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疫病を奏でるモノ共

#ダークセイヴァー #疫病楽団

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#ダークセイヴァー
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#疫病楽団


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●疫病楽団
 音が奏でられていた。様々な楽器から奏でられているそれらは互いに重なり、混ざり合い、その場へと響いていく。
 だが、それらの音は聞いていたところでとても心安らげるようなものではなかった。心躍るようなものではなかった。
 そこにあったのは狂騒であり、あるいは狂気そのものである。耳にする者全てが不安を、怖気を覚えるような音が、そこにはあった。
 しかしだというのに、その音に反応する者は一人としてその場にはいない。
 当然だ。そこにいるのは、既に死に絶えてしまった者か、苦しみながら今にも死に絶えようかという者だけなのだから。
 音が踊る。楽器がかき鳴らされる。漂うのは狂乱に満ちた不治の病。

 その場から楽器以外の音が消え去るのに、そう時間を必要とはしなかった。

●平和を守るために
「疫病楽団、と呼ばれるオブリビオンの群れのことを、皆さんはご存知でしょうか?」
 そんな言葉から始まったリース・ヴァレンシュタイン(オラトリオの聖者・f00663)の話へと、猟兵達は思い思いの様子で視線を向けてきた。既に知っているのか、あるいは不吉な予感を覚える単語に興味を引かれたのか、そこには真剣に話を聞こうとする意思がある。
 そのことに小さく息を吐き出すと、リースはそのまま話を続けた。
「ダークセイヴァー世界に存在していると言われているオブリビオンの群れであり、その名の通り疫病を……不治の病をばら撒き、感染させることを目的としている存在です」
 どうしてそんなことをするのかは不明だが、少なくとも分かっていることは二つある。
 一つは、不治の病へと感染してしまったら最後、助かる方法はないということ。
 もう一つは、それらは慎ましくも平和に暮らす人々を探し出し、不治の病へと感染させるということだ。
「今回標的となってしまった村も、そんな村の一つです」
 ダークセイヴァー世界で平和に暮らせるなど、ほとんど奇跡に等しいようなものである。
 そんな生活を壊させるわけにはいくまい。
「とはいえ、相手が使用してくるのは不治の病です。勿論目には見えませんし……既に言ったように、感染してしまったら治す手はありません。勿論、猟兵の皆さんは例外ですが……まず重要なのは、疫病楽団を村人の方々には近付かせないということになるでしょう」
 その方法として最も手っ取り早いのは、村人達を避難させてしまうことだろう。
 だが、折角平和に暮らす事が出来ているのだ。何も知らない間にひっそりと解決してしまうというのが出来れば、最良であるに違いない。
「もっとも、相手がばら撒くのは疫病です。どれだけ届くのかも正確には分かりませんし、村から離れたところで撃破するとしても万が一ということも有り得ます。そこで皆さんには村の方々と仲良くなっていただき、今日だけは外出することなく戸締りをしっかりしていただくように説得していただきたいのです。不治の病とはいえ、そこまですれば届くことはないと思いますから」
 厳密には説得というよりもお願いという形になるだろうか。
 平和に暮らしているとはいっても、ダークセイヴァー世界であることに違いはない。困っている者達は多いことだろう。
 そういう者達の力となってやれば、その程度のことは快く受け入れてくれるはずだ。
 そうなればあとは、猟兵達次第である。
「疫病楽団という名の通り、相手は楽器を武器にしています。しかし、見た目に騙されないでください。見た目はただの楽器でも、相手はオブリビオン。それらは油断することの出来ない、危険な凶器です」
 そしてそれらを振るうのは、現世への未練を持つ死者達――スケルトンだ。
 一体一体の戦闘能力はそれほどではないが、数が多いこともあり、決して油断することは出来ないだろう。
 尚、村から離れた場所にちょうどいい広くて見通しのきく場所がある。スケルトンを迎え撃つのは、そこでということになるはずだ。
「それと、これは予知というよりは予感なのですが……何となく、それだけでは終わらないような予感もあります」
 具体的なことは分からないものの……何があってもいいように、気を引き締めておいた方がいいかもしれない。
「私からの話はこんなところでしょうか。それでは……どうか、お気をつけて。よろしくお願いします」
 そう言ってリースは、猟兵達へと頭を深く下げたのであった。


緋月シン
 こんばんわ、緋月シンです。
 というわけで今回は……今回もダークセイヴァー世界です。次あたりはさすがにきっと違う世界になるはず……。
 ともあれ、疫病楽団というオブリビオンを撃退するのが目的のシナリオとなります。

 とはいえ、特に難しいことをするわけではありません。
 一章では困っている村の人達の助けとなり、二章と三章で疫病楽団と集団戦を行う、という感じになります。
 特定の章だけの参加であったり、途中参加なども歓迎いたしますので、どうかお気軽に参加していただけますと幸いです。

 それでは、よろしくお願いします。
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第1章 日常 『人々の笑顔の為に』

POW   :    食料の運搬、建物の修理など力仕事をする

SPD   :    村々を巡って困っている人を探す

WIZ   :    明るい歌や踊りで元気づける

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

リグ・アシュリーズ
私もこの世界の生まれ。
歌は希望に満ちたモノ、なんてキラキラ夢見た事は言わないけど。
オブリビオン。はた迷惑でしかないのよねー。

【建物の修理+村人へ忠告】
村へ着いたら、旅人を装って住人に接触。
近隣の村への道を聞き、そのお礼だよって言って壊れてるドアの修理とか引き受けるね。
できたら複数の家を回って、部屋に冷たい空気が入らないようにしてあげたいところ。
お節介の理由を聞かれたら、天気荒れそうだから今日はこの近辺にいるつもりって答えて、他意はなくもののついで、って感じを装う。
「これから一段と冷え込みそうだから、戸締りしっかりね!風の音キツくても外出ちゃダメだよー」

件数多いし、できたら誰かと協力したいな。


一駒・丈一
戦いの前に、先ずは人助けといくか。

傭兵時代、戦場の砦の修繕や罠の作成で培った技術を活かして
村の家々の扉や窓等で壊れている箇所があれば、
修繕して回ろう。
つまりは、過去の『戦闘知識』を人々の生活に活かすわけだ。
また、今は問題なくともいずれ壊れそうな劣化した箇所を『第六感』等で見つけられれば、
あわせて修繕しておこうか。

戸締りをしっかりとするよう説得するとしても
家にガタが来ている場合はそもそも万全な戸締りができないだろうしな。

修繕に回っている過程で
村人たちに、「最近は物騒で近隣の村々に病が流行っている」旨を伝えて
夜の戸締りをしっかりするように伝えよう。
ここら辺は低い『コミュ力』をフル稼働する他ないか。


赤星・緋色
疫病が蔓延すると、村丸ごと全滅もあり得るからなんとか助けてあげたいかな
あと、疫病相手なら消毒殺菌するための道具とかもちゃんと準備しておかないとね

オブリビオン退治しに行くときには暫く籠っていてもらうことになるから、それを含めて村の人たちを助けてあげたいかな
スカイステッパーやガジェットを利用すれば大体のことは何でもできるよ
例えば細かい作業とか得意だし、普通じゃ届かない位置での作業とか、人力じゃ難しいような加工とかもできるよ

この世界だと村間の伝達的なのも難しい場合もあるし、巡回のついでになんやかんやそんな依頼も承るとかなんとか
スピードを生かして小さいことでも数をこなす感じの勝負かな




 それは山間の開けた場所にある、小さな村であった。特筆すべきことは何もなく、穏やかであることだけが取り得のような、だがだからこそ有り得ない場所である。
 村人達がそのことをどの程度正確に理解しているのかは分からない。しかし確かなのは、そこには穏やかで平和な村が存在しているということだ。
 そしてそんな村に今、様々な音が発生していた。
 ただしそこに不穏な気配はない。音の発生源は、村の家々の窓や扉。それらを修復している音であった。
 小気味よく響いていたそのうちの一つが、不意に止む。修復を終えたのである。
 それを成したのは、壮年の男だ。状態を確認するように目の前の扉を数度叩くと、満足げにその金色の瞳を細める。
 一駒・丈一(金眼の・f01005)だ。
 その手際も含め、出来は中々のものではあるが、それは全て戦場での経験を応用したものだ。砦の修繕や罠の作成で培った技術を活かしたのである。
 過去の戦闘知識を、人々の生活に活かす。その結果を眺め、だが丈一はすぐにその場を見渡した。
 穏やかな空気に包まれている村ではあるが、どうにも全体的に家が古い。ざっと眺めただけでも、修繕すべき場所はまだまだ残っていそうであった。
 それにどうせならば、いずれ壊れそうな箇所等も合わせて修繕しておいた方がいいだろう。戸締りをしっかりとするよう説得するとしても、家にガタが来ている場合はそもそも万全な戸締りが出来まい。
 さすがに自分一人でやっていては間に合わないだろうが、幸いにも人手はある。
 と、次の修繕箇所を見繕っていた丈一の視界の端を、唐突に何かが横切った。反射的に身構え、しかしすぐに力を抜く。
 まさに今言っていた人手の一人だったからだ。
 空中を飛び跳ねるようにして移動しているのは、赤星・緋色(サンプルキャラクター・f03675)である。
 緋色は主に、普通では届かないような場所の担当だ。今そうしているように、宙を移動することが可能であるし、ガジェットを利用することも可能である。
 さらに緋色は、元々細かい作業が得意であるため、人力では難しいような加工なども請け負っていた。どちらかと言えば小さく、こまごまとしたものが多かったが、むしろ望んでのことである。小さいことでも、数をこなすことを目的としているからだ。
 そこにあるのは、純粋に村の人たちを助けてあげたいという思いである。オブリビオンを退治しに行く時には暫く籠っていてもらうことになるが、それも含めて助けてあげたいと思ったのだ。
 無論のこと、そのためにはまずオブリビオンを何とかしなければならないが、当然そのための準備はしてきてある。どれだけ効果があるかは不明だが、疫病相手ならばと、消毒殺菌するための道具とかもしっかり準備したのだ。
 ただ、そもそもの話として、オブリビオンと戦っている間はしっかり家の中にいてもらう必要があるが……どうやらその心配をする必要はなさそうであった。
「あ、そうそう、これから一段と冷え込みそうだから、戸締りしっかりね! 風の音キツくても外出ちゃダメだよー」
 村人へとそんな忠告をしていたのは、リグ・アシュリーズ(人狼の黒騎士・f10093)だ。
 旅人を装って村人と接触したリグは、近隣の村への道を教えてくれたお礼として、緋色や丈一と同じように扉の修繕などを引き受けていたのである。
 それも、一つの家だけではない。複数の家を回り、部屋に冷たい空気が入らないよう修繕を繰り返している。
 そしてもののついでを装い、今日は家の中にいるよう告げているのだ。
 今のところ村人達はリグの言葉を疑っている様子はない。それだけリグの行動が村人達からの信頼を得られているということであり……あとは、この村の雰囲気も関係しているのか。
 そんな村の様子を眺めながら、リグは一つ息を吐き出す。
 リグもこの世界の生まれだ。歌は希望に満ちたモノ、なんてキラキラ夢見た事は言わないが――。
(「オブリビオン。はた迷惑でしかないのよねー」)
 そんなことを思いつつも、言ってどうなる相手でもない。とりあえず今は、出来ることをやるだけである。
 そしてそれは無論、緋色や丈一も同様だ。緋色は自分に出来ることを探して動き回り、丈一も修繕を繰り返しながら、村人達へと言葉をかける。
 丈一は正直そういったことはあまり得意ではないのだが……言っている場合でもあるまい。
 気合を入れながら、夜の戸締りをしっかりするよう伝えるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

