Kill Kill Unknown!
#サイキックハーツ
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ただ、暗い、ある晩に。
ゆらり、と。
夜闇に紛れるように、ただ一体の───竜の形をしたバケモノが、炎を纏い、毒煙を噴き出している。
体が腐り落ちて、ジクジクとした剥き出しの肉を露わにしてなお、そこに居た。
目的もなく。敵意もなく。意志もなく。
その場所に──市街地の郊外に現れたのは、ただの不運だった。
だが──いずれは必ず起きたこと。
この厄災は未来を持たぬが故に、過去を見つめるが故に。
そして、其の表皮は、腐肉は、ボロボロと剥がれ落ちて──形を成す。
「「「ぐる%るるうぅ*uu……」」」
形を得たそれらは、ただそれだけの“過去”を抱き、より破滅の濃い方向へと──
正体不明のバケモノが向かう先は──寝静まった市街地だった。
ふらり、ふらり。
破滅は緩やかに近づいている──
「皆、新しい事件よ。」
ここは、とあるカフェの一角。
妙に人が少なく、猟兵ばかりが入り浸る、落ち着いた雰囲気を持つ小さなカフェなのだが──そのカウンターの奥から、天黒・氷海(ロストヴァンプ・f42561)が真面目な調子で数人の猟兵に声をかける。
「サイキックハーツ、市街地周辺の郊外。そこに、凶悪なオブリビオンが現れたわ。」
サイキックハーツ。馴染みのあるものも多い、とある世界。
そこはこの世界とは異なる摂理を歩み──一度は完全に“救われた”筈の世界だ。
「具体的な説明をするわね。」
と言って小さく指を鳴らすと、カウンターテーブルの上に魔法陣が浮かび上がる。
投射魔法。他の世界で言えば、空間に立体的な映像を浮かび上がらせる機械のようなものとでも表現すればいいのだろうか。
淡い光を放つそれは、空中に禍々しい黒い鳥のような何かを映し出した。
「これがまず、今回始めに倒してもらうオブリビオンね。名前を『怨燃羅鬼』というらしいわ。」
氷海はその映像を覗き込みながら、説明を重ねる。
「こいつは罪人の元に現れては拷問して喰らうという、何とも偽善的で反吐が出る──自己中心的な──……まあ、そんな奴よ。」
|この世界《サイキックハーツ》に現れる敵は、今存在している人の裏の姿や、本来の姿を映し出して一人歩きさせたような存在であることが多い。
姿形も似るというが、本人との関連や影響は全く存在しないそうだ。
──つまり、いつもと変わらず好きに戦っていいということだろう。
「一応、上空からの急降下や音波攻撃、拷問器具の召喚とか色々やってくるわけだけど……このくらいは時間をかけずにサクッと倒してもらうわ。」
簡易的に映し出される映像からは、制空権を握られた状態で、上空からヒットアンドアウェイを繰り返されている。
地上から繰り出した攻撃は俊敏な動きで回避され、攻撃に意識を割けば薄くなった守りを突かれるという、非常に厄介な敵のように思えるが……この程度はすぐに倒してみせろということなのだろう。
というかこれが倒せないと話にならない、とでも言わんばかりの様子だ。
「もしかしたら、現地にたまたまいた罪人とかが巻き添えを喰らうかもしれないけれど……自由にして構わないわ。……ただ、迷うくらいなら、安全な方──殺せばいいと思うけれど。」
罪人に抱く気持ちは人それぞれ、ということを配慮した言葉だろう。
この世界の住民は|かなり頑丈《通常攻撃無効》なので適当に扱っても死にはしないだろうが。
「それで、『怨燃羅鬼』を倒したら次に出てくるのが──こいつよ。」
また指を鳴らし、映し出した映像を変化させる。
前足に翼を持つ、白い毛皮の狼のような見た目だ。
「名前を『天翼狼』と言って、集団で空を羽虫のように駆け回って炎を撒き散らしてくる、結構めんどくさいオブリビオンだわ。」
空を飛び回る敵、二連続である。
氷海の反応からして、こちらの方が厄介そうだ。
上を見上げ続けて首が痛くなることを覚悟しておいた方がいいだろう。
「いっぱいいるから、大体1人3匹から5匹くらいを相手取ってもらうわね。まあでも、翼をちょっと傷つけたらすぐに飛翔の速度や精度が下がるし、難しい敵じゃないわよ。まあ、言っちゃ悪いけど“前座”ね。」
範囲攻撃などで蹴散らせるなら、それを持つものからしたら結構楽に倒せるだろう。
先程の『怨燃羅鬼』と違って、上から一方的に炎を降り注がせてくることが多いので、近接特化のものは攻撃に苦しむだろうが。それはそれでやりようはあるだろう。
「で、最後がこいつ……『Unknown』よ。正直、これについてはよくわかってないのよね……」
映像が切り替わる。
全身が黒く、体表から黒い瘴気のような──毒を放出し続け、ゆらゆらとどこかへ進んでいく様子。
焼け爛れたようにも見える体はときたまボロボロと崩れ、落ちた肉塊は脈動して、新たな存在となり暴れ始めている。
「意志は無さそうだし、向こうから攻撃してくるわけじゃないけど──流石にこっちから攻撃すれば反撃してくるわ。
攻撃の属性は炎と毒。特に毒が厄介ね。気体のそれを吸い込めば抵抗する気力から削がれて死ぬわ。」
毒が充満する範囲は未知数だ。
気体の毒故に風か何かで吹き飛ばすのも有効な対策になるかもしれない。
「毒に限りはないみたいだし、気づいたら近くに纏わり付いてるしで、危険極まりないわね。相手の行動にもよるけど、対策しておくに越したことはない──というか、対策必須じゃないかしら?」
対策無しで挑んだ場合のことなど、考えたくもない。
激痛に苛まれつつ幸福に死ねる? 冗談じゃない。
「まあ、向こうから積極的に攻めて来ないから一撃はほぼ確実に通るし、耐久力も突出してるほどじゃない。やりようは全然あるから、頑張りなさいな。」
そもそも、無効の得意な領域で張り合うのが間違っているのだ。
向こうが理不尽を押し付けてくるなら、こちらも最上の理不尽を押し付ければいいだけだ。
簡単なことだろう?
「じゃあ皆、自分がやるべきことはわかったわね?」
氷海の言葉に、何人もの猟兵が強く頷く。準備も万端だ。
いざ──!
「|向こう《サイキックハーツ》に送るわ。──無事に帰ってくることを、期待しておくわね。」
カスミ
どうも、カスミです!
今回は初めてのサイキックハーツシナリオとなります!
