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きら星と踊る

#アリスラビリンス #グリモアエフェクト #戦後

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#戦後


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 るんるんるん。
 向日葵が踊っている。
 え? 向日葵は踊らないもの? またまた御冗談を。アリスラビリンスの向日葵は踊るんですよ、夏になると。
 此処は“湖と星の国”。ふくらはぎ辺りまでを満たす湖の清かな水に、夜になれば広がる広大な星空。
 るんるんるん。
 昼の間の陽光を浴びて、向日葵が嬉しそうに踊っている。
 彼等はオブリビオンだから、引っこ抜かなければいけないのは少々残念だが、引っこ抜いたらちょっと良いことがある。

 其の花弁を使って水面に映った星を掬うと、鉱石の欠片になるというのだ。

 夏の星はどれもこれも美しいものばかり。例えば天頂から少し東へ視線を移せば、白鳥が翼を広げている。デネブ、サドル、アルビレオ。一等星の輝きは、果たしてルビーかサファイアか、どんな鉱石になるのだろう。
 そこから荘厳な天の川に沿って視線を映し南へ下ると、鷲が翼を広げている。其処にはアルタイル。彦星は果たして、落っこちてきてくれるだろうか。
 ――そうして、デネブとアルタイルを底辺として、西に三角を作って御覧。青白く輝く|織姫《ベガ》が見付かることだろう。其れこそは夏の大三角。
 ほかにもその近くにはヘラクレス座、西に行くとかんむり座。へびつかい座を経由して地平線近くに目を向けると、そう、其処にはさそり座のアンタレスが輝いている。大丈夫、彼は空にいるから、君たちを刺して毒で蝕んだりはしない。美しい赤い星は、向日葵の花弁の上ではどんな鉱石になるのだろう。意外と赤とは限らないかもしれない。
 更には北へ目を向けると、低い位置に北斗七星を見付ける事が出来るだろう。
 この国には月がない。だから星は存分に、空というステージで輝けるという訳だ。

 るんるんるん。
 向日葵が踊っている。
 多分彼等は、一緒に踊ってくれる人を捜しているんだ。



「梅雨のない国に行きたくはない?」

 佐々・夕辺(f00514)はゆったりと、いつも通り和装に袴の恰好で猟兵たちに問いかけた。
 梅雨って本当にいやよね、と困ったように微笑んで。
「アリスラビリンスにね、“湖と星の国”という場所があるの。其処は一面が湖で……そうね、私だと膝下までくらいかしら。それくらいの浅い湖がね、ずうっとずうっと――地平線まで続いているのよ。そうして夜になれば、灯り一つない世界を星が照らしてくれるの。月がない世界だから、今まで見たことがないくらい綺麗に星が見えると思うわ」
 でもね、とグリモア猟兵は紡ぐ。
 当然だろう。このグリモアベースで本当に平和な冒険のお誘いがあるのは、恐らく|もう少し後《・・・・・》なのだから。
「オブリビオンがいるのよ。いえ、倒すのは簡単なの。ただ……貴方がた、踊りは得意?」
 困ったように夕辺は言う。其のオブリビオンは夏らしい向日葵の形をしていて、踊っているのだという。一緒に踊る事で未練が浄化され、自ら骸の海へ帰って行くというのだが……
「そんなに難しいダンスじゃないわ。こう、腕をぶんぶんお尻をふりふり、みたいな感じよ。彼等は湖に植わってるから、社交ダンスも出来ないし」
 何より、彼等は楽しそうに踊っているのだという。なら、其の熱気に当てられて踊ってみるのも良いかもしれない。ステップを踏むだけでも、手拍子を合わせるだけでも、向日葵はきっと満足して帰っていくだろう。
「あ、オブリビオンを倒す際に、花弁を数枚貰っておくと良いわ。この“湖と星の国”には面白い特徴があるの。ほら――夜になると、空に星が出て、湖に星が映るでしょう?」
 其れを花弁で掬うと、鉱石になるのだという。
「光る星であればあるほど、大きく輝く鉱石になるというわ。――鉱石ランプってあるでしょう? 其の為の空のランプと固定具を持って来たから、鉱石ランプを作りたい人はぜひ持っていってね」
 この空において輝ける星というのは限られているが、大丈夫。何光年も掛けて届く光なのだから、誰かが掬ったくらいでなくなりはしないだろう。
 夕辺の管狐が円を描き、グリモアが展開される。
 ふと夕辺が振り返る。
「ああ、そうそう。もうすぐ水着コンテストね。どうせ湖なのだから、水着で行ってもいいかもしれないわね。じゃあ、行ってらっしゃい」


key
 こんにちは、keyです。
 今回はゆったりなシナリオ。水着コンテストの辺りで第二章を募集する予定です。

●目的
「星の欠片を掬ってみよう」

●各章
 断章でご案内します。
 基本的に第一章では踊って、第二章では鉱石を拾う感じです。
 第二章にて、拾う鉱石をマスターにお任せして下さる場合は、冒頭に「💎」の絵文字をぺたっとして下さい。

●プレイング受付
 受付、〆切はタグ・マスターページにて適宜お知らせ致します。

●注意事項(宜しければマスターページも併せてご覧下さい)
 迷子防止のため、同行者様がいればその方のお名前(ID)、或いは合言葉を添えて下さい。
 また、アドリブが多くなる傾向になります。
 知らない人と共闘する事なども在り得ますので、ソロ希望の方はプレイング冒頭に「🌼」を添えて頂けると助かります。


 此処まで読んで下さりありがとうございました。
 皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『おどるよさんふらわー』

POW   :    へっどばんきんぐ
単純で重い【ヘッドバンキングからの頭突き】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    ぐるぐるぶーん
【腕のような部位を広げたままの高速回転】によりレベル×100km/hで飛翔し、【回転数】×【ノリ】に比例した激突ダメージを与える。
WIZ   :    ばらまきだんす
近接範囲内の全員を【花びらまみれ】にする【愉快な踊り】を放ち、命中した敵にダメージと麻痺、味方に隠密効果を与える。

イラスト:月代サラ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 碧が続いている。

 一面の湖――いや、この深さでは水たまりと言った方が良いのかもしれない。水面は水平線にまで及び、太陽が燦々と水面を照らしていた。
 見下ろせば君を映し出すエメラルドブルー。裸足で入れば判るだろうが、大地は砂浜状になっていて、指を折れば、しゃく、となめらかな砂を噛む感触を味わえる。
 夏の太陽を照り返す其の“湖”に、点在するものがあった。
 凛と伸びる向日葵だ。真っ直ぐに其の茎をのばし、花弁を広げて、にっこりと笑っている。
 とても良い笑顔をしていた。訪れる夏が嬉しくてたまらないという表情をしている。

