●研ぎ澄まされる牙
秋の日差し射す大通りを避け、猥雑な路地へ入る。
おどおどとした足取りを目に留める者などいない。手元のスマートフォンか、両耳のイヤフォンか、あるいは希望なき未来か、そればかりを気にする人々には、自分以外を気にかける余裕などないのだから。
細い道をいくつか進み、曲がり、間違えて、ようやく見つけた人影。
ああ、こいつらだ。こいつらが俺を、このクソみたいな世界に沈む俺を拾い上げてくれるんだ。
「な、なあ、あんたらだろ、|仲間《戦力》を増やしたいっての。俺、参加したいんだ。この世界をぶっ潰したくて仕方ねえんだ」
その人物の頭に黒々とした角が生えていることに気づかず、言葉だけは勇ましい求めに、豪奢だが派手ではない着物の女は冷めた視線を投げる。
応えてやる義理などないと顔を逸し、代わりに葉巻をくわえた男が口元を歪ませた。
「この世界をぶっ潰す、か。そいつは剛毅な話だな」
「だ、だろう? だから、」
続きを遮ったのは破裂音だった。
いや、あまりにも速い連続音がひとつに聞こえたのだ。
一瞬で肉片と化したために何が起きたか知ることもなく、「クソみたいな世界」から解放された何者かのことなど、彼らは雨粒ほどすら気に留めない。
「そこらの英雄志望など塵芥に過ぎんもの。やはりこちらから探すべきでしょうな」
着物の女の手元で硝煙を吐く、ガトリングガンの銃口を一瞥した葉巻の男の提案に、始終を何の感傷もなく見届けた男は背を向けた。
足を向けた際に、手にする錫杖がしゃんと音を立てる。
「我等を世界転覆の希望と信ずる者など、たかが知れよう」
「まったくで。どこかの誰かさんと間違えたのかしらね」
嘲弄めいた笑みを浮かべて同意する女を顧みず、歩を進める。
どこからか落ちた光が照らす男の背には、まさしく悪鬼の形相を浮かべる異様な気配の刺青。
「力を得るべき者の選別は貴様に任せる」
「ええ、喜んで」
笑んで刺青の男とは別へ向かう着物の女。
その背を見送って、葉巻の男はにいと唇の形を変えた。
「では私は、貴方の護衛を」
「要らん」
「ま、そう仰らず。近頃何かと物騒ですからな」
ゆらり揺れる紫煙のなかに刃を含む。
刺青の男──鞍馬天狗は、勝手にしろと吐き捨てた。
●刺青の羅刹
「はい、こんにちは。今回は、鞍馬の天狗を倒してほしいの」
ふんわりとほほえみ、白嶺・調音(ホワイトリッジ・f43856)が猟兵たちに告げる。
「天狗?」
「そう、鞍馬の……ええ、鞍馬天狗。ダークネス種族で言う、羅刹、というひとね」
頭に黒曜石の角があるの、と両手で角っぽい仕草をしてみせるグリモア猟兵の、少々独特な言い回しに理解する。
鞍馬天狗。その背に刺青を負う羅刹である。
あなたたちが知っているそのひとと同じか分からないけれど、と言い添えて、
「鞍馬天狗は、彼が見込んだ「戦を望むエスパー」の元に現れ、鍛えることでサイキック能力を与える事件を起こすの。ええと……でも、今回はちょっと様子が違うかしら」
今回の事件では、鞍馬天狗は直接行動するわけではない。
まずは指揮下にあるオブリビオンを使って、条件に該当するであろうエスパーたちを集めるようだ。
そうして力を与え……。
「そこからは、分からないけれど。でも、ねえ。サイキック能力を与えて、どうしたいのかしら?」
こくりと首を傾げる調音。
とはいえ、訊いたところで素直に教えてくれないだろうから、問う必要はない。オブリビオンを倒すことに専念しよう。
「戦場はどこになる?」
「ええと、そうね。まずは、裏通りで戦力になりそうなエスパーの人たちを選別しているオブリビオンを倒してほしいの。それが終わったら、鞍馬天狗がいる場所に乗り込んで、倒してほしいのね」
予想される場所は大通りから離れているため、人払いに苦慮することはなさそうだ。また、ある程度の広さはあるので、複数対複数の戦闘を行うのに工夫する必要はない。
ここでの戦いは、着物姿にガトリングガンを獲物とする羅刹『羅刹任侠女』である。
鞍馬天狗が根拠地としているのは、市街地からやや離れた場所にある廃ビル。廃ビルと言ってもさほど年数が経っておらず、意図的に破壊しようとしなければ十分な強度があるので、こちらも配慮は不要だ。
しかし、鞍馬天狗の周囲を、こちらも羅刹である『マフィアオウガ』が守っている。彼自身が望んだわけではないが、さりとてデメリットもないので好きにさせており、自称護衛を倒す間に、こちらの邪魔をしてくることもない。
「もともと、鞍馬天狗自身が強いから、護衛なんかいらないよーってひとなのかもしれないわね」
「いらないよーとは言わないと思うけどね」
そんなにゆるくないと思う。
そうなのねえ、とおっとり首を傾げる調音。
「鞍馬天狗は羅刹のなかでも力のある存在で、その危険度は作戦級……大規模な軍勢を率いて事件を起こす可能性がある。それに、今回がそうかは分からないけれど、彼自身も力を与える目的があるから、充分に備えてね」
少しだけ険しい表情を浮かべ、それから祈るように胸に手を当て、グリモア猟兵はゆっくりと頭を下げた。
「それじゃあ、いってらっしゃい。気をつけて帰ってきてね」
鈴木リョウジ
こんにちは、鈴木です。
今回お届けするのは、刺青の羅刹。
●羅刹との戦い
とある市街地の裏通りで、羅刹の集団が一般エスパーを狙う事件が起こります。
目的は、「戦を望むエスパー」の元に現れ、鍛えることでサイキック能力を与える事件を起こすことですが、それに値しない一般エスパーは殺してしまうため、これを阻止してください。
第1章【集団戦】裏通りで有望そうなエスパーを探す『羅刹任侠女』を倒します。一般エスパーをつかまえては腕試し代わりにぶっ放そうとするので、それについても対処してください。ただし、他の人が集まってきたりすることはありません。
第2章【集団戦】ボスの本拠地へ乗り込み、彼の護衛を務める『マフィアオウガ』を倒します。鞍馬天狗がやってくれと頼んだわけではないので、この戦闘に鞍馬天狗は参加せず、どちらにも加勢しません。
第3章【ボス戦】『鞍馬天狗』との戦いになります。
●鞍馬天狗
TW4『サイキックハーツ』での出来事や、鞍馬天狗とのやり取りを記憶している方もいるかと思いますが、それについて鞍馬天狗へ投げかけても反応しません。
それでは、よろしくお願いいたします。
第1章 集団戦
『羅刹任侠女』
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POW : 般若撃ち
【ガトリングガン】から発射した【銃弾】を、レベル回まで跳弾できる。跳弾回数に比例して命中率・致死率が向上。
SPD : ガトリング連射
【ガトリングガン】を最大レベル秒間連射し続け、攻撃範囲にダメージと制圧効果(脱出・侵入を困難にする)を与える。
WIZ : 羅刹仁義
【自身や同胞】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
イラスト:姫子
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●望む者の選別
力を得たいと望む者は、星の数ほどいるだろう。
では、力を得るべき者を選ぶには、どうすればよいか。
まあ……安直ではあるが、「力がほしいか」と言うのが簡単だろう。
と言っても、大抵は大仰な英雄志望の革命家気取りか、軽率に暴力を振るいたいかばかりなのだが。
「ま、そういうのを拾い上げときゃ、そのうち相応しい相手も見つかるだろうよ」
言って着物の裾を払う女……『羅刹任侠女』の足元には、赤い色彩が散る。
なあに、そういう手合は顔を見れば分かるもんさ。どいつもこいつも「自分が世界で一番不幸」か「こんな世界、選ばれた自分がぶっ潰してやる」って顔をしてやがる。
「自分が一番だの、自分が特別だの。そうそうあってたまるかい」
吐き捨てたその時、ちょうどそんな顔をして歩く通行人が通りかかる。相変わらずスマートフォンばかり気にして、肩に鬼の刺青を負う女にも、むせかえるような血臭にも気付かない。
こいつは力を得るべき者か、それとも肉片すら残す価値がないものか?
