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フリーズ、フリーザー、フリーゼスト

#UDCアース #【Q】 #完全なる邪神

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#完全なる邪神


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●あ、野性の邪神が飛び出してきた!
 夏は暑い。それは当たり前のことである。
 暑くなれば冷たさを求める声が高まる。それも当り前のことである。
 そして高まった声は無意識の祈りとなり、やがてそれは神をも呼び起こす。|恐るべき神が無数に潜む世界《UDCアース》では、それもまた当り前の事であった。

●おや? 邪神の様子が……
「あなたのメルでございます。本日はUDCアースで依頼でございます」
 メル・メドレイサ(蕩けるウサメイド・f25476)が集まった猟兵たちにガリガリのアイスを配る。
「最近とても暑いですね。それに呼ばれたのか、UDCアースにて氷の邪神が復活してしまいました。その邪神は何者かによって冷凍保存されてしまいましたが、幸いにしてその保管場所に行く『鍵』が見つかりました。それというのが」
 そう言ってメルは一枚のチラシを取り出す。そこにあるのは、中古家電特売の文字。
「はい、ここ出ている冷蔵庫です。この扉を開けて中に入れば、そのまま「超次元の渦」という邪神の領域に入れます。中は冷蔵庫のサイズとは関係なく広々とした冷凍倉庫のようなところになっています」
 「超次元の渦」は現実とは隔離された異空間のような場所。外への影響など考えず全力で戦うことができるという。

「まず入って最初にあちこちに氷とそこから立つ白い炎のようなものが散らばっています。これは『邪神・凍れる灰色の炎』というオブリビオンですが、邪神にもかかわらずその数は集団型並みにいます。もちろんその一体ずつがボス級の実力。普通の集団型風に相手していたら到底身が持たないので、何とか相手を分断しつつ少量ずつ削ってください。相手は場を冷やして自分に有利な環境を作ったり|邪神封印柱《自分の氷》で直接ぶん殴ってきたりします」
 相手の数と実力から殲滅は困難だが、とにかく少しでも確実に数を減らすよう努めて欲しいとメルは言う。

「ある程度倒され不利を悟ると、こいつらは合体して別の形へと進化します。『冷蔵庫に潜む者』というその名の通り冷蔵庫に入った裸の幼女の姿をした邪神です。冷蔵庫の中身は色々入っているのでそれを投げたり食べて回復したり、相手を冷蔵庫に引き込んで冷気責めしたり、また時には冷蔵庫の奥に引っ込んで逃げようともします。また大事なこととして、彼女の実力は先に凍れる灰色の炎をどれだけ減らしたかで変化します。前の戦いで苦戦していると彼女もまた強くなってしまうのでお気を付けを」
 前にしくじればダイレクトに後を引いてしまう。またどんなに頑張っても並のボス程度の力はあるらしいので灰色の炎戦が上手く行ったからと言って油断は禁物だろう。
 ちなみに先の凍れる灰色の炎は会話は不能だが、この形態になると舌足らずながら喋るようになるらしい。

「そして彼女を追い詰めると、そこまでの戦いが彼女の経験になったのかいきなり急成長、『冷凍庫に潜む者』という冷凍庫に入った全裸の女性に進化します。この形態は邪神としての全力を出した状態で、フルスロットルな幼女モードよりさらに強いです。どれくらい強いかというと、必ず先制攻撃を仕掛けてくる上それへの対処をしくじると一発で氷漬け、敗北確定となります」
 フォーミュラや幹部級の用いる対処せねば即敗北の先制攻撃。それを用いてくるとあれば、実力も相応ということだ。
「彼女は幼女時に使った技をさらにパワーアップさせたような技を使ってくる他、逃げない代わりに冷凍庫を補強して一時的にメガな進化をしてきたりもします。さらに知性も上がっているのか流暢に喋るようになり、英語の技名もネイティブ発音です」
 見た目だけでなく技も進化。頭も良くなっているというまさに最終形態に相応しい強敵だ。

「事件を解決すれば皆様入ってきた冷蔵庫から出てくることができます。出入りのシーンはUDC職員さんが後々何とかしてくれるので、まあ気にしなくていいでしょう」
 邪神は場所を選ばず事件を起こす。その後処理のため、UDC職員は今日も奔走しているのだ。
 説明は終えたとばかりにメルはグリモアを起動し、転送の準備を始める。
「あ、ちなみに最初から一貫して彼女に固有名はありません。気が向いたらニックネームでもつけてあげればいいんじゃないですか? 6文字以内で」
 一部が浮かべた『5文字じゃないの!?』という驚愕と一緒に、グリモアの光は猟兵たちを飲み込み転送していった。


鳴声海矢
 こんにちは、鳴声海矢です。今回はUDCアースで氷の邪神との三連戦です。

 第一章は『邪神・凍れる灰色の炎』とのボス戦。ただし相手は集団型並の数がいる上に、一体ずつがボス級の力を持っています。まともに相手取っては苦戦は免れないので、捌ける程度の数になるよう分断しつつ頭数を減らしてください。ノルマは最低一体ですが、多数減らせるほど次の戦いが楽になるのでどこまで欲張るかは慎重に。

 第二章は『冷蔵庫に潜む者』とのボス戦。彼女は一体しかいませんが、その実力は前の章でどれだけ敵を倒したかで変わります。最低でも並みのボス級程度の力はありますが、倒し残しが多いとそこからさらに上積みされて行きます。

 第三章は『冷凍庫に潜む者』とのボス戦。大きな注意として、この章では『敵は必ず「ユーベルコードによる先制攻撃」を行い、これに対する何らかの対処がプレイングになければ判定は必ず「🔴🔴🔴失敗」になります』
 対処が不十分だったときも同様です。また敵の戦闘力自体もかなり強めなので、先制後も油断は全くできません。

 話の展開自体はややライト寄りですが、フレームの都合上敵は強めの相手との連戦になります。遊びすぎると目の前が真っ暗になってしまう可能性もあるのでご注意を。

 それでは、プレイングをお待ちしています。
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第1章 ボス戦 『邪神・凍れる灰色の炎』

POW   :    邪神封印柱
【邪神封印柱】で攻撃する。[邪神封印柱]に施された【邪神】の封印を解除する毎に威力が増加するが、解除度に応じた寿命を削る。
SPD   :    凍れる灰色の炎
【全身から灰色の炎】を放ち、命中した敵を【永久氷結効果と共に、名伏し難き狂気と悪寒】に包み継続ダメージを与える。自身が【邪神封印柱から力を引き出】していると威力アップ。
WIZ   :    ハイパーボリア・モンスター
戦場全体に【生きた氷河】を発生させる。レベル分後まで、敵は【あらゆる氷の自然現象】の攻撃を、味方は【病的で有害な青白き燐光】の回復を受け続ける。

イラスト:あなQ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ポーラリア・ベルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 中古家電特売会場の片隅で売られている大きな冷蔵庫。記憶処理前の他の客の目を憚りながら、猟兵が急いでその冷凍室の扉を開いて体を中に突っ込む。
 その先に広がっていたのは、一見して殺風景な倉庫のような光景。そして異常なのは、その中にいくつも柱状の氷が転がり、その全てが灰色のガスのようなものを揺らめかせていることだろう。
 そのガスが、着火したかのように一機に膨れ燃え上がる。しかしその色は灰色のまま。そして周囲に満ちるのは炎の熱ではなく、全てを凍てつかせんばかりの冷気であった。
 その炎は揺らめきながら歪な人型となり、自身の発生元にも見える氷柱を周囲に浮かび上がらせる。そして明確な意思があるかのように、侵入者を取り囲むような位置に移動しはじめたのだ。
 こここそが冷気に支配された『超次元の渦』。そして目の前に散らばるのがそこに住まう邪神の欠片である『邪神・凍れる灰色の炎』。
 奴らがやがて一つの形をとるその前に、可能な限りこの冷たい炎を吹き散らせ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
大変ですが、やってみますぅ。

『FAS』で飛行、『FLS』で|全『祭器』《未装備含》を召喚後、空間歪曲障壁を形成しまして。
『FMS』のバリアを並べ『隔壁』として用い分断、【鴻鉀】を発動し『祭礼の女神紋』により『祭器』共々『天鎧』を纏い巨大化しますねぇ。
この状態であれば『隔壁』は破壊しても通過前に『即時修復』されますし、【柱】による攻撃は『FPS』で用法を探査、動向に合わせ強化した『FSS』による受け流しと『FIS』の転移回避を組合わせて対応を。
後は、火力を増した『FRS』の[砲撃]と『FDS』の[爆撃]を主体に対処、討伐後は『FQS』で治癒しつつ『次』を引き入れますねぇ。



 倉庫を模した『超次元の渦』の中、氷柱が浮き上がり灰色の炎が次々と立ち上がる。うっすらと人型とも見える形を取ったそれはゆらゆらと揺らめきながら侵入者を取り囲んでいくが、その一つ一つが途方もない威圧感を持ち侵入者を押し潰そうとしていた。
「大変ですが、やってみますぅ」
 その状況に、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)もそう漏らす。何しろ数え切れないほどいるその存在は、その一つ一つがボス級の力を持つ。それに一斉にかかってこられてはどんな実力者であろうと一たまりもなかろう。
 それ故、るこるも全部をまともに相手取ろうとはしない。まずは空中に浮いて距離を取り、持っているだけの兵装を並べ、さらには非装備兵器まで呼び出して迎撃に当たろうとした。
 さらに空間歪曲障壁を張って相手の接近を阻むが、この超次元の渦自体が歪曲の極みとも言える空間。灰色の炎はまるで全てが分かっているかのようにそこを突っ切ろうとしてきた。
 るこるは空中でその様子を観察する。ある程度の数がそれを超えて足元に迫ってきたところで、バリア『FMS』を張りそれ以上の数の接近を阻んだ。
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『天鎧の加護』をお与え下さいませ」
 そして同時に【豊乳女神の加護・鴻鉀】を発動、『天鎧』を纏いその体を巨大化させた。
 一見すれば室内一杯に広がりそうなその身体も、まるで遠近感が狂ったように天井には届かない。やはり倉庫のように見えるのは見た目だけで、そもそも天井自体本当にあるのかすら疑わしいような場所なのだろう。
 だが、上が分からなくとも下が分かれば問題ない。下に来た灰色の炎たちに、るこるは探査用の祭器を差し向ける。
 それに反応するように手の部分になる炎が揺らめき、まるでそれに投げられるかのように氷がるこる目がけて飛んできた。それは天鎧にぶち当たりそこにひびを入れるが、鎧はすぐに修復される。それと同時に入ってきた情報は、この氷はただの氷ではなく邪神としての己が『存在』を凍結させたものだということ。
 その氷が、るこるの目の前でひびが入り割れる。そのひびからは、冷気が漏れる加の如く新たな灰色の炎が噴き出してきた。
 それは元からあった炎に加わり、その身を巨大化させる。そしてそれはまたも何かを投げるような動きをすると、再び氷がるこる目がけて襲い掛かった。
 その勢いは明らかに先より早く、修復を突破して鎧を突き抜けてくるだろう。それに対しては、物理盾である『FSS』を角度を付けて差し向け、受け流すことで回避した。
 やはりボス級という敵の強さは本物。そしてそれが目の前にも数体、囲みの外には無数に控えているのだ。
 さらにひびの増えた氷がまたもるこるに飛来する。今度はそれを盾でいなしつつ短距離転移で避けるが、滑らせただけのはずの盾は綺麗に抉れていた。
 祭器は修復するとはいえ、相手の攻撃力は上がっていっている。もし一撃でこちらが倒されるまで攻撃を上げ切られてしまったら、修復効果も意味をなさない。
 だが、情報を集めたるこるは分かっていた。相手の攻撃強化は自身の命と引き換えにしている。そしてここまで威力を高めていれば、もう相手に残っている命は僅かしかないはずだと。
 次の攻撃が来る前にと、るこるは攻撃力を増した砲と爆弾を一斉に差し向けた。
 同時に灰色の炎も、一押しで砕けそうなほどにまでなった氷柱を一斉にるこるへと放った。それは跳ぶ途中にも割れていくが、一つ一つが恐ろしい刃にもなってるこるを襲う。
 互いの武器が中空で交わる。それは氷と炎、単純な相性の差によって火が氷を溶かしそのまま蒸発させ消し飛ばした。
 空中で氷が消え失せると、下にいた炎も焚き付けを失くしたかのごとく消え失せる。
 そしてそれを確認したるこるはわざとバリアを下がらせ、一部の灰色の炎を侵入させた。今の戦いを見ていたはずの灰色の炎は、しかしまるで同じように氷柱にひびを入れながら投げつけて来た。
 敵は形態を変えるごとに少しずつ知能が上がっていくという。つまり第一形態である今は、実力はともかく知能はさして高くないのだ。
 知能ではなく本能で恐怖を覚え合体する前にと、るこるは再び自ら命を削る氷に炎を差し向け溶かしていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
俺達にあって奴らにないもの。
それはコンビネーション。
そんな訳で欲張らせてもらうぜ!
狙いは4体。一人頭2体で。