 るんるんるん。

 向日葵が茎から伸びた腕――葉っぱを振る。左右にくねくねと茎が揺れる様は、踊る花の玩具を思わせる。
 時に頭突きをしたり、時に飛んだりするこの向日葵は、しかし今は植木鉢に植わっていた。植木鉢は半ばまで水に沈んでいる。根腐れしないのだろうかと心配する人もいるだろうが、其れくらいでめげていてはオブリビオンなんてやれやしない。安心して欲しい。
 極めて温和で、過去から夏を覗き見にきたこの向日葵だが、時に皆を花弁塗れにしてしまう事はあるようだ。テンションが上がり過ぎた所為だろう。其の時は寛大な心で許してあげよう。

 今は昼下がり。
 向日葵と、時折大きな木々が見える以外はなんの緑もないこの世界で、向日葵たちは陽光を受けながら楽し気に踊っている。

 夏が来るよ。
 楽しい夏が来る。
 だから君も、一緒に踊ろう!
ミア・ミュラー
ん、涼しそうでとってもいいところ、だね。夜の星も、楽しみ。けどその前にひと仕事、頑張るよ。
んー、踊りはあんまりやったこと、ないかも。こんなことなら愉快な仲間たちに教わっておけば、よかったかな。でも楽しく踊る向日葵さんたちを見てたらわたしにもできそうな気が、してきた。よし、わたしも足には自信あるから、向日葵さんたちに合わせて飛んだり跳ねたり、踊ろうかな。
夏だから賑やかな方がきっとみんな嬉しい、よね。【プリンセス・ホワイト】で白鳥さんたちも呼んで一緒に、踊ろう。ん、月のない星空はどんな感じなのか気になる、けど。それはひとます置いておいて、踊って夏を、楽しもう。




 太陽はキラキラ眩しくて、湖面が眩い光を反射している。
 けれど水に満たされているからか、此処はとても涼しかった。ややひんやりとした風を受けながら、まだ見えぬ星をミア・ミュラー(アリスの恩返し・f20357)は見上げる。
 るんるん、と踊る向日葵があちこちにいる。とても楽しそうだ。加わってみたいけれど、ちょっとだけ腰が引ける。ミアはあまり踊った事がない。どうせなら愉快な仲間たちに教わっておけばよかったと僅かに後悔したりもして。

「ひゃわ…!?」

 そんな不安が近くの向日葵に通じたのだろう。ちょんちょん、と葉っぱで肩を突付かれた。ミアが振り返ると向日葵は其の花いっぱいに、にっこりと笑って、るんるんと踊る。そう、ダンスは技術ではなく情熱なのだと伝えたいかのようだ。

「……ありがとう。わたしにも出来そうな気が、してきた」

 ミアは目の前の向日葵のダンスに合わせて、ぱしゃりと水を跳ね上げながらステップを踏む。右へ、左へ。前へ、後ろへ。跳ね上げる水の音すらも、一つのメロディになったかのよう。
 其の調子! と向日葵は嬉しそうに葉っぱをぱたぱたさせる。其の様子に、そうだ、とミアは仲間を呼ぶことを思いついた。

「どうせなら、夏だし。賑やかな方がきっと嬉しい、よね」
「?」

 賑やかにしてくれるのかい? と向日葵は花首を傾げる。
 うん、とミアは頷いて、おいでと空に呼び掛けた。湖面にひらりと舞う影、ゆっくりと降り立つのは美しき白鳥たち。

「ね、一緒に、踊ろう」

 月のない星空って、一体どんなものかしら。
 星を掬ったら、一体どんな輝きをしてくれるのかしら。
 気になる事は一杯だけれど、其れはお日様が沈んだ後に。ミアと白鳥と向日葵は、楽しそうに踊るのだった。
 やがて向日葵が花弁をそっと散らし、オブリビオンとして骸の海へと還るまで。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん

踊りと聞けば…陰海月が張り切るんですよー。ダンス好きですからねー。
私は見守りと兼ねて、手拍子で合わせますねー。
いやー、ここのオブリビオンと合わせて…癒やしですねー。

※孫的存在な二匹※
陰海月「ぷきゅ!」
踊っていいなら、ぼくは踊る!
触腕ふりふり、身体ゆらゆら!何だったら、UCで光も追加しちゃうぞ!

霹靂「クエー…」
友はいつものように光っている(悟りの境地)
翼をバサバサして、手拍子がわりに。何だかんだで、鳴き声もノリノリになっていく。




「踊りと聞くとですねー」

 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は困ったように向日葵に語り掛ける。
 しかし向日葵は特に困ってはいない。るんるんと茎と葉っぱを揺らして、楽しそうに――そう、楽しそうに――海月と踊っている。
 海月は「陰海月」と名付けられている。彼は実は踊りが大好き。ぷっきゅぷきゅ、と楽しそうに声を上げながら、向日葵と一緒にシェイクシェイクしている。
 其れを見守る霹靂は、瞳が悟りの境地に達していた。友は相変わらず、踊ることが好きなようだ。

「陰海月ー。今日の主役はあなたですよ~」

 そんな義透の言葉に奮起したのか、陰海月はぴかぴかと光り始めた。美しく七色が移り変わる様は、まるでダンスホールの照明のようで。
 向日葵は其れを見ると表情を輝かせて、陰海月にもっと踊ろう! と葉っぱを伸ばす。
 義透と霹靂は、今回ばかりは手拍子係。義透は手拍子で二人を応援し、霹靂もまた、翼をはためかせてリズムを取る。かつかつ、と霹靂が鳴らす嘴の音に合わせて、陰海月と向日葵はそれぞれ、触手と葉の手を繋いで踊る。
 其れを見ていた霹靂も段々楽しくなってきたのか、鳴き声を上げながら一緒にステップを踏み始める。勿論君も踊ろう! と向日葵と陰海月はそれぞれ“手”を伸ばし、霹靂に触れてぴょんぴょんと跳ねたり、くるくる輪になって踊ったり。

「いやー……これは癒されますねー」

 義透は三匹(?)のダンスを見守りながら、愛らしい彼等の動きに癒されていた。

 けれどやがて、別れの時というものは来る。
 青黒い塵に代わりながら、向日葵は満足そうに陰海月と霹靂に己の花弁を何枚か渡す。
 ぷきゅ、と陰海月が鳴いた。寂しがるような声だった。霹靂も僅かに寂しげな顔をしている。
 ばいばい、と葉っぱの手を振って――向日葵型オブリビオンは、何の後悔も憂いもなく、骸の海へと帰っていくのだった。

「大丈夫。夏になったら、また会えますよー」

 義透は二匹の傍にそっと歩み寄り、彼等は夏の花ですから、と笑った。
 夏になれば何処にだって|向日葵《かれら》はいる。だから、今日の事を忘れないでいよう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

風魔・昴
麻生竜星(f07360)と
彼の事は『竜』と呼ぶ
アドリブ歓迎

「アリスラビリンスも夏なのねぇ」
そう言いながら隣を歩く彼を見る
暫くすると踊る向日葵達に遭遇
「それは彼等の周りにある大きな木のおかげかもね」
可愛らしいその姿に思わず微笑む
「こんにちは、向日葵さん達。楽しい夏が来るわね?」
話しかけた言葉に肯定するように踊る向日葵達
「ふふ、私達も楽しくなってきちゃった。一緒に踊ってもいい?」
彼と向日葵達の話に大きく頷いて
「それなら私も頑張っちゃうわ」

彼等の楽しいリズムに合わせて二人で軽やかに踊る
ふわりふわりと楽しく舞う様に

暫くして花弁も何枚か貰い彼等に笑顔を
「ありがとう、とても楽しかったわ」

皆も楽しい夏をね?