リリスフィア・スターライト
村を回って困っている人を助けるように動き回りたいかな。
薬の調達に家畜の世話や畑仕事など
特にいざ外に出ないようにお願いする時に
困るような事を優先的に対応するつもりだよ。

私だけで人手が足りないようなら近くにいる猟兵達も
手伝ってもらったりオルタナティブ・ダブルで
別人格のフィアを呼んで補うつもりだよ。

フィアは銀色の長い髪をツインテール
にした丁寧で優しい感じの女の子だね。

村人たちを安心させる為にも親切に接して
病人や怪我人、子供とか疫病にかかったら
特に危ない人たちの様子も把握しておくね。

「困った時はお互いさまって言うしね」(本人)
「他に手伝えることがありましたら遠慮なく言って下さいね」(フィア)


橘・焔
○心情
『疫病楽団』
噂には聞いてたけど質の悪いヤツらって事は良ーく分かった
…止めてみせるよ、絶対に

【SPD】
そもそも楽団がこの村を狙った理由って何だろう?
リースの言葉を借りればただの偶然じゃないきがするけど…

とりあえず村を巡って困ってる人を探そう
宇宙バイク(重力下仕様でタイヤで地上を走る)の機動力を生かして隅々まで回る覚悟
「…えー、お困りごとに何でも屋のお力添えはいかがかなー?」
力仕事は自信ないけど、お届け物、情報収集、失せ物探し等何でもござれ、だよ
お仕事ついでに出会った人に村の事や近隣の情勢について聞き込みを行う
「…ねぇ、最近この辺りで変わった事はなかった?例えば最近領主が変わった、とか」




 そこは小さな村ではあったが、小さいからこその問題というものは当然のように存在している。
 日々の暮らしを送るのに問題がなかったとしても、人が少ないために常に色々なものがギリギリなのだ。外に出ないようお願いされていたとしても、状況次第では外に出なければならないようなこともあるかもしれない。
 それを理解しているからこそ、リリスフィア・スターライト(プリズムジョーカー・f02074)はそこを補うように動き回っていた。薬の調達に家畜の世話や畑仕事など、何かあっても外に出ずに済むよう、そういったことを優先的に対応していっていたのだ。
 もっとも、さすがにその全てをリリスフィア一人でやるのは不可能である。そのことは本人も理解しているため、一人で動いているわけではない。
 その傍らにいるのは、一人の少女だ。銀色の長い髪に、ツインテール。物腰の柔らかなその様子は、如何にも強気そうなリリスフィアとは髪の色も雰囲気も異なっているものの、何処となく似通った面影がある。
 だがそれも当然である。少女――フィアは、リリスフィア――否、リリスにとって、もう一人の自分なのだから。
 これで単純に二人分の人手であり、効率も二倍だ。そうして二人で回り、村人達を手伝っていたのである。
 勿論中には遠慮をする人もいたが、二人はこのためにここに来たのだ。
「気にする必要はないよ。困った時はお互いさまって言うしね」
「はい、他にも手伝えることがありましたら遠慮なく言って下さいね」
「……そうかい? なら、遠慮なく手伝ってもらおうかねえ」
 その親切心が心からのものであると伝わったためだろうか。あるいは安心させるように笑みを浮かべていたのが良かったのかもしれない。遠慮をしていた老婆も、ついには二人の手伝いを受け入れてくれた。
 そうして二人は手伝いを繰り返し……ただ、そんな二人ではあったが、一つだけ欠点もあった。二人はあまり離れることが出来ないのである。その距離は五百メートル強といったところであり、小さな村とはいえ明らかに不十分だ。
 しかしその欠点を埋めるかの如く、村の中には一際大きな音と、声が響いていた。
 音の発生源は、流線型の赤い色をしたバイク――インフェルノだ。
 そして。
「……えー、お困りごとに何でも屋のお力添えはいかがかなー?」
 そんな声を上げているのは、橘・焔(転生のオデュッセイア・f01608)である。インフェルノの機動力を活かし、困ってる人を探しながら村を巡っているのだ。
 力仕事に自信はないが、お届け物、情報収集、失せ物探し等何でもござれ、などと告げながら、仕事を請け負い、ついでに話を聞いていく。
 この村のことや、近隣の情勢についてなどだ。
 その理由は、疫病楽団がこの村を狙った理由が気になっているからである。偶然ではないとするならば――。
「……ねぇ、最近この辺りで変わった事はなかった? 例えば最近領主が変わった、とか」
「ん? 変わったこと、か? ……いや、特にはないと思うぜ?」
 だが、尋ねてみたところで、反応はいまいちであった。誰でも同じようなものであり、嘘を吐いているような様子もない。少なくともこの村には、手がかりを知っている者はいないようだ。
 とはいえ、結局のところやることに変わりはない。
(「疫病楽団……噂には聞いてたけど質の悪いヤツらって事は良ーく分かった。……止めてみせるよ、絶対に」)
 そんな決意を固めながら、焔は引き続き村人達の助けとなるべく、インフェルノを駆るのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

小読・灯
私にできることはちょっとしたこと。だけど、ちょっとした手助けで助けになることもあるわよね
手助けし、話を聞いて、仲良くなれるように努力しましょう

話を聞かせて外に出しちゃいけないのは子供たちね
大人だけを説得しても外に出ちゃうし、子供が外に出て戻らなかったら大人たちも家の中に籠ってはいられないだろうから

泣いている子供や悲しそうな顔をしている子供を探しましょう
物をなくして困っている子供には今までの行動の話を聞いてどこで失くしたかを一緒に考えて一緒に探すわ
喧嘩をして仲直りに困っている子供がいれば話を聞いて、うんうんと頷いて、一緒について行ってあげましょう
気にしなくてもいいのよ、だって私はお姉さんだもの




 小さい村ではあるが、そこには様々な村人が住んでいる。
 大人や老人だけではなく、当然子供も、だ。
 だが子供とは、大人の言うことを聞かないものである。単純な反抗心から、あるいは構って欲しいが故に。
 そして悲劇というものは、そんな子供を基点として始まることも多い。それに子供が外に出てしまったら、大人達も放っておくわけにはいかないだろう。
 だから、というわけでもなかったが、小読・灯(灯火・f01972)がやるべきこととして選んだのは、子供と接するということであった。
 灯は、自分出来ることはちょっとしたことでしかないということを理解している。しかし、ちょっとした手助けが、誰かの助けとなることは有り得るだろう。
 そのことも理解しているからこそ、子供達を手助けをし、話を聞いて、仲良くなれるように努力することを決めたのだ。
 そうして幸いにも……と言ってしまっていいのかは分からないが、灯の役目は果たせそうであった。村の外れで俯きしゃがみ込んでいる少女の姿を見かけたからだ。
「ねえ、どうかしたの?」
「……っ」
 突然声をかけられたことに驚いたのか、あるいはその相手が見知らぬ相手だったからか。反射的に顔を上げた少女は灯の姿を見るや否や身体を小さく跳ねさせたが、声を上げるでも逃げるでもなく再び俯いてしまう。
 だが一瞬だけ目にした灯の顔に笑みが浮かんでいたのを見たためか、ゆっくりとその口を開かれた。
「……友達と、喧嘩しちゃったの」
「そう……仲直りしたい?」
 こくりと頷いた少女に灯は笑みを深めると、じゃあと告げる。一緒について行ってあげようか、と。
 自分一人だけでは行けないのだろうということを、察したのだ。
「……いいの?」
「気にしなくてもいいのよ、だって私はお姉さんだもの」
 そう言われても、少女は気にしているようであったが、灯が手を差し出すと、迷った末にその手を取った。
 その姿に灯は、笑みをさらに深める。まだ仲直りが出来たわけではないが、その時はまた話を聞いてあげればいいだけだ。
 そして無事に解決したら、他にも泣いている子供や悲しそうな顔をしている子供がいないかを探そう。そうして手を貸してあげ、そんな続けていけば……きっとそのうち、悲劇の芽は潰えるはずだ。
 その果てに、幸せな結末を作り出すために。まずはと、灯は少女と共に歩き出すのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

セツナ・クラルス
憂いなく日々を過ごせることが
どれだけ幸福であるのか
自覚せぬままでいてほしい
力を持たぬ者の手は清らかなままでいてほしい
手を汚すのは我々だけで充分だ

通りかかりの牧師的な立場だと自己紹介
コードで彼らの傷や病気を治せそうなら手を貸す
全てを完全に治すことは難しいが
応急処置程度にはならないかな

嘘を織り交ぜ真実を隠し
今夜は外出禁止ということのみを伝えられたら
…ふむ、先程あなたたちから吸い取った障りを
放置しておくわけにはいかないな
今夜中に空気に溶かし、薄めて分解してしまいたいのですが
勿論、薄めた障りに触れても直ちに身体に影響を及ぼすことはないのですが
念の為、
今夜中は家から出ないことを約束して下さいますか?