奴らに密集されたら厄介だから【厨火三昧】の炎を周囲に飛び交わせて奴らを分断すると共にその熱で俺とシャーリーを奴らの冷気から守る。
そして【環境耐性】で自然現象に適応し、【地形の利用】で地形を逆に利用させてもらい、周囲を駆け回りながら邪神に手傷を与えていく。
シャーリーの準備が整ったら、彼女と合流し互いの敵を交換。
俺は【武器に魔法を纏う】で【厨火三昧】の炎を纏わせた大包丁で【範囲攻撃】で複数の敵を巻き込んで両断する。
別に2体以上倒してもいいんだよな?
とはいえ、ボス級の相手に油断は禁物だ。
邪神を倒したらそのままシャーリーのバイクに乗せてもらって戦場を脱出する。


シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
まるで邪神のバーゲンセールだよね
けど、早い段階で邪神たちを倒していけば後が楽になるのならやるしかないよね?
大丈夫、ウィーリィくんと一緒なら

ウィーリィくんのUCで暖を取りながら、熱線銃の【クイックドロウ】【乱れ撃ち】【範囲攻撃】でまとまった敵に一気にダメージを与え、敵が合流するのを阻止する
もちろん向こうもUCを使ってくるだろうから【フェイント】で避けまくって相手の寿命を削って自滅させる
敵がバラバラになったら、一番深手を負った敵に【スナイパー】【クイックドロウ】で攻撃を集中させる
敵にダメージが行き渡ったらウィーリィくんに合図してお互いの相手を交換する事で敵の足並みを乱し、浮足立っているところへ指定UCを【2回攻撃】でお見舞いしてやっつける!
ウィーリィくんの方も片付いたみたいならそれに乗じて一旦退却!
慢心は禁物、だよっ☆



 倒しても次々とわき出して来る凍れる灰色の炎。大量にいるその全てが邪神でありボス級という恐るべき状況だ。
「まるで邪神のバーゲンセールだよね」
 シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)はその状況に呆れたように呟く。
 本来ならば余りにも無茶ぶりにすぎるこの状況。なれどこの状態で戦う理由があった。
「けど、早い段階で邪神たちを倒していけば後が楽になるのならやるしかないよね? 大丈夫、ウィーリィくんと一緒なら」
 それはこの先に控えるより厳しい戦いを少しでも楽にすること。そして信頼できるパートナーが隣にいること。
「俺達にあって奴らにないもの。それはコンビネーション。そんな訳で欲張らせてもらうぜ! 狙いは4体。一人頭2体で」
 シャーリーはウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)と目を合わせ、二人で互いに頷きあう。
 相手のその意図が理解できるとは思えないが、灰色の炎たちは揺らめきだち、そして周囲の温度を一段と下げ始めた。
 一見すればそれなり以上に冷気への体制がありそうな倉庫も、一瞬にして一面が凍結し氷河へと変わる。さらに張った氷は波のようにうごめき、二人を包囲するように迫った。
「極めた火工は、原初の火さえも従える」
 それに対しウィーリィが【厨火三昧】の炎を放って氷を押し返す。冷気によってできた氷はそれで溶かされ、さらに発生源である灰色の炎さえも押し返していく。
 だが、全ての炎が均等に押し出されて行くわけではない。いくつかは直撃を避け、炎の内側へと取り残された。
 その数は宣言通りの四体。だがその四体も孤立したことは察したのか、何とかして炎の囲みから逃れようとする。
 だがそこにシャーリーが素早く光線銃を抜き撃ちにし、一気にダメージを与えた。一瞬で抜いた銃は一射に留まらぬ光線を矢継ぎ早に炎と氷に浴びせ、その構造を乱していく。
 そうして明確に傷を負った邪神の群れではあるが、元々この超次元の渦は彼らのホームグラウンド。その意思に答えるようにまたも氷結は進んでいき、ウィーリィの撒いた炎さえも超えて場を凍り付かせていった。
 やはり、どうしても地の利は相手にある。その状態でウィーリィは駆け出し、並の如く迫る氷を飛び越えながら相手の周りを駆け回った。
 場の支配権を奪いきることができないなら、自分の方から場に適応してやろう。長く猟兵として戦ってきた経験のあるウィーリィならこの程度の状況初めてではない。そのまま氷の滑りを利用してスライディング、すれ違いざまに自らの武器で敵の本体でもある氷柱に手傷を負わせて離脱していった。
 だが、この氷柱は敵の体でもあり武器でもある。その氷を振り上げ、ウィーリィを捉えるかのごとくそれを振り回し始めた。
 そこに的を散らすかのように、シャーリーも飛び込んでいく。新たに近接距離にきた相手にも氷が叩きつけられるが、シャーリーは前に出ては引っ込み、また近づいて離れるとフェイントを繰り返しそれを命中させない。
 攻めるふりをしつつ回避に徹するシャーリーに苛立っているかの如く、氷にひびが入る。だが割れたその氷は状態に反するようにさらに重く、鋭く攻撃を繰り返し始めた。
 その一方でウィーリィはシャーリーから離れた氷と炎を狙い、その周囲を付きまとうように動き回る。こちらは相手に近づいた時には一撃を入れ、例え浅手でも傷をつけ続けていくのは忘れない。
 先の猟兵での戦いでもそうだったが、邪神でありながら灰色の炎の知能は決して高くない。自分に近い方の敵を追い回し、元々群れから切り離されていた四体はさらに分断されて勝手に動き始めていた。
 そして、ウィーリィを追っていた一体の氷が突然砕けた。だがそれをしたのはウィーリィではなく、敵を避け続けていたシャーリー。
 そしてそれを合図にしたように、ウィーリィは攻撃していた相手から離れ、シャーリーのいる方へと駆けだした。
 そして同時に、シャーリーも宇宙バイクにまたがりウィーリィの方へとかっとんでいく。二人はそのまま敵中で一瞬交差、その瞬間に軽く目を合わせてからそれぞれの相手を交換する形で逆側へと移動した。
 突然の敵の消失と新たな敵の出現に動きが乱れる灰色の炎たち。今までの相手を追おうとするもの、新たな相手を攻撃しようとするものと入り乱れその統制は全く取れていない。
「セット・イントゥ・ハイメガロドンモード!」
 その敵を、シャーリーが【ハイメガロドンフォーメーション】で重量子反応砲に変形したバイクを2連射して消し飛ばした。元々少しずつ傷ついていた上、耐性が崩れていた所にユーベルコードを直撃させられた氷は跡形もなく消し飛び、炎ともども消滅する。
「おっと、こっちもだ!」
 そして仲間の消滅を確認するまでもなく、残る方にもウィーリィが場に散らしていたユーベルコードの炎を自身の大包丁に纏わせ、思い切り振って両断した。
 こちらもシャーリーに寿命を削って攻撃を繰り返していたためひびだらけになっていた氷が、炎で炙られそこから一気に解けて砕け散る。砕けた氷はそのまま地に落ちることすらなく空中で全て溶解、蒸発して跡形もなく消え去った。
 互いの連携により一瞬で滅された四体の邪神。
「別に2体以上倒してもいいんだよな? とはいえ、ボス級の相手に油断は禁物だ」
 過ぎた欲は身を亡ぼす。まだまだ強力な相手が控えているこの場ではそれは比喩表現では済まない。
「慢心は禁物、だよっ☆」
 シャーリーがバイクを元に戻し、ウィーリィを乗せながら一旦下がる。
 今強引に数を稼ぐ必要はない。この場で無理なく成果を残すことこそ最後の総取りに繋がると信じ、二人は炎の向こうに一度退避するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ドゥルール・ブラッドティアーズ
SPD
とても恐ろしいわ……
油断してしまいそうな自分が

1体1体が強力とはいえ
私にとっては相性が良すぎたわ。
灰色の炎を受けた瞬間『運命改革・超魔逆転覇』が
自動的に発動。永久氷結効果と
それに付随する狂気・悪寒による継続ダメージを反射

凍って動けない彼らを邪神封印柱もろとも
ドレインフィールド【結界術・生命力吸収・魔力吸収・範囲攻撃】で
取り込み、その力を自身に【ドーピング】すれば
私の戦闘力と【氷結耐性・寒冷適応】は無限に強化されていく

(ルル、何を恐れてるの? 超魔王的に当然の結果!)