麻生・竜星
風魔昴(f06477)と
彼女の事は『スー』と呼んでいる
アドリブ歓迎

「だな。ただちょっとUDCアースより涼しいかな」
彼女の隣を歩く竜星は微笑んでそう答える
彼女の視線の先にはニコニコ笑顔で踊っている向日葵達
「やぁ、楽しい夏がやってくるね。俺達も楽しみさ」
彼の声にも向日葵達は反応して……
「じゃぁ、俺も踊ろうかな。もしうまく踊れたら君達の花弁を少し分けてもらえないかな?」

向日葵達が刻む楽しいリズムに乗りながら華やかに踊る
簡単なダンスだけど、本当に楽しく笑顔で

一通り踊り終わると笑顔で向日葵達に話しかける
「こんなに楽しんだのは久しぶりだよ。」
そして、ありがとうと礼を言って

君達も素敵な夏を楽しんでな?




「アリスラビリンスも夏なのねぇ」

 風魔・昴(星辰の力を受け継いで・f06477)はゆったりと水を僅かに跳ね上げながら、湖と星の国を歩く。
 其の隣を歩く麻生・竜星(銀月の力を受け継いで・f07360)は日差しが眩しいけれど、と前おいて言う。

「ただちょっと、UDCアースよりは涼しい気がする」
「そうね。あそこに……ほら、あっちにも。大きな樹があるから、其のおかげかも知れないわね。でも彼等には日陰は必要ないのかも」

 ほら、見て。
 昴が指差すのは、るんるんと楽しそうに踊っている向日葵たちだ。
 彼等は樹下の庇護にあずからず、陽光を燦々と浴びて楽しそうに踊っている。

「こんにちは、向日葵さん達。楽しい夏が来るわね?」

 昴が話しかけると、向日葵は昴と竜星の方を見て、そうだね! と言いたげににっこり笑った。

「俺たちも楽しみにしているんだ。君たちもかい?」

 勿論!
 と、向日葵は葉っぱでマルを作って答える。そして、楽しいから踊ろうよとリズムに乗って、昴と竜星を誘う。

「とっても楽しそう。ねえ竜、私も楽しくなってきちゃったわ」
「偶然だな、俺もだ。君からの誘いを断る理由はないな。なあ向日葵たち、もし俺たちが巧く踊れたら、君たちの花弁を少し分けて貰えないかな?」

 花弁。
 向日葵は己の顔に触るようにして確認すると、いいよ、と笑った。或いは彼らは、其の花弁の使い道を知っているのかもしれない。
 そうして一足先に、向日葵はるんるんと踊り始めた。中にはさぷさぷと水を跳ね上げて、植木鉢ごと飛び跳ねるものもいる。

「ふふっ、本当に踊るのが楽しいのね。じゃあ竜、」
「いや、此処は俺に言わせてくれないか。――……スー。俺と踊ってくれますか?」

 ダンスフロアめいて、差し出される竜星の大きな手。
 昴は其の手にたおやかな手を重ねて、頷く。

「勿論。素敵にリードして頂戴ね」

 そうして二人は踊り始める。社交ダンスのようでそうでなく、水を跳ね上げて笑い合う。
 くるくると回ったり、時には向日葵たちと手を繋いで戯れたり。左右に揺れてゆっくりと楽しんだり。
 音楽がないのに、何処からか聞こえてくるかのよう。昴と竜星はそのまま、向日葵たちと暫しダンスを楽しみ――夕暮れになろうかというところで、はあ、と昴が満足げに息を吐いた。

「竜、私、こんなに楽しく踊ったの初めてかもしれないわ!」
「そうだな。俺もだ。ダンスを踊るという経験そのものが余りなかったけれど、とても楽しかった」

 ありがとう。
 二人の感謝は、向日葵に向けて。
 だから向日葵たちは、二人にどうぞ、と花弁を差し出す。複数枚あるのは、きっと沢山星を拾って欲しいから。
 二人が其れを受け取ると、向日葵たちは青黒い塵となって散っていく。其れがオブリビオンとしての宿命だけれど、其れでも、最後まで向日葵は笑顔だった。

「……きっとあっちでも、楽しく踊っているんでしょうね」
「そうだな。……向こうに季節というものがあったら、きっと夏中踊っているんじゃないか?」

 二人は顔を見合わせて、くすくすと笑い合う。
 ――素敵な夏を、楽しんでね。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

天黒・氷海
【華舞】

ここは……綺麗だわ。
仕事でこんな場所に来て、貴女と一緒に踊れるだなんて、思ってもみなかったわ。
楽しみましょう。一夏の夢──というにはまだ日は高いけどね。

湖の中に入って、ローズと優雅に踊る。
私はヴァンパイアだけれど、ここに来るってことは当然日光は克服済みよ。湖だから水も流れてないし、全く問題ないわね。
向日葵の中央までそのまま移動して、踊り続けるわ。
向日葵がもし花弁を撒き散らしたりした時は…多少なら花吹雪として許すわ。
度を超えた場合、凍らせるけど。
もし湖を凍らせちゃったら、今度はスケートでもしようかしらね。ふふふ。

楽しい、楽しいわ
純粋にこうして踊っていられるのなんて、何時ぶりかしら。


ローズ・ベルシュタイン
【華舞】

ここは太陽の輝きが綺麗で、気持ち良いですわね。
湖の中で踊るダンスも凄く楽しそうですわ。
ひと夏の思い出として、今日は存分に楽しみましょう。

氷海の手を取りつつ、華麗な動きでダンスを披露してみせますわ。
「こういう事は、私も礼儀作法として習って来ていますので、得意分野ですわ」
踊っている向日葵に対して、どちらが上手く踊れるかを競うようにしますわ。
向日葵が花弁を撒き散らして来ても、
私達のダンスを彩る花吹雪と思えば、そこまで気にならないでしょうし。