紅い紅を差した唇に笑みを浮かべ、ガトリングガンを軽々と携えて次の獲物へと歩み寄る。
クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【POW判定】
真剣口調で話すよ
取り込んだ|死者《灼滅者/ダークネス》の記憶を自分の事の様に思い出す事ができるので、ダークネスについては詳しいよ
|力《サイキック能力》を与える、ねぇ
昔みたく刺青を与えるのか、それとも別の方法か
どうあれ、こちらがやる事は一つだね
…止めさせてもらうよ
一般エスパーを【かばう】様に前に出て、こちらが羅刹任侠女を相手している間に逃がすよ
UCは『ワタシの刺青羅刹変身』
黒龍の刺青を持った女羅刹に変身するね
「鬼神変」で異形巨大化した片腕による【怪力】とガンナイフによる【弾幕】で戦うよ
敵の攻撃は【鉄壁/硬化/オーラ防御/激痛耐性/回復力】で耐えるね
アニタ・エヴァーフィールド
刺青…なにか、よくない気がするわ
どうして誰かに力をあげたいのかしら
ただあげたいだけなのか、それともその後に目的があるのかしら…?
でも、こういうのは、「下っ端は何も知らない」がセオリーよね
きっと、「言う必要はない」って教えないタイプだわ
じゃあとにかく、まずは道を開かないと
私は強くないから、他の人のお手伝いね
紅茶の時間で動きを鈍らせて鎧砕きで防御力を削ぎながら、属性を与えた魔法剣で2回攻撃をして、確実にダメージを与えられるよう頑張るわ
攻撃は時計を盾にして受け止めたり、囲まれたり避けられないなら覚悟を決めて、オーラ防御で身を守りながらランスチャージで突破を試みるの
木元・明莉
裏通りを無防備な風にぶらつき、羅刹の姿を探そうか
目立たぬよう黒のロングコート「闇翔」で闇に紛れて気配を消して探索
見つければ大刀「激震」で軽く衝撃波を放ち、隙を突き一般人との間に割り込みスカウトという名の殺戮を阻止そよう
羅刹の姐さんも大概脳筋なこったね
そゆ単純なのは個人的には好きだし、ご意見も同意しか無い訳だが
排除されちゃ困るな、ンな事されたら生き残る奴が居なくなりそうだ
跳弾は櫻光花滴でのオーラ防御と激震での武器受けで受け流し
裏通りの雑多な足場を利用しダッシュで死角から羅刹の懐に飛び込もう
逃がさないよう着物を掴み、外さぬよう至近距離から2倍の【鋼鉄拳】
いちいち一般人巻き込むんじゃないよ、胸糞悪い
無気力な足音が裏通りに響く。
人通りを避けてか、目的地へのショートカットか、とにかく、この道を通る人がまったくいないわけではない。
そのなかのひとりとして振る舞う木元・明莉(蒼蓮華・f43993)は、無防備な風を装ってぶらつきながら、羅刹の姿を探す。
と。
影に溶けるようにして佇む女が声をかけた。
「ねえ、あんた。力が欲しくないかい?」
陰鬱な暗さのなかで、唇の紅が妖しく歪む。
どこか特別な様子もない、だがどこか何かを含んだような顔をしたその相手は、唐突な言葉に訝しげな顔をした。
「力……?」
「あんたがそれに相応しいかどうか、だけどねえ?」
嗤う女の手元で、ぎちりとガトリングガンが音を立てた。
不意に空気が震え、弾かれるように飛びすさった女のいた空間を薙ぐ衝撃波。光当たらぬ影のなかで闇が蠢いたと錯覚し、しかしすぐに違うと気付く。
闇を割くかに光を反す銀の大刀。そして、その操り手の放った一撃と判じた。
開いた距離の間へと入り込んだ邪魔者に舌打ちをし、一般エスパーへ向けてガトリングガンを向けた女の目が漆黒を見留める。
否、一般エスパーを庇うように前へ出たクローネ・マックローネ(|闇《ダークネス》と|神《デウスエクス》を従える者・f05148)に。
「|力《サイキック能力》を与える、ねぇ」
昔みたく刺青を与えるのか、それとも別の方法か。
自身のものではない記憶をなぞり、懸念にかすか眉を寄せた。
「羅刹の姐さんも大概脳筋なこったね」
大刀を構えたまま、明莉が言う。
「そゆ単純なのは個人的には好きだし、ご意見も同意しか無い訳だが」
だが、だからといってはいそうですかと受け入れることはできない。
「排除されちゃ困るな、ンな事されたら生き残る奴が居なくなりそうだ」
その言葉に女……羅刹任侠女は、フンと鼻を鳴らす。弱い奴が生き残る必要はない、と含んで。
「どうあれ、こちらがやる事は一つだね」
「はっ、何をやるってんだ」
ガンナイフに手を添えるクローネ。嘲弄めいた問いとともに、ガトリングガンが漆黒の猟兵へ狙いを定める。
づ、っとその姿を増やす|オブリビオン《ダークネス》の眼前で、クローネの背に黒龍の刺青が現れると同時に、額に黒曜石の角がせり出した。
「……止めさせてもらうよ」
応えは咆哮。
四方から叩き込まれる銃弾を異形巨大化した腕で防ぎ、途切れるのを待たず敵へと攻撃を仕掛ける。
クローネの巨腕がオブリビオンを掴み、そのまま地面へと叩きつける。わずかな隙をついて周囲から向けられる銃口を薙ぎ払うと、ガンナイフを素早く構えて発砲し弾幕を作り出した。
狙い外れ壁を穿つはずのガトリングガンの銃撃は跳ね上がり、猟兵たちと一般エスパーへ、無軌道に襲いかかる。
無防備な一般エスパーの前へ明莉が立ちはだかって攻撃を防ぎ、クローネは逃げるようにと告げた。
突然のことに状況を飲み込めないまま、それでももたつきながらその場を離れようとする一般エスパーの背に向けて雨のように降りくる銃弾を、懐中時計を掲げて防いだアニタ・エヴァーフィールド(さまよいゆくこころ・f26832)は、羅刹任侠女の肩で睥睨する刺青を見つめる。
「刺青……なにか、よくない気がするわ」
どうして誰かに力をあげたいのかしら。
ただあげたいだけなのか、それともその後に目的があるのかしら……?