……勝って兜の緒を締めよ、です

救済してきた者達の力を過信し
足元を掬われぬよう【第六感・索敵・見切り】の
危機感知だけは怠らない



 いくら倒せどもまるで減るように見えない凍れる灰色の炎たち。それらを前に、ドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)は身震いをさせていた。
「とても恐ろしいわ……油断してしまいそうな自分が」
 その震えの理由は寒さでも敵の強さでもなく、絶対的な自信からくるもの。
 そこまで侮られているなど思いも、あるいは理解もせず、灰色の炎たちはドゥルールを取り囲む。そしてかろうじて人型だったその炎が揺らぎ、火炎放射の如くドゥルールに襲い掛かった。
 その炎が触れたところは焼けただれることこそないが、立ちどころに凍り付いて動きを止める。さらにそこから染み込むように、名状しがたき狂気が凍り付いた体の中に染みわたり始めた。
 永遠の氷結の中で動けぬままに狂気に侵され続ける地獄。まさに邪神の名にふさわしい恐るべき技がドゥルールを包み込んだが、それに対しドゥルールは微塵も動こうとはしなかった。
 しかし、それは起きる。
 ドゥルールを包んでいた炎の動きが止まり、青みがかった色に変わる。それは来た方向を辿るように炎を止めていき、やがてその本体とも言える|邪神封印柱《氷柱》へと届いた。
 まさにこれは、凍れる灰色の炎たちが敵に齎す氷結の技。ボス級の力を持ち、とりわけ氷には絶対的なまでの耐性を持つであろうこの邪神たちがなぜこのような。
「私達に搦め手は通じない」
 ユーベルコード【運命改革・超魔逆転覇】。行動制限を受ければ自動で発動し、相手にそのままそれを返すユーベルコード。それによって永久凍結はそのまま反射され、灰色の炎は逆に凍り付かされてしまったのだ。
 だが、その状況でも炎たちは無理に動こうとする。名状しがたい恐怖もその心を蝕んでいるはずだが、それに怯えるような様子は見えない。実像や痛みなどの明確な因果が存在しない恐怖に狂うだけの知能がまだないのだろう。狂うためにはまずまともでなければならないのだ。
 そして、凍った炎がべきべきとひび割れながら強引に動こうとする。それに対し、ドゥルールは生命力吸収の魔力を広範囲にばらまいた。
 結界で区切られた中の相手の生命を的確に吸い尽くし、それを壊していく。そしてその生命を燃やし、周囲の低温への体制もその身に宿す。
(ルル、何を恐れてるの? 超魔王的に当然の結果!)
「……勝って兜の緒を締めよ、です」
 この手はユーベルコードを反射されていることを正しく理解できない、相手の知能の低さを前提としている所がある。もし何かの偶然でもユーベルコードを止めて別の手段に切り替えられたら、今の作戦は丸ごとご破算になる。
 あるいは、他の個体が別の方向から、連携も作戦もなく無軌道に襲い掛かってきたら。意思の疎通の測れない相手の行動は読みづらい。賢者の思考を想像することは出来ても、虫が何を考えているか読める者はいない。ある意味一番予想がつかないのは考えの読めないボスが大量にいる今なのだ。
 『彼女』が『次』に進むまで。足元を掬われぬよう第六感を巡らせ、どこに敵がいて何をしてくるかを見切りっての危機感知だけは怠らない。
 様々な意味で『望ましい』姿に変わるその時まで、ドゥルールはただ心許さずここに立つのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

木霊・ウタ
心情
邪神に今を生きる命を喰らわせやしない
灰色の炎なんか
かき消しやる
できるだけ数を減らすぜ

戦闘
冷蔵庫から突入
ちょいとシュールだよな

ここが渦か
存分に戦えるってのは有り難いぜ

迦楼羅を炎翼として顕現
爆炎による機動も併用し
邪神に囲まれないよう気をつける

獄炎纏う焔摩天で薙ぎ払う

これでダメージを与えつつ
一撃と共に炎を孕んだ剣風を放つ
むしろこっちが本命かもな

破魔の力を秘めた紅蓮の烈風が
封印柱っていう氷を溶かし或いは脆くしたり
放たれる灰色の炎を相殺したり上書きしたりしながら
吹き抜ければ
その高熱と浄化の力から
邪神は身をひこうとするだろう

つまり分断だ
ああ一時的に過ぎないよな
けど十分だ

地獄の炎の火力を急激に上げて
大焔摩天へと巨大化

そのまま分断した邪神らへ振り下ろし
焼却浄化する

神殺しの力、その身で味わえ

こんなカンジで繰り返して
できるだけ海へと還していく

…さて次は合体すんだよな
鎮魂曲はもうちょいお預けだ



 倉庫のようにも見える今回の戦場。だがその入口は門でもシャッターでもない。特売会場の片隅に置かれた中古冷蔵庫の扉であった。
「冷蔵庫から突入……ちょいとシュールだよな」
 木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)は自分の入ってきた入口に改めてそう呟く。
 しかし、前を見ればそこにいるのは恐るべき邪神の群れ。幾度かの戦いをもって何体も倒されたはずの邪神・凍れる灰色の炎は、それでもまだそこに何体も冷たい揺らぎを上げて燻っていた。
「邪神に今を生きる命を喰らわせやしない。灰色の炎なんかかき消しやる」
 それは見た目から意思も知能も読み取れないが、間違いなく世界を滅ぼす邪悪なる神。
「ここが渦か。存分に戦えるってのは有り難いぜ」
 ウタは『迦楼羅』を炎翼として顕現。そこから爆炎をあげ高速移動し、包囲してこようとする敵から距離を取った。
 そして孤立したような敵を狙い、近づいて炎を纏った『焔摩天』をなぎ払っていく。
 灰色の炎の体は剣が通り過ぎれば元に戻りまた人型に揺らめくが、その大きさは明らかに小さくなっていた。
 しかし、その小さくなった炎が形を変えウタへと向けて伸びる。その炎を迎え撃つように、炎を纏わせた剣を斬るのではなく扇ぐように面を向けて振り下ろした。
「むしろこっちが本命かもな」
 剣圧が炎となって巻き起こり、紅蓮の炎が灰色の炎を包み込もうとする。
 破魔の力を秘めた紅蓮の烈風。灰色の炎自体はそれに吹き散らされ薄くなり、その本体であるらしき氷柱も炎に炙られていく。見る間に滴を垂らし溶けていく氷を抱えるように灰色の炎が包み、巻き起こる赤き炎から引いていくものが見えた。
 だが、一方、一部の灰色の炎はやられるばかりではない。己を包む熱を喰らい返すがごとく膨れ上がり、炎を押し返してウタを冷気で包まんとした。
 それに対してはさらにウタが炎を煽ることで再度の上書きをなし、放たれる灰色の炎を相殺する。
 高熱と浄化の力から身を引いたものは遠くへ追いやられ、それを無視して強引に攻めかかって来たものだけが疲弊しながら戦場に残る。
 つまりは分断。だが、結局のところ邪神はこちらを滅そうとしてくるのだ。炎が収まればまた攻めてくるだろう。
「ああ一時的に過ぎないよな。けど十分だ」
 目的は敵の全滅ではない。倒せる敵を倒すこと。
 ウタは地獄の炎を極限を超えて剣に纏わせ、大焔摩天へと巨大化させた。
 そして、目の前に残った邪神目がけて思い切り振り下ろす。
「紅蓮で送ってやる。海へ還れ」
 巨大な剣はそのまま【ブレイズスラッシュ】となり、神殺しの炎となって152メートルを焼き払った。
 その直線状にいた凍れる灰色の炎たちは全て紅蓮に焼き尽くされ、|氷柱《邪神封印柱》は溶ける間もなく蒸発していく。
 自身よりレベルの高い相手を焼き尽くす神殺しの技。それは以前ウタ自身が恐るべき十二剣神に放った時のように、強大な一体の敵に放つのが想定される使い方だろう。
 だが、ここにはボス級である神が数え切れないほどいる。長いの射程はそのまま焼き尽くせる敵の数となり、捕らえた邪神を焼却浄化していく。
「神殺しの力、その身で味わえ」
 氷に炎、神に神殺し、集団に長射程、そしてオーバーロード。特効に特効を重ねた相性抜群の攻撃の効果は通常の何倍に至るだろうか。
 そしてウタは剣をもう一度振り上げ、範囲内にいる別方向の邪神に炎を重ねていく。直線ならば縦には長くとも横はそこまでではない。敵がお行儀よく整列してくれているわけもない以上撃ち漏らしはあるし、出来ることならそれも滅したい。
 幾度となく炎が翻り、やがて灰色は全て消しとびそこには赤だけが残った。
 その炎も、ウタが剣を納めるとともに引いていく。
「……さて次は合体すんだよな。鎮魂曲はもうちょいお預けだ」
 敵を倒した時ウタは鎮魂の歌をいつも口ずさんでいた。だが、今はまだそれには早い。消えた炎の向こうにはまだ灰色の炎が燻っている。そして今行ったのも、何体もの敵を倒したのではない。強大な敵の体の一部を削ぎ落したに過ぎないのだ。
 そしてそれを示すように、炎と氷は今までにない動きを見せ始めた……!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『冷蔵庫に潜む者』

POW   :    ふりーざー もーど れでぃ
【勢いよく放出される冷気】が命中した物品ひとつを、自身の装備する【冷蔵庫】の中に転移させる(入らないものは転移できない)。
SPD   :    冷蔵庫から色々取り出す
攻撃力に優れた【巨大アイスキューブ】、レベル×2体出現する【手作り雪だるま】、治癒力を持つ【食べ物】のいずれかを召喚し、使役する。
WIZ   :    「じゃあわたし、ほかのおうちにいきますので……」
異空間「【別のご家庭の冷蔵庫】」に通じる不可視の【冷蔵庫の奥へと通じる道】を3つ作成する。自分のみ入場可能で、内部では時間が経過しない。

イラスト:夏目零一

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ポーラリア・ベルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 超次元の渦の中、何体もの『邪神・凍れる灰色の炎』が倒された。しかし、それらはまだ相応の数が生き残っている。
 その生き残りたちは最後の抵抗をかけるでも、また逃げるでもなく、これまでとは全く違う動きを見せ始めた。
 その本体とも言える存在であった氷柱が高速で宙を舞い、規則正しく組み上がり巨大な直方体を作っていく。そして前方が大きく開いた箱のような形になったとたん、残った灰色の炎が全てそこに急激に吸い込まれ始めた。
 全ての炎が箱の中に入っていき、最後に蓋をするように残った氷柱がその入口を閉じる。そして完全な氷の箱となった途端、それは見ることも困難なほどの強烈な光を放った。
 その光が止むと、そこにあったのは白い箱。その形は猟兵たちには見覚えがあろう。そう、この超次元の渦への鍵ともなった、冷蔵庫である。
 猟兵の見ている前で、冷蔵庫の扉が開く。
「おめでとう、わたしは、わたしに、しんかしたです」
 中から出てきたのは、全裸の幼い少女であった。愛らしい顔立ちながらその瞳には名状しがたき狂気が宿り、その髪はさっきまでここに満ちていた冷たき炎を思わせるような薄灰色
 彼女の名は『冷蔵庫に潜む者』。この超次元の渦に潜む邪神の第二形態であり、生き残りの凍れる灰色の炎が一つに凝縮された姿。。
 その体が僅かに外に出ただけで、まるでそこから氷河が溢れたかの如く周囲の気温が一気に下がる。その力、その冷気はボス級と言われた凍れる灰色の炎を遥かに凌駕するもの。凡百のボス級など上回る実力をその小さな体に秘めているのは戦闘者ならば一目見れば理解できた。
 だが、あくまでそれは見通せるレベルの強さ。猟兵によって削られた凍れる灰色の炎の分だけ、その身に詰まった力には隙が生じているはず。
 並よりは強い、だが決して規格外ではない。そんな力と、舌足らずに喋る程度の知恵を持った幼い少女がこの邪神の第二の姿。
「おそとはあついから、わたしはでないです。あなたたちも、ここでこおってしまうといいのです」
 この先に控える彼女の真の姿を引き出すため、この幼子を籠る殻ごと叩き壊せ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・『祭器』召喚継続
・アド/絡◎

