モフィンクスの冒険~モフモフなかよし、夏祭り
幻武・極
【モフィンクスの冒険】
第7.5話 モフィンクスサマー・in2019?-EX
アルダワののんびりモフモフゆるキャラ災魔のモフィンクスの1匹がちょこっとやる気を出し……夢の世界へと足を踏み入れてしまいました。
そして、夢の世界の散歩はまだまだ続きます。
モフィンクスが飛び込んだ次の夢は、
サムライエンパイアの夏祭りを楽しむグリモア猟兵の頭の上でした。
両者の間に気まずい空気が流れます。
それもその筈、モフィンクスとしては災魔の敵である猟兵と単独で遭遇してしまい、そしてグリモア猟兵としてもこの楽しい夏祭りの雰囲気を壊したくないという思いから戦闘は避けたいと思った筈です。
そこで、ここは一時休戦ということで1匹と1人は夏祭りを楽しむことにしたのでした。
モフィンクスとサムライエンパイアの夏祭りを楽しんでください。
夢の中なので言葉が通じたりなどはご自由にどうぞ。
今回は執筆していたら長くなってしまったMS様の為に3000文字まで用意してありますが、区切りのいいところで区切っていただいて構いません。
オムニバス形式で続けていくノベル企画になりますので、納品後にタグで#モフィンクスの冒険 と付けてください。
それでは、どうぞよろしくお願いします。
今日もモフ~ンと、みんなでなかよく、もっふもふともふだまりを作りながらも。
やっぱり本人たちには一切悪気はないのだけれど……いつものように、迷宮内の居心地の良い場所に集団で居座っては。
「モフ~モッフゥ~zzz」
「モフモフゥ~zzz」
無自覚にアルダワ魔法学園の迷宮を今日も塞いでしまっているのは、お昼寝中のモフィンクスの群れ。
でも無自覚だからこそ余計に、みんなでモフ~ンとすややかにお昼寝中だから、当分道は通れなさそう。
けれど――そんなモフィンクスだまりがまた、ふいにもぞもぞもふんっと動いて。
「モフッ、モフ~ン」
もふもふのもふだまりからひょこっと顔を出したのは、1匹のモフィンクス。
それから、ちょこっとやる気を出したように、とことこもふもふ。
もふぃんくすだまりから離れて、ゆるっと迷宮内をお散歩しはじめる。
でも、ちょっと張り切りすぎちゃって。
「モフ~……」
しばらくすると、うとうと眠気が。
それから休憩するように、もふんと足を止めれば、もふ~すやぁ~と。
モフィンクスが誘われ、足を踏み入れたのは――夢の中。
ということで、モフィンクスが飛び込んだ次の夢のお出掛け先は。
「……モフン?」
まだちょっと眠い目を開けばそこは、アルダワ魔法学園の迷宮ではなくて。
何だか楽しそうな祭囃子が聴こえる、江戸情緒溢れた和風な世界。
そう――今回モフィンクスがやってきたのは、サムライエンパイアの世界で。
「……ん? 何だか頭がもふっとしているな。ついに俺にも、耳尻尾が生えたか?」
しかも――誰かの頭の上??
それから、ひょいと抱きかかえられれば、その人物――筧・清史郎(桜の君・f00502)と目が合って。
猟兵と災魔、本来ならば、両者の間に気まずい空気が流れる……ところなのだけれど。
「おお、我が友、モフィンクスではないか。俺の頭の上で、どうしたんだ?」
実は清史郎にとってモフィンクスは、アルダワ迷宮で出逢った頃からの、心の友でありズッ友。
モフィンクスのぬいぐるみが出れば一番に購入し、もう5年も装備しているのだ。
いや、清史郎が遭遇してきたモフィンクスは毎回違う個体で。
「モフ?」
今、もふもふ抱っこされているモフィンクスにとっては、清史郎は初対面であったが。
「友が遊びに来てくれたのだから、おもてなしをせねばだな」
清史郎は百年以上存在する箱のヤドリガミ、そんなこまかいことは全然気にしないし。
モフィンクスも何だか彼が自分のお友達のような気がしてきたので、素直にモフ~ンとおもてなしを受けることに。
そしてモフィンクスをもふもふしながらも、清史郎は歩き出す。
「ちょうど今日は夏祭りだ。一緒に回ろう」
「モフッ、モフッ」
「ふむ、そうか。では、屋台を巡ってみよう」
何だか言葉が通じているようだけれど、夢だから?
いえ、清史郎は箱だから、むしろモフッモフッとモフィンクス語も喋れるのです??