かつてこの世界でダークネスとだけ呼ばれていた頃、刺青を背負った羅刹たちが何をなそうとしていたか。それは、世界が変わった今にも当てはまるとは限らない。
「でも、こういうのは、「下っ端は何も知らない」がセオリーよね」
きっと、「言う必要はない」って教えないタイプだわ。
もとより訊いたところで正しく答えてくれるはずもない。それならば、最初から期待しないほうがいいだろう。
「じゃあとにかく、まずは道を開かないと」
「「「やれるもんならやってみな!」」」
複数の羅刹任侠女が同時に叫び、同時にガトリングガンの連射を無遠慮に繰り出す。
ひゃんと小さく悲鳴を上げるアニタの手元で、ティーポットがかちりと鳴った途端、オブリビオンたちの動きが鈍る。
「私、あんまり強くないから、……ね?」
不自然なほど自然に、柔らかな香りを放つ紅茶をティーカップへと注ぐ。このような状況で、ティータイムを楽しもうなど思うはずもない。
ユーベルコードによる制約に抗い、なおもガトリングガンを振り回す羅刹任侠女。
周囲から飛び来る銃撃に、自身の身体を強化し防御してもなお減らしきれないダメージを耐えながら戦うクローネの姿に、オブリビオンたちは恐怖を覚える。
ああ、あれを見よ。あれこそが悪鬼羅刹と言えよう!
「逃しはしないからね」
赤く射す瞳に打たれ、ぶるりと身を震わせた。
「さっさとぶっ倒れちまいな!」
「死……死ね、死ねッ!」
焦燥してでたらめに繰り出す銃撃と跳弾を、明莉は「激震」で受け流すと、敵の只中へ飛び込んだ。雑多な足場を利用してダッシュで移動する。
「ッ!?」
猟兵を追おうとした羅刹任侠女の動きが止まる。死角から羅刹の懐に飛び込んできた明莉に不意をつかれたのと、ぐっと強く引かれた衝撃に。
逃がさないよう着物を掴んだ明莉は、外さぬよう……否、これで外すことはないだろう……至近距離から、渾身の拳を叩き込んだ。
ゴパッと血を吐き倒れるオブリビオンへと一瞥もくれず、次の敵へと向き直る。
「いちいち一般人巻き込むんじゃないよ、胸糞悪い」
吐き捨てる明莉に、別の個体の女羅刹は呵々と哄笑する。
「は、は、っは! そうは言うけどね、誰だって思うもんさ」
紅い唇を歪ませて。
「自分の居場所はここじゃない、本当の自分を見出してくれるヤツがどこかにいるはずだ、相応しい力を与えてくれるんだってねえ」
だが、それは決して救いではない。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
宮比神・うずめ
◯WIZ/アドリブお任せ
……ダークネスにとっちゃクソみたいな世界かもしれないけど
ごめん、止めるんよォ
敵からの弾丸はユーベルコードの桜の花びらで弾けるか試すんよぉ
その後はユーベルコードでガトリング事相手を攻撃するんよぉ
ちゃんと相手の間合いを取るのも忘れずに!
見失ったらやばいやばいってね!
相手のルールで封じられたら、閃光と破魔の浄化射撃をしてみようかなぁ
相手の言ったルールではずるいぞぉ!とかブーイング言いそうかなぁ
最悪、禁呪を使用してルール無視のユーベルコードで押し切ろうかなぁ…
ごめんね、ルールを破らせて貰うんよぉ
反動が凄そうなんよぉ
瑠璃・やどり(サポート)
『いっくよー!』
人狼の白虎拳士 × 降魔拳伝承者
普段の口調は「快活(私、~君、なの、よ、なんだね、なの?)」
考えるより行動するタイプ。
元気に戦場を駆け回り、ハンマー「双喜」を振り回して攻撃。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。アドリブ・連携歓迎。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
ミルディア・ディスティン(サポート)
「サポート?請われれば頑張るのにゃ!」
UDCでメカニックして生計を立ててるのにゃ。
『俺が傭兵で出撃して少し足しにしてるがな?』
※自己催眠でお人好しで好戦的な男性人格に切り替わりますがデータは変わりません。
ユーベルコードはシナリオで必要としたものをどれでも使用します。
痛いことに対する忌避感はかなり低く、また痛みに性的興奮を覚えるタイプなので、命に関わらなければ積極的に行動します。
公序良俗は理解しており、他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。むしろ積極的に助ける方です。
記載の無い箇所はお任せします。よろしくおねがいします。
ガツガツとガトリングガンの銃弾が建物の壁や地面をえぐり、飛び散る破片や石などが猟兵たちをかすめる。
その一片が、桜の花びらで弾かれた。
「……ダークネスにとっちゃクソみたいな世界かもしれないけど」
はらはらと舞う桜をまとう、宮比神・うずめ(舞うは鬼の娘・f43833)。
たとえどうしようもない世界だとしても、それを身勝手に破壊していい道理はない。
「ごめん、止めるんよォ」
「止められるもんならね」
嘲笑う女羅刹の言葉には、明確な悪意。
「そういうことならにゃあ……」
電子デバイスをしっかりと抱えたミルディア・ディスティン(UDCの不可思議メカニック・f04581)の笑みが変わった。
「絶対に止めてやるよ」
宣言して、プログラムを走らせる。
調子に乗った生意気なガキ共だ。そう言わんばかりの表情で、羅刹任侠女たちはガトリングガンを構える。数を削られたとは言え、まだこちらが有利である。その余裕と油断が、あからさまな態度となって表れていた。
先手必勝とばかりに、打出の小槌風のハンマーを携えた瑠璃・やどり(チャイナウルフガール・f03550)が敵のさなかへと飛び込んでいく。
まっすぐに向かってくる相手に、「まさかそのまま突っ込んでくるとは」と不意をつかれた形となり、オブリビオンたちの動きがわずかに鈍る。それを好機と、ハンマーを振り回して攻撃を仕掛けた。
「ちったあ自分の身を顧みるってことくらいしないもんかね!」
苦情めいた悲鳴とともに女羅刹が反撃するも、ぽんぽんと跳ねるようにかわしていく。そうして渾身の強打を叩き込んで打ち伏せたところを、間髪入れずミルディアがとどめを刺した。
精密な狙いをつけるよりも、制圧射撃のほうが効果的と判断して、複数の羅刹任侠女が広範に連射し銃弾をばらまく。
かわせるものはかわし、かわしきれないものは防ぐと、うずめはガトリングガンごと敵へ桜花を放つ。オブリビオンが倒される際に、取り落とした得物が暴乱し、周囲を巻き込んで爆発した。
焦燥する羅刹任侠女へと季節外れの桜舞いを魅せて、ああ、いけない、いけない。
ちゃんと相手の間合いを取るのも忘れずに!
