サンダー・ストーム~雷気発勁
#サイキックハーツ
タグの編集
現在は作者のみ編集可能です。
🔒公式タグは編集できません。
|
●修羅の道
「ふん、道場としてもまあ悪くない。そろそろ門下生エスパーを集めるべきだろうな」
シン・ライリー。
元スキュラ八犬士『仁の犬士』であったアンブレイカブルは、紆余曲折の末、灼滅された。それが今、オブリビオンとして現れ、暗躍を始めているのだ。
そこは森の中に佇む、朱い五重塔。
その最上階にシン・ライリーはいる。
外は雷雨だ。雷鳴が轟き、雨が屋根や壁に吹き付けている。
「訓練用の木人たちも用意ができた。最低限、連れてきた門下生を殺せるくらいの強さがないと修練にもならんからな」
どうやらシン・ライリーは、この五重塔に一般人を連れてきて訓練を施し、門下生エスパーにしようという狙いらしい。
「強いものが育つまで屍の山を築いてもいい。武とはそういうものだ」
●グリモアベースにて
「……|復活ダークネス《オブリビオン》のシン・ライリーが事件を起こすみたい。力を貸して」
集った猟兵たちに、銚子塚・静歌(サイレントキラー・f43965)は端的に告げた。
「……敵は中華風の五重塔を拠点にしてる。そこに一般人の少年少女を連れてきて『門下生エスパー』にするつもり」
現在のところ訓練設備が整っただけで、一般人は連れてこられてはいない。
今がシン・ライリーの目論見を打ち破るチャンスなのだ。
「……五重塔の一階には、木人が置かれてる。訓練用のものが有名だけど、眷属化していて、どちらかというと木でできたロボットに近い」
木人は、一般人のうち才能のない者を容赦なく打ち殺してしまう程度の戦闘力を持っている。それが纏めて襲ってくれば、猟兵でも傷を負うかもしれない。
「……三階には拳獣王が待ってる。『純粋なる強さ』を求めることもあって、シン・ライリーの配下に加わったみたい。当然だけど、木人より強いから気をつけて」
もちろん、最も危険なのは最上階のシン・ライリーだ。
「……シン・ライリー。元は『仁の犬士』として大淫魔スキュラに加わっていたけど、その時からスキュラより強かった。雷気発勁っていう技を使ったり雷の闘気を纏って戦う。危険度★★だから、それなりに気をつけないと返り討ちに合うかも。大丈夫だと思うけど」
静歌の口振りには、猟兵たちに対するある種の信頼が込められていた。
軽く一礼して、静歌はグリモアを輝かせる。
「……そんな感じ。よろしく」
相馬燈
カンフー映画好きなんですよね……そんなに詳しくはないですが。
今回はオブリビオンの巣の攻略ということで、中華っぽい五重の塔を攻略するシナリオとなります。基本的に純戦です。だーっといってばーっと戦ってがーっと倒すみたいなノリです。
以下、各章の補足です。
●第一章
シン・ライリーの眷属である木人たちとのバトルです。
木でできたロボット、或いは絡繰人形といった風情で、格闘戦を仕掛けてきます。
わらわらいるので、上階に行くには片付ける必要があるでしょう。
●第二章
塔の第三階層で待ち受ける、『拳獣王』 との戦いです。「純粋なる強さ」の為に「知性」を放棄した、少女の形をしたアンブレイカブルです。
●第三章
最上階。
中華拳法使いのアンブレイカブルであるシン・ライリーとの戦いです。
危険度★★であり、かなりの強敵となるでしょう。
どの章からでも、どうぞお気軽にご参加ください。
それでは、よろしくお願いいたします!
第1章 冒険
『鍛錬、特訓、修行!』
|
POW : 筋肉はすべてを解決する!
SPD : 功夫の神髄を極めろ!
WIZ : 最新の研究に基づいた効率的なトレーニング!
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●木人拳
木人椿といえば、中華の地に発祥した詠春拳の鍛錬に使われるものとして知られる。
反射神経を鍛え、そして攻防に必要な動きを自らの身体に叩き込むそれは、ある種のサンドバッグとも言えるかもしれない。
けれどいま広々とした五重塔の最下層で待ち受けるそれらは、まるで別物だ。
まるでB級映画に登場しそうな木製ロボット、或いは絡繰人形といった風情である。
『起動。訓練を開始します。我々の目的は貴方を死域に追い込むことです。命を失うか、或いはさらなる高みに達するか、それは貴方次第です』
機械的な甲高い声で言うと、木人たちは両目をギラと光らせ、そして構えを取った。
まずは此処を越えねばなるまい――。
暗都・魎夜
【心情】
ダークネスってのはずいぶんと堂々と悪事を働くもんだな
たしかにここまで超能力が普通になっている世界だと、こそこそする方がかえって危険かもだ
それに、こういうやつは嫌いじゃねえ
存分に暴れさせてもらうぜ
【行動】
似たようなものは昔トレーニングで使ったことはあるけど、殺す気とはね
ポケットに手を入れたまま、「心眼」「見切り」で回避しながら進む
「俺を鍛えようって言うなら、15年は遅いぜ」
鋭い一撃が飛んで来たら「足払い」「カウンター」「とっさの一撃」で対応
最近の学生相手に、この手のついてこられる奴だけついてこい系の特訓は流行らねえぜ
ちゃんと一人一人に合わせてやるやり方を教えてやらねえとな
「ダークネスってのはずいぶん堂々と悪事を働くもんだな」
雷鳴が五重塔を震わせる。
オブリビオンの巣に、暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)は足を踏み入れていた。
小細工などいらない。正面から戦いを挑み、打ち砕くだけだ。
――ここまで超能力が普通になっている世界だと、こそこそする方が却って危険かも知れんしな。
開け放たれていた入り口から踏み込めば、兵馬俑さながらに居並ぶ木人たちが光る目を魎夜に向けてくる。まるで道場破りを待ち受けるかのように。
「こういうやつは嫌いじゃねえ――」
それは木人に、というより最上階で待つシン・ライリーに向けた言葉なのだろう。つまり――この戦場を整えた|復活ダークネス《オブリビオン》に。
『訓練開始。我々は貴方を死域に追い込むことを目的としています。死の淵に追い込まれることで人は力を発揮するのです』
魎夜の目の前で、木人たちがザザザッと一斉に構えを取った。
「存分に暴れさせてもらうぜ」
魎夜は木人たちに不敵な笑いを返した。
洗練された構えを取る|木人《かれら》とは対照的に、魎夜は構えという構えを取っていない。
――どころか、ポケットに手を入れたままである。
これが感情を持つ敵であるならば怒りや不審を覚えたかも知れないが、木人は絡繰仕掛けの木偶人形に過ぎない。目をギラリと光らせると、有無を言わさず踏み込み、拳打を仕掛けてきた。
――似たようなものは昔トレーニングで使ったことはあるけど、殺す気とはね。
風が唸る。
相手は眷属だ。繰り出される拳、そして蹴りはユーベルコードに等しく、|一般人《エスパー》の肉体を破壊するにも十分な威力がある。けれど、今回は如何せん相手が悪い。
「遅いな。どうにも|遅い《・・》」
口の端を歪めて笑んだまま、魎夜は悠然と歩を進める。前後左右から繰り出される木人の拳打・蹴撃を、紙一重で軽々と躱しながら――。
心眼、そして見切り。
その真髄を会得している魎夜にとって、こんなものは訓練にもなりはしない。
「俺を鍛えようって言うなら、|15年は遅いぜ《・・・・・・・》」
言った魎夜を、木人が遂に取り囲んでしまう。
全周囲から繰り出される攻撃は嵐もかくやだが、魎夜に取ればなんてことはない。頭を狙ったハイキックを紙一重で躱せば、風に赤髪が揺れた。
「がら空きだぜ」
軸足に足払いを食らわせて転倒させたかと思えば、別の木人が正面から繰り出してきた|直拳《ジーチェン》を躱してカウンターをぶち込む。確かな手応え。木人の頭が発泡スチロールのように砕け割れた。
前後左右からの舞うようなバタフライキック――その|旋子《シュエンズ》を避けざま、蹴りや裏拳で吹き飛ばしていく魎夜。
木人は確かに無駄のない動きを取る。
けれど、
「どうも上手く作りすぎたな。無駄がなさすぎるってのも欠点だ」
