アンサズ・グレート・ウォー[荒川攻防戦]
●2024年7月1日 アンサズ地方
7月。多くにとって突然に、それは起こった。
正体不明の存在「ザ・スター」の襲来。各国の諜報機関はその由来を探したが、何一つ情報を掴むことは出来なかった。そして、その「ザ・スター」はごく短い声明文を発する。
「世界全てのプラントを破壊する。Reminiscence the World, people.」
それは、全てのクロムキャバリア世界に住む者への、明確な宣戦布告であった。
プラントを破壊されれば、各国は多かれ少なかれ、依って立つエネルギー・資源基盤を大きく揺るがされることとなる。
多くの政府と企業はそれぞれの利益追求を放りだし、狂気の超常存在「ファーストヒーロー」の尖兵に対することを余儀なくされ、人々は覚束ない頭上に初めて気づいたかのように、それを恐怖するしか無かった。
●同日 17:00 アンサズ地方アークライト自治領 アルタイルシティ アンサズ連合先進7ヶ国臨時首脳会談
ザ・スターの対策会議を始めたアンサズ連合のG7各国首脳。だが、事態はこれで終わらない。ザ・スターはアンサズ地方における混乱の呼び水に過ぎなかったのだ。
「ラスタニア民主共和国のサントス書記長より緊急声明です」
「このタイミングで?」
「現在アンサズ連合各国の外務省、並びに主要メディアに向けて発信されています」
「映像出せるか」
イェーガー社社長のアイアンズが訝しむ中、鋭い目つきでアークライト自治領のサンプソン総督が促す。彼らが見るスクリーンの中で映し出されたのは、ラスタニア民主共和国で今年から政権の舵取りを行うサントス書記長の演説であった。
『バティスタ前書記長が行った宥和政策によって我が国は隣国ローランド市国と停戦しアンサズ連合に加入した。これは大国のエゴによる「調停」という名の強権的な停戦要請だった。加えて、戦争により荒廃した国を再建するNPOを、「オブリビオンマシンを運用している」という一点で活動を停止し、我が国の復興を妨げた! 列強による覇権主義によって我が国は押しつぶされようとしているのだ!』
その演説の内容に眉をひそめるG7の首脳陣。ラスタニアは社会主義国家であり、現在政権を握っているラスタニア共産党のサントス書記長はバティスタ前書記長の経済政策失敗とそれによる公約不履行を昨年夏の党大会で声高に糾弾した。結果、現状に不満を持つ若年層の党員を中心に支持を集め、今年1月の書記長選挙に当選。政権を握ったサントスは連合の支配体制に異を唱え、バティスタ前書記長が進めてきた宥和政策を取りやめたのである。サントスを政治結社「ラスタニア救国会議」が強力にバックアップしていたことも大きい。
これに同調したのがホウライ人民共和国やアルバリア首長国であった。これらの国家には社会主義やサンディカリズムといった反市場経済の立場にあるという共通点が存在する。実のところ、エルディスタンもかつてはこれらの国家と道を同じくしていたが、リベラルなアダムスキー大統領がペレストロイカ政策の一環で市場経済を導入し、これが成功。G7の中でも1,2を争う経済大国にのし上がる。バティスタ前書記長もエルディスタンに続けとばかりにラスタニアン・ペレストロイカと呼ばれる政策を実施したが、こちらは様々な要因が重なり失敗に終わってしまったのだ。
故に、現在のラスタニアは反エルディスタン感情が非常に強い。ラスタニアにとってはペレストロイカの流れを作った結果かえって自国を窮状に追い込んだ元凶のようなものであったし、なおかつ社会主義陣営から離脱した裏切り者でもあったからだ。ここに旧エルディスタン軍閥が同調し、アンサズ連合との対立姿勢は決定的なものとなっていったのだ。
『大国によって支配されるアンサズ地方は、今や暗黒の帳が降りている状態だ! この状況を変えるべく、ここに我々は』
一度言葉を切るサントス書記長。この後に続く言葉こそ、現在のアンサズ地方を大きく揺るがすものであった。
『アンサズ連合からの独立、そして新陣営「ヴェクタ条約機構」を発足し、アンサズ連合への宣戦を布告するものである!』
ヴェクタ条約機構としてアンサズ連合からの離脱を表明したのはラスタニア、ホウライ、アルバリアなどといった社会主義陣営の国家9ヶ国である。ヴェクタ条約機構は3つの柱となる政策を掲げていた。プラントに依拠した計画経済の導入、軍事・福祉・公共事業の完全国営化、そして「オブリビオンマシンの合法化」である。
「オブリビオンマシンを肯定するだと……」
声明における基幹政策の「3つ目」を聞いて息を呑む各国首相。それと同時に、この場に居合わせたグリモア猟兵たちもまた、ヴェクタ条約機構との対立が決定的となったことを悟る。何故ならば、オブリビオンマシンの合法化などという選択肢は、とどのつまりオブリビオンの排除が運命づけられている「第六の猟兵」と敵対することを意味していたからである。
●分裂するアンサズ地方
「……ということだが。各国の主義主張はどうでも良いという奴や政治的な話題はわからんという奴も、一つだけ確かなことがあるな。ヴェクタ条約機構は俺達にとって明確に『敵』だ」
アレクセイ・マキシモフ(歴戦の|もふもふ傭兵《ファーリー・ラット》・f36415)がサントス書記長の演説映像を流し終え、一息ついて猟兵たちを見回す。
「さて、まずは目の前の厄介事に対処しよう。今回の依頼主は桜蘭市国。目的はヴェクタ条約機構軍による侵攻阻止だ」
ホウライ軍とラスタニア軍の混成部隊となっており、オブリビオンマシンであるサイクロプスが主力機体となっている。
「桜蘭市国は現在荒川沿いに防衛陣地を敷いている……桜蘭市国の荒川はサクラミラージュの同地を再現した人工河川だが、地形的には東京都のそれと同等だ。荒川戸田橋緑地がホットゾーンとなっているが、敵は半包囲状態で荒川の渡河を試みようとしている。すでに戸田橋と国営都市高速の5号線は封鎖済みだ」
まずはこの包囲を突破して敵陣中央に乗り込み、侵攻部隊を撹乱。指揮官機を撃破して指揮系統の混乱を引き起こし、侵攻を遅滞させ撤退を促すのが大まかな作戦の流れである。桜蘭市国防衛軍は要撃機であるイカルガを前線に立てている。だが数では劣勢にあり、このままでは包囲圧殺されてしまうことだろう。猟兵の救援は必須である。
「ただし、指揮官機として確認されているのは『アーレス』だ」
アーレスは国際テロ組織「メサイアの夜明け」が保有していた機体であったが、どうやらヴェクタ条約機構が生産に成功したらしい。モンキーモデルとはいえ、その性能は未知数である。
「まずは荒川戸田橋緑地に展開する桜蘭市国防衛軍の救援に入ってくれ。然る後に反撃だ」
ブリーフィングを終えると、アレクセイはINT-BOYを操作する。後に荒川攻防戦と呼ばれる戦いの幕開けであり、同時にこれはヴェクタ条約機構との戦いの始まりでもあった。
ザ・スターが呼び水となって発生した大混乱。アンサズ地方は今、本格的に戦火に包まれようとしている──。
バートレット
どうも、バートレットです。
異世界の敵襲来。しかし当然私がそれだけで終わらすわけがない。ザ・スターという異物によってアンサズ地方はいきなり動乱の只中に叩き込まれました。3つの事件を解決に導きましょう。
今作のシナリオですが、同時に「アンサズ・グレート・ウォー」と名のついた3つのシナリオが並行して動きます。そのため、原則として1つシナリオを選んだ場合、他のシナリオへの参加はできません。ただし、うちひとつの章が進んだ、あるいは完結した場合、まだ進行中のシナリオに参加することが可能です。その場合、「◯◯の事件が解決し、その後援護のために向かった」という形になります。
当シナリオは桜蘭市国北部にて、荒川を突破しようとする敵軍を撃退するシナリオとなっております。包囲状態にあり苦境に立たされている桜蘭市国防衛軍を救出し、ヴェクタ条約機構を撃退しましょう。なお、桜嵐市国はUDCアース等の東京都23区と全く同一の地名・地形を持っています。
第1章では、荒川戸田橋緑地で半包囲状態にある桜嵐市国防衛軍の救出です。桜嵐市国軍は敵の渡河を辛うじて防いでいます。桜嵐市国軍は要撃機用途としてカスタムされた「イカルガ」で構成されており、ミサイルやアサルトライフル、ビームサーベルを装備しています。
第2章では敵陣の只中へと飛び込み、展開するサイクロプスを撃破します。詳細は断章にて説明します。
第3章は敵指揮官機「アーレス」との戦いです。詳細は断章にて説明します。
本シナリオはクロムキャバリア世界アンサズ地方を舞台としたシナリオとなります。アンサズ地方では猟兵の支援組織である「イェーガー・ミリタリー&セキュリティ社」(イェーガー社)というPMSC(民間軍事会社)のバックアップを受けて活動します。キャバリアのレンタルや整備・補給などのサービスをイェーガー社から受けることができるため、必要に応じて活用してください。
今回はすべての章で断章をご用意しております。詳細は断章で説明しますので、プレイング投稿は断章公開後にお願いいたします。プレイング募集状況はタグをご確認ください。また、諸注意はMSページからご確認いただければと思います。
それでは、皆様のアツいプレイングをお待ちしております!