リーヴァルディ・カーライル
…ん。疫病楽団、最近良く聞く名だけど…。
多種多様というか統一感が無いというか…。

…まぁ。オブリビオンの考える事なんて何でも良いけど。
それが今を生きる人達を脅かすというなら容赦はしない。
この世界を生きる人達を護る。それが私の誓いだから…。

…警戒されないよう武器類は【常夜の鍵】に入れておく
礼儀作法に則り挨拶し目立たないように振舞い、
怪我した人や体調が悪い人がいれば教えてもらう

救助活動の知識を活かして患者の容態を調べた後、
本人の意思を確認してから【限定解放・血の聖杯】を発動
吸血鬼化した生命力を吸収して力を溜めた血を一滴、垂らす

…私は医者でも聖者でも無い。

呪われた吸血鬼の血を引く者…それでも治したい?




 穏やかな村の光景を眺めながら、セツナ・クラルス(つみとるもの・f07060)は一つ息を吐き出した。
 この光景の尊さを思ってのことだ。
 憂いなく日々を過ごせることがどれだけ幸福であるのか、自覚せぬままでいて欲しい、と。力を持たぬ者の手は清らかなままでいて欲しいと、そんなことを思ったのである。
 手を汚すのは自分達だけで充分だ、と。
 だがそのためにはまず、やらねばならないことがある。この村の人達を、今日は家から出ないようにすることだ。
 そのためにセツナが取った手は、通りかかりの牧師的な立場だと自らのことを告げるというものであった。そして傷を負ったり病気である者に手を貸すことにしたのだ。
 全てを完全に治すことは難しいかもしれないが、応急処置程度でも出来れば意味はあるだろう。実際小さな村であることを考えれば、十分過ぎるほどであった。
 あとは、どのようにして今日は外出禁止だということを伝えるかであるが――。
「……ふむ、先程あなたたちから吸い取った障りを放置しておくわけにはいかない。今夜中に空気に溶かし、薄めて分解してしまいたいのですが」
 そのため、念のために今夜中は家から出ないで欲しい、ということを傷を癒した村人に告げると、村人は神妙な顔で了承してくれた。セツナの言い分を全て信じてくれたのかは分からないが……少なくとも、何かそうしなければならないことがある、ということだけは分かったのだろう。
 そしてそれだけで十分であった。とりあえずは、家から出ないでいてくれたらば問題はないのだ。
 あとはこれを続けていけば何とかなりそうではあるが……さすがにセツナ一人で全てを、というのは無理だろう。村人の数は多くないとはいえ、折角の機会だからと、多くの村人がやってくるだろうことは目に見えているからだ。
 そしてセツナはその者達を追い返すつもりはない。が、どうしたって限界というものはある。
 しかし、その心配は無用であった。村人達の治療を行っていたのは、セツナの他にもいたからだ。
 リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)であった。
 ただ、セツナと同じように、と言ってしまうと、多少語弊があるかもしれない。警戒されないよう武器類は仕舞っており、礼儀作法に則った態度を取ってはいるが、リーヴァルディにはそもそもセツナと同じような治療法は無理だからだ。
 リーヴァルディの治療法とは、限定解放・血の聖杯を発動し、瞬間的に吸血鬼化したことで増した生命力を凝縮して血液に込め、それを相手に与えるというものである。
 無論無理やり行うつもりはないし、拒否するのであれば諦めるだけではあるが――。
「……私は医者でも聖者でも無い。呪われた吸血鬼の血を引く者……それでも治したい?」
 そうリーヴァルディが問いかけたのは、足を怪我したという老人であった。怪我をしたり体調が悪い人がいないかと尋ね、教えてもらった人であり、その治療を行うために訪れたのである。
 しかし、その治療法というのは先に述べた通りだ。放っておいてもそのうち治るようなものではあるだろうし……嫌だと言われればこのまま去るだけである。
 だが。
「折角怪我を治してくれるってのに、その方法に文句を言うほど耄碌しちゃいねえわい。痛くて困ってたんだ。治してくれるってんなら、歓迎するに決まってんだろ?」
「……ん。そう」
 それが本心からのものであるのかは分からないが、受け入れるというのであれば問題はない。
 血を一滴、その足へと垂らした。
 途端。
「お? お、おお……痛みがなくなった……確かに治ったわい! こりゃありがたい!」
 喜びに満ちたその言葉を、リーヴァルディはただ黙って聞いていた。俯いているため、その表情はよく分からない。
 そのまま反応を返すことなく、リーヴァルディは立ち上がると、老人へと背中を向けた。そのまま歩き出し――。
「おう、本当に助かったぜい! ありがとうよ!」
 老人の感謝の言葉を背に受けながら、リーヴァルディはその場を去っていった。
 まだ、他に向かうべき場所はあるのだ。ここでのんびりしてる暇はない。それに本番は、この後だ。
 疫病楽団。よく分からない相手である。最近良く聞く名ではあるが、どうにも多種多様というか、統一感がないというか……。
「……まぁ。オブリビオンの考える事なんて何でも良いけど」
 呟きながら、歩を進める。
 それが今を生きる人達を脅かすというならば、容赦はしない。それだけだ。
 この世界を生きる人達を護る。
 それが。
「……私の誓いだから……」
 それを果たすためにも、リーヴァルディは次なる場所へと向けて足を進めるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『スケルトン』

POW   :    錆びた剣閃
【手に持った武器】が命中した対象を切断する。
SPD   :    バラバラ分解攻撃
自身が装備する【自分自身のパーツ(骨)】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    骸骨の群れ
自身が戦闘で瀕死になると【新たに複数体のスケルトン】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。

イラスト:コツキアカネ

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 夜の帳が下り、完全なる闇が世界を支配する時間帯。
 本来であれば静けさに満ちたその場所に、似つかわしくない音が鳴り響いていた。
 否、あるいはある意味では相応しいのか。
 それは狂気を孕んだ不協和音。平和と平穏とを、死で塗り潰す楽団。
 骨と楽器で形作られたそれらが近付いてくるのを、猟兵達は黙って見つめていた。
 山の麓の、見通しのいい平原。それぞれの思いを瞳に宿しながら、ゆっくりと構える。
 そして。
 ついに猟兵達と疫病楽団とが、激突したのであった。
橘・焔
○心情
あれが疫病楽団…、正に災厄の塊って感じだね
どんな方法で人を死に至らしめるのか分からないけど、速攻で倒す!

【SPD】
「何か聞き出したいけど死人に口なし、まともな成果は期待できないか…」
スケルトンが口を利くなら話は別だけど、おそらくそれは無理だろう
楽団の不吉な音をかき消すようにエンジンを空吹かす
「…行くよインフェルノ、奴らを“地獄”を見せてあげよう」
ゴーグルを装着し、楽団目掛けて一気にフルスロットル!

高速起動で敵の隊列を乱し、他の猟兵が突っ込む隙を作る
ついでばらけた奴を標的に接敵し、通り抜けがてら右手に持った重たいガンケースで強烈な一撃をお見舞い
「…地獄の底まで、吹っ飛べッ!!」




 近付いてくるスケルトンの群れと、その場に響く不協和音。
 その光景を眺めながら、小型のバイク――インフェルノに跨っている焔は息を一つ吐き出した。
(「あれが疫病楽団……正に災厄の塊って感じだね」)
 出来れば、どんな方法で人を死に至らしめるのかを調べたいところだが、生憎と相手はスケルトンだ。口を利けるのであれば話は別だが、おそらくは無理だろう。楽器を鳴らしているとはいえ、その様子を見るにそこまでの知能があるとは思えない。
「何か聞き出したいけど、死人に口なし。まともな成果は期待できないか…」
 それに、と、焔は意識だけは前方に向けながら、一瞬だけ後方へと視線を向けた。
 ここからではあの村は見えないが、音だけならば届いてしまう可能性はある。不気味で不安になるような音でしかないが、だからこそ気になって様子を見に行こうとする者がいたところで不思議はあるまい。
 皆とも協力して村人達には今日は外に出ることはないようしっかりと言っておいたので大丈夫だとは思うが……早く片付くのであればそれに越したことはないはずだ。
 不吉な音をかき消すようにエンジンを空吹かせると、焔はゴーグルを装着し、ハンドルを握る手に力を込める。
「さて、それじゃあ速攻で倒すとしようか……行くよインフェルノ、奴らに『地獄』を見せてあげよう!」
 言葉と同時に、フルスロットル。一瞬で最高速度へと達した赤い機体が、一直線にスケルトンの群れへと飛び込んだ。
 無論のこと、如何にバイクに乗っているといっても、スケルトンの群れに一人で飛び込むというのは無謀である。
 が、あくまでもそれは一人で戦おうとすれば、の話だ。そして焔は最初から一人で戦うつもりはない。
 高速での移動を繰り返すその動きは、敵の隊列を乱し、他の皆が突っ込む隙を作るためのものであった。
 ただ高速で動き回るだけであれば相手もそれほど混乱するようなこともなかっただろうが、焔が駆るインフェルノはそれ自体が凶器でもある。知能が大して高くないこともあってか、あっさりと翻弄されるスケルトンの姿に、焔はその口の端を吊り上げる。
 そうして勿論、それだけで終わらせるつもりはなかった。
 高速での移動を続けながら、焔の視界に一体のスケルトンの姿が映る。翻弄させられた果てに、群れから弾き出されたのだ。
 そしてそれを見逃す焔ではない。一瞬でその距離を詰めると、右腕を振り上げた。
 その手に握られているのは、今のところ何の効果があるわけでもない、ただの重たいだけの鞄だ。だがこの状況であれば、十分有用である。
「……地獄の底まで、吹っ飛べッ!!」
 すれ違いざまに叩き込まれた強烈な一撃は、見事そのスケルトンの身体を粉砕したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リグ・アシュリーズ
思いのほかホネホネしてるー。
骨太さが足りてない気もするけど、生前、お魚ちゃんと食べてた?
って、敵を心配しても仕方がないのだけど。

