ティタニウム・マキアの熾天再臨
●ヤマラージャ・アイビー
「ねえ、知ってる?」
『ケートス』と呼ばれる電脳殺人者『殺し屋』は、同じく業界最高峰と言われ、今は隠棲している『メリサ』に問いかけた。
セーフハウスの一つ。
点々と居を移している『メリサ』にとって、その他愛のない呼びかけに応えることは簡単なことであった。有り体に言えば暇であったとも言える。
「カップウドンの在り処なら知らないよ」
「そんなこと聞いてないわよ! っていうか、あんた備蓄のカップウドン食べたの!?」
「やべ」
やぶ蛇であったと『メリサ』は居住まいを正した。
巫山戯た問答をしていては、間食にちょっと、と食べたカップウドンを追求されてしまう。
「いや、うん。知ってる知ってる。それはあれだろ、その藪からスティックに言うからちょっとばかし混乱してしまったんだけれど、『生と死を繋ぐもの』だろ?」
「何いってんのアンタ。『ヤマラージャ・アイビー』よ。遅効性思考破壊プログラム! 前に『ティタニウム・マキア』の『サイバースペース』にばら撒かれてたやつ!」
遅効性思考破壊プログラム『ヤマラージャ・アイビー』。
それは嘗て『サイパースペース』のアミューズメントエリアにて仕掛けられていたものである。
人格を徐々に破壊し巨大企業群の操り人形を生み出すため、『安心安全を売る巨大企業群』、『ティタニウム・マキア』のオブリビオンたちが巡らせた策動の一つだった。
「あーね」
「アンタ今思い出したでしょう」
「いーや、そんなことはない。あれだろ。たった2KBぽっちしかない、単純な動作しか起こせないプログラムだろ? あんまりも小さいもんだからフィルタリングネットにもひっかからねーって言ってたやつ」
「そう。どう考えてもサイバースペースに繋いだ人間の人格を破壊するなんて無理ってあれ」
「そんで?」
「『ティタニウム・マキア』が以前、『高濃度汚染地域』を突っ切る運び屋を襲ったっていう話があったのは覚えてるでしょ。アンタがどうにかして防ぎたいって言って、私が情報を流した」
「……」
「引っかかってるわよ、私の流した偽情報に。アンタにとってはいくつか打った保険の一つなんでしょうけど」
「……つまりは勘付かれた、ってことだよな」
「アンタの言う『セラフィム』っていうのが『ティタニウム・マキア』の地下でサイコブレイカーのサイキックによって延命されていた鋼鉄の巨人だっていうのが『真実』ならね」
「それで、連中は」
「暴走してる。これが一時間前のハイウェイの情報。運び屋『ヘリドー』から送られてきたわ」
彼女が示す一枚の画像。
それはハイウェイを疾駆する青い鋼鉄の巨人であった。
「『バイスタンダー』……じゃあないな。レプリカにしてはお粗末過ぎる。こいつは……」
「『ティタニウム・マキア』が残されたデータだけで復元したものでしょうね。こんなもの、またサイコブレイカー狩りでもするつもりなのかしら?」
「いいや。これはそんなんじゃあないさ――」
●バイスタンダー
グリモアベースへと集まってきた猟兵達に頭を下げて出迎えるのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。嘗てサイバーザナドゥのサイバースペースにて猛威をふるった遅効性思考破壊プログラム『ヤマラージャ・アイビー』……これが科学的ではない『呪術』の類であることが判明したことは、すでに皆さんも聞き及んでいることと思います」
そう、猟兵たちはサイバースペースにおいて多くの『ヤマラージャ・アイビー』を回収し、研究した結果、これが僅か2KBの極めて短く単純なプログラムであり、到底科学的に証明できない作用を持つものであることを突き止めたのだ。
あまりにも小容量のために、このプログラムの蔓延を食い止めることはできなかった。
だが、猟兵たちの尽力によってこれが呪術であることを突き止めた。
故に今回の予知である。
「今や『ヤマラージャ・アイビー』はサイバースペースの娯楽エリアを離れ、サイバースペース全域に密かに浸透し、電脳空間に接続した人々……即ち『サイバーザナドゥの人類全て』の電脳を尽く焼き切ろうとしています。つまり……」
『炎の破滅』――カタストロフである。
これを猟兵は食い止めねばならない。
だが、その食い止める糸口は何処にあるというのだろうか。
「巨大企業群『ティタニウム・マキア』の残党が地下にあった青い鋼鉄の巨人をデータから不完全ながら複製し、ハイウェイを暴走しているという一報が入っています。これを追い、青い鋼鉄の巨人の内部から、『ヤマラージャ・アイビー』に汚染されたサイコブレイカーを救出しなければなりません」
何故だ、と猟兵たちは疑問に思う。
以下に暴走しているとは言え、オブリビオンが起こした事件ではない。
だが、ナイアルテは頭を振る。
「『ヤマラージャ・アイビー』に汚染されたサイコブレイカーの電脳を使ってサイバースペースに残された『ヤマラージャ・アイビー』の痕跡を追わねばならないのです」
つまり、ハイウェイの何処かを暴走する青い鋼鉄の巨人を探し出し、内部に存在する『ヤマラージャ・アイビー』に汚染されたサイコブレイカーがサイキックを全て吸いつくされる前に救出しなければならない、ということなのだ。
「このサイコブレイカーの電脳からサイバースペースに飛び込み、『ヤマラージャ・アイビー』の位置を特定し、これを討たねばなりません。そして……」
尤も厄介なことに彼女の予知は『ヤマラージャ・アイビー』が現実世界に出現することを示している。
「嘗て、カクリヨファンタズムにて確認された究極妖怪『大祓骸魂』に外見、強さとも瓜二つな強大なオブリビオンの出現も予知されています。どうか、これを討ち、サイバーザナドゥの人々全ての電脳を焼き切ることで引き起こされるカタストロフを阻止していただきたいのです」
そう言ってナイアルテは猟兵たちを送り出す。
静かに、されど蠢動する『ヤマラージャ・アイビー』。
その脅威がゆっくりと電脳世界から迫ろうとしていた――。
海鶴
マスターの海鶴です。
サイバーザナドゥのサイパースペースにてはびこっていた遅効性思考破壊プログラム『ヤマラージャ・アイビー』によって引き起こされようとしている炎の破滅、カタストロフを阻止するシナリオになります。
●第一章
冒険です。
ハイウェイの何処かを暴走している青い鋼鉄の巨人を探し出し、その内部からサイキックエナジーのタンクにされていたサイコブレイカーを救出しなければなりません。
このサイコブレイカーは『ヤマラージャ・アイビー』に汚染されています。
このままではサイキックエナジーを吸い上げ尽くされ、サイコブレイカーは遅かれ早かれ死んでしまいます。
皆さんは、この後サイコブレイカーの電脳を使ってサイバースペースに向かい『ヤマラージャ・アイビー』の出どころへと向かわねばなりません。
死んでいては、きっと不具合が起こってしまうでしょう。
●第二章
集団戦です。
サイバースペースに飛び込んだ皆さんを待ち受けるのは、『ヤマラージャ・アイビー』によって『骸魂』と呼ばれる異形を増設した『レッドゴブリン』たちです。
彼らは通常のユーベルコードに加えて『クロックアップ・スピード』を併用してきます。
高速戦闘モードによってスピードと反応速度が爆発的に増大しています。
これに対して対処しましょう。
●第三章
ボス戦です。
皆さんがサイバースペースで得た正確な居場所の情報によって位置を特定されたため、『ヤマラージャ・アイビー』は食肉工場をハッキングし、自ら生成した人工タンパク質を用いて、現実世界に受肉しています。
極めて強大なオブリビオンです。
その姿は嘗ての『大祓骸魂』と瓜二つです。
これに対処するためには彼女を刺激し、大きな隙を生み出させなければなりません。
どうやら彼女が求めていたのは第一章にてハイウェイを爆走していた青い鋼鉄の巨人のようです。
これをうまく刺激すれば隙が大きくなり、対処しやすくなるかもしれません。
それでは、蠢動する『ヤマラージャ・アイビー』を追い、サイバースペースと現実を往く皆さんの物語の一片となれますように、いっぱいがんばります!
第1章 冒険
『メガコーポの秘密兵器を追え』
|
POW : 調査の基本は現場百回、足で稼ぐ
SPD : コネクションなどの目撃情報を集める
WIZ : 監視カメラなどのセキュリティをハッキング
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ハイウェイの何処かを疾走する青い鋼鉄の巨人。
アスファルトを踏み割るように無数のコードを垂れ流しながら巨人は暴走を続けている。
胸部の奥にはサイコブレイカーの少女がいくつものコードに囚われるようにして存在しており、口元から涎がこぼれ、うわ言のようにうめき声を発するばかりであった。
「う、うう、ぁ……――」
そう、彼女は、この鋼鉄の巨人を動かしている。
だが、彼女の意志で動かしているのではない。
彼女はただの燃料タンクにすぎない。彼女の持つサイキックを青い鋼鉄の巨人は吸い上げ、その生命が尽きるまで爆走を続けるだろう。
「あ、ぁ、……行かなくて、は……『生と死を繋ぐ』、『もの』の元へ……『生きた』のではなく、『生きている』と言う、ため、に」
うわ言のようなうめき声はただ、漏れるばかりであった。
猟兵たちには時間がない。
急ぎ、この青い鋼鉄の巨人の所在を突き止め、その内部から『ヤマラージャ・アイビー』に汚染したサイコブレイカーの少女を確保しなければならない――。
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
さてさて、はいうぇいの中を探すとなると…霹靂に乗って低めに飛んでいくのが早いですかねー?
結界術を広範囲に広げて、探索呪詛も入れましてー。
青い鋼鉄の巨人を探さねば…ええ、私がどこを探したか、も他の方と共有できればいいなーと。
そう、誰かが見つけられれば、それでいいのですー。
※
陰海月「ぷきゅ!」
UCで光る。エナジー吸い上げはダメージだからね!範囲内なら効果あるはず!
霹靂「クエ」
友はいつもの光ってる(悟り)
おじーちゃん乗せて、低空飛行でいく!