第1章 冒険
『敵陣突破』
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POW : 群がる敵を正面から蹴散らし、突き進む
SPD : 敵陣の薄い箇所を突き、一点突破を狙う
WIZ : 敢えて多くの敵を引き付けておき、一気に倒す
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●奮闘する桜嵐市国防衛軍を救い出せ
「イェーガー社の実働スタッフだな。話はアイアンズから聞いている。エムセック社の百目鬼だ」
「桜嵐市国防衛空軍の各務原一佐だ。この指揮所を任されている」
荒川戸田橋緑地よりやや南側に位置する新河岸陸上競技場に設置された前線指揮所にて、2人の男が自己紹介をしながら猟兵たちを出迎えた。桜嵐市国のPMSCであるエムセック社でCEOを務める百目鬼は一見するとどこにでもいるような小太りの中年男性だが、鷹のような鋭い目つきは今なお彼が戦士の勘を失っていないことを表している。一方で北部方面隊の現場指揮を担当する各務原一佐は百目鬼よりもやや若い印象の男で、ガッチリとした体格の偉丈夫であった。
「戦況は見ての通り、こちらがやや不利といったところか。ヴェクタ条約機構の連中がラグビー場付近から渡河を試みようとしているところに、こちらの部隊が川向うへ渡る形で突出し辛うじて食い止めているが、半包囲状態にありいつ突破されてもおかしくない状況だな」
百目鬼は荒川付近の地図を広げながら猟兵達に状況を説明する。防衛に出ているのは「市ヶ谷の切り札」と称される桜嵐市国防衛空軍の第一機械化騎兵小隊「オルトロス」だ。幾多もの領土侵犯を阻止してきた実績がある彼らだが、流石に今回は多勢に無勢という状況である。エムセック社は2本の橋の防衛に人員を割いており、渡河の阻止に戦力を回すことができないことも伝えられた。
「すなわちこの状況を打開できるのは君たちイェーガー社の人員ということになる。まずはオルトロス隊と合流し、半包囲状態の敵を突破して欲しい」
荒川の水深は浅く、現在の流れは緩やかだ。渡河自体は難しくない。もちろん水に足を取られるため注意は必要となるだろう。また、敵からも渡河する様子は確認できるため、渡河の最中に敵の攻撃を受けることも覚悟しなければならない。一方で、エムセック社が封鎖している2本の橋を活かせば、敵の半包囲陣の裏側や側面から叩くことも不可能ではない。
「荒川を跨がせることは桜嵐市国への侵攻を許すも同義。奴らに桜嵐市国の地を一歩たりとも踏ませてはならん」
各務原一佐の激励を背に、猟兵達は各々の愛機に搭乗しオルトロス隊の救援に向かうのだった。
※MSからお知らせ※
プレイングを考える際には、以下の地図を参考にすると良いでしょう。
https://www.google.com/maps/place/%E6%88%B8%E7%94%B0%E5%B8%82%E8%8D%92%E5%B7%9D%E9%81%8B%E5%8B%95%E5%85%AC%E5%9C%92%EF%BC%88%E3%83%A9%E3%82%B0%E3%83%93%E3%83%BC%E5%A0%B4%EF%BC%89/@35.8020856,139.6605785,15.25z/data=!4m6!3m5!1s0x6018ebf66a22e2b7:0xb4c01e64bcac7762!8m2!3d35.8016691!4d139.6673521!16s%2Fg%2F11pqynq8rf?entry=ttu
フレスベルク・メリアグレース
オブリビオンマシンの合法化……救いようのない世界になるのは確か
これをメリアグレースは許しません
この侵攻、わたくしと聖教皇国が阻止して見せましょう
ブラキオンを素材としたAI搭載ナノマシンを用いて、荒川の川沿いにバリケードとなる様、敵のみを攻撃する巨腕が兵器となる城塞都市を構築
これで近接攻撃において、こちらが有利を得られる筈
そうでなくとも、飛行能力を持たないなら城塞都市を強行突破するしか相手には攻め込む道はありません
そう言って城塞都市の成果を確認した後、オープン回線で宣戦布告を
ヴェクタ条約機構……オブリビオンマシンを容認した小国家に未来はありません
その思惑、阻止して見せましょう
●メリアグレース参戦
オブリビオンマシンの合法化を求めるヴェクタ条約機構の声明を聞いて、フレスベルク・メリアグレース(メリアグレース第十六代教皇にして神子代理・f32263)は憤りを感じていた。理由はどうあれ禁忌の力を求める以上は相容れない勢力だ。
「オブリビオンマシンを容認した小国家に未来はありません。その思惑、阻止して見せましょう」
オープン回線でメリアグレースとしての宣戦布告を行う。その上で荒川沿いにバリケードを築き上げた。もちろんただのバリケードではない。難攻不落の絶対物質による城塞が荒川沿いに出現したのである。乗り越えようとする試みはこれで打ち砕かれるはずだ。
加えて接近しようとすれば、巨腕が城塞より出現して迎撃する。渡河を確実に阻止することで後顧の憂いを絶った格好だ。
「後は包囲網の突破ですか」
その意味では一点課題が残っていた。城塞都市がイカルガの行動を阻害する恐れがあったのだ。渡河を防止する一点においては城塞は非常に優秀ではあったものの、前線で戦うイカルガも戻ることが難しくなる。
「……時間との勝負になりますね」
失策だったか? とフレスベルクは一瞬考えるが、しかし逆に言えば敵が包囲を無視して突破する可能性は潰した。であれば、包囲網の早期突破さえできればお釣りは来る。
フレスベルクは自らもまた前線に飛び込んでいくのだった。
成功
🔵🔵🔴
エルゴ・ルスツァイア
イクスフェルに搭乗
アドリブ、連携歓迎
マップデータ、良し。補給地点は…ここか
バックアップが手厚いな…ありがたい。出し惜しみは無し、だな!
しかしよりによってこんな時に…まあ、出来る事をするだけだ
全機へ、集束弾頭で攻撃する。着弾範囲に注意を!
データを送った後、背部マルチランチャーより対装甲クラスター弾頭のミサイルを撃ち放つ。補給の当ては有る。躊躇なく全弾だ
外れたとしても時限信管で強制起爆するソレで一撃を加え出鼻を挫いた後、後方より貫通力の高いHV-DRS弾を両腕部W-AR-C/Lで正確に狙撃の様な掃射をしつつ対岸から前進。誤射には注意だ
中距離から最大効率で血路を開こう
●弾丸の嵐、荒川を穿つ
「マップデータ、良し。補給地点は……緑地よりやや離れた物流センター、ここに臨時の物資集積拠点があるんだな。OKだ」
愛機のコクピット内で防衛軍から提供されたマップデータを読み込ませ、作戦に必要な情報を確認するエルゴ・ルスツァイア(|強化継承体《インヘリット・クローン》・f40463)。今回の作戦に当たり、エムセック社や桜嵐市国側が用意した手厚いサポート体制には思わず舌を巻く。
《何、イェーガー社にはいつも世話になっているからな。これくらいは当然だ》
「感謝する。お陰で出し惜しみなく戦える」
通信ウィンドウ越しに百目鬼社長が肩をすくめてみせるのを見て、エルゴの頭は自然と下がる。百人力だ、と感じた。
事態は非常に混乱している。ザ・スターの出現によって大国の意識はそちらに向けられた。であれば、そこに攻め入ろうと考える小国側にとってはまさに今が好機。大国のひとつは国内で発生した内乱の鎮圧も行わなければならない。まさに、アンサズ連合は三正面作戦を強いられた格好となったのだ。
「よりにもよってこんなときに……いや、『こんなとき』だからこそ好機と感じたのだろうな」
ともかく、できることをするだけだ。
「オルトロス全機へ、集束弾頭で攻撃する。着弾範囲に注意を!」
川向うからオルトロス隊へ通信を飛ばすと、背部マルチランチャーより対装甲クラスター弾頭のミサイルを斉射。オルトロス隊のイカルガはすぐに散開した一方で、回避の遅れたヴェクタ条約機構のサイクロプスは突如として襲来したミサイルの雨をしたたかに受ける。
「突破口は開いた! 一気に行くぞ!」
ミサイルから逃れたサイクロプスは貫通力の高いHV-DRS弾を両腕部W-AR-C/Lから撃ち込み、きっちりととどめを刺していく。敵の包囲はこれで崩れた。ここから先は反撃の時間だ。
大成功
🔵🔵🔵
防人・拓也
ここがアンサズ地方の桜蘭市国か。確かに俺の世界の東京とそっくりな地形だな。
さて、俺はキャバリアに乗らずに戦わせてもらうぞ。逆に枷になってしまう。
そうだな…エムセック社が封鎖している橋を利用させてもらおう。
そこから指定UCを使い、敵部隊の側面を突いてオルトロス隊を救援。指定UCで使う武器は日本刀『希光』。武器に風の魔力を付与して強化する。
俺はキャバリアに乗っていないから、的が小さくて狙いづらいだろうし、指定UCは時空間魔術・疾風瞬身を発動している状態でもあるから、最大速度マッハ10越えの速度で動けるので、視認する事も困難なはずだ。
伊達に他国で白い閃光と呼ばれている訳じゃないさ。
アドリブ・連携可。
●白い閃光
「ここがアンサズ地方の桜蘭市国か」
興味深げに周囲を見回すのは防人・拓也(奇跡の復活を遂げた|原初の魔眼《ゼロノメ》の開眼者・f23769)。
彼の出身世界の東京とそっくりどころか同じ地形と街並みで、思わず故郷に帰ってきたのかと錯覚してしまうほどだ。
彼はキャバリアに乗らないことを選択。逆に枷になるため、敢えての生身である。エムセック社が封鎖している橋へと向かった。ここからであればオルトロス隊を襲う敵に一方的な攻撃が可能だ。
疾風瞬身で威力強化された斬撃を放ち、敵部隊の側面を突いてオルトロス隊を救援。日本刀『希光』に風の魔力を付与して強化する。
彼はキャバリアに乗っていないから、的が小さくて敵からは補足されない。最大速度マッハ10越えの速度で動けるので、視認する事も困難であった。
「伊達に他国で白い閃光と呼ばれている訳じゃないさ」
拓也は力強く宣言し、遅い来るサイクロプスを次々と斬り捨てていくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
李・玉明
アドリブ連携歓迎!
政治的な話題はさっぱりわからぬが、ヴェクタ条約機構は危険だというのはわかったのじゃ!
オブリビオンマシンを合法化して大勢の人に使わせようとするなんて、危なすぎるのじゃ!
桜蘭市国を守るために協力するのじゃー!
まずは防衛戦じゃな!
対空攻撃に注意しつつ浮遊して、河川沿いに展開している国防衛軍の救援に向かうのじゃ!