皆様方の「真の姿」が敵になる、というシステムは楽しみですね!
といったところでシナリオの説明に移らせていただきますね!
第一章『怨燃羅鬼』
罪人の元に現れて、拷問しながら殺して食べるという鳥です。上空からの攻撃や、音波による無差別範囲攻撃にうまく対処しながら、サクッと倒してしまいましょう!
プレイングボーナス:敵の攻撃(選んだ能力値に対応したUC)を対処し、強力な攻撃を与える。
第二章『天翼狼』
複数体で現れて空を飛翔し、上空から白い炎を撒き散らしてくる狼です。狼といえど、タイミングを合わせるなどある程度の連携はしてくるので、隙を見極めてキッチリ倒し切りましょう!
プレイングボーナス:対空攻撃を行う、又は敵の飛行能力を奪う。
第三章『Unknown』
目的も意志も存在自体も|未解明《Unknown》、ただふらりと現れてその猛威を撒き散らす竜です。こちらから攻撃を加えるまでは特に反応を示しませんので先制攻撃が可能です!
プレイングボーナス:先制攻撃で強力な攻撃を叩き込む。
第1章 ボス戦
『怨燃羅鬼』
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POW : 火麗な弾嗾(ダンス)
【邪悪な黒炎】を纏い空中高く舞い上がった後、敵めがけて急降下し、[邪悪な黒炎]が尽きるまで【嘴や体当たり】で攻撃し続ける。
SPD : 地獄の魂去痕(コンサート)
【壊滅的音痴な歌声】で【破壊音波】を発生させ、レベルm半径内の対象全てを攻撃する。連続で使うたび命中力と攻撃速度が上昇。
WIZ : 愉しい楽逝舞(ライブ)
いま戦っている対象に有効な【拷問具】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
イラスト:マツクロ=ダイナ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「怨燃・羅鬼」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
山吹・夕凪
永きひとの世は、欲にて迷妄を生み出すものなれど
暗い夜闇にこそ、胸に抱く想いの光を
平穏なる『さいわい』をと求める希望は、尽きせぬもの故に
ああ、この世界では斯く言うべきですか
「魂は闇を抱くもの。されど、闇を恐れることなく魂の力を信じましょう」
対峙するは空飛ぶ怨燃羅鬼
手は届かず、ましてやその力は声
触れることも斬ることも出来ず、周囲に響き渡るが故に躱すことも儘ならぬと
だからこそ恐れず真っ向より
一度は風を操る術で紡いだ空気の断層で受け流すよう相殺し、二度は許さぬと果敢に攻め懸かるはUC紫電清霜
元より防具はなく霊的防護も一時的に消せば、より熾烈なる剣風へと至るこの力
ええ、闇に恐れなど毛頭ありませんから
ひゅうと吹き抜ける夜風を浴びれば、夜闇に映える長い白髪がさらりと靡く。
蒸し暑い夏の夜といえど、さわやかな風に身を通せばいくらかは和らぐというもの。
山吹・夕凪(雪色の吐息・f43325)はとある市街地の郊外──街灯もまばらな闇の中、緩やかに歩みを進めている。
そんな彼女が思い起こすのは、「罪人を喰らう」という鳥のこと。
今回倒すべき敵のことだ。
──永きひとの世は、欲にて迷妄を生み出すものなれど
人の罪が尽きることはない。それは、人の欲が尽きることはない故に。
だからこそ──罪を喰らう敵に嫌悪する。
──暗い夜闇にこそ、胸に抱く想いの光を。
欲とは力。
それはときに、その身を滅ぼすものなれど。
──平穏なる『さいわい』をと求める希望は、尽きせぬもの故に。
欲の力は、ときに──希望を求め暗闇を照らす、煌々と輝く尊い光と成るのだから。
それこそが、夕凪の原動力。
それこそが──あぁ、この世界では斯く言うべきですか。
「魂は闇を抱くもの。されど、闇を恐れることなく魂の力を信じましょう。」
夕凪が見据えるは闇。
そして、闇を切り開いた夕凪の後ろには、確かな光が満ちている。
ならば、先に進もう。
この闇を光で──『さいわい』で満たすまで。
意思を固めた夕凪が対峙するは、空を羽ばたく『怨燃羅鬼』。
黒い炎を纏い、闇に紛れるその体を視界に捉え、自らの刀に手をかける。
だが、敵は飛んでいる。
多少跳んだところで、刀を握り手を伸ばしたところで、自在に空を翔けるものには届かない。
ましてや、その力は“声”。
その強弱はあれど、完全に躱すことなど不可能だ。
だが、心に光を抱える夕凪はその程度に屈しはしない。
この程度の逆境など、真っ向から打ち破ってみせよう、と。
ダン、と地面を踏みしめれば、体が進む確かな感触がある。
もう一歩踏み出せば、グンと加速する。
空間をその身で切り裂き、黒き怪鳥へと突き進む──
『キュルアアアアアアアァァァ!!!』
夜の静寂を塗り潰す敵の壊声が鳴り響く。
空気を伝って響き渡ったその破壊音波は避けることも儘ならぬもの。
だが、一度なら──
夕凪の体全身を包み込む柔らかな風の層。
声は空気を伝う振動だ。ならば風を操りその空気を断絶してしまえば伝わる道理などありはしない。
しかし、次は対策されてしまうだろう。
風を操る術を阻害されてしまえば、すぐに無力化されてしまう。空気以外の媒介を通せば伝わってしまう。非常に細く脆い対策だ。
だが──そんなこと、百も承知。“次”が来る前に、斬り伏せる──!
自身を守る防護を削り、それに応じた剣風を飛ばすUC【|紫電清霜《シデンセイソウ》】。
元より防具らしい防具はない。霊的防護やさまざまな術による守護も削ってしまえば、残るものは美しくも頼りない和服のみ。
その代わり──放たれる剣風は想像を絶するモノと成る
「恐れぬからこそ、刃も澄み渡る。
──えぇ、闇に恐れなど、毛頭ありませんから。」
虚空に刀を一振りすれば、万物を斬り裂く風の刃が吹き抜ける。
そしてそれは、怨燃羅鬼の中心を捉え───紅き血の華を咲かせたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ミリム・ウィアテスト
猟兵としての初仕事、やってやろうじゃありませんか!
私は罪人ではなくピュアですからね!
罪人の元に行けば襲い来るでしょう。
どんな罪犯した人かは知りたくもありませんが
罪というのは己で贖うモノ!それに慈悲というのも時には必要なのです。
殺すのは簡単でしょうけれども私は…罪人を背にして、あえて彼らを守る難しい選択をしましょう。
怨燃羅鬼でしたか音波やよくわからない拷問具はどうしようもありませんが
黒炎纏い急降下突撃してくるタイミングを見計らい
私も仕返しと星霊グランスティードの人馬一体で電光と共に真っ向から突撃し返してやります!