氷海も存分に踊って下さいませ。
私もお陰様で今日は楽しく過ごせましたわ。




 ローズ・ベルシュタイン(夕焼けの薔薇騎士・f04715)と天黒・氷海(ロストヴァンプ・f42561)は、ゆったりと湖と星の国をゆく。

「此処は太陽の輝きが綺麗で、気持ち良いですわね」

 ローズが言う。きらきら反射する波の輝きは、どうやら掬えないらしい。少し残念だ。

「そうね。まだ星は見えないけれど、木々に、透き通った水。――此処はとても綺麗」

 氷海は師匠との修行によって日光を克服している。だから此処を歩くのに日傘はいらないし、其れに此処の水は流れていないから、水の中を歩く事だって出来る。

「仕事でこんな場所に来て、貴女と一緒に踊れるなんて思ってもみなかった。――ローズ、楽しみましょう。一夏の夢……というには、まだ日は高いけれど」
「ええ、折角の夏ですもの。向日葵たちが飽きてしまうくらい踊り明かしましょう?」

 そうしてるんるんと踊る向日葵たちが、ローズと氷海を出迎える。
 こんにちは、と茎を曲げてお辞儀する向日葵たち。礼を返すローズと氷海。挨拶もそこそこに、向日葵たちは踊ろうよ! と全身で踊り始めた。
 まあ、とローズは笑う。

「本当に、踊り好きな向日葵たちですのね! 私たちも負けられませんわ、ね、氷海」
「ええ。ではローズ、……お手をどうぞ、かしら?」

 戯れるように氷海が伸ばした手に、ローズがそっと手を添える。そうして二人はくるくると、浅い水のダンスフロアを縦横無尽に踊るのだ。

「こういう事は、私も礼儀作法として習ってきているのですが……あの向日葵たちを見ていると、ダンスに本当に必要なものは何か、と思ってしまいますわね」
「あら。ローズはいま“其れ”を持っていないのかしら?」
「持っていないとは言っていないでしょう。勿論私にもありますわよ、――情熱というものが」

 ふわふわふわ。
 向日葵の花弁が舞う。どうやら二人のダンスでテンションが上がった向日葵が、花弁を撒き散らしてしまったらしい。

「まあ、御覧なさいな氷海。私たちのダンスを彩ってくれてますわよ」
「やりすぎたら凍らせるけど、これくらいなら良いかしらね……ねえローズ、湖を私が凍らせちゃったら、其の時はスケートでもしましょうか」
「あら、良いですわねそれ。ふふ」

 二人の令嬢はくるくると踊る。燦々と煌めく太陽は程よく暖かく、湖の上を滑る風は涼しい。向日葵の薄黄色した花弁が風に乗ってくるくると舞い、美しい二人の舞をより幻想的に見せるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マリー・アシュレイ
【花緑青】

2023年水着姿で
花飾りのついた大きな浮き輪は
踊りに不向きだから置いてくわね

アリラビ出身だから今更花が躍っても驚きはしないけど…
何がしたいの?踊り?夏を覗き見に来た?
それだけのためにオブリビオンになったの?何故?
もっとオブリビオンとしてのアイデンティティはないの…?

まぁ良いわ
とりあえず花弁拾って…

…踊り…
…ウェズリー、あなた踊りの一つや二つできるわよね?
上等じゃない、社交ダンス
私は踊ったことなんてないから、任せるわ

手を出して
ウェズリーのリードで踊る
運動神経は良い方だから無難にいけるはず

パパに?そう?
…なら、見せつけてやりましょ
いいでしょう?って

にまり笑って

ええ
ウェズリーの誘いに頷くわ


ウェズリー・ギムレット
【花緑青】
2023年水着姿で

マリーの疑問には苦笑を滲ませ

ははは…ここはそういう世界だからね
それに、これも多様性というものかもしれない
きっと彼らにも彼らなりの想いがあるのだろう
(私には理解し難いが…

マリーに倣って私も花弁を拾い
一緒に小瓶にでも詰めておこう

社交ダンスくらいしか知らないが…それでも良ければ
かしこまりました、お嬢様
では、お手を

手を取りリードしながら1曲分踊り
…しかし、これではアシュレイに羨ましがられてしまうね
ああ、他の誰でもない最愛の娘とのダンスだろう?
喜ばない父親はいないと思うよ

…ふふ、ならもう1曲踊るかね?

(私も、親友の愛娘と…
 孫のように大切な子とこうして踊れるのは、とても嬉しい




 ひらり、と白い裾が揺れる。
 ドレス然とした白いワンピースの水着を揺らしながら、マリー・アシュレイ(血塗れのマリア・f40314)はウサギ耳を揺らした。

「私も|アリラビ《ここ》出身だから、今更花が踊っても驚きはしないけど……何がしたいのかしら。踊り? 夏を覗き見に? 其れだけの為にオブリビオンになったの? 何故? ……もっとオブリビオンとしてのアイデンティティはないのかしら」

 其の疑問は尤もである。一緒に踊ったら満足して自滅するオブリビオンって本当にどうなんだろう。
 令嬢のようなマリーを見守るウェズリー・ギムレット(亡国の老騎士・f35015)は、戯れて吹く風に帽子を押さえながら苦笑した。

「はは……此処はそういう世界だからね。其れに、これも多様性というものかもしれない。きっと彼等にも彼等なりの想いがあるのだろう」

 とは言ってみるものの、果たして本当なのかどうか。ウェズリーにも向日葵たちの行動と存在は理解しかねるようだ。

「まぁ良いわ。夜には星が拾えるって話でしょう。落ちている花弁で何とかなれば良いのだけれど」

 るんるん、踊っている向日葵たちはそこかしこに。だからだろうか、湖のあちこちに薄黄色をした向日葵の花弁が落ちていた。
 マリーは其れを拾う。本当にこれで星が拾えるのかしら、と疑わし気に見詰める姿を真似るように、ウェズリーもまた花弁を拾っていく。

「マリー、花弁はこの中に」
「あら、用意が良いのね」

 丁度持ってきていた小瓶、ウェズリーが其れを差し出すと、マリーはそっといとけない指で花弁を押し込む。
 マリーは少し難しい顔をしている。ウェズリーはこういう時、“どうしたんだい”とは訊かない。利発な彼女は、疑問には自分で答えを出すからだ。

「……踊り……ねえウェズリー。あなた、踊りの一つや二つ出来るわよね?」

 自分を見上げて来たペリドットの瞳は、ほら、自分で疑問を解決しようとする輝きをしている。

「踊り……か。社交ダンスくらいしか知らないが、其れでも良ければ」
「構わないわ。上等じゃない、社交ダンス」

 私は踊った事なんてないの。だから任せるわ。
 と誘いを待つ令嬢の愛らしい事。白い水着はまるでドレスのように華やかで、ウェズリーは其れに見合った動きをせねばならないのだと判っていた。
 だから帽子を取って、己の胸元に当てる。そうして片手を差し出して、言うのだ。