無駄を省いた絡繰の動き。
魎夜にとれば、それは単に|攻撃を読みやすい《・・・・・・・・》ということに過ぎない。
「最近の学生相手に、この手のついてこられる奴だけついてこい系の特訓は流行らねえぜ」
最悪、子供が攫われてコレの餌食になったかも知れないのだ。そう考えると、魎夜の拳にギリリと力がこもる。
正面の木人に拳を見舞えば、胴を砕かれた|木人《ソレ》が壁に打ち付けられ――ずるずると背を擦って床にくずおれた。
「ちゃんと一人一人に合わせてやるやり方を教えてやらねえとな?」
拳を振り抜いたまま、魎夜が小さく首を傾げて見せる。
包囲した木人たちが軒並み砕かれるのに、時はかからなかった。
大成功
🔵🔵🔵
皐・芽衣
育成熱心なのも考えもんじゃな。迷惑な。
一般人に手を出す前に、わしの相手で手一杯にしてやろうかの。
木人の絡繰か。
ふん、こちらの台詞じゃ。訓練になるかはお主等次第じゃな。
基本は状況を[見切り]、【乱闘遊戯】での徒手空拳で受け止め、反撃。
状況に応じて[グラップル]に持ち込んで[足払い]したり、
[仙術]由来の[怪力]で木人を[部位破壊・ぶん回し・なぎ払い]、
武器代わりにして[功夫]に使ったり[敵を盾にした]り
[投擲]してぶつけ[吹き飛ばし]たりして、乱戦を凌いでいこうかの。
ざっと、こんなものか。
この絡繰も、敵の眷属ではなく、まともな訓練で出会えたのなら
一対多の良い練習相手じゃったろうにな。
『訓練を開始します』
居並ぶ木人たちが、駆動音を響かせて一斉に構えを取った。
その直角三角形のような両目がギラと発光し、絡繰人形らしからぬ殺気を放つ。
眷属なのだ。
これではたとえ超常の力を持つに至った|一般人《エスパー》でも荷が重いだろう。そうして選別した才人をシン・ライリーは鍛え上げようとしているのか――。
「育成熱心なのも考えもんじゃな。迷惑な」
ジリジリと間合いを詰めてくる木人たち。
その前に立って、皐・芽衣(金色一角のメイメイ・f35724)はふうと吐息した。
「一般人に手を出す前に、わしの相手で手一杯にしてやろうかの」
芽衣の赤き瞳は、居並ぶ木人たちの動きを見透すかのようだった。
丹田で気を練れば、凄まじい闘気がその五体から溢れ出す。
『これは実戦を想定した訓練です。たとえ命を落としても、お恨み無きよう』
「ふん、それはこちらの台詞じゃ。訓練になるかはお主等次第じゃな」
その見た目に反して、木人たちは俊敏だ。連携も取れている。
左右に散開して包囲を試み、正面の木人たちが拳打を繰り出してきた。
ヒュオと風切る木拳は、エスパーの顔を柘榴のようにしてしまう威力はあろう。
「遅いのう」
が、風が唸る音を聞きながら、芽衣は紙一重で拳を|いなして《・・・・》いく。繰り出される拳に手の甲を添えるようにして逸らしているのだ。
「ハッ――!」
そして気合一斉、内力を込めた両の掌底が瞬く間に前方の木人二体を吹き飛ばし――壁に激突させて機能停止に追い込んだ!
そうしながら、芽衣は左右に目を配るのも忘れない。
「集団戦の鍛錬ということじゃろうがな」
上体を後ろに逸らす。
右、そして左。繰り出された木人の脚が芽衣の眼の前でクロスした。
「甘いわ!」
そのハイキックを躱した刹那、芽衣の神羊脚が木人たちの軸足を払って転ばせた。攻防一体の技だ。その証拠に芽衣の頭上を拳がかすめ、それを繰り出した木人たちは勢い余って互いの顔面を殴り飛ばしていた。火花を散らして倒れ込む木人たち。
流れるような芽衣の連撃は留まることを知らない。
「これでどうじゃ!」
内功を自在に操る時、小柄な肉体は途方も無い怪力を生じさせる。芽衣はあろうことか倒れた左右の木人たちの脚を抱えてぶん回し始めた!
包囲しかけていた木人たちが面白いように薙ぎ倒され――その余りの勢いに、芽衣が抱えていた木人の脚が千切れた!
片足を失って床を滑っていく二体の木人。
抱えたままの脚を思わず二度見する芽衣。
「……。これは強度に問題ありじゃな」
頷き、
「まあよい、使えるものは何でも使うのが実戦というものじゃ」
木人の脚は、即席の巨大双鞭となった。接合部のシャフトを掴み、軽功を駆使して舞うように振るえば、取り囲もうとした木人たちが弾き飛ばされて次々に倒れていく。
凄まじき乱闘遊戯――それはこの五重塔の戦いに、まさにうってつけの|功夫《・・》だった。
「ざっと、こんなものか」
倒れた木人たちが円を形作っている。
「この絡繰も、敵の眷属ではなく、まともな訓練で出会えたのなら」
その中心に立つ芽衣は、両手をはたいて吐息した。
「一対多の良い練習相手じゃったろうにな――」
大成功
🔵🔵🔵
劉・涼鈴
門下生を募るのはいいけど、ふつーに考えて拉致んのはダメっしょ
悪い道場をやっつけて、劉家拳を宣伝してやろっと!
ふふー、木人椿を用意してくれるなんて準備いーじゃん!
しかも自分で動いてくれるなんて、より実戦的だ!
ふぅぅぅ――!!
劉家拳の構えを取りながら、大きく息をして【気功法】で体内を循環する気血水を整える、【劉家神髄・西王母呼吸法】!
漲る【覇気】! 冴え渡る直感(野生の勘・心眼)!
劉家の【功夫】を見せてやる! いっくぞー!!
力強く俊敏な足運び(ダッシュ)で距離を詰めて、【怪力】を余すことなく乗せた拳打で打ち据える!
軽やかに飛び跳ねて(軽業・ジャンプ)、【踏みつけ】、蹴っ飛ばし!
おらおらおらー!!
『訓練を継続します』
あちこちに残骸が散らばる中、木人たちは新たな門下生の来訪にその目を光らせた。否、実際には門下生などではない。鮮麗なる真紅の生地に黄金龍が刺繍された|旗袍《チャイナドレス》を纏い、自信満々に歩んでくるその者の名は劉・涼鈴(鉄拳公主・f08865)。
「門下生を募るのはいいけど、ふつーに考えて拉致んのはダメっしょ」
燃えるような赤き瞳をキラと輝かせると、涼鈴はまず片掌を前に突き出す|弓歩《ゴンブー》に似た構えを取ってみせた。
「悪い道場をやっつけて、劉家拳を宣伝してやろっと!」
『それでは鍛錬を開始します。この鍛錬は命を落とす可能性があります。どうぞ悔いなきよう』
涼鈴に呼応して、居並ぶ木人たちが一斉に拳を突き出して構えを取る。如何にも機械的な、それでいて修練を積んだ拳士たちのような整然たる身ごなしだった。
「ふふー、木人椿を用意してくれるなんて準備いーじゃん!」
涼鈴は流れるような所作で片膝をあげ、軸足一本で立つ構えに。
劉家拳伝承者である彼女にとっても、木人椿は馴染みのある訓練器具らしい。
「しかも自分で動いてくれるなんて、より実戦的だ!」
快活に笑うその姿からは想像もできないような闘気が、その体からゆらりと溢れ出した。
「ふぅぅぅ――!!」
そしてそれは呼吸によって更に高められていく。
丹田で練り上げた内力が、それこそ焔の如くに燃焼しているのだ。
気功法を駆使すれば、全身に流れ通う気血に僅かな淀みもない。自らに流れる『力の源』を制御する技こそ、内功を発揮する肝心にして要である。
即ち人体を構成する三大要素である気・血・水を整え、身体能力を爆発的に上昇させる妙技。それこそが、|劉家神髄・西王母呼吸法《リュウケシンズイ・セイオウボコキュウホウ》――!
「劉家の|功夫《カンフー》を見せてやる! いっくぞー!!」
こうなれば木人の機械的反応速度より、涼鈴の踏み込みのほうが遥かに速い。遅れて直拳を突き出そうとした正面の木人に拳打を見舞えば、その硬い胴が何かの冗談のように爆ぜた。打たれ吹き飛んだ木人が壁に激突し、動かなくなる。
まずは一体。
『良い動きです。鍛錬の難度を上昇させます』
左右に展開していた木人たちが次から次へと|旋子《シュエンズ》を繰り出してきた。空中で入り乱れながらも決してぶつかることのない、絡繰人形の精密さと連携を駆使したバタフライキックだ。
「おぉー、跳んできた! なら蹴り飛ばすまでだ!!」
軽やかに跳躍すると、空中で回し蹴りを繰り出す涼鈴。旋風脚だ。さながら渦巻く竜巻の中心となった涼鈴の蹴りは、ただの蹴りに留まらない。それは猛烈な風を呼び、襲い来る木人たちを吹き飛ばしていく!