ふむ。劣勢とはいえ、オルトロス隊も立派に戦えておる。
それならば、ここは老君は温存しておくのじゃ!
妾は、まだ頑張れる皆を応援するのじゃ!
オルトロス隊に近づいて、エールを送るのじゃ!
フレー! フレー! イカルガ! オルトロスー!
護国のために頑張るのじゃー! 猟兵の皆も、頑張れー!
ティオレンシア・シーディア
…表面張力でかろうじて保たれてた「平和」に一石どころか核弾頭放り込まれたら、そりゃこうもなるわよねぇ…
ホントハタめーわくだわねぇ、あのヒーローサン…
あたしは橋なりバリケードなりのほうから支援射撃しようかしらねぇ。|虚空蔵菩薩印《技芸向上》で自己強化して●射殺・解識を起動、できるだけ高所に陣取って射撃と○爆撃降らせるわぁ。今のあたしの射程は半径23km超、前線側面後方問わず戦場全域射程内よぉ?マップデータと識別信号で敵味方の位置情報はマルガリータがリアルタイム更新してくれるし、直射と曲射を組み合わせれば色々と悪さはできそうよねぇ。
●優劣の逆転
「表面張力でかろうじて保たれてた『平和』に一石どころか核弾頭放り込まれたら、そりゃこうもなるわよねぇ……」
あのヒーローはずいぶんと傍迷惑なことをしてくれた、と毒づきたくなる。ティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)は空を見ながらそんな感想を抱いていた。突然のプラント襲撃に各国が対応に追われるその隙を突いた形での武装蜂起が引き起こされたのである。この大規模な混乱は当分収まることはないだろう。
「まぁ、おかげでヴェクタ条約機構なんて危険因子を炙り出すことができたけど……やっぱり劇物よねぇ」
目の前に目を落とせば、そんなヴェクタ条約機構の軍勢を相手に奮戦するオルトロス隊の姿があった。ふと見ると、その奮戦は功を奏し始めているように見える。
「オブリビオンマシンを合法化して大勢の人に使わせようとするなんて、危なすぎるのじゃ! 桜蘭市国を守るために協力するのじゃー!」
その理由は先行して渡河を終え、オルトロス隊と合流した李・玉明(豪華絢爛西欧天女・f32791)の応援であった。
「フレー! フレー! イカルガ! オルトロスー! 護国のために頑張るのじゃー!」
《!? オルトロス2よりオルトロス1、イカルガの照準システムの精度が向上している!》
《なんだと? ……あの子の応援はここまで作用するのか!?》
突如集弾率が向上し、敵機の撃破効率が上がった状況を見て驚くオルトロス隊。そう、玉明の応援はユーベルコードとなり、聞いたものの戦闘力を著しく向上させる。それは、「音響センサー」という形で玉明の応援を音波としてキャッチしたイカルガも例外ではないのだ。
「あら、可愛らしい応援団ねぇ。それならお姉さんも頑張らないと」
玉明の健気な応援にティオレンシアは少し微笑ましさを覚え、実際にオルトロス隊の力になっているのを見て自らも負けてられないと気を引き締める。この場での高所は西側にある都市高速5号線の橋だ。防音壁の上に登れば、足場はやや悪いものの遠くまでよく見渡すことができる。
「今のあたしの射程は半径23km超、前線側面後方問わず戦場全域射程内よぉ?」
敵味方の識別は支援AIのマルガリータがリアルタイム更新を行ってくれる。加えて|虚空蔵菩薩印《技芸向上》による自己強化で身体能力や技能も平時の一段階上へギアを上げてある。この状態で放つは|射殺・解識《クー・デ・グラ・ヴォワール》。クレインクィン「アンダラ」からは矢とグレネードがひっきりなしに撃ち出される。直射で関節部を射抜きつつ、曲射で先行して撃ち出したグレネードの起動を変えたり強制起爆させたりするなど、癖のある爆撃を行い混乱させる。
果たして、敵側は包囲の維持が困難になりつつあった。手薄になったところを目ざとく玉明が見つける。
「そこじゃ! そこを集中攻撃して包囲を突破するのじゃー!」
優位に立っていたはずのヴェクタ条約機構は、2人の猟兵の介入によって一気に劣勢へと叩き落されていく。包囲の突破まであと少しだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
雨飾・樒
オブリビオンマシンの合法化、考えた人達は、どこまで知ってるんだろう
東西の橋、渡河しようとしている敵から少しでも離れてる方のが警戒が薄いかな
橋の上からライゴウに乗って飛んで、味方を狙う連中に一気に接近
オルトロス、こちらドーマウス、敵の注意を引くから隙を狙って
私の"眠り薬の魔弾"、ライゴウのビーム砲で撃てるだけ撃ちながら速度を落とさず敵集団を抜ける
反転して再突入するけど、敵がこちらを狙って撃ってきたところでライゴウから飛び降りて、今度は二手に分かれて別方向から敵に射撃
私も空中跳躍符で飛び回れば、敵から見て小さくて良く動く厄介な的が二つになる
オルトロスからも仕掛けてもらえれば、渡河なんて無理なくらいに奴等を追い込めると思う
イカルガを乗りこなせる人達なら大丈夫、連携できる
アレフ・フール
アレウス搭乗
「マスター!此処にオリジナルが居るぞ!」
…判っている
ならば力を尽くさねばならぬな
全知・超克発動
【戦闘知識・世界知識】
地形の状況と友軍機の能力
敵機群の陣形を分析して突破口を把握し友軍と情報共有
オブビリオンマシンの合法化…これがどれ程異常な事か…
わしはこの世界は本当に恐ろしい世界と思う
「確かにあれを合法化とはとんでもねーぜ!」
それもそうだが…つまりこれは…此処の人々が…オブビリオンマシンを認識しているという事だ
やはり獣人戦線と並ぶ数多の世界の受け皿となりえる世界よ
【属性攻撃】
炎を機体に付与
UC発動し突撃
わしらが暴れればオルトロス隊も自由に動けるだろう
…しかし…オルトロスの支援にケルベロスが出るとはな?
【砲撃・重量攻撃】
喧嘩をする者展開
重力波砲による斉射と共に
【グラップル・ジャンプ・貫通攻撃】
飛び上がっては踵落としを叩き込み拳で四肢や武装を粉砕しテールアンカーで掴んでは地面に叩きつけ
炎を纏った力の叫びで受け止めながらも傷を受ければそこから炎を噴き出し暴れまわる
搭乗席は狙わず不殺徹底
●包囲網の崩壊、そして反攻開始
「マスター!此処にオリジナルが居るぞ!」
「……判っている。ならば力を尽くさねばならん」
アレフ・フール(愚者・f40806)は機神「アレウス」の言葉に頷いた。オリジナル、とは機神アーレスの事である。厳密にはオリジナルではなくヴェクタ条約機構が生み出したモンキーモデルではあるが、他国の機神をある程度劣化させているとは言えコピーしたという事実は冒涜的でもあり、その所業を成したヴェクタ条約機構は脅威に感じていた。
「オブリビオンマシンの合法化、考えた人達は、どこまで知ってるんだろう」
雨飾・樒(Dormouse・f41764)もまた、ヴェクタ条約機構のとった選択肢の危うさを実感する。オブリビオンマシンは搭乗者を破滅的な行動へと導く危険な機体だ。そして、通常であればオブリビオンマシンは猟兵だからこそ判明可能な機体である。しかしながら、ここアンサズ地方ではその前提は崩れる。G7を中心として採択された|戦闘教義《ドクトリン》「O事案マニュアル」によってオブリビオンマシンの正体が国家レベルで明らかになっているからだ。先のエルディスタン事変によって猟兵が信頼を勝ち得た結果、オブリビオンマシンという存在を周知することに成功したのである。
だが、結果としてそれは負の影響も齎した。オブリビオンマシンという存在の脅威ではなく、それを得たことへの「恩恵」を重く見積もった者たちが現れ始めたのである。その結果が、ヴェクタ条約機構の出現として今回露呈した。もちろん、オブリビオンマシンという存在を正しく知らず、「出自不明で危険だが強力な機体」という誤解がオブリビオンマシンの合法化という運動につながった可能性もある。だが、いっそそうであってくれと樒は願っていた。もしもオブリビオンマシンの危険性──搭乗者を破滅的な思考へと誘導する──それすら織り込み済みで合法化を謳っていたとしたら?