まだまだ猟兵としては半人前ではありますが
これくらいの仕返しくらいはできないと…ね!
郊外を暗く覆う闇の中。闇の似合わぬ小柄な少女が足を進める。
陽光の下なら明るく輝いただろう銀髪も、気品と好奇心を宿した緑眼も、街灯から少し離れれば闇に包み込まれてその輝きを消す。
その少女──ミリム・ウィアテスト(イノセントの魔想紋章士・f43456)の見た目からは、到底“夜”というものが似合う存在と思えない。
実際、それはある程度正しいのだろう。無意識の所作は高貴なるもののそれであり、煌びやかなシャンデリアの光で包むべきものだ。
だが、それはミリムを構成するただの一面にしか過ぎない。
彼女は“猟兵”だ。本質として|闇《過去》を切り裂き未来を紡ぐ存在として、今もその任務で動いている。
そして彼女は“エンドブレイカー”だ。最良の終わりを描くその性質から、そして実家の教えも相まって、自ら闇に立ち闇を払うことも厭わぬ一面を、確かに持っている。
だから──この依頼を受けたのだろう。
多くの被害を出すことを予想される|敵《オブリビオン》を何体か倒す、この依頼を。
えぇ、と、確か最初に倒すのは──黒い鳥でしたね!
最初のターゲットは、『怨燃羅鬼』と呼ばれる鳥だ。
グリモア猟兵からの情報によれば、上空からの急降下攻撃や音波による攻撃、拷問具を召喚して攻撃してくるそうだが──攻撃よりも何よりも、その特性が厄介だ。
罪人を襲い、拷問しながら喰い殺すという歪んだ善。
こんなものは善と呼ばないと想うかもしれないが、それでも怨燃羅鬼にとっては善なのだろう。
私は罪人ではなくピュアですからね! こちらから何もしなければ向こうも干渉をしてこないかもしれませんが……罪人の元に行けば流石に襲い来るでしょう。
……その罪人がどんな罪を犯した人かは知りたくもありませんが。
そもそも“罪”というもの自体が曖昧だ。人の主観に強く影響されるものゆえに仕方のないところではあるのだが、欲が罪だとか、生が罪だとか言われてしまってはどうしようもない。
この世界ではそもそも一般人による殺人などはほとんど不可能なこともあり、罪人の程度が測れないのもそう思う理由の一つだろう。
罪というのは己で贖うモノ! それに慈悲というのも時には必要なのです。
ミリムは罪人を殺さずに“生かす”決意を固めた。
死して償うことは簡単だ。わかりやすくもある。だがそれは、人から一方的に与えられるモノではなく、そして未来もない。
ならば生かして償わせ、その先を見出すことこそエンドブレイカーたる、猟兵たる私達が目指すべきことなのだ、と。
脳内では思考が巡り、しかして油断なく周囲を警戒していたミリムの耳は、叫び声のような悲鳴と、嗜虐的な鳴き声を聞き取る。
「近い──見つけたっ!」
周囲をぐるりと見回せば、夜闇よりもさらに暗い漆黒の翼を大きく広げた、悍ましき鳥──怨燃羅鬼のその姿。
そしてその向かう先、それと対面しているのは1人の男。
「う、うわぁ! くるなぁっ!」
弱々しく、頼りない叫び声をあげる男。
だが、怨燃羅鬼に狙われているということ即ち──未だ世に出ぬ罪を抱えたものなのだ。
見殺しにするのは、簡単だ。
ここでただ見ているだけで、この世から一つの罪が消えるのだろう。
でも、私は──
その瞳を細く、体勢を低くして駆け出して。
そして、両者の間に割って入る。
私は…罪人を背に、敢えて彼を守る選択をする。
「遮蔽に隠れて、動かないでください。」
“守れない”から。
『キュルアアアアアァァァ!!』
獲物を前に邪魔が入ったからか、それともオブリビオン故の性質が為か、獲物を射殺す鋭い眼がミリムへ向けられ、そして空へと舞い上がる。
「顕れて…グランスティード!」
対するミリム男が指示通りに動いたことを認識しつつ、聖なる光を放つ巨馬を喚び、人馬一体となって迎え撃つ。
「キュリリラアアアアァァァ!!」
「ヒヒイィィィィィィィンン!!」
巨鳥の叫びが、巨馬の嘶きが、静かな夜を切り裂いて、衝突する──!
大きく羽ばたいて上空から襲いかかる怨燃羅鬼に対し、バチバチと電光を纏うグランスティードとミリム。
両者ともに互いを滅ぼすという強い意志を抱き、風を切り裂き、歯を食いしばり──遂にその瞬間は訪れる。
大質量同士の衝突の末、立っていたのは──夜の郊外を淡く照らす、神秘的な光を纏った巨馬と、それに跨る銀髪の少女の姿だった──。
「まだまだ猟兵としては半人前ではありますが…」
グランスティードに跨ったまま、自身の背後で電光に身体を焼かれている怨燃羅鬼に振り向きながら。
「せめて、これくらいの仕返しはできないと…ね!」
怨燃羅鬼にかなりの大ダメージを与えた。
全身は電光に蹂躙され、そして衝突の際負ったダメージもある。
だが──それだけで倒せる相手ではない。
再び上空に舞い上がった姿からは、劣勢や負傷を感じさせない威圧感を、殺気を、肌で感じる。
力を削いだ。もう一息とは言えずとも、戦況は大きく猟兵側へ傾く──
大成功
🔵🔵🔵
柳・依月
カスミマスターにおまかせします。かっこいい柳・依月をお願いします!
