物館でございます
「本日は当館にご来場いただきまして誠にありがとうございます。ただいま二階の展示ブースにて体験コーナーイベントが開催されております――――」
通る女性の声のアナウンスが響く博物館は家族連れや学生で賑わっている。大昔に落ちてきた彗星の欠片や近場の発掘所で採取された化石等を展示しているこの場所は来場者を楽しませることに余念がない。体験コーナーや開催イベントは連日子供達で大賑わいだった。今日はガラスの箱の中に霧を発生させ、霞を作り出すイベントを行っている。
「皆々様の笑顔の為に我々スタッフ一同心より尽くさせていただきます」
ごせいちょう、ありがとうございます。
●本日はお集まりいただきまして誠にありがとうございます
一枚の紙を興味深そうに眺めている我孫子・堅は集った仲間の気配に目を上げた。
「ああ、すまんすまん。少し面白そうなチラシを見つけてな」
ひらり、と片手に揺れているのは確かにチラシで、UDCアースの世界に存在する博物館のイベントを告知するものだった。老若男女、楽しめる様々なイベントを用意しているようで、かなりの人が集まる予感を感じさせる。
「面白そうだろう。俺も行ってみたいと思ったんだが……例によって予知が俺にこの施設に邪神復活儀式が行われるであろう影を見せた」
先ほどの穏やかな空気から一気に緊張が走る。邪神が復活してしまえば博物館内にいる一般人に大きな被害が出ることは間違いない。我孫子の声も真剣に事の詳細を語り始めた。
「邪神復活儀式を画作しているのは邪神を信奉する一教団だ。彼等は博物館の施設スタッフに紛れ込んでいるようでな、一般スタッフとはあまり見分けがつかない。誰が教団員か慎重に見極める必要がある」
正規スタッフに対し教団員は一握り程度の人数らしい。つまり、数いる施設スタッフの中からほんの少ししかいない潜伏教団員を探り当てなければならないということか。相当な苦労があるのでは、と身構える仲間に我孫子は緩く首を振った。
「教団員も完璧に場を捉えているわけではない。どこかしらに怪しい部分があるだろう。スタッフとして怪しい行動をしてないか観察するのも良いかもしれん。あるいは……少し行儀が悪いが、会話に聞き耳を立てるのもありかもしれんな」
勿論、強硬手段に出ることも可能だが博物館という場所である以上あまり騒がない方がマナーが良いというものだ。実行するなら最小限に留めるのが望ましいかもしれない。
「教団員探しは各々に任せる。なに、自分が良いと思ったことをすればいい。おのずと結果はついてくるものだろう」
教団員を探し出せれば邪神の復活は阻止できるだろう。もし仮に儀式が強行的に執行されたとしても不完全なものに終わるはずだ。
「何かしら戦闘になった場合、避難誘導等のサポートは任せてくれ。……それじゃ、よろしく頼むぞ」
真剣な声音に合った顔をしていた口が、最後にはふっと緩む。それは仲間に対する柔らかな信頼の現れだった。
楪カジ光
楪カジ光と申します。よろしくお願いします。
今回はUDCアースの世界にて博物館に潜伏して邪神を復活させる儀式を行おうとしている教団の目的阻止をしていただきます。
博物館は比較的最近建てられた近代チックな外内装の建築物です。最近の博物館はオシャレですよね。
それでは、皆さまの御活躍お待ちしております。
第1章 冒険
『教団員を探せ』
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POW : 自分が怪しいと思った相手に力を見せつける
SPD : 容疑者の情報や証拠から教団員を特定する
WIZ : 会話して得られた情報から教団員を推理する
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
白神・杏華
博物館って何だかワクワクするよね。……いやいけない、今は教団員さん達を探すことに集中しないと。
こんな所で邪神復活の儀式を狙ってるなら、何も知らない人を参加させて巻き込める二階の体験ブースか、或いは人目のつかない場所で教団員同士で集まれるスタッフルームの辺りが怪しいかな?
その辺に当たりをつけて、普通の客として近付くよ。私目立たないしね。
それらの周辺で「五感強化」を発動。視覚強化でスタッフの身なりを見て教団のシンボルやマークなどがないか探したり、聴覚強化でスタッフ同士の会話に集中し怪しい会話を探すよ。
発見できた場合は出来る限りその人から目を離さないようにしつつしばらく尾行する。ちょっと怖いけどね。
『UDCアース』の世界では近代建築と言われる構造の博物館の前に立った白神・杏華(普通の女子高生・f02115)は目を輝かせて出入口の自動ドアを潜る。
「うわぁ……! ……はっ! いけないいけない……」
思わず館内を巡ろうとしてしまった思考を振り払う。今この施設を脅かす者を探すのが先決だ。その為にもまず怪しい所に目星をつけなければ。
小さく気合いを入れ直す杏華の目にはちょうど利用できそうな館内マップの山積みがあった。施設の構造を知るにはうってつけである。それと横にある体験イベント内容のチラシも一応取っておく。情報は多い方が良い。
「人が集まりそう……かすみ? の体験イベントかー……」
他にも関係者立ち入り禁止の場所を確認しながら杏華の足は二階へと移動する。残念ながら体験参加はできなかったものの、後ろで様子を見ることは誰でもできるらしい。子供たちがガラスケースをじっと見つめる中、施設スタッフが中に煙やミストを入れていく。
この体験コーナーにいるスタッフは四名。運が良ければ怪しい特徴を持ったスタッフがいるかもしれない。杏華はこっそり【五感強化(クインタプル・センシズ)】を発動した。
「……あ……」