サイバーザナドゥのハイウェイは、まるで網目のようであり、また蜘蛛の巣のようでもあった。
雑多な開発。
継ぎ足しされるバイパス。
そうした無軌道なるアスファルトの道が繋がり、連なってサイバーザナドゥのハイウェイは時に標識さえ役立つことはなかった。
そんなハイウェイを走る……いや、アスファルトの舗装された道を舐めるように低く飛ぶのはヒポグリフの『霹靂』であった。
「さてさて、この中から探すとなると……」
骨が折れることだと馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『疾き者』は思っただろう。
あまりにも探索範囲が広すぎる。
加えて蜘蛛の巣のような経路図の標識は、『疾き者』にとっては馴染みのないものであった。
「青い鋼鉄の巨人。目立ちそうなものでありますが」
そう、あくまでハイウェイは道路である。
言ってしまえば、車輪のついた乗り物が疾駆する場所でもある。そんな場所に鋼鉄の巨人が闊歩していれば悪い意味で目立つはずである。
しかし、広い。
それだけが問題だったのだ。
「結界術を広範囲に広げましてー、探索の呪詛を入れましてー」
『疾き者』は自分の周囲に広がる結界に探索の呪詛を込めて広げていく。
引っかかるものはない。
一体何処を闊歩しているというのだろうか。
「ぷきゅ!」
そういう時はお任せ、と言うように影から現れたのは巨大なクラゲである『陰海月』であった。
周囲を照らすはゲーミングカラー。
強烈な光であるが、優しさを感じるのは、それがユーベルコードでるからだろう。
「ふむ……鋼鉄の巨人の内部にいるというサイコブレイカーはサイキックを吸い上げられている、とのことでありましたがー……『陰海月』の癒やし空間内部にいるのであれば、サイキックエナジーの吸い上げも弱体化されるはず、と」
「きゅ!」
そういうこと、と『陰海月』が頷くような所作を見せる。
何処をどう探していいかわからないが、しかし、広範囲に膨れ上がった結界術と癒やし空間であれば、引っかかるかも知れない。
それを期待するのは悪くないように思えたのだ。
「『霹靂』、できる限り低空飛行でいきましょう」
「クエッ!」
友達である『陰海月』はいつも光っている。
それがユーベルコードの発露であると悟っているからいいものの、『陰海月』の発する光は、サイバーザナドゥの中にあっても極彩色の光となって異彩を放つものであった。
さながら、今の自分たちはハイウェイを走る珍走団的な……そんな賑やかし的な雰囲気を放っていたのかも知れない。
すれ違う対向車に乗る者たちが指差し、カメラを向けている。
「こうも広いと探索範囲を狭めることはできませんがー」
しかも目標は移動し続けている。
やはり地道に行くしかないのだろう。他の猟兵たちが駆けつけるまでに、青い鋼鉄の巨人の存在するであろう位置の予測範囲を狭めるためにも『霹靂』という機動力を持つ『疾き者』は、自分が先駆けることの意味を知る。
「他の誰かが見つけられれば、それでいいのですー」
自分たちのやっていることは徒労かも知れない。
けれど、それでも誰かの助けにきっとなっているのだ。
「クエ!」
同意するように『霹靂』がな鳴く。
それはまるで、がんばるぞ! と意気込むようであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
はいはいいつものいつもの……じゃ、ありませんでした!
なんだか今回てんこ盛りですね。
あと聖杯戦争みたいに言わないでください。
それにしてもカップウドン?
ステラさん、さすがにカップウドンにまでジェラるのはちょっと……。
いえ、解らなくはないですよ?
カップウドンなんて食べるなら、わたしを食べて!
ってことですよね。やべーですね。
え、正妻?
押しかけメイドじゃなかったんですか!?
あ、シリアスは続いてますけど、いつもよりまだちょっとマシです。
でもスイーツはほしいなー……なんて(上目遣い)
んー、ステラさん、また難しいこと考えるもーどですね。
なにを言ってるのかあいかわらず解らないですけど。
(膝枕されつつ、膝の上でごろごろ転がる)
でも、生きながら死ぬ。死にながら生きている……。
それは最大の禁忌を犯した者、ゾンビーってことなんでしょうか?
(頬袋にスイーツ溜めつつ)
あ、はーい。行きましょう-。
って、メリサさん手伝ってくれるんですか。
なら勇者ルクスちゃん、よばなくてもいいですね。
(棒倒し用の棒をしまう)
ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》とメリサ様と正妻戦争の!!
香りがしまぁぁぁぁぁぁぁぁぁすっ!!!!
なんですかカップウドンって!
そんな話題、私とはしてくれませんけどメリサ様!?
誰がやべーメイドですか
メリサ様の正妻です!
しかしシリアスが続きますね
ルクス様生きてますか?
あ、スイーツですねかしこまりました
んー考えることが多すぎて
『生と死を繋ぐもの』
メリサ様はどこでこれを知ったのでしょう?
(ルクス様を膝枕しながら)
生と死を繋ぐ
今更ながら異常ですね
生と死が分かれているから私たちは『生きている』のであり
生と死が『繋がる』
すなわち同じであるなら
生きながら死ぬ
死にながら生きている
ということが可能となってしまいます
いえ、だからですか?
生きた、は生きていない
それを覆すために?
バイスタンダーのように残留思念に影響されたなら
ヴィクシィ、ではありませんね?
(ルクス様をリスにするムーブ)
あ、はいはい
そろそろ行きましょう
え?位置特定ですか?
流石に
こういう時は手伝って頂ける程度の仲だとは思っているのですが
メリサ様?
「はいはいいつものいつもの……」
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は酷く憔悴しているようであった。
疲れた、というのは正しくない。
きっと彼女はまだ疲労していない。まだ何もしていないのだから当然だろう。
けれど、今の彼女はどこからどうみてもこれから起こり得る事象に対して諦観にも似た感情を顔に浮かべているようであった。
ご慧眼持ちうる方ならば聡明なことに、次なる展開を理解していただろう。
「|『エイル』様《主人様》と『メリサ』様と正妻戦争の!! 香りがしまぁぁぁぁぁぁぁぁすっ!!!!」
そう、これである。
ルクスは、ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)のいつもの……いや。
「いつものじゃありませんでしたね!? なんだか今回てんこ盛りですね」
てんこ盛りなのはいつものことじゃあないですかね。
「あと願い事を叶えてくれる争奪戦みたいな言い方しないでください」
「なんですかカップウドンって!」
ステラは、ハンケチーフを持っていたのならば歯で加えて引っ張っているところであろう。
カップウドン。
それはサイバーザナドゥにおける保存食の一つである。
保存食でありながら、出汁の効いた汁は、啜れば啜るほどに芳醇な鰹と昆布の合わせだしが香る。
つるつるな面はインスタントとは思えぬクオリティ。
そこらのバイオウドンとは一線を画す食料なのである!
無論、大人気。
ダフ屋めいた行動さえ人々に走らせる脅威の保存食。
それがカップウドンなのである!
「そんな話題、私とはしてくれませんけど『メリサ』様!?」
「わざわざするほどの話題じゃあないんじゃないですか?」
「いいえ! 全ての話題は私と共有すべきなのです! カップウドンだろうが、カップソバだろうがなんであろうが!!」
「流石に、そこまでジェラるのはちょっと……」
引く、とルクスはいつものようにドン引きしていた。
いやしかしまあ、とルクスは考え直す。ドン引きしてはいるが、料理人としてインスタントは不倶戴天とまでは行かぬまでも対立候補であることは言うまでもない。
「いえ、わからなくはないですよ? カップウドンを食べるなら、わたしを食べて! ってことですよね。やべーですね」
手のひらくるくるである。
「誰がやべーメイドですか。『メリサ』様の正妻です!」
「押しかけメイドじゃなかったんですか?」
どっちもどっちである。
しかも非公認。
「しかしシリアスが続きますね。ルクス様生きてますか?」
「いつもよりはまだちょっとマシです」
シリアスじゃなかったことのほうが少ないが?
この二人組は平常運転である。言うまでもないことであるが。
「でも、スイーツはほしいなー……なんて」
上目遣い。
必殺! 年下彼女のうるうる上目遣い!
「あ、スイーツですねかしこまりました」
さらりと流しながらルクスにステラはスイーツをぶち込む。
雑じゃない?
「しかし『生と死を繋ぐもの』……今更ながら異常ですね。生と死が分かれているから私達は『生きている』のであり、生と死が『繋がる』。即ち同じであるなら、生きながら死ぬ。死にながら生きている、ということが可能となってしまいます」
青い鋼鉄の巨人。
ハイウェイを闊歩する謎の存在。
「生きたは、生きていない」
つまり、死んだということ。
過去になったということ。
なら、青い鋼鉄の巨人は何故、サイコブレイカーのサイキックを吸い上げながら動き続けるのか。
「覆すために?」
「んー、ステラさん、また難しいこと考えるモードですね。何言ってるのか相変わらずわからないですけど」
ステラの膝枕を堪能するようにルクスがゴロゴロしている。
猫かな?
「でも、生きながら死ぬ。死にながら生きている……それは最大の禁忌を犯した者、ゾンビーってことなんでしょうか?」
「『バイスタンダー』のように残留思念に影響されたなら、『ヴィクシィ』ではありませんよね?」
ステラは相変わらずルクスの口にスイーツを打ち込み続ける。
ルクスはもうリスのような有り様であった。
「もがもが……ステラさん、そろそろ行かないとですよ」
「あ、はいはい。そろそろ行きましょう。こういう時は手伝っていただけるものと思っておりますが……」
チラ、と何処かを見るステラ。
だが、反応はない。
どこかで見ているのだろうとステラは理解している。
反応がない、ということはきっと自分たちでどうにかしなければならないということだ。
「『メリサ』さん手伝ってくれないんですかね?」
「あの方はすっかり隠棲生活が板につきすぎてしまいましたから……いえ、満を持している、というのが正しいのでしょうが」
「セミさんみたいですね! 勇者の特権(ユウシャノトッケン)で調べていましょうか」
棒倒し用の棒をルクスはハイウェイのアスファルトの上に立てる。
え、まさか。
そんな雑なことで?
パタン、と倒れる棒。
「あっちみたいです」
「真でございますか、それは?」
「光の勇者ちゃんのお導きですよー! さあ、行きましょうー!」
「はぁ……ここはルクス様の直感を信じることにいたしましょう」
いかなる時もメイドたるもの(ダレガヤベーメイドデスカ)、冷静沈着でなければならない。
クールメイドは飛翔力。
ステラはルクスを抱え、棒倒しの先が示す方角へと青い鋼鉄の巨人を求めてハイウェイを飛ぶのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
あらまあ!
どこかで見たようなそうでもないようなそんなものがぞろぞろと!
今日はお祭りだね!
●キミたちは本当に道の上を走るのが好きだね
キミたちは本当に道の上を走るのが好きだね
どこか追いかけっこもかくれんぼもいいけけれど目的地があるというなら自ずとどこを通るかは分かるものさ
そう、なんとなく!【第六感】で!
さて見つけたならまずを足を止め…いやギリギリ行けるかな?
行ける気がする!
とハイウェイごと巨人をUC『神撃』でドーーンッ!!
乱暴だって?そんな!これには一刻も早く救助しなければならないって理由があるんだよー
大丈夫!大丈夫な気がするから!とボクの【第六感】が言っている!