「オブビリオンマシンの合法化……これがどれ程異常な事か……。わしはこの世界は、本当に恐ろしい世界と思う。特にこのアンサズ地方という地域は飛び抜けて恐ろしいものよ」
「確かにあれを合法化とはとんでもねーぜ!」
「もとより神隠し現象が平均よりも遥かに多く確認されている地域とも聞いている。明らかに異常」
アレフの言葉に、乗機のアレウスと近くにいた樒は同意するが、それだけではない、とアレフは首をふる。
「それもそうだが、つまりこれは……此処の人々がオブビリオンマシンを認識しているという事だ」
「O事案マニュアル……それが成立している以上、オブリビオンマシンに関する知識が広く知られているのは当然。だからこそ『アンサズ連合』が成立した。本来ならここまで大規模な国家連合はこの世界の性質上成立し得ないはずなのに」
数多の世界の受け皿として機能しつつあるこのアンサズ地方。少なくともダークセイヴァー、サクラミラージュ、カクリヨファンタズム、スペースシップワールド、ヒーローズアース、ブルーアルカディア、そしてグリードオーシャンからの転移や技術流入が確認されている。さらにUDCアースや獣人戦線でアンサズ地方と縁のあるオブリビオンも確認されており、デビルキングワールドにも何らかの転移が行われた痕跡が存在するらしい。そして、どうやらこの地にも|殲術再生弾《キリングリヴァイヴァー》の存在が確認されているという未確認情報もキャッチされている。様々な異世界からの影響を受けているこの世界の状況は、さながら獣人戦線世界のようだ。
「ここも例外ではない、か。サクラミラージュの帝都を起源に持ち、日本国東京都23区の地形をそのまま映した小国家、桜嵐市国……影朧よりも厄介なオブリビオンマシンの好きにさせるわけにはゆかぬ。たとえそれがアレウスのオリジナルを模したモンキーモデルだとしても、だ」
ゆらり、と動き出すアレウス。敵機の陣形はすでにアレウスの電脳が解析し展開済みだ。
「オルトロス、こちらドーマウス、敵の注意を引くから隙を狙って」
交戦地点よりやや距離のある東側の橋を渡りつつ、樒は行動を開始した。通信を寄越しつつ、橋を死守する防衛軍の部隊に警戒を依頼する。背後の警戒を任せて後顧の憂いを断ち、眠り薬の魔弾をライゴウから斉射。人間に当てることで強制的な睡眠を促すこの魔弾は、キャバリアに対しては電装系と駆動系のシャットダウンという効果を齎す。ある機体は糸が切れた人形のように動きを止めて力なく立ち尽くし、別の機体は空中機動中にスラスターの動きが全て止まり、姿勢制御もできずに地面に叩きつけられる。
《オルトロス1よりドーマウス、支援に感謝する。オルトロス3、4、今だ。包囲を離脱。オルトロス2は引き続き私と警戒。残りは次の機会を待て》
「ふむ……こちらアレウス。殿ならばこちらで請け負う。オルトロス全機は離脱せよ」
《済まない、面倒な仕事を押し付ける形になってしまった》
「気にするな」
オルトロスと呼ばれる部隊をケルベロスたる自分が援護する。何やら奇縁を感じるが、それでも立派な縁。ならば大いに暴れて務めを果たすのが最善となるだろう。
「砲撃兵装展開! 巻き込まれるなよ!」
砲撃兵装「喧嘩をする者」を展開し重力波砲を斉射。狙いあやまたず敵機に吸い込まれ、包囲を狭めようとした敵機はたちまちバランスを崩して地面に倒れ込み、そのまま沈み込むように姿勢をうつ伏せの状態で固定される。これを掻い潜る敵機にはアレウスの直接攻撃が待っていた。重力制御による跳躍からのかかと落としが敵機の装甲をフレーム諸共叩き潰し、テールアンカーで空中に逃れようとする敵機を捕らえて地面に引き倒す。
もちろん敵機の反撃も苛烈であり、特に集中砲火を浴びた箇所の装甲が砕けるが、損傷部位からは炎が吹き出し、機体の出力が向上。地獄の悪鬼を思わせる容貌となったアレウスの大立ち回りが続く中、一旦離脱した樒が再び突入する。
「こちらドーマウス! 包囲を切り崩して敵の戦線を後退させる! 援護を!」
《オルトロス1よりドーマウスへ、了解した! 聞いたな! 各機フリーフォーメーションで当たれ! 包囲網を細切れにして戦線を再構築、荒川の堤防外まで戦線を押し上げるぞ!》
ここまで防戦一方だったイカルガが勢いよく機動戦を開始。アレウスの攻撃によってすでに崩壊している包囲網を完全突破したうえで突出している敵に猛攻を加え、敵勢力を後退させる。これに勢いづいた防衛軍とエムセック社は本陣を守っていた部隊も前線に投入し、逆渡河を開始。樒と二手に分かれたライゴウが一切の反撃を許さず敵陣を混乱させ、さらにアレウスが強大な単体火力によって封殺。
ついに、桜嵐市国側戦力による反攻の狼煙が上がったのである。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『MRCA87F-サイクロプス』
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POW : エンドレス・バタリオン
自身が戦闘で瀕死になると【同型機で編成された一個小隊 】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD : ヴァリエーション・ツイン
【白兵戦仕様のS型と砲撃戦用改修機のK型 】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ : エアリアル・アタック
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【所属する編隊 】から【統制同時射撃】を放つ。
イラスト:tel
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●荒川を超えて
《ヘイカン隊、ホロウ隊、作戦Aは中断。作戦Bに移行せよ》
《ミスラ隊前へ。防衛線を構築、本陣に入れるな》
敵の動きが俄に変わり始めた。桜嵐市国防衛軍・エムセック社・イェーガー社の混成軍は、孤立していたオルトロス隊の救援に成功。包囲を突破し、渡河を中断させることに成功している。
一方で、敵は多層的に防御陣地を構築。サイクロプスを主体とするヴェクタ条約機構軍は突出してきた敵を半包囲殲滅する心算のようだ。
だからこそ、迂闊に手は出せない。しかし、ここでもたついてしまっては敵に再度攻勢を仕掛ける時間を与えることになる。即ち、猟兵たちが取りうる作戦は現状2通りとなる。
1つは半包囲を強引に突破する。猟兵の機体の性能が充分高く、少々の包囲をものともしない自信があるのであれば問題はない。だが、本陣に控えるアーレスの撃墜の前に相応に消耗するため、補給などが難しい場合は撤収すべきだろう。
もう1つは、オルトロス隊と足並みを揃えて、敵の集中する箇所を避けて敵陣奥へじりじりと切り込んでいく浸透戦術だ。機体の性能に頼れないもの、補給に不安があるものはこちらの作戦であれば安全に攻めていくことが可能となる。もちろん、相応に時間はかかるため注意が必要だ。
ここからが正念場となるだろう。猟兵とオルトロス隊はそれぞれ最善の策を取り、敵陣へと切り込んでいくのだった。
フレスベルク・メリアグレース
補給が不安なら時間を
時間が不安なら補給を
二者択一のこの状況…ならば、わたくしはこう言いましょう
どちらも掴んでみせる、と
UC発動
【自分や仲間が取得した🔴と同数の数】か【LV数】の【殺竜武器を装備した聖騎士】を召喚し、その【騎士に応じた殺竜武器の竜殺しの権能】によって敵全員の戦闘力を減らしていくUC
これで中隊規模の聖騎士…勿論『殺竜武器型キャバリア』でキャバリア戦を可能としています
オルトロス隊と共にわたくしは補給を確保しながら、包囲網の突破は我が聖騎士に切り開かせます
さぁ、共に行きましょうーー今ある世界を守る為に
●二者択一ではなく、どちらも手にする
「補給が不安なら時間を、時間が不安なら補給を……二者択一のこの状況、ならば。わたくしはこう言いましょう。どちらも掴んでみせる、と」
フレスベルクにとっては最善手を導き出すのにそう時間はかからなかった。
「拝跪せよ、我が聖騎士。汝に授けるは竜殺しの御業たる武器。その剣、槍、弓、遍く殺竜たる武装を以て正義を為せ」
ユーベルコードによって現れたのは147人の聖騎士。殺竜武器の竜殺しの権能を、「竜をも殺せるキャバリア」と解釈することで、騎士たち一人ひとりをキャバリアに搭乗させる。即ち、前線の突破を聖騎士に担当させ、自分はオルトロス隊の援護に入ることで、浸透戦術と強行突破の両立を果たしたのである。
「道を作りなさい、聖騎士たちよ! 我々はその道を行きます!」
《援軍か! メリアグレースの助力があれば百人力だ、戦線を押し上げて一気に敵の親玉を叩くぞ!》
ヴェクタ条約機構のサイクロプス達はメリアグレースからの援軍を前に戦線の後退を余儀なくされ、さらにオルトロス隊と共に前進する猟兵勢力を食い止めることができないでいた。これが反攻の始まりとなり、ヴェクタ条約機構は防戦を余儀なくされることとなったのである。
大成功
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ティオレンシア・シーディア
とりあえず、最悪の事態だけは防げたかしらねぇ?状況としては未だ拮抗どころか若干不利、コケれば奈落へ真っ逆さまではあるけれど。
強行突破もやる気になれば多分できるけれど、後が続くかちょっと怪しいし。あたしは安全策で足並み揃えて進撃するわねぇ。
スノーフレークに○騎乗して●黙殺・砲列による魔術弾幕とガン積みした物理火器・火砲を●虐殺・壊擂で制御。マルガリータにセンサー類を任せて敵部隊を探知してもらって|同時多重補足《マルチロックオン》、援軍も含めて感あり次第片っ端から弾幕の嵐で叩きのめしてくわよぉ。
索敵結果は当然オルトロス隊とも共有するし、多少は進撃速度も上がるでしょ。
●慎重策
最悪の事態──オルトロス隊全滅と敵軍の渡河成功は脱した。しかしティオレンシアは未だ予断を許さないと考える。
(状況としては未だ拮抗どころか若干不利、コケれば奈落へ真っ逆さまではあるけれど)
そう、まだ敵は健在なのだ。加えて戦力的には未だ不利。撤退に追い込むためには浸透戦術による戦線の押し上げか、中央突破による本陣への強襲だ。
「オルトロス隊へ、安全策で確実に行くわよぉ。足並み揃えて進撃しましょうねぇ」
《オルトロス1了解。オルトロス各機聞こえたな、フォーメーションをLに。スノーフレークとデータリンクを》
果たしてオルトロス隊のイカルガたちは整然と並び、ティオレンシアが乗るスノーフレークと進軍スピードを合わせて前進を開始もちろん行く手はサイクロプスが阻む。白兵戦仕様と砲撃戦仕様が呼応して集まり始め、戦線の押し合いが始まる気配だが、それを覆すのがティオレンシアだ。
魔術文字が次々と空中に描かれ、スノーフレークに追随しながら魔力の弾丸を止め処なく吐き出し始める。さらに搭載された大量の火器も火を吹き始め、分厚い弾幕を形成。突出した敵には収束飽和攻撃で確実に撃破し、多方面からの圧殺を狙おうとすればマルチロックオンでこれを阻む。敵陣を丁寧に破壊しながら荒川河川敷から敵を大きく交代させることに成功。弾幕をくぐり抜けても、オルトロス隊が支援AIのマルガリータより提供された索敵データをもとに高度な連携を見せ、確実に敵を葬る。
「ここまで徹底的にやれば、向こうも切り札を出してこざるを得ないでしょうねぇ」
ティオレンシアの目は、敵陣の奥を見据えていた。
大成功
🔵🔵🔵
雨飾・樒
抵抗を続けるなら、容赦しない
引き続きオルトロス隊と連携、敵の陣地を喰い破って進む
ここで損害を与えないと危険そうだし、条約機構軍の戦力は出来る限り削りたい
ライゴウに乗って陣地へ突入、ビーム砲で味方の邪魔になる掩体等を破壊、"眠り薬の魔弾"で敵機を無力化する
敵がこっちに射撃を集中してきたら一旦離脱、その間に味方に敵を攻撃してもらって、再突入して陣地の傷口を広げる
私もライゴウもキャバリアよりずっと小さい、利用できそうな塹壕や掩体があれば一時退避に使って、敵の隙を窺って飛び出すのも良さそう
ただし一度に深く切り込み過ぎないように、味方と連携できなくなると敵が有利になる
アーレスが話に聞いた通りの存在なら、なるべく消耗を抑えて決戦に臨むべき
それにこの状況、中途半端な勝ち方だと、もっと危ないことになる気がするから
防人・拓也
防御陣地か。本陣に控えているアーレスとの戦闘に備えて、力を温存した方が良さそうだ。という訳で、オルトロス隊と共に浸透戦術を実施する。
指定UCを使い、高速機動を活かして、自ら先頭を切って敵陣へ斬り込む。侵入した敵陣地の状況を把握し、把握できたら長居することなく数機を斬ったところですぐに友軍陣地へ離脱。敵陣地で得た情報を友軍に伝達。友軍が陣地の攻撃を決めたら、友軍と共に敵陣地を突破。友軍が攻撃を断念したら、別の敵陣地へと斬り込んで情報を収集。これを繰り返して敵陣地へ肉薄していこう。
時間が掛かるのは承知だ。強引に突破しようとする猟兵もいるだろうし、それを考慮して、別方向からじわじわと迫っていけば、敵部隊はいずれどちらに対しても対応をせざるを得なくなる。そうすれば防御陣地のどこかに綻びができる。そこを突いてやればいいさ。
アドリブ・連携可。
李・玉明
アドリブ連携歓迎
うむ、相手も本領を出してきたようじゃな……。
ならば、妾もクロムキャバリアの戦い方に合わせるのじゃ!