いた。一人だけ、見たこともない色で彩色された小さなピンバッチをつけている。館内マップに記載されていた博物館公式ロゴとも似ても似つかないデザインだ。その人物は体験コーナーの時間帯責任者のようで、イベントが終わるとそそくさと立ち去ってしまった。こっそりその後ろ姿を追えば、同じようなピンバッチを付けたスタッフが近付いているのが見えた。
「…………うわぁ……」
怪しい。怪しすぎる。杏華の心の声が大きく上がる。それと同時に、教団の儀式がすぐ近くに存在していることへの確信も大きくなるのだった。
成功
🔵🔵🔴
神原・響
スタッフに施設の説明を受ける傍ら、最近変わったことが起きてないかそれとなく訪ねる。
館内を実際に歩いて怪しい所がないか調べる。
WIZ+コミュ力5+地形の利用1
始めての来館者を装って博物館の施設案内所へやってきた神原・響(黒の女王の契約者・f06317)は、受付係の男性スタッフに館内の説明を受けていた。
「以上が館内の全体的な説明ですね」
「ありがとうございます。大変参考になりました」
穏やかに返す笑みは男性スタッフの観察を忘れない。しかし、彼に怪しい所は特になかった。他にも案内を受けている間に館内エントランスを見回して見たものの、目に映るスタッフはどれも正規の施設スタッフのようだ。
「……ところで、この博物館、中々人が多いですね」
話題を切り替え、糸口を探そうと試みた響は温和な口調で男性スタッフに話しかける。話題を振られた相手は、そうなんですよー、と少しだけ困った顔をした。
「最近採用された方がちょっと多くて……スタッフが多ければ解説訳とかも沢山配置できていいなー、と思っていたんですが……何故か人数が多く感じられないんですよね」
おっと仕事の愚痴は御内密に、と男性スタッフは人差し指を口に当てる。勿論です、とにこやかな声で返事をした響の心には邪神の儀式で彼等を脅かそうとしている者への嫌悪が燃え上がった。
苦戦
🔵🔴🔴
心象創造・空蝉
WIZを選択
博物館…こういう場所は人が多く集まる。隠れ蓑にはおあつらえ向きだ。生け贄は多い方がいいだろうからな。まずは客として入場し、休憩所かトイレを探す。そこでユーベルコード:変幻地走り影法師を発動。自分の影と同化させ展示会場に戻る。そして会場にいるスタッフに作品の詳細を聞き、ついでに神に関した質問をする。(例えば「自分は神を信仰しているんだが、ここにそういう作品はないのか?」等)それに対し、怪しいと思う答え(同調もしくは動揺)をしたスタッフを、影法師で追跡させよう。教団員だった場合、離れたところで会話を盗み聞き、情報を得る。もし会場で他の猟兵と合流した場合は、勿論協力して教団員を探そう。
生贄は多くあればいいということか。心象創造・空蝉(接触者・f05647)は敵の思考を想像し顔を顰めた。
「……とりあえず、休憩できる場所を……」
幸い、近くにトイレがあった。数の少ない個室に入り、自身の影法師を呼び出す。
「『汝顔を持ち顔を持たぬ者、我が影より生まれ、誰そ彼、彼は誰、闇夜を問わず追跡せよ、うがうなぐる ふたぐん。変幻地走り影法師』……」
周りに悟られないように小さく詠唱を唱えると、自身と同じ大きさの影が目の前に現れた。【影】は静かに床に溶け、空蝉の影と同一化する。
「……よし、準備完了だ」
怪しい者がいれば【影】で追跡できる。教団員探しの用意は万全だ。トイレから出た空蝉は一階の第一展示場へと足を運ぶ。その場所は博物館周辺の歴史を物語る発掘品が並んでいるブースだった。近くにいる案内スタッフの女性に展示品の詳細を尋ねると、大昔の信仰に関係していると熱く語られた。
「すごいでしょう! 大昔の人間はこれほどまでに奉仕を積み上げていたのですね」
「……熱がすごいな。神について勉強してるのか?」
「ええ、ええ! 勿論、知れば知る程楽しいですよ」
満面の笑みを浮かべたスタッフはそのまま勤務の交代時間だ、と去っていく。眉を顰めた空蝉はその後ろを【影】に追わせた。
関係者立ち入り禁止の扉前、険しい顔で立つ数名のスタッフに件の女性が混じる。
「手筈……ああ、そうですね。中で話しましょうか」
肝心の内容はやはり外には漏らさないようだ。しかしこれは教団員特定への確実な足掛かり。空蝉は人影の消えた扉の向こうを離れたところで睨みつけていた。
成功
🔵🔵🔴
江戸川・律
最近採用されたスタッフとピンバッチ
いやぁ、いいネタ仕入れてくれたよ
併設のカフェブースで、苦めのコーヒーを飲みながら
スペースシップワールド製の中身と入れ替え偽装した
超ハイスペックノートパソコンを叩きます
SPD値(早業5・罠使い5(クラッキング)・ハッキング5を使用)
博物館のシステムにハッキング
館内スタッフ及び最近採用されたスタッフの顔写真を入手
監視カメラのリアルタイム映像データを吸い上げて
顔認証解析ソフトを走らせ
HITした映像を元にピンバッチの有無
またピンバッチを付けた人物の行動パターンの解析
仲間からの新しいネタを待ちつつ
解析が終わるまでゆっくりと人の流れを眺めます
すいませんコーヒーのお代わりを
萬場・了
ふひひっ。どんなおもしれぇもん(邪神)が出て来るのかすげえ楽しみー。は?館内撮影禁止?そりゃあ悪りぃな。
録画を切ったフリをしてそのまま鞄に入れておくぜ。何か怪しい会話が録音出来るといいんだけどな!
怪しいピンバッチだっけ?まだ、情報が足りねえかな。着けてるヤツ探して、出入りしているスタッフ用のスペースがあれば【影の追跡者】で侵入してみるぜ。
他にも怪しいものがあれば一瞬拝借して…もしくはカメラで撮影でも出来れば証拠として使えっかな?バレそうになったら「迷い混んじゃって」と記憶消去銃で記憶を消して逃げれっかな?
