海の家ドヴェルグと怪異図書館
柳・依月
【ドヴェルグ】計7名の共同ノベル希望
●キャラ概要
普段はただのオカルト好きの大学生
新しい妖怪(ネットロア)がその正体
物語そのものであり、物語を愛する人間を愛し守る
ノリはいい方
●他参加者に対して
アレクサンドロのみ、呼び方はアレックス
他PCにはファーストネーム呼び捨てで統一
いずれのPCとも関係は友人
●ホラー耐性
全くビビらない
怪談も実際の怪奇現象も面白がりながら冷静に分析する余裕がある
オカルトは娯楽だから楽しい派
怪談が人を怖がらせるのはいいが、苦しめるのは許せない
●発端
同じ旅団の仲間たちと水着を着て海に行くことに
飛行船で綺麗な海辺に降りる
「いいところなのに誰もいないな」
疑問に思うが、皆で遊ぶ
スイカ割りでグランが封印の石を割る
壊れた石に禍々しい文字のようなものが見えたと思った瞬間、別の場所にいた
●図書館の中
グラン以外の全員と共に、謎の図書館の内部に転移
日記にこれまでの行動が勝手に記録されている
そして怪談を3つ語るという未来の行動が既に書かれていた
「ここは相手の領域だ。従っておくべきだろうな」
怪談を語るたびに、それに即した怪奇現象が起こる
●怪談①語り手:依月
怪談と言えば俺!
嬉々として気合を入れて語る
……別に自分が語りたいからああ言った訳ではないぞ
・内容
店をやってる家が急に栄える
→日本人形が見つかる
→守り神とされる
→時が経ち、気味が悪いという人がいてぞんざいな扱いをして捨ててしまう
→人形が勝手に帰ってきて今度は祟り神になる
→業績はみるみる悪化、一家離散など、一家は不幸になる
※依月はオカルト系配信者もやっており、怪談を語るのは慣れている
・語った後
仲間達に自分の十八番である怪談を語れて嬉しい
気持ちドヤ顔
しかしアレックスあたりが怖がらないどころか対処法を考え出すのでずっこける
「猟兵相手に語るのは勝手が違うな……」
……と言うもつかの間、怪談の通りの怪奇現象が起こる
持ち前のオカルト・民俗学的知識で冷静に対処する
●怪談②スィフルリク文参照
●結末
唯一外にいるグランが窓からのぞく
「八尺様かよ!?」→三つ目の怪談としてカウントされる
グランが図書館を破壊して一同脱出
思いもよらない決着にあっけにとられる
ゼロ・ブランク
【ドヴェルグ】計7人
[呼び方]みんな友人関係です
アレクサンドロさん
グランさん
エルゴちゃん
ルイナちゃん
スィフルちゃん
依月くん
[流れ]アドリブ改変大歓迎
蒸気飛行船を浜辺に下ろし、皆で水着を来てビーチで遊ぶ
↓
スイカ割りをする事に
↓
グランがスイカだと思って割ったものが何かの封印石だった
↓
封印が解かれた瞬間、グラン以外のメンバーが謎の図書館に閉じ込められる(グランはスイカ割りの目隠しをしていて、封印が解かれた瞬間を見ていないので無事)
↓
図書館には謎の日記が置かれており、3つ怪談話をしないと出られないことが判明
怪談話担当は①依月②スィフル
↓
怪談話に応じた怪異がその都度起き、大騒ぎしながらも話が進んでいく
↓
3つめの怪談話をしようとしたところ、窓の外にグランが見える、中の人間はグランと気づかず「八尺様!?」となり、3つめの怪談話とカウントされる
↓
謎の日記(実は怪異の原因)が判断に迷っている間に、グランが外から図書館をぶん殴って物理的に破壊
一同脱出
↓
振り返ると図書館の跡形もない、あーこわ!!