行くのじゃ、ビッグ・ザ・老君!
『オオオオ!(Bradyback's Worksに受けた改修の成果、お見せしよう!)』
条約機構のサイクロプスたちの集団と対峙して、包囲を突破するのじゃ!
老君のパワーとタフネスなら、本陣までの穴を切り開けるのじゃー!
『オオオオ!(ユイミンのために! あと、他の猟兵の皆さんのためにも粉骨砕身しますぞ!)』
ジェイミィのガレージで作ってもらった、拡散ビームを出すナックルガード!
骸殻工房ガルシェンで作ってもらった、結界宝貝を内包した魔導ガントレット!
二種類の拳を使い分けて、遠距離ビームと防御結界を駆使して突き進むのじゃー!
『オオオオ!(そして、ワシの周囲に密集して止めようとするならば!)』
老君、パンチなのじゃ!『ウオオオオ!(巨人騎士拳をお見舞いじゃあ!)』
とても強引なパワー! とってもかっこいいのじゃ、老君!
『ウオオオオ!(ウッホゥ! 嬉しいぞぉ!!)』
●後顧の憂いを断つ
「うむ、相手も本領を出してきたようじゃな……。ならば、妾もクロムキャバリアの戦い方に合わせるのじゃ!」
ここまで支援に徹してきた玉明は、いよいよ直接戦闘が避けられぬと悟り、自らが保有する戦力を供出。インコムをセットすると、その機体を呼ぶ。
「行くのじゃ、ビッグ・ザ・老君!」
咆哮と共に現れたのはビッグ・ザ・老君。巨人型の生体宝貝『老君』をカスタムしジャイアントキャバリアとして武装を施したものである。Bradyback's Worksブランドと呼ばれる機体群のひとつにも数えられ、白兵戦能力は推して知るべし。
「オオオオ!(Bradyback's Worksに受けた改修の成果、お見せしよう!)」
中国甲冑風の装甲は、スペースシップワールド・第8710番都市艦の産業科学研究所が開発したナノクラスタ装甲となっており、敵のキャバリアライフルの銃弾を容易く弾き返す。
「オォォ!!(そこまでか! では科学の力による気功を馳走しようぞ!)」
この日のために追加開発されたナックルガード「RBX-BW-KG-950 MIDAS」。拳を突き出した老君が親指で人差し指第二関節に仕込まれたスイッチを強く押し込むことで、手の甲からその名の由来となった金色の拡散重粒子ビームを放つ。キャバリアへの改修時には扱いきれるかの不安があったため搭載案のみに留めていたが、数度の戦闘を経た上にエンドブレイカー世界の骸殻工房ガルシェンにて結界宝貝を内蔵した魔導ガントレットを新たに装備。これにより、ナックルガードの装備は可能と老君自身が決断したことでついに日の目を見た武装である。
苛烈さを増す攻撃には魔導ガントレットの結界で防御し、MIDASのビームで迎撃。攻防一体の戦術がヴェクタ条約機構側の陣形を崩壊させていく。老君のパワーに物を言わせた中央突破は、如何に敵の戦術が優れていようと、それを容易く覆す。
「老君が敵陣の中央突破……であれば、側面からの浸透戦術で一気に制圧、前線を押し出して荒川から遠ざけるのが最善だな。それでいいか、オルトロス1」
《オルトロス1了解。それが最善だろう。隊を2つに分けよう。オルトロス2から4、ドーマウスと共に左翼からの浸透を開始しろ。残りは私と共にファントム1-0と共に右翼から攻める》
《オルトロス2了解。聞こえたなオルトロス3、オルトロス4。左翼に向かう、遅れるなよ。ドーマウス、エスコートを頼む》
「ドーマウス了解」
老君の中央突破戦術をカバーし、後顧の憂いを断つべく、拓也はオルトロス1へ作戦を進言。その提案を飲んだオルトロス1がてきぱきと指示を出す。オルトロス隊のイカルガは2個分隊に分かれ、拓也が右翼、樒が左翼を担当して戦線の押し上げにかかった。
樒はライゴウに乗り、小型機体であることを最大限に活かして背後に回るとビームを薙ぎ払うように照射。不意を突かれたサイクロプスが爆散し、僚機をやられたヴェクタ条約機構側は攻撃の主を探す。
《ミスラ4がやられた! 中央のジャイアントキャバリアとは別方角からだ!》
《陣形を立て直す! CPよりヘイカン隊、カバーに入れるか!》
《ヘイカン2よりCP、無理だ! ジャイアントキャバリアを押さえるので精一杯だ!》
《待てヘイカン2、ヘイカン1はどうした!》
《とっくに撃破されている! 現在指揮はヘイカン2が引き継いで……っ!? ヘイカン2被弾! 被弾! 行動不能!!》
すでに敵は総崩れ状態にあった。老君の猛攻を押さえるために戦力を割いている最中、右翼・左翼でもそれぞれ攻勢が始まってしまったのだ。しかも左翼側はドーマウスの一撃離脱戦法に翻弄され、徐々に前線が後退を始めている。指揮系統も混乱が始まり、いよいよ恐慌状態まであと一歩といったところか。
「ファントム1-0よりオルトロス1、敵陣を確認した。グリッドマップ座標23-10が手薄だ」
《オルトロス1了解。攻撃開始タイミングはそちらに委ねる》
「了解。合図と共に23-10に回り込め」
一方で、拓也もまた歩兵として日本刀を片手に敵陣右翼側を確認。老君攻略のために戦力が引き抜かれたらしく、一見強固な布陣の中に穴を発見。エムセック社から支給された携行デバイスに目を落とし、グリッドマップで位置を確認。デバイスのタッチパネル液晶をタップしてマップ上に位置をプロットすると、オルトロス隊に転送しつつ口頭でも座標を伝える。
「ドーマウスよりファントム1-0。左翼側から右翼側への敵の移動はなし。老君の撃破を優先してる」
「ファントム1-0了解。引き続き浸透戦術を続けるぞ」
死角を晒す敵機のうち1機に対して日本刀を抜刀しながら一閃。居合の要領で斬撃波が飛ぶ。ユーベルコードのちからで強化された斬撃はサイクロプスの装甲を容易く切り裂く。熱源反応やレーダー反応すら感知することができなかったサイクロプスは何が起きたのかもわからずにその場に擱座した。
それを合図として、オルトロス隊のイカルガが陣形の穴目掛けて一斉に火力を集中。食い破るようにこれを突破しつつ、小さな穴を押し広げるように後方へと浸透していく。右翼でも始まったこの攻勢に対して、ヴェクタ条約機構の主戦力であるホウライ軍とラスタニア軍は対応が後手に回った。長年の戦争によって優秀なパイロットが不足しているラスタニア軍に加えて、長きに渡り実戦から遠ざかっていたホウライ軍は、オブリビオンマシンとの戦いを繰り返して戦術を確立したアンサズ連合軍と比べると兵員の質や将校の実力はどう贔屓目に見ても見劣りするものであった。それ故に、一度崩れた陣形の立て直しは最早難しかったのだ。
「自信満々に宣戦布告してきた割には、あんまり歯ごたえがない……何か勝算があったのかな」
「状況を利用しようとしたんだろう。上空のザ・スター、そしてガイアスの地下戦力が引き起こした内乱。アンサズ連合の影響力が弱まるのを見計らって独立宣言、宣戦布告するタイミングとしては最適だ。立ち回りを間違えれば、アンサズ地方が第二のカメリアにもなりかねない」
樒も拓也も、危惧していたのはそこであった。もっとも、現状のアンサズ連合の守りが強固であったこと、猟兵の介入が間に合ったことなどから、辛うじて不可逆的な破局は避けられている状況だ。
「でも、中途半端な勝ち方だと、もっと危ないことになる気がする」
「あぁ。禍根は残すべきじゃない。少なくともこの桜嵐市国については侵攻を断念させるほどの打撃を与えるべきだ」
通信を交わしながら、2人は破竹の勢いで中央突破を続けていく老君と玉明を見る。数の上では勝るヴェクタ条約機構側であったが、如何せん数的有利を覆すほどの性能差が老君にはあった。サイクロプスは決して悪くない機体といえど、老君の前では烏合の衆。無双を許す格好だ。
「ウォォォ!!(我こそはという者から来るが良い! ユイミンが見ている以上ワシが無様を晒すと思うでないわ!)」
「流石じゃ老君! このまま荒川から追い出すのじゃー!」
ヴェクタ条約機構側の被害は甚大。すでに戦線維持は困難だ。かくして、彼らはついに虎の子の機体の投入を決断せざるを得なくなったのである。
大成功