ハイウェイを暴走する青い鋼鉄の巨人。
それは内部にサイコブレイカーの少女を内包をし、そのサイキックを吸い上げることで駆動していた。
歩む度にアスファルトを割り砕いていく。
その目的地が何処なのかはわからない。いや、そもそも青い鋼鉄の巨人自体が何処を目指しているのかすら理解していないのかもしれない。
目に見えるものだけが現実であるというのならば、サイバーザナドゥにおいてサイパースペースとは目に見える現実ではない仮想。
ならば、現実に存在している物質である鋼鉄の巨人の体躯は、あるはずもない仮想への入口を求めてさまよい続けるしかないのかもしれなかった。
「キミたちは本当に道の上を走るのが好きだね」
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は人というものの習性が、人の形をしているだけの鋼鉄の巨人にも適応されるのだと理解した。
道があれば、その上を歩く。
それは誰かが通った轍でしかないのだと知ってもなお、その上を歩くことをやめない。
轍は道に未だならぬものであるが、しかし、それが連綿と紡がれてきたからこそ人は道を邁進することができる。
この先にあるものが何であるのかを知らなくても、それでも進むことができる。
だが、サイバーザナドゥのハイウェイはそうではない。
まるで網目と蜘蛛の巣が複雑に入り組んだような道。
いずれもが標識が役に立たぬものである。
「追いかけっ子もかくれんぼもいいけれど、目的地を見失っているんじゃあ、意味がないよね」
ロニはそう笑ってなんとなく、という言うようにハイウェイを疾駆する。
青い鋼鉄の巨人の内部に囚われているサイコブレイカーの少女は一刻も早く救出しなければならない。
彼女の電脳に存在する『ヤマラージャ・アイビー』をたどってサイバースペースへと飛び込まねばならないのだ。
少女が死ねば、それだけ不測の事態が起こり得るだろう。
故に急がねばならない。
「うーん、なんとなく! こっち! かな!」
ロニは縦横無尽とも言えるような動きでハイウェイを駆け抜ける。
鋼鉄の巨人友あれば、その体躯ですぐに見つかりそうなものである。だが、ロニは笑う。
見つからないのも楽しいの内だ。
「見つからないなー……いや、見つかるよ! なんたって、ボクは神様だからね!」
地面を蹴って飛ぶ。
道なんていう地べたを走り回るから見つからないのだ。
なら、と飛んだ彼が見下ろすのはハイウェイの全体。
俯瞰してみれば、何処に何があるのかなんて一目瞭然。そして、ロニは自分の勘というものが正しいことを知る。
俯瞰したハイウェイ。
その先に青い鋼鉄の巨人がゆっくりと進んでいる。
走ってすら居ない。
「へいへい、スタミナ切れかなー?」
ロニは球体を空中に配置し、それを蹴ることで方向を転換させて一気に青い鋼鉄の巨人へと距離を詰める。
「どーんっ!」
振るうは神撃(ゴッドブロー)。
強烈なる衝撃と共にハイウェイごと青い鋼鉄の巨人を襲う。
青い鋼鉄の巨人は緩慢なれど、しかし明らかに駆体を鳴動させるようにして出力を上げ、一気にハイウェイを疾駆する。
「あっれー!? なんかいきなり早くなるのずるくない!?」
ロニは己の拳で仕留めきれなかった青い鋼鉄の巨人がハイウェイを疾駆する背中を見やる。
まるで、自分の拳が青い鋼鉄の巨人に注ぐのが解っていたかのようなタイミングで躱されたのだ。
だが、それは長くは続かないだろう。
ロニの第六感がそう告げているのだ。
「追い込んだってことだよね! なら、もう一押しってところだね――!」
大成功
🔵🔵🔵
薄翅・静漓
海鶴マスターにおまかせします。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
一瞬だった。
僅かに一瞬。猟兵たちが追う青い鋼鉄の巨人は、僅か一瞬だけであったが加速するようにして一撃を躱してハイウェイを疾駆した。
それはまるで一撃が来ることを予測していたかのような動きであった。
「――……躱した?」
薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は猟兵のユーベルコードが煌めく様を見やり、そしてそこに己たちが追う青い鋼鉄の巨人が存在することを知った。
あの青い鋼鉄の巨人は、嘗て猟兵たちが巨大企業群『ティタニウム・マキア』を追い詰めた時に破壊したオブリビオンではない。
似て非なるものである。
『バイスタンダー』と呼ばれた青い鋼鉄の巨人は、嘗てサイコブレイカーによって延命された『生ける屍』とも呼ばれていたオブリビオンだった。
しかし、今まさにハイウェイを疾駆した青い鋼鉄の巨人は、それとは異なる。
まるで劣化版。
もとより劣化していたものを更に粗悪にしたようなものであった。
「それでも避けたということは」
内部に取り込まれているサイコブレイカーの少女のサイキックを過剰に吸い上げた、ということだ。
彼女を死なせてはならない、というのが猟兵たちに課せられた目的の一つ。
故に静漓の瞳はユーベルコードに輝く。
悪魔の加護が身を覆っていく。
青い鋼鉄の巨人の内部に存在するサイコブレイカーの少女。
彼女の生命が危機にひんしているというのならば彼女は駆けつける。
光を追い速さを求める彼女だからこそ、その羽衣人の翅のように軽い体はユーベルコードの速さを得て、一気に青い鋼鉄の巨人へと距離を詰めるのだ。
「追いついてみせるわ。あなたの生命が、その巨人に吸いつくされる前に」
彼女は、しるべ(シルベ)を追うようにして青い鋼鉄の巨人へと肉薄する。
駆体から垂れ流されたコードが接近する静漓に呼応するようにして触手のようにしなり、彼女の体躯を絡め取ろうとする。まるで此方を取り込もうとするかのような動きだった。
「……何故、私を狙うの?」
問いかけに返答はない。迫るコードは、さらに彼女を取り囲むように展開される。
だが、静漓の速さを捉えることができない。
十全ではないから、ではない。
静漓の速度が確実に青い鋼鉄の巨人の触手の如きコードを上回っているのだ。
「生きることを諦めないで。あなたの生命はまだ其処に在る」
静漓の手が青い鋼鉄の巨人の胸部に触れる。
その内部に存在するサイコブレイカーの少女の弱りきった体を支えるように治療し、さらに静漓は青い鋼鉄の巨人へと光の矢を放射する。
鳴動するように青い鋼鉄の巨人はサイコブレイカーの少女からサイキックを吸い上げ、光の矢を躱す。
また、と静漓は思っただろう。
だが、無理に動いたせいか青い鋼鉄の巨人は動きを鈍らせる。
「……吸い上げたサイキックに駆体が耐えられていない……?」
眼の前の鋼鉄の巨人は嘗ての『バイスタンダー』と呼ばれたオブリビオンの劣化粗悪品というのは間違いないのだろう。
サイキックを吸い上げて駆動しても、急激な動き……それこそ此方の攻撃を躱すような未来予測めいた動きに駆体自体に負荷がかかってしまうのだ。
「でも、追い詰めたわ」
後は、と静漓は背後から迫るともに戦う猟兵の姿を認め、内部のサイコブレイカーの少女を治療し続け、その鋼鉄の巨人の最期のあがきが実らぬこと知るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
シルキー・アマミヤ
はいはーい★シルキーちゃんがお仕事承ったよー★
とにかくまずはそのデカブツを見つけないとね★
腐っても巨大企業群のやる事だし、ハイウェイの監視体制に何らかの工作とか裏取引で誤魔化しぐらいはしてるかもしれないけど、現場での隠蔽までは手が回ってないかな、って★
Gライアーから『ロボットビースト』達と『ことりちゃん』を出撃させて偵察に出すよ★
さらに~★【シルキーちゃん分身の術★】
10体ぐらいのシルキーちゃん分身とビースト達で組を作って探すよ★
どれかの組が目標を見つけたらことりちゃんで情報共有★残りの組に集合を掛けてー、集まった組からスプレッドダガーとパルスブレイドを投射、何はともあれ足を止めにかかるよ★
シルキー・アマミヤ(何でも屋のシルキーちゃんだゾ★・f36571)は頭脳戦車である。
彼女の駆体はハイウェイを疾駆する。
「デカブツ探しは大変だけど……腐っても巨大企業群のやることだし……」
闇雲に暴走する鋼鉄の巨人を探してハイウェイを走っても仕方のないことだった。
サイバーザナドゥのハイウェイは、網目のようでも有り複雑に入り組んだ蜘蛛の巣のようでもあった。
標識なんて意味をなさない。
ナビゲーションシステムにいたっては巨大企業群の純正製品でなければまともに機能しない。
だからこそシルキーはハイウェイを暴走する青い鋼鉄の巨人を巨大企業群が何らかの手段で誤魔化していると判断していた。
ハイウェイはスピード違反者を取り締まったりと監視カメラが備わっている。
当然、青い鋼鉄の巨人だって監視体制のいずれかに引っかかっているはずだ。
「ならカメラの情報は当てにならないかもしれないよね」
でも、シルキーは笑む。
「現場の隠蔽までは手が回ってないでしょ★」
確かに巨大企業群は、その名の通り巨大であるし強大だ。
時間さえあれば現場の隠蔽など簡単にできてしまうだろう。だが、それは時間さえあれば、の話だ。
今は時間が彼らにはない。
同時に猟兵たちは、敵に時間を得させないように動かねばならない。
「『Gライアー』、ハッチオープンよろ★」
シルキーは己に追従するカエル型ロボットビーストの口が開閉される音を聞く。
口腔から飛び出すのは同じくカエル型のロボットビーストと『ことりちゃん』たちであった。
こういいう時に手数が多いということは、それだけでアドバンテージなるものである。
「さらに~★」
ユーベルコードにシルキーの駆体、そのカメラレンズが輝く。
「シルキーちゃん分身の術★(マシン・スクワッド)」
「ふっふーん★ シルキーちゃん分身~! どれが本物かわかるかな~?」
彼女の駆体が10体に分身し、ハイウェイに拡散されるように散っていく。
ロボットビーストたちとチームアップして網目のようにハイウェイを虱潰しにしていくのだ。
時間が経てば痕跡は隠蔽されてしまうだろう。
故にシルキーは、人海戦術を持ってハイウェイを塗りつぶすようにして疾駆するのだ。
「んんっ? 青い鋼鉄の巨人って、あれかな?」
一組のシルキーたちが見つけたのはハイウェイのアスファルトを割りながら闊歩している青い鋼鉄の巨人だった。
体高は5mほど。
コードを垂れ流しながら、お世辞にも早いとは言えない速度でハイウェイを歩んでいる。
よろめくようであったのは、きっと内部に収まっているサイコブレイカーのサイキックがつきかけているからだろう。
つまり、それはサイコブレイカーの生命が突きかけようとしている、ということだ。
「あっぶな★ ギリギリじゃん★」
シルキーは即座に行動する。
他のチームに集合を掛けることは忘れていないが、しかし、一刻の猶予もないだろう。
一気に仕掛けるようにして鋼鉄の巨人へとスプレッドダガーとパルスブレイドを投射する。
「まずは足を止める★」
牽制の一撃のつもりだった。
だが、彼女の放ったスプレッドダガーの爆発が鋼鉄の巨人の装甲を容易く剥離させるようにして吹き飛ばすのだ。
「……? 反撃してこない? や、反撃するほどサイキックがない、ってこと?」
かしぐ鋼鉄の巨人。
あまりにも弱すぎる。膝をつく鋼鉄の巨人は、そのまま続くパルスブレイドの投射によって脚部を破壊されアスファルトの地面に手をつき、胸部に収まったサイコブレイカーの少女を吐き出すようにして排出する。
無数のコードに繋がれた少女のバイタルをシルキーはスキャンする。
生きている。
反応が弱々しいのは、サイキックを吸い上げられ続けたからだろう。
「一先ず確保★ さて、お次はこの子の電脳にある『ヤマラージャ・アイビー』の痕跡を逆算するんだよね――」
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『レッドゴブリン』
|
POW : カラテ
【高熱のカトンを宿した拳ないし足】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : スリケン射出
レベル分の1秒で【手首に内蔵された発射機構からスリケン】を発射できる。
WIZ : レッサー・カトン・ジツ
【鋼鉄をも溶解させる超高熱の火炎】を放ち、命中した敵を【超高熱の火炎】に包み継続ダメージを与える。自身が【危険なほどのオーバーヒートを】していると威力アップ。
イラスト:もりさわともひろ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ハイウェイにて擱座した青い鋼鉄の巨人は動こうとしない。
いや、動けないのだろう。
脚部を破壊されたから以上に、原動力であるサイコブレイカーの少女のサイキックが尽きかけていた。
かろうじて息はある。
ならば、と猟兵たちは彼女の電脳に存在する『ヤマラージャ・アイビー』の痕跡をトレースする。逆算すれば、サイバースペースに存在する『ヤマラージャ・アイビー』の存在を感知することができるはずだ。
「う、ぁ……」
弱々しい反応のサイコブレイカーの少女。
彼女の電脳からサイバースペースへと猟兵たちは飛び込む。
そこに『待ち受けて』いたのは、異形のオブリビオン『レッドゴブリン』たちであった。
異形。
それは『レッドゴブリン』たちの体躯に生える機械化義体であった。
まるで天使の翼のような部位。
放出される粒子が光の翼のように『レッドゴブリン』たちの背に煌めいている。
「猟兵確認。『クロックアップ・スピード』、レディ……これより高速戦闘に入る」
恐るべきことに『レッドゴブリン』たちは彼らが持つユーベルコードと同時に『クロックアップ・スピード』と呼ばれるユーベルコードを併用し、サイバースペースに侵入してきた猟兵たちに先制攻撃を仕掛け、撃退しようとしていたのだった――。
ルクス・アルブス
【ステルク】
サイバースペースって言われても、あまり現実感ないですね。
いえ実際現実でないんですけど!(セルフツッコミ
え? えっとステラさん?