序盤は普通に剣で戦いつつ、動きを見ます。
個々は弱そうだけど、数攻めタイプかしら。
お家の修理一緒にしてくれた人に、さっきはありがとーって声かけて助太刀。

もし骸骨が仲間を呼ぶようなら、仲間に一声。
「ごめーん、ちょっと離れてて!」
多数の敵を斬りつけて挑発、じりじり味方から引き剥がし。

奥の手、人狼咆哮。
細い体からは想像つかないくらい、裂帛の咆哮で辺り一体を揺らがす。

――これ使うと怖いって言われるし、ヤなんだけど。
いっか。村の人たちが笑って過ごせるなら。

さ、もう加減はしないよ!


一駒・丈一
招かれざるお客人様御一行のご到着だ。
丁重にお出迎えし、早くあの世のお帰り頂くとしよう。

SPD重視で立ち回ろう。
集団戦は俺の最も得意とする状況だ。

『早業』および『2回攻撃』を駆使しつつ、
UCの『罪業罰下』を繰り出そう。
敵のバラバラ分解攻撃や骸骨の群れでの複製体増殖が煩わしい故、
敵の本体だけでなく、これらの複製されたモノも
俺のUC攻撃範囲内であれば一閃し切り伏せ掃討する。

敵の手数頭数が増えようが、その増加スピードを上回れば良いだけの話だ。

疫病のように敵が増殖するのであれば、
病原を片っ端から駆逐するのみだ。

では、消毒を始めるとしよう。




 奏でられていた音の一つが、不意に止んだ。
 音を鳴らしていた楽器ごと、スケルトンの身体が両断されたのである。
「思いのほかホネホネしてるー。骨太さが足りてない気もするけど、生前、お魚ちゃんと食べてた? って、敵を心配しても仕方がないのだけど」
 それを成したのは、軽い調子で言葉を放っているリグだ。ただしそれと共に、斬撃もまた飛んでいる。
 斬り、払い、薙ぎ、相手の動きを眺めながら、その身体を解体していく。
 とはいえ、どうやら単体の能力は大したことがなさそうである。何となく予想していたことではあるが、数で攻めるタイプのようだ。
 だが、実際のところこの数は中々に厄介である。しかも、敵は自分でスケルトンを召喚することも出来るらしい。ちまちまと削っていたら埒が明かなそうだ。
 と、そんなことを考えながら眼前のスケルトンを切り捨て、何気なく周囲を見回したリグの視界に、ふとある光景が映り込む。
 逡巡したのは一瞬だ。次の瞬間には、リグはその場所へと駆け出していた。
 視線の先にいたのは、丈一だ。危うげなく周囲のスケルトンを狩ってはいたが……その後方にいるスケルトンの身体の一部がばらけ、宙に浮いている。
 直後にそれらが丈一に向けて放たれ……だが、丈一の身体に届くことはなかった。その前に、リグが全て叩き落したからである。
 そのすぐ後に丈一が振り返り、そこでリグが数度瞬きをしたのは、丈一の目に驚きがなかったからだ。
「あれ? もしかして、気付いてた? もしかして、余計なお世話だったかな?」
「……いや、助かった」
「……そっかー」
 その様子から、実際には必要なかったのだろうと悟ったものの、そう言ってくれたのであれば余計なことを言うべきではあるまい。その代わりとばかりに、リグは別の言葉を口にした。
「あ、そういえば、さっきはありがとー。これはそのお礼ってことで」
「む? ……ああ」
 一瞬怪訝な顔をした丈一だが、直後に小さく頷きを返したのは、その言葉の意味するところに気付いたためだろう。それは、あの村で家の修理を共に行ったことに対してのものであった。
 だが丈一はすぐに視線を前方へと向け直す。まだまだスケルトンは多く残っているのだ。
「……さすがに少し煩わしいか。だが、まあ、いい。大体分かった」
 そう呟いた丈一の視界には、減った分を補充するかの如く新たに召喚されたり、その身を自らバラバラにし、宙に浮かせているスケルトンの姿が映っていた。いちいち相手をするには中々煩わしい相手だが、既に自分で口にした通りである。
 その力の程はもう理解出来たのだ。であるならば、問題はない。
 元々集団戦は、丈一が最も得意とする状況なのだ。確かに手数や頭数が増えるのは厄介ではあるも、ならばその増加スピードを上回れば良いだけの話である。
 疫病のように敵が増殖するのであれば、病原を片っ端から駆逐するのみであった。
「では、消毒を始めるとしよう」
 相手は招かれざるお客人様御一行だ。丁重にお出迎えし、早々にあの世へとお帰り頂くべく、その手に持つ刀の刃が自分へと向かい来るスケルトン共へと向けられる。
 普通に考えれば、その状況に刀一本で挑むのは無謀でしかない。が、何の問題もなかった。
「――これにて終いだ。余罪は地獄にて禊がれよ」
 ――罪業罰下。
 言葉と共に、丈一の腕が振り抜かれる。
 一閃。
 それだけであり、だがそれだけで終わりはしなかった。その一撃は、己に課せらた因果を一時的に逆転させることを可能とするものだからだ。
 結果は、眼前に示された通りである。
 丈一の視界に映っていたその全てが、両断されたのであった。
 もっとも、逆に言えば対処出来たのは視界に映っていた敵だけだとも言える。視界外にいた敵、特に後方に関しては手付かずだ。
 しかしそれも心配はいるまい。ここで戦っているのは、自分一人ではないのだ。
 そこにいるのは無論、リグである。そしてリグは一つ、覚悟を決めていた。
 丈一の一撃は凄かったものの、それでも敵はまだまだ残っているのだ。なら、自分もちまちまと戦っているわけにはいくまい。
 そう決意するのと同時、リグはスケルトンの群れへと向けて駆け出した。一応その周辺には誰もいないが、念のために声を張り上げる。
「ごめーん、ちょっと離れてて!」
 正直なところ、出来ればコレを使いたくはなかった。使うと、怖いと言われるから。
 しかし、その場へと飛び込みながら、ふとあの村にいた時のことが頭に浮かんだ。接した人々の、その顔が浮かび……少しだけ、口元が緩む。
 いっかと、そう思った。あの村の人達が、笑って過ごせるなら、と。
 瞬間、裂帛の咆哮が、その場に響き渡った。リグの口から、その細い身体からは想像が付かないほどの音量が放たれたのだ。
 それによって発生した衝撃が、周囲の全てを打ち砕く。
 咆哮は数秒ほど続き、後に残ったのは、粉々になったスケルトンだったモノだけであった。
 だがそれでも、スケルトンの数はまだ多い。
「さ、もう加減はしないよ!」
 未だその場に響く音に負けないようそう告げると、リグは次なる敵へと向けて駆け出すのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

小読・灯
触れ込み通り、ガイコツがたくさん。音楽も鳴り響いてるところからすると、きっと村のみんなを死の舞踏にお誘いに来たのね
だけど残念、今日は村のみんなは家でお休み中、ダンスの誘いには乗れないの

だけど、お嬢様、お兄様方。せっかく来てくれたのだから、壁の花になんかさせないわ。代わりに私達と一曲踊りましょう
ちょっと骨張っていて痛そうな見た目だけれど、大事なのは中身、骨があるかどうかよ

私の剣舞をお見せしましょう
相手は大所帯、乱戦を予想して【迷彩】の魔法で私と剣の周囲をぼやけさせたら、マッチを一本擦って剣に火を灯しましょう
手を抜くのは失礼ね【属性攻撃】付きの【ブレイズブレイド】で骨の髄まで燃やし尽くしてあげるわ


セツナ・クラルス
…ふむ、申し訳ないが
私は音楽については完全に門外漢でね
あれこれと語ることはできないんだ
でも、これだけは言えるよ
ここにあなた方の奏でる音楽は必要ない

灯火を出現させて交戦開始
欠片も残さず焼いてあげよう
火力は低めでも小さくて小回りのきく灯火を数個
手足のように扱い敵を翻弄
攻撃しては離れ、離れては攻撃を繰り返し
敵のテンポを崩そう
万一敵が灯火ではなく私を狙うことがあれば
鎌でなぎ払ってけん制する