■行動
凄まじい相手ですが、やってみましょう。

『FAS』により飛行、『FVS』で『FLS』を複製すると共に『FES』の『対冷結界』を展開しまして。
【獦矃】を発動し全『祭器』の性能を強化、『聖豊域』を形成しますねぇ。
これで邪神さんや周囲の情報は或る程度把握可能、飛行で冷気を躱しつつ自身が吸われたら『FIS』の転移で脱出、吸われた品は『FLS』の『召喚』で手元に戻しますぅ。
『FLS』『FVS』で相互に『召喚』すれば片方吸われても問題なし、『即時修復』で破損の心配も有りません。
後は『FDS』の[爆撃]を中心に全『祭器』による『弱点部位』への集中攻撃を仕掛けますねぇ。



 生き残りの凍れる灰色の炎たちが合体し現れたのは、冷蔵庫に入った裸の幼女。見た目なら合体前の方がよほど恐ろしいが、あれだけいたボス級の力が1体に凝縮されたのだ。
「凄まじい相手ですが、やってみましょう」
 夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はその本質をそう評しつつ、いつものように宙に浮き装備を展開した。
 『FVS』を『FLS』で複製、さらにそれで『FES』を引き出して冷気の結界を展開しようとするるこる。だがその複製、召喚の手順を踏んでいる間に、冷蔵庫に潜む者も攻撃を開始していた。
「ふりーざー もーど れでぃ」
 自分が入っている冷蔵庫の扉を大きく開け、中から冷気を放出する。一気に放たれた冷気が複製中の祭器とるこる自身を襲い、霜がつくほどの低温で取り巻いた。
 間一髪、耐冷結界は形成できたが、冷気という気体は完全に追い返すのは難しく、一部の祭器を凍り付かせる。そしてそれは吹き付ける冷気を逆流するように、冷蔵庫の中に吸い込まれてしまった。
「これは、わからない。いらないです」
 冷蔵庫から半身を出す幼女の手には引き込まれた祭器が。当たったものを吸い込む冷気によって彼女はるこるの手を封じようとしているのだ。
「大いなる豊饒の女神の使徒の名に於いて、冷厳なる狩人の瞳を此処に」
 それに対し、るこるも【豊乳女神の加護・獦矃】を使用。祭器の能力を強化しつつ修復能力を付与する。
 先手を奪われたものの、その効果で後続の冷気は遮断、ひとまずの防御態勢は確立できた。
「もうちょっとあける」
 相手の防御を抜こうと考えたか、幼女が冷蔵庫の扉を皿に開けた。より一層強く冷気が噴きつけ、るこるの防御態勢を崩そうとする。また防御の中心にある祭器は冷気に当たり冷蔵庫の中に吸い込まれていくが、るこるはそれをFLSの効果である装備召喚で取り返して防御が壊れないようにした。
 だが、本来の装備として持ち込んでいないものは召喚の一手間がかかる故か、どうしても時折布陣に穴が開いてしまう。そして強烈な冷気はそこを通り込み、ついにるこるの体へと届いた。
 るこるはとっさに短距離瞬間移動でそれを躱す。流石に体ごと冷蔵庫に引き込まれてしまえば、一瞬にして氷漬けにされかねない。相手はそれが可能な力を持つ邪神なのだ。
 そう考えていると、冷蔵庫に潜む者がるこるを見て何かを考えている素振りをする。
「はいんない、です。やせて」
 彼女の巣である冷蔵庫は幼女サイズである。そこに入る彼女の体型も、身長も厚みもまさにザ・幼女である。そして、彼女のユーベルコードは冷蔵庫に入らないサイズのものは転移できない。
 最後の一言はとりあえず聞かなかったことにしつつ、このまま守っているだけでは埒が明かない。ユーベルコードのもう一つの効果である弱点把握で調べれば、やはりというか弱点となっているのは幼女部分。柔らかい本体をかたい殻で隠す、貝のような生態なのだろう。
 ならばとそこに向けて攻撃を放つが、本体が出ているということは攻撃の為冷蔵庫が開いているということ。そうなれば強烈な冷気が噴きつけてくる。
「いらない、いらない、いらない……やだ、あつい、やだ!」
 抵抗のため吸い込んだ祭器をぽいぽいと冷蔵庫の外に捨てているが、攻撃の主体が『FDS』の爆撃に移った瞬間幼女が突然悲鳴を上げ始めた。
 炎は物体ではないので冷蔵庫に吸い込むことは出来ない。その代わり冷気が勝てば吹き消すことができるが、負けてしまえば冷気の方を掻き消して無防備な本体を襲ってくるのだ。
「やめて、あつい、きらい……」
 そして熱が冷気を押しきれば他の祭器の攻撃も届くようになる。一気に通るようになった攻撃が、小さな体に大きなダメージを一気に叩き込んだ。
「やっぱり、おそと、いやです……」
 たまりかねて冷蔵庫に閉じこもる幼女。灰色の炎ならば消し飛んでいただろうダメージを負いながらまだ倒れぬ彼女だが、それでも倒せぬ存在ではないことがこの交戦によって明かされていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

木霊・ウタ
心情
外見が幼女だからって
遠慮はしない

さっさと最終形態を引き出して
海へ還してやる

戦闘
背面や脚から炎を噴出し
その勢いで一気に間合を詰める

冷気の攻撃を
爆炎の勢いで軌道を変えて回避したり
大剣で受けて防御したり
地獄の炎を放って打ち消したりする

間合に入ったら
獄炎纏う焔摩天で薙ぎ払う

冷蔵庫に隠れようとする・隠れるのは
織り込み済みだ

冷蔵庫ごとぶった斬るつもりで
大剣を振るうぜ

火の粉が散る
剣風に乗って炎が広がる

冷蔵庫は勿論
この空間全体に紅蓮の炎を延焼させていく

当然すぐに消されちまうかも知んないよな

けど諦めず
しつっこく繰り返して攻撃を重ねていく
何度でも延焼させる

扉が開いて攻撃してくるんなら
すかさずその中へも延焼を広げてやるぜ

炎が広がるにつれ冷気は弱まる
冷蔵庫も邪神そのものも
力は減弱するだろう

閉じ籠り
或いは逃げようとするのを見逃さず
すかさず扉の隙間から刃を捩じ込んで
刀身から一気に炎を放出

冷蔵庫内を紅蓮で染め上げて倒す

事後
さて
ようやくお出ましか



 冷蔵庫に潜む者の外見は紛うことなき幼女。一見すれば弱く儚い存在だが、そんなものではないことはここにいる者なら分かっていた。
「外見が幼女だからって遠慮はしない。さっさと最終形態を引き出して海へ還してやる」
 この幼女は複数いた邪神が合体した完全なる邪神の第二形態。先にこの場に満ちていた恐ろしい存在を集約したより強い存在。そしてさらに恐ろしいことに、この姿は最終形態ではない。より強く、邪悪な形態をその内に隠した、邪神の蛹でもあるのだ。
 その邪神に、ウタは先の戦いと同じように爆炎を発し高速で迫る。そのウタを、幼女は冷蔵庫の扉を開けて待ち構えていた。
「ふりーざー もーど れでぃ」
 舌足らずな発音から繰り出される冷気は、辺りにあるもの全てを凍てつかせんばかりの勢い。その冷気を、ウタは剣を構えて受けようとする。
 炎の熱で冷気は消され剣には届かないが、冷蔵庫に潜む者は扉を大きく開けてさらに冷気を増加させる。それが炎を逆に飲み込もうとした瞬間、ウタは炎を爆発させ自分の体を横に動かした。
 彼女の冷気は当たったものを冷蔵庫の中に吸い込んでしまう。もし剣で防御すればそれさえも持っていかれてしまうかもしれない。冷蔵庫のサイズはそこまで大きく見えないが、元が邪神を封印する氷だと考えれば用心はしておくに越したことはない。
 冷気を避け、溶かし、何とかして間合いに入る。剣の届く位置に入った瞬間、ウタは『焔摩天』をなぎ払った。
 とっさに幼女が冷蔵庫の扉を閉め、中に閉じこもる。だがそうされることも想定の内とばかりに、ウタは炎を纏う剣を思い切り冷蔵庫に叩きつけた。
 普通の家電なら簡単に破壊できるほどの一撃が冷蔵庫に叩き込まれるが、がんと大きな音を立てて剣が弾き返された。
 それでも構わず、ウタは何度も剣を振るう。幾度となく大きな金属音が響き、鉄同士が打ち合って火花が散る。
 その火はすぐに消えることはなく、液体のように飛び散って落ちた先に揺らめきを残した。
 それはウタの体を切り裂き流れる【ブレイズフレイム】の炎。血と同じそれは液体のように飛び散り、そして散った先で燃え盛る。
 辺りに散った炎は消えることなく燃え盛り、空間全体の温度を上げていく。それは寒冷な環境を好む邪神にとっては不快極まりない環境だ。
「あついの、や」
 冷蔵庫の扉が薄く開き、冷気が振りまかれる。それが届いた部分の炎は消しとめられて行くが、ウタはそれでもまたそこに炎を撒いてこの場を熱気で包むのをやめない。
 しつこく、あきらめず、何度でも。
 そしてそれを消そうと扉を開いて攻撃けば、剣をそこに叩きつけ中にまで炎を撒き散らそうとする。
 冷蔵庫の中は冷気の根源、そこに入った炎はすぐに消えてしまうが、目の前に振り下ろされる巨大な剣と大きな金属音は幼子の心に恐怖を植え付ける。
 炎と冷気が鍔迫り合いを繰り返し、一進一退の攻防を繰り返す。それを終わらせようと幼女が扉を一瞬だけ広く開け、冷気を思い切り吹きだした。
 そしてその結果も見ずに幼女は冷蔵庫の中に閉じこもろうとする。その強烈な冷気を、ウタは剣で受け止め自分への直撃を防いだ。
 触れたものを奪い取る冷気が剣を吸い込もうとする。それが冷蔵庫の扉に入った瞬間、強引に扉にねじ込む形にしてウタは一気に炎を放出した。
「やだやだやだ!」
 いかに相手の領域でも、オーバーロードした炎を直接流し込まれれば一瞬でもその温度は灼熱に達する。柔らかな本体を直接焼かれながら、涙声をあげて幼女は扉から剣を押し出し、固く冷蔵庫の扉を閉じて閉じこもった。
 その殻の中で傷にあえいでいるだろう幼子にウタは思う。
「さて、ようやくお出ましか」
 その幼い体が焼け落ちる時、邪神の真髄が現れる時のことを。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ドゥルール・ブラッドティアーズ
WIZ
戦闘力にしたら100万以上は確実かしら。
新しい誕生祝いね♥

宇宙の帝王か究極生命体を前にしたような軽口とは裏腹に
彼女の姿に情炎【気合い】が滾る

ダメよ、逃がさないわ♥

別の家庭の冷蔵庫に逃げようとするのを【第六感】で【見切り】
彼女を【念動力】で引き寄せ【怪力・捕縛】の抱擁をするも
物凄い力で抵抗され、私の体はバラバラに……?