(謎の日記について補足)
・今日の蒸気船の皆の行動が何故か記録されており、その続きで3つ怪談話をする記述がされている
・実は怪談話を蒐集する怪物であり、3つの怪談話でコレクションが完成、図書館に皆が封印される予定だったがグランによって阻止される
[ゼロの行動]
(ビーチで)
・初めての水着とビーチに大はしゃぎです
「海だ~~!!!やっほー!!」
「スイカ美味しそ~~!上手く割れますようにっ♪」
(怪談話で)
・シルバーレイン由来の科学人間なのにホラー耐性皆無という残念な子
・怪談話に怖がり、起きた怪異にはギャーギャー大騒ぎで震え上がる
・仲間の誰彼構わず手を握ったり抱きついて全力でギャーギャー怖がるため、仲間たちにウザがられる
・存分に場を引っ掻き回してやってください笑
「イヤーーーッ!!!怖い怖い怖い助けてエルゴちゃん~~!!!」(抱きつき)
「な、なんでみんなそんなに冷静なのぉ……?」(涙目)
「いやルイナちゃん、解析してる場合ではぁ……」(ガクブル)
「ひぎゃーーっ!?な、なんだぁスィフルちゃんかぁ……驚かさないでよぉ……」
グラン・ボーン
【ドヴェルグ】
蒸気飛行船メンバーで海に行こうということになった
飛行船を海辺に下ろしみんなで海に出る
静かな浜辺だった
どこにも人がいない
「貸し切りだな」
キャバリアよりでかい男が言った
巨人である
シンプルなトランクスタイプの水着を履き、はちきれんばかりの筋肉を見せている
「ゼロやスィフルはスタイル微妙だな、ルイナもかわいい感じだな、俺はエルゴぐらいたわわでセクシーな水着がいいな。まあ、一番いいのは巨人の美女がいりゃいいんだがな」
女子の水着見てアンディや柳にそんな話しながら、海で泳いだり、ゼロにもらった中華鍋で焼きそばを作って食べたりする
そういえば、ゼロ、スィフル、エルゴ、アンディは模擬戦で殴り合った仲だからマブダチだが、ルイナや柳と殴り合ったことないからあんまりよく知らねえな
「おい柳、今度闘わねえか?」
そんな話した後スイカ割をする事となり、巨大な丸太を持ったグランが目隠ししてスイカを狙う
みんなが右だの左だの言うが、だまされない
気配を感じたところに行く
邪悪な気配、仲間のものとは違う
邪悪なスイカめ
全力でたたく
目隠しをとると「封」とか刻まれた石が砕け散っていた
そしてみんなの姿はなく、墓石と謎の図書館がいつの間にか立っていた
墓石には
ゼロ スィフル エルゴ アンディ 柳 ルイナの名前が刻まれている
何かおかしい
幻術の類だろう
アンディというのは俺がアレクサンドロを呼ぶときのあだ名だ
人の心から恐怖を生み出すタイプの怪異か?
あの岩を砕いたのが原因みたいだな
怪しいのは
振り返って図書館を見る
禍々しい気配がする
あれだろう
ずしん
ずしん
と近づく
「怪異図書館」と書いてある
スマホで検索すると、怪異マニアの館長が集めた古今東西の怪談話がそろっているらしい
が、実際には存在しないそうだ、巷のあやしいうわさ話ってやつだ
それとも「噂話」ってことにされたのか
なんにせよ
邪悪なもので間違いないだろう
オブリビオンってやつだ
中をのぞき
思いっきりぶん殴って図書館を破壊した
「こんな建物3分でぺしゃんこだぜ」
建物を破壊しつくすと、仲間の姿が目に入った
「ようお前ら
無事だったか
急にみんなでいなくなるから、ドッキリかと思ったぜ」
星凪・ルイナ
【ドヴェルグ】のメンバー6名との合同ノベルを希望します
●キャラ概要
とあるUDC組織が隠れ蓑としている図書館に勤務している司書、兼、UDC職員。
司書としては文学担当であり、日頃から小説など物語を綴る作品を愛読している。
基本的に一般的な価値観を遵守しつつ、書物から物語に触れ好奇心を満たしながら日々を過ごしている。
職業上、敬語で話す事も多いが基本的にはくだけた口調である。
●他参加者について
日本名の参加者については苗字+さん付けで
海外名の参加者についてはファーストネーム+さん付けで呼ぶ。
●ホラー等について
怪談好きな為、怪談話についてはむしろ好意的であり
創作話として嬉々として解説しようとしたりするが
怪談話の最中に実際に怪奇現象が発生した場合は普通にビビります。
基本的な全体の流れはゼロさん、グランさんのリク文を参照してください
●導入
旅団のメンバーと共に水着で綺麗な浜辺へ
暑いのは嫌だなぁと零しながらも久しぶりに図書館勤務から解放され
実のところはだいぶ楽しみにしている。
浜辺でのんびりと青空や海原に想いを馳せながらスイカ割りを眺めていると
封印の石が破壊され謎の図書館への転移に巻き込まれる。
●図書館
UDCオブジェクトなどの関与を疑いながらも、勤務先の図書館とは
違う様子の謎の図書館に興味を持ち、嬉々として内部の調査を行う。その際に
図書館の構造が遥か昔の形式である事と、絶版になった筈の書物や封印指定され表舞台から
抹消された筈の魔術書の類が大量に存在する事を知り、また図書館に込められた物語(想い)を察して
切ない感情を抱く
●怪談1
柳さんのリク文を参照
●怪談2
スィフルさんのリク文を参照
●結末
冷静ぶりながらも徐々に焦燥に駆られる中
窓から中を覗くグランさんに悲鳴を上げる
グランさん図書館を破壊した脱出に成功した後、
ホッと胸を撫で降ろしながらも謎の図書館に想いを馳せ
一夏の物語として一連の出来事を手記に綴る
魔導蒸気機械が音を上げる。
爽やかな海風が、空を舞う飛行船「空中工房ドヴェルグ」の横を吹き抜けていく。
木造の居住区を吊り下げた巨大船は静かに降下を開始した。
今回の作戦はUDCアース。
邪神か、アーティファクトか、それともお盆ゆえカクリヨファンタズムと何かが繋がったのか――。
作戦?