着地するや否や弾かれるように正面奥の木人に飛び蹴りを食らわせてそのまま踏みつける涼鈴。吹き飛ばされ起き上がろうとしていた木人には素早い拳を打ち込んでその頭部を破壊し、襲いかかってきた木人の胴めがけて連打また連打――!
「おらおらおらー!!」
まるで零距離で機関銃を喰らったような――否、恐らくはそれよりも威力が高い拳の連撃に砕かれ、火花を散らして崩れ落ちる木人。
劉家拳を駆使する涼鈴により、木人たちはまさしく木っ端微塵となった。
大成功
🔵🔵🔵
木元・明莉
門下生育成の為の準備は怠らない、か
なんてか、シン・ライリー、マメだな
…とか感心してる場合でもないか
ばーっと行ってだーっと倒す為にもこちらも訓練に使わせてもらおう
いうても数の暴力は脅威ではある
とりあえず上階に上がる階段の位置をざっくり確認
訓練といえど捌ききれない程の数の相手をして消耗が過ぎるのも考えモンだし
大刀「激震」を手に適度に攻撃を受け流し、迎撃の中で急所を見抜けばその部位を激震で叩き壊して木人の動きを封じつつ進んでこかね
全て潰しながら進む訳じゃないし
上への階段近くまで来れば追い縋る木人達を近接距離へと引き寄せ、UC【激震】
纏めて潰し、ついでに大刀からの衝撃波で後方の木人達も切り裂いておこう
「門下生育成の為の準備は怠らない、か」
五重塔に踏み込んだ木元・明莉(灼滅者のストリートファイター・f43993)は、残存する木人たちが構えを取るのを見た。どうやらこちらを門下生と認識したらしい。
「なんていうか、シン・ライリー、マメだな」
わざわざこんな|訓練装置《・・・・》を用意するあたり、なんだか後進の育成に熱心な道場主といった風情である。真面目なことだ。その方向性はだいぶ間違っているけれど。
「……いや感心してる場合でもないか」
『訓練を開始します。ご準備はよろしいでしょうか』
慇懃な口調ながらも、木人たちは殺気と闘気の両方を放っていた。やはり眷属と言うだけのことはある、と明莉は見定める。少しばかりアンブレイカブルにも似ているが、一体一体を見れば流石にそれより力は低い。
「訓練か。ならばこの際、使わせてもらおう」
ばーっと行ってだーっと倒す為にも、ここで体を温めておくのは決して悪いことではない。それに、こんな危険な|木人《モノ》、放置するわけには行かないのだ。
激震の名を冠する大刀を構える。
そして明莉は、手にした得物と同じくらいに鋭く輝く銀色の瞳を、木人たちに向けた。猟兵であり灼滅者である明莉に、木人一体一体の力は到底及ばないが、
――いうても数の暴力は脅威ではある。
モノによるが、眷属とは概してそういうものだ。それを、この世界で戦ってきた明莉は|熟知している《・・・・・・》。
消耗が過ぎるのも考えモンだし――囲まれるのを避けるためには、利用できるものは利用したい。それゆえ、明莉は敵を前にすると同時に、戦場を見渡してもいた。
――階段は、向こうだな。
おおよその距離を一瞬で判断し、明莉は刹那、踏み込んできた木人に対処する。繰り出される硬い木の拳。それは風を呼んで唸り、門下生の頭を問答無用で砕き割る凶器そのものである。
連打が襲いかかる。
「まあこのくらいの拳速は出せるかね」
しかし明莉は飽くまで涼しげな表情を崩さない。間合いを計りながら、激震で木人の拳打を受け流していく。幅広剣であることを利用して剣の腹で逸らし、そのまま衝撃波を利用して袈裟に敵の腕根を切った。そして返す刀で、蹴りを繰り出してきた木人の脚を斬り飛ばす。否、吹き飛ばした。
剣光が弧を描くたび、木人の腕や足が飛んでいく。
大刀と格闘では、当然ながらリーチにかなりの差がある。実力者であればその差も埋められようが、|木人如き《・・・・》では、明莉を相手にするには荷が勝ちすぎるというもの。
「止められるもんなら止めてみろ」
明莉の進む所、腕を斬られ脚を斬られ首を斬られて、木人たちが次々と行動不能に追い込まれていく。
『これは寡を以て衆を破る訓練です。総出で仕掛けます。お覚悟を』
それでも怯まないのは、木人たちが絡繰であるからだ。残る戦力を総動員して、明莉ひとりを遂に取り囲んでしまう。
「臨むところだ」
短く言い、腰を落として大刀を構え、明莉はその実力の一端を開放した。
その名も|激震《ハスルチカラ》――同名の幅広剣が円を描けば、剣閃が衝撃波を生じさせて周囲の木人どもを纏めて斬り裂き、吹き飛ばす!
「全て潰すつもりはなかったが、まあ別にこれならこれでいいか」
その威力たるや、残存する後方の木人たちをも一太刀で斬り捨ててしまったほどだ。まさに圧倒的というほかない。
上階につながる階段に悠然と歩みを進める明莉。
その背後には、全滅を遂げた木人の残骸が数え切れないほど転がっていた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『拳獣王』
|
POW : 拳獣王咆哮
【心臓を破裂させる咆哮】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD : 重撃拳
【鋼より重く速い拳】で近接攻撃し、与えたダメージに比例して対象の防御力と状態異常耐性も削減する。
WIZ : 野獣撃
【拳】が命中した敵から剥ぎ取った部位を喰らう事で、敵の弱点に対応した形状の【爪や牙を持つ野獣形態】に変身する。
イラスト:させぼのまり
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●立ちふさがるは拳獣王
五重塔の一階に配置された木人たちを蹴散らして、二階を踏破し、三階へ――。
そこには凄まじい闘気を放つアンブレイカブルの少女たちが待ち構えていた。
「お前たちが……私の相手……!」
「グ、ゥゥゥ……アァァァァ!」
歯を剥き出しにして眦を裂く。塔をビリビリ震わせるその咆哮は、相手の心の臓にダメージを与えるほどのものだ。
その闘気たるや赤々と燃え上がり、まるで|幻獣種《イフリート》のような様相を呈していた。
その肉体は鋼。心は既に獣也――。
猟兵たちを砕き散らさんと、拳獣王たちが焔の如き闘気を迸らせる!
皐・芽衣
知性を捨てて強さを、か。
わしとは考えが合わんが……まぁ、この場は勝った方が正義じゃろな。
そういえば、この娘らはシン・ライリーの配下じゃったか。
獣の闘争心、ちと試してみるか。
【神羊拳・纏雷】で、帯電させた闘気を纏い[覇気]で[威圧]。
シン・ライリーも雷を使うんじゃろ?
格上と同系統の技を見て、獣の心は萎縮するかしないか、どうじゃ?
まぁ、萎縮しようがしまいが、わしには関係無いがの。
[電撃]を浴びせ[範囲攻撃・マヒ攻撃]で動きを鈍くして
攻撃を[見切り]受け、[功夫]で[カウンター]からの連続攻撃。
鋼の肉体が自慢なら、[闘気]を流し込んで[鎧無視攻撃]。
知性なしでは使えぬ技術、冥土の土産にすると良い!
「グルルルルゥゥァァァァ……!」
闘気を発散する拳獣王。その瞳は溶岩のように赤く、そして淀んでいた。捨てるべきでないものを捨ててしまった壮絶な覚悟が、少女を凶獣と化させたのか。
|偶因狂疾成殊類《心を病み、狂気の果てに人外となって》――さながら虎と化した中華の詩人のように。
「知性を捨てて強さを、か」
ビリビリと空気を震わせるその『気』を肌で感じつつ、皐・芽衣(金色一角のメイメイ・f35724)は呟いた。知性を打ち捨ててしまえば、人の人たる証を失うこととなる。
「わしとは考えが合わんが……まぁ、この場は勝った方が正義じゃろな」
千言萬語も今は虚しきもの。
ならば拳でこそ語らおうぞ。
芽衣は静かに構えを取った。
「そういえば、お主らはシン・ライリーの配下じゃったか」
バチ、バチリ――芽衣の総身から雷気が迸る。闘気が帯電し、スパークしているのだ。
「獣の闘争心、ちと試してみるか」
拳獣王たちは歯を剥き出しにして唸り始めた。その心はもはや獣。そうであっても、いやそうだからこそ、彼女らは芽衣を油断ならぬ大敵と――自らを|殺傷し得る《・・・・・》存在と認めたらしい。
「シン・ライリーも雷を使うんじゃろ?」
練り上げられた『気』に呼ばれたかのように、雷霆が近くに落ちて五重塔を震わせた。
「格上と同系統の技を見て、獣の心は萎縮するかしないか、どうじゃ?」
「グゥゥゥ……そんなの、モノ……!」
恐怖とは一種のストレスだ。それを吹き飛ばすように咆哮し、拳獣王が突進してくる。並の拳士ならその叫びを聞いただけで荒肝を抜かれたろうが、芽衣は微動だにしない。
繰り出されるは重撃拳。鋼よりも重く、砲弾よりも速い超常の拳である。
「感じるぞ、お主等の恐れが」
しかし拳獣王たちが肉薄するより前に、芽衣は掌を前へと突き出していた。闘気放出。まるで光の蛇さながらの電撃が幾筋も迸り、拳獣王たちに襲いかかる!