否。『狂愛』で154人のちびルルに分裂しただけよ。
元々の【継戦能力】に加え
先ほど吸収した灰色の炎達の力を【ドーピング】した事で
戦闘力も【氷結耐性・寒冷適応】も格段に強化。
更に分裂中の私はどんな攻撃も軽減するわ

彼女の全身に纏わりついて動きを封じ
平坦な胸の先端、下腹部の蕾、後門の菊……
幼い体の隅々まで味わい尽くすように舌で【慰め】
媚毒【呪詛】の宿る唾液を塗り付けたり
首筋から【吸血】しつつ体内に注いだりして
快楽と多幸感で満たす【マヒ攻撃・生命力吸収・大食い】
抵抗する意思も力も削ぎつつ、UCの寿命消費もカバー

初々しい反応も可愛いわ♥
お姉さんと一緒にオトナの階段を上りましょうね♥



 冷蔵庫に潜む者は見た目は幼い幼女。しかしそれは無数に分かれていた力を一つに凝縮し、抑えられていた力を解放した進化形態なのだ。
「戦闘力にしたら100万以上は確実かしら。新しい誕生祝いね♥」
 宇宙の帝王か究極生命体を前にしたような軽口だが、それを聞いた冷蔵庫に潜む者は首をかしげる。
「なんのはなしです? わかんない」
 極めて有名なボスの第二形態出現時なのだが、何せ元ネタの初登場は30年以上前である。たった今物心ついたばかりの幼女が知らないのも致し方なし。
 若干ジェネレーションギャップを感じつつも、裸の幼女ということで情欲で気合を入れるドゥルール。
「わかんないので、ほかのおうちにいきます……」
 それを見て何かを感じ取ったか、幼女はさっさと冷蔵庫の奥に引っ込もうとする。
「ダメよ、逃がさないわ♥」
 幼女の逃亡を察してドゥルールも追いかけ、冷蔵庫の扉に手をかけた。だが、小さくともボス級の群れが凝縮された邪神第二形態。その力は見た目を裏切るほどに強く、筋力に加えて念動力までかけて引き寄せようとした扉が強引に閉められていく。
「こないで、です」
 閉められ行く冷蔵庫の隙間から冷気が漏れる。それは涼しいや寒いで済むようなものではなく、明確に殺傷能力を持った冷たい風だ。扉にかけた手にそれがかかれば、手はかじかみ肌に霜がついていく。
 そして、それはドゥルールの体全体に広がっていき、相手の動きが鈍ったのを見て幼女は冷蔵庫の扉を一度力強く開けた。
「ばいばいです」
 鉄の板のような扉が凍ったドゥルールに叩きつけられ、氷と共にその全身が粉々に砕け散った。
 その瞬間。
「あぁん、もう我慢できない!!」
 砕け散ったドゥルールの破片が、冷蔵庫に潜む者に纏わりついた。それと同時に冷蔵庫に潜む者が暴れ出す。
「なにこれ……やです、こないで」
 それは砕けた肉片などではない。【狂愛】で154人に分裂した小さなドゥルール。それが冷蔵庫に潜む者の全身にくっついて、その体をまさぐり始めたのだ。
「きもちわるくて、へんなの……やだ!」
 邪神は冷蔵庫の中から大量に冷気を噴き出し、纏わりつくものを一気に払おうとする。それは気体という特性ゆえに細かなところまで届き、大量のドゥルール全員を一気に冷却した。
 しかし、ドゥルールもその抵抗は想定している。先に彼女の前形態である凍れる灰色の炎から吸収した生命力を使い、冷気への耐性としてその盾にする。さらにこのユーベルコード自体の特徴として攻撃軽減の効果もあるため、いかに邪神の冷気とは言えどそう簡単には吹き散らされることもない。
 その状態で、幼い体の全身に吸い付き、そこから生命力を吸い上げていく。灰色の炎から吸った生命力は幼女の攻撃によって消耗していく。それを彼女の命を吸うことで補填していくが、やはり第一形態の盾と第二形態の攻撃では効果に差が出てくる。
 なので相手の動きを鈍らせるべく、そして幼い体を味わうべく、呪詛入りの唾液を少女の下半身や胸に擦り付け、注ぎ込む。
「うぅぅぅ……あぁぁぁぁ……」
 幼女が唸り声を上げる。それはダメージによる苦悶か、あるいは何も知らない故に自身の感覚を言い表す言葉を知らないのか。
 後者であれと願いながらも、首筋からの吸血をしつつも相手に多幸感を与えるべく甘い痺れをその体に供していく。
「う、うぅぅ、う……」
「初々しい反応も可愛いわ♥お姉さんと一緒にオトナの階段を上りましょうね♥」
 彼女が『オトナ』になる時。それは次のお楽しみであり命懸けの決戦の時でもある。その時に至るべく、ドゥルールは今はまだ小さな体を存分に味わうのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
見た目は可愛いけど油断は大敵だね
でも、ボクたちが邪神を倒した分だけその能力は下がっているはず
だからボクたちにも勝機はあるはず!
行くよ、ウィーリィくん!

【気合い】で意志の力を高めて【エクストリームミッション】を強化し、そのスピードで冷蔵庫の周りを飛び回りボスのUCを回避しながら【スナイパー】【クイックドロウ】て熱線をピンポイントで浴びせ続ける
同時にボスの足元に【ロープワーク】と【罠使い】ワイヤーを張り巡らせ、ボスが冷蔵庫から身体の一部を出したところを見計らってワイヤーで束縛して引きずり出そうとする
当然ボスも抵抗するだろうから、そこをウィーリィくんに狙ってもらってボクもそれに乗じて【クイックドロウ】【スナイパー】で【援護射撃】
悪い子には熱線でお灸をすえてあげないとね!


ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
あれが邪神の第二形態か。
何とも拍子抜けな姿だが、これまで倒してきた邪神とは桁違いの強さを感じる。
けど、俺とシャーリーなら勝てる!

シャーリーが敵本体を攻撃している間、俺は炎の【属性攻撃】を付与した大包丁で冷蔵庫の方を攻撃する。
こいつも敵の体の一部だからな。
敵のUCは【足場習熟】【地形の利用】で氷で滑らないようにしながら【見切り】【フェイント】でやり過ごし、【鎧砕き】【部位破壊】で冷蔵庫の蝶番を壊してドアが閉まらない様にする。
そしてシャーリーがボスを引きずり出そうとしたところで身動きを封じられたボスに【神火の竈】の強火の炎をお見舞いし、追い打ちで【武器に魔法を纏う】で【神火の竈】の炎を大包丁に纏わせて【二回攻撃】を【限界突破】させた「三回攻撃」を叩き込んで炎だけでなく物理ダメージも奴に与える。



 冷蔵庫から顔を出し、相手の様子を窺う幼女。それは怯えている様にも見えるが、その扉の隙間から漏れている冷気は触れた場所を瞬く間に凍り付かせていく。
「あれが邪神の第二形態か。何とも拍子抜けな姿だが、これまで倒してきた邪神とは桁違いの強さを感じる」
 その僅かな場所を見逃さず、相手が先になぎ倒した第一形態とは比較にならない力を持つことをウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)は見抜く。
「見た目は可愛いけど油断は大敵だね」
 それにシャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)も答える。
 だが、二人に怯む様子はない。
「けど、俺とシャーリーなら勝てる!」
「でも、ボクたちが邪神を倒した分だけその能力は下がっているはず。だからボクたちにも勝機はあるはず! 行くよ、ウィーリィくん!」
 先に二人、そして猟兵たちが倒した灰色の炎の分だけその力には隙が生じているはずだ。そこをつけば必ず倒せると、二人は幼き邪神に向かい合った。
「ふたり、でも、かんけいないです。ふりーざー もーど れでぃ」
 拙い口調と共に開けられた扉から、強烈な冷気が振りまかれた。それは周囲の気温を一気に下げ、辺り一面を凍り付かせんとする。
「史上最大の凶暴すぎる竜巻、戦う覚悟はある?」
 その風に対抗するように、シャーリーは気合を込めて【エクストリームミッション】を発動。宇宙バイクが変形したサメ型パワードスーツを纏い、冷気を躱しながら冷蔵庫の周りを旋回した。
「ろぼっと、ほしくない、けど」
 それを追って幼女が首を回すと、冷気の発射口である冷蔵庫が丸ごと旋回する。だがその扉目掛け、シャーリーは素早く熱線を発射した。
 とっさに扉の中に籠り、幼女はそれを回避する。やはり防御用の殻ということか、その扉には一切傷などもついていない。
「だったらこいつはどうだ!」
 そこにウィーリィが踏み込み、炎を纏った大包丁で冷蔵庫の側面を切りつけた。がぎんと金属音が成り火花が一瞬散るが、振りまかれた冷気によって冷やされた室温の中でそれはすぐに消え去る。
「いたくない、ぼうぎょ、ぐーんです」
 これも体の一部ではあるが、元々本体を守るための外殻。相手の攻撃を受けることを想定した部位であるが故、そう簡単にダメージは通らないようだ。
 だが、それで受けている間にもシャーリーは素早く本体狙いで撃ちかけてくる。それに対しても素早く動きながら冷蔵庫の中に引っ込んで回避していくが、そうなると冷気の噴出は弱まり攻撃の頻度が緩くなる。
「めんどくさいです……こおって」
 焦れて来たか、幼女が頭を伏せながら一気に扉を開けた。大きく開いた扉から強烈な冷気が振りまかれ、辺りを凍り付かせる。それはウィーリィの足元まで撒かれ、例え避けてもそこを凍り付かせ自分の領域へと変えてしまう。
「それを待ってたぜ!」
 だが、その足場が凍る前にウィーリィは一気に駆け抜け、安全な位置まで素早く移動した。そして冷蔵庫の側面に回り込み、扉の蝶番を狙って一気に大包丁を振り下ろした。
 今までと違う高い金属音と共に、金属片が飛び散る。それは冷蔵庫の扉を止めていた蝶番であった。
 留め具が外れ、冷蔵庫の扉が離れて倒れる。
「うわ、わ、わ……」
 手をかけていた扉に引っ張られ、幼女の裸体が冷蔵庫の外に転がり出た。幼女は慌てて箱の中に戻ろうとするが、その体に何かが巻き付いてその動きを止めた。
「こっちの待ちはこれだよ!」
 冷蔵庫の周囲にあったのは、氷に紛れて敷き詰められていたワイヤー。これはシャーリーが相手の周りを高速周回しながら敷き詰めていたものだ。高速連射で相手を防御と回避に集中させることで、周囲に罠を張り相手を引きずり出す時を待ち構えていたのだ。
 ウィーリィが固い外側を攻撃し続けていたのもこのため。いかに固い装甲であろうとも、叩き続ければいつかはガタが来る。相方が仕掛けた罠に敵を嵌めるため、彼はひたすら地道に敵の殻を攻撃し続けていたのだ。
 無防備な本体を捉えられ、冷蔵庫の中に戻れないでいる邪神。その小さな体に秘める力は邪神の名にふさわしい強いものであるはずだが、シャーリーもその身をオーバーロードさせて力負けを防いでいる。
 それでも拮抗させるのがやっとだ。だが、それで構わない。
「人類で最初に火を手にした人間はこう叫んだ!! 『我こそは料理人なりィィイイイーーーッッ」』」
 ウィーリィの絶叫。【神火の竈】の業火が、小さく幼い体を取り巻いた。放たれた強火の炎が剥き出しの体を直火焼きにし、その生命力を急速に溶かしていく。
「あつい、あつい……やだ……」
 悶える幼女。だが、その後ろには全開となった冷蔵庫がある。最後の攻撃としてそこから最大の冷気を放たれればこの状況からでも一気に逆転されかねない。
 それを許さぬため、シャーリーが幼女に銃を放った。
「悪い子には熱線でお灸をすえてあげないとね!」
 素早い狙撃でダメージを与えることで反撃の力と気概を削ぐ。そしてその一瞬のよろめきの瞬間に、ウィーリィが炎を纏う大包丁を振り上げた。その向く先は、いままでの|冷蔵庫《外殻》ではなく剥き出しになった|幼女《本体》。
 神火の竈を大包丁に集め、全力での袈裟切りからの切り返し。強烈な二回攻撃だが、オーバーロードしたその身は限界を超える。
「これで終わりだ!」
 二回攻撃の三回目、限界を突破した一撃が、冷蔵庫ごと幼い体を切り裂いた。
「あぁ……あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 悲痛な絶叫を上げ小さな体が倒れる。しかしそれを哀れむことも、ましてや勝利の声を上げることも誰もしない。
 幼き声の断末魔、それは最後の敵の産声でもあるのだから……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『冷凍庫に潜む者』