(使用技能:視力、失せ物探し、鍵開け、盗み、情報収集、催眠術、コミュ力、逃げ足)
己条・理鎖
博物館ですか。道具が本体の身としては物を見世物にするというのは少し思う所ありますが、手荒に扱われるわけでもないようですし今回の事件にも関係ない以上余計な考えですね。
教団員を探す為に博物館内を色々回ってみます。
イベントを行っているということもあって成功させるためにスタッフの方はお客様に積極的に関わったりイベントの運行に対して注意を払ったりしています。
逆に教団員はそういったことには関心がないので本物のスタッフの方と比べそういった部分が態度に表れているはずです。
こうした態度の違いに注意を払い教団員の特定を試みましょう。
博物館一階奥、カフェスペースのそのまた窓際の小さなテーブル。そこに江戸川・律(摩天楼の探求者・f03475)は座っていた。持ち込んだスペックの高いPCがデータ照合処理をしているが、誰もそれが『博物館内に勤務しているスタッフの履歴書情報』だとは考えつかないだろう。
「おい、律さんよ。まだ解析終わんねぇのか」
それを横目で見やっているのは同じ場に居合わせた萬場・了(人間のUDCエージェント・f00664)だ。一度は止められた持ち込みカメラを使って動画を撮影したのだが、内容をどう解析しようか悩んでいたのだ。その矢先、律からデータ照合に使おうと持ちかけられ二人はカフェベースに仮の拠点を築いたのである。
「まあ待ちなよ。こういうのは焦っても機械を壊すだけだ」
PC等はデリケートだ。叩かれて壊れでもしたらどうしようもない。落ち着いた声で律はコーヒーを啜る。独特の苦みの中に少しだけ酸っぱさを感じる舌触りに、表情も穏やかだ。
「はぁー。まぁ、待つけどよぉ……俺も何か注文してくるか」
そう言って席を立つ了の背を見送って律の目は博物館内を流れゆく人に向けられる。スタッフも多いが、やはり一般人の出入りも多く感じられる。一体、どれだけの人を巻き込もうとしているのか。そこまで思考を巡らせていたところ、後ろから声を掛けられる。
「あの、もしかして、調査している方でしょうか?」
少し緊張した声音で呼びかけたのは、己条・理鎖(裁きの鎖・f05312)だった。律が同意の頷きを返すと、ほっとしたように顔を緩める。
「よかった。あなたも何か情報を?」
「今、別の仲間と共有していたところだ。そっちの持ってる情報とも整合させてもらえれば助かる」
「ええ、勿論です」
博物館内を細やかに見て回った理鎖は怪しいスタッフを何名か見つけたようだった。
「動向が怪しいスタッフは仕事以外の場では二名以上で行動しているみたいです。それと……やはり皆さん怪しいピンバッチを身に着けていました」
「やっぱりそうか。了のビデオにもピンバッチはしっかり映ってる……それに」
ぴぴ、と解析完了の音が鳴る。PCが導きだしたのは十名の顔写真。胸から上までを映しているそれは全員がピンバッチを付けていることを知らせる。
「彼等は履歴こそバラバラだけど、博物館勤務になった時期は同じだ。これは、大当たりかもな」
「この方たち、全員二階の関係者立ち入り禁止のドアに入っていくのを見ました……!」
理鎖の言葉に律の口角が上がった。そこへ飲み物を持った了が合流する。
「何か分かったか?」
「ああ、バッチリだ。この情報、仲間に共有するぞ」
解析された情報は確かに仲間に伝えられていく。
「ふひひっ。どんなおもしれぇもんが出て来るのかすげえ楽しみー」
「悪であれば断罪しなければなりませんね」
「……さて、と。すいませんコーヒーのお代わりを」
仲間が情報を元に集う前に、このおいしいコーヒーのお代わりをいただこう。飲み終わる頃にはきっと、全て陽の元に真実が照らされているはずだ。
大成功
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第2章 集団戦
『パープルテンタクルズ』
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POW : 押し寄せる狂気の触手
【触手群】が命中した対象に対し、高威力高命中の【太い触手による刺突】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : 束縛する恍惚の触手
【身体部位に絡みつく触手】【脱力をもたらす触手】【恍惚を与える触手】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ : 増殖する触手の嬰児
レベル×5体の、小型の戦闘用【触手塊】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
イラスト:某君
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●当館の迷惑行為は他のお客様の御迷惑になります
教団員を見事拘束した一同。教団員は末代まで祟ってやると言うかのような恐ろしい顔で自分の敵を睨みつけている。
「おのれ……! せっかくの邪神様復活の儀が……中途半端なところで終わってしまったではないか!!」
その言葉に教団以外の全員が戦慄する。まさか、既に儀式に着手していたとは。人数が居れば可能だったのだろう。猟兵達は協力者として派遣されたUDC組織に来館者の避難を促す。それと同時に立ち入り禁止の扉の奥から、ひたりひたり、と不気味な水音が響き始めた。
「ああ、この音! 神が、神が降臨なされる!!」
気を違えた教団員をUDC組織の人間が引っ張り出していく。猟兵以外が博物館から退避するのにそう時間は掛からなかった。
空気が変わる。奥からおどろしい呻き声が上がる。自分達を纏め上げる【何か】が紡いだ。目の前の『外から来た敵』を滅ぼせ、と。考える能はない、振う腕があるだけ。【何か】を守り、『外から来た敵』を滅する。それが我の、我々の存在なのだ。
猟兵達の目に教団員が語った邪神が映る前に、触手の壁が大きく立ち塞がっていた。
己条・理鎖
なんとおぞましい……!見ているだけ、いえ存在を感じるだけでも非常に不愉快です!一刻も早く滅ぼさなくては!