「見失ったらやばいやばいってね!」
周囲を確認して注意する。敵の攻撃は近接ではないが遠距離でもなく、囲まれたり近付かれないわけではない。
急接近してきた羅刹任侠女が、至近距離で構えたガトリングガンを、銃撃ではなく殴打のために振りかざす。
回避しようとうずめは身を翻し、もう一体が同様の素振りで構える得物でしたたか打ちすえられた次に、衝撃を受けた。
すなわち、【羅刹任侠女自身や同胞が、命中した】。
「まったく厄介なやつだね」
にっと紅い唇が笑う。
「【|ユーベルコード《力》を使うんじゃないよ】」
それは、ルールの提示。
あまりにもシンプルな。
「ずるいぞぉ!」
「あっはっは! なあに、力に頼らなくたってやりあえるだろうさ!」
大笑に、周囲の羅刹任侠女たちも笑う。
できなくは、ないけども。
だが、封じられたのはユーベルコードだけだ。それ以外は禁じられていない。
ユーベルコードである桜花による攻撃から、浄化射撃に切り替えて攻撃を再開する。しかし、羅刹任侠女たちは他の猟兵と違い明らかに不利なうずめを集中的に狙い出す。
やどりとミルディンが、攻撃を妨害し狙いを乱そうとするが、万全ではない。閃光の射撃で目をくらませたと思った直後、無事な複数からうずめへと銃口を向けられた。
避けきれるか。否。防ぐにも限界がある。であるなら。
「ごめんね、ルールを破らせて貰うんよぉ」
ざあっと桜吹雪が吹き、うずめを狙う銃弾の嵐を迎撃する。その勢いのままオブリビオンへ攻撃を放ち押し切って。
ユーベルコードでなければさほどの攻撃力はないだろうと油断した羅刹任侠女たちがばたばたと倒れていくのを確かめながら、うずめはひりとした心を抑える。
(「反動が凄そうなんよぉ」)
【してはいけない】というルールは【しなければいい】。ルールがシンプルであるほど破った際のダメージが大きくなる。
覚悟はしている。しかし、どれほどのダメージが反動で来るのか分からない。
次の一手へ移ろうとしたその時、
「…………っ!」
身体の内側から焼かれるような衝撃が彼女を襲った。
思わず動きが止まった彼女へ、再度ガトリングガンが向けられる。避けなければ。
「今助けるからね!」
くるり飛んだやどりは、羅刹任侠女たちをまっすぐに捉えて息を吸うと、大きく口を開けて激しい咆哮を放った。無差別に襲いかかる咆哮はオブリビオンを薙ぎ払い、自身もダメージを負うのを構わずミルディンが追撃に奔る。
その間に、呼吸を整え体勢を取り直した。
「ありがと!」
礼を言って、うずめの周囲に舞う桜がそらりと揺れた。
何もかもをさらっていくかに吹きくれる桜花は、オブリビオンを飲み込み裏通りを淡い色彩で染めていく。そのなかでガランと硬質な音がしたと思ったが、晴れた後には何も残らず。
いや。どこかの場所が書かれた小さな紙が、隠れるように落ちていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
第2章 集団戦
『マフィアオウガ』
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POW : オウガクラッシュ
自身の【腕】を【異形】化して攻撃し、ダメージと【恐怖】の状態異常を与える。
SPD : 紫煙葉巻
【日本刀】を構えて【紫煙】を纏い、発動前後が無防備となる代わりに、超威力・超高速・防護破壊の一撃を放つ。
WIZ : オウガパチキ
【頭部】で触れた敵に、【頭突きの衝撃】による内部破壊ダメージを与える。
イラスト:高津三和
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●邂逅、或いは
落ちていた紙は、今は廃墟となったビルを示すメモだった。
一見何を意味するのか分からない乱雑な文字列と落書きじみた絵を組み合わせれば、その場所と目印が分かるようになっている地図だと分かる。
そしてそれは、グリモア猟兵から伝えられていた場所と一致する。スカウト役の羅刹任侠女が、これと認めた相手に渡す予定だったものだろう。
猟兵たちは急ぎその場所へと向かい、目的の相手を探した。
「……あ、」
「来たか」
眉ひとつ動かさず、積み上げられた瓦礫に腰掛けてこちらを見射る男。
抱き寄せるように抱えた錫杖が触れるその額には、ぬらりと艶を放つ、黒曜石の角があった。
……鞍馬天狗。
「おっと、相手をするのはまずこちらでな」
いやらしい笑みを浮かべて、毒々しい色彩が猟兵と羅刹の間に立ちはだかる。
わざとらしいほどのヤクザモノといった風体の男は、くわえていた葉巻をぷっと吐き出した。
「よろしいですな?」
「勝手にしろ。手は出さん」
言って目を閉じる鞍馬天狗は、それ以上こちらのことに関心を持たないようだ。
もっとも、このオブリビオンを倒せば、猟兵と戦うにしろこの場を去るにしろ、動かざるを得ないだろうが。
「さて、じゃあやろうかい」
醜悪に笑うオブリビオン……『マフィアオウガ』が、次第に数を増していく。
クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【WIZ判定】
真剣口調で話すよ
用があるのは鞍馬天狗の方なんだけどね
…まあ、いいか
|女羅刹の死霊《彼女》が協力の対価に刺青を欲しがっているしね
まずはアナタ達のを奪わせてもらうよ
邪魔なマフィアオウガ達を始末するね
UCは『ワタシの刺青羅刹合体』
『黒龍』の刺青を持った女羅刹と合体し、先程の変身時とはまた異なる羅刹形態になるよ
『鬼神変』で異形巨大化した片腕による【怪力】と『神薙刃』による【切断】、『黒龍』の刺青による【捕縛】能力で戦うね
敵の攻撃は【第六感/野生の勘/心眼/見切り/身かわし】で避けるね
アニタ・エヴァーフィールド
つまり、あなたを倒せば鞍馬天狗とお話できる、ということよね?