なんですかその『言い続ければほんとになる』理論は!
言霊っていうより、呪いの呪文にしか聞こえないですよ!?
ダメではないんですけど、頬袋にためていたスイーツが一瞬だったんですよぅ。
で、あの怪しい羽つき赤面さん、こっちにきますけど……。
あれ、倒さないといけないんですよね?
サイバースペースでの演奏も、効果あるのでしょうか?
わからないですけど、とりあえず演奏してみますね!
答えは聞いてない!(演奏したいだけとも言う
うふふふふ、超スピードでバランス崩すと、危ないですよー♪
ステラ・タタリクス
【ステルク】
メリサ様のいけずぅ……私と言う|嫁《オンナ》を放置するとは
非公認でも1000回くらい言い続けたら公式になりますよね
さて
満を持しているというのであれば花道を作るのが嫁の役目
ネコリス様、じゃなかったルクス様
もう甘味では耐えられないのですね……(ほろり
ええ、存分に発散してくださいな
天使の翼……セラフィム?ケルビム?
クロックアップ・スピード……マーサス様を思い出しますが、深くは関係なさそうですか
それではこちらも天使の翼で対抗するとしましょう!
『アンゲールス・アラース』装着で機動力確保
そこからの【スクロペトゥム・フォルマ】で仕掛けます!
ルクス様の音からは逃げられないので
そこを叩きますよ!
『骸魂』という異形を宿したオブリビオン『レッドゴブリン』たちは、恐るべき速度でサイバースペースに侵入してきた猟兵たちを取り囲んだ。
まるで赤い閃光のようだった。
光の渦の中に囚われたと錯覚するほどに彼らの速度は圧倒的だった。
「飛んで火に入る夏の虫とはこのことだな」
彼らは恐るべき速度で踏み込み、炎宿した拳を猟兵へと叩き込まんとする。
劣勢とも言うべき状況。
されど、この状況においてステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は瞳を伏せていた。
もしかして、敵が早すぎて見えても見えていなくても関係ない状況だから瞳を伏せているとかそういう格好いい理由なのか。
いいや、違う。
彼女は震えていた。
恐怖に震えていたわけではない。
そう、彼女は怒りに震えていた。
「『メリサ』様のいけずぅ……私という|嫁《オンナ》を放置するとは。非公認でも10000回位いい続けたら公式になりますよね」
とんでもなかった。
斜め上の理由で彼女は怒りに震えていたのだ。
今、やることかな?
「えっとステラさん? なんですかその『言い続ければほんとになる』理論は!」
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は戦場となったサイバースペースにて、あんまり現実感ないなぁと思っていた。
実際に現実ではない。
仮想現実であるから、正しいと言えば正しい感覚なのだろう。
セルフツッコミもできるほどに相方であるステラがボケ倒しているので、仕方ないのである。
「言霊っていうより呪いの呪文にしか聞こえないですよ!?」
「さて、満を持しているというのであれば花道を作るのが嫁の役目」
「聞いてます!?」
ステラはさらっとルクスの言葉を流していた。
そう、本当になるまで言い続ければ嘘は言っていない。
失敗しても成功するまで続ければ、失敗も成功の一部なのだというようなポジティブシンキングでもってステラは怒りから立ち直っていた。
いや、そんなことやっている場合ではない。
オブリビオン『レッドゴブリン』たちはユーベルコード『クロックアップ・スピード』によって超加速を得ている。
加えて、他のユーベルコードを併用できるのだ。
その炎宿した拳の一撃を受ければステラたちとてひとたまりもない。
だが、ステラはたじろがなかった。
「ネコリス様、じゃなかったルクス様」
「あの、それはあまりにもあんまりな感じなんですけど」
「先程のルクス様は正しく。あれだけのスイーツを一瞬で……」
「頬袋にためていたんですけど、シリアスで一瞬だったんですよぅ。ていうか、あの妖しい羽つき赤面さん、こっちにきますけど……」
「恐るべき速さ……強化人間『マーサス』様を彷彿とさえますね」
関係があるのか。
「ごちゃごちゃと!」
「それではこちらも天使の翼で対抗するといたしましょう!」
ステラの背から光の翼が噴出する。
ユーベルコードに輝く瞳。超加速と超加速。その踏み込みは一瞬であった。
両手にした二丁拳銃。
超近接戦用の『銃の型』によってステラは振り下ろされた拳をいなすように横薙ぎに払い、己が肘でもって『レッドゴブリン』の鳩尾を穿つのだ。
「グハッ!? 俺達の速度に対応してくる、だと!?」
「まだ終わりませんよ。どれだけ早かろうともルクス様の音からは逃れられません!」
耳栓もしっかりしている。
「サイバースペースでの演奏も効果あるのでしょうか? わからないですけど、取り敢えず演奏してみますね!」
ルクスは息を吸い込む。
肺がいっぱいに膨らみ、取り込んだ空気を一気に放出し、手にした楽器に送り込む。
呼気は、それ自体がユーベルコードとなって悪魔のトリル(アクマノトリル)たる音の濁流……否、大爆音をぶっ放すのだ。
「答えは聞いてない!」
どんな答えが帰ってきた所で関係ない。
ルクスは演奏するって決めたのだ。
決めたのならば、後は問答無用ってやつである。
「うふふふふ、超スピードでバランス崩すと、危ないですよー♪」
ルクスはシリアスに凝り固まった自身の肩をぐるりと回す。
気持ちよく演奏というなのぶっ放しをするところは、なんていうか……誰に似たのだろうか。
ステラは耳栓すらも貫通してくる音になんとも言えない顔をしながら、そんなことを思うのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
シルキー・アマミヤ
わ~!待ち伏せだ~★
初撃はまずロボットビーストに身代りになってもらって、狙い甘めでいいからパルスブレイドで反撃するよ★
当たらなくてもだいじょーぶ!これの着弾地点周囲へのEMP攻撃でまず相手の行動範囲を狭めて、おまけにUCでシルキーちゃんの偽物を出してとっさの判断を鈍らせちゃうよ★
高速戦闘での一瞬の判断の遅れは命取りだし、何より「これは本物だ」と認識しちゃうからね★
後は焦りでも負荷で動きが鈍ったところでも、隙を突いて『Ku-9』を撃ち込んで爆破解体しちゃうぞ★
やるなら徹底的にだぞ★追ってるデータの事前情報、あの様子からすると相手の身体構成データに何か妙なものが混ざっててもおかしくないからね★
「先手必殺。レッサー・カトン・ジツ!!」
サイバースペースに飛び込んだシルキー・アマミヤ(何でも屋のシルキーちゃんだゾ★・f36571)が見たのは、己の視界を埋め尽くす超高温の炎であった。
温度センサーから伝わるのは、それが鋼鉄すら容易く溶断せしめるほどの威力を持っている、ということだった。
「わ~! 待ち伏せだ~★」
シルキーの眼前にロボットビーストが飛び出す。
容易く溶断される駆体。
鋼鉄だろうとなんであろうと、オブリビオン『レッドゴブリン』の放ったユベールコードはロボットビーストをなんなく撃破するのだ。
「ミガワリ・ジツか!」
「そういうこと★」
シルキーは即座にパルスブレイドを放つ。
しかし、その一撃も超高温の炎でもって空中で溶けて落ちる。
なんという超光熱であろうか。
恐るべきことであるが、シルキーは己のセンサーが『レッドゴブリン』の駆体の中で熱がくすぶり続けている事を知る。
なるほど、と思う。
絶大な威力と引き換えに己の駆体の中の熱を逃すことができないのだろう。
再度放たれたパルスブレイドは『レッドゴブリン』への狙いが反れて地面に突き立てられる。
「何処を狙っている!」
「其処を狙ったに決まってるじゃん★ さあ、EMP攻撃展開★」
瞬間シルキーのはなったパルスブレイドから電磁場が発生し『レッドゴブリン』の戦闘義体のセンサーを狂わせる。とは言え、それは一瞬であろう。
「この程度でセンサーが狂うおのか!」
「でも、とっさの判断は鈍るでしょ★ 高速戦闘での一瞬の判断の遅れは命取り★」
何より、とシルキーが『レッドゴブリン』の前に飛び出す。
振るわれる炎。
シルキーの駆体に直撃する。だが、おかしい。溶断できない。それどころか。
「護衛機構・瞳術人形(ミガワリ・リフレクション・ドール)! 囮作戦もシルキーちゃんにお任せー★」
シルキーはパルスブレイドで電磁場を生み出し、撹乱した後にシルキーの偽物を召喚し『レッドゴブリン』の熱線の一撃を受け止めさせたのだ。
だが、それだけではない。
召喚された偽物のシルキーは放たれた炎を反射する能力を持っている。
どうして、と『レッドゴブリン』は思っただろう。
如何にセンサーが狂うのだとしても、一瞬だ。ならば、即座に偽物と判断できたはずだ。
それが彼女のユーベルコードの肝である。
囮の偽物シルキーを認識した瞬間、これが本物であると認識し、攻撃として放った炎を反射され、その駆体を焼き切られてしまうのだ。
「ば、かな……! 俺のセンサーは……狂ってなど……!」
「それがシルキーちゃんのユーベルコードだぞ★ さあ、その身体構造データを頂き★」
シルキーは一瞬で『レッドゴブリン』の駆体を爆散解体する。
その体に取り込まれていたのは『骸魂』。
カクリヨファンタズムにて確認されている妖怪たちを飲み込むことでオブリビオン化させる死せる妖怪たちの魂である。
それが何故、サイバーザナドゥにあるのか。
これもまた『ヤマラージャ・アイビー』、『大祓骸魂』がサイバースペースに存在するが故なのか。
答えは出ない。
けれど、シルキーは迫る『レッドゴブリン』の囲いを突破し、災厄をもたらさんとする者へと迫らねばならないのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
薄翅・静漓
『バイスタンダー』……
劣化版でなければ私も危なかったと解るわ
あの鋼鉄の巨人を、誰が何のために生み出したのかしら
少女の電脳からサイバースペースに飛び込む
誰かの脳に入るような、妙な気分
侵入は当然警戒されているわね
迫る敵を避けて『天人結界』で飛び立ち
相手の間合いに入らないように距離を取って
弓から早業の矢を放って、異形の天使を撃ち抜くわ
あの少女はとても弱っていた
戦いに時間をかけたくないのはこちらも同じよ
青い鋼鉄の巨人『バイスタンダー』。
体高5mほどの戦術兵器。
かつて巨大企業群『ティタニウム・マキア』の地下にて安置されていた『生ける屍』。『ティタニウム・マキア』は、その企業として存続するために多くのサイコブレイカーを拉致誘拐し、そのサイキックを『バイスタンダー』の生命維持に費やしてきた。