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第3章 ボス戦
『アーレス』
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POW : 機神刻衝拳
【貫手】で装甲を破り、【蹴撃】でダウンさせ、【掌底】でとどめを刺す連続攻撃を行う。
SPD : 戦哮重獄波
【収束や拡散等、多様に性質を変える重力波】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ : 剛覇尾衛攻
【テールアンカー】が命中した敵を【先端部のクロー】で追撃する。また、敵のあらゆる攻撃を[先端部のクロー]で受け止め[テールアンカー]で反撃する。
イラスト:御崎ゆずるは
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠桐嶋・水之江」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●間隙
敵陣奥深くまで食い込まれ、いよいよ荒川攻防戦の趨勢は桜嵐市国側に傾きつつある状況だ。じりじりと後退を続けるヴェクタ条約機構。虎の子のアーレスの投入で打開を図ったところで、随伴も壊滅状態。指揮官は撤退戦の判断を求められる状況だった。荒川流域から20km後方に作られた臨時指揮所で、作戦の指揮を執るヴェクタ条約機構軍の将校たちは揃って苦虫を噛み潰したような顔をしながら、「その判断」を口にするべきタイミングを探り合っていた。自分たちの無能ぶりはここまでの戦いで嫌と言うほど味わされている。だが、口にすることで、「自分たちの手で」改めてそれを認めることになる。将校たちのなけなしのプライドは、事実を認めることを拒むだけの力が残っていたのだ。
その時、事態は急変する。
《桜嵐市国に不明機が接近! 市街地で後詰に当たっていた桜嵐市国防衛軍の戦力が迎撃にでた模様!》
「どこからだ!?」
俄に発生した第三勢力の横槍。その正体はザ・スターが展開したエナジー・ゲートから出現したオブリビオンマシンであった。荒川が突破された時に備えて防備を固めていた戦力が、迎撃のためにやむを得ずスクランブル発進していく。
「……これは好機と捉えるべきだ」
震える声で作戦参謀を務める将校の一人が告げた。もちろん大きな賭けではある。失敗すれば、虎の子のアーレスを失うことになるだろう。
そもそもこのアーレスは、エルディスタン軍閥政府残党のテロ組織『スパシーチェリ』からラスタニア救国会議を通して提供された設計データをもとに、ヴェクタ条約機構の各国が共同で開発したものだ。ハイエンドキャバリアとして将来的にはヴェクタ条約機構の主力キャバリアの一角を担う、ヴェクタ条約機構にとっては今後を占う重要な機体でもあった。
それを失うことは、即ちヴェクタ条約機構にとって大きな損失となる。だが、すでに負け戦のこの状況。少しでも敵に負担をかけさせることができれば、のちの戦いでこの負担をボディブローのように効かせることも決して不可能ではない。傷をひとたびつければ、後は広げるだけでよいのだから。
「アーレス、突貫せよ! 貴機だけでも荒川を突破し、桜嵐市国への上陸を成し遂げるのだ!!」
指揮官の下命と共に、アーレスは動き出す。猛然と荒川目掛けて突き進む。
「まずい! 不明機の対処に戦力を割いたことを察知されたか! オルトロス隊、そしてイェーガー社戦力は全力を挙げて敵機を食い止めろ!! 奴に荒川を渡らせるな!!」
エムセック社の百目鬼が、突如荒川へ単騎突貫を開始したアーレスを見て全身を声にするがごとく叫ぶ。オルトロス隊と猟兵たちが展開する戦場の真っ只中へ、荒ぶるアーレスが飛び込んできた。
フレスベルク・メリアグレース
真の姿、解放
ノインツェーンの機械翼がノーライフキングの様に水晶の翼へと変わっていく
現在いる世界の法則を変換したソーンから、対象の『この物語の結末は自分と人々の願いが決める』という願いを叶える『誰かの瞳に映る悲劇の終焉』を破壊する帰天を創造
そこからテールアンカーを水晶化し、脆弱にして砕いた後に水晶化した防壁を荒川に展開
上陸を防ぎながら水晶化の帰天による終焉の破壊を叩き込んでいく
荒川をあ渡らせる訳には行きません
ヴェスタ条約機構よ
わたくしはフレスベルク・メリアグレース
この争乱の意義を否定する者の一人です!
●侵攻の否定、その背後で
「荒川を渡らせるわけにはいきません!」
フレスベルクは襲来するアーレス相手に水晶の翼を展開。水晶はアーレスが繰り出したテールアンカーに伝播し、水晶化して粉砕される。砕かれた水晶は一瞬空気中に漂ったかと思うと、そのまま増殖。即席の防壁となってアーレスを阻んだ。
アーレスはこれを突破しようと持てる最大火力を叩き込もうとするが、フレスベルクは水晶を利用したトップアタックで妨害。アーレスの侵攻速度は大幅に遅滞した。
「ヴェクタ条約機構よ。わたくしはフレスベルク・メリアグレース……この争乱の意義を否定する者の一人です!」
この水晶は悲劇の終焉を破壊する願いが具現化したものだ。故に、悲劇をもたらそうとするアーレスがヴェクタ条約機構として、かつオブリビオンマシンとして戦う限り、この防壁は突破できない。
だが。この防壁のため、フレスベルクは「それ」に気づいたのは、全てが終わった後だった。自らが護る桜嵐市国にて、「ある異変」が発生していることに気付けなかったのである。
そう、水晶化する構成物質の中に、「桜の花びら」が1枚、混入していたのだ。
大成功
🔵🔵🔵
雨飾・樒
神話の存在じゃない、ヴェクタ条約機構のアーレスか
強そうだけど大丈夫、現実的に戦える
敵機の尻尾、攻撃も防御も器用に出来て厄介
ライゴウに乗って接近、まずはビーム砲を撃ち込んで、奴の尻尾がどう動いてくるのか見てみる
結構伸びそうだし見た目以上に柔軟なのかもしれない、アンカー部分だけじゃなく薙ぎ払われないように注意
"眠り薬の魔弾"を撃つなら尻尾の基部近くを狙った方が良さそう、先端近くを撃っても効くのが遅れるかもしれない
避け切れなそうになったらライゴウから飛び降りて空中跳躍、出来る限り近付いて、魔弾を撃てるだけ撃ち込む
完全に無力化できなくても動きが鈍ってくれれば充分、ライゴウのビーム砲や味方の攻撃への防御、反撃が追い付かなくなれば勝てる
私達の勝利、敵の敗北は明確にしないと
ちょっと複雑ではあるけど、アーレスへの攻撃は徹底的に
他の敵機もまだ抵抗するなら、容赦しない
防人・拓也
遂に出てきたか、アーレス。
両手で術印を結び、片手を地面につけて魔法陣を出現させてルイーズを召喚。
「お呼びでしょうか、我が君」
「都市への被害を最小限にする為、お前の神速で一点集中の強力な一撃が必要だ。俺が隙を作る。合図したらアーレスを攻撃しろ」
「承知しました」
ルイーズに指示後、原初の魔眼を開眼させて交戦。
敵の警戒すべき攻撃は重力波だ。近接攻撃やテールアンカーによる攻撃は斥力で吹き飛ばせるが、重力波は相殺させるしかない。
敵の攻撃を未来予測で見切り、最善の手で攻撃を防いでいく。敵が自身に集中して注意を向けている時に
「今だ!」
とルイーズに合図を送り、古代武装『神槍エリクトニオス』で神速の突きを放ってもらう。
もし攻撃を敵に防がれたとしても、それは想定内。ルイーズに注意がいった瞬間、引力でアーレスの両足を自身がいる方向へと引き寄せてバランスを崩させて隙を作る。
「今が好機だ!」
とルイーズに再度攻撃を促しつつ、自身はアーレスの上へとジャンプし、上から斥力で押し潰す。
アドリブ・連携可。
ジュディス・ホーゼンフェルト
●機械教皇庁
ベストなタイミングに間に合ったね
ん?アタシら?
ご覧の通りバーラント機械教皇庁の執行官だけど?
ちゃんと正規の契約結んで来てるから問題ないでしょ?
じゃあ始めましょうかね
レーゼ執行官殿
そっちの元日乃和軍人の雇われもね
さあて…アーレスのモンキーモデルはどんな代物やら?
行くよガルム!