もちろん、言葉通りの意味じゃないけど…
…ええ、いいわ。戦いましょう
私、ちょっとくらいお預けを食らっても待てるくらい、我慢強いほうなの
私は強くないから、他の人のお手伝いね
ユーベルコードでできるだけ多くの敵を攻撃して、鎧砕きで防御力を削ぎながら、確実にダメージを与えられるよう頑張るわ
攻撃は時計を盾にして受け止めたり、囲まれたり避けられないなら覚悟を決めて、オーラ防御で身を守りながらランスチャージで突破を試みるの
それにしても…
任侠とかマフィアとか、もう少し物騒じゃない羅刹は…
…いるけれど、やっぱり物騒なのね…
その刺青、何の目的なのかしら…?
ニヤニヤと笑うマフィアオウガを前にして、クローネはかすかに目をすがめた。
「用があるのは鞍馬天狗の方なんだけどね」
……まあ、いいか。
邪魔をするなら始末するだけ。
「つまり、あなたを倒せば鞍馬天狗とお話できる、ということよね?」
もちろん、言葉通りの意味じゃないけど……。
きりと表情を引き締めるアニタに、オブリビオンが唇を歪める。
「それは分からんが、少なくとも今は無理だろうな」
文字通りの「お話」ではなくとも、せめて一言でも何かしら交わすことができるかもしれない。
あるいはそれは、力をもってしての「お話」かもしれないが。
「|女羅刹の死霊《彼女》が協力の対価に刺青を欲しがっているしね。まずはアナタ達のを奪わせてもらうよ」
「我々から奪うか。いつの世も、弱肉強食が|理《ことわ》りだからな」
クローネの宣言に笑うオブリビオンの、ぎぢりと掲げる腕がその太さを増していく。
あるいはそれは、綺麗事の存在しない世界での、ただひとつの理りなのかもしれない。
「……ええ、いいわ。戦いましょう」
すっと構えたアニタの手元で、魔法剣の刃が煌めきを放った。
「私、ちょっとくらいお預けを食らっても待てるくらい、我慢強いほうなの」
すなわち、早々に蹴散らすと。
マフィアオウガは唇を歪め、跳躍し猟兵目掛けて突っ込んでいく。まずは捕らえようと振りかざした巨腕を、アニタは掲げた時計で防ぐと、魔法剣を振り抜いた。その一閃は幾重にも重なって剣舞を演じ、オブリビオンへと斬りかかる。
クローネの姿に、『黒龍』の刺青を持った女羅刹が重なる。裏通りでの戦いの際とはまた異なる羅刹形態となった彼女の周囲に風が渦巻いた。
それは刻一刻と激しさを増し刃の鋭さを持つ。猛る風刃を、携えた日本刀をもってして散らそうと試みた、マフィアオウガの何体かがその得物ごと切り刻まれ、運良く逃れられ距離を取ろうとしたものをも巻き込んでいく。
「まったく、力を持つヤツの相手は楽じゃねえ」
葉巻をくわえたマフィアオウガが目配せすると、周囲の仲間たちが少しずつタイミングをタイミングをずらして次々と攻撃を仕掛ける。その目標となったクローネは、すべてを意識的に避けず、半ば勘を頼りに避けて見切っては反撃し、身をかわして攻撃を叩き込んだ。
自身もその標的となったアニタも、攻撃を防ぐのではなく避けようと努力するが、不慣れゆえにうまく動けない。つい、時計を盾にしての防御となってしまう。
振り向きざまに、巨腕に捕らえられた。慌てて振り払い距離を取ろうとも、別の敵に再度捕まってしまい、ニタニタと笑みが近づいてくるのを直視した。
ああ、駄目。攻撃を受けては……。
……ゴッ!!
「っぴゃんっ!」
強烈な頭突きをまともに食らい、アニタが悲鳴を上げた。ただの頭突きではない、激しい衝動に全身を貫かれ、身じろぎすらできない彼女を蹂躙しようと、いやらしい笑みを浮かべたマフィアオウガたちが寄り集まってきた。
自身を追うオブリビオンを倒したクローネが、集まった敵を神薙刃で蹴散らし、なおアニタに迫ろうとするものには、『黒龍』の捕縛能力で捕らえると、異形腕で叩き潰す。
「大丈夫?」
「ぴゃ……あ、ありがとう……」
向けられた気遣いに礼を言い、体勢を立て直したアニタは、なお近づきつつある敵を、魔法剣の剣舞で薙ぎ倒した。マフィアオウガが醜悪な様相でチッと舌打ちするのを聞いて、改めて助けられてよかったと安堵する。
それにしても……。
「任侠とかマフィアとか、もう少し物騒じゃない羅刹は……」
ちらと視線を向けた先、鋭利な黒曜石がぬらりと存在を主張している。
……いるけれど、やっぱり物騒なのね……。
そもそも羅刹という存在自体が物騒なのだが。
「その刺青、何の目的なのかしら……?」
|復活ダークネス《オブリビオン》となった今、その目的がかつてと同じとは限らない。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
木元・明莉
鞍馬天狗は…高みの見物、か
マフィアのおっさんも捨て駒になる気は無さそうだな
羅刹て種族が仲間意識が強いのかどうなのか、俺自身はいまいち掴み所を捉え損ねたんだけど
アンタはどうなんだろね?鞍馬天狗に心酔してんの?もしくは利害の一致?