いや――夏休みだ!
「めちゃくちゃキレイだよっー! これは完璧な海! って感じだねっ!」
着陸中の船から、輝く海を笑顔で覗くのはゼロ。
うさ耳付きのラッシュガードが風で楽しげに揺れている。
「ゼロちゃんの言う通りだ! 間違いないよ! これはまさに夏休みって感じだね!」
その横から身を乗り出すのはスィフル。
「ゼロ、スィフル。そのまま海へと飛び込みたいのなら止めはしないが」
腕を組んだまま、アレクサンドロが2人を横目に船内を歩いていく。
目指すのは食料庫。
若者も多い。
シロップもソーダも充分に冷えているな。
オレンジも悪くない。
グランは樽か――いや、敢えて――。
「おお、アンディ。何を下ろす?」
食料庫に入れば、巨人のグランが振り返る。
担いだ木箱が、まるでミニチュアに見える。
「グランは何を作ろうとしている」
「焼きそばだな」
「そうか。合うものを出そう」
ふらり、と人影が食料庫を覗く。
「はぁー、やっぱり食料庫は一段と涼しいですね……あら!
此処でしたか、グランさん。
皆も喜ぶと思うし、スイカを降ろしてもらっても良いかな?」
茶色の美しい髪をふわりと靡かせて、ルイナが手を振っている。
「ルイナ、既に準備済みだ。ここに入っている」
「んんっ、流石! スイカって箱に入っていると小さく見えるのね……。
陽も強いし、ここで涼んでるのもアリ……かな」
「ルイナか。アイスティベースが良いか? それとも少しだけキュラソーを混ぜて爽やかにするか?
だが――それも、海風の浜でこそ。 書庫の主を続けるというのなら――」
アレクサンドロが見繕っているボトルや果物の煌めきは、オシャレなカフェのカウンターに並ぶそれそのもの。
海辺でのカフェ、期待しない訳がない。
久しぶりの休暇だ……もちろん楽しみである。
「降りるし、飲むし、楽しみですから! よろしくね!」
船の着陸が始まる。
海を眺める2人が顔を見合わせている。
「依月さん――海はとても美しいのだが」
エルゴが美しい海を見下ろして呟く。
「気付いたかい? いいところなのに誰もいない」
「もちろんだ――違和感がある。調べるか?」
「そう言うと思ったよ。夏の海、浜辺で感じる異変、これは……夏休みだ」
「そうか……そういうモノか」
真剣な眼差しで海を見下ろしていたエルゴは納得する。
海は、任務でしか来たことがない。
仕事ではない海は初めてだ。
ならば――夏休み、楽しんだ者勝ちだ。
この高揚感、悪くない。
「やっぱり猟兵だなぁ……」
小さく呟く依月の黒髪は爽やかな海風に揺れていた。
そして、空中工房ドヴェルグは目的地――輝くほど白い、美しい砂浜に降りた。
UDCアースには美しい海が何個もある。
邪神事件やらネットロア事件が多発している都心部から外れた、サムライエンパイアの地形そのままの海。
海は澄んで、エメラルドに輝く。
かき氷のシロップみたいな青さ。
「一番乗りは、僕かな!」
スィフルが翼を広げながら、浜へと走り出す。
インナーのビキニのブラックに、ラッシュガードの差し色のオレンジが元気さをアップする。
パンツスタイルも行動的で、まさに元気印の水着と言ったところ。
「わー! ちょっとアタシも一番だよっー!」
海の色を映した様なうさぎのラッシュガードを揺らしながら、ゼロも続いて走る。
海と太陽の光が、シースルーなフリルを美しく輝かせる。
赤と白のストライプのビキニも、大人とあどけなさの間で、可愛さをグンと引き立てる。
二人の手には――武器。
水鉄砲という、夏の水辺にて最強の力を発揮する武器が握られていた。
「2人とも、トリガーからは指を――!