三機で包囲して集中攻撃するよ
ビームキャノンとミサイルの破壊の嵐で足を止める
敵の狙いがこっちに向いたら回避と防御に専念
ハウリングシャウターで怯ませて後方に跳ぶ
格闘を捩じ込んでくるならパルスクローで弾く
んでジャミングスモークを焚いて一旦逃げてから仕切り直し
アタシが引きつけてれば他の二機が狙いやすい
チームワークってやつ
レーゼ・シュトラウス
●機械教皇庁
ごきげんよう…
アナスタシア聖下の神命によりバーラントから参りました
とても古い時代、|外界《アーレス大陸の外》に持ち出された闘神アーレスの断片…
かの機体はその成れ果ての一つでしょう
複製されてもなお闘神に相応しい器なのか…ただの殻なのか…
見極めさせていただきます
行きましょう、マンティコア
包囲陣を敷いて三方向より攻撃を集中させましょう
バスタークローを構えつつテイルメガビームキャノンで攻撃致します
狙いが私に振り向けられましたらパルスシールドを展開
格闘攻撃の一段目をクローを犠牲に受けましょう
深い打ち込みです…肉断骨砕でお返ししなければなりませんね
こちらもテイルクローで深く貫かせていただきます
七瀬・永見
●機械教皇庁
アーレス…大陸創世の機械神か
レプリカらしいがとんでもないな
機械教皇庁に雇われた時点でとんでもないと言えばそうなんだが
しかしイェーガー社と機械教皇庁から二重の報酬があるとはいえ…これは痛い目を見そうだ…
ダークイーグルよりガルムとマンティコアへ
これより戦闘行動を開始します
共に幸運を
執行官の指示通りに包囲攻撃を仕掛ける
中距離からゾディアスとスティングテールのビームキャノンを連射しよう
ジュディス執行官が磔にしている時が好機だ
敵の攻撃動作はイーグルアイで確認しておく
避けられるなら避けるが、そうでないならブレイゾンの薙ぎ打ちで切り払って後方に跳ぶ
逆に弾かれたらすぐにスティングテールで打ち返そう
●機械教皇庁、強行偵察
「ついに出てきたか、アーレス……!」
「神話の存在じゃない、ヴェクタ条約機構のアーレスか」
ヴェクタ条約機構が新規に生産したモンキーモデルとはいえ、その威容は健在。性能もオリジナルほどではないにしろかなり高いことは、先のズヴェズダ山脈における新型キャバリア駆動実験阻止任務でも証明済みだ。
「ルイーズ」
『お呼びでしょうか、我が君』
拓也が両手で術印を結び、片手を地面につけて魔法陣を出現させて一声呼べば、護城神機『ミネルヴァ・ルイーズ』が召喚される。
「都市への被害を最小限にする為、お前の神速で一点集中の強力な一撃が必要だ。俺が隙を作る。合図したらアーレスを攻撃しろ」
『承知しました』
拓也がルイーズへの指示を行う一方で、樒は冷静にアーレスのマニューバを見極める。ネックになるのはテールアンカーか。攻防それぞれに応用できる小回りの効く装備のため厄介極まりない。
と、その時。
「ごきげんよう……アナスタシア聖下の神命によりバーラントから参りました」
「……バーラントだと!? アナスタシアの名を出したということは……機械教皇庁が直接動く事態か!?」
突如響き渡る声に拓也が驚愕で目を見開く。戦場へ投入されたのはバーラント機械教国連合の機械教皇庁に所属する3機のキャバリアだ。
「ベストなタイミングに間に合ったね」
《確認するが、貴機らの所属は》
「ん? アタシら? ご覧の通りバーラント機械教皇庁の執行官だけど?」
各務原一佐が警戒心を露わに尋ねる。バーラントのアーレスに国土を侵犯されているため、桜嵐市国とエルディスタンにおける対バーラント感情は悪化の方向に傾いている。だが、ジュディス・ホーゼンフェルト(バーラント機械教皇庁三等執行官・f41589)から返ってきた答えに、各務原一佐は毒気を抜かれた。
「ちゃんと正規の契約結んで来てるから問題ないでしょ?」
《と、いうと……》
「イェーガー社の実働オペレーターの立場として来ている……ということだな?」
各務原一佐が言い淀む中で、拓也が会話に割り込んだ。
「その通り。不安であれば契約書の謄本をイェーガー社にご確認されては」
「いや、大丈夫。少なくとも私達はね」
レーゼ・シュトラウス(バーラント機械教皇庁二等執行官・f42691)の言葉を受けて、樒は問題ないと首を振る。少なくとも、教皇たるアナスタシアの命によって、イェーガー社の雇用戦力としてこの場にいる以上、彼女たちは友軍だ。そして、バーラントの機械教皇庁が動いたということは即ち。
「確認するが、機械教皇庁……ひいてはバーラントはあのアーレスのモンキーモデル……その大元のきっかけにも絡んでいない、という認識で良いんだな?」
「そこは如何様にも解釈いただければ。ただ、ひとつだけ事実を申し上げるとするならば、とても古い時代、|外界《アーレス大陸の外》に持ち出された闘神アーレスの断片……かの機体はその成れ果ての一つでしょう。少なくとも教皇庁の見解としては以上の通りです」
拓也の確認には肯定も否定もせず、ただ事実を淡々と述べる。その言葉を聞いて、エムセック社の百目鬼はふむ、と考え込んだ。以前ガイアスの大公がアーレス大陸へ赴いた際、レイテナ・ロイヤル・ユニオンから出てバーラントの領海外の航路を航行していた際に、機械教皇庁の手のものが飛来しガイアス大公とアークライト自治領のグリモア猟兵を監視していたという点が気にかからないと言えば嘘にはなる。
だが、少なくとも今の時点ではむしろヴェクタ条約機構の方を脅威と見ているということか。実際、ガイアスですでにバーラント機械教皇庁の執行官がイェーガー社──ひいてはAUPF側に立ってサブジェクトOの排除に動いたことは事実。この実績の前には、ひとまずこの件の収拾に関する信頼を預けない理由は無いだろう。
《了承した。貴機らバーラント機械教皇庁執行官の助力に感謝する》
「はいどういたしまして。じゃあ始めましょうか、レーゼ執行官殿。そっちの元日乃和軍人の雇われもね」
百目鬼の了承を受け、ジュディスはこの話はこれで終わりだ、と会話を打ち切った。各務原一佐も、この場を預かる百目鬼の判断であればと頷く。樒と拓也も同様に、この場の。ひとまず、現在は目の前のアーレスの対処だ。
「ダークイーグルよりガルムとマンティコアへ、これより戦闘行動を開始します。共に幸運を」
「三機で包囲して集中攻撃するよ」
七瀬・永見(名無しの傭兵・f29237)の通信に対してジュディスは指示を出す。その指示通りに、ダークイーグルは中距離からゾディアスとスティングテールのビームキャノンを連射しながらアーレスを釘付けにしていく。続いてジュディスのガルムがビームキャノンとミサイルを斉射。破壊の嵐とも形容できる猛攻でアーレスの足止めを図った。
一方、拓也は未来視を駆使して自分に降りかかる攻撃を最小限の動きで捌いていく。横を見れば、レーゼのマンティコアがバスタークローを構えつつテイルメガビームキャノンで攻撃するのが見えた。おそらくこの後が好機だ。果たして、アーレスはレーゼ目掛けて攻勢を仕掛ける。
「今だ!」
拓也の声に、古代武装『神槍エリクトニオス』で神速の突きを放つルイーズ。アーレスはすぐに対応できず、防いだもののバランスを崩した。一方レーゼはパルスシールドで受け、カウンターでテイルクローを刺突。
「お返ししなければ……さぁ、複製されてもなお闘神に相応しい器か見極めさせていただきますよ」
深く突きこまれるが、アーレスは腕を犠牲にこれを受けたため被害はやや浅い。ならば、とジュディスに目が向いたその瞬間。
「そこだ……!」
魔弾を一気に撃ち込む樒。テールアンカーの攻撃は樒が一手に引き受けており、眠り薬の魔弾をテールアンカーの基部にまとめて叩き込んでいた。これがすべての分水嶺であった。
「ありがとね、ネズミさん! 一気に畳み掛けるよ!」
ジュディスがハウリングシャウターを浴びせて後方に飛び、ダークイーグルがRXブレイゾンを|薙ぎ打ち《スイングストライク》。アーレスの攻撃を弾き飛ばし、距離を置く。テールアンカーの動きは鈍り、格闘も制裁を欠いている。おそらく重力波の制御もままならない状況だ。
「今が好機だ!」
拓也の宣言に、友軍達は一気に動いた。オルトロス隊のイカルガが距離を取ってキャバリアライフルの斉射で火力を集中。樒もライゴウに飛び乗り、ビームキャノンを最大出力で浴びせかける。ダークイーグル、ガルム、マンティコアも搭載火器の残弾をすべて叩き込みに出た。そして、ルイーズの再度の神速の刺突がアーレスを突き抜けるように突き刺さり、無視できないダメージを与える。
「これで……!」
拓也が大上段に剣を振りかぶると、引力でアーレスの両足を自身がいる方向へと引き寄せてバランスを崩させて斥力攻撃で一気に押しつぶしにかかる。フレーム構造に無視できなダメージを喰らい、一時的に機能を停止するアーレス。やったか、と思ったその刹那、拓也と樒の目の前に、ありえないものがひらりと視界を横切るのが見えた。
「……!?」
「これ、って」
そんなはずはない。季節外れのこの時期に、こんなものが舞うはずがない。しかし、もしかしたら。
「やはり……日乃和とは似ているようで根本的に異なるのか、この国は」
元日乃和軍人の傭兵である永見も、出身国と比較したその特異性に驚く。目の前を横切った「それ」は、少なくともこの時期の日乃和では見ることはないだろう。
荒川の水面に、それは落ちた。紛れもなく、|桜の花びら《・・・・・》だった。
大成功
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アレフ・フール
(遂に対峙する二機のアーレス)
「…マスター!彼奴も…俺と同じオリジナルの技術を使った機体だ!」
…そうか…ではアレウスよ…お前は奴に後れを取るか?
「…勿論負ける訳にはいかねぇ!」
ならば…わしも力を尽くすとしよう
全知・超克発動
【戦闘知識】
機体の構造と弱点となる部位
コックピットの位置を分析し把握
取り戻せし我が叡智で須らく看破してくれる
【属性攻撃・呪詛・砲撃】
UC発動
紅蓮の炎を機体に付与
喧嘩をする者を展開
呪詛を込めた弾丸を乱射
その動きを鈍らせる
【重量攻撃・グラップル・貫通攻撃】
超重力を機体の手足に収束
「本来重力の力は神機ではヘカテイア様の能力だったが…アーレスの機械神は同じ星の力を振るうようだな!」
ならば立場は同じ…ならば…後はお前の力とわしの力を以て挑むのみ!
故に正面から激突
己の体術で重力波を薙ぎ払い距離を詰めて拳を叩き込み
腕を絡めて決めるというか叩きおりにかかる
「俺だってパンクラチオンの心得はあるって奴だ!」
拳や抜き手を叩き込み超至近距離で全力を以てぶつかり合う
「「負けてなるものかー!!」」
李・玉明
アドリブ連携歓迎
渡河はさせぬ!
ビッグ・ザ・老君に引き続き戦ってもらいつつ、妾もUCを行使して戦うのじゃ!
行くのじゃー!