首尾よく敵を倒せたとしても油断はしない
倒したと思った亡者が再び牙をむく…というのはよくある話だからねえ
…まあ、実際そんなことがあったらやはり驚くだろうねえ

敵が完全に沈黙したら祈りを捧げようか
次は迷わずにいけますように


リリスフィア・スターライト
天体破局で一気にスケルトンの撃破を狙うよ。

ただし下手に追い詰めて複数体のスケルトンを
召喚されても大変だから確実に仕留められかつ
他の猟兵の人達を巻き込まないタイミングでだね。

それまでは落ち着いて戦局を把握して剣で迎撃に
徹して深追いはしないようにかな。

発動する時は可能な限り全力で破壊力を重視して
炎の渦で消し炭にする勢いでかな。

「瀕死程度で済ませるつもりはないよ」
「病原体は消毒するに限るよね」




「触れ込み通り、ガイコツがたくさん。音楽も鳴り響いてるところからすると、きっと村のみんなを死の舞踏にお誘いに来たのね。だけど残念、今日は村のみんなは家でお休み中、ダンスの誘いには乗れないの」
 謳うような言葉と共に、揺らめく炎の如き金色の髪がその場になびいた。まるで流れるような動きで、灯が一歩を前に踏み出したのである。
 さらにそのままの動きで手にしたのは、一振りの剣。自身の髪と同じ、炎の揺らめきの如き波打つ刀身を持つフランベルジュだ。
「だけど、お嬢様、お兄様方。せっかく来てくれたのだから、壁の花になんかさせないわ。代わりに私達と一曲踊りましょう。ちょっと骨張っていて痛そうな見た目だけれど、大事なのは中身、骨があるかどうかよ」
 言葉は続き、動きもまた続く。フランベルジュを持つのとは逆の手に持ったのは、一本のマッチだ。
 だが無論のこと、ただのマッチでは有り得ない。その名は、夢幻の灯。そこに灯された火が、ただの火であるわけがあるまい。
 とはいえ、これだけではまだ不十分だ。相手はスケルトンとはいえ、手を抜くのは失礼であろう。
「――炎よ纏え」
 そうしてその火が、剣へと移された。炎の如き刀身が、本物の炎を――否、それよりも遥かに恐ろしい炎を纏ったのである。
 これで準備は万端であった。
「さあ、私の剣舞をお見せしましょう」
 その言葉の意味するところを、果たしてスケルトン達は理解することが出来たのだろうか。
 だが理解できていようがいまいが、結果は同じだ。
 一斉に向かってきたスケルトンの、その全てが灰燼と化したのである。腕を振るうごとに楽器ごとその身が両断され、骨の髄まで燃やし尽くされた。
 灯が通った後にあるのは、全てが燃え尽きた証である灰のみ。しかしそれもすぐ風に攫われてなくなった。
 その光景に威圧されたかのように、スケルトン達の足が僅かに後ろに下がり……だが、その行為に意味はない。直後に、その身の全てが焼き尽くされたからだ。
 ただし、それを行ったのは灯ではない。
「わあ……中々派手ね」
 感心するように呟いた灯の視線の先にあったのは、巨大な炎の渦であった。
 さすがに規模が規模なだけあってかすぐに消えてしまったものの、それが消えた後に残っていたのは一つだけだ。
 炎の渦を作り出した本人である、リリスフィアであった。
「病原体は消毒するに限るよね」
 周囲を見渡しながらそう嘯くリリスフィアではあるが、無論その目に油断はない。スケルトンの数はようやく最初の三分の二程度になっただけなのだ。まだまだ気を抜くことは出来ない。
 それに今の攻撃は、規模が大きすぎて下手をすれば味方まで巻き込みかねないのだ。早々連発出来るものでもなかった。
「まあ、それならそれで、こっちでやるだけだけど」
 呟き、構えるのは、愛用している魔剣だ。決して大規模な攻撃だけしか出来ないわけではないのである。
 とはいえ、相手の様子を見るに、どうやら下手に追い詰めてしまうと複数体のスケルトンを召喚されてしまうようだ。未だ三分の一しか敵を減らすことが出来ていないのもそのためである。
 そのことを理解しているからこそ、リリスフィアは剣を構えながらも積極的に攻撃するつもりはなかった。
 あくまでも迎撃に徹し、深追いはしない。撃破を狙うのは、確実に仕留められるタイミングのみだ。
 緋色に輝く刃を牽制のために振るいながら、周囲の状況を確認しつつ少しずつ移動していく。知能が大して高くないとはいえ、露骨にやればさすがに気付くだろう。
 それでも大半は倒せるだろうが、中途半端になってしまうのが一番まずい。敵を確実に纏めて倒せるよう、敵の攻撃を迎撃しながらタイミングを見計らい……ふと、視界の端を炎が過ったのはそんな時のことであった。
 無論、リリスフィアの手によるものではない。一瞬だけ視線を向けてみれば、そこにあったのは複数の小さな炎の塊。
 セツナの手によるものであった。
 その小さな炎は、灯火だ。
 原初の灯火――ハッピーバースデー。その全てはセツナの意のままに動き、スケルトン達を欠片も残さず焼き尽くしていく。
 勿論、それらが奏でる音諸共である。
「……ふむ、申し訳ないが私は音楽については完全に門外漢でね。あれこれと語ることはできないんだ」
 言葉と共に、灯火が飛び交う。小回りが利かせることを優先しているため、一つ一つの火力は低いが、その分相手を翻弄することに長けている。
 手足のように動くそれらは、攻撃しては離れ、離れては攻撃を繰り返し、敵のテンポを崩していく。急ぐ必要はなければ、焦る必要もない。一つ一つ、確実に潰していけばいいのだ。
「でも、これだけは言えるよ。ここにあなた方の奏でる音楽は必要ない」
 そして決定的に崩れた瞬間を狙い、纏めて灯火が叩き込まれた。瞬間的に強化された炎が、跡形もなくスケルトンを焼き尽くしていく。
 出来れば次は迷わずに済むよう、祈りを捧げたいところではあるが、生憎と敵は次から次へとやってくる。灯火が手元から離れた隙を狙ったか、後方からスケルトンが襲い掛かってきたのだ。
 だが、セツナは難なくその手に握る鎌で以て薙ぎ払った。
 その身に油断はない。倒したと思った亡者が再び牙をむく……というのはよくある話だからだ。
「……まあ、実際そんなことがあったらやはり驚くだろうねえ」
 悉く相手の身体は焼き尽くしているためか、幸いにも今のところそういったことはないが……と、そんなことを考えていると、ふと視界の端の『それ』に気付いた。
 逡巡は一瞬にも満たず、次の瞬間にはセツナの身体は後方へと飛び退いている。その場にいては危険というか、邪魔だからだ。
 向けた視線の先にいたのは、リリスフィアである。見れば、遠方にいた灯もまた、同様に飛び退いていた。
 そして。
「唸れ雷光、轟け嵐、渦に飲まれ、全てを灰燼に帰せ!」
 天体破局――スフィア・カタストロフィ。
 瀕死程度で済ませるつもりはないよ、という呟きを掻き消すが如く、巨大な炎の渦が、周囲のスケルトンを丸ごと消し炭にしたのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

リーヴァルディ・カーライル
…ん。貴方達がどんな未練を抱いて現世に蘇ったのかは知らない。
あるいは、亡骸を操られているだけの犠牲者なのかもしれない。

…だけど、ごめんなさい。
どんな理由があっても、今を懸命に生きる人を害するならば、容赦はしない。

事前に防具を改造し第六感を強化
殺気の存在感を可視化する“見切りの呪詛”を付与
さらに両目に魔力を溜めて暗視を強化し、
敵の攻撃を先読みし怪力を瞬発力に変えて大鎌によるカウンターを狙う

周囲に敵が集まれば【限定解放・血の波涛】を発動
気合いを込めて大鎌をなぎ払い、
傷口を抉り生命力を吸収する波動を連続で放ち(2回攻撃)敵を一掃する

…正体を現しなさい、疫病楽団。
これ以上、死者を冒涜する事は赦さない。


赤星・緋色
ゲームだと骸骨系って打撃攻撃に弱いっていうのがセオリーだよね
というわけで私は骨の粉砕を狙っていくよ

かもーん、ガジェット!
使用するのは魔導蒸気で駆動する、ランマー!
そう、道路工事とかで地面を均すヤツ
そのままだと攻撃できないから、技能のダッシュとジャンプを組み合わせて大ジャンプからの飛び込み踏みつけ攻撃
跳躍が足りなかったらスカイステッパーの多段ジャンプで上から踏みつけて整地していくよ
骨をばらばらに飛ばしてくるっぽいけど、骸骨ならそんなに複雑には飛ばせないはず
上手く癖とかを見切って避けていきたいかな
他に近くに猟兵がいたら協力して戦う感じ