何にしろ当の鞍馬天狗はさして興味無さそうなのが少々癪に障るな、とも思いつつ
マフィアが腕を異形化するに合わせてその群れに向け【黒蝶爆】
単純な破壊力は脅威だからな、視界を奪いこちらへの命中率を下げれたら僥倖
その上で大刀「激震」を振り衝撃波を放ちマフィアを一掃
打ちそびれた個体は近接から叩き潰していこうか
こちとらストファイだ
強い輩への恐怖はそのまま楽しみにもなる
存分に死合おうか
ギュスターヴ・ベルトラン(サポート)
|C’est du soutien, ok.《サポートだな、了解》
一人称:オレ
二人称:相手の名前+さん呼び、敵相手の時のみ呼び捨て
口調:粗野で柄が悪い
■行動
信心深いため、戦う前に【祈り】を捧げる事は忘れない
敵の主義主張は聞き、それを受けて行動する。行動原理を理解しないままの行動はしない
連携相手がいるならば相手のフォローへ、居ないなら全力で敵をシバきに行く
戦場によっては屋内でも空が飛べるタイプの魔導バイクを乗り回す
「公序良俗に反することはしてねえぞ」と言うし実際にそうするタイプ
■攻撃
主武器:リングスラッシャーと影業
近距離攻撃が不得意なので敵とは距離を取って戦う
アドリブ連帯歓迎
ラムダ・ツァオ(サポート)
ラムダよ、よろしく。
戦闘なら足と手数で勝負するけど、周りに合わせて臨機応変に動くわ。
見切ったり残像を残すように動いたりと、避けるのには多少の自信があるわよ。
集団戦なら死角を減らすために数を減らすのが先決、
あとは一緒に戦う人がいればその人次第かしら。
行動指針としては以下の3通りが主。
1.味方の死角にいる敵を優先して片付ける。
2.範囲攻撃を行なえる味方がいなければ範囲攻撃優先。
3.数を減らすため、止めをさせそうな相手を狙っていく。
台詞回しや立ち位置などは無理のない範囲でご随意に。
ユーベルコードは状況に応じて使い分けます。
アドリブ・連携歓迎
隙なく位置取るマフィアオウガの群れとその背後を、明莉は一瞥する。
(「鞍馬天狗は……高みの見物、か」)
マフィアのおっさんも捨て駒になる気は無さそうだな。
役目を果たすためなら安易に命を捨てると言うよりも、真剣にやり合ったうえで命を落とすのは覚悟、といった様子だ。
もっとも、仮にも立場ある身でそのような振る舞いを見せれば、他者からの信頼など得られないだろう。
十把一絡げの鉄砲玉ではなく、それらを使役する立場なのだから。
「羅刹て種族が仲間意識が強いのかどうなのか、俺自身はいまいち掴み所を捉え損ねたんだけど」
彼らが成りすます任侠やマフィアといった存在は、そういった傾向が強い。時にそれは、実際の家族などよりも強い絆となりうるほどに。
「アンタはどうなんだろね? 鞍馬天狗に心酔してんの? もしくは利害の一致?」
示した先の、目を閉じたまま身じろぎひとつしない姿は、猟兵から狙われても対処してみせるという自信か、あるいは自身を犠牲にしても守るだろうというマフィアオウガへの信頼か。
どちらにせよ、応えることはない。
(「何にしろ当の鞍馬天狗はさして興味無さそうなのが少々癪に障るな」)
明莉の考えをよそに、葉巻をくわえたオブリビオンはふんと鼻を鳴らし、
「信用と信頼ができない相手を、ビジネスパートナーに選ぶことはできんだろう。そういう意味じゃあ、心酔していると言えるだろうな。そしてこの世は義理で成り立っている。義理を通す限り、こちらもまた義理を返さにゃならん」
まあこの護衛はサービスだがね、と続ける。つまり、その義理に付帯した行動なのだろうか。その口ぶりでは羅刹という種族そのものではなく、個対個での関係のように聞こえた。
これ以上は話しても無駄。互いにそう判じ、マフィアオウガたちがその腕を異形化させ、明莉はすと何らかの仕草をする。
攻撃を仕掛けようとしたものたちがその意味を理解するより早く、
「ぬうっ!?」
突然の爆発に襲われた。
明莉によって投擲された不可視の短刀(但し、敵にはそれと分かっていないだろう)が、その着弾点で爆破したことに気付いた時には、黒蝶の群れが視界を遮るように舞い群れていく。
「闇と舞え」
群れなす黒蝶の羽ばたきにかき消されるマフィアオウガの悲鳴ごと、銀閃から放たれる衝撃波が撃ち払った。
攻撃をかろうじてかわしたオブリビオンでも黒蝶を完全に振り払うことができず、それでも繰り出した巨腕の一撃は猟兵を狙ったが、黒蝶の群れに邪魔されかすめることすらかなわなかった。
「|C’est du soutien, ok.《サポートだな、了解》」
オブリビオンの集団より離れた位置で、ギュスターヴ・ベルトラン(我が信仰、依然揺るぎなく・f44004)が、祈りの言葉を口にする。
相手が義によって戦うのであれば、こちらも戦うのが義であろう。
その手元に携えた光輪を、空へ滑らせ奔らせる。オブリビオンから見れば、それはちらちらと揺れる輝きに見えただろうか。
黒蝶に視界を遮られたままかろうじて防ごうとするものを盾にして、それがどうと倒れるのも構わず、別の一体が葉巻を燻らせた。
「サシでやらねえこっちが言えた義理じゃあないが……」
ふうと紫煙を吐き出しながら日本刀を構え、
「ちょいとばかり|賢《さか》しいことをしやがる」
づ、っと超高速の一撃を放つ。
それは距離を取って戦うギュスターヴへ肉薄し、超威力の攻撃となり、猟兵を斬り伏せる。
はずだった。
「っぐ……」
「お邪魔するわね」
呻きをこぼしたのはオブリビオンだった。
強大な一撃を受け止め、ギリギリと拮抗する得物を手に、ラムダ・ツァオ(影・f00001)が告げた。
相手に反応させるより早く次の一撃を繰り出し、ギュスターヴの攻撃によってダメージを受けたオブリビオンたちへとどめを刺していく。近距離をラムダが、距離を取ってギュスターヴが攻めることで、マフィアオウガは確実に数を減らす。
「鬱陶しいことを!」
腹立ちまぎれにごうと振り下ろした巨腕は、明莉の振り上げた長大な大刀によって遮られる。
勢いのまま叩き潰し、次いで放った「激震」の名に違わぬ衝撃が、マフィアオウガの群れをひと薙ぎに打ち伏せた。
「こちとらストファイだ、強い輩への恐怖はそのまま楽しみにもなる」
ストリートファイターとは、戦いを求め、自らを高めることを求め、強者を求める者。
ただ求めるだけでなく、その衝動を律し己を律することで、格闘家としてより高みを目指す者である。
「存分に死合おうか」
そう告げられた相手は、静かに目を開き、顔を上げた。
決して逃げるでなく、決して戦いに逸るでなく。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
第3章 ボス戦
『鞍馬天狗』
|
POW : 鬼眼法断
【錫杖】を構えて【法力】を纏い、発動前後が無防備となる代わりに、超威力・超高速・防護破壊の一撃を放つ。
SPD : 鞍馬山の風
【旋風】に乗り、レベル×5km/hで飛翔する。飛翔突撃も可能。
WIZ : 鞍馬天狗
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【刺青に描かれた鬼】が出現してそれを180秒封じる。
イラスト:ワジマ ユウスケ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●鞍馬山の大天狗
自身の護衛を担うと大言したマフィアオウガが倒されても、男は動揺した素振りを見せなかった。
あるいは、倒されることは織り込み済みなのかも知れない。
どうであれ、男にとってかの|オブリビオン《ダークネス》が退治られても、心を動かすに値しないようであった。
かといって、猟兵と対峙することに心奪われることもなく、そうか。と短く口にした。
腰掛けていた瓦礫の山から立ち上がり、猟兵たちへと相対する。