ハイウェイを暴走していた青い鋼鉄の巨人は、その劣化版であると知る事ができただろう。
「『バイスタンダー』……」
薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は己さえも取り込まんとした青い鋼鉄の巨人の残骸を後にサイバースペースに飛び込む。
青い鋼鉄の巨人の胸部に取り込まれていたサイコブレイカーの少女は、治療する猟兵たちがいたおかげで一命をとりとめていた。
しかし、予断を許さぬ状況である。
なぜなら、彼女の電脳には人格破壊プログラムである『ヤマラージャ・アイビー』が存在しているからだ。
彼女が人格を破壊され『生ける屍』になってしまうのは、遅効性プログラムであるがゆえに時間の問題なのだ。
「あの鋼鉄の巨人を、誰が何のために生み出したのかしら」
思索は尽きない。
けれど、静漓はためらうことなくサイコブレイカーの少女の電脳からサイバースペースに踏み込む。
彼女にとって仮想現実に飛び込むのは初めての経験であったことだろう。
現実ではない空間。
けれど、現実を凌駕するような事象が溢れかえっている場所。
サイバーザナドゥにおける最高の娯楽。
それがサイバースペースなのだ。
「当然……警戒はされているわね」
静漓はサイバースペースに踏み込んだ瞬間、オブリビオン『レッドゴブリン』が光の翼を噴出させながら、恐るべき速度で踏み込んでくるのを見た。
なんという速さであろうか。
加えてユーベルコードを併用している。全ては『レッドゴブリン』の身に融合した『骸魂』の力なのだろう。
噴出する炎と共に拳が静漓めがけて振り下ろされる。
その一撃を静漓は障壁結界で受け止める。
「俺の拳を受け止めるか!」
「……来なさい」
静漓は炎の拳を受け止め、一気に飛び立つ。
天人結界(テンジンケッカイ)による障壁結界は強固なる守りを静漓に与え、さらに飛翔能力を与える。
まるで天女の舞踏であった。
羽衣人である彼女の体は軽やかで、重さを感じさせない。
翻る彼女の手から放たれる光の矢が『レッドゴブリン』を穿つ。
「ぐっ! だが!」
吹き荒れる炎。
そう、『レッドゴブリン』はユーベルコード『クロックアップ・スピード』でもって圧倒的な速度を得ている。
如何に静漓が素早く飛翔するのだとしても、即座に間合いを詰めてくるのだ。
しかし、静漓の掌が広がる。
自身の腕を弓に見立て、番えた光を矢に変じて解き放つ。
加速した『レッドゴブリン』』を上回る早業たる射撃が彼らの体躯に突き刺さる。
「あの少女はとても弱っていた。戦いに時間をかけたくないのは、こちらも同じよ」
疾く。
それが静漓の願いであり祈りだった。
遅かれ早かれ遅効性プログラムである『ヤマラージャ・アイビー』は人格を破壊する。それは不可逆だ。
故に静漓は大元たる『大祓骸魂』を打倒さねばならぬと、立ちふさがる『レッドゴブリン』を退けるために光の矢の乱舞でもってサイバースペースの空に舞うのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
御影・しおん
うふふ、ちょっと気になる単語を耳にしたから来ちゃったわ?
即座に踏み込み一撃……何とか致命傷を避けるよう努力はするわね?
手痛い一撃をもらってしまうけれど……
うふふ、「生」と「死」もまた、境界線が分けるものだというのなら、こういう事もできるのよ?
影の中へと消え、同時に残った影より『影竜』『影刃縛』を放って動きを止める
そして……ふふ、境界を越え死の世界より生者の世界へとやってくるのはいわゆる「死神」よね?
そして人が「そう」認識する限り、「わたし」はそのように「在る」の。
かみさまって、そういう所があるものじゃない?
影の中より現れて、死の大鎌『彼岸へ連れ去るモノ』で、捕えた相手をそのまま切り裂くわね?
『生と死を繋ぐもの』
それは境界線を無きものにする。
『ヤマラージャ・アイビー』は、時間さえかければどんな存在であれ殺して見せることのできる懐刀。
嘗て、カクリヨファンタズムを襲った大いなる戦い。
引き起こしたのは『大祓骸魂』。
そして今、サイバーザナドゥのサイバースペースにて呪いとも言うべき存在としてはびこっているという。
「うふふ、ちょっと気になる単語を耳にしたのだけれど」
御影・しおん(Unknown・f27977)は、黒いドレスをふわりと回せながらサイバースペースに降り立つ。
だが、彼女はサイバースペースの有り様を十分に見ることはできなかった。
彼女の眼の前に広がるのは炎。
オブリビオン『レッドゴブリン』は一瞬でサイバースペースに侵入してきた、しおん目掛けて踏み込んできていたのだ。
振るわれる拳。
宿った炎は言うまでもなく超光熱。
「迂闊に踏み込んだな、猟兵! 俺達の速度はぁ!!」
異形の『骸魂』を取り込んだ『レッドゴブリン』は『クロックアップ・スピード』を併用している。
それ故の速度であった。
打ち込まれた拳に、しおんの体躯がえぐられる。
穿たれた穴と共にしおんはサイバースペースの地面に落ちる。
倒れ伏した、しおんを『レッドゴブリン』は仕留めたと理解しただろう。
「うふっふ、『生』と『死』もまた、境界線が分けるものだというのなら」
「――!?」
「こういうこともできるのよ?」
振り返る。
そこあったのはゆっくりと立ち上がる、しおんの姿であった。
その瞳はユーベルコードに輝いている。
とぷん、と彼女の体が影に消える。
だが、影が消えない。
ここがサイバースペースだからか? 違う。
それは、生死の狭間を揺蕩うモノ(ミカゲシオン)である。
残された影より放たれるのは竜の顎と黒い糸であった。
瞬く間に『レッドゴブリン』の体躯を絡め取る影に駆体は抵抗するように軋む。けれど、振りほどけない。
「……うふふ、ごめんなさいね?」
「貴様、何だ……確かに俺の拳は、貴様を!」
「ふふ、境界を越え、死の世界より生者の世界へとやって来るのは所謂『死神』よね?」
「貴様がそうだとでもいうのか!」
「あなたが『そう』認識する限り、『わたし』はそのように『在る』の。かみさまって、そういうところあるものじゃない?」
しおんは身動きの取れない『レッドゴブリン』へと静かに近づく。
影より現れた彼女の体躯に炎の拳によって穿たれた傷跡はなかった。
確かに穿ったはずなのに。
「生死の境界線を弄れる猶予さえあれば………この通りよ?」
しおんの手にあるのは死の大鎌。
『彼岸へ連れ去るモノ』
その一閃は、影に囚われた『レッドゴブリン』の体躯を一瞬切り裂き、両断する。
「分かたれたのは、あなたの体だったわね?」
柔らかく笑み、しおんはゆっくりとサイバースペースの奥を見やる。
その先にこそ己が追うものが存在していると確信するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
あっれー?なんかおっかしいなーって思ったらそういうこと!
『かかったな猟兵め!お前たちはもう袋の鼠だ!ぐへへへ!』
ってやつだね!
●空間制圧作戦
超スピードで攪乱してくるっていうなら走り回り飛び回るスペースを潰していくよー!
ビッグサイズの[ドリルボール]くんたちを周囲で跳ねまわらせて空間を潰して楽しいお遊戯エリアを構築していこう
そして!【第六感】で超接近攻撃のタイミングを読んで外してUC『神撃』でドーーーンッ!!
やっぱりこれはお話通りのやつかー
えーなんでー?どうしてー?
あそうか!これは…デジタルリマスター!ってやつだね!
え、違う?そっかー
青い鋼鉄の巨人の内部に囚われていたサイコブレイカーの少女の電脳から遅効性プログラム『ヤマラージャ・アイビー』の痕跡を追う猟兵達。
行先はサイバースペース。
仮想現実であり、サイバーザナドゥにおいては一大娯楽である。
そのサイバースペース内部に『ヤマラージャ・アイビー』は存在している。いや、はびこっているというのが正しいだろう。
わずか2KB。
あまりにも小さすぎてフィルターにもかからぬほどに矮小。
されど、その効果は遅効性であっても確実に人格を破壊する恐るべきプログラム。
その痕跡を追う猟兵たちは、しかし待ち構えていたオブリビオン『レッドゴブリン』たちの強襲を受けていた。
「あっれー? なんかおっかしいなーって思ってたらそういうこと!」
「貴様たちが来ることはお見通しだったというわけだ。消えろ、このカトン・ジツの前に!」
異形の『骸魂』と融合を果たした『レッドゴブリン』の背より光の翼が現出し、『クロックアップ・スピード』と呼ばれるユーベルコードでもって超加速を得た彼らの拳がロニを襲う。
「『かかったな猟兵め! お前たちは袋の鼠だ! ぐへへへ!』ってやつだね!」
ロニは迫る『レッドゴブリン』たちを捉える。
視界に捉えた、というのが正しいだろう。
速度は圧倒的だ。ユーベルコードを併用しているという時点で恐るべきことである。
加えて、その炎纏う拳の一撃は受ければ痛烈なる痛手そのものであった。
ロニと言えど例外ではない。
敵の超スピードに対応しなければならない。
「そんなの簡単だよ。撹乱してくるってんなら!」
球体を呼び出し、己の周囲にて飛び回らせる。
『レッドゴブリン』の超スピードは、空間ありきである。走り込む空間がなければ、ただコースの限定された単調な動きでしかない。
故にロニは球体を跳ね回らせ、撹乱を撹乱でもって塗りつぶすのだ。
「コイツ、まさか」
「そのまさかさ。どんなに早く立って攻撃のタイミングがわかりやすいってんなら……」
振りかぶる拳。
炎纏う『レッドゴブリン』の拳とロニの拳が激突する。
互いにユーベルコードを宿した拳は、サイバースペースに凄まじい光の奔流と明滅を生み出す。
「押し負けるだと!?」
「なんたってボクは神様だからね! どーんっ!」
振り抜くは、神撃(ゴッドブロー)の一撃。
信心なき者にも神々しさを感じさせる拳。
それは『レッドゴブリン』の戦闘義体を砕きながら、その体躯をサイバースペースの地面へと叩きつける。
破壊された周囲に濛々と土煙が立ち上る。
その中でロニは笑む。
「やっぱりこれはお話通りのやつかー」
名前を変えても、そのあり方は変わらない。
『生と死を繋ぐもの』――『ヤマラージャ・アイビー』。
遅効性プログラムは、確実にこの先にあるとロニは理解し、焼き増しのような展開であっても笑むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
引き続き『疾き者』にて
武器:漆黒風
サイバースペース…久々に来ましたけど、やっぱり不思議な感じしますねー?