敵は集団ですし触手に捕まるわけにもいきません。
SPDを活かして動き回り敵の攻撃を避け囲まれないように位置取りを注意し立ち回ります。
それと同時に【錬成カミヤドリ】を使用し我が本体である鎖を複製し、それらによる複数攻撃を仕掛けます。
敵が触手を用いてこちらを捕獲しようとするなら逆にこちらも鎖をもって敵を縛り上げ粉砕するとしましょう。
江戸川・律
言いくるめ&コミュ力で場を落ち着かせてから
UDC組織の協力者に一般人の避難を指示
這い寄る触手に向き合います
しかしまぁ、普段と違って
被害は最小限とかオーダー内容多いけどさ…
俺のやるべき事は時間稼ぎ全力出すのは避難完了した後で十分ってね!!
抜けるなら抜いてみな
俺の檻は中々硬いぜ!
罠使い 早業 を使い
レプリカクラフトで
通路いっぱいの檻を作り足止めを仕掛けます
アドリブ上等です
教団員が復活させようとしていた邪神への行く手を阻むかのように幾多の触手……UDC組織通称、『パープルテンタクルズ』が蠢きながら理鎖と律の前に巨大な壁を作る。
その姿、正に狂気そのもの。相手を容易に絡め取れてしまう太いものから、抵抗する気力を削ぐために細やかな動きができそうな細いもの、精神に何かしらの負荷を植え付けそうな極彩色のものまで様々な形状の触手がひしめき合う。それらに捕まってしまえば最後、成す術もなく屈してしまうだろう。
「なんとおぞましい……! 見ているだけ、いえ存在を感じるだけでも非常に不愉快です! 一刻も早く滅ぼさなくては!」
そう声を上げる理鎖の手には自身の本体である鎖が握られている。【錬成カミヤドリ】にて複製された鎖は向かってくる触手を弾き落していった。
対して律の周りにも複数の触手が蔓延っているが、【レプリカクラフト】で作られた檻状の罠のせいで律自身に狂気が届かない。
「抜けるなら抜いてみな。俺の檻は中々硬いぜ!」
留まった触手を一本一本弾いていく二人に、パープルテンタクルズは数を持って更にうねりを上げる。勿論、二人もまた攻勢を緩めないのだが……どちらも一歩攻勢に出れないでいる。相手の攻撃が当たらないのは上々なのだが、こちらも防衛に回る攻撃で固めているので相手の勢いを食い止められていないのだ。
「相手の手数が多すぎて決定打を与えられないのか」
冷静に分析する律の側、理鎖もまた同じような思考で敵を見定める。
「このおぞましい狂気の中にそのような理知的な部分があるとは思えませんが……その部分も含めて更に不愉快になります……!」
弾き返す鎖と足止めする檻。決して倒れることの無いのは双方同じで、そもすれば後ろにまだ強大なものを顰めるパープルテンタクルズの方が優勢といえるのかもしれない。苦虫を噛む思いであるが、まだ痛手を負っていない今なら勝機を導き出せるはずだ。
「何か大きく奴らにダメージを与えることの出来る作戦が必要だな……」
気色の悪い触手の前、律は最善の策を考えながら高い肉壁を見上げた。
苦戦
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神原・響
触手に対して素早く銃を抜き放ち射撃。
出来れば展示ブースで暴れられないよう注意する。
POW+2回攻撃2、クイックドロウ1+呪詛耐性1
震える触手群が痺れを切らしたのか、大きく鋭い触手を囲んで襲い掛かる。大波のような拘束触手に響は一瞬怯むも、一カ所だけ触手の束が形成出来ていない箇所を見つけた。滑り込むように間合いを詰めると、触手の波は響の体を通り過ぎて倒れ伏してしまう。残った太い触手は拘束された獲物が無いことに動揺しているようで、動きが鈍い。そこを狙って素早く50口径改造二丁拳銃を打ち込む。対UDC様にカスタムした銃から放たれた攻撃は触手を貫通した。
「読み通りでしたね、姫」
自身に宿る【黒の女王】へそれとなく呟く響。返事こそなかったものの、体は軽い。一方の触手は自身を抉られた痛みからなのか、先程よりももっと動きが鈍くなっていた。
「このままもう二発ぐらいは叩きこみましょうか」
内装された自動詠唱機構が淡い光を漏らす。触手の波を後退させたパープルテンタクルズに追撃を与えるチャンスだ。また触手の肉壁に覆われてしまう前に、響の銃弾は太い触手を正確に打ち抜いた。
拡がった穴により先端の肉がぼとり、と落ちていく。その痛みに耐えるかのようにパープルテンタクルズは全ての触手を震わせていた。
大成功
🔵🔵🔵
イクス・ノーハート
うーん、ヤバイですねぇ。実にヤバイ。晩御飯が不味くなりそうだぁ。
取り敢えず、大型っぽいんでエンチャントジュエル使って無難に「炎属性」付加して機骸を無骨なブレード状(武器改造)にしてから斬りましょうか(属性攻撃)
白神・杏華
いやああ、無理無理! 見た目と動きが超無理!
……とはいえ、ここは頑張らないと。うぇー。
バトルキャラクターズで人型のキャラクターを召喚。5体はそれぞれ単体のまま前方で運用し、もう7体は後ろに待機させる。
前方5体をそれぞれ触手の前に立たせ、私の身を守らせるよ。ごめんね。
前方の5体がそれぞれ触手に絡まれたり触手との戦闘を開始したら、後方の7体を合体させ1体にする。
前方の5体に集中している隙を突いて合体した一体で横から触手を攻撃するよ。
絡みつくために伸ばした触手は、真横からの攻撃には対応できないし弱いはず。
私は触手を食らわないように極力後ろにいるよ。下手するとユーベルコードが消えちゃうしね……。
萬場・了
【WIZ】選択
キタキタキタ~ッ!!やっとお出ましだぜ!こういうの待ってたんだよなあっ
他のヤツもド派手に頼むぜえ!俺がばっちり活躍をこのカメラに収めてやっからよお!
カメラを構えながらも〈第六感・見切り・逃げ足〉を利用して触手の攻撃を避ける。おっと、味方の攻撃も当たんねえようにしねえとな!