「名乗らずとも、貴様等は私を知っているだろう」
「刺青羅刹の……鞍馬天狗」
灼滅者であれば、幾度か相見えた覚えもあるだろうか。
だが、今の彼がその時と同じであるかは分からず、その目的も同じかどうか分からない。
ただ分かるのは。
「貴様等も、私が逃げるとは思っていまい」
しゃんと錫杖が鳴った。
クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【POW判定】
真剣口調で話すよ
…知っているよ
アナタはご当地幹部「|アメリカンコンドル《烏天狗》」の軍勢を撤退させる程の力を持った刺青羅刹
|灼滅者《ワタシ》達が数名集まったところで倒す事は不可能だろうね
だけど、それも過去の話
カタチはどうあれ、アナタは一度死んだ身だ
なら、|猟兵《ワタシ》達が倒せない相手じゃあないね
…その背の刺青、奪わせてもらうよ
UCは『ワタシの刺青羅刹変身』
真の姿の一つ、黒龍の刺青を持った女羅刹に変身するね
「鬼神変」で異形巨大化した片腕による【怪力】とガンナイフによる【弾幕】で戦うよ
敵の攻撃は【第六感/野生の勘/心眼/見切り/身かわし】で避けるね
シェリー・クサナギ(サポート)
「美しくない世界なんて、生きるに値しないわ」
◆口調
・一人称はワタシ、二人称はアナタ
・女性的な口調
◆性質・特技
・血液の形状を自在に操作する能力を保有する
・可愛いものには目がない
◆行動傾向
・暴力と砂嵐が支配する狂気の世界において、美しいものと可愛いものこそが人の心を救うと信じ、それらを護るために戦ってきた歴戦の奪還者です。社会通念や秩序に囚われることなく、独自の価値観を重んじます(混沌/中庸)
・彼にとって『美しさ』は外見だけでなく、義侠心や献身的な姿勢、逞しく生きようとする精神の高貴さも含まれます。これを持つものは敵であっても尊重します(が、世界を脅かす存在は『美しくない』ので結局戦います)
シホ・エーデルワイス(サポート)
助太刀します!
人柄
普段は物静かで儚げな雰囲気ですが
戦闘時は仲間が活躍しやすい様
積極的に支援します
心情
仲間と力を合わせる事で
どんな困難にも乗り越えられると信じています
基本行動
味方や救助対象が危険に晒されたら身の危険を顧みず庇い
疲労を気にせず治療します
一見自殺行為に見える事もあるかもしれませんが
誰も悲しませたくないと思っており
UCや技能を駆使して生き残ろうとします
またUC【贖罪】により楽には死ねません
ですが
心配させない様
苦しくても明るく振る舞います
戦闘
味方がいれば回復と支援に専念します
攻撃は主に聖銃二丁を使用
戦後
オブリビオンに憎悪等は感じず
悪逆非道な敵でも倒したら
命を頂いた事に弔いの祈りを捧げます
「……知っているよ」
立ち上がった男と、彼が手にした錫杖とそれに絡む数珠を順に見、クローネが応える。
「アナタはご当地幹部「|アメリカンコンドル《烏天狗》」の軍勢を撤退させる程の力を持った刺青羅刹」
クローネの「知る」ところでは、幾度か灼滅者たちと遭遇し、時に干戈を交えた強力なダークネス。
「|灼滅者《ワタシ》達が数名集まったところで倒す事は不可能だろうね」
かつての戦いのなかで、生き残りはしなかったものの、灼滅者たちはこの刺青羅刹を直接に倒すことはできなかった。
だけど、それも過去の話。
「カタチはどうあれ、アナタは一度死んだ身だ。なら、|猟兵《ワタシ》達が倒せない相手じゃあないね」
その背に再び、黒い肌よりなお黒い黒龍の刺青が現れる。
「……その背の刺青、奪わせてもらうよ」
「その慢心、おいそれと叶うと思うな」
宣言に睥睨が応え、硬質な音を立てる数珠を払って錫杖が振られた。
それが合図かのように、腕を巨大な異形へと変化させたクローネが先に攻撃を仕掛ける。
力強く踏み込み勢いをつけ、強化された速度で貫手を繰り出す。素早く鋭い突攻撃を弾いて、鞍馬天狗は確りと掴んだ錫杖を突き込んだ。先端が触れる間際、クローネが身をひねってかわすと、ガンナイフを敵へ向け銃撃を叩き込んで弾幕をなす。
武蔵坂学園という勢力として勢力争いをしていた当時の戦いであれば、ダークネスとの戦闘には最低でも4人で当たり、有力敵ともなれば、それ以上の戦力でも撃破が怪しかった。
しかし、かつての灼滅者と違い、猟兵あるいは猟兵となった灼滅者は、その戦い方の幅がはるかに広い。であればこそ、クローネが単身で戦っても、決して力負けすることはなかった。
だが、こちらの攻撃が通り、相手の攻撃を防ぎかわすが、それでもやはり、じりじりと削られてしまう。
異形と化した腕は鞍馬天狗を捉えそこね、素早く引き寄せた錫杖に防がれる。とっさに逆の手で放った弾丸が刺青羅刹を抉るも浅い。
鞍馬天狗と背中合わせとなったクローネの背後で、数珠が鳴った。
「貴様の|刺青《それ》が、ただの彫り物でなければよいがな」
問うたのは真贋ではなく、力を負うに相応しいか否か。
振り上げた錫杖が黒龍を穿たんと突き降ろされ、
「助太刀します!」
白翼と真紅が躍った。
シホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)が聖銃から放った弾丸は、敵を撃ち抜くことはなかったが、一瞬の隙を作った。しかし鞍馬天狗は動揺することなく闖入者を追い払い、次いで茨のようにまとわりつかんとする血の奔流を薙ぎ払う。
「アナタが目指すのがどんな世界か分からないけど」
散った血液を自らの周囲に戻し、シェリー・クサナギ(荒野に咲く一輪の花・f35117)は琥珀色の瞳を敵に向けた。
「美しくない世界なんて、生きるに値しないわ」
猟兵が告げた言葉に、鞍馬天狗は眉を寄せる。
譲れぬものを譲らない。そのために戦うのだ、これらは。
「貴様等は、顔を合わせればそればかりだな」
だが、それがただの夢想ではないとも理解している様子ではあった。それを果たすに見合うだけの力量がある、あるいはその高みへ到れると。
武具めいた動きで錫杖を構え、その身に法力をまとう。
「屁理屈に道を譲る義理はない。望むならば、果たしてみせろ」
しゃん、と数珠が鳴る。
次の瞬間、超高速で閃撃が奔った。
強烈な攻撃は、喰らえばダメージを受けるだけでなく防御を崩す。身を呈して攻撃を防ぐが同時に一切動けなくなったシホの後ろから、クローネが攻め繋ける。
防ぐか、かわすか。判断の直後、不意に鞍馬天狗の動きが鈍った。
「……?」
意識と行動のズレが、彼には瞬間的に理解できなかった。ナノマシンにより自身の血液に干渉されるという事象が動きを阻害し、そのために大きな隙を作ってしまう。
勢い巨腕で掴みかかり、壁に叩きつける。激しい衝撃に鞍馬天狗の吐き出した呼気が悲鳴じみた音を立て、それをかき消しもう一撃食らわせる。
「慢心したのはどっちだろうね」
黒い刺青羅刹の言葉に、法衣の刺青羅刹は咳き込むように血を吐いた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
木元・明莉
ああ、よく知ってるよ「鞍馬天狗」
っても、オブビリオンとなった存在が以前の奴と同じとも思えない
まあ、同じなのは「強敵」だという事
真の姿となり(瞳が青くなるのみ)、他の猟兵と連携を心掛け挑もうか
櫻光花滴でオーラ防御を身に纏い、大刀「激震」と鋼糸「墨絲」を忍ばせて
前に出る時は鞍馬の意識を己に集中させるよう相対し、後方では激震での衝撃波と墨絲で錫杖を構える隙を与えぬよう攪乱しようか
鞍馬が無防備になる隙を見逃さずダッシュで近接しUC【激震】
鬼眼法断は今迄の戦闘知識と気配察知でタイミングを読み、闇翔で身体を浮かし動きに幅を効かせれば受け流せるか
ここで倒しても骸の海に還るだけとかなんか詐欺みたいだな
またな
アニタ・エヴァーフィールド
こんにちは、傭兵のひと
…だった、わよね…?