「ガァァァァアアアッ!」
両腕でガードしながら突っ込んでくる拳獣王たち。
「ふむ、流石にこれは耐えるか」
轟! 繰り出されるアッパーのような拳獣王の|抛拳《パオチュアン》は焔の如き闘気を纏い、相手の生命を奪うのに微塵の躊躇いもありはせず。その威力、先に相対した木人の比ではない。
「じゃがな、見えておるぞ」
紙一重で避けて逆に顎に掌底を見舞う芽衣。卓越した掌法により尋常ならざる掌力を発揮し、片手では裏拳を別の拳獣王の顔面に叩き込んでいた。
そして――|それだけではない《・・・・・・・・》。
「ガ、アァァッ!?」
床に転がり、のたうちまわる拳獣王たち。
知性なき彼女らは、ただ驚愕と痛み、そして電撃がもたらす苦悶を感じていた。もし考える力があったなら、或いは対峙の時点で見て取ったかも知れない。
|あの闘気に触れてはならない《・・・・・・・・・・・・・》と。
「これぞ我が|神羊拳・纏雷《シンヨウケン・テンライ》。知性なしでは扱うことの出来ぬ功夫よ」
戦いとは単なる力と力のぶつかり合いだけではない。
初手で芽衣が放った雷撃で、拳獣王たちの筋組織には損傷が生じ、その踏み込みと拳速は十全なものではなくなっていた。そして満を持して繰り出した芽衣の雷纏いし掌と拳は、拳獣王の鋼の肉体に触れた瞬間、烈しい電撃を流し込んでその生命を刈り取ったのだ。布石も決定打も、敵は読むことが出来なかった。
「考えることを忘れた獣どもよ。この|功《わざ》を冥土の土産にすると良い!」
電撃が爆ぜ、武の獣と化した拳士たちが返り討ちにされていく――!
大成功
🔵🔵🔵
暗都・魎夜
【心情】
パッと見ただけで全身の気って奴は感じ取れるし、本気で咆哮上げれば町一つ吹き飛ぶ威力とは恐れ入ったぜ
純粋な力を求めたってのは伊達じゃねえな
こっちも油断は出来ねえな
【戦闘】
さて、道場破りの時間だぜ
こちらも拳を構え応戦
「心眼」「見切り」で攻撃を回避し「カウンター」を決める
間近で見て分かったが、これ掠っただけでも洒落にならねぇぞ
これで野獣形態とやらにまで変身されたんじゃ、並の奴がここを通るのは無理だな
「勝負勘」で機を見極め、UCを発動し「グラップル」で攻撃
時折「殺気」を込めた「フェイント」でけん制
知性を捨てる思い切りは嫌いじゃねえが、知性の良さを捨て過ぎたのは敗因だったな
「グルルルルルァァァァァ!」
激闘が幕を開け、猟兵の攻撃を受けた拳獣王の闘志は更に高まっていく。
さながら火に油を注いだかの如しだ。血に酔った獣のように、その真っ赤な瞳は妖しく輝き――自らの前に立つ暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)を睨みつける。
焔を思わせる赤。その赤髪と瞳に拳獣王は高ぶり、闘志をたぎらせていた。
「とんでもねえ威力の咆哮とは恐れ入ったぜ。純粋な力を求めたってのは伊達じゃねえ」
自身の掌に拳をバチリと打ち当てて、楽しげに笑う魎夜。
達人というものは、立ち会っただけで相手の力量を計ることができるものだ。
拳獣王の燃え上がるような闘気は可視化できるほどで、その一撃をまともに喰らえば猟兵とてただでは済むまい。
――こっちも油断は出来ねえな。
思いながらも、魎夜は愉快そうに笑い、そして構えを取った。
「さて、道場破りの時間だぜ」
「コロ、す……この、拳で……!」
ダッと床を蹴り、瞬く間に間合いを詰めてくる拳獣王。その踏み込みは砲弾の終端速度を凌駕している。炎の如き闘気纏いし重撃拳は、分厚いコンクリートさえ一撃のもとに爆砕してのける超常の一撃だ!
「っと、思ったより速ぇな」
魎夜は拳獣王の腕の動き、脚の動きを見切ると、距離を読んで確実に回避する。拳風だけでも常人を昏倒させる威力があり、見極めて躱さないと体勢を崩されかねない。
凄まじい威力の拳打に|空《クウ》が唸る。
――これ掠っただけでも洒落にならねぇぞ。
野獣形態も脅威だ。そこそこの遣い手でも此処を突破することは不可能に違いない。
だが、当然ながら……魎夜は凡百な遣い手などではない!
「こいつでどうだ!」
|高速回転キック《グラインドスピン》を拳獣王の首根にブチ込む魎夜。別方向から拳を繰り出した拳獣王にそのままクロスカウンターを見舞うかと思われた刹那、魎夜は裏拳の要領で繰り出された敵の腕を弾いていた。
「流石にまともに食らうわけにはいかねぇからな」
高威力の重撃拳は、それだけに全身の筋肉を総動員する。したがって一度逸らされてしまうと体勢を崩しやすいのだ。初撃でそれを|見切って《・・・・》いた魎夜は、フェイントを交えて猛攻をいなし、
「喰らいやがれ!」
がら空きになった胴に拳打を叩き込む! 魔召機甲イグナイトバイザー・ツヴァイに覆われた拳、その|衝撃《インパクト》は強烈という言葉さえ生易しい。臓腑を破壊するパンチはクリーンヒットしたこともあり一撃のもとに拳獣王を打ち倒し、魎夜はよろめいた別個体の頭部を掴んで|強烈な頭突き《ライジングヘッドバット》をブチ込んだ!
「ガ、アッ……!?」
目から火花が散るとはまさにこのこと。
頭突きを喰らった拳獣王が赤き瞳を見開いて、そのまま背中から倒れた。
「知性を捨てる思い切りは嫌いじゃねえが、知性の良さを捨て過ぎたのは敗因だったな」
拳獣王の繰り出す重撃拳――その一撃の威力は、確かに魎夜さえ感嘆させるものだった。けれど重い拳打を当てようとする時、攻撃はどうしても直線的になりやすい。故にそれを見切り、反撃できる技量を備えた魎夜が勝つのは理の当然。
「グルルルゥゥゥゥ!」
「かかってこいよ。何人こようが無駄だってこと、思い知らせてやるぜ!」
赤き手甲に覆われた拳を構えて、魎夜は不敵に笑った。
大成功
🔵🔵🔵
劉・涼鈴
鋼の体に獣の心……そんだけ?
それは功夫じゃねーな! 鉛玉と変わんないね!
かかって来なよ、殺し技の極致ってのを見せてやる(挑発)
どんだけ拳が重くて速かろうが、そこには技がない!
怒った獣に【殺気】は隠せない、威は意に沿ってやって来る!
【心眼】で殺意を感じ取れば、超音速だろうが遅すぎて欠伸が出るね!
練り上げた【功夫】による幻惑の歩法で踏み込む!
虚実入り混じる【殺気】は天衣無縫、どこを打つのか悟らせない!
軽く触れるだけの打撃は【気絶攻撃】――体内を巡る「気の流れを絶つ攻撃」だ!
両肩の経絡を閉じて腕を封じ、丹田を突いて下半身を萎えさせ立てなくして、額を小突けば即ち死ぬ――【劉家奥義・四凶戮塵拳】!
「鋼の体に獣の心……そんだけ?」
激戦が繰り広げられている五重塔の三階に、その声は投じられた。
超常の格闘が奏でる音と音の狭間に、まるで狙い澄ましたかのように。
「グルルゥゥゥゥゥゥ!」
拳獣王たちが歯を剥いたのも、むべなるかな。
小首を傾げて目をパチパチさせた劉・涼鈴(鉄拳公主・f08865)は、心からの疑問を口のぼせる無垢なる少女のようであったのだ。だがそれも一瞬のこと。拳を構えてニヤリと口角を上げ、涼鈴は一転して挑戦的な表情を浮かべる。
「それは功夫じゃねーな! 鉛玉と変わんないね!」
手の平を上に向けてクイックイッと手招きする涼鈴。それは恐らくこの世界で最も有名なカンフーマスターの仕草とよく似ていた。
「かかって来なよ、殺し技の極致ってのを見せてやる」
「グガァァァァァァァァ!」
まさに怒髪衝天、黒髪を逆立てて拳獣王が突進してくる。
ここまで挑発されれば、如何に知性を打ち捨てて獣と化した拳士でも怒りを沸騰させずにはいられない。真紅の瞳は瞋恚に燃え、繰り出される拳は徹甲弾もかくやだ。その重撃拳の威力の前には、生身の肉体など原型さえとどめない――!