「かしこまりました、お嬢様。では、お手を」
「ええ」

 そうして二人はゆっくりと踊り出す。ウェズリーがリードして、マリーはゆっくりとリズムの海へ漕ぎ出す。其処には音楽はない。けれども向日葵は楽しそうに踊っていて、ウェズリーが刻むステップは正確で、だからマリーは|父の相棒《かれ》に己の身体を任せた。
 僅かに漣が立ち、ゆらゆらと湖の波紋が遊ぶ。やがて一曲分であろう時間が経った頃、困ったようにウェズリーは眉を下げた。

「しかし、これでは……」
「何?」
「アシュレイに羨ましがられてしまう」
「パパに? どうして?」
「他の誰でもない、最愛の娘とのダンスだ。喜ばない父親はきっといない」
「そう。……そうなの。じゃあ見せつけてやりましょ」

 いいでしょ?
 そう言って笑うマリーの顔は、少女が悪戯する時のようないとけなさを纏っていた。
 其処に|親友《アシュレイ》の面影が濃く見えた気がして、ウェズリーは微笑みを返すのだ。

「ふふ。なら、もう一曲踊るかね、レディ」
「ええ、良いわ。何故かしらね、南極でも踊れそうな気分なの」

 親友の愛娘。孫のように大切な、白が良く似合うウサギの娘。
 踊れることを光栄に思いながら、ウェズリーは、では、とマリーの手をゆっくり引く。
 見ているのは太陽と向日葵だけ。ちゃぷり、とダンスフロアが僅かに水音を立てた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『星に願いを』

POW   :    あれもこれも、願いごとはたくさん!

SPD   :    流れ星よりも速く願う

WIZ   :    いちばん輝く星へ願う

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 やがて――
 向日葵たちが全て骸の海へと帰る頃、太陽はあっという間に真紅に染まり、水平線の向こうへと沈んでいく。
 反対側を見仰げば、其処に普段ならあるはずの月はなく、星たちがゆっくりと空のステージへ昇ってきていた。月という無情な女王がいないからか、思い思いに白く、赤く、或いは青く輝いている。
 そしてあっという間に夜はやって来る。空の色が濃紺に染め上げられると、天の川が鮮明に空を流れる。
 白鳥座、鷲座。ヘラクレスに、かんむり。そして北斗七星――極北に輝くのは|不動の星《ポーラスター》。

 彼等から湖へと視線を移せば、まるで鏡のように紛い物の星が煌いている。
 花弁を持って、そっと目当ての星を掬ってみると良い。きらり、と輝く鉱石が花弁に重たげに乗っているだろう。星から掬ったにしてはきっと大きく感じる其の鉱石は、グリモア猟兵が用意した鉱石ランプに使用することが出来る。
 きらきらと、まさに星の輝きを内包した鉱石はどのように扱っても構わない。だって、星はいつだって空に煌めいているのだから。

 向日葵たちの置き土産か、もし花弁を持っていなくても、捜せばきっと花弁は其の辺りに落ちている筈だ。
 美しい夏の星座――ああ、見て御覧、流れ星だ。あれを掬えたなら、きっと君は最高に運が良いんだろうね。
夜鳥・藍
💎

月だけでなく、街灯りもないのは絶好の星見日和ですね。
季節柄夏の星々が輝くのですね。
機会があればまた別の星空を見たいものです。
そうですね、出来れば春に乙女座を。

まずは花びらを探しましょう。
踊りは得意ではないので見てるだけになってしまいましたが、星と鉱石と聞けば黙っていられません。
掬うのに問題ない丈夫そうなしっかりとした花弁を。
花びらを見つけたなら湖へ。真白に輝く星があればそれを掬いましょう。
どんな色のどんな鉱石になるのかしら?
どんなものでもきっとその星の輝きは何物にも代えがたいと思うわ。
私はまだ自分が持つ宙に自信が持てないけど、それを引き出してくれないかしら?




 この世界には、月がいない。
 そして人が営む街もない。
 天からまさに雨のように降り注ぐ光を浴びながら、夜鳥・藍(宙の瞳・f32891)は両足を“湖”に浸した。
「月だけでなく、街灯りもないなんて……今は夏の星座なのね。機会があればまた別の星空も見てみたいわ」
 そう、例えば春に乙女座を、とか。

 まずは、と藍は向日葵の花弁を捜し始める。
 踊りは得意ではなかったので見てるだけになってしまったが、星と鉱石と聴けば黙ってはいられない。
「……これなんてどうかしら。…うーん、少し柔らかいわね」
 出来れば丈夫なものがいい。丈夫で、しっかりしてて、問題なく星を救えるような花弁。
 幸い花弁そのものは沢山湖に落ちていたので、藍は少し時間はかかったものの、望み通りの花弁を見つけ出すことが出来た。
 さて、どの星を掬おうか。
「これだけあると迷ってしまうわね……どんな色のどんな鉱石になるのかしら」
 そうして藍が選んだのは、白鳥座の翼の部分――いわゆる『かささぎの橋』に輝く星だった。空と海を何度も見比べて、目当ての星にそっと花弁を差し込む。すると、少しばかりの重みが手に加わって、花弁の上に青白い輝きの鉱石が載っていた。
「わあ……! ムーンストーンみたい……!」
 藍はその鉱石を手に取って、星明りに透かす。僅かに青い色彩が混じっている白は、月がないのにムーンストーンそっくりの色合いで。

 藍はまだ、自分が持つ宙に自信が持てない。
 迷っていつか立ち止まってしまう事もあるかもしれない。
 ……でもそんな時にこの石を見れば、前に進めるような気がした。今の自分で良いんだって、背を押してくれるような気がした。
 天の川がキラキラと輝いている。藍は湖から空へ視線を移し……絶景とも呼べそうな其の眺めを見上げているのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
💎
引き続き『疾き者』にて

今度は、鉱石掬い係になりましたー。
ええまあ…掬うとなると、私の方が良いのでー。陰海月と霹靂の視線(?)の先のを掬いましょうかー。

しかし、今住んでいるところ(UDCアース)だとよく見えない天の川も、すっきり綺麗に見えますねー。
ええ、よき夏の思い出ですよー。

陰海月「ぷきゅ…」
霹靂「クエ…」
寂しいけれど、次の夏を楽しみに。
どんな鉱石が拾えるのだろう、とワクワクもしている。
今年の夏の思い出。ピカピカ光るものは、二匹とも大好きだ。だから、鉱石はもちろん、ランプもお星さまも好き。