い、いや……これは夏休みというモノ。問題ない、か――」
2人を追いかけ飛び出してきたエルゴが一瞬、凛とした顔つきになってから――ハッと気づいて照れ笑い。
真っ白なビキニが、しなやかな筋肉で作られた美しいボディラインを引き立てる。
紺色の髪が海の光を写して揺れ、海風を羽織ったような澄んだアウターがキラキラと輝いている。
『|目標《ターゲット》をマーク、照準~~! よしーッ!』
振り返りながら、ゼロとスィフルが同時にエルゴへと水鉄砲を放水。
「くっ――武装が無くても、やられはしないッ!」
水鉄砲の射撃の弾道を正確に予測、エルゴが舞うように全てを避けきる。
側には小さな虹。 羽織るショールが虹色に輝いていた。
「わー……もう盛り上がってるの? この後、スイカ割りするんだからねー?」
日差しを右手で遮りながら、苦笑いのつもりが満面の笑みになってしまったルイナが続く。
小さなパラソルとチェアを抱えて。
セーラースタイルのホワイトとブルーの水着が、涼しく爽やか。
フォーマルさを兼ね備えた、キチンとカワイイ水着が彼女らしさをより引き出して。
「さて……夏の海、のんびりと……」
チェアOK、パラソルOK。
後は期待のカクテルが――。
「ちょっ!?」
雨のように水が降り注ぐ。
水着が、ちゃんと水着としてキラキラと輝いた。
「隙ありっ!」
「僕の分もあげるよ!」
「腕の位置がブレているな、しっかり身体に当てて狙うと良い!」
巻き込まれない訳がないのだ。
走り込んだゼロが打ち出す水は空へと飛ぶ。
翼を広げ、空からの射撃に切り替えたスィフルの射撃が降り注いだ。
テンションが上がったエルゴも撃ち合いに参加。
砂漠の上でローリングしながら放つ長距離水鉄砲の一撃は、見事に空のスィフルを射抜く。
ルイナのキャンプ地は戦場の真っ只中だったのだ――。
「やってんねぇ。こりゃあ戦場ってやつかね」
日傘代わりの番傘をくるりと回して、依月が降り注ぐ雨を弾いた。
「にしても平和なモンだが――やはり、誰も居ないな」
くつくつと小さく笑う。
違和感、疑問、不思議――娯楽の匂いも溢れている。
もちろん楽しそうな空気もまた、良いお話の兆し。
恐怖もまた、その彩りなのだから。
髪色に合わせたハーフパンツ型の水着に、着物めいたアウター。
布地はサテンのように艷やかで、涼しさを感じる和洋折衷。
開いた胸元を飾るチョーカーが、太陽にキラリと輝いて纏まりを出す。
「つまり、貸し切りだな。
鉄板を置くぞ。カウンターはここで良いか?」
グランが海の家ごと運んできたかの如く、焼き物の鉄板やらバーカウンターやらを軽々と並べる。
シンプルなオレンジ色のトランクス水着だが、鍛え上げた筋肉を飾るのには丁度いい。
真夏、海、筋肉、水着、パワー、デカい。
夏という季節が歩いている、そのくらいのパワーが漲っていた。
筋肉を輝かせながら、巨人はアレクサンドロを見下ろし豪快に笑う。
「アンディ、少し右にしてくれ。海や浜辺の印象は、昔から拘る者が多い。
海とはそういうものだ――うむ、此処で良い」
クーラーボックスを片手に持ったアレクサンドロが、柔らかい笑顔で指をさす。
ロングパンツのスリットが、美しい足を印象付ける。
綺羅びやかな黄金と、翼の爪と同じ色の宝石が更に魅力を引き出してくる。
何にしろ、その腹筋である。
白い腰布から上は、宝石の如く煌めく腹筋。大切なペンダントも、その筋肉を更に美しく見せてくれる。
ドォン! という豪快な設置音が幾度となく響き。
あっという間にオシャレ系海の家が出来上がってしまった。
その裏で、砂浜という戦場での戦いは苛烈さを増して続いている。
空戦を仕掛けるスィフルに対し、ルイナが持ち込んだパラソルで正確に攻撃を防ぐエルゴ。
のんびり避暑の予定が一番ビショビショになっているルイナも、不敵な笑みを浮かべ水鉄砲の戦闘に参加。
知識から繰り出される正確に計算された射撃はゼロの回避先を減らし、波へと足を踏み込ませる事に成功する。
「えっ……! 追い込まれてるよー! 海だー、やるねっ!」
波打ち際を走りながらゼロが構えれば、ルイナが笑顔で答える。
「お、そろそろかな! ほら――浜辺にカフェが出来てるよ」