まだ次があるっぽいからここはサクッと退治していきたいよね




 スケルトンの群れを眺めながら、緋色はあることを思っていた。
 ゲームだと骸骨系って打撃攻撃に弱いっていうのがセオリーだよね、と。
 というわけで、狙うは骨の粉砕だ。幸いにも、そのためのあてはある。
「かもーん、ガジェット!」
 叫び、召喚されたのは、魔導蒸気で駆動する『ランマー』であった。名前を言われたところでどんなものなのか理解出来る者はそう多くはないと思うが、要するに道路工事などで地面を均すために使われるアレである。
 間違いなく武器として使うことを想定されたものではないが、出てきてしまったのだから仕方があるまい。そして出てきたということは、相手に対し有効だということだ。
 ただ、幾ら有効であろうとも、戦闘が想定されていないことに変わりはない。召喚されたものであろうとも、ランマーはランマーなのだ。使用方法が変わるわけでもなく、当然のように地面に対してしかその効果は発揮しない。
 が、そのままで使えないのであれば、使える状況にしてしまえばいいだけだ。そのためのアイデアも、ある。
 次の瞬間、緋色はその場から飛び上がっていた。無論、ランマーを持ったままで、だ。
 地面に対してしか攻撃が出来ないのであれば、自分が敵の真上に移動すればいいのである。しかも敵の数は多く、狙い放題だ。
 というかむしろ、しっかり狙う必要すらない。適当に狙いをつけて落下すれば、眼下にはうじゃうじゃと集まった骨の集団がある。
 踏み付け、粉砕した。
 そして狙い通りというべきか、やはりこのランマーはスケルトンに対し有効であるらしい。一撃でその身を粉々に出来、その後動き出してくる気配もないからだ。
 ただ、一つ欠点があるとするならば、攻撃のたびにジャンプを繰り返さなければならないということか。スケルトンの知能は高くはなさそうだが、それでも馬鹿というわけでもない。自らの骨をバラバラにし操ることも出来るようだし、ジャンプの最中は基本的に無防備だ。
 多少ならばかわすことも出来るものの、集中攻撃でもされてしまえばさすがにかわしきれまい。
 とはいえ、問題はなかった。何度かその動きを見れば見切ることも出来るようになるだろうし……何よりも、一人で戦っているわけではないからだ。
 再びその場に飛び上がった緋色へと、早速とばかりにスケルトン達が見上げてきたが、周囲に浮かんだ骨が飛んでくることはなかった。
 その前に、本体ごと両断されていたからだ。
「……ん。貴方達がどんな未練を抱いて現世に蘇ったのかは知らない。あるいは、亡骸を操られているだけの犠牲者なのかもしれない」
 言葉と共に通り過ぎるのは、過去を刻み未来を閉ざす大鎌。
 即座にスケルトン達が反応し、その姿へと視線を向けるが、既に遅い。流れる銀の髪が翻り、スケルトン達が攻撃をするよりも先に、その攻撃を読んでいたかの如く、その根元から断ち切られていく。
 否、如くではなく、実際に読んでいるのだ。可視化された殺気と第六感が、その攻撃の前兆までを含め、リーヴァルディへと正確に伝えていた。
「……だけど、ごめんなさい。どんな理由があっても、今を懸命に生きる人を害するならば、容赦はしない」
 言葉の通りに、その攻撃に一切の容赦はなかった。元より命の存在しないそれらを正確無比に切り刻み、物言わぬ骸へと戻していく。
 魔力によって強化された紫の瞳が、暗闇の中にあってもそれらの姿を逃さない。全ての挙動を見逃さず、一切の抵抗を許さない。許されているのは、死神の鎌によって刈り取られることだけだ。
 もっとも、リーヴァルディとて全能ではない。さすがに鎌の届かぬ位置から攻撃されては、止めようはなかった。
 視界の端に映っているのは、宙に浮かぶ骨。今にも飛んでこようかというところであり、だが止める必要もない。
 その上空にある姿に、気付いていたからだ。
 直後、先ほどのお礼とばかりに、上空から緋色が降って来た。真下にいたスケルトンを、飛ばそうとしていた骨ごと砕き、叩き潰す。
 まだ次があるっぽいからここはサクッと退治していきたいよねと、軽い調子で呟いた緋色の言葉に、リーヴァルディが小さく頷く。異論はなかった。
 周囲を見やれば、そこにあるのはスケルトンの群れ。囲まれたのではない。狙い、集めたのだ。
「……正体を現しなさい、疫病楽団。これ以上、死者を冒涜する事は赦さない」
 大鎌を構えるのと同時、一瞬だけリーヴァルディの身体が、その血が脈動する。ヴァンパイア化したその身より溢れるのは、血色の波動。
「……限定解放。薙ぎ払え、血の波濤……!」
 限定解放・血の波濤――リミテッド・ブラッドウェーブ。
 振るい、放たれ、もう一度。連続で叩き込まれた波動が、周囲の全てを飲み込んだ。
 後に残されたのは、何もない。あるのはただの、残骸のみだ。
 上空に退避していた緋色は、その光景を眺めると、小さく口笛を鳴らしたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『喰われた神々』

POW   :    この世のものでない植物
見えない【無数の蔦】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
SPD   :    名称不明の毒花
自身の装備武器を無数の【金属を錆びつかせる異形】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    異端の一柱
【一瞬だけ能力が全盛期のもの】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。

イラスト:夏屋

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 それは突然のことであった。
 前兆はなかった――否、あるいはそれこそが前兆だったのか。戦闘の間もずっとかき鳴らされていた、狂ったような楽器の音色が、不意に変わったのだ。
 より不吉に、より狂気を孕んだような音へと……だが変化があったのは、楽器の音色だけではなかった。オブリビオンの身体そのものまでもが、変化を始めたのだ。
 骨しかなかったはずのその身が蠢き、あるはずのない肉が盛り上がっていく。足も腕も胴体も、それどころか、気が付けば服まで身に纏っている。さらに、その背には純白の翼が生えていた。
 ただしその翼は片翼のみであり、追加されたものの変わりとでも言わんばかりに、先ほどまではあったはずの頭部が失われている。
 だがそのオブリビオンは、その姿こそが正しいのだ。喰われた神々と、そう呼ばれているオブリビオンであった。
 つい先ほどまでは確かにスケルトンであったはずなのに、一瞬で全く別種のオブリビオンへと変わったそれは、どう考えても不可解な現象である。
 しかし、そのことを考えている暇はなかった。姿が変わろうともそれもまた敵であることに違いはなく、しかもスケルトンであった時よりも明らかに戦闘力を増してもいたからだ。
 とはいえ、ある程度は示唆されていたことである。誰の姿にも気の緩みはなく、その目に動揺もない。
 襲い掛かってきたそれらへと猟兵達は構えると、今度こそ終わりにすべく迎え撃つのであった。
橘・焔
○心情
…それが正体ってワケか、所謂“古き神々”ってヤツ?
只の骸骨じゃないとは思ったけど、予想外の大物だったね

【POW】※アドリブ・連携可
「…堕ちた邪神に慈悲は不要、速やかに討つよ」
インフェルノを降り、左手に鞄を担いで右手にグッと力を込める
「光よ、闇を祓う力となれ…」
生成した“光の刃”と鞄で敵の攻撃を凌ぎつつ間合いを詰める
※見えない蔦は「盾受け5、情報収集3、第六感3、各種耐性2」を駆使し捌く
こちらの射程に入ったら真の姿(髪:黒→銀、瞳:真紅→虹色の虹彩)を解放
上空を埋め尽くす無数の光の十字架を召喚して一気に撃ち出す
「…災厄をばら撒く公演のカーテンコールだ、『時よ止まれ、汝はいかにも美しい』!」


守田・緋姫子
「化け物の相手は化け物こそがふさわしい。貴様等をまとめて現代アートの傑作にしてやる!キャハハ!」

オブリビオンは嫌いだ。奴らはいつだって過去から滲み出て現世に死と災いをもたらす。疫病楽団....まさにオブリビオンの醜悪さを体現したような連中だな。腐れた楽団はここで残らず叩き潰してやる。

数が多いな....悪霊を召喚しても力負けしそうだし、今回は久々に私自ら戦ってやる。ユーベルコードを使い、奴らを蜂の巣にする。弾はホームセンターで買えるようなものばかりだが、私の呪いを帯びた特別製だ。奴らも食らえば無傷では済むまい。周りの猟兵は巻き込まないよう、射出する場所や角度は調整しよう。

連繋、アドリブ歓迎




 すっかり形の変わったオブリビオンを前に、インフェルノから降りた焔は油断なくその姿を見据えた。
「……それが正体ってワケか、所謂『古き神々』ってヤツ? 只の骸骨じゃないとは思ったけど、予想外の大物だったね」
 頭部の存在しないそれからは、当然のように言葉の応酬はなかった。
 だがその代わりとばかりに、今も鳴り響き続けている楽器の音色が激しくなり、さらにはその場に流れている雰囲気が僅かに変わる。
 目に見える変化は何もない。何処を見ているのか、そもそも見えているのかすらも定かではないそれらは、変わらずそこにあるだけだ。
 ゆえに焔が咄嗟に左手に持つ鞄を眼前へと持ち上げたのは、半ば勘であった。あとは、ほんの少しだけ空気の流れが変わったように感じたというのもあるが……果たしてその感覚が正しかったということは、次の瞬間に証明される。
 鈍い音と共に、左手に衝撃を感じたのだ。
「っ……!」
 見えない何かによって攻撃された、ということを理解した焔の行動は早かった。右手にグッと力を込めると、敵へと注意を向けたまま、ほんの少しだけ右手へと集中する。
「光よ、闇を祓う力となれ……」
 呟きと共に、右手が振るわれた。確かな感触と共に見えない何かが切り裂かれ、光の軌跡が生じる。
 その身に流れる血とは相反する光の集積体を右手に構えながら、焔はよしと呟く。見えずとも、防ぐ事が出来、斬る事が出来るのであれば、問題はあるまい。
「……堕ちた邪神に慈悲は不要、速やかに討つよ」
 告げると同時、地を蹴った。
 見えない何かを――無数の蔦を操る相手を前に接近戦を挑むというのは、無謀と言えば無謀である。これで敵が一体だけであるならばともかく、敵は未だ数十という数がいるのだ。その数体から攻撃されるだけでも、焔に凌ぎきることは出来ないだろう。
 だが無論その程度のことを考えていないわけがないし、その上で焔は問題がないと判断したのだ。
 そんな焔へと周囲の敵から一斉に無数の蔦が放たれ――直後に、焔の判断は間違いではなかったのだということが示された。
 焔に向かってきた全ての蔦が、空中で叩き落されたのだ。
 それは、遠方から放たれた、呪いを帯びた弾丸である。
「貴様等をまとめて現代アートの傑作にしてやる! キャハハ!」
 守田・緋姫子(電子の海より彷徨い出でし怨霊・f15154)であった。
 緋姫子のおかげで前方の障害が取り除かれ、しかし焔が視線を向けると、緋姫子はそっぽを向く。まるで、敵を狙ったら偶然そうなったとでも言いたげであった。
 だが緋姫子のいる位置から考えて、弾丸が放たれた斜線上に敵はいない。何を意図した攻撃であったのかは明白だ。
 しかし緋姫子は礼を求めていないように見え、焔も元々愛想のある方ではない。だから礼の代わりとばかりに、一気に加速した。
 瞬間、焔の瞳と髪の色が変化する。黒い髪が銀色に、真紅の瞳が虹色の虹彩を帯びていく。その真の姿を解放したのだ。
 そしてそれと共に、右手を空に突き上げた。
「……災厄をばら撒く公演のカーテンコールだ――『時よ止まれ、汝はいかにも美しい』!」
 言葉を紡ぐと同時、上空を無数の光の十字架が埋め尽くす。
 ――シュヴィエソス・クリージュ・カァルナス。
 右手を振り下ろした瞬間、光の軌跡をなぞるように、降り注いだ十字架が周囲の敵を纏めて貫いたのであった。
 そうしてそんな光景から視線を切ると、緋姫子は眼前の敵へと弾丸を叩き込んだ。一先ず向こうに援護は必要ないとは判断したのである。決して本人はそんなことを考えていたとは認めまいが。
 化け物の相手は化け物こそが相応しいと、そんな言葉を嘯きながら、弾丸を叩き込み続ける。その弾そのものはホームセンターで買えるようなものだが、緋姫子の呪いを帯びた特別製だ。オブリビオンであろうとも、食らえばただでは済まない。
 残った翼も吹き飛び、胴体に幾つもの穴が空いたオブリビオンが、その場に倒れ込んだ。
 最早動くことのないことを確認すると、緋姫子は息を一つ吐き出し、その場を見回す。狂ったような音を奏で続けるそれらを眺めると、目を細めた。
「疫病楽団、か……まさにオブリビオンの醜悪さを体現したような連中だな」
 オブリビオンは嫌いだ。奴らはいつだって過去から滲み出て現世に死と災いをもたらす。
 ゆえに、緋姫子のやることもまた、いつだって一つだ。
「それにしても、無駄に数が多いな……悪霊では力負けしそうだと、久々に私自ら戦ってやったのは正解だったか。まあ、どちらにせよやることは一つだが。腐れた楽団は、ここで残らず叩き潰してやる」
 前髪によって隠された黒い瞳が、闇の中で狂乱するモノ共を、捉えて逃さない。その全てを蜂の巣にするべく、呪いを帯びた弾丸を叩き込むのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セツナ・クラルス
…なるほど
それがあなたの真の姿なのかな
つまり先程までの戦いは本気ではなかったと
ふふ、我々も甘く見られたものだね
亡者の時とは段違いの圧力に負けぬように
努めて余裕の態度を崩さぬように