「ぷきゅ! ぷっきゅ、ぷきゅ!」
「はい、私が鉱石掬い係ですね。承りました~」
 義透はご機嫌な陰海月と霹靂の代わりに、花弁で鉱石を掬う係。
 はて、どれを掬ったものでしょうか。取り敢えず二匹を見ていると、ぷ、と陰海月がとある星を差した。正確には、水面に移る星を。
「クェ」
 霹靂も其れで構わないという。
 おや、と義透は首を傾げる。陰海月が差した星は、夏の大三角でもどんな星座でもないからだ。
「これで良いんですか?」
「ぷ! ぷきゅ、ぷっきゅ~~、ぷ!」
「クェ! クエ!」
「良いんですね? では掬いますよ~」
 多分“これが良いの!”と言っていたんだと思う。ではと頷いた義透は、そっと水面に花弁を沈める。僅かな重みを感じながら水から花弁を上げると、其処には透明な、けれど内側から輝くような鉱石が一つ乗っていた。
「綺麗ですねー。ほら、陰海月。霹靂。星の鉱石ですよー」
「ぷっきゅー! ぷきゅ! ぷきゅ!」
「クエ! クエ!」
「ランプに入れるんですか? はいー」
 大人しく言う事を聞きながら、義透は準備して来たランプに鉱石をはめ込む。そうして外側の爪をしっかり締めると、穏やかな光が周囲を照らし始めた。
「よき夏の思い出ですねえ。特にUDCアースでは、天の川はよく見えませんから」
「……ぷきゅ」
「クエ……」
「おやおや、もう寂しがっているんですか? 夏はまだ始まったばかりですよー」
 励ますように笑うけれど、僅かな寂寥感を感じるのは義透も同じだった。何故だかこの灯は寂しくて、でも、ずっと見ていたくなる。
「寂しいですけど、次の夏を楽しみにしましょうー。ほら、陰海月、霹靂。星が凄く綺麗ですよー」
 星が残酷なほどに輝いている。
 照らされて、陰海月と霹靂はじっ、と星を見上げた。まるで其の光景を、瞳(?)に焼き付けるかのように。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミア・ミュラー
💎
やっぱり月がないと星がよく見える、気がする。星座もわかりやすくて、いいね。
でも星座はあんまり詳しくないん、だよね。覚えてないだけかもしれない、けど。いい星座はわからないから、流れ星に挑戦してみよう、かな。ダッシュで追いかけて捕まえて、みる。だめだったら近くで光ってる普通の星を、掬うよ。どんな色で、どんな風に光るのか、楽しみ。
掬った星をまずはじっくり、眺めよう。ん、こんなに近くで星が見られるなんて、すごいね。ランプにするとまた違った光り方を、するのかな?ランプを照らしながらちょっとお散歩、してみるよ。昼も夜も楽しくて、いい思い出が、できた。きっと、忘れないよ。




 矢張り、月がないと星が良く見える。
 そんな気がする、とミアは空を見ていた。
「(でもわたし、星座はあんまり、詳しくない)」
 或いは覚えていないだけかもしれないが、いずれにせよ、ミアはどれがはくちょう座だとか、どれがさそり座だとかは判らない。
「良い星座はわからないから、流れ星に挑戦してみよう、かな」
 じっと待ってみる。瞬き一つの合間に消えるものを掌に残しておけたら、とても素敵だと思う。流星はどんな色で、どんな風に光るのだろうか? そんな風に夢見ていると一つ、きらりと星が瞬いて――
「あ……ッ!」
 もしかして、と思った時にはミアはもう走り出している。波紋を作りながら水面を乱しながら、其れがきらりと輝いて天から零れ落ちるのを、花弁で掬い上げる。
「……い。今の、流れ星……だよね」
 そして確かに、掬い上げたよね?
 ミアは手の中、花弁の上に乗った青白く輝く鉱石に問いかける。されど当然答えはなく。
「これが、星……」
 じっくりと眺めてみる。こんなに近くで星が見られるなんて、とても凄い事だ。ランプに入れるとどんな光り方をするのか見たくて、鉱石ランプキットの中に鉱石をそっと入れる。決して柔らかくはないのだけど、其れでも手つきは慎重になってしまう。
 かちり、とランプを閉じると、青白い輝きが周囲を照らし出す。
「わぁ……」
 そうして水面を見てみれば、怖い程鮮やかに星が映っている。
 昼は向日葵と踊って。夜は鉱石を拾って。とても良い思い出になった、と思う。
「……」
 ミアは思い出を心に焼き付けるように、そっと空を見上げた。星たちが思い思いに輝いている。昔の人はどんな気持ちで彼等を繋ぎ、星座として名付けたのだろう?

大成功 🔵​🔵​🔵​

八坂・詩織
🌼
2024年水着姿、瑠璃色のビキニに金のラメが散りばめられたパレオ。

置き土産の花弁を探し拾ったなら早速湖へ。
星をこの手で掬えるなんてワクワクしますね…!ああでもどれを拾ったものか…最近話題のかんむり座T星にしようか、同じかんむり座のアルフェッカ、別名で宝石を意味するゲンマもいいかも。
こと座のダブルダブルスターも面白そう…
最も美しいものプルケリマも捨てがたいし、五月雨星アークトゥルスの輝きにも心を惹かれる。ファンガスの名前の元になったスピカもいいなぁ…

すごく悩むけれど最後に選ぶのは一番好きな二重星アルビレオ。天上のサファイアとトパーズを手にしてみたいから。
…別の星も、掬っていいなら掬おうかな。




 星空のようなパレオが揺れる。
 八坂・詩織(銀誓館学園中学理科教師・f37720)はちゃぷり、とグリモアをくぐって注意深く“湖”へと足を浸した。思ったより明るいので空を見上げてみると、これまで見たことがない程に、星が輝いている。
「わぁ……」
 本来なら月がある筈の場所は、いつも月に隠されている星が光っているから判らない。
 暫く其の絶景に見とれていた詩織だったが、はっ、と我に返って向日葵の花弁を捜し始めた。
 さて、一体どんな星を掬おうか。手ごろな花弁を拾うと、詩織は水面の星を見下ろした。