俺は人間じゃない、ネットロアだ。だが人間は物語が好きで、俺も人間が好きだ。だから人々の日常を脅かす者は許してはおけない——それが俺が戦う理由ってことになるのかな。
戦闘時は基本仕込み番傘での近接戦だが、中長距離や支援に回る時などは呪髪糸や禍魂による呪いも使用する。
UCは指定した物をどれでも使用し(詠唱ご自由に)、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
夜風吹く、少し丘のようになった郊外の一角で。
長い黒髪をふわりと風に靡かせて、日も出ていないのに番傘をさして。
静かに佇むその男──柳・依月(ただのオカルト好きの大学生・f43523)は、ポツポツと街灯が弱々しく照らす暗い郊外を眺めている。
「……居た、あれが──『怨燃羅鬼』か。」
闇の広がるこの郊外で、依月はただ一点を見つめている。
その視線の先にいるのは、闇に紛れる黒い巨鳥だ。
そして。ヒュウと風が吹き抜ければ──
──もうそこには、依月の姿は無かった。
郊外の、どこか。
ちょうど依月が見ていた辺りだろうか。
大きな存在感を覆い隠し、まるで何かを探すように住宅の上に留まる黒鳥が、その視界の端にある男を目にする。
罪の匂いは、しない。
人の匂いも、しない。
猟兵の、匂い。不快な匂いだった。
自らの「敵」だと認識するに足る、不快感。
襲いかかるタイミングを測り、音もなく暗闇に翼を広げようとして──
「──壁に乱るる蜘蛛の網は、庭の真葛が蔓にあらそふ──」
男が、呟いた。
気づけば、男はこちらを見ていた。
そして──気付く。|翼《・》|が《・》|開《・》|か《・》|な《・》|い《・》。
体に、きつく糸のようなものが絡みついている。
それは体に吸い付くように、離れない。
|絡新婦《ジョロウグモ》という蜘蛛は、巣に絡みついた小鳥すらも捕食することがあるらしい。
強靭な蜘蛛糸は体格の勝る獲物を離さず、強力な毒は獲物に苦しみと死を与えるというが──
【呪髪糸操術:|絡新婦《ジョロウグモ》】──ここは全てが暗闇の中にある、夜。
夜であることに利を得るのは、その闇に身を隠せる怨燃羅鬼だけではない。
この時間は──闇の中に罠を張る、依月の時間だ。
「お前はこうやって罪人を苦しめて喰っていたと聞くが──それが本当かはどうでもいい。」
『キュルアアアァァァ!!』
蜘蛛の巣にかかった哀れな獲物は叫び声をあげ、もがく。
それをするたび、強く、深く、複雑に、絡みついていくことも分からずに。
これはただの糸ではない。依月の“呪い”が込められた呪髪糸だ。
それが触れている対象の命を吸い尽くす、呪いの糸。
そんなものに囚われ、絡みついたならば──
「まあ、俺の前に立ったことを悔やんで、そのまま死んでくれ。」
風が吹き抜けると同時に、依月の姿が闇に消える。
残された怨燃羅鬼は、ただその命を吸われ続けるのみ──
大成功
🔵🔵🔵
アレクサンドロ・ロッソ
「罪人を拷問して喰らう、か…」
罪を裁くのは、神にのみ許された事だ
「この俺の前で、神を気取るか?害鳥風情が…!」
召喚された拷問具を怒りを込めて打ち砕き、魔力の壁で怨燃羅鬼の四方を覆う
簡易に過ぎる裁判所だが、神に叛く者にはおあつらえ向きだろう
「神罰を受けよ!」
ひゅうと風が吹き抜ける、一般的な郊外の夜。
夏の暑さも涼やかに、日差しの無い闇は案外快適なものだが──
生憎此処に立つ男──アレクサンドロ・ロッソ(豊穣と天候を司る半神半人・f43417)には、それを感じられる程のゆとりは無い。
それも、仕方の無い事だが──己の信念を、意義を、真っ向から否定する所業を好んで行う「敵」を狩る依頼を受けたとならば、その心が怒りに燃えるのも自然だろう。
尤も、それが判断に影響をきたすような緩い精神など、持ち合わせてはいないのだが。
そんなアレクサンドロの前に、黒き巨鳥が降り立った。
長身な彼よりもさらに大きい巨鳥──姿形は、依頼の説明で目にしたものと合致する。
「『怨燃羅鬼』──態々|俺《神》の前に降り立つとは、何の冗談だ?
──いや、手間が省けた、と言うべきだろうな。」
『キュルアアアアアァァァ』
巨鳥、否、怨燃羅鬼の黒ずんだ眼は、獲物を見る眼だ。敵を睨む眼だ。
耳をつんざくような嘶きも、アレクサンドロには、ただの侮辱にしか映らない。
「罪人を拷問して喰らう、か……」
罪を裁くのは、神にのみ許された業。
それは、圧倒的上位者からの慈悲と赦しの下に執り行われるべきものだ。
そんな穢らわしい眼で、凶暴な嘶きで、我欲に満ちた精神で、それの真似事を行うなど──言語道断だ。
「この俺の前で、神を気取るか? 害鳥風情が…!」
怒りの籠ったアレクサンドロの声は空気を振るわせ、怨燃羅鬼に届く。
『ギュリリルルアアァァァ!!!』
ガシャリ、ガシャン
四方から、鎖が鳴く。
見れば、古ぼけた木製の磔台や槍衾、火のついた松明に、無機質で血のこびり付いた冷たい鎖。
これは拷問器具というより、処刑器具だろう。
だが、いくつかの神話に於いて──これは、反逆の象徴。
見せしめに、残虐に、ゆっくりと殺すのを、拷問と言わずして何というか。
「どこまでも…どこまでも俺の気を逆撫でする……貴様に赦しが訪れることを期待するなよ、害鳥が……!!」
怒りのまま、アレクサンドロの体が動く。
自然な動作で軽く手を振れば、圧縮された魔力は容易く拷問器具を捻じ曲げ砕く。
こんな玩具など、半神たるアレクサンドロに通じるわけがないのだ。
ただ、悪戯に自身の未来を歪めただけ──いや、だからこそ“オブリビオン”なのだろう。
「アレクサンドロの名の下に──」
際限なく高まった魔力が漏れ出て、空間を歪めていく。
それは極めて堅牢な魔力の壁──いや、魔力の箱となり、怨燃羅鬼を閉じ込める。
「貴様に死罪を命ずる──!!」
簡易に過ぎる裁判所だが、貴様のような、神に叛く者にはお誂え向きだろう。
「──神罰を受けよ!!」
途端、暗闇の中にひとすじの光──というには些か存在感を放ち過ぎる極太の雷が、夜闇と静寂を引き裂いて迸る。
これは神の雷。ときに神の怒りとも形容される、神の力の象徴だ。
こんなものを直撃して耐えられるどころか、形を残せる存在すら多くない。
当然今回もその例に漏れず──塵すら残さず消滅させた。
「……チッ、俺の手で完全な滅びを与えられぬことが、これほど腹立たしいとは。」
怨燃羅鬼はオブリビオンだ。
肉体が消え去っても、魂が滅びても、“過去”を元に骸の海から再構築される存在だ。
故に、滅びなどあってないようなもので──アレクサンドロの神罰も、僅かな時間、その復活を遅らせる程度の影響でしかない。
それに、依頼はまだ続く。
この程度の敵に思考リソースを削がれることすら無駄だと、素早く思考を切り替える。
「何度甦っても、神に仇為す者をこの俺が許すはずが無いと知れ。」
それだけを言い残し、アレクサンドロの姿は夜闇の向こうに消えていった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『天翼狼』
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POW : 飛翼爪
レベル×5km/hで飛翔しながら、【白い炎の爪】で「🔵取得数+2回」攻撃する。
SPD : 白炎翼
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【白い炎の翼】から【白い炎の雨】を放つ。
WIZ : 白炎咆哮砲
詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する【大地の力】属性の【白き炎】を、レベル×5mの直線上に放つ。
イラスト:玉英
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
山吹・夕凪
地より沸き立つ白炎を纏い、空を翔る狼
伝え聞く処によくスサノオの分体というものでしょうか
白い炎が空を流れる様は、さながら流星めいておりますが……これは凶兆の流れ星
災厄の白き狼の姿なのですね
確かに、心を澄ませば獰猛なる獣の唸り声と、闇の衝動が聞こえます
これもまた妖魔、斬るべき邪
ならばと空飛ぶ天狼狼の群れを見つめ、相手が白炎の雨を降らすよりもと早業で放つは『氷花の天つ風』
広範囲にと走る刃風で空を覆い、飛ぶ翼を、その身体を、十体以上の群れを纏めて切り裂きましょう
舞う氷花に宿すは破邪
刃風に絡めるは妖魔殺し
冷たきふたつの力で奪うは空飛ぶ速度と自由です
天翼狼を空より落とせば、次々と頸を跳ねてトドメと参ります
柳・依月
何だこいつ……ペガサスの狼版?