口の中で小さく祈りの言葉を呟いて
武器に聖なる力を付与しよう
私には聖なる力かもしれないが
あなたにとっては異教の神の力等、
呪いのようなものだろうねえ

隙を見せたら、一瞬を片をつけられてしまうだろう
五感全て…いや、第六感も駆使して敵の動きに集中
攻撃をかわすときはなるべく最小限の動きに留め
敵を刺激してしまわぬように注意
受けた攻撃も無駄にはしないよ
あなたの力を、
私の別人格の能力として活用させて貰う
これがあなたの葬送曲になるだろう




 直前までとはまるで異なる姿を見せたそれらを眺めながら、セツナはなるほどと呟いた。
「それがあなたの真の姿なのかな。つまり先程までの戦いは本気ではなかったと」
 その場を見渡しつつ言葉を告げながら、セツナは目を細める。その口の端が、ほんの少し持ち上げられた。
「ふふ、我々も甘く見られたものだね」
 その姿は、外見だけを見るのであれば、余裕綽々といったところだろう。
 だが実際のところは、半ばブラフである。スケルトンの時とは段違いの圧力を感じるからこそ、努めて余裕の態度を崩さぬようにしているのだ。
 ただ、ブラフであるからといって、負けるつもりはない。油断なく周囲を眺めながら、その手に握る鎌を構えつつ、小さく口の中で祈りの言葉を呟く。
 無論ただの祈りではない。次の瞬間、その鎌に聖なる力が付与されたのだ。
「さて、これは私には聖なる力だけど……あなたにとっては異教の神の力など、呪いのようなものだろうねえ」
 言葉を続けながらも、セツナの目に油断はない。隙を見せたら一瞬を片をつけられてしまうだろうことはしっかりと感じ取っているのだ。油断など出来ようはずもない。
 しかし決して怯むこともなく、その姿を見据えながらセツナは地を蹴った。
 五感全て……否、第六感すらも駆使しながら、敵の動きに集中しその懐へと入り込む。瞬間腕を持ち上げたのは、攻撃の予兆を感じ取ったからだ。
 直後に腕へと衝撃が伝わり、予想以上のそれに顔を僅かに顰める。
 だが、そのことも含めて、予想通りであった。むしろ、都合がよかったとすら言える。
 セツナがその力を発揮するためには、敵からの攻撃を受ける必要があるからだ。
「私は無から有を創るのは苦手でね。だから、あなたの能力を利用させて貰うよ」
 瞬間、セツナの脳内に敵とまったく同じキャラクターが作成される。セツナは相手の攻撃を受けると、相手の力を自身の別人格の能力として活用させることが可能なのだ。
 足を止めずに最小限の動きで敵の攻撃をかわし、その死角へと滑り込む。
 解放。
「これがあなたの葬送曲になるだろう」
 言葉と同時、相手の凄まじい力を上乗せされた斬撃が、その身体を両断したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リグ・アシュリーズ
それだけじゃ終わらない……なるほどね。
何とも身綺麗になっちゃって。こっちが元の姿、ってオチはないよね?
終わりは見えたし、殲滅戦といきましょ!

敵の動きを観察して、村から遠ざけるように戦います。
好戦的で群がってくるなら村と反対側で、
村へ近づくようなら村を背に。

体力のある間は、人狼咆哮に巻き込まないよう、味方と離れて戦うね。
相手も多数を巻き込む攻撃してくるっぽいし、被害は最小限に。
さっきより強そうだし、ある程度したら咆哮は使わず、誰かと連携とって確実に仕留めていきたいな。
黒剣で斬りかかって相手をねじ伏せ、チャンスを作る。
「今だよ!」
うまくいったら、味方に手を振るよ。
ナイスタイミング!あっりがとー!


リリスフィア・スターライト
他の猟兵達と連携して接近戦を挑むよ。

遠隔操作で動かせそうな岩とか金属とかに
襲われないかも注意して飛んで来たら危険そうなのが
あるなら前もって破壊するようにしておきたいかな。

接近戦の間合いに入ったら強気な性格のリリスに
人格を変えて華炎連斬による
炎と斬撃のコンビネーションで元凶の撃破を狙うよ。
蔦に絡まれて動きが邪魔されても焼き払うつもりで
止まることなく攻め続けるつもりだよ。

「まさしく疫病神といった感じだね」(本人)
「あんたが最後ね焼き尽くしてあげるわ!」(リリス)


赤星・緋色
へーい、やっぱり出てきたねボスっぽいの
グリモア猟兵さんの予感もちゃんと当たったね!
オラトリオっぽい見た目でユーベルコードもそれっぽいけど、元々は過去そんな感じの何かだったのかな

いくよっガジェットショータイム!
今回ご紹介しますのは、魔導蒸気で駆動する放水機です!
暴動鎮圧とか海洋防衛にも使われてるよね
この前動画で見たけど火炎放射器の対決とかにも勝ってたし、放水機さん実は強い
範囲攻撃で相手の花びらを落としつつ、隙を見て本体も攻撃していくよ
絞れば威力重視にもできるし、状況に応じて切り替えながら戦う感じ