 ――最近話題のかんむり座T星にしようか。ああでも、同じかんむり座のアルフェッカや、別名で宝石を意味するゲンマも良いかもしれない。
 こと座のダブルダブルスターも掬ってみると面白いかもしれない。ああでも、“最も美しいもの”プルケリマも捨てがたいし、五月雨星アークトゥルスの輝きにも心を惹かれる。ファンガスの名前の元になったスピカもいい。
 詩織は天体観測を趣味としており、銀誓館でも天文部に所属しているので非常に星に詳しいのだ。だが其れは全ての星の美しさを知っているという事であり、どれが一番、などとは選べないという事でもあり……
「うううぅん、うーん……あ! そうだ!」
 夏といえば、と詩織は水面に白鳥座を捜す。或いは夏の大三角でも良い。“あの光”は其処にいる、直ぐに見付けられる筈。
 ぱしゃぱしゃ、と裸の脚で水を小さく蹴りながら歩き回り、詩織は其の星を見付けて表情を輝かせた。
「見付けた……! アルビレオ!」
 アルビレオは二重星だ。こと座のダブルダブルスターと同じく、“肉眼で見ると一つの星だが望遠鏡で見ると二つの星が寄り添っているように見える”星の事を指す。
 中でもアルビレオは空の宝石と歌われる。オレンジとブルーが二重になった其の美しさは、物語にも謳われるほど。成る程、掬うにはこれ以上なくもってこいの星だ。
 詩織は僅かに震える手で、アルビレオの傍にそっと花弁を差し込む。どんな鉱石が取れるだろう? サファイアとトパーズの、大きな二つの透き通った球。物語に曰くの通りだろうか?
 そうして掬い上げた鉱石は――其の二色を蓄えた、原石のような形をしていた。内側から二色が輝く様は、息を詰めるほどに美しい。
「わあ……」
 鉱石をそっと手に乗せる。確かに星の光が手の中にある。其の美しさに感動していた詩織だったが、はて、と周囲を見回して。
「……別の星も、掬って良いなら救おうかな……」
 勿論掬っても構わない。
 ただ、アルビレオに嫉妬されても知らないが。

大成功 🔵​🔵​🔵​

風魔・昴
【星月夜】
竜星→竜
銀河→銀さん
アドリブ歓迎

「星月夜の日は、本当に星が思い思いに輝いてるわ」
水面と満天の星空に見惚れて、ほうっと呟く
夏の大三角と有名な星座にちょっとマイナーな星座も輝いて
「織姫星のベガもいいけど、私は冠座のゲンマかな」
ゲンマはラテン語で<宝石>、アルフェッカとも言って
アラビア語で<欠けたもの>という意味だそうだ
そんな説明も交えながら、二人に選ぶ星を尋ねる
「銀さんはそうかなって思ってた」
「そう、白と黄色の変光星だけど希望は黄色かな」

「さてと、どうなるかな?」
そっと掬って……これはシトリンね
光り輝くそれに暫く見とれる

終わった二人を確認すると手を振って……
(素敵な経験ができたわ)


麻生・竜星
【星月夜】
昴→スー
銀河→銀さん
アドリブ歓迎

「そうだな、まるで競っているようにも見える」
星達で埋め尽くす夜空は、言葉をなくすほど見惚れてしまう
星や星座達の説明をする彼女を見ながら微笑んで
「確か、スーの選んだ星は変光星だから何色になるか楽しみだな」
「俺はアンタレスにしよう。宝石としてはルビーになるかな?」
星の選択に銀さんがえっという顔をする
「今は蠍だけだから大丈夫ですって」
そう言ってちょっと苦笑い
オリオンは冬の星座だから今は地平線の下なのだ
銀さんの笑顔を見て一息ついてから、星を掬いに……
(あぁ、綺麗な色のルビーになったな)
鉱石ランプに入れると炎の様に輝く
手を振っている昴に気づくと合流した


北十字・銀河
【星月夜】
竜星→竜
昴→昴
アドリブ歓迎

「あぁ、まるで音楽でも奏でているようだな」
暫く星月夜の空を見上げてから水面に目を落とす
水面に輝く星達もまるで宝石だ
星の説明をする彼女にふっと微笑む
「流石、昴は詳しいな」
「俺は苗字にもなっている白鳥座のデネブにしよう」
北十字は白鳥座の別名だからと笑顔で
アルビレオでもいいがそれは連星で、花弁に乗るのかちょっと不安だから
「アンタレス……蠍座からかい?」
竜星の声に少し焦って見せる
蠍座とオリオン座は神話ではちょっとした敵対関係にあるからだ
彼の返事に分かってるよと笑顔で答える

水に揺らぐ星を掬う
(あぁ、綺麗な白オパールだ)
優しく輝く光に微笑んで二人と合流した




「星月夜の日は、本当に星が思い思いに輝いてるわ」
 ほう、と昴は息を吐き……星月夜で正しいのかしら? と首を傾げた。
 何せ此処は"月のない国"だ。確かに星が月の如く輝いてはいるけれども、月という概念そのものが此処には……
「そうだな、まるで其の輝きをここぞとばかりに競っているようにも見える」
「ああ。まるで音楽でも奏でているかのようだ」
 じゃなかった! 竜星と北十字・銀河(星空の守り人・f40864)の言葉に昴は頭をふると、改めて空を見上げる。
「私はかんむり座のゲンマを掬おうかなって」
「ゲンマ?」
 ふふ、と笑って昴は説明する。
「ゲンマはラテン語で『宝石』って意味なの。アルフェッカとも呼ぶそうよ。そちらはアラビア語で『欠けたもの』って呼ぶらしいの」
「ああ。確か……変光星、って奴だったか」
「そうよ。どんな色になるかとても楽しみ。二人はどんな星を掬うの?」
「俺は……アンタレスかな。順当に考えればルビーになりそうだが……」
「えっ」
 竜星が上げた候補に、思わず声を上げる銀河。どうしました、と首を傾げる二人に、銀河は照れ臭そうに後頭部を掻く。
「いや、……蠍座からか、と思うと少しね」
「ああー……はは。今は蠍だけだから大丈夫ですって。大体、オリオンが蠍から逃げ回っているから、この二つの星座は決して同じ空に現れる事はないって話ですよ」
 成る程、と竜星は苦笑を零し、本で得た豆知識を披露する。
「あ、いや、判ってる、判ってるよ」
 まるで宥められる子どものようだと照れて笑う銀河にほっと一息ついて、そういえば銀さんはどの星を掬うのだろう、と二人は視線を向けた。
「二人が詳しくて安心したよ。んー、俺はそうだな、北十字……白鳥座のデネブにしようと思っている。白鳥座の別名で、北十字っていうんだろ? 何とも縁を感じるからな。アルビレオでも良いんだが、あれは連星らしくてな……」
「うんうん、銀さんはそうかなって思ってた。みんな良い星が掬えると良いわね!」
 そうして、ゆっくり、ゆっくり。
 波紋を極力立てないように歩きながら、昴たちは水面の星図を歩く。
 昴はゲンマを見付けると、波紋が収まるのを待ち……どうなるかな、とわくわくしながら花弁で星を掬った。
「……わあ。黄色い輝き、……これは、シトリンね」
 矯めつ眇めつ眺めて、うん、と頷く昴。