ハッと見れば、そこには立派な海の家、オシャレカフェが出来上がっていた。
「……うわー、すごいね! 僕もこれは驚きだよ! ルスツァイアさん、僕の負けだ~。
ちょっとあっち、見に行こう」
「――そうか。このまま水中戦と洒落込むのも悪くないと思ったのだが。
……なるほど、あちらも楽しみだな」
皆が海の家ドヴェルグに集まれば、アレクサンドロが次々とモクテルを作って並べてくれる。
「この後、何やらスポーツをするのだろう? 酒ではない、安心すると良い。
よく冷えてるから美味いぞ」
スィフルには、マンゴーやメロン、パイナップル……沢山のフルーツをブルーのオレンジシロップで1つに纏めたトロピカルなモクテル。
ゼロには、シャリシャリのフローズンにしたスポーツドリンクを凍らせたイチゴで飾って。水色のうさぎゼリーを乗せたカワイイモクテル。
エルゴには、凍らせたメタルシルバーのグラスに強めの炭酸とミントの葉とライム。グラスの縁の塩が甘みを引き立てるキリっとしたモクテル。
ルイナには、さっぱり系アイスティに柑橘のフレーバー、浮かべたバニラのフロートにチョコソースをかけて。ついでにシロップが詰まったアンプルが刺さっている。
依月には、タピオカの上にイチゴとあんこを凍らせて作ったスムージー、ミントを添えて。薄桃色のスムージーを飲み進めれば、いずれは黒いタピオカと出会うことになる。
グランには、樽。
「樽だな」
「ああ」
樽の中にはたっぷりのパイナップル。赤いシロップで作ったたっぷりのソーダの中に、ほとんどそのままのパイナップルがゴロゴロ浮いている。
「アンディなら、絞れるだろう」
「勿論だ!」
見事にパイナップルを握れば、果汁が溢れ――赤いソーダが夕焼けのような美しい海に変わっていく。
何年も樽で寝かせたような素晴らしいウィスキーのような色。
さっぱりフルーツのさわやかソーダだけれど、樽入りのお酒にも見えてしまう。
もちろん、アレクサンドロ自身のモクテルも忘れない。
ブラッドオレンジの果汁とアイスティー、それに少々の炭酸。
ほんの少し混ぜたブルーキュラソーが、色合いに深みを与える。
切り出したオレンジをグラスに挿して完成。ペンダントと同じ色、情熱的な赤のモクテルを作って微笑む。
そうして、皆の元にドリンクが届き。
グランが作った焼きそばも届く。
落ち着いた穏やかな時間が流れる。
再び海へと走っていた若者を長めながら、樽をグラスのように口に当ててグランが呟く。
「ゼロやスィフルはスタイル微妙だな、ルイナもかわいい感じだな、俺はエルゴぐらいたわわでセクシーな水着がいいな。
まあ、一番いいのは巨人の美女がいりゃいいんだがな」
「なるほど、デカいほうが良いって感じだな……巨人の美女……巨人の美女」
依月が顎に手を当てて唸る。
デカい女……八尺様とか大きかったよな……。
夏っぽいし、白いワンピースか……。
「知り合いに居るのか?」
「居ないわけでもないな」
アレクサンドロは黙ったまま思う。
こいつ……怪談の中で該当する女を探しているだけなのでは……。
「おい柳、今度闘わねえか?」
「なんだ、突然……女は紹介出来ねえぞ……」
「闘えば、人となりってのが分かるもんだからな」
「そういうもんか……」
古い怪談で鬼や河童に挑まれる、ってのは良くあるけど……こういうことなのか……?
少し離れた席。
海の家のチェアで遊ぶ皆を見つめながら、ルイナもようやく穏やかな浜辺の時間へとたどり着く。
グラスの氷をカラカラと鳴らし、至福の一口を味わっていた。
そして、満を持して例のスポーツは流れるように始まったのだ。
UDCアースの海といえば、スイカ割りだ。
一番手はグラン。
「俺が最初に行くぜ。叩き潰せば良いんだろう?」
二人がかりで目隠しを着けて、木の棒ではなく浜辺に転がっていた大木を構える。
「スイカがちっちゃくなったー! 上手く割れますように! 左だよ~!」
「ゼロちゃん……多分、変わってないよ。お、いいね、真っ直ぐ!」
「確かに――小さく見えるな。
……おーい、右、右。
右、いや……そこから二時方向だ」
「あー、行っちゃいましたね……ん?