ふひひっ、敵さんも増殖してきた感じ?
は~い、触手のみなさん記念撮影しますよ~もっと寄って寄って~?カメラのフレーム内にぎっしり触手の姿が収まったら【強制記録媒体】〈撮影・恐怖を与える・生命力吸収〉を発動。悲鳴なんざ上げらんねえだろうけどさあ、いいリアクション期待してるぜ!!
「キタキタキタ~ッ!! やっとお出ましだぜ! こういうの待ってたんだよなあっ」
さながら狂気を宿したかのように笑う了は自身の持つカメラを回し映す。レンズに反射するのは触手に立ち向かう仲間とその触手そのものであるパープルテンタクルズだ。
「うーん、ヤバイですねぇ。実にヤバイ。晩御飯が不味くなりそうだぁ」
緩い口調で敵を見定めるイクス・ノーハート(無望の大禍・f06772)の手には炎を宿した大剣と化したバラックスクラップ、機骸が握られている。所々漏れ出た熱気が本体を振るわずとも襲い来る触手を次々と焦がしていくため、イクスはただ狙いを定めた触手にだけ一撃を下せば良いだけだった。
「まぁ、蛸のような形ですしぃ? 火を通せば何とかなりますよねぇ?」
ガツ、と機骸が床に叩きつけられる。衝撃に炎の熱気が合わさったそれはまた複数の触手を焼いた。
「ヒュウ! その活躍、いただきだぜ!」
了のカメラに次々と仲間の雄姿が映っていく。自身に向かってくる触手は【強制記録媒体(オビディエント・パフォーマー)】の餌食にされるので扱いの差に涙が出ることだろう。パープルテンタクルズに涙腺はないので特に無用の心配かもしれない。
その絶望に悶える触手の群を杏華は若干青ざめた顔で走り抜ける。
「いやああ、無理無理! 見た目と動きが超無理! 我慢するけど早くやっつけようよ!」
常人なら気を違えているであろう姿にその感想は正しい。杏華の周りを守るようにして作り出された【バトルキャラクターズ】の小さな勇者一行も同意の頷きを返す。……その勇者達は数分後、杏華の代わりに触手に振り回されたりしているのだが。
「はわわ、ごめん、ごめんね……!」
身代わりに謝る杏華の後方、控えていた別の【バトルキャラクターズ】が彼女の力になろうと拳を突き上げる。それは大きな光の螺旋となって大きな翼の生えた長身の竜騎士と成った。
「お願い、頑張って!」
短い指令ではあるが、竜騎士はそれに微笑みと頷きをもって応える。宙を舞ったその光は勇者一行をボールの様に叩きつけていた触手の横を捉えた。そのまま横薙ぎに一閃すれば、一帯の触手が真っ二つに切断される。
「他の触手もお願い!」
主の声に応えよう、と言うかのように竜騎士は翼を翻し宙を舞い踊った。
「へぇー。中々やりますねぇ。ではこちらも少しだけ頑張りますかぁ」
触手を切り刻む光を隅に、イクスはゆっくり肩を鳴らす。そして懐から取り出したエンチャントジュエルを既に炎を纏っている機骸へ当てた。二度火属性を付与された刀身は赤く染め上げられ、余りの熱量に周りの空気が水蒸気と化す音がし始める。その赤に気付いたのか、パープルテンタクルズそれ自体が委縮するような震えを発し始めた。自身が嫌うのは圧倒的な熱とでも示すかのような行動は、イクスに笑いをもたらすことしかない。
「おっとぉ。全く、だめですよぉ。自分の弱点ぐらい隠さないとぉ」
正解、見つけた。にぃ、と笑うイクスが機骸を思い切り振り投げる。一投の鏃と成った機骸は見事パープルテンタクルズの触手を焼き千切り、大きな壁を燃やし尽くしたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
第3章 ボス戦
『『灰霞の剣』ヴォル・ヴァ・ドーズ』
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POW : 焔を焚く者
真の姿を更に強化する。真の姿が、🔴の取得数に比例した大きさの【灰色の焔 】で覆われる。
SPD : 灰霞の剣
【灰霞の剣 】が命中した対象を燃やす。放たれた【霧とも霞とも見える灰塵の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ : 焔・灰・剣(BLAZE ASH BLADE)
【焔か灰か剣】が命中した対象を切断する。
イラスト:烏鷺山
👑17
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「吾唐木・貫二」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●ゴ生寵イタだきまして、有リ難ウ御座イマス。其レデハ、又御遭イ死まショウ
触手の壁は崩れ去った。しかし、まだ終わっていない。後ろに控えていた『何か』が遂に猟兵達の目の前に現れた。
黒い霞が辺り一面に這い登る。儀式が不完全だったからか、それとも元々こういった姿なのか。ただ、青いガラス玉のような瞳が猟兵達をじっと見つめている。
深淵ヲ覗くが好イ。深淵は何時モ其ノ奥ヲ観テ居ル。愛シき真名ヨ。珠ヨ。魂よ。生シて寵請け我ハ遭イされタのデある。
声にならない空気の振動が猟兵の背に緊張をもたらす。博物館に忍んでいた影に、今こそ終止符を打つ時だ。
江戸川・律
『灰霞の剣』!?またコイツかよ!?