 一方の竜星は、地平線近くの蠍を狙っていた。蠍の赤い心臓を狙う。何とも詩的な響きである。其処に迷いなく花弁を差し込み、そっと救うと……まさに深紅の鉱石が、花弁の上に乗っていた。
「綺麗な色だ。間違いなくルビーだな」
 そうして竜星は、持ってきていた鉱石ランプキットにルビーを入れる。赤い光が周囲に広がって、何とも言えず美しい。まるで本当に炎が燃えているかのようだ。

 同じタイミングで、銀河もまた北十字のデネブを掬い上げた。白く、しかし様々な色を内包した其の意思は、白いオパールである。
「……二人に見せたらどんな顔をするかな」
 昴と竜星、二人を思い浮かべて微笑んで。銀河が視線を移すと、昴が二人に手を振っている。
 其れはまるで、水面に移った星図で三角形を描くかのよう。三人は手を振り合って無事に掬えた事を示し、どんな石が掬えたのかと合流し、語り合うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マリー・アシュレイ
💎【花緑青】

引き続き2023年水着姿
空の鉱石ランプを持って

しつこく追ってくるオウガもいないし…
この世界にしちゃマシな場所ね
気に入ったわ

つい星空に魅入っちゃうけど…
湖面の星も探さないとね
今日はこれが本命なんだもの

ありがとう
ウェズリーから花弁を受け取って
躊躇わず水に足を入れ

…あ。あんまり大きく動くと、星が掻き消えちゃうのね…
そろりと動きながら、とっておきの星を探すわ

んー…そうね
あんまり大きさとか色とか拘りないわ
こういうのは直感で決めたいの

…あっ
視界に入ったひとつの光に惹かれて近づき
…ええ、見つけたわ
ウェズリーに微笑してから花弁で星を掬い

こんな風に…いつか私も、パパみたいに
私の守る人を見つけたいわ


ウェズリー・ギムレット
💎【花緑青】

引き続き2023年水着姿
空の鉱石ランプを持ち

マリーの言葉に
若かりし頃、何十年も相棒と共に
オウガから逃れながら「自分の扉」を探した事を思い出し

ははは…そうだね
よもやこの世界でこんなにのんびり過ごす日が来ようとは…

(相棒にも教えたい程だ。君の娘はこうして元気に過ごしていると
星空仰ぎ

それならこれを忘れずに
小瓶から取り出した花弁をマリーへ渡し
私も1片持ち水辺へ

なにか理想の星はあるのかね?
(直感…か。マリーらしい
思わず笑み毀れ

良い星と出逢えたようだね
さて、私は水には入らず
手の届く範囲で気に入った星を探し
花弁で掬った鉱石は丁寧にランプへ収め

ああ…きっと見つかるさ
良い出逢いがあるようにと祈ろう




 からん、からん、からん。
 空の鉱石ランプがマリーの手元で揺れている。
「しつこく追って来るオウガもいないし……この世界にしちゃマシな場所ね、気に入ったわ」
 マシな場所、と言いながらマリーは空を見上げる。ウェズリーの姿かたち、其の表情さえうかがえる明るさをこの星たちが生み出しているのだと思うと、えも言われぬ感情が湧きだして来る。
「ははは、そうだね。よもやこの世界で、こんなにのんびり過ごす日が来ようとは……」
 ウェズリーは笑いながらも、|相棒《アシュレイ》と共に『自分の扉』を必死に探し回ったのを思い出す。オウガから逃れながら必死に探し回った。幾つもの国を回った。……相棒がいたからこそ、楽しかった。と今は思える。
 相棒にも教えたい。君の娘はこうして元気に過ごしていると。恐れ多くも、ダンスパートナーを務めさせて頂いたと。ウェズリーは星を仰ぐ。きっと相棒は何処かにいて、自分達を見下ろしているのだろう。
 其れを知ってか知らずか、いけない、とマリーは其の白い指を己の頬に添える。
「……つい星空に魅入っちゃうけど……湖面の星も探さないとね。今日はこれが本命なんだもの」
「そうだね。其れならこれを忘れずに」
 ウェズリーは言いながら、小瓶から一枚の花弁を取り出してマリーへと差し出した。己も花弁を一枚持ち、星輝く水面へと踏み出す。
 ありがとう、と花弁をそっと受け取ったマリーは躊躇わず水に足を入れる。ふわり、と白のフリルが揺らいで、ふくらはぎまでが夜の冷たい水に浸かった。
 そうして見下ろすと……おやおや、波紋で星が巧く見えない。あら、とマリーは今気づいたと声を上げ。
「あんまり大きく動くと、星が掻き消えちゃうのね……静かに動かないと。ウェズリー、貴方もよ」
「ああ、判っているよ。そうだ、何か理想の星はあるのかね? この星が欲しい、とか」
「んー……そうね。あまり大きさや色にはこだわりはないわ。こういうのは直感で決めたいの」
 水面を見下ろして、時に空を見上げながらマリーは言う。直感とはまたマリーらしい。ウェズリーは心の中で静かに微笑した。
「あ」
 そう話していると、マリーの瞳にぱちりと輝いた星があった。まさに直感。有名な星ではない其れを、マリーはそろそろと追いかけて、花弁を差し込んで迷いなく掬う。
「見付けたのかい」
「ええ、見付けたわ」
 笑いながらマリーは花弁を持ち上げて、鉱石をウェズリーに見せてみせた。
 透明なのだが内側から輝くような鉱石は、成る程、少女の純情めいて美しい。
 さて、私はどうしようか。ウェズリーは水には入らず、手の届く範囲で星を捜す。どうせなら天の川を掬ってみたらどうなるだろう。僅かに残った悪戯心が顔を出し、ウェズリーは天の川へと花弁を沈めた。花弁を持ち上げると、小さな石が幾つか乗っている。
「あ、ずるいわ。ウェズリー、どんな手品を使ったの」
「これは手品でも何でもないさ。天の川を掬ったんだよ。……さあ、ランプに入れてみよう。私のものは固定できるかは判らないが……」
 そうして二人、鉱石ランプに鉱石を固定する。ウェズリーは固定するというより中に入れるという形になったが、ランプを得て美しく輝く白い光が、時折重なり、そして離れる。
「こんな風に」
 夏の風が吹く。
 マリーは髪を押さえ、そっと空を見上げる。
「いつか私も、パパみたいに。私の守る人を見付けたいわ」
「……。ああ。きっと見付かるさ」
 きっと良い出会いがある筈だ。だってマリーは、こんなに素敵なお嬢さんなのだから。
 ウェズリーは祈るように星を見上げた。何処にいるのか知れない相棒だが、きっと笑っているだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年07月27日


挿絵イラスト