待って待って待って! 岩……そっち岩!」
「岩?……なんだ、あの岩。どう見ても曰く付きだろ……このパターン知ってるわ……」
「グラン、右へ向きを変えるんだ。 それではない」
「俺は騙されないぜ。 なんせすげぇ邪悪な気配だ。
邪悪なスイカめ!!!!」
グランは迷うこと無く、なんとなくヤバそうな、しめ縄が巻かれた岩へと大木を振り下ろす。
一撃だった。激しい轟音と共に岩は粉々に吹き飛んだ。
「どうだ!」
グランが目隠しを取れば……封と書かれた岩の破片が辺りに散らばり。
みんなの姿は消えていた。
目の前に有るのは墓石。
背後には禍々しい気配を放つ図書館。
墓石には皆の名前。
けれど、違和感がある墓石が1つある。
アンディと刻まれた墓……それはグランがアレクサンドロを呼ぶ時のあだ名だからだ。
「幻術か? 人の心から恐怖を生み出すタイプの怪異か?」
グランは周囲を伺う。怪しいのはあの図書館か。
調べるしかねぇな。
一方その頃。
グラン以外……目隠しをしていて岩の割れる瞬間を見なかった彼以外の全員が……謎の図書館に閉じ込められていた。
「……くっ、一瞬目眩が――。
転移させられた、のか? 本の壁……これは図書館か。
やはり持っていて正解だったな」
エルゴは水中メガネのごとく持ち込んでいたバイザーをひょい、と下ろしマルチスキャナーで周囲の情報を取得する。
ノイズ……認識不能……データの破損……。
「データが不明瞭だ!」
少し、楽しくなってしまった。データの収集を続ける……ノイズがおかしい本がある。
これは……?
「イヤーーーーッッ!!! なにこれーーーッ!?」
ようやく状況を理解して絶叫するゼロ。
「うわーーーッ!!! 怖ッ!!!」
合わせて絶叫するスィフル。
「……封って書いてた岩が割れてこれは……」
チラリ、と依月を見るルイナ。
楽しげな顔の後……目を逸らされた。
これは楽しんでるなぁ。
まぁ、そうだよね……。
「見てくれ――残留物らしきモノがある。
これは……日記か?」
完全に潜入捜査の手際。ビビることもなく、エルゴが1冊の本を持ってきた。
「なるほど、今日の俺達の一日が書いてある。
そして、此処だ。
『怪談を3つ語った』――未来の行動の記載があるな」
依月が嬉しそうな顔で日記を指差す。
「ってことは、それをやれって事……?
なんだかね、この図書館は遥か昔の建物なの。
ちょっと見れば分かるかな、絶版、あれは封印指定の魔術書。
だから日記もきっと……」
ルイナが横から覗き込む。
「下らん。相手の術中にわざわざ嵌る必要などなかろう」
アレクサンドロの周囲に力が集まっていく。
躊躇いもなく、この場所を破壊して脱出する動き。
「待て――ここは相手の領域だ。従っておくべきだろうな」
依月が間に入りアレクサンドロを止める。
確かに、領域の破壊は問題が発生しやすい。
いやまて……もしやこいつ怪談を語りたいだけでは……?
「私も破壊より……対処したいかな。
悲しげな|物語《おはなし》が漂っているから」
「では、怪談3つを遂行するのが良いだろう。ワタシは解析も続けたい、誰か頼めるか?」
「あ、あのあのあの! な、なんでみんなそんなに冷静なのぉ……?」
ずうぅぅん――。
「揺れたよ!? 今、揺れたよ!?」
「僕も振動を感じた――怖い話で揺れる時は、何かあるってね?」
「イヤアアアアアア!!!」
ゼロがエルゴに飛びつけば、優しく抱きとめてくれる。
「大丈夫だ。 皆なら問題ないだろう」
「それじゃあ、始めようか。 怪談と言えば俺!」
依月の気配と声色が変わる。
静かで重く……それでいて、深い響き。
「こいつは、俺が配信している時にコメントで流れてきたっていう曰く付きの話なんだが」
「田舎に帰ったそいつは、実家で話を聞いたらしい。
爺さんは雑貨屋。あんまり流行っていなかった店とのこと」
「ある日、急に物が売れ始め。儲かる儲かる……何事かと思えば、机の上には見慣れぬ日本人形。
ああ、この子が神様なのか、と爺さんはさぞ大切に扱ったらしい」
「けれどな――そりゃあ日本人形だ。俺達は大概、髪が伸びるだとか呪いだとか毛嫌いするだろう?