他に共闘できる猟兵がいたら援護にも回るね

骸骨に擬態してたのは何か隠さないといけない理由とかあったのかな




「へーい、やっぱり出てきたねボスっぽいの。グリモア猟兵さんの予感もちゃんと当たったね! オラトリオっぽい見た目でユーベルコードもそれっぽいけど、元々は過去そんな感じの何かだったのかな」
 そんな言葉と共に首を傾げながらも、緋色はその腕を振り上げた。疑問に思うことはあれども、まずはやらねばならないことがあるのだ。
「いくよっガジェットショータイム!」
 叫び声と同時、腕を振り下ろした先に召喚されたのは、魔導蒸気で駆動する放水機であった。それを眺めながら、緋色は満足気に頷く。
 相変わらずどう考えても武器ではないものが召喚されているが、先ほどスケルトンを相手にしていた時と同様、これもまた使い方次第だ。暴動鎮圧や海洋防衛などにも使われているということを緋色は知っているし、火炎放射器との対決に勝ったという動画もこの前見たばかりである。
 放水機というのは、実は強いのだ。
「さーて、骸骨に擬態してたのは何か隠さないといけない理由とかあったのかなとか、気にはなるけど……」
 聞いたところで応えてくれるわけがあるまいし、そもそも言葉が通じるのかというところからして疑問だ。
 さっさと倒す以外にないと、放水機を構え……その時のことであった。
 狂乱の音色が、ほんの一瞬途絶えたのである。
 それらが奏でるのを止めた、というわけではない。音色を超える音によって、塗り潰されたのだ。
 先ほどから幾度かあったことだがと視線を向けてみれば、そこにいたのはやはりリグであった。ただ、肩で息をしており、それなりに疲労しているようだ。
 まあ、無理もあるまい。あれだけの咆哮を幾度も繰り返していたのだ。疲れないわけがない。
 が、ある程度敵に損害を与えられたことで満足したのか、咆哮は止めるようだ。一体一体を確実に仕留める方向へと変更したのか、リグは黒剣を構えながら油断なく周囲を見回している。
 その姿にしばし考えた後で、緋色は放水機をそちらへと向けた。仲間を巻き込まないようにしたのか、リグは大分離れた場所にいたが、これならば届くだろう。
 そして敵の数は未だ多いのだ。ならば、連携していった方が確実に違いなかった。
 そんなことを考えながら水を放ち、リグへと放たれようとしていた無数の異形の花びらを叩き落す。身構えていたリグは一瞬虚を突かれたような顔をしていたが、緋色が援護してくれたことに気付いたのだろう。緋色へ向けて、手を振ってきた。
 生憎と両手が塞がっているために手を振り返すことは出来ないが、頷くことで返答とする。
 そうしてそんな緋色の視線の先で、リグが動いた。自分に向かってくる攻撃がなくなったことで、敵に接近するべく前に出たのだ。
 無論敵もそう簡単に倒されるほど甘くはない。間合いに踏み込むのと同時に振り下ろされた黒剣が、敵の振るった楽器によって防がれた。
 とはいえ、甘くないことなど承知の上だ。そのまま間近で敵の姿を眺め、唯一スケルトンであった時から変わってはいない楽器に、リグは目を細めた。
「それだけじゃ終わらない……なるほどね」
 この依頼を受けた際に耳にした言葉を思い返し、頷く。確かに、彼女の予感は当たっていたというわけだ。
「何とも身綺麗になっちゃって。こっちが元の姿、ってオチはないよね?」
 応えはなく、最初から期待してもいない。しばしその状況で力比べをするも、リグはあっさりと引いた。
 確実に仕留めるには、もう一手が必要だと感じたからである。
 緋色が水をばら撒いてくれているおかげで、相手の攻撃は封じ込めているが、問題は攻撃だ。リグが攻撃を続けていてもそのうち倒せるかもしれないが、それでは確実性に乏しく、またどうしても時間がかかってしまう。
 今のところこの敵は村の方へと優先して向かうような行動はしていないものの、そのうちするようにならないとは言い切れない。村のことを考えれば、あまり時間をかけるべきではなかった。なるべく村とは反対側の方向で、村から遠ざけるように戦ってはいるが、それもまた確実ではないのだ。
 何かもう一手となるようなものはないかと、素早く周囲を見渡し……ふと、目が合う。それは、敵と戦うよりもまずはと大き目の岩などを破壊して回っていたリリスフィアであった。
 敵が見えない何かによってそういったものを動かし、攻撃手段と出来ることを知って、それを阻止するべく動いていたのだ。
 だがどうやらそれも終わったようで、次はどうしようかと周囲の様子を伺っていたところで目が合った、といったところのようである。
 そして、であるならば、都合もよかった。そう思い見つめれば、視線だけで意図は伝わったらしく、リリスフィアが駆け寄ってくる。
 その様子を確認すると、リグは再び前方へと向き直った。
 わざわざ待つ必要はない。敵から放たれた異形の花びらが水によって叩き落されたのに合わせ、リグは再度地を蹴った。
 先ほどと同じように斬撃を放ち、先ほどと同じように楽器によって防がれ……しかし先ほどと違うのは、リグが既に敵の実力を大体のところで把握出来ているということである。
 倒しきるのは難しいだろう。だが、一瞬の隙を作り出す程度のことならば、可能であった。
 リグは黒剣をあっさり手放すと、そのままさらに一歩を踏み出し、その懐へと滑り込む。先ほどとは異なる行動のせいか、一瞬だけ敵の反応が遅れ、それで十分であった。
 その身体を掴むと、その場にねじ伏せたのだ。
「今だよ!」
 叫ぶと同時に、その場を飛び退く。近付いてくる人影があるのと、そこにいては邪魔になるだけだということを理解していたからだ。
 無論それは、リリスフィアであった。
「まさしく疫病神といった感じだね」
 地面に倒されつつも、楽器を奏で続けるその姿に呟きながら、直後にその雰囲気が変わる。
 まるで人が変わったかのようにその目付きは鋭くなり……否、実際に人格が変わったのだ。その身を操っているのは、強気な性格のリリスという名の人格である。
 そしてその性格のままに、強気にその場へと飛び込んだ。
 その動きを邪魔するように、見えない無数の蔦が放たれるが、それが見えているかの如く緋色の刃が振り抜かれた。僅かに敵までの距離があるが、問題はない。
「この距離なら外さない! 焼き払い斬り裂いてあげるわ!」
 華炎連斬――リリス・アサルトオーダー。
 自らの名を冠する一撃によって、爆炎の花が咲き、叩きつけられた。見えない蔦が焼き払われ、敵の身体が爆ぜる。
 後に残ったのは、燃え残った滓だけであった。
「ナイスタイミング! あっりがとー!」
 その結果を目にしたリグによりそんな言葉をかけられるが、視線を返しただけですぐさま周囲に目を配る。
 まだ一体を倒しただけなのだ。敵の残りを考えれば、油断することは出来なかった。
 勿論リグもそのことは理解している。しかしこれで、目処は付いたのだ。
「終わりは見えたし、殲滅戦といきましょ!」
 その言葉に異論はなく、リリスはリグと共に、緋色の支援を受けながら、次なる敵へと向けて駆け出すのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…ん。亡者の類と思ったら異端の神に連なる者だったのね。
いずれにせよ、これ以上疫病を拡げる訳にはいかない。
一柱たりとも逃しはしない…。

第六感を強化する“見切りの呪詛”を応用し、
精霊の存在感を暗視できるように防具を改造
宝石飾りに吸血鬼化した生命力を吸収して精霊を誘惑し
助力を求めて【限定解放・血の教義】を二重発動(2回攻撃)

…集え、世界に住まう精霊達。過去を追放する力を此処に…。

“闇”属性の“過去を世界の外側に排出する力”を溜め、
殺気を感じたら気合いを込め大鎌を振るい武器で受けるよう心掛け、
吸血鬼化した怪力で跳躍して敵陣に突撃し“闇の光”で全周位をなぎ払う。

…これで終わり。消えなさい、異端の神々…!




 狂った音色を響かせながら振り下ろされる楽器を大鎌で捌きつつ、リーヴァルディは返す刃でそれの身体を切り裂いた。
 両断された身体は、当然のように骨だらけの身体に戻るようなことはなく、ただその場に転がり、沈黙する。その光景を眺めながら、リーヴァルディは何かを納得するように頷いた。
「……ん。亡者の類と思ったら異端の神に連なる者だったのね」
 イミテーションの類でなければ、幻覚の類でもない。正真正銘、これは異端の神々の一柱だ。
 だが先ほどまでは確かに、スケルトンであったはずである。そこを見間違えるほど、リーヴァルディは間抜けではない。
 果たしてどんな方法で、そしてどんな理由によってそんなことが起こっていたのか。それらはまったくもって不明ではあるが……どうでもいいことではあった。
「いずれにせよ、これ以上疫病を拡げる訳にはいかない」
 結局のところ、やることに変わりはないのだ。向かってくる一柱を切り捨てながら、淡々と告げる。
「一柱たりとも逃しはしない……」
 とはいえ、この数に一斉に逃げられるようなことがあれば、さすがに面倒だ。他の猟兵達もそれぞれの敵を相手にしているので、こちらにまで手は回るまい。
 で、あるならばと、リーヴァルディは一瞬目を閉じた。
 それは明確な隙であったが、何かを警戒するように、敵が仕掛けてくることはない。直後に目が開かれ、しかしその姿は直前までと何も変わらぬものだ。
 もっとも、それはあくまでも見た目だけの話である。リーヴァルディの目に映る世界は、ほんの少しだけ変わっていた。
 精霊の存在感を、視認可能になっていたのだ。
 そしてリーヴァルディは、さらに懐からあるものを取り出す。それは、精霊石の宝石飾り。虹色の光を放つそれを握り締めながら、ほんの少しだけ、その身に宿る力を解放した。
「……限定解放。テンカウント」
 限定解放・血の教義――リミテッド・ブラッドドグマ。
 吸血鬼化した生命力を吸収させたことによって、虹色の光の輝きが増す。その光に引き寄せられるように、周囲の精霊が集まりだした。
「……集え、世界に住まう精霊達。過去を追放する力を此処に……」
 紡がれる言葉と共に、リーヴァルディの内へと力が溜まっていく。
 それは、過去を世界の外側に排出する力だ。
 そのことに気付いたのか、あるいは純粋に強大な力を感じ取ったからか。周囲の喰われた神々達が慌てたように襲い掛かってきたが、その全てを大鎌を振るって受けると、リーヴァルディはその場から大きく飛び上がった。
 向かった先は、前方。敵の集まっている、そのど真ん中だ。
 着地すれば……否、着地するまでもなく敵は今にも攻撃を放ってきそうであったが、問題はない。既に準備は、終えているからだ。
「……これで終わり。消えなさい、異端の神々……!」
 顕現したのは、闇の光。リーヴァルディが腕を振るうのと同時、全周囲がなぎ払われ、その場にいた全ての敵が、跡形もなく消し飛ばされたのであった。


 気が付けば、狂ったような音色は止んでいた。
 一時的なものでなければ、音が変わったのでもない。音を奏でる原因が存在しなくなったからである。
 周囲を見渡してみれば、その場に残されたのは猟兵達のみだ。ついに猟兵達は、敵を殲滅することに成功したのであった。
 そのことを実感すると、なんとはなしに、とある方角へと視線が向けられた。その先にあるのは、あの村だ。
 これでもう、あの村が滅びるようなことはないだろう。これから先も、あの村は平穏で平和なまま、続いていくのだ。
 猟兵達は、あの村の未来を無事守る事が出来たのである。
 誰からともなく安堵の息が吐き出され、そうして彼らはゆっくりと動き出す。彼らの役目は、もう終わったのだ。
 ゆえに、その場から立ち去るべく、それぞれの想いを抱えながら、猟兵達は歩き出すのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月17日


挿絵イラスト