拳風が唸り、涼鈴の銀髪を躍らせる。
一打、二打、三打――危険極まる猛烈な拳打は、しかし虚しく空を裂くのみ。拳獣王の拳に、腕に、何の手応えも寄越しはしない!
「遅い遅い!」
恐るべき威力の拳を躱しながら、涼鈴は飽くまで余裕の表情を見せたまま。当然だ。功夫を極めし者は、自身を取り巻く万象の流れを、そして相手の気を鋭敏に感じ取る。殺気もまた然りだ。獣と化し、怒気に身を委ねた拳士たちの殺意は、余りにも読みやすい。
「どんだけ拳が重くて速かろうが、そこには技がない!」
威は意に沿ってやって来る。
そして敵の拳は|意よりも遅い《・・・・・・》。
故に涼鈴には砲弾のような拳の軌跡が完全に読めていた。来ると分かっている攻撃を避けることほど簡単なものはない。もちろん、それを躱す力量があればだ。
「超音速だろうが、遅すぎて欠伸が出るね!」
「ッ……ア……!?」
拳獣王の表情に動揺が兆した。獣の感じる本源的な恐怖。振り払うように繰り出した拳打・蹴撃は、しかし涼鈴の過去位置を通り過ぎるだけだ。
幻惑の歩法。そして虚実入り交じる殺気。
僅かな乱れもないその動きはまさに天衣無縫。
「……ゥゥゥウウウウ!」
拳獣王はまるで檻に閉じ込められた状態で槍に苛まれる手負いの獣だ。こうなればただ我武者羅に|攻撃を仕掛け《あばれ》るのみ。
「実はあんま好きじゃないんだけどね、これ!」
直後、剣訣めいた涼鈴の指が、トトトンと拳獣王たちの肩を突く。
「ガッ……!?」
振るいかけた拳獣王たちの腕が、刹那、だらりと垂れ下がって纏う闘気さえ消え果てた。
「終わりだ」
僅かに声のトーンを落として、涼鈴が告げる。
拳獣王たちがもし知性を捨てていなかったら、自身の身に何が起こったのかを理解できたかも知れない。
それこそは経絡を――体内に巡る気の流れを遮断し、肉体の動きを封じる秘技。がら空きの丹田を拳で突くと、拳獣王たちは為す術もなく膝をついた。そして流れるように額を小突けば、まるで糸の切れた操り人形のように拳獣王たちが倒れ伏す。それきりもう起き上がることはない。二度と。
それこそは|劉家奥義・四凶戮塵拳《リュウケオウギ・シキョウリクジンケン》。
経絡を封じ、たちまちに命を刈り取る恐るべき劉家の秘奥である。
「グ、ウゥゥゥゥゥ…………」
言い知れぬ恐れを抱いたか、残る拳獣王たちがじりじりと後ずさった。
大成功
🔵🔵🔵
木元・明莉
拳を振るう手練でも心を失くせばこうなるか
それでも、動きを見れば戦闘における無意識の知はまだ残ってそうだ
アンブレイカブルらしいといえば、らしいな
相手が獣の猛々しさで攻めるならばこちらは技で対抗しよう
UC発動
手数の多さで拳獣王の近接を許さず
その手数での反応で急所を見抜き
軌道を調整し的確に部位破壊の拳で叩き込む
重撃拳の発動の気を瞬間思考で読み取ると同時に櫻光花滴でオーラ防御
避け切れなくとも直撃と防御力の低下は相殺出来るか?
今迄多くのダークネスと闘って来たけど、「思考」する事は大事だよ
放棄すると「堕ちる」
挙句オブリビオンなんぞに成り果てるなら
それはやはり強さではないんじゃないかね
…なぁ、シン・ライリー
「ガアァァァァァァッ!」
拳獣王の咆哮。それは相対する者の本能的恐怖を呼び起こす凶獣の叫びだ。
赤く淀んだ瞳は燃え上がる闘志に塗りつぶされ、ただ眼前の敵を睨んでいた。怒れる獣の攻撃性と、格闘家としての反射神経を両立させた闘士――その身体能力は、人の域を遥かに超えている。
「拳を振るう手練でも心を失くせばこうなるか」
自らに突っ込んでくる拳獣王たちを見据えて、木元・明莉(灼滅者のストリートファイター・f43993)は静かに吐息した。
強くなりたい――ただ、強く。
その思いがこの|凶獣《ケモノ》を生んだのか。
「アンブレイカブルらしいといえば、らしいな」
それでも、動きを見れば戦闘における無意識の知はまだ残ってそうだ――明莉は一瞬でそう判断した。達人は体に刻み込んだ格闘術を、意識せずに操ることができるものだ。
だったら、と彼女らは思ったのだろう。武の獣と化しても構わないと。
「グゥゥゥゥゥアアァァァァ!」
踏み込みの速さもまた人の域を超えていた。古来、自然界では人間など猛獣の前に容易く屠られる程度の存在に過ぎなかった。熊や虎に、人の肉体が勝てるわけはないのだ。
しかしそれは力を持たぬ者、知性を活かさぬ者、そして鍛えを積まぬ者の話である。
「体勢を崩させるつもりか。だがそうはいかない」
無駄な力を抜いて構えを取り、息を吸う。
刹那、明莉が繰り出した一撃は恐るべきものだった。正拳を放てば眼前に迫る拳獣王が吹き飛び、太い丸柱に激突した。正拳突き『龍顎拳』と衝撃波『龍撃砲』の合せ技だ。敵が砲弾の如き拳打を放とうとするならば、こちらも相応の技を以て応じるのみ――。
喉の奥から絞り出すような拳獣王の唸り声に、明莉の目が鋭く尖る。
いや、左右から襲い来る敵の明確な殺気から、渾身の一撃が来ると判断したのだ。
咆哮し、拳獣王たちが挟撃するように明莉に拳打を振るう。轟と鳴る拳風は、まるで凄まじい猛火が旋風を呼ぶのにも似て、放たれる重撃拳は速く重い!
「なるほど。食らうわけには行かないな」
刹那、拳を繰り出した拳獣王たちが目を見張った。
それはさながら暗き渇望の闇を照らす光だ。
輝ける桜花が舞ったかと思えば、霊気に変わり、明莉を守るように包み込む。左右から襲い来る砲弾の如き拳は、まるで傾斜装甲にでも弾かれたように逸れ、その威力を大きく削られていた。
「体勢を崩したのはお前たちの方だったな」
告げるや否や、明莉は軸足で床を擦り、渾身の蹴りを放つ。それこそは満を持して放った|龍尾脚《まわしげり》。まさに龍攘虎搏――否。龍と知性なき獣が相打てば、前者が勝つのは道理だ。
床に転がった拳獣王たちが体を起こそうとするも……力尽きて倒れた。
「今迄多くのダークネスと闘って来たけど、『思考』する事は大事だよ。放棄すると『堕ちる』」
確かに拳獣王たちも超常の力を得ることには成功したのだろう。
けれどその先は行き止まり。闇に閉ざされた袋小路だった。
「挙句オブリビオンなんぞに成り果てるなら、それはやはり強さではないんじゃないかね」
心を失い、ただ戦いを求めるだけの存在と成り果てた。その点で拳獣王はアンブレイカブルの哀しき末路を体現した存在と言える。そして――、
「……なぁ、シン・ライリー」
最上階で待つ復活ダークネス。
その在り方に思いを馳せ、明莉は呟いた。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『シン・ライリー』
|
POW : 雷気発勁
光輝く【雷光を纏った雷気発勁モード】に変身する。武器は【己の肉体】しか使えないが、[己の肉体]の射程外からのダメージは全て100分の1。
SPD : 迅雷脚
【雷の闘気】を纏い空中高く舞い上がった後、敵めがけて急降下し、[雷の闘気]が尽きるまで【雷光を纏う蹴撃】で攻撃し続ける。
WIZ : 仁の格闘家
【格闘技】を披露した指定の全対象に【自身もアンブレイカブルになりたいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
イラスト:オリヤ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●頂上決戦
「ふん、よく此処まで辿り着いた」
五重塔の最上階、その中央にシン・ライリーは立っていた。
「称賛に値する。俺が闘うに足る相手だと認めよう」
構えを取るや、その全身を雷の闘気が取り巻いた。
雷気発勁。それは内に巡る気を、雷電に変換して操る超絶技巧である。
動けば迅雷の如く、拳を振るえば雷霆の如し。
まさしく万夫不当、恐るべき仁の拳士である。
「腕が鳴る。何しろ久方振りに力を振るえるのだからな」
かつて灼滅者によって倒されたシン・ライリー。その末路は、武の本懐を遂げたなどとはおよそ言いがたいものだった。
だが復活を果たし、今此処に相まみえた猟兵たちは、間違いなく全力を尽くすに足る相手だ。自らの意志で死合えることにシン・ライリーは高揚していた。
「行くぞ。退屈させてくれるなよ……!」
雷鳴がひときわ大きく轟き、塔全体を震わせた。
皐・芽衣
一角の格闘家にお褒めいただいて光栄ではあるんじゃが……
わしは、お主を楽しませるために上ってきたわけではないんじゃがの。
お主を罪を裁定にきたんじゃ。獬豸の裁きを味わうと良い!