何やら神々しいことで。
おっと、これが話に聞いてた白い炎か。
ひとまず【自動防御】【通常攻撃無効】により仕込み番傘で防ぐ。
なるほど、降りてきやしねえ。俺みたいな自力で飛べない上に近接特化だとちょい面倒な訳だ。
……が、やりようはある。
俺の武器は刀や糸だけじゃないんでね。
あれを使わせて貰おうか……UC【禍罪】。
これは俺を構成する呪いそのものだ。
精神は汚染されて防御力は落ちるし、上手く飛べなくなるんじゃないか?(行動阻害)
落ちてきたところを呪髪糸や仕込み番傘で仕留めさせて貰おう。
氷海も前座だと言っていたからな。
この程度に手こずってたら猟兵の名折れだよな?
アドリブなど歓迎!
アレクサンドロ・ロッソ
【アドリブ歓迎】
──遠吠えが聞こえる
(狼、しかもかなり大規模な群れか)
空を見ると、翼のある狼達が白い炎を撒き散らしながらこちらに向かってくるのが見えた
腰のミョルニルを抜き、魔力を充填・圧縮する
「では…まとめて処理するか」
UC【ᚱᚢᚾᛖ ᚱᚨᛁᚾ】とUC【魔弾】を発動
|ᚾ《欠乏》のルーンを込めた、当たればたちまち飛ぶ力、果ては命すら『欠乏』させる魔力弾
それはまるで逆さまに降る雨の如く、さらにはどこまでも追尾するのだ
「さあ、存分に踊ってみせろ」
ミリム・ウィアテスト
アドリブ野良連携OKです
鳥を倒した後の相手は空駆ける狼ですか
狼の狩猟ぐらいなら多少経験ありますとも
空駆ける狼は初めてですけれども、ね…!
落ちてくる白い炎に気をつけて
何度も空を見上げるとたしかに首が痛くなってきそうです。
ずっと空を駆ける途中で悪いですけれども彼らの行く先を塞いじゃいましょう。
空中に描いた黒鉄兵団の紋章からいでよ!黒鉄兵団の幻影!
飛び駆け回る狼の行き先を塞ぎ叩き落とすのですっ
空から地に落ちた狼にも地に描く黒鉄兵団の紋章で追い討ちを掛けてやります。
私の故郷の紋章とその術を此処でもこうして活かしてやろうじゃあありませんか!
夜の郊外に──先程、黒き巨鳥を夜闇の中狩った場所に──白い光が、炎が、夜空を彩った。
いや、光ではなく、炎。
白き炎がまるで流れ星のように、花火のように、真っ黒なキャンパスに色彩を描くのだ。
嗚呼、認めよう。それは、美しい光景だ。
だが、彼等の存在を認めてはならない。
白き炎が塗り潰すのは、夜空ではなく命。
静寂を取り戻した郊外に、幾重にも響く狼の遠吠えが、新たな脅威の到来を知らせている──
「地より沸き立つ白炎を纏い、空を翔る狼。
伝え聞く処によくスサノオの分体というものでしょうか。」
夜空に煌めく炎を見て、静かにそう呟くのは山吹・夕凪(雪色の吐息・f43325)だ。
「白き炎が空を流れる様は、さながら流星めいておりますが……これは凶兆の流れ星。 災厄の白き狼の姿なのですね。」
ふわりと純白の髪を風に靡かせて、彼方の空を仰ぎ見れば──零した言葉に返す言葉がひとつ。
「天翼狼……ペガサスの狼版? みたいな奴だが……何やら神々しいことで。」
夕凪の近くに佇む、その言葉の主、柳・依月(ただのオカルト好きの大学生・f43523)は番傘から小さく顔を覗かせてその閃光を目に焼き付ける。
単独で動いてもいいが、今回は数が多い。
協力できるなら、そちらの方が手早く処理できるだろう。
「……無茶なことを言ってくる|知り合い《氷海》の期待に応えるには、手を尽くさないとな。」
そうはいうが、依月の瞳には楽しげな感情が宿っている。
戦いの前には、誰しも感情が揺れ動くものだ。
緊張しかり、興奮しかり。慣れた者はそれを抑えることはできるが、それでも心の奥底から放たれるそれを、完全に無にするものは極少数なのだ。
──遠吠えが聞こえる。
狼、それもかなり大規模な群れ。
アレクサンドロ・ロッソ(豊穣と天候を司る半神半人・f43417)はそれに反応し空を見上げれば、やはり見えるのは白き狼の群れ。
事前の情報にあった、天翼狼というやつだろう。
見ていれば、影がだんだん大きく……近くなっている。
「他の者も動くようだな。──動きを合わせて、まとめて処理をするか。」
腰に差したライフル、ミョルニルを抜き、魔力を充填、圧縮していく。
冷徹な瞳は先程の怒りに燃ゆるソレとは異なり──上位者としての威厳に満ちていた。
「えぇ、まとめて! 私も、狼の狩猟ぐらいなら多少経験はありますとも。
──空翔ける狼は初めてですけれども、ね…!」
彼の呟きに、反応する者がまたひとり。
ミリム・ウィアテスト(イノセントの魔想紋章士・f43456)はさらりと銀髪を揺らしながら、アレクサンドロの隣で空を見上げる。
今回の相手。
空を飛翔し、白き炎を振り撒く狼だと聞いている。
向こうの攻撃はそこまで激しくないような口ぶりだったが、ここに時間をかけてしまっては──この先に待ち受ける“|災厄《Unknown》”が街へ近づいてしまう。
ならば行うべきは──迅速な殲滅。わかってる。
「そろそろ、皆さんも準備ができたようですねっ。」
「あぁ。犬畜生の群れなど、直ぐに墜としてやろう。」
夜空を舞台に、極めて静かな戦いが始まる──
白く彩られた夜空。
群れの前方。
突如、空中に描かれるは──【黒鉄兵団の紋章】
──空を翔ける途中で悪いですけれども、彼等のいく先を塞いじゃいましょう!