あ、陰海月と霹靂は、一時的に引っ込みましたー。
速さなら、私のままがいいですねー。
(あと、『侵す者』だとこの空間壊しそうなんですよねー)
四天霊障には、どうせ引っかかるんですしー。そのまま、重量攻撃での抑えつけもしましょうかねー?あれって、動けてこそですからー。
そこへ、私のUC付きで漆黒風を投擲しましょう。
近づくと危険ならば、近づかないようにすればいいんですー。
仮想現実空間サイバースペース。
何度足を踏み入れても不思議なものであると馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『疾き者』は思う。
「不思議な感じしますねー?」
己の影の中に引っ込んだヒポグリフと巨大クラゲ。
それもまたサイバースペースにて再現されている。
どのような技術であれば、このようなことができるのだろうかと『疾き者』は考えるが、考えた所で詮無きものであると思考を切り上げる。
いや、切り上げたのは、強襲する『レッドゴブリン』の拳の一撃を受け止めたからだ。
恐るべきことである。
速さに長けた者である自分を上回る速度で『レッドゴブリン』は踏み込んできていた。
振るわれる炎纏う拳。
その一撃は受ければ痛手となるであろうし、『レッドゴブリン』の踏み込みの速さは脅威というほかなかったのだ。
放たれた一撃が霊障に触れ、しかし砕きながら己に迫るのを見た。
握り込んだ棒手裏剣で受け止めるも体躯に走るのは衝撃。
「ほう、受け止めたか」
「いえ、見えてはいましたからねー」
見えていれば反応できる。
簡単なことだと言うように『疾き者』は、一撃の後に己から飛び退った『レッドゴブリン』を認める。
異形なる『骸魂』と融合を果たした『レッドゴブリン』は、その背に光の翼めいたものを現出させていた。
それこそがユーベルコード『クロックアップ・スピード』の源であるのだろう。
凄まじい超スピード。
これを他のユーベルコードと併用しているのだ。
「減らず口を!」
瞬間、『疾き者』は己が手に握り込んでいた棒手裏剣を投げ放つ。
その一撃を『レッドゴブリン』は拳で払った。
やはり、と『疾き者』は思っただろう。
敵は余裕がある。それ故に躱すのではなく、敢えて己の棒手裏剣を弾いたのだ。見せつけるためでもあるだろう。
だからこそ、その余裕が命取りだった。
「……!?」
拳が砕けている。
『レッドゴブリン』は、己が拳を見やる。何故、と理解できなかったようだった。
「簡単なことですよー。あなたは油断した。大きな力を持って慢心したとも言えるでしょうねー」
踏み込む『疾き者』に『レッドゴブリン』は己がユーベルコードでもって加速し、距離を取る。
だが、放せない。
そう、棒手裏剣の一打は、命中下箇所を破壊する。
体勢を崩せば、さらに致命的箇所に命中する。
弾いたとて、棒手裏剣は『レッドゴブリン』に当たったのだ。ならばこそ、四悪霊・風(シアクリョウガヒトリ・トノムラヨシツナ)の効果は発動し、『レッドゴブリン』の拳を砕いたのだ。
「バカな……そんなことが!」
「あるのですよー」
投げはなった棒手裏剣が今度こそ『レッドゴブリン』の眉間を穿つ。
如何に戦闘義体に置き換えたオブリビオンであっても、駆体を操る電脳を破壊されてはひとたまりもない。
「油断、慢心、それが虚を生み出すものでしてー」
必滅必定。
そう告げるように『疾き者』はサイバースペースにて猟兵たちを待ち構えていた『レッドゴブリン』たちを下し、『ヤマラージャ・アイビー』の存在するサイバースペースの奥へと走るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『ヤマラージャ・アイビー』
|
POW : 受肉化百鬼夜行
【怪物化した人工タンパク質】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[怪物化した人工タンパク質]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
SPD : 生と死を繋ぐもの
自身が装備する【懐刀「生と死を繋ぐもの」】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ : 虞神彼岸花
【神智を越えた虞(おそれ)】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を狂気じみた愛を宿すヒガンバナで満たし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
イラスト:菱伊
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
サイバースペースへと向かった猟兵たちは遅効性プログラム『ヤマラージャ・アイビー』の痕跡を追う。
しかし、『骸魂』と融合し異形と化したオブリビオンたちの妨害にあい、これを退けながら痕跡をたどってサイバースペースの奥へと迫る。
確実に其処にいる、と猟兵たちが認識した瞬間、ノイズが走ったような声が響く。
「繝、繝槭Λ繝シ繧ク繝」繝サ繧「繧、繝薙?縺ッ縺ェ縺セ縺上i縺?縺代l縺ゥ
譎る俣繧偵°縺代l縺ー縲∬ェー縺ァ繧ゆス輔〒繧よョコ縺吶%縺ィ縺後〒縺阪k
谿コ縺励◆繧ゅ?縺ッ驕主悉縺ィ縺ェ繧企ェク縺ョ豬キ縺ァ豌ク驕?縺ィ縺ェ繧」
聞き取ることのできない声。
それは実態を持たぬプログラムが発した言葉であるからだろうか。
しかし、同時に猟兵たちは知る。
己たちが位置を特定したプログラム『ヤマラージャ・アイビー』が何事かを為したのだと。
ノイズ混じりのプログラムは、笑む。
瞬間、その姿が消え失せる。痕跡をたどってきたというのに、また見失ったのだ。
いや、違う。まだ見失っていない。
「止められますか、猟兵。私が求めたのは『セラフィム』。悪性と善性に揺らぐことを忘れ、意志さえ失い、生きているとも言えず、死んでいるとも言えず、ただ他者の生命によて永続する『生ける屍』」
声が響く。
それが現実世界にて食肉工場をハッキングし、自ら生成した人口タンパク質によって受肉したプログラム『ヤマラージャ・アイビー』。
その姿は嘗ての『大祓骸魂』にそっくりだった。いや、身に降りしきる重圧もまた同様。
「この『生と死を繋ぐもの』は、なまくらだけれど、時間さえかければ『生ける屍』だって殺してみせる。殺せば、骸の海へとたどり着き、過去になる。愛しきUDCアース。私の愛は揺るがない。だから、私は帰るのです」
彼女は懐刀を指でなぞる。
怪しき輝きがあった。
「殺したものは過去となり、骸の海で永遠になる。愛するUDCアースを私は永遠にしたい。全ての電脳を焼き尽くせば、きっとそれも叶います。今一度問いかけます。猟兵たち、止められますか――」
ルクス・アルブス
【ステルク】
ま、また難しいお話ししだしてます……。
生ける屍を殺すとか、ヘッドショットでなんとかなったりするんでしょうか。
って、え?
UDCアースを手に入れる?『エイル』さんを使う!?
それはちょっと勇者としても友人としても、聞き捨てならないですね。
はい、ステラさん。
今回はわたしも本気でいかせて頂きますね。
世界を独占しようとしたり、
お友だちを利用したりするようなことは、わたしも許せません。
音楽系光の勇者の全力を見せちゃいますよ!
必殺の三連コンボをくらえー!
相手にダメージを与えて動きを悪くしたら、トドメはステラさんですね!
って、愛の重さ分の攻撃力!?
なんかこう、重い上にどろっとしてそうなんですが……。
ステラ・タタリクス
【ステルク】
しかし生ける屍を殺してまで手に入れて?
どう使うというのです?
それに|セラフィム《兵器》ならもう骸の海に落ちているでしょう?
……いえ、待ってください
生きたは生きていない、だけれども『|死んでもいない《骸の海に居ない》』
まさかUDCアースを得る為に『エイル』様を使おうとしているのですか!?
ルクス様
ちょっと看過できない状況のようです
全力でいってもらってよろしいでしょうか?
全部です全部ぶつけてください
演奏オッケーですので!
いかな強大でも
|光の勇者《ルクス様》を突破できないでしょう
その隙、逃しません!!
【トニトゥルス・ルークス・グラディウス】
この一撃はメイドから主人様へ愛の重さと知りなさい!