わしの[仙術]と理屈は違っても
[電撃・功夫]の組み合わせじゃからな。
お互いの戦闘スタイルは近いと見た。
[オーラ防御・電撃耐性]で雷の闘気は防げるが
それは相手も同じじゃろうのぅ。
となると……お互いの[功夫]のぶつけあいになるか!
攻撃を[見切り・受け流し]、[カウンター]を返す。
[グラップル・足払い]で[体勢を崩し]、[部位破壊]を狙う……
格闘家としての力量は、流石じゃの。これがアンブレイカブルか。
……これがアンブレイカブルか! これが『仁の』犬士か!
【断獄】。ここからは裁きの時間じゃ!
危うく偽りの感情に飲み込まれる所じゃったわ。
強さのためなら道理に頓着しない、
それがお主らアンブレイカブルの罪じゃ。
ここからは、弱体化したお主を
強化されたわしの[功夫]が一方的に裁く!
お主の望む死合いじゃなかろうが。
わしの正義を味わうと良い!
雷気が爆ぜる。
まるで雷雲の只中にいるように、シン・ライリーは青白き雷光を纏っていた。常人ならば近づけもすまい。烈しくスパークする闘気は、それだけで対峙するものを圧倒している。
「一角の格闘家にお褒めいただいて光栄ではあるんじゃが……」
それでも、決して怖じけることなく。
皐・芽衣(金色一角のメイメイ・f35724)は毅然と前に進み出た。
「わしは、お主を楽しませるために上ってきたわけではないんじゃがの」
シン・ライリーが無言のまま片眉を上げる。
芽衣の思惑を、彼が慮ることは難しい。
方や強者との死合いを希求する拳士。
方や公正を旨とし理不尽を裁く瑞獣。
だからこそ芽衣は彼の思惑に乗るわけにはいかないのだ。無辜の人々の道を歪め、殺人の道具に仕立て上げようとしているシン・ライリーの思惑には。
「では問おう。何故、俺の前に立つのかを」
先を促す仁の格闘家に、芽衣は神羊拳の構えを取り、そして告げた。
「お主の罪を裁定にきたんじゃ。獬豸の裁きを味わうと良い!」
刹那、両者を凄絶なる気が包みこんだ。
共に雷気の遣い手となれば、立会いからして超常の光景が描き出される。
芽衣もまたスパークする闘気を纏って。
――互いの姿がかき消えた。
「神羊拳の術法、受けてみるが良い!」
「――オオッ!」
まるで電磁気力で加速されたかのように、瞬間、両者がぶつかり合ったのだ。光が爆ぜ、拳と拳とが烈しく衝突する!
「俺の踏み込みに対応できるとはな。いよいよ以って面白い!」
「楽しんでいられるのも今のうちじゃ!」
こうした闘いの舞台を中華では|擂台《レイタイ》と呼ぶ。『手』を以て『雷』の如き拳打を繰り出す両者の有様は、まさに死闘を体現していると言えよう。
額、顎、胸、そして鳩尾――人体急所を打撃して電撃を流し込まんとするシン・ライリー。その光速とも思える拳打の尽くを、芽衣は逸らす。木人にしたように? 否、それとは最早比べ物にもなりはしない。神羊拳の技の粋を結集しての捌きだ!
「この程度の技ではわしは仕留められんぞ!」
「これならばどうだ!」
劈、鑚、崩、炮、横――!
まさに電光石火。
練り上げた五行の套路すべてを活かし切った猛攻に流石の芽衣も顔をしかめる。
内家の功夫には象形拳がある。動物の動きを模したものが著名だが、この拳士のそれは言わば雷。自然の猛威たる雷霆そのものを型として操るのだ。それはまさに常人の身体能力を超えているが故に可能となる絶技である。
が――、
「流石というべきじゃな。じゃが喰らいはせぬ!」
芽衣の神羊拳も決して引けを取りはしない!
勁力を込めた一打一打ごとに光が炸裂し、雷もかくやと轟音を轟かせる!
「柔らかく、そして鋭い。不可思議な拳だ。仙術の類も織り込まれているか」
芽衣の回し蹴りを腕で受けると、脚を掴んでそのままぐるりと拗るシン・ライリー。
対して芽衣は、回転方向に身を捻って衝撃を殺し――着地と同時に蹴りを打ち込んだ。
「軽功の応用か! 見事だ!」
「格闘家としての力量は、流石じゃの」
息を整えながら、芽衣は闘志を込めた双眸をシン・ライリーに向ける。
――やはり互いの戦闘スタイルは近い。雷の闘気は防げるが、これでは埒が明かんのう。
「今の打ち合いで五度は殺しているはずだが、よもや全てを凌ぎ切るとは。ならば本気で行こうか」
「臨むところじゃ!」
弾かれるように両者がぶつかり合う。
雷撃の応酬だ。
互いの拳と拳がぶちあたり、烈しい電光に互いの相貌が照らされる。
それも束の間、素早い足払いで――木人を倒したものより遥かに疾い足技で、芽衣はシン・ライリーの脚を払う。たとえアンブレイカブルであろうと、骨をへし折る程の神羊脚だ!
「なんという功の冴え! だが……!」
尋常な身のこなしではない。シン・ライリーは跳躍して避けながら、三日月のような蹴りを芽衣の顎めがけて放ったのだ。もし軽功と腿力を駆使して飛び退かなければ、そのまま意識が刈り取られていたかも知れない。
「……これがアンブレイカブルか! これが『仁の』犬士か!」
「良い腕だ。今まで相対した者の中でも、これほどの遣い手は|寡《すくな》い」
構えを取ったまま仁の拳士は告げた。
「殺すには惜しい。俺とともに来るがいい。共に武を磨き、世に覇を唱えよう」
声が不思議に響き、耳朶を震わせる。
「弱き者を間引き、強き者が生き残る世を目指すのだ」
「何を……」
戯言を。その言葉が、出ない。
拳法のみならず、刀剣術や槍術をも修めた彼女である。
見果てぬ武の道は生涯を賭すに足り、誰よりも強き力を得ることこそが、正義の実現には不可欠だ。
そう、弱ければ何も出来はしない。
弱者に裁定は担えぬ。
故に、力だ。
力こそが――――。
――――だとしても!
目を伏せていた芽衣が刮目する。
その瞳には決然たる意志の輝きがあった。
「ただ武のみを追い求め弱者を軽んずる在り方。そんなものは強者のみの理屈に過ぎぬ」
力は必要だ。強くあらねば――それは決して否定しない。
けれどこの武人のやり方では、ただ弱きものが虐げられていくだけだ。修行についていけぬ者を無価値と断じ、打ち捨てるように。
「強さだけでは無慈悲と悲哀を生むだけじゃ。そんなもの、公正とは言えぬ!」
故に、芽衣は高らかに宣言した。
「ここからは裁きの時間じゃ!」
|断獄《ダンゴク》――その力により戦場は裁定の場と化す。
「破った、だと」
「危うく偽りの感情に飲み込まれる所じゃったわ」
正直に言えば、芽衣にだって確たる答えは出せない。
正義とは星の数ほどあるものだろう。
けれど今、この拳士には、はっきりと言える。
「強さのためなら|道理《・・》に頓着しない、それがお主らアンブレイカブルの罪じゃ」
芽衣を縛り惑乱しようとしていた欺瞞の鎖は此処に断たれ、却ってシン・ライリーの動きを束縛する!
先程より遥かに強いオーラに包まれながら芽衣は再び構えを取った。神羊拳の構えを。
「ここからは、弱体化したお主を、強化されたわしの|功夫《カンフー》が一方的に裁く!」
「貴様……ッ!」
シン・ライリーが眦を裂き、両者がぶつかり合う。
雷気を爆ぜさせる攻防はしかし、明らかに先程までとは様相が異なっていた。芽衣の神羊拳がシン・ライリーの功夫を圧倒しているのだ!
「これはお主の望む死合いじゃなかろうが――」
芽衣は声を放つ。
拳士の傲慢を打ち砕き、正しきを|闡明《センメイ》するために!
「わしの正義を味わうと良い!」
震脚。
そして繰り出した渾身の崩拳が、遂に仁の拳士を吹き飛ばした!
大成功
🔵🔵🔵
死絡・送
POW
ノーブルバットに変身して参加。
スタイルは真っ向勝負。
相手には敬意と礼を持って勝負を挑む。
「我が名はノーブルバット、勝負を申し込む!」
名乗りを上げて包拳礼で挨拶する、挨拶は大事。
こちらも伊達にあちこちで戦って来て経験は積んでいない。
こちらもカンフー技能を駆使して拳法で戦う。
相手がユーベルコードを使ってからが本当の勝負。
気功で気を張り巡らせて身を守り
「ラスト五秒の逆転ヒーローとは俺の事だ!」
と叫びカウンターで此方のユーベルコードを使って反撃。
「やるな! そうでなくては面白くない!」
攻めかかる猟兵と打ち合ったかと思うと、烈しい攻防を繰り広げるシン・ライリー。拳を打ち出すたびに雷の如き轟音が響き、インパクトと同時に光が爆ぜる。その有り様はまさに超常の拳士と呼ぶに相応しい。
「新手か!」
多くの猟兵を相手取ってなお継戦能力を失わないシン・ライリーが、新たなる気配に油断なく構えを取った。その瞳に映るのは、蝙蝠を模したスーツ纏いし、異相の戦士――。
「我が名はノーブルバット、勝負を申し込む!」
即ち死絡・送(ノーブルバット・f00528)に他ならない。
名乗りを上げたダンピールのヒーローに、|仁の格闘家《シン・ライリー》もまた礼を以て応じた。
互いに、拳と掌を合わせる抱拳礼を施したのだ。
「シン・ライリーだ。全力を尽くすがいい、ノーブルバットよ。俺もそうしよう!」
雷槌の如き速さの踏み込み――からの乱打を、ノーブルバットは腕で防ぐ。|打《ダ》、|打《ダ》、|打《ダ》ッ! 拳を受けるたびに光が弾け、黒きヒーロースーツを照らし上げた。相当な腕前の拳士でも今の連撃だけで命脈を絶たれている程の猛攻だ。
「ハッ、どうやら虚仮威しではないようだな」
「伊達に戦いを積んできているわけではないからな」
ハイキックで距離を取らせると、ノーブルバットはシン・ライリーの周囲を駆け巡る。いやただ駆けるのではない。太い丸柱を利用して、壁蹴りの要領で跳び、宙を自在に舞うかのような変幻自在の立ち回りを見せるのだ。
「付いてこられるか」
「軽身功の類と見た。俺を翻弄しようとはな!」
まさに化身忍者――ヴァンパイア貴族の流れを汲む死絡忍軍の挙動。それに加えて、功夫で言うところの軽功も取り入れている。こうなればノーブルバットの動きを捉えるのは至難。
「ではその思惑ごと吹き飛ばしてくれる!」
シン・ライリーは腹の横で両腕を構えるような姿勢を取ると、全身から雷光を迸らせた。その輝きを浴びて、駆け飛ぶノーブルバットの|顔《マスク》が明滅する。
「一撃で仕留めてやろう」
ジグザグに跳ぶシン・ライリー。
雷気発勁――それは体内の気を電撃となし、爆発的な威力をもたらす拳の極意である。踏み込みも雷速ならば、繰り出される拳もまた雷槌の如し! その一撃が、遂にノーブルバットに直撃する!
ザザザザッ! と床を抉りながら吹き飛ばされるノーブルバット。
否!
その両手はシン・ライリーの腕を、そして拳をガシリと喰い止めていた!
「ラスト五秒の逆転ヒーローとは俺の事だ!」
練り上げた気を、この一撃に集中する!
目を見開いたシン・ライリーの腕をねじり、ノーブルバットは討つべき敵を超常的な力で床に叩きつけた!
大成功
🔵🔵🔵
木元・明莉
死して漸く己の意志で拳を振るう事が出来るなら、そりゃ昂るよな
武人としては共感するよ
正気のアンタとこうして死合えるなんて最高だ
此処に来る迄の疲れは継戦能力で払拭し覇気を込めベストの状態に保ち
激震はスレイヤーカードに閉まったままで
間合いが取れる得物はセオリーだけど
今回ばかりはこちらも拳で挑みたい
纏う櫻光花滴には電撃耐性も付与しオーラ防御
そのまま近接しライリーの懐に飛び込もう
アンタには思うトコもあるんだよ
仕方無かった事とはいえ、憶えてなくとも、配下だったアンブレイカブル達に向こうで詫びのひとつでも入れといてくれ
攻撃を受け流しつつ戦闘能力と瞬間思考で動きの癖を探し
急所を見抜けばそこ目掛けて【鋼鉄拳】
「やはり相当な遣い手が集ったようだ。まさに僥倖と言うべきか」
仁の犬士が一、シン・ライリー。その闘気は圧倒的だった。青き炎にも似たオーラは彼の全身を包み、バチバチと帯電している。
猟兵達をこの最上階に迎え入れた時とは、一段も二段も違う壮絶な気。
それは彼が全力を発揮せんとしている証左だ。
だからこそ木元・明莉(蒼蓮華・f43993)の表情は快げだった。
「死して漸く己の意志で拳を振るう事が出来るなら、そりゃ昂るよな」
小細工なしに力を振るおうとする|狂える武人《アンブレイカブル》――その真っ直ぐな闘志にはいっそ爽やかささえも覚える。
「武人としては共感するよ。正気のアンタとこうして死合えるなんて最高だ」
「ならば力を尽くせ。此処で散っても悔いのないように」
もとより死闘とはそういうものだ。
シン・ライリーと対峙する明莉が闘気を発すれば、此処までに蓄積した疲労も一息に吹き飛んだ。もとよりさしたるダメージは受けていない。
共に幾多の戦場を駆けてきた|激震《大刀》は敢えてスレイヤーカード――玄武紋が施されたそれに封印していた。いまや明莉は徒手空拳。
燃え上がるような霊気に、シン・ライリーは口角を上げた。笑ったのだ。これは良い敵に相まみえたものだと。
「さあ、勝負だ」
「ああ、全力で死合おうぞ!」
まさに雷速。一直線の光跡を虚空に残して、シン・ライリーが間合いを詰める。対する明莉も負けじと、拳と拳を打ち合わせていた。紫電が迸り、明莉は歯噛みする。並大抵の拳士ならこの一瞬で即死だ。だというのに続けざまに繰り出される掌打も蹴りも、すべて初撃を遥かに上回っている!
これが雷気発勁――。
「流石だな。だが……!」
身に纏う櫻光花滴――美しく輝く霊気がシン・ライリーの雷気を相殺していた。蛇のような雷電が襲うたび、桜の花弁の如き光が戦場に舞い散る。拳を打ち込み、蹴りを防ぎ、明莉とシン・ライリーとの壮絶な攻防は、瞬く間に超常の光景を描き出す。
「やるな。相当の鍛錬を修めたものと見える」
「そうかい。お前に言われるなら確かにそうなんだろうな」
電光纏いし手刀をガギリと腕で受け止める明莉。まるで高周波ブレードのように瞬時に腕を飛ばすはずの攻撃は、しかし明莉の腕に喰い止められたまま。
「アンタには思うトコもあるんだよ、仁の犬士。いや、|獄魔大将《・・・・》と言うべきか」
バチバチと明滅する光が、互いの顔を照らしている。
「……ほう」
シン・ライリーの生き様は、武を求めるという一点に収束していたとも言える。故に仁の犬士から獄魔大将に肩書きを変えた。
その彼が企図したのは――武人の町だ。アンブレイカブルが鍛錬を積み、住民たちとも共存しているという不可思議なる都市。そこに、明莉は踏み入れた。|あの武人《・・・・》たちは、大規模な戦にも投入されていたはずだ。
シン・ライリーには明莉の心の内まで見透すことなどできない。けれど相対する漢の、銀の瞳――その奥には、闘士としての強き意志を認めたに違いない。
「仕方無かった事とはいえ、憶えてなくとも……」
手刀を弾き返し、
「配下だったアンブレイカブル達に、向こうで詫びのひとつでも入れといてくれ」
姿勢を崩した拳士の鳩尾に、明莉は渾身の鋼鉄拳を叩き込んだ!