黒く、勇ましい紋章。これは、ミリムが描いたものだ。
勿論、ただの紋章なわけはない。この紋章は、かつての栄光を幻影として、この場に甦らせるのだ。
「黒鉄兵団の紋章から──いでよ! 黒鉄兵団の幻影!
飛び駆け回る狼の行き先を塞ぎ、叩き落とすのですっ!」
『ウロオォォォォォン!!』
空中を飛行する狼に、空中を踏み締め突撃する幻影の兵。
兵たちは物理的な攻撃を加えられるわけではないが──その攻撃を喰らった存在は、その魂に直接痛みとダメージを刻み込まれる。
パラパラと、何体かの天翼狼が墜落してくる。
初撃としては十分。攻撃を受ける前の不意打ちは、うまく成功したとみていいだろう。
そして──次に飛び出したのは夕凪だ。
「傍目から見れば綺麗なものですが──これもまた妖魔、斬るべき邪。」
初撃の次は、反撃が来る。
ならば、その先にもう一撃を叩き込み、数を減らせば味方の負担も大きく減るだろう。
必要となるのは、早業の──否、神速の剣。
えぇ。えぇ。出来ましょうとも。
月の見えぬ今宵見せるは、夏の夜を凍空に変える、まさしく『氷花の天つ風』
空を踏み飛び出した夕凪は瞬くより早く、天翼狼に接近する。
纏う氷花に宿すは破邪の力。
刃風に絡めるは妖魔殺し。
ただ冷たきふたつの力。それらが奪うは“空”だ。
刀薙ぎ 氷花纏いて 舞うならば 十の群狼 なにするものぞ。
凍風が、斬花が、天翼狼の身を斬り裂き翼を凍つかせた。
一度にまた、パラパラと十体以上の狼が墜ちる。
「白き炎──ここらが引き際でしょう。」
ミリムが、夕凪が、先手で墜とした狼はおよそ半数。
だが、白き炎は未だ消えず、備える猟兵にも降り注ぐ。
「おお、女性陣はやるな。もう群れが半壊して──おっと、これが話に聞いてた白い炎か。」
「そうだな。だが、あと半分残っている。それを墜とすのが、俺たちの仕事だろう。」
地上でそれを眺めていた依月とアレクサンドロは、攻撃の気配を察して構える。
途端、雨のように──というには大粒で、勢いの強い白き炎が降り注ぐ。
依月は番傘で、アレクサンドロは結界を張って、難なく弾き返す。
だが、攻撃が途切れる気配がない。
「なるほど、降りてきやしねえ。俺みたいな自力で飛べない上に近接特化だとちょい面倒な訳だ。」
「はは、任せてくれても良いのだぞ?」
「そんなこと言うなよアレックス。今、『だが、やりようはある』って言おうとした所だったんだからな。」
「なら、行けるな?」
「勿論だ。」
依月とアレクサンドロは、同時に防御を解いてそれぞれの攻撃を構える。
アレクサンドロは魔力を圧縮させ続けていたライフルを。依月は、自身の内側から出ずる“呪い”を纏わせる。
そして、タイミングを合わせたかのように同時に、それらを放った。
アレクサンドロの放った弾丸は、込めた魔力に、そして宿したルーンにより異なる効力を持つ特別性だ。
今回こめたルーンは、欠乏のルーン。肉体、魔力、その他概念的なものにまで作用する、「|ᚾ《欠乏》」のルーン。
飛行能力を、攻撃能力を、感覚を、生を、欠乏させる死の弾丸。そんなものが命中すれば、天翼狼は為す術もなく、地に墜ちるのみ。
そして、依月が放った“呪い”とは、依月の──ネットロアとしての本質が、依月という怪談の力が、現れたものだ。
その効力は、強力な精神汚染と、行動阻害。
蛇のように絡みつき、煙のように包み込み、そして毒のように体を蝕むその呪いに、天翼狼が逃れられる筈も無く。
そして、空という戦場に立つ以上、行動阻害など受けようものなら即座いに墜落するのは道理だろう。
『ウルルオオォォォン!!』
白き炎を撒き散らし抵抗を続ける天翼狼だが、終ぞその牙が届くことはなく。
断末魔すら残すことなく、依月の呪いに蝕まれて最後の一匹が力尽きた。
大成功
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第3章 ボス戦
『Unknown』
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POW : イー※ールの匣
自身に刻まれた【腐った肉片】を引き裂き、【ゾンビのようなオブリビオン】を召喚する。[ゾンビのようなオブリビオン]は死ぬまで敵を追跡し、【猛毒を持つ爪と牙】で攻撃し続ける。
SPD : ユーフォリ§の毒
【体内】から無限に供給される【多幸感を齎し脳を侵食する猛毒】を、最大レベル体の対象に一瞬で投擲できる。
WIZ : ×ヘナの紅
【身体が腐り落ち、空洞になった部分】から【血色の炎】を放ち、近接範囲内の全てを攻撃する。[血色の炎]は発動後もレベル分間残り、広がり続ける。
イラスト:柴一子
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ジャスパー・ドゥルジー」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
柳・依月
Unknown、か……未知故に、分からない故に……ってのは俺たちの専売特許なんだがな。
聞いてた話だと、毒と炎……特に毒が厄介なんだったか。
【浄化】の力を込めた【結界】を周囲に張って対策しとくとするか。
念の為俺自身も番傘を盾にして喰らわないように気をつけるが。(【自動防御】【通常攻撃無効】)
で、こちらからの一撃はまず通る、ね。
それなら話は単純だ……スピードなら自信がある。
UC【疾風迅雷】使用。
ふ、そもそも意識していてもそう反応できるものじゃないぜ?