生きていないのならば、死んでいるということ。
死んでいないのならば、生きているということ。
この二つの事柄が『生と死を繋ぐもの』であるというのならば、『生ける屍』は果たして境界のいずれにあるものであっただろうか。
オブリビオン『ヤマラージャ・アイビー』は言った。
彼女が求めたものは『セラフィム』であると。
あの青い鋼鉄の巨人。
あれは『バイスタンダー』に似ても似つかぬものであった。
いわば劣化互換。
「どう使うというのです?『生ける屍』など。それに|『セラフィム』《兵器》なら、もう骸の海に落ちているでしょう?」
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は『ヤマラージャ・アイビー』の言葉に相対する。
食肉工場から次々と生み出される人工タンパク質が変容していく。まるで巨大な脳のようにうごめいている。おぞましき光景であった。
「……いえ、待ってください」
ステラは『ヤマラージャ・アイビー』の目的と手段を理解する。
「『生きた』は『生きていない』、けれど|『死んでもいない』《骸の海にいない》……」
「故に『ヴィクシィ』。未完であることは可能性を宿している。確定されていないということは、未確定だということ。まだ未来は残されている。それが遅いか早いかだけ。そして、私は、そうした可能性の力を手にして愛しきUDCアースを永遠にするのです」
『ヤマラージャ・アイビー』の周囲に集った巨大な脳の如き怪物たちが一斉にステラたちへ蠢き迸る。
「まさかUDCアースを得るために『エイル』様を使おうというのですか!?」
「ま、また難しいお話しだしてます……『生ける屍』を殺すとか、ヘッドショットでなんとかなったりするんでほうか。って、え?」
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は、ステラの言葉に首を傾げる。
『ヤマラージャ・アイビー』の目的はUDCアースを永遠にすること。
即ち、骸の海に落とすこと。
そして、手段はこのサイバーザナドゥに存在する電脳全てを焼き切ること。
炎の破滅を持ってUDCアースへと必ず殺すなまくらたる懐刀を突き立てること。
「ルクス様」
「はい、それはちょっと勇者としても友人としても、聞き捨てならないですね」
「全力で行ってもらってよろしいでしょうか?」
「はい、ステラさん。本気で……」
「全部です全部ぶつけてください。演奏オッケーですので!」
ステラの勢いにルクスは乗る。
もうやぶれかぶれではないのだ。ただただ全力を尽くす。ステラのメイド魂に火がついているようであった。
「世界を独占しようとしたり、お友達を利用したりするようなことは、わたしも許せません」
ユーベルコードに輝くルクスの瞳。
意志が力だというのならば、見せて欲しい。
それが可能性を切り開くための唯一であるといういのならば、その力が罪深き刃に宿るのは如何なることなのかを示して欲しい。
「ラデツキー行進曲(ラデツキーコウシンキョク)! これが音楽系光属性の勇者の全力です!」
並み居る脳の塊のごとき怪物たちをルクスは巨大バイオリンから放たれる衝撃波で吹き飛ばし薙ぎ払う。
さらにグランドピアノの一撃を叩き込みながら怪物たちを叩き潰すのだ。
「うわぁ、ぶにゃ、てしてます!」
「脳の大半がタンパク質と脂質ですからね! ですが、ルクス様、全力を!」
「わかってます! 必殺の三連コンボをくらえー!」
ルクスがユーフォニアムを構える。
重低音が『ヤマラージャ・アイビー』を襲う。
受肉しているからこそ、ルクスの破壊音波は、その体躯に響くだろう。
「その隙、逃しません!」
ステラの瞳がユーベルコードに輝き、己の天使核より流入したエネルギーをもって形勢された雷光の剣を構える。
「愛の前には如何なるものも敵わない。私の愛は必ずUDCアースを永遠に」
「いいえ、私の!」
振り下ろされるは、トニトゥルス・ルークス・グラディウス。
迸る雷光の剣の一閃が膨大な脳のごとき怪物たちを打ち払いながら振り下ろされ、『ヤマラージャ・アイビー』へと迫る。
「メイドから主人様への愛の重さ!」
それこそが『ヤマラージャ・アイビー』の言う愛を否定するのだ。
「なんかこう、重い上にどろっとしてそうなんですが……」
ルクスはそんなステラの一撃を見て、そう評した。
なんかこう雷光の剣とは裏腹に濁ってそう、とも。
だが、その一撃は確かに『ヤマラージャ・アイビー』へと叩きつけられたのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
薄翅・静漓
その愛が世界を殺すというのなら止めましょう
『大祓骸魂』から感じる重圧は本物
ならば虞に屈しぬ、オブリビオンマシンを召喚するわ
どんな機体が現れるか私にもわからないけど
偵察と攻撃を駆使し、攻撃のチャンスを狙うわ
それにしてもなぜ『大祓骸魂』は『生ける屍』の『セラフィム』を求めるのかしら
彼女が言う鋼鉄の巨人が『バイスタンダー』のことならば
あれは既に猟兵によって破壊されたはずなのに……
吹き荒れるは雷光の光。
奔流の如き斬撃が『ヤマラージャ・アイビー』の生み出した脳そのものような怪物たちを焼き払っていく。
散る怪物たち。
その光景はまさに虞もたらすものであった。
あまりにもおぞましき怪物たち。
そして何よりも『ヤマラージャ・アイビー』より放たれるものは、かつて大いなる戦いにおいて猟兵たちを阻んだ『大祓骸魂』そのものであった。
「私の愛は、必ずUDCアースを永遠にします。たとえ、どんなに時間がかかろうとも。数百、数千、数万年とかかろうとも、私はUDCアースを殺して永遠にします。それが私の愛だから」
狂気そのものである。
世界一つを殺す愛。
たった一つで、ただの2KBのプログラムになってもなお、己が愛を貫こうとしている。
「その愛が世界を殺すというのなら止めましょう」
彼岸花が周囲に咲き誇っている。
人知を越え、神智すら超える光景を前にして薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)の瞳がユーベルコードに輝く。
虞は己が身に屈服をしいている。
けれど、静漓は頭を振る。
屈してなるものか、と。どれだけ虞が己を襲うのだとしても、それでも己は知っている。
諦観こそが人の足を止めるものであると。
故に、静漓は閃光を見る。
見上げる先にあるのは、サイキックロード。鋼鉄悪魔召喚(コウテツアクマショウカン)に応えたオブリビオンマシンが召喚される。そのシルエットを静漓は知っていた。
「……『ブリュンヒルド』」
白いオブリビオン。
だが、彼女の知る『ブリュンヒルド』ではなかった。
アンダーフレームが獣脚ではない。
人型のそれであった。
コクピットハッチが開く。迷うことはなかった。何故、という疑問すら抱くには遅すぎる。
故に静漓は『ブリュンヒルド』のコクピットに収まる。
『あんたが私の後継なのか、それとも場繋ぎなのか、はたまた何の因果もないのかも知らないが。これを聞いているといういことは私はもう居ないんだろうな。もしかしたら、『これ』も意味がないのかもしれない。だがよ。まだ間に合うって思うんなら』
ノイズが走る。
機体に残されていた音声データ。
「……行くわ」
静漓の瞳がユーベルコードに輝く。
白いオブリビオンマシン『ブリュンヒルド』が大型突撃槍を構える。
「第五世代『セラフィム』の|複製品《デッドコピー》……『それ』は私の求めるものではありません。ですから」
いらない、と『ヤマラージャ・アイビー』は虞を放つ。
だが、その虞が迫るより早く静漓と『ブリュンヒルド』は踏み込んでいた。
『閃光』のように駆け抜け、大型突撃槍の一撃を持って『ヤマラージャ・アイビー』の肉体を抉っていた。
「……!」
「貴女が求めるのが『バイスタンダー』だというのならば、既にあれは猟兵によって破壊されたはず……」
なのに、求めるのはそれとは違うからか。
静漓は思索を振り切って、白い『閃光』となって『ヤマラージャ・アイビー』へと痛烈なる一撃を叩き込むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
んもー
やっぱりキミかー
いやキミだったもの?またはキミっぽいもの?
まあ海経由で繋がってるなら似たようなもんかな
帰ってきたいなら裏口からでもこっそり帰ってくればいいのにー
でもこういうのはダメだよー
●今日は好きだけ食べていいよ!
[餓鬼球]くんたちを放ってうごうごタンパク質くんたちを集まってこれないようにドンドン食べてもらおう!
ちょーっとよく分かんないんだけど、アレが帰るのに必要だったの?でもさーごめんねーアレもう壊しちゃった!
と言ってあげてからUC『神撃』でドーーーンッ!!
キミの好きな世界もこの世界も過去になんてならないさ
まあ少なくとも、当面…しばらくは?
斬撃に寄る血潮が飛ぶ様さえも美しい彼岸花のように思えたことだろう。
食肉工場は『ヤマラージャ・アイビー』のユーベルコードによって変容していた。彼女の放つ虞は、周囲を神智すら越えた光景を生み出している。
「私は諦めません。私が死んでも、私の愛は死なないのですから」
その言葉と共に狂気じみた笑みを浮かべる『ヤマラージャ・アイビー』をロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は腰に手を当てて嘆息する。
「んもー、やっぱりキミかー」
大いなる戦い。
カクリヨファンタズムにて猟兵と戦った『大祓骸魂』。
それにうり二つな『ヤマラージャ・アイビー』の姿。
「いや、キミだったもの? またはキミっぽいもの?」
「どちらでもかまいません。私は、私の愛が愛しきUDCアースを永遠にできれば、それでいいのです」
「まあ骸の海経由で繋がってるなら似たようなもんかな?」
過去は堆積する。
質量となって過去は歪んでいく。
それが過去の化身オブリビオンであるというのならば『大祓骸魂』もまた例外ではないのだろう。
たとえ、それが2KBにも満たぬプログラムだとしても、其処に宿った愛という名の狂気は本物であっただろうか。
「帰ってきたいなら裏口からでもこっそり帰ってくればいいのにー」
「どのような手段でも私は取り得ます。まずは、この世界の電脳を焼き尽くすのです。それが最も確実。どんなに時間が掛かっても、必ず」
世界を殺す。
その狂気を持って膨れ上がる虞と食肉工場から溢れ出す脳のような肉塊。
それは異形の怪物となってロニへと迫る。
「でも、こういうのはダメだよー」
ロニから球体が飛び出す。
タンパク質そのものであるというのならば、ロニは球体たちに相手をさせるつもりだった。
だが、思う以上に食肉工場から溢れ出す脳のような怪物たちは膨大だった。
「ううーん、どうにも数が多いね。ちょっと食傷気味? え、今日は好きなだけ食べていいよって言っているのに?」
圧されている。
それほどまでに食肉工場を掌握した『ヤマラージャ・アイビー』の虞は強大だということだろう。
「あとさー、ちょーっとよくわかんないんだけど、『アレ』が帰るのに必要だったの?」
鋼鉄の巨人。
『ヤマラージャ・アイビー』はアレを求めていた。
ロニにはよくわからなかったのだ。
「『生ける屍』は不確定な未来そのもの。死んでいるのに生きている。生きているのに死んでいる。『生と死を繋ぐもの』。境界に立つもの。『死んだ』という確定と『生きた』という事象を持ち合わせるものなら」
「でもさーごめんねーアレもう壊しちゃった! それによくわかんない!」
ロニは己の拳にユーベルコードを宿す。
神撃(ゴッドブロー)の一撃。
それは溢れるタンパク質の怪物たちごと『ヤマラージャ・アイビー』を吹き飛ばす。
「キミの好きな世界も、この世界も過去になんてならないさ。まあ少なくとも、当面……しばらくは?」
「なら、私の目的は達成されるのです。どんなものも必滅であると定義したのなら」
『ヤマラージャ・アイビー』は吹き飛ばされる。だが、その狂気の笑みだけが、ロニの瞳に張り付くようだった――。
大成功
🔵🔵🔵
シルキー・アマミヤ
ふ~ん★よくあるらしいけどネットに繋いでポカやって電脳死でもしちゃったのかな★…ってそもそもあれ異世界由来のブツ…正確にはその劣化コピーだったっけ★それで、そっちは同じ出身……じゃなさそうだね★
ま、どっちにしろ……
――【滅殺機構・抹消領域】起動。
抹殺対象に「ヤマラージャ・アイビー」を指定――
|壊《バラ》すだけかな。
相手のUCはロボットビーストに「地形を庇わせ」ダメージ発生だけで済ませて(壊れるだろうけどね★)、ローラーで動きながら『Ku-9』『SR-KN』投射と『デスブレイド』での接近攻撃で攻撃だよ★
それじゃ、中身のデータも、わざわざ用意した肉の器も、此処で全部「死んで」もらおっか★
彼岸花が食肉工場に咲き誇っている。
それは『ヤマラージャ・アイビー』の放った虞によって具現化したものである。
えぐられた肉の器が、食肉工場から排出されたタンパク質でもって補填されていく。ぶよぶよとした肉の塊。
それが抉っていた『ヤマラージャ・アイビー』の体へと入り込み、元の姿へと戻っていくのだ。
おぞましいというほかない。
「ふ~ん★」
シルキー・アマミヤ(何でも屋のシルキーちゃんだゾ★・f36571)は、『ヤマラージャ・アイビー』の求めるものが『セラフィム』であると知る。
『セラフィム』。
それは異世界由来のモノである。
そして『バイスタンダー』とは巨大企業群『ティタニウム・マキア』の地下に安置されていた『生ける屍』……サイコブレイカーたちのサイキックによって延命されていた青い鋼鉄の巨人。
シルキーたちがハイウェイを追っていたのは、その劣化版のようなものだった。
「同じ出身……じゃなさそうだね★」
「私の目的のために必要なのは『セラフィム』。『バイスタンダー』ではありません。ですが、『あれ』が『セラフィム』の後にあるのならば、たどりたどりて私の求めるものを得ることもできるかもしれません」
だから、と『ヤマラージャ・アイビー』は笑む。
己が目的、UDCアースを永遠にすること。即ち、世界の破滅を為すために必要なもの。
この世界の電脳を全て焼き尽くす。
それによって引き起こされる炎の破滅をもって彼女はUDCアースすら滅ぼそうとしているのだ。
「ま、どっちにしろ……滅殺機構・抹消領域(エリミネートデバイス・シュレッドステージ)、起動」
シルキーの周囲がノイズにまみれた電脳と現実の入り交じる廃墟へと塗り替える。
その領域に存在するものは、全てシルキーの指定した抹殺対象を殺害するための全ての行動が強化される。
「抹殺対象『ヤマラージャ・アイビー』を指定――|壊《バラ》すだけだよ」
虞が迸る。
ロボットビーストたちがシルキーの横を走り抜けて、その虞の盾になる。
彼岸花がロボットたちの体躯から生え、その身を締め上げるようにしてすりつぶしていく。
破壊されたロボットビーストたちの残骸の合間をシルキーは電脳戦車の駆体でもって走り抜ける。
放たれるスプレッドダガーとパルスブレイド。
その全ては虞によって防がれる。
だが、この領域にある限り、シルキーの行動は全て強化される。
如何に虞が迫るのだとしても、シルキーが『ヤマラージャ・アイビー』を殺害することを諦めないのならば、彼女の刃は必ず届くのだ。
「それじゃ、中身のデータも、わざわざ用意した肉の器も、此処で全部『死んで』もらおっか★」
振るうは『デスブレイド』。
その斬撃が『ヤマラージャ・アイビー』の受肉した人工タンパク質の体躯を切り裂き、そのうちに蓄えられた血潮を噴出させるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
引き続き『疾き者』にて
属性:風
かつて対峙した『大祓骸魂』と、本当に一緒ですねー。
…だからこそ、負けられないわけで。
たとえ『生ける屍』になっていたとしても、それを理容させるわけにはいきませんからねー?