POW   :    FREEZER_MODE_READY
【冷凍庫の中に引き込む吹雪と腕】が命中した対象に対し、高威力高命中の【冷気で氷漬けにした対象】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    猛抵抗
【手当たり次第、氷雪と冷気と冷凍庫にある物】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    もっといい感じの冷凍庫を…
真の姿を更に強化する。真の姿が、🔴の取得数に比例した大きさの【謎の力で改造された、すごい冷凍庫】で覆われる。

イラスト:夏目零一

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ポーラリア・ベルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵の猛攻により、小さな邪神『冷蔵庫に潜む者』は倒れた。幼女はその小さな体を引きずり、歪んだ冷蔵庫に上半身を突っ込む。
「これ……たべる……いししんか……」
 冷蔵庫の奥から取り出したのは、グリモア猟兵も配ったガリガリのアイス。だが彼女が配ったものよりも明らかに色が濃い。果汁多めの大人のそれを、幼女は小さな口に目いっぱい突っ込んだ。
 その瞬間、幼い体全体から強烈な冷気が噴き出した。それは一瞬のうちに彼女自身と冷蔵庫を分厚い氷の中に閉ざし、その身を巨大な氷塊へと変えてしまう。
 しばしの静寂。そして巨大な繭にも見えるそれにひびが入り、砕け散る。その中からは、傷一つない真四角の新品の箱……冷凍庫が現れた。
 その扉がゆっくりと開く。
「I evolved into I……なんてね」
 中から現れたのは、全裸の美女。年齢にすれば一気に20年分は加算されていようが、灰色の髪と瞳は先の幼女の面影を残していた。
「お礼を言うわ。あなた達が追い詰めてくれたおかげで、私はここまで進化した。艱難汝を玉にす、とはよく言ったものね。それとも、戦闘民族は死の縁から蘇る度……とか言った方がいいかしら?」
 先までのたどたどしさは全くない、流暢な弁舌。その物言いからは、知能だけでなく知識も増していることがうかがえる。
 そして何よりも増しているのは、彼女が身を隠す冷凍庫の隙間から漏れる冷気。女の手が僅かに扉を押し開くだけで、圧倒的な冷気が超次元の渦を満たしその全てを極冷の空間に変えた。
 最早この場は見た目だけではなく、正真正銘の巨大冷凍庫の中とすら言える状態。そして冷気が支配するこの場において、その主である邪神は最大の力を発揮する。
 大人となった彼女の力は、幼子であった時とは比較にならぬ程。自らの領域であるこの場において、彼女は誰よりも早く動き、猟兵たちを氷漬けにしてくることだろう。
「いずれは全てが氷に閉ざされる。早いか遅いかの違いだけ。さあ、夏は終わりよ。永遠の冬に眠りなさい」
 女を取り巻くのは吐く息、紡ぐ言葉すらも凍り付くほどの冷気。この邪神の最終形態『冷凍庫に潜む者』の絶対先制を躱し、暑い夏を続けるのだ!

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 再掲となりますが、この章の敵は使用能力に対応したユーベルコードを必ず先制で放ち、それに対応しなかった場合判定は必ず「🔴🔴🔴失敗」となります。お気をつけください。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・『祭器』召喚継続
・アド/絡◎

■行動
どうやら最終形態、ですねぇ。

『吹雪』『腕』の何れも『冷凍庫の扉』から発生する以上、召喚済の『FIS』の転移と『FAS』の飛行速度で『冷凍庫の裏側』に移動し対応、振り向く等の動きは『FPS』の探査で把握、『FLS』の空間歪曲や『FMS』のバリアによる『到達までの時間稼ぎ』も併せ【UC】発動まで『裏』を取り続けて対処しましょう。
そして【殛匘】を発動し『戮巫』に変化すれば、『解除時の反動』が強化量に比例して増大する代わり『総戦闘力が敵対者を上回るだけの強化』が得られますぅ。
後は『構造物破壊』を得手とする『FDS』の[爆撃]と『FRS』『FSS』の[砲撃]で。



 ついに現れた邪神『冷凍庫に潜む者』。『凍れる灰色の炎』が合体した『冷蔵庫に潜む者』が成長するという過程を経て辿り着いたその姿は、出現しただけでこの超次元の渦を極冷空間に変えるほどの力を溢れさせていた。
「どうやら最終形態、ですねぇ」
 その桁違いの存在感にこの戦いの最終決戦を予感する夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の前で、邪神は自身の潜む冷蔵庫の扉を開けた。
「FREEZER_MODE_READY」
 流暢な発音と共にそこから吹雪の如き冷気が湧き出し、るこる目がけて襲い掛かる。るこるはそれに対し『FIS』を軸にした瞬間移動を使い、背面に移動することで回避した。
「そこ」
 だが大きな冷凍庫がぐるりと回転、邪神は後ろにいたるこるに的確につかみかかるように腕を伸ばした。大人になったことで腕のリーチも伸び、それはるこるの豊かな体を捉えるに十分な長さがあった。
 それに対しては空間歪曲障壁を施し、手の狙いをそらす。そしてその間にるこるは再度飛行して裏に回ろうとするが、放たれた強力すぎる冷気はその残滓がまだそちら側に残っていた。それを感じたるこるは『FMS』を用いバリアを張って自身に届くのを何とか押しとどめる。
「殻にこもったままでも、結構早いのよ」
 それを追って再度転回する邪神。るこるはその行動を『FPS』による情報探査で先読みしつつ、何とか裏を取り続ける。
 必殺となる腕の掴みを何とかかわしつつ、持続時間の長い冷気はバリアで抑えることで回避時間を稼ぐ。それを繰り返すうち、邪神の籠る冷凍庫からアラート音のようなものが鳴り出した。
「く、温まってきちゃったわ……」
 冷凍庫の扉を長時間開け放ったことで中の温度が上がったのか、邪神は一旦冷気を止め扉を閉める。その瞬間を見逃さず、るこるは攻勢に出た。
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『戮神の加護』をお与え下さいませ」
 【豊乳女神の加護・殛匘】を発動、己の能力を敵対者の総戦力を超えるまでにたたき上げ最適化させた。
 それによって特に強化されたのは、構造物破壊を得手とする『FDS』の爆撃と『FRS』『FSS』の砲撃。それらを差し向けると、殻に閉じこもって動かない冷凍庫の表面で巨大な爆発が立て続けに起きた。
「く……なに!?」
 冷凍庫の中で邪神が驚くが、その間さえ与えないと言わんばかりに爆撃と砲撃が降り注ぐ。
 先の戦闘の探知では、相手の弱点は人型の本体ということは分かった。だが、知能を得た相手ならそれを隠しつつ戦うことくらい思いつくだろう。それならばと、るこるは自身の能力を思い切り高め、閉じた殻ごと叩き割る手段に出たのだ。
 もちろんこの能力には強化幅に応じて代償がつく。相手は無数のボス級が合体した形態の、さらに上の戦闘力を持つのだ。それさえ超えるというのなら、それは命に係わるレベルにまでなることだろう。
 されど、敵の技はあらゆるものを一瞬で氷漬けに出来るレベル。先の心配をする前にまず今勝つことを考えなければならないのだ。
 邪神の防御壁をも砕く爆炎の嵐の前に、邪神も冷凍庫から顔を出すことができないでいる。
「く、おのれ……きゃあっ!?」
 反撃の為僅かに扉を開けるも、そこから入りこむ熱波だけで体が焼け、慌てて邪神は冷凍庫に引っ込んだ。
 やがて、巨大な爆音と共に冷凍庫が吹き飛んで、床に転がる。その見た目は、あちこちが歪みひびが入り、家電としてはおよそ壊滅的な状態になっていた。
 これだけの負傷なら、入ったダメージも万全。中で邪神も歯噛みしていよう。
 そして圧巻の攻撃を与えたるこるは、これも命懸けとなろう次に来る|戦い《反動》に備えるべく、一度下がるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

木霊・ウタ
心情
ようやく
あんたを海へ還してやれるな
すぐにすむ
ちょいと待っててくれ(にやり

先制対策
確かに超強そうだ
この冷気からビンビン感じるぜ

空間全体が邪神の領域だし
逃げ場はないかもな
敢えて回避行動を切り捨てることで
火力全てを防御に回す

全身を紅蓮で覆い
獄炎纏う焔摩天を構えて
邪神の冷気や攻撃を
燃え盛る炎のバリアで減衰させる
凌ぎ切ってやるぜ

それでも氷漬けにされちまうだろうけど
ピシリと割れた氷をジュジュウと蒸発させながら
下半身を地獄の炎に変えて飛び出る
今度はこっちの番だ

戦闘
そのまま炎の砲弾と化して宙を切り裂き
冷気や氷雪を吹き飛ばし溶かしながら
一直線に邪神へ

その勢いのまま突撃

インパクトの瞬間
剣尖に地獄の炎を集中させて貫通力を増し
冷凍庫ごと邪神を貫く

串刺しのまま
刀身から浄化の紅蓮を吹き出して焼却
海へ、還れっ!