この前、森で苦戦した嫌な記憶が頭をよぎります
しかも今回は動き回れない室内…んっ?室内…
ここ最近作られた建物だよな
天井に設置されたスプリンクラーや消火器に目が行きます
(使えるか?試すだけの価値はあるか…)
アルダワ魔法学園で新開発した
早業5、罠使い5、戦闘知識5、破魔5、衝撃波4、念動力5、誘導弾1
複数の技能を利用した
『レプリカクラフト:破魔の石剣』を試します
スプリンクラーが熱と煙で動き出すのを期待しつつ
質量を持たせた石の大剣生成
表面に破魔・衝撃波・誘導弾の刻印を刻み
念動力で浮かせ
衝撃波を推進力に
『灰霞の剣』を貫き消火器も巻き込むように投げつけます
アドリブ上等です
神原・響
すごく暑そうですねぇ。あまり近づきすぎないように遠距離からの攻撃ですかね。
ここ、館内ならスプリンクラーや消火器があると思うんで、それらを作動したり、使ったりしましょう。事前のプレイングで館内の説明と案内は受けてますのですぐ見つかるでしょう。地形の利用3
大した効果は得られないかもしれませんが。相手が炎タイプなら嫌がらせぐらいにはなるでしょう。その隙に他の皆さんには、邪神を攻撃してもらいたいですね。
遂に目の前に現れた邪神の容姿に律は嫌な汗を浮かべる。二度までも、とは叫ばないもののこうも縁があるとは嬉しくない。
「室内だから動きづらいしな……」
その呟きには響も同意する。
「スプリンクラーや消火器なんかの使えるものがあるというのが唯一の利点ですかね」
「そうだな……やってみる価値はあるかもしれない」
相手の体から吹き出るのは炎に似た特性を持っているのか、近付くと少し焦げたような香りがする。ならば、考えられる弱点はあれしかないのではないだろうか。
律の【レプリカクラフト】が今度は石剣を作り出す。破魔の力が付与されたそれを複数並べたところで響がヴォル・ヴァ・ドーズの右斜め後方を指した。
「その位置に二つ、更に反対側に一つ消火器があります!」
事前に確認した情報が役に立つ。頷きを返した律の手から石剣が離れていき、その狙いは真っ直ぐ消火器へ向かう。ガツン、と鉄に穴が開く歪な音と共に赤い物体が宙を舞った。抜かれた消火器は普通であれば壁にぶつかってはじけ飛ぶだろう。しかし律の放った石剣は物理法則を無視するが如く、軌道を90度曲げてヴォル・ヴァ・ドーズの体に刃を向けた。
「もう一方は任せて下さい!」
響の声と共に今度はUDC改造対物理狙撃銃のティンダロスが放たれた。対象への追跡機能が搭載されているそれは見事に消火器を撃ちぬいた後、石剣と同じようにヴォル・ヴァ・ドーズへ向かう。左右からの同時攻撃に大きな焔はその身にて凶刃を受けるしかない。
穴の開いた消火器はそれぞれ爆発し、中の液体と粉末をまき散らした。
「それと、駄目元でもう一押し」
響は天井の一角を改造二丁拳銃で撃ちぬいた。そこにあったのはスプリンクラー。新型のそれだが、外からの予想だにしない衝撃はしっかり作動回路を破壊した。施設内には警報が響き渡り、次の瞬間には勢いの強い消化水がヴォル・ヴァ・ドーズの全身に降り注ぐ。
施設のありったけの消化機能をぶつけられたヴォル・ヴァ・ドーズは出現した時よりも弱っているように見えた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
己条・理鎖
触手が終わったと思ったらまだ出てくるんですか。さっさと消えて下さいよ、目障りで目障りで我慢できないので!!
SPD重視
攻撃を受けないよう敵の動きに注意して回避重視で立ち回ります。
自分で敵を倒すことではなく他の猟兵の方のサポートを目的に動きます。
他の猟兵の方が動きやすくなるようにする為に攻撃してきた後などの隙に【咎力封じ】で相手の動きを封じます。
どこがどういう体の部位かとかよく分かりませんが全身を縛ればなんとかなるでしょう。
封じることに成功したらその後は敵の拘束に全力を注ぎます。
白神・杏華
うう、背筋がぞわぞわする……。こんなのに勝てるのかな……?
ただ、一点ずっと気になってたことがあるんだよね。
何で教団員たちはわざわざあんな変なバッジをつけていたのかな。十人くらいだったら顔だけで判別できたと思うし、怪しまれる原因にしかならなかったのに。
もしかして、あのピンバッジは教団員同士じゃなくて、邪神が味方を判別するためのものだったんじゃ……?
レプリカクラフトであのピンバッジを模したものを作成して装着。攻撃せずに邪神に近づいてみる。ものすごく怖いけど、私は戦力としてはいまいちだし……!
効果があった場合はレプリカクラフトでそれを量産し、猟兵の皆に配ってみる。敵の攻撃を緩められるかもしれないし。
思わぬ攻撃を受けたものの、ヴォル・ヴァ・ドーズは自身の焔を解き放つぐらいにはまだ体力が有り余っていた。灰色の炎が理鎖と杏華の行く手を阻み、薄暗い硝煙にむせ返ってしまう。
「げほっ……。うう、空気悪いし、背筋がぞわぞわする……。こんなのに勝てるのかな……?」
杏華の言葉に、しっかりなさい、と理鎖が激を飛ばす。
「そこの炎! さっさと消えて下さいよ、我慢できないので!!」
それはこの空気になのか、対象が存在していることへなのか。理鎖の叫びを受け取ったヴォル・ヴァ・ドーズは体を揺らしながら再び炎を向ける。
怒りか、嘲りか、憎しみか。どれにしても違うかもしれないし、全て正しいのかもしれないが。
「目障りで目障りで仕方がないモノに容赦はいりませんよね!!」
理鎖には関係のないこと。そこに自分の耐えがたき何かがあるならそれを破壊するまで。相手の意志など無意味なのである。
放たれた鎖が向かってきた炎を貫き分散させていく。散った炎が床で燃え続けているため、周りは既に熱い。しかし理鎖がその場を引くことはなかった。
一方の杏華は教団員のバッチを複製し、敵の気を逸らそうと試みる。
「あのバッチには何か意味があるはず……」
しかし、杏華の身には既に炎が降りかかっていた。【バトルキャラクターズ】で作られた小さな戦士一行が必死に炎を切り刻んでいる間、何とか一つ複製を作り上げた杏華だったが、それを持ってしても炎は止まない。
「複製じゃだめなの? それとも、このバッチ自体には意味がない……?」
仲間を識別するのに使っていたにしては露骨すぎてお粗末な代物であった。しかし、本当にそれ以外に用途がなかったのか。真実は今判明できることではない。ただ分かった事実は教団員の存在は目の前の邪神にとっては『どうでもいい存在』に等しいということ。
「…………こんな身勝手ばかりの話は、ちゃんと終わらせないと……!」
誰も救われない、誰も救いがない、そんな物語が永遠と存在し続けることに終わりを告げる。杏華の愛する英雄譚はそういった人々の希望の物語。ならば自分もその終わりを紡ごう。しっかりとした意志を胸に、杏華は弱気だった先程とは違う、しっかりとした目でヴォル・ヴァ・ドーズを見据えていた。
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
萬場・了
(狂気に呑まれぬよう自ら狂気をかけ直し)
ハハハ、いいねえっ!ボスの登場!