爺さんの子どもも同じだったらしい」
「不気味だ、捨てろ、と爺さんの子どもが騒いだんだと。
夜見てくる、歩き回る……そんな事ばかり言われては仕方ない」
「爺さんは、しぶしぶ人形をゴミ捨て場に置いてきたんだ」
「ごめんなぁ、ごめんなぁ、と頭を下げてながら、その場を離れた。
その夜――」
周囲に冷たい風が吹く。
気づけば、皆の周囲を日本人形が取り囲んでいる。
ボロボロの着物、汚れた顔、バサバサの髪。
「イヤアアアアアアアアアアアアアア!!!」
ゼロの絶叫が響く。
「……うっ……発生するタイプかぁ……」
ルイナが顔を顰める。
胸に手を当てて息を吐き出す。
実際に怪奇現象として発生されるのはキツい。
「机の上に帰ってきてたんだってよ。
その顔は――からくり人形の如く、口は割れ、目を剥き、角を備え。
まるで鬼のようだったそうで」
瞬間、周囲の人形の顔がグルリと回って鬼になる。
「――やっ……」
叫ぶ声がでなくなったゼロを、そっとエルゴが抱きしめる。
背筋に悪寒が走った。
せめて銃を持っておけば良かったか――。
「それから家が没落。店は潰れて一家離散――不幸になったんだそうだ。
それでコメントにはまだ続きがあってな。
まだ居るんです、その一言が書き込まれた瞬間に……」
周囲の人形の首が弾け跳び、身体だけが残る。
「そのアカウントは存在しません、って表示でコメント欄が埋まったのさ」
ずううううん!!!
部屋が激しく揺れる。
「おっと……この怪談、この場所も気に入ってくれたみたいだな」
ふふん、と鼻を鳴らし。
怖かったろう? と周りを見れば。
「ふむ…捨てても戻ってくるならば、初めから丁寧に祀ればよかったな」
アレクサンドロが目を閉じ、極めて真剣な声で呟く。
「……神を忘れ、剰え蔑ろにするなど……。そのような不信心な者には妥当な末路だ」
「それで……どうするのが正解なんだ?」
エルゴの言葉が続く。
「猟兵相手に語るのは勝手が違うな……」
瞬間、全員の持つ端末にメッセージが届く。
『まだ居るんです』
部屋が揺れる――首のない日本人形が走り寄ってくる。
「おっと……俺の所にも来るパターンか。
こういうのは塩水を吹きかけたり、丁寧に祓うのが正解だが祟りが残……」
「悪意は感じぬ。ただ指示された魂のような物。
この場に閉じ込められた何かを、この形にし使役しているだけだろうな」
アレクサンドロが一歩踏み出しただけで、人形は光の粒になり消え。
メッセージもいつの間にか無くなっていた。
手順とか関係なしに祓っちゃうのか……。
猟兵だもんな……。
「こうするのが正解なんだろうよ」
苦笑いでエルゴに答える。
「心得た」
「なら……次は僕が行くよ」
スィフルが前に出る。
「2人の女の子のお話なんだ」
「元気なAと静かなB。2人は仲良しでいつも一緒だった」
「Bがある日、虹色の星を見たって言い出してね」
「そんなの気にすることじゃないと思ったんだけどね。
それからだったんだ。
星が好き、星の所に行きたい、あの星と一つになりたい。
好き、好き、あの星が好き、行きたい――。
Bは、それしか話さなくなった。
いつもずっと、虹色の星の話」
「それしか話さなくてもBは変わらずBだった。
でもさ――瞳を見ているとね、それが極彩色に輝いた気がした」
その言葉と共に、スィフルの瞳が虹色に輝いた気がした。
空間が物語に応えてる、ような。
「待て、スィフル。それは怪談じゃないな?」
ネットロアは気づく。
これは人間の知る怪談じゃあない。
嫌な感覚が纏わりついてくる――実話怪談とも違う。
|体験談《おもいで》か――?