事後
渦から戻ったら
ギターで鎮魂の演奏をしながら
店を後にする
海で安らかに、な



 何度倒しても、邪神は新たな体に変わり強化再生を繰り返してきた。しかし、今現れた冷凍庫に潜む者はこの邪神の最終形態。最強にして最後の姿なのだ。
 その姿を前に、木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)はにやりと笑う。
「ようやくあんたを海へ還してやれるな。すぐにすむ、ちょいと待っててくれ」
 ここまで彼女の前の形態と戦い撃破したが、それは全て彼女の殻を向いてきたに過ぎない。ここでやっと相手を倒せるというウタに、冷凍庫に潜む者は冷たく返した。
「そうね、すぐに済むわ。そのまま凍りなさい」
 邪神は自分の潜む冷凍庫を開け、そこから強烈な冷気をウタに向けて吹きだした。ウタはそれを避けることはせず、じっと構えて待ち構える。
「ただの自信過剰? それとも観念したのかしら?」
 その冷気は吸引効果こそないものの、幼女形態時にユーベルコードで放ったものと同等級。それがウタを凍り付かせようとその身を取り巻くが、まるでそれに反抗するかのようにウタの体は赤く燃え上がった。
 ウタは自身の持つ炎の力を全力で燃え上がらせ、冷気を自身に届く前に消し飛ばす。オーバーロードした体から湧き上がる炎を、他の全てを捨てて全力で防御に回せばそれは邪神の操る冷気さえ触れることを許さず掻き消すほどの熱を持って燃え上がった。
 それを見て、邪神は冷凍庫から身を乗り出す。
「そう。でも、私はもう子供じゃない」
 そう言って邪神は口をすぼめ、ふぅと息を噴き出した。その吐息は氷雪となって荒れ狂い、冷凍庫からの冷気と重なる形でウタを襲った。
 元々が強めのボスのユーベルコード級だったところに、さらに怒涛の冷気が重なる。それはウタの炎と押し合い、その勢いを徐々に押しその体に届こうとし始めていた。
 それでも、ウタは動かない。下手に避けようとするよりは、己の全てを炎に託して焼き尽くす。無暗にいくつも手を講じるより己の信じるたった一つのものに全てを賭けるという姿勢は、二重となった邪神の氷冷とも拮抗し己の体に届くことを何とか抑え込んでいた。
「そう。薄いのは駄目なのね。じゃあこれをあげる。私のとっておきよ」
 このままではまだ拮抗は続くと見た邪神は、半身を一度冷凍庫の中に引っ込める。そして再び外に出た時、その手には中に入っていたと思しき巨大な氷菓が握られていた。
「食べられる鈍器で有名なこれよ。味わいなさい」
 ガチガチに凍って歯が立たないことで有名な、その名通りにあずき色のそれ。特注品か何かなのかウタの持つ鉄塊剣ほどのサイズのそれを、邪神は思い切りぶん投げた。まるで冗談のようだが邪神の棲家である冷凍庫の中で凍らされ続けたそれは、二重の冷気を纏いながらウタの炎さえ切り裂いてその中を一気に進み。ついにウタの構える『焔摩天』へとぶち当たった。
 その接触面から氷が張り、ついにウタの体を包み込んでいく。その力を絞り出すように氷菓も溶けて縮んでいくが、それが全て溶け落ちると同時についにウタの炎は消え、その身は完全に氷に包まれていた。
 炎と相打ちになったかのように取り巻く冷気と氷雪も消えた空間で、邪神は息をつく。
「ふぅ……所詮人間の炎なんてこの程度ね」
 そう言った瞬間、氷漬けになったウタがぴしりと音を立てた。何事かと邪神がウタを見ると、その下半身部分の氷が割れ、じゅうじゅうと音を立てて蒸発し始めていた。
 そして剥がれた氷から出てくるのは人の下半身ではない。地獄の炎と化し形を変えたその足が、氷を直に炙り溶かして動き出していた。
「今度はこっちの番だ」
 氷に閉じ込められたままの口でウタが言う。自身の炎をもってしても完璧に防ぎきれないのも予想済み。ウタは回避を捨てるだけでなく、上半身の無事さえ捨てることでとにかく完全な氷漬けを防ぐことに全てを賭けたのだ。
「大掃除と行くぜ。ブレイズ、オンッ!」
 それは攻撃を切らしていた邪神の隙を突き、下半身の炎が爆発して氷の上半身を砲弾と化して相手に突っ込んでいく。先に自分が投げた巨大氷菓をそのまま返されたかのような攻撃に、邪神はとっさに冷凍庫に籠り扉を閉めた。
 そのままウタは冷凍庫の扉にぶち当たり、その衝撃で上半身の氷も砕ける。そうして露になった体験を、ウタは扉に押し付けた。
 そのまま【焔摩天S】の炎を大噴射し、無理矢理にでも剣を通そうとする。扉を抑えられた邪神は外にも出られず、ただ扉を閉じ続けるしかない。
 そして、少しずつ、少しずつ扉に答申が食い込んでいく。そしてその刀身が何かに触れた感触があった瞬間、ウタは己の残りの力を全て炎に変えて流し込んだ。
「海へ、還れっ!」
 ウタの絶叫。
 外からは冷凍庫の中がどうなったかは分からない。だが、扉の隙間から漏れる煙が、中で何が起きたかをウタに伝えていた。
 攻防に|炎《血》を出しつくしたウタは、これ以上の継戦は無理と一度下がる。そうして入ってきた冷蔵庫から離れ、特売会場を後にしながらギターを奏で、海で安らかにとようやくの鎮魂の演奏を歌うのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
きっと、これがボスの最強最後の姿
さっさと決着をつけないとね
終わったらウィーリィくんに何か暖かい物でも作ってもらおっと♪

ボスの先制攻撃は宇宙バイクに乗ったまま引きずり込まれそうになるフリをしてボスが油断したところを【咄嗟の一撃】で【弾幕】を張って【目潰し】して隙を作り、【リミッター解除】させた宇宙バイクを【操縦】して吹雪から脱出する
その後はボクたちのターン!
先制攻撃のために開けっ放しになった冷凍庫の中のボス本体を狙って【スナイパー】+【クイックドロウ】でピンポイント攻撃
その後は宇宙バイクでボスの周りを走り回りながら【乱れ撃ち】+【クイックドロウ】で攻撃とともに注意を惹き付けて【ロープワーク】+【罠使い】でワイヤーを冷凍庫の周りに巻きつけて強引に冷凍庫の扉を閉める
もちろん、今のボスならこんなワイヤーを簡単に引きちぎれる
けど、ボクがUCを準備する時間は稼げる
ボスが冷凍庫の扉を開いたらウィーリィくんに続く形で必殺のUCを【スナイパー】でお見舞いするよ!


ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
ただでさえ厄介なのが更にパワーアップしやがった!
これ以上つきあってられるかよ!
これで終わりにしてやる!

奴が俺を冷凍庫に引きずり込もうとしたところで周囲の氷を【料理】の腕前をフルに駆使して【早業】で瞬時にかき氷を大量に作って周囲に舞い上がらせ、【物を隠す】で周囲の視界を遮り、その隙に【フェイント】【地形の利用】で物陰に潜んで奴の先制攻撃を空振りさせる。
そして生じた隙を見逃さず大包丁での【二回攻撃】を浴びせ、ダメージを与えると同時にシャーリーが罠を仕掛ける時間を稼ぐ。
彼女が罠を発動させたら周囲の冷気は【環境耐性】で耐え、【足場習熟】で滑らない様にしながらまっすぐ冷凍庫を目指し、奴が罠を破って冷凍庫の扉を開けると同時に【武器に魔法を纏う】で炎の【属性攻撃】を付与した【料理の鉄刃】の一撃を喰らわせ、すかさず飛び退いてシャーリーの必殺の一撃に繋げる。