後方で引き続き撮影しながらも〈第六感・見切り・逃げ足〉の技能で敵の攻撃をなるべく回避。
さあ、同じ技ばかり使い続けるなんてのはナンセンス…だけど、俺はやっぱり録ることしかできねえし。【強制記録媒体】〈撮影・恐怖を与える・生命力吸収〉を使用するぜ。敵さんの恐れてるもの、引きずり出してやるぜ。
他のヤツらも苦戦してたら〈おびき寄せ〉でもして敵の隙とか作れねえかな。ちょっと掠ったぐらいなら〈激痛耐性・呪詛耐性〉あるし何とかなるん、じゃね?…ふひひっ、いい画が録れるんなら炎なんか怖かねえよ。敵さんの物語はここでエンドにしようぜ。
未だに揺れる焔の壁に、了の気が一瞬だけ飲まれそうになる。それが如何に危険な事か、自身が一番よく分かっているはずだ。何とか理性の狭間に踏みとどまって調子を戻す。
「ハハハ、いいねえっ! ボスの登場!」
声高々に叫び、最初から回しっ放しのカメラを堂々と向ける。笑い声に反応したのか、ヴォル・ヴァ・ドーズは了にも炎を見せつけてきた。体の一部が大きな焔の剣と化し、了の頭上に振り下ろされる。レンズ越しに見えた攻撃を何とか避けてみせたものの、少しだけ自身の身が焦げたような痛みを得た気がした。
「おお、こりゃあ意外に熱い。見た目通りの熱量だぜ」
呑気に語っているがヴォル・ヴァ・ドーズの攻勢は了のカメラと同じく止まらない。熱によるレンズの強度が少しだけ不安になる。
「ったく、おっとここでシャッターチャンス!」
戦わずしてやり過ごすことが不可であると悟り、了は【強制記録媒体】を発動させる。意志があってもなくても、恐怖の感情と金縛りの効果はしっかりと効く。
「さぁて、どうしたもんか。俺はやっぱり録ることしかできねえし……」
録ることがこの場でどう働くか、全ては了の差配次第なのだが、本人はその無限なる可能性を掴みかねていた。
苦戦
🔵🔴🔴
イクス・ノーハート
あー、なるほどぉ。熱弱点見せ掛けて、実は得意・・・みたいな奴ですかぁ。まぁ、いいやぁ。
取り敢えず、SPD勝負でいきましょうかねぇ。
「炎属性」じゃあ反されそうですねぇ。
妖刀の「怨刀」をギムレーから、素早く取り出してエンチャントジュエルで「雷属性」付加させましょう。
使うのは、「錬成カミヤドリ」で。
自身の本体は、置いといて。
錬成品を纏いつつ敵に接近しましょう(ダッシュ)
敵の「灰霞の剣」を錬成品の棺桶や刀で受けつつ(武器受け)
懐に接近したら、居合いの要領で抜きつつ切り上げからの、切り下ろしで攻撃しましょうかぁ(二回攻撃+属性攻撃)
「炎属性じゃあ反されそうですねぇ」
今まで付与していたエンチャントを眺めながらイクスはそう呟いた。相手は炎そのものを肉体としているのだ。下手をすればこちらが呑まれかねない。
ヴォル・ヴァ・ドーズは攻撃を被っているものの健在だ。ここをどう切り崩していくか……。ふと、未だ天井から降り注ぐスプリンクラーが目に映った。そういえば、何処かで炎に有効なものを聞いたことがある気がする。それはこの状況に更に真価を発揮できるのではないだろうか。
「やってみますかぁ」
自身の本体内部に仕舞われていた妖刀、怨刀を取り出して別の属性を付与する。パチリ、火花を散らして拡散するのは雷だ。
言葉を介さないヴォル・ヴァ・ドーズがイクスの武器に反応する。それは自身に降り掛かるであろう厄災を予知してのことなのか。どちらにせよ、準備が整った時点でもう遅い。迫りくる炎の御剣はイクスの他の武器により全て受け流され、とうとう懐を許す。
「天に空あれば、また裁きも地に在り、ですねぇ」
切り上げれば火花が体を焦がし、切り下げれば雷が地に落ちるが如く濡れた体を引き裂いた。
「まぁ、空じゃなくて天井ですけどねぇ」
自身が生み出したものとは違う硝煙に、ヴォル・ヴァ・ドーズは一層震え上がった。
大成功
🔵🔵🔵
神原・響
周囲の地形に隠れてUDC改造対物理狙撃銃・ティンダロスで狙い撃つ。
弾丸には、聖言刻印弾を使う。
アドリブ、協力可
地形の利用5+火炎耐性6+スナイパー2+追跡1+戦闘知識3+衝撃波2+破魔4
ブスブス、と焦げ付いた音を響かせてヴォル・ヴァ・ドーズは尚も燃え上がる。その勢いを留めた響はティンダロスを構え続ける。中に装填されているのは聖言刻印弾。高名な聖人100人が力を籠め、銃弾に加工した物である。魔を払うのに最適な弾丸を、魔を追跡して逃がさない銃で撃ち放つ。
「一発の経費が 高いところがネックですが、経費は全額組織が支払ってくれるし……ここは惜しみなくいかせてもらいます」
一発、二発、放たれた弾丸はヴォル・ヴァ・ドーズの灰を遮り、肉の焔に着弾した。聖なる尊の力がどのようなもので、どのような効力をもたらすのか。苦しむように炎が立ち上る様で大体予想できる。