UDCアースには、玉福も夏夢もいるんですしー。
その虞に当たるわけにはいきませんね。孫的存在の二匹が心配しますしー。
では、四天霊障に認識阻害を加えての結界術を。
さらにUCにて…ええ、覆い隠しましょう、散らしましょう。
その彼岸花ごと、あなたを貫きましょう。
恐るべきことに受肉した『ヤマラージャ・アイビー』は、嘗ての大いなる戦いにおいて対峙した『大祓骸魂』と瓜二つだった。
姿だけではない。
その力もまた同様だった。
己の体が覚えている。
虞を伴う重圧。
「……だからこそ、負けられないわけで」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『疾き者』は覚悟を決める。
どんなに強大な存在であろうとも、乗り越えてきたのだ。
一度倒したのならば、二度目もまた同様に乗り越えるまで。
膨れ上がるようにして虞が放出され、食肉工場を覆っていく。
狂気的なまでに咲き誇る彼岸花は、その血の如き鮮やかな赤を誇るようだった。
「私は私の愛こそが不滅であると知っている。私は、必ず愛しきUDCアースを永遠にします。どんなに時間が掛かっても。この名のように、どんなものでも殺して永遠にしてみせます。私こそが、最もUDCアースを愛しているのですから」
猟兵たちのユーベルコードの一撃を受けて尚、彼女は笑っていた。
その笑みが恐ろしいとい思った。
「それはさせませんよー」
『疾き者』はUDCアースにて生きる者たちを知っている。
彼女の求めた『セラフィム』が『生ける屍』であろうと、それを利用すれば彼女は電脳を焼き尽くすことができる。
ならば、利用はさせない。
「故に、逃がさぬ。悪霊が逃がさぬと言ったからには」
ユーベルコードの輝きが発露する。
霊障によって認識阻害を行っても、『ヤマラージャ・アイビー』の放つ虞は如何なるものもすり抜けていく。
知性宿すものであれば、どんなものであれ虞に囚われる。
影の中にいる二匹のことを思う。
確かに虞とはいかんともしがたいものである。
自身に知性があるからこそ、ではない。己に護るものがあるからこそ、失われることに対して虞を抱くのだ。
どうしようもないことだった。
だからこそ、『疾き者』のユーベルコードによって輝く呪詛の矢が解き放たれる。
「覆い隠す。散らしましょう」
「できますか、猟兵」
膨れ上がる虞に真っ向から放たれる雷まとう矢。
それは雨のようでもあったし、吹きすさぶ風のようでもあった。
どんな虞も光が照らす。
光が闇を色濃くするのだとしても、それでも闇を追いやることができる。
虞もまた同じだ。
そうやって人は虞から逃れるのではなく、振り払ってきたのだ。
「その彼岸花ごと、あなたを貫きましょう」
その言葉と共に『疾き者』の放つ矢が『ヤマラージャ・アイビー』の肉体を貫き、虞ごと吹き飛ばすのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
御影・しおん
うふふ、ならこんな話はどうかしら?
「器」は生の、「中身」は死の領域、2つの領域に分かたれた「それ」は、総体としては「どちらでもない」不完全なものとなってしまった。だからあなたは生と死とを繋ぎ、生の側に残る「器」…その「生ける屍」を殺す事で、「それ」は死の側にて統合され「完全」となる……
……うふふ、なんてね。面白かったかしら?
それじゃあお喋りはおしまい。生と死の織りなす再びの心中未遂劇、此処で幕引きとしましょう?
背の黒い結晶から『暁の翼影』を生やして機動力を確保、後は『ライン・ブルーム』で境界線を引く事でその内側を結界と成し、そうして為した「結界領域」を攻撃に対する盾として使うわね
そして……【境界操作の零『生と死を弄ぶモノ』】
その“なまくら”も、あなた自身も、戦場を飛び回る光が描き出す「生と死の境界線」で取り囲み、そして内側をより「死の側」へと近づけ、その刀も含めて滅ぼす事にするわね?
降り注ぐ矢が鮮血の如き赤き彼岸花を散らす。
花弁が舞い散る中、『ヤマラージャ・アイビー』は微笑んでいた。
「確かに猟兵は、私を止められるのでしょう。ですが、私が止められただけ。私の愛は止まらない。必ず」
受肉したがゆえに『ヤマラージャ・アイビー』は肉体の器という限界を得てしまっていた。
膨れ上がる虞は手にした懐刀を複製され宙に浮かぶ。
「うふふ、ならこんな話はどうかしら?」
その声は静かに響いた。
『ヤマラージャ・アイビー』は小首をかしげた。
この期に及んで、という顔でもあったし、如何なる話かという興味もあったのかもしれない。彼女の視線の先にあったのは、漆黒のドレスを纏う御影・しおん(Unknown・f27977)であった。
「零落した貴女に何が語れると?」
「そう言わずに聞いてちょうだい?」
しおんはあくまで笑む。
「『器』は生の、『中身』は死の領域、二つの領域に分かたれた『それ』は、総体として『どちらでもない』不完全なものとなってしまった。だから、あなたは『生と死を繋ぐもの』……生の側に残る『器』……『生ける屍』を殺すことで、『それ』は死の側にて統合され、『完全』となる……」
『ヤマラージャ・アイビー』が求めたのは『セラフィム』。
『生ける屍』と呼ばれたもの。
嘗ては巨大企業群『ティタニウム・マキア』の地下にて安置され、不足し続けるサイキックをサイコブレイカーたちを拉致誘拐することで補い続け、維持されていた根幹。
それを彼女が完全に殺すことで何を得られるのか。
「あなたが食肉工場を持って肉の器を求めたように、UDCアースへと渡るための力を持つ『器』を『それ』に求めたのもまた必然よね……?」
「そうです。炎の破滅を渡り得る者。それが『セラフィム』」
「……うふふ。でも、おしゃべりはおしまい」
しおんの瞳がユーベルコードに輝く。
「生と死の織りなす再びの心中未遂劇、此処で幕引きとしましょう?」
「いいえ、私は此処で終わりかもしれない。けれど、私の愛は終わらない。なぜなら」
「その愛は不滅だから、だとでも?」
背より黒い結晶が現出し、闇の翼が羽ばたく。
一気に、しおんは『ヤマラージャ・アイビー』へと肉薄する。
彼女が操る懐刀は、たしかになまくらだが、どんなものでも時間をかければ殺してしまえる。
境界にある自分であっても確実に時間さえあれば殺されてしまうだろう。
だからこそ、彼女の瞳はユーベルコードに輝く。
結界であろうとなんであろうと、有象無象全てを殺し尽くすものを前にしては無意味。
故に彼女は己が飛翔する軌跡でもって描き、『ヤマラージャ・アイビー』を取り囲む。
無数の淡い光が生み出される。
それはまるで、降りしきる雪のようにも思えたことだろう。
「境界操作の零『生と死を弄ぶモノ』(ボーダー・オブ・デス)……この内側にあるものは、『死と消滅』へと近づけさせる力。にているわね、あなたの『なまくら』と」
しおんは己が描いた軌跡の外側にて『ヤマラージャ・アイビー』を見下ろす。
飛ぶ懐刀は、彼女の生み出した領域の中で錆びて朽ちていく。
しかし、その一撃がしおんの頬をかすめる。
一撃でも入れば、必ず死に向かう力。
けれど、しおんはユーベルコードによって『生』を強め、死より遠ざかっていく。
如何に時間をかけるのだとしても、遠ざかり続ける死は、生の力を増幅させていくのだ。
「うふふ……やろうと思えば、こういう事も出来るのよ?」
しおんは、ゆっくりと境界の内部にて朽ちていく肉の器たる『ヤマラージャ・アイビー』を見下ろす。
静かに。
けれど、確実に滅びに向かう彼女にしおんは微笑み続ける。
「あなたの愛が不滅であるということは否定しないけれど……でも、愛は誰かと誰かがあることで初めて身に感じることのできる力よ?」
「私はUDCアースを愛しています。それだけで十分です。それ以外の何が必要なのでしょう。『世界を滅ぼす愛で』、私は私を証明するのです」
「……そう。独りよがりね」
それはきっと悲しいことだというように、しおんは、そのユーベルコードの明滅の最中に朽ちていく肉の器を得た『ヤマラージャ・アイビー』の呪いそのものさえも崩れ行くさまを見送るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