 完全なる邪神。それは一般のUDCとは一線を画す存在。いくつもの形態を持ち、そのどれもが強力で、そして次の形態へ進むごとにその力はさらに増していく。
「ただでさえ厄介なのが更にパワーアップしやがった! これ以上つきあってられるかよ! これで終わりにしてやる!」
 ここまででも十分すぎるくらいに強敵だった相手のさらなる強化に、ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)がそう叫ぶ。
 そしてそれと並び、シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)も相手を見た。
「きっと、これがボスの最強最後の姿。さっさと決着をつけないとね。終わったらウィーリィくんに何か暖かい物でも作ってもらおっと♪」
 目の前にいるのはこれまで戦ってきた二つの形態よりはるかに強い。だが、彼女にこれ以上脱ぐ殻、変わる体はない。最も強いということは、それさえ超えればもうそれ以上はない。ここが最後の難所であり、これを超えればあとは自由に楽しい時間を過ごせるのだ。
 そしてそれを許さぬとばかりに、冷凍庫の扉が開く。
「あたたかい……そんな感覚必要ない。FREEZER_MODE_READY」
 機械のように正確な発音と共に、開け放たれた扉から猛烈な冷気が二人に襲い掛かった。
 ウィーリィはそれを包丁を構えて待ち受ける。
 氷結がその身を覆う瞬間、ウィーリィは超高速で包丁を振り回し、冷気が凍らせた空気の粒を切り刻んだ。それはその冷たさ故に切られても溶け散ることなく、さらに細かな氷の粒となってそこに降り積もっていく。
「どうだ、極上のかき氷だぜ!」
 ウィーリィはその氷の粒をかき氷に『料理』することで防ぎ、その場に白い山として聳えさせた。だが、邪神の武器は吹雪だけではない。
「氷である限り私の世界」
 そのかき氷の山を突っ切り、邪神は体を乗り出しながら手を伸ばした。ウィーリィは氷の山を巻き上げることで煙幕のようにして視界を遮る。言葉通り氷の壁など彼女にとって苦にならないのかそれで怯む様子は邪神には全くないが、属性があっていようと単純に視界が塞がれれば前は見えなくなる。その間に、ウィーリーは倉庫を模した空間の隙間を見つけ其処に身を隠した。
 だが、敵が二人いることは邪神も分かっている。もう一人、大きなバイクにまたがっている砲を狙えば良いとシャーリーを狙い、そちらを捕まえようと邪神が腕をバイク目がけて伸ばした。
「うわぁ!」
 バイクにまたがったままのシャーリーが、その腕に沿って邪神の元へ向かう。その腕が彼女を掴んだのか。
「……触れてない!」
 否、手に相手が触れた感覚は邪神には無かった。即座に自ら突っ込んできたシャーリーにかかろうと身を返す邪神の顔面に、シャーリーは光線を滅多打ちにした。
「くっ!」
 邪神は顔を手で覆い、それを防ぐ。至近からの弾幕ですらそれで簡単にしのげてしまうのは流石だが、光線である以上引き込んで投げ返すことは出来ない。
 その間にシャーリーはバイクを操作して離脱、同時にウィーリィは隠れ場所から飛び出し防御態勢を取った邪神に肉薄、包丁によるに連撃を見舞った。
 冷気を一度止めた後は入れ替わりに少しずつ攻撃し、相手が先制で放った攻撃の時間を少しでも短くする。少しでもしくじれば一気に氷漬けにされてしまう危険な賭けであったが、二人の連携とオーバーロードによって何とか邪神の強大な力を途切れさせることができた。
 冷気が弱まった瞬間、シャーリーが本体目がけて銃を滅多打ちにする。そしてそれと同時にバイクにワイヤーを引かせながら冷凍庫の周りを回ることで扉をがんじがらめにし、扉を閉めて動けないように閉じ込めようとした。
 一度冷凍庫の扉が閉まるが、それは邪神が引っ込んで自ら閉めただけの事。それをワイヤーが締め上げるが、冷凍庫の中で邪神は冷静なままだった。
「そのロープワーク、|さっき《幼い頃》見たわ」
 幼女形態時にも使われたシャーリーのワイヤー術を覚えている邪神は、もう見た技だと扉を強引に開ける。まるでただの糸であるかのようにワイヤーが伸ばされ、僅かな引っ掛かりの後簡単に千切られて行った。
「やっぱり、簡単に千切られちゃうよね……」
 シャーリーは目の前でゆっくり冷凍庫が開けられて行くのを、やはりという様子で見る。
 そして邪神の顔が扉の隙間から覗いた瞬間。
「研ぎ澄まされた刃と技に、料理出来ないものはない!」
 その隙間に、凍った足場をしっかり進んできたウィーリィの大包丁による【料理の鉄刃】が滑り込んだ。
 どんな策を弄しようとも、完封することができないのは二人とも全て承知の上。だからできる限りを二人で重ね、その積み重ねによって最後の一撃までを繋ぎ続けること。それが二人が選んだ先制攻撃への対策であった。
 その果てについに出すことができたユーベルコードの一撃が、炎を纏い邪神の本体へ食い込んだ。
「この、程度……!」
 自身の最も嫌う炎を纏った一撃を受け、邪神は顔をしかめる。だが、己の冷気に撒くか手で掴んでしまえばそれは凍り付いて自分の武器へと変わる。
 そうされないためにも、ウィーリィは相手にとどめを刺すことなく武器を引いてすぐに飛びのいた。
 如何にオーバーロードしたユーベルコードであっても、完全なる邪神を一撃で倒すには到底至らない。だから。
「セット・イントゥ・ハイメガロドンモード!」
 ウィーリィが退いた瞬間、その場をシャーリーの【ハイメガロドンフォーメーション】が撃ちぬいた。僅かにしか開いていない冷凍庫の隙間を縫い、それは的確に邪神の体を貫く。
「く、あぁぁぁ……!」
 一撃で倒せないなら二撃目を。二人いるなら一人が引くと同時にもう一人がかかれる。二人いるということを徹底的に活かした連携に撃たれた邪神は、後ろに倒れるように冷凍庫の中に引っ込んでいった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ドゥルール・ブラッドティアーズ
WIZ
素敵なレディになったわね。
お姉さん嬉しいわ♥

先制UCで更に強化された彼女の冷気を正面から相殺するのは至難。
1章・2章で吸った力の【ドーピング】とオーバーロードで
戦闘力と【氷結耐性・寒冷適応】を高めつつ
自身を覆うように竜巻を起こす【属性攻撃・結界術・全力魔法】で
冷気を【受け流し】ダメージを軽減して
【回復力・継戦能力】と【気合い】で耐え抜くわ

爆風衝壁!!

彼女の攻撃が止む瞬間を【第六感・読心術】で【見切り】
冷凍庫を閉じられる前に『略奪愛』で
154秒の時止めから【生命力吸収・魔力吸収】のキス♥
攻撃も回復もしつつ、彼女の強化も奪い取るわ

形勢逆転ね

【怪力・捕縛】の抱擁で裸体同士を重ね合う。
奪った冷凍庫や私の体から溢れる冷気も
彼女には心地良いだけだろうけど
だからこそ【誘惑・催眠術】の効力が高まる。
ずっと此処に居たい、ずっと触れられていたい、と

仲間を増やして次の世界へ。
私と旅に出ましょ、レイコ♥

返事は「OK」しか聞かない♪
【化術】で竿を生やし【串刺し・慰め・大食い】
媚毒体液を【乱れ撃ち】ながら救済



 邪神は形態を変えるごとに成長してきた。意志持たぬ炎の集団から、舌足らずに喋る幼子へ。そして今は高い知能をもつ大人の美女となっていた。
 その最終形態を見てドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)は好まし気に目を細める。
「素敵なレディになったわね。お姉さん嬉しいわ♥」
「ええ、お陰様で。でもこれで終わりじゃないわ」
 それを大してそっけなく返す邪神の声とともに、その外側にある冷凍庫が膨張した。
 サイズそのものが数段巨大化し、さらに上下数段に部屋が増え多層構造化。背後には冷凍のためのガス装置が多重に取り付けられ、過剰なまでの冷却力をアピールしている。
 さらにその扉は分厚く、中の冷気を閉じ込めつつ外からの余計な熱は一切通さない。しかして一度開ければ、超圧縮された冷気が吹雪の如く吹きだされ前方に霜を降ろす。
 大きく、重く、分厚い冷凍庫。最早業務用の域さえ通り越したメガクラスの冷凍庫が、ドゥルールの目の前に顕現した。
「これがお待ちかね、私の|真の力《100パーセント》。さあ、凍り付きなさい」
 邪神が上段の扉を全開にし、自身は下段の部屋へと潜り込んだ。攻撃するためには身を曝さなければいけないという彼女の弱点を克服した、最高にいい感じの冷凍庫だ。
 前回となった扉から放たれる冷気がドゥルールを襲う。ドゥルールはその冷気を先の彼女自身から吸った力をもって耐えようとするが、最終形態の全力は前のものを遥かに凌駕していた。
 僅かに肌に触れただけでその部分は一瞬にして凍り付く。正面から耐えきることはやはり不可能と、ドゥルールは吸収した力に自らの力も添えようとする。
「爆風衝壁!!」
 風の属性をぶつけ、自身の前に竜巻を起こしたドゥルール。聳えるつむじ風は空気の壁ともなって冷気を巻き込み、渦の中に含んで横へと流した。
 しかし、邪神の冷気の冷たさは空気さえも凍り付かすもの。竜巻が白く染まっていき、ダイアモンドダストの渦となって邪神のものとなっていく。
 ドゥルールはそれにオーバーロードした自らの力を注ぐことで風を奪い返そうとした。だが、己が出したはずの竜巻に手を差し入れた瞬間にその手が凍り付きそうになる。それを回復させつつ、ドゥルールは時を待った。
 かじかんだ手に感覚がなくなり、まるで手首から先が消えてしまったかのようにすら思えてくる。そして子の拮抗が崩されれば、その感覚は全身を飲み込み本当に氷砕いてしまうのは明白だ。そうならないようにひたすらに恐るべき冷気を己の前で渦に流し続ける。
 冷凍庫は機械だ。しかし、それは人が操作しなければ動かない。そしてそれはこの冷気を吐く邪神の冷凍庫もまたそうだ。先に戦った者たちと同じように、この形態もまた息切れがあり、その瞬間に機械を止めるはず。
 冷たい空間の中、邪神の思考と体力を読むドゥルール。そして。
「いただきまぁす♪」
 邪神が下段から飛び出し、上段に移ってそちらの扉を閉めようとする。その一瞬のスキを突き、ドゥルールは【略奪愛】を発動させた。
 ちょうど下段から体を出した状態で止まった邪神を抱きすくめ、ドゥルールは唇からその力を奪い取る。
 154秒後の長い口づけの後、突如として冷凍庫が形を変えた。継ぎ足されていた駆動装置はなくなり、部屋も一室のみのシンプルな冷凍庫に戻る。そしてそこに満ちていたはずの冷気は、ドゥルールの体へと移っていた。
「な、何を……!?」
「形勢逆転ね」
 この力で奪えるのは、相手が本来から積み増した力。まさにメガ冷凍庫はその対象そのものであり、その冷凍力と防御力はそのままドゥルールへと吸収されていた。
 そしてドゥルールは邪神を抱きすくめ、冷気纏う体を押し付ける。
「この程度……心地いいくらいだわ」
 その冷気など効かぬと鼻で笑う邪神だが、その反応はむしろ望むところ。
 冷気の目的は相手をここに留めること。ずっと此処に居たい、ずっと触れられていたい、と思わせることで|とどめ《ゲット》の成功率を高める。
「仲間を増やして次の世界へ。私と旅に出ましょ、レイコ♥」
「は……?」
 成長し知恵がついても、彼女に名前はない。そんな彼女に付けたニックネームは冷凍庫、冷蔵庫、そしてアナグラムにすれば凍れる灰色の炎を縮めたものになる、彼女の全形態を総括した女性名。
 いつでもいつも上手くいくなんて保証はどこにもないけど、名づけは捉えたものの特権。その名前に戸惑う彼女を串刺しにし、己の体液で内側から溶かし尽くす。
 完全なる邪神とはいえオーバーロードした猟兵との重なる連戦で力尽き、ついにその姿は溶け消えた。消耗しきった彼女に断末魔の声もなかったが、ドゥルールは返事は「OK」しか聞かないと言わんばかりに|次《外》に|進む《帰る》のであった。


 完全なる邪神が倒れたことで超次元の渦への接続は切れ、冷蔵庫はただの中古家電に戻る。そして道が完全に閉ざされぬうちにその扉から現実に戻り、そのまま販売会場を出た猟兵たちを夏の熱気が包んだ。
 暑い日々は、まだまだ続くのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年08月28日


挿絵イラスト