とりあえずその真偽は定かではないが、何か意気投合して意思疎通できている風なので。
まずは、賑やかな屋台を巡ってみることに。
「夏祭りといえば、ラムネなどどうだろうか」
そしてラムネを買ってみて、モフィンクスには長めのストローを清史郎が用意して。
モフッモフッとちょっぴりウキウキ、ラムネをちゅーっと飲んでみたモフィンクスだけれど。
「……モフッ!!?」
口の中がしゅわわっとして、お耳をピンッ!
ラムネの炭酸に、思わずびっくり。
「モフィンクスはしゅわしゅわが初めてだったか? 少しずつ飲むといいぞ」
「モフ……」
そう教えて貰えば、今度は慎重に、モフー……っと飲んでみれば。
しゅわりとはまたしたけれど、今度は驚かなかったし、美味しくて。
モフッとゴキゲンに。
そして次は、チョコバナナを買って。
お膝に乗せてくれた清史郎がチョコバナナをいい感じに持ってくれたから、はむはむ美味しくいただけて。続いて、りんご飴にカステラ、みたらし団子にたい焼きにと……屋台グルメを満喫!
けれどちょっぴりだけ、モフッと声を漏らすモフィンクス。
実は清史郎はとんでもない甘党で、いくら食べても涼しい顔をしている健啖家。
甘い物ばかりが続いて、ちょっぴり爽やかなものが食べたくなったのだ。
だからそれを、モフモフッと清史郎に伝えれば。
「ふむ、次は何か爽やかなものが食べたいのだな。では……そうだ、あの催しに参加してみよう」
そうまたもふもふ抱っこされつつ、清史郎にどこかへ連れていかれるモフィンクス。
そんなふたりがやって来たのは。
「おっ、そこのお兄さんともふもふさん! スイカ割り、やってみないかい?」
そう――お祭りのスイカ割りイベント!
まずはモフィンクスが目隠しをされて、棒をはむりとくわえて。
「ふふ、スイカはこっちだぞ、モフィンクス」
清史郎の声を頼りに、モフモフとことこ、右往左往しつつも。
「よし、スイカはもう目の前だ」
そんな声が耳に届けば、ちょっぴりきりりとやる気を出して……モフ~ン!!
――ぱかーんっ。
「おお、さすが我が友。お見事だ、モフィンクス」
スイカ割り、大成功!
そして今度は、モフッモフッとモフィンクスが誘導する係になって。
剣豪だからか、妙にガチな清史郎の構えにちょっぴりだけ震えつつも。
ぱかーんとされることもなく、これまた誘導も大成功、無事にスイカも割れたから。
「では、いただこうか」
「モフ、モフ~ン」
一緒に並んで、スイカをしゃりしゃり、いただきます!
そんなスイカも甘かったけれど、でも求めていた爽やかな味わいで。
上機嫌にモフモフッと身体を揺らすモフィンクスに、清史郎もにこにこ。
それからも屋台を巡って、お揃いのお面を買って頭に付けて貰ったり、かき氷を食べてキーンッとなったり、引いてみたくじ引きで上様人形が当たったり――目一杯、夏祭りを楽しんで。
日も暮れ始めれば、お祭りの盛り上がりも最高潮に。
着せてもらった法被姿で、一緒にモフモフッと盆踊りを踊った後。
「もうすぐ、お祭りの締めの花火があがるようだ」
「モフ~ン、モフモフ」
「ふふ、そうだな。良い場所で観よう」
「モフ~」
祭りの最後に、花火を観ることに。
最初はやっぱり、ドーンッとあがる花火に、モフッ!? とびっくりしたけれど。
「今日は、心の友であるモフィンクスと夏祭りを巡れて、とても楽しかった。モフィンクスにも楽しんでもらえただろうか?」
「モフッ、モッフ」
「ふふ、それはよかった」
友達に抱っこされながら観る花火は、とても綺麗で楽しくて。
清史郎のお膝の上にちょこりと座って、もふもふされていれば――。
「モッフ~……」
遊び疲れて、うとうとこくり。
そして……また遊ぼう、と子守歌のように清史郎の声が聞こえたかと思えば。
すやすや、すやりと眠ってしまうモフィンクスであった。
それから、どのくらい経ったのだろうか――ふと目覚めれば。
「モフ……?」
まだ眠たげなおめめに映った景色は、元のアルダワ迷宮のものであった。
けれど、口の中が何だかとっても甘い気がするし……楽しい夢だった気がするから。
モフィンクスはモフモフとゴキゲンに、仲間たちの元へと歩き出すのだった。
次はどの世界にいくのか――まだまだきっと、そんなモフィンクスの冒険は続きそう。
成功
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