悪意すらも特にはないのかもしれないが、人々の当たり前の日常を脅かすようなら黙ってはおけないな。
さっさと骸の海に還ってもらおうか。
アドリブなど歓迎!
アレクサンドロ・ロッソ
【アドリブ歓迎】
「目の前にいると言うのに攻撃する様子もないな、情報通りだ」
ゆっくりと市街地に歩みを進めるUnknownを見る
「さて、お前が誰だか知らんが、ここより先に進ませるわけには行かないな」
空中に|ᛟ《故郷》と|ᛗ《門》のバインドルーンを刻み、神域と一時的に繋げ、超巨大な岩を生成
射出の準備を整える
周囲に漂う毒気も、召喚された|動く死体《ゾンビ》も、まとめて吹き飛ばせば同じ事
大岩の下敷きに出来れば、市街地への進攻も阻止出来るはずだ
ふらり、ゆらり、破滅の足音が一歩、また一歩と近づいてくる。
其れを奏でるは“Unknown”。正体不明のバケモノの姿。
見れば、二足で大地を踏み締めて、その黒き体躯からは炎と煙をふしゅふしゅと不快な音を鳴らしながら吹き出している。
其の者が向かうは、寝静まった住宅地。
意図もなく、殺意もなく、ただ進行上にあったから。それだけの理由で大地は穢され生命は尽きていく。
意識せず、他者を害す。
これは、傲慢か?
これは、怠惰か?
これは、罪か?
誰にも、それを定めることなどできやしない。
人の心とはこのようなバケモノを内包するまでに複雑で──救いのないもの故に。
──だが。
「Unknown、か……未知故に、分からない故に……ってのは俺たちの専売特許なんだがな。」
「だが、目の前にいると言うのに攻撃する様子もないな。情報通りだ。」
夜闇の中に、人影がふたつ──柳・依月(ただのオカルト好きの大学生・f43523)とアレクサンドロ・ロッソ(豊穣と天候を司る半神半人・f43417)の姿が、昏い炎に照らされて浮かび上がる。
ただ道を進むバケモノの前に立ち塞がるは、猟兵だ。唯人ならざるものだ。
ならばこの暴威、払えるのはもはや──彼らのみ。
「さて、お前が誰だか知らんが、ここより先に進ませるわけにはいかないな。」
空中に|ᛟ《故郷》と|ᛗ《門》のバインドルーン──この場とアレクサンドロの住まう神域を結びつける紋様──を刻み、アレクサンドロの頭上高くには夜だと言うのに神々しい光を降り注がせる“円”が、大きくその口を開ける。
「あぁ。悪意すらも特にはないのかも知れないが、人々の当たり前の日常を脅かすようなら黙ってはおけないな。」
依月もまた、仕込み番傘の刀を抜き放ち、体勢を低く──構える。
情報にあるように、向こうからは攻撃する気配も、こちらを意識する気配もない。
もちろんこちらから攻撃すればその限りではないだろうし、奴から感じる不穏な気配は──この身に、心に、忌避と恐怖を植え付けるもの。
だから──最速最高の一撃を。
例えこの一手で斃せずとも、仲間が居る。
継戦など考える暇があれば、それも全て刀に乗せる──!
俺の刀は──意識していてもそう反応できるものじゃないぜ?
「はァァッ!!」
居合の構えから弾丸の如く風を斬り、一直線に|バケモノ《Unknown》のもとまで一息に踏み込み、流れるような一閃を──!!
呼吸を止め──刀を両手で構え、初速をさらに押し込んで加速させ──左手を放して──全身を半回転させ、通り過ぎざまにその身を断ち切る──
キィィィン──!!
『グ*%yァアアAア*#ァAァ!!!』
甲高い刀の歌が渡り、くぐもった叫び声が響く。
途端、バケモノの体から深く昏い瘴気の炎が溢れ、依月を襲わんと勢いよく広がるが、しかし依月を捉えるには至らない。
「これでも生きてるのか。あの感覚を信じてよかったぜ。
でも、まあ、なんだ───俺だけを見ていて良いのかよ?」
その声も、Unknownには届かない。
届いたところで、どうと言うことにもならないだろうが。
アレクサンドロの頭上に輝いていた神域への門からは、超巨大な──岩盤をそのままくり抜いてきたのかと見紛う程の──巨岩が、その照準を定めるかのように、大地を見下ろしていた。
「天が泣き、山が震え、海が恐れた、天地開闢のその様を──ここに再現しよう!」
「|いと高きより来たれ、天地開闢を成すものよ《ベンヴェヌーティ・ネッラ・テラ》──!!」
そしてそれは、この大地へと降り注ぐ。
まるで──神話のような。いや、アレクサンドロは神なのだから、それも間違ってはいないだろうが──それほどの、超大規模の質量攻撃。
瞬く間に大地を、バケモノを、埋め尽くしていく。
燃え広がった炎も、周囲に漂う毒気も、召喚された動く死体すらも、跡形もなく。
いや、違う。
巨岩が割れて──否、|溶《・》|け《・》|て《・》|い《・》|る《・》…?
『GギュR>yア#%アアAァaa!!!』
岩の下から、天を焼き焦がすほどの昏き爆炎を立ち上らせて。
バケモノが、再び姿を現した。
その体は切断され、潰され、満身創痍にすら思えるほどにボロボロだ。
だが、それがなんだと言うのか、と言わんばかりの咆哮と、噴火の如き爆炎。
しかし、向こうも追い詰められているのは事実なのだ。
あと一度、二度、三度と攻撃を叩き込み続ければ──必ず倒せる敵だ。
未だ、戦いは続く──
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ミリム・ウィアテスト
Unknownの名の通り…
「何を言っているのか何を成したいのかホントよくわかりませんが!」
理解する必要ないかもしれないけれど
間違いなく『此処に居ていいモノではない』なら、倒すしか方法はありませんね。
撒き散らされる血色の炎に痛みを覚え多幸感に毒にそうじゃないと首をブンブン振り己を律しつつも
更に今一度私の自慢の紋章を描いていきましょう!
紋章から…いでよ『黒鉄兵団』!
我が故郷の威信をかけて
満身創痍な彼奴を打ち倒すのです…!