「大物です。もう少し押してみます」
ティンダロスを額に付け、祈るように精神を尖らせる。高まった集中力で一発狙うのは上部に怪しく光る十の宝石……目玉だ。
三発、連続して放たれた弾丸がヴォル・ヴァ・ドーズの眼下に迫る。察した瞳が焔で薙ぎ払うが、弾いたのは二発だけ。最後の一発は既に中心を捉えていた。
静寂に響く一定音。続く炎の噴射音。ヴォル・ヴァ・ドーズの十の目の内、一つが潰れ、二つが延焼していた。
大成功
🔵🔵🔵
心象創造・空蝉
「…チガウな。邪"神"ダト?笑わせる。真の神とハ、汝のよウな"矮小な存在"とは違い、偉大なモノだ。汝が神ヲ名乗るな。」
ゴミを見るような目で、言葉が通じるかもわからない相手に語りかける空蝉。自身を前にして、怯えも恐怖も抱かない空蝉に、怪物は僅かながら怒りを覚え、焔・灰・剣を放つ。
「…クラッシャーよ。許セ。」
しかし、その全てが、突如現れたバイクに当たり、空蝉には当たらなかった。
「…所詮、その程度ダ。真の神々を知ラぬが故に、思い上ガっているに過ギん。偉大なる神々の片鱗ヲ知れ。ユーベルコード発動。サァ本物ノ怒リヲ知レ。神々ノ怒リヲ知れ。イア!イア!」狂喜の表情の空蝉が叫ぶ。見えない怒りが、迫りくる。
痛みに燃え、焦燥に灰を吐く。ヴォル・ヴァ・ドーズの動きが最初とは明らかに違ってきた。その様を一人の猟兵が見つめている。
「……チガウな。邪"神"ダト? 笑わせる。真の神とハ、汝のよウな"矮小な存在"とは違い、偉大なモノだ。汝が神ヲ名乗るな」
そう吐き捨てた空蝉の言葉が届いたのか、ヴォル・ヴァ・ドーズの攻撃の手が伸びた。しかし、それは空蝉のマシンクラッシャーに阻害される。
「所詮、その程度ダ。真の神々を知ラぬが故に、思い上ガっているに過ギん。偉大なる神々の片鱗ヲ知れ。ユーベルコード発動。サァ本物ノ怒リヲ知レ。神々ノ怒リヲ知れ。イア! イア!」
目には目を、狂気には狂気を。空蝉の周りにおぞましい空気が這いずる。
「【憤怒喰らう見えざる群れ(レプリ・シアエガ)】!!」
声と共に、炎が何かによって拘束される。不可視のそれを識別することはできない。ヴォル・ヴァ・ドーズの焔が、灰が、全て視ることのできない恐怖に締め上げられた。
成功
🔵🔵🔴
白神・杏華
いつまでも怯えてはいられないよね。しっかりと相手を見ないと。どれだけ怖くても気持ち悪くても、見なければ攻撃は避けられない!
展開しているバトルキャラクターズを一旦すべて消す。
そして『五感強化』で敵の攻撃を確認し回避する。
そうして自分を囮代わりに使いながら、隙ができたら懐に潜り込み、14体全部を合体させたバトルキャラクターズを召喚し、全力で攻撃する。
狙うはあのガラス玉みたいな目玉! 結構たくさんあるけど。いずれにせよ生物である以上、目は必ず弱点になるはず!
「さぁ! 遠慮せずに全部持って行きなさい!」
炎を垂れ流し、灰を巻き散らし、七の眼は既にバラバラと何処を見ているのか分からない。それでも、杏華の決意はこの悪なる存在を終わらせるために意志を固くする。
「今まで逃げてたし、怖かったけど……いつまでも怯えてはいられないよね。しっかりと相手を見ないと。どれだけ怖くても気持ち悪くても、見なければ攻撃は避けられないし終わらせられない!」
駆けだした足はしっかりと床を駆け、目はヴォル・ヴァ・ドーズの姿から逸らされない。走る小さな存在に、ヴォル・ヴァ・ドーズは最後の足掻きとばかりに焔にて潰しに掛かる。護衛として召喚していた存在は一度戻してしまったため、攻撃は自分で捌くしかない。その覚悟を持って杏華は来る攻撃を避けながらひたすらに走る。ただ一点、ヴォル・ヴァ・ドーズに近付けるギリギリの場所まで。
「着いた!」
もう熱気で進めない場所。ここでいい、ここがいい。杏華は自分の全霊を持って【バトルキャラクターズ】を発動した。全てのキャラクターを合体させる、今の杏華の全力。
「さぁ! 遠慮せずに全部持って行きなさい!」
合体して出来たのは杏華よりも二回り程大きい、翼の生えた聖女だった。槍持つその慈愛なる笑みは主である杏華の言葉を受け、飛び上がる。真っ直ぐ、光の柱と見紛う程の輝きで辿り着いたのはヴォル・ヴァ・ドーズの瞳、その前。眼前に突如現れた光に、ヴォル・ヴァ・ドーズのバラバラだった目が一つに焦点を絞った。
微笑み。それは一つの物語を終える英雄を労う神の如く。手にした槍が全ての瞳を薙ぎ払う時、ヴォル・ヴァ・ドーズは何を思ったのだろう。
痛みか、悲しみか、虚無か。様々な感情を灰にして博物館に巣食った影は跡形もなく消え失せたのである。
大成功
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