逃げないけれど、|猟兵側の立場《おともだち》になったり|状況説明《お話》してくれたりもしないわよね
ええ、戦いましょう
私は強くないから、他の人のお手伝いね
紅茶の時間で動きを鈍らせて鎧砕きで防御力を削ぎながら、属性を与えた魔法剣で2回攻撃をして、確実にダメージを与えられるよう頑張るわ
攻撃は時計を盾にして受け止めたり、避けられないなら覚悟を決めて、オーラ防御で身を守りながらランスチャージで突破を試みるの
あなたとは、少しくらいいい関係になれそうだったわね
せめて、今のあなたのその刺青と、力を与えるって理由を教えてくれればいいのだけれど
ごぶりと息をこぼしてから、刺青羅刹はベッと血の塊を吐き捨てる。
「ああ、よく知ってるよ「鞍馬天狗」」
銀の瞳を青く染め、桜の花弁が舞う如くの櫻光花滴を身に纏いながら、前へ出て応えた明莉へ、じらと目を向けた。
(「っても、オブビリオンとなった存在が以前の奴と同じとも思えない」)
何かが同じだとしても、まったく同じということもあるまい。
まあ、同じなのは「強敵」だという事。
口元を拭う男へ、アニタはカーテシーめいた仕草で頭を下げた。
「こんにちは、傭兵のひと」
……だった、わよね……?
場違いな穏やかさでそっと首を傾げる。
かつてこの刺青羅刹は、いくつかの勢力を渡り歩く傭兵のような立場であり、その最後の立ち位置でさえ、義理立てた相手のそばだった。
であれば、今の鞍馬天狗はどのように行動するのだろうか。
少なくとも。
「逃げないけれど、|猟兵側の立場《おともだち》になったり|状況説明《お話》してくれたりもしないわよね」
「今の私が貴様等に利することはない。それは確かだ」
それは、彼我の立場の違いという意味だろう。
「ええ、戦いましょう」
言いながら、彼女の防御の要であるウサギ時計を握りしめた。
しゃんと錫杖の鳴る音が耳を打ち、弾かれたようにアニタは背筋を伸ばすと同時に時計を掲げた。わずか一瞬の後に鞍馬天狗の打突が猟兵を襲い、気弱な迷いウサギから騎士の鋼盾へと、表情と覚悟を改めた彼女の視界の隅で桜が舞った。
幅広の大刀を自身の前で構え、敵の強打を受け止めた明莉が、反す手で得物を振るい衝撃波を放つ。素早く飛びすさった相手を追い撃ったもう一閃を、鞍馬天狗が錫杖で薙ぎ払って打ち消し、少しでも隙を狙おうと、魔法剣を構えてアニタが斬りかかったが、これは一拍遅れて避けられた。
錫杖を構えた敵の周囲に法力が集まる。それを見逃さず、明莉が疾走し接近すると、大刀をひといきに振り抜いた。
その弧の範囲から慌ててアニタが飛びのけ、無防備な隙をつかれた鞍馬天狗は、衝撃波を至近距離で叩きつけられてたたらを踏むが、追撃の鋼刃をかろうじて避ける。
息とともに血を吐き、超高速で繰り出した渾身の一撃は、櫻舞う漆黒のコヲトで身体を浮かせて身を躍らせ、激震で受け流した。
不意に、廃ビルの|屋内《なか》で、ぞわりと風が立つ。その風は旋風となり、鞍馬天狗を浮かせる。風勢は徐々に増していき高ぶると彼を巻き上げ、否、風に乗って飛翔すれば、猟兵たちが追いつけない高さから攻撃をはかった。
疾風の如き勢いで襲いかかるダークネスへ向けて、時計の代わりに掲げたティーポットから、場違いな優雅さでアニタはカップへ向けて紅茶を注いで見せる。
芳しい香りは遠い誰かを思わせ、かかるユーベルコードによって鞍馬天狗の動きが鈍る。次いで漆黒の鋼糸がその身を絡め取り、錫杖の一閃で断ち切られた。
「あなたとは、少しくらいいい関係になれそうだったわね」
「……くだらん。共存だの、いい関係だのと」
かつて夢見た理想を、彼は否定しなかった。
あるいは、オブリビオンとして蘇った今は、違うのだろうか。
「せめて、今のあなたのその刺青と、力を与えるって理由を教えてくれればいいのだけれど」
語りかけても、望む応えは得られない。
応えたのは、数珠の鳴る音。
再び法力をまとって攻撃を仕掛けようとするが、アニタのユーベルコードによりその動きを阻害され、明莉が放つ攻撃に圧される。
舌打ちに似た鋭さで息を吐くと、鞍馬天狗は猟兵を見据えた。
「忘れるな。問いへの答えが、常に正しいわけではない」
「……そう、ね」
彼女の問いに彼が答えたとして、それが本当のことであるとは限らない。
「ここで倒しても骸の海に還るだけとかなんか詐欺みたいだな」
激震を構えて口にした明莉の言葉に、刺青羅刹は静かに目を伏せた。そんなことを言われても。
目を閉じ、再び錫杖を構えた。対する猟兵もまた、武器を構える。
「またな」
決着は、一瞬だった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