アドリブと連携歓迎です
ひゅうと吹く風に、銀の艶髪を靡かせて。
轟音の響く戦場の中に、ひとつの宝石がキラリと光る。
ミリム・ウィアテスト(イノセントの魔想紋章士・f43456)はその緑瞳で夜闇に覆われた郊外の、その一点を見つめている。
ミリムの見つめる先──そこには、巨岩を裂いて現れ出でた怪物、Unknownがゆるりとその歩みを進めていた。
唸り声のような、不明瞭な雑音を垂れ流して、大地を穢しながら進むその姿に嫌悪を抱くが、その目的までもを塗り潰すほどではない。
「何を言っているのか、何を成したいのか……ホントよくわかりませんが!」
炎の燃え盛る音に紛れ、自らの気持ちを口にする。
こんな相手のことなんて──そもそも理解する必要もないかもしれないけれど。
「間違いなく『此処に居ていいモノではない』なら、倒すしか方法はありませんね。」
それは、猟兵としての責務故か?
否。
はたまた、エンドブレイカーとしての自覚故か?
──否!
それは──ミリムが人を救おうと思い、自らの力で立ち上がったから。
故に、ミリムの心はそう軽々と揺れやしない。
血色の炎にその身を炙られようとも。
透明な毒気に侵され、多幸感のままに甘い“死”へと誘われようとも。
「そうじゃない。」
強く首を振るミリムの瞳はただ眼前の敵のみを捉え。
強く大地を踏み締める。
今一度、見上げた夜空に描くのは、ミリム自慢の紋章だ。
「──いでよ、『黒鉄兵団』っ!
我が故郷の威信をかけて、満身創痍な彼奴を打ち倒すのです──!!」
大きく、力強く、現れたのは先程も見た、『黒鉄兵団の紋章』
先程は、多くの狼に攻撃を散らされ、それでも尚多くの狼を墜としたそれを、今度は唯一体に向けるのだ。
黒き甲冑が一団となって、目の前の敵を滅ぼす為だけに、陣形を組み──突撃する!!
幻影故、無音の劇場となるが……音などなくても、その雄々しさは十分に伝わるもの。
『ギGY%iルrr ア*&アAアaaァッ!!!』
炎を潜り、毒など意味を為さない幻影の軍は、Unknowmのその巨体を──文字通り、全方位から叩きのめしたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
山吹・夕凪
◆ソロ希望、アドリブ歓迎
これが闇に染まった真の姿
誰かの魂の奥底にある、魂の深淵に眠る闇
この世界はどうしてこんなものを浮かばせてしまうのか
もしや骸の海と関連がとは思えども
「今は斬る、その一念を以て挑むのみです」
出来ること、すべきこと
それを見誤ることは出来ません
「すべては、『さいわい』なる路へと斬り拓き、繋ぐ為に」
まずは風を操る術に破邪の力を乗せ、毒と瘴気を拒むように渦巻かせましょう
その上で黒刀『涙切』を構え、刃先の向こうにいる相手を見つめるは心眼にて
眼には見えない魔力や瘴気
感情にはならない衝動の揺らぎ
動き出す前にしっかりと見極め、攻め入る隙を伺います
中でも捉えるべきは、無尽に猛毒を供給する体内の箇所――臓器か、核か
その急所を見抜き、心を研ぎ澄ませて放つはUC「白夜の無想剣」
神速に至る白夜の色を纏う一刀
毒を生成する器官を切り裂き、一時的にでも猛毒をばらまくことを阻止
そうして出来た間隙に
装甲を砕いたその一点へ
「闇の魂、夜の刀にて斬らせて頂きます」
早業にて幾度となく黒刃翻し、悉く急所を斬ります
吹き付ける夜風が、一層強くなる。
風に靡き舞い上がる土煙が、そして炎が、唯黒い夜空に色を塗る。
そして、正面に相対するのは──“誰か”の闇に染まった真の姿。
その相手は知らないが──“誰か”の魂の奥底にある、魂の深淵に眠る闇。
それは本来、自分一人で抱え、慰め、乗り越えていかなければならぬもの。
山吹・夕凪(雪色の吐息・f43325)はその姿を見て。
それが纏う炎を、毒を、そして気配を感じて。
──この世界は何故、こんなものを浮かばせてしまうのか。
思考はその果てを見せず巡る。
そこに答えなどないのかもしれない。それでも、その泥沼は深く──
──だが、それに囚われる訳にはいかないのだ。
「今は斬る、その一念を以て挑むのみです。」
どれだけ思考の誘惑が甘かろうと。
この瞬間だけは、そこに答えなどない。
出来ること、すべきこと。
それを見誤ることはできませんから。
「すべては、『さいわい』なる路へと斬り拓き、繋ぐ為に。」
自らの刀を抜き放ち、そしていくつかの力を解く。
風を操り、破邪の気を纏えば──毒も瘴気も、夕凪の元へ届きはしない。
戦場に吹く強い風も、今では夕凪の背中を押すように。
夕凪の持つ黒き刀を構えれば、その刀身に夜空を映して。
刃先の奥、斬らねばならぬ敵を、瞳と心で見つめる。
化け物の中で蠢くのは、目には見えない魔力と瘴気。
そして、まとまりなく荒ぶる、感情にすらならない本能に似た衝動。
その“流れ”を見極め──刻を待つ。
味方達が行った攻撃の数々。
そして、Unknowmが放出したいくつもの攻撃。
敵の気配は、万全とは程遠く──だからこそ、隙が生まれるものだ。
そして見つけた、一瞬の隙。
攻撃へと意識が向き、欠け落ちた魔力回路で強引に炎を滾らせたその瞬間を、夕凪は見逃しはしない。
──今ッ!!
強く大地を蹴り進めば、音を斬り捨てその先へと届く。
刀を強く握り締め、生半可な一撃では済まさないよう、狙いを定めて。
心を無に、全ての力を刀に注いだ一撃を──!
『グGYy‘ュRルA%アアA‘Aァaa“ァ!!!!』
その一閃は、魂へと届く。
夜闇という、黒炎という、唯黒の絵画に──一条の“白”を刻み込む。
心の臓に当たる場所を斬り裂けば、毒は撒けず、炎も弱まる。
それでも消滅せず、その腐りかけた瞳をぎょろりと向けるのは、なんの意思があってのものか。
だが、それすらも。一つに纏めて斬り伏せる。
「闇の魂、夜の刀にて斬らせて頂きます。」
通り過ぎざまに放った“白”の一閃は、まるでその色彩を刻み込むかのように、“黒”の百閃となりて、繊細に、斬り込んでいく。
この所業、如何な業を以て為せるかと問われれば──否、業だけでは足りぬもの。
心の乗る刀とは、“心”とは、同じものなど存在し得ない故に──為せるのは、夕凪唯一人。
その早業は幾度となく、剥き出しの魂を斬り付け──遂に、その存在を、この大地に斃したのだった。
大成功
🔵🔵🔵