「Bの言葉に、Aは言うんだ。星は夜じゃないと見られないよって。
彼女は町外れの丘で、夜になるまで待っていよう、そう答えた。
強い言葉。
私を引っ張る力は凄く強くて。
丘に、丘に――」
「スィフルちゃん……?」
スフィルがいつもの雰囲気じゃない。何か、嫌な感覚が渦巻いている。
だから怖くても、ゼロはスィフルに寄り添う。
「星は出たよ。
Bが指差すまでAは分からなかった。指の先を見たらさ、虹色の星。
目の中にさ、それが溶けてくるようで。
入ってくるんだ、虹色が。
綺麗で、美しくて、でも私が消えていくみたいで。
すぐに逃げたんだ」
ずうううん!!! 部屋が振動で揺れている。
何かの影響かもれない。
天井が極彩色に変わる。
サイケデリックな極楽……脳を侵されるような光の滞留。
「Aは家に帰って、寝たんだ。でもずっと、頭の中で極彩色が揺れていた」
そして、人のような形の何かが部屋の真ん中で弾ける。
倒れた人間の形に撒き散らされたようなインク。
「次の日、丘の下には――これ……これがあったって……。
これが――」
「スィフル、やめるんだ。部屋も揺れた、やるべきことは済んだ。
依月の言葉で言えば、相手の領域だ。
領域を領域で侵すのは――得策とは言えぬだろう」
凛とした顔。
頼れる、龍神の目がスィフルを覗く。
ゼロもスィフル抱きしめている。
「辛い話だと分かる。よく頑張ったな――スフィル」
敬称はない。軍人の顔――任務に向き合った者へ対する賞賛の言葉。
お気楽で柔らかい雰囲気ではなく、ビシっと整った顔。
エルゴが優しくスィフルの肩を叩く。
「……その|物語《おはなし》、ちゃんとした所で聞かせて。
泣いてる|物語《おはなし》は分かるんだ」
ルイナが優しい顔でスィフルに微笑む。
ありきたりの怪談なら豆知識で突っ込んでやろうと思っていた。
でも、これは大事な|物語《おはなし》だ――だから、ちゃんと受け止めてあげたい。
「ならば……すぐに脱出するべきだ。
3つ目の話はワタシが――」
エルゴが一歩前に踏み出した時だった。
「怪異図書館かァ」
大きな声が響く。
「実際には存在しない噂……。
なんにせよ、邪悪なものだな」
ずううん! 足音が続く。
「オブリビオンだな! こんな建物3分でぺしゃんこだぜ」
「イヤアアアアアアアアアアアアア!!!!!! 今何か外に居たよぉぉぉーーーッ!!!」
ゼロが最初に叫ぶ。
「うん!? ううううん!?!?」
怪談の語り疲れで一瞬の隙があったスィフルが、驚くのを忘れて疑問の声をあげる。
「ちょっと待って何!? 何今のォォォォ!!!」
続いたのはルイナ。
此処まで、驚く兆しは見せなかった。
けれど――怪談は怪談だから大丈夫なのだ。
怪奇現象が実際に発生して、驚かないワケがないのだ!
そんな中、アレクサンドロは冷静に分析を続けていた。
やはりこの図書館は破壊すべきか――外を眺めていた時。
窓の外にグランの顔が見えていた。
「いないと思ったら外にいたのか、グラン――」
言葉を断ち切るように叫んだのは、依月。
「八尺様かよ!?」
瞬間、ゴオオオオオン! と何かの鐘の音が鳴り響き、空間が軋む音を響かせる。
「――今の巨大な人影、あれがかの有名な八尺様か!」
依月の言葉にエルゴが真剣な顔で反応する。
ゴオオン! 続いて壁が弾け飛ぶ。
何かを打ち付けるような音。
さらにバキバキバキという破砕音。
続いて打撃音。
図書館めいていた空間は、物理的に砕け散った。
「ようお前ら、無事だったか!
急にみんなでいなくなるから、ドッキリかと思ったぜ」
額の汗を腕で拭って、グランが困ったような笑顔で皆を見下ろしていた。
気づけば……皆はあの海岸に戻っていた。
「無事、だぜ……。
なんだこの結末……マジか。
これは……伸びないな……どうすんだこれ。
チャンネル登録、剥がされちゃう結末だぞ……」
依月が呆然と海を見つめる。
「これ、怪談3つ集めて何かの儀式を完成させようとしていたと思うんだぜ」
「だがそもそも依月が語りたいから始めたのだろう?
しかし……嬉々として怪談をその場で仕立てられ。
怪談の皮を被った重い話を聞かされ。
結果、名のある怪異をオチに叫ばれ。
グランの拳で決着。
些か、準備をしていた悪役には同情せざるを得ない」
崩れた建物が消えていく。
中には怪異図書館という文字。
「それは確かに居た堪れないなぁ……。
|物語《おはなし》を集めてたんだろうし。
日記かぁ……それなら、手記にしておくね。
本も物語も素晴らしいコレクションでした。
お疲れ様でした、怪異図書館さん」
「任務完了……か? 室内で高温……何故か汗も出て来た。
それに、まだ太陽も輝いている。
折角だ――海へ入らないか」
「入るーーっ! 本当に怖かったんだよ!? なんで皆大丈夫なの!?
でも、みんなと海と……お化け屋敷、楽しかったよ!!
行こう、エルゴちゃん!」
「あ、僕も一緒に行くよ! もう怪談話はこりごりだよ、ってね!」
「楽しそうだな!
俺も海、行ってくるぞ。
アンディもどうだ?」
「先に行くと良い。すぐに行く」
理解っている者の言葉。
数秒後。
海から激しい水柱が立ち上がり、輝く水しぶきと津波のごとく巨大な波が浜を襲う。
巨人の飛び込みは、アトラクションみたいなものなのだ。
まだまだ時間は昼過ぎくらい。
みんなの夏休みはまだまだ続く。
成功
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