大成功
🔵🔵🔵
暗都・魎夜
【心情】
こいつはやべえな
鍛えた武術の実力は見るだけでわかるし、勁力の高さもとんでもねえ
何より、見た人間を引き付けるカリスマ性は、「仁の格闘家」を名乗るだけのことはあるぜ
こっちも本気で行かねえとな
【戦闘】
「(誰何の言葉に)俺は通りすがりの能力者さ、覚えておきな! イグニッション!」
UCを発動し、「戦闘知識」を駆使して、蹴撃を「心眼」で「見切り」
「その武は大したもんだ。だが、銀の雨降る世界、そして銀誓館学園の戦いの歴史、そう簡単に破れると思うなよ!」
雷の闘気が尽きたところへ「リミッター解除」の「グラップル」で「捨て身の一撃
どうだい、仁の拳士
これがうちの世界流って奴さ
「こいつはやべえな」
武の粋を結集して猟兵と打ち合うシン・ライリー。その壮絶な戦い振りを目の当たりにして暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)は思わず呟いていた。
「鍛えた武術の実力……勁力の高さもとんでもねえ」
達人は達人を知る。数多の戦いを経てきた魎夜であるからこそ、眼前の拳士が如何に度外れた功夫を駆使しているのかを見て取ることが出来た。
その洗練され切った技の数々は、猟兵をすら圧倒し、そして魅了する。
――『仁の格闘家』を名乗るだけのことはあるぜ。
思い、だからこそ此処で雌雄を決しなければならないと魎夜は闘志を滾らせる。エスパーたちに被害が及ぶ前に。
「貴様は?」
猟兵たちを拳で吹き飛ばしたシン・ライリーに、イグニッションカードを手にした魎夜は高らかに告げた。
「俺は通りすがりの能力者さ、覚えておきな!」
イグニッション!
それは、かの世界の能力者が、戦いの始まりを告げる|嚆矢《ことば》。
たちまち絶大なる力を発揮し、魎夜は轟々と唸るような闘気を身に纏った。
その闘術は、疾風よりもなお早く、颶風よりもなお力強い。
「よかろう。その武技、見せてみるがいい!」
シン・ライリーは叫び、魎夜と同時に踏み込んで拳を振るう。
霹靂の如き速度と激しさを持つ直突きに、魎夜は|魔召機甲《イグナイトバイザー・ツヴァイ》に覆われた拳を打ち合わせた!
轟音。
五重塔を|響《どよ》もすのは、まさに落雷のそれだ。
「流石だ。尋常な遣い手ではない!」
ならばと全ての力を解き放ち、シン・ライリーが床を蹴って飛び上がる!
「仁の拳士が全身全霊の一撃、止められるものなら止めてみろ!」
「来やがれ!」
高らかに舞い上がってからの蹴撃は、天を引き裂く雷槌そのものだ。
それを迎え撃つ魎夜が今まで以上に闘気を燃え立たせる。
|仁の拳士《シン・ライリー》の顔に浮かんだのは凄絶なる笑み。その体から雷気が迸り、彼は|嵐もたらす者《ストームブリンガー》の間合いに突っ込んだ。
「当たらねえよ!」
長きに亘り培ってきた戦闘知識、そして心眼を駆使して見切り、雷霆めいた急降下蹴りを紙一重で躱した魎夜。だが、そこからの連撃も熾烈を極めた。ぶつかり合い、打ち合う両者の烈しさは、まさにサンダーストーム!
拳は雷そのものとなって魎夜を襲い――しかし捉え切れない!
「その武は大したもんだ。だが、銀の雨降る世界、そして銀誓館学園の戦いの歴史、そう簡単に破れると思うなよ!」
「銀誓館、だと」
嵐の中、繰り返される轟雷は遂に止んだ。
シン・ライリーのハイキックが魎夜の頭側をかすめるも、すでにその雷気は消え失せていたのだ。
「食らいな!」
そしい魎夜は、繰り出された足を掴み――全力で床に叩きつけた!
「……ッ!」
息を詰めるシン・ライリー。
受け身をとることもできず、その衝撃は彼の五体に大きなダメージを与えていた。
弾かれるように飛びのき、構え直す拳士。その息は、確かに乱れている。
「どうだい、仁の拳士。これがうちの世界流って奴さ」
魎夜の言葉に、シン・ライリーは呼吸を整えながら神妙に頷いた。
「ふん。どうやら侮れぬのは、武蔵坂だけではないらしい」
大成功
🔵🔵🔵
劉・涼鈴
力を振るうのは久しぶり? んじゃあ出し惜しみはなしだよ?
これが今生最期の全力なんだからね!!!
【元気】いっぱい! 【気合い】充溢!
【気功法】で全身に漲る【覇気】が稲妻のように爆裂する!
雷気発勁が使えんのはお前だけじゃないぜ!
私は涼鈴! 劉家拳が伝承者、劉・涼鈴!!
いざ、尋常に――勝負しようかァ!!!
踏み込む足音は轟く雷鳴! 速さは煌めく雷光!
【怪力】で繰り出される拳打・蹴撃の套路はまさに驚天動地! 天崩地裂! 乾坤震撼!
足りない足りない! 私の心を震わせるには【功夫】が足りてないぞ!! もっと高めろ!!!
すべての闘気を掌中に凝縮、一瞬、嵐の前の静けさ――【劉家奥義・獅電掌】ォ!!!!
「ここまでやるとは思わなかったぞ、猟兵ども。この闘いは、確かに全力を尽すに足る」
シン・ライリーが構えを取れば、その闘気が激しく紫電を発する。
「んじゃあ出し惜しみはなしだよ?」
対するは、劉・涼鈴(鉄拳公主・f08865)。
その爛たる赤き瞳には、眼前の闘士の発する光が明滅していた。
「――これが今生最期の全力なんだからね!!!」
気合一声。総身に巡らせた気を、涼鈴は瞬時に高めてみせる。爆発的に生じたそれはその身を包みこんだかと思うと――あろうことかバチリバチリと紫電を迸らせ始めたではないか。
「なん、だと――」
シン・ライリーが驚きに目を見開く。
それもその筈。
涼鈴が発したのは紛れもなく|雷気《・・》。それこそは彼の纏う闘気と、瓜二つのものであったのだ――!
「驚いたか! 雷気発勁が使えんのはお前だけじゃないぜ!」
仁の格闘家――シン・ライリーが駆使するユーベルコードは、|彼のよう《アンブレイカブル》になりたいという思いを掻き立てるものだった。
だからといって、よもや雷気までを扱ってみせるとは!
「私は涼鈴! 劉家拳が伝承者、劉・涼鈴!!」
バチバチと雷気を爆ぜさせながら、涼鈴はシン・ライリーに挑みかかる!
「いざ、尋常に――勝負しようかァ!!!」
「小手先の技でこの俺を凌げると思うか!」
「小手先かどうか試してみろ!」
両者の打ち合いは、まさに万雷と呼ぶに相応しい。
震脚から繰り出された互いの拳は、衝突するや目が眩むほどの雷光を爆ぜさせる。その速度は光速の域に達しているかと思わせるほどだ。
涼鈴が繰り出すのは、劉家拳の套路に発勁の威力と速度を加えたもの。巡る気を操り発するところ、そこには尋常ならざる破壊力が生じる。
そこに雷気が加わればまさに驚天動地! 天崩地裂! 乾坤震撼!
乱れ飛ぶ拳! 一打ごとに光が弾け、雷鳴が轟く!
シン・ライリーも負けてはいない。烈しい拳打・蹴撃を以て応じる。
「オオォォォォォッ!」
「足りない足りない! 私の心を震わせるには|功夫《カンフー》が足りてないぞ!!」
功を尽くした応酬は、常人の領域を遥かに見下ろす高みにある。そう、天より地を睥睨し、鉄槌を下すこそ雷気の法理。
しかし――傲岸不遜なるシン・ライリーの拳と涼鈴の拳は、全く同じもの|ではない《・・・・》!
紙を破るような音とともに繰り出された崩拳を、涼鈴の腕が遂に逸らす。
そしてシン・ライリーがその瞳に映したものは、ついぞ目の当たりにしたことのない型だった。
嵐の前の静けさを思わせる一瞬の静寂。
スローモーションにも思われるその瞬間、シン・ライリーは確かにそれを目にした。
全ての闘気――即ち雷気を掌に集中させて繰り出すその絶技こそ、
「|劉家奥義・獅電掌《リュウケオウギ・シデンショ》ォ!!!!」
飛びかかる獅子の如き勢いで繰り出されたその掌から迸る超高圧電流。それは敵の経絡を駆け巡って短絡させ、功を練る拳士にとって致命的な損傷を与える。これをまともに喰らった術者はもはや気を練ることさえ叶わず、瞬時にその意識を刈り取られる。
紫電に取り巻かれて宙に浮かび、背中から床に打ち付けられるシン・ライリー。
勝敗は此処に決した。
残心したまま、涼鈴は息を吐き――そして晴れがましく笑みを浮かべた。
「私の勝ちだ!」
かくして五重塔を巡る戦いは、猟兵たちの勝利にて幕を閉じた。
いつしか稲光は黒雲と共に去り、五重塔を真夏の日差しが照らしていた――。
大成功
🔵🔵🔵