『オオオオ!』
(老君はナックルガードと魔導ガントレットを駆使して、イカルガたちや他の猟兵機体と連携してアーレスに対峙します)
妾は老君の肩の上でスペシャル☆ディザスターを装備して、思いっきり演奏するのじゃ!
聴いてください、特別暴力鮮血流星!(ケルベロスブレイドの楽曲です)
|骸《ガラクタ》の海にから来た|十字架《オブリビオンマシン》を繰る指揮官よ。ヴェクタ条約機構軍の将校たちよ!
ちっぽけなプライドや責任を負いたくない怯えから戦おうとしても、桜嵐市国を守りたいという皆の願いには決して敵うものではない!
もし自国の民の笑顔を思い出せないのなら、それがお主らの負い目なのじゃ!
怨嗟の無い明日は在りはしない。それでも、必ず明日はやってくるのじゃ!
引き金を引いてみせよ、アーレス!
老君が、オルトロス隊が、イェーガーたちの覚悟が、その攻撃を乗り越える!
みんなが力を合わせて、打ち倒すのじゃ!
ティオレンシア・シーディア
あっちだってそりゃあそう無能なわけもないんだし。当然突ける隙があるなら付け込むしその場での最善を尽くそうとはするわよねぇ…
モンキーモデルとはいえ基になってるのはハイエンドの一角、一山いくらの量産型じゃ束になっても薙ぎ払われるだけなんだし。
|機体構成《アセン》を見る限り近接型ではあるようだけど…重力がどうこうとかいうインチキ兵装も搭載してるみたいだし、距離を離せば大丈夫とか舐めたこと言ってはいられなさそうよねぇ。
|遅延のルーン三種《停滞・束縛・欠乏》・|ペオースの逆位置《凶運》に|帝釈天印《雷》、●黙殺・砲列の○弾幕で侵攻ルートを誘導。攻撃の軌道を○見切って踏み込みに合わせた○クイックドロウでの●重殺一閃、カウンターで六連ファニング喰らわせてやるわぁ。
|刻むのはベオーク・シゲルの二条・ウル・ハガル・ユル《「成長」する「エネルギー」は「臨界」し「制御を離れ」「破滅」の「終焉」を齎す》――他の戦場までは知らないけれど、どうにかここまで詰めたんだもの。しっかり仕留め切って完全試合といきましょ。
●桜嵐、吹き荒れる時
「渡河はさせぬ! 老君、絶対に荒川を超えさせてはならぬ! 頼むのじゃ!」
「オオオオ!!(委細承知! 異郷の神機何する者ぞ!)」
荒川までの道のりを前に、敵機を粗方屠り尽くした老君が立ちふさがる。アーレスと組み合い、純然たる力比べが始まった。双方の馬力は互角。腐っても他の大陸で神機とよばれた機体だけはあるようだ。
肩では玉明が「スペシャル☆ディザスター」と銘打たれたギターを構え、楽曲「特別暴力鮮血流星」を弾き語る。ケルベロスディバイドの並行世界、ケルベロスブレイドでかつて活躍したケルベロス達が好んで聴いていた曲だ。猟兵やオルトロス隊の魂を震わせ、対峙するホウライ・ラスタニア混成軍の戦意を挫く旋律が響き渡る。
「モンキーモデルとはいえ基になってるのはハイエンド中のハイエンドの一角、一山いくらの量産型じゃ束になっても薙ぎ払われるだけなんだし……これは骨が折れそうだわぁ。というか現にジャイアントキャバリアの老君とがっつり組み合ってるあたり、単純な馬力勝負で勝ちに持ってくのは難しいわねぇ」
ティオレンシアは現状を冷静に分析した。そもそも、この突撃自体が破れかぶれの一手ではないことは百も承知だ。戦略的な意図も多分にあるものという想像は容易につく。
「あっちだってそりゃあそう無能なわけもないんだし。当然突ける隙があるなら付け込むしその場での最善を尽くそうとはするわよねぇ……」
現状こそ老君が抑えているが、アーレスには重力を操る武装もある。下手に手を出せば返り討ちは避けられないだろう。つまり、全力で事に当たる必要があるのだ。|遅延のルーン三種《停滞・束縛・欠乏》・|ペオースの逆位置《凶運》に|帝釈天印《雷》、●黙殺・砲列の○弾幕で支援し、戦場を隔離する。これで猟兵戦力のみが介入可能な状態となった。
「……マスター! 彼奴も……俺と同じオリジナルの技術を使った機体だ!」
老君との戦いを繰り広げるアーレスを見る者がもう1機いた。類似した姿を持つアレウスだ。その理由は、源流が同じであるからだった。
「……そうか」
そのアレウスの主であるアレフは瞑目し、問う。
「ではアレウスよ。お前は奴に後れを取るか?」
「勿論負ける訳にはいかねぇ! あの相手はまがい物だ! ただの工業製品だ! 俺達神機とは格が違う!」
アレウスの答えは明白であった。答えに満足そうに頷くと、アレフは閉じた目を再び開く。
「ならば、わしも力を尽くすとしよう」
全知・超克発動。アレフの脳に流れ込んでくるありとあらゆる知識は、まさにアレフに全知をもたらすもの。彼我のキャバリアの構造や弱点、コクピットの位置、エネルギーの流れなども全て把握する。戦場が完全に切り離されている現状も味方した。
「感謝するぞティオレンシア」
「いえいえ、お気になさらず。他の戦場ももう大詰めってところでしょ? それならこっちもばっちり詰め切りましょうか。老君も抑えてくれたしねぇ」
「あぁ、ここから先は我らも戦列に加わろうぞ。アレウスよ……お前の力を見せて見よ!」
紅蓮の炎に包まれるアレウス。全てを破壊する形態だ。
「任せろマスター! 老君、後はこっちで引き受ける!」
「オオオオ!(かたじけない、アレウス殿! では、絡繰仕掛けの気功にて援護しよう!)」
ナックルガード「MIDAS」にエネルギーをチャージしつつ後退する老君。そのかわりに前に出たアレウスは、砲撃兵装「喧嘩をする者」を展開。呪詛を込めた弾丸を発射しアーレスの動きを鈍らせる。
《エネルギー供給効率低下……くそっ、エネルギー供給路を未知の手段で阻害された!》
《CPよりアーレス、戦場を隔離させた歩兵戦力がいるはずだ! イェーガー社戦力によるユーベルコード行使と思われる!》
《アーレス了解、歩兵戦力の排除に動く! くっ……やはりイェーガー社の戦力に最大限の注意を払うべきか……!》
アレウスを重力波で牽制しつつ、アーレスが狙うはティオレンシア。だが、ターゲットに選ばれたティオレンシアは不敵に笑っていた。
「やっぱりねぇ。あっちの目的は荒川渡河だものねぇ。でもね……カウンターの手段はしっかり用意してるのよぉ?」
アーレスの腕部マニピュレーターがティオレンシアを叩き潰そうと襲いかかるが、ティオレンシアはこれをぎりぎりまで惹きつけて紙一重で避ける。そこに食らわせるのは6発の弾丸。
「|刻むのはベオーク・シゲルの二条・ウル・ハガル・ユル《「成長」する「エネルギー」は「臨界」し「制御を離れ」「破滅」の「終焉」を齎す》──さぁ、完全試合を締めくくるさよなら満塁ホームランでゲームセットと行きましょうか!」
最初の5発で後続の強化をかけ、最後の極大の1発がアーレスの腕部を破砕する。
《これは──》
「終わりじゃ! 老君!」
「オオオオ──ッ!(受けてみよ! 我が気功!)」
老君のMIDASから放たれた気功──圧縮粒子のビームが襲いかかる。これをしたたかに受けたアーレスに、ダメ押しとばかりに襲いかかるのは……極大の重力波。
「本来重力の力は神機ではヘカテイア様の能力だったが……アーレスの機械神は同じ星の力を振るうようだな!」
「立場は同じである以上……手負いの貴様では我らには勝てぬ!」
アレフの口から発されたのは勝利宣言。やぶれかぶれで放たれたアーレスの重力波を相殺しつつそれ以上の重力波を叩きつけ、玉明の歌で強化された出力によって放たれる格闘攻撃で、アーレスを完全に行動不能に追い込んだ。頭部、そして四肢を破壊すれば、最早抵抗する手段は残されていない。
コクピットハッチが吹き飛び、中から射出座席が飛び出す。緊急脱出装置にて、パイロットは敗北を悟りベイルアウトしたようだ。全ての戦いが終わり、猟兵たちはあたりを見回す。桜嵐市国本国においては、市ヶ谷からスクランブルした防衛軍の機体が、エナジー・ゲートより現れた機体を対処し終えたところであった。
全ての戦闘行動は終わったが、異変は終わらない。
「えっ……」
ティオレンシアは瞠目した。それは、他の猟兵たちも同様だった。
「大変じゃ……桜嵐市国が、サクラミラージュになっておる……!」
玉明の言葉がその全てを物語っていた。桜嵐市国は、その名の通り、いつしか季節外れの桜が咲き乱れていたのだ。
●エピローグ
桜嵐市国で発生した桜は、サクラミラージュと同じ幻朧桜であった。発生源は桜嵐市国の中心に位置するプラント「アマテラス」。だが、アマテラス自体の機能は正常のままであった。
地脈を通って幻朧桜が各地に発生し、オブリビオンマシンが大量に発生したが、桜嵐市国防衛軍がO事案マニュアルに基づいて対処。猟兵戦力の力に頼らず、帝都櫻大戦によって発生した事案を食い止めてみせたのである。これには、援軍として駆けつけたケルベロスディバイド世界のDIVIDE長官「アダム・カドモン」も舌を巻いたという。
帝都櫻大戦が終結した現在、幻朧桜は時間とともに減少している。また、今回の侵攻に失敗したヴェクタ条約機構が受けた被害は甚大であり、戦力の立て直しには年をまたぐ見込みとなった。
ザ・スターの襲来より発生した一連の事案が完了したものの、いまだ予断を許さない状況。アンサズ連合の時ならぬ驟雨は小雨になりつつあるが、まだ雲間に光が差すには程遠